特開 2024-95937 ポンピング容器用スプリング及びこれを含むポンピング容器

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024095937

(43)【公開日】2024-07-11

(54)【発明の名称】ポンピング容器用スプリング及びこれを含むポンピング容器

(51)【国際特許分類】

   F16F 3/04 20060101AFI20240704BHJP

   A45D 34/04 20060101ALI20240704BHJP

   A45D 34/00 20060101ALI20240704BHJP

   B65D 47/34 20060101ALI20240704BHJP

   F16F 1/06 20060101ALI20240704BHJP

   F16F 1/12 20060101ALI20240704BHJP

【ＦＩ】

F16F3/04 Z

A45D34/04 555

A45D34/00 510

B65D47/34 110

F16F1/06 Z

F16F1/12 Z

【審査請求】有

【請求項の数】6

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023103683

(22)【出願日】2023-06-23

(31)【優先権主張番号】10-2022-0189091

(32)【優先日】2022-12-29

(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR

(71)【出願人】

【識別番号】504132560

【氏名又は名称】株式会社太成産業

(74)【代理人】

【識別番号】110001519

【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】李淙熙

(72)【発明者】

【氏名】趙▲みん▼浚

【テーマコード（参考）】

3E084

3J059

【Ｆターム（参考）】

3E084AA02

3E084AA12

3E084AB01

3E084BA01

3E084CA01

3E084DA01

3E084FA09

3E084FB01

3E084GA04

3E084GB04

3E084KB01

3E084LB02

3E084LC01

3E084LD22

3E084LD27

3J059AC05

3J059AE01

3J059BA01

3J059BB03

3J059BC04

3J059GA50

(57)【要約】

【課題】本発明は、ポンピング容器用スプリングに関し、ポンピング容器のボタンを押す時にボタンが回転するという問題点を解決するためのものである。
【解決手段】円形の吸収リング通過孔が形成され、吸収リング通過孔が上部通過孔に整列され、上部支持板に並んで配置されるように上部支持板と下部支持板との間に取り付けられた回転力吸収リングと、上端が上部支持板の底面に固定され、下端が回転力吸収リングの上面に固定されるように上部支持板と回転力吸収リングとの間に取り付けられた正方向螺旋部と、正方向螺旋部と反対方向の円螺旋状に形成され、上端が回転力吸収リングの底面に固定され、下端が下部支持板の上面に固定されるように回転力吸収リングと下部支持板との間に取り付けられた逆方向螺旋部とを備えた螺旋部を含む。これによって、ボタンを押す時にボタンの回転量を減少させることができる。
【選択図】図４

【特許請求の範囲】

【請求項1】

円形の上部通過孔が形成された上部支持板と、円形の下部通過孔が形成され、前記下部通過孔が前記上部通過孔に整列され、前記上部支持板に並んで前記上部支持板の下方に配置された下部支持板と、前記上部支持板と前記下部支持板との間に取り付けられた螺旋部と、を有するポンピング容器用スプリングであって、
円形の吸収リング通過孔が形成され、前記吸収リング通過孔が前記上部通過孔に整列され、前記上部支持板に並んで配置されるように前記上部支持板と前記下部支持板との間に取り付けられた回転力吸収リングを含み；
前記螺旋部は、左巻きの円螺旋形態と右巻きの円螺旋形態のいずれか一方の形態で形成され、上端が前記上部支持板の底面に固定され、下端が前記回転力吸収リングの上面に固定されるように前記上部支持板と前記回転力吸収リングとの間に取り付けられた正方向螺旋部と、前記正方向螺旋部と反対方向の円螺旋状に形成され、上端が前記回転力吸収リングの底面に固定され、下端が前記下部支持板の上面に固定されるように前記回転力吸収リングと前記下部支持板との間に取り付けられた逆方向螺旋部と、を含むことを特徴とするポンピング容器用スプリング。

【請求項2】

前記正方向螺旋部は、上端が前記上部支持板の底面に固定され、下端が前記回転力吸収リングの上面に固定された第１正方向螺旋部と、
前記第１正方向螺旋部と同一方向の円螺旋状に形成され、前記上部通過孔の中心線を対称線とするとき、上端が前記上部支持板の底面に固定された地点と前記第１正方向螺旋部の上端が前記上部支持板の底面に固定された地点とが前記対称線を基準にして線対称をなすように前記上部支持板に固定され、下端が前記回転力吸収リングの上面に固定された地点と前記第１正方向螺旋部の下端が前記回転力吸収リングの上面に固定された地点とが前記対称線を基準にして線対称をなすように前記回転力吸収リングに固定された第２正方向螺旋部と、を含み；
前記逆方向螺旋部は、前記第１正方向螺旋部と反対方向の円螺旋状に形成され、上端が前記回転力吸収リングの底面に固定され、下端が前記下部支持板の上面に固定された第１逆方向螺旋部と、
前記第１逆方向螺旋部と同一方向の円螺旋状に形成され、上端が前記回転力吸収リングの底面に固定された地点と前記第１逆方向螺旋部の上端が前記回転力吸収リングの底面に固定された地点とが前記対称線を基準にして線対称をなすように前記回転力吸収リングに固定され、下端が前記下部支持板の上面に固定された地点と前記第１逆方向螺旋部の下端が前記下部支持板の上面に固定された地点とが前記対称線を基準にして線対称をなすように前記下部支持板に固定された第２逆方向螺旋部と、を含むことを特徴とする、請求項１に記載のポンピング容器用スプリング。

【請求項3】

前記第２正方向螺旋部は、前記第１正方向螺旋部と同じ螺旋軌跡を有し；
前記第１逆方向螺旋部は、前記第１正方向螺旋部と同じ螺旋軌跡を有し；
前記第２逆方向螺旋部は、前記第１正方向螺旋部と同じ螺旋軌跡を有することを特徴とする、請求項２に記載のポンピング容器用スプリング。

【請求項4】

前記第１逆方向螺旋部は、前記回転力吸収リングを上下に同一厚さに２等分する平面を対称面とするとき、上端が前記回転力吸収リングの底面に固定された地点と前記第１正方向螺旋部の下端が前記回転力吸収リングの上面に固定された地点とが前記対称面を基準にして面対称をなすように前記回転力吸収リングに固定され；
前記第２逆方向螺旋部は、上端が前記回転力吸収リングの底面に固定された地点と前記第２正方向螺旋部の下端が前記回転力吸収リングの上面に固定された地点とが前記対称面を基準にして面対称をなすように前記回転力吸収リングに固定されたことを特徴とする、請求項２に記載のポンピング容器用スプリング。

【請求項5】

前記第１逆方向螺旋部は、前記回転力吸収リングを上下に同一厚さに２等分する平面を対称面とするとき、上端が前記回転力吸収リングの底面に固定された地点と前記第１正方向螺旋部の下端が前記回転力吸収リングの上面に固定された地点とが前記対称面を基準にして面対称をなすように前記回転力吸収リングに固定され；
前記第２逆方向螺旋部は、上端が前記回転力吸収リングの底面に固定された地点と前記第２正方向螺旋部の下端が前記回転力吸収リングの上面に固定された地点とが前記対称面を基準にして面対称をなすように前記回転力吸収リングに固定されたことを特徴とする、請求項３に記載のポンピング容器用スプリング。

【請求項6】

液状内容物が貯蔵された容器部と、前記容器部の上側に取り付けられたボタンと、前記ボタンを前記容器部に向かって押す時に前記ボタンを原位置に上昇させるための弾性力を蓄積するように前記ボタンと前記容器部との間に取り付けられたポンピング容器用スプリングとを有するポンピング容器であって、
前記ポンピング容器用スプリングは、請求項１～５のいずれか一項に記載のポンピング容器用スプリングを含むことを特徴とするポンピング容器。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、容器部に貯蔵された液状内容物をボタンの押し操作によってポンピング式で外部に排出させる時に用いられるポンピング容器用スプリング及びこれを含むポンピング容器に関する。

【背景技術】

【0002】

化粧品のような液状内容物をボタンの押し操作によってポンピング式で外部に排出させる構造を有するポンピング容器が使用されており、かかるポンピング容器には、押されたボタンが原位置に上昇可能な弾性力を蓄積するポンピング容器用スプリングが取り付けられる。

【0003】

図１２は、従来のポンピング容器用スプリングを示す図であり、図１３は、従来のポンピング容器用スプリングが取り付けられたポンピング容器を示す図である。

【0004】

従来のポンピング容器用スプリング１８０は、図１２に示すように、円形の上部通過孔１８１ａが形成された上部支持板１８１と、上部支持板１８１の下方に配置された下部支持板１８２と、上部支持板１８１と下部支持板１８２との間に取り付けられた螺旋部、すなわち第１正方向螺旋部１８３及び第２正方向螺旋部１８４を有する。

【0005】

下部支持板１８２は、中央に円形の下部通過孔１８２ａが形成される。

【0006】

第１正方向螺旋部１８３及び第２正方向螺旋部１８４はそれぞれ、左巻きの円螺旋状に形成される。

【0007】

第１正方向螺旋部１８３及び第２正方向螺旋部１８４はそれぞれ、上端が上部支持板１８１の底面に固定され、下端が下部支持板１８２の上面に固定される。

【0008】

従来のポンピング容器用スプリング１８０は、図１３に示すように、上部支持板１８１が加圧部材１７０に接触し、下部支持板１８２がスプリング支持部材１５０に接触するように容器部１１０の内部に取り付けられる。

【0009】

従来のポンピング容器用スプリング１８０の動作を説明すれば次の通りである。

【0010】

ボタン１４０を容器部１１０に向かって押すと、上部支持板１８１が下部支持板１８２に接近する。

【0011】

上部支持板１８１が下部支持板１８２に接近すると第１正方向螺旋部１８３及び第２正方向螺旋部１８４はそれぞれ圧縮されながら弾性力を蓄積する。

【0012】

第１正方向螺旋部１８３及び第２正方向螺旋部１８４が圧縮される間に、上部支持板１８１には上部支持板回転力(図１2の「ｆ１」参照）が加えられ、下部支持板１８２には下部支持板回転力(図１2の「ｆ２」参照)が加えられる。本明細書において上部支持板回転力は、上部支持板１８１を円周方向に回転させようとする力を意味し、下部支持板回転力は、下部支持板１８２を円周方向に回転させようとする力を意味する。

【0013】

ボタン１４０が押された状態で下部支持板１８２に加えられた下部支持板回転力(図１2の「ｆ２」参照)は、上部支持板回転力(図１2の「ｆ’２」参照)に変換されて上部支持板１８１に加えられる。下部支持板回転力が上部支持板１８１に加えられる理由は、下部支持板１８２が、回転動作し難いスプリング支持部材１５０に拘束されるためである。

【0014】

ところが、従来のポンピング容器用スプリング１８０によれば、ボタン１４０を押す時に螺旋部、すなわち第１正方向螺旋部１８３及び第２正方向螺旋部１８４から上部支持板１８１に加えられる上部支持板回転力(図１2の 「ｆ1」及び「ｆ’２」参照)のため、ボタン１４０の回転量が大きくなる問題点があることを、発明者は発見した。ボタン１４０の回転量が大きい理由は、上部支持板１８１に加えられる上部支持板回転力(図１2の 「ｆ1」及び「ｆ’２」参照)が加圧部材１７０を通じてボタン１４０に伝達されるためである。

【0015】

ボタン１４０が回転するとボタン１４０の押し操作が不便になる。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0016】

【特許文献1】大韓民国登録特許公報第１０－２１２０００９号（２０２０年０６月０１日登録）

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0017】

したがって、本発明の目的は、ボタンを押す時にボタンの回転量を減少させることができるポンピング容器用スプリング及びこれを含むポンピング容器を提供することである。

【課題を解決するための手段】

【0018】

上記の目的は、円形の上部通過孔が形成された上部支持板と、円形の下部通過孔が形成され、下部通過孔が上部通過孔に整列され、上部支持板に並んで上部支持板の下方に配置された下部支持板と、上部支持板と下部支持板との間に取り付けられた螺旋部と、上部支持板と下部支持板との間に取り付けられた回転力吸収リングと、を有するポンピング容器用スプリングによって達成される。ここで、回転力吸収リングは、円形の吸収リング通過孔が形成され、吸収リング通過孔が上部通過孔に整列され、上部支持板に並んで配置されるように取り付けられる。そして、螺旋部は、左巻きの円螺旋形態及び右巻きの円螺旋形態のうちいずれか一方の形態で形成され、上端が上部支持板の底面に固定され、下端が回転力吸収リングの上面に固定されるように上部支持板と回転力吸収リングとの間に取り付けられた正方向螺旋部と、正方向螺旋部と反対方向の円螺旋状に形成され、上端が回転力吸収リングの底面に固定され、下端が下部支持板の上面に固定されるように回転力吸収リングと下部支持板との間に取り付けられた逆方向螺旋部とを有する。

【発明の効果】

【0019】

したがって、本発明によれば、上部支持板と下部支持板との間に回転力吸収リングを取り付ける一方、上部支持板と回転力吸収リングとの間に円螺旋形態の正方向螺旋部を取り付け、回転力吸収リングと下部支持板との間に、正方向螺旋部と反対方向の円螺旋状に形成された逆方向螺旋部を取り付けることによって、ボタンを押す時にボタンの回転量を減少させることができる。ボタンの回転量が減少するとボタンの押し操作が便利になる。

【図面の簡単な説明】

【0020】

【図1】本発明の一実施例に係るポンピング容器の結合斜視図である。

【図2】本発明の一実施例に係るポンピング容器の分解斜視図である。

【図3】図１のＡ－Ａ’線断面図である。

【図4】本発明の一実施例に係るポンピング容器用スプリングを示す図である。

【図5】本発明の一実施例に係るポンピング容器用スプリングを示す図である。

【図6】本発明の一実施例に係るシリンダーバルブの斜視図である。

【図7】本発明の一実施例に係るポンピング容器の動作状態を示す図である。

【図8】本発明の一実施例に係るポンピング容器の動作状態を示す図である。

【図9】本発明の他の実施例に係るポンピング容器用スプリングを示す図である。

【図10】本発明の他の実施例に係るポンピング容器用スプリングを示す図である。

【図11】本発明のさらに他の実施例に係るポンピング容器用スプリングを示す図である。

【図12】従来のポンピング容器用スプリングを示す図である。

【図13】従来のポンピング容器用スプリングが取り付けられたポンピング容器を示す図である。

【発明を実施するための形態】

【0021】

以下、添付の図面を参照して本発明を詳しく説明する。
本発明の一実施例に係るポンピング容器は、直線管形態の容器側面部１１、容器側面部１１の上端に形成された容器ネック部１２、及び容器側面部１１の下端開口を密閉するように容器側面部１１に結合している容器底面部１３を備えた容器部１０と、容器部１０の内部に取り付けられたシリンダー２０と、容器ネック部１２に結合している内部ギャップ３０と、容器部１０の上側に取り付けられたボタン４０と、シリンダー２０に結合しているスプリング支持部材５０と、シリンダー２０の内部に取り付けられたシリンダーピストン６０と、ボタン４０に結合している加圧部材７０と、ボタン４０と容器部１０との間に取り付けられたポンピング容器用スプリング８０と、加圧部材７０に結合している中間流路部材９１と、シリンダー２０の内部に取り付けられたシリンダーバルブ９２と、容器部１０の内部に取り付けられた容器ピストン９３と、ボタン４０及び内部ギャップ３０を囲むように取り付けられた容器ギャップ９４とを有する。

【0022】

容器底面部１３には通気孔１３ａが形成される。

【0023】

容器ネック部１２には密閉リング１４が取り付けられる。

【0024】

シリンダー２０は、直線管形態のシリンダー側面部２１と、シリンダー側面部２１の下端を密閉するように形成されたシリンダー底面部２２とを有する。

【0025】

シリンダー底面部２２は、中央に流入孔２２ａが形成される。

【0026】

内部ギャップ３０は、直線管形態の内部ギャップ側面部３１と、内部ギャップ側面部３１の上端から上方に延長して形成されたボタン案内管部３３とを有する。

【0027】

ボタン４０は、直線管形態のボタン側面部４１と、ボタン側面部４１の上端を密閉するように形成されたボタン天井面部４２と、ボタン側面部４１に並んでボタン天井面部４２の底面に形成された直線管形態の垂直ボタン流路部４３と、垂直ボタン流路部４３の上端に連結され、ボタン側面部４１に対して垂直をなすようにボタン天井面部４２の底面に形成された直線管形態の水平ボタン流路部４４とを有する。

【0028】

ボタン４０は、ボタン案内管部３３に沿って容器側面部１１の高さ方向に昇降可能に取り付けられる。

【0029】

スプリング支持部材５０は、直線管形態の支持部材締結部５１と、支持部材締結部５１の上端に形成された支持部材支持鍔５２とを有する。

【0030】

スプリング支持部材５０は、支持部材締結部５１を介してシリンダー２０に結合する。

【0031】

シリンダーピストン６０は、直線管形態のピストン密着部６１と、ピストン密着部６１の内部でピストン密着部６１に並んで配置された直線管形態のピストン流路開閉部６２とを有する。

【0032】

シリンダーピストン６０は、ピストン密着部６１がシリンダー側面部２１の内表面に密着するようにシリンダー２０の内部に取り付けられる。

【0033】

加圧部材７０は、直線管形態の加圧部７１と、加圧部７１の外表面に外側に突出形成された加圧部材支持鍔７２とを有する。

【0034】

加圧部材７０は、加圧部７１の上端が垂直ボタン流路部４３に連結され、加圧部７１の下端がシリンダーピストン６０から離隔するようにボタン４０に結合する。

【0035】

ポンピング容器用スプリング８０は、円形の上部通過孔８１ａが形成された上部支持板８１と、上部支持板８１の下方に配置された下部支持板８２と、上部支持板８１と下部支持板８２との間に取り付けられた円形の回転力吸収リング８５と、上部支持板８１と下部支持板８２との間に取り付けられた螺旋部、すなわち正方向螺旋部８３及び逆方向螺旋部８４とを有する。

【0036】

下部支持板８２は、中央に円形の下部通過孔８２ａが形成される。

【0037】

下部支持板８２は、下部通過孔８２ａが上部通過孔８１ａに整列するように取り付けられる。

【0038】

回転力吸収リング８５は、中央に円形の吸収リング通過孔８５ａが形成される。

【0039】

回転力吸収リング８５は、吸収リング通過孔８５ａが上部通過孔８１ａに整列され、上部支持板８１に並んで配置されるように取り付けられる。

【0040】

正方向螺旋部８３は、それぞれ、上端が上部支持板８１の底面に固定され、下端が回転力吸収リング８５の上面に固定された第１正方向螺旋部８３ａ及び第２正方向螺旋部８３ｂを有する。

【0041】

第２正方向螺旋部８３ｂは、上端が上部支持板８１の底面に固定された地点と第１正方向螺旋部８３ａの上端が上部支持板８１の底面に固定された地点とが対称線（図４の「Ｃ」参照）を基準にして線対称をなすように上部支持板８１に固定される。本明細書において対称線（図４の「Ｃ」参照）は上部通過孔８１ａの中心線を意味する。

【0042】

そして、第２正方向螺旋部８３ｂは、下端が回転力吸収リング８５の上面に固定された地点と第１正方向螺旋部８３ａの下端が回転力吸収リング８５の上面に固定された地点とが対称線(図４の「Ｃ」参照)を基準にして線対称をなすように回転力吸収リング８５に固定される。

【0043】

第１正方向螺旋部８３ａ及び第２正方向螺旋部８３ｂはそれぞれ、左巻きの円螺旋状に形成される。

【0044】

第１正方向螺旋部８３ａ及び第２正方向螺旋部８３ｂはそれぞれ、上端と下端間の巻線数が１．５である。

【0045】

逆方向螺旋部８４は、それぞれ、上端が回転力吸収リング８５の底面に固定され、下端が下部支持板８２の上面に固定された第１逆方向螺旋部８４ａ及び第２逆方向螺旋部８４ｂを有する。

【0046】

第２逆方向螺旋部８４ｂは、上端が回転力吸収リング８５の底面に固定された地点と第１逆方向螺旋部８４ａの上端が回転力吸収リング８５の底面に固定された地点とが対称線(図４の「Ｃ」参照)を基準にして線対称をなすように回転力吸収リング８５に固定される。

【0047】

そして、第２逆方向螺旋部８４ｂは、下端が下部支持板８２の上面に固定された地点と第１逆方向螺旋部８４ａの下端が下部支持板８２の上面に固定された地点とが対称線(図４の「Ｃ」参照)を基準にして線対称をなすように下部支持板８２に固定される。

【0048】

第１逆方向螺旋部８４ａ及び第２逆方向螺旋部８４ｂはそれぞれ、右巻きの円螺旋状に形成される。

【0049】

第１逆方向螺旋部８４ａ及び第２逆方向螺旋部８４ｂはそれぞれ、上端と下端間の巻線数が０．５である。

【0050】

ポンピング容器用スプリング８０は、上部支持板８１が加圧部材支持鍔７２に接触し、下部支持板８２が支持部材支持鍔５２に接触するように取り付けられる。

【0051】

ポンピング容器用スプリング８０は、ポリプロピレン（Ｐｏｌｙｐｒｏｐｙｌｅｎｅ）、熱可塑性ポリエステルエラストマー（Ｔｈｅｒｍｏｐｌａｓｔｉｃ Ｃｏｐｏｌｙｅｓｔｅｒ Ｅｌａｓｔｏｍｅｒ）などによって製作されてよい。

【0052】

このような構成を有するポンピング容器用スプリング８０の動作を図７を参照して説明すると、次の通りである。

【0053】

ボタン４０を容器部１０に向かって押して下降させると、上部支持板８１が下部支持板８２に接近する。

【0054】

上部支持板８１が下部支持板８２に接近すると、正方向螺旋部８３及び逆方向螺旋部８４はそれぞれ圧縮されながら弾性力を蓄積する。

【0055】

正方向螺旋部８３が圧縮される間に、上部支持板８１には上部支持板回転力(図７の「Ｆ１」参照)が加えられ、回転力吸収リング８５には吸収リング回転力(図７の「Ｆ３」参照)が加えられる。吸収リング回転力は、回転力吸収リング８５を円周方向に回転させようとする力を意味する。

【0056】

ボタン４０が押された状態で上部支持板８１に加えられた上部支持板回転力(図７の「Ｆ１」参照）は、吸収リング回転力(図７の「Ｆ’１」参照)に変換されて回転力吸収リング８５に加えられる。上部支持板回転力が回転力吸収リング８５に加えられる理由は、回転力吸収リング８５の回転動作に対する拘束がないためである。

【0057】

そして、逆方向螺旋部８４が圧縮される間に、下部支持板８２には下部支持板回転力（図７の「Ｆ２」参照）が加えられ、回転力吸収リング８５には吸収リング回転力(図７の「Ｆ４」参照)が加えられる。

【0058】

ボタン４０が押された状態で下部支持板８２に加えられた下部支持板回転力は吸収リング回転力(図７の「Ｆ’２」参照)に変換されて回転力吸収リング８５に加えられる。下部支持板回転力が回転力吸収リング８５に加えられる理由は、回転力吸収リング８５の回転動作に対する拘束がないためである。

【0059】

中間流路部材９１は、下端が密閉された直線管形態の中間排出流路部９１ａと、中間排出流路部９１ａの下端から延長された中間流路開閉部９１ｂとを有する。

【0060】

中間排出流路部９１ａには中間排出流路孔９１ｃが形成される。

【0061】

中間流路部材９１は、中間流路開閉部９１ｂがピストン流路開閉部６２の下端に接触するように加圧部７１に結合する。

【0062】

シリンダーバルブ９２は、管形態のバルブボディー部９２ａと、バルブボディー部９２ａの内周面に形成されたバルブ支持アーム９２ｂと、バルブ支持アーム９２ｂに連結された断面Ｕ字状の密閉突部９２ｃとを有する。

【0063】

シリンダーバルブ９２は、密閉突部９２ｃが流入孔２２ａを密閉するようにシリンダー２０の内部に取り付けられる。

【0064】

前述した構成を有する本発明の一実施例に係るポンピング容器を使用する方法を図８を参照して説明すると、次の通りである。

【0065】

ボタン４０を容器部１０に向かって押して下降させると、次のような過程を経てシリンダー２０の内部に貯蔵された液状内容物が、中間流路部材９１、加圧部材７０、垂直ボタン流路部４３及び水平ボタン流路部４４を通して外部に排出される。
１）シリンダーピストン６０が中間流路部材９１よりも遅く下降することにより、中間流路開閉部９１ｂとピストン流路開閉部６２との間が開放される。
２）シリンダーピストン６０が下降すると、シリンダー２０の内部は正圧状態になり、流入孔２２ａはシリンダーバルブ９２によって密閉される。正圧状態は大気圧よりも高い圧力状態を意味する。
３）シリンダー２０の内部が正圧である状態で流入孔２２ａが密閉されると、シリンダー２０の内部に貯蔵された液状内容物は外部に排出される。

【0066】

一方、ボタン４０を押す動作を中止すると、次のような過程を経て、容器部１０に貯蔵された液状内容物は流入孔２２ａを通してシリンダー２０の内部に流入する。
１）シリンダーピストン６０が中間流路部材９１よりも遅く上昇することにより、中間流路開閉部９１ｂとピストン流路開閉部６２との間が閉鎖される。
２）シリンダーピストン６０が上昇するとシリンダー２０の内部は負圧状態になり、流入孔２２ａはシリンダーバルブ９２によって開放される。負圧状態は、大気圧よりも低い圧力状態を意味する。
３）シリンダー２０の内部が負圧である状態で流入孔２２ａが開放されると、容器部１０に貯蔵された液状内容物は、流入孔２２ａを通してシリンダー２０の内部に流入する。容器部１０に貯蔵された液状内容物がシリンダー２０の内部に流入する時に容器ピストン９３は上昇する。

【0067】

本発明の一実施例によれば次のような効果を得ることができる。

【0068】

上部支持板８１と下部支持板８２との間に回転力吸収リング８５を設ける一方、上部支持板８１と回転力吸収リング８５との間に円螺旋形態の正方向螺旋部８３を取り付け、回転力吸収リング８５と下部支持板８２との間に、正方向螺旋部８３と反対方向の円螺旋状に形成された逆方向螺旋部８４を取り付けることによって、ボタン４０を押す時にボタン４０の回転量を減少させることができる。

【0069】

そして、対称線(図４の「Ｃ」参照)を基準にして線対称をなすように第１正方向螺旋部８３ａ及び第２正方向螺旋部８３ｂを上部支持板８１及び回転力吸収リング８５に固定し、対称線を基準にして線対称をなすように第１逆方向螺旋部８４ａ及び第２逆方向螺旋部８４ｂを回転力吸収リング８５及び下部支持板８２に固定することによって、ボタン４０を押す時に正方向螺旋部８３及び逆方向螺旋部８４に蓄積される弾性力を増加させることができ、上部支持板８１、下部支持板８２及び回転力吸収リング８５が並んで配置された状態を安定して保持できる。

【0070】

一方、前述した実施例では、第１逆方向螺旋部８４ａ及び第２逆方向螺旋部８４ｂを第１正方向螺旋部８３ａと異なる螺旋軌跡を有するように構成しているが, 図９及び図10に示すように、第１正方向螺旋部83’aと同じ螺旋軌跡を有するように第１逆方向螺旋部84’a及び第２逆方向螺旋部84’bを構成して本発明を実施してもよい。

【0071】

第２正方向螺旋部８３’ｂは、上端が上部支持板８１’の底面に固定された地点と第１正方向螺旋部８３’ａの上端が上部支持板８１’の底面に固定された地点とが対称線(図４の「Ｃ」参照)を基準にして線対称をなすように上部支持板８１’に固定される。

【0072】

そして、第２正方向螺旋部８３’ｂは、下端が回転力吸収リング８５’の上面に固定された地点と第１正方向螺旋部８３’ａの下端が回転力吸収リング８５’の上面に固定された地点とが対称線を基準にして線対称をなすように回転力吸収リング８５’に固定される。

【0073】

第１正方向螺旋部８３’ａ及び第２正方向螺旋部８３’ｂはそれぞれ、上端と下端間の巻線数が1．５である。

【0074】

第２逆方向螺旋部８４’ｂは、上端が回転力吸収リング８５’の底面に固定された地点と第１逆方向螺旋部８４’ａの上端が回転力吸収リング８５’の底面に固定された地点とが対称線を基準にして線対称をなすように回転力吸収リング８５’に固定される。

【0075】

そして、第２逆方向螺旋部８４’ｂは、下端が下部支持板８２’の上面に固定された地点と第１逆方向螺旋部８４’ａの下端が下部支持板８２’の上面に固定された地点とが対称線を基準にして線対称をなすように下部支持板８２’に固定される。

【0076】

第１逆方向螺旋部８４’ａは、上端が回転力吸収リング８５’の底面に固定された地点と第１正方向螺旋部８３’ａの下端が回転力吸収リング８５’の上面に固定された地点とが対称面(図９及び図10の「Ｄ」参照)を基準にして面対称をなすように回転力吸収リング８５’に固定される。本明細書において対称面は、回転力吸収リング８５’を上下に同一厚さに２等分する平面を意味する。

【0077】

第２逆方向螺旋部８４’ｂは、上端が回転力吸収リング８５’の底面に固定された地点と第２正方向螺旋部８３’ｂの下端が回転力吸収リング８５’の上面に固定された地点とが対称面を基準にして面対称をなすように回転力吸収リング８５’に固定される。
第１逆方向螺旋部８４’ａ及び第２逆方向螺旋部８４’ｂはそれぞれ、上端と下端間の巻線数が1．５である。

【0078】

第２正方向螺旋部８３’ｂ、第１逆方向螺旋部８４’ａ及び第２逆方向螺旋部８４’ｂはそれぞれ、第１正方向螺旋部８３’ａと同じ螺旋軌跡を有する。

【0079】

すなわち、第２正方向螺旋部８３’ｂ、第１逆方向螺旋部８４’ａ及び第２逆方向螺旋部８４’ｂはそれぞれ、 第１正方向螺旋部８３’ａと巻線数が同一であり、螺旋軌跡の各対応地点におけるリード角(Ｌｅａｄ Ａｎｇｌｅ, 図10の「α」参照)が同一である。

【0080】

本発明の他の実施例によれば、次のような効果を得ることができる。

【0081】

第２正方向螺旋部８３’ｂ、第１逆方向螺旋部８４’ａ及び第２逆方向螺旋部８４’ｂをそれぞれ第１正方向螺旋部８３’ａと同じ螺旋軌跡を有するように形成することによって、正方向螺旋部８３’と逆方向螺旋部８４’に蓄積される弾性力の差が小さくなり、よって、ボタン４０の押し操作が便利になる。

【0082】

そして、上端が回転力吸収リング８５’の底面に固定された地点と第１正方向螺旋部８３’ａの下端が回転力吸収リング８５’の上面に固定された地点とが対称面(図９及び図10の「Ｄ」参照）を基準にして面対称をなすように第１逆方向螺旋部８４’ａを回転力吸収リング８５’に固定し、 上端が回転力吸収リング８５’の底面に固定された地点と第２正方向螺旋部８３’ｂの下端が回転力吸収リング８５’の上面に固定された地点とが対称面を基準にして面対称をなすように第２逆方向螺旋部８４’ｂを回転力吸収リング８５’に固定することによって、正方向螺旋部８３’と逆方向螺旋部８４’に蓄積される弾性力の差が小さくなり、よって、ボタン４０の押し操作が便利になる。

【0083】

また、前述した実施例では、回転力吸収リング８５，８５’を円形に構成しているが、回転力吸収リングを他の形態(図１1の図面番号８５”参照)で構成して本発明を実施してもよい。

【0084】

また、前述した実施例では、正方向螺旋部８３，８３’を左巻きの円螺旋状に形成し、逆方向螺旋部８４，８４’を右巻きの円螺旋状に形成しているが、正方向螺旋部を右巻きの円螺旋状に形成し、逆方向螺旋部を左巻きの円螺旋状に形成して本発明を実施してもよい。

【符号の説明】

【0085】

１０: 容器部, ４０: ボタン, ８０: ポンピング容器用スプリング, ８１:上部支持板, ８２：下部支持板, ８３：正方向螺旋部, ８４：逆方向螺旋部, ８５：回転力吸収リング

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】