(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095999
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】真空ポンプ及び真空ポンプを運転する方法
(51)【国際特許分類】
F04D 19/04 20060101AFI20240704BHJP
C04B 35/569 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
F04D19/04 F
C04B35/569
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023204539
(22)【出願日】2023-12-04
(31)【優先権主張番号】22217289
(32)【優先日】2022-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】520415627
【氏名又は名称】プファイファー・ヴァキューム・テクノロジー・アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】ニクラス・ヴィルト
【テーマコード(参考)】
3H131
【Fターム(参考)】
3H131AA02
3H131BA01
3H131BA08
3H131CA03
(57)【要約】
【課題】ハウジングとハウジング内に配置された少なくとも1つのポンプ段とを備え、ポンプ段は、ステータと、運転時にステータに対して相対的に回転軸線を中心に回転するとともにステータとポンプ作用を奏するように相互作用するロータとを有する、真空ポンプ、特にターボ分子ポンプの性能を高める。
【解決手段】ロータは、セラミックス材料から製作された少なくとも1つのロータ部品を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと前記ハウジング内に配置された少なくとも1つのポンプ段とを備え、
前記ポンプ段は、ステータと、運転時に前記ステータに対して相対的に回転軸線を中心に回転するとともに前記ステータとポンプ作用を奏するように相互作用するロータとを有する、真空ポンプ、特にターボ分子ポンプにおいて、
前記ロータは、セラミックス材料から製作された少なくとも1つのロータ部品を有する、真空ポンプ。
【請求項2】
前記セラミックス材料は、非酸化物セラミックス、特に窒化物、炭化物、ホウ化物又はこれらのうちの2種以上の混合物である、請求項1に記載の真空ポンプ。
【請求項3】
前記セラミックス材料は、窒化アルミニウム、炭化ホウ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素又はこれらのうちの2種以上の混合物、特に窒化アルミニウム、炭化ホウ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素又はこれらのうちの2種以上の混合物である、請求項1又は2に記載の真空ポンプ。
【請求項4】
前記セラミックス材料は、炭化ケイ素である、先行請求項のいずれか一項に記載の真空ポンプ。
【請求項5】
前記セラミックス材料は、-50℃から+400℃までの温度範囲で、10・10ー6Kー1以下、好適には7.5・10-6K-1以下、より好適には5・10-6K-1以下の長さの膨張係数αを有する、先行請求項のいずれか一項に記載の真空ポンプ。
【請求項6】
前記真空ポンプは、ターボ分子ポンプであり、前記ポンプ段は、ターボポンプ段及び/又はホルベック段である、先行請求項のいずれか一項に記載の真空ポンプ。
【請求項7】
少なくとも1つの前記ロータ部品は、複数のロータブレードを有する動翼であり、特に前記ロータの全ての動翼は、セラミックス材料から製作されている、先行請求項のいずれか一項に記載の真空ポンプ。
【請求項8】
少なくとも1つの前記ロータ部品は、複数のロータブレードを有する複数の動翼であり、前記ロータの全ての動翼は、セラミックス材料から製作されていて、前記動翼は、個別の動翼又は動翼セットとして構成されていて、ロータシャフトは、金属材料又はセラミックス材料から形成されていて、前記金属材料は、特にアルミニウム又はアルミニウム合金である、先行請求項のいずれか一項に記載の真空ポンプ。
【請求項9】
前記ロータは、金属材料からなるロータシャフトに個別の動翼を有する、又は金属材料からなるロータシャフトに動翼セットを有する、又はセラミックス材料からなるロータシャフトに個別の動翼を有する、又はセラミックス材料からなるロータシャフトに動翼セットを有する、又は一体のセラミックスから形成された動翼及びロータシャフトを有する、請求項8に記載の真空ポンプ。
【請求項10】
前記ステータは、少なくとも1つのステータ要素を有し、組立て状態において真空ポンプの停止状態で、少なくとも1つのロータ部品と前記ロータ部品に半径方向で最も近く位置するステータ部品との間の、半径方向に延在する間隙は、ロータ直径が80mm未満のときには0.75mm未満、好適には0.60mm未満の幅を有し、ロータ直径が80mmから150mmまでのときには0.90mm未満、好適には0.70mm未満の幅を有し、ロータ直径が150mmを超えるときには1.50mm未満、好適には1.20mm未満の幅を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の真空ポンプ。
【請求項11】
少なくとも1つの前記ロータ部品は、複数のロータブレードを有するターボポンプ段の動翼であり、前記ロータ部品に半径方向で最も近く位置するステータ部品は、前記ターボポンプ段のスペーサリングである、請求項10に記載の真空ポンプ。
【請求項12】
少なくとも1つの前記ロータ部品は、ホルベック段のロータスリーブであり、前記ロータ部品に半径方向で最も近く位置するステータ部品は、ホルベックステータである、請求項10又は11に記載の真空ポンプ。
【請求項13】
ハウジングと前記ハウジング内に配置された少なくとも1つのポンプ段とを備え、前記ポンプ段は、ステータと、運転時に前記ステータに対して相対的に回転軸線を中心に回転するとともに前記ステータとポンプ作用を奏するように相互作用するロータとを有する、真空ポンプ、特に請求項1から12のいずれか一項に記載の真空ポンプを運転する方法において、
前記ロータの温度は、運転中、90.0℃よりも高い、好適には100℃よりも高い、より好適には110℃よりも高い、その上より好適には120℃よりも高い、方法。
【請求項14】
ロータを、
前記ロータが200mmを超える外径を有するときには少なくとも45000回転/分、好適には少なくとも50000回転/分の回転速度で運転する、
前記ロータが150mmを超えて200mmまでの外径を有するときには少なくとも60000回転/分、好適には少なくとも70000回転/分の回転速度で運転する、
前記ロータが80mmから150mmまでの外径を有するときには少なくとも80000回転/分、好適には少なくとも90000回転/分の回転速度で運転する、又は
前記ロータが80mm未満の外径を有するときには少なくとも100000回転/分、好適には120000回転/分の回転速度で運転する、
請求項1から12のいずれか一項に記載の真空ポンプを運転する方法。
【請求項15】
前記ロータの温度は、運転中、90.0℃よりも高い、好適には100℃よりも高い、より好適には110℃よりも高い、さらにより好適には120℃よりも高い、請求項14に記載の真空ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングとハウジング内に配置された少なくとも1つのポンプ段とを備え、ポンプ段は、ステータと、運転時にステータに対して相対的に回転軸線を中心に回転するとともにステータとポンプ作用を奏するように相互作用するロータとを有する、真空ポンプ、特にターボ分子ポンプに関する。さらに、本発明は、真空ポンプを運転する方法に関する。
【0002】
圧送される気体の種類及び量に応じて、真空ポンプ、特にターボ分子ポンプ(TMP)の運転中にロータの加熱が生じる。したがって、真空ポンプのロータ部品、特に動翼は、運転時に強い負荷を掛けられるだけでなく、高温にも曝される。多くの真空用途では、大量の気体の圧送によって、真空ポンプ、特にターボ分子ポンプは、その限界で運転される。というのも、ロータが、ロータを安全に持続的な負荷に曝すことができる最高温度に達するからである。ロータの加熱は、ロータの耐用期間に不都合な影響を及ぼすとともに真空ポンプによって圧送可能な最大の気体量を制限し得る。温度が高すぎると、材料が流動し始め、これにより、アンバランスが生じる又は最悪の場合にはステータ部品との接触が生じる。
【0003】
したがって、金属材料、例えばアルミニウムから製作された従来のロータ部品、特に動翼では、ロータ温度は、通常90℃に制限されている。ロータの加熱は、気体摩擦によって行われ、その際、摩擦力は、周速の2乗に比例する。したがって、80mm未満のロータ直径を有する小型のターボ分子ポンプでは、回転速度は、最大90000rpm(回転/分)に制限され、80mmから150mmまでのロータ直径を有する中型のポンプでは、最大60000回転/分から66000回転/分に制限され、150mmを超えて200mmまでのロータ直径を有する大型のポンプでは、最大50000回転/分に制限され、200mmを超えるロータ直径を有する超大型のポンプでは、最大30000回転/分から38000回転/分に制限される。
【0004】
安全に関連するこれらの側面とは別に、ロータ温度を制限すると、比較的低温のポンプで気体が凝縮し、これにより、摩耗の増加を招いてしまうおそれがある。この摩耗を低減するには、真空ポンプ内の温度を上昇させ、これにより真空ポンプ内で凝縮する気体を減らすことが望ましい。しかし、このことは、従来の真空ポンプでは、高温では、つまり90℃を超えるとロータ部品の金属材料が流動することに基づいて不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の基礎となる課題は、真空ポンプ、特にターボ分子ポンプの性能を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題の解決手段は、請求項1に記載の真空ポンプによって得られる。
【0007】
ハウジングとハウジング内に配置された少なくとも1つのポンプ段とを備えるそのような真空ポンプ、特にターボ分子ポンプは、ステータと、運転時にステータに対して相対的に回転軸線を中心に回転するとともにステータとポンプ作用を奏するように相互作用するロータとを有し、ロータは、セラミックス材料から製作された少なくとも1つのロータ部品を有する。
【0008】
「セラミックス」という用語は、総じて、結晶構造又は少なくとも部分結晶構造を有する非金属無機材料を意味する。原則として、非金属無機材料は、室温で原料から成形され、高温での焼結プロセスによってその典型的な材料特性を得る。
【0009】
セラミックス材料には、アルミニウムなどの金属材料に対して複数の利点を有する。一方では、これらの物質は、原則として約1500℃までの適用温度を許容する、極めて高い融点とこれに応じて高い耐熱性とを有し、他方では、その物質の長さの熱膨張係数は低く、典型的には10・10-6K-1以下の範囲にあり、これに対してアルミニウムの対応する値は、23・10-6K-1である。
【0010】
したがって、ロータの部分がセラミックスから形成されると、ポンプを、従来の金属製のロータ部品で可能であるよりも高いロータ温度で、すなわちより高いロータ回転速度で運転することが可能である。
【0011】
同時に、セラミックスのロータ材料の、熱膨張傾向が極めて小さいこと、そして通常の金属材料と比較して弾性係数が著しく高いこと(例えば炭化ケイ素について380GPaから430GPa、これに対してアルミニウムについては僅か72GPa)に基づいて、前述の衝突のおそれがあるので金属製のロータ部品のときに設けなければならない間隙よりも小さな、ロータとステータとの間の間隔を実現できる。このことは有利である。というのも、間隙の幅(例えば動翼の半径方向外側の端部とステータとの間又は静翼の半径方向内側の端部とロータとの間)がより小さいとき、圧送方向とは逆向きの、真空ポンプの吸込力及び圧縮を低下させる気体の所望されない逆流傾向がより小さくなるからである。
【0012】
アルミニウム又はアルミニウム合金などの一般の金属材料に対するセラミックス材料の別の利点は、例えば反応性気体に対する耐酸化性及び耐食性がより高いことである。
【0013】
ロータ又はロータ部品を一次成形するとき、好適には、焼結法が用いられる、すなわち本発明に係る真空ポンプに用いられるロータ部品は、成形プロセス及び焼結プロセスの適用によって粉状又は粒状の材料から製造される。この場合、原料として用いられる粉体又は粒体は、先ずは型内で圧力を加えて成形体へと圧縮される。この未焼結のプレス素材は、まだ十分な強度を有しない。したがって、真空技術的に使用可能なロータ部品となるには、これに続く焼結が必要である。焼結は、不活性気体(例えば窒素、水素)の下で又は比較的高い温度において真空下で熱処理することにあり、主に、場合によっては所定量の液相が存在する固体反応であり、そして熱的に能動的な材料輸送を引き起こす。焼結の結果、個々の材料粒子が結合して高強度の連続する焼結成形品が形成される。
【0014】
焼結プロセスは、有利な機械的特性を得るために、可能な限り細孔が少ない組織を生じさせるはずである。このことを達成するには、本発明で使用されるロータ部品を製造する際に、好適には圧縮を促進する付加的な措置が講じられる。そのために適した措置は、例えば真空下での焼結、焼結補助剤の使用、極微粒子状の原料(5μm未満の粒子サイズ)の使用、液相焼結又はホットプレス法、例えば熱間等方圧加圧法(ホットアイソスタティックプレス:HIP)である。プレスプロセス及び焼結プロセスは、例えば付加的な後圧縮を達成するために、必要な場合には繰り返してもよい。セラミックス材料が炭化ケイ素又は窒化ケイ素であるとき、セラミックス材料は、好適には反応焼結によって圧縮することもでき、その際、実際のセラミックス物質は、焼結の間にようやく化学反応によって生成される、要するに例えばCO雰囲気中でプレスされたSiC-Si混合物、Si蒸気雰囲気中でプレスされたSiC-C混合物又はN2若しくはNH3雰囲気中でSiプレス部分を焼結することによって生成される。反応焼結の主な利点は、僅かな焼結収縮しか起こらないので、比較的寸法精度の高い製品を製造できることにある。
【0015】
セラミックス材料は、3つの主な群、すなわちケイ酸塩セラミックス、酸化物セラミックス及び非酸化物セラミックスに分けることができる。ケイ酸塩セラミックス製品は、比較的安価であるが、しかし機械的な特性において酸化物セラミックス及び特に非酸化物セラミックスに劣る。したがって、本発明によるポンプに使用されるロータ部品などの機械的及び/又は熱的に負荷が掛けられる部品の製造には、有利には、酸化物セラミックス材料又は非酸化物セラミックス材料が使用される。というのも、これらの材料は、より高い硬さ、強度、耐熱性及び温度変化耐性を示すからである。
【0016】
したがって、セラミックス材料は、好適には酸化物セラミックス又は非酸化物セラミックスである。適切な酸化物セラミックス材料の例は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、又は例えばチタン酸アルミニウム若しくは酸化ジルコニウムで強化された酸化アルミニウム(ZTA、ジルコニア強化アルミナ)などの前述の酸化物の1種以上の混合物である。酸化アルミニウムが特に適している。というのも、酸化アルミニウムは比較的高い温度耐性を有する一方、その密度及び長さの熱膨張係数が比較的低いからである。格別に適切な酸化物セラミックスは、いわゆる「サイアロン」、すなわちケイ素・酸化アルミニウム・窒化物であり、これは、Al2O3と場合によっては別の金属酸化物との的確な添加によって窒化ケイ素から得られる。
【0017】
より好適には、セラミックス材料は、非酸化物セラミックスである。非酸化物セラミックス材料には、例えばホウ化物、ケイ化物、炭化物及び窒化物が含まれる。適切な非酸化物セラミックスは、例えば、アルミニウム、ハフニウム、モリブデン、タンタル、チタン、タングステン、ジルコニウム、ホウ素(炭化物、窒化物及びケイ化物の場合)又はケイ素(炭化物、窒化物及びホウ化物の場合)の炭化物、窒化物、ケイ化物又はホウ化物である。主にイオン結合する酸化物セラミックス材料とは異なり、非酸化物セラミックス材料では、共有結合特性が支配的である。したがって、非酸化物セラミックスは、高い機械的安定性と熱的安定性とを有する。前述の理由から、非酸化物セラミックスの、酸化物セラミックスに対して一層より低い長さの膨張係数が、特に有利に働く。適切な非酸化物セラミックスの例は、他のセラミックス材料と比べて特に破壊感度がより低いことを特徴とする炭化ケイ素及び窒化ケイ素である。
【0018】
その上より好ましくは、セラミックス材料は、ホウ化物、窒化物、炭化物、又はこれらのうちの2種以上の混合物である非酸化物セラミックスである。適切なホウ化物、窒化物又は炭化物の例は、炭化ホウ素、窒化ホウ素、ホウ化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、炭化チタン、窒化チタン、炭化タングステン、ホウ化ジルコニウム及びこれらのうちの2種以上の混合物、特に炭化ホウ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、炭化チタン及びこれらのうちの2種以上の混合物である。特に好適には、セラミックス材料は、窒化アルミニウム、炭化ホウ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、又はこれらのうちの2種以上の混合物である。これらの材料は、アルミニウムの密度と同程度の範囲(約3g/cm3)である低い密度と同時に特に低い長さの膨張係数を特徴としている。したがって、後者は有利である。というのも、セラミックスをアルミニウムに代えて使用するとすることが必ずしも真空ポンプの重量化につながるわけではないからである。
【0019】
格別に好適には、セラミックス材料は、窒化アルミニウム、炭化ホウ素、窒化ホウ素又は炭化ケイ素である。これらの材料は、特に高い熱伝導率を有し、このことは、材料の温度変化耐性を改善するとともにロータから例えばステータ及びハウジングへの放熱を容易にする。
【0020】
その上さらに好適には、セラミックス材料は、炭化ホウ素、窒化ホウ素又は炭化ケイ素である。これらの材料は、特に低い密度と相俟って特に高い温度耐性を有する。
【0021】
最も好適には、セラミックス材料は、炭化ケイ素である。この材料は、比較的安価であって、極めて高い弾性係数を有するだけでなく、反応性物質に対して、そして温度が上昇しても特に高い化学的耐性も有する。この場合、例えば、このことは、例えば被覆プロセス又は半導体技術で使用される場合に真空ポンプが腐食性の媒体に曝されていると有利であり得る。
【0022】
セラミックス材料が炭化ケイ素であるとき、炭化ケイ素は、好適には「密な」、すなわちほぼ非多孔質の材料である。適切で密な炭化ケイ素材料の例は、液相焼結炭化ケイ素(LPSIC)、無圧焼結炭化ケイ素(SSIC)、ホットプレス炭化ケイ素(HPSIC)、ホットアイソスタティックプレス炭化ケイ素(HIPSIC)、反応結合ケイ素浸透炭化ケイ素(SISIC)である。
【0023】
上述のように、逆流を制限するために、ロータとステータとの間の間隙幅を最適化でき、その際、運転温度へと加温するときにロータ材料の強い膨張を考慮しなくてよいと有利である。したがって、セラミックス材料が、-50℃から+400℃までの温度範囲で10・10-6K-1以下、より好適には7.5・10-6K-1以下、その上より好適には5・10-6K-1以下、最も好適には4・10-6K-1以下の長さの熱膨張係数αを有すると好適である。
【0024】
原則として、本発明は、有利には、ステータに対して相対的に回転可能なロータを有する全ての真空ポンプ、すなわち例えばサイドチャネル真空ポンプ、スクリュ真空ポンプ又はターボ分子ポンプに使用してよい。特に有利には、ターボ分子ポンプで一般的であるように、ロータが、高い回転速度で運転されるとき、セラミックスのロータ材料の前述の好都合の特性が作用する。したがって、好適には、真空ポンプは、ターボ分子ポンプであり、ポンプ段は、ターボ分子ポンプ段及び/又はホルベックポンプ段である。したがって、セラミックス材料から製作されたロータ部品は、ターボ分子ポンプの、負荷が掛けられたターボロータの少なくとも一部及び/又はホルベックロータスリーブの少なくとも一部を形成できる。
【0025】
したがって、ロータのブレード(又はホルベックロータスリーブ)は、様々なステータ部品(例えばターボポンプ段の静翼若しくはスペーサリング又はホルベックステータのウェブ先端)に対して空間的に僅かな距離を置いて位置し、加温によって材料が熱膨張するとき、そこに最大の衝突のおそれがある。同時に、ブレードは、ロータの、気体摩擦に基づいて特に強く加温する部分をなす。したがって、好適には、少なくとも1つのロータ部品は、複数のロータブレードを有する動翼である。基本的に、ロータの個別の動翼だけにセラミックスからなるロータブレードが装着される一方、同一のロータに位置する別の動翼のロータブレードは、別の、例えば金属材料から製作されてていることが考えられる。しかし、ロータの軸方向の膨張に沿って、可能な限り均一な熱膨張特性を実現するために、好適には、ロータの全てのロータブレードが、セラミックス材料から製作されている。
【0026】
動翼は、個別の翼の形態で又は複数の動翼のセットとしてロータシャフトに取り付けられてよい。
【0027】
ロータブレードとロータシャフトとは、同じ材料又は異なる材料から形成されてよい。この場合、ロータシャフトは、セラミックス材料又は非セラミックス材料、特に金属材料から製造してよい。ロータシャフトとロータシャフトに取り付けられた全ての動翼とが同じセラミックス材料から形成されていると、運転温度で、異なる熱膨張係数に基づいてロータに応力が生じることを回避できるという利点が得られる。さらに、ロータシャフトとロータシャフトに位置する全ての動翼とが同じセラミックス材料から一体的に形成されていると、ロータブレードとロータシャフトとの間の可能な限り固い結合を得ることができるという利点が生じる。
【0028】
したがって、好適には、少なくとも1つのロータ部品は、複数のロータブレードを有する動翼であり、全ての動翼は、セラミックス材料から作製されていて、ロータシャフトは、金属材料又はセラミックス材料から形成されていて、この場合、ロータは、特に好適な第1の形態では、金属材料からなるロータシャフトとセラミックスからなる個別の動翼とを有する、又は特に好適な第2の形態では、金属材料からなるロータシャフトとセラミックスからなる動翼セットとを有する、又は特に好適な第3の形態では、セラミックスからなるロータシャフトとセラミックスからなる個別の動翼とを有する、又は好適な第4の形態では、セラミックスからなるロータシャフトとセラミックスからなる動翼セットとを有する、又は好適な第5の形態では、一体のセラミックから形成された動翼とロータシャフトとを有する。
【0029】
ロータシャフトが金属材料から形成されていると、この場合、そのために使用される金属材料は、好適にはアルミニウム又はアルミニウム合金、特に好適にはアルミニウムである。
【0030】
前述のように、アルミニウムなどの従来の金属材料と比べて比較的小さな熱膨張係数と、セラミックス材料の比較的高い弾性係数とによって、ロータ部品とステータ部品との間の間隙が狭く設定されることで、ポンピング方向とは逆向きの逆流を回避でき、その際、これにより、従来の金属のロータと比較して衝突のおそれが増えることはない。
【0031】
したがって、組立て状態では、真空ポンプ停止状態で、小型のポンプの場合、少なくとも1つのロータ部品とロータ部品に半径方向で最も近く位置するステータ部品との間の半径方向に延在する間隙は、好適には0.75mm未満、より好適には0.7mm未満、さらにより好適には0.6mm未満、特に好適には0.5mm未満、格別に好適には0.4mm未満、最も好適には0.35mm未満、中型のポンプの場合、好適には0.90mm未満、より好適には0.8mm未満、さらにより好適には0.7mm未満、特に好適には0.6mm未満、格別に好適には0.5mm未満、最も好適には0.45mm未満、そして大型及び超大型のポンプの場合、好適には1.5mm未満、より好適には1.35mm未満、さらにより好適には1.2mm未満、特に好適には1.0mm未満、格別に好適には0.9mm未満、最も好適には0.8mm未満の幅を有する。特に、本明細書の関連において、少なくとも1つのロータ部品は、複数のロータブレードを有するターボポンプ段の動翼であり、ロータ部品に半径方向で最も近く位置するステータ部品は、ターボ分子ポンプ段のスペーサリングである。
【0032】
「小型のポンプ」とは、本開示では、80mm未満のロータ直径を有する真空ポンプと解され、「中型ポンプ」とは、80mmから150mmまでのロータ直径を有する真空ポンプと解され、「大型のポンプ」とは、150mmを超えて200mmまでのロータ直径を有する真空ポンプと解され、「超大型のポンプ」とは、200mmを超えるロータ直径を有する真空ポンプと解される。前述のサイズは、それぞれ外径に関する。ターボロータの場合、前述のサイズは、動翼の外径に関する。
【0033】
「停止状態で」という用語は、本開示では、ロータが停止していて(もはや)回転が行われないだけではなく、ポンプが周囲温度と比較して(もはや)高められた温度を有しないことを意味するべきである。つまり、「ポンプの停止状態で」という用語は、例えば、ロータが直前に停止していて、運転温度を依然として有する状態を意味し得ない。
【0034】
ポンプのサイズ又はロータの直径にかかわらず、組立て状態において、真空ポンプの停止状態で、少なくとも1つのロータ部品とロータ部品に半径方向で最も近く位置するステータ部品との間の、半径方向に延在する間隙は、ロータが従来の形でアルミニウムから製作されている他は同一構造の真空ポンプにおける対応する間隙よりも、好適には10%、より好適には20%、その上より好適には25%、特に好適には30%、格別に好適には40%、最も好適には50%小さい幅を有する。
【0035】
さらに、本発明の基礎をなす課題は、本発明に係る真空ポンプを運転する方法である請求項13に記載の方法によって解決される。この場合、本発明によれば、ロータ温度、特にロータブレードの温度は、運転時、90.0℃よりも高い、好適には100℃よりも高い、より好適には110℃よりも高い、その上より好適には120℃よりも高い、特に好適には150℃よりも高い、格別に好適には175℃よりも高い、さらに著しく好適には200℃よりも高い、最も好適には250℃よりも高い。セラミックス材料の高い耐熱性と比較的僅かな熱膨張とに基づいて、真空ポンプ、特にターボ分子ポンプは、例えばアルミニウム合金などの場合に当てはまるような従来の金属材料の場合よりも高い温度で運転できる。これにより、真空ポンプ内の気体の凝縮を少なくして、摩耗を減らすことができる。
【0036】
ロータ温度、特にロータブレードの温度は、さらに、セラミックス材料の高い耐熱性と僅かな熱膨張とに基づいて、前述した好適な運転温度下限を上回ってもよく、例えば250℃よりも高くてよい。原則として、この範囲は、セラミックス材料の最大温度耐性によって制限されているが、ロータの付近に位置し、熱伝導又は熱放射によってロータから熱を吸収できる例えば金属の他のポンプ部品の(通常はかなりより低い)温度耐性によっても制限されている。したがって、運転時、ロータ温度、特にロータブレードの温度は、1000℃未満、好適には750℃未満、より好適には600℃未満、その上より好適には500℃未満、特に好適には450℃未満、格別に好適には400℃未満、その上著しく好適には350℃未満、最も好適には300℃未満の範囲にある。特に好適には、運転時、ロータブレードの温度は、110℃と300℃との間、特に120℃と300℃との間の範囲にある。
【0037】
本発明による小型の真空ポンプと大型の真空ポンプとの両方は、好適には、従来の金属製のロータ部品を有するポンプの場合に可能であるよりも高い最大回転速度で運転される。
【0038】
したがって、ロータが200mmを超える外径を有する超大型の真空ポンプでは、ロータは、好適には少なくとも40000回転/分、より好適には少なくとも45000回転/分、その上より好適には少なくとも50000回転/分、特に好適には少なくとも55000回転/分、格別に好適には少なくとも60000回転/分、その上著しく好適には少なくとも65000回転/分、最も好適には少なくとも70000回転/分の最大回転速度で運転される。
【0039】
ロータが150mmを超えて200mmまでの外径を有する大型の真空ポンプでは、ロータは、好適には少なくとも55000回転/分、より好適には少なくとも60000回転/分、その上より好適には少なくとも65000回転/分、特に好適には少なくとも70000回転/分、格別に好適には少なくとも75000回転/分、その上著しく好適には少なくとも80000回転/分、最も好適には少なくとも85000回転/分の最大回転速度で運転される。
【0040】
ロータが80mmから150mmの外径を有する中型の真空ポンプでは、ロータは、好適には少なくとも70000回転/分、より好適には少なくとも80000回転/分、その上より好適には少なくとも90000回転/分、特に好適には少なくとも95000回転/分、格別に好適には少なくとも100000回転/分、その上著しく好適には少なくとも105000回転/分、最も好適には少なくとも110000回転/分の最大回転速度で運転される。
【0041】
ロータが80mm未満の外径を有する小型の真空ポンプでは、ロータは、好適には少なくとも95000回転/分、より好適には少なくとも100000回転/分、その上より好適には少なくとも110000回転/分、特に好適には少なくとも120000回転/分、格別に好適には少なくとも130000回転/分、その上著しく好適には少なくとも140000回転/分、最も好適には少なくとも150000回転/分の最大回転速度で運転される。
【0042】
ポンプのサイズ及びロータの直径にかかわらず、真空ポンプの運転時、ロータの最大回転速度は、好適には10%、より好適には20%、その上より好適には30%、特に40%、格別に好適には50%、その上より著しく好適には60%、最も好適には70%、ロータが従来の形でアルミニウムから製作されている他は同一構造の真空ポンプの対応する最大回転速度よりも高い。
【0043】
より高い回転速度は、ポンプの排気速度と圧縮比との両方を向上させる。これに伴うロータの摩擦力の増加及びより強い加温は、セラミックス材料の耐熱性の向上と熱膨張係数の低下とに基づいて不都合に作用しないどころか、運転温度の上昇によってポンプ内の気体の凝縮が減少するという前述の利点をもたらす。
【0044】
本発明の有利な形態及び側面は、従属請求項、以下の説明、図面及び例に述べられている。当然のこととして、記載の有利な形態及び側面は、これを非とする技術的な理由が述べられていない限り、任意に互いに組合せ可能である。
【0045】
以下、添付の図面を参照して、有利な実施形態に基づいて本発明を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図3】
図2に示された切断線A-Aに沿ったターボ分子ポンプを断面図で示す。
【
図4】
図2に示された切断線B-Bに沿ったターボ分子ポンプを断面図で示す。
【
図5】
図2に示された切断線C-Cに沿ったターボ分子ポンプを断面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1に示されたターボ分子ポンプ111は、吸気口フランジ113によって取り囲まれたポンプ吸気口115を有する。ポンプ吸気口115には、それ自体公知のように、図示されていないレシピエントを接続してよい。レシピエントから到来する気体は、ポンプ吸気口115を介してレシピエントから吸い込まれ、そしてポンプを通ってポンプ排気口117へと圧送できる。ポンプ排気口117には、例えばロータリベーンポンプ等の補助真空ポンプを接続してよい。
【0048】
吸気口フランジ113は、
図1による真空ポンプの向きでは、真空ポンプ111のハウジング119の上端部を形成する。ハウジング119は、下部分121を有する。下部分121には、側方にエレクトロニクスハウジング123が配置されている。エレクトロニクスハウジング123内には、例えば真空ポンプ内に配置された電動モータ125(
図3も参照)を作動させるための、真空ポンプ111の電気的及び/又は電子的な構成要素が収容されている。エレクトロニクスハウジング123には、アクセサリに対する複数の接続部127が設けられている。さらに、データインタフェース129(例えばRS485規格に準拠するもの)及び電流供給接続部131が、エレクトロニクスハウジング123に配置されている。
【0049】
取り付けられたこの種のエレクトロニクスハウジングを有さずに、外部の駆動エレクトロニクスに接続されるターボ分子ポンプも存在する。
【0050】
ターボ分子ポンプ111のハウジング119には、通気用吸気口133が、特に通気弁の形態で設けられている。通気用吸気口133を介して、真空ポンプ111を通気してよい。下部分121の領域には、その上さらに、シールガス接続部135(パージガス接続部とも称される)が配置されている。シールガス接続部135を介して、パージガスを、ポンプによって圧送される気体に対して電動モータ125(例えば
図3参照)を防護するために、モータ室137内に送り込んでよい。モータ室137内で、真空ポンプ111に、電動モータ125が収容されている。下部分121には、その上さらに2つの冷却剤接続部139が配置されている。この場合、一方の冷却剤接続部は、冷却剤用の吸気口として、そして他方の冷却剤接続部は、排気口として設けられている。冷却剤は、冷却目的で真空ポンプ内に導入可能である。存在する別のターボ分子真空ポンプ(図示されていない)は、専ら空冷式に運転される。
【0051】
真空ポンプの下面141は、ベースとして使用できるので、真空ポンプ111は、下面141を基準に縦置きで運転してよい。しかも、真空ポンプ111は、吸気口フランジ113を介してレシピエントに固定し、したがって、いわば懸架した状態で運転してもよい。さらに、真空ポンプ111は、
図1に示されたのとは別の向きで整向されているときでも運転できるように構成してもよい。下面141を下向きではなく、横向きに又は上向きに配置できる真空ポンプの形態も実現可能である。この場合、原則として、任意の角度が考えられる。
【0052】
特に図示されたポンプよりも大きな、存在する別のターボ分子真空ポンプ(図示されていない)は、縦置きでは運転できない。
【0053】
図2に示された下面141には、様々なねじ143がさらに配置されている。これらのねじ143によって、ここでは詳細には特定されない真空ポンプの構成部材が互いに固定されている。例えば、軸受カバー145が下面141に固定されている。
【0054】
下面141には、固定孔147がさらに配置されている。固定孔147を介して、ポンプ111を、例えば設置面に固定できる。このことは、特に図示されたポンプよりも大きな、存在する別のターボ分子真空ポンプ(図示されていない)では、不可能である。
【0055】
図2から
図5には、冷却剤管路148が示されている。冷却剤管路148内で、冷却剤接続部139を介して導入及び導出される冷却剤が循環可能である。
【0056】
図3から
図5の断面図に示されているように、真空ポンプは、複数のプロセスガスポンプ段を有する。プロセスガスポンプ段は、ポンプ吸気口115に作用するプロセスガスをポンプ排気口117へ圧送するためのものである。
【0057】
ハウジング119内には、ロータ149が配置されている。ロータ149は、回転軸線151を中心に回転可能なロータシャフト153を有する。本発明によれば、ロータは、少なくとも1つのロータ部品を有し、ロータ部品は、セラミックス材料から製作されている。
【0058】
ターボ分子ポンプ111は、ポンピング作用を及ぼすように互いに直列に接続された複数のターボ分子ポンプ段を有する。ターボ分子ポンプ段は、ロータシャフト153に固定された半径方向の複数の動翼155と、動翼155同士の間に配置され、そしてハウジング119内に固定された複数の静翼157とを有する。この場合、1枚の動翼155とこれに隣り合う1枚の静翼157とが、それぞれ1つのターボ分子ポンプ段を形成する。静翼157は、スペーサリング159によって、互いに所望の軸方向の間隔を置いて保持されている。半径方向の動翼155のそれぞれは、複数のロータブレード55から形成されてよく、ロータブレード55は、ロータシャフト153に取り付けられている又はロータシャフト153と一体に形成されている。
【0059】
真空ポンプは、半径方向で互いに内外に配置され、そしてポンピング作用を及ぼすように互いに直列に接続されたホルベックポンプ段をさらに有する。ホルベックポンプ段を有しない別のターボ分子真空ポンプ(図示されていない)が存在する。
【0060】
ホルベックポンプ段のロータは、ロータシャフト153に配置されたロータハブ161と、ロータハブ161に固定され、そしてこのロータハブ161によって支持される円筒側面状の2つのホルベックロータスリーブ163、165とを有する。ホルベックロータスリーブ163、165は、回転軸線151に対して同軸に配向されていて、そして半径方向で互いに内外に係合している。円筒側面状の2つのホルベックステータスリーブ167、169がさらに設けられている。ホルベックステータスリーブ167、169は、同様に、回転軸線151に対して同軸に配向されていて、そして半径方向で見て互いに内外に係合している。
【0061】
ホルベックポンプ段の、ポンピング作用を奏する表面は、側面によって、つまりホルベックロータスリーブ163、165及びホルベックステータスリーブ167、169の半径方向の内側面及び/又は外側面によって形成されている。外側のホルベックステータスリーブ167の半径方向の内側面は、半径方向のホルベック間隙171を形成しつつ、外側のホルベックロータスリーブ163の半径方向の外側面に対向していて、そしてこの外側面と共に、ターボ分子ポンプに後続する第1のホルベックポンプ段を形成する。外側のホルベックロータスリーブ163の半径方向の内側面は、半径方向のホルベック間隙173を形成しつつ、内側のホルベックステータスリーブ169の半径方向の外側面に対向していて、そしてこの外側面と共に、第2のホルベックポンプ段を形成する。内側のホルベックステータスリーブ169の半径方向の内側面は、半径方向のホルベック間隙175を形成しつつ、内側のホルベックロータスリーブ165の半径方向の外側面に対向していて、そしてこの外側面と共に、第3のホルベックポンプ段を形成する。
【0062】
ホルベックロータスリーブ163の下端部には、半径方向に延びるチャネルが設けられてよい。チャネルを介して、半径方向外側に位置するホルベック間隙171が、中央のホルベック間隙173に接続されている。内側のホルベックステータスリーブ169の上端部には、半径方向に延びるチャネルがさらに設けられてよい。チャネルを介して、中央のホルベック間隙173が、半径方向内側に位置するホルベック間隙175に接続されている。これにより、互いに内外に係合する複数のホルベックポンプ段が、互いに直列で接続される。半径方向内側に位置するホルベックロータスリーブ165の下端部には、排気口117に通じる接続チャネル179がさらに設けられてよい。
【0063】
ホルベックステータスリーブ167、169の、前述のポンピング作用を奏する表面は、回転軸線151を中心に螺旋状に周回しつつ軸方向に延びる複数のホルベック溝をそれぞれ有する。その一方で、ホルベックロータスリーブ163、165の、これに対向する側面は、滑らかに形成されていて、そして真空ポンプ111の運転のための気体をホルベック溝内において前方へ送り出す。
【0064】
ロータシャフト153の回転可能な軸支のために、ポンプ排気口117の領域に転がり軸受181が設けられていて、ポンプ吸気口115の領域に永久磁石式の磁気軸受183が設けられている。
【0065】
転がり軸受181の領域には、ロータシャフト153に、円錐形のスプラッシュナット185が設けられている。スプラッシュナット185は、転がり軸受181の方へ増大する外径を有する。スプラッシュナット185は、作動媒体貯蔵部の少なくとも1つの掻落とし部材と滑り接触している。存在する別のターボ分子真空ポンプ(図示されていない)では、スプラッシュナットの代わりに、スプラッシュねじが設けられてよい。これにより、様々な構成が実現可能であるので、上記関係において、「スプラッシュ尖端」との用語も用いられる。
【0066】
作動媒体貯蔵部は、上下にスタックされた吸収性の複数のディスク187を有する。これらのディスク187には、転がり軸受181用の作動媒体、例えば潤滑剤が含浸されている。
【0067】
真空ポンプ111の運転時、作動媒体は、毛管現象によって、作動媒体貯蔵部から掻落とし部材を介して、回転するスプラッシュナット185へと伝達され、そして、遠心力に基づいて、スプラッシュナット185に沿って、スプラッシュナット185の、増大していく外径の方へと、転がり軸受181に向かって送られる。そこでは、例えば潤滑機能が満たされる。転がり軸受181及び作動媒体貯蔵部は、真空ポンプ内で槽状のインサート189と軸受カバー145とによって囲繞されている。
【0068】
永久磁石式の磁気軸受183は、ロータ側の軸受半部191と、ステータ側の軸受半部193とを有する。これらは、それぞれ1つのリングスタックを有し、リングスタックは、軸方向に上下にスタックされた永久磁石の複数のリング195、197からなる。リング磁石195、197は、互いに半径方向の軸受間隙199を形成しつつ、対向していて、この場合、ロータ側のリング磁石195は、半径方向外側に、そしてステータ側のリング磁石197は、半径方向内側に配置されている。軸受間隙199内に存在する磁界は、リング磁石195、197の間に磁気的反発力を引き起こす。その反発力は、ロータシャフト153の半径方向の軸支を実現する。ロータ側のリング磁石195は、ロータシャフト153の支持部分201によって支持されている。支持部分201は、リング磁石195を半径方向外側で取り囲む。ステータ側のリング磁石197は、ステータ側の支持部分203によって支持されている。支持部分203は、リング磁石197を通って延びていて、そしてハウジング119の半径方向の支材205に懸架されている。回転軸線151に対して平行に、ロータ側のリング磁石195が、支持部分203に連結されたカバー要素207によって固定されている。ステータ側のリング磁石197は、回転軸線151に対して平行に1つの方向で、支持部分203に結合された固定リング209と支持部分203に結合された固定リング211とによって固定されている。固定リング211とリング磁石197との間に、皿ばね213がさらに設けられてよい。
【0069】
磁気軸受内に、非常用軸受又は安全軸受215が設けられている。非常軸受又は安全軸受215は、真空ポンプの通常運転時には、非接触で空転し、そしてロータ149がステータに対して相対的に半径方向に過剰に変位するとようやく係合し、これにより、ロータ側の構造とステータ側の構造との衝突が阻止されるように、ロータ149に対する半径方向のストッパが形成される。安全軸受215は、非潤滑式の転がり軸受として構成されていて、そしてロータ149及び/又はステータと共に半径方向の間隙を形成する。間隙によって、安全軸受215は、通常のポンプ運転時には係合しないようになる。半径方向の変位に際して安全軸受215が係合し、半径方向の変位は、十分に大きく寸法付けられているので、安全軸受215は、真空ポンプの通常運転時は係合せず、そして同時に十分に小さいので、ロータ側の構造とステータ側の構造との衝突があらゆる状況で阻止される。
【0070】
真空ポンプ111は、ロータ149を回転駆動する電動モータ125を有する。電動モータ125の電機子は、ロータ149によって形成されている。ロータ149のロータシャフト153は、モータステータ217を通って延びる。ロータシャフト153の、モータステータ217を通って延びる部分には、半径方向外側に又は埋入して、永久磁石アセンブリが配置されてよい。モータステータ217と、ロータ149の、モータステータ217を通って延びる部分との間には、中間室219が配置されている。中間219は、半径方向のモータ間隙を有する。モータ間隙を介して、モータステータ217と永久磁石アセンブリとは、駆動トルクを伝達するために、磁気的に影響を及ぼしてよい。
【0071】
モータステータ217は、ハウジング内で、電動モータ125に対して設けられたモータ室137内に固定されている。シールガス接続部135を介して、シールガス(パージガスとも称され、これは例えば空気や窒素であってよい)が、モータ室137に到達し得る。シールガスを介して、電動モータ125を、プロセスガス、例えばプロセスガスの腐食性の部分に対して保護できる。モータ室137は、ポンプ排気口117を介して真空引きしてもよい。つまりモータ室137内に、少なくとも近似的に、ポンプ排気口117に接続された補助真空ポンプによって実現される真空圧が作用する。
【0072】
ロータハブ161と、モータ室137を画成する壁部221との間には、それ自体公知のいわゆるラビリンスシール223がさらに設けられてよい。これにより、特に、半径方向外側に位置するホルベックポンプ段に対するモータ室217のより良好なシールが達成される。
【符号の説明】
【0073】
55 ロータブレード
111 ターボ分子ポンプ
113 吸気口フランジ
115 ポンプ吸気口
117 ポンプ排気口
119 ハウジング
121 下部分
123 エレクトロニクスハウジング
125 電動モータ
127 アクセサリ接続部
129 データインタフェース
131 電流供給接続部
133 通気用吸気口
135 シールガス接続部
137 モータ室
139 冷却剤接続部
141 下面
143 ねじ
145 軸受カバー
147 固定孔
148 冷却剤管路
149 ロータ
151 回転軸線
153 ロータシャフト
155 動翼
157 静翼
159 スペーサリング
161 ロータハブ
163 ホルベックロータスリーブ
165 ホルベックロータスリーブ
167 ホルベックステータスリーブ
169 ホルベックステータスリーブ
171 ホルベック間隙
173 ホルベック間隙
175 ホルベック間隙
179 接続チャネル
181 転がり軸受
183 永久磁石式の磁気軸受
185 スプラッシュナット
187 ディスク
189 インサート
191 ロータ側の軸受半部
193 ステータ側の軸受半部
195 リング磁石
197 リング磁石
199 軸受間隙
201 支持部分
203 支持部分
205 半径方向の支柱
207 カバー要素
209 支持リング
211 固定リング
213 皿ばね
215 非常用軸受又は安全軸受
217 モータステータ
219 中間室
221 壁部
223 ラビリンスシール
【手続補正書】
【提出日】2024-01-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと前記ハウジング内に配置された少なくとも1つのポンプ段とを備え、
前記ポンプ段は、ステータと、運転時に前記ステータに対して相対的に回転軸線を中心に回転するとともに前記ステータとポンプ作用を奏するように相互作用するロータとを有する、真空ポンプ、特にターボ分子ポンプにおいて、
前記ロータは、セラミックス材料から製作された少なくとも1つのロータ部品を有する、真空ポンプ。
【請求項2】
前記セラミックス材料は、非酸化物セラミックス、特に窒化物、炭化物、ホウ化物又はこれらのうちの2種以上の混合物である、請求項1に記載の真空ポンプ。
【請求項3】
前記セラミックス材料は、窒化アルミニウム、炭化ホウ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素又はこれらのうちの2種以上の混合物、特に窒化アルミニウム、炭化ホウ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素又はこれらのうちの2種以上の混合物である、請求項1に記載の真空ポンプ。
【請求項4】
前記セラミックス材料は、炭化ケイ素である、請求項1に記載の真空ポンプ。
【請求項5】
前記セラミックス材料は、-50℃から+400℃までの温度範囲で、10・10ー6Kー1以下、好適には7.5・10-6K-1以下、より好適には5・10-6K-1以下の長さの膨張係数αを有する、請求項1に記載の真空ポンプ。
【請求項6】
前記真空ポンプは、ターボ分子ポンプであり、前記ポンプ段は、ターボポンプ段及び/又はホルベック段である、請求項1に記載の真空ポンプ。
【請求項7】
少なくとも1つの前記ロータ部品は、複数のロータブレードを有する動翼であり、特に前記ロータの全ての動翼は、セラミックス材料から製作されている、請求項1に記載の真空ポンプ。
【請求項8】
少なくとも1つの前記ロータ部品は、複数のロータブレードを有する複数の動翼であり、前記ロータの全ての動翼は、セラミックス材料から製作されていて、前記動翼は、個別の動翼又は動翼セットとして構成されていて、ロータシャフトは、金属材料又はセラミックス材料から形成されていて、前記金属材料は、特にアルミニウム又はアルミニウム合金である、請求項1に記載の真空ポンプ。
【請求項9】
前記ロータは、金属材料からなるロータシャフトに個別の動翼を有する、又は金属材料からなるロータシャフトに動翼セットを有する、又はセラミックス材料からなるロータシャフトに個別の動翼を有する、又はセラミックス材料からなるロータシャフトに動翼セットを有する、又は一体のセラミックスから形成された動翼及びロータシャフトを有する、請求項8に記載の真空ポンプ。
【請求項10】
前記ステータは、少なくとも1つのステータ要素を有し、組立て状態において真空ポンプの停止状態で、少なくとも1つのロータ部品と前記ロータ部品に半径方向で最も近く位置するステータ部品との間の、半径方向に延在する間隙は、ロータ直径が80mm未満のときには0.75mm未満、好適には0.60mm未満の幅を有し、ロータ直径が80mmから150mmまでのときには0.90mm未満、好適には0.70mm未満の幅を有し、ロータ直径が150mmを超えるときには1.50mm未満、好適には1.20mm未満の幅を有する、請求項1に記載の真空ポンプ。
【請求項11】
少なくとも1つの前記ロータ部品は、複数のロータブレードを有するターボポンプ段の動翼であり、前記ロータ部品に半径方向で最も近く位置するステータ部品は、前記ターボポンプ段のスペーサリングである、請求項10に記載の真空ポンプ。
【請求項12】
少なくとも1つの前記ロータ部品は、ホルベック段のロータスリーブであり、前記ロータ部品に半径方向で最も近く位置するステータ部品は、ホルベックステータである、請求項10に記載の真空ポンプ。
【請求項13】
ハウジングと前記ハウジング内に配置された少なくとも1つのポンプ段とを備え、前記ポンプ段は、ステータと、運転時に前記ステータに対して相対的に回転軸線を中心に回転するとともに前記ステータとポンプ作用を奏するように相互作用するロータとを有する、真空ポンプ、特に請求項1から12のいずれか一項に記載の真空ポンプを運転する方法において、
前記ロータの温度は、運転中、90.0℃よりも高い、好適には100℃よりも高い、より好適には110℃よりも高い、その上より好適には120℃よりも高い、方法。
【請求項14】
ロータを、
前記ロータが200mmを超える外径を有するときには少なくとも45000回転/分、好適には少なくとも50000回転/分の回転速度で運転する、
前記ロータが150mmを超えて200mmまでの外径を有するときには少なくとも60000回転/分、好適には少なくとも70000回転/分の回転速度で運転する、
前記ロータが80mmから150mmまでの外径を有するときには少なくとも80000回転/分、好適には少なくとも90000回転/分の回転速度で運転する、又は
前記ロータが80mm未満の外径を有するときには少なくとも100000回転/分、好適には120000回転/分の回転速度で運転する、
請求項1から12のいずれか一項に記載の真空ポンプを運転する方法。
【請求項15】
前記ロータの温度は、運転中、90.0℃よりも高い、好適には100℃よりも高い、より好適には110℃よりも高い、さらにより好適には120℃よりも高い、請求項14に記載の真空ポンプ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0072
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0072】
ロータハブ161と、モータ室137を画成する壁部221との間には、それ自体公知のいわゆるラビリンスシール223がさらに設けられてよい。これにより、特に、半径方向外側に位置するホルベックポンプ段に対するモータ室217のより良好なシールが達成される。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下を含む。
1.
ハウジングと前記ハウジング内に配置された少なくとも1つのポンプ段とを備え、
前記ポンプ段は、ステータと、運転時に前記ステータに対して相対的に回転軸線を中心に回転するとともに前記ステータとポンプ作用を奏するように相互作用するロータとを有する、真空ポンプ、特にターボ分子ポンプにおいて、
前記ロータは、セラミックス材料から製作された少なくとも1つのロータ部品を有する、真空ポンプ。
2.
前記セラミックス材料は、非酸化物セラミックス、特に窒化物、炭化物、ホウ化物又はこれらのうちの2種以上の混合物である、上記1の真空ポンプ。
3.
前記セラミックス材料は、窒化アルミニウム、炭化ホウ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素又はこれらのうちの2種以上の混合物、特に窒化アルミニウム、炭化ホウ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素又はこれらのうちの2種以上の混合物である、上記1又は2の真空ポンプ。
4.
前記セラミックス材料は、炭化ケイ素である、先行上記のいずれか一つの真空ポンプ。
5.
前記セラミックス材料は、-50℃から+400℃までの温度範囲で、10・10
ー6
K
ー1
以下、好適には7.5・10
-6
K
-1
以下、より好適には5・10
-6
K
-1
以下の長さの膨張係数αを有する、先行上記のいずれか一つの真空ポンプ。
6.
前記真空ポンプは、ターボ分子ポンプであり、前記ポンプ段は、ターボポンプ段及び/又はホルベック段である、先行上記のいずれか一つの真空ポンプ。
7.
少なくとも1つの前記ロータ部品は、複数のロータブレードを有する動翼であり、特に前記ロータの全ての動翼は、セラミックス材料から製作されている、先行上記のいずれか一つの真空ポンプ。
8.
少なくとも1つの前記ロータ部品は、複数のロータブレードを有する複数の動翼であり、前記ロータの全ての動翼は、セラミックス材料から製作されていて、前記動翼は、個別の動翼又は動翼セットとして構成されていて、ロータシャフトは、金属材料又はセラミックス材料から形成されていて、前記金属材料は、特にアルミニウム又はアルミニウム合金である、先行上記のいずれか一つの真空ポンプ。
9.
前記ロータは、金属材料からなるロータシャフトに個別の動翼を有する、又は金属材料からなるロータシャフトに動翼セットを有する、又はセラミックス材料からなるロータシャフトに個別の動翼を有する、又はセラミックス材料からなるロータシャフトに動翼セットを有する、又は一体のセラミックスから形成された動翼及びロータシャフトを有する、上記8の真空ポンプ。
10.
前記ステータは、少なくとも1つのステータ要素を有し、組立て状態において真空ポンプの停止状態で、少なくとも1つのロータ部品と前記ロータ部品に半径方向で最も近く位置するステータ部品との間の、半径方向に延在する間隙は、ロータ直径が80mm未満のときには0.75mm未満、好適には0.60mm未満の幅を有し、ロータ直径が80mmから150mmまでのときには0.90mm未満、好適には0.70mm未満の幅を有し、ロータ直径が150mmを超えるときには1.50mm未満、好適には1.20mm未満の幅を有する、先行上記のいずれか一つの真空ポンプ。
11.
少なくとも1つの前記ロータ部品は、複数のロータブレードを有するターボポンプ段の動翼であり、前記ロータ部品に半径方向で最も近く位置するステータ部品は、前記ターボポンプ段のスペーサリングである、上記10の真空ポンプ。
12.
少なくとも1つの前記ロータ部品は、ホルベック段のロータスリーブであり、前記ロータ部品に半径方向で最も近く位置するステータ部品は、ホルベックステータである、上記10又は11の真空ポンプ。
13.
ハウジングと前記ハウジング内に配置された少なくとも1つのポンプ段とを備え、前記ポンプ段は、ステータと、運転時に前記ステータに対して相対的に回転軸線を中心に回転するとともに前記ステータとポンプ作用を奏するように相互作用するロータとを有する、真空ポンプ、特に上記1から12のいずれか一つの真空ポンプを運転する方法において、
前記ロータの温度は、運転中、90.0℃よりも高い、好適には100℃よりも高い、より好適には110℃よりも高い、その上より好適には120℃よりも高い、方法。
14.
ロータを、
前記ロータが200mmを超える外径を有するときには少なくとも45000回転/分、好適には少なくとも50000回転/分の回転速度で運転する、
前記ロータが150mmを超えて200mmまでの外径を有するときには少なくとも60000回転/分、好適には少なくとも70000回転/分の回転速度で運転する、
前記ロータが80mmから150mmまでの外径を有するときには少なくとも80000回転/分、好適には少なくとも90000回転/分の回転速度で運転する、又は
前記ロータが80mm未満の外径を有するときには少なくとも100000回転/分、好適には120000回転/分の回転速度で運転する、
上記1から12のいずれか一つの真空ポンプを運転する方法。
15.
前記ロータの温度は、運転中、90.0℃よりも高い、好適には100℃よりも高い、より好適には110℃よりも高い、さらにより好適には120℃よりも高い、上記14の真空ポンプ。
【外国語明細書】