IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ドンウー エイチエスティー カンパニー リミテッドの特許一覧 ▶ ウィナー バキューム ソリューション カンパニー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特開-熱処理用冷却装置 図1
  • 特開-熱処理用冷却装置 図2
  • 特開-熱処理用冷却装置 図3
  • 特開-熱処理用冷却装置 図4
  • 特開-熱処理用冷却装置 図5
  • 特開-熱処理用冷却装置 図6
  • 特開-熱処理用冷却装置 図7
  • 特開-熱処理用冷却装置 図8
  • 特開-熱処理用冷却装置 図9
  • 特開-熱処理用冷却装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095987
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】熱処理用冷却装置
(51)【国際特許分類】
   C21D 1/00 20060101AFI20240704BHJP
   C21D 9/32 20060101ALN20240704BHJP
【FI】
C21D1/00 B
C21D1/00 120
C21D1/00 119
C21D9/32 B
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023198945
(22)【出願日】2023-11-24
(31)【優先権主張番号】10-2022-0189887
(32)【優先日】2022-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523269269
【氏名又は名称】ドンウー エイチエスティー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO HST CO., LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】523444453
【氏名又は名称】ウィナー バキューム ソリューション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Winner vacuum Solution Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョン、ス ジン
(72)【発明者】
【氏名】チョン、ウォン ギ
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジュン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】シン、ヨン ミン
(72)【発明者】
【氏名】イ、ヒョン スン
【テーマコード(参考)】
4K034
4K042
【Fターム(参考)】
4K034AA02
4K034AA13
4K034DB03
4K034FA01
4K034FA02
4K034FA06
4K034FB09
4K034GA04
4K034GA07
4K042BA14
4K042DA06
4K042DD02
4K042DD05
4K042DE02
4K042DF01
4K042EA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】加熱された金属対象体に対し、必要な冷却能を確保できるように熱処理する熱処理用冷却装置を提供する。
【解決手段】開放された一側を介して複数の対象体10が内部に装入されるチャンバ200と、前記チャンバに備えられ、前記対象体を個別にカバーして前記対象体に冷却媒体を噴射する個別冷却部300と、前記チャンバに備えられ、前記個別冷却部を上下方向に移動させる駆動部700と、を含む。このような構成により、加熱された金属対象体を個別冷却又は全体冷却することによって、必要な冷却能を確保できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開放された一側を介して複数の対象体が内部に装入されるチャンバと、
前記チャンバに備えられ、前記対象体を個別にカバーして前記対象体に冷却媒体を噴射する個別冷却部と、
前記チャンバに備えられ、前記個別冷却部を上下方向に移動させる駆動部と、
を含む、熱処理用冷却装置。
【請求項2】
前記個別冷却部は、
内部に前記対象体が配置されるように中空を有し、一側が開放されたカバー部と、
前記駆動部に設けられて上下方向に移動し、前記カバー部の他側に締結されて前記カバー部の内部に冷却媒体を供給する冷却媒体供給配管と、
前記冷却媒体供給配管と接続されて冷却媒体を供給する冷却媒体供給部と、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の熱処理用冷却装置。
【請求項3】
前記カバー部は、
一側が開放された箱状に形成され、内部に冷却媒体が流入するように二重壁状に形成され、外壁が前記冷却媒体供給配管と連通するカバー部胴体と、
前記カバー部胴体の内壁と連通し、前記カバー部胴体の内側に突出して冷却媒体を前記対象体に噴射するノズル部と、
を含むことを特徴とする、請求項2に記載の熱処理用冷却装置。
【請求項4】
前記カバー部は、
前記カバー部胴体の上側の内側面で突出形成され、前記対象体を加圧する複数の加圧ピンと、
を含むことを特徴とする、請求項3に記載の熱処理用冷却装置。
【請求項5】
複数の対象体が治具トレイに配置され、前記治具トレイは、移送治具を介して前記チャンバに装入され、前記チャンバに備えられた対象体支持部に安着することを特徴とする、請求項4に記載の熱処理用冷却装置。
【請求項6】
前記対象体支持部は、
前記治具トレイを貫通して前記対象体を支持する複数の支持ピン
を含むことを特徴とする、請求項5に記載の熱処理用冷却装置。
【請求項7】
前記治具トレイが下降して複数の前記支持ピンに前記対象体が支持されることで、前記治具トレイから離隔配置された後、前記カバー部が下降して複数の前記加圧ピンによって前記対象体が加圧された状態で、前記ノズル部を介して冷却媒体が噴射されることを特徴とする、請求項6に記載の熱処理用冷却装置。
【請求項8】
前記冷却媒体供給部は、
冷却媒体が貯蔵された冷却媒体貯蔵タンクと、
前記冷却媒体貯蔵タンクと前記チャンバとを接続する冷却媒体供給ラインと、
一側端が前記チャンバに締結されて前記冷却媒体供給ラインと接続され、他側端が前記冷却媒体供給配管と接続され、前記冷却媒体供給配管の移動に対応して長さが可変するフレキシブル供給配管と、
を含むことを特徴とする、請求項2に記載の熱処理用冷却装置。
【請求項9】
前記冷却媒体供給部は、冷却媒体がガスの場合は、
前記チャンバに供給された冷却媒体が回収される冷却媒体回収タンクと、
前記冷却媒体回収タンクに貯蔵された冷却媒体を圧縮して前記冷却媒体貯蔵タンクに供給する冷却媒体圧縮機と、
を含むことを特徴とする、請求項8に記載の熱処理用冷却装置。
【請求項10】
前記冷却媒体供給部は、冷却媒体がオイルの場合は、
前記冷却媒体貯蔵タンクに貯蔵された冷却媒体を前記冷却媒体供給配管に供給する冷却媒体供給ポンプと、
前記チャンバに供給された冷却媒体が回収される冷却媒体回収タンクと、
前記冷却媒体回収タンクに貯蔵された冷却媒体を前記冷却媒体貯蔵タンクに供給する冷却媒体戻りポンプと、
前記冷却媒体回収タンクに貯蔵されたオイルを冷却する冷却媒体冷却部と、
を含むことを特徴とする、請求項8に記載の熱処理用冷却装置。
【請求項11】
冷却媒体がガスの場合に、前記チャンバの内部に冷却媒体を噴射する共通冷却部
をさらに含むことを特徴とする、請求項8に記載の熱処理用冷却装置。
【請求項12】
前記共通冷却部は、
前記チャンバの内部に備えられ、前記チャンバの内部に冷却媒体を噴射する共通冷却媒体噴射ノズルと、
前記冷却媒体貯蔵タンクと前記共通冷却媒体噴射ノズルとを接続する共通冷却媒体供給ラインと、
を含むことを特徴とする、請求項11に記載の熱処理用冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱処理用冷却装置に関し、より詳しくは、加熱された金属対象体を個別冷却又は全体冷却して熱処理する熱処理用冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属製品の熱処理用冷却装置は、金属製品の相変態特性を用いて、金属の機械的性質を制御するための用途として用いられる。冷却装置は、主に製品の急速冷却と冷却制御を目的として、冷却能に優れたオイルや高圧のガス流体を冷却媒体として活用する。
【0003】
最近、環境にやさしい側面と、冷却媒体の制御が容易な側面から冷却媒体としてガスをより多く用いる傾向がある。しかし、1段以上の複数(以下、1段は2Dスタッキング、2段以上は3Dスタッキングと表記する)の積載処理品に対する全体的な均一な冷却制御には限界があり、冷却能の確保のために高圧のガス供給ラインが必要となる。
【0004】
韓国登録特許第10-2302307号公報(以下、「特許文献1」という)には、作業片を熱科学的に硬化させるための方法及び装置が開示されている。
【0005】
上記特許文献1には、作業片を直接熱放射によって加熱可能な2つ以上のシメンティングチャンバ(Cementing chamber)と冷却装置及び伝達システムとを含んだ装置が開示されている。
【0006】
上記特許文献1に開示されている2つ以上のシメンティングチャンバと冷却装置及び伝達システムは、作業片の急速加熱が可能であり、3Dで積載した作業片の深刻な熱的歪みの発生による複雑な後機械加工を防止するために、作業片の表面の30から100%は加熱デバイスの直接熱放射で加熱できるように、前記作業片を互いに並んで配列させる形態の2Dスタッキングを用いることによって、作業片の深刻な熱的歪みを防止する方法が開示されている。
【0007】
また、韓国登録特許第10-2395488号公報(以下、「特許文献2」という)には、ギア、シャフト、リング及び類似の加工物の真空浸炭及びクエンチングのためのマルチチャンバー炉が開示されている。
【0008】
特許文献2のマルチチャンバー炉は、真空空間内に配列され、垂直又は水平の配列で構成された個々の加工物の連続した供給によって2つ以上の工程チャンバ(並列で接続)を含み、前記工程チャンバの端部に備えられたドアを介して個別工程チャンバと協力できるローディング及びアンローディングシステムを有する統合式移送チャンバと、アンローディングロックに炉作動サイクル内で加工物の個々のガスクエンチングのための設備を含むように構成されている。また、個々の加工物のガスクエンチングのための装置は、冷却ガスの流動を加圧するためのガスノズルのシステムと、ベースを含んだ2-部分ノズルコレクタとから構成されている。これによって、個々の加工物を熱処理した後に冷却するときに熱的歪みを最小化する方法が開示されている。
【0009】
しかし、従来のこれら冷却装置は、製品の形状によって拡張性の限界があるか、加熱室の構造形態によって冷却室の構造が限定される限界があり、処理品の数量及び3Dスタッキングなどを考慮した多様な装入形態に対して目的とした均一な冷却制御が困難であるという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国登録特許第10-2302307号公報
【特許文献2】韓国登録特許第10-2395488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記のような問題点を解決するために創案されたものであり、加熱された金属対象体を個別冷却又は全体冷却することによって、必要な冷却能を確保できるように熱処理する熱処理用冷却装置を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記のような目的を達成するために、本発明の好ましい実施形態による熱処理用冷却装置は、開放された一側を介して複数の対象体が内部に装入されるチャンバと、前記チャンバに備えられ、前記対象体を個別にカバーして前記対象体に冷却媒体を噴射する個別冷却部と、前記チャンバに備えられ、前記個別冷却部を上下方向に移動させる駆動部と、を含んでなってもよい。
【0013】
ここで、前記個別冷却部は、内部に前記対象体が配置されるように中空を有し、一側が開放されたカバー部と、前記駆動部に設けられて上下方向に移動し、前記カバー部の他側に締結されて前記カバー部の内部に冷却媒体を供給する冷却媒体供給配管と、前記冷却媒体供給配管と接続されて冷却媒体を供給する冷却媒体供給部と、を含んでなってもよい。
【0014】
また、前記カバー部は、一側が開放された箱状に形成され、内部に冷却媒体が流入するように二重壁状に形成され、外壁が前記冷却媒体供給配管と連通するカバー部胴体と、前記カバー部胴体の内壁と連通し、前記カバー部胴体の内側に突出して冷却媒体を前記対象体に噴射するノズル部と、を含んでなってもよい。
【0015】
また、前記カバー部は、前記カバー部胴体の上側の内側面で突出形成され、前記対象体を加圧する複数の加圧ピンを含んでなってもよい。
【0016】
このような構成により、複数の対象体が治具トレイに配置され、前記治具トレイは、移送治具を介して前記チャンバに装入され、前記チャンバに備えられた対象体支持部に安着するようになる。
【0017】
ここで、前記対象体支持部は、前記治具トレイを貫通して前記対象体を支持する複数の支持ピンを含んでなってもよい。
【0018】
このような構成により、前記治具トレイが下降して複数の前記支持ピンに前記対象体が支持されることで、前記治具トレイから離隔配置された後、前記カバー部が下降して複数の前記加圧ピンによって前記対象体が加圧された状態で、前記ノズル部を介して冷却媒体が噴射されるようになってもよい。
【0019】
また、前記冷却媒体供給部は、冷却媒体が貯蔵された冷却媒体貯蔵タンクと、前記冷却媒体貯蔵タンクと前記チャンバとを接続する冷却媒体供給ラインと、一側端が前記チャンバに締結されて前記冷却媒体供給ラインと接続され、他側端が前記冷却媒体供給配管と接続され、前記冷却媒体供給配管の移動に対応して長さが可変するフレキシブル供給配管と、を含んでなってもよい。
【0020】
一例として、前記冷却媒体供給部は、冷却媒体がガスの場合は、前記チャンバに供給された冷却媒体が回収される冷却媒体回収タンクと、前記冷却媒体回収タンクに貯蔵された冷却媒体を圧縮して前記冷却媒体貯蔵タンクに供給する冷却媒体圧縮機と、を含んでなってもよい。
【0021】
他の例として、前記冷却媒体供給部は、冷却媒体がオイルの場合は、前記冷却媒体貯蔵タンクに貯蔵された冷却媒体を前記冷却媒体供給配管に供給する冷却媒体供給ポンプと、前記チャンバに供給された冷却媒体が回収される冷却媒体回収タンクと、前記冷却媒体回収タンクに貯蔵された冷却媒体を前記冷却媒体貯蔵タンクに供給する冷却媒体戻りポンプと、前記冷却媒体回収タンクに貯蔵されたオイルを冷却する冷却媒体冷却部と、を含んでなってもよい。
【0022】
さらに、本発明の熱処理用冷却装置は、冷却媒体がガスの場合に、前記チャンバの内部に冷却媒体を噴射する共通冷却部をさらに含んでなってもよい。
【0023】
より詳しくは、前記共通冷却部は、前記チャンバの内部に備えられ、前記チャンバの内部に冷却媒体を噴射する共通冷却媒体噴射ノズルと、前記冷却媒体貯蔵タンクと前記共通冷却媒体噴射ノズルとを接続する共通冷却媒体供給ラインと、を含んでなってもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明による熱処理用冷却装置によると、加熱された金属対象体を個別冷却又は全体冷却することによって、必要な冷却能確保を確保できる効果を得ることができる。
【0025】
また、本発明によると、対象体をベース治具から離隔させた後に冷却することができるため、冷却すべき全熱量が減少し、より迅速かつ効果的に冷却できる効果を得ることができる。
【0026】
また、本発明によると、対象体を加圧した状態で冷却媒体を噴射することで、対象体が熱変形することを防止して冷却できる効果を得ることができる。
【0027】
また、本発明によると、冷却媒体として窒素ガス又はオイルを用いるので、水素やヘリウムなど高リスク高コストのガスを用いることなく、コスト削減及び安全事故を防止できる効果を得ることができる。
【0028】
さらに、本発明によると、冷却媒体の低い供給圧力条件でも十分な流速で供給して必要な冷却能を確保することで、所望の冷却効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施形態による熱処理用冷却装置を概略的に示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態による熱処理用冷却装置を概略的に示す断面図である。
図3】本発明の実施形態による熱処理用冷却装置において、支持ピンに対象体が支持された状態を概略的に示す断面図である。
図4】本発明の実施形態による熱処理用冷却装置において、個別冷却部が対象体を個別にカバーした状態を概略的に示す断面図である。
図5図4のA領域を抜粋して概略的に示す拡大図である。
図6】本発明の実施形態による熱処理用冷却装置において、チャンバに冷却媒体を供給する構成が接続された状態を概略的に示す図である。
図7】本発明の実施形態による熱処理用冷却装置において、個別冷却のための冷却媒体の供給ラインを概略的に示す図である。
図8】本発明の実施形態による熱処理用冷却装置において、共通冷却のための冷却媒体の供給ラインを概略的に示す図である。
図9】本発明の実施形態による熱処理用冷却装置において、チャンバに冷却媒体としてオイルを供給するための構成を概略的に示す図である。
図10】対象体を熱処理する加熱炉の一例を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について詳しく説明する。
【0031】
本発明は多様な変更を加えることができ、様々な実施形態を有することができるため、特定の実施形態を図面に例示し、詳細な説明に具体的に説明する。これは、本発明を特定の実施形態に限定することを意図するものでなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物ないし代替物を含むものと解釈されるべきである。
【0032】
本出願で使用する用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用され、本発明を限定することを意図するものでない。単数の表現は、文脈上明らかに他に意味がない限り、複数の表現を含むことができる。
【0033】
他に定義されない限り、技術的や科学的な用語を含んでここで使用される全ての用語は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般に理解されるのと同一の意味を有することができる。一般に使用される辞書で定義されているような用語は、関連技術の文脈上の意味と一致する意味を有すると解釈することができ、本出願で明白に定義しない限り、理想的や過度に形式的な意味として解釈されない。
【0034】
以下では、添付の図面を参考して本発明の具体的な実施形態について説明する。
【0035】
図1及び図2は、本発明の実施形態による熱処理用冷却装置を概略的に示す斜視図及び断面図であり、図3及び図4は、前記熱処理用冷却装置において、個別冷却部が対象体を個別にカバー及び加圧した状態を概略的に示す断面図であり、図5は、図4のA領域を抜粋して概略的に示す拡大図である。また、図6は、前記熱処理用冷却装置において、チャンバに冷却媒体を供給する構成が接続された状態を概略的に示す図であり、図7は、前記熱処理用冷却装置において、個別冷却のための冷却媒体の供給ラインを概略的に示す図であり、図8は、前記熱処理用冷却装置において、共通冷却のための冷却媒体の供給ラインを概略的に示す図である。また、図9は、前記熱処理用冷却装置において、チャンバに冷却媒体としてオイルを供給するための構成を概略的に示す図である。また、図10は、対象体を熱処理する加熱炉の一例を概略的に示す斜視図である。
【0036】
図1から図10を参照すると、本発明の実施形態による熱処理用冷却装置100は、開放された一側を介して複数の対象体10が内部に装入配置されるチャンバ200と、前記対象体10を個別にカバーして前記対象体10に冷却媒体を噴射する個別冷却部300と、前記チャンバ200に備えられ、前記個別冷却部300を上下方向に移動させる駆動部700と、を含んでなる。
【0037】
ここで、前記チャンバ200は、内部に複数の前記対象体10が安着し、前記対象体10を冷却するための前記個別冷却部300が備えられるように中空を有して形成される。また、前記チャンバ200は、内部に複数の前記対象体10を装入又は引き出し可能なように一側が開放形成される。もちろん、前記チャンバ200の開放された一側は、別途のドア部(図示せず)によって閉鎖されるようになっていてもよい。
【0038】
一例として、前記対象体10は、図10に示す加熱炉1で熱処理された後、移送チャンバを介して前記チャンバ200に装入されるようになってもよい。このとき、移送チャンバが前記チャンバ200の開放された一側に密着配置され、前記チャンバ200の開放された一側を密閉した状態で冷却が行われてもよく、又は移送チャンバが前記チャンバ200から分離され、前記チャンバ200の開放された一側をドア部が閉鎖した後に冷却が行われてもよい。
【0039】
また、複数の前記対象体10は、治具トレイ20に配置され、前記治具トレイ20は、移送チャンバに備えられた移送治具40を介して前記チャンバ200に装入又は引き出し可能なように備えられてもよい。ここで、前記移送治具40は、テレスコープからなってもよい。すなわち、前記移送チャンバに備えられたテレスコープを介して、前記加熱炉1で加熱された対象体10を引き出して前記移送チャンバに装入し、前記チャンバ200に移動した後、また前記テレスコープを介して前記対象体10を前記チャンバ200に装入するように構成されてもよい。
【0040】
このとき、前記チャンバ200の内部底部には対象体支持部210が備えられており、前記治具トレイ20は、前記対象体支持部210に安着した状態で前記対象体10の冷却が行われる。もちろん、前記治具トレイ20が前記移送治具40に配置された状態で冷却が行われてもよい。
【0041】
前記個別冷却部300は、前記チャンバ200に装入された複数の前記対象体10を個別にカバーした後に、前記対象体10に冷却媒体を噴射することで、複数の前記対象体10を個別に冷却する構成である。
【0042】
このため、前記個別冷却部300は、内部に前記対象体10が配置されるように中空を有し、一側が開放されたカバー部310と、前記駆動部700に設けられて上下方向に移動し、前記カバー部310の他側に締結されて前記カバー部310の内部に冷却媒体を供給する冷却媒体供給配管320と、前記冷却媒体供給配管320と接続されて冷却媒体を供給する冷却媒体供給部510、520と、を含んでなってもよい。
【0043】
すなわち、前記個別冷却部300は、前記カバー部310が前記対象体10を個別にカバーした後に、前記カバー部310の内部に冷却媒体を供給することで、複数の前記対象体10を個別に冷却できるように構成される。
【0044】
一例として、前記対象体10は、図1に示すように、ラックギアとして備えられてもよい。このとき、前記カバー部310は、バー(bar)状の前記ラックギアを収容できる形態で形成されてもよい。
【0045】
より詳しくは、前記カバー部310は、一側が開放された箱状に形成され、内部に冷却媒体が流入するように二重壁状に形成され、外壁が前記冷却媒体供給配管320と連通するカバー部胴体311と、前記カバー部胴体311の内壁と連通し、前記カバー部胴体311の内側に突出して冷却媒体を前記対象体10に噴射するノズル部312と、を含んでなる。
【0046】
ここで、前記ノズル部312は、前記カバー部胴体311の内周面で側面に沿って複数形成され、前記カバー部胴体311の内側に備えられた前記対象体10に冷却媒体を噴射するようになってもよい。
【0047】
また、前記カバー部310は、前記カバー部胴体311の上側の内側面で突出形成され、前記対象体10を加圧する複数の加圧ピン313をさらに含んでなってもよい。すなわち、前記カバー部310の内部に前記対象体10が収容されると、前記加圧ピン313が前記対象体10を加圧するようになる。
【0048】
また、前記対象体支持部210は、前記治具トレイ20を貫通して前記対象体10を支持する複数の支持ピン211をさらに含んでなってもよい。ここで、前記治具トレイ20は、前記支持ピン211が配置される部分に前記支持ピン211が挿入されるように支持ピン貫通孔21が形成される。
【0049】
このような構成により、前記治具トレイ20が下降して前記支持ピン貫通孔21を介して複数の前記支持ピン211が挿入されると、前記対象体10が支持されることで、図3に示すように、前記治具トレイ20から前記対象体10が離隔配置される。また、前記カバー部310が下降して前記カバー部310の内部に前記対象体10が挿入されると、複数の前記加圧ピン313によって前記対象体10が加圧される。すなわち、前記対象体10は、図4に示すように、複数の前記支持ピン211と複数の前記加圧ピン313によって加圧された状態となり、このとき、前記ノズル部312を介して冷却媒体を前記対象体10に噴射して冷却することができる。ラックギアの場合、長さが長く形成されるので、冷却過程でラックギアのねじれ現象が発生する可能性がある。したがって、本発明では、複数の前記支持ピン211と複数の前記加圧ピン313とで前記対象体10を加圧した状態で冷却することによって、ねじれ現象が発生することを防止することができる。
【0050】
これによって、前記カバー部310は、前記対象体10のそれぞれに配置され、前記対象体10を個別に冷却することができるため、前記チャンバ200の内部に配置される位置に関わらず全て同様に冷却され、前記対象体10を加圧した状態で冷却できるので、前記対象体10の冷却品質の均一性を確保することができる。
【0051】
ここで、前記駆動部700は、前記チャンバ200の外側に備えられ、直線移動するロッド710が前記チャンバ200を貫通して備えられるアクチュエータとして備えられてもよい。
【0052】
また、前記冷却媒体供給配管320は、前記ロッド710の端部に締結され、複数の前記カバー部310と連通するように接続され、前記冷却媒体供給部510、520と接続されるようになってもよい。
【0053】
すなわち、前記冷却媒体供給配管320は、内部に冷却媒体が流動するように中空を有し、前記冷却媒体供給部510、520から冷却媒体が供給されると、これを分岐して前記カバー部310のそれぞれに供給するように構成される。
【0054】
このような構成により、前記駆動部700が動作して前記ロッド710が移動すると、それに対応して前記冷却媒体供給配管320と前記カバー部310が共に上下方向に移動し、前記対象体10が前記カバー部310の内部に配置された状態で前記冷却媒体供給部510、520に冷却媒体が供給されると、前記冷却媒体供給配管320を介して複数の前記カバー部310のそれぞれに冷却媒体が供給されることで、前記対象体10を個別に冷却することができる。
【0055】
また、本発明では、前記カバー部310に供給され、前記対象体10を冷却する冷却媒体としてガス又はオイルを用いることができる。
【0056】
一例として、冷却媒体としてガスを用いる場合、冷却媒体供給部510は、冷却媒体が貯蔵された冷却媒体貯蔵タンク511と、前記冷却媒体貯蔵タンク511と前記チャンバ200とを接続する冷却媒体供給ライン512と、一側端が前記チャンバ200に締結されて前記冷却媒体供給ライン512と接続され、他側端が前記冷却媒体供給配管320と接続され、前記冷却媒体供給配管320の移動に対応して長さが可変するフレキシブル供給配管513と、を含んでなってもよい。
【0057】
また、前記冷却媒体供給部510は、前記チャンバ200に供給された冷却媒体を回収するために、前記チャンバ200に供給された冷却媒体が回収される冷却媒体回収タンク514と、前記冷却媒体回収タンク514に貯蔵された冷却媒体を圧縮して前記冷却媒体貯蔵タンク511に供給する冷却媒体圧縮機515と、を含んでなってもよい。また、各構成間を接続して冷却媒体が流動する配管には、配管を開閉するバルブが備えられてもよい。
【0058】
このような構成により、前記カバー部310を介して前記対象体10を個別に冷却する場合は、図7に示すように、前記冷却媒体貯蔵タンク511に貯蔵された冷却媒体が、前記冷却媒体供給ライン512を介して前記チャンバ200の内部に備えられた前記フレキシブル供給配管513に供給されると、前記冷却媒体供給配管320を介して前記カバー部310に冷却媒体が供給され、前記対象体10を冷却する。また、前記対象体10を冷却した冷却媒体は、前記冷却媒体回収タンク514に回収され、前記冷却媒体圧縮機515により圧縮された後に前記冷却媒体貯蔵タンク511に供給して回収することができる。
【0059】
また、前記チャンバ200は、内部に充填された冷却媒体を外部に排出するベント部230をさらに含んでなってもよい。
【0060】
前記ベント部230は、前記チャンバ200の内部に過圧の冷却媒体が流入することを防止するために、一定圧力以上になると開放され、前記チャンバ200の内部の圧力を下げるように動作することができる。
【0061】
或いは、前記ベント部230は、前記チャンバ200への冷却媒体の供給初期に開放され、前記チャンバ200の内部が冷却媒体に全て置換されるまで開放されるようになってもよい。これによって、循環する冷却媒体に、冷却媒体以外のガス又は異物が混合することを防止することができる。
【0062】
また、本発明の熱処理用冷却装置100は、冷却媒体がガスの場合に、前記チャンバ200の内部に冷却媒体を噴射する共通冷却部400をさらに含んでなってもよい。
【0063】
すなわち、前記共通冷却部400は、前記対象体10のそれぞれに冷却媒体を直接噴射する構成でなく、前記チャンバ200の内部に冷却媒体を噴射して前記チャンバ200の内部に備えられた対象体10を全体的に冷却するように構成されてもよい。
【0064】
このため、前記共通冷却部400は、前記チャンバ200の内部に備えられ、前記チャンバ200の内部に冷却媒体を噴射する共通冷却媒体噴射ノズル410と、前記冷却媒体貯蔵タンク511と前記共通冷却媒体噴射ノズル410とを接続する共通冷却媒体供給ライン420と、を含んでなってもよい。
【0065】
このような構成により、前記チャンバ200の内部に冷却媒体を噴射する場合は、図8に示すように、前記冷却媒体供給ライン512は閉鎖し、前記共通冷却媒体供給ライン420を介して前記冷却媒体貯蔵タンク511に貯蔵された冷却媒体を、前記チャンバ200の内部に備えられた前記共通冷却媒体噴射ノズル410に供給すると、前記共通冷却媒体噴射ノズル410を介して前記チャンバ200の内部に冷却媒体が噴射され、前記対象体10を共通に冷却する。また、前記対象体10を冷却した冷却媒体は、前記冷却媒体回収タンク514に回収され、前記冷却媒体圧縮機515により圧縮された後に前記冷却媒体貯蔵タンク511に供給して回収することができる。
【0066】
また、前記冷却媒体供給配管320は、前記駆動部700のロッド710から分離可能に構成されてもよい。すなわち、前記共通冷却部400を介して前記チャンバ200の内部に冷却媒体を噴射して冷却する場合は、前記冷却媒体供給配管320を前記ロッド710から分離し、前記冷却媒体供給配管320と前記カバー部310とによって干渉されないようにした後、冷却媒体を前記チャンバ200の内部に噴射するようになってもよい。
【0067】
他の例として、冷却媒体としてオイルを用いる場合、図9を参照すると、冷却媒体供給部520は、冷却媒体が貯蔵された冷却媒体貯蔵タンク521と、前記冷却媒体貯蔵タンク521と前記チャンバ200とを接続する冷却媒体供給ライン522と、前記冷却媒体貯蔵タンク521に貯蔵された冷却媒体を前記冷却媒体供給配管320に供給する冷却媒体供給ポンプ524と、一側端が前記チャンバ200に締結されて前記冷却媒体供給ライン522と接続され、他側端が前記冷却媒体供給配管320と接続され、前記冷却媒体供給配管320の移動に対応して長さが可変するフレキシブル供給配管523と、を含んでなってもよい。
【0068】
また、前記冷却媒体供給部520は、前記チャンバ200に供給された冷却媒体を回収するために、前記チャンバ200に供給された冷却媒体が回収される冷却媒体回収タンク525と、前記冷却媒体回収タンク525に貯蔵された冷却媒体を前記冷却媒体貯蔵タンク521に供給する冷却媒体戻りポンプ526と、前記冷却媒体回収タンク525に貯蔵されたオイルを冷却する冷却媒体冷却部527と、を含んでなってもよい。ここで、前記冷却媒体冷却部527は、チラーとして備えられてもよい。
【0069】
このような構成により、冷却媒体としてオイルを用いる場合は、図9に示すように、前記冷却媒体供給ポンプ524が動作することによって、前記冷却媒体貯蔵タンク511に貯蔵された冷却媒体が前記冷却媒体供給ライン512を介して前記チャンバ200の内部に備えられた前記フレキシブル供給配管513に供給されると、前記冷却媒体供給配管320を介して前記カバー部310に冷却媒体が供給され、前記対象体10を冷却する。また、前記対象体10を冷却した冷却媒体は、前記冷却媒体回収タンク514に回収され、前記冷却媒体戻りポンプ526が動作すると、前記冷却媒体貯蔵タンク511に回収することができる。また、前記冷却媒体貯蔵タンク511に回収された冷却媒体は加熱された状態であるため、これを前記冷却媒体冷却部527を通じて、前記冷却媒体貯蔵タンク511に貯蔵された冷却媒体を冷却することができる。
【0070】
以上、本発明を具体的な実施形態を通じて詳しく説明したが、これは本発明を具体的に説明するためのものであり、本発明はこれに限定されず、本発明は、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を有する者によってその変形や改良が可能であることは明らかである。
【0071】
本発明の単なる変更又は変更は全て本発明の範囲に属するものであり、本発明の特定の保護範囲は添付の特許請求の範囲によって明らかになるであろう。
【符号の説明】
【0072】
10:対象体 20:治具トレイ
21:支持ピン貫通孔 40:移送治具
100:熱処理用冷却装置 200:チャンバ
210:対象体支持部 211:支持ピン
300:個別冷却部 310:カバー部
311:カバー部胴体 312:ノズル部
313:加圧ピン 320:冷却媒体供給配管
400:共通冷却部 410:共通冷却媒体噴射ノズル
420:共通冷却媒体供給ライン 510:冷却媒体供給部
511:冷却媒体貯蔵タンク 512:冷却媒体供給ライン
513:フレキシブル供給配管 514:冷却媒体回収タンク
515:冷却媒体圧縮機 520:冷却媒体供給部
521:冷却媒体貯蔵タンク 522:冷却媒体供給ライン
523:フレキシブル供給配管 524:冷却媒体供給ポンプ
525:冷却媒体回収タンク 526:冷却媒体戻りポンプ
527:冷却媒体冷却部 700:駆動部
710:ロッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10