(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095892
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】スイッチャおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20240704BHJP
H04N 21/238 20110101ALI20240704BHJP
【FI】
H04N7/18 F
H04N21/238
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212865
(22)【出願日】2022-12-30
(71)【出願人】
【識別番号】322013720
【氏名又は名称】株式会社アルテックス
(74)【代理人】
【識別番号】100109689
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 結
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 公保
【テーマコード(参考)】
5C054
5C164
【Fターム(参考)】
5C054CF06
5C054CF08
5C054CH08
5C054DA09
5C054FE17
5C054FE22
5C054FE23
5C054HA18
5C164FA07
5C164UB21P
5C164UB41S
5C164UC27S
5C164YA21
(57)【要約】
【課題】映像が途切れない切り替えが可能な低負荷のスイッチャを提供する。
【解決手段】スイッチャは、複数のカメラそれぞれによって得られる映像データを取得するデータ取得部と、上記複数のカメラのうち映像データが再生(PLAY)状態である第1カメラについて当該映像データから映像信号を復元するデコーダと、上記複数のカメラのうち、上記第1カメラとは別の第2カメラについて上記映像データを一時停止(PAUSE)状態にする状態制御部と、上記第2カメラについて映像データを一時停止(PAUSE)状態から再生(PLAY)状態に変更することで上記デコーダに当該第2カメラの当該映像データから映像信号を復元させる映像切替部と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカメラそれぞれによって得られる映像データを取得するデータ取得部と、
前記複数のカメラのうちステータスが再生(PLAY)である第1カメラについて映像データから映像信号を復元するデコーダと、
前記複数のカメラのうち、前記第1カメラとは別の第2カメラについてステータスを一時停止(PAUSE)にする待機部と、
前記第2カメラについてステータスを一時停止(PAUSE)から再生(PLAY)に変更することで当該第2カメラの映像信号を前記デコーダに復元させる切替部と、
を備えることを特徴とするスイッチャ。
【請求項2】
前記待機部は、前記データ取得部が映像データを取得済みの第2カメラについて内部的にステータスを一時停止(PAUSE)にすることを特徴とする請求項1記載のスイッチャ。
【請求項3】
前記待機部は、前記第2カメラに指示を送ってステータスを一時停止(PAUSE)にすることを特徴とする請求項1記載のスイッチャ。
【請求項4】
前記切替部および前記待機部は、前記複数のカメラについて予め決められた順序で順次にステータスを変更することを特徴とする請求項1記載のスイッチャ。
【請求項5】
前記複数のカメラのうち、操作者の操作によって選択された第3カメラについてステータスを再生(PLAY)にして前記デコーダに当該第3カメラの映像信号を復元させる選択部と、
前記第3カメラとしてステータスが停止(STOP)のカメラが選択された場合、選択時に前記デコーダが復元していた映像信号の画像をキャプチャし、キャプチャ画像を表す映像信号を、当該第3カメラについて復元された映像信号が得られる迄出力するキャプチャ部と、
を更に備えることを特徴とする請求項1記載のスイッチャ。
【請求項6】
情報処理装置を、請求項1から5のいずれか1項に記載のスイッチャにおける各要素として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチャおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のカメラで映像(動画)を撮影するシステムにおいて、表示や録画のために映像(もしくはカメラ)を選択するスイッチャが用いられている。防犯システムなどにおいては、多数のカメラで撮影が行われ、表示対象や録画対象として複数(例えば4面や16面)の映像が選択される場合もある。スイッチャにおいては、表示対象や録画対象の映像が切り替えられる際に素早い切替が求められる。
【0003】
例えば特許文献1には、映像を切り替えても映像がとぎれることのないシステムとして、複数のデコーダを備えたシステムが提案されている。特許文献1のシステムは、一方のデコーダで復元した映像信号をモニタに入力して表示している間に、他のデコーダを用いて他のカメラについて映像信号を復元する。そして、表示対象のカメラを、当該他のカメラに切り替えることで途切れのない映像他のカメラに切り替えを実現する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の技術では、例えば16面表示から別の16台分のカメラ映像に切り替える場合、合計で32台分のカメラの映像信号をデコーダで同時並行に復元する必要があるが、デコーダによる負荷が大きくてスイッチャのリソースが不足する。
そこで、本発明は、映像が途切れない切り替えが可能な低負荷のスイッチャを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のスイッチャは、複数のカメラそれぞれによって得られる映像データを取得するデータ取得部と、上記複数のカメラのうちステータスが再生(PLAY)である第1カメラについて映像データから映像信号を復元するデコーダと、上記複数のカメラのうち、上記第1カメラとは別の第2カメラについてステータスを一時停止(PAUSE)にする待機部と、上記第2カメラについてステータスを一時停止(PAUSE)から再生(PLAY)に変更することで当該第2カメラの映像信号を前記デコーダに復元させる切替部と、を備える。
【0007】
このようなスイッチャによれば、第1カメラから第2カメラへの映像切り替えにおいて映像が途切れないのでユーザビリティが高い。また、第2カメラはデコーダに負荷を掛けないため、待機中の映像データをデコードする従来技術に較べて低負荷となり、低コストのスイッチャでも実現可能となる。
【0008】
上記スイッチャにおいて、上記待機部は、上記データ取得部が映像データを取得済みの第2カメラについて内部的にステータスを一時停止(PAUSE)にすることが好ましい。内部的な処理で一時停止状態とする場合には、一時停止機能を有さないカメラについても適用が可能となる。
【0009】
また、上記スイッチャにおいて、上記待機部は、上記第2カメラに指示を送ってステータスを一時停止(PAUSE)にすることも好ましい。第2カメラに指示を送って一時停止状態とする場合には、カメラからスイッチャに送られる映像データのトラフィックが低減されてネットワーク帯域などの占有が抑制される。
【0010】
また、上記スイッチャにおいて、上記切替部および上記待機部は、上記複数のカメラについて予め決められた順序で順次にステータスを変更することが望ましい。このような切替部および待機部により、映像の自動切り替えが実現される。
また、上記スイッチャは、上記複数のカメラのうち、操作者の操作によって選択された第3カメラについてステータスを再生(PLAY)にして前記デコーダに当該第3カメラの映像信号を復元させる選択部と、上記第3カメラとしてステータスが停止(STOP)のカメラが選択された場合、選択時に上記デコーダが復元していた映像信号の画像をキャプチャし、キャプチャ画像を表す映像信号を、当該第3カメラについて復元された映像信号が得られる迄出力するキャプチャ部と、を更に備えることが望ましい。ユーザ操作で映像が選択される場合、停止状態のカメラが選択されて映像信号の復元にタイムラグを生じる虞があるが、キャプチャ画像が出力されることで見た目上の途切れ(黒画表示)を抑制し、ユーザのストレスを軽減することが出来る。
【0011】
本発明のプログラムは、情報処理装置を、いずれかの上記スイッチャにおける各要素として機能させる。このプログラムによれば、組み込みコンピュータなどの利用で上記スイッチャを容易に実現することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、映像が途切れない切り替えが可能な低負荷のスイッチャが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】スイッチャの一実施形態を備えた撮影システムの構成を示す構成図である。
【
図2】スイッチャの機能構造を表す機能ブロック図である。
【
図3】自動選択による映像表示の一例を示す図である。
【
図4】チャンネルの自動選択処理を示すフローチャートである。
【
図5】再生ブロックの制御処理を示すフローチャートである。
【
図6】チャンネルのマニュアル選択処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について、以下図面を参照して説明する。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明のスイッチャおよびプログラムの実施形態を詳細に説明する。但し、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするため、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。また、先に説明した図に記載の要素については、後の図の説明において適宜に参照する場合がある。
【0015】
図1は、スイッチャの一実施形態を備えた撮影システムの構成を示す構成図である。
撮影システム100は、複数のIP(Internet Protocol)カメラ101と、イーサネット(登録商標)ハブ103と、レコーダ104と、リモートコントローラ105と、スイッチャ200と、モニタ106とを備えている。撮影システム100には、その他のカメラ等102が接続されてもよい。
【0016】
IPカメラ101は、ネットワークカメラとも称されるカメラであり、個別のIPアドレスを有してネットワーク(ここでは一例としてイーサネット)に接続される。IPカメラ101は、インターネットなどに接続されてもよい。IPカメラ101は撮影した映像を映像データとして出力する。IPカメラ101からの映像データは、一例として、H.264やH.265というMPEG規格のデータである。
【0017】
イーサネットハブ103は、IPカメラ101、レコーダ104、リモートコントローラ105およびスイッチャ200を相互に接続してイーサネットを形成する。当該イーサネットには、最大で256台のIPカメラ101が接続可能である。なお、イーサネットに接続されるIPカメラ101としては複数機種のIPカメラ101が混在しても良い。
【0018】
レコーダ104は、イーサネット経由でIPカメラ101から映像データを取得して録画する。
リモートコントローラ105は、イーサネット経由でIPカメラ101に接続され、ユーザの操作に従ってIPカメラ101の向きなどを遠隔制御する。
【0019】
スイッチャ200は、イーサネット経由でIPカメラ101から例えばMPEG規格の映像データを取得し、映像信号として例えばHDMI(登録商標)信号を復元してモニタ106に入力する。また、スイッチャ200は、イーサネットに接続された複数のIPカメラ101から、表示に用いられる複数(ここでは一例として4つ)のIPカメラ101を選択する。スイッチャ200は、レコーダ104で映像が録画されるIPカメラ101を選択することもできる。
【0020】
スイッチャ200には組み込みコンピュータが搭載されていて、アプリケーションソフトのインストールにより内部機能が構築される。スイッチャ200は、本発明のスイッチャの一実施形態に相当する。また、スイッチャ200にインストールされるアプリケーションソフトは、本発明のプログラムの一実施形態に相当する。
【0021】
スイッチャ200は、内部機能によってIPカメラ101を自動選択することができるとともに、スイッチャ200の前面に設けられた操作ボタンなどの操作に従ってIPカメラ101をマニュアル選択することもできる。
モニタ106は、スイッチャ200で選択された複数のIPカメラ101についてスイッチャ200が復元した映像信号を受け取って表示画面300上に複数の映像を表示する。
【0022】
図2は、スイッチャの機能構造を表す機能ブロック図である。
スイッチャ200は、機能構造として、再生アプリ201と、再生情報テーブル202と、イーサネットの入力端子203と、イーサネットのPHY(Physical Layer)チップ204と、マルチプレクサ(MUX:MUltipleXer)205と、HDMIの出力端子206と、再生ブロック210とを備えている。
【0023】
入力端子203には、イーサネットハブ103から延びたケーブルが接続される。PHYチップ204は、入力端子203から入力される電気信号を受信し、スイッチャ200内にデジタルデータとして取り込む。
再生ブロック210は、再生アプリ201によって生成・破棄される機能であり、各再生ブロック210は、対応する1つのIPカメラ101から送信されてきた映像データを映像信号に復元する。
【0024】
マルチプレクサ205は、複数の再生ブロック210で得られる複数の映像信号を統合して、それらの映像信号が表す複数の映像をモニタ106の画面に並べて表示するためのHDMI信号を生成する。HDMIの出力端子206は、マルチプレクサ205で生成されたHDMI信号をモニタ106へと出力する。
【0025】
再生情報テーブル202には、イーサネットハブ103に接続された最大で256台のIPカメラ101についてURIが登録される。登録されたIPカメラ101、および当該IPカメラ101から得られる映像は、チャンネルとして管理される。再生情報テーブル202には、モニタ106の画面に表示される4つの映像のチャンネルも登録される。表示対象のチャンネルについては再生(PLAY)のステータスで登録される。
【0026】
また、再生情報テーブル202には、モニタ106の画面に表示中の映像の次に表示が予定されている4つの映像のチャンネルも登録される。表示予定のチャンネルについては一時停止(PAUSE)のステータスで登録される。
なお、再生情報テーブル202にURIが登録されている最大で256台のIPカメラ101のうち、表示対象でも無く、表示予定でもない残りのIPカメラ101(チャンネル)は停止(STOP)のステータスで登録される。
【0027】
再生アプリ201は、再生情報テーブル202に登録されている情報を参照して、必要な再生ブロック210の生成と、不要な再生ブロック210の破棄を行う。また、再生アプリ201は、映像(チャンネル)の自動選択のため、再生情報テーブル202に登録されている表示対象のチャンネルと表示予定のチャンネルとを、一定のインターバル時間毎に書き換える。また、再生アプリ201は、ユーザによる操作部の操作でチャンネルが選択された場合、選択されたチャンネルを表示対象などとして再生情報テーブル202に登録する。
【0028】
各再生ブロック210は、判定部211と、抽出部212と、解析部213と、復元部214と、出力部215とを備えている。
判定部211は、PHYチップ204によって取り込まれたデジタルデータから、RTSP(Real Time Streaming Protocol)ソースを判定し、再生ブロック210に対応したIPカメラ101からの映像ストリームを再生ブロック210に取り込む。
【0029】
抽出部212は、映像ストリームからRTPパケットを抽出する。解析部213は、RTPパケットについて構文解析を行い、RTPパケットのペイロード部に載っている映像データを復元部214へ送出する。
但し、解析部213は、再生アプリ201によりIPカメラ101のステータスとして、再生(PLAY)または一時停止(PAUSE)を指定される。そして、再生(PLAY)ステータスの場合、抽出部212は、映像ストリームの進行に伴って、連続的に、構文解析後のデータを復元部214へと送出する。一方、一時停止(PAUSE)ステータスの場合、解析部213は、データの先頭の1画面分だけ構文解析を行って解析後のデータを復元部214へ送出し、その後は構文解析を停止して待機状態となる。このため解析部213に一時停止(PAUSE)が指定された再生ブロック210はスイッチャ200のリソースへの負荷が小さい。
【0030】
復元部214は、例えばH.264やH.265というMPEG規格の映像データから、例えばHDMI信号などの映像信号を復元する。
出力部215は、復元された映像信号を出力する。映像信号の出力に際して出力部215は、モニタ106の画面上における映像の表示位置やサイズに応じて映像信号を調整して出力する。なお、一時停止(PAUSE)ステータスの場合、出力部215は、1画面分の映像信号をキャプチャ画面の信号として出力する。
【0031】
図3は、自動選択による映像表示の一例を示す図である。
ここでは、一例として、A~Jの10台のIPカメラ101について自動的に選択が切り替わってモニタ106の表示画面300に映像が表示される様子が模式的に示されている。
10台のIPカメラ101のうちAのIPカメラ101については、表示画面300の左上の領域301に映像が常に表示される。そして、B、C、Dの各IPカメラ101と、E、F、Gの各IPカメラ101と、H、I、Jの各IPカメラ101が順次に循環的に切り替えられ、各映像が表示画面300の各領域302、303、304に表示される。
【0032】
即ち、最初はAのIPカメラ101の映像が左上の領域301に表示され、BのIPカメラ101の映像が右上の領域302に表示され、CのIPカメラ101の映像が左下の領域303に表示され、DのIPカメラ101の映像が右下の領域304に表示される。このとき、E、F、Gの各IPカメラ101は一時停止(PAUSE)ステータスで待機状態になっている。
設定されたインターバル時間が経過すると、左上の領域301にはAのIPカメラ101の映像が継続して表示され、右上の領域302はEのIPカメラ101の映像に切り替わり、左下の領域303はFのカメラIP101の映像に切り替わり、右下の領域304はGのIPカメラ101の映像に切り替わる。映像の切り替わりに際しては、ユーザに知覚されるような映像の途切れは発生せず、映像が素早く切り替わる。また、H、I、Jの各IPカメラ101は一時停止(PAUSE)ステータスで待機状態になる。
【0033】
インターバル時間が更に経過すると、左上の領域301にはAのIPカメラ101の映像が継続して表示され、右上の領域302はHのIPカメラ101の映像に切り替わり、左下の領域303はIのIPカメラ101の映像に切り替わり、右下の領域304はJのIPカメラ101の映像に切り替わる。そして、B、C、Dの各IPカメラ101は一時停止(PAUSE)ステータスで待機状態になる。
インターバル時間が更に経過すると、最初の表示と同様に、AのIPカメラ101の映像が左上の領域301に表示され、BのIPカメラ101の映像が右上の領域302に表示され、CのIPカメラ101の映像が左下の領域303に表示され、DのIPカメラ101の映像が右下の領域304に表示される。
【0034】
図3に示す例では、上記説明した映像表示と切り替わりが循環的に繰り返される。
このような映像表示を実現する再生アプリ201の処理動作について、フローチャートを参照して説明する。
【0035】
図4は、チャンネルの自動選択処理を示すフローチャートである。
図4の処理は、スイッチャ200の電源がオンになると開始され、ステップS101では、IPカメラ101の自動選択について初期設定が行われる。初期設定としては、例えば、順次に表示対象となる複数のIPカメラ101の指定、各IPカメラ101の切り替え順および切替のインターバル時間が再生アプリ201に設定される。また、初期設定では、最初に映像が表示されるIPカメラ101が再生情報テーブル202に表示対象のチャンネルとして登録され、次に映像が表示されるIPカメラ101が再生情報テーブル202に表示予定のチャンネルとして登録される。
【0036】
なお、初期設定における設定内容は、手動操作によって入力されてもよいし、スイッチャ200内の記憶部から読み込まれてもよい。
初期設定の後、処理はステップS102に進み、設定されたインターバル時間が経過するまで待機状態(S102:No)となる。そして、インターバル時間が経過する(S102:Yes)と、処理はステップS103に進み、再生情報テーブル202の登録内容が変更される。
【0037】
即ち、映像が表示中のチャンネルのうち映像表示が終了されるチャンネルについてはステータスが再生(PLAY)から停止(STOP)に変更され、ステータスが一時停止(PAUSE)に設定されていたチャンネルについては再生(PLAY)ステータスに変更され、次に表示が予定されるチャンネルについてはステータスが停止(STOP)から一時停止(PAUSE)に変更される。
【0038】
その後、ステップS102とステップS103が繰り返し実行されることで、初期設定で設定された切り替え順で順次にチャンネルが切り替えられる。
図5は、再生ブロックの制御処理を示すフローチャートである。
【0039】
図5の処理も、スイッチャ200の電源がオンになると開始され、ステップS201では再生情報テーブル202の登録内容が参照される。その後、ステップS202では、再生状態のステータスに変更があるか確認される。
再生状態のステータスに変更がある場合(S202:Yes)、処理はステップS203に進み、必要に応じて再生ブロック210の生成と破棄が行われる。即ち、ステータスが停止(STOP)から、再生(PLAY)および一時停止(PAUSE)のいずれかに変更されたチャンネルについては、対応する再生ブロック210が生成される。また、ステータスが再生(PLAY)および一時停止(PAUSE)のいずれかから停止(STOP)に変更されたチャンネルについては、対応する再生ブロック210が破棄される。
【0040】
再生ブロック210の生成と破棄の後、処理はステップS204に進み、各再生ブロック210に対してステータスと表示位置が指定される。即ち、生成された再生ブロック210および破棄されていない再生ブロック210に対し、ステータスとして再生(PLAY)もしくは一時停止(PAUSE)が指定される。また、表示位置としては、例えば
図3に示す例であれば、4つの領域301~304のいずれかが指定される。
上述したように、ステータスとして一時停止(PAUSE)が指定された再生ブロック210は、映像信号の復元が行われないのでスイッチャ200のリソースへの負荷が小さい。従って、十分な数の再生ブロック210を一時停止(PAUSE)ステータスで待機させることができる。
本実施形態では、IPカメラ101にステータスの指示を送るのではなく、内部的にステータスを指定し、内部的に処理している。これにより、一時停止(PAUSE)の機能を有さないIPカメラ101についても一時停止(PAUSE)のステータスが実現される。
但し、ステータスは、イーサネットなどを経由してIPカメラ101に直接指示されてもよい。この場合、IPカメラ101では映像データの出力が行われなくなるので、イーサネットなどにおけるトラフィック量が抑制され、ネットワーク帯域などの占有が抑制される。
【0041】
ステップS204の処理では、表示予定から表示対象になったチャンネルに対応する再生ブロック210のステータスが、一時停止(PAUSE)から再生(PLAY)に変更される。この結果、当該再生ブロック210では、解析部213による構文解析が直ちに開始され、チャンネルの映像が速やかに表示される。
【0042】
その後、処理はステップS205に進み、各再生ブロック210からの映像信号がマルチプレクサ205によって統合されてモニタ106へと出力される。そして、処理はステップS201に戻る。
なお、ステップS202で再生状態のステータスに変更が無い場合(S202:No)、各再生ブロック210は現状維持となり、ステップS203、S204がスキップされて処理はステップS205に進む。
【0043】
本実施形態のスイッチャ200では、一例として、上記説明したチャンネルの自動選択が実行されている場合であっても、ユーザによる操作ボタンなどの操作で表示対象のチャンネル(IPカメラ101)が選択されるとマニュアル選択に切り替わる。
【0044】
図6は、チャンネルのマニュアル選択処理を示すフローチャートである。
図6に示すマニュアル選択処理は、スイッチャ200の電源がオンになると開始され、
図4に示す自動選択処理と並行で実行される。
ステップS301では、ユーザによるカメラ選択の操作が生じるまで待機状態(S301:No)となる。そして、カメラ選択の操作が行われると(S301:Yes)、処理がステップS302に進み、
図4に示す自動選択処理が中断される。その後、処理はステップS303に進み、再生情報テーブル202の登録内容が、ユーザの操作に従って変更される。
【0045】
即ち、ユーザの操作で表示終了となったチャンネルについては、再生(PLAY)および一時停止(PAUSE)のステータスが停止(STOP)ステータスに変更される。また、ユーザの操作で表示対象となったチャンネルについては、一時停止(PAUSE)および停止(STOP)のステータスが再生(PLAY)ステータスに変更される。また、ユーザの操作で次の表示候補となったチャンネルについては、再生(PLAY)および停止(STOP)のステータスが一時停止(PAUSE)ステータスに変更される。
【0046】
このような登録内容の変更に伴って、
図5に示す制御処理で再生ブロック210が生成・廃棄されるとともに、表示対象などが変更される。
再生情報テーブル202の登録内容変更後は、処理がステップS304に進み、ステータスが停止(STOP)から再生(PLAY)に、一時停止(PAUSE)を経ずに変更されたチャンネルが有るか判定される。この場合、当該チャンネルでは、再生ブロック210が生成されて映像信号が出力されるまでに時間が掛かり、ユーザが知覚できる程度に映像が途切れる虞がある。
【0047】
そのため、上記チャンネルが有る場合(S304:Yes)、ステップS305で、当該チャンネルの映像が表示される領域301~304に映像が表示中のチャンネルについて、ステータスが一時停止(PAUSE)に変更される。これにより、表示中の映像がキャプチャされ、再生(PLAY)のチャンネルから映像信号が出力されるまでキャプチャ画像が表示されることになる。
【0048】
従って、映像の途切れる時間がキャプチャ画像で埋められて見た目上の途切れ(黒画表示)が抑制されるので、ユーザのストレスが軽減されてユーザビリティが向上する。
停止(STOP)から再生(PLAY)に、一時停止(PAUSE)を経ずに変更されたチャンネルが無い場合(S304:No)、ステップS305はスキップされる。
【0049】
その後、処理はステップS306に進み、マニュアル選択処理を終了させる指示の操作がユーザによって行われたか否かが判定される。終了指示の操作が行われた場合(S306:Yes)、ステップS308で
図4に示す自動選択処理が再開され、処理はステップS301に戻る。
【0050】
終了指示の操作が行われない場合(S306:No)、ステップS307で、ユーザによる別のカメラ選択の操作が行われたか判定される。カメラ選択の操作も行われない場合(S307:No)、処理はステップS306に戻る。一方、別のカメラ選択の操作が行われた場合(S307:Yes)、処理はステップS303に戻る。
【0051】
以上で説明した処理により、本実施形態のスイッチャ200では、リソースの負荷は低負荷でありながらも、映像の途切れない切り替えが可能となる。
なお、上述した実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0052】
なお、上記では、チャンネルの自動選択において、次に表示が予定されている3つのチャンネルが一時停止(PAUSE)ステータスで待機されるが、一時停止(PAUSE)での待機はリソースの負荷が小さいため、より多くのチャンネルが一時停止(PAUSE)で待機されてもよい。例えば、自動選択で予定されている上述した10のチャンネルのうち、表示対象の4つを除いた6つのチャンネルがすべて一時停止(PAUSE)で待機されてもよい。あるいは、最大で256台のIPカメラ101(チャンネル)が1ページあたり16台で16ページとして管理されている場合、1ページ分の16チャンネルのうち、表示対象以外のチャンネルがすべて一時停止(PAUSE)で待機されてもよい。
【符号の説明】
【0053】
100……撮影システム、 101……IPカメラ、 103……イーサネットハブ、
104……レコーダ、 105……リモートコントローラ、 200……スイッチャ、
201……再生アプリ、 202……再生情報テーブル、 203……入力端子、
204……PHYチップ、 205……マルチプレクサ、 206……出力端子、
210……再生ブロック、 211……判定部、 212……抽出部、
213……解析部、 214……復元部、 215……出力部、 300……表示画面