(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095914
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】男性用下着
(51)【国際特許分類】
A61F 5/37 20060101AFI20240704BHJP
A41B 9/02 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
A61F5/37 B
A41B9/02 F
A41B9/02 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000004
(22)【出願日】2023-01-01
(71)【出願人】
【識別番号】722011803
【氏名又は名称】紙谷 史彰
(72)【発明者】
【氏名】紙谷 史彰
【テーマコード(参考)】
3B128
4C098
【Fターム(参考)】
3B128EB11
4C098AA02
4C098BB20
4C098BC08
(57)【要約】
【課題】下着本体の陰茎固定サポート装具の取り付け位置を亀頭先端よりも下着本体側に配置することにより、平常時、勃起時、勃起緩和時を問わず常に陰茎の根元方向または陰嚢よりも後方から包皮を引っ張ることができる包茎矯正用の男性用下着を提供する。
【解決手段】陰茎の亀頭上部及び陰茎の亀頭下部及び陰茎の中央部及び陰茎の根元部分の4ヶ所を陰茎固定部材9で固定する構成とした包茎矯正用の男性用下着。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包茎矯正用の下着本体を有する男性用下着において、
上記下着本体前面の下部に下着着用時に陰茎と陰嚢を下着内側から下着外側に出す開口部と、
上記開口部の外周に陰茎固定部材が交換可能かつ上記下着本体と脱着可能な陰茎固定サポート装具とを備え、
上記陰茎固定サポート装具は、
上記陰茎の亀頭下部を2カ所で固定する第1の陰茎固定部材と、
上記第1の陰茎固定部材を身体側に引っ張る状態を維持する第1の伸縮ゴム部材と、
上記開口部の外周の縁に設けられ上記第1の伸縮ゴム部材を2カ所で留める第1の留め具と、
上記陰茎及び上記陰襄全体を覆う男性器カバー布部材と、
を備えて構成された男性用下着。
【請求項2】
包茎矯正用の下着本体を有する男性用下着において、
上記下着本体前面の下部に下着着用時に陰茎と陰嚢を下着内側から下着外側に出す開口部と、
陰茎固定部材が交換可能かつ上記下着本体と脱着可能な陰茎固定サポート装具とを備え、
上記陰茎固定サポート装具は、
上記陰茎の亀頭下部を2カ所で固定する第1の陰茎固定部材と、
上記陰茎の中央部を2カ所で固定する第2の陰茎固定部材と、
上記陰茎の根元部分を2カ所で固定する第3の陰茎固定部材と、
上記第1の陰茎固定部材を身体側に引っ張る状態を維持する第1の伸縮ゴム部材と、
上記第2の陰茎固定部材を身体側に引っ張る状態を維持する第2の伸縮ゴム部材と、
上記第3の陰茎固定部材を身体下側に引っ張る状態を維持する第3の伸縮ゴム部材と、
上記開口部の外周の縁の上部に設けられ上記第1の伸縮ゴム部材を2カ所で留める第1の留め具と、
上記開口部の外周の縁の両脇部に設けられ上記第2の伸縮ゴム部材を2カ所で留める第2の留め具と、
上記下着本体の脚部の縁に設けられ上記第3の伸縮ゴム部材を陰嚢を跨いで2カ所で留める第3の留め具と、
上記陰茎及び上記陰襄全体を覆う男性器カバー布部材と、
を備えて構成された男性用下着。
【請求項3】
包茎矯正用の下着本体を有する男性用下着において、
上記下着本体前面の下部に下着着用時に陰茎と陰嚢を下着内側から下着外側に出す開口部と、
陰茎固定部材が交換可能かつ上記下着本体と脱着可能な陰茎固定サポート装具とを備え、
上記陰茎固定サポート装具は、
上記陰茎の亀頭上部を2カ所で固定する第1の陰茎固定部材と、
上記陰茎の亀頭下部を2カ所で固定する第2の陰茎固定部材と、
上記陰茎の中央部を2カ所で固定する第3の陰茎固定部材と、
上記陰茎の根元部分を2カ所で固定する第4の陰茎固定部材と、
上記第1の陰茎固定部材を身体側に引っ張る状態を維持する第1の伸縮ゴム部材と、
上記第2の陰茎固定部材を身体側に引っ張る状態を維持する第2の伸縮ゴム部材と、
上記第3の陰茎固定部材を身体側に引っ張る状態を維持する第3の伸縮ゴム部材と、
上記第4の陰茎固定部材を身体下側に引っ張る状態を維持する第4の伸縮ゴム部材と、
上記開口部の外周の縁の上部に設けられ上記第1の伸縮ゴム部材を2カ所で留める第1の留め具と、
上記開口部の外周の縁の上部に設けられ上記第2の伸縮ゴム部材を2カ所で留める第2の留め具と、
上記開口部の外周の縁の両脇部に設けられ上記第3の伸縮ゴム部材を2カ所で留める第3の留め具と、
上記下着本体の脚部の縁に設けられ上記第4の伸縮ゴム部材を陰嚢を跨いで2カ所で留める第4の留め具と、
上記陰茎及び上記陰襄全体を覆う男性器カバー布部材と、
を備えて構成された男性用下着。
【請求項4】
上記陰茎固定サポート装具は、
2分割又は3分割又は4分割された陰茎固定部材
を備えて構成されたことを特徴とする請求項1又は2又は3記載の男性用下着。
【請求項5】
上記陰茎固定サポート装具は、
テーパー角を施された陰茎固定部材
を備えて構成されたことを特徴とする請求項1又は2又は3記載の男性用下着。
【請求項6】
上記第1の陰茎固定部材及び第2の陰茎固定部材及び第3の陰茎固定部材及び第4の陰茎固定部材の表面に、
シリコンゴムを単一または硬度の違うシリコンゴム、又はゴム又は樹脂と組み合わせて使用したことを特徴とする請求項1又は2又は3記載の男性用下着。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、男性用下着に関し、仮性包茎の男性に好適な包皮が亀頭に被さることによる不快感を低減した男性用下着に関するものである。
また、成長期の男子及び真性包茎の男性の着用においては、真性包茎から仮性包茎への移行、ひいては非着用時でも包茎では無い正常な陰茎への移行を目的とした男性用下着に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の男性下着は、陰茎と陰嚢の分離を下着自体の布で開口などを用いて空間で分離しているものがあるが、前屈みの姿勢時や陰茎の収縮による分離の一体化を十分考慮したものは市販品では見付けられない。陰茎を環状部材などの位置決め保持機構を用いて保持することを企図した下着においては、個々人の陰茎の長さや太さをある程度考慮して陰茎に装着はできるものの、陰茎からの取り外し時は環状部材と陰茎の間に指が入るほどの隙間はなく、小さくて一点留めの係止部材を引っ張るには操作に難がある。また、両手を使ったとしても、陰茎より上方の視線方向から排尿用開口部と言う両手よりも小さい空間で環状部材を陰茎に被せて係止部材を操作して環状部材の径を調節するのはやはり難がある。
【0003】
諸外国に目を向けると、例えばアメリカ合衆国では男子が成長して包茎になるかどうか判明すると一般的に言われている13歳から15歳になる前の新生児期から幼少期に、包皮を切除する環状切除術を親の意思で自身の子供に受けさせている確率が60%以上あると言われており、環状切除術時の陰茎固定具や環状切除術後に陰茎に他の物体が触れないようにする固定具や保護具が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-52356号公報
【特許文献2】特開2014-224332号公報
【特許文献3】特開2011-246854号公報
【特許文献4】米国特許第4622962号明細書
【特許文献5】韓国公開特許第10-2011-0030883号公報
【特許文献6】実願昭59-42826号(実開昭60-155514号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1及び特許文献2の特許文献に記載の男性用下着では、取り外し時は環状部材と陰茎の間に指が入るほどの隙間はなく、小さくて一点留めの係止部材を引っ張るには操作に難がある。また、仮性包茎の人においては、包皮が環状部材を包む状態になってしまい、包茎を矯正する効果は無い。
【0006】
上記特許文献1のように陰茎より上方の視線方向から弾性縁部を抑えながら排尿用開口部と言う両手よりも小さい空間で環状部材を押し下げながら陰茎に被せて係止部材を操作して環状部材の径を調節するのは難しいと思われる。操作性の観点から指が届くように弾性縁部の位置を下げた場合、亀頭部と近付いてしまい平常時や勃起時に弾性縁部から亀頭が露出してしまう。その為、ズボンの内側と亀頭が擦れる場合は着用者に苦痛を与える恐れがある。
【0007】
当該特許文献1内の
図8のような紐状部材を用いた場合で
図7のように環状部材の取り付け位置が亀頭より上方にあると、勃起時は紐状部材がたるむだけで包皮を抑える効果はない。また、勃起時の包皮を弾性縁部が抑えるように密着する構造だと、勃起が緩和した際に抑えられた包皮が亀頭に被る形になる。また、係止め部材の固定が強く環状部材の伸縮が足りない場合、就寝時など長時間勃起状態が続くと締め付けられる痛みを感じる。
【0008】
上記特許文献2のように面ファスナーを下着内側に配置してしまうと、折り込み片の封止部を前方に捲った状態では、面ファスナーが体に直接当たって着用者に不快感や苦痛を与えると考えられる。
【0009】
上記特許文献3には、陰茎と陰嚢を下着内側から下着外側に出す開口部はあるものの、包茎を矯正するような構成は開示も示唆もない。
【0010】
上記特許文献4は、環状切除術時に陰茎を固定する構成になってはいるものの、包茎を矯正するような構成は開示も示唆もない。
【0011】
上記特許文献5は、陰茎と陰嚢の分離目的でリングを2つ備えてはいるものの、包茎を矯正するような構成は開示も示唆もない。
【0012】
上記特許文献6は、包茎の矯正目的の実用新案であるが、詳細な記載はされておらず、陰茎の自重に伴う陰茎とリングの向きの変化、個人毎に異なる陰茎の径に合わせたリングの交換、スポンジ素材に起因するリングの変形しやすさ、着用時のゴム紐の取付点とリングの位置の変化に伴うゴム紐の緩みなど実用性に欠ける内容である。
【0013】
そこで本発明では、下着本体の陰茎固定サポート装具取り付け位置を亀頭先端よりも下着本体側に配置することにより、平常時、勃起時、勃起緩和時を問わず常に陰茎の根元方向または陰嚢よりも後方から包皮を引っ張ることができる包茎矯正用の男性用下着を提供する。
【0014】
また、本発明では、軽度の仮性包茎や包茎ではない男性向けに陰茎の亀頭下部のみ1ヶ所を陰茎固定部材で固定し、伸縮ゴム部材の長さを変えることにより、任意の角度で陰茎の保持ができ、陰茎と陰嚢が密着しない状態で下着を着用できる男性用下着を提供する。
【0015】
さらに、本発明では、重度の仮性包茎の男性向けに陰茎の亀頭下部及び陰茎の中央部及び陰茎の根元部分の3ヶ所を陰茎固定部材で固定する包茎矯正用の男性用下着を提供する。
【0016】
その上、本発明では、成長期の男子及び真性包茎の男性の着用においては、陰茎の亀頭上部及び陰茎の亀頭下部及び陰茎の中央部及び陰茎の根元部分の4ヶ所を陰茎固定部材で固定する包茎矯正用の男性用下着を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため、本発明の第1発明に係る男性用下着は、包茎矯正用の下着本体を有する男性用下着において、上記下着本体前面の下部に下着着用時に陰茎と陰嚢を下着内側から下着外側に出す開口部と、上記開口部の外周に陰茎固定部材が交換可能かつ上記下着本体と脱着可能な陰茎固定サポート装具とを備え、上記陰茎固定サポート装具は、上記陰茎の亀頭下部を2カ所で固定する第1の陰茎固定部材と、上記第1の陰茎固定部材を身体側に引っ張る状態を維持する第1の伸縮ゴム部材と、上記開口部の外周の縁に設けられ上記第1の伸縮ゴム部材を2カ所で留める第1の留め具と、上記陰茎及び上記陰襄全体を覆う男性器カバー布部材と、を備えて構成された。
【0018】
また、本発明の第2発明に係る男性用下着は、包茎矯正用の下着本体を有する男性用下着において、上記下着本体前面の下部に下着着用時に陰茎と陰嚢を下着内側から下着外側に出す開口部と、陰茎固定部材が交換可能かつ上記下着本体と脱着可能な陰茎固定サポート装具とを備え、上記陰茎固定サポート装具は、上記陰茎の亀頭下部を2カ所で固定する第1の陰茎固定部材と、上記陰茎の中央部を2カ所で固定する第2の陰茎固定部材と、上記陰茎の根元部分を2カ所で固定する第3の陰茎固定部材と、上記第1の陰茎固定部材を身体側に引っ張る状態を維持する第1の伸縮ゴム部材と、上記第2の陰茎固定部材を身体側に引っ張る状態を維持する第2の伸縮ゴム部材と、上記第3の陰茎固定部材を身体下側に引っ張る状態を維持する第3の伸縮ゴム部材と、上記開口部の外周の縁の上部に設けられ上記第1の伸縮ゴム部材を2カ所で留める第1の留め具と、上記開口部の外周の縁の両脇部に設けられ上記第2の伸縮ゴム部材を2カ所で留める第2の留め具と、上記下着本体の脚部の縁に設けられ上記第3の伸縮ゴム部材を陰嚢を跨いで2カ所で留める第3の留め具と、上記陰茎及び上記陰襄全体を覆う男性器カバー布部材と、を備えて構成された。
【0019】
更に、本発明の第3発明に係る男性用下着は、上記構成に加え、包茎矯正用の下着本体を有する男性用下着において、上記下着本体前面の下部に下着着用時に陰茎と陰嚢を下着内側から下着外側に出す開口部と、陰茎固定部材が交換可能かつ上記下着本体と脱着可能な陰茎固定サポート装具とを備え、上記陰茎固定サポート装具は、上記陰茎の亀頭上部を2カ所で固定する第1の陰茎固定部材と、上記陰茎の亀頭下部を2カ所で固定する第2の陰茎固定部材と、上記陰茎の中央部を2カ所で固定する第3の陰茎固定部材と、上記陰茎の根元部分を2カ所で固定する第4の陰茎固定部材と、上記第1の陰茎固定部材を身体側に引っ張る状態を維持する第1の伸縮ゴム部材と、上記第2の陰茎固定部材を身体側に引っ張る状態を維持する第2の伸縮ゴム部材と、上記第3の陰茎固定部材を身体側に引っ張る状態を維持する第3の伸縮ゴム部材と、上記第4の陰茎固定部材を身体下側に引っ張る状態を維持する第4の伸縮ゴム部材と、上記開口部の外周の縁の上部に設けられ上記第1の伸縮ゴム部材を2カ所で留める第1の留め具と、上記開口部の外周の縁の上部に設けられ上記第2の伸縮ゴム部材を2カ所で留める第2の留め具と、上記開口部の外周の縁の両脇部に設けられ上記第3の伸縮ゴム部材を2カ所で留める第3の留め具と、上記下着本体の脚部の縁に設けられ上記第4の伸縮ゴム部材を陰嚢を跨いで2カ所で留める第4の留め具と、上記陰茎及び上記陰襄全体を覆う男性器カバー布部材と、を備えて構成された。
【0020】
更に、第1発明、第2発明、第3発明のいずれか一つにおいて、上記陰茎固定サポート装具は、2分割又は3分割又は4分割された陰茎固定部材を備えて構成された男性用下着。
【0021】
更に、第1発明、第2発明、第3発明のいずれか一つにおいて、上記第1の陰茎固定部材及び第2の陰茎固定部材及び第3の陰茎固定部材及び第4の陰茎固定部材は、テーパー角を施された陰茎固定部材を備えて構成された男性用下着。
【0022】
更に、第1発明、第2発明、第3発明のいずれか一つにおいて、上記第1の陰茎固定部材及び第2の陰茎固定部材及び第3の陰茎固定部材及び第4の陰茎固定部材の表面に、シリコンゴムを単一または硬度の違うシリコンゴム、又はゴム又は樹脂と組み合わせて使用した男性用下着。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、下着本体の陰茎固定サポート装具3のメス側留め具4bの位置を亀頭先端よりも下半身に密着した下着本体側に配置することにより、着用時の姿勢や、平常時、勃起時、勃起緩和時を問わず常に陰茎の根元方向又は陰嚢よりも後方から伸縮ゴム部材11が陰茎に密着した陰茎固定部材9を引っ張ることで伸縮ゴム部材11が引っ張る力Fを作り出すことができるため、陰茎に密着した陰茎固定部材9が矯正された包皮Pを作り、矯正された包皮Pの亀頭方向への移動を抑制することで包茎を矯正することができる。
【0024】
更に、本発明によれば、陰茎固定部材9の径や幅、厚み、形状を変えることで陰茎との接触面積や包皮の矯正力を変更し、包皮の移動を抑制する効果を調節することができる。伸縮ゴム部材11と脱着式の中間部材12の長さを変えることにより、適切な伸縮ゴム部材11が引っ張る力Fを確保し、陰茎固定部材9の陰茎からの脱落を防ぐことができる。
【0025】
更に、本発明によれば、陰茎固定部材9の材質を変えることで陰茎との接触面の摩擦力を変更することにより、包皮を矯正する効果を調節することができる。軽度の仮性包茎や包茎ではない男性は、陰茎の亀頭下部のみ1ヶ所を相対的に摩擦係数の低いコットンなどの伸縮自在の布を材質とした陰茎固定部材9で固定し、伸縮ゴム部材11の長さを変えることにより、任意の角度で陰茎の保持ができ、陰茎と陰嚢が密着しない状態で下着を着用できる。
【0026】
第6発明によれば、第2発明、第3発明のいずれか一つにおいて、重度の仮性包茎の男性や成長期の男子及び真性包茎の男性は、陰茎の亀頭上部及び亀頭下部及び中央部及び根元部分の4ヶ所すべてか一部を陰茎固定部材9で固定し、陰茎固定部材の表面に、シリコンゴムを単一または硬度の違うシリコンゴム、又はゴム又は樹脂と組み合わせた材質とした陰茎固定部材9で固定することで、包皮を矯正する効果を強めることができる。
【0027】
第4発明によれば、陰茎固定部材9を折り返すか、2分割又は3分割又は4分割し、合わせ面を作ることで、伸縮ゴム部材11又は脱着式の中間部材12に引っ掛かるようになり、陰茎固定部材9が回転することを防ぎつつ、陰茎固定部材9を陰茎に装着する時に持ち手の部分を作ることができ、装着しやすくなる。
【0028】
第5発明によれば、陰茎固定部材9をテーパー形状にすることで、陰茎との接触面積を増やし、摩擦力を高めることができる。特に、亀頭上部に陰茎固定部材9を装着する時に形に馴染ませることができるため、変形による復元力と反発力を低減し、陰茎固定部材9の亀頭からの脱落を防ぎやすくなる。
【0029】
更に、本発明によれば、男性器カバー布7と下着の両下部だけを固定する状態においては、両手を使って陰茎固定サポート装具3を容易に下着本体や陰茎に装着するのに十分なスペースを確保することができる。男性器カバー布7の取り付け部分を下着本体の外側に配置することで、凹凸のある留め具が着用時に直接肌に触れないようにできる。
【0030】
更に、本発明によれば、複数部材の集合体である装具としての陰茎固定サポート装具3は全体または一部を交換可能な方式とすることで、例えば、
図5を例にして示すと陰茎固定部材9と伸縮ゴム部材11と脱着式の中間部材12の組み合わせを変更することができるので、各個人の陰茎と陰嚢の大きさに合わせた下着にすることができるし、繰り返しの洗濯により耐久性の観点から劣化した場合も部分的に新品に交換することで下着本体や陰茎固定サポート装具3のオス側留め具4aと伸縮ゴム部材11と脱着式の中間部材12は長期に使うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の実施形態の男性用下着本体の着用状態の側面図である。
【
図2】本発明の実施形態の男性用下着本体の着用状態の正面拡大図である。
【
図3】本発明の実施形態の男性用下着本体の非着用状態の正面図である。
【
図4】本発明の実施形態の一体型の陰茎固定サポート装具3の例である。
【
図5】本発明の実施形態の分割型の陰茎固定サポート装具3の例である。
【
図6】本発明の実施形態の男性器カバー布付きの男性用下着全体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参酌しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1は本発明の実施形態の男性用下着本体の着用状態の側面図であり、
図2は本発明の実施形態の男性用下着本体の着用状態の正面拡大図であり、
図3は本発明の実施形態の男性用下着本体の非着用状態の正面図である。
【0033】
図1と
図2は、成長期の男子及び真性包茎の男性の着用時を想定して4つの陰茎固定サポート装具3を用いる例であるが、
図2のように、下着本体前面1の下部に開けられた、楕円形開口部2より出された陰茎を亀頭先端よりも下着本体側に配置された4つの陰茎固定サポート装具3で各2ヶ所保持する。陰茎固定サポート装具3のオス側留め具4aと陰茎固定サポート装具3のメス側留め具4bは縫付けマグネットやスナップボタンを使い、陰茎固定サポート装具3と下着本体を固定する。下着本体の陰茎固定サポート装具3のメス側留め具4bと陰茎固定サポート装具3のオス側留め具4aは繰り返しの脱着が想定されるため、通気性を確保しながら強度を増しやすい部位に下着側の陰茎固定サポート装具3のメス側留め具4bを配置する必要がある。これを考慮すると
図3で示すように開口部外周の縁5と下着本体脚部の縁6が陰茎固定サポート装具3のメス側留め具4bの位置として好ましい。下着側の陰茎固定サポート装具3のメス側留め具4bを各2ヶ所以上備えることで、陰茎の引っ張り角度の調節が可能になるので、伸縮ゴム部材11の長さを変えなくても伸縮ゴム部材11が引っ張る力Fを調整できる要素が増える。
【0034】
陰茎の亀頭上部に第1の陰茎固定部材9aが取り付けられた状態の陰茎固定サポート装具3aと陰茎の亀頭下部に第2の陰茎固定部材9bが取り付けられた状態の陰茎固定サポート装具3bと陰茎の中央部に第3の陰茎固定部材9cが取り付けられた状態の陰茎固定サポート装具3cは陰茎固定サポート装具3のオス側留め具4aと下着本体の開口部外周の縁5に配置された陰茎固定サポート装具3のメス側留め具4bで各2ヶ所留められ、本実施形態によれば、陰茎の根元方向から伸縮ゴム部材11が陰茎固定部材9を引っ張ることで伸縮ゴム部材11が引っ張る力Fを作り出すことができるため、陰茎に密着した陰茎固定部材9が亀頭上部から陰茎の中央部までの矯正された包皮Pの亀頭先端方向へ移動するのを抑制する作用効果を奏する。
同様に、陰茎の根元部分に第4の陰茎固定部材9dが取り付けられた状態の陰茎固定サポート装具3dは陰茎固定サポート装具3のオス側留め具4aと下着本体脚部の縁6に配置された陰茎固定サポート装具3のメス側留め具4bで各2ヶ所留められ、本実施形態によれば、陰嚢の後方から伸縮ゴム部材11が陰茎固定部材9を引っ張ることで伸縮ゴム部材11が引っ張る力Fを作り出すことができるため、陰茎に密着した陰茎固定部材9が陰茎根元部と陰茎付け根部の矯正された包皮Pが亀頭方向へ移動するのを抑制する作用効果を奏する。
こうすることで平常時、勃起時、勃起緩和時を問わず常に陰茎の根元方向または陰嚢よりも後方から包皮を引っ張ることができる包茎矯正用の男性用下着を構成することができる。下着着用時に陰茎が勃起した時は、平常時の伸縮ゴム部材11が引っ張る力Fに加えて陰茎固定部材9が亀頭方向に引っ張られるため、伸縮ゴム部材11が引っ張る力Fに反発する力が加わり、下着側の陰茎固定サポート装具3のメス側留め具4bが一層亀頭方向に移動しようとする。そのため、下着本体の変形を抑えるためには下着本体前面1と開口部外周の縁5と下着本体脚部の縁6は伸縮率の低い材質が好まれる。伸縮ゴム部材11が引っ張る力Fの調節の為に、陰茎固定サポート装具3の一部である陰茎固定部材9と伸縮ゴム部材11と脱着式の中間部材12を交換可能な方式とする。
【0035】
軽度の仮性包茎や包茎ではない男性は、相対的に摩擦係数の低い伸縮自在の布を陰茎固定部材9に使用し、陰茎の亀頭下部に第2の陰茎固定部材9bが取り付けられた状態の陰茎固定サポート装具3bのみを使い、陰茎固定サポート装具3のオス側留め具4aと下着本体の開口部外周の縁5に配置された陰茎固定サポート装具3のメス側留め具4bで各2ヶ所留める。伸縮ゴム部材11や脱着式の中間部材12の長さを変えることにより、本実施形態によれば、任意の角度で陰茎の保持ができ、陰茎と陰嚢が密着しない状態で下着を着用できる作用効果を奏する。
【0036】
図4は陰茎固定部材9にテーパー角が付いたテーパー形状の一体型の陰茎固定サポート装具3の例であり、
図5は2分割の布を2ヶ所縫い合わせた状態の陰茎固定部材9を用いた分割型の陰茎固定サポート装具3の例である。
図4は陰茎固定部材9に開けられた通し穴10を貫通した伸縮ゴム部材11とその伸縮ゴム部材11に取り付けられた陰茎固定サポート装具3のオス側留め具4aを備えた陰茎固定サポート装具3を示す。
図5は、脱着式の中間部材12を陰茎固定部材9と伸縮ゴム部材11に通して連結し、その伸縮ゴム部材11に取り付けられた陰茎固定サポート装具3のオス側留め具4aを備えた陰茎固定サポート装具3を示す。
図4のように陰茎固定部材9に通し穴10を用いて伸縮ゴム部材11を通すか、陰茎固定部材9と伸縮ゴム部材11の部分を一体化した陰茎固定サポート装具3にすることもできるが、陰茎固定部材9に通し穴10を設けると、勃起時や装着・取り外し時に伸縮ゴム部材11に引っ張られた時に陰茎固定部材9の部分的な変形量が大きく、長期間の使用には適していないと想定される。構造としては、
図5のように脱着式の中間部材12を用いる方が、陰茎固定部材9と伸縮ゴム部材11の組み合わせ変更や交換が容易になる上に着用時の陰茎固定部材9の変形を抑えられる。
【0037】
陰茎に直接触れる陰茎固定部材9の実施形態は、各個人に合わせた自由度を持たせる為に交換可能なので、色々な可能性が考えられるが、1つは陰茎固定部材9の径や幅、厚み、形状を変えることで陰茎との接触面積や包皮の矯正力を変更することができる。例えば、陰茎固定部材9をテーパー形状や亀頭の形に沿った形状にすることで、陰茎との接触面積を増やし、摩擦力を高めることができる。特に、亀頭上部に陰茎固定部材9を装着する時に亀頭の形に馴染ませることができるため、パイプ状の形よりも変形による復元力と反発力を低減し、陰茎固定部材9の亀頭からの脱落を防ぎやすくなる。
もう1つは、陰茎固定部材9の材質を変えることで陰茎との接触面の摩擦力を変更することにより、包皮を矯正する効果を調節することができる。相対的に摩擦係数の低いコットンなどの伸縮自在の布を材質とした包皮を矯正する効果が弱いものから、シリコンゴムを単一または硬度の違うシリコンゴム、又はゴム又は樹脂と組み合わせた材質とした包皮を矯正する効果が強いものまで選択、交換できる。分割型の陰茎固定サポート装具3の場合は、単一のシリコンゴム材料を用いて陰茎固定部材9を製造するのが合理的だと考えられるが、例えば、陰茎固定部材9に通し穴10を設ける場合、上記のように伸縮ゴム部材11に引っ張られた時に陰茎固定部材9の部分的な変形量が大きくなるため、その通し穴10の周辺部分を硬度が高いシリコンゴムを材料とし、陰茎に直接触れる大半の部分は伸縮性がより高いシリコンゴムを材料とし、一体成型する場合が考えられる。通し穴10の周辺部分に硬度が高いシリコンゴムを用いる以外に、ゴム又は樹脂材料を使い、陰茎に直接触れる大半のシリコンゴム部分と接着、又は溶着、又は両面テープで接合することが考えられる。こうすることで、通し穴10の周辺部分の変形量を抑え、使用に伴う傷みを低減することができる。
このように、本実施形態によれば、陰茎に密着した陰茎固定部材9と陰茎の摩擦力を調整し、伸縮ゴム部材11が引っ張る力Fを増減することができ、亀頭先端から陰茎付け根部までの矯正された包皮Pの発生状態を目視するのと、陰茎の触覚の感覚から着用者自身が自分に適した陰茎固定部材9を選択、交換できる作用効果を奏する。
図5のように利便性の改善策として、製造時に陰茎固定部材9を折り返すか、2分割又は3分割又は4分割し、合わせ面を作ることで、伸縮ゴム部材11又は脱着式の中間部材12に引っ掛かるようになり、装着時に陰茎固定部材9が円周方向に回転することを防ぎつつ、陰茎固定部材9を陰茎に装着する時に持ち手の部分を作ることができ、装着しやすくなる。例えば、伸縮自在の布やシリコンゴムに2つの通し穴10の部分と2つの持ち手付きの部分を作り、4分割とし交互に配置することで、1つの陰茎固定部材9を形成することが考えられる。
【0038】
本実施形態によれば、陰茎固定サポート装具3を下着本体に取り付けている着用状態では、脱着式の中間部材12や伸縮ゴム部材11が下着本体へと繋がっているため、包皮がこれら脱着式の中間部材12や伸縮ゴム部材11を乗り越えることを抑制していることもあり、運動や前傾姿勢を伴う着座姿勢、乗馬やオートバイなどの運転などでも包皮が陰茎固定部材9全体を包むような状態にはならない作用効果を奏する。着用しているにもかかわらず、矯正された包皮Pが発生しない場合や、陰茎固定部材9が陰茎から外れるような場合は、陰茎固定部材9の外周表面に伸縮性のある自着性包帯やシリコンゴムなど摩擦係数が高い材質の物に交換したり、径を小さくしたり、伸縮ゴム部材11と脱着式の中間部材12の長さを短いものと交換することにより、適切な伸縮ゴム部材11が引っ張る力Fを確保し、陰茎固定部材9の陰茎からの脱落を防ぐことができる。
【0039】
陰茎固定部材9の径を変える場合は、例えば、内径20ミリメートルのパイプ状を内径19ミリメートルのパイプ状に径を1ミリ縮めたい場合は、円周長で1π分つまり約3.1ミリメートル生地の長手方向の長さを縮めて裁断する必要がある。生地の厚みや伸縮性でも最適な径は変わって来る。平常時の陰茎には弾力があるし、陰茎の断面が楕円形のため、包帯や糸で装着する陰茎の部分の平常時の周長を測り、目安として2ミリメートル以上小さめの径でいくつかの種類を試して最適な径を見付けるのが近道だと考えられる。個人差があるかも知れないが、陰茎固定部材9の幅は着用状態で10ミリメートル以上あれば包皮との摩擦力を生じさせるのに十分と考えられる。また、陰茎先端部の径は陰茎根元部の径よりも小さくなると考えられる。冬季など気温によっても、陰茎の径は変わってくるので、その場合も陰茎固定部材9の交換が必要になると考えられる。
【0040】
図4と
図5の伸縮ゴム部材11は陰茎固定サポート装具3のオス側留め具4aを取り付けることができれば平ゴムでも丸ゴムでも問題無い。伸縮ゴム部材11に伸縮性があれば、陰茎の勃起、緩和に追従できるので脱着式の中間部材12は伸縮性がある材質でも、伸縮性が無い材質でもどちらでも問題無い。脱着式の中間部材12は自着できる素材にするか、スナップボタンなどを取り付けてその部品の目的から脱着式の中間部材12自身を脱着できるようにするのが望ましい。
【0041】
就寝時など長時間勃起状態が続くような時でも、陰茎固定部材9は外周方向に広がるし、伸縮ゴム部材11も伸びて追従して陰茎固定部材9は陰茎との密着を続ける。もし就寝時に密着や圧迫感が気になるようであれば、陰茎固定サポート装具3を装着しないか、装着したまま下着本体側の陰茎固定サポート装具3のメス側留め具4bから陰茎固定サポート装具3のオス側留め具4aを1ヶ所か2ヶ所外してしまえば伸縮ゴム部材11に引っ張られる力が気にならなくなる。勃起緩和時でも陰茎固定サポート装具3は陰茎の収縮に追従して固定を維持する。陰茎固定部材9の伸縮率は20%以上あるのが望ましい。
【0042】
図6は本発明の実施形態の男性器カバー布付きの男性用下着全体の斜視図である。男性器カバー布7は
図3に示している男性器カバー布のオス側留め具8aが下着本体側の男性器カバー布のメス側留め具8bと接続されることによって下着本体前面1に固定され、
図6のように男性器カバー布7は陰茎、陰嚢、陰茎固定サポート装具3全体を覆い隠すことができるので、下着が他人の目に触れるような場合でも既存の下着と見た目は大きく変わらない。
【符号の説明】
【0043】
1 下着本体外側前面
2 楕円形開口部
3 陰茎固定サポート装具
3a 陰茎固定サポート装具3
3b 陰茎固定サポート装具3
3c 陰茎固定サポート装具3
3d 陰茎固定サポート装具3
4a 陰茎固定サポート装具3のオス側留め具
4b 陰茎固定サポート装具3のメス側留め具
5 開口部外周の縁
6 下着本体脚部の縁
7 男性器カバー布
8a 男性器カバー布のオス側留め具
8b 男性器カバー布のメス側留め具
9 陰茎固定部材
9a 第1の陰茎固定部材
9b 第2の陰茎固定部材
9c 第3の陰茎固定部材
9d 第4の陰茎固定部材
10 通し穴
11 伸縮ゴム部材
12 脱着式の中間部材
F 伸縮ゴム部材11が引っ張る力
P 矯正された包皮