(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096001
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】絶縁構造および二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/591 20210101AFI20240704BHJP
H01M 50/586 20210101ALI20240704BHJP
【FI】
H01M50/591
H01M50/586
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023205651
(22)【出願日】2023-12-05
(31)【優先権主張番号】202223593081.X
(32)【優先日】2022-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社AESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】車 佩佩
(72)【発明者】
【氏名】曹 生榮
(72)【発明者】
【氏名】錢 佳
(72)【発明者】
【氏名】張 杰
【テーマコード(参考)】
5H043
【Fターム(参考)】
5H043AA04
5H043BA11
5H043CA04
5H043CA12
5H043GA23
5H043GA25
5H043HA02
5H043HA06
5H043JA15
5H043KA28
5H043KA35
(57)【要約】 (修正有)
【課題】絶縁構造、二次電池、およびバッテリーパックを提供する。
【解決手段】絶縁構造、二次電池、およびバッテリーパックは、底面被覆領域2および側面被覆領域3を有する第1絶縁部材1を含み、側面被覆領域は、底面被覆領域と同じ側に位置して、収容空間を形成し、側面被覆領域は、2つの対向する第1側面被覆領域31および2つの対向する第2側面被覆領域を含み、2つの対向する第1側面被覆領域のうちの少なくとも1つは、中央重複領域310、第1側面重複領域320、および第2側面重複領域330を含む。絶縁構造および二次電池は、3つの重複領域を折りたたんで覆うことにより、3つの重複領域上で第1側面被覆領域の絶縁ラッピングを実現する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁部材を含む絶縁構造であって、前記第1絶縁部材が、底面被覆領域と、前記底面被覆領域と同じ側に位置して収容空間を形成する側面被覆領域を含み、
前記側面被覆領域が、2つの対向する第1側面被覆領域および2つの対向する第2側面被覆領域を含み、
前記2つの対向する第1側面被覆領域のうちの少なくとも1つが、前記底面被覆領域を延伸することによって形成される中央重複領域と、前記2つの対向する第1側面被覆領域のうちの1つを延伸することによって形成される第1側面重複領域と、前記2つの対向する第1側面被覆領域のうちのもう1つを延伸することによって形成される第2側面重複領域と、を含み、
前記中央重複領域、前記第1側面重複領域、および前記第2側面重複領域のうちの2つが、互いに重複せず、前記中央重複領域、前記第1側面重複領域、および前記第2側面重複領域のうちのもう1つが、重複していない前記2つの領域間の領域を少なくとも部分的に覆う絶縁構造。
【請求項2】
前記中央重複領域、前記第1側面重複領域、および前記第2側面重複領域のうちの2つのエッジが、接合されて、接合部を形成し、前記中央重複領域、前記第1側面重複領域、および前記第2側面重複領域のうちのもう1つが、前記接合部を少なくとも部分的に覆う請求項1に記載の絶縁構造。
【請求項3】
前記接合部の形状が、直線である請求項2に記載の絶縁構造。
【請求項4】
前記接合部の形状が、階段状である請求項3に記載の絶縁構造。
【請求項5】
前記接合部の形状が、曲線状である請求項2に記載の絶縁構造。
【請求項6】
前記第1側面重複領域および前記第2側面重複領域のうちの1つが、前記中央重複領域のエッジに接続されて、前記接合部を形成する請求項2に記載の絶縁構造。
【請求項7】
前記第1側面重複領域および前記第2側面重複領域のエッジが、接合されて、前記接合部を形成する請求項2に記載の絶縁構造。
【請求項8】
前記中央重複領域、前記底面被覆領域、および前記第2側面被覆領域の接合部に遷移ギャップが設けられる請求項1に記載の絶縁構造。
【請求項9】
前記第1絶縁部材が、一体成形される請求項1に記載の絶縁構造。
【請求項10】
前記絶縁構造が、さらに、第2絶縁部材を含み、前記第2絶縁部材が、前記接合部のエッジのギャップを覆う請求項2に記載の絶縁構造。
【請求項11】
前記絶縁構造が、さらに、固定部を含み、前記固定部が、前記中央重複領域、前記第1側面重複領域、および前記第2側面重複領域のうちのもう1つと、前記2つの対向する第2側面被覆領域とを接続する請求項1に記載の絶縁構造。
【請求項12】
前記絶縁構造が、さらに、第3絶縁部材を含み、前記第3絶縁部材が、前記収容空間の上部領域の少なくとも一部を覆い、前記側面被覆領域と少なくとも部分的に重複する請求項1に記載の絶縁構造。
【請求項13】
前記第3絶縁部材が、防爆弁に対応する領域を覆う請求項1に記載の絶縁構造。
【請求項14】
前記第3絶縁部材の材料が、コロイドを含む請求項10に記載の絶縁構造。
【請求項15】
前記収容空間が、電極アセンブリを覆うように構成される請求項1に記載の絶縁構造。
【請求項16】
電極アセンブリと、筐体と、トップカバーアセンブリと、請求項1に記載の前記絶縁構造とを含む二次電池であって、
前記筐体が、開口部を有し、前記電極アセンブリが、前記筐体内に収容され、前記トップカバーアセンブリが、前記筐体に接続されて前記筐体の前記開口部を覆い、
前記絶縁構造が、前記電極アセンブリの外側を覆う二次電池。
【請求項17】
箱体と、
請求項16に記載の前記二次電池と、
前記箱体の開口部を覆い、前記箱体の空間と閉鎖空間を形成して、前記二次電池を収容するカバーと、
を含むバッテリーパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーの技術分野に関するものであり、特に、絶縁構造および二次電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
新エネルギーのバッテリー製造分野では、筐体内の金属削りを減らしてリチウム電池の内部短絡回路のリスクを避けるために、現在、大部分の製造業者は、タブダイカッティングを全タブ型電池に置き換えている。
【0003】
従来の絶縁材料(例えば、マイラー(Mylar)シート)は、折りたたむときに底部に隙間が生じる。バッテリーセルが全タブ型バッテリーセルであるとき、筐体の底部に接触する可能性が非常に高いため、短絡絶縁のリスクがある。
【0004】
底部の隙間で発生する可能性のある短絡絶縁リスクを克服するために、通常、多層絶縁材料を採用して底部の隙間を覆う。しかしながら、そのような多層絶縁材料は、覆った場所でバッテリーセルの電極アセンブリの全体的な厚さや長さが増加し、バッテリーの組み立ておよび使用に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術課題は、関連技術の欠陥、すなわち、電極アセンブリの絶縁ラッピングが悪く、完全にコーティングしたときにバッテリーの厚さが増える欠陥を克服することのできる絶縁構造および二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の技術方案により上記の技術課題を解決する。
【0007】
本発明の絶縁構造は、第1絶縁部材を含み、第1絶縁部材は、底面被覆領域と、底面被覆領域と同じ側に位置して収容空間を形成する側面被覆領域を含み。
【0008】
側面被覆領域は、2つの対向する第1側面被覆領域および2つの対向する第2側面被覆領域を含む。
【0009】
2つの対向する第1側面被覆領域のうちの少なくとも1つは、底面被覆領域を延伸することによって形成される中央重複領域と、2つの対向する第1側面被覆領域のうちの1つを延伸することによって形成される第1側面重複領域と、2つの対向する第1側面被覆領域のうちのもう1つを延伸することによって形成される第2側面重複領域と、を含む。。
【0010】
中央重複領域、第1側面重複領域、および第2側面重複領域のうち2つは、互いに重複せず、中央重複領域、第1側面重複領域、および第2側面重複領域のうちのもう1つは、重複していない2つの領域間の領域を少なくとも部分的に覆う。
【0011】
本方案では、3つの重複領域(中央重複領域、第1側面重複領域、および第2側面重複領域)を折りたたんで覆うことにより、3つの重複領域上で第1側面被覆領域の絶縁ラッピングを実現する。3つの重複領域のうちの2つは、互いに重複せず、もう1つは、重複していない2つの領域間の領域を少なくとも部分的に覆うため、もう1つの重複領域は、重複していない2つの領域の折りたたまれた重複領域によって形成されるエッジギャップ(edge gap)を覆うことができ、それにより、3つの重複側面上でクラッディング(cladding)の絶縁効果を向上させることができる。同時に、3つの重複領域のうち重複していない2つの領域は、第1側面被覆領域が1層の絶縁構造を覆うようにし、3つの重複領域のうちのもう1つは、第1側面被覆領域を最大で2つの絶縁層を有する構造にすることができる。このようにして、バッテリーセルの厚さが増加せず、空間利用率を向上させることができる。
【0012】
好ましくは、中央重複領域、第1側面重複領域、および第2側面重複領域のうちの2つのエッジは、接合されて、接合部を形成し、中央重複領域、第1側面重複領域、および第2側面重複領域のうちのもう1つは、接合部を少なくとも部分的に覆う。
【0013】
本方案では、エッジを接続する方法により、3つの重複領域(中央重複領域、第1側面重複領域、および第2側面重複領域)のうちの2つが重複せず、第1絶縁部材が切断しやすくなるため、切断の精度を容易に制御することができる。このようにして、接続後に形成されるエッジのギャップを可能な限り小さくして、接合部のエッジの絶縁効果を向上させることができる。同時に、接合部を形成する2つの重複領域によって第1側面被覆領域の厚さが増加しないことを確保することができる。接合部は、3つの重複領域のうちのもう1つによって少なくとも部分的に覆われているため、接続されたエッジのギャップが覆われ、接続されたエッジのギャップの絶縁効果を向上させることができる。
【0014】
好ましくは、接合部の形状は、直線、曲線、および階段状のうちの1つである。
【0015】
本方案では、接合部の形状が直線、曲線、または階段状のうちの1つを採用するため、切断が容易になり、接合部を形成する2つの重複領域のエッジが一致するように制御しやすく、エラーを減らすことができる。
【0016】
好ましくは、第1側面重複領域および第2側面重複領域のうちの1つは、中央重複領域のエッジに接続されて接合部を形成する。
【0017】
本方案では、第1側面重複領域または第2側面重複領域のうちの1つを採用して中央重複領域のエッジと接続させることにより接合部を形成するため、接合部が中央重複領域の一方の側のみに存在し、一方の側を切断するだけで接合部を形成し、プロセスを減らすことができる。第1側面重複領域および第2側面重複領域のうちのもう1つは、折りたたまれて中央重複領域の別の側を覆うため、別の側のエッジにおいて絶縁効果を確保することができる。
【0018】
好ましくは、第1側面重複領域および第2側面重複領域のエッジは、接合されて、接合部を形成する。
【0019】
本方案では、第1側面重複領域および第2側面重複領域のエッジを接合して接合部を形成するため、中央重複領域を切断する必要がなく、中央重複領域および底面被覆領域の折りたたまれたエッジがそのままで絶縁されることができる。
【0020】
好ましくは、中央重複領域、底面被覆領域、および第2側面被覆領域の接合部に遷移ギャップが設けられる。
【0021】
本方案では、中央重複領域、底面被覆領域、および第2側面被覆領域の接合部に遷移ギャップが設けられるため、3つの重複領域(中央重複領域、第1側面重複領域、および第2側面重複領域)を遷移ギャップにおいて容易に折りたたむことができる。このようにして、接合部において応力が発生することにより第1絶縁部材に亀裂が生じるのを防ぐことができ、電気漏れのリスクを回避することができる。
【0022】
好ましくは、第1絶縁部材は、一体成形される。
【0023】
本方案では、第1絶縁部材を一体成形するため、第1絶縁部材を容易に加工することができ、分離およびスプライシングによって生じる絶縁リスクを回避することができる。
【0024】
好ましくは、絶縁構造は、さらに、第2絶縁部材を含み、第2絶縁部材は、接合部のエッジのギャップを覆う。
【0025】
本方案では、接合部のエッジのギャップを第2絶縁部材によって覆うため、非重複(non-overlapping)接合部によって生成されるエッジのギャップを第2絶縁部材によって覆うことができ、それにより、接合部の各エッジの完全な絶縁効果を確保することができる。
【0026】
好ましくは、絶縁構造は、さらに、固定部を含み、固定部は、中央重複領域、第1側面重複領域、および第2側面重複領域のうちのもう1つと、2つの対向する第2側面被覆領域とを接続する。
【0027】
本方案では、3つの重複領域(中央重複領域、第1側面重複領域、および第2側面重複領域)のうちのもう1つと、2つの対向する第2側面被覆領域とを固定部によって接続し、2つの対向する第2側面被覆領域を他の被覆領域と固定して収容空間を形成するため、折りたたんだ後も3つの重複領域(底面被覆領域、第1側面被覆領域、および第2側面被覆領域)に接続強度を持たせ、収容空間の安定性を確保することができる。
【0028】
好ましくは、絶縁構造は、さらに、第3絶縁部材を含み、第3絶縁部材は、収容空間の上部領域の少なくとも一部を覆い、側面被覆領域と少なくとも部分的に重複する。
【0029】
本方案では、上記の構造の第3絶縁部材により上部領域の絶縁効果を達成し、側面被覆領域に向かって折りたたまれた第3絶縁部材の折りたたみエッジが絶縁効果を達成するため、それにより、各被覆領域において全体的な絶縁構造の絶縁効果を向上させることができる。第3絶縁部材を側面被覆領域と少なくとも部分的に重複させることによって、第3絶縁部材が長すぎて側面被覆領域と平坦化できない状況を回避することもできる。
【0030】
好ましくは、第3絶縁部材は、防爆弁に対応する領域を覆う。
【0031】
本方案では、防爆弁に対応する領域を第3絶縁部材によって覆うため、防爆弁の領域が絶縁され、安全性を確保することができる。
【0032】
好ましくは、第3絶縁部材の材料は、コロイド(colloid)を含む。
【0033】
本方案では、第3絶縁部材の材料がコロイドを含んでいるため、第3絶縁部材は、粘着性を有し、側面被覆領域に接続することが可能となるため、それにより、より優れた固定効果を得ることができる。
【0034】
好ましくは、収容空間を採用して、電極アセンブリを覆う。
【0035】
本方案では、収容空間を採用して電極アセンブリを覆うため、各被覆面と電極アセンブリの接合エッジが絶縁されて保護され、電気漏れのリスクを回避することができる。
【0036】
本発明の二次電池は、電極アセンブリと、筐体と、トップカバーアセンブリと、上述した絶縁構造と、を含む。
【0037】
筐体は、開口部を有し、電極アセンブリは、筐体内に収容され、トップカバーアセンブリは、筐体に接続され、筐体の開口部を覆う。
【0038】
絶縁構造は、電極アセンブリの外側を覆う。
【0039】
本方案では、上述した絶縁構造を採用して電極アセンブリの外側を覆い、電極アセンブリから筐体を隔離するため、それにより、電極アセンブリの覆われた表面およびエッジと筐体の間の絶縁効果が向上し、短絡のリスクを回避することができる。また、第1側面被覆領域において電極アセンブリの厚さが増加せず、二次電池の後続の構成要件に影響を与えない。
【0040】
本発明のバッテリーパックは、以下を含む。
箱体と、上述した二次電池と、箱体の開口部を覆い、箱体の空間と閉鎖空間を形成して、二次電池を収容するカバー。
【発明の効果】
【0041】
本発明の有益な効果は、3つの重複領域(中央重複領域、第1側面重複領域、第2側面重複領域)を折りたたんで覆うことにより、絶縁構造および二次電池が3つの重複領域上で第1側面被覆領域の絶縁ラッピングを実現することである。3つの重複領域のうちの2つは、互いに重複せず、もう1つは、互いに重複していない2つの領域間の領域を少なくとも覆うため、もう1つの重複領域は、重複しない折りたたみを行っている間に2つの重複しない重複領域によって形成されるエッジギャップを覆うことができ、それにより、3つの重複領域上でクラッディングの絶縁効果を向上させることができる。同時に、3つの重複領域のうち重複していない2つの領域は、第1側面被覆領域が1層の絶縁構造を覆うようにし、3つの重複領域のうちのもう1つは、第1側面被覆領域を最大で2つの絶縁層を有する構造にすることができる。このようにして、バッテリーセルの厚さが増加せず、空間利用率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本発明の実施形態1に係る第1絶縁部材の平坦化構造の概略図である。
【
図2A】本発明の実施形態1における第1絶縁部材によって覆われた電極アセンブリの折りたたみプロセス中の概略的構造図である。
【
図2B】本発明の実施形態1における第1絶縁部材によって覆われた電極アセンブリの折りたたみプロセス中の別の概略的構造図である。
【
図2C】本発明の実施形態1の絶縁構造の概略的構造図である。
【
図3A】本発明の実施形態1の第1絶縁部材の折りたたみプロセス中の底部の部分構造の概略図であり、である。
【
図3B】本発明の実施形態1における第1絶縁部材の折りたたみが完了した後の底部の部分構造の概略図である。
【
図4】本発明の実施形態1における第1絶縁部材によって覆われた電極アセンブリの折りたたみプロセスの各ステップの構造状態の概略図である(第2絶縁部材の被覆と固定部の接着を含まない)。
【
図5】本発明の実施形態2に係る二次電池の概略的構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、好ましい実施形態を提供し、添付図面と組み合わせて、本発明をより明確かつ完全に説明する。
【0044】
(実施形態1)
図1および
図2A~
図2Cに示すように、本実施形態は、絶縁構造100を提供し、絶縁構造100は、第1絶縁部材1を含み、第1絶縁部材1は、具体的には、絶縁フィルムであり、その材料は、マイラー(PETポリエステル薄膜)である。この材料の絶縁フィルムは、マイラーフィルムまたはマイラーシートとも呼ばれる。もちろん、多くの絶縁材料が存在し、別の実施形態において、第1絶縁部材は、他の絶縁材料を使用してもよい。
【0045】
第1絶縁部材1は、底面被覆領域2および側面被覆領域3を含み、側面被覆領域3は、底面被覆領域2と同じ側に位置して、収容空間4を形成する。
【0046】
側面被覆領域は、2つの対向する第1側面被覆領域31および2つの対向する第2側面被覆領域32を含む。
【0047】
2つの対向する第1側面被覆領域31は、中央重複領域310、第1側面重複領域320、および第2側面重複領域330を含む。中央重複領域310は、底面被覆領域2を延伸することによって形成され、第1側面重複領域320は、2つの対向する第1側面被覆領域31のうちの1つを延伸することによって形成され、第2側面重複領域330は、2つの対向する第1側面被覆領域31のうちのもう1つを延伸することによって形成される。
【0048】
中央重複領域310、第1側面重複領域320、および第2側面重複領域330のうちの2つは、互いに重複せず、中央重複領域310、第1側面重複領域320、および第2側面重複領域330のうちのもう1つは、重複していない2つの領域間の領域を覆う。
【0049】
絶縁構造100において、3つの重複領域(中央重複領域310、第1側面重複領域320、および第2側面重複領域330)を延伸して形成することにより、3つの重複領域上で第1側面被覆領域31の絶縁ラッピングを実現する。3つの重複領域のうち2つは、互いに重複せず、もう1つは、重複していない2つの領域間の領域を覆うため、もう1つの重複領域は、重複していない2つの領域の折りたたまれた重複領域によって形成されるエッジギャップを覆うことができ、それにより、3つの重複領域上でクラッディングの絶縁効果を向上させることができる。同時に、重複していない2つの領域は、第1側面被覆領域31が1層の絶縁構造を覆うようにし、3つの重複領域のうちのもう1つは、第1側面被覆領域31を最大で2つの絶縁層を有する構造にすることができる。このようにして、バッテリーセルの厚さが増加せず、空間利用率を向上させることができる。このようにして、重複して覆われた領域上のバッテリーの厚さが増加しないことを実現し、バッテリーアセンブリの後続の寸法の要件を確保することができる。
【0050】
収容空間4は、電極アセンブリ21を覆うように構成される。つまり、絶縁構造100は、そのような収容空間4内で電極アセンブリ21を覆うため、電極アセンブリ21の各被覆面および接合エッジが外部筐体から隔離され、それにより、絶縁保護を提供し、短絡のリスクを回避することができる。
【0051】
別の実施形態において、すべての表面が絶縁される必要はなく、両方の第1側面被覆領域31が3つの重複領域を有する代わりに、1つの第1側面被覆領域31だけが3つの重複領域を有してもよい。したがって、3つの重複領域の位置は、絶縁ラッピングの必要に応じて、対応して調整することができる。また、絶縁対象物の必要に応じて、3つの重複領域を第2側面被覆領域32内で切断してもよい。
【0052】
具体的に説明すると、
図1および
図2a~
図2cに示すように、3つの重複領域のうち2つ、すなわち、中央重複領域310および第1側面重複領域320は、接合部で切り取られて、大面積のギャップ5を形成する。2つの重複領域を折りたたんだ後、そのエッジが接続されて接合部6を形成する。3つの重複領域のもう1つ、すなわち、第2側面重複領域330は、第2側面重複領域330と中央重複領域310の間の接合部で切断されて薄い帯状ギャップ7を形成するため、第2側面重複領域330を折りたたみ、接合部6を覆うことができる。
【0053】
このような実施形態において、3つの重複領域のうちの2つは、エッジ接合(edge bonding)の方法によって重複しないため、第1絶縁部材1の切断が容易になり、切断の精度を制御しやすい。このようにして、接続後に形成されるエッジのギャップを可能な限り小さくして、接合部6のエッジの絶縁効果を向上させることができる。また、接合部6は、中央重複領域310の一方の側(つまり、第1側面重複領域320に近い側)にしか存在せず、一方の側を切断するだけで接合部6を形成することができるため、操作ステップを減らすことができる。第2側面重複領域330を折りたたんだ後、第2側面重複領域330は、中央重複領域310の別の側(つまり、第2側面重複領域330に近い側)を覆うため、別の側のエッジの絶縁効果を確保することができる。同時に、接合部6を形成する2つの重複領域によって第1側面被覆領域31の厚さが増加しないことを確保することもできる。
【0054】
3つの重複領域のうちのもう1つによって接合部6を覆うため、接続されたエッジギャップが覆われ、接続されたエッジギャップの絶縁効果を向上させることができる。
【0055】
別の実施形態において、3つの重複領域のうちのどの2つを選択して接合することにより接合部6を形成し、残りの1つが接合部6を覆うかは、実際の必要に応じて自由に組み合わせて調整することができる。例えば、第1側面重複領域320および第2側面重複領域330においてそれぞれ一致するサイズおよび形状を有する2つのギャップ5を切り取ってもよい。このようにして、第1側面重複領域320および第2側面重複領域330を折りたたんだ後、そのエッジが接合されて、接合部6を形成する。接合部6は、第1側面重複領域320および第2側面重複領域330のエッジを接合することによって形成されるため、中央重複領域310を切断する必要がなく、中央重複領域310の折りたたまれたエッジおよび底面被覆領域2がそのままで絶縁されることができる。
【0056】
また、エッジ接合の方法によって非重複を実現する他に、別の実施形態において、絶縁材料間の違いまたは絶縁対象物の形状と構造の間の違いにより、非重複を実現することが可能な他の構造を採用してもよい。非重複領域によって形成されるギャップの形状とサイズにより、3つの重複領域のうちのもう1つによる非重複領域間のエッジギャップは、被覆の範囲が異なる。この例では、接合部6が第2側面重複領域330によって覆われ、接続されたエッジギャップを閉じることが好ましい実施方法であり、それにより、エッジギャップを最大限まで覆い、絶縁効果を向上させることができる。
【0057】
図1および
図3aに示すように、接合部6の形状は、階段状であり、平坦な状態において、接合部6は、凸状ギャップ5として現れる。ギャップ5の一部は、中央重複領域310内に位置し、別の部分は、第1側面重複領域320内に位置する。中央重複領域310および第1側面重複領域320をそれぞれ折りたたんだ後、ギャップ5のエッジ、すなわち、中央重複領域310が第1側面重複領域320のエッジと接合され、接合部6を形成する。
【0058】
別の実施形態において、接合部6の形状は、接合効果の必要に応じて適宜に調整することができる。好ましくは、接合部6の形状は、直線、曲線、階段状のうちの1つであるため、切断が容易になり、接合部6を形成する2つの重複領域のエッジが一致するように制御しやすく、エラーを減らすことができる
【0059】
図3cに示すように、中央重複領域310、底面被覆領域2、および第2側面被覆領域32の接合部に遷移ギャップ8が設けられる。遷移ギャップ8は、具体的には、半径Rが0.5mmの小さな円弧状のギャップである。このような遷移ギャップ8を設置することによって、3つの重複領域を遷移ギャップ8において折りたたみやすいようにし、接合部の応力や第1絶縁部材の亀裂が発生するのを回避することができる。亀裂が生じた場合、この接合部において電気漏れのリスクがあるため、遷移ギャップ8を介して電気漏れのリスクを回避することができる。
【0060】
図1に示すように、第1絶縁部材1を広げた後、各被覆領域は、完全な全体的平面である。したがって、第1絶縁部材1が一体成形されるため、第1絶縁部材1が加工しやすくなり、分離およびスプライシングによる絶縁リスクを回避することができる。
【0061】
図2cおよび
図3bに示すように、絶縁構造100は、さらに、第2絶縁部材9を含み、具体的には、絶縁テープである。上述の説明において、第2側面重複領域330の延伸の長さは、中央重複領域310の折りたたまれた側の幅にちょうど等しく、中央重複領域310と第2側面被覆領域の間の接合エッジを超える余分な部分がないため、接合部6内の中央重複領域310の底縁の近くに小断面の非閉鎖ギャップ10も存在し、それにより、非絶縁の潜在的なリスクを引き起こす。したがって、第2絶縁部材が接合部6のエッジギャップを覆い、この小断面の非閉鎖ギャップ10をぴったり閉じることによって、接合部6の各エッジの完全な絶縁効果を確保する。
【0062】
別の実施形態において、接合部6の形状が異なる、または他の非重複構造を使用することにより、あるいは第2側面重複領域330の延伸の長さが中央重複領域310と第2側面被覆領域32の間の接合エッジを越えて、小断面の非閉鎖ギャップを閉じることが可能なことにより、第2絶縁部材9が不要になる可能性もある。
【0063】
図2cに示すように、絶縁構造100は、さらに、固定部11を含み、具体的には、一種の粘着テープであり、固定部11は、第2側面重複領域330と2つの対向する第2側面被覆領域32を接続する。3つの重複領域のもう1つ(本実施形態において、このもう1つとは、第2側面重複領域330を指す)と2つの対向する第2側面被覆領域32を固定部によって接続し、2つの対向する第2側面被覆領域32をもう1つの被覆領域と固定して収容空間4を形成することにより、折りたたまれた後も3つの重複領域に接続強度を持たせ、収容空間4の安定性を確保することができる。
【0064】
図4に示すように、この図は、マイラーシートの具体的な折りたたみステップの概略図である。図は、切断および平坦化されたマイラーシートから始まり、電極アセンブリが覆割れるまで各被覆領域と各重複領域を折りたたむ全プロセスのステップ、および各ステップの終わりの絶縁構造100の状態を示す(図中のステップは、第2絶縁部材9のラッピングおよび固定部11の接着を含んでおらず、第2絶縁部材9のラッピングおよび固定部11の接着は、
図2cを参照して導き出すことができる)。
【0065】
(実施形態2)
本実施形態は、別の絶縁構造100を提供し、本実施形態の絶縁構造100は、実質的に、実施形態1の絶縁構造100と同じであり、相違点は、次の通りである。
【0066】
絶縁構造100は、さらに、第3絶縁部を含み、全体のマイラーシートの一部であり、その表面は、コロイドで覆われ、粘着性を有する。第3絶縁部材は、収容空間4の上部領域の一部を少なくとも覆い、側面被覆領域3と部分的に重複する。つまり、この実施において、第3絶縁部材は、上部領域を完全に覆わず、第3絶縁部材を折りたたんだ後、側面被覆領域3によって覆われる領域は、小さな部分だけであり、すべてではない。このようにして、第3絶縁部材が長すぎて側面被覆領域3と水平にできなくなるのを回避することができる。本実施形態において、第3絶縁部材の長さは、比較的短いため、第3絶縁部材を側面被覆領域3と水平にして、より優れた固定効果を得ることができる。理解すべきこととして、別の実施形態において、第3絶縁部材は、上部領域全体を覆ってもよい。本実施形態において、上記の構造を有する第3絶縁部材を介して上部領域の絶縁効果が達成され、側面被覆領域に向かって折りたたまれた第3絶縁部材の折りたたまれたエッジも絶縁効果を達成することができるため、それにより、各被覆領域における絶縁構造100全体の絶縁効果を向上させることができる。
【0067】
本実施形態において、第3絶縁部材は、少なくとも、上部の中央部分、すなわち、防爆弁の下方の領域に存在するため、防爆弁に対応する領域が絶縁され、電解液の漏れを防ぎ、安全性をさらに向上させることができる。
【0068】
別の実施形態において、防爆弁の異なる配置領域に応じて、第3絶縁部材の位置は、それに基づいて調整される。
【0069】
(実施形態3)
図5に示すように、本実施形態は、二次電池20を提供し、二次電池20は、充電可能な電池でもある。二次電池20は、電極アセンブリ21、筐体(図示せず)、トップカバーアセンブリ22、および実施形態1に示した絶縁構造100を含む。
【0070】
筐体は、開口部(図示せず)を有し、電極アセンブリ21は、筐体内に収容される。トップカバーアセンブリ22は、筐体に接続され、筐体の開口部を覆う。トップカバーアセンブリ22の中央領域に防爆弁23が設置され、絶縁構造100は、電極アセンブリ21の外側を覆う。つまり、筐体と電極アセンブリ21の間に絶縁フィルムを提供して、筐体と電極アセンブリを間隔を空けて配置することにより、電極アセンブリのコーティングされた表面とエッジと筐体の間の絶縁効果を向上させ、それにより、短絡のリスクを回避することができる。同時に、第1側面被覆領域31内の電極アセンブリの厚さが増加せず、二次電池の後続の構成要件に影響を与えない。
【0071】
(実施形態4)
本実施形態において、また、バッテリーパックを提供し、バッテリーパックは、箱体、実施形態3に記載の二次電池、およびカバーを含み、カバーは、箱体の開口部を覆い、箱体の空間と閉鎖空間を形成して、二次電池を収容するために使用される。
【0072】
本発明の具体的な実施形態を上記で説明したが、当業者であれば理解できるように、これは、単なる例であり、本発明の保護範囲は、添付の請求項によって定義される。当業者は、本発明の原理および本質から逸脱することなく、これらの実施形態に対してさまざまな変更または修正を行うことができ、これらの変更および修正は、すべて本発明の保護範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、電極アセンブリの絶縁ラッピングが悪く、完全にコーティングしたときにバッテリーの厚さが増える欠陥を克服することのできる二次電池および絶縁構造を提供する。
【符号の説明】
【0074】
100 絶縁構造
1 第1絶縁部材
2 底面被覆領域
3 側面被覆領域
4 収容空間
31 第1側面被覆領域
310 中央重複領域
320 第1側面重複領域
330 第2側面重複領域
32 第2側面被覆領域
5 ギャップ
6 接合部
7 帯状ギャップ
8 遷移ギャップ
9 第2絶縁部材
10 非閉鎖ギャップ
11 固定部
20 二次電池
21 電極アセンブリ
22 トップカバーアセンブリ
23 防爆弁
【外国語明細書】