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特開2024-95972動き補正方法及び磁気共鳴イメージング装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095972
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】動き補正方法及び磁気共鳴イメージング装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20240704BHJP
【FI】
A61B5/055 374
A61B5/055 380
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023185286
(22)【出願日】2023-10-30
(31)【優先権主張番号】18/149,002
(32)【優先日】2022-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハジーヴァリザダー ハッサン
(72)【発明者】
【氏名】サミア デーヴ シャルマ
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AB12
4C096AD12
4C096AD14
4C096AD27
4C096DA04
4C096DA15
4C096DA17
4C096DA30
4C096DC22
(57)【要約】
【課題】磁気共鳴イメージング装置における動き補正をより適切に行うこと。
【解決手段】実施形態に係る動き補正方法は、磁気共鳴イメージング装置における動き補正方法であって、磁気共鳴イメージングによって対象物から収集されたデータ又は前記データから再構成された画像データを取得するステップと、前記データが収集される間の前記対象物の動きに関する動き関連情報であって、前記対象物の動きによって前記データが損傷していることの確実性のレベルを含む動き関連情報を生成するステップと、前記動き関連情報と、前記データ又は前記画像データとに基づいて、動き補正画像データを生成するステップとを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気共鳴イメージング装置における動き補正方法であって、
磁気共鳴イメージングによって対象物から収集されたデータ又は前記データから再構成された画像データを取得するステップと、
前記データが収集される間の前記対象物の動きに関する動き関連情報であって、前記対象物の動きによって前記データが損傷していることの確実性のレベルを含む動き関連情報を生成するステップと、
前記動き関連情報と、前記データ又は前記画像データとに基づいて、動き補正画像データを生成するステップと
を含む、動き補正方法。
【請求項2】
前記データは、複数のk空間ポイントを含む複数のk空間ラインを各ショットが収集する複数のショットによって収集されたk空間データであり、
前記動き関連情報を生成するステップは、
前記複数のショットの各ショット中に取得されたナビゲータ信号を含む複数のナビゲータ信号を取得するステップと、
前記複数のナビゲータ信号に基づいて、前記対象物の動きの動きパラメータを推定するステップと、
前記複数のナビゲータ信号に基づいて、前記複数のk空間ポイントに対応する複数の重み付け要素を含むデータ整合性重み付けマトリクスであって、各重み付け要素が、対応するk空間ポイントが前記対象物の動きによって損傷していることの確実性のレベルを表すデータ整合性重み付けマトリクスを生成するステップと
を含む、請求項1に記載の動き補正方法。
【請求項3】
前記データ整合性重み付けマトリクスを生成するステップは、
前記複数のナビゲータ信号に基づいて、参照ナビゲータ信号を決定するステップと、
前記複数のナビゲータ信号の各ナビゲータ信号と前記参照ナビゲータ信号との間の相関を計算するステップと、
前記ナビゲータ信号ごとに計算された相関と経験的に導出された相関閾値との比較結果に基づいて、前記ナビゲータ信号に対応するショットによって収集された複数のk空間ポイントに対応する前記データ整合性重み付けマトリクスの複数の重み付け要素に特定の値を割り当てるステップと
を含む、請求項2に記載の動き補正方法。
【請求項4】
前記特定の値を割り当てるステップは、
前記比較結果が強い相関を示す場合に、所定の範囲内の値のうち、前記複数のk空間ポイントが前記動きによって損傷していないことの確実性のレベルが高いことを示す、前記所定の範囲の第1の限界値に近い値を前記特定の値として割り当てるステップと、
前記比較結果が弱い相関を示す場合に、前記所定の範囲内の値のうち、前記複数のk空間ポイントが前記動きによって損傷しているとことの確実性のレベルが高いことを示す、前記所定の範囲の第2の限界値に近い値を前記特定の値として割り当てるステップと
を含む、請求項3に記載の動き補正方法。
【請求項5】
前記特定の値を割り当てるステップは、
前記比較結果が、前記相関が前記相関閾値より大きいことを示す場合に、前記複数のk空間ポイントが前記動きによって損傷していないことの確実性のレベルが高いことを示す第1の所定の値を前記特定の値として割り当てるステップと、
前記比較結果が、前記相関が前記相関閾値未満であることを示す場合に、前記複数のk空間ポイントが前記動きによって損傷していることの確実性のレベルが高いことを示す第2の所定の値を前記特定の値として割り当てるステップと
をさらに含む、請求項3に記載の動き補正方法。
【請求項6】
前記複数のk空間ポイントが前記画像データの再構成に用いられないように、前記複数のk空間ポイントを前記動きに応じて排除するために前記第2の所定の値が0に設定される、
請求項5に記載の動き補正方法。
【請求項7】
前記データ整合性重み付けマトリクスを生成するステップは、
前記複数のナビゲータ信号をニューラルネットワークに入力するステップと、
前記ニューラルネットワークの出力を前記データ整合性重み付けマトリクスとして取得するステップと
を含む、請求項2に記載の動き補正方法。
【請求項8】
動きを含まないナビゲータデータを取得するステップと、
シミュレートされる異なる動きを判定するステップと、
前記動きを含まないナビゲータデータに対する各動きの影響をシミュレートすることによって、動きの影響を受けたナビゲータデータを生成するステップと、
前記動きを含まないナビゲータ及び前記動きの影響を受けたナビゲータを用いて、前記動きの影響を受けたナビゲータデータから前記データ整合性重み付けマトリクスへのマッピングを学習するように、前記ニューラルネットワークをトレーニングするステップと
を含む、請求項7に記載の動き補正方法。
【請求項9】
前記データ整合性重み付けマトリクスを生成するステップは、
前記複数のナビゲータ信号に基づいて、参照ナビゲータ信号を決定するステップと、
前記複数のナビゲータ信号の各ナビゲータ信号と前記参照ナビゲータ信号との間の相関を計算するステップと、
前記計算された相関をニューラルネットワークに入力するステップと、
前記ニューラルネットワークの出力を前記データ整合性重み付けマトリクスとして取得するステップと
を含む、請求項2に記載の動き補正方法。
【請求項10】
前記動き補正画像データを生成するステップは、
前記取得されたデータ又は画像データ、前記データ整合性重み付けマトリクス及び前記動きパラメータをニューラルネットワークに入力するステップと、
前記ニューラルネットワークの出力を前記動き補正画像データとして取得するステップと
を含む、請求項2に記載の動き補正方法。
【請求項11】
前記ニューラルネットワークに入力するステップは、前記取得されたデータ又は画像データ、前記データ整合性重み付けマトリクス及び前記動きパラメータを、正則化部及びデータ整合性部を所定の回数繰り返すモデル駆動型の深層学習フレームワークに入力するステップを含む、
請求項10に記載の動き補正方法。
【請求項12】
前記正則化部は、Uネット、残差Uネット、残差ネットワーク、インセプション残差ネットワーク又は線形畳み込みネットワークである、
請求項11に記載の動き補正方法。
【請求項13】
前記正則化部は、複素数のUネットであり、前記複素数のUネットの複数のパラメータが前記所定の回数の繰り返しの間に共有される、
請求項12に記載の動き補正方法。
【請求項14】
前記データ整合性部は、共役勾配反復アルゴリズム、近位勾配アルゴリズム、直交整合性追跡アルゴリズム、反復ハード閾値処理アルゴリズム、分割ブレグマンに基づくアルゴリズム、又は、勾配降下アルゴリズムによって実行される、
請求項11に記載の動き補正方法。
【請求項15】
複数のショットによって収集された、完全にサンプリングされた動きを含まないk空間データを取得するステップと、
異なるショットに対する異なる動きパラメータを有する動きの影響をシミュレートすることによって、動き損傷k空間データを生成するステップと、
前記異なる動きパラメータを有する動きに対応するナビゲータデータを生成するステップと、
前記ナビゲータデータに基づいて、データ整合性重み付けマトリクスを生成するステップと、
前記完全にサンプリングされた動きを含まないk空間データ、前記動き損傷k空間データ、前記データ整合性重み付けマトリクス及び前記動きパラメータを用いて、前記動き損傷k空間データから前記完全にサンプリングされた動きを含まない画像データへのマッピングを学習するように、前記ニューラルネットワークをトレーニングするステップと
をさらに含む、請求項10に記載の動き補正方法。
【請求項16】
前記複数のナビゲータ信号を取得するステップは、前記磁気共鳴イメージングのパルスシーケンスに挿入された非イメージングk空間エコー、呼吸ベローズ、心電図信号、外部マーカー付きカメラ、外部マーカーなしカメラ又はパイロットトーンに基づく動き検出信号から前記複数のナビゲータ信号を取得するステップを含む、
請求項2に記載の動き補正方法。
【請求項17】
前記複数のナビゲータ信号を取得するステップは、3Dボリューム、2D画像又は1D信号の形態で前記複数のナビゲータ信号を取得するステップを含む、
請求項2に記載の動き補正方法。
【請求項18】
前記動きパラメータを推定するステップは、並進運動の距離及び/又は回転運動の角度の程度を前記動きパラメータとして推定するステップを含む、
請求項2に記載の動き補正方法。
【請求項19】
磁気共鳴イメージング装置における動き補正方法であって、
磁気共鳴イメージングによって対象物からk空間データを収集するステップと、
前記k空間データが収集される間に取得された複数のナビゲータ信号に基づいて、前記収集されたk空間データの各k空間ポイントが前記対象物の動きによって損傷していることの確実性のレベルを判定するステップと、
前記判定された確実性のレベルに基づいて、前記対象物の動きによって損傷している複数のk空間ポイントを識別するステップと、
前記識別された複数のk空間ポイントについて、複数のk空間ポイントを再収集するステップと、
前記複数のk空間ポイントが再収集される間に取得された複数のナビゲータ信号に基づいて、前記再収集された各k空間ポイントが前記対象物の動きによって損傷していることの確実性のレベルを判定するステップと、
前記収集されたk空間データ、前記再収集された複数のk空間ポイント、及び、対応する確実性のレベルを用いて、磁気共鳴画像を再構成するステップと
を含む、動き補正方法。
【請求項20】
磁気共鳴イメージングによって対象物から収集されたデータ又は前記データから再構成された画像データを取得し、
前記データが収集される間の前記対象物の動きに関する動き関連情報であって、前記対象物の動きによって前記データが損傷していることの確実性のレベルを含む動き関連情報を生成し、
前記動き関連情報と、前記データ又は前記画像データとに基づいて、動き補正画像データを生成する
処理回路を備える、磁気共鳴イメージング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、動き補正方法及び磁気共鳴イメージング装置に関する。
【0002】
本開示は、磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging:MRI)装置における画像再構成に関する。より詳細には、本開示は、深層学習に基づく、動きにロバストなMRI画像再構成に関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書に記載されている背景技術の説明は、本開示の背景を概略的に示すためのものである。本願の発明者の研究は、この背景技術の章に記載されている範囲内において、出願時に先行技術として認められない明細書中の態様と同様に、明示的にも暗示的にも本開示に対する先行技術として認められるものではない。
【0004】
MRI装置は、軟組織の高い分解能及び優れたコントラストを提供する非侵襲かつ非電離なイメージングモダリティであり、多くの疾患の早期診断で強力なツールとして用いられている。このような利点の一方で、k空間の収集プロセスは時間を要するため、臨床及び研究応用において、動きアーチファクトを生じさせることがある。そのため、MRI装置では、動き抑制又は動き補正が極めて重要な要素と考えられている。
【0005】
シングルショットエコープラナーイメージングにより、1回の励起パルス(「ショット」)で、最終の磁気共鳴(Magnetic Resonance:MR)画像を再構成するのに必要な全てのk空間データを収集することができる。シングルショットエコープラナーイメージングは、データ収集を大幅に高速化し、動きアーチファクトの可能性を最小化するが、低分解能及び磁化率アーチファクトといった欠点を有する。マルチショットMRIは、高解像度の画像を作成することができる有望なデータ収集の技法である。しかしながら、マルチショットMRIでは、k空間データが複数のショットを用いて異なる時点で収集される。そのため、マルチショットMRIは、被検体の動きに非常に敏感であり、連続したショットの間の小さなレベルの動きであっても最終のMR画像にアーチファクトを発生させる可能性がある。
【0006】
したがって、従来の動きの抑制又は補正の手法におけるこれらの及び他の欠点を解決することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第10671939号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2014/0043024号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2012/0262172号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2015/0212182号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2005/0237057号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第3916417号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、磁気共鳴イメージング装置における動き補正をより適切に行うことである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置付けることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態に係る動き補正方法は、磁気共鳴イメージング装置における動き補正方法であって、磁気共鳴イメージングによって対象物から収集されたデータ又は前記データから再構成された画像データを取得するステップと、前記データが収集される間の前記対象物の動きに関する動き関連情報であって、前記対象物の動きによって前記データが損傷していることの確実性のレベルを含む動き関連情報を生成するステップと、前記動き関連情報と、前記データ又は前記画像データとに基づいて、動き補正画像データを生成するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
以下の図面を参照して、例として提示される、本開示の種々の実施形態について詳細に説明する。これらの図において、同様の参照符号は同様の要素を示す。
【0011】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る動き補正再構成装置のブロック図の非限定的な例を示す図である。
図2図2は、本開示の一実施形態に係る動き補正再構成プロセスのフローチャートの非限定的な例を示す図である。
図3図3は、本開示の一実施形態に係る動き関連情報生成回路のブロック図の非限定的な例を示す図である。
図4図4は、本開示の一実施形態に係る動き損傷ショット識別回路のブロック図の非限定的な例を示す図である。
図5図5は、本開示の一実施形態に係るデータ整合性重み付けマトリクス生成の信号フロー図の非限定的な例を示す図である。
図6図6は、本開示の一実施形態に係るデータ整合性重み付けマトリクスを生成するニューラルネットワークのトレーニングプロセスのフローチャートの非限定的な例を示す図である。
図7図7は、本開示の一実施形態に係る画像データの再構成の信号フロー図の非限定的な例を示す図である。
図8図8は、本開示の一実施形態に係る動き補正画像データを再構成する深層学習フレームワークの非限定的な例を示す図である。
図9図9は、本開示の一実施形態に係る正則化部の非限定的な例を示す図である。
図10図10は、本開示の一実施形態に係る深層学習ニューラルネットワークのトレーニングプロセスのフローチャートの非限定的な例を示す図である。
図11図11は、本開示の一実施形態に係る動き補正画像データを再構成する深層学習フレームワークの非限定的な例を示す図である。
図12A図12Aは、本開示の一実施形態に係る動き損傷ショットを排除するために用いられる相関プロットを示す図である。
図12B図12Bは、本開示の一実施形態に係る動き補正を用いずに再構成されたMRI画像を示す図である。
図12C図12Cは、本開示の一実施形態に係る動き補正を用いて再構成されたMRI画像を示す図である。
図13図13は、本開示の一実施形態に係る深層学習フレームワークが再構成後の動き補正として用いられる場合の例示的なシナリオを示す図である。
図14図14は、本開示の一実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、磁気共鳴イメージング装置における動き補正方法に関する。当該動き補正方法は、磁気共鳴イメージングによって対象物から収集されたデータ又は前記データから再構成された画像データを取得するステップと、前記データが収集される間の前記対象物の動きに関する動き関連情報であって、前記対象物の動きによって前記データが損傷していることの確実性のレベルを含む動き関連情報を生成するステップと、前記動き関連情報と、前記データ又は前記画像データとに基づいて、動き補正画像データを生成するステップとを含む。
【0013】
本開示は、さらに、磁気共鳴イメージング装置に関する。当該磁気共鳴イメージング装置は、磁気共鳴イメージングによって対象物から収集されたデータ又は前記データから再構成された画像データを取得し、前記データが収集される間の前記対象物の動きに関する動き関連情報であって、前記対象物の動きによって前記データが損傷していることの確実性のレベルを含む動き関連情報を生成し、前記動き関連情報と、前記データ又は前記画像データとに基づいて、動き補正画像データを生成する処理回路を備える。
【0014】
なお、上記記載は、全ての実施形態及び/又は本開示の又は特許請求される発明の付加的な新規の態様を特定するものではない。その代わりに、上記記載は、単に、様々な実施形態及び新規性に相当する点の序論を提供するものである。さらなる詳細及び/又は本開示及び実施形態の可能な観点については、以下にさらに記載された詳細な説明及び対応する図面を参照されたい。
【0015】
以下の開示は、提示する主題の様々な特徴を実施するための多くの様々な実施形態又は例を提示する。本開示を分かりやすくするために、構成要素及び配置の具体例を以下で説明する。これらは、当然ながら、単なる例であり、限定することを意図したものではない。
【0016】
例えば、本明細書に記載されているような様々なステップの説明の順序は明確さを目的として提示されているが、概して、これらのステップは、任意の適切な順序で行うことができる。また、本明細書では、異なる特徴、技術、構成等が本開示の異なる箇所で説明されている場合があるが、各概念は、互いに独立して、又は、互いに組み合わせて実行できるものである。したがって、本開示は多くの様々な方法で具現化かつ考察され得るものである。
【0017】
さらに、本明細書で用いられている「一つ」の用語は、特に明記しない限り、概して「一つ以上」の意味を有するものとする。
【0018】
MRIイメージングのプロセスは、k空間を充填するために十分なデータを蓄積する必要があることから、本質的に時間がかかる。長時間のk空間収集のプロセス中に被検体が動いた場合、ゴースト等のアーチファクトやボケ、幾何学的歪み、信号対雑音比の低下が生じ、それにより、MR画像の品質及び診断的又は科学的な妥当性が低下する可能性がある。
【0019】
例えば、イメージング対象物は、スキャン中、複数のショットのうちの一つのショットの収集の間に動く可能性があるが、複数のショットのうちのどのショットで動きが生じたかは不明な場合がある。したがって、複数のショットの全てを用いる画像再構成は、動き損傷ショット(即ち、動きが生じた際のショット)及びその他の動きを含まないショット(即ち、動きが生じていない際のショット)の両方を用いて、動きアーチファクトのある画像を生成することがある。画像の品質を改善するためには、MR再構成において、動き損傷データ(即ち、動き損傷ショットによって収集された個々のk空間ポイント)を除外することが望ましい。
【0020】
MR画像を再構成するために、物理的特性モデルと、学習済み正則化先見情報(learned regularization priors)とを組み合わせた深層学習に基づくアルゴリズムを用いることができる。典型的には、深層学習再構成(Deep-Learning Reconstruction:DLR)は、理想的な状態(例えば、動きがない状態)でトレーニングされる。したがって、このようなDLRにおける主な制約は、動きに対するDLRの感度である。DLRは、動きが存在しない理想的な状態で最適に行われることを想定したものであり、動きが存在すると、トレーニングにおける前提が崩れて、DLRの性能が低下する場合がある。
【0021】
このため、DLRに、動きの情報を組み込むことが望ましい。動きの情報は、イメージングデータから直接特定することができるが、この手法は、長い処理時間によって、及び、多数の交絡イメージング因子、例えば、軌道誤差、エリアジング及びk空間軌道によって制限される。一方、非イメージングデータ(例えば、ナビゲータ信号)は、そのような交絡イメージング因子に対してよりロバストであることから、本開示は、DLR向けの動き検出の際にナビゲータ信号を用いることによって、前述した課題を解決することを提案する。
【0022】
図1は、本開示の一実施形態に係る動き補正再構成装置1000のブロック図の非限定的な例を示している。動き補正再構成装置1000は、k空間データ受信回路1100と、動き関連情報生成回路1200と、動き補正画像再構成回路1300とを含む。
【0023】
k空間データ受信回路1100は、MRIスキャナによってイメージング対象物から収集されたk空間データを取得し、当該k空間データを動き補正画像再構成回路1300に送信する。典型的には、k空間データは複数のショットによって収集される。各ショットは複数のk空間ラインを収集し、各k空間ラインは複数のk空間ポイントを含む。
【0024】
動き関連情報生成回路1200は、ナビゲータデータを取得し、当該ナビゲータデータに基づいて動き関連情報を生成し、当該動き関連情報を動き補正画像再構成回路1300に送信する。
【0025】
動き補正画像再構成回路1300は、取得されたk空間データ及び動き関連情報に基づいて動き補正画像データを再構成する深層学習フレームワークであってもよい。
【0026】
後述するように、ナビゲータ信号は、動きの発生の検出及びDLR用の動きパラメータの推定に用いられるだけでなく、イメージングデータが動きを含んでいないことの確実性の程度を明らかにするために用いられてもよい。その場合、深層学習フレームワークは、イメージングデータが動きを含んでいないことの確実性の程度に基づいて動きアーチファクトを補正するようにトレーニングされてもよい。このような方法は、深層学習フレームワークが、データが動きを含んでいないことの確実性が高い場合はより消極的に学習し、データが動きを含んでいないことの確実性が低い場合はより積極的に学習することができるようになるため、有益である。
【0027】
図2は、本開示の一実施形態に係る動き補正再構成プロセス200のフローチャートの非限定的な例を示している。ステップ210で、MRIスキャナによってイメージング対象物から収集されたk空間データが取得される。ステップ220で、当該k空間データのスキャン中のイメージング対象物の動きに関する動き関連情報が生成される。動き関連情報は、推定された動きパラメータ及びk空間データが動きを含んでいないことの確実性のレベルを含んでもよい。ステップ230で、k空間データ及び動き関連情報に基づいて、動き補正画像データが再構成される。ステップ240で、動きアーチファクトが補正された画像データが出力される。このプロセスについては、後に動き関連情報生成回路1200及び動き補正画像再構成回路1300の説明で詳しく説明する。
【0028】
図3は、本開示の一実施形態に係る動き関連情報生成回路1200のブロック図の非限定的な例を示している。動き関連情報生成回路1200は、ナビゲータデータ取得回路310と、動きパラメータ推定回路320と、動き損傷ショット識別回路330とを含む。
【0029】
ナビゲータデータ取得回路310は、イメージングのショットごとにナビゲータデータを取得する。ナビゲータデータは、3Dボリューム、2D画像又は1D信号であってもよく、例えば、限定はされないが、MRIパルスシーケンスに挿入された非イメージングk空間エコー、呼吸ベローズ、心臓の動きを検出するための心電図(electrocardiogram:ECG)信号、外部マーカー付きカメラ、外部マーカーなしカメラ、及び、パイロットトーンに基づく動き検出信号等の様々な異なるソースから取得されてもよい。取得されたナビゲータ信号は、動きの有無の検出及び動き値(例えば、剛体運動のパラメータ)の推定の両方に用いられてもよい。
【0030】
動きパラメータ推定回路320は、取得されたナビゲータデータから動きパラメータ(例えば、並進運動の距離及び/又は回転運動の角度の程度)を推定する。動きパラメータは、当業者であれば認識し得る任意の方法で、ナビゲータ信号から推定されてもよい。
【0031】
動き損傷ショット識別回路330は、取得されたナビゲータデータから、動きショット検出を実行してデータ整合性重み付けマトリクスを生成する。図4~6を参照して、動き損傷ショットの識別について詳細に説明する。
【0032】
図4は、本開示の一実施形態に係る動き損傷ショット識別回路330のブロック図の非限定的な例を示している。動き損傷ショット識別回路330は、ナビゲータ信号取得回路410と、参照信号決定回路420と、相関計算回路430と、相関閾値決定回路440と、重み付けマトリクス生成回路450とを含む。以下、図5に示す信号フロー図を用いて、各回路の機能についてさらに説明する。
【0033】
ナビゲータ信号取得回路410は、ナビゲータデータ取得回路310によって取得されたナビゲータデータから、k空間データを収集するための複数のショットのそれぞれに対応する複数のナビゲータ信号を取得する。非限定的な実施形態では、ナビゲータ信号は、例えば、非イメージングk空間エコーから、ナビゲータk空間データの逆フーリエ変換を行うことによって導出されてもよい。そして、ナビゲータ信号取得回路410は、取得した複数のナビゲータ信号を、参照信号決定回路420及び相関計算回路430に送信する。
【0034】
参照信号決定回路420は、取得された複数のナビゲータ信号に基づいて、参照ナビゲータ信号を決定して相関計算回路430に送信する。代表的な例では、他の全てのナビゲータ信号との相関が最も高いナビゲータ信号が参照ナビゲータ信号として選択されてもよい。別の例では、全てのナビゲータ信号の平均が参照ナビゲータ信号として決定されてもよい。当業者であれば、他の手法も可能であり、例えば、既知の休止状態(即ち、イメージング対象物が静止している状態)の間に取得されたナビゲータ信号が参照ナビゲータ信号として用いられてもよいことが理解できるであろう。
【0035】
相関計算回路430は、各ナビゲータ信号と参照ナビゲータ信号との間の相関を計算する。計算された相関に基づいて、相関プロットが生成されてもよい。例えば、図5は、リードアウト方向に沿って取得された1Dナビゲータ信号から生成された相関プロットを示している。相関プロットにおいて、横軸は、ショットのインデックスを表し、縦軸は、対応するナビゲータ信号と参照ナビゲータ信号との間の相関を表す。
【0036】
相関閾値決定回路440は、一つ又は複数の相関閾値を決定して重み付けマトリクス生成回路450に送信する。相関閾値は、ナビゲータデータに基づいて動き検出を可能にする任意の利用可能な方法で、経験的に導出されてもよい。
【0037】
重み付けマトリクス生成回路450は、相関計算回路430から受信した相関に基づいて、さらに、相関閾値決定回路440から受信した一つ又は複数の相関閾値に基づいて、動き損傷ショット(図5の相関プロットにおいて点で表されている)と、動きを含まないショットとを識別して、図5に例示的に示すデータ整合性重み付けマトリクスを生成する。
【0038】
非限定的な実施形態では、絶対的な相関閾値が用いられてもよい。例えば、ナビゲータ信号と参照ナビゲータ信号との間の相関が閾値αより低い場合に、対応するショットが動き損傷ショットと判定される。
【0039】
他の実施形態では、標準偏差型の閾値が用いられてもよい。例えば、ナビゲータ信号と参照ナビゲータ信号との間の相関がμ-α×σより低い場合に、対応するショットが動き損傷ショットと判定される。ここで、平均値μ及び標準偏差σは、全てのショット(又は、それらのショットのサブセット)に対して計算された相関を用いて導出されてもよい。
【0040】
あるいは、全てのショットのうちの最大数分のショットが、動き損傷ショットとして判定されてもよい。この方式では、動き損傷ショットの数は、例えば、比率の閾値αとショットの総数とを乗じた値以下となる。本開示の範囲から逸脱しなければ、動き検出の性能が向上するように、上記の閾値及び/又は他の閾値の組み合わせが用いられてもよい。
【0041】
上記の実施形態では、重み付けマトリクス生成回路450は、各ショットが動きを含まないショットと動き損傷ショットとに分類されることによって、2値のデータ整合性重み付けマトリクスを生成することができる。マトリクスの各要素は、対応するk空間ポイントが動きを含んでいないことの確実性のレベルが高いことを示す値、又は、対応するk空間ポイントがイメージング対象物の動きによって損傷していることの確実性のレベルが高いことを示す他の値のいずれかを有してもよい。データ整合性重み付けマトリクスは、動き補正画像再構成回路1300によって、画像データの再構成に組み込まれる。
【0042】
さらに別の実施形態では、より細かい分類が行われるように、閾値のセットが用いられてもよい。非2値のデータ整合性重み付けマトリクスが生成されるように、重み付けの要素のそれぞれが所定の範囲の値を有してもよい。相関と閾値のセットとの比較結果が強い相関を示す場合に、対応するk空間ポイントが動きによって損傷していないことの確実性のレベルが高いことを示す値として、所定の範囲の第1の限界値に近い値が割り当てられてもよい。また、比較結果が弱い相関を示す場合に、k空間ポイントが動きによって損傷していることの確実性のレベルが高いことを示す値として、所定の範囲の第2の限界値に近い値が割り当てられてもよい。
【0043】
二つの経験的かつ絶対的な閾値α1及びα2が用いられる例示的なシナリオでは、相関がα1より小さい場合に、対応するデータ整合性重み付けマトリクスの要素の値が0に設定され、相関がα1とα2の間である場合に、対応するデータ整合性重み付けマトリクスの要素の値が0.5に設定され、相関がα2より大きい場合に、対応するデータ整合性重み付けマトリクスの要素の値が1に設定されてもよい。
【0044】
あるいは、一つ又は複数の経験的に導出された閾値を用いる代わりに、生成された相関プロットから確実性を推論するように、又は、未処理のナビゲータ信号から直接確実性を推論するように、ニューラルネットワークがトレーニングされてもよい。
【0045】
図6は、本開示の一実施形態に係るデータ整合性重み付けマトリクスを生成するニューラルネットワークのトレーニングプロセス600のフローチャートの非限定的な例を示している。トレーニングプロセス600は、ステップ610で、動きを含まないナビゲータデータを取得することによって開始する。
【0046】
ステップ620で、シミュレートされる異なる動きが決定される。当該異なる動きは、並進及び回転運動等の剛体運動、面内運動、一般的な動きに関連する信号劣化等を含むが、これらに限定されるものではない。
【0047】
ステップ630で、取得された動きを含まないナビゲータデータに対する異なる動きの影響をシミュレートすることによって、動きの影響を受けたナビゲータデータが生成される。3D及び2Dナビゲータ信号について、並進及び回転がシミュレートされてもよい。1Dナビゲータ信号について、リードアウト方向に沿った並進のみがシミュレートされてもよい。選択されたショットのナビゲータ信号の強度変化として、面内運動がシミュレートされてもよい。同様に、一般的な動きに関連する信号劣化(即ち、一時的な非定常状態の磁化)がシミュレートされてもよい。
【0048】
ステップ640で、生成された動きの影響を受けたナビゲータデータを用いて、動きの影響を受けたナビゲータデータからデータ整合性重み付けマトリクスへのマッピングを学習するように、ニューラルネットワークがトレーニングされる。
【0049】
図7は、本開示の一実施形態に係る画像データの再構成の信号フロー図の非限定的な例を示している。まず、取得されたナビゲータデータが動き検出(及び動きパラメータ推定)プロセスを経ることにより、動き関連情報、即ち、データ整合性重み付けマトリクス及び動きパラメータ(図7には示さず)が得られる。また、動き損傷k空間データ及びコイル感度マップが、動き補正画像再構成回路(即ち、深層学習フレームワーク)に入力される。深層学習フレームワークの出力において、コイルを組み合わせた動き補正画像データが作成される。図8は、マルチコイルのパラレルイメージングの方式に関する一実施形態を示しているが、本開示は、パラレルイメージング以外の通常のイメージングにも適用することができる。
【0050】
図8は、本開示の一実施形態に係る動き補正画像データを再構成する深層学習フレームワークの非限定的な例を示している。図8に示す深層学習フレームワークは、以下のコスト関数を最小化することで、MR画像を再構成する。
【数1】
【0051】
ここで、xreconstructedは、動き及びエリアジングを含まない再構成画像を表し、Wは、ナビゲータ信号から生成されたデータ整合性重み付けマトリクスを表し、Fは、フーリエ変換演算子を表し、Sは、受信コイル感度マトリクスを表し、Tは、ナビゲータ信号から生成された動きパラメータマトリクスを表し、xは、最適化される画像を表し、yは、MRIスキャナによってイメージング対象物から収集された動き損傷k空間データを表し、λは、正則化重みを意味し、DL(x)は、正則化部の出力を表す。
【0052】
図8に示すように、深層学習フレームワークは、トレーニング済みのニューラルネットワークに基づく正則化部と、データの忠実性を高めるデータ整合性部とを交互に所定の回数繰り返す。この展開された反復構造によって、MR再構成アルゴリズムの徹底した(end-to-end)最適化が可能となる。
【0053】
図8に示す深層学習フレームワークは、データ整合性重み付けマトリクスをトレーニング段階に組み込むことによって、より良好な再構成を実現することができる。即ち、ニューラルネットワークに基づく正則化部が、k空間データが動き損傷していることの確実性の程度、又は、k空間データが動きを含んでいないことの確実性の程度に応じて、より積極的に又はより消極的にトレーニングされてもよい。より具体的には、ニューラルネットワークは、ナビゲータ信号から導出された情報が、対応するk空間ポイントが動き損傷していることの確実性が高いことを示す場合は、最終画像に対する影響が大きくなるように学習し、ナビゲータ信号から導出された情報が、対応するk空間ポイントが動きを含んでいないことの確実性が高いことを示す場合は、最終画像に対する影響が小さくなるように学習する。
【0054】
本開示の一実施形態では、図8に示すデータ整合性部は、共役勾配反復アルゴリズムによって実行されてもよい。他の手法を用いることも可能であり、例えば、限定はされないが、近位勾配アルゴリズム、直交整合性追跡アルゴリズム、反復ハード閾値処理アルゴリズム、分割ブレグマンに基づくアルゴリズム、勾配降下アルゴリズム等が用いられてもよい。
【0055】
図9は、本開示の一実施形態に係る正則化部の非限定的な例を示している。図9に示すニューラルネットワークに基づく正則化部は、Uネットの畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network:CNN)と複素数演算とを組み合わせたものであり、これにより、DLRの性能を向上させることができる。その他のCNNアーキテクチャを用いることも可能であり、例えば、限定はされないが、残差Uネット、残差ネットワーク、インセプション残差ネットワーク、線形畳み込みネットワーク等が用いられてもよい。例えば、正則化部は、複素数のUネットであり、複素数のUネットの複数のパラメータが所定の回数の繰り返しの間に共有される。
【0056】
図10は、本開示の一実施形態に係る深層学習ニューラルネットワークのトレーニングプロセス1000のフローチャートの非限定的な例を示している。ステップ1010で、複数のショットによって、完全にサンプリングされた動きを含まないk空間データが収集される。ステップ1020で、MRIフォワードモデルを用いて、異なるショットに対する異なる動きパラメータを有する動きの影響をシミュレートすることによって、動き損傷k空間データが生成される。シミュレートされる動きは、剛体運動、例えば、±5mmの範囲内の並進運動、±5°の範囲内の回転運動によるものが含まれるが、これらに限定されるものではない。ランダムに又は予め指定された動きの軌道に基づいて、損傷ショットが選択されてもよい。
【0057】
ステップ1030で、異なる動きパラメータを有する動きに対応するナビゲータデータが生成される。ステップ1040で、異なる動きパラメータにノイズを加えることによって、動きパラメータマトリクスTが生成され、ナビゲータデータから導出された相関プロットに経験的に導出された閾値を適用することによって、データ整合性重み付けマトリクスWが生成されてもよい。ノイズは、ナビゲータデータから動きパラメータを推定する際に潜在的に生じる誤差をシミュレートするために加えられる。
【0058】
ステップ1050で、完全にサンプリングされた動きを含まないコイル組み合わせ画像をターゲットとし、シミュレートされた動き損傷k空間データ、動きパラメータマトリクスT、及び、データ整合性重み付けマトリクスWを用いて、動き損傷k空間データから、動きを含まない再構成画像データへのマッピングを学習するように、動きにロバストなDLRがトレーニングされる。
【0059】
別の実施形態では、アンダーサンプリングされたk空間データがシミュレートされて、トレーニングデータとして同様に用いられてもよい。この方法で、DLRは、アンダーサンプリングの方式で動きにロバストな画像を再構成するように、例えば、限定はされないが、パラレルイメージングのサンプリング、部分的なFOVのサンプリング、圧縮センシングのサンプリング、部分的なフーリエのサンプリング等の方式で動きにロバストな画像を再構成するように、学習することができる。
【0060】
図11は、本開示の一実施形態に係る動き補正画像データを再構成する深層学習フレームワークの非限定的な例を示している。本実施形態では、2値のデータ整合性重み付けマトリクス(又は、2値のマスク)Mが用いられる。動きを含んでいないことの確実性が高いk空間ポイントについては、対応する重み付け要素が「1」に設定される。動き損傷していることの確実性が高いk空間ポイントについて(及び、任意で、アンダーサンプリングの方式で収集されないk空間ポイントについて)は、対応する重み付け要素が「0」に設定される。重み付け要素が「0」に設定されることは、当該k空間ポイントが画像再構成の際に排除されることを意味する。この結果として、本実施形態は、ナビゲータ信号から動きパラメータマトリクスTを生成する処理を省略することができる。
【0061】
図11に示す動きにロバストなDLRは、以下のコスト関数を最小化することで、MR画像を再構成する。
【数2】
【0062】
ここで、xreconstructedは、動き及びエリアジングを含まない再構成画像を表し、Mは、データ拒否/承諾を表す2値のデータ整合性重み付けマトリクスを表し、Fは、フーリエ変換演算子を表し、Sは、受信コイル感度マトリクスを表し、DL(x)は、正則化部の出力を表し、αは、正則化重みを表し、xは、最適化される画像を表し、yは、MRIスキャナによってイメージング対象物から収集された動き損傷k空間データを表す。
【0063】
図12Aは、図11に示した実施形態に係る動き損傷ショットを排除するために用いられる相関プロットを示している。12Bは、本実施形態に係る動き補正を用いずに再構成されたMRI画像を示している。12Cは、本実施形態に係る動き補正を用いて再構成されたMRI画像を示している。図12Aに示すように、2値のデータ整合性重み付けマトリクスMを生成するために、例えば、0.999の絶対閾値が用いられる。この結果として、ショット4、5及び6によって収集されたk空間ポイントは、それらの対応する相関が0.999未満であるため、排除され、画像再構成に用いられない。ショットを排除せずに再構成されたT2w FSE脳画像と比較すると、DLRが、例えば、図12B及び12Cで矢印が示している部分について、画像品質を十分に向上させることが明らかである。
【0064】
図8及び11の実施形態では、動き補正は、DLRの段階の一部として実施される。DLRに動き補正を組み合わせることで、全てのk空間データをターゲットとするのではなく、動き損傷k空間データを直接ターゲットとすることができる。別の手法では、DLR及び動き補正が連続的に用いられてもよい。図13は、本開示の一実施形態に係る深層学習フレームワークが再構成後の動き補正として用いられる場合の例示的なシナリオを示している。動き損傷k空間データから画像データが再構成されて、本開示に係る深層学習フレームワークに入力される。任意で、深層学習フレームワークの前に並進補正がさらに実行されてもよい。
【0065】
さらに、本開示の動きにロバストなDLRは、画像品質を向上させるために、リアルタイムフィードバック(即ち、プロスペクティブ動き補正)と組み合わせられてもよい。典型的には、リアルタイムフィードバックは、動き損傷データが排除又は破棄された際に、動き損傷データを再収集するようにMRスキャナに指示する。本開示の一実施形態では、スキャン中に動きが検出された際に、リアルタイムフィードバックが行われることで、動き損傷データを再収集するようにMRIスキャナに指示してもよい。その後、収集された複数のk空間ポイント及び各k空間ポイントが動きを含んでいないことの確実性の程度が用いられて、データ整合性重み付けマトリクスが生成される。また、生成されたデータ整合性重み付けマトリクスに基づいて、動きを含んでいないと最初に判定されたk空間ポイント、動き損傷と最初に判定されたk空間ポイント、及び、再収集されたデータが、全て、DLRに基づくMRI再構成に組み込まれる。この方法で、生成されたMR画像は、より高いSNR及びより良好な画像品質を有するようになる。
【0066】
なお、上述した実施形態では、イメージング対象物から収集されたk空間データが用いられる場合の例を説明したが、k空間データに替えて、イメージング対象物から収集及び再収集されたk空間データから再構成された画像データが用いられてもよい。
【0067】
ここで、図14を参照すると、図14は、磁気共鳴イメージング(MRI)装置100の非限定的な例を示している。図14に示すMRI装置100は、ガントリ101(概略断面図で示されている)、及び、インターフェースを介して相互に接続された種々の関連するMRIシステムコンポーネント103を含む。通常、少なくともガントリ101は、シールドルームに設置される。図14に示すMRI装置100の幾何学的構造は、静磁場B0磁石111、Gx、Gy及びGz傾斜磁場コイルセット113、及び、大型の全身RFコイル(Whole-Body RF Coil:WBC)115の実質的に同軸の円筒状構造を含む。この円筒状構造に含まれる各要素の水平軸に沿って、患者テーブル120によって支持された患者119の頭部を実質的に取り囲むように、イメージングボリューム117が示されている。
【0068】
イメージングボリューム117において、患者の頭部(本明細書では、例えば、「イメージング対象物」又は「対象物」と呼ばれる)により近接するように、一つ以上の小型のアレイRFコイル121が接続される。当業者であれば理解されるように、WBC(全身RFコイル)と比べて相対的に小さい、身体の特定の部分(例えば、腕、肩、肘、手首、膝、脚、胸部、脊椎等)に合わせてカスタマイズされた表面コイル等のRFコイル及び/又はアレイが用いられることがある。本明細書では、このような小型のRFコイルは、アレイコイル(Array Coil:AC)又はフェーズドアレイコイル(Phased-Array Coil:PAC)と呼ばれる。これらは、イメージングボリューム117にRF信号を送信するように構成された少なくとも一つのコイルと、イメージングボリューム117内の患者の頭部等の対象物からRF信号を受信するように構成された複数の受信コイルとを含んでもよい。
【0069】
MRI装置100は、ディスプレイ124、キーボード126及びプリンタ128に接続された入力/出力ポートを有するMRIシステム制御部130を含む。当業者によれば理解されるように、ディスプレイ124は、制御入力も提供するようなタッチスクリーン型であってもよい。また、マウス又は他のI/Oデバイスが提供されてもよい。
【0070】
MRIシステム制御部130は、MRIシーケンス制御部140とインターフェースを介して接続されており、Gx、Gy及びGz傾斜磁場コイルドライバ132に加えて、RFトランスミッタ134、及び、送信/受信スイッチ136(同じRFコイルが送信及び受信の両方に用いられる場合)を順次に制御する。RFトランスミッタ134は、RFシミングに用いられるような、二つ以上のRF送信コイル又はコイル上のポートを駆動させるための二つ以上のトランスミッタチャネルで構成されてもよい。MRIシーケンス制御部140は、B1磁場のシミングを含むMRIイメージング(核磁気共鳴イメージング、即ち、NMRイメージングとしても知られている)の技法を実行するための適切なプログラムコードストラクチャ138を含む。MRIシーケンス制御部140は、パラレルイメージングを伴うMRIイメージング用、又は、パラレルイメージングを伴わないMRIイメージング用に構成されてもよい。さらに、MRIシーケンス制御部140は、主要なスキャン磁気共鳴(MR)画像(診断画像と呼ばれる)を取得するための一つ又は複数の予備スキャン(プレスキャン)シーケンス及びスキャンシーケンスを実行することができる。プレスキャンによって得られるMRデータは、例えば、全身RFコイル115及び/又はアレイRFコイル121のシミングパラメータを決定するために用いられてもよい。
【0071】
MRIシステムコンポーネント103は、ディスプレイ124に送信される処理済みの画像データを作成するようにMRIデータプロセッサ142へ入力を供給するRFレシーバ141を含む。MRIデータプロセッサ142は、以前に生成されたMRデータ、画像、ナビゲータデータ、システム構成パラメータ等を記憶したメモリ146、及び/又は、プログラムコードストラクチャ144、プログラムメモリ150にアクセスするように構成されている。
【0072】
一実施形態では、MRIデータプロセッサ142は、処理回路を含む。処理回路は、特定用途向け集積回路(Application-Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及び、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等のデバイス、並びに、図1~4、8及び11について記載したような、本開示に記載された機能を実施するように構成された他の回路コンポーネントを含んでもよい。
【0073】
MRIデータプロセッサ142は、プログラムコードストラクチャ144及びプログラムメモリ150に含まれている一つ又は複数の命令の一つ又は複数のシーケンスを実行する。あるいは、当該命令は、ハードディスク又はリムーバブルメディアドライブ等の他のコンピュータ可読媒体から読み取られてもよい。プログラムコードストラクチャ144及びプログラムメモリ150に含まれている命令のシーケンスを実行するために、多重処理構成の一つ又は複数のプロセッサが用いられてもよい。別の実施形態では、ソフトウェアの命令の代わりに、又は、ソフトウェアの命令と組み合わせて、ハードワイヤード回路が用いられてもよい。このように、本開示の実施形態は、ハードウェア回路及びソフトウェアの何らかの特定の組み合わせに限定されるものではない。例えば、プログラムメモリ150は、MRIデータプロセッサ142によって実行されることにより動き補正再構成プロセス200を実行する命令を記憶する。
【0074】
さらに、本明細書で用いられている「コンピュータ可読媒体」の用語は、実行用のMRIデータプロセッサ142に命令を供給する任意の非一時的な媒体を意味する。コンピュータ可読媒体は、不揮発性媒体又は揮発性媒体等の多くの形態であり得るが、これらに限定されるものではない。不揮発性媒体は、例えば、光学ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク、取り外し可能メディアドライブ等である。揮発性媒体は、動的メモリ等である。
【0075】
また、図14には、MRIシステムのプログラムメモリ(記憶装置)150が一般化されて示されている。プログラムメモリ150には、動き補正再構成プロセス200を実施させる命令等のストアドプログラムコードストラクチャが、MRI装置100の種々のデータ処理コンポーネントによって呼び出し可能な非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶されている。当業者であれば理解されるように、プログラムメモリ150は、分割されて、少なくとも部分的に、MRIシステムコンポーネント103のうちで通常の動作中に最も即時にプログラムコードストラクチャを必要とする異なる処理コンピュータに直接接続される(即ち、共有的に記憶されてMRIシステム制御部130に直接接続されるではない)ように構成されていてもよい。
【0076】
さらに、図14に示すMRI装置100は、本明細書で説明した例示的な実施形態を実行するために利用することができる。MRIシステムコンポーネント103は、異なる論理集合の「ボックス」に分割されてもよく、典型的には、多数のデジタルシグナルプロセッサ(Digital Signal Processor:DSP)、マイクロプロセッサ及び特殊目的処理回路(例えば、高速A/D(Analog to Digital)変換、高速フーリエ変換、アレイ処理等用の処理回路)を含んでもよい。これらの処理回路は、典型的には、物理的なデータ処理回路がクロックサイクル(又は、所定数のクロックサイクル)ごとに、ある物理的状態から別の物理的状態へ進行する、クロック制御された「ステートマシン」である。
【0077】
さらに、動作の過程において、処理回路(例えば、CPU、レジスタ、バッファ、演算ユニット等)の物理的状態があるクロックサイクルから別のクロックサイクルへ進行的に変化するだけでなく、データ記憶媒体(例えば、磁気記憶媒体内のビット記憶部)の関連する物理的状態も、そのようなシステムの動作中にある状態から別の状態へ変化する。例えば、画像再構成処理、及び/又は、時には画像再構成マップ(例えば、コイル感度マップ、展開マップ、ゴーストマップ、歪みマップ等)生成処理の最後に、物理的な記憶媒体に含まれるコンピュータ可読かつアクセス可能データ値記憶部のアレイが、何らかの先行の状態から新しい状態へ変化する。ここで、そのようなアレイの物理的部分の物理的状態は、最小値と最大値との間で変化することで、実世界の物理的イベント及び状態を表現する。当業者であれば理解されるように、コンピュータ制御プログラムコードの特定の構造が、MRI装置100の一つ又は複数のCPUによって命令レジスタに順次ロードされて実行された際にMRI装置100内で動作可能な状態の特定のシーケンスを発生させてその状態を変化させるのと同じように、データ値が記憶された当該アレイは、物理的構造を表現し、かつ、物理的構造を構成する。
【0078】
上記の記載に照らして、非常に多くの変更及び変形が可能である。そのため、本願が開示する技術は、添付の特許請求の範囲の範囲内で、本明細書に具体的に記載されている方法とは別の方法で実施されてもよいことが理解されるであろう。
【0079】
また、本開示の実施形態は、以下の付記に示す形態であってもよい。
【0080】
(1)磁気共鳴イメージングシステムにおける動作補正のための方法であって、磁気共鳴イメージングシステムによる対象物のイメージングから収集されたデータまたは該収集されたデータから再構成された画像データを受信することと、該収集されたデータが収集される間の対象物の動作に関する動作関連情報を生成することであって、該動作関連情報は、対象物の動作によって収集されたデータが損傷しているという確実性のレベルを含んでいる、動作関連情報を生成することと、生成した動作関連情報および受信したデータまたは再構成された画像データに基づいて、動作補正画像データを生成することと、を含む、方法。
【0081】
(2)該収集されたデータは、複数のショットによって取得されたk空間データであり、各ショットにより、複数のk空間ラインが取得され、各k空間ラインは、複数のk空間ポイントを含み、かつ動作関連情報を生成するステップは、複数のナビゲータ信号を受信することであって、各ナビゲータ信号は、複数のショットのうち1つのショット中に取得されたものである、複数のナビゲータ信号を受信することと、複数のナビゲータ信号に基づいて、対象物の動作の動作パラメータを推定することであって、該動作パラメータは、該動作関連情報に含まれる、動作パラメータを推定することと、該複数のナビゲータ信号に基づいて、データ整合性重み付けマトリクスを生成することであって、該データ整合性重み付けマトリクスは、複数の重み付け要素を含み、各重み付け要素は、k空間ポイントに対応し、かつ対応するk空間ポイントが対象物の動作によって損傷しているという確実性のレベルを表すものである、データ整合性重み付けマトリクスを生成することと、をさらに含む、(1)に記載の方法。
【0082】
(3)データ整合性重み付けマトリクスを生成するステップは、受信した複数のナビゲータ信号に基づいて、参照ナビゲータ信号を導出することと、複数のナビゲータ信号の各ナビゲータ信号と参照ナビゲータ信号との間の対応する相関を計算することと、複数のナビゲータ信号のナビゲータ信号ごとに計算された相関の比較に基づいて、経験的相関閾値を用いて、特定の値を重み付けマトリクスの複数の重み付け要素に割り当てることであって、該複数の重み付け各要素は、ナビゲータ信号に対応する複数のショットのうちの1つのショットで取得された複数のk空間ポイントに対応する、特定の値を重み付けマトリクスの複数の重み付け要素に割り当てることと、をさらに含む、(2)に記載の方法。
【0083】
(4)割り当てられた特定の値は、所定の範囲内の値であり、割り当てるステップは、比較により強い相関が示される場合、該複数のk空間ポイントが動作によって損傷していないというより高い確実性のレベルを表す所定の範囲の第1端に近い特定の値を割り当てることと、比較により弱い相関が示される場合、該複数のk空間ポイントが動作によって損傷しているというより高い確実性のレベルを表す所定の範囲の第2端に近い特定の値を割り当てることと、をさらに含む、(3)に記載の方法。
【0084】
(5)割り当てられた特定の値は、第1の所定の値または第2の所定の値であり、割り当てるステップは、比較により相関が経験的相関閾値を上回ることが示される場合、該複数のk空間ポイントが動作によって損傷していないという高い確実性のレベルを表す第1の所定の値を割り当てることと、比較により相関が経験的相関閾値を満たさないことが示される場合、該複数のk空間ポイントが動作によって損傷しているという高い確実性のレベルを表す第2の所定の値を割り当てることと、をさらに含む、(3)に記載の方法。
【0085】
(6)第2の所定の値は、動作に起因する複数のk空間ポイントを排除するために0に設定され、この場合、該複数のk空間ポイントは、画像データの再構成に使用されず、推定ステップは省略される、(5)に記載の方法。
【0086】
(7)データ整合性重み付けマトリクスを生成するステップは、複数のナビゲータ信号をニューラルネットワークに入力することと、データ整合性重み付けマトリクスとして、ニューラルネットワークの出力値を取得することと、をさらに含む、(2)に記載の方法。
【0087】
(8)動作を含まないナビゲータデータを取得することと、シミュレートすべき異なる動作を判断することと、動作を含まないナビゲータデータに基づいて各動作の対応する影響をシミュレートすることによって、動作の影響を受けたナビゲータデータを生成することと、動作を含まないナビゲータおよび動作の影響を受けたナビゲータを使用して、動作の影響を受けたナビゲータデータから対応するデータ整合性重み付けマトリクスへのマッピングを学習するようにニューラルネットワークを訓練することと、をさらに含む、(7)に記載の方法。
【0088】
(9)データ整合性重み付けマトリクスを生成するステップは、複数のナビゲータ信号に基づいて、参照ナビゲータ信号を決定することと、複数のナビゲータ信号の各ナビゲータ信号と参照ナビゲータ信号との間の対応する相関を計算することと、計算した相関をニューラルネットワークに入力することと、データ整合性重み付けマトリクスとして、ニューラルネットワークの出力値を取得することと、をさらに含む、(2)に記載の方法。
【0089】
(10)動作補正画像データを生成するステップは、受信したデータまたは再構成された画像データ、重み付けマトリクス、および動作パラメータをニューラルネットワークに適用することと、動作補正画像データとして、ニューラルネットワークの出力値を取得することと、をさらに含む、(2)に記載の方法。
【0090】
(11)適用するステップは、取得したデータまたは再構成された画像データ、生成した重み付けマトリクス、および推定した動作パラメータを所定の回数の反復を有するモデル駆動型深層学習フレームワークに適用することをさらに含み、各反復は、正則化ユニットおよびデータ整合性ユニットを含む、(10)に記載の方法。
【0091】
(12)正則化ユニットは、Uネット、残差Uネット、残差ネットワーク、インセプション残差ネットワークまたは線形畳み込みネットワークである、(11)に記載の方法。
【0092】
(13)正則化ユニットは、複合Uネットであり、複合Uネットの複数のパラメータは、所定の回数の反復にわたって共有される、(12)に記載の方法。
【0093】
(14)データ整合性ユニットは、共役勾配反復アルゴリズム、近位勾配アルゴリズム、直交整合性追跡アルゴリズム、反復ハード閾値処理アルゴリズム、分割ブレグマンベースアルゴリズム、または勾配降下アルゴリズムを使用する、(11)に記載の方法。
【0094】
(15)複数のショットで取得された完全にサンプリングされた動作を含まないk空間データを取得することと、異なるショットに基づいて異なる動作パラメータを有する動作によって生じる対応する影響をシミュレートすることによって動作損傷k空間データを生成することと、異なる動作パラメータを有する動作に対応するナビゲータデータを生成することと、ナビゲータデータに基づいて、データ整合性重み付けマトリクスを生成することと、完全にサンプリングされた動作を含まないk空間データ、動作損傷k空間データ、データ整合性重み付けマトリクス、および動作パラメータを使用して、動作損傷k空間データから完全にサンプリングされた動作を含まない画像データへのマッピングを学習するように深層学習フレームワークを訓練することと、をさらに含む、(10)に記載の方法。
【0095】
(16)複数のナビゲータ信号を受信するステップは、磁気共鳴イメージングシステムのパルスシーケンスに挿入された非イメージングk空間エコー、呼吸ベローズ、心電図信号、外部マーカー付きカメラ、外部マーカーなしカメラ、またはパイロットトーンベース動作検出信号から複数のナビゲータ信号を取得することと、をさらに含む、(2)に記載の方法。
【0096】
(17)複数のナビゲータ信号を受信するステップは、3Dボリューム、2D画像または1D信号の形態で、複数のナビゲータ信号を取得することをさらに含む、(2)に記載の方法。
【0097】
(18)推定するステップは、動作パラメータとして、並進の距離および/または回転の角度の程度を推定することをさらに含む、(2)に記載の方法。
【0098】
(19)磁気共鳴イメージングシステムにおける動作補正の方法であって、磁気共鳴イメージングシステムによる対象物のイメージングからk空間データを取得することと、k空間データが取得される間に取得された複数のナビゲータ信号に基づいて、取得したk空間データの各k空間ポイントが対象物の動作によって損傷しているという確実性のレベルを判断することと、判断した確実性のレベルに基づいて、イメージング対象物の動作によって損傷している複数のk空間ポイントを識別することと、識別した動作損傷k空間ポイントに関して、複数のk空間ポイントを再取得することと、再取得されたk空間ポイントが再取得される間に取得した複数のナビゲータ信号に基づいて、再取得したk空間データの各k空間ポイントが対象物の動作により損傷しているという確実性のレベルを判断することと、取得したk空間データ、再取得したk空間ポイント、および対応する確実性のレベルを使用して、磁気共鳴画像を再構成することと、を含む、方法。
【0099】
(20)磁気共鳴イメージングシステムにおける動作補正のための装置であって、磁気共鳴イメージングシステムによる対象物のイメージングから収集されたデータまたは該収集されたデータから再構成された画像データを受信し、該収集されたデータが収集される間の対象物の動作に関する動作関連情報を生成し、該動作関連情報は、対象物の動作によって収集されたデータが損傷しているという確実性のレベルを含んでおり、取得した動作関連情報および取得したデータまたは再構成された画像データに基づいて、動作補正画像データを生成するように構成された処理回路を備える、装置。
【0100】
また、当業者であれば、依然として本開示の同じ目的を達成しながら、上述した技術の実施形態に対して多くの変形例が存在することを理解できるであろう。本開示の範囲には、そのような変形例も含まれる。したがって、上述した本開示の実施形態の説明は、範囲を限定することを意図したものではない。より正確には、本開示の実施形態に対する限定は、以下の特許請求の範囲に示される。
【0101】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、磁気共鳴イメージング装置における動き補正をより適切に行うことができる。
【0102】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0103】
100 磁気共鳴イメージング装置
142 MRIデータプロセッサ
1000 動き補正再構成装置
1100 k空間データ受信回路
1200 動き関連情報生成回路
1300 動き補正画像再構成回路
310 ナビゲータデータ取得回路
320 動きパラメータ推定回路
330 動き損傷ショット識別回路
410 ナビゲータ信号取得回路
420 参照信号決定回路
430 相関計算回路
440 相関閾値決定回路
450 重み付けマトリクス生成回路
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