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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095950
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】円筒型セル及び電子装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/533 20210101AFI20240704BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20240704BHJP
   H01M 50/627 20210101ALI20240704BHJP
   H01M 50/152 20210101ALI20240704BHJP
   H01M 50/548 20210101ALI20240704BHJP
   H01M 50/545 20210101ALI20240704BHJP
【FI】
H01M50/533
H01M10/04 W
H01M50/627
H01M50/152
H01M50/548 201
H01M50/545
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023131732
(22)【出願日】2023-08-12
(31)【優先権主張番号】202223570242.3
(32)【優先日】2022-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社AESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】單 雪燕
【テーマコード(参考)】
5H011
5H023
5H028
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA09
5H011KK00
5H023AS01
5H028BB07
5H028CC12
5H043AA19
5H043CA03
5H043LA00
5H043LA02E
5H043LA11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電解質の浸透及びガスの排出速度が促進された円筒型セルを提供する。
【解決手段】円筒型セルは、端壁11と、端壁を取り囲む周囲壁12とを含むハウジング1と、端壁を貫通し、端壁と絶縁された状態で端壁に接続される極柱2と、ハウジング内に設けられる電極アセンブリ3であって、電極アセンブリ本体31及び第1のタブ32を含む電極アセンブリと、を備え、第1のタブは、極柱に面する電極アセンブリ本体の第1の端部に位置し、電極アセンブリ本体の第1の端部上の第1のタブの正投影は第1のタブ領域であり、第1のタブ領域の外側境界上の任意の点と周囲壁の内側との間の距離はL1であり、周囲壁の内側の半径はR0であり、L1とR0の比は0.3から0.7の範囲である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端壁と、前記端壁を取り囲む周囲壁とを含むハウジングと、
前記端壁を貫通し、前記端壁と絶縁された状態で前記端壁に接続される極柱と、
前記ハウジング内に設けられる電極アセンブリであって、電極アセンブリ本体及び第1のタブを含む電極アセンブリと、を備え、
前記第1のタブは、前記極柱に面する前記電極アセンブリ本体の第1の端部に位置し、前記電極アセンブリ本体の前記第1の端部上の前記第1のタブの正投影は第1のタブ領域であり、
前記第1のタブ領域の外側境界上の任意の点と前記周囲壁の内側との間の距離はL1であり、前記周囲壁の前記内側の半径はR0であり、L1とR0の比は0.3から0.7の範囲である、
円筒型セル。
【請求項2】
前記第1のタブ領域の面積がS1であり、
前記電極アセンブリ本体の端部の面積がS0であり、S1とS0の比は0.3~0.5の範囲である、
請求項1に記載の円筒型セル。
【請求項3】
前記円筒型セルは、接続部品をさらに備え、
前記接続部品は、前記極柱と前記第1のタブとの間に設けられ、前記極柱と前記第1のタブとを電気的に接続する、
請求項2に記載の円筒型セル。
【請求項4】
前記電極アセンブリ本体の前記第1の端部上の前記接続部品の正投影面積がS2であり、S2≦S1である、
請求項3に記載の円筒型セル。
【請求項5】
前記極柱は、液体注入口を備える、
請求項1に記載の円筒型セル。
【請求項6】
前記第1のタブ領域の内側境界上の任意の点と前記周囲壁の中心線との間の距離はL2であり、L2とR0の比は0.1から0.4の範囲である、
請求項5に記載の円筒型セル。
【請求項7】
電極アセンブリ本体の前記巻回数がNであり、最も内側の巻きが第1の巻きであり、最も外側の巻きが第Nの巻きである場合、前記第1のタブ領域は、前記電極アセンブリ本体の1/10N巻きから2/5N巻きとの間に位置する、
請求項5に記載の円筒型セル。
【請求項8】
前記円筒型セルは、カバープレートをさらに備え、
前記カバープレートは、前記端壁から離れた前記周囲壁の一端に固定される、
請求項1に記載の円筒型セル。
【請求項9】
前記電極アセンブリは、第2のタブをさらに含み、
前記第2のタブは、前記カバープレートに近い前記電極アセンブリ本体の第2の端部に設けられ、前記第2のタブは、前記カバープレートに直接かつ電気的に接続され、前記カバープレートは、前記周囲壁に電気的に接続される、
請求項8に記載の円筒型セル。
【請求項10】
前記電極アセンブリ本体上の前記第2のタブの正投影が第2のタブ領域であり、前記第2のタブ領域の内側境界上の任意の点と前記電極アセンブリ本体の中心線との間の距離がL3であり、L3とR0の比が0.5~0.8の範囲であり、
電極アセンブリ本体の前記巻回数がNであり、前記最も内側の巻きが前記第1の巻きであり、前記最も外側の巻きが第Nの巻きである場合、前記第2のタブ領域は、前記電極アセンブリ本体の1/2N巻きとN巻きとの間に位置する、
請求項9に記載の円筒型セル。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の円筒型セルを備える電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池の技術分野に関し、特に、円筒型セル及び電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高エネルギー密度、高安全性、低コストを特徴とする円筒型セルは、現在、新エネルギー動力電池の分野における研究の重要なトピックである。円筒型セルは、ハウジングと、電極アセンブリと、極柱と、カバープレートと、を含む。ハウジングは、一端が開いた円筒構造である。電極アセンブリはハウジング内に設けられ、極柱はハウジングの端壁に固定され、電極アセンブリの第1のタブと電気的に接続され、カバープレートはハウジングの開放端を封止し、電極アセンブリの第2のタブに電気的に接続される。
【0003】
既存の円筒型セルの電極アセンブリは、正極シートと、負極シートと、セパレータと、を含む。正極シートの一端には正極タブが接続され、負極シートの一端には負極タブが接続され、所定枚数の正極シート、セパレータ、負極シートを所定の方法で積層した後、電極アセンブリを形成するために巻回する。そして、正極タブアセンブリを混練により正極タブに成形し、負極タブアセンブリを混練により負極タブに成形する。しかしながら、既存技術ではタブを切削加工しておらず、混練工程はタブ全体を混練ローラーで平らに成形するため、混練面は高密度である。電極アセンブリの端面全体が混練タブで覆われているため、円筒型セルの排出が困難になったり、電解質の浸透不良が生じやすくなり、円筒型セルの信頼性に影響を与える。
【0004】
以上のことから、上記の問題を解決する円筒型セルを提供することが急務となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、円筒型セルを提供することであり、電極アセンブリのタブが低密度であると、電解質の浸透及びガスの排出速度が促進され、セルの信頼性が向上する。
【0006】
本発明の別の目的は、電子装置を提供することであり、電子装置の信頼性及び安定性は、上記の円筒型セルを使用することによって良好である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、次の技術的態様が提供される。
【0008】
第1の態様では、以下を含む円筒型セルが提供される。端壁と、端壁を取り囲む周囲壁とを含むハウジングと、端壁を貫通し、端壁と絶縁された状態で端壁に接続される極柱と、ハウジング内に設けられる電極アセンブリであって、電極アセンブリ本体及び第1のタブを含む電極アセンブリと、を備え、第1のタブは、極柱に面する電極アセンブリ本体の第1の端部に位置し、第1のタブ領域の外側境界上の任意の点と周囲壁の内側との間の距離はL1であり、周囲壁の内側の半径はR0であり、L1とR0の比は0.3から0.7の範囲である。
【0009】
円筒型セルの任意の態様では、第1のタブ領域の面積はS1であり、電極アセンブリ本体の端部の面積はS0であり、S1とS0との比は0.3から0.5の範囲である。
【0010】
円筒型セルの任意の態様では、円筒型セルは接続部品をさらに含み、接続部品は極柱と第1のタブとの間に設けられ、極柱と第1のタブとを電気的に接続する。
【0011】
円筒型セルの任意の態様では、電極アセンブリ本体の第1の端部上の接続部品の正投影面積はS2であり、S2≦S1である。
【0012】
円筒型セルの任意の態様では、液体注入口が極柱に設けられる。
【0013】
円筒型セルの任意の態様では、第1のタブ領域の内側境界上の任意の点と電極アセンブリ本体の中心線との間の距離はL2であり、L2とR0の比は0.1から0.4の範囲である。
【0014】
円筒型セルの任意の態様では、電極アセンブリ本体の巻回数はNであり、最も内側の巻きが第1の巻きであり、最も外側の巻きは第Nの巻きであり、第1のタブ領域は、電極アセンブリ本体の1/10N巻きと、2/5N巻きとの間に位置する。
【0015】
円筒型セルの任意の態様では、円筒型セルはカバープレートをさらに含み、カバープレートは、端壁から離れた周囲壁の一端に固定される。
【0016】
円筒型セルの任意の態様では、電極アセンブリは第2のタブをさらに含み、第2のタブは、カバープレートに近い電極アセンブリ本体の第2の端部に設けられ、第2のタブは、カバープレートに直接かつ電気的に接続され、カバープレートは、周囲壁に電気的に接続される。
【0017】
円筒型セルの任意の態様では、電極アセンブリ本体上の第2のタブの正投影は、第2のタブ領域であり、第2のタブ領域の内側境界上の任意の点と電極アセンブリ本体の中心線との間の距離はL3であり、L3とR0の比は0.5から0.8の範囲である。
【0018】
円筒型セルの任意の態様では、電極アセンブリ本体の巻回数はNであり、最も内側の巻きが第1の巻きであり、最も外側の巻きが第Nの巻きである場合、第2のタブ領域は、電極アセンブリ本体の1/2N巻きとN巻きとの間に位置する。
【0019】
第2の態様では、上記の円筒型セルを含む電子装置が提供される。
【0020】
従来技術と比較して、本発明の有利な効果は次のとおりである。
【0021】
本発明によって提供される円筒型セルは、端壁と、端壁を取り囲む周囲壁とを含むハウジングと、端壁を貫通し、端壁と絶縁された状態で端壁に接続される極柱と、ハウジング内に設けられる電極アセンブリであって、電極アセンブリ本体及び第1のタブを含む電極アセンブリと、を備え、第1のタブは、極柱に面する電極アセンブリ本体の第1の端部に位置し、電極アセンブリ本体の第1の端部上の第1のタブの正投影は第1のタブ領域であり、第1のタブ領域の外側境界上の任意の点と周囲壁の内側との間の距離はL1であり、周囲壁の内側の半径はR0であり、L1とR0の比は0.3から0.7の範囲である。電極アセンブリの第1のタブ構造は、電極アセンブリ本体の中心線に近い電極アセンブリ本体の領域に電極アセンブリの第1のタブを集中させるように切断される。一方では、混練タブによって覆われていない電極アセンブリの端面の一部の領域を確保することができ、それによって、電解質の浸透速度及び電極アセンブリ内部で発生したガスの排出速度が改善される。一方では、不要なタブを切断することにより、電極アセンブリ自体の重量を減らすことができ、円筒型セルの軽量設計を実現するのに貢献する。
【発明の効果】
【0022】
本発明が提供する電子機器は、上記の円筒型セルを用いることにより、電子機器の信頼性及び安定性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の実施形態における技術的態様をより明確に説明するために、本発明の実施形態の説明で使用する必要がある添付の図面を以下に簡単に説明する。明らかに、以下の説明における添付の図面は、本発明のいくつかの実施形態に過ぎない。当業者は、実施形態の内容及び本発明のこれらの図面に従って、発明的努力なしに他の図面を取得することもできる。
図1】本発明の一実施形態で提供される第1のタイプの円筒型セルの断面図である。
図2】本発明の一実施形態で提供される第1のタイプの円筒型セルの第1のタブ領域の概略図である。
図3】本発明の一実施形態で提供される第1のタイプの円筒型セルの第2のタブ領域の概略図である。
図4】本発明の一実施形態で提供される第2のタイプの円筒型セルの断面図である。
図5】本発明の一実施形態で提供される第2のタイプの円筒型セルの極柱の概略構造図である。
図6】本発明の一実施形態で提供される第2のタイプの円筒型セルの第1のタブ領域の概略図である。
図7】本発明の一実施形態で提供される第3のタイプの円筒型セルの断面図である。
図8】本発明の一実施形態で提供される第3のタイプの円筒型セルの第2のタブ領域の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明によって解決される技術的課題、採用される技術的態様、及び達成される技術的効果をよりよく説明するために、本発明の技術的態様は、添付の図面と併せて、特定の実施方法を通じて以下でさらに説明される。
【0025】
本発明の説明において、別途、明確に指定及び限定がない限り、「接続された」、「連結された」及び「固定された」という用語は、例えば、固定接続、着脱可能な接続、一体成形、又は、機械的又は電気的接続、 直接的な接続又は仲介物を介した間接的な接続、又は2つのコンポーネントの内部通信、又は2つのコンポーネント間の相互作用関係などとして、広い意味で理解されるべきである。当業者は、特定の状況における本発明における上記の用語の特定の意味を理解することができる。
【0026】
本発明では、別途、明確に指定及び限定がない限り、第1の特徴が第2の特徴の「上」又は「下」にあることは、第1の特徴と第2の特徴との間の直接的な接触を示すことができ、また、第1及び第2の特徴が直接的には接触していないが、それらの間の他の特徴を介して、間接的に接触することを示すこともできる。さらに、第1の特徴が第2の特徴の「上方」、「の上」、及び「上」にあるとは、第1の特徴が第2の特徴の真上又は斜め上にあることを示すか、単に、第1の特徴が第2の特徴よりも高い階層にあることを示す。第1の特徴が第2の特徴の「下方」、「の下」、及び「下」にあるとは、第1の特徴が第2の特徴の真上又は斜め上にあることを示すか、単に、第1の特徴が第2の特徴よりも低い階層にあることを示す。
【0027】
本発明の説明において、「上」、「下」、「左」、「右」という用語の向き又は位置関係は、添付の図面に示される向き又は位置関係に基づいて解釈されるものであり、 専ら説明の利便性と操作の簡素化のために用いられるものである。参照されている装置又は要素が特定の向きを有し特定の向きで構成され、動作する必要があることを示したり暗示したりするものではない。したがって、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。また、「第1」「第2」という用語は、説明上の区別のために使用するものであり、特別な意味はない。
【0028】
図1は、本発明で提供される第1のタイプの円筒型セルの断面図を示す。図1に示されるように、円筒型セルは、ハウジング1と、極柱2と、電極アセンブリ3と、カバープレート4と、接続部品5と、第1の絶縁部材61と、第2の絶縁部材62と、第1シール部材71と、第2のシール部材72と、を含む。ハウジング1は、端壁11と、端壁11の外周側を取り囲む周囲壁12とを含む。極柱2は、端壁11を貫通し、端壁11と絶縁された状態で端壁11に固定される。電極アセンブリ3は、ハウジング1内に設けられ、電極アセンブリ3は、接続部品5を介して極柱2に電気的に接続される。カバープレート4は、端壁11から離れた周囲壁12の一端に固定される。極柱2は、端壁11にリベット止めされる。極柱2の上端と端壁11の外面との間には、第1のシール部材71と第1の絶縁部材61とが設けられる。第1のシール部材71は、極柱2の外周側を取り囲み、第1の絶縁部材61は、第1のシール部材71の外周側を取り囲み、第2の絶縁部材62は、極柱2の下端と端壁11の内面との間に設けられ、極柱2と接続部品5とハウジング1との間の絶縁接続を確保する。ハウジング1とカバープレート4とのパッケージング工程は、次の通りであっても良い。ハウジング1の周囲壁12の端壁11から離れた一端にロール溝加工を施した後、第2のシール部材72でカバープレート4の外周側を覆い、カバープレート4と第2のシール部材72とのアセンブリ本体をローラ溝内に配置し、最後に、ハウジング1の周囲壁12を内側に折り曲げ、カバープレート4に固定して、ハウジング1のパッケージングを完了する。
【0029】
さらに図1を参照すると、電極アセンブリ3は、電極アセンブリ本体31と、第1のタブ32と、第2のタブ33とを含む。第1のタブ32は、極柱2に面する電極アセンブリ本体31の第1の端部に設けられる。第1のタブ32は、接続部品5を介して極柱2に電気的に接続される。第2のタブ33は、電極アセンブリ本体31の極柱2とは離れた第2の端部に設けられ、第2のタブ33は、ハウジング1の周囲壁12に電気的に接続される。第1のタブ32は正極タブであり、第2のタブ33は負極タブである。なお、電極アセンブリ3の加工技術は次の通りである。電極アセンブリ3は、第1の電極、第2の電極、及び第1の電極と第2の電極との間のセパレータを巻回軸の周りに巻回することによって形成される。第1の電極及び第2の電極は、巻回方向に沿って活物質層で被覆されていない第1の非コーティング領域及び第2の非コーティング領域をそれぞれ含み、第1の非コーティング領域及び第2の非コーティング領域はそれぞれ電極アセンブリの2つの端面に位置する。第1のタブ32は第1の非コーティング領域によって形成され、第2のタブ33は第2の非コーティング領域によって形成される。
【0030】
図2は、本発明で提供される第1のタイプの円筒型セルの第1のタブ領域320の概略図を示す。図1と合わせて図2に示されるように、電極アセンブリ本体31の第1の端部における第1のタブ32の正投影は、第1のタブ領域320であり、第1のタブ領域320の外側境界上の任意の点と周囲壁12の内側との間の距離はL1である。周囲壁12の内側の半径はR0であり、L1とR0の比は0.3から0.7の範囲である。なお、R0に対するL1の比が0.7より大きい場合、第1のタブ領域320によって占められる面積が小さすぎ、それは以下の欠陥を引き起こす。第1に、セルの過電流能力が低下し、高出力放電を実現できなくなる。第2に、タブ領域が小さすぎると、対応するタブの抵抗が大きくなり、セル放電工程中にタブで大量の熱が発生し、セルの熱暴走を引き起こす可能性がある。L1とR0の比が0.3未満であると、第1のタブ領域320がハウジング1に近い位置をほとんど覆ってしまい、電解質の浸透が阻害される。電極アセンブリ3の第1のタブ構造が切断され、電極アセンブリ3の第1のタブ32が、電極アセンブリ本体31の中心線に近い電極アセンブリ本体31の領域に集中される。一方では、第1のタブ32の密度を減少させ、電極アセンブリ3の浸透速度及び排気速度を改善することができる。その一方で、電極アセンブリ3自体の重量を減らすことができ、円筒型セルの軽量設計を容易にすることができる。なお、従来技術では、タブを接続部品5に接続する前に、タブを混練する/曲げる必要があるのが一般的であった。ここでいうタブ領域とは、タブを混練した/曲げた後に電極アセンブリ本体31に正射影が形成される領域である。例えば、第1のタブ領域320は、第1のタブ32を混練した/曲げた後に電極アセンブリ本体31の端面に形成される正投影領域であり、第2のタブ領域330は、第2のタブ33が混練した/曲げた後に電極アセンブリ本体 31の端面に形成される正投影領域である。
【0031】
さらに図2を参照すると、第1のタブ領域320の面積はS1であり、電極アセンブリ本体31の端部の面積はS0であり、S1とS0との比は0.3~0.5の範囲である。なお、S1とS0の比が0.3~0.5の範囲にある場合、過電流を確保できるだけでなく、タブ領域によって覆われていない電極アセンブリ3の端面の領域が、電解質の浸透を容易にするのに十分な大きさであることも確保することができる。円筒型セルをさらに軽量化するために、電極アセンブリ本体31の端面における接続部品5の正投影面積はS2であり、S2≦S1である。このような構成により、第1のタブ32と接続部品5との溶接固定を実現できるだけでなく、接続部品5の小型化及び接続部品5の軽量化を実現することができる。例示的に、接続部品5の形状は円形であり、接続部品5の一端面は極柱2の端面に溶接固定され、他方の端面は第1のタブ32に溶接固定される。接続部品5の溶接プロセスは、次の通りであって良い。第1に、接続部品5を電極アセンブリ3の第1のタブ32に溶接し、次に電極アセンブリ3をハウジング1に装填し、溶接ロッドを電極アセンブリ3の中間孔に通し、接続部品5と極柱2とは、トルク溶接法を用いて溶接固定される。
【0032】
図3は、本発明で提供される第1のタイプの円筒型セルの第2のタブ領域330の概略図を示す。図1と合わせて図3に示されるように、電極アセンブリ本体31の第2の端部における第2のタブ33の正投影は、第2のタブ領域330であり、第2のタブ領域330の内側境界上の任意の点と電極アセンブリ本体 31の中心線との間の距離はL3である。周囲壁12の内側の半径はR0であり、L3とR0の比は0.5から0.8の範囲である。電極アセンブリ3の第2のタブ構造が切断され、電極アセンブリ3の第2のタブ33が、電極アセンブリ本体31の中心線から離れた電極アセンブリ本体31の領域に集中される。一方では、第2のタブ33の密度を減少させ、電極アセンブリ3の浸透速度及び排出速度を改善することができる。その一方で、電極アセンブリ3自体の重量を減らすことができ、円筒型セルの軽量設計を容易にすることができる。
【0033】
電極アセンブリ本体31の巻回数はNであり、最も内側の巻きを第1の巻き、最も外側の巻きを第N回とし、第2のタブ領域330は、電極アセンブリ本体31の1/2N巻きからN巻きに位置する。例示的に、N=2nの場合、nは正の整数であり、第2のタブ領域330は、電極アセンブリ本体31のn巻きから2n巻きの間隔で設定されて良い。N≠2nの場合、nは正の整数であり、1/2 Nは四捨五入して正の整数とし、第2のタブ領域330は、電極アセンブリ本体31の1/2N巻きとN巻きに収まる。図3に示されるように、電極アセンブリ3の第2のタブ領域330は、電極アセンブリ本体31の1/2N巻きとN巻きとの間に位置し、第2のタブ領域330の外側境界上の任意の点と外側壁との間の距離は0である。第2のタブ33は、ハウジング1の周囲壁12に近い一側に集中しているので、第2のタブ33をハウジング1の周囲壁12に直接溶接して、 円筒型セルの安定性を確保することができる。
【0034】
一方、円筒型セルでは、電極アセンブリ本体31の両端がタブによって覆われていない領域を有するため、電極アセンブリ3の浸透速度及び排出速度を高めることができる。一方、ハーフタブ及びタブなしの設計は、電極アセンブリの重量を削減して、円筒型セルの構造を最適化し、エネルギー密度を向上させるのに貢献する。
【0035】
図4は、本発明で提供される第2のタイプの円筒型セルの概略断面図を示す。図4に示されるように、円筒型セルは、ハウジング1と、極柱2と、電極アセンブリ3と、カバープレート4と、接続部品5と、第1の絶縁部材61と、第2の絶縁部材62と、第1シール部材71と、第2のシール部材と、を含む。ハウジング1は、端壁11と、端壁11を取り囲む周囲壁12と、を含む。極柱2は、端壁11を貫通し、端壁11と絶縁された状態で端壁11に接続される。電極アセンブリ3は、ハウジング1内に設けられ、電極アセンブリ3は、接続部品5を介して極柱2に電気的に接続される。カバープレート4は、端壁11から離れた周囲壁12の一端に固定される。極柱2は、端壁11にリベット止めされる。極柱2の上端と端壁11の外面との間には、第1のシール部材71と第1の絶縁部材61が設けられる。第1のシール部材71は極柱2の外周側を取り囲み、第1の絶縁部材61は第1のシール部材71の外周側を囲み、極柱2の下端と、端壁11の内面との間には、極柱2とハウジング1との間の絶縁接続を確保するために、第2の絶縁部材62が設けられる。ハウジング1とカバープレート4とのパッケージング工程は、次の通りであって良い。ハウジング1の周囲壁12の端壁11から離れた一端にロール溝加工を施した後、第2のシール部材72でカバープレート4の外周側を覆い、カバープレート4と第2のシール部材72とを含むアセンブリ本体をローラ溝内に配置し、最後に、ハウジング1の周囲壁12を内側に折り曲げ、カバープレート4に固定して、ハウジング1のパッケージングを完了する。電極アセンブリ3は、電極アセンブリ本体31と、第1のタブ32と、第2のタブ33と、を含む。第1のタブ32は、極柱2に面する電極アセンブリ本体31の第1の端部に位置し、第1のタブ32は、接続部品5を介して極柱2に電気的に接続され、第2のタブ33は、極柱2とは離れた電極アセンブリ本体31の第2の端部に位置し、第2のタブ33は、ハウジング1の周囲壁12に電気的に接続される。
【0036】
図4における第2のタイプの円筒型セルのパッケージングプロセスは、図1における第1のタイプの円筒型セルのカバープレート4と同じであり、詳細はここでは繰り返さない。両者の主な違いは、図4において、極柱2には、ハウジング1内に電解質を注入する液体注入口21が設けられることである。第2のタイプの円筒型セルの液体注入プロセスは、次の通りであって良い。第1に、極柱2をハウジング1の端壁11にリベット止めし、次に、電極アセンブリ3のアセンブリ本体及び接続部品5を装填し、カバープレート4がパッケージングされた後、極柱2の液体注入口21に電解質を注入し、最後に液体注入口21を封止釘で封止する。
【0037】
図5は、図4の円筒型セルの極柱2側の部分概略図を示す。図6は、図4の円筒型セルの第1のタブ領域320の概略図を示す。図5図6に示されるように、第1のタブ領域320の内側境界上の任意の点と電極アセンブリ本体31の中心線との間の距離はL2であり、L2とR0の比は0.1から0.4の範囲である。このような設定により、電極アセンブリ3の第1のタブ32が液体注入口21から外れて、電解質が電極アセンブリ3に迅速に流れ込み、電極アセンブリ3の浸透速度を向上させることができる。図1の円筒型セルの液体注入方法は、ハウジング1のカバープレート4側に液体を注入することにより行われ、液体注入後にカバープレート4がパッケージングされる。したがって、図1の円筒型セルの電極アセンブリ3の第1のタブ領域320の内側境界上の任意の点との間の距離L2と、電極アセンブリ本体31の中心線は、電極アセンブリ3の中央孔の半径に等しい。もちろん、図1の実施形態において、第1のタブ領域320の内側境界上の任意の点と電極アセンブリ本体31の中心線との間の距離L2はまた、電極アセンブリ3の中間孔の半径より大きくなるように設定し、電解質の浸透速度を向上させることもできる。
【0038】
さらに、接続部品5には液体注入口21に対応する貫通孔51が設けられ、これにより、電解質は貫通孔51を通って電極アセンブリ3に流入することができる。また、接続部品5と極柱2との溶接固定を容易にするために、接続部品5の貫通孔51の径は、電極アセンブリ3の中間孔の径よりも小さく、接続部品5に面する極柱2の端面の径は、接続部品5の貫通孔51の径よりも大きい。
【0039】
さらに、図6を参照すると、電極アセンブリ本体31の巻回数はNであり、最も内側の巻きが第1の巻きであり、最も外側の巻きが第の巻きであり、第1のタブ領域320は、電極アセンブリ本体 31の1/10N巻きから2/5N巻きとの間に位置する。第1のタブ領域320は、電極アセンブリ本体31の1/3N巻きから2/3N巻きとの間に位置することが好ましい。例示的に、N=3nの場合、nは正の整数であり、第1のタブ領域320は、電極アセンブリ本体31のn巻きから2n巻きの間隔で設定されて良い。N≠3nの場合、nは正の整数であり、1/3N及び2/3Nは四捨五入して正の整数とし、第1のタブ領域320は、電極アセンブリ本体31の1/3N巻きと2/3N巻きとの間に位置する。
【0040】
図7は、本発明で提供される第3のタイプの円筒型セルの概略断面図を示す。図7に示されるように、第3のタイプの円筒型セルは、ハウジング1と、極柱2と、電極アセンブリ3と、カバープレート4と、接続部品5と、第1の絶縁部材61と、第1のシール部材71と、第2のシール部材72と、含む。ハウジング1は、端壁11と、端壁11を取り囲む周囲壁12と、を含む。極柱2は、端壁11を貫通し、端壁11と絶縁された状態で端壁11に接続される。電極アセンブリ3は、ハウジング1内に設けられ、電極アセンブリ3は、接続部品5を介して極柱2に電気的に接続される。カバープレート4は、端壁11から離れた周囲壁12の一端に固定される。極柱2は、端壁11にリベット止めされる。極柱2の上端と端壁11の外面との間には、第1のシール部材71と第1の絶縁部材61とが設けられる。第1のシール部材71は、極柱2の外周側を取り囲み、第1の絶縁部材61は、第1のシール部材71の外周側を囲み、第2の絶縁部材62は、極柱2の下端と端壁11の内面との間に設けられ、極柱2と接続部品5とハウジング1との間の絶縁接続を確保する。ハウジング1とカバープレート4のパッケージング工程は、次の通りであって良い。カバープレート4は、ハウジング1の周囲壁12に溶接固定される。電極アセンブリ3は、電極アセンブリ本体31と、第1のタブ32と、第2のタブ33と、を含む。第1のタブ32は、極柱2に面する電極アセンブリ本体31の第1の端部に位置し、第1のタブ32は、接続部品5を介して極柱2に電気的に接続され、第2のタブ33は、電極アセンブリ本体31の極柱2とは離れた第2の端部に位置し、第2のタブ33は、カバープレート4に電気的に接続される。
【0041】
図7における第3のタイプの円筒型セルの液体注入プロセスは、図4における第2のタイプの円筒型セルと同じであり、極柱2に液体注入口21を設けることで液体注入を実現し、詳細はここでは繰り返さない。両者の主な違いは、図7において、カバープレート4は、電極アセンブリ3の第2のタブ33に直接かつ電気的に接続され、その後、カバープレート4は、ハウジング1の周囲壁12に溶接固定されることである。
【0042】
図8は、図7の円筒型セルの第2のタブ領域330の概略図を示す。図7と合わせて図8に示されるように、電極アセンブリ本体31の第2の端部における第2のタブ33の正投影は、第2のタブ領域330であり、第2のタブ領域330の内側境界上の任意の点と電極アセンブリの中心線との間の距離はL3である。周囲壁12の内側の半径はR0であり、L3とR0の比は0.5から0.8の範囲である。第2のタブ領域330の外側境界と周囲壁12の内側との間の距離はL4であり、L4とR0の比は0.2から0.4の範囲である。このようにして、電極アセンブリ3の第2のタブ33は、電極アセンブリ本体31の中心から外側に向かう位置に集中して、第2のタブ33とカバープレート4との溶接固定を容易にすることができる。
【0043】
もちろん、電極アセンブリ3の第2のタブ33とハウジング1との間の電気的接続の形態は、上記の例に限定されない。他の実施形態では、円筒型セルは、負極接続部品をさらに備え、負極タブ33は、負極接続部品に電気的に接続され、負極接続部品は、ハウジング1に電気的に接続されても良い。
【0044】
本発明はさらに、円筒型セルを備える電子装置を提供する。円筒型セルを使用することにより、電子装置は高いエネルギー密度と安定した性能を有し、ユーザ体験を向上させることができる。
【0045】
任意に、電子装置は、新エネルギー自動車、新エネルギー貯蔵装置、電子製品などのパワーセルであってもよいが、ここでは詳細に説明しない。
【0046】
本発明の説明において、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」などのいくつかの表現は、本発明の一実施形態又は実施例に関連して説明された特定の特徴、構造、材料又は特性が少なくとも含まれることを意味することに留意されたい。本発明において、上記用語の概略的表現は、必ずしも同一の実施形態又は実施例を指すものではない。さらに、記載された特定の特徴、構造、材料又は特性は、任意の1つ又は複数の実施形態又は実施例において、任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0047】
以上は、本発明の好ましい実施形態及び本発明に適用される技術原理にすぎない。当業者は、本発明がここに記載された特定の実施形態に限定されず、本発明の保護範囲から逸脱することなく、様々な明白な変更、再調整、及び置換が当業者によってなされ得ることを理解するであろう。したがって、本発明は、上記の実施形態を通じて詳細に説明されたが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の概念から逸脱することなく、より多くの他の均等な実施形態を含むことができる。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって決定される。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明が提供する電子機器は、上記円筒型セルを用いることにより、電子機器の信頼性及び安定性が良好である。
【符号の説明】
【0049】
1: ハウジング
11: 端壁
12: 周囲壁
2: 極柱
21: 液体注入口
3: 電極アセンブリ
31: 電極アセンブリ本体
32: 第1のタブ
320: 第1のタブ領域
33: 第2のタブ
330: 第2のタブ領域
4: カバープレート
5: 接続部品
51: 貫通孔
61: 第1の絶縁部材
62: 第2の絶縁部材
71: 第1のシール部材
72: 第2のシール部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】