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特開2024-95902氷片搬送設備および氷片搬送設備向けシュートダクト
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095902
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】氷片搬送設備および氷片搬送設備向けシュートダクト
(51)【国際特許分類】
   B65G 11/00 20060101AFI20240704BHJP
   F25C 5/20 20180101ALI20240704BHJP
   F25C 3/04 20060101ALI20240704BHJP
   G01N 17/00 20060101ALN20240704BHJP
   G01M 17/007 20060101ALN20240704BHJP
【FI】
B65G11/00 B
F25C5/20 Z
F25C3/04
G01N17/00
G01M17/007 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212877
(22)【出願日】2022-12-31
(71)【出願人】
【識別番号】391007242
【氏名又は名称】三菱重工冷熱株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102738
【弁理士】
【氏名又は名称】岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】志村 孝二
【テーマコード(参考)】
2G050
3F011
【Fターム(参考)】
2G050AA07
2G050CA10
2G050DA02
2G050EA05
2G050EA10
3F011AA07
3F011BA01
3F011BA10
3F011BC08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】氷片搬送設備、搬送される氷片が利用される環境試験設備の運転安定性を向上することが可能な氷片搬送設備、氷片搬送設備向けシュートダクトを提供する。
【解決手段】一次側搬送部18の排出口16と二次側搬送部30の上部流入口26との間に設けられるシュートダクト100とを有し、排出口16に対向する流入開口32と、上部流入口26に対向する流出開口34とを有する中空体から構成され、該中空体は、前記流入開口32から前記流出開口34に向かって内部で氷片Iが搬送される方向に対して傾斜する傾斜板を有し、傾斜板は、氷片Iの搬送方向下流側に、搬送方向に交差する枢軸40を有し、枢軸40を中心として、中空体形成位置と、逃げ位置との間で揺動可能であり、中空体の開口は、搬送方向下流に向かって拡大するように構成されている、ことを特徴とする、氷片搬送設備10。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管内で排出口に向かって氷片を搬送する一次側搬送部と、
内部スペースにおいて、上部流入口から下部流出口に向かって、氷片を搬送する二次側搬送部と、
前記一次側搬送部の前記排出口と前記二次側搬送部の前記上部流入口との間に設けられるシュートダクトとを有し、
該シュートダクトは、前記排出口に対向する流入開口と、前記上部流入口に対向する流出開口とを有する中空体から構成され、
該中空体は、前記流入開口から前記流出開口に向かって内部で氷片が搬送される方向に対して傾斜する傾斜板を有し、
該傾斜板は、氷片の搬送方向下流側に、搬送方向に交差する枢軸を有し、該枢軸を中心として、中空体形成位置と、逃げ位置との間で揺動可能であり、
該中空体の開口は、搬送方向下流に向かって拡大するように構成されている、
ことを特徴とする、氷片搬送設備。
【請求項2】
前記傾斜板は、一対の互いに対向する構成である、請求項1に記載の氷片搬送設備。
【請求項3】
前記一次側搬送部は、管内のスクリューフィーダーの管の長手方向を中心とする回転により、管内で排出口に向かって氷片を搬送する、請求項1に記載の氷片搬送設備。
【請求項4】
前記二次側搬送部は、ロータリーフィーダーを有し、縦向きケーシング内で、横向き回転軸を中心に、互いに周方向に間隔を隔てて配置された、複数の羽根の回転により、隣接するローターポケットを介して、上部流入口から下部流出口に向かって、氷片を搬送する、請求項1または2に記載の氷片搬送設備。
【請求項5】
前記一次側搬送部は、氷片貯蔵庫からの氷片を搬送する、請求項1に記載の氷片搬送設備。
【請求項6】
前記二次側搬送部は、砕氷機に向けて氷片を搬送する、請求項1に記載の氷片搬送設備。
【請求項7】
砕氷機において氷片が氷粒に砕氷され、氷粒は、氷粒による人工雪を利用した環境試験に用いられる、請求項2に記載の氷片搬送設備。
【請求項8】
前記中空体は、一対の対向する台形状直立板を有し、前記一対の傾斜板はそれぞれ、一対の台形状直立板の対向する側辺間に構成される開口を覆うように設けられる、請求項2に記載の氷片搬送設備。
【請求項9】
前記中空体内部の氷片の搬送方向は、水平を除く斜め方向に上から下に向かう、請求項1に記載の氷片搬送設備。
【請求項10】
前記中空体の前記流入開口と、前記流出開口は、矩形状に形成される、請求項9に記載の氷片搬送設備。
【請求項11】
前記中空体は、前記流入開口が上部、前記流出開口が下部となるように配置され、前記一次側搬送部からの氷片は、前記中空体を上から下へ前記二次側搬送部へ搬送される、請求項10に記載の氷片搬送設備。
【請求項12】
前記一対の傾斜板はそれぞれ、鉛直線に対して10°ないし40°傾斜するように設定される、請求項2に記載の氷片搬送設備。
【請求項13】
前記中空体の底部には、前記流出開口のまわりに張り出しフランジが設けられる、請求項1に記載の氷片搬送設備。
【請求項14】
搬送される氷片の大きさは、50ミリ以下である、請求項1に記載の氷片搬送設備。
【請求項15】
前記中空体は、前記張り出しフランジ側に長さ調整可能な直胴部を有し、搬送される氷片の雪質、および/または搬送量に応じて、該直胴部の長さを調整する、請求項12に記載の氷片搬送設備。
【請求項16】
管内のスクリューフィーダーの管の長手方向を中心とする回転により、管内で排出口に向かって氷片を搬送する一次側搬送部の前記排出口と、縦向きケーシング内で、横向き回転軸を中心に、互いに周方向に間隔を隔てて配置された、複数の羽根の回転により、上部流入口から下部流出口に向かって、氷片を搬送する二次側搬送部の前記上部流入口との間に設けられるシュートダクトであって、
該シュートダクトは、前記排出口に対向する流入開口と、前記上部流入口に対向流出開口とを有する中空体から構成され、
該中空体は、一対の互いに対向する傾斜板を有し、
該一対の傾斜板はそれぞれ、氷片の搬送方向下流側に、搬送方向に交差する枢軸を有し、該枢軸を中心として、中空体形成位置と、逃げ位置との間で揺動可能であり、
該中空体の開口は、搬送方向下流に向かって拡大するように構成されている、
ことを特徴とする、氷片搬送設備向けシュートダクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、氷片搬送設備および氷片搬送設備向けシュートダクトに関し、より詳細には、氷片を一次側搬送部から二次側搬送部へシュートダクトを介して搬送する場合、二次側搬送部の氷片の詰まりが一次側搬送部に自動的に及ばないようにすることにより、氷片搬送設備、搬送される氷片が利用される環境試験設備の運転安定性を向上することが可能な氷片搬送設備および氷片搬送設備向けシュートダクトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、貯氷庫に貯氷された氷片を、砕氷機で氷粒として、氷粒の人工雪を利用した環境試験が種々行われている。
この場合、貯氷庫に貯氷された氷片を、砕氷機まで搬送する氷片搬送設備として、貯氷庫に貯氷された氷片を搬送する一次搬送部と、砕氷機まで搬送する二次搬送部とが、両者の間に介在するシュートダクトを介して、接続されている。
【0003】
より詳細には、氷片搬送設備は、管内のスクリューフィーダーの管の長手方向を中心とする回転により、管内で排出口に向かって氷片を搬送する一次側搬送部と、縦向きケーシング内で、横向き回転軸を中心に、互いに周方向に間隔を隔てて配置された、複数の羽根の回転により、上部流入口から下部流出口に向かって、氷片を搬送する二次側搬送部と、前記一次側搬送部の前記排出口と前記二次側搬送部の前記上部流入口との間に設けられるシュートダクトとを有し、該シュートダクトは、前記排出口に対向する流入開口と、前記上部流入口に対向する流出開口とを有する中空体から構成され、二次側搬送部の排出口から砕氷機に搬送するように構成している。
このような氷片搬送設備によれば、一次側搬送部からシュートダクトを介して二次側搬送部に向かって氷片を搬送することにより、たとえば、氷片を利用して環境試験に利用する場合において、シュートダクトの一次側搬送部の排出口に対向する流入開口を介して、中空体内部を氷片が通過して、上部流入口に対向する流出開口より、砕氷機に搬送することが可能である。
しかしながら、このような氷片搬送設備には、以下のような技術的問題点が存する。
【0004】
すなわち、搬送される氷片の詰まりが原因で、氷片搬送設備、ひいては、環境試験設備の運転の安定性が損なわれることがある点である。
より具体的には、二次側搬送部において氷片搬送の滞りが生じると、二次側搬送部の上部流入口に対向する流出開口から徐々に中空体内部に氷片まで堆積し、このような氷片の詰まりが一次側搬送部にまで及び、氷片搬送設備、ひいては、環境試験設備の運転停止を余儀なくされることがあり、場合により、一次側搬送部のスクリューコンベアの損傷に至ることがある。
この場合、内部において閉塞、圧縮された氷片の除去を伴う復旧には、それなりの時間を要し、だからといって、自然溶解には、長時間を要し、環境試験の中断自体は、コスト負担となる。
【0005】
この点、環境試験において、利用される氷粒による人工雪の特質、たとえば、水分含有率に応じて、閉塞する氷片同士の付着性は変動するところ、水分含有率の高い氷片の場合には、一次側搬送部のスクリューコンベアの損傷に至りやすいが、水分含有率の低い氷片の場合には、一次側搬送部のスクリューコンベアの損傷に至りにくく、このような搬送する氷片に応じて、氷片の閉塞による問題点の深刻さは、変わり得るし、環境試験において、人工雪をその時、その場で供給しなければならない場合と、そうでない場合とでも、変わり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上の技術的問題点に鑑み、本願発明の目的は、氷片を一次側搬送部から二次側搬送部へシュートダクトを介して搬送する場合、二次側搬送部の氷片の詰まりが一次側搬送部に自動的に及ばないようにすることにより、氷片搬送設備、搬送される氷片が利用される環境試験設備の運転安定性を向上することが可能な氷片搬送設備、氷片搬送設備向けシュートダクトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するために、本発明の氷片搬送設備は、
管内で排出口に向かって氷片を搬送する一次側搬送部と、
内部スペースにおいて、上部流入口から下部流出口に向かって、氷片を搬送する二次側搬送部と、
前記一次側搬送部の前記排出口と前記二次側搬送部の前記上部流入口との間に設けられるシュートダクトとを有し、
該シュートダクトは、前記排出口に対向する流入開口と、前記上部流入口に対向する流出開口とを有する中空体から構成され、
該中空体は、前記流入開口から前記流出開口に向かって内部で氷片が搬送される方向に対して傾斜する傾斜板を有し、
該傾斜板は、氷片の搬送方向下流側に、搬送方向に交差する枢軸を有し、該枢軸を中心として、中空体形成位置と、逃げ位置との間で揺動可能であり、
該中空体の開口は、搬送方向下流に向かって拡大するように構成されている。
【0008】
以上の構成を有する氷片搬送設備によれば、一次側搬送部からシュートダクトを介して二次側搬送部に向かって氷片を搬送することにより、たとえば、氷片を利用して環境試験に利用する場合において、シュートダクトの一次側搬送部の排出口に対向する流入開口を介して、中空体内部を氷片が通過するところ、中空体が有する傾斜板は、氷片の搬送方向下流側に、搬送方向に交差する枢軸を有し、枢軸を中心として、中空体形成位置と、逃げ位置との間で揺動可能であり、氷片の搬送方向下流側に、搬送方向に交差する枢軸を有し、該枢軸を中心として、中空体形成位置と、逃げ位置との間で揺動可能であり、中空体の開口は、搬送方向下流に向かって拡大するように構成されているので、二次側搬送部において氷片の滞りが生じない限り、傾斜板は、中空体形成位置に保持されている。
それに対して、二次側搬送部において氷片の滞りが生じると、二次側搬送部の上部流入口に対向する流出開口から徐々に中空体内部に氷片まで堆積し、それにより、内部の氷片が傾斜板を外側に向かって押し出すことにより、傾斜板を逃げ位置へ揺動させ、内部の溜まった氷片を外部に逃がし、外部に排出された氷片は自然に溶解し、一次側搬送部に氷片の詰まりが及ぶのを自動的に防止することが可能であり、氷片を一次側搬送部から二次側搬送部へシュートダクトを介して搬送する場合、二次側搬送部の氷片の詰まりが一次側搬送部に自動的に及ばないようにすることにより、氷片搬送設備、搬送される氷片が利用される環境試験設備の運転安定性を向上することが可能である。
【0009】
また、前記傾斜板は、一対の互いに対向する構成であるのがよい。
また、前記一次側搬送部は、管内のスクリューフィーダーの管の長手方向を中心とする回転により、管内で排出口に向かって氷片を搬送するのでもよい。
さらに、前記二次側搬送部は、ロータリーフィーダーを有し、縦向きケーシング内で、横向き回転軸を中心に、互いに周方向に間隔を隔てて配置された、複数の羽根の回転により、隣接するローターポケットを介して、上部流入口から下部流出口に向かって、氷片を搬送するのでもよい。
さらにまた、前記一次側搬送部は、氷片貯蔵庫からの氷片を搬送するのでもよい。
加えて、前記二次側搬送部は、砕氷機に向けて氷片を搬送するのがよい。
【0010】
また、砕氷機において氷片が氷粒に砕氷され、氷粒は、氷粒による人工雪を利用した環境試験に用いられるのがよい。
さらに、前記中空体は、一対の対向する台形状直立板を有し、前記一対の傾斜板はそれぞれ、一対の台形状直立板の対向する側辺間に構成される開口を覆うように設けられるのがよい。
さらにまた、前記中空体内部の氷片の搬送方向は、水平を除く斜め方向に上から下に向かうのでもよい。
加えて、前記中空体の前記流入開口と、前記流出開口は、矩形状に形成されるのでもよい。
【0011】
また、前記中空体は、前記流入開口が上部、前記流出開口が下部となるように配置され、前記一次側搬送部からの氷片は、前記中空体を上から下へ前記二次側搬送部へ搬送されるのでもよい。
さらに、前記一対の傾斜板はそれぞれ、鉛直線に対して10°ないし40°傾斜するように設定されるのがよい。
さらにまた、前記中空体の底部には、前記流出開口のまわりに張り出しフランジが設けられるのでもよい。
加えて、搬送される氷片の大きさは、50ミリ以下であるのがよい。
また、前記中空体は、前記張り出しフランジ側に長さ調整可能な直胴部を有し、搬送される氷片の雪質、および/または搬送量に応じて、該直胴部の長さを調整するのでもよい。
【0012】
以上の課題を解決するために、本発明の氷片搬送設備向けシュートダクトは、
管内のスクリューフィーダーの管の長手方向を中心とする回転により、管内で排出口に向かって氷片を搬送する一次側搬送部の前記排出口と、縦向きケーシング内で、横向き回転軸を中心に、互いに周方向に間隔を隔てて配置された、複数の羽根の回転により、上部流入口から下部流出口に向かって、氷片を搬送する二次側搬送部の前記上部流入口との間に設けられるシュートダクトであって、
該シュートダクトは、前記排出口に対向する流入開口と、前記上部流入口に対向流出開口とを有する中空体から構成され、
該中空体は、一対の互いに対向する傾斜板を有し、
該一対の傾斜板はそれぞれ、氷片の搬送方向下流側に、搬送方向に交差する枢軸を有し、該枢軸を中心として、中空体形成位置と、逃げ位置との間で揺動可能であり、
該中空体の開口は、搬送方向下流に向かって拡大するように構成されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
風洞設備を利用して走行模擬する静止車両に向けて、氷粒による人工雪を吹き付ける環境試験を例に、図面を参照しながら、本発明の氷片搬送設備の実施形態を以下に、詳細に説明する。
まず、環境試験設備について、説明する。
図1に示すように、環境試験設備は、薄氷雪片からなる人工雪を利用し、人工雪をその背後からの気流に乗せて飛雪を模擬して、試験供試体である車両Vに向かうように構成され、そのために、氷片搬送設備10と、風洞設備11とを有する。
【0014】
概略的には、環境試験設備は、風洞16内において、車両Vに向けて気流MFを発生しつつ、氷片搬送設備10から搬送される氷片により氷粒状の人工雪が車両Vに向けて水平方向に発生する気流MFにより、縮流洞314に向けて案内され、縮流洞314において速度が高められた、風洞16内で縮流洞314に向けて流れる気流MFにより、縮流洞314の吹き出し口316から吹雪として飛雪するようにしている。
【0015】
風洞16は、開放タイプの回流型であり、測定対象である車両Vを設置する( 開放型)測定室300と、第1~第4の4つの屈曲胴302、304、306、308(屈曲部)とを備えて平面視略長方形に形成されている。
送風機25で発生した気流MFは、第2拡散胴310、第3屈曲胴306、第4屈曲胴308、整流胴312、縮流胴314を経て、測定室300に開口する吹出し口316から測定室300に流入し、測定室300を介して、吹出し口316と受入れ口317とが対向配置されており、受入れ口317、第1屈曲胴302、第2屈曲胴304の順に流れるようになっている。
送風機25によって送風された気流MFは、いったん気流全体としての風速( 動圧) を低下させて中間胴部における圧力( 静圧) を上昇させた後、縮流胴314を通過させることで、測定するのに必要十分な風量( 風速)の気流MFを吹出し口316から測定室300に吹き出すことができるようにしている。
【0016】
これにより、後に説明するように、薄氷雪片が、測定室300内において、その背後からの気流MFに乗って車両Vに向かって飛雪として供給され、送風機25により気流MFの風速を調整することにより、静止車両Vでありながら走行車両Vを模擬できるようにしている。
また、雪環境試験用の回流型風洞16の場合、試験後の雪を分離回収するために、車両Vの下流に、別途雪捕集装置(図示せず)を設けているが、いずれにせよ、雪の重力落下あるいは慣性効果により雪を分離させるのに、車両Vの下流に、敢えて気流MFを整流させない領域を設けている。
【0017】
次に、図1ないし図3を参照して、氷片搬送設備10について、説明する。
氷片搬送設備10は、配管12内で排出口16に向かって氷片Iを搬送する一次側搬送部18と、上部流入口26から下部流出口28に向かって、氷片Iを搬送する二次側搬送部30と、一次側搬送部18の排出口16と二次側搬送部30の上部流入口26との間に設けられるシュートダクト100とにより概略構成される。
【0018】
一次側搬送部18は、氷片貯蔵庫Bからの氷片Iを搬送し、配管12内のスクリューフィーダー14の配管12の長手方向Xを中心とする回転により、配管12内で排出口16に向かって氷片Iを搬送する。
より具体的には、氷片貯蔵庫Bには、氷片Iが投入されており、氷片Iは貯蔵庫出口(図示せず)から配管12内に導かれ、配管12は排出口16を介してシュートダクト100に接続されている。
配管12内には、従来既知のスクリューフィーダー14が設けられている。スクリューフィーダー14は、スクリュー(図示せず)と、スクリュー軸(図示せず)と、スクリュー軸を回転駆動するモータ(図示せず)とから概略構成されている。
より詳細には、氷片を貯蔵する氷片貯蔵庫Bにおいて、氷片貯蔵庫Bの下部に、たとえば、トラフ(図示せず)を設け、トラフの内部に1軸又は複数軸のスクリューフィーダー14を設置し、スクリューフィーダー14は、駆動軸側ベアリング(図示せず)及び従動軸側(図示せず)によって支持され、駆動モーター(図示せず)による動力を駆動チェンホイル(図示せず)に伝達し、スクリューフィーダー14を回転させる駆動軸(図示せず)及び回転を支持する従動軸(図示せず)とによって構成される。スクリューフィーダー14の構成は、スクリュー軸を有し、軸の周面に軸方向に延在する螺旋状羽根を設け、羽根を設ける間隔は設計段階で適宜調整することができる。スクリューフィーダー14の場合、羽根の間隔を部分によって変えて設けるのもよい。間隔の調整により、氷片の搬送をより円滑に行うことが可能となる。スクリュー軸の大きさ、羽根の大きさ、羽根を付ける間隔、ピッチ、羽根の回転速度等については、適宜調整すればよい。
変形例として、 スクリューフィーダー14の構成として、スクリュー軸を有さず、羽根のみから構成されているものでもよく、この場合、スクリュー軸がないことから、搬送量を増やすことができる。羽根の大きさ、また、羽根を付ける間隔、羽根を付ける向き等については、同様に、適宜適宜調整すればよい。
【0019】
シュートダクト100は、排出口16に対向する流入開口32と、上部流入口26に対向する流出開口34とを有する中空体36から構成される。
シュートダクト100と一次側搬送部18および二次側搬送部30それぞれとの位置関係について、シュートダクト100の流入口32と一次側搬送部18の排出口16、シュートダクト100の流出口34と二次側搬送部30の上部流入口26、いずれも互いに間隔なく連通接続される。
中空体36の流入開口32と、流出開口34は、矩形状に形成され、中空体36の開口は、搬送方向下流に向かって拡大するように構成されている。
中空体36は、流入開口32が上部、流出開口34が下部となるように配置され、一次側搬送部18からの氷片Iは、中空体36を上から下へ二次側搬送部30へ搬送される。
中空体36は、一対の互いに対向する傾斜板38と、一対の対向する台形状直立板42とを有し、一対の傾斜板38はそれぞれ、一対の台形状直立板42の対向する側辺44間に構成される開口を覆うように設けられる。
図3に示すように、一対の傾斜板38はそれぞれ、氷片Iの搬送方向下流側に、搬送方向に交差する枢軸40を有し、枢軸40を中心として、中空体形成位置S1と、逃げ位置S2との間で揺動可能である。逃げ位置S2において、一対の傾斜板38それぞれは、完全に外側に倒れ込むように構成されている。
これにより、通常搬送の際、一次側搬送部18からの氷片が、中空体36の内部を上から下に、流入開口32から流出口34へ向かって通過し、二次側搬送部30へ流れ込む際、一対の互いに対向する傾斜板38は、中空体形成位置S1に保持され、後述するように、一次側搬送部18内部での氷片の詰まりの異常時の際は、逃げ位置S2へ自動的に揺動するようにしている。
【0020】
一対の傾斜板38はそれぞれ、鉛直線に対して10°ないし40°傾斜(図4のθ)するように設定されるのが好ましい。10°以下であると、通常搬送中、シュートダクト100の振動により、一対の傾斜板38が不意に外側に倒れ込む恐れがあり、40°以上であると、異常時に、一対の傾斜板38が逃げ位置S2へ揺動しない恐れがある。
中空体36の底部には、流出開口34のまわりに張り出しフランジ48が設けられ、張り出しフランジ48を介して、二次搬送部30に連結される。
搬送される氷片Iの大きさは、50ミリ以下が好ましく、この場合の大きさとは、氷片Iの外形上大きい長さである。
変形例として、中空体36は、張り出しフランジ側に長さ調整可能な直胴部を有し、搬送される氷片Iの雪質、および/または搬送量に応じて、直胴部の長さを調整するのでもよい。
なお、シュートダクト100の材質は、内部で氷片Iを搬送するのに支障がない限り、任意であるが、たとえば、金属製、軽量のアルミ製が好ましく、一対の台形状直立板42、および一対の傾斜板38それぞれの厚みは、特に、一次搬送部18の氷片Iが詰まり、中空体36の内部に氷片Iが及び、中空体36の内部から氷片Iの外圧が付加される際、変形しない程度の厚みであるのが好ましい。
【0021】
次に、二次搬送部について、二次側搬送部30は、砕氷機に向けて氷片Iを搬送し、砕氷機において氷片Iが氷粒に砕氷され、氷粒は、氷粒による人工雪を利用した環境試験に用いられる。
図6に示すように、砕氷機26は、主に、上部に配置されたロータリーフィーダー102と、下部に配置された一対の破砕ドラム104とからなり、シュートダクト100を介して供給された氷片Iをロータリーフィーダー102により分量化して一対の破砕ドラム104に供給し、一対の破砕ドラム104により破砕して、所定粒径の氷粒として雪供給管40に供給するようにしている。
【0022】
ロータリーフィーダー102は、従来既知のタイプであり、その詳しい説明は省略するが、ロータリーシャフト108が水平に配置され、上方から投入される粉粒化すべき材料を分量化して回転式に下方に供給するように構成される。
より詳細には、ロータリーフィーダー102は、複数枚の回転羽根110を放射状に配設したロータがケーシング104内で回転する際、粉粒体状の氷片Iを隣設する羽根間にためて回転し、下側の排出口から落とすようにしている。より具体的には、ロータにおいて、複数の回転羽根110を、ケーシング104を介して支持されたロータリーシャフトを中心に放射状に配設し、隣設する回転羽根110の間に氷片Iを詰めるためのロータポケット111を形成しており、たとえば、駆動モータ(図示せず)によりロータリーシャフトを駆動するようしている。
【0023】
より具体的には、砕氷機26は 、ロータリーフィーダー102と、ロータリーフィーダー102の下方に配置された一対の破砕ドラム104と、ロータリーフィーダー102と一対の破砕ドラム104とを内部 に設けたケーシング106と、一対の破砕ドラム104の下方に配置される圧送管107とから概略構成されており、圧送管107は、雪供給管40に連通接続されている。
なお、圧送管107の一端は、冷却器30を介してブロワ28に接続され、ブロワ28によって発生し、冷却器30によって冷却された搬送気流が砕氷片Iされた氷粒を圧送管107内部において、搬送するようにしている。
【0024】
ロータリーフィーダー102は、従来既知のタイプであり、その詳しい説明は省略するが 、ロータリーシャフト108が水平に配置され、上方から投入される粉粒化すべき材料を 分量化して回転式に下方に供給するように構成される。より詳細には、ロータリーフィーダー102は、複数枚の回転羽根110を放射状に配設したロータがケーシング106内で回転する際、シュートダクト100から落下する氷片Iを隣設する羽根間にためて回転し、下側の流出開口34から落とすようにしている。
より具体的には、ロータにおいて、複数の回転羽根110を、ケーシング106を介して支持された ロータリーシャフト108を中心に放射状に配設し、隣設する回転羽根110の間に粉粒体を詰めるためのロータポケット111を形成しており、たとえば、駆動モータ(図示せず)によりロータリーシャフト108を駆動するようしている。
【0025】
一対の破砕ドラム104は、高速回転の破砕ドラム104Aと、低速回転の送りドラム104Bとを有し、それぞれのドラム軸線が水平かつ互いに平行となるように、互いの外周 面を対向させて所定の間隔を隔てて配置され、それぞれ上方から最狭部112に向かう向きに回転可能であるようにしている。一対の破砕ドラム104は、一対の破砕ドラム104の間の最狭部112より上のスペースに、ロータリーフィーダー102から供給される 粉粒化すべき材料を受けることが可能なように、ロータリーフィーダー102の下方に配置される。 さらに、一対の破砕ドラム104の間において、最狭部112の上方にスパイラル式振り分けローラー(図示せず)が設けられ、それにより、一対の破砕ドラム104の間の最狭 部112より上のスペースに受けられる氷片Iは、一対の破砕ドラム104のドラム軸線方向 に振り分けられるようにしている。
【0026】
砕氷機は、従来既知のタイプであり、両ドラムで氷片Iをクラッシュして人工雪とするようにしてあり、砕氷機のケーシング内に設けた一対のドラムについて、各ドラムの外周には、三角錐状の突歯が円周方向に形成された突歯列をドラムの回転軸線方向全体に亘って複数列形成してある。各ドラムは、たとえば、駆動モータ(図示せず)によって反対方向に回転させられ、ドラム間に落下させられた氷片Iを最狭部において破砕して人工雪を形成するようにしている。突歯は、三角錐の底面が二等辺三角形をなし、長辺からなる二等辺がドラム円周方向に、短辺がドラムの円周方向と直角をなすように、ドラムの外周面上に形成されている。特に、短辺と三角錐の頂点が形成する三角形状の切削面は、回転方向に対して例えば6°程度 後退させてドラムの外周面に形成されるのが好ましい。これらの三角錐形状の突歯が、ドラムの外周面上で連設されて突歯列を形成し、一方の破 砕ドラムにおいて、突歯列は、ドラムの回転軸線方向に互いに数ミリの間隔を開けて複数 列形成され、同様の構造をした送りドラムとで一対をなし、互いに反対方向に同期回転することでフレーク状氷片Iを砕氷片I化し、人工雪を生成する。なお、人工雪の大きさ、すなわち 砕氷片Iして形成される氷粒の大きさは、両ドラム間のクリアランスを調節することにより調整する。
【0027】
ケーシング106は、上部ハウジング部116、下部ハウジング部118および両ハウジング部を接続する中間ハウジング部120を有する。上部ハウジング部116は、水平方向に延びる円筒状であり、下部ハウジング部118は、それぞれ水平方向に延びる円筒が、互いの中心間距離をそれぞれの半径の和よりも小さい状態で連結されることにより構成 され、中間ハウジング部120は、上部ハウジング部116の円筒部の下開口と、下部ハウジング部118の双子状の円筒部の上開口との間を上下方向に延びる。上部ハウジング部116は、ロータリーフィーダー102の外周面との間に所定環状隙間122を形成するように、ロータリーフィーダー102を収納し、下部ハウジング部118は、一対の破砕ドラム104それぞれの最狭部112と反対側の外周面との間に所定隙 間を形成するように、一対の破砕ドラム104を収納し、中間ハウジング部120は、上 部ハウジング部116と下部ハウジング部118との間に、ロータリーフィーダー102より供給された粉粒化すべき材料を下方に案内するようにしている。
【0028】
上部ハウジング部116の上部には、粉粒化すべき材料を投入する流入開口32が設け られ、下部ハウジング部118の下部には、粉粒体を流出する流出開口34が設けられる。圧送管107は、流出開口34に連通するように、一対の破砕ドラム104の下方に配置され、圧送管107内において、粉粒体が気流により圧送されるようにしている。 粉粒化すべき材料は、氷片Iであり、一対の破砕ドラム104により破砕されて氷粒状の人工雪とされ、粉粒化すべき氷片Iは、流入開口32から連続的に投入され、粉粒体である氷粒は圧送管107 により連続的に圧送され、吹雪が連続的に吹き出されるようにしている。
圧送管107内の気流が流出開口34からケーシング106内に逆流することにより、破砕後の氷粒が上方に逆流しないように、中間ハウジング部120内の圧力を下部ハウジング部118内の圧力より高圧とするようにしている。そのための構成としては、圧送管107の流出開口34より上流側部位と中間ハウジング部120とを連通可能に接続する分岐管123をさらに有し、分岐管123には、昇圧ポンプ124が設けられ、それにより分岐管123により中間ハウジング部120内に送られる気流を圧送管107内 を流れる気流より高圧としている。
【0029】
図6において、B方向に流れる気流P2は、高圧気体流入口131がある中間ハウジング部120からロータリーフィーダー102を通過して流入開口32より逆流しようとする が、気流中に砕氷機によって形成された人工雪を含まないので、逆流しても不具合を生じ させるものでない。このようなB方向の流れをなるべく生じさせず、主流をA方向の下方 の流れとする場合には、昇圧された気流が中間ハウジング部120内において下方に向くように、分岐管123を中間ハウジング部120に対して接続すればよい。なお、破砕後の氷粒の上方への逆流を防止する観点からは、中間ハウジング部120内の 圧力を下部ハウジング部118内の圧力より同圧以上とすれば十分であり、必ずしも昇圧 ポンプ124を設ける必要はない。
【0030】
以上の構成を有する粉粒体の供給装置100による作用を以下に説明する。まず、流入開口32から投入された粉粒化すべき材料である氷片Iは、まずロータリーフィーダー102により分量化して回転式に下方に供給され、中間ハウジング部120を介 して、ロータリーフィーダー102の下方に配置された一対の破砕ドラム104の間の最狭部112より上のスペースに、受けられ、一対の破砕ドラム104の最狭部112を通過する際、破砕されて粉粒化されて氷粒となるとともに、下方に送られ、流出開口34より流出するようにしている。このとき、ロータリーフィーダー102を収納するケーシング106の上部ハウジング 部116とロータリーフィーダー102の外周面との間には、所定環状隙間122が形成され、一方一対の破砕ドラム104を収納するケーシング106の下部ハウジング部11と、一対の破砕ドラム104それぞれの最狭部112と反対側の外周面との間には、所 定隙間が形成されており、ロータリーフィーダー102および一対の破砕ドラム104を ケーシング106内で回転可能にしつつ、ロータリーフィーダー102および一対の破砕ドラム104それぞれの回転により、粉粒化すべき材料あるいは粉粒体が上方へ戻るのを抑制している。
【0031】
以上のように、二次側搬送部30においては、ロータリーフィーダー102によるポケットローター111による分量化された氷片Iの搬送、および一対の破砕ドラム104における粉粒化すべき材料あるいは粉粒体の上方への戻りの可能性があることから、一次搬送部18に比較すれば、氷片Iの搬送時の詰まりが起こりやすく、二次側搬送部30のこのような異常時の氷片Iの詰まりが、シュートダクト100を介して一次搬送部18に及ばないようにするのが肝要である。
【0032】
以上の構成を有する、雪環境試験に利用される氷片搬送設備10について、図4および図5を参照しながら、その作用を説明する。
まず、雪環境試験の試験目的に応じて、人工雪を構成する雪片の所望サイズおよび時間当たりの所望製造量を設定するとともに、走行模擬する車両Vの走行速度に応じて、風洞16内の気流MFの気流速度を設定する。
場合により、砕氷機26において、砕氷片Iして形成される氷粒の大きさを調整するのに、両砕氷片Iドラム104間のクリアランスを調節する。
次いで、氷片Iを搬送し、砕氷機26により砕氷片Iして氷粒状の人工雪として、車両Vに吹き付けて、雪環境試験を行う。
より詳細には、貯氷片I庫に貯氷片Iされた氷片Iを一次搬送部18によりスクリューフィーダー14の回転により搬送し、シュートダクト100を介して、二次搬送部30によりロータリーフィーダー24の回転により、砕氷機26に向けて搬送する。
図4に示すように、通常時は、一次搬送部18により搬送される氷片Iは、排出口16より、シュートダクト100の流入開口32に流下し、その際、中空体36の一対の傾斜板38はそれぞれ、中空体形成位置S1に保持され、氷片Iは中空体36内部を通過して、シュートダクト100の流出開口34より、二次搬送部30に向けて搬送される。
一方、図5に示すように、二次搬送部30において、搬送される氷片Iに滞りが発生し、閉塞が起こり、それがシュートダクトに及び、シュートダクトの中空体36の内部において、流出開口34から徐々に流入開口32に向けて、氷片Iが堆積すると、それにより、中空体36の一対の傾斜板38は、内部から押されて、枢軸40を中心として、中空体形成位置S1から外側への逃げ位置S2に揺動し、中空体36に開口が形成されることから、開口を通じて、内部の堆積する氷片Iは外部へ逃がされる。
この点、一次搬送部18において、従来のコンベア搬送によれば、氷片Iは連続的に搬送され、時間当たりの搬送量の変動が小さいのに対して、スクリューフィーダー14による搬送によれば、螺旋状スクリュー羽根の周方向の位置関係に応じて、氷片Iの時間当たりの搬送量の変動が不可避的に生じ、氷片Iが間欠的に搬送される一方、二次搬送部30において、ロータリーフィーダー24によれば、複数枚の回転羽根110を放射状に配設したロータがケーシング内で回転する際、シュートダクト100から落下する氷片Iを隣設する羽根110間小スペースにためて回転し、下側の流出開口34から排出するように構成されるので、氷片Iが連続的に搬送されるものの、一次搬送部18において、氷片Iの時間当たりの搬送量が小から大に急激に変動する際、二次搬送部において、羽根間小スペースでは吸収しきれず、氷片Iの詰まりが起こりやすい。
本発明は、シュートダクト100が介在する一次搬送部18と二次搬送部30とにおいて、一次搬送部18がスクリューフィーダー14による搬送で、二次搬送部30がロータリーフィーダー24による搬送である場合に特に起こりやすい技術的問題に有効であるといえる。
【0033】
これにより、二次搬送部30における氷片Iの閉塞が、一次搬送部18に及び、一次搬送部18内でも氷片Iの閉塞が生じ、搬送運転自体を停止せざるを得ない、場合により、スクリューフィーダー14の損傷が引き起こされるのを未然に防止することが可能となる。
なお、外部へ逃がされる氷片Iは、自然溶解させればよい。
搬送される氷片Iの雪質、たとえば、水分含有率、および/または搬送量に応じて、二次搬送部30における氷片Iの閉塞の起こりやすさは変動するところ、閉塞の起こりやすさを予測して、中空体36の直胴部の長さを予め調整してもよい。たとえば、氷片Iの水分含有率が高く、かつ、搬送量が高い場合には、閉塞が起こりやすいので、いわゆるバッファ領域として、中空体36の直胴部の長さを予め長めに調整するのでもよい。直胴部は、たとえば、内管と外管とが入れ子式に嵌合し、いずれかを他方に対して、搬送方向に移動可能にすればよい。
【0034】
以上の構成を有する氷片搬送設備10によれば、一次側搬送部からシュートダクトを介して二次側搬送部に向かって氷片Iを搬送することにより、たとえば、氷片Iを利用して環境試験に利用する場合において、シュートダクトの一次側搬送部の排出口に対向する流入開口32を介して、中空体36内部を氷片Iが通過するところ、中空体36が有する一対の互いに対向する傾斜板38は、氷片Iの搬送方向下流側に、搬送方向に交差する枢軸を有し、枢軸を中心として、中空体形成位置S1と、逃げ位置S2との間で揺動可能であり、中空体36の開口は、搬送方向下流に向かって拡大するように構成されているので、二次側搬送部において氷片Iの滞りが生じない限り、一対の互いに対向する傾斜板38は、中空体形成位置S1に保持されている。
それに対して、二次側搬送部において氷片Iの滞りが生じると、二次側搬送部の上部流入口に対向する流出開口34から徐々に中空体36内部に氷片Iまで堆積し、それにより、内部の氷片Iが一対の互いに対向する傾斜板38それぞれを外側に向かって押し出すことにより、一対の互いに対向する傾斜板38それぞれを逃げ位置S2へ揺動させ、内部の溜まった氷片Iを外部に逃がし、外部に排出された氷片Iは自然に溶解し、一次側搬送部に氷片Iの詰まりが及ぶのを自動的に防止することが可能であり、氷片Iを一次側搬送部から二次側搬送部へシュートダクトを介して搬送する場合、二次側搬送部の氷片Iの詰まりが一次側搬送部に自動的に及ばないようにすることにより、氷片搬送設備10、搬送される氷片Iが利用される環境試験設備の運転安定性を向上することが可能である。
【0035】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内において、当業者であれば、種々の修正あるいは変更が可能である。
たとえば、本実施形態において、シュートダクト100の中空体36は、一対の互いに対向する傾斜板38を有し、一対の傾斜板38それぞれが、中空体形成位置S1と、逃げ位置S2との間で揺動可能であるものとして説明したが、それに限定されることなく、二次側搬送部30における氷片Iの詰まりが、シュートダクト100により、一次側搬送部18に及ぶのを抑制可能である限り、一対の傾斜板38は、一方でもよい。
たとえば、本実施形態において、シュートダクト100の中空体36は、一対の台形状直立板42に対して、一対の互いに対向する傾斜板38を有し、一対の傾斜板38それぞれが、中空体形成位置S1と、逃げ位置S2との間で揺動可能であるものとして説明したが、それに限定されることなく、二次側搬送部30における氷片Iの詰まりが、シュートダクト100により、一次側搬送部18に及ぶのを抑制可能である限り、一対の傾斜板38は、一対の台形状直立板42も一対の傾斜板38として、2組の一対の傾斜板38として構成してもよい。
【0036】
たとえば、本実施形態において、シュートダクト100の中空体36は、一対の互いに対向する傾斜板38を有し、一対の傾斜板38それぞれが、中空体形成位置S1と、逃げ位置S2との間で揺動可能であるものとして説明したが、それに限定されることなく、二次側搬送部30における氷片Iの詰まりが、シュートダクト100により、一次側搬送部18に及ぶのを抑制可能である限り、シュートダクトの直管部の長さを調整可能にして、氷片Iの搬送量に応じて、直管部の長さを調整してもよい。
【0037】
たとえば、本実施形態において、シュートダクト100と一次側搬送部18および二次側搬送部30それぞれとの位置関係について、シュートダクト100の流入口32と一次側搬送部18の排出口16、シュートダクト100の流出口34と二次側搬送部30の上部流入口26、いずれも互いに間隔なく連通接続されるものとして説明したが、それに限定されることなく、一次側搬送部18の氷片Iの閉塞が二次側搬送部30に及ぶ可能性がある限り、シュートダクト100の流入口32と一次側搬送部18の排出口16、シュートダクト100の流出口34と二次側搬送部30の上部流入口26のいずれか、あるいは両方に間隔を設けていてもよい。
たとえば、本実施形態において、氷片搬送設備10として、自動車の走行模擬車両への氷粒人工雪による吹付けにより、車両形状の最適化、自動車空調への影響評価等の環境試験に利用する場合を説明したが、それに限定されることなく、たとえば、鉄道台車への氷粒人工雪による吹付けにより、ブレーキ性能の評価、着雪しにくい車両形状の最適化試験に利用するのでもよく、風洞設備による気流を利用しない環境試験に利用するのでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の実施形態に係る雪環境試験設備の全体構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る雪環境試験設備の氷片搬送設備10のシュートダクトの斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る雪環境試験設備の氷片搬送設備10のシュートダクトの図2の部分Aの拡大図である。
図4】本発明の実施形態に係る雪環境試験設備の氷片搬送設備10のシュートダクトが中空体形成位置S1にある状況を示す側面図である。
図5】本発明の実施形態に係る雪環境試験設備の氷片搬送設備10のシュートダクトが逃げ位置S2にある状況を示す側面図である。
図6】本発明の実施形態に係る雪環境試験設備の氷片搬送設備10の二次搬送部30を示す概略側面図である。
【符号の説明】
【0039】
I 氷片
X 長手方向
S1 中空体形成位置
S2 逃げ位置
10 氷片搬送設備
100 シュートダクト
12 管
14 スクリューフィーダー
16 排出口
18 一次側搬送部
20 縦向きケーシング
22 横向き回転軸
24 ロータリーフィーダー
26 上部流入口
28 下部流出口
30 二次側搬送部
32 流入開口
34 流出開口
36 中空体
38 傾斜板
40 枢軸
42 台形状直立板
44 側辺
48 張り出しフランジ
11 風洞設備
16 風洞
102 ロータリーフィーダー
104 一対の破砕ドラム
106 ケーシング
107 圧送管
108 ロータリーシャフト
112 最狭部
116 上部ハウジング部
118 下部ハウジング部
120 中間ハウジング部
122 環状隙間
300 測定室
302、304、306、308 屈曲胴
310 第2拡散胴
306 第3屈曲胴
308 第4屈曲胴
312 整流胴
314 縮流胴
316 吹出し口
317 受入れ口


図1
図2
図3
図4
図5
図6