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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095936
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20240704BHJP
【FI】
H01G4/30 201N
H01G4/30 201L
H01G4/30 201K
H01G4/30 515
H01G4/30 512
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103676
(22)【出願日】2023-06-23
(31)【優先権主張番号】10-2022-0188725
(32)【優先日】2022-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、エウン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】チャエ、ヒュン シク
(72)【発明者】
【氏名】キム、スン ミ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ドン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジョン ホ
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC09
5E001AD02
5E001AE01
5E001AE02
5E001AE03
5E001AF06
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC33
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082GG10
5E082GG11
5E082JJ03
5E082JJ12
(57)【要約】
【課題】積層型電子部品の信頼性を向上させることができ、サイドマージン部のクラック発生及びクラック伝播を抑制することができる積層型電子部品を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層及び上記誘電体層を間に挟んで第1方向に交互に配置される第1及び第2内部電極を含み、上記第1方向に対向する第1及び第2面、上記第1及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3及び第4面、上記第1面から第4面と連結され、第3方向に対向する第5及び第6面を含む本体と、上記第5及び第6面に配置されるサイドマージン部と、上記第3及び第4面に配置される外部電極と、を含み、上記サイドマージン部は上記内部電極に隣接した第1領域及び上記サイドマージン部の外側に隣接した第2領域を含み、上記第1領域のSn含量は上記第2領域のSn含量よりも低く、上記第1領域のSn含量は上記内部電極から上記第2領域に向かうにつれて次第に増加することができる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層及び前記誘電体層を間に挟んで第1方向に交互に配置される第1及び第2内部電極を含み、前記第1方向に対向する第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、第2方向に対向する第3面及び第4面、前記第1面から前記第4面と連結され、第3方向に対向する第5面及び第6面を含む本体と、
前記第5面及び前記第6面に配置されるサイドマージン部と、
前記第3面及び前記第4面に配置される外部電極と、を含み、
前記サイドマージン部は前記内部電極に隣接した第1領域及び前記サイドマージン部の外側に隣接した第2領域を含み、
前記第1領域のSn平均含量は前記第2領域のSn平均含量よりも低く、
前記第1領域のSn含量は前記内部電極から前記第2領域に向かうにつれて次第に増加する、積層型電子部品。
【請求項2】
前記第1領域の平均Sn含量をCs1、前記第2領域の平均Sn含量をCs2としたとき、
3≦Cs2/Cs1≦5を満たす、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記第1領域の平均Sn含量をCs1、前記第2領域の平均Sn含量をCs2としたとき、前記Cs1は0.25at%以上0.7at%以下であり、前記Cs2は0.75at%以上4.0at%以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記第1領域の第3方向サイズは4μm以上10μm以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記第1領域のSn含量は前記内部電極から前記第2領域方向に1μm当たり0.1at%以上増加する、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記第1領域において本体と接する領域のSn含量と前記第2領域に接する領域のSn含量との差は0.5at%以上である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記第2領域の前記第3方向の平均サイズは6μm以上15μm以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記第2領域のSn含量は前記第1領域から前記サイドマージン部の外側方向に1μm当たり0.1at%未満増加する、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記第2領域において第1領域と接する領域のSn含量と前記サイドマージン部の外側に接する領域のSn含量との差は0.3at%以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記第1領域の結晶粒平均サイズは前記第2領域の結晶粒平均サイズよりも50nm以上大きい、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記第1領域の結晶粒平均サイズは200nm以上400nm以下であり、
前記第2領域の結晶粒平均サイズは150nm以上300nm以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記第1領域及び前記第2領域はSiを含み、
前記第1領域のSi平均含量は前記第2領域のSi平均含量よりも低い、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
前記第1内部電極は前記第3面、前記第5面及び前記第6面と連結され、
前記第2内部電極は前記第4面、前記第5面及び前記第6面と連結される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項14】
前記第1内部電極の前記第3方向の両端の少なくとも一部及び前記第2内部電極の前記第3方向の両端の少なくとも一部にはSi二次相を含む、請求項13に記載の積層型電子部品。
【請求項15】
前記第1領域及び前記第2領域はSi二次相を含み、
前記第1領域に配置されたSi二次相の面積比率は前記第2領域に配置されたSi二次相の面積比率よりも小さい、請求項1から14のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項16】
前記本体は前記誘電体層を間に挟んで前記第1方向に交互に配置される第1内部電極及び第2内部電極を含む容量形成部を含み、
前記容量形成部の誘電体層はSnを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話などの多様な電子製品の印刷回路基板に装着されて電気を充電又は放電させる役割を果たすチップ形態のコンデンサである。
【0003】
かかる積層セラミックキャパシタは、小型でありながら高容量が保障され、実装が容易であるという長所により、多様な電子装置の部品として使用されることができる。コンピュータ、モバイル機器などの各種電子機器が小型化及び高出力化するにつれて、積層セラミックキャパシタに対する小型化及び高容量化の要求が増大しつつある。
【0004】
また、近年では、自動車用電装部品に対する業界の関心が高まり、積層セラミックキャパシタに対しても自動車若しくはインフォテインメントシステムに使用されるために高信頼性及び高強度特性が要求されている。
【0005】
積層セラミックキャパシタの小型及び高容量化のためには、電極有効面積の極大化(容量実現に必要な有効体積分率を増加)が要求される。
【0006】
上記のように小型及び高容量の積層セラミックキャパシタを実現するために、積層セラミックキャパシタを製造するにあたって、内部電極を本体の幅方向に露出させることで、マージンのない設計を介して内部電極の幅方向面積を極大化し、且つかかるチップを製作してから焼成する前の段階において、チップの幅方向の電極露出面にサイドマージン部を別に付着して完成する方法が適用されている。
【0007】
サイドマージン部を別に付着する方法によってキャパシタの単位体積当たりの容量は向上させることができるものの、サイドマージン部の厚さ減少などによって信頼性が低下するという問題点があった。具体的には、サイドマージン部の厚さが減少するにつれて、外部衝撃によるクラック(crack)が発生し易くなり、サイドマージン部の外側に発生したクラックが本体まで伝播し易くなるため、信頼性が低下する恐れがあった。
【0008】
したがって、サイドマージン部のクラック発生及びクラック伝播を抑制することができる構造を有する積層型電子部品に対する開発が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の様々な目的の一つは、積層型電子部品の信頼性を向上させるためである。
【0010】
本発明の様々な目的の一つは、サイドマージン部のクラック発生及びクラック伝播を抑制するためである。
【0011】
但し、本発明の目的は上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層及び上記誘電体層を間に挟んで第1方向に交互に配置される第1及び第2内部電極を含み、上記第1方向に対向する第1及び第2面、上記第1及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3及び第4面、上記第1面から第4面と連結され、第3方向に対向する第5及び第6面を含む本体と、上記第5及び第6面に配置されるサイドマージン部と、上記第3及び第4面に配置される外部電極と、を含み、上記サイドマージン部は上記内部電極に隣接した第1領域及び上記サイドマージン部の外側に隣接した第2領域を含み、上記第1領域のSn含量は上記第2領域のSn含量よりも低く、上記第1領域のSn含量は上記内部電極から上記第2領域に向かうにつれて次第に増加することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の様々な効果の一つとして、サイドマージン部の位置別Sn含量を制御することで、積層型電子部品の信頼性を向上させることができる。
【0014】
本発明の様々な効果の一つとして、サイドマージン部の位置別Sn含量を制御することで、サイドマージン部のクラック発生及びクラック伝播を抑制することができる。
【0015】
本発明の様々な効果の一つとして、サイドマージン部のクラック発生及びクラック伝播を抑制することで、積層型電子部品の耐湿信頼性を向上させることができる。
【0016】
但し、本発明の多様且つ有益な長所及び効果は上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態による積層型電子部品の斜視図を概略的に示した図面である。
図2図1の積層型電子部品から外部電極を除外して示した斜視図である。
図3図1の積層型電子部品から外部電極及びサイドマージン部を除外して示した斜視図である。
図4図1のI-I'に沿った断面図である。
図5図4のP領域を拡大した図面である。
図6】発明例のサイドマージン部の第1及び第3方向断面をSTEM(Scanning Transmission electron microscope,走査透過電子顕微鏡)でスキャンしたイメージである。
図7図6のL1に沿ってラインプロファイル(line profile)した結果である。
図8図6の領域をSTEM-EDSでSn元素マッピング(mapping)した結果である。
図9図6の領域をSTEM-EDSでSi元素マッピング(mapping)した結果である。
図10】第1領域を5万倍率の走査透過電子顕微鏡(STEM)でスキャンしたイメージである。
図11】第2領域を5万倍率の走査透過電子顕微鏡(STEM)でスキャンしたイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲が以下で説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0019】
なお、本発明を明確に説明すべく、図面において説明と関係ない部分は省略し、図面で示された各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜のために任意に示したため、本発明が必ずしも図示されたものに限定されるのではない。また、同一思想の範囲内において機能が同一である構成要素に対しては、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0020】
図面において、第1方向は積層方向又は厚さT方向、第2方向は長さL方向、第3方向は幅W方向と定義することができる。
【0021】
[積層型電子部品]
図1は、本発明の一実施形態による積層型電子部品の斜視図を概略的に示した図面である。
【0022】
図2は、図1の積層型電子部品から外部電極を除外して示した斜視図である。
【0023】
図3は、図1の積層型電子部品から外部電極及びサイドマージン部を除外して示した斜視図である。
【0024】
図4は、図1のI-I'に沿った断面図である。
【0025】
図5は、図4のP領域を拡大した図面である。
【0026】
以下、図1から図5を参照して、本発明の一実施形態による積層型電子部品について詳細に説明する。
【0027】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、誘電体層111及び上記誘電体層を間に挟んで第1方向に交互に配置される第1及び第2内部電極121、122を含み、上記第1方向に対向する第1及び第2面1、2、上記第1及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3及び第4面3、4、上記第1面から第4面と連結され、第3方向に対向する第5及び第6面5、6を含む本体110と、上記第5及び第6面に配置されるサイドマージン部114、115と、上記第3及び第4面に配置される外部電極131、132と、を含み、上記サイドマージン部114、115は、上記内部電極に隣接した第1領域114a、115a及び上記サイドマージン部の外側に隣接した第2領域114b、115bを含み、上記第1領域114a、115aのSn含量は上記第2領域114b、115bのSn含量よりも低く、上記第1領域114a、115aのSn含量は上記内部電極121、122から上記第2領域114b、115bに向かうにつれて次第に増加することができる。
【0028】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が相互に積層されている。
【0029】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示されたように、本体110は六面体状やこれと類似した形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮により、本体110は完全な直線を有する六面体状ではないが、実質的に六面体状を有することができる。
【0030】
本体110は、第1方向に互いに対向する第1及び第2面1、2、上記第1及び第2面1、2と連結され、第2方向に互いに対向する第3及び第4面3、4、及び第1及び第2面1、2と連結され且つ第3及び第4面3、4と連結され、第3方向に互いに対向する第5及び第6面5、6を有することができる。
【0031】
本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であり、隣接する誘電体層111間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0032】
本発明の一実施形態によると、上記誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量が得られるものであれば、特に制限されない。例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料、又はチタン酸ストロンチウム系材料などを用いることができる。上記チタン酸バリウム系材料は、BaTiO系セラミック粉末を含むことができ、上記セラミック粉末の例として、BaTiO、BaTiOにCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)などが一部固溶された(Ba1-xCa)TiO、Ba(Ti1-yCa)O、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)O、又はBa(Ti1-yZr)Oなどが挙げられる。
【0033】
上記誘電体層111を形成する材料は、チタン酸バリウム(BaTiO)などの粉末に、本発明の目的に応じて、種々のセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0034】
一方、誘電体層111の厚さは特に限定する必要はない。
【0035】
但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をさらに容易に達成するために一般的に誘電体層を0.6μm未満の厚さで薄く形成する場合、特に、誘電体層の厚さが0.35μm以下である場合には、信頼性が低下する恐れがある。
【0036】
本発明の一実施形態によると、サイドマージン部114、115の位置別Sn含量を制御することで、サイドマージン部114、115のクラック発生及びクラック伝播を抑制することができることから、複数の誘電体層111のうち少なくとも一つの平均厚さtdが0.35μm以下であっても、優れた信頼性を確保することができる。
【0037】
したがって、複数の誘電体層111のうち少なくとも一つの平均厚さtdが0.35μm以下である場合に、本発明による信頼性向上効果がより顕著になり得る。
【0038】
上記誘電体層111の平均厚さtdは、上記第1及び第2内部電極121、122の間に配置される誘電体層111の第1方向平均サイズを意味することができる。
【0039】
誘電体層111の平均厚さは、本体110の長さ及び厚さ方向L-T断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM,Scanning Electron Microscope)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的には、スキャンしたイメージから抽出した任意の誘電体層に対して、長さ方向に等間隔である30個の地点においてその厚さを測定して平均値を求めることができる。上記等間隔である30個の地点は、容量形成部Acで指定されることができる。また、このような平均値の測定を10個の誘電体層に拡張して求めると、誘電体層の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0040】
本体110は、本体110の内部に配置され、誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量が形成される容量形成部Acと、上記容量形成部Acの第1方向上部及び下部に形成されたカバー部112、113と、を含むことができる。
【0041】
また、上記容量形成部Acは、キャパシタの容量形成に寄与する部分であって、誘電体層111を間に挟んで複数の第1及び第2内部電極121、122を繰り返し積層して形成されることができる。
【0042】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は、単一の誘電体層又は2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの上下面にそれぞれ厚さ方向に積層して形成することができ、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0043】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は内部電極を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。即ち、上記上部カバー部112及び下部カバー部113はセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)系セラミック材料を含むことができる。
【0044】
一方、カバー部112、113の厚さは特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をさらに容易に達成するためには、カバー部112、113の厚さtpが20μm以下であってもよい。
【0045】
ここで、カバー部112、113の厚さtcは、カバー部112、113の第1方向サイズを意味することができる。また、カバー部112、113の厚さtcは、カバー部112、113の平均厚さtcを意味することができ、カバー部112、113の第1方向平均サイズを意味することができる。
【0046】
カバー部112、113の第1方向平均サイズは、本体110の第1及び第2方向断面(cross-section)を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的には、スキャンしたイメージから抽出した任意のカバー部を第2方向に等間隔である30個の地点において第1方向サイズを測定した平均値であることができる。上記等間隔である30個の地点は、上部カバー部112で指定されることができる。また、このような平均値の測定を下部カバー部113に拡張して求めると、カバー部112、113の第1方向平均サイズをさらに一般化することができる。
【0047】
内部電極121、122は、誘電体層111と交互に配置されることができる。
【0048】
内部電極121、122は、第1及び第2内部電極121、122を含むことができる。第1及び第2内部電極121、122は、本体110を構成する誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように交互に配置され、本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ露出することができる。
【0049】
図3を参照すると、第1内部電極121は、第4面4と離隔して第3面3に露出し、第2内部電極122は、第3面3と離隔して第4面4に露出することができる。また、第1内部電極121は、第3、第5及び第6面3、5、6に露出することができ、第2内部電極122は、第4、第5及び第6面4、5、6に露出することができる。
【0050】
このとき、第1及び第2内部電極121、122は、その間に配置された誘電体層111により互いに電気的に分離されることができる。
【0051】
内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの合金のうち一つ以上を含むことができる。
【0052】
一方、内部電極121、122の厚さは、特に限定する必要はない。
【0053】
但し、一般的に内部電極を0.6μm未満の厚さで薄く形成する場合、特に、内部電極の厚さが0.35μm以下であると、信頼性が低下する恐れがあった。
【0054】
本発明の一実施形態によると、サイドマージン部114、115の位置別Sn含量を制御することで、サイドマージン部114、115のクラック発生及びクラック伝播を抑制することができることから、複数の内部電極121、122のうち少なくとも一つの平均厚さteが0.35μm以下であっても、優れた信頼性を確保することができる。
【0055】
したがって、複数の内部電極121、122のうち少なくとも一つの平均厚さteが0.35μm以下である場合に、本発明による効果がより顕著になり、積層型電子部品の小型化及び高容量化をさらに容易に達成することができる。
【0056】
上記内部電極121、122の平均厚さteは、内部電極121、122の第1方向平均サイズを意味することができる。
【0057】
内部電極121、122の平均厚さは、本体110の長さ及び厚さ方向L-T断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM,Scanning Electron Microscope)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的には、スキャンしたイメージから抽出した任意の内部電極に対して、長さ方向に等間隔である30個の地点においてその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔である30個の地点は、容量形成部Acで指定されることができる。また、このような平均値の測定を10個の内部電極に拡張して求めると、内部電極の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0058】
本体110の第5及び第6面5、6には、サイドマージン部114、115が配置されることができる。
【0059】
サイドマージン部114、115は、本体110の第5面5に配置された第1サイドマージン部114と、第5面5に配置された第2サイドマージン部115と、を含むことができる。即ち、マージン部114、115は、本体110の第3方向両端面(end surfaces)に配置されることができる。サイドマージン部114、115は、容量形成部Acの第3方向両端面(end surfaces)に配置されて第1及び第2内部電極121、122と連結されることができる。
【0060】
サイドマージン部114、115は、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0061】
サイドマージン部114、115は、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後に内部電極が本体の第5及び第6面5、6に露出するように切断した後、単一の誘電体層又は2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの第3方向両端面(end surfaces)に第3方向に積層して形成することができる。
【0062】
小型及び高容量の積層セラミックキャパシタを実現する方法として、積層セラミックキャパシタを製造するにあたって、内部電極を本体の幅方向に露出させることで、マージのない設計を介して内部電極の幅方向面積を極大化し、且つかかるチップを製作してから焼成する前の段階において、チップの幅方向の電極露出面にサイドマージン部を別に付着して完成する方法が適用されている。サイドマージン部を別に付着する方法によってキャパシタの単位体積当たりの容量は向上させることができるが、サイドマージン部の厚さ減少などによって信頼性が低下するという問題点があった。具体的には、サイドマージン部の厚さが減少するにつれて、外部衝撃によるクラック(crack)が発生し易くなり、サイドマージン部の外側に発生したクラックが本体まで伝播し易くなるため、信頼性が低下する恐れがあった。
【0063】
本発明の一実施形態によるサイドマージン部114、115は、内部電極121、122に隣接した第1領域114a、115a及び上記サイドマージン部の外側に隣接した第2領域114b、115bを含み、上記第1領域114a、115aのSn含量は上記第2領域114b、115bのSn含量よりも低く、上記第1領域114a、115aのSn含量は上記内部電極121、122から上記第2領域114b、115bに向かうにつれて次第に増加することができる。これによって、第2領域114b、115bにクラックが発生することを抑制することができ、さらに、第1領域114a、115aが第2領域114b、115bに発生したクラックが本体110に伝播することを抑制し、信頼性を向上させることができる。
【0064】
積層型電子部品100の外部から加えられる衝撃、応力などに直接的に影響を受ける第2領域114b、115bは、Sn含量を増加させてクラックが発生することを抑制し、外部から加えられる衝撃、応力などに直接的に影響を受けない第1領域114a、115aは、Sn含量を減少させてクラックが伝播することを抑制することができる。また、第1領域114a、115aのSn含量は、上記内部電極121、122から上記第2領域114b、115bに向かうにつれて次第に増加する濃度勾配を有することから、本体110との組成差及び第2領域114b、115bとの組成差によるデラミネーション(delamination)を防止することができ、第2領域114b、115bにクラックが発生しても、クラックが本体110に伝播することを効果的に抑制することができる。
【0065】
以下、第1サイドマージン部114の断面を拡大した図面である図4を参照して第1サイドマージン部114を中心に説明するが、第2サイドマージン部115は、第1サイドマージン部114と第3方向に対称な関係にあるため、第1サイドマージン部114に対する説明は第3方向に対称であることを考慮して第2サイドマージン部115に適用されることができる。
【0066】
一実施形態において、第1領域114a、115aの平均Sn含量をCs1、第2領域114b、115bの平均Sn含量をCs2としたとき、3≦Cs2/Cs1≦5を満たすことができる。これによって、クラック発生抑制効果及びクラック伝播抑制効果をさらに向上させることができる。
【0067】
Cs2/Cs1が3未満であると、クラック発生抑制効果及びクラック伝播抑制効果が十分でない恐れがあり、5を超えると、デラミネーション(delamination)が発生する恐れがある。
【0068】
Cs1及びCs2のそれぞれの含量は特に限定する必要はない。但し、好ましい一例として、第1領域114a、115aの平均Sn含量をCs1、第2領域114b、115bの平均Sn含量をCs2としたとき、上記Cs1は0.25at%以上0.7at%以下であり、上記Cs2は0.7at%以上4.0at%以下であることができるが、これに制限されるものではない。
【0069】
一実施形態において、第1領域114aの第3方向平均サイズwmaは、4μm以上10μm以下であることができる。これによって、クラック伝播抑制効果をさらに向上させることができ、積層型電子部品100の単位体積当たりの容量を向上させることができる。
【0070】
第1領域114aの第3方向平均サイズwmaが4μm未満であると、クラック伝播抑制効果のさらなる向上が困難であり、10μmであると、単位体積当たりの容量が増加する恐れがある。
【0071】
一実施形態において、第1領域114a、115aのSn含量は、内部電極121、122から上記第2領域114b、115b方向に1μm当たり0.1at%以上増加することができる。これによって、クラック伝播抑制効果をさらに向上させることができる。
【0072】
第1領域114a、115aのSn含量増加量が1μm当たり0.1at%未満であると、クラック伝播抑制効果のさらなる向上が困難な場合もある。
【0073】
一実施形態において、第1領域114a、115aにおいて本体110と接する領域のSn含量と第2領域114b、115bに接する領域のSn含量との差は0.5at%以上であることができる。これによって、クラック伝播抑制効果をさらに向上させることができる。
【0074】
一実施形態において、第2領域114bの第3方向平均サイズwmbは6μm以上15μm以下であることができる。これによって、クラック発生抑制効果をさらに向上させることができ、積層型電子部品100の単位体積当たりの容量を向上させることができる。
【0075】
第2領域114bの第3方向平均サイズwmbが6μm未満であると、クラック発生抑制効果のさらなる向上が困難であり、15μmを超えると、単位体積当たりの容量が増加する恐れがある。
【0076】
一方、サイドマージン部114、115の幅は、特に限定する必要はない。ここで、サイドマージン部114、115の幅とは、サイドマージン部114、115の第3方向サイズを意味することができる。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をさらに容易に達成するためには、第1サイドマージン部114の第3方向平均サイズwmが20μm以下であることができる。
【0077】
上述したwm、wma及びwmbは、本体110の第2方向中央で切断した第1及び第3方向断面(cross-section)を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的には、上記イメージにおいて第1方向に等間隔である10個の地点で第3方向サイズを測定した値の平均値であることができる。
【0078】
一実施形態において、第2領域114b、115bのSn含量は、第1領域114a、115aからサイドマージン部114、115の外側方向に1μm当たり0.1at%未満増加することができる。これによって、クラック発生抑制効果をさらに向上させることができる。即ち、第2領域114b、115bは、位置別Sn含量がほぼ一定であることができ、第1領域114a、115aとは異なり、実質的にSn含量の濃度勾配を有さなくてもよい。
【0079】
一実施形態において、第2領域114b、115bにおいて第1領域114a、115aと接する領域のSn含量と、上記サイドマージン部114、115の外側に接する領域のSn含量との差は、0.3at%以下であることができる。これによって、クラック発生抑制効果をさらに向上させることができる。即ち、第2領域114b、115bは、位置別Sn含量がほぼ一定であることができ、第1領域114a、115aとは異なり、実質的にSn含量の濃度勾配を有さなくてもよい。
【0080】
一実施形態において、第1領域114a、115aの結晶粒平均サイズdaは、上記第2領域114b、115bの結晶粒平均サイズdbよりも50nm以上大きいことがある。これによって、第2領域114b、115bは、より効果的にクラック発生を抑制することができ、第1領域114a、115aは、より効果的にクラック伝播を抑制することができる。サイドマージン部に含まれたSnは結晶粒の成長を抑制する役割を果たすことができ、第1領域114a、115aの結晶粒平均サイズdaと第2領域114b、115bの結晶粒平均サイズdbとの差は、各領域に含まれたSn含量差によるものであってもよい。
【0081】
第1領域の結晶粒平均サイズda及び第2領域の結晶粒平均サイズdbは、特に限定する必要はない。但し、好ましい一例として、第1領域の結晶粒平均サイズdaは200nm以上400nm以下であり、上記第2領域の結晶粒平均サイズdbは150nm以上300nm以下であることができるが、これに制限されるものではない。
【0082】
一方、上述した第1領域及び第2領域に含まれた元素含量分析は、本体110の第2方向中央で切断した第1及び第3方向断面をSTEM(Scanning Transmission electron microscope,走査透過電子顕微鏡)でスキャンしたイメージから分析したものであることができる。具体的に図6及び図7を参照すると、上記イメージにおいて第1領域に隣接した内部電極から第2領域の一部まで任意のラインL1を設定し、上記L1に沿ってラインプロファイル(line profile)を行うことで第1領域及び第2領域に含まれた元素含量を分析することができる。また、第1方向に均等な間隔を有する5個のラインを設定した後、上記5個のラインに対するそれぞれのラインプロファイルから得られた値の平均値を求めることで、さらに一般化することができる。
【0083】
また、第1領域及び第2領域に含まれた結晶粒の平均サイズda、dbは、本体110の第2方向中央で切断した第1及び第3方向断面をSTEM(Scanning Transmission electron microscope,走査透過電子顕微鏡)を用いて5万倍率でスキャンしたイメージから測定したものであることができる。また、上記イメージは、サイドマージン部の第1方向中央領域をスキャンしたものであることができ、結晶粒のサイズとは、結晶粒の長径及び短径の平均値であることができ、結晶粒の平均サイズとは、最小100個以上の結晶粒のサイズを平均した値であることができる。
【0084】
一方、第1領域114a、115a及び第2領域114b、115bのSn含量を調整する方法は、特に限定する必要はない。好ましい一例として、Snが含まれたサイドマージン部用シートを本体の第3方向両端面(end surfaces)に第3方向に付着した後、焼成条件を制御することによってサイドマージン部用シートに含まれたSnの拡散を誘導し、第1領域114a、115a及び第2領域114b、115bのSn含量を調整することができる。また、第1領域114a、115aを構成するサイドマージン部用シートに含まれたSn含量が、第2領域114b、115bを構成するサイドマージン部用シートに含まれたSn含量よりも低くなるように第1領域及び第2領域のSn含量を調整してもよい。
【0085】
一実施形態において、第1領域114a、115a及び第2領域114b、115bはSiを含み、第1領域114a、115aのSi平均含量は上記第2領域のSi平均含量よりも低いことがある。これによって、サイドマージン部114、115の強度を向上させることができ、クラック発生抑制効果及びクラック伝播抑制効果をさらに向上させることができる。また、本発明の一実施形態によると、サイドマージン部114、115にSnとSiが同時に含まれ、融点が低く拡散しやすいSnが拡散することによって、SiもSnと共に容易に拡散が可能となり、第1領域114a、115aのSi平均含量が第2領域114b、115bのSi平均含量よりも低くなるように容易に制御することができる。また、第2領域114b、115bにおいて第1領域に隣接した領域よりも第2領域114b、115bにおいてサイドマージン部の外表面に隣接した領域でのSi含量がさらに高いことがある。
【0086】
このとき、Siは、焼成後にSi二次相形態で析出されることができ、これによって、第1及び第2領域はSi二次相を含み、上記第1領域に配置されたSi二次相の面積率は、上記第2領域に配置されたSi二次相の面積率よりも小さいことがある。
【0087】
一実施形態において、第1内部電極121は本体110の第3、第5及び第6面と連結され、第2内部電極122は本体110の第4、第5及び第6面と連結されることができる。このとき、第1内部電極121の第3方向両端の少なくとも一部及び第2内部電極122の第3方向両端の少なくとも一部にはSi二次相を含むことができる。
【0088】
サイドマージン部を別に付着する方式であると、第1及び第2内部電極121、122が本体110の第3方向両端面に露出するようになるため、一般的に、第1内部電極121の第3方向両端の少なくとも一部及び第2内部電極122の第3方向両端の少なくとも一部には気孔などの欠陥が発生しやすく、これによって、耐湿信頼性や絶縁抵抗が低下する恐れがある。一方、本発明の一実施形態によると、第1内部電極121の第3方向両端の少なくとも一部及び第2内部電極122の第3方向両端の少なくとも一部には、Si二次相が含まれるようにして耐湿信頼性及び絶縁抵抗を向上させることができる。また、本発明の一実施形態によると、サイドマージン部114、115にSnとSiが同時に含まれ、融点が低く拡散しやすいSnが拡散することによって、SiもSnと共に容易に拡散が可能となり、第1内部電極121の第3方向両端の少なくとも一部及び第2内部電極122の第3方向両端の少なくとも一部にSi二次相を容易に形成することができる。
【0089】
このとき、第1及び第2内部電極121、122に含まれたSi二次相の平均サイズは、上記第1領域114a、115a及び第2領域114b、115bに含まれたSi二次相の平均サイズよりも大きくなることができる。また、第1領域114a、115aに含まれたSi二次相の平均サイズは、第2領域114b、115bに含まれたSi二次相の平均サイズよりも大きくなることができる。
【0090】
一実施形態において、本体110は、誘電体層111を間に挟んで第1方向に交互に配置される第1及び第2内部電極121、122を含む容量形成部Acを含み、上記容量形成部Acの誘電体層111はSnを含むことができる。このとき、容量形成部Acの誘電体層111に含まれたSnは、誘電体層を形成するセラミックグリーンシートに添加剤として含まれたものであるか、又は、サイドマージン部から拡散したものであることができる。
【0091】
また、容量形成部Acの誘電体層111に含まれたSn平均含量は、第1領域114a、115aに含まれたSn平均含量よりも低くなることができる。これによって、第1領域114a、115aのSn含量が内部電極121、122から第2領域114b、115bに向かうにつれて次第に増加する濃度勾配を有する構造を容易に実現することができる。
【0092】
外部電極131、132は、本体110の第3面3及び第4面4に配置されることができる。
【0093】
外部電極131、132は、本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ配置され、第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ連結された第1及び第2外部電極131、132を含むことができる。
【0094】
図1を参照すると、外部電極131、132は、サイドマージン部114、115の第2方向両端面を覆うように配置されることができる。
【0095】
本実施形態では、積層型電子部品100が2個の外部電極131、132を有する構造について説明しているが、外部電極131、132の数や形状などは内部電極121、122の形態やその他の目的に応じて変わることができる。
【0096】
一実施形態において、外部電極131、132は、本体110の第3面に配置される第1外部電極131及び本体110の第4面に配置される第2外部電極132を含み、内部電極121、122は、第1外部電極131と接触する第1内部電極121及び第2外部電極132と接触する第2内部電極122を含み、第1及び第2内部電極121、122の第3方向羊端部はサイドマージン部114、115と接触することができる。
【0097】
一方、外部電極131、132は、金属などのように電気伝導性を有するものであれば、如何なる物質を使用して形成されてもよく、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質が決定されることができ、さらに多層構造を有することができる。
【0098】
例えば、外部電極131、132は、本体110に配置される電極層、及び上記電極層上に形成されためっき層を含むことができる。
【0099】
上記電極層131a、132aに対してより具体的な例を挙げると、電極層は、導電性金属及びガラスを含む焼成(firing)電極であるか、又は、導電性金属及び樹脂を含む樹脂系電極であることができる。
【0100】
また、上記電極層は、本体上に焼成電極及び樹脂系電極が順に形成された形態であることができる。また、上記電極層は、本体上に導電性金属を含むシートを転写する方式によって形成されるか、又は、焼成電極上に導電性金属を含むシートを転写する方式によって形成されたものであることができる。
【0101】
上記電極層に含まれる導電性金属としては、電気伝導性に優れた材料を用いることができるが、特に限定しない。例えば、導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、及びこれらの合金のうち一つであることができる。
【0102】
上記めっき層は、実装特性を向上させる役割を果たす。上記めっき層の種類は特に限定しないが、Ni、Sn、Pd、及びこれらの合金のうち一つ以上を含むめっき層であることができ、複数の層で形成されることができる。
【0103】
上記めっき層に対するより具体的な例を挙げると、上記めっき層は、Niめっき層又はSnめっき層であることができ、上記電極層上にNiめっき層及びSnめっき層が順に形成された形態であることができ、Snめっき層、Niめっき層、及びSnめっき層が順に形成された形態であることができる。また、上記めっき層は複数のNiめっき層及び/又は複数のSnめっき層を含んでもよい。
【0104】
積層型電子部品100のサイズは、特に限定する必要はない。
【0105】
但し、小型化及び高容量化を同時に達成するためには、誘電体層及び内部電極の厚さを薄くして積層数を増加させなければならないため、1005(長さ×幅、1.0mm×0.5mm)以下のサイズを有する積層型電子部品100の場合、本発明による信頼性向上効果がより顕著になり得る。
【0106】
したがって、製造誤差、外部電極のサイズなどを考慮すると、積層型電子部品100の長さが1.1mm以下で、幅が0.55mm以下である場合、本発明による信頼性向上効果がより顕著になり得る。ここで、積層型電子部品100の長さは、積層型電子部品100の第2方向最大サイズを意味し、積層型電子部品100の幅は、積層型電子部品100の第3方向最大サイズを意味することができる。
【0107】
以下、実験例を通じて本発明をさらに詳細に説明するが、これは発明の具体的な理解を助けるためであり、本発明の範囲が実験例によって限定されるものではない。
【0108】
(実験例)
セラミックグリーンシート上に内部電極用導電性ペーストを塗布し、第1方向に積層及びチップ単位体に切断して本体を設けた後、上記本体の第3方向両端面にサイドマージン部用セラミックグリーンシートを第3方向に積層して焼成した後、外部電極を形成することでサンプルチップを作製した。
【0109】
比較例では、サイドマージン部用セラミックグリーンシートにSnを添加していない。発明例では、サイドマージン部用セラミックグリーンシートにSnを添加し、焼成過程でSn拡散が起こるように焼成条件を制御した。
【0110】
比較例及び発明例の耐湿信頼性、クラック発生の有無を評価して、下記表1に記載した。
【0111】
耐湿信頼性の評価は、比較例及び発明例の各20個のサンプルに対して合計3段階の条件を連続的に適用して行った。1段階は、温度条件40℃、相対湿度0%、電圧条件7.56Vの条件で1時間行い、2段階は、温度条件85℃、相対湿度0%、電圧条件7.56Vの条件で1時間行い、3段階は、85℃、相対湿度60%、電圧条件4.41Vの条件で2時間行った。3段階の過程を経た後、IR Lowが発生したサンプルの数及びIR Failが発生したサンプルの数を下記表1に記載した。3段階の過程を経た後に測定した絶縁抵抗が初期絶縁抵抗と対比して1/100未満減少した場合にIR Lowが発生したと判断し、3段階の過程を経た後に測定した絶縁抵抗が10Ω以下である場合にIR Failが発生したと判断した。
【0112】
クラック発生の有無は、20個のサンプルチップを第2方向中央までポリッシングして第1及び第3方向断面を露出させた後、光学顕微鏡を用いて目視でサイドマージン部のクラック発生の有無を観察してクラックが発生したサンプルの数を記載した。
【0113】
【表1】
【0114】
上記表1を参考すると、比較例の場合、5個のサンプルでクラックが発生し、4個のサンプルでIR Lowが発生し、そのうち2個のサンプルは絶縁抵抗が10Ω以下となりIR Failが発生した。
【0115】
一方、発明例の場合、クラックが発生したサンプルはなく、IR Low及びIR Failが発生したサンプルもなかったことから、信頼性が顕著に優れたことが確認できる。
【0116】
図6は、発明例のサイドマージン部の第1及び第3方向断面をSTEM(Scanning Transmission electron microscope,走査透過電子顕微鏡)でスキャンしたイメージである。図7は、図6のL1に沿ってラインプロファイル(line profile)した結果である。
【0117】
図6及び図7を参照すると、第1領域のSn含量は第2領域のSn含量よりも低く、第1領域のSn含量は内部電極から第2領域に向かうにつれて次第に増加することが確認できる。これに対し、第2領域ではSn含量がほとんど増加せず、実質的に一定の含量を示した。
【0118】
一方、図7において第1領域の第3方向サイズは5.5μmであり、第1領域において本体と接する領域のSn含量と第2領域に接する領域のSn含量との差は6.0at%であることから、第1領域のSn含量は内部電極から第2領域方向に1μm当たり0.1at%以上増加することが確認できる。
【0119】
また、上記図6の領域をSTEM-EDSでSn元素マッピング(mapping)した結果である図8を参照すると、第1領域及び第2領域全体に渡ってSn含量が上記ラインプロファイル結果のように変化することが確認できる。
【0120】
一方、図6及び上記図6の領域をSTEM-EDSでSi元素マッピング(mapping)した結果である図9を参照すると、第2領域でSi含量が高く、第1領域でSi含量が低いことが確認できる。但し、Siの場合、一部領域で集まっていることが観察され、これは、焼成過程でSiが析出して二次相を形成したためと考えられる。また、内部電極の端部に大きいSi二次相が析出していることが確認できる。
【0121】
Sn含量による結晶粒径の差を確認するために、第1領域及び第2領域をより拡大して観察した。図10は、第1領域を5万倍率の走査透過電子顕微鏡(STEM)でスキャンしたイメージであり、図11は、第2領域を5万倍率の走査透過電子顕微鏡(STEM)でスキャンしたイメージである。
【0122】
図10及び図11を参照すると、第1領域の結晶粒径が第2領域の結晶粒径よりも大きいことが確認でき、特に、本体に隣接した第1領域に粒径の大きい結晶粒が配置されることが確認できる。
【0123】
以上では、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述した実施形態及び添付図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定される。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で、当技術分野の通常の知識を有する者によって様々な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属するといえる。
【符号の説明】
【0124】
100:積層型電子部品
110:本体
111:誘電体層
112、113:カバー部
114、115:サイドマージン部
114a、115a:第1領域
114b、115b:第2領域
121、122:内部電極
131、132:外部電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11