(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000960
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】半導体デバイス及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/8238 20060101AFI20231226BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20231226BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20231226BHJP
H01L 21/76 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
H01L27/092 A
H01L27/092 E
H01L27/092 D
H01L27/092 C
H01L27/088 331A
H01L29/78 301X
H01L29/78 301Z
H01L21/76 N
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039968
(22)【出願日】2023-03-14
(31)【優先権主張番号】202210701263.X
(32)【優先日】2022-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】519009105
【氏名又は名称】合肥晶合集成電路股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】陳維邦
(72)【発明者】
【氏名】呉志楠
(72)【発明者】
【氏名】鄭志成
【テーマコード(参考)】
5F032
5F048
5F140
【Fターム(参考)】
5F032AA34
5F032AA44
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5F140CC01
5F140CE05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】総合性能を向上させられる半導体デバイス及びその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体デバイスは、第1領域1及び第2領域2を含む基板110、第1領域1及び第2領域2に設けられるとともに、基板の表面よりも低くなっており、開口を形成するシャロートレンチアイソレーション構造150、開口内及び基板上に設けられ、且つ、第2領域における高さが第1領域における高さよりも大きい誘電体層180、誘電体層上に設けられるゲート22、基板上に設けられ、且つ、ゲートの一方の側に位置するソース21及び基板上に設けられ、且つ、ゲートの他方の側に位置するドレイン23、を含む。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1領域及び第2領域を含む基板、
前記第1領域及び前記第2領域に設けられるとともに、前記基板の表面よりも低くなっており、開口を形成するシャロートレンチアイソレーション構造、
前記開口内及び前記基板上に設けられ、且つ、前記第2領域における高さが前記第1領域における高さよりも大きい誘電体層、
前記誘電体層上に設けられるゲート、
前記基板上に設けられ、且つ、前記ゲートの一方の側に位置するソース、及び
前記基板上に設けられ、且つ、前記ゲートの他方の側に位置するドレイン、を含むことを特徴とする半導体デバイス。
【請求項2】
前記シャロートレンチアイソレーション構造は、前記基板の表面より10~30nm低いことを特徴とする請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
前記半導体デバイスは側壁構造を含み、且つ、前記側壁構造は前記ゲートの両側に位置するとともに、前記誘電体層上に位置することを特徴とする請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記側壁構造は、単層の絶縁層であるか、絶縁層と応力層との積層構造であることを特徴とする請求項3に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
前記半導体デバイスはパッシベーション層を含み、且つ、前記パッシベーション層は、前記ゲート、前記側壁構造及び前記誘電体層上に設けられることを特徴とする請求項3に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
前記ゲートは第1メタルゲートを含み、且つ、前記第1メタルゲートの両側における前記基板内には応力領域が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の半導体デバイス。
【請求項7】
前記応力領域は、前記第1メタルゲートの底部に向かって延伸するとともに、前記側壁構造と前記第1メタルゲートとの接続箇所まで延伸していることを特徴とする請求項6に記載の半導体デバイス。
【請求項8】
前記ゲートは第2メタルゲートを含み、且つ、前記第2メタルゲートの両側における基板内には低濃度不純物領域が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項9】
前記第1領域における前記誘電体層の厚さは2~5nmであり、前記第2領域における前記誘電体層の厚さは4~8nmであることを特徴とする請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項10】
前記ゲートは、単層金属、多層金属、又は金属と金属化合物との積層構造であることを特徴とする請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項11】
基板を提供し、前記基板は第1領域及び第2領域を含み、
前記第1領域及び前記第2領域上に複数のシャロートレンチアイソレーション構造を形成し、
前記基板上のパッド酸化層を除去する際に、エッチング時間を延長することで、前記シャロートレンチアイソレーション構造の一部を除去し、
前記シャロートレンチアイソレーション構造上に前記基板の表面よりも低い開口を形成し、
前記開口内及び前記基板上に誘電体層を形成し、且つ、前記誘電体層は前記第2領域における高さが前記第1領域における高さよりも大きく、
前記誘電体層上にゲートを形成し、
前記基板上にソースを形成し、且つ、前記ソースは前記ゲートの一方の側に位置し、
前記基板上にドレインを形成し、且つ、前記ドレインは前記ゲートの他方の側に位置することを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体の技術分野に属し、特に、半導体デバイス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの絶え間ない集積度の向上に伴い、半導体デバイスの微細化が半導体デバイスの全般的な傾向となっている。また、例えば、同一基板上に異なるタイプのトランジスタを作製し、異なるトランジスタ間をシャロートレンチアイソレーション構造で分離するというように、複数のタイプのデバイスを集積して製造せねばならないことも多い。しかし、トランジスタのサイズが小さいほど、トランジスタには、ゲートリーク電流、ボロン浸透効果、及びトランジスタ辺縁のシャロートレンチアイソレーション構造に出現する凹み等といった数多くの問題が生じやすくなり、トランジスタの電気性能の減衰や、半導体デバイスの効果の低下が招来される。
【0003】
よって、如何にして高性能の半導体デバイスを取得するかが早急に解決を要する課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、半導体デバイス及びその製造方法を提供することである。本発明で提供する半導体デバイス及びその製造方法によれば、半導体デバイスの総合性能を向上させられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の技術的課題を解決するために、本発明は以下の技術方案によって実現される。
【0006】
本発明は、第1領域及び第2領域を含む基板、前記第1領域及び前記第2領域に設けられるとともに、前記基板の表面よりも低くなっており、開口を形成するシャロートレンチアイソレーション構造、前記開口内及び前記基板上に設けられ、且つ、前記第2領域における高さが前記第1領域における高さよりも大きい誘電体層、前記誘電体層上に設けられるゲート、前記基板上に設けられ、且つ、前記ゲートの一方の側に位置するソース、及び、前記基板上に設けられ、且つ、前記ゲートの他方の側に位置するドレイン、を少なくとも含む半導体デバイスを提供する。
【0007】
本発明の一実施例において、前記シャロートレンチアイソレーション構造は、前記基板の表面より10~30nm低い。
【0008】
本発明の一実施例において、前記半導体デバイスは側壁構造を含む。且つ、前記側壁構造は前記ゲートの両側に位置するとともに、前記誘電体層上に位置する。
【0009】
本発明の一実施例において、前記側壁構造は、単層の絶縁層であるか、絶縁層と応力層との積層構造である。
【0010】
本発明の一実施例において、前記半導体デバイスはパッシベーション層を含み、且つ、前記パッシベーション層は、前記ゲート、前記側壁構造及び前記誘電体層上に設けられる。
【0011】
本発明の一実施例において、前記ゲートは第1メタルゲートを含み、且つ、前記第1メタルゲートの両側における前記基板内には応力領域が設けられている。
【0012】
本発明の一実施例において、前記応力領域は、前記第1メタルゲートの底部に向かって延伸するとともに、前記側壁構造と前記第1メタルゲートとの接続箇所まで延伸している。
【0013】
本発明の一実施例において、前記ゲートは第2メタルゲートを含み、且つ、前記第2メタルゲートの両側における前記基板内には低濃度不純物領域が設けられている。
【0014】
本発明の一実施例において、前記第1領域における前記誘電体層の厚さは2~5nmであり、前記第2領域における前記誘電体層の厚さは4~8nmである。
【0015】
本発明の一実施例において、前記ゲートは、単層金属、多層金属、又は、金属と金属化合物との積層構造である。
【0016】
本発明は、基板を提供し、前記基板は第1領域及び第2領域を含み、前記第1領域及び前記第2領域上に複数のシャロートレンチアイソレーション構造を形成し、前記基板上のパッド酸化層を除去する際に、エッチング時間を延長することで、前記シャロートレンチアイソレーション構造の一部を除去し、前記シャロートレンチアイソレーション構造上に前記基板の表面よりも低い開口を形成し、前記開口内及び前記基板上に誘電体層を形成し、且つ、前記誘電体層は前記第2領域における高さが前記第1領域における高さよりも大きく、前記誘電体層上にゲートを形成し、前記基板上にソースを形成し、且つ、前記ソースは前記ゲートの一方の側に位置し、前記基板上にドレインを形成し、且つ、前記ドレインは前記ゲートの他方の側に位置する半導体デバイスの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明で提供する半導体デバイス及びその製造方法によれば、シャロートレンチアイソレーション構造の辺縁における凹み現象を減らせるため、半導体デバイスの電気性能が向上する。また、製造過程では、フォトマスクの数が追加されないため、製造フローが簡略化され、コストが低下する。且つ、半導体デバイスの実効チャネル幅を増加させられるため、半導体デバイスのパフォーマンスが強化される。以上述べたように、本発明で提供する半導体デバイス及びその製造方法によれば、半導体デバイスの性能を向上させられる。
【0018】
当然ながら、本発明を実施するいずれかの製品は、必ずしも上述した全ての利点を同時に達成せねばならないわけではない。
【0019】
本発明の実施例に係る技術方案につきより明瞭に説明するために、以下に、実施例の記載において使用を要する図面について簡単に説明する。なお、言うまでもなく、以下で記載する図面は本発明の一部の実施例にすぎず、当業者であれば、創造的労働を要さないことを前提に、これらの図面からその他の図面を得ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、一実施例における基板の分布の概略図である。
【
図2】
図2は、一実施例におけるシャロートレンチアイソレーション構造の概略図である。
【
図3】
図3は、一実施例におけるウェル分布の概略図である。
【
図4】
図4は、一実施例における開口の概略図である。
【
図5】
図5は、一実施例における誘電体層の概略図である。
【
図6】
図6は、一実施例におけるダミーゲートの概略図である。
【
図7】
図7は、一実施例における側壁構造の概略図である。
【
図8】
図8は、一実施例における低濃度不純物領域の概略構造図である。
【
図9】
図9は、一実施例における応力領域形成の概略図である。
【
図10】
図10は、一実施例における応力領域形成の概略図である。
【
図11】
図11は、一実施例における応力領域形成の概略図である。
【
図12】
図12は、一実施例における自己整合シリサイドバリア層の概略図である。
【
図13】
図13は、一実施例におけるポリシリコン層除去の概略図である。
【
図14】
図14は、一実施例におけるメタルゲートの概略図である。
【
図15】
図15は、一実施例における基板上の第1メタルゲートの概略構造図である。
【
図16】
図16は、一実施例における基板上の第2メタルゲートの概略構造図である。
【
図17】
図17は、一実施例におけるパッシベーション層の概略図である。
【
図18】
図18は、一実施例におけるPMOSトランジスタ及びNMOSトランジスタを有する半導体デバイスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、特定の具体的実施例によって本発明の実施形態につき説明する。なお、当業者であれば、本明細書で開示する内容から本発明のその他の利点及び効果を容易に理解することが可能である。更に、本発明は、その他の異なる具体的実施形態によっても実施又は応用可能である。また、本明細書における各詳細事項は、異なる視点及び応用に基づき、本発明の精神を逸脱しないことを前提に各種の補足又は変更を加えてもよい。
【0022】
説明すべき点として、本実施例で提供する図面は本発明の基本思想を概略的に説明するためのものにすぎない。図面には本発明に関連するアセンブリのみを示しており、実際に実施する際のアセンブリの数、形状及びサイズに基づき記載しているわけではない。実際に実施する際の各アセンブリの形態、数量及び比率は任意に変更してもよく、且つ、アセンブリのレイアウトや形態がより複雑になることもある。
【0023】
本発明において、説明すべき点として、「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内」、「外」等の用語が見られる場合には、それらで示される方向又は位置関係は図示に基づく方向又は位置関係であって、本願の記載の便宜上及び記載の簡略化のためのものにすぎず、対象となる装置又は部材が特定の方向を有し、特定の方向で構成及び操作されねばならないことを明示又は暗示するものではない。よって、本願を制限するものと解釈すべきではない。また、「第1」、「第2」との用語が見られる場合には、記載及び区別を目的としているにすぎず、相対的な重要性を明示又は暗示するものと解釈すべきではない。
【0024】
本発明は、同一基板の異なる領域に機能の異なる半導体デバイスを作製することが可能であり、且つ各半導体デバイスが優れた性能を有する半導体デバイス及びその製造方法を提供する。また、本発明で提供する半導体デバイスの製造方法は、各種の微細半導体デバイスの製造プロセスに幅広く応用可能である。
【0025】
図1を参照して、本発明の一実施例において、基板110は、例えば第1領域1及び第2領域2を含む。且つ、第1領域1及び第2領域2内には、例えば、P型金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(Positive Channel Metal Oxide Semiconductor,PMOS)及びN型金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(Negative Channel Metal Oxide Semiconductor,NMOS)を含む複数の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor,MOS)の設置が可能である。且つ、PMOSトランジスタとNMOSトランジスタは交互に配列される。同一基板の異なる領域に半導体デバイスを作製することで、生産効率が向上し、生産コストが低下する。
【0026】
図1を参照して、本発明の一実施例では、まず、基板110を提供する。且つ、基板110は、形成に適した任意の材料(例えば、シリコンウェハ、ゲルマニウム基板、シリコンゲルマニウム、SOI(Silicon on Insulator)又はSSOI(Stacked Silicon on Insulator)等)とすることができる。本発明では、基板110の種類や厚さを特に制限しない。本実施例では、例えば、基板110にシリコンウェハを選択して詳述する。且つ、例えば、基板110はP型シリコンウェハである。また、基板110は、例えば第1領域1及び第2領域2を含む。第1領域1には、例えば、デバイス内部に使用される一般的には動作電圧の低いCore MOSが設けられる。第2領域2には、例えば、Core MOSトランジスタに対応する辺縁金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(即ち、IO MOSトランジスタ)が設けられる。IO MOSトランジスタは、一般的にチップと外部インターフェースとのインタラクションに用いられ、動作電圧はCore MOSトランジスタの動作電圧よりも高い。本実施例では、第1領域1が1つのPMOSトランジスタ及びNMOSトランジスタを含み、第2領域2が1つのPMOSトランジスタ及びNMOSトランジスタを含む場合を例示して詳述する。且つ、PMOSトランジスタとNMOSトランジスタは交互に分布する。また、PMOSトランジスタとNMOSトランジスタの間は、シャロートレンチアイソレーション構造により分離される。
【0027】
図1を参照して、本発明の一実施例では、基板110上に複数のシャロートレンチアイソレーション構造を形成する。具体的には、基板110上にパッド酸化層120を形成する。且つ、パッド酸化層120は、例えば緻密な酸化ケイ素等の材料からなる。パッド酸化層120は、例えば、熱酸化法、その場水蒸気発生法(In-Situ Steam Generation)又は化学気相成長(Chemical Vapor Deposition,CVD)等の方法で作製可能である。また、パッド酸化層120上にパッド窒化層130を形成する。且つ、パッド窒化層130は、例えば、窒化ケイ素、又は、窒化ケイ素と酸化ケイ素の混合物である。パッド窒化層130は、化学気相成長等の方法で形成可能である。シャロートレンチアイソレーション構造の形成過程において、パッド酸化層120は、基板110とパッド酸化層120の間の応力を改善可能であるとともに、イオン注入を行ってウェルを形成する際に、基板110を保護することで、高エネルギーのイオンによる基板110の損傷を防止することも可能である。また、パッド窒化層130上にパターニングフォトレジスト層140を形成し、パターニングフォトレジスト層140上に複数の第1凹部141を設ける。第1凹部141は、シャロートレンチアイソレーション構造の位置を規定するために用いられる。且つ、第1凹部141はパッド窒化層130を露出させる。
【0028】
図1~
図2を参照して、本発明の一実施例では、パターニングフォトレジスト層140を形成したあと、パターニングフォトレジスト層140をマスクとして、例えばドライエッチングにより基板110の方向にエッチングを行うことで浅い溝を形成する。また、エッチングガスは、例えば、塩素(Cl
2)、フルオロホルム(CHF
3)、ジフルオロメタン(CH
2F
2)、三フッ化窒素(NF
3)、六フッ化硫黄(SF
6)又は臭化水素(HBr)等のうちの1種類又は複数種類の混合とすることができる。浅い溝内には、例えば熱酸化法によってライニング酸化層(図示しない)を形成する。これにより、浅い溝の形成過程で生じたエッチング損傷を修復し、半導体デバイスのリーク電流を減少させる。また、浅い溝内に、例えば高密度プラズマ化学気相成長(High Density Plasma CVD,HDP-CVD)又は高アスペクト比化学気相成長(High Aspect Ratio Process CVD,HARP-CVD)等の方式で分離誘電体を堆積させる。且つ、分離誘電体は、例えば酸化ケイ素等の絶縁物質である。分離誘電体の堆積が完了したあとは、例えば、化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing,CMP)プロセスによって分離誘電体及びパッド窒化層130を平坦化し、シャロートレンチアイソレーション構造150を形成する。且つ、シャロートレンチアイソレーション構造150と両側のパッド酸化層120は面一となる。
【0029】
図3を参照して、本発明の一実施例では、シャロートレンチアイソレーション構造150の作製が完了したあと、基板110に対しイオン注入を行うことで異なるウェルを形成する。まず、高注入エネルギーで、基板110よりも高濃度のドーピングイオンを注入する。即ち、基板110内に第1ウェル160を形成する。また、NMOSトランジスタの形成領域に、高注入エネルギーで、第1ウェル160よりも高濃度のドーピングイオンを注入することで第2ウェル170を形成する。且つ、第2ウェル170は、一部の第1ウェル160上に位置する。本実施例において、第1ウェル160と第2ウェル170のタイプは異なっている。例えば、第1ウェル160はN型ディープウェルとし、ドーピングイオンは、リン(P)、ヒ素(As)又はアルミニウム(Al)等とする。また、例えば、第2ウェル170はP型ディープウェルとし、ドーピングイオンはホウ素(B)又はガリウム(Ga)等とする。第1ウェル160及び第2ウェル170を形成したあと、第1ウェル160及び第2ウェル170に対しラピッドサーマルアニールプロセス(Rapid Thermal Anneal,RTA)を実施する。本実施例において、アニール温度は例えば1000~1400℃とし、アニール時間は例えば1~3hとする。且つ、アニールプロセスは安定的なガス雰囲気下で実施し、例えば、窒素ガス雰囲気下で実施する。アニールプロセスによって、第1ウェル160及び第2ウェル170のイオンを適切な深さまで注入するとともに、半導体デバイスの抗アバランシェ・ブレークダウン能力を向上させる。
【0030】
図3~
図4を参照して、本発明の一実施例では、第1ウェル160及び第2ウェル170を形成したあと、パッド酸化層120を除去する。本実施例では、例えば、ウェットエッチングによりパッド酸化層120を除去する。且つ、例えば、ウェットエッチング液にフッ化水素酸を選択し、常温でエッチングを行う。また、その他の実施例では、別のエッチング方式を採用してもよく、具体的な製造要求に従って選択すればよい。且つ、パッド酸化層120を除去する際には、エッチング時間を延長することで、一部のシャロートレンチアイソレーション構造150内の分離誘電体を除去し、開口11を形成する。且つ、例えば、開口11の深さは10~30nmとする。即ち、エッチング後の開口11の下面は両側の基板110の表面よりも低くなり、高低差は例えば10~30nmとなる。開口11を設けることで、パッド酸化層120を除去する際にシャロートレンチアイソレーション構造150の辺縁に凹みが形成されるとの事態の回避が可能となるため、リーク電流の発生が減少し、半導体デバイスの電気性能が向上する。且つ、パッド酸化層120の除去及び開口11の形成を同一プロセス内で行うことで、フォトマスクの数が変わらず、フォトレジスト及びエッチングのステップが増加しないため、コストが低下する。
【0031】
図5及び
図15を参照して、本発明の一実施例では、開口11を形成したあと、開口11内及び基板110上に高誘電率の材料を堆積し、半導体デバイスのゲート誘電体層として誘電体層180を形成する。本実施例において、誘電体層180は、例えば、原子層堆積法(Atomic Layer Deposition,ALD)、有機金属気相成長法(Metal-Organic Chemical Vapor Deposition,MOCVD)、分子線エピタキシー法(Molecular BeamEpitaxy,MBE)、化学気相成長法又は物理気相成長法(Physical Vapor Deposition,PVD)等の方法で形成可能である。且つ、誘電体層180は、例えば、酸化ハフニウム(HfO
2)、酸窒化ハフニウム(HfON)、ジルコニア(ZrO
2)、酸窒化ジルコニウム(ZrON)、酸窒化ケイ酸ジルコニウム(ZrSiON)、ケイ酸ハフニウム(HfSiO)、窒化ハフニウムシリケート(HfSiON)、ハフニウムランタン酸窒化物(HfLaON)又はハフニウム・アルミネート(HfAlO)等のうちの1種類又は複数種類の混合からなる。なお、誘電体層180には高誘電率の誘電体材料を選択することから、基板110との界面品質に劣る。そこで、誘電体層180を堆積する前に、例えば、その場水蒸気発生(In-Situ Steam Generation,ISSG)により基板110上及び開口11の側壁に界面層111を形成する。且つ、誘電体層180と基板110の間の界面品質を改善するために、例えば、界面層111の厚さは0.5~1.5nmとする。誘電体層180の堆積が完了すると、誘電体層180に対し平坦化プロセスを実施する。第2領域2のトランジスタの動作電圧は高いため、第1領域1と第2領域2において、誘電体層180の残留厚さは異なる。本実施例において、第1領域1のウェル上における誘電体層180の厚さは例えば2~5nmであり、第2領域2のウェル上における誘電体層180の厚さは例えば4~8nmである。これにより、第2領域2におけるトランジスタの耐圧性を向上させることができる。開口11及び誘電体層180を設けることで、後工程のトランジスタの実効チャネル幅が増加するため、デバイスの性能が向上し、リーク電流現象が減少する。
【0032】
図6を参照して、本発明の一実施例では、誘電体層180を形成したあと、誘電体層180上にダミーゲート190を形成する。具体的には、誘電体層180上に、保護層191、ポリシリコン層192、遮蔽層193及び反射防止層194を順に形成する。本実施例において、例えば、保護層191は窒化チタン等である。且つ、例えば、原子層堆積法(Atomic Layer Deposition,ALD)によって保護層191を作製する。保護層191を設けることで、後続の製造過程において、誘電体層180の汚染又は損傷の防止が可能となるため、後に作製されるメタルゲートの性能を向上させられる。ポリシリコン層192は、例えば、N型ドーピングされたポリシリコン層である。これにより、後続の製造プロセスにおいて、ポリシリコン層192の除去速度を向上させられる。遮蔽層193は、例えば、窒化ケイ素、窒化チタン又は炭窒化ケイ素等のうちの1種類又は複数種類である。また、例えば、反射防止層194は酸窒化ケイ素等の反射材量である。これにより、ダミーゲート190の形成過程において、ダミーゲート190の構造の完全性が確実に保証される。反射防止層194上にパターニングされたフォトレジスト層(図示しない)を形成したあと、反射防止層194、遮蔽層193、ポリシリコン層192及び保護層191に対しエッチングを行う。且つ、誘電体層180をエッチング停止層とする。積層された柱状構造を誘電体層180上に形成し、遮蔽層193及び反射防止層194を除去することで、誘電体層180上にダミーゲート190を形成する。且つ、ダミーゲート190は第1ウェル160及び第2ウェル170上に位置する。
【0033】
図7を参照して、本発明の一実施例では、ダミーゲート190を形成したあと、ダミーゲート190の両側に側壁構造200を形成する。即ち、側壁構造200はダミーゲート190の側面に形成される。且つ、側壁構造200は誘電体層180上に位置する。側壁構造200の辺縁は、ダミーゲート190の下方に位置する誘電体層180の辺縁と重なり合う。本実施例において、側壁構造200は積層構造をなしている。側壁構造200は、例えば、第1絶縁層201、第1応力層202、第2絶縁層203及び第2応力層204を含む。絶縁層は、例えば、酸化ケイ素等であり、応力層は、例えば、窒化ケイ素等である。即ち、側壁構造200は、酸化ケイ素層/窒化ケイ素層の積層である。応力層は、ダミーゲート190の除去過程で側壁構造の安定性を確実に保証可能とし、側壁構造の内傾に起因して生じる後工程のゲート堆積のムラを減少させる。これにより、ゲート構造の均一性を向上させることで、半導体構造の閾値電圧の安定性を向上させる。また、その他の実施例では、側壁構造200を単層の絶縁層又はその他の構造としてもよい。なお、側壁構造を多層構造とすることで、後続の製造プロセスにおける側壁構造の損失が減少する。
【0034】
図8~
図9を参照して、本発明の一実施例では、側壁構造200を形成したあと、第2ウェル170内に低濃度不純物領域210を形成する。且つ、低濃度不純物領域210は、側壁構造200とシャロートレンチアイソレーション構造150の間に位置し、側壁構造200及びシャロートレンチアイソレーション構造150と隣接する。これにより、形成されるトランジスタの短チャネル効果が改善される。具体的には、低注入エネルギーでドーピングイオンを注入する。よって、形成される低濃度不純物領域210は第2ウェル170における誘電体層180に近接する側に位置する。また、注入するドーピングイオンは、例えば、リン、ヒ素又はアルミニウム等のN型イオンである。低濃度不純物領域210は、NMOSトランジスタのソース又はドレイン領域とすることができる。低濃度不純物領域210を形成したあと、シャロートレンチアイソレーション構造150、第1ウェル160及び第2ウェル170上の誘電体層180を除去し、ダミーゲート190及び側壁構造200で覆われた領域の誘電体層180は残留させる。また、開口11内の誘電体層180を残留させるとともに、開口11内の誘電体層180と基板110を面一とする。本実施例において、誘電体層180は、ドライエッチング、ウェットエッチング、又はドライエッチングとウェットエッチングの組み合わせにより除去可能である。低濃度不純物領域210の形成後に誘電体層180を除去することで、低濃度不純物領域210の形成時における第2ウェル170の損傷を防止できる。これにより、半導体デバイスの性能を向上させる。
【0035】
図10~
図11を参照して、本発明の一実施例では、誘電体層180を除去したあと、第1ウェル160上に凹溝12を形成する。且つ、凹溝12は、側壁構造200とシャロートレンチアイソレーション構造150の間に位置するとともに、側壁構造200及びシャロートレンチアイソレーション構造150と隣接する。具体的に、基板110上にパターニングされたフォトレジスト層(図示しない)を形成し、第1ウェル160上の側壁構造200の両側における基板110をドライエッチング又はウェットエッチングすることで凹溝12を形成する。本実施例において、凹溝12の側壁は開口した多角形をなすよう設けられるため、後に堆積される応力領域220とトランジスタのチャネル領域との接触面積を拡大させられる。これにより、チャネル領域が受ける応力の作用が向上するため、チャネル領域内の移動度が向上する。また、凹溝12内に半導体材料を堆積して応力領域220を形成する。且つ、応力領域220は、PMOSトランジスタのソース領域又はドレイン領域とすることができる。本実施例において、例えば、応力領域220はシリコンゲルマニウム(SiGe)である。且つ、SiGeはP型不純物をドーピングしたSiGeである。応力領域220の形状は凹溝12の形状と一致しており、例えば多角形形状をなす。且つ、多角形の一辺はシャロートレンチアイソレーション構造150と隣接する。応力領域220はダミーゲート190の底部に向かって延伸するとともに、側壁構造200とダミーゲート190との接続箇所まで延伸する。応力領域220を側壁構造200とダミーゲート190との接続箇所まで延伸するよう設けることで、応力領域220がダミーゲート190の底部まで延伸したときに生じるリーク電流現象を回避することが可能となる。且つ、応力領域220が側壁構造200とダミーゲート190との接続箇所まで延伸しない場合には、応力領域220間のチャネル領域の幅が大きくなり、キャリア移動度が低下するため、半導体デバイスの性能に影響する。よって、応力領域220を側壁構造200とダミーゲート190との接続箇所まで延伸させることで、半導体デバイスの電気性能を最適パフォーマンスとすることができる。本実施例において、応力領域220は、例えば、低温エピタキシャルプロセスにより堆積させて作製する。また、使用する低温エピタキシャルプロセスの外部供給ガスには、ゲルマニウムソースガス、シリコンソースガス、塩化水素ガス及び水素ガス等が含まれる。ゲルマニウムソースガスとシリコンソースガスの比率を調整することで、応力領域220内のゲルマニウムの比率を調節する。且つ、応力領域220内のゲルマニウムの比率は、例えば、20~40%である。ゲルマニウムの含有量を制御することで、応力領域220と凹溝12の内壁との格子定数差を減少させられるため、応力領域220内の欠陥が減少する。応力領域220を形成したあと、低濃度不純物領域210及び応力領域220を活性化させる。例えば、基板110に対しラピッドサーマルアニールを実施する。ラピッドサーマルアニールによって、製造過程で発生した格子欠陥の修復、ドーピングイオンの活性化、及びドーピングイオン拡散の最小化を三者の間で最適化させて、応力層及び低濃度不純物領域を活性化させられる。且つ、ラピッドサーマルアニールにより過渡増速拡散も減少させられる。
【0036】
図12を参照して、本発明の一実施例では、ダミーゲート190、低濃度不純物領域210及び応力領域220に自己整合シリサイドバリア層(Self-Aligned Block,SAB)230を形成する。具体的には、誘電体層180、ダミーゲート190、低濃度不純物領域210及び応力領域220上に金属層(図示しない)を形成する。且つ、金属層は、例えば、チタン層(Ti)、コバルト層(Co)又はニッケル層(Ni)等である。その後、基板110に対し一次アニーリングを行う。例えば、一次アニーリングの温度は300~350℃である。これにより、金属原子をダミーゲート190、低濃度不純物領域210又は応力領域220内のシリコン原子と反応させて、中間シリサイド層を形成する。その後、未反応の金属層を化学溶液により選択的に除去し、中間シリサイド層に対し二次アニーリングを行う。二次アニーリングの温度は一次アニーリングの温度よりも高い。例えば、二次アニーリングの温度は400~500℃である。中間シリサイド層は、アニーリング後にシリサイド層に転化する。即ち、自己整合シリサイドバリア層230となる。自己整合シリサイドバリア層230は良好な熱安定性を有し、デバイスの電気抵抗の低下を可能とする。これにより、後期に作製される金属電極との接触が良好となるよう保証する。
【0037】
図6及び
図13を参照して、本発明の一実施例では、自己整合シリサイドバリア層230を形成したあと、ダミーゲート190の天井部における自己整合シリサイドバリア層230及びダミーゲート190内のポリシリコン層192を除去し、ダミーゲート190内の保護層191は残留させることで溝13を形成する。即ち、溝13は保護層191を露出させる。ポリシリコン層192を除去する際には、ドライエッチング、ウェットエッチング、又はドライエッチングとウェットエッチングの組み合わせを採用可能である。ドライエッチングを採用する際には、塩素ガス、臭素ガス、ヘリウムガス、臭化水素、又はこれらのうちの少なくとも1つのガスと酸素ガスとの混合ガスを選択可能である。ドライエッチングは、異方性及び選択性に優れ、且つエッチング効率が高い。また、ウェットエッチングを採用する際には、水酸化テトラメチルアンモニウム溶液又は水酸化カリウム溶液を選択してポリシリコン層192を除去可能である。ウェットエッチングを採用する場合には、操作が容易であり、機器に対する要求が低く、大量生産しやすいとの利点がある。エッチング過程では、側壁構造200を残留させてメタルゲートの位置決めに用いるとともに、後期に作製するメタルゲートの側壁構造とする。
【0038】
図14~
図16を参照して、本発明の一実施例では、溝13を形成したあと、溝13内に金属を堆積することでメタルゲート260を形成する。且つ、メタルゲート260は、例えば、単層金属、多層金属又は金属化合物の積層等の構造をなす。メタルゲート260は、第1メタルゲート240及び第2メタルゲート250を含む。第1メタルゲート240はPMOSトランジスタのメタルゲートであり、第2メタルゲート250はNMOSトランジスタのメタルゲートである。
【0039】
図14~
図15を参照する。本発明の一実施例において、
図15は、基板110上の第1メタルゲート240の概略構造図である。第1メタルゲート240は、誘電体層180、保護層191、第1バリア層241、第1仕事関数金属層242及び第1金属導電層243を含む。誘電体層180は高誘電率の誘電体層である。保護層191は、ダミーゲートの形成過程で形成され、誘電体層180の損傷を減少させる。第1バリア層241は保護層191上に形成される。第1バリア層241の材料は、窒化チタン(TiN)又は窒化タンタル(TaN)等の金属化合物又はその積層とすることができる。本実施例において、第1バリア層241は窒化チタン層又は窒化タンタル層を含む。窒化タンタル層は保護層191上に設けられ、窒化チタン層は窒化タンタル層上に設けられる。且つ、第1バリア層241は、原子層堆積、物理気相成長又は化学気相成長等の方法で形成可能である。第1仕事関数金属層242は第1バリア層241上に設けられる。且つ、例えば、第1仕事関数金属層242はP型仕事関数金属層であり、材料を、窒化タンタル、窒化チタン、チタンアルミナイド(TiAl)、チタニウムアルミニウムナイトライド(TiAIN)又は窒化タングステン(WN)等のうちの1層又は積層とすることができる。本実施例において、例えば、第1仕事関数金属層242は、チタンアルミナイド層と窒化チタンの積層である。チタンアルミナイド層は第1バリア層241上に設けられ、窒化チタンはチタンアルミナイド層上に設けられる。且つ、第1仕事関数金属層242は、例えば、プラズマ励起化学気相堆積法(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition,PECVD)、原子層堆積又は物理気相成長等の方法で形成される。また、第1仕事関数金属層242上に第1金属導電層243を形成する。且つ、第1金属導電層243は、例えば、金属タングステン、銅又は銀等の導電性が良好な金属であり、トランジスタの電気性能を向上させる。第1金属導電層243は、例えば、マグネトロンスパッタリング又は蒸着等の方式で形成される。第1金属導電層243を形成したあとは、平坦化プロセスを行って、第1金属導電層243の平坦度を向上させる。
【0040】
図14及び
図16を参照する。本発明の一実施例において、
図16は、基板110上の第2メタルゲート250の概略構造図である。第2メタルゲート250は、誘電体層180、保護層191、第2バリア層251、第2仕事関数金属層252及び第2金属導電層253を含む。誘電体層180は高誘電率の誘電体層である。保護層191は、ダミーゲートの形成過程で形成され、誘電体層180の損傷を減少させる。第2バリア層251は保護層191上に形成される。第2バリア層251の材料は、窒化チタン又は窒化タンタル等の金属化合物又はその積層とすることができる。本実施例において、例えば、第2バリア層251は窒化タンタル層である。且つ、第2バリア層251は、原子層堆積、物理気相成長又は化学気相成長等の方法で形成可能である。第2仕事関数金属層252は第2バリア層251上に設けられる。且つ、例えば、第2仕事関数金属層252はN型仕事関数金属層であり、材料を、窒化タンタル、窒化チタン、チタンアルミナイド、チタニウムアルミニウムナイトライド又は窒化タングステン等のうちの1層又は積層とすることができる。本実施例において、例えば、第2仕事関数金属層252は、チタンアルミナイド層と窒化チタンの積層である。チタンアルミナイド層は第2バリア層251上に設けられ、窒化チタンはチタンアルミナイド層上に設けられる。且つ、第2仕事関数金属層252は、例えば、プラズマ励起化学気相堆積法、原子層堆積又は物理気相成長等の方法で形成される。また、第2仕事関数金属層252上に第2金属導電層253を形成する。且つ、第2金属導電層253は、例えば、金属タングステン、銅又は銀等の導電性が良好な金属であり、トランジスタの電気性能を向上させる。第2金属導電層253は、例えば、マグネトロンスパッタリング又は蒸着等の方式で形成される。第2金属導電層253を形成したあとは、平坦化プロセスを行って、第2金属導電層253の平坦度を向上させる。本実施例において、NMOSトランジスタとPMOSトランジスタのメタルゲートにおける金属導電層は、接続してもよいし、互いに切り離してもよく、実際の生産に応じて調整すればよい。且つ、金属導電層を接続する場合、金属導電層は、シャロートレンチアイソレーション構造150上の高さが基板110上の高さよりも小さくなる。シャロートレンチアイソレーション構造150上の金属導電層の高さは基板110上の高さよりも低く、且つ、例えば高低差は5nm以上である。
【0041】
図17を参照して、本発明の一実施例では、メタルゲート260を形成したあと、基板110におけるメタルゲート260に近接する側にパッシベーション層270を形成する。即ち、パッシベーション層270は、メタルゲート260、誘電体層180、自己整合シリサイドバリア層230及び側壁構造200を覆う。パッシベーション層270は、メタルゲート260及び自己整合シリサイドバリア層230の位置上に、金属電極の位置決め及び金属電極の接続のためにメタルゲート260及び自己整合シリサイドバリア層230を露出させる第2凹部14が設けられている。本実施例において、例えば、パッシベーション層270は酸化ケイ素又は酸化チタン等の絶縁材料であり、デバイスを保護するとともに、デバイスの耐圧性の向上を可能とする。パッシベーション層270を設けることで、デバイスの使用寿命の向上及びデバイス性能の向上が可能となる。
【0042】
図17~
図18を参照して、本発明の一実施例では、前記基板110上に絶縁層280を形成する。絶縁層は基板110の全表面を覆う。且つ、例えば、絶縁層280は酸化ケイ素層とする。絶縁層280を形成したあと、平坦化プロセスを行うとともに、絶縁層280上に複数の通路を設ける。通路は第2凹部14上に位置する。且つ、通路は、メタルゲート260及び自己整合シリサイドバリア層230を露出させる。また、通路内には、例えば、タングステン、銅又は銀等の金属からなる金属接続線が設けられ、電極を形成する。電極は、ソース21、ゲート22及びドレイン23を含む。ソース21は、メタルゲート260の一方の側に位置し、自己整合シリサイドバリア層230に接続される。また、ゲート22は、メタルゲート260上に設けられ、メタルゲート260の金属導電層に接続される。ドレイン23は、メタルゲート260の他方の側に設けられ、自己整合シリサイドバリア層230に接続される。
【0043】
以上述べたように、本発明は、半導体デバイス及びその製造方法を提供する。当該方法では、ダミーゲートを形成する前に誘電体層を形成することで、半導体デバイスの電気性能を向上させる。且つ、半導体デバイスの実効チャネル幅を増加させられるため、半導体デバイスのパフォーマンスが強化される。また、同一基板上の機能の異なる半導体デバイスの性能が向上するため、高品質の半導体デバイスが得られる。
【0044】
以上で開示した本発明の実施例は、本発明の詳述を補助するものにすぎない。実施例は、全ての詳細事項を記載し尽くしたものではなく、当該発明を上記の具体的実施形態にのみ制限するものでもない。言うまでもなく、本明細書の内容に基づいて多くの修正及び変更を実施可能である。本明細書で上記の実施例を選択し、具体的に記載したのは、本発明の原理及び実際の応用をよりしっかりと説明することで、当業者が本発明をよりよく理解し、利用可能となることを意図している。本発明は、請求項及びその全ての範囲ならびに等価物の制約のみを受ける。
【符号の説明】
【0045】
110 基板
120 パッド酸化層
130 パッド窒化層
140 パターニングフォトレジスト層
141 第1凹部
150 シャロートレンチアイソレーション構造
160 第1ウェル
170 第2ウェル
180 誘電体層
190 ダミーゲート
191 保護層
192 ポリシリコン層
193 遮蔽層
194 反射防止層
200 側壁構造
201 第1絶縁層
202 第1応力層
203 第2絶縁層
204 第2応力層
210 低濃度不純物領域
220 応力領域
230 自己整合シリサイドバリア層
240 第1メタルゲート
241 第1バリア層
242 第1仕事関数金属層
243 第1金属導電層
250 第2メタルゲート
251 第2バリア層
252 第2仕事関数金属層
253 第2金属導電層
260 メタルゲート
270 パッシベーション層
280 絶縁層
11 開口
12 凹溝
13 溝
14 第2凹部
21 ソース
22 ゲート
23 ドレイン