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特開2024-95933リチウムイオン電池正極材料の品質検査方法
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  • 特開-リチウムイオン電池正極材料の品質検査方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095933
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】リチウムイオン電池正極材料の品質検査方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/58 20100101AFI20240704BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20240704BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20240704BHJP
   H01M 4/485 20100101ALI20240704BHJP
【FI】
H01M4/58
H01M4/525
H01M4/505
H01M4/485
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091442
(22)【出願日】2023-06-02
(31)【優先権主張番号】111150608
(32)【優先日】2022-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】517232729
【氏名又は名称】台湾立凱電能科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Advanced Lithium Electrochemistry Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 2-1, Singhua Rd., Taoyuan Dist., Taoyuan City,330,Taiwan,
(74)【代理人】
【識別番号】100185694
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 隆志
(72)【発明者】
【氏名】廖永綜
(72)【発明者】
【氏名】鄭育純
(72)【発明者】
【氏名】郭旗煌
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA02
5H050AA07
5H050AA08
5H050AA12
5H050AA15
5H050AA19
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA07
5H050CA08
5H050CA09
5H050GA10
5H050GA28
5H050HA00
5H050HA01
(57)【要約】
【課題】リチウムイオン電池正極材料の品質検査方法を提供する。
【解決手段】
リチウムイオン電池正極材料の品質検査方法は、検査する正極材料粉末を界面活性剤溶液に加え、撹拌混合して正極材料混合溶液を形成するステップと、前記正極材料混合溶液をボールミルに入れ、ボールミルを回転させて前記正極材料粉末を前記正極材料混合溶液中に凝集のない分散状態に維持するステップと、前記正極材料混合液を200メッシュのフィルタで濾過し、フィルタを通過しなかった第1残渣の重量が第1閾値よりも大きいかどうかを測定するステップと、前記正極材料混合液を420メッシュのフィルタで濾過し、フィルタを通過しなかった第2残渣の重量が第2閾値よりも大きいかどうかを測定するステップと、前記第2残渣を分析方法で分析し、複数の金属元素が複数の限界値を超えているかどうかを確認するステップと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査する正極材料粉末を界面活性剤溶液に加え、撹拌混合して正極材料混合溶液を形成するステップと、
前記正極材料混合溶液をボールミルに入れ、ボールミルを回転させて前記正極材料粉末を前記正極材料混合溶液中に凝集のない分散状態に維持するステップと、
前記正極材料混合液を200メッシュのフィルタで濾過し、フィルタを通過しなかった第1残渣の重量が第1閾値よりも大きいかどうかを測定するステップと、
前記正極材料混合液を420メッシュのフィルタで濾過し、フィルタを通過しなかった第2残渣の重量が第2閾値よりも大きいかどうかを測定するステップと、
前記第2残渣を分析方法で分析し、複数の金属元素が複数の限界値を超えているかどうかを確認するステップと、
を含む、リチウムイオン電池正極材料の品質検査方法。
【請求項2】
前記界面活性剤溶液は、非イオン性界面活性剤の水溶液である請求項1に記載のリチウムイオン電池正極材料の品質検査方法。
【請求項3】
前記非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(polyoxyethylene lauryl ether)、ポリオキシプロピレンラウリルエーテル(polyoxypropylene lauryl ether)、又はポリオキシエチレン‐ポリオキシプロピレンラウリルエーテル(polyoxyethylene- polyoxypropylene lauryl ether)を含む請求項2に記載のリチウムイオン電池正極材料の品質検査方法。
【請求項4】
前記分析方法は、誘導結合プラズマ発光分析法である請求項1に記載のリチウムイオン電池正極材料の品質検査方法。
【請求項5】
前記正極材料は、リン酸鉄リチウム(LiFePO、LFP)、コバルト酸リチウム(LCO)、三元材料(NCM)、マンガン酸化リチウム(LMO)、チタン酸リチウム(LiTi12、LTO)及びニッケルマンガン酸化リチウム(LNMO)を含む請求項1又は3に記載のリチウムイオン電池正極材料の品質検査方法。
【請求項6】
前記正極材料混合液は、30重量%の正極材料粉末を含む請求項1~3のいずれかに記載のリチウムイオン電池用正極材料の品質検査方法。
【請求項7】
前記金属元素は、ナトリウム、ニッケル、銅、マグネシウム、クロム、マンガン、カルシウム及び亜鉛を含む請求項1又は4に記載のリチウムイオン電池正極材料の品質検査方法。
【請求項8】
前記限界値は、前記第2残渣中の複数の前記金属元素の濃度限界値と、前記正極材料粉末中の複数の前記金属元素の濃度限界値とを含む請求項1又は4に記載のリチウムイオン電池正極材料の品質検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、品質検査方法、特に電池材料の品質検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池は、高性能な電池であり、軽量、高エネルギー密度、高電圧、低自己放電率及び長いサイクル寿命等の利点によって様々な分野に広く応用されている。例えば、携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラ、電動工具及び電気自動車などのコンシューマ電子製品に広く使用され、安定した電力供給を提供するために用いられる。また、リチウムイオン電池は、太陽光や風力発電システムなどのエネルギー貯蔵の分野でも、太陽光や風力エネルギーから変換された電気エネルギーを貯蔵するために使用される。そのうち、正極材料は、リチウムイオン電池において重要な役割を担い、リチウムイオン電池が充電を行う時、正極材料にリチウムイオンが蓄えられ、放電する時、正極材料からリチウムイオンが正極材料から放出され、電池に電気エネルギーを供給する。従って、正極材料の品質は、リチウムイオン電池の性能と寿命にとって非常に重要である。
【0003】
しかし、リチウムイオン電池の製造工程において、正極材料の原料や製造過程において、金属残渣、油分、塵埃等の不純物が混入する場合がある。これらの不純物は、電池の性能に影響を与え、電池の性能低下や寿命の短縮を引き起こし、更には、使用上の危険を引き起こす可能性がある。また、正極材料の粒径の大きさと分布も、製造されるリチウムイオン電池の性能に影響を及ぼす。しかし、従来の正極材料品質検査方法の多くは、正極材料サンプルを直接酸処理して正極材料中の不純物及び磁性物質の含有量を検出するものであり、このような検査方法は、正極材料の不純物を検出することは容易ではなく、且つ品質管理の標準は一定でなく、一部の検査フローは、非常に煩雑で複雑であり、正極材料の品質が標準を満たしているかどうかを正確かつ迅速に判断することができない。従って、リチウムイオン電池の正極材料を高速、高精度且つ高感度の品質検査方法の開発が関連分野での緊急の目標となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リチウムイオン電池の製造工程において、正極材料に不純物が混入し、電池の性能に影響を与える可能性があるが、従来の正極材料の品質検査方法では、感度が低く且つ大部分のフローが十分に煩雑且つ複雑で、品質管理の標準が一定でなく、正極材料の品質が標準を満たすかを精確に速く判断することができないという問題を解決するため、本発明は、正極材料の品質検査方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が提供する正極材料の品質検査方法は、検査する正極材料粉末を界面活性剤溶液に加え、撹拌混合して正極材料混合溶液を形成するステップと、前記正極材料混合溶液をボールミルに入れ、ボールミルを回転させて前記正極材料粉末を前記正極材料混合溶液中に凝集のない分散状態に維持するステップと、前記正極材料混合液を200メッシュのフィルタで濾過し、フィルタを通過しなかった第1残渣の重量が第1閾値よりも大きいかどうかを測定するステップと、前記正極材料混合液を420メッシュのフィルタで濾過し、フィルタを通過しなかった第2残渣の重量が第2閾値よりも大きいかどうかを測定するステップと、前記第2残渣を分析方法で分析し、複数の金属元素が複数の限界値を超えているかどうかを確認するステップと、を含む。
【0006】
本発明において、前記界面活性剤溶液は、非イオン性界面活性剤の水溶液である。
【0007】
本発明において、前記非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(polyoxyethylene lauryl ether)、ポリオキシプロピレンラウリルエーテル(polyoxypropylene lauryl ether)、又はポリオキシエチレン‐ポリオキシプロピレンラウリルエーテル(polyoxyethylene- polyoxypropylene lauryl ether)を含む。
【0008】
本発明において、前記分析方法は、誘導結合プラズマ発光分析法である。
【0009】
本発明において、前記正極材料は、リン酸鉄リチウム(LiFePO、LFP)、コバルト酸リチウム(LCO)、三元材料(NCM)、マンガン酸化リチウム(LMO)、チタン酸リチウム(LiTi12、LTO)及びニッケルマンガン酸化リチウム(LNMO)を含む。
【0010】
本発明において、前記正極材料混合液は、30重量%の正極材料粉末を含む。
【0011】
本発明において、前記金属元素は、ナトリウム、ニッケル、銅、マグネシウム、クロム、マンガン、カルシウム及び亜鉛を含む。
【0012】
本発明において、前記限界値は、前記第2残渣中の複数の前記金属元素の濃度限界値と、前記正極材料粉末中の複数の前記金属元素の濃度限界値とを含む。
【発明の効果】
【0013】
上記の説明から、本発明が次の利点を有することが分かる。
1.本発明の品質検査方法は、検査する前記正極材料粉末の粒径が40ミクロンを超えている割合が過度に高いか否かを確認し、前記正極材料粉末の粒径が過度に大きいために製造された電池の内部抵抗と熱損失が大きくなって、リチウム電池の寿命、蓄電容量、充放電速度などに影響を与え、更には安全性への懸念も生じさせるという問題を回避することができる。
2.本発明の品質検査方法は、第1回の濾過を経た第2残留物の元素組成を検出することによって、200メッシュのフィルタを使用してより大きな粒径の粒子を除去しているため、検査する前記正極材料粉末の金属不純物を発見する感度を高めることができ、従来の直接サンプリング法と比較して検査する前記正極材料粉末に他の金属不純物があることを発見する能力を大幅に向上させ、品質検出の信頼性を高めることができる。
3.本発明の方法は、正極材料サンプルの複雑な前処理を必要とせず、正極材料が品質標準を満たしているかを迅速かつ精確に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の好適実施形態のステップのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態の技術案をより明確に説明するために、各実施形態の説明に使用する必要がある図面を以下に簡単に紹介する。明らかに、以下の説明における図面は、本発明の一部の例示又は実施形態にすぎず、当業者は、創造的な作業をすることなく、これらの図面に従って他の同様の場合に本発明を適用することもできる。文脈から明らかでない限り、又は別途説明がない限り、図中の同様の部材符号は同様の構造又は動作を表す。
【0016】
本発明及び特許請求の範囲に示すように、文脈が例外を明確に示していない限り、「一」、「1つ」、「1種」又は「前記」等の単語は、特に単数を指すものではなく、複数を含んでもよい。一般的に言えば、「備える」及び「含む」という用語は、明確に識別されたステップ及び要素を含むこと示すのみであり、これらのステップ及び要素は排他的なリストを構成するものではなく、方法又は装置は他のステップ又は要素も含んでもよい。
【0017】
図1は、本発明の実施形態のステップのフローチャートである。本発明の一実施形態は、以下のステップを含む。
【0018】
ステップS10:界面活性剤溶液に検査する正極材料粉末を加えて撹拌混合し、正極材料混合溶液を形成する。前記界面活性剤溶液は、前記正極材料混合溶液の表面張力を大幅に低下させ、正極材料粉末の分散性を向上させることができる。好ましくは、前記界面活性剤溶液は、2重量%の非イオン性界面活性剤を含有する水溶液である。ここで、前記非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(polyoxyethylene lauryl ether)、ポリオキシプロピレンラウリルエーテル(polyoxypropylene lauryl ether)、ポリオキシエチレン‐ポリオキシプロピレンラウリルエーテル(polyoxyethylene-polyoxyethylene lauryl ether)等が挙げられる。ここで、本方法で検出できる正極材料としては、これらに限定するものではないが、リン酸鉄リチウム(LiFePO、LFP)、コバルト酸リチウム(LCO)、三元系材料(NCM)、マンガン酸化リチウム(LMO)、チタン酸リチウム(LiTi12、LTO)、リチウムニッケルマンガン酸化物(LNMO)などが挙げられる。好ましくは、前記正極材料混合液は、30重量%程度の前記正極材料粉末を含む。
【0019】
ステップS20:前記正極材料混合溶液をボールミルに入れ、ボールミリングさせることにより、前記界面活性剤溶液中で前記正極材料粉末に分散かつ凝集しない状態を維持させる。ここで、ボールミリングとは、前記正極材料をボールミルに入れ、ボールミルを粉砕タンク内で回転運動させながら粉砕するプロセスを指す。ボールミルが回転しているとき、ボールミルは、前記正極材料に衝突し続け、力学的作用により前記正極材料粉末を破壊させ、前記正極材料粉末を分散させるという目的を達成する。ボールミリングのプロセスにより、前記正極材料粉末が凝集することなく前記界面活性剤溶液中に分散することができる。
【0020】
ステップS30:前記正極合剤混合液を200メッシュのフィルタで濾過し、フィルタを通過しなかった第1残渣の割合を測定する。ここで、200メッシュは、前記フィルタの孔径約75ミクロンにほぼ相当する。前記正極合剤混合液がフィルタを通過した後、フィルタを通過しなかった第1残渣の重量を測定する。前記第1残留物の重量パーセントが第1閾値よりも大きい場合、このバッチの正極材料の品質は不合格であると判定される。一実施形態では、前記第1閾値は、0.0001であり、即ち、一バッチに5キログラムの前記正極材料粉末を含む前記正極材料混合液をステップS20のフィルタで濾過した後、前記第1残渣の重量が0.005グラムより大きい場合、このバッチの前記正極材料の品質は不合格であると判定される。
【0021】
ステップS40:前記正極材料混合溶液を420メッシュのフィルタで濾過し、フィルタを通過しなかった第2残渣の割合を測定する。ここで、420メッシュは、フィルタの孔径約36ミクロンよりわずかに小さいものにほぼ相当する。前記正極合剤混合液を420メッシュのフィルタを通過させた後、フィルタを通過しなかった前記第2残渣の重量を測定する。前記第2残留物の重量比が第2閾値よりも大きい場合、このバッチの正極材料の品質は不合格であると判定される。実施形態では、一バッチに5キログラムの前記正極材料粉末を含む前記正極材料混合溶液をステップS40のフィルタで濾過した後、前記第2残渣の重量が0.447グラムよりも大きい場合、このバッチの前記正極材料の品質は不合格であると判定される。
【0022】
上記のステップS30及びS40により、検査する前記正極材料粉末の粒径の大きさが仕様を満たしていることを確認し、正極材料粉末の品質を確保することができる。
【0023】
ステップS50:前記第2残渣を分析し、複数の金属元素が複数の限界値を超えているかを確認する。ステップS50では、第2残渣中の複数の金属元素が複数の限界値を超えているかどうかを分析し、検査する正極材料粉末中の複数の金属元素の濃度が限界値を超えていないことを推定し、前記金属元素が、前記正極材料粉末で製造された電池が自己放電やサイクル寿命の低下などの問題を引き起こし、更には安全上の懸念を招く等の問題がないように確保する。ここで、ステップS50で分析される金属元素は、ナトリウム、ニッケル、銅、マグネシウム、クロム、マンガン、カルシウム及び亜鉛を含む。一実施形態では、リン酸鉄リチウム材料が上記ステップS10~ステップS40を経た後、誘導結合プラズマ発光分光分析法(inductively coupled plasma optical emission spectrometry、ICP-OES)により前記リン酸鉄リチウム材料の前記第2残渣の元素組成を分析し、前記リン酸鉄リチウム材料にリン、リチウム及び鉄以外の金属元素が含まれているかどうかを確認する。第2残留物を分析し、複数の金属元素が複数の限界値を超えているかどうかを確認することで前記正極材料粉末中の金属元素を検出する能力を大幅に向上させることができ、上記のステップS30及びステップS40湿式篩分けを行わないと多くの金属元素が粒径の大きな粉末に覆われて識別が困難であり、ステップS30及びステップS40の湿式篩分けによって前記第2残留物を取得して分析することで、前記第2残留物中の金属元素の割合を高めることができるため、金属元素の検出がより容易になる。一実施形態において、前記第2残渣の金属元素の上限値は、以下の[表1]に示すとおりである。
[表1]第2残渣の金属元素の上限値
【表1】
【0024】
本実施形態では、前記正極材料粉末は、[表1]の第2残渣中の金属元素含有量の上限値を満たすことに加え、前記第2残渣中に測定される金属元素含有量も計算して前記正極材料粉末の金属元素含有量を推定する必要があり、前記正極材料粉末の金属元素含有量が各前記金属元素の上限値よりも低くなければならず、そのような正極材料粉末であって初めて品質検査に合格することができる。前記正極材料粉末の金属元素の上限値は、以下の[表2]のとおりである。
[表2]正極材料粉末中の金属元素の上限値
【表2】
【0025】
[表2]より、本発明の方法のステップS50により測定した第2残渣の金属元素値は、極低濃度の正極材料粉末に対応した金属元素値を算出できることが分かり、200メッシュのフィルタを通過するが、前記420メッシュフィルタを通過しない前記第2残渣を検出することによって、各前記金属元素濃度を濃縮させる効果を達成し、多大な労力を費やしたり、崇高な検査設備にアップグレードしたりする必要なく、検査する前記正極材料粉末が含む金属元素の下限値を大幅に向上させ、検査する前記正極材料粉末が厳格な品質管理を満たすように確保し、前記正極材料粉末が高効率且つ安全な電池製造の標準を満たすように確保することができる。
【0026】
前述の説明から本発明が次の効果を達成することが分かる。
1.本発明の品質検査方法は、検査する前記正極材料粉末の粒径が40ミクロンを超えている割合が過度に高いか否かを確認し、前記正極材料粉末の粒径が過度に大きいために製造された電池の内部抵抗と熱損失が大きくなって、リチウム電池の寿命、蓄電容量、充放電速度などに影響を与え、更には安全性への懸念も生じさせるという問題を回避することができる。
2.本発明の品質検査方法は、第1回の濾過を経た第2残留物の元素組成を検出することによって、200メッシュのフィルタを使用してより大きな粒径の粒子を除去しているため、検査する前記正極材料粉末の金属不純物を発見する感度を高めることができ、従来の直接サンプリング法と比較して検査する前記正極材料粉末に他の金属不純物があることを発見する能力を大幅に向上させ、品質検出の信頼性を高めることができる。
3.本発明の方法は、正極材料サンプルの複雑な前処理を必要とせず、正極材料が品質標準を満たしているかを迅速かつ精確に確認することができる。
【0027】
上記の明細書の説明及び詳述に基づき、当業者は、上記の実施形態に変更及び修正を加えることもできることに留意されたい。従って、本開示は、上で開示及び説明した具体的実施形態に限定するものではなく、本開示に対するいくつかの均等の修正及び変更も、本開示の特許請求の範囲の保護範囲内にあるべきである。また、本明細書では一連の特定の用語を使用しているが、これらの用語は説明の便宜のためのみであり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0028】
S10 ステップ
S20 ステップ
S30 ステップ
S40 ステップ
S50 ステップ
図1