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特開2024-95922凍結乾燥チョコレート及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095922
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】凍結乾燥チョコレート及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23G 1/52 20060101AFI20240704BHJP
   A23G 1/12 20060101ALI20240704BHJP
   A23L 3/44 20060101ALI20240704BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20240704BHJP
   B02C 4/04 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
A23G1/52
A23G1/12
A23L3/44
A23L5/00 E
B02C4/04
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038353
(22)【出願日】2023-03-13
(31)【優先権主張番号】202211705065.7
(32)【優先日】2022-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523091165
【氏名又は名称】嘉世明(珠海)食品科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】程謙
(72)【発明者】
【氏名】段金戈
【テーマコード(参考)】
4B014
4B022
4B035
4D063
【Fターム(参考)】
4B014GB01
4B014GB04
4B014GE02
4B014GE05
4B014GG01
4B014GG06
4B014GG07
4B014GG09
4B014GG11
4B014GG14
4B014GL07
4B014GL11
4B014GP01
4B014GP03
4B014GP12
4B014GP23
4B014GQ02
4B014GQ05
4B014GQ09
4B014GQ12
4B014GQ17
4B014GT06
4B014GY04
4B022LA03
4B022LB06
4B022LJ05
4B022LJ08
4B022LR06
4B035LC05
4B035LE05
4B035LG12
4B035LG19
4B035LG21
4B035LG32
4B035LG33
4B035LG40
4B035LG44
4B035LP21
4B035LP24
4B035LP34
4B035LP43
4D063CC01
4D063GA03
4D063GD02
4D063GD04
(57)【要約】
【課題】凍結乾燥チョコレート及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の凍結乾燥チョコレートは、総油脂含有量が25%以下、粒度が35μm以下のチョコレートパウダーを原料とし、チョコレートパウダーと溶媒を混合した後、順に型に注入、凍結成型し、凍結乾燥させ、離型し、凍結乾燥チョコレートを得る。本発明の凍結乾燥チョコレートを構成する多孔質構造の骨格は非脂質類物質であり、連続油相を構成せず、高温での油脂の溶融による変形、崩壊及び油脂の析出が発生しない。本発明の製造方法に従って製造された凍結乾燥チョコレート製品は、65℃の温度で、包装袋に粘着し、製品が変形するという問題が発生せず、優れた耐溶融特性及び耐熱安定性を有することが実験により証明され、チョコレートは真に四季で輸送及び販売でき、冷蔵せずに常温で輸送及び販売できる製品になる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凍結乾燥チョコレートの製造方法であって、
チョコレートパウダーと溶媒を混合及び剪断乳化し、チョコレート溶液を得るステップと、
前記チョコレート溶液を順に型に注入し、凍結成型し、凍結乾燥させ、離型し、凍結乾燥チョコレートを得るステップとを含み、
前記チョコレートパウダーの総油脂含有量が25%以下であり、前記チョコレートパウダーの粒度が35μm以下であり、
前記溶媒には油脂を含まないことを特徴とする凍結乾燥チョコレートの製造方法。
【請求項2】
前記チョコレートパウダーの総油脂含有量が15%~25%であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記チョコレートパウダーがロール粉砕又はジェットミル粉砕により得られることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ロール粉砕に使用される装置は、直列に接続された2台の3本ロールリファイナー、6本ロールリファイナー、又は5本ロールリファイナーを含むことを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記溶媒の水分含有量は溶媒の重量の90%~100%であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記溶媒のチョコレート溶液における重量比がチョコレート溶液の重量の10%~80%であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記型に注入する回数は2回以上であり、前回型に注入した後、表面まで予備凍結され、又は固体状態に完全に凍結された後、その上で次回の型への注入を行うことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
型に注入する前又は後、型の凹部及び/又はチョコレート溶液に添加物を加えることをさらに含み、前記添加物はナッツ、穀物、野菜及び果物のうちの1種又は複数種を含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
前記チョコレートパウダーの原料は食品グレードの原料であり、前記食品グレードの原料はココア及び他の原料を含み、
前記ココアは、ココアバター、ココアパウダー及びココアリカーのうちの1種又は複数種を含み、
前記他の原料は、植物油、乳脂、粉乳、糖、シロップ、代替糖、デンプン、ナッツ、果物、野菜、穀物及び繊維のうちの1種又は複数種を含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
前記凍結乾燥チョコレートは、65℃以下の条件下で、包装物に粘着し、溶融及び/又は変形しないことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の製造方法で製造された凍結乾燥チョコレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チョコレート加工及び凍結乾燥食品加工の技術分野に属し、具体的には、凍結乾燥チョコレート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チョコレートはココアバター及びココアペースト等を含むココア製品を主原料として製造される甘い食べ物であり、口当たりがきめ細かく、香りが豊かである。従来の商業用チョコレートは、シルクのように滑らかな特性に加えて、一定の健康機能も有し、消費者に人気がある。しかしながら、ココアバターの融点や特性により、チョコレートは、熱安定性が低く、冷却条件なしでは、夏や高温、熱帯地域での陳列、販売及び携帯が困難である。
【0003】
特許文献1は、凍結乾燥食品を開示しており、凍結乾燥チョコレートの製造プロセス、すなわち、溶液又はペーストの製造プロセス中に油脂を加えることを含み、他の凍結乾燥食品よりも良好なシルクのように滑らかな口当たりを提供することを目的とする。しかしながら、その製造プロセスで製造されたチョコレート製品は、依然として以下の問題が存在する。チョコレート製品が包装され、55℃を超える高温に置かれると、油脂が析出し、包装物に粘着して汚染するという問題が発生し、さらに製品が変形するという問題が発生し、熱安定性を向上させる余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1072199号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに鑑み、本発明は、凍結乾燥チョコレート及びその製造方法を提供することを目的とし、本発明の凍結乾燥チョコレートは、良好な熱安定性を有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、凍結乾燥チョコレートの製造方法を提供し、
チョコレートパウダーと溶媒を混合及び剪断乳化し、チョコレート溶液を得るステップと、
前記チョコレート溶液を順に型に注入し、凍結成型し、凍結乾燥させ、離型し、凍結乾燥チョコレートを得るステップとを含み、
前記チョコレートパウダーの総油脂含有量が25%以下であり、前記チョコレートパウダーの粒度が35μm以下であり、
前記溶媒には油脂を含まない。
【0007】
好ましくは、前記チョコレートパウダーの総油脂含有量が15%~25%である。
【0008】
好ましくは、前記チョコレートパウダーがロール粉砕又はジェットミル粉砕により得られる。
【0009】
好ましくは、前記ロール粉砕に使用される装置は、直列に接続された2台の3本ロールリファイナー又は6本ロールリファイナー、又は5本ロールリファイナーを含む。
【0010】
好ましくは、前記溶媒の水分含有量は溶媒重量比の90%~100%である。
【0011】
好ましくは、前記溶媒のチョコレート溶液における重量比がチョコレート溶液の重量の10%~80%である。
【0012】
好ましくは、前記型に注入する回数は2回以上であり、前回型に注入した後、表面まで予備凍結され、又は固体状態に完全に凍結された後、その上で次回の型への注入を行う。
【0013】
好ましくは、型に注入する前又は後、型の凹部及び/又はチョコレート溶液に添加物を加えることをさらに含み、前記添加物はナッツ、穀物、野菜及び果物のうちの1種又は複数種を含む。
【0014】
好ましくは、前記チョコレートパウダーの原料は食品グレードの原料であり、前記食品グレードの原料はココア及び他の原料を含み、
前記ココアは、ココアバター、ココアパウダー及びココアリカーのうちの1種又は複数種を含み、
前記他の原料は、植物油、乳脂、粉乳、糖、シロップ、代替糖、デンプン、ナッツ、果物、野菜、穀物及び繊維のうちの1種又は複数種を含む。
【0015】
本発明は、上記解決手段に記載の製造方法で製造された凍結乾燥チョコレートをさらに提供し、前記凍結乾燥チョコレートは、65℃以下の条件下で包装物に粘着し、溶融及び/又は変形しない。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、凍結乾燥チョコレートの製造方法を提供し、本発明の凍結乾燥チョコレートは、総油脂含有量が25%以下、粒度が35μm以下のチョコレートパウダーを原料とし、チョコレートパウダーと溶媒を混合した後、順に型に注入し、凍結成型し、凍結乾燥させ、離型し、凍結乾燥チョコレートを得る。本発明では、油脂含有量が25%以下、粒度が35μm以下のチョコレートパウダーは、連続油相を構成せず、凍結乾燥により成型された凍結乾燥チョコレートは、多孔質構造を構成する骨格が非脂質類物質であり、高温での油脂の溶融による変形、崩壊及び油脂の析出が発生しない。本発明の製造方法に従って製造された凍結乾燥チョコレート製品は、65℃の温度で、包装袋に粘着し、製品が変形するという問題が発生しないことが実験により証明され、本発明に記載の凍結乾燥チョコレート製品は、優れた耐溶融特性及び耐熱安定性を有し、チョコレートは真に四季で輸送及び販売でき、冷蔵せずに常温で輸送及び販売できる製品になる。
【0017】
また、本発明で使用するチョコレートパウダーの粒度が35μm以下であり、凍結乾燥後、チョコレートの内部は多孔質の微細孔構造を呈しており、消費者が食べる時、消費者の唾液を吸収して凍結乾燥チョコレートを再水和させ、崩壊させることができ、チョコレート感覚上の咀嚼を必要とせず、口に入れてすぐに溶融するという快感を消費者にもたらし、同時に、チョコレートが再水和及び崩壊した後、チョコレート内部の油脂が消費者の口腔内の温度又は消費者の口腔との接触により溶融し、チョコレートのあるべきシルクのように滑らかな楽しさと豊かな香りを消費者にもたらし、チョコレートにシルクのように滑らかな口当たりを持たせる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、凍結乾燥チョコレートの製造方法を提供し、
チョコレートパウダーと溶媒を混合及び剪断乳化し、チョコレート溶液を得るステップと、
前記チョコレート溶液を順に型に注入し、凍結成型し、凍結乾燥させ、離型し、凍結乾燥チョコレートを得るステップとを含み、
前記チョコレートパウダーの総油脂含有量が25%以下であり、前記チョコレートパウダーの粒度が35μm以下であり、
前記溶媒には油脂を含まない。
【0019】
本発明は、まず、チョコレートパウダーと溶媒を混合及び剪断乳化し、チョコレート溶液を得る。
【0020】
本発明では、前記チョコレートパウダーの総油脂含有量が25%以下であり、好ましくは15%~25%であり、より好ましくは20%~23%である。本発明の凍結乾燥チョコレートは油脂含有量が低いため、消費者がチョコレート製品を楽しみながら、従来のチョコレートと比較して、ほぼ40%~50%の油脂の摂取を削減する。
【0021】
本発明では、前記チョコレートパウダーの原料は食品グレードの原料であり、前記チョコレートパウダーの原料は、好ましくは、脂質類物質、低油脂類物質及び非脂質類物質を含み、より好ましくは、前記チョコレートパウダーの原料は、乳化剤及びエッセンス香料をさらに含む。
【0022】
本発明では、前記脂質類物質は、植物及び動物の脂質類物質を含むが、これらに限定されず、好ましくは、ココアバター、植物油及び乳脂のうちの1種又は複数種を含む。
【0023】
本発明では、前記低油脂類物質及び非脂質類物質は、植物及び動物由来の物質又は混合物質を含み、好ましくは、ココアパウダー、ココアリカー、粉乳、糖、シロップ、デンプン、ナッツ、果物、野菜及び繊維のうちの1種又は複数種を含み、より好ましくは、機能性物質をさらに含み、前記機能性物質は、好ましくはビタミン及び/又はプロバイオティクスを含み、前記機能性物質は、本発明の凍結乾燥チョコレートを機能性チョコレート又は薬食同源又は治療作用を有する凍結乾燥チョコレートにすることができる。
【0024】
本発明では、前記チョコレートパウダーは、好ましくは、以下の方法で製造される。
【0025】
チョコレートパウダーの原料を混合し、チョコレート混合材料を得て、前記チョコレート混合材料を粉砕し、チョコレートパウダーを得る。
【0026】
本発明では、前記チョコレートパウダーの原料を混合することは、好ましくはミキサーを用いて行い、前記混合の温度は、好ましくは45~55℃であり、より好ましくは50℃であり、投入が完了した後、混合の時間は、好ましくは5~30minであり、より好ましくは10~20minであり、前記混合の順序は、好ましくはチョコレートパウダーの原料中の油脂を溶融してから他の原料を混合することを含む。
【0027】
本発明では、前記チョコレートパウダーは、好ましくはロール粉砕又はジェットミル粉砕により得られ、前記ロール粉砕に使用される装置は、好ましくは、直列に接続された2台の3本ロールリファイナー又は6本ロールリファイナー、又は5本ロールリファイナーを含む。本発明では、前記3本ロールリファイナーは、好ましくは、特許番号ZL202120807255.4における3本ロールリファイナーである。本発明では、前記6本ロールリファイナーは、好ましくは、特許番号202023273023.Xの中国特許における6本ロールリファイナーである。
【0028】
本発明の具体的な実施過程では、チョコレート混合材料をロールミルのホッパーに投入し、ロールミルを起動し、自動又は半自動モードで、チョコレート混合材料を粒度が35μm以下のチョコレートパウダーに粉砕し、収集する。
【0029】
本発明では、前記チョコレートパウダーは、好ましくは、中国特許ZL 201910303370.5の製造方法で製造され、前記製造方法は、混合及び粉砕を含む。
【0030】
本発明では、前記溶媒は食品グレードの溶媒であり、前記溶媒は、好ましくは、水、牛乳、食用繊維、乳化剤及びコロイドのうちの1種又は複数種を含み、前記溶媒は、好ましくは、色素及び/又はエッセンスをさらに含む。
【0031】
本発明では、食用繊維、コロイド及び乳化剤の作用は、保護剤として凍結乾燥チョコレートの内部構造強度を高め、凍結乾燥チョコレートの外形状態を保護し、凍結乾燥過程でチョコレートがそのあるべき形態又は形状を失うリスクを低下させ、官能的品質を向上させることである。
【0032】
本発明では、前記溶媒の水分含有量は、好ましくは、溶媒重量比の90%~100%であり、より好ましくは溶媒重量比の95%である。
【0033】
本発明では、前記溶媒のチョコレート溶液における重量比は、好ましくはチョコレート溶液の重量の10%~80%であり、より好ましくは、チョコレート溶液の重量の20%~50%である。
【0034】
溶媒が混合溶媒である場合、チョコレートパウダーと溶媒を混合する前に、好ましくは、溶媒を混合及び剪断乳化することをさらに含む。溶媒を混合及び剪断乳化する時、高剪断乳化の速度は、好ましくは1000~3000rpmであり、時間は、好ましくは3~5minである。
【0035】
チョコレートパウダーと溶媒を混合することは、好ましくは、チョコレートパウダーを溶媒に加えること、より好ましくは、前記チョコレートパウダーを溶媒に徐々に加えることを含む。
【0036】
本発明はチョコレートパウダーと溶媒を混合及び剪断乳化し、前記剪断乳化の速度は、好ましくは5000~6000rpmであり、時間は、好ましくは5~20minであり、チョコレート溶液が完全に乳化することを基準とする。
【0037】
本発明では、前記高剪断乳化は、好ましくは、高剪断乳化機を用いて行い、前記高剪断乳化機は、好ましくはジャケット構造であり、より好ましくは、溶液製造中にチョコレート溶液の温度を制御するための加熱及び冷却水システムを備える。
【0038】
本発明の具体的な実施過程では、溶媒の原料を高剪断乳化機に加え、高剪断乳化機を起動し、溶媒を製造し、さらにチョコレートパウダーを、完全に乳化したチョコレート溶液が得られるまで、高剪断乳化機に徐々に加える。
【0039】
チョコレート溶液を得た後、本発明は、前記チョコレート溶液を順に型に注入し、凍結成型し、凍結乾燥させ、離型し、凍結乾燥チョコレートを得る。
【0040】
本発明では、前記型に注入することは、チョコレート溶液を型に注入し、好ましくは、チョコレート溶液を型の凹部に注入することである。
【0041】
本発明では、前記凍結乾燥チョコレートは、好ましくはサンドイッチ構造であり、又はサンドイッチ構造に製造することができ、例えば、それぞれホワイトチョコレート溶液及びダークチョコレート溶液を製造し、ワンショットデポジッター(One-shot deposititor)でホワイトチョコレート溶液をダークチョコレート溶液に包み、凍結及び凍結乾燥プロセスを経て、サンドイッチ構造の凍結乾燥チョコレートを製造する。
【0042】
本発明では、前記型に注入する回数は、好ましくは、2回以上であり、前回型に注入した後、表面まで予備凍結され、又は固体状態に完全に凍結された後、その上で次回の型への注入を行う。本発明では、2回以上型に注入して得られた凍結乾燥チョコレートは多層構造である。
【0043】
本発明では、前記表面にシート層を形成することは、好ましくは、次の溶液を支持するのに十分な固体氷上表面を形成することである。
【0044】
本発明では、前記予備凍結の作用は、良好な多孔質の形状、サイズ、数量及び分布を得ることであり、型の凹部に注入されたチョコレート溶液の表面にシート層を形成し、他の食品グレードの物質の添加を容易にすることもであり、前記食品グレードの物質は、チョコレート溶液又はチョコレート以外の他の食品グレードの物質の溶液を含む。
【0045】
本発明では、予備凍結されたチョコレート溶液の表面に他の食品グレードの原料又は他の食品原料を添加して製造されたソース又はペーストは、凍結乾燥チョコレートの装飾層とすることができ、多層構造を構成することもでき、例えば、2種類の異なるチョコレートは二層構造の凍結乾燥チョコレート又はサンドイッチ構造の凍結乾燥チョコレートを構成する。
【0046】
本発明では、多層構造を構成する各層は、同じであってもよいし、色、風味、厚さ、密度、空洞構造、口当たり特徴及び味わい特性が異なるものであってもよい。本発明の多層構造は、異なる配合、異なる風味、異なる添加物、異なる微細孔構造及び密度であってもよく、1つの凍結乾燥チョコレートは、複数の口当たり及び複数の風味の楽しみを消費者にもたらすことができる。
【0047】
本発明では、様々な風味及び口当たりを有する凍結乾燥チョコレートを得るために、異なるチョコレート溶液を複数回の型への注入に用いることができる。
【0048】
型に注入する前又は後、本発明は、好ましくは、型の凹部及び/又はチョコレート溶液に添加物を加えることをさらに含み、前記添加物はナッツ、穀物、野菜及び果物のうちの1種又は複数種を含む。
【0049】
本発明では、前記添加物の原料の状態は特に制限されず、新鮮な原料、乾燥粉末、溶液又は型の凹部のサイズ未満の粒子を含むが、これらに限定されない。
【0050】
本発明では、前記凍結成型は、好ましくは単独の凍結機を用いて凍結すること及び1台の凍結乾燥機内で凍結することを含み、より好ましくは凍結機を用いて行い、前記凍結成型は、固体氷状態を形成することを基準とし、前記凍結成型の温度は、好ましくは、-10~-40℃であり、本発明では、前記凍結成型の速度は特に制限されない。本発明では、前記凍結成型は、好ましくは、順に行われる予備凍結及び深凍結を含み、本発明では、前記予備凍結の回数は特に制限されない。
【0051】
本発明では、前記凍結乾燥は、好ましくは、凍結乾燥機を用いて行い、前記凍結乾燥は真空凍結乾燥であり、前記凍結乾燥の作用は、凍結されたチョコレート溶液中の水分を昇華及び真空抽出によって除去することであり、前記凍結乾燥は、チョコレートに加えられた活性機能物質の機能と活性を最大限に保留・保持することができる。
【0052】
本発明では、前記離型とは、凍結乾燥チョコレートを型から離型して取り出すことである。
【0053】
本発明は、凍結乾燥チョコレートへの外側保護層の添加を選択してもしなくてもよく、凍結乾燥チョコレートへの外側保護層の添加を選択した場合、離型前及び離型後、凍結乾燥チョコレートに外側保護コーティングを添加することができる。
【0054】
本発明では、前記凍結乾燥チョコレートに外側保護層を添加する実施方法は、好ましくは、スプレー、シャワー又はローラーコーティングを含む。
【0055】
本発明では、前記保護層の構成原料は、単一構成又は混合して製造された食品グレードの油脂及びコロイドを含むが、これらに限定されない。
【0056】
本発明の製造方法で製造された凍結乾燥チョコレートは、油脂含有量が低く、多孔質構造の特徴を有し、口腔内で素早くシルクのように滑らかに溶融することができ、また熱安定性が高く、65℃の高温でも包装物に粘着し、製品が変形しない。
【0057】
本発明は、上記解決手段に記載の製造方法で製造された凍結乾燥チョコレートをさらに提供し、前記凍結乾燥チョコレートは、65以下の条件下で包装物に粘着、溶融及び/又は変形しない。
【0058】
本発明に記載の凍結乾燥チョコレートは、従来のコンビニエンススナックのサクサクした口当たりを有するだけでなく、携帯性にも優れ、旅行、お茶会及びお祭りの場合に適し、重荷を負い、溶融し、包装及び手に粘着する等の問題の発生を心配する必要がない。本発明の凍結乾燥チョコレートは、内部が多孔質構造であるため、再水和に非常に有益であり、「水に溶融しやすい」及び「食べても浸かってもよい」の多機能コンビニエンスフードとなる。
【0059】
以下、本発明における実施例を参照しながら、本発明における技術的解決手段を明確かつ完全に説明する。
【0060】
実施例1
【0061】
ココア含有量60%のブロック型凍結乾燥ダークチョコレート
【0062】
ダークチョコレートパウダーの配合(重量比で)は、白砂糖40%、ココアパウダー37%、ココアリカー15%、ココアバター8%である。
【0063】
ダークチョコレートパウダーの総油脂含有量(計算値)は、19.2%である。
【0064】
チョコレート溶液を製造する溶媒の配合(重量比で)は、純水95%、新鮮な牛乳5%である。
【0065】
そのチョコレート溶液の構成(重量比で)は、溶媒70%、ダークチョコレートパウダー(溶質)30%である。
【0066】
その製造方法は以下のステップを含む。
【0067】
a)パウダー製造:油脂溶融装置内で配合比率に応じてココアバター及びココアリカーを溶融し、ミキサーのジャケット水を40~50℃に設定した。まず、溶融したココアバター及びココアリカーを投入し、ミキサー本体を起動し、配合に応じて他のパウダー材料をミキサーに順次加え、材料の添加が完了した後、完全に混合されたチョコレート混合材料が得られるまで、ミキサーを10~20min運転し続けた。
【0068】
チョコレート混合材料を1台目の3本ロールミルのホッパーに投入し、直列に接続された1台目及び2台目の3本ロールミルの圧力を2~4Barに設定し、速度を100rpmに設定し、運転状態を自動運転に設定し、この直列に接続された2台の3本ロールミルにより、チョコレート混合材料をダークチョコレートパウダーに粉砕し、チョコレートパウダーの粒径が35μm以下に達した。その後、粉砕したダークチョコレートパウダーを収集した。本実施例で使用される3本ロールミルは、中国特許、特許番号ZL 2021.2.0807255.4の3本ロールミルである。
【0069】
b)溶液製造:溶媒の配合に応じて、まず、純水を高剪断乳化機(広州従化新科軽化学設備場、JRH-1100S)に加え、さらに新鮮な牛乳を加え、乳化機を起動して3000rpmの回転速度で5min運転し、溶媒を製造した。チョコレート溶液の配合に応じて、ダークチョコレートパウダーを徐々に加え、完全に乳化されたチョコレート溶液が製造されるまで、乳化機の回転速度を6000rpmに設定して5min運転し、さらに3000rpmの回転速度で5min運転した。溶液を製造する過程で、乳化機の乳化タンクのジャケット水の温度を30℃に保持した。
【0070】
c)型への注入:チョコレート溶液をチョコレートテンプレートのチョコレート型の凹部に注入し、単一の型の凹部のサイズは15×15×15mmであり、余分なチョコレート溶液を掻き取った。
【0071】
凍結:凍結庫の温度を-40℃に設定し、温度に達した後、チョコレートテンプレートを凍結庫内に入れ、チョコレート溶液が氷塊に完全に凍結するまで、4~8h凍結した。
【0072】
d)乾燥:凍結されたチョコレート溶液、即ち温度が-40℃のチョコレート氷塊を、テンプレートと共に凍結乾燥機(南京研沃生物科技、YTLG50F)に入れ、昇華温度を30℃、真空度を30Pa、乾燥時間を12hに設定した。
【0073】
e)離型:チョコレートテンプレートを取り出し、凍結乾燥チョコレートの離型を行い、凍結乾燥チョコレート塊を型から離型した。
【0074】
本実施例の凍結乾燥チョコレート塊の水分は1.1%であった。
【0075】
口当たり特徴:凍結乾燥処理により、製造された凍結乾燥ダークチョコレート塊はサクサクした口当たりを有し、同時に、噛む必要なく口腔内3~5s以内に素早く崩壊し、同時に、それは測定値が19.5%の油脂含有量及び制御された35μm以下の粒子粒径を含むため、口腔内でシルクのように滑らかな味わい特性を提供した。
【0076】
熱安定性試験:製品をアルミフィルム袋にそれぞれ1粒、2粒密封包装し、恒温槽内に置き、温度65℃の条件下で2日間(48h)放置し、包装物に粘着し、製品同士が粘着し、製品が崩壊した現象は見られず、かつ製品の口当たり特徴は変化しなかった。
【0077】
実施例2
【0078】
モカ風味の凍結乾燥チョコレート塊
【0079】
モカ風味のチョコレートパウダーの配合は、白砂糖35%、ココアリカー25%、ココアバター6%、ココアパウダー17%、全脂粉乳10%、コーヒーパウダー7%である。チョコレートパウダーの総油脂含量は、約23%である。
【0080】
溶媒の配合は、純水100%である。
【0081】
チョコレート溶液の配合は、溶媒60%、チョコレートパウダー40%である。
【0082】
その製造方法は以下のステップを含む。
【0083】
a)パウダー製造:油脂溶融装置内で配合比率に応じてココアバター及びココアリカーを溶融し、ミキサーのジャケット水を40~50℃に設定した。まず、溶融したココアバター及びココアリカーを投入し、ミキサー本体を起動し、配合に応じて他のパウダー材料をミキサーに順次加え、材料の添加が完了した後、完全に混合されたチョコレート混合材料が得られるまで、ミキサーを20min運転し続けた。チョコレート混合材料を6本ロールリファイナーのホッパー内に投入した。6本ロールリファイナーを自動運転モードに設定し、6本ロールリファイナーを起動し、チョコレート混合材料をモカ風味のチョコレートパウダーに粉砕し、その粒径が30μm以下であり、6本ロールリファイナーの排出ベルトからモカ風味のチョコレートパウダーを収集した。
【0084】
本実施例で使用される6本ロールリファイナーは、中国特許、特許番号202023273023.Xに記載されている6本ロールリファイナーである。
【0085】
b)溶液製造:チョコレート溶液の配合比率に応じて、純水を高剪断ミキサーに加え、この高剪断ミキサーは乳化ヘッドを備え、そのジャケット水の温度を50℃に設定し、ミキサーを起動し、3000rpmで5min運転し、配合に応じてモカ風味のチョコレートパウダーを徐々に投入し、チョコレートパウダーの投入が完了するまでミキサーを6000rpmで運転し、ミキサーのジャケット水の温度を30℃に設定し、ミキサーの速度を3000rpmに設定し、モカチョコレート溶液が完全に混合及び乳化するまで、さらに5min運転した。
【0086】
c)型への注入:チョコレート溶液をチョコレートテンプレートのサイズが30×30×20mmの凹部に注入し、余分なチョコレート溶液を掻き取った。
【0087】
凍結:チョコレートテンプレートを設定温度-30℃に達した凍結庫内に入れ、チョコレート溶液が固体氷に完全に凍結するまで、10h凍結した。
【0088】
d)乾燥:凍結庫からチョコレート型を取り出し、すぐに凍結乾燥機に入れて凍結乾燥処理を行い、凍結されたチョコレート溶液の温度は約-30°Cであり、加熱プレートの温度は30°Cであり、真空度は20Paであり、乾燥時間は14hであり、モカフ風味の凍結乾燥チョコレートを得た。
【0089】
e)離型:加工されたモカ風味の凍結乾燥チョコレートを型から離型して取り出した。
【0090】
本実施例のモカ風味の凍結乾燥チョコレートの水分含有量は0.5%であった。
【0091】
口当たり特徴:凍結乾燥処理により、製造されたモカ風味の凍結乾燥チョコレート塊はサクサクした口当たりを有し、同時に、噛む必要なく口腔内3~5s以内に素早く崩壊し、同時に、それは測定値が22.5%の油脂含有量及び制御された30μm以下の粒子粒径を含むため、口腔内でシルクのように滑らかな味わい特性を提供した。そのまま食べられるほか、60℃の熱水中で素早く溶融し、モカチョコレートコーヒー飲料を製造できた。
【0092】
熱安定性試験:製品をアルミフィルム袋にそれぞれ1粒、2粒密封包装し、恒温槽内に置き、温度65℃の条件下で48h放置し、包装物に粘着し、製品同士が粘着し、製品が崩壊した現象は見られず、かつ製品の口当たり特徴は変化しなかった。
【0093】
実施例3
【0094】
二層構造の凍結乾燥チョコレート
【0095】
二層構造に製造した2種類のチョコレートパウダーは、実施例1及び実施例2の2種類のチョコレートパウダー、ダークチョコレートパウダー及びモカ風味のチョコレートパウダーである。
【0096】
溶媒の配合は実施例2における溶媒の配合と同じである。
【0097】
溶液の配合は実施例2における溶液の配合と同じである。
【0098】
その製造方法は以下のステップを含む。
【0099】
a)パウダー製造:実施例1及び実施例2における2種類のチョコレートパウダーを収集した。
【0100】
b)溶液製造:実施例2における溶媒の配合と溶液の配合、及びプロセス方法に応じて、2種類のチョコレート溶液、ダークチョコレート溶液及びモカ風味のチョコレート溶液を製造した。
【0101】
c)型への注入:まず、ダークチョコレート溶液を型の凹部の半分の高さまで注入し、型の凹部のサイズは30×30×20mmである。型を設定温度-30℃に達した凍結庫に入れ、チョコレート溶液の頂部の硬度がモカ風味のチョコレート溶液を支持するのに十分になるまで、1~3h凍結した。
【0102】
型の凹部が満たされるまで、モカ風味のチョコレート溶液を型の凹部に注入した。
【0103】
型を設定温度-40°Cに達した凍結庫に入れ、チョコレート溶液が完全に凍結成型されるまで、10h凍結した。
【0104】
d)乾燥:型を凍結庫から取り出し、すぐに凍結乾燥機に入れ、凍結されたチョコレート溶液の温度は-40℃であり、加熱プレートの温度は40℃であり、真空度は15Paであり、乾燥時間は14hであり、二層構造の凍結乾燥チョコレートを得た。
【0105】
e)離型:チョコレートを型から離型して取り出した。
【0106】
本実施例における二層構造の凍結乾燥チョコレートの水分含有量は0.8%であった。
【0107】
外観特徴:製品の側面から見ると、二層構造を呈している。
【0108】
口当たり特徴:凍結乾燥処理により、製造された二層構造の凍結乾燥チョコレートはサクサクした口当たりを有し、同時に、噛む必要なく口腔内3s以内に口腔内の唾液を吸収して素早く崩壊し、同時に、それは測定値が21.4%の油脂含有量及び制御された35μm以下の粒子粒径を含むため、口腔内でシルクのように滑らかな味わい特性を提供した。ダークチョコレートパウダー及びモカ風味のチョコレートパウダーの2種類の風味のチョコレートパウダーからなる二重構造により、二重のチョコレートの風味の楽しみを提供した。
【0109】
熱安定性試験:製品をアルミフィルム袋にそれぞれ1粒、2粒密封包装し、恒温槽内に置き、温度65℃の条件下で48h放置し、包装物に粘着し、製品同士が粘着し、製品が崩壊した現象は見られず、かつ製品の口当たり特徴は変化しなかった。
【0110】
実施例4
【0111】
サンドイッチ構造の凍結乾燥チョコレート
【0112】
サンドイッチ構造を構成するために本実施例で使用される2種類のチョコレートパウダーは、実施例1及び実施例2における2種類のチョコレートパウダー、ダークチョコレートパウダー及びモカ風味のチョコレートパウダーである。
【0113】
溶媒の配合は実施例2と同じである。
【0114】
溶液の配合は実施例2と同じである。
【0115】
その製造方法は以下のステップを含む。
【0116】
a)パウダー製造:実施例1及び実施例2における2種類のチョコレートをそれぞれ収集した。
【0117】
b)溶液製造:実施例2における溶液の配合及びプロセス方法を用いて、それぞれダークチョコレート溶液及びモカチョコレート溶液を製造した。
【0118】
c)型への注入と凍結:ダークチョコレート溶液を型の凹部の1/3の高さまで型に注入し、凹部のサイズは30×30×30mmである。
【0119】
型を-30°Cに設定した凍結庫に入れ、ダークチョコレート溶液の頂部が硬くなるまで、1~3h凍結した。
【0120】
型を凍結庫から取り出し、モカ風味のチョコレート溶液を型の凹部の2/3の高さまで注入し、さらに型を凍結庫内に入れて1h凍結した。
【0121】
型を凍結庫から再び取り出し、型の凹部が満たされるまで、ダークチョコレート溶液を注入した。
【0122】
型を設定温度-40℃に達した凍結庫に入れ、全てのチョコレート溶液が完全に凍結成型されるまで、10h凍結した。
【0123】
d)乾燥:凍結庫からチョコレート型を取り出し、すぐに凍結乾燥機に入れて乾燥処理を行い、凍結されたチョコレート溶液の温度は-40℃であり、加熱プレートの温度は40℃であり、真空度は15Paであり、乾燥時間は14hであり、サンドイッチ構造の凍結乾燥チョコレートを得た。
【0124】
e)離型:サンドイッチ構造の凍結乾燥チョコレート製品を型から離型して取り出した。
【0125】
本実施例における凍結乾燥チョコレートの水分含有量は0.8%であった。
【0126】
外観特徴:製品の側面から見ると、サンドイッチ構造の外観特徴を呈している。
【0127】
口当たり特徴:凍結乾燥処理により、製造されたサンドイッチ構造の凍結乾燥チョコレートはサクサクした口当たりを有し、同時に、噛む必要なく口腔内3~5s以内に口腔内の唾液を吸収して素早く崩壊し、同時に、それは測定値が21.4%の油脂含有量及び制御された35μm以下の粒子粒径を含むため、口腔内でシルクのように滑らかな味わい特性を提供した。2種類の風味のチョコレートからなるサンドイッチ構造により、二重の風味の楽しみを提供した。
【0128】
熱安定性試験:製品をアルミフィルム袋にそれぞれ1粒、2粒密封包装し、恒温槽内に置き、温度65℃の条件下で48h放置し、包装物に粘着し、製品同士が粘着し、製品が崩壊した現象は見られず、かつ製品の口当たり特徴は変化しなかった。
【0129】
実施例5
【0130】
ナッツ添加物を含む凍結乾燥チョコレート
【0131】
本実施例で食べるチョコレートパウダーは、実施例1と同じである。
【0132】
本実施例における溶媒の配合は、実施例1と同じである。
【0133】
溶液の配合は、溶液70%、チョコレートパウダー27%、砕いたピーナッツ3%である。
【0134】
砕いたピーナッツのサイズは0.2~0.5mmであり、アーモンドは全粒アーモンドである。
【0135】
その製造方法は以下のステップを含む。
【0136】
a)パウダー製造:チョコレートパウダーは実施例1に由来した。
【0137】
b)溶液製造:配合に応じて水及び新鮮な牛乳を高剪断乳化機に加え、3000rpmの速度で5min運転し、乳化機の速度を6000rpmに設定し、配合中のチョコレートパウダーを徐々に加え、材料の添加が完了した後、3000rpmまで減速し、砕いたピーナッツを加え、砕いたピーナッツ入りチョコレート溶液が完全に乳化するまで、5min運転した。この間、乳化機のジャケット水の温度を30℃に保持した。
【0138】
c)型への注入:チョコレート溶液をチョコレート型の凹部に注入し、凹部のサイズは20×20×15mmである。
【0139】
全粒アーモンドが型の凹部内のチョコレート溶液に完全に嵌まり込まないように、1つの凹部につきアーモンド(バダーム)1粒を嵌め込んだ。
【0140】
テンプレートを設定温度-30°Cに達した凍結庫に入れ、チョコレート溶液が完全に凍結成型されるまで、8h凍結した。
【0141】
d)乾燥:凍結庫からチョコレート型を取り出し、凍結されたチョコレート溶液の温度は約-30℃であり、型を凍結乾燥機に入れ、加熱プレートの温度は40℃であり、真空度は15Paであり、総乾燥時間は14hであり、添加物入り凍結乾燥チョコレートを得た。
【0142】
e)離型:凍結乾燥チョコレート製品を型から離型して取り出した。
【0143】
外観特徴:上から見ると、チョコレートに完全に嵌め込まれていない完全なアーモンドが見え、一定の視覚的インパクトを消費者にもたらし、製品の特性識別度を向上させた。
【0144】
口当たり特徴:製品に砕いたピーナッツ及び整粒アーモンドを加え、消費者がアーモンド及び砕いたピーナッツを噛む時、同時に本実施例における凍結乾燥ダークチョコレート塊がサクサクした口当たりを有し、素早く崩壊し、シルクのように滑らかに溶融する味わい特性を有するため、より心地よい味わいの楽しみ及び様々な風味の楽しみを消費者にもたらした。
【0145】
熱安定性試験:製品をアルミフィルム袋にそれぞれ1粒、2粒密封包装し、恒温槽内に置き、温度65℃の条件下で48h放置し、包装物に粘着し、製品同士が粘着し、製品が崩壊した現象は見られず、アーモンドが脱落又は剥離した現象も見られず、かつ製品の口当たり特徴は変化しなかった。
【0146】
実施例6
【0147】
シュレッドチーズ入りチーズ風味の凍結乾燥ミルクチョコレート
【0148】
ミルクチョコレートパウダーの配合は、白砂糖35%、ココアパウダー17%、ココアリカー10%、ココアバター15%、全脂粉乳10%、ホエイパウダー12.8%、食用塩0.2%、ミルクチョコレートパウダーの総脂肪含有量は約24.5%である。
【0149】
溶媒の配合は、水70%、チーズパウダー29.7%、チーズエッセンス0.3%である。
【0150】
チョコレート溶液の配合は、溶媒70%、チョコレートパウダー30%である。
【0151】
シュレッドチーズのサイズは1~2cmである。
【0152】
a)パウダー製造:チョコレートパウダーの配合におけるココアバターとココアリカーの比率に応じて、油脂溶融装置でココアバター及びココアリカーを溶融し、さらにチョコレートパウダーの配合に応じて、適量のココアバター及びココアリカーをミキサーに加え、ミキサーのジャケット水の温度は40~50℃である。チョコレートパウダーの配合における他のパウダー材料を加え、材料を20min混合し、混合したチョコレート混合材料を微粉砕ラインの2本ロールミルのホッパー内に投入し、この微粉砕ラインは1台の2本ロールミルと1台の5本ロールミルが直列に接続されて構成される。自動運転モードでは、微粉砕ラインを起動し、チョコレート混合材料を粒径が25μm以下のミルクチョコレートパウダーに粉砕し、5本ロールミルの排出ベルトにミルクチョコレートパウダーを収集した。
【0153】
b)溶液製造:配合に応じて、水及びチーズパウダーを乳化ヘッド付きの高剪断乳化機に加え、速度を3000rpmに設定して、5min運転した。機械の速度を6000rpmに設定し、チョコレート溶液の配合に応じて、対応するミルクチョコレートパウダーを乳化機に徐々に加え、材料の添加が完了した後、5min運転し続けた。乳化機を3000rpmに設定し、チーズエッセンスを加え、5min運転し、チーズ風味のミルクチョコレート溶液を得た。溶液製造過程で、乳化機のジャケット水の温度を30℃に制御した。
【0154】
c)型への注入と凍結:型への注入:チーズ風味のミルクチョコレート溶液を型の凹部に注入し、凹部のサイズは15×15×15mmである。
【0155】
型の凹部に注入されたチョコレート溶液に、1つの凹部つきにシュレッドチーズを3粒入れ、シュレッドチーズをチョコレート溶液に部分的に嵌め込んだように型を振動させた。
【0156】
凍結:型を設定温度30°Cに達した凍結庫内に入れ、チョコレート溶液が完全に凍結するまで、8h凍結した。
【0157】
d)乾燥:型を凍結庫から取り出し、すぐに凍結乾燥機に入れ、凍結された約-30℃のチーズ風味のミルクチョコレート溶液を凍結乾燥させ、加熱プレートの温度は40℃であり、真空度は15Paであり、総乾燥時間は16hであり、シュレッドチーズ入りチーズ風味の凍結乾燥ミルクチョコレートを得た。
【0158】
e)シュレッドチーズ添加物入り凍結乾燥ミルクチョコレート製品を型から離型して取り出した。
【0159】
外観特徴:上から見ると、チョコレート塊の上面のシュレッドチーズを明らかに見ることができ、製品に明らかな味のシンボルを与え、一定の視覚的インパクトを消費者にもたらし、製品の特性識別度を向上させた。
【0160】
口当たり特徴:本実施例における凍結乾燥ミルクチョコレート塊はサクサクした口当たりを有し、素早く崩壊し、シルクのように滑らかに溶融するという味わい特性を有し、より心地よい口当たりの楽しみを消費者にもたらし、チョコレート溶液にチーズパウダー及びチーズエッセンスを加え、豊かなチーズ風味及びミルクチョコレート風味の二重の風味を提供し、同時にシュレッドチーズを加えることにより、消費者が噛んだ時の実物感及び豊かなチーズ風味の楽しみを増加させた。
【0161】
熱安定性試験:製品をアルミフィルム袋にそれぞれ1粒、2粒密封包装し、恒温槽内に置き、温度65℃の条件下で48h放置し、チョコレートが包装物に粘着し、製品同士が粘着し、製品が崩壊した現象が見られず、かつ製品の口当たり特徴は変化せず、シュレッドチーズが脱落又は剥離した現象も見られず、唯一の欠点は、高温で、シュレッドチーズに変色現象がわずかに発生したが、口当たり全体に影響を与えないことである。
【0162】
上記実施例は本発明を詳細に説明したが、それは本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではなく、当業者は進歩性なしに本実施例に基づいて他の実施例を取得することができ、これらの実施例はいずれも本発明の保護範囲に属する。