(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000096
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】金融資産管理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/06 20120101AFI20231225BHJP
G06Q 40/02 20230101ALI20231225BHJP
【FI】
G06Q40/06
G06Q40/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098650
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】522110669
【氏名又は名称】DragonBlood株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181250
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 信介
(72)【発明者】
【氏名】永田 智睦
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB13
5L055BB57
(57)【要約】
【課題】資産管理する複数の金融機関にアクセスするための金融機関アカウント情報を再度登録することなく、新たなユーザアカウントを増やすことのできる金融資産管理システム及びプログラムを提供する。
【解決手段】ユーザアカウント情報を登録するアカウント情報登録部10と、登録されたユーザアカウント情報及び他のユーザアカウント情報との対応関係を示す対応関係情報を格納する対応関係格納部10と、登録された金融機関アカウント情報に基づいて、金融機関3から取引情報を取得する取引情報取得部10と、対応関係格納部10に格納された対応関係情報に従い、対応するユーザアカウント毎に資産運用計画を立案する資産運用計画立案部10と、立案された資産運用計画を提示する資産管理情報提示部20とを備える金融資産管理システム1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融機関にアクセスするための金融機関アカウント情報を含むユーザアカウント情報を登録するアカウント情報登録部と、
前記アカウント情報登録部に登録された前記ユーザアカウント情報及び前記アカウント情報登録部に登録された他のユーザアカウント情報との対応関係を示す対応関係情報を格納する対応関係格納部と、
前記アカウント情報登録部に登録された前記金融機関アカウント情報に基づいて、前記金融機関から取引情報を取得する取引情報取得部と、
前記取引情報取得部により取得された前記取引情報に基づいて、前記対応関係格納部に格納された前記対応関係情報に従い、対応するユーザアカウント毎に資産運用計画を立案する資産運用計画立案部と、
前記取引情報取得部により取得された前記取引情報と前記資産運用計画立案部により立案された前記資産運用計画を提示する資産管理情報提示部と、
を備える金融資産管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の金融資産管理システムにおいて、
ユーザが情報を入力するための情報入力部を備え、
前記資産運用計画立案部は、
前記取引情報取得部で取得された前記取引情報及び前記情報入力部から入力された前記ユーザアカウント情報に基づいて、前記資産運用計画を立案することを特徴とする金融資産管理システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の金融資産管理システムにおいて、
前記資産運用計画立案部は、前記資産運用計画として、将来にわたる資産状況の予想と、
前記取引情報取得部で取得された前記取引情報を基に作成される現在の資産状況を含み、
前記将来にわたる資産状況の予想と前記現在の資産状況との差異を算出する資産運用評価部を備え、
前記資産管理情報提示部は、前記資産運用評価部で算出された前記差異も提示することを特徴とする金融資産管理システム。
【請求項4】
コンピュータに、
金融機関にアクセスするための金融機関アカウント情報を含むユーザアカウント情報を登録するアカウント情報登録処理と、
前記アカウント情報登録処理により登録された前記ユーザアカウント情報及び前記アカウント情報登録処理により登録された他のユーザアカウント情報との対応関係を示す対応関係情報を格納する対応関係格納処理と、
前記アカウント情報登録処理により登録された前記金融機関アカウント情報に基づいて、前記金融機関から取引情報を取得する取引情報取得処理と、
前記取引情報取得処理により取得された前記取引情報に基づいて、前記対応関係格納処理により格納された前記対応関係情報に従い、対応するユーザアカウント毎に資産運用計画を立案する資産運用計画立案処理と、
前記取引情報取得処理により取得された前記取引情報と前記資産運用計画立案処理により立案された前記資産運用計画を提示する資産管理情報提示処理と、
を実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが所有する金融資産を管理して、管理結果をユーザに提示する金融資産管理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザ端末との間で取引に関する情報を授受する金融機関サーバと、この金融機関サーバからユーザとの取引に関する情報の提供を受け、提供された情報に基づいてユーザの金融資産を集計及び分析し、その結果をユーザに提示することを特徴とする金融資産管理システムがあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、このような金融資産管理システムでは、ユーザごとにユーザアカウントが設定され、そのユーザアカウント情報として、ユーザが使用している複数の金融機関にアクセスするための金融機関アカウント情報が含まれている。
【0005】
そして、この金融機関アカウント情報を基に、金融資産管理システムは、金融機関からユーザの金融資産を集計、分析し、資産運用状況や資産運用計画を提示できるようになっている。
【0006】
しかし、結婚などをきっかけに資産を分かちあう相手ができた場合などに、夫婦としての共同資産を管理するために、夫婦共同での資産管理アカウントを増やしたり、夫婦それぞれのアカウントを一つに統合したりして資産管理したい場合がある。
【0007】
このような場合、新たなユーザアカウントを作成する必要があるが、既存のユーザアカウントとは別に新たなユーザアカウントを取得し、新たなユーザアカウントについて金融資産の運用管理が行えないという課題があった。
【0008】
本発明は、こうした課題に鑑みなされたもので、新たなユーザアカウントを増やしたり複数のユーザアカウントを統合したりすることができ、この新たなユーザアカウントについても金融資産の運用管理をすることができる金融資産管理システム及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
なお、本欄における括弧内の参照符号や補足説明等は、本発明の理解を得るために、後述する実施形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
[適用例1]
適用例1に記載の発明は、
金融機関(3)にアクセスするための金融機関アカウント情報を含むユーザアカウント情報を登録するアカウント情報登録部(10、S100)と、
前記アカウント情報登録部(10、S100)に登録された前記ユーザアカウント情報及び前記アカウント情報登録部(10、S100)に登録された他のユーザアカウント情報との対応関係を示す対応関係情報を格納する対応関係格納部(10、S100)と、
前記アカウント情報登録部(10、S100)に登録された前記金融機関アカウント情報に基づいて、前記金融機関から取引情報を取得する取引情報取得部(10、S120)と、
前記取引情報取得部(10、S120)により取得された前記取引情報に基づいて、前記対応関係格納部(10、S110)に格納された前記対応関係情報に従い、対応するユーザアカウント毎に資産運用計画を立案する資産運用計画立案部(10、S130)と、
前記取引情報取得部(10、S120)により取得された前記取引情報と前記資産運用計画立案部(10、S130)により立案された前記資産運用計画を提示する資産管理情報提示部(20、S220)と、
を備えることを要旨とする金融資産管理システム(1)である。
【0010】
このような金融資産管理システム(1)では、ユーザは、契約している金融機関(3)の金融機関アカウント情報を含むユーザアカウント情報を金融資産管理システム(1)に登録する。
【0011】
金融資産管理システム(1)は、アカウント情報登録部(10、S100)に登録されたユーザアカウント情報を用いて、金融機関(3)から、ユーザの取引情報を取得し、取得した取引情報に基づいて、資産運用計画を立案し、資産管理情報提示部(20、S220)に提示する。
【0012】
これによって、ユーザは、所有する金融資産を把握することができると同時に、資産運用計画を受け取ることができるので、金融資産の管理、資産運用設計を容易に行うことができる。
【0013】
また、アカウント情報登録部(10、S100)で登録された同一ユーザ所有の複数ユーザアカウント情報に含まれる金融機関情報を紐づけて、その対応関係情報を格納することができる。
【0014】
これにより、それぞれ個別のユーザアカウントを有する複数のユーザが、新たなユーザアカウントを設定する際にも、すでに登録されている金融機関(3)の金融機関アカウントを再度登録し直す必要もなく、簡易に共有のユーザアカウントを作成したり、別々のユーザアカウントを一つのアカウントに統合したりすることができる。
【0015】
さらに、共有資産管理を行っているユーザアカウントと、個人の資産管理を行っているユーザアカウント間における、各金融機関のおける金融資産の分配比率を対応関係情報として格納しておけば、共有資産管理のためのユーザアカウント、個人資産管理のためのユーザアカウントそれぞれの資産管理、資産運用計画を立案することができる。
【0016】
[適用例2]
適用例2に記載の金融資産管理システム(1)は、
適用例1に記載の金融資産管理システム(1)において、
ユーザが情報を入力するための情報入力部(20、S200)を備え、
前記資産運用計画立案部(10、S130)は、
前記取引情報取得部(10、S120)で取得された前記取引情報及び前記情報入力部(20、S200)から入力された前記ユーザアカウント情報に基づいて、前記資産運用計画を立案することを要旨とする。
【0017】
このような金融資産管理システム(1)では、資産運用計画を立案する際に、金融機関(3)から取得したユーザの金融資産取引情報に基づいて立案するだけでなく、例えば、ユーザアカウント情報として、家族構成や子供の教育計画などが入力されれば、これらの情報も考慮し資産運用計画を立案する。
【0018】
これにより、ユーザはユーザ自身だけでなく、家族の将来計画も考慮にいれて、将来に必要となる資産が明確となり、未来の金融資産設計を具体的に検討することが可能となる。
【0019】
[適用例3]
適用例3に記載の金融資産管理システム(1)は、
適用例1又は適用例2に記載の金融資産管理システム(1)において、
前記資産運用計画立案部(10、S130)は、
将来にわたる資産状況の予想と、前記取引情報取得部(10、S120)で取得された前記取引情報を基に作成される現在の資産状況を含む資産運用計画を立案し、
前記将来にわたる資産状況の予想と前記現在の資産状況との差異を算出する資産運用評価部(10、S140)を備え、
前記資産管理情報提示部(20、S220)は、前記資産運用評価部(10、S140)で算出された前記資産状況の差異も提示することを要旨とする。
【0020】
このような金融資産管理システム(1)では、資産運用計画立案部(10、S130)から提示された資産運用計画に含まれる将来にわたる資産状況と、現在の資産状況との差異を算出する。
【0021】
これによりユーザは、現在の資産状況が、予想された資産状況から、どれくらい差異があるかを具体的に把握することが可能となり、適切な資産管理が行えるよう資産運用を修正することが可能となる。
【0022】
[適用例4]
適用例4に記載の発明は、
コンピュータに、
金融機関(3)にアクセスするための金融機関アカウント情報を含むユーザアカウント情報を登録するアカウント情報登録処理(S100)と、
前記アカウント情報登録処理(S100)により登録された前記ユーザアカウント情報及び前記アカウント情報登録処理(S100)により登録された他のユーザアカウント情報との対応関係を示す対応関係情報を格納する対応関係格納処理(S110)と、
前記アカウント情報登録処理(S100)により登録された前記金融機関アカウント情報に基づいて、前記金融機関から取引情報を取得する取引情報取得処理(S120)と、
前記取引情報取得処理(S120)により取得された前記取引情報に基づいて、前記対応関係格納処理(S110)により格納された前記対応関係情報に従い、対応するユーザアカウント毎に資産運用計画を立案する資産運用計画立案処理(S130)と、
前記取引情報取得処理(S120)により取得された前記取引情報と前記資産運用計画立案処理(S130)により立案された前記資産運用計画を提示する資産管理情報提示処理(S220)と、
を実行させるためのコンピュータプログラムである。
【0023】
このようなコンピュータプログラムにより、ユーザは、複数の金融機関にまたがって所有する金融資産を容易に把握することができると同時に、資産運用計画を受け取ることができるので、金融資産の管理、資産運用設計を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】金融資産管理システムの概略の構成を示すブロック図である。
【
図2】サーバにおける資産管理処理の流れを示すフローチャートである。
【
図3】端末における入力表示処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】複数のユーザアカウント間における金融機関名の紐づけ、資産分割について説明する図である。
【
図6】推奨ポートフォリオの一例を示す概略図である。
【
図7】資産状況推移シミュレーション結果の一例を示す概略図である。
【
図8】ユーザに提示される資産運用評価結果の一例を示す概略図である。
【
図9】金融資産管理システムの使用方法を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0026】
(金融資産管理システムの構成)
図1に基づき、金融資産管理システム1の構成について説明する。
図1は、金融資産管理システム1の概略の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、金融資産管理システム1は、サーバ10及び端末20を備えている。
【0027】
(サーバ10の構成)
サーバ10は、サーバCPU11、サーバROM12、サーバRAM13、サーバI/O14及びサーバ外部記憶媒体15から構成されるコンピュータシステムである。
【0028】
サーバCPU11は、サーバ外部記憶媒体15に格納されたコンピュータプログラムに従って動作し、後述する資産管理処理を実行することにより、サーバ10としての機能を実現する。
【0029】
なお、サーバ外部記憶媒体15としては、ハードディスク、ソリッドステートドライブなどの大容量の外部記憶媒体を用いる。また、サーバI/O14により、端末20や金融機関3と連接し情報のやり取りを行う。なお、端末20や金融機関3との情報の送受信は、インタネット回線5を通じて行われる。
【0030】
(端末20の構成)
次に、端末20の構成について説明する。
図1に示すように、端末20は、端末CPU21、端末ROM22、端末RAM23、端末I/O24、入力表示部25、端末外部記憶媒体26から構成される。
【0031】
端末CPU21が、端末外部記憶媒体26に格納されたコンピュータプログラムに従って動作し、後述する入力表示処理を実行することにより、端末20としての機能を実現する。
【0032】
また、端末I/O24により、サーバ10とインタネット回線5を介して、情報のやり取りを行う。なお、本実施形態においては、端末20としてスマートフォンなどのユーザ端末を用いる。
【0033】
(サーバ10における資産管理処理)
図2に基づき、サーバ10における資産管理処理について説明する。
図2は、サーバ10における資産管理処理の流れを示すフローチャートである。
【0034】
資産管理処理は、コンピュータプログラムとしてサーバ外部記憶媒体15に格納されており、管理者等によりサーバ10への実行開始指令によって、サーバCPU11により読み込まれ実行される。
【0035】
サーバ10における資産管理処理において、サーバCPU11は、S100において、アカウント情報登録処理を行う。アカウント情報登録処理では、端末20から送信されたユーザアカウント情報をサーバI/O14を介して受信し、サーバ外部記憶媒体15に記憶することで登録する。なお、ユーザアカウント情報の内容については後で説明する。
【0036】
続くS110において、対応関係格納処理を行う。対応関係格納処理では、S100において登録されたユーザアカウント情報内の金融機関名、口座番号が、既に登録されている同一ユーザのユーザアカウント情報内の金融機関名、口座番号と同一である場合に、それぞれの金融機関の紐づけを対応関係情報としてサーバ外部記憶媒体15に格納する。
【0037】
また、同一の金融機関名、口座番号に所有する資産を複数のユーザアカウントにどのような割合で分割して管理するかについての情報(資産分割情報)がユーザアカウント情報に含まれている場合には、先ほどの金融機関名の紐づけと上記資産分割情報を合わせて、対応関係情報としてサーバ外部記憶媒体15に格納する。
【0038】
対応関係格納処理における具体的な処理内容を(ア)~(エ)に示す。
(ア)S100のアカウント情報登録処理において、新たにユーザアカウント情報が登録された場合に、そのユーザアカウント情報から金融機関名、口座番号を抽出する。
【0039】
(イ)同一ユーザのユーザアカウント情報が既にサーバ外部記憶媒体15に登録されていれば、そのユーザアカウント情報内の金融機関名、口座番号が、新たに登録されたユーザアカウント情報内の金融機関名、口座番号と同一であるかを確認する。
【0040】
(ウ)同一である場合には、それぞれの金融機関名の紐づけを、対応関係情報としてサーバ外部記憶媒体15に格納する。その際、ユーザアカウント情報に資産分割情報が含まれていれば、金融機関名の紐づけに加え、資産分割情報もあわせて、対応関係情報としてサーバ外部記憶媒体15に格納する。なお複数のユーザアカウント間における金融機関名の紐づけ、資産分割については、後に説明する。
【0041】
(エ)既に登録されている同一ユーザのユーザアカウント情報がない場合又は既に登録されている同一ユーザのユーザアカウント情報内の金融機関名、口座番号と同一でない場合には、何も処理しない。
【0042】
続くS120において、取引情報取得処理を行う。取引情報取得処理では、S100において登録されたユーザアカウント情報を用いて、ユーザアカウント情報内に登録されている全金融機関サーバにアクセスし、ユーザの取引情報を取得、サーバ外部記憶媒体15に格納する。
【0043】
なお、S110の対応関係格納処理において、対応関係情報がサーバ外部記憶媒体15に格納されている場合には、この対応関係情報から、他のユーザアカウント情報に含まれている金融機関アカウント情報を用いて、金融機関3から取引情報を取得し、サーバ外部記憶媒体15に格納する。
【0044】
ここで、S120の取引情報取得処理は、一定期間ごとに定期的に繰り返し、各金融機関3からの取引情報をサーバ外部記憶媒体15に登録される毎に、後述するS130の資産運用計画立案処理に移行する。
【0045】
S130においては、資産運用計画立案処理を行う。資産運用計画立案処理では、まず、S120においてサーバ外部記憶媒体15に格納された各金融機関3における取引情報を集約する。
【0046】
なお上記S110の対応関係格納処理において、対応関係情報として資産分割情報も登録されている場合には、各金融機関3からの取引情報を集約する際に、資産分割情報に従い各金融機関における資産を分割したうえで集約し、取引情報としてサーバ外部記憶媒体15に格納する。なお取引情報とは、金融機関における入金、出金、振込などの情報をいう。
【0047】
その後、集約した取引情報及びS100においてサーバ外部記憶媒体15に登録されたユーザアカウント情報に基づいて資産運用計画を立案し、立案された資産運用計画をサーバ外部記憶媒体15に格納する。
【0048】
この資産運用計画処理において立案される資産運用計画としては、資産状況、推奨ポートフォリオ、資産状況推移シミュレーション結果などである。なお、資産状況、推奨ポートフォリオ、資産状況推移シミュレーション結果の内容については後で説明する。
【0049】
続くS140において、資産運用評価処理を行う。資産運用評価処理では、S130において立案された資産状況と、資産状況推移シミュレーション結果とを比較し、その差異を算出し、サーバ外部記憶媒体15に格納する。なお、算出される資産状況の差異の内容については後で説明する。
【0050】
続くS150において、資産管理情報送信処理を行う。資産管理情報送信処理では、端末20から資産管理情報の送信要求を受信したときに、資産管理情報をサーバ外部記憶媒体15から取得し、端末20に送信する。
【0051】
なお、資産管理情報には、S130の資産運用計画立案処理において集約された取引情報、立案された資産状況、推奨ポートフォリオ、資産状況推移シミュレーション結果及びS140の資産運用評価処理で算出された差異を含む。
【0052】
(端末20における入力表示処理)
次に
図3に基づき、端末20における入力表示処理について説明する。
図3は、端末20における概略の処理の流れを示すフローチャートである。
【0053】
入力表示処理は、コンピュータプログラムとして端末外部記憶媒体26に格納されており、ユーザが当該コンピュータプログラムを実行することによって、端末CPU21により読み込まれ実行される。
【0054】
端末20における入力表示処理において、端末CPU21は、S200において、情報入力処理を行う。情報入力処理では、ユーザによるユーザアカウント情報の入力を入力表示部25で受け付け、入力されたユーザアカウント情報を、端末I/O24を介して、サーバ10に送信する。
【0055】
続くS210において、資産管理情報要求送信処理を行う。資産管理情報要求送信処理では、ユーザによる資産管理情報要求を入力表示部25で受け付け、受け付けた資産管理情報要求を、端末I/O24を介してサーバ10に送信する。
【0056】
続くS220において、資産管理情報提示処理を行う。資産管理情報提示処理では、S210においてサーバ10に送信された資産管理情報提示要求に対応して、サーバ10から資産管理情報が送信されたとき、端末I/O24により資産管理情報を受信し、受信した資産管理情報を端末外部記憶媒体26に格納する。
【0057】
その後、端末外部記憶媒体26に格納された資産管理情報を入力表示部25に表示する。なお、入力表示処理は、ユーザが当該コンピュータプログラムの実行を終了することで終了する。
【0058】
(ユーザアカウント情報の内容について)
ここで、資産管理処理のなかのS100においてサーバ外部記憶媒体15に登録されるユーザアカウント情報の内容について説明する。ユーザアカウント情報としては、金融機関に所有する資産の取引情報を取得するための情報及び資産運用計画を立案するための情報を含む。
【0059】
金融機関に所有する資産の取引情報を取得するための情報としては、金融機関名、口座番号、金融機関取引アカウント情報などである。
資産運用計画を立案するための情報としては、資産分割情報(複数のユーザアカウントを有する場合)、資産ポートフォリオ、家族構成、家族の年齢、ユーザ、配偶者の年収、職業、職種、退職予定年齢、年金受給予定年齢、想定退職金額、子供の教育計画(私立、公立 等)、住宅取得計画、レジャー計画、車など高額商品の買い替え時期・車の種類などである。
【0060】
(複数のユーザアカウント間における金融機関名の紐づけ、資産分割について)
次に
図4に基づいて、複数のユーザアカウント間における金融機関名の紐づけ、資産分割について説明する。
【0061】
図4は、ユーザaとユーザbがそれぞれ別個のユーザアカウントを有しており、それに加えて、ユーザaとユーザbの共有アカウントを新たに作成する場合の一例である。
共有アカウントで管理したい資産を、ユーザaは、金融機関Aと金融機関Bに保有する資産のうち、それぞれ50%の資産とし、ユーザbは、金融機関Aと金融機関Eに保有する資産のうち、それぞれ60%の資産とする。
【0062】
この場合、ユーザaとユーザbは、共有資産管理のための新たなユーザアカウントの設定の際に、共有で管理するユーザa名義の金融機関A及び金融機関Bの名称及び口座番号、ユーザb名義の金融機関A及び金融機関Eの名称及び口座番号がサーバ10に登録される。
【0063】
すると、サーバ10における対応関係格納処理(S110)により、金融機関3の対応関係の紐づけ及び資産分割情報が格納され、新たなユーザアカウント情報として再度金融機関アカウント情報を入力することなく、資産管理が実行される。
【0064】
そして、金融資産管理システム1は、新たなユーザアカウントの資産管理のために、対応関係情報に従い、既存のユーザアカウント情報から金融機関アカウント情報を参照し、取引情報を取得、対応関係情報に設定された分割割合に従って、ユーザアカウント毎に資産管理を行う。
【0065】
(資産状況について)
次に
図5に基づき、資産管理処理におけるS130の処理において立案される資産状況について説明する。
【0066】
図5は、資産状況の一例を示す概略図である。資産状況は、各金融機関3から取得された取引情報が集計され、資産、負債、総資産の3つに分類された形式のいわゆるバランスシート形式でまとめられる。
【0067】
これによりユーザは、自己の所有する資産と抱える負債の状況を把握することができるようになり、教育資金など、新たな資金の借り入れなどの判断をする際に役立てることができる。
【0068】
(推奨ポートフォリオについて)
次に
図6に基づき、資産管理処理におけるS130の処理において立案される推奨ポートフォリオについて説明する。
【0069】
図6は、推奨ポートフォリオの一例を示す概略図である。推奨ポートフォリオについては、ユーザによる資産運用のための参考として、現金、不動産投資、株式投資、ドル資産 等をどのような割合で所有するのが推奨されるのかの推奨案が立案される。
【0070】
これによりユーザは、自己の資産を守り、かつ、増やしていくために資産の分配をどのようにしたらよいのか、将来における資産運用計画を実現するための有益な情報を得ることができる。
【0071】
(資産状況推移シミュレーション結果について)
次に
図7に基づき、資産管理処理におけるS130の処理において立案される推奨ポートフォリオについて説明する。
【0072】
図7は、資産状況推移シミュレーション結果の一例を示す概略図である。資産状況推移シミュレーション結果は、登録されたユーザアカウント情報及びインフレ率、長期金利予測、年金支給予測などを基に、ユーザの将来にわたる資産状況の予想をシミュレーションした結果であり、資産項目ごとに時系列にグラフ化される。
【0073】
これによりユーザは、将来において、いつの時点で、どれくらいの支出が発生し、その時点での資産や負債の資産状況がどの程度になっているかなど、現状の将来計画に基づくライフイベントが把握でき、資産運用設計の参考とする情報を得ることができる。
【0074】
(資産状況の差異について)
次に
図8に基づき、資産管理処理におけるS140の処理において算出される資産状況の差異について説明する。
【0075】
図8は、資産状況の差異の一例を示す概略図である。資産状況の差異は、資産状況推移シミュレーションで算出された資産状況と現在の資産状況とを比較し、その差異を資産項目ごとにまとめたものである。
【0076】
これによりユーザは、シミュレーションされた資産状況と、現在の資産状況との間で、資産もしくは負債のどの項目にどれくらいの差分があるのかを把握することができ、今後の資産形成方針、子供の教育計画、住宅取得計画などを見直すための参考となる情報を得ることができる。
【0077】
(金融資産管理システム1の使用方法)
次に、
図9に基づき、金融資産管理システム1の使用方法について説明する。金融資産管理システム1の使用方法は、以下の(ア)~(オ)に示す通りである。
【0078】
(ア)ユーザは、各金融機関3と個別に取引契約を結び、口座を開設しておく(
図9においてAで示す)。
また、ユーザは、本発明に係る金融資産管理システム1による金融資産管理サービスを申し込み、ユーザアカウントを取得しておく。
【0079】
(イ)ユーザは、端末20を用いて、ユーザアカウント情報を入力する(
図9においてBで示す)。
なお、ユーザアカウント情報については、任意のタイミングで入力してもよい。また、一度登録した内容について、何度でも修正することもできる。
【0080】
(ウ)入力表示処理におけるS200の処理及び資産管理処理におけるS100~S140の処理が実行され、取引情報、資産運用計画、資産状況の差異が立案、算出される。
(エ)ユーザは、資産管理情報を閲覧したい場合、端末20を用いて、閲覧したい資産管理情報を入力すると、閲覧したい資産管理情報が端末20に表示される(
図9においてCで示す)。
【0081】
このとき、入力表示処理におけるS210及びS220の処理、及び資産管理処理におけるS150の処理が実行され、資産管理情報が端末20に表示される。
なお、ユーザは、任意のタイミングで資産管理情報を閲覧することができる。
【0082】
(オ)ユーザは、資産管理情報として取引情報を表示させた場合、ユーザの選択により、特定の日にち、特定の月、特定の年、もしくは、ユーザの選択した任意の期間の取引状況を表示させることができる。
【0083】
また、資産管理情報として資産状況を表示させた場合、資産状況内の、資産、負債の欄に表示された各項目をクリックすることで、その項目の詳細な状況が表示される。
例えば、資産欄の普通預金の項目がクリックされると、普通預金が管理されている金融機関名、各金融機関3での預金額が表示される。
【0084】
(金融資産管理システム1の特徴)
このように本実施形態における金融資産管理システム1では、ユーザが複数の金融機関3に所有する金融資産を一括管理することができ、自己の所有する金融資産の一覧が一目で把握できる。
【0085】
また、既に本実施形態における金融資産管理システム1のユーザアカウントを有するユーザが、結婚を機に、個人資産とは別に、夫婦共有での資産管理を行うべく、新たに、夫婦共有名義でのユーザアカウントを取得する場合がある。
【0086】
この新たなユーザアカウントで管理する資産の管理先の金融機関3が、既に有しているユーザアカウント情報として登録されている場合には、新たなユーザアカウントの作成に際し、再度、金融機関3の金融機関アカウント情報を登録することなくユーザアカウントを作成することができる。
【0087】
また、結婚生活用資産管理のためのユーザアカウント設定の際に、自己の資産のうち、何%を結婚生活用に使用、管理するのかをお互いに合意の上で決定したうえで、共有資産管理を行うことにより、離婚時の清算的財産分与を巡る争いもなくなることが期待できる。
【0088】
(その他の実施形態)
(1)上記実施形態においては、推奨ポートフォリオは、資産運用計画立案処理(S130)において作成されているが、登録されたユーザアカウント情報から、フィナンシャルプランナーが作成し、金融資産管理システム1に入力してもよい。
【0089】
(2)上記実施形態においては、複数のユーザが共有で資産管理を行うために、新たなユーザアカウントを取得したが、共有で資産管理をしようとする一方のユーザが、自己のユーザアカウントで管理されている資産管理情報の閲覧権限を他のユーザに許可し、同様に、他のユーザの資産管理情報の閲覧権限を一方のユーザに許可してもよい。
【0090】
これにより、お互いの資産状況を閲覧できるようになり、新しくユーザアカウントを取得することなく、共有資産管理を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0091】
1…金融資産管理システム、3…金融機関、5…インタネット回線、10…サーバ、11…サーバCPU、12…サーバROM、13…サーバRAM、14…サーバI/O、15…サーバ外部記憶媒体、20…端末、21…端末CPU、22…端末ROM、23…端末RAM、24…端末I/O、25…入力表示部、26…端末外部記憶媒体