(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095935
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】薬剤揮散具
(51)【国際特許分類】
A01M 1/20 20060101AFI20240704BHJP
【FI】
A01M1/20 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102913
(22)【出願日】2023-06-23
(31)【優先権主張番号】P 2022212797
(32)【優先日】2022-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000149181
【氏名又は名称】株式会社大阪製薬
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】池田 直子
(72)【発明者】
【氏名】稲見 浩之
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA12
2B121CA02
2B121CA13
2B121CA29
2B121CA51
2B121CA54
2B121CA59
2B121CA64
2B121CA68
2B121CA75
2B121CA81
2B121CC02
2B121EA05
(57)【要約】
【課題】
蚊、蠅、虻などの害虫に対する防除効果や芳香効果などが大きく変動しないようにするために、内包される薬剤による本体容器や揮散フィルムへの膨潤を低減し薬剤の有効期間を視認しやくすることができる薬剤揮散具を提供することを目的とする。
【解決手段】
薬剤を含浸し、前記薬剤の揮散により視認可能となる標識部11を有する薬剤含浸体1と、厚みが200~5000μmであり、前記薬剤含浸体1を収容する本体容器2と、前記本体容器2の周縁に着止されて前記薬剤含浸体1を封じ、気化した前記薬剤を透過可能でありポリエチレン又はポリプロピレンから選ばれる少なくとも1種の樹脂から形成される揮散フィルム3を備え、前記本体容器2又は前記揮散フィルム3の少なくとも一方において、600nmの光の透過率が10%以上であり、800nmの光の透過率が30%以上である薬剤揮散具により解決することができた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を含浸し、前記薬剤の揮散により視認可能となる標識部を有する薬剤含浸体と、
厚みが200~5000μmであり、前記薬剤含浸体を収容する本体容器と、
前記本体容器の周縁に着止されて前記薬剤含浸体を封じ、気化した前記薬剤を透過可能でありポリエチレン又はポリプロピレンから選ばれる少なくとも1種の樹脂から形成される揮散フィルムを備え、
前記本体容器又は前記揮散フィルムの少なくとも一方において、600nmの光の透過率が10%以上であり、800nmの光の透過率が30%以上であることを特徴とする薬剤揮散具。
【請求項2】
前記薬剤含浸体がシート状又は板状のいずれか一方であり、前記標識部が前記薬剤含浸体の少なくとも1つの面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の薬剤揮散具。
【請求項3】
前記本体容器は、前記薬剤含浸体に近い内側層がポリエチレン又はポリプロピレンから選ばれる少なくとも1種の樹脂から形成され、前記内側層の外側にポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、脂環式オレフィン共重合体、エチレン・ビニル共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂から形成される層を有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の薬剤揮散具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、蚊、蠅、虻などの害虫を防除したり、心を落ち着かせリラックスさせたりするなどの薬剤を空気中に飛散、拡散させるように構成された薬剤揮散具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器に収容された揮発性の薬剤をその容器から徐々に放出して空気中に飛散、拡散させることにより、蚊、蠅、虻などの害虫を死滅、忌避させるなどして防除するための薬剤揮散具が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、トランスフルトリン等の薬効成分とメタノール、エタノールなどのアルコールなどからなる薬剤と、その薬剤を収容するPETなどからなる容器と、直鎖状低密度ポリエチレンなどからなる揮散薬剤透過フィルムからなり、その揮散薬剤透過フィルムからその薬剤が徐々に揮散される薬剤収容具が開示されている。
【0004】
そして、特許文献2には、トランスフルトリンと液状イソパラフィン系炭化水素を含有する薬剤と、その薬剤を収容する透明性を有する樹脂製の容器と、低密度ポリエチレンなどからなる揮散フィルムからなり、その揮散フィルムからその薬剤が徐々に揮散される害虫防除具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-94752号公報
【特許文献2】特開2022-18358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の薬剤収容具や特許文献2の害虫防除具においては、内包される薬剤が液状であることから、薬剤と広い面積に亘って当接しているため薬剤に含有される溶剤により本体容器や揮散フィルムが膨潤するなどして揮散される薬剤の量がばらつくことで、害虫に対する防除効果や芳香効果などが変動するおそれがあり、さらには、液状の薬剤が減少していきほとんどなくなってきたときにすべて揮散したのか少し残っているのかを判別することが難しかった。
【0007】
そこで、本件発明では、蚊、蠅、虻などの害虫に対する防除効果や芳香効果などが大きく変動しないようにするために、内包される薬剤による本体容器や揮散フィルムへの膨潤を低減し薬剤の有効期間を視認しやくすることができる薬剤揮散具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
〔1〕すなわち、本発明は、薬剤を含浸し、前記薬剤の揮散により視認可能となる標識部(11)を有する薬剤含浸体(1)と、厚みが200~5000μmであり、前記薬剤含浸体(1)を収容する本体容器(2)と、前記本体容器(2)の周縁に着止されて前記薬剤含浸体(1)を封じ、気化した前記薬剤を透過可能でありポリエチレン又はポリプロピレンから選ばれる少なくとも1種の樹脂から形成される揮散フィルム(3)を備え、前記本体容器(2)又は前記揮散フィルム(3)の少なくとも一方において、600nmの光の透過率が10%以上であり、800nmの光の透過率が30%以上であることを特徴とする薬剤揮散具である。
【0009】
〔2〕そして、前記薬剤含浸体(1)がシート状又は板状のいずれか一方であり、前記標識部(11)が前記薬剤含浸体(1)の少なくとも1つの面に形成されていることを特徴とする前記〔1〕に記載の薬剤揮散具である。
【0010】
〔3〕そして、前記本体容器(2)は、前記薬剤含浸体(1)に近い内側層(21)がポリエチレン又はポリプロピレンから選ばれる少なくとも1種の樹脂からから形成され、前記内側層の外側にポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、脂環式オレフィン共重合体、エチレン・ビニル共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂から形成される層を有していることを特徴とする前記〔1〕又は前記〔2〕に記載の薬剤揮散具である。
【発明の効果】
【0011】
本件発明によれば、蚊、蠅、虻などの害虫に対する防除効果や芳香効果などが大きく変動しないようにするために、内包される薬剤による本体容器や揮散フィルムへの膨潤を低減し薬剤の有効期間を視認しやくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】本発明の害虫防除具におけるA-A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本件発明の薬剤揮散具に関する実施形態について詳しく説明する。鉛直方向は
図1、
図2における上下方向であり、幅方向は、
図1における左右方向である。なお、説明中における範囲を示す表記「~」のある場合は、上限と下限を含有するものである。
【0014】
本発明の薬剤は、薬剤含浸体に含浸され、本発明の薬剤揮散具の容器を構成する本体容器2と揮散フィルム3によって収容されている。当該薬剤が揮散フィルム3を通じて外部に飛散、拡散される。
【0015】
本発明の薬剤には、防虫や芳香などのための有効成分が含有されており、その他に溶剤などが含有されてもよい。防虫や芳香などのための有効成分としては、例えば、ピレスロイド系化合物、精油、精油成分、香料、殺菌成分などが好ましい。これら有効成分が揮散フィルム3を通じて外部に飛散や拡散されることにより、蚊、蠅、虻などの神経に作用して害虫を死滅や忌避させたり、本発明の薬剤揮散具の周囲にいる人たちの心を落ち着かせリラックスさせたりすることができる。
【0016】
薬剤の有効成分であるピレスロイド系化合物としては、天然ピレスロイドとして、ピレトリンI<(1R,3R)-2,2-ジメチル-3-(2-メチル-1-プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(1S)-2-メチル-4-オキソ-3-(2Z)-2,4-ペンタジエニル-2-シクロペンテン-1-イルエステル>、ピレトリンII<(1R,3R)-3-[(1E)-3-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-1-プロペニル]-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボン酸(1S)-2-メチル-4-オキソ-3-(2Z)-2,4-ペンタジエニル-2-シクロペンテン-1-イルエステル>、シネリンI<(1R,3R)-2,2-ジメチル-3-(2-メチル-1-プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(1S)-3-(2Z)-(2-ブテニル)-2-メチル-4-オキソ-2-シクロペンテン-1-イルエステル>、シネリンII<(1R,3R)-3-[(1E)-3-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-1-プロペニル]-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボン酸(1S)-3-(2Z)-(2-ブテニル)-2-メチル-4-オキソ-2-シクロペンテン-1-イルエステル>、ジャスモリンI<(1R,3R)-2,2-ジメチル-3-(2-メチル-1-プロペニル)シクロプロパンカルボン酸 (1S)-2-メチル-4-オキソ-3-(2Z)-2-ペンテニル-2-シクロペンテン-1-イルエステル>、ジャスモリンII<(1R,3R)-3-[(1E)-3-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-1-プロペニル]-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボン酸 (1S)-2-メチル-4-オキソ-3-(2Z)-2-ペンテニル-2-シクロペンテン-1-イルエステル>、合成ピレスロイドとして、アレスリンI<2,2-ジメチル-3-(2-メチル-1-プロペニル)シクロプロパンカルボン酸2-メチル-4-オキソ-3-(2-プロペニル)-2-シクロペンテン-1-イルエステル>、アレスリンII<3-(3-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-1-プロペニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボン酸2-メチル-4-オキソ-3-(2-プロペニル)-2-シクロペンテン-1-イルエステル>、フタルスリン(別名;D-テトラメトリン)<(1,3-ジオキソ-4,5,6,7-テトラヒドロイソインドリン-2-イル)メチル=2,2-ジメチル-3-(2-メチルプロパ-1-エン-1-イル)シクロプロパン-1-カルボキシラート>、レスメトリン<(5-ベンジル-3-フリル)メチル=2,2-ジメチル-3-(2-メチルプロパ-1-エン-1-イル)シクロプロパンカルボキシラート>、フェノトリン<3-フェノキシベンジル=2-ジメチル-3-(メチルプロペニル)シクロプロパンカルボキシラート>、ペルメトリン<3-フェノキシベンジル=3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシラート>、シフェノトリン<シアノ(3-フェノキシフェニル)メチル=2,2-ジメチル-3-(2-メチルプロパ-1-エン-1-イル)シクロプロパンカルボキシラート>、エトフェンプロックス<4-(4-エトキシフェニル)-4-メチル-1-(3-フェノキシフェニル)-2-オキサペンタン>、メトフルトリン<2,2-ジメチル-3-(プロパ-1-エン-1-イル)シクロプロパンカルボン酸=2,3,5,6-テトラフルオロ-4-(メトキシメチル)ベンジル>、トランスフルトリン<(1R,3S)-3-[(E)-2,2-ジクロロビニル]-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボン酸=2,3,5,6-テトラフルオロベンジル>、シフルトリン<シアノ(4-フルオロ-3-フェノキシフェニル)メチル=3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパン-1-カルボキシラート>、エンペントリン<4-メチルヘプタ-4(E)-エン-1-イン-3-オール>、プロフルトリン<(1R,3R)-2,2-ジメチル-3-[(Z)-1-プロペニル]シクロプロパンカルボン酸2,3,5,6-テトラフルオロ-4-メチルベンジル>などが好ましい。そして、上記のうちペルメトリン、フェノトリン、アレスリン、フタルスリン、レストメトリン、メトフルトリン、トランスフルトリン、エンペントリン、プロフルトリンがより好ましく、さらに、メトフルトリン、トランスフルトリン、エンペントリン、プロフルトリンが最も好ましい。上記のピレスロイド系化合物を防虫のために使用することができる。また、上記のピレスロイド系化合物のうち1種類又は2種類以上のピレスロイド系化合物を配合して薬剤として使用し、薬剤含浸体1に含浸することができる。
【0017】
薬剤の有効成分である精油としては、例えば、グレープフルーツ、ゼラニウム、ローズマリー、アニス、アルモワーズ、イランイラン、オレンジ、カナンガ、カモミール、カルダモン、カユプテ、クラリセージ、コリアンダー、サイプレス、サンダルウッド、シダーウッド、シトロネラ、ジュニパーベリー、ジンジャー、スペアミント、セージ、ティートリー、ナツメグ、ネロリ、パインニードル、バジル、パチョリー、パルマローザ、フェンネル、ブラックペッパー、ペチグレン、ベチバー、ペパーミント,ベルガモット、マージョラム、マンダリン、レモンユーカリ、ユーカリプタス、コパイバ、ライム、ラベンダー、レモン、レモングラス、ローズウッド、月桃葉、桂皮、薄荷などの植物より抽出されたものが好ましい。上記の精油を防虫及び芳香のために使用することができる。そして、これらのうち1種の植物より抽出された精油を配合して、又は2種以上の植物より抽出された精油を配合して薬剤として使用し、薬剤含浸体1に含浸することができる。
【0018】
上記植物から得られる精油には、以下のように揮発性を有する種々の化合物である精油成分が含有されており、精油成分を薬剤の有効成分として使用することもできる。グレープフルーツには、d-リモネン、ミルセン、α-ピネンなどが含有されている。ゼラニウムには、シトロネロール、ゲラニオール、リナロールなどが含有されている。ローズマリーには、α-ピネン、カンファー、1,8-シネオールなどが含有されている。アニスには、(E)-アネトール、リモネン、アニスアルデヒドなどが含有されている。アルモアーズには、1,8-シネオール、ツジョン、ボルネオール、カンファー、ピネン、アルテミシニン(セスキテルペン・ラクトン)リナロール、ネロールなどが含有されている。イランイランには、リナロール、β-カリオレフィン、ゲルマクレンDなどが含有されている。オレンジには、リモネン、ミルセン、β-ビサボレンなどが含有されている。カナンガには、カリオフィレン、酢酸ゲラニル、テルピネオールなどが含有されている。カモミールには、ファルネセン、カマズレン、α-ビサボロールオキサイドBなどが含有されている。カルダモンには、1,8-シネオール、α-テルピニルアセテート、リモネンなどが含有されている。カユプテには、1,8-シネオール、α-テルピネオール、パラ-シメンなどが含有されている。クラリセージには、酢酸リナリル、リナロール、ゲルマクレンDなどが含有されている。クローブには、オイゲノール、β-カリオフィレン、オイゲニルアセテートなどが含有されている。コリアンダーには、d-リナロール、カンファー、α―ピネンなどが含有されている。サイプレスには、α―ピネン、δ-3-カレンなどが含有されている。サンダルウッドには、シス-α-サンタロール、シス-β-サンタロール、epi-β-サンタロールなどが含有されている。シダーウッドには、ツヨプセン、α-セドレン、セドロールなどが含有されている。シトロネラには、ゲラニオール、リモネン、シトロネロール、カンフェン、シトロネラール、酢酸ゲラニル、α-ピネン、α-テルピネオールなどが含有されている。ジュニパーベリーには、α-ピネン、ミルセン、β-ファルネセンなどが含有されている。ジンジャーには、ar-クルクメン、α-ジンジベレン、β-セスキフェランドレンなどが含有されている。スペアミントには、(-)-カルボン、ジヒドロカルボン、1,8-シネオールなどが含有されている。セージには、α-ツヨン、β-ツヨン、カンファーなどが含有されている。ティートリーには、テルピネン-4-オール、γ-テルピネン、α-テルピネンなどが含有されている。ナツメグには、α-ピネン、サビネン、β-ピネンなどが含有されている。ネロリには、リナロール、リモネン、βピネンなどが含有されている。パインニードルには、α-ピネン、β-ピネン、ミルセンなどが含有されている。バジルには、リナロール、メチルチャビコール、β-カリオフィレンなどが含有されている。パチョリーには、パチュリアルコール、α-パチュレン、β-カリオフィレンなどが含有されている。パルマローザには、ゲラニオール、酢酸ゲラニル、リナロールなどが含有されている。フェンネルには、(E)-アネトール、リモネン、メチルチャビコールなどが含有されている。ブラックペッパーには、β-3-カリオフィレン、δ-3-カレン、リモネンなどが含有されている。ペチグレンには、リナリルアセテート、リナロール、α―テルピネオールなどが含有されている。ベチバーには、ベチベロール、ベチベン、α-ベチボールなどが含有されている。ベルガモットには、リモネン、リナリルアセテート、リナロールなどが含有されている。マージョラムには、テルピネン-4-オール、シス-サビネンヒドレート、パラ-シメンなどが含有されている。マンダリンには、リモネン、γ-テルピネン、β-ピネンなどが含有されている。レモンユーカリには、シトロネラール、シトロネロール、シトラールなどが含有されている。ユーカリプタスには、1,8-シネオール、α-ピネン、リモネン、アロマデンドレン、p-サイメン、t-ピノカルベオール、グロブロールなどが含有されている。コパイバには、β-カリオレフィン、α-フュムレン、α-コパエン、t-α-ベルガモッテン、ゲルマクレンD、カジネン、α-ビサボレン、γ-ムロレン、β-エレメン、σ-エレメンなどが含有されている。ライムには、リモネン、γ-テルピネン、β-ピネンなどが含有されている。ラベンダーには、酢酸リナリル、リナロール、(Z)-β-オシメンなどが含有されている。レモンには、リモネン、β-ピネン、γ-テルピネンなどが含有されている。レモングラスには、ゲラニアール、シトラール、エレモールなどが含有されている。ローズウッドには、リナロール、α-テルピネオール、シスーリナロールオキサイドなどが含有されている。ペパーミントには、l-メントール、l-メントン、メントフランなどが含有されている。桂皮には、シンナムアルデヒド、t-2-メトキシシンナムアルデヒド、クマリンなど含有されている。月桃葉には、1,8-シネオール、テルピネン-4-オール、p―サイメンなどが含有されている。薄荷には、l-メントール、l-メントン、メントフランなどが含有されている。上記の精油成分を防虫及び芳香のために使用することができる。上記の精油成分のうち1種又は2種以上の精油成分を配合して薬剤として使用し、薬剤含浸体1に含浸することができる。
【0019】
薬剤の有効成分である香料としては、例えば、ヘキサナール、2-ヘキセナール、2-ブテナール、2-ヒドロキシアクロレインなどの飽和又は不飽和の脂肪族アルデヒド、エチルビニルケトン、3-ペンテン-2-オンなどの飽和又は不飽和の脂肪族ケトンが好ましい。上記の香料を芳香のために使用することができる。また、上記の飽和又は不飽和の脂肪族アルデヒドや脂肪族ケトンであれば、農業現場において植物に対する高温障害抑制、蒸散促進、害虫忌避などのために使用することもできる。そして、これらの香料のうち1種又は2種以上の香料を配合して薬剤として使用し、薬剤含浸体1に含浸することができる。
【0020】
本発明の薬剤に含有され得る溶剤は、防虫や芳香などのための有効成分を均一に溶解する20~30℃程度の常温において液体である。そして、溶剤は、防虫や芳香などのための有効成分と共に揮散フィルム3を通じて外部に飛散、拡散される。
【0021】
前記溶剤としては、使用される20~30℃程度の常温において液体であり、上述した防虫や芳香などのための有効成分を均一に溶解するができることから、具体的には、クエン酸トリエチル、リン酸トリエチル、イソパラフィン系炭化水素、エチレングリコール、フェニルジグリコール、ブチルトリグリコール、ベンジルグリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどが好ましい。これらの溶剤を1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0022】
防虫や芳香などのための有効成分と溶剤の配合当初の割合は、前記有効成分/溶剤=5/95~100/0が好ましく、7/93~100/0がより好ましい。防虫や芳香などのための有効成分と溶剤の配合割合がこの範囲にあると、内包される薬剤の揮散量が使用時期によって大きく変わらず、30℃の環境下における1日当たりの揮散量をおおよそ一定量とすることができる。
【0023】
本発明の薬剤において、上述した防虫や芳香などのための有効成分、溶剤の他にも種々の材料を含有することができる。例えば、前記有効成分の酸化を防止するためにt-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、4-tert-ブチル-4′-メトキシジベンゾイルメタン、メトキシケイヒ酸エチルへキシル、ジブチルヒドロキシトルエンなどの酸化防止剤を配合することができ、前記有効成分の紫外線による分解等を防止するためにトリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾエート系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物などの紫外線吸収剤や、薬剤に着色するために青、赤、緑などの染料などの色素を配合することができる。
【0024】
薬剤含浸体1は、上述した薬剤を含浸する部材であり、本発明の薬剤揮散具の容器を構成する本体容器2と揮散フィルム3によって収容されている。薬剤含浸体1は、内部に隙間がある網目構造を有しており、その隙間に前記薬剤を表面張力などにより保持しうる部材である。薬剤含浸体1における網目は、規則性を有していても不規則であってもよい。薬剤含浸体1としては、具体的には、内部に微細な空間を有する紙や不織布などが好ましい。薬剤含浸体1として、不織布であるときには、その材質において、ポリオレフィン繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ビニロン繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維などから選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。本実施形態において、
図1に示すように、薬剤含浸体1の外形は鉛直方向に長い矩形状であるが、他の実施形態において、後述する標識部を有する限り、薬剤含浸体1の外形を幅方向に長い矩形状としたり、円形状、楕円形状、三角形や正方形や五角形以上の多角形状、ハート型形状、星型形状などとしたりすることができる。また、本実施形態において、薬剤含浸体1に薬剤を直接含浸させているが、他の実施形態において、薬剤を充填した容器を薬剤含浸体1の下部に接触させて当該薬剤を毛細管現象により吸い上げることにより薬剤含浸体1に薬剤を含浸させてもよい。
【0025】
薬剤含浸体1は、含浸する薬剤の量によってその厚みを種々の変更することできる。このため、薬剤含浸体1は、含浸する薬剤の量が少ないときには、比較的薄い紙などのシート状とすることができ、また、含浸する薬剤の量が多いときには、前記シート状より厚みのある板状とすることができる。
【0026】
標識部11は、薬剤含浸体1において、前記薬剤の揮散により視認可能となる部材である。標識部11により、使用者は、薬剤含浸体1に含浸された前記薬剤の95重量%以上又は99重量%以上など含浸された前記薬剤のほとんど全て揮散したことを視認することができる。標識部11は、薬剤含浸体1の外表面に接着剤、嵌合、溶着などの手法により固設することができる。標識部11は、具体的には、二酸化ケイ素(屈折率1.45)、ゼオライト(屈折率1.48)、カオリン(屈折率1.56)、タルク(屈折率1.57)、炭酸カルシウム(屈折率1.58)、ポリスチレン(屈折率1.6)、ポリエチレン(屈折率1.53)、メタクリル酸メチル樹脂(屈折率1.49)などの白色又は透明などの微粒子によって構成される。本実施形態において、標識部11は、
図1に示すように「END」という文字が描かれているが、他の実施形態において、「おとりかえください」、「おわり」、「おしまい」など日本語及びその内容に相当する外国語の文字、「×」などの図形や記号など前記薬剤がおおよそ全て飛散したことにより効果が乏しいことを示す標識を用いられてもよく、また、これらの文字、図形、記号を複数組み合わせて構成されてもよい。さらに本実施形態において、標識部11が、薬剤含浸体1における本体容器2側の面に設けられているが、他の実施形態において、薬剤含浸体1における揮散フィルム3側の面や、薬剤含浸体1における本体容器2側の面と揮散フィルム3側の面の両方に設けることもできる。
【0027】
薬剤含浸体1に前記薬剤が十分に含浸されているときには、前記薬剤の屈折率が1.4~1.6と標識部11を構成する微粒子の屈折率と同様の値であることから、標識部11を構成する微粒子が前記薬剤に接触して濡れることにより、前記薬剤と標識部11が同化して、使用者は標識部11を視認することが難しい。一方、前記薬剤の95重量%以上又は99重量%以上など含浸された前記薬剤のほとんど全てが揮散されると、標識部11を構成する微粒子が前記薬剤に接触せず周囲の空気(屈折率1.0)と接触することにより、標識部11を構成する微粒子と空気の屈折率の差が大きくなるため、使用者は標識部11を視認可能となる。また、標識部11を視認し易くなるように、標識部11の微粒子の色と、薬剤含浸体1の色を異なるようにすることが好ましく、標識部11の微粒子が無色透明であり、薬剤含浸体1が青色であることがさらに好ましい。
【0028】
本体容器2は、厚みが200~5000μmであり、薬剤含浸体1を収容する部材である。本体容器2は、その周縁が揮散フィルム3に着止されることで、薬剤含浸体1を封じて内包することができる。本体容器2において、厚みが200~5000μmであることが好ましく、そして、600nmの光の透過率が10%以上であり、800nmの光の透過率が30%以上であることが好ましく、600nmの光の透過率が20%以上であり、800nmの光の透過率が50%以上であることがより好ましい。本体容器2における厚みや特定波長における透過率がこの範囲であると、本体容器2を真空成型や押圧形成などの方法により成型するときに穴が開かずに所望の形状に成形しやすいなどの成型性に優れ、そして、内包する薬剤含浸体1に付された標識部11があらわれたときに標識部11を本体容器2側から視認しやすくなる。また、本体容器2の光の透過率について、紫外可視分光光度計を用いて入射光に対する透過光の比率として算出されることが好ましい。
【0029】
本体容器2は、
図1及び
図2に示すように、本実施形態において、多層構造を有しており、具体的には、薬剤含浸体1に近い内側層21がポリエチレン(以下、PEともいう)又はポリプロピレン(以下、PPともいう)から選ばれる少なくとも1種の樹脂から形成され、前記内側層の外側にポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、脂環式オレフィン共重合体、エチレン・ビニル共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂から形成される層を有している。内側層21がポリエチレンやポリプロピレンから形成されていることにより、同じ材料からなる揮散フィルム3との密着性がより良好となるので、本体容器2と揮散フィルム3の間から薬剤が揮散することを防ぐことができる。内側層21の外側には、外側層22が設けられている。外側層22は、内包する薬剤含浸体1の標識部11を視認しやすい透明性及び前記薬剤の揮散の抑制することから、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETともいう)、ポリプロピレン、脂環式オレフィン共重合体(以下、COCという)、エチレン・ビニル共重合体(以下、EVOHともいう)などの樹脂から形成されていることが好ましい。
図2における本体容器2は、内側層21と外側層22の二層を有しているが、他の実施形態において、内側層21が外側層22より相対的に内包される薬剤含浸体1から近い位置関係である限りにおいて、内側層21と外側層22の間などに中間層など他の層を設けて三層以上とすることができる。このとき、中間層など他の層も、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、脂環式オレフィン共重合体、エチレン・ビニル共重合体などの樹脂から形成されていることが好ましい。なお、上述したように、
図1及び
図2に示す実施形態において、本体容器2は内側層21および外側層22の多層構造を有しているが、他の実施形態において、内包する薬剤含浸体1の標識部11を視認しやすい高い透明性を有し前記薬剤の揮散の抑制しながらも、揮散フィルム3との密着性が良好であるポリプロピレン、ポリエチレンなどの材料からなる単層構造とすることもできる。
【0030】
そして、本体容器2は、ほとんどの前記薬剤の揮散後に内包する薬剤含浸体1の標識部11を視認することができる限りにおいて、着色されていてもよい。例えば、青、緑、赤などに着色されてもよい。ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、脂環式オレフィン共重合体、エチレン・ビニル共重合体などの樹脂の表面又は裏面に塗料が塗布されることにより着色したり、前記樹脂に予め染料や顔料が練り込まれて着色したりすることができる。
【0031】
揮散フィルム3は、本体容器2の周縁に着止されて薬剤含浸体1を封じるとともに、気化した前記薬剤を透過可能でありポリエチレン又はポリプロピレンから選ばれる少なくとも1種の樹脂から形成される部材である。揮散フィルム3は、気化した薬剤を通すことができる。揮散フィルム3としては、例えば、ポリエチレンの中でも低密度ポリエチレンが好ましい。低密度ポリエチレンは、一般的なポリエチレンに比べて結晶化度が低いことから、密度が0.910~0.930であり、非結晶の部分から多くの気化した前記薬剤が通過して外部に飛散される。低密度ポリエチレンのうちでも、密度が0.910~0.925であり、分岐鎖をあまり有していない直鎖状低密度ポリエチレンであることがより好ましい。このような直鎖状低密度ポリエチレンを用いることで、内包される薬剤の揮散量が使用時期によって大きく変わらないように調整することができる。揮散フィルム3として、ポリエチレン及びポリプロピレン混合又は多層化して使用することができる。
【0032】
揮散フィルム3の膜厚は、30~100μmであることが好ましく、さらに40~90μmであることがより好ましい。このような膜厚であれば、薬剤含浸体1に含浸される薬剤の揮散量が所定の期間に亘りおおよそ同程度とすることができる。そして、揮散フィルム3において、600nmの光の透過率が10%以上であり、800nmの光の透過率が30%以上であることが好ましく、600nmの光の透過率が20%以上であり、800nmの光の透過率が50%以上であることがより好ましい。それら透過率がこの範囲であると、本発明の薬剤揮散具において、薬剤含浸体1における標識部11が揮散フィルム3側に設けられているときにおいても使用者が標識部11を視認することができる。また、揮散フィルム3の酸素ガス透過度は、23℃の環境において1000~6000cc/(m
2・24hr・atm)であることが好ましく、1200~4000cc/(m
2・24hr・atm)であることが好ましい。ガス透過度がこの範囲であると、前記薬剤の揮散量が所定の期間に亘りおおよそ同程度とすることができるとともに、害虫の防除効果を200日など長い期間持続しやすくなる。なお、ガス透過度は、JIS K 7126-2に記載された等圧法におけるガスクロ法により測定されることが好ましい。なお、
図1及び
図2に示す実施形態において、揮散フィルム3には目視可能な貫通孔は存在しないが、他の実施形態において、揮散フィルム3に、使用者が目視可能な大きさで、円形、楕円形、略楕円形などの曲線の辺を有する貫通孔や、三角形、四角形、五角形などの直線の辺のみからなる貫通孔が1つ又は2以上の複数個穿設されていてもよい。
【0033】
このように、ピレスロイド系化合物と溶剤を含有する薬剤を含浸した薬剤含浸体1を、所定の本体容器2及び揮散フィルム3に封入することにより、前記薬剤と本体容器2や揮散フィルム3へ接触しにくくなるので、本体容器2や揮散フィルム3の膨潤を低減し薬剤の有効期間を視認しやくすることができる。
【0034】
また、本発明の薬剤揮散具について、揮散フィルム3における薬剤含浸体1及び本体容器2とは反対側の面に、ポリエチレンテレフタレート、アルミ蒸着されたポリエチレンテレフタレートなどからなる保護フィルムが、揮散フィルム3の周縁などに融着等により着止されていることが好ましい。保護フィルムにより、使用者が実際に使用する前に薬剤が揮散フィルム3から揮散することを防止することができる。なお、本発明の薬剤揮散具を使用するときには、保護フィルムを揮散フィルム3から剥がして使用する。
【0035】
さらに、薬剤揮散具に関して、表1の実施例1~実施例9及び比較例1~比較例2に示すように、材質や厚みの異なる内側層21及び外側層22或いは中間層を有する本体容器2として使用可能性のある各種樹脂フィルムについて、以下の評価方法において評価し、薬剤揮散具の材料としての適性を判断した。
【0036】
〔標識部11の視認性〕
予め標識部11があらわれている薬剤含浸体1について、標識部11から5mm離れたところに、各種樹脂フィルムを薬剤含浸体1と略平行に載置して、各種樹脂フィルムから50cm離れた場所から視認したときの標識部11の見やすさを目視にて判断した。フォントサイズ5pt以上の文字が明瞭に視認することができるものを◎と評価し、視認することができるものを○と評価し、視認しにくいものを△と評価し、視認できないものを×と評価した。これらのうち、標識部11の視認性が十分あるとして◎及び○を良好、標識部11の視認性が乏しいとして△及び×を不良と判断した。
【0037】
〔透過率〕
本体容器2として使用する可能性がある各種樹脂フィルムについて、紫外可視分光光度計(株式会社島津製作所製、品番「UV-1800」)を用いて、600nm及び800nmにおける透過度を計測し、透過度から透過率を算出した。
【0038】
〔成型性〕
横22mm、縦22mm、高さ10mmの直方状に突出した金型を有する真空成型機を用いて、予め200~400℃の雰囲気下でプレヒートした各種樹脂フィルムから減圧状況下で前記金型の形状に対応した箱状の容器を成形し、目視にて判断した。所定の形状どおりに成形され穴あきが全く見られないものを◎と評価し、穴あきは見られないが所定の形状から少しずれているものを○と評価し、穴あきは見られないが所定の形状からずれているものを△と評価し、穴あきが見られたり所定の形状からかなりずれたりしているものを×と評価した。これらのうち、本体容器2として使用することができる品質であるとして◎及び○を良好、本体容器2として使用することができない品質として△及び×を不良と判断した。
【0039】
〔安定性〕
20℃の室温中において、容量が200mlのグリフィンビーカーに、ピレスロイド系化合物としてトランスフルトリンを5g添加し、クエン酸トリエチルを全体量が100mlとなるまで添加し、均一に溶解するまで攪拌し、合計100mlの薬剤を得た(トランスフルトリンの濃度が5w/v%)。前記成型性試験にて作成した箱状の容器(比較例1~2においては穴あきなしもの)に、横21m、縦21mmの紙である薬剤含浸体を置き、上記薬剤を50μL含浸し、ポリエチレンテレフタレートなどからなる保護フィルムが予め着止されたポリエチレンやポリプロピレンからなる揮散フィルム3をシール機にて溶着し密閉し、試験体を作成し重量を測定した。そして、前記試験体を50℃の恒温槽に1ケ月静置した後に再び重量を測定した。このとき、含浸した薬剤の量に対する重量の減少割合が5%未満ものを◎と評価し、5%以上10%未満のものを○と評価し、10%以上20%未満のものを△と評価し、20%以上のものを×と評価した。これらのうち、薬剤を揮散しにくく本体容器2として使用することができる品質であるとして◎及び○を良好、薬剤を揮散しやすく本体容器2として使用することができない品質として△及び×を不良と判断した。
【0040】
これらの実施例1~9、比較例1~2の本体容器2の試験結果を表1にまとめて示す。
【0041】
【0042】
表1に示すように、薬剤揮散具において、実施例1~9の樹脂フィルムを用いることにより、標識部11の視認性に優れるとともに、成型性にも優れ、さらに、成型後に、保護フィルムが着止された揮散フィルム3を溶着したときに、本体容器2から薬剤が漏洩しないという安定性にも優れているため、本体容器2として有用であることが分かった。
【符号の説明】
【0043】
1・・・薬剤含浸体
11・・・標識部
2・・・本体容器
21・・・内側層
22・・・外側層
3・・・揮散フィルム