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  • 特開-電極部、センサシステム及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095884
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】電極部、センサシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 63/00 20170101AFI20240704BHJP
   G01F 23/263 20220101ALI20240704BHJP
【FI】
A01K63/00 B
G01F23/263
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212854
(22)【出願日】2022-12-29
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年10月19日、20日に第32回 日本動物園水族館設備会議にて公開。 令和4年11月17日にウェブサイトにて公開(https://www.kdl.co.jp/blog/2022/11/atoa.html)。 令和4年12月2日に2023年3月期 第2四半期決算説明会にて公開。 令和4年12月2日にウェブサイトにて公開(https://www.noble-j.co.jp/ir-info/news/、https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS04265/e8aed1c0/571f/475e/9f31/3aea5860ce61/140120221201573967.pdf)。 令和4年12月14日にウェブサイトにて公開(https://finance.logmi.jp/377637)。 令和4年12月14日にウェブサイトにて公開(https://limo.media/articles/-/35547?page=1)。 令和4年12月2日にウェブサイトにて公開(https://www.nikkei.com/nkd/company/?scode=6763、https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/20221201573967/)。
(71)【出願人】
【識別番号】000215833
【氏名又は名称】帝国通信工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001782
【氏名又は名称】弁理士法人ライトハウス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内藤 俊司
(72)【発明者】
【氏名】山田 高士
(72)【発明者】
【氏名】並木 哲二
【テーマコード(参考)】
2B104
2F014
【Fターム(参考)】
2B104CA04
2B104CB41
2B104EA00
2F014EA00
(57)【要約】
【課題】
水槽の壁又は水槽のオーバーフロー槽の壁において水を検知することができる電極部、センサシステム、方法を提供する。
【解決手段】
電極を備え、シート状又はフィルム状であり、水槽の壁又は水槽のオーバーフロー槽の壁に設置して、表面の水を検知するための電極部に関する。電極が透明電極であり、電極が透明のシート上又は透明のフィルム上に施されたものであることが好ましい。第1の電極及び第2の電極を備え、水槽の壁又は水槽のオーバーフロー槽の壁に設置されたシート状又はフィルム状の電極部を備え、第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加した状態において、第1の電極及び第2の電極に水が接触すると、第1の電極と第2の電極との間で通電したことを検知する、センサシステムに関する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極を備え、シート状又はフィルム状であり、水槽の壁又は水槽のオーバーフロー槽の壁に設置して、表面の水を検知するための電極部。
【請求項2】
電極がカーボン電極、銀電極又は透明電極である、請求項1に記載の電極部。
【請求項3】
電極が透明電極であり、電極が透明のシート上又は透明のフィルム上に施されたものである、請求項1又は2に記載の電極部。
【請求項4】
第1の電極及び第2の電極を備え、水槽の壁又は水槽のオーバーフロー槽の壁に設置されたシート状又はフィルム状の電極部を備え、
第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加した状態において、第1の電極及び第2の電極に水が接触すると、第1の電極と第2の電極との間で通電したことを検知する、センサシステム。
【請求項5】
電極部が、水槽の壁の内側又は水槽のオーバーフロー槽の壁の内側に設置され、
第1の電極と第2の電極とが水平方向において対向する位置となるように設置された、請求項4に記載のセンサシステム。
【請求項6】
電極部が、水槽の壁の外側又は水槽のオーバーフロー槽の壁の外側に設置され、
第1の電極と第2の電極とが重力方向において対向する位置となるように設置された、請求項4に記載のセンサシステム。
【請求項7】
第1の電極と第2の電極との間で通電したことを検知すると、所定の情報をコンピュータ装置へ送信する送信手段と
を備える、請求項4~6のいずれかに記載のセンサシステム。
【請求項8】
電極が透明電極であり、電極が透明のシート上又は透明のフィルム上に施されたものである、請求項4~6のいずれかに記載のセンサシステム。
【請求項9】
電極を備え、シート状又はフィルム状である電極部を、水槽の壁又は水槽のオーバーフロー槽の壁に設置し、電極部の表面の水を検知する、方法。
【請求項10】
電極部が、第1の電極及び第2の電極を備えるものであり、
電極部を、水槽の壁又は水槽のオーバーフロー槽の壁に設置し、
第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加した状態において、第1の電極及び第2の電極に水が接触すると、第1の電極と第2の電極との間で通電したことを検知する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
電極が透明電極であり、電極が透明のシート上又は透明のフィルム上に施されたものである、請求項9又は10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極部、センサシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水族館では、生体の維持のために水槽内の水を常に循環させ、水槽内の水質を維持するために水を入れ替えることを、日常的に行っている。しかし、循環装置にゴミなどが詰まり、水が漏れたり、水の入れ替えを行う際に水が溢れてしまうことがある。このように、水が漏れたり、溢れることで、資源としての水が無駄になり、防水処理ができていない施設への被害が発生する。
【0003】
例えば、水槽内に挿入されて、外表面が電気絶縁被膜により防水自在に被覆されている電極と、この電極に電圧を印加する電圧印加手段と、この電極を介して検出した静電容量の検出値の変化に基づいて水槽の水位を検出し、この水位の低下を検出したときに、水槽に設けてある電気器具への通電を強制的に遮断する信号を出力する水位検出手段とを備える、水槽の水位電極部が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-51740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、例えば、水槽の壁又は水槽のオーバーフロー槽の壁において水を検知することができる電極部、センサシステム、方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題は、
[1]電極を備え、シート状又はフィルム状であり、水槽の壁又は水槽のオーバーフロー槽の壁に設置して、表面の水を検知するための電極部;
[2]電極がカーボン電極、銀電極又は透明電極である、前記[1]に記載の電極部;
[3]電極が透明電極であり、電極が透明のシート上又は透明のフィルム上に施されたものである、前記[1]又は[2]に記載の電極部;
[4]第1の電極及び第2の電極を備え、水槽の壁又は水槽のオーバーフロー槽の壁に設置されたシート状又はフィルム状の電極部を備え、第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加した状態において、第1の電極及び第2の電極に水が接触すると、第1の電極と第2の電極との間で通電したことを検知する、センサシステム;
[5]電極部が、水槽の壁の内側又は水槽のオーバーフロー槽の壁の内側に設置され、第1の電極と第2の電極とが水平方向において対向する位置となるように設置された、前記[4]に記載のセンサシステム;
[6]電極部が、水槽の壁の外側又は水槽のオーバーフロー槽の壁の外側に設置され、第1の電極と第2の電極とが重力方向において対向する位置となるように設置された、前記[4]に記載のセンサシステム;
[7]第1の電極と第2の電極との間で通電したことを検知すると、所定の情報をコンピュータ装置へ送信する送信手段とを備える、前記[4]~[6]のいずれかに記載のセンサシステム;
[8]電極が透明電極であり、電極が透明のシート上又は透明のフィルム上に施されたものである、前記[4]~[7]のいずれかに記載のセンサシステム;
[9]電極を備え、シート状又はフィルム状である電極部を、水槽の壁又は水槽のオーバーフロー槽の壁に設置し、電極部の表面の水を検知する、方法;
[10]電極部が、第1の電極及び第2の電極を備えるものであり、電極部を、水槽の壁又は水槽のオーバーフロー槽の壁に設置し、第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加した状態において、第1の電極及び第2の電極に水が接触すると、第1の電極と第2の電極との間で通電したことを検知する、前記[9]に記載の方法;
[11]電極が透明電極であり、電極が透明のシート上又は透明のフィルム上に施されたものである、前記[9]又は[10]に記載の方法;
により解決することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、水槽の壁又は水槽のオーバーフロー槽の壁の水を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係るシステムの概要を示す図である。
図2】本発明の実施の形態に係る電極部を示す図である。
図3】本発明の実施の形態に係る電極部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明をするが、本発明の趣旨に反しない限り、本発明は以下の実施の形態に限定されない。また、効果に関する記載は、本発明の実施の形態の効果の一側面であり、ここに記載するものに限定されない。
【0010】
図1は、本発明の実施の形態に係るシステムの概要を示す図である。図1は、水槽1を側面から視た図である。水槽1は、水族館などの業務用の水槽だけでなく、家庭用の水槽であってもよい。
【0011】
水槽1は、水槽本体1aと、オーバーフロー槽2とを備えている。水槽本体1aには、水3が貯水されている。例えば、水槽1内の水3の入れ替え作業の際には、外部からホース等を利用して、水槽1へ新たな水3が注がれる。新たな水3を注ぐとともに、古い水3を排水することで、水3の入れ替え作業が行われる。
【0012】
オーバーフロー槽2は、水槽1内の水3の水位が上昇した場合に、水3を外部へ排水するために設けられた槽である。水槽1とオーバーフロー槽2は連通しており、水槽1内の水3の水位が上昇すると、水3の一部が、水槽1からオーバーフロー槽2へ供給される。オーバーフロー槽2には、排水口2aが設けられており、水槽本体1aから溢れた水3を、排水口2aから水槽1の外部へ排出することができる。
【0013】
排水口2aが詰まっている状態で、水槽1やオーバーフロー槽2へ水3が供給されている場合や、排水口2aから排出される水3の排水速度よりも、水槽1やオーバーフロー槽2へ水3が供給される供給速度の方が大きい場合は、水槽1やオーバーフロー槽2内の水3の水位が上昇する。水槽1やオーバーフロー槽2内の水3の水位が上昇して、水槽1の壁1bの上端1cまで到達すると、又は、オーバーフロー槽2の壁2bの上端2cまで到達すると、水槽1やオーバーフロー槽2から水3が溢れる。
【0014】
電極部4は、水槽1の壁1bの内側及び外側のいずれにも設置することができ、また、壁1bの内側及び外側のいずれか一方にのみ設置してもよい。例えば、電極部4aのように、壁1bの内側に設置してもよく、電極部4bのように、壁1bの外側に設置してもよい。なお、本発明において、「水槽の壁に電極部を設置する」とは、水槽の透明な壁(例えば、ガラスやアクリル板)に設置する場合だけでなく、水槽の透明でない壁や、水槽に備え付けられた設備(例えば、循環装置やろ過装置)の壁に設置する場合も含む概念である。
【0015】
電極部4は、オーバーフロー槽2の壁2bの内側及び外側のいずれにも設置することができ、また、壁2bの内側及び外側のいずれか一方にのみ設置してもよい。例えば、電極部4cのように、壁2bの内側に設置してもよく、電極部4dのように、壁2bの外側に設置してもよい。
【0016】
電極部4は、例えば、少なくとも2つの電極を備えることができる。電極部4の備える2つの電極について、ここでは、第1の電極と第2の電極とする。第1の電極と第2の電極は、互いに接触をしていない非接触状態にある。また、第1の電極と第2の電極は、平行となるように配置することが好ましい。
【0017】
電極部4において、表面の水を検知する方式は、特に限定されないが、例えば、第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加した状態において、第1の電極及び第2の電極に水が接触することで、第1の電極と第2の電極との間で通電したことを検知するような構成とすることができる。第1の電極に接触している水と、第2の電極に接触している水とが、物理的に連続している場合に、第1の電極と第2の電極との間で電流が流れるため、これを検知することで、第1の電極及び第2の電極に水が接触したことを検知することができる。
【0018】
電極部4を、水槽1の壁1b又はオーバーフロー槽2の壁2bの内側に設置する場合は、第1の電極と第2の電極とが水平方向において対向する位置となるように設置することが好ましい。このように設置することで、水槽1又はオーバーフロー槽2内の水3が、所定の水位に到達したことを検知することができる。
【0019】
1つの水槽1には、複数の電極部4を備えることができる。同様に、1つのオーバーフロー槽2には、複数の電極部4を備えることができる。例えば、水槽1の壁1b又はオーバーフロー槽2の壁2bの内側の異なる高さの位置に、それぞれ電極部4を設置することができる。このようにすることで、いずれの高さの電極部4について、第1の電極と第2の電極との間で通電しているかをもとに、どの程度の高さまで水3の水位が到達しているかを特定することができる。
【0020】
なお、後述するように、電極部4において、第1の電極と第2の電極との間で通電していることを検知した場合に、本システムの利用者が所有する利用者端末7へ、水3により通電した電極部4の設置された高さに応じて、異なる情報を通知することも可能である。
【0021】
電極部4を、水槽1の壁1b又はオーバーフロー槽2の壁2bの外側に設置する場合は、第1の電極と第2の電極とが重力方向において対向する位置となるように設置することが好ましい。このように設置することで、水槽1又はオーバーフロー槽2の水3が溢れたことを検知することができる。
【0022】
水槽1の壁1b又はオーバーフロー槽2の壁2bの外側に設置する場合における、電極部4を設置する位置は特に限定されないが、例えば、水槽1の上端1cの近傍、又は、オーバーフロー槽2の上端2cの近傍に設置することで、水槽1又はオーバーフロー槽2から水3が溢れたことを、より確実に検知することができる。ここで上端1cの近傍、又は、上端2cの近傍とは、電極部4の第1の電極と第2の電極のいずれもが、上端1c又は上端2cから下方向に所定の範囲に設置されていることをいう。所定の範囲は、例えば、30cm未満であることが好ましく、15cm未満であることが好ましい。上端1c又は上端2cから下方向に離れた位置に電極部4が設置されていると、水3が溢れた場合でも、水3が溢れたことを検知できない場合が発生しうる。
【0023】
電極部4は、管理装置5に電気的に接続されている。管理装置5には、例えば、第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加する電圧発生器が備えられている。電圧発生器では、常時、第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加していてもよく、断続的に、第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加してもよい。
【0024】
また、管理装置5には、第1の電極及び第2の電極が水3と接触して通電した場合に、所定の抵抗に流れる電流を検出する電流検出回路が備えられている。
【0025】
電流検出回路にて所定の抵抗に電流が流れたことを検出すると、管理装置5に接続された通信装置6から、有線又は無線により利用者端末7へ所定の信号が送信される。所定の信号には、例えば、いずれの電極部4に対応する信号であるかを特定することが可能な、識別情報が含まれていてもよい。
【0026】
利用者端末7は、コンピュータ装置であれば、特に限定されないが、例えば、スマートフォン、タブレット端末などの利用者が携帯することが可能なものであることが好ましい。利用者端末7は、例えば、制御部、RAM、ストレージ部、入力部、出力部及び通信インタフェースを備え、これらはバスにより接続されている。
【0027】
制御部は、CPUやROMから構成される。制御部は、所定のプログラムを実行し、利用者端末の制御を行う。出力部は表示画面を有している。通信インタフェースは無線又は有線により通信ネットワークに接続が可能であり、通信ネットワークを介して、通信装置6とデータを送受信することが可能である。
【0028】
電極部4にて第1の電極及び第2の電極が水3と接触して通電し、利用者端末7へ所定の信号が送信されると、制御部により、受信した信号に応じて出力する情報を特定し、出力部は、特定された情報を出力する。出力部による出力の方式は特に限定されず、表示画面に所定のメッセージや記号を表示することとしてもよく、所定のメッセージや通知音を音声出力してもよい。
【0029】
上で述べたように、通信装置6から利用者端末7へ送信される信号に、いずれの電極部4に対応するものであるかを示す識別情報が含まれている場合、利用者端末7では、識別情報に応じて、つまり、いずれの電極部4に対応する信号であるかに応じて、出力するメッセージの内容を変更することができる。
【0030】
例えば、水槽1の壁1b又はオーバーフロー槽2の壁2bの内側に、第1の電極と第2の電極とが水平方向において対向する位置となるように電極部4を設置した場合は、水槽1又はオーバーフロー槽2内の水3の水位が上昇している旨のメッセージが、プッシュ通知で、利用者端末7の表示画面に表示される。また、例えば、水槽1の壁1b又はオーバーフロー槽2の壁2bの外側に、第1の電極と第2の電極とが重力方向において対向する位置となるように電極部4を設置した場合は、水槽1又はオーバーフロー槽2から水3が溢れている旨のメッセージが、プッシュ通知で、利用者端末7の表示画面に表示される。
【0031】
電極部4が、シート状又はフィルム状であることにより、水槽1の壁1bに設置しても、水槽内の視認性の低下をおさえることができる。
【0032】
電極は、特に限定されないが、カーボン電極、銀電極又は透明電極であることが好ましい。また、電極は透明電極であり、電極が透明のシート上又は透明のフィルム上に施されたものであることが好ましい。透明電極は、公知のものを用いることができる。例えば、PETなどの透明のフィルムに、透明電極を印刷したものを、電極部4として用いることができる。
【0033】
シート状又はフィルム状の電極部4の厚さは、特に限定されないが、5μm以上であることが好ましく、7μm以上であることがより好ましい。また、電極部4の厚さは、15μm以下であることが好ましく、12μm以下であることがより好ましい。
【0034】
電極部4は、水槽1の壁1b又はオーバーフロー槽2の壁2bに貼り付けられることが好ましい。シート状又はフィルム状の電極部の壁1b、2b等への貼り付け方法としては、特に限定されないが、例えば、接着剤により貼り付けてもよく、両面テープにより貼り付けてもよい。このような方法により、電極部4を簡便に設置することが可能となる。接着剤や両面テープも透明なものであることが好ましい。
【0035】
次に、電極部について、図2及び図3を参照して説明する。図2及び図3は、本発明の実施の形態に係る電極部を示す図である。図2は、第1の電極と第2の電極とが水平方向において対向する位置となるように設置する際に用いられる電極部を示す図であり、図3は、第1の電極と第2の電極とが重力方向において対向する位置となるように設置する際に用いられる電極部を示す図である。
【0036】
図2図3のいずれの場合においても、第1の電極11及び第2の電極12は、透明フィルム13上に印刷等により形成されている。そして、第1の電極11及び第2の電極12の一部が外部と接触することが可能となるようにしつつ、第1の電極11及び第2の電極12の残りの部分を絶縁層14によりマスキングされている。第1の電極11及び第2の電極12の外部と接触することが可能な部分が、水と接触し得るように、透明フィルム13の電極が印刷されている面とは反対の面と、壁1b又は壁1cとが接着される。
【0037】
絶縁層14は、透明フィルム上に第1の電極11及び第2の電極12を印刷した後、ウレタン樹脂等の固化した場合に絶縁性を有する樹脂組成物をコーティングすることにより得られる。図2の場合であれば、第1の電極11と第2の電極12とが横方向において対向する位置となっている箇所が外部と接触が可能なように絶縁層が形成され、図3の場合であれば、第1の電極11と第2の電極12とが縦方向において対向する位置となっている箇所が外部と接触が可能なように絶縁層が形成される。絶縁層14も、透明であることが好ましい。
【0038】
図2(b)は、電極部4の第1の電極11と第2の電極12と水3が接触している場合を表す図である。外部に露出している第1の電極11と第2の電極12は、重力方向に延びている。水3が物理的に連続しつつ、第1の電極11及び第2の電極12と接触することで、水3の水位が、第1の電極11及び第2の電極12の最下端に到達したことが検知可能となる。
【0039】
図3(b)は、電極部4の第1の電極11と第2の電極12と水3が接触している場合を表す図である。外部に露出している第1の電極11と第2の電極12は、水平方向に延びている。水3が物理的に連続しつつ、第1の電極11及び第2の電極12と接触することで、水3が、壁1b又は壁2bの壁面に沿って垂れていることを検知することが可能となる。
【0040】
本発明によれば、電極を備え、シート状又はフィルム状である電極部により、水槽の壁又は水槽のオーバーフロー槽の壁に設置して、表面の水を検知することができる。
【0041】
本発明によれば、電極が透明電極であり、電極が透明のシート上又は透明のフィルム上に施されたものであることにより、透明の水槽の壁に設置した場合の視認性の低下を防ぐことができる。
【0042】
本発明によれば、第1の電極及び第2の電極を備え、第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加した状態において、第1の電極と第2の電極との間で通電したことを検知することで、第1の電極及び第2の電極に水が接触したことを検知することができる。
【0043】
本発明によれば、電極部を、水槽の内側の壁又はオーバーフロー槽の内側の壁に、第1の電極と第2の電極とが水平方向において対向する位置となるように設置することで、水槽又はオーバーフロー槽の水が、所定の水位に到達したことを検知することができる。
【0044】
本発明によれば、電極部を、水槽の外側の壁又はオーバーフロー槽の外側の壁に、第1の電極と第2の電極とが重力方向において対向する位置となるように設置することで、水槽又はオーバーフロー槽の水が溢れたことを検知することができる。
【0045】
本発明によれば、電極部の表面の水を検知すると、所定の情報をコンピュータ装置へ送信することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 水槽
2 オーバーフロー槽
3 水
4 電極部
5 管理装置
6 通信装置
7 利用者端末
11 第1の電極
12 第2の電極
13 透明フィルム
14 絶縁層
図1
図2
図3