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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095949
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】血小板含有組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/19 20150101AFI20240704BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240704BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20240704BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20240704BHJP
   A61P 19/00 20060101ALI20240704BHJP
   A61L 27/36 20060101ALI20240704BHJP
   A61L 15/32 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
A61K35/19
A61K9/08
A61K9/06
A61P17/02
A61P19/00
A61L27/36 100
A61L15/32 100
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023126670
(22)【出願日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】111150999
(32)【優先日】2022-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】522240623
【氏名又は名称】スピリット サイエンティフィック カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】522242339
【氏名又は名称】ダオ ルン スティーブン リン
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チン-ホ,チェン
(72)【発明者】
【氏名】ダオ ルン,リン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C081
4C087
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076AA11
4C076BB31
4C081AA01
4C081AA12
4C081AB01
4C081CD34
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB38
4C087NA14
4C087ZA89
4C087ZA96
(57)【要約】
【課題】室温で保存でき、複合体の添加及び加熱の必要がなく、任意の形状及び厚さを有する高純度血小板組成物に製造でき、使用の利便性及び安全性を向上させ、最適な成長因子徐放性結果を有する血小板含有組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】血小板含有組成物及びその製造方法を提供する。前記血小板含有組成物は、定量、活性化された多血小板血漿(Platelet rich plasma、PRP)と、前記多血小板血漿と混合する乏血小板血漿(Platelet poor plasma、PPP)と、を含む。前記血小板含有組成物の製造方法は、採取された全血に対して血小板の精製及び定量を行うことで、最適な成長因子徐放効果を有する高純度の血小板含有組成物を製造する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定量、活性化された多血小板血漿(Platelet rich plasma、PRP)と、乏血小板血漿(Platelet poor plasma、PPP)と、を少なくとも含み、
冷凍乾燥及び滅菌によって成長因子徐放性を有する高純度の血小板含有組成物を組成する、
血小板含有組成物。
【請求項2】
使用ニーズに応じて添加物を添加することにより、ゲル又は液体の形態にする、
請求項1に記載の血小板含有組成物。
【請求項3】
(1)全血を採取する工程と、
(2)採取された全血を遠心分離することによって多血小板血漿(Platelet rich plasma、PRP)と乏血小板血漿(Platelet poor plasma、PPP)との2つの液体に分離する工程と、
(3)多血小板血漿(Platelet rich plasma、PRP)を高濃度多血小板血漿(Highly concentrated platelet plasma、HCPP)に定量、活性化する工程と、
(4)定量、活性化された高濃度多血小板血漿(Highly concentrated platelet plasma、HCPP)と乏血小板血漿(Platelet poor plasma、PPP)とを混合する工程と、
(5)冷凍乾燥する工程と、
(6)滅菌する工程と、
(7)血小板含有組成物の製造を完了する工程と、を含む、
血小板含有組成物の製造方法。
【請求項4】
前記(7)工程においては、使用ニーズに応じて添加物を添加するにより、ゲル又は液体の形態にする、
請求項3に記載の血小板含有組成物の製造方法。
【請求項5】
前記添加物として、0.01%~10%のCa2+を添加することにより、血小板ゲルを構成する、
請求項4に記載の血小板含有組成物の製造方法。
【請求項6】
前記添加物は、Ca2+であり、
1mlあたりの前記血小板含有組成物中のCa2+の含有量は、0.05%~9.75%である、
請求項4に記載の血小板含有組成物の製造方法。
【請求項7】
前記添加物は、Ca2+であり、
1mlあたりの前記血小板含有組成物中のCa2+の含有量は、0.1%~9%である、
請求項4に記載の血小板含有組成物の製造方法。
【請求項8】
前記添加物は、Ca2+であり、
1mlあたりの前記血小板含有組成物中のCa2+の含有量は、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、0.11%、0.12%、0.13%、0.14%、0.15%、0.16%、0.17%、0.18%、0.19%、0.2%、0.21%、0.22%、0.23%、0.24%、0.25%、0.26%、0.27%、0.28%、0.29%、0.3%、0.31%、0.32%、0.33%、0.34%、0.35%、0.36%、0.37%、0.38%、0.39、0.4%、0.41%、0.42%、0.43%、0.44%、0.45%、0.46%、0.47%、0.49%、0.5%、0.51%、0.52%、0.53%、0.54%、0.55%、0.56%、0.57%、0.58%、0.59%、0.6%、0.61%、0.62%、0.63%、0.64%、0.65%、0.66%、0.67%、0.68%、0.69%、0.7%、0.71%、0.72%、0.73%、0.74%、0.75%、0.76%、0.77%、0.78%、0.79%、0.8%、0.81%、0.82%、0.83%、0.84%、0.85%、0.86%、0.87%、0.89%、0.9%、1%、1.25%、1.5%、1.75%、2%、2.25%、2.5%、2.75%、3%、3.25%、3.5%、3.75%、4%、4.25%、4.5%、4.75%、5%、5.25%、5.75%、6%、6.25%、6.5%、6.75%、7%、7.25%、7.5%、8.75%、9%、9.25%、9.5%、9.75%、10%である、
請求項4に記載の血小板含有組成物の製造方法。
【請求項9】
前記(7)工程における前記血小板含有組成物に添加物を添加することによって構成されたゲルは、實際に必要な形状、厚さに対応できるため、不規則な傷口に対応し、又は骨の修復又は保護に使用される、
請求項4に記載の血小板含有組成物の製造方法。
【請求項10】
前記添加物として溶剤を添加することにより、血小板組成液を構成する、
請求項4に記載の血小板含有組成物の製造方法。
【請求項11】
前記(6)工程における滅菌方法は、ガンマ線(Gamma ray)を利用する、
請求項3に記載の血小板含有組成物の製造方法。
【請求項12】
前記(3)工程における前記多血小板血漿の定量は、遠心分離して注射用水を添加することによって血小板濃度を109/mLに調整する、
請求項3に記載の血小板含有組成物の製造方法。
【請求項13】
前記多血小板血漿を定量するために添加される前記注射用水は、滅菌生理食塩水、0.45%のNaCl、4.5%の高張食塩水、無菌温泉水、又は等張食塩水に変更することができる、
請求項12に記載の血小板含有組成物の製造方法。
【請求項14】
前記(3)工程における前記多血小板血漿の活性化は、活性化剤の添加又は超音波振動によって行う、
請求項3に記載の血小板含有組成物の製造方法。
【請求項15】
前記多血小板血漿の活性化は、活性化剤を添加し、遠心分離することによって上清を除去する、
請求項3に記載の血小板含有組成物の製造方法。
【請求項16】
前記(3)工程における前記多血小板血漿の活性化は、超音波振動によって行う、
請求項3に記載の血小板含有組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多血小板血漿(Platelet rich plasma、PRP)と乏血小板血漿(Platelet poor plasma、PPP)とを混合した後、冷凍乾燥及び滅菌によって製造された組成物及び方法、製造された血小板含有組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の血小板製品は、全血を遠心分離した後、手動加圧器又は自動加圧器で加圧することにより、多血小板血漿(Platelet rich plasma、PRP)を採取するが、定量化されていないため、血小板数を推定できない。また、従来の血小板組成物の製造方法は、多血小板血漿(PRP)にコラーゲン、カルシウムイオン等の他の成分を添加して液体、粉末、ゲル等の異なる形態にするが、アレルゲン、毒性等の配慮を排除できない。また、従来の血小板ゲルのゲル化工程においては、加熱(通常は37℃)する必要があるため、使用上不便であり、且つ血小板の活性が加熱によって破壊される問題がある。さらに、従来の血小板ゲルは、ゼラチン(gelatin)、キトサン(chitosan)、ヒアルロン酸(hyaluronic acid)等の他の物質と複合体を形成することによってゲル化するが、血小板の活性は、添加される物質によって破壊又は低下される可能性がある。
【0003】
出願人は、「血小板溶解液」「ゲル」、「~patent/US20120183519A1」、「~patent/US20190160104A1」、「~patent/US20120183519A1」「sterile」、「~patent/CN110876815A」「血小板溶解液」、「~patent/CN110876815A」「血小板」「ゲル」等のキーワードで検索し、以下8つの従来技術を見つけた。
【0004】
従来技術1である米国特許「多血小板血漿による勃起機能障害の治療方法」(Treatment of erectile dysfunction using platelet-rich plasma)(特許番号:US20120183519A1)は、海綿組織、海綿組織の虚血組織、又はその近くに多血小板血漿含有組成物を投与することを含む、被験者の勃起機能障害を治療する方法を提供する。しかしながら、PRPを直接注射して治療を行うため、注射してからすぐになくなる可能性があり、且つ成長因子徐放性を有しない。また、滅菌できないため、感染の可能性がある。
【0005】
従来技術2である米国特許「血小板溶解物ゲル(Platelet lysate gel)」(特許番号:US20190160104A1)は、ヒト血小板群に対して凍結解凍サイクルを4回繰り返すことによって生成されたヒト血小板溶解物を含む。各凍結解凍サイクルにおける凍結は、-190℃以下の温度で行う。また、PRPを生成した後に重合物を添加するが、重合物は毒性を示す可能性がある。
【0006】
従来技術3である中国特許「血小板血漿及び抗菌ペプチドを有するヒドロゲル、その製造方法及び使用」(特許番号:CN110876815A)は、PRPを生成した後、抗菌ペプチド及び合成重合物と混合することによって生成される。前記重合物は、化学合成、透析、及び凍結乾燥によって製造され、その製品安全データシート(Material Safety Data Sheet)によると、剌激性があるため、傷口に使用できない。
【0007】
従来技術4である中国特許「血小板溶解物の組成物、その使用及び製造方法」(特許番号:CN103702674B)は、液体を押し出して遠心分離した後、ゲルを捨てて処理済の液体のみを残す。そのため、より多くの種類の傷口に効果的に適用できない。
【0008】
従来技術5である中国特許「ウイルス不活化血小板抽出物、その使用及び製剤」(特許番号:CN108714155A)は、有機溶剤を使用して滅菌するが、前記溶剤を除去する必要があり、工程が煩雑になり、且つ有機溶剤の残留の可能性がある。
【0009】
従来技術6である中国特許「ヒト血小板混合溶解液の製造方法、ヒト血小板混合溶解液、及び神経系疾患の治療への使用」(特許番号:CN110891582A)は、その血小板溶解液がより高い温度及びより長い時間の処理をする必要があり、且つ使用前に冷却する必要があるため、使用手順が煩雑である。
【0010】
従来技術7である中国特許「閉鎖型高速血小板溶解液製造装置」(特許番号:CN204446735U)は、高速血小板溶解液製造装置であるが、製造された血小板溶解液が保存できず、使用時に一から製造しなければならない。
【0011】
従来技術8である中国特許「複合血小板ゲル及びその製造方法」(特許番号:CN105030826A)は、キトサン、グルコースを添加するため、より多くの添加物はより多くの安全性の問題を引き起こす可能性がある。
【0012】
上記従来技術の問題点を鑑みて、本発明の主な目的は、血小板含有組成物を提供する。前記血小板含有組成物は、定量、活性化された多血小板血漿(Platelet rich plasma、PRP)と、前記多血小板血漿と混合する乏血小板血漿(Platelet poor plasma、PPP)とを含む。
【0013】
本発明のもう1つの目的は、血小板含有組成物の製造方法を提供する。前記血小板含有組成物の製造方法は、下記工程を含む:全血を採取し、採取された全血を遠心分離することによって多血小板血漿(Platelet rich plasma、PRP)と乏血小板血漿(Platelet poor plasma、PPP)との2つの液体に分離し、多血小板血漿(Platelet rich plasma、PRP)を高濃度多血小板血漿(Highly concentrated platelet plasma、HCPP)に定量、活性化し、定量、活性化された高濃度多血小板血漿(Highly concentrated platelet plasma、HCPP)と乏血小板血漿(Platelet poor plasma、PPP)とを混合し、冷凍乾燥し、滅菌し、血小板含有組成物の製造を完了する。
【0014】
本発明のもう1つの目的は、血小板含有組成物の製造方法を提供する。前記血小板含有組成物は、室温で保存でき、複合体の添加及び加熱の必要がなく、任意の形状及び厚さを有する高純度血小板組成物に製造できる。
【0015】
本発明のもう1つの目的は、血小板含有組成物及びその製造方法を提供する。それによって、使用の利便性及び安全性を向上させ、且つ最適な成長因子徐放性結果を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従来の血小板ゲルは、患者の傷口に外用し、傷口を「保護」する効果しかない、また、患者自身の血液から採取したものではないため、拒絶反応、アレルゲン、毒性を回避できない、さらに、傷口を迅速に修復できず、感染のリスクがある。
【0017】
また、従来の血小板組成物の製造は、多血小板血漿(PRP)にコラーゲン、カルシウムイオン等の他の成分を添加して液体、粉末、ゲル等の形態にするが、アレルゲン、毒性等の配慮を排除できない。また、従来の血小板ゲルのゲル化工程においては、加熱(通常は37℃)する必要があるため、使用上不便であり、血小板の活性が加熱によって破壊される問題がある。
【0018】
さらに、従来の血小板ゲルは、ゼラチン(gelatin)、キトサン(chitosan)、ヒアルロン酸(hyaluronic acid)等の他の物質と複合体を形成することによってゲル化するが、血小板の活性が破壊又は低下される可能性がある。
【0019】
従来技術1である「多血小板血漿による勃起機能障害の治療方法」(Treatment of erectile dysfunction using platelet-rich plasma)(特許番号:US20120183519A1)は、PRPを直接注射して治療を行うため、注射してからすぐになくなる可能性があり、且つ成長因子徐放性を有しない。
【0020】
また、滅菌できないため、感染の可能性がある。従来技術2である「血小板溶解物ゲル(Platelet lysate gel)」(特許番号:US20190160104A1)は、PRPを生成した後に重合物を添加することによって製造されるが、重合物は毒性を示す可能性がある。
【0021】
従来技術3である「血小板血漿及び抗菌ペプチドを有するヒドロゲル、その製造方法及び使用」(特許番号:CN110876815A)は、PRPを生成した後、抗菌ペプチド及び合成重合物と混合することによって生成される。前記重合物は、化学合成、透析、及び凍結乾燥によって製造され、その製品安全データシート(Material Safety Data Sheet)によると、剌激性があるため、傷口に使用できない。
【0022】
従来技術4である「血小板溶解物の組成物、その使用及び製造方法」(特許番号:CN103702674B)は、ゲルを捨てたため、より多くの種類の傷口に効果的に適用できない。
【0023】
従来技術5である「ウイルス不活化血小板抽出物、その使用及び製剤」(特許番号:CN108714155A)は、有機溶剤を使用して滅菌するが、前記溶剤を除去する必要があり、工程が煩雑になり、且つ有機溶剤の残留の可能性がある。
【0024】
従来技術6である「ヒト血小板混合溶解液の製造方法、ヒト血小板混合溶解液、及び神経系疾患の治療への使用」(特許番号:CN110891582A)は、高温処理する必要があり、且つ使用前に冷却する必要があるため、使用手順が煩雑である。
【0025】
従来技術7である「閉鎖型高速血小板溶解液製造装置」(特許番号:CN204446735U)は、製造された溶解液が保存できず、使用時に一から製造しなければならない。
【0026】
従来技術8である「複合血小板ゲル及びその製造方法」(特許番号:CN105030826A)は、キトサン、グルコースを添加する必要があるため、より多くの添加物はより多くの安全性の問題を引き起こす可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記問題を解決するために、本発明は、定量、活性化された多血小板血漿(Platelet rich plasma、PRP)と、前記定量、活性化された多血小板血漿と混合する乏血小板血漿(Platelet poor plasma、PPP)と、を少なくとも含み、冷凍乾燥及び滅菌によって成長因子徐放性を有する高純度の血小板含有組成物を組成する、血小板含有組成物を提供する。
【0028】
前記血小板含有組成物は、使用ニーズに応じて添加物を添加することによってゲル又は液体の形態にする。
【0029】
上記問題を解決するために、本発明は、血小板含有組成物の製造方法を提供する。前記血小板含有組成物の製造方法は、下記(1)~(7)の工程を含む。
【0030】
(1)全血を採取する工程。
(2)採取された全血を遠心分離することによって多血小板血漿(Platelet rich plasma、PRP)と乏血小板血漿(Platelet poor plasma、PPP)との2つの液体に分離する工程。
(3)多血小板血漿(Platelet rich plasma、PRP)を高濃度多血小板血漿(Highly concentrated platelet plasma、HCPP)に定量、活性化する工程。
(4)定量、活性化された高濃度多血小板血漿(Highly concentrated platelet plasma、HCPP)と、乏血小板血漿(Platelet poor plasma、PPP)とを混合する工程。
(5)冷凍乾燥する工程。
(6)滅菌する工程。
(7)血小板含有組成物の製造を完了する工程。
【0031】
本発明の(7)工程である血小板含有組成物の製造を完了する工程においては、使用ニーズに応じて添加物を添加してゲル又は液体の形態にすることができる。
【0032】
本発明の前記血小板含有組成物の添加物は、0.01%~10%のCa2+を添加することによって血小板ゲルを構成する。
【0033】
好ましくは、1mlあたりの前記血小板含有組成物中のCa2+の含有量は、0.05%~9.75%。
【0034】
好ましくは、1mlあたりの前記血小板含有組成物中のCa2+の含有量は、0.1%~9%。
【0035】
好ましくは、1mlあたりの前記血小板含有組成物中のCa2+の含有量は、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、0.11%、0.12%、0.13%、0.14%、0.15%、0.16%、0.17%、0.18%、0.19%、0.2%、0.21%、0.22%、0.23%、0.24%、0.25%、0.26%、0.27%、0.28%、0.29%、0.3%、0.31%、0.32%、0.33%、0.34%、0.35%、0.36%、0.37%、0.38%、0.39、0.4%、0.41%、0.42%、0.43%、0.44%、0.45%、0.46%、0.47%、0.49%、0.5%、0.51%、0.52%、0.53%、0.54%、0.55%、0.56%、0.57%、0.58%、0.59%、0.6%、0.61%、0.62%、0.63%、0.64%、0.65%、0.66%、0.67%、0.68%、0.69%、0.7%、0.71%、0.72%、0.73%、0.74%、0.75%、0.76%、0.77%、0.78%、0.79%、0.8%、0.81%、0.82%、0.83%、0.84%、0.85%、0.86%、0.87%、0.89%、0.9%、1%、1.25%、1.5%、1.75%、2%、2.25%、2.5%、2.75%、3%、3.25%、3.5%、3.75%、4%、4.25%、4.5%、4.75%、5%、5.25%、5.75%、6%、6.25%、6.5%、6.75%、7%、7.25%、7.5%、8.75%、9%、9.25%、9.5%、9.75%、10%である。
【0036】
本発明の(7)工程における前記血小板含有組成物に添加物を添加することによって構成されたゲルは、實際に必要な形状、厚さに対応できるため、不規則な傷口に対応し、または骨の修復又は保護に使用されることができる。
【0037】
本発明の前記血小板含有組成物の添加物は、溶剤(例えば、注射用水)を添加することによって血小板組成液を構成する。
【0038】
本発明の(6)工程における滅菌方法は、ガンマ線(Gamma ray)等を利用する。
【0039】
本発明の(3)工程における前記多血小板血漿の定量は、遠心分離して注射用水を添加することによって血小板濃度を109/mLに調整する。
【0040】
本発明の前記多血小板血漿を定量するために添加される前記注射用水は、滅菌生理食塩水、0.45%のNaCl、4.5%の高張食塩水、無菌温泉水、又は等張食塩水に変更することができる。
【0041】
本発明の(3)工程における前記多血小板血漿の活性化は、活性化剤の添加又は超音波振動によって行う。
【0042】
本発明の(3)工程における前記多血小板血漿の活性化は、活性化剤を添加し、遠心分離することによって上清を除去し、その後の前記乏血小板血漿(Platelet poor plasma、PPP)との混合に提供する。
【0043】
本発明の(3)工程における前記多血小板血漿の活性化は、超音波振動等によって行い、その後の前記乏血小板血漿(Platelet poor plasma、PPP)との混合に提供する。
【発明の効果】
【0044】
従来技術と比べて、本発明の血小板含有組成物は、定量、活性化された多血小板血漿(Platelet rich plasma、PRP)と、前記多血小板血漿と混合する乏血小板血漿(Platelet poor plasma、PPP)とを含む。本発明の血小板含有組成物の製造方法は、下記工程を有する:全血を採取し、採取された全血を遠心分離することによって多血小板血漿(Platelet rich plasma、PRP)と乏血小板血漿(Platelet poor plasma、PPP)との2つの液体に分離し、多血小板血漿(Platelet rich plasma、PRP)を高濃度多血小板血漿(Highly concentrated platelet plasma、HCPP)に定量、活性化し、定量、活性化された高濃度多血小板血漿(Highly concentrated platelet plasma、HCPP)と乏血小板血漿(Platelet poor plasma、PPP)とを混合し、冷凍乾燥し、滅菌し、血小板含有組成物の製造を完了する。
【0045】
これらの工程により、血小板含有組成物は、室温で保存でき、複合体の添加及び加熱の必要がなく、任意の形状及び厚さを有する高純度血小板組成物に製造でき、使用の利便性及び安全性を向上させ、最適な成長因子徐放性結果を有することにより、産業の利用性を大幅に拡大し、且つ新規性と進歩性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本発明の血小板含有組成物の構成図である。
図2】本発明の血小板含有組成物の製造方法の製造フローチャートである。
図3】本発明の血小板ゲル及び血小板組成液の実施フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明するが、図面における各部の寸法及び配置は、概略を示すものであって、必ずしも実際のものと一致しない。そのため、本発明は、図面に示される寸法及び配置に限定されない。
【0048】
図1は、本発明の血小板含有組成物の構成図である。好ましい実施例において、本発明の血小板含有組成物100は、少なくとも多血小板血漿(PRP)1と乏血小板血漿(PPP)2とを含む。
【0049】
前記多血小板血漿(PRP)1は、全血を遠心分離して中間層を採取することで得られる。前記多血小板血漿1は、定量、活性化された。
【0050】
前記乏血小板血漿(PPP)2は、全血を遠心分離して上層を採取することで得られる。
【0051】
図2は、本発明の血小板含有組成物の製造方法の製造フローチャートである。図3は、本発明の血小板ゲル及び血小板組成液の実施例を示す図である。本発明のコア技術(図2に示す)は、好ましい実施例において、血小板含有組成物の製造方法を提供し、前記血小板含有組成物の製造方法は、下記工程を有する。
【0052】
(1)全血を採取する工程(例えば、血液バッグから採取する)(S1)(図2に示す)。
【0053】
(2)採取された全血を遠心分離することによって多血小板血漿(Platelet rich plasma、PRP)と乏血小板血漿(Platelet poor plasma、PPP)との2つの液体に分離する工程(S2)(図2に示す)。
【0054】
(3)多血小板血漿(Platelet rich plasma、PRP)を高濃度多血小板血漿(Highly concentrated platelet plasma、HCPP)に定量、活性化する工程(S3)(図2に示す)。
【0055】
(4)定量、活性化された高濃度多血小板血漿(Highly concentrated platelet plasma、HCPP)と乏血小板血漿(Platelet poor plasma、PPP)とを混合する工程(S4)(図2に示す)。
【0056】
(5)冷凍乾燥する工程(S5)(図2に示す)。
【0057】
(6)滅菌する工程(S6)(図2に示す)。
【0058】
(7)血小板含有組成物100の製造を完了する工程(S7)。
【0059】
前記(7)工程である血小板含有組成物の製造を完了する工程において、使用ニーズに応じて前記血小板含有組成物100に添加物3を添加してゲル又は液体の形態にする。
【0060】
血小板ゲル31を構成するために、前記血小板含有組成物100の添加物3として、0.01%~10%のCa2+を添加する。好ましくは、1mlあたりの前記血小板含有組成物100中の添加物3であるCa2+の含有量は、0.05%~9.75%である。より好ましくは、1mlあたりの前記血小板含有組成物100中の添加物3であるCa2+の含有量は0.1%~9%である。
【0061】
さらに好ましくは、1mlあたりの前記血小板含有組成物100中の添加物3であるCa2+の含有量は、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、0.11%、0.12%、0.13%、0.14%、0.15%、0.16%、0.17%、0.18%、0.19%、0.2%、0.21%、0.22%、0.23%、0.24%、0.25%、0.26%、0.27%、0.28%、0.29%、0.3%、0.31%、0.32%、0.33%、0.34%、0.35%、0.36%、0.37%、0.38%、0.39、0.4%、0.41%、0.42%、0.43%、0.44%、0.45%、0.46%、0.47%、0.49%、0.5%、0.51%、0.52%、0.53%、0.54%、0.55%、0.56%、0.57%、0.58%、0.59%、0.6%、0.61%、0.62%、0.63%、0.64%、0.65%、0.66%、0.67%、0.68%、0.69%、0.7%、0.71%、0.72%、0.73%、0.74%、0.75%、0.76%、0.77%、0.78%、0.79%、0.8%、0.81%、0.82%、0.83%、0.84%、0.85%、0.86%、0.87%、0.89%、0.9%、1%、1.25%、1.5%、1.75%、2%、2.25%、2.5%、2.75%、3%、3.25%、3.5%、3.75%、4%、4.25%、4.5%、4.75%、5%、5.25%、5.75%、6%、6.25%、6.5%、6.75%、7%、7.25%、7.5%、8.75%、9%、9.25%、9.5%、9.75%、10%である。
【0062】
また、前記(7)工程における前記血小板含有組成物100に添加物3を添加することで形成されたゲルは、實際に必要な形状、厚さに対応できるため、不規則な傷口に対応し、または骨の修復又は保護に使用されることができる。前記血小板含有組成物100の添加物3は、注射用水等を添加することによって血小板組成液を構成する。
【0063】
前記(6)工程における滅菌は、ガンマ線(Gamma ray)等を利用する。前記(3)工程における前記多血小板血漿の定量は、遠心分離して注射用水を添加することによって血小板濃度を109/mLに調整する。前記多血小板血漿を定量するために添加される前記注射用水は、滅菌生理食塩水、0.45%のNaCl、4.5%の高張食塩水、無菌温泉水、又は等張食塩水に変更することができる。
【0064】
(3)工程における多血小板血漿の活性化は、活性化剤の添加又は超音波振動によって行う(図3に示す)。(3)工程における多血小板血漿(Platelet rich plasma、PRP)1の活性化は、活性化剤としてアデノシン二リン酸(adenosine diphosphate、ADP)等を利用して血小板を活性化状態に維持し、その後活性化剤を除去することで、高純度の血小板及び高含有量の成長因子が得られる。
【0065】
(3)工程において、超音波振動によって高濃度多血小板血漿(Highly concentrated platelet plasma、HCPP)を活性化させ、その後の前記乏血小板血漿(Platelet poor plasma、PPP)との混合に提供する(図3に示す)。本発明の前記多血小板血漿の活性化は、活性化剤を添加し、遠心分離することによって上清を除去し、その後の前記乏血小板血漿(Platelet poor plasma、PPP)との混合に提供する。
【0066】
本発明の(3)工程における多血小板血漿の活性化は、超音波振動等によって行い、その後の前記乏血小板血漿(Platelet poor plasma、PPP)との混合に提供する(図3に示す)。
【0067】
図3は、本発明の血小板ゲル及び血小板組成液の実施フローチャートである。「血小板ゲル」を例として説明すると、前記血小板含有組成物の製造プロセスの工程は、以下の通りである。
【0068】
まず、全血を採取して遠心分離することで多血小板血漿(PRP)及び乏血小板血漿(PPP)を製造し、前記多血小板血漿(PRP)をさらに遠心分離し、血小板濃度を109/mLに定量する。前記定量工程において、注射用水を添加してもよい。
【0069】
定量された多血小板血漿(PRP)をさらに超音波振動又は活性化剤の添加によって活性化することで、血小板の純度が100%になり、成長因子の含有量がより高いという効果を奏する。活性化プロセス及び定量を経て得られた高濃度多血小板血漿(Highly concentrated platelet plasma、HCPP)を遠心分離して上清を除去し、上清を除去した活性化された高濃度多血小板血漿(Highly concentrated platelet plasma、HCPP)と、遠心分離して得られた乏血小板血漿(PPP)とを混合した後、冷凍乾燥し、ガンマ線(Gamma ray)で滅菌し、最後、添加物3である0.01%~10%のCa2+を添加することにより、血小板ゲル31を構成する。
【0070】
図3は、本発明の血小板ゲル及び血小板組成液の実施フローチャートである。「血小板組成液」を例として説明すると、前記血小板含有組成物の製造プロセスの工程は、以下の通りである。
【0071】
まず、全血を採取して遠心分離することで多血小板血漿(PRP)及び乏血小板血漿(PPP)を製造し、前記多血小板血漿(PRP)をさらに遠心分離し、血小板濃度を109/mLに定量する。前記定量は、注射用水を添加してもよい。定量された多血小板血漿(PRP)を超音波振動又は活性化剤の添加によって活性化することで、血小板の純度が100%になり、成長因子の含有量がより高いという効果を奏する。
【0072】
すなわち、活性化プロセス及び定量を経て得られた高濃度多血小板血漿(HCPP)を遠心分離して上清を除去し、さらに、上清を除去した活性化された前記高濃度多血小板血漿(HCPP)と、遠心分離して得られた乏血小板血漿(PPP)とを混合した後、冷凍乾燥し、ガンマ線(Gamma ray)で滅菌し、最後、溶剤(例えば、注射用水)である添加物3を添加するにより、血小板組成液32を構成する。
【0073】
以上、本発明の血小板含有組成物の製造プロセスと、血小板ゲル及び血小板組成液の実施例のフローチャートと、前記2種類の製品の態様の生産プロセスとを説明する。図3における乏血小板血漿(Platelet poor plasma、PPP)2は、上層の血小板血漿であり、図3における多血小板血漿(Platelet rich plasma、PRP)1は、中間層の血小板血漿である。
【0074】
前記製造方法で製造された血小板含有組成物100は、下記特性及び効果を有する。
【0075】
1.製造された血小板含有組成物は、冷凍乾燥を経て粉末状態になるため、室温で保存することができ、特別な保存条件を必要とせず、すぐに取って使用することができ、毎回の採血、調製の流れをなくす。
【0076】
2.複合体(例えば、抗凝固剤)を別に添加しなくても血小板含有組成物を製造できる。
【0077】
3.製造された血小板ゲルは、使用及び製造段階において加熱する必要がなく、室温でゲル化して使用できる。従来のゲル温度は、使用するために高温加熱または他の追加のステップ(手順は以下の通りである:まず、押圧、絞り、濾過、超音波振動、又は冷凍解凍の循環を行うから、使用を開始する。)を必要とするため、本発明と比較して室温で直接ゲル化して使用することはできない。
【0078】
4.製剤の形状が限定されず(例えば、従来の採血管は10ccの容量制限がある)、需要に応じて適切な形状及び厚さを有する血小板含有組成物を製造できる。
【0079】
本発明の血小板含有組成物の製造方法の利点及び効果を実験によって検証する。実験によって検証した結果、本発明の製造方法で製造された血小板含有組成物は、下記利点及び効果を有する。
【0080】
1.無菌。
2.ゼラチン(gelatin)、キトサン(chitosan)、ヒアルロン酸(hyaluronic acid)等の複合体を添加しない。
3.赤血球を含まない。
4.分離ゲルを含まない。
5.成長因子を含む。
6.血小板が定量される。
7.製造において他の物質を添加しない。
8.細胞培養用の天然培地として利用できる。
9.血小板の含有量が100%である。
10.ゲル化温度は室温であってもよい。
11.成長因子を別に添加する必要がない。
12.活性化剤の残留がない。
【0081】
本発明の応用
1.無添加物のメリット。
本発明の血小板含有組成物の製造において、他の物質を添加しないため、患者の感染リスクを最小限に抑えるとともに、原料及び製造のコストを低減できる。
2.ADPで100%純度の血小板組成物を製造する。
本発明において、多血小板の活性化は、血小板にアデノシン二リン酸(adenosine diphosphate、ADP)を添加することにより、活性化状態に維持し、その後、アデノシン二リン酸を除去することで、血小板の純度が100%になり、成長因子の含有量がより高いという効果を奏する。
3.患者自身の血液から採取して製造されるため、拒絶反応及び毒性の発生を回避する。
本発明は、患者自身の血液から採取して製造されるため、血小板含有組成物を患者に使用する場合、拒絶反応及び毒性の発生を回避でき、安全に使用できる。
4.一度で大量に製造できる製造方法。
【0082】
本発明は、一度で大量に血小板含有組成物を製造でき、大きな面積の傷口、損傷の回復、又は大量製造に用いることができる。この方法によれば、従来の採血管が10ccの容量制限(一定の形状及び厚さを有するものしか製造できない)があり、形成される血小板ゲルの体積が限られ、形状が変化しにくいという問題を解決できる。
【0083】
5.実際の使用状況に応じて任意の形状・厚さに製造できる。
【0084】
本発明の血小板含有組成物は、実際の需要に応じて形状及び厚さに製造できるため、不規則な傷口、骨の修復又は保護に利用できる。すなわち、前記一回で大量に製造できる製造方法により、本発明は実際の需要に応じて形状及び厚さを有する血小板含有組成物を製造できるため、不規則な傷口(例えば、やけど等による傷口)、骨の修復又は保護等に利用できるため、小片の血小板含有組成物を組み合わせたり、不適切なドレッシング材を使用する必要がない。
【0085】
6.成長因子徐放性の結果の最適化。
【0086】
本発明は、抗凝固剤を添加しなくても成長因子徐放性の結果がより良い血小板含有組成物を製造できるため、抗凝固剤の過剰によるリスクを回避できる。
【0087】
従来技術と比べて、本発明は、以下の利点を有する。
【0088】
1.従来の血小板ゲルは、患者の傷口に外用し、傷口を「保護」する効果しかない。本発明の血小板ゲルは、患者自身の血液から採取して製造されるため、拒絶反応及び毒性の発生を回避し、保護効果をより向上させ、患者の傷口をより早く修復できる。
【0089】
2、従来の血小板組成物の製造方法は、多血小板血漿(PRP)にコラーゲン、カルシウムイオン等の他の成分を添加して液体、粉末、ゲル等の異なる形態にするが、アレルゲン、毒性等の配慮を排除できないだけでなく、血小板数も推定できない。本発明は、ADPで100%純度の血小板組成物を製造し、血小板を定量することにより、ADP(アデノシン二リン酸、adenosine diphosphate)を利用して血小板を活性化状態に維持しながら血漿を除去することで、純度100%の血小板が得られる。
【0090】
3.従来の血小板ゲルのゲル化工程においては、加熱(通常は37℃)する必要があるため、使用上不便である。本発明で製造された血小板ゲルは、使用及び製造の段階において加熱する必要がないため、血小板の活性が加熱によって破壊される問題を回避できる。
【0091】
4.従来の血小板ゲルは、他の物質(例えば、ゼラチン(gelatin)、キトサン(chitosan)、ヒアルロン酸(hyaluronic acid)等)と複合体を形成した後、ゲルになるが、血小板の活性が破壊又は低下される可能性がある。本発明の製造方法は、複合体を別に添加しなくても血小板含有組成物を製造できる。
【0092】
本発明の特徴は、以下の通りである。
【0093】
1.血小板含有組成物が室温で保存できる。
製造された血小板含有組成物は、特殊な保存条件に限定されずに室温で保存できる。
【0094】
2.複合体を別に添加する必要がない
ゼラチン(gelatin)、キトサン(chitosan)、ヒアルロン酸(hyaluronic acid)等の複合体を別に添加しなくても血小板含有組成物を製造できる。
【0095】
3.使用前に加熱する必要がない
製造された血小板ゲルは、使用及び製造の段階において加熱する必要がなく、室温でゲル化して使用できる。
【0096】
4.任意の形状及び厚さを有する血小板含有組成物を製造できる
形状が限定されず(例えば、従来の採血管は10ccの容量制限がある)、ニーズに応じて適切な形状及び厚さを有する血小板含有組成物を製造できる。
【0097】
5.100%純度の血小板組成物
活性化によって血小板の濃度が100%になる。
【0098】
本発明の前記血小板含有組成物100は、定量、活性化された多血小板血漿(Platelet rich plasma、PRP)1と、前記多血小板血漿と混合する乏血小板血漿(Platelet poor plasma、PPP)2とを含む。
【0099】
本発明の血小板含有組成物の製造方法は、全血を採取する工程と、採取された全血を遠心分離することによって多血小板血漿(Platelet rich plasma、PRP)1と乏血小板血漿(Platelet poor plasma、PPP)2との2つの液体に分離する工程と、多血小板血漿(Platelet rich plasma、PRP)1を定量、活性化する工程と、定量、活性化された高濃度多血小板血漿(Highly concentrated platelet plasma、HCPP)と乏血小板血漿(Platelet poor plasma、PPP)2とを混合する工程と、冷凍乾燥工程と、滅菌工程と、血小板含有組成物の製造を完了する工程とを含む。
【0100】
上記により、本発明に係る血小板含有組成物は、室温で保存でき、複合体を別に添加する必要がなく、使用前に加熱する必要がなく、任意の形状及び厚さを有する高純度の血小板組成物を製造できる。また、本発明に係る血小板含有組成物の使用の利便性及び安全性が向上し、且つ最適な成長因子徐放性を有し、産業の利用性を大幅に拡大し、新規性及び進歩性を有する。
【0101】
上記から分かるように、本発明は、先前技術を突破した上で、確実に増進しようとする効果に達し、且つ当業者が容易に考えることができないため、新規性、進歩性等の特許の要件を満たしている。
【0102】
上記の実施例は、本発明の技術的思想と特徴を説明するためのものにすぎず、その目的は、当業者が本発明の内容を理解して実施できることであり、本発明の特許請求の範囲を制限するためのものではない。本発明の精神及び範囲に反しない前提で本発明に対する改良又は変更は、いずれも本発明の保護範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0103】
100 血小板含有組成物
1 多血小板血漿(Platelet rich plasma、PRP)
2 乏血小板血漿(Platelet poor plasma、PPP)
3 添加物
31 血小板ゲル
32 血小板組成液
S1 全血を採取する
S2 採取された全血を遠心分離することによって多血小板血漿(Platelet rich plasma、PRP)と乏血小板血漿(Platelet poor plasma、PPP)との2つの液体に分離する
S3 多血小板血漿(Platelet rich plasma、PRP)を高濃度多血小板血漿(Highly concentrated platelet plasma、HCPP)に定量、活性化する
S4 定量、活性化された高濃度多血小板血漿(Highly concentrated platelet plasma、HCPP)と乏血小板血漿(Platelet poor plasma、PPP)とを混合する
S5 冷凍乾燥する
S6 滅菌する
S7 血小板含有組成物の製造を完了する
図1
図2
図3