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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096011
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】コイル装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/32 20060101AFI20240704BHJP
   H01F 27/24 20060101ALI20240704BHJP
   H01F 37/00 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
H01F27/32 140
H01F27/24 Q
H01F37/00 G
H01F37/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023211604
(22)【出願日】2023-12-15
(31)【優先権主張番号】202211728120.4
(32)【優先日】2022-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】390005223
【氏名又は名称】株式会社タムラ製作所
(71)【出願人】
【識別番号】512010122
【氏名又は名称】田村(中国)企業管理有限公司
【氏名又は名称原語表記】TAMURA CORPORATION OF CHINA LIMITED
【住所又は居所原語表記】13F,Block A,International Shopping Centre Shanghai No.527 Huaihai Zhong Road,Shanghai,China
(74)【上記1名の代理人】
【識別番号】390005223
【氏名又は名称】株式会社タムラ製作所
(72)【発明者】
【氏名】梁 志勇
(72)【発明者】
【氏名】湯 慶利
(72)【発明者】
【氏名】黄 茂財
(72)【発明者】
【氏名】林 金偉
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 英人
(72)【発明者】
【氏名】近藤 潤二
【テーマコード(参考)】
5E044
【Fターム(参考)】
5E044BA04
5E044BB05
5E044CA09
5E044CB10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】接続部を有するコイル装置を小型化する。
【解決手段】コイル装置は、伝熱ケース2と、外面に第1切欠部が形成されたコア40と、コアに巻かれた第1コイルと、第1コイルから引き出された一対のリード22の一方に接続された導線12と、リード22と導線12とが接続される接続部Cを収容し、電気絶縁性を有する材料から形成された収容部66と、を備え、収容部66の一端部が第1切欠部40aに収容されたものである。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面に第1切欠部が形成されたコアと、
前記コアに巻かれた第1コイルと、
前記第1コイルから引き出された一対のリードの一方に接続された導線と、
前記リードと前記導線とが接続される接続部を収容する、電気絶縁性を有する材料から形成された収容部と、
を備え、
前記収容部の一端部が前記第1切欠部に収容された、
コイル装置。
【請求項2】
前記第1切欠部の上に載置された接続台を備え、
前記接続台が、前記第1切欠部に向かって突出して、少なくとも一部が前記第1切欠部に収容された突出部を有し、
前記突出部の内部に前記収容部の少なくとも一部が形成された、
請求項1に記載のコイル装置。
【請求項3】
前記コア及び前記第1コイルを収容するケースを備え、
前記第1切欠部が所定方向に延びる溝状であり、
前記ケースに、前記第1切欠部と連絡する第2切欠部が形成され、
前記突出部が、前記第2切欠部を通って前記ケースの外部まで延びた、
請求項2に記載のコイル装置。
【請求項4】
前記接続台が、底板を有し、
前記突出部が、前記底板の一面から前記第1切欠部に向かって突出し、
前記突出部の内部に、前記底板の他面に開口し、所定方向に延びる溝が形成され、
前記溝の一対の側壁が前記底板の反対側まで延びて、前記底板の他面から突出する一対の仕切壁が形成され、
前記溝及び前記一対の仕切壁により前記収容部が区画された、
請求項2に記載のコイル装置。
【請求項5】
前記接続台が、前記一対の仕切壁の外側において、前記底板の他面に立てられた外壁を備え、
前記底板、前記外壁及び該外壁に隣接する前記仕切壁により、前記第1コイルから引き出された一対のリードの他方が通される配線溝が形成された、
請求項4に記載のコイル装置。
【請求項6】
前記コア及び前記第1コイルを収容するケースと、
前記収容部の開口を覆うカバーと、
を備え、
前記カバー及び前記接続台に通し孔が形成され、
前記ケースにねじ穴が形成され、
前記カバー及び前記接続台の通し孔に通されたボルトを前記ケースのねじ穴にねじ込むことにより、前記ケース、前記接続台及び前記カバーが共締めされた、
請求項2に記載のコイル装置。
【請求項7】
前記第1切欠部が所定方向に延びる溝状であり、
前記ケースに、前記第1切欠部と連絡する第2切欠部が形成され、
前記突出部が、前記第2切欠部を通って前記ケースの外部まで延びた、
請求項6に記載のコイル装置。
【請求項8】
前記第1コイルに接続された第2コイルを備え、
前記導線が前記第2コイルから引き出されたリードである、
請求項1に記載のコイル装置。
【請求項9】
X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向が互いに直交する方向であり、
前記コアが、
前記X軸方向に延びる中脚と、
前記中脚を間に挟んで前記Y軸方向に並ぶ一対の外脚と、
前記中脚と前記一対の外脚とを連結する連結部と、を備え、
前記Z軸方向における大きさである厚さが、前記中脚よりも前記外脚の方が大きく、
前記連結部は、前記外脚から前記中脚に向かって前記厚さが徐々に小さくなるように形成され、これによって前記連結部の前記Z軸方向における両端部に前記第1切欠部が形成された、
請求項1に記載のコイル装置。
【請求項10】
前記コアが、中脚と一対の外脚とを連結する連結部の端部にV字溝状の前記第1切欠部が形成されたPQ形のコアである、
請求項1に記載のコイル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、負荷電流を安定化させるインダクタと一体化したインバータートランスが記載されている。特許文献1に記載されたインバータートランスの一形態においては、一次巻線とインダクタ巻線が切れ目なく一体に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭64-30463号公報
【0004】
上記のインバータートランスを製作するには、同一の線材で2つのコイルを連続して巻くことによって2つのコイルが一体化した複合コイルを形成して、この複合コイルをコア等の複数の部品と組み合わせる必要がある。そのため、コイルの形成及び組み立ての作業が煩雑となり、生産性が低くなるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、個別に形成された2つのコイル(あるいは、コイルと導線)を接続する構成にすると、活電部となる接続部とコアとの間に十分な絶縁距離をとるための空間を確保する必要が生じるため、インバータートランス等のコイル装置が大型化するという問題が生じる。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、接続部を有するコイル装置の小型化を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、外面に第1切欠部が形成されたコアと、コアに巻かれた第1コイルと、第1コイルから引き出された一対のリードの一方に接続された導線と、リードと導線とが接続される接続部を収容する、電気絶縁性を有する材料から形成された収容部と、を備え、収容部の一端部が第1切欠部に収容された、コイル装置が提供される。
【0008】
上記のコイル装置において、第1切欠部の上に載置された接続台を備え、接続台が、第1切欠部に向かって突出して、少なくとも一部が第1切欠部に収容された突出部を有し、突出部の内部に収容部の少なくとも一部が形成された構成としてもよい。
【0009】
上記のコイル装置において、コア及び第1コイルを収容するケースを備え、第1切欠部が所定方向に延びる溝状であり、ケースに、第1切欠部と連絡する第2切欠部が形成され、突出部が、第2切欠部を通ってケースの外部まで延びた構成としてもよい。
【0010】
上記のコイル装置において、接続台が、底板を有し、突出部が、底板の一面から第1切欠部に向かって突出し、突出部の内部に、底板の他面に開口し、所定方向に延びる溝が形成され、溝の一対の側壁が底板の反対側まで延びて、底板の他面から突出する一対の仕切壁が形成され、溝及び一対の仕切壁により収容部が区画された構成としてもよい。
【0011】
上記のコイル装置において、接続台が、一対の仕切壁の外側において、底板の他面に立てられた外壁を備え、底板、外板及び外壁に隣接する仕切壁により、第1コイルから引き出された一対のリードの他方が通される配線溝が形成された構成としてもよい。
【0012】
上記のコイル装置において、コア及び第1コイルを収容するケースと、収容部の開口を覆うカバーと、を備え、カバー及び接続台に通し孔が形成され、ケースにねじ穴が形成され、カバー及び接続台の通し孔に通されたボルトをケースのねじ穴にねじ込むことにより、ケース、接続台及びカバーが共締めされた構成としてもよい。
【0013】
上記のコイル装置において、第1切欠部が所定方向に延びる溝状であり、ケースに、第1切欠部と連絡する第2切欠部が形成され、突出部が、第2切欠部を通ってケースの外部まで延びた構成としてもよい。
【0014】
上記のコイル装置において、第1コイルに接続された第2コイルを備え、導線が第2コイルから引き出されたリードである構成としてもよい。
【0015】
上記のコイル装置において、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向が互いに直交する方向であり、コアが、X軸方向に延びる中脚と、中脚を間に挟んでY軸方向に並ぶ一対の外脚と、中脚と一対の外脚とを連結する連結部と、を備え、Z軸方向における大きさである厚さが、中脚よりも外脚の方が大きく、連結部は、外脚から中脚に向かって厚さが徐々に小さくなるように形成され、これによって連結部のZ軸方向における両端部に第1切欠部が形成された構成としてもよい。
【0016】
上記のコイル装置において、コアが、中脚と一対の外脚とを連結する連結部の端部にV字溝状の第1切欠部が形成されたPQ形のコアである構成としてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一実施形態によれば、接続部を有するコイル装置の小型化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係るコイル装置の外観図である。
図2】本発明の一実施形態に係るコイル装置の分解図である。
図3】第2コアの斜視図である。
図4】第2ボビンの斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係るコイル装置の断面図である。
図6】本発明の一実施形態に係るコイル装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一の又は対応する事項には、同一の又は対応する符号を付して、重複する説明を省略する。また、各図において、符号が共通する事項が複数表示される場合は、必ずしもそれらの複数の表示の全てに符号を付さず、それらの複数の表示の一部について符号の付与を適宜省略する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係るコイル装置1の外観を示した斜視図である。また、図2は、コイル装置1の分解図である。なお、本明細書において「コイル装置」とは、コイルを有する装置であり、コイルを有する素子、電気部品、組立品、電気機器及び電気システムを含む。
【0021】
以下の説明において、図1における左下から右上へ向かう方向をX軸方向、右下から左上へ向かう方向をY軸方向、下から上へ向かう方向をZ軸方向と定義する。X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに直交する方向である。また、以下の説明において、説明の便宜上、Z軸正方向を「上」と呼び、Z軸負方向を「下」と呼ぶ。なお、コイル装置1は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向及びそれらの中間の方向のいずれの方向を鉛直に向けて使用してもよい。
【0022】
本実施形態のコイル装置1は、電源用の変圧器と2つの共振器用コイルが複合した複合部品である。なお、本発明は、上記の複合部品に限定されず、コイルと導線との接続部を有する各種のコイル装置(例えば、チョークコイル、リアクトル、電動機、発電機等及びこれらの一つ以上を備えた装置)に適用することができる。
【0023】
コイル装置1は、伝熱ケース2、トランス部3並びに2つの共振用コイル部4A及び4Bを備える。共振用コイル部4A及び4Bは、同一の構成を有する。トランス部3並びに2つの共振用コイル部4A及び4Bによりコイル装置1の本体1aが構成される。
【0024】
伝熱ケース2は、例えばアルミニウム等の熱伝導率が比較的に大きな金属材料から形成され、コイル装置1の素子部である本体1aを収容する。伝熱ケース2内の隙間は、例えばシリコン樹脂やアクリル樹脂等の熱伝導率が比較的に大きな樹脂を含む充填材80(図5)によって充填される。伝熱ケース2は、冷却装置(不図示)の冷却面上に設置されることにより、本体1aが発生した熱を冷却装置へ効率的に伝達して、コイル装置1から排出する。
【0025】
共振用コイル部4A及び4Bは、それぞれ、コイル20(第1コイル)、コア40(第1コア)及びボビン60(第1ボビン)を備える。
【0026】
トランス部3は、一次側コイル10A(第2コイル)及び二次側コイル10B(第2コイル)を含むトランス用コイル・セット10と、一対のコア・セグメント30sから構成されたコア30(第2コア)と、ボビン50(第2ボビン)を備える。
【0027】
本実施形態の一次側コイル10A、二次側コイル10B及びコイル20は、いずれもリッツ線(すなわち、エナメル線を撚り合わせた撚り線)から形成された円筒形のコイルである。なお、本発明はこの構成に限定されず、例えば、角筒形のコイルを使用してもよい。また、エナメル等の絶縁被覆が施された単線(丸線や平角線)から形成されたコイルを使用してもよい。また、一次側コイル10A、二次側コイル10B及びコイル20は、互いに異なる種類の導線から形成されていてもよく、異なる形状に巻かれていてもよい。
【0028】
一次側コイル10A及び二次側コイル10Bからは、それぞれ、長いリード11と短いリード12が同じ方向(具体的には、コイルの軸方向であるX軸方向)に引き出されている。また、一次側コイル10Aのリード11及び12と、二次側コイル10Bのリード11及び12とは、互いに逆向きに引き出されている。長いリード11の先端部には、それぞれ圧着端子13が取り付けられる。
【0029】
共振用コイル部4A及び4Bからも、それぞれ、長いリード21と短いリード22が同じ方向(具体的には、X軸方向)に引き出されている。また、共振用コイル部4Aのリード21及び22と、共振用コイル部4Bのリード21及び22とは、互いに逆向きに引き出されている。長いリード21の先端部には、それぞれ圧着端子23が取り付けられる。
【0030】
一次側コイル10Aの短いリード12と共振用コイル部4Aの短いリード22が接合され、一次側コイル10Aと共振用コイル部4Aが直列に接続される。また、二次側コイル10Bの短いリード12と共振用コイル部4Bの短いリード22が接合され、二次側コイル10Bと共振用コイル部4Bが直列に接続される。以下、リード12とリード22との接合部(すなわち、2つのコイルの接続部)を「接続部C」という。
【0031】
図3は、コア40の斜視図である。本実施形態のコア40及びコア・セグメント30sは、それぞれPQ形のフェライト磁心である。なお、本発明はこの構成に限定されず、別の形状や材質(例えば、アモルファス金属磁心、ナノクリスタル磁心、磁性体の粒子を含む樹脂から形成されたメタルコンポジット磁心、積層磁心、圧粉磁心等)の磁心を使用してもよい。また、コア40とコア・セグメント30sは、互いに形状や種類が異なっていてもよい。なお、図3には、コア・セグメント30sにおける対応する構成要素の符号を括弧付きで併記する。また、以下の説明において、コア・セグメント30sにおける対応する構成要素を角括弧付きで併記する。
【0032】
図3に示されるように、PQ形のコア40[コア・セグメント30s]は、X軸方向に延びる円柱状の中脚41[中脚31]と、中脚41[中脚31]を間に挟んで並ぶ一対の外脚42[外脚32]と、これらを連結する連結部43[連結部33]を有し、上下左右に対称に(すなわち、XY平面に平行な中心面及びZX平面に平行な中心面に対して対称に)形成されている。
【0033】
コア40[コア・セグメント30s]では、中脚41[中脚31]よりも外脚42[外脚32]の方が厚さ(すなわち、Z軸方向における大きさ)が大きい。連結部43[連結部33]の厚さは、外脚42[外脚32]との結合部において外脚42[外脚32]と略同じ厚さとなり、中脚41[中脚31]との結合部において中脚41[中脚31]と略同じ厚さとなっている。そして、連結部43[連結部33]は、外脚42[外脚32]から中脚41[中脚31]に向かって厚さが徐々に小さくなるように形成されている。その結果、連結部43[連結部33]のZ軸方向における両端部には、X軸方向に延びる略V字溝状の切欠部40a[切欠部30a](第1切欠部)が形成されている。
【0034】
切欠部40a[切欠部30a]は、一対のテーパー部43a[テーパー部33a]及び中脚41[中脚31]の露出した側面41a[側面31a]により、境界が定められている。なお、切欠部40a[切欠部30a]は、コア40[コア・セグメント30s]の磁気特性上不要な部分を除去することによって形成された形状部分である。
【0035】
トランス部3の一対のコア・セグメント30sは、中脚31及び一対の外脚32の端面同士を突き合せた状態で接合され、コア30が形成される。なお、一対のコア・セグメント30sの突き合わされる中脚31間及び/又は外脚32間に磁気ギャップを設けても良い。磁気ギャップは、例えば中脚31間及び/又は外脚32間に非磁性体の板を介在させることにより形成される。
【0036】
ボビン60及びボビン50は、略環状の部材であり、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン樹脂、BMC(Bulk Molding Compound)、PPS(Polyphenylene Sulfide)、PBT(Polybutylene Terephthalate)等の電気絶縁性を有する材料から形成される。
【0037】
ボビン60の外周にはコイル20が巻かれ、ボビン60の中空部にはコア40の中脚41が収容される。このように、ボビン60を、コイル20とコア40との間に介在させることにより、両者の間に十分な電気絶縁が確保される。
【0038】
同様に、ボビン50の外周にはトランス用コイル・セット10が巻かれ、ボビン50の中空部には両開口部から一対のコア・セグメント30sの中脚31が収容される。ボビン50を、トランス用コイル・セット10とコア30との間に介在させることにより、両者の間に十分な電気絶縁が確保される。
【0039】
図4は、ボビン60の外観図である。ボビン60は、コイル20が巻き付けられる円筒状のボビン部61と、コイル20と一次側コイル10A又は二次側コイル10Bとの接続部Cを収容する収容部66を有する接続台62を備えている。ボビン部61は、一対の鍔61aを有し、接続台62は一方の鍔61aの上部に固定されている。
【0040】
接続台62は、Z軸方向に垂直な略方形平板状の底板63と、底板63のY軸方向における両縁部に立つ外壁67を有する。底板63のY軸方向における中央部には、下面から下方に突出した、X軸方向に延びる突出部64が形成されている。突出部64の内部には、底板63の上面に開口し、X軸方向に延びる溝66aが形成されている。溝66aの側壁は、底板63の反対側(すなわち、底板63よりも上)まで延び、底板63の上面から突出する一対の仕切壁65が形成されている。溝66a及び一対の仕切壁65により収容部66が区画されている。
【0041】
収容部66には、上述した接続部Cが収容される。なお、接続部Cを接続台62の収容部66に収容することにより、活電部である接続部Cとコア40との絶縁距離を長くとることが可能になる。一次側コイル10Aと共振用コイル部4Aのコイル20との接続部Cは、共振用コイル部4Aのボビン60の接続台62に設けられた収容部66に収容される。また、二次側コイル10Bと共振用コイル部4Bのコイル20との接続部Cは、共振用コイル部4Bのボビン60の接続台62に設けられた収容部66に収容される。
【0042】
図5は、コア40の連結部43を通る、X軸に垂直な平面で切断したコイル装置1の断面図である。
【0043】
接続台62には、底板63並びに隣接する仕切壁65及び外壁67によって形成られた2つの配線溝68が形成されている。一方の配線溝68には一次側コイル10A(又は二次側コイル10B)の長いリード11が通され、他方の配線溝68には共振用コイル部4A(又は共振用コイル部4B)の長いリード21が通される。
【0044】
接続台62は、コア40の連結部43(より具体的には、切欠部40a)に載置される。接続台62の突出部64は、コア40の連結部43に形成された切欠部40a(第1切欠部)に収容される。この構成により、切欠部40aによって生じる溝状の空間が有効に利用され、接続部Cとコア40との絶縁距離の確保に有効な収容部66(突出部64)を備えながらも、コイル装置1の低背化・小型化が実現されている。
【0045】
接続台62の突出部64は、コア40の一対のテーパー部43aと対向する一対のテーパー部64aを有している。この構成により、接続台62が切欠部40aの上に安定に載置される。
【0046】
図6は、後述する2つのボルト72の中心線を含む、X軸に垂直な平面で切断したコイル装置1の断面図である。
【0047】
図4に示されるように、本実施形態の収容部66には、Z軸方向(図4において上)に開いた上部開口と、X方向(図4において左上)に開いた前部開口が形成されている。上部開口と前部開口は連絡して、一つの大開口を形成している。図1及び図6に示されるように、収容部66には大開口を塞ぐようにカバー71が被される。カバー71は、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン樹脂、BMC(Bulk Molding Compound)、PPS(Polyphenylene Sulfide)、PBT(Polybutylene Terephthalate)等の電気絶縁性を有する材料から形成される。
【0048】
カバー71には、ボルト72でケース2に固定するための2つの通し孔71aが形成されている。また、接続台62の底板63には、ボビン60をケース2にボルト72で固定するための2つの通し孔63a(図4)が形成されている。また、伝熱ケース2にはボルト72と嵌合するねじ穴2bが形成されている。カバー71の通し孔71a及び接続台62の通し孔63aに通したボルト72をケース2のねじ穴2bにねじ込むことにより、ケース2、ボビン60及びカバー71が共締めされ、カバー71と共にボビン60が伝熱ケース2に固定される。
【0049】
また、ボビン60が伝熱ケース2に固定されることにより、コイル装置1の本体1aが伝熱ケース2に固定される。図1に示されるように、ボルト72は、コイル装置1の最上部に配置され、外部に露出しているため、アクセスが容易である。また、コイル装置1は、10個の部品から構成される本体1aが、わずかに4本のボルト72のみで伝熱ケース2に固定/解除できるため、組立てやメンテナンスを容易に行えるようになっている。
【0050】
接続部Cは、絶縁被覆が除去された活電部となるため、コア40との絶縁距離を長くとる必要がある。接続部Cとコア40とは、底板63、並びに、底板63の上面に立てられた仕切壁65及び外壁67によって隔離されているため、一定の絶縁距離が確保されている。更に、収容部66の大開口(上部開口及び前部開口)がカバー71によって塞がれ、また、X軸方向において接続台62が伝熱ケース2の外部まで延長されているため、より十分な絶縁距離が確保されている。
【0051】
図2及び図6に示されるように、伝熱ケース2の上端部には、コア40の切欠部40aと連絡する切欠部2a(第2切欠部)が形成されている。突出部64は、切欠部2aを通過して、伝熱ケース2の外部まで延長している。伝熱ケース2に切欠部2aを形成することにより、切欠部40aに収容される突出部64(及び、突出部64内に形成される収容部66)のX軸方向における長さの制限が解消されるため、より長い接続部Cを収容可能な収容部66を形成することが可能になる。
【0052】
上述した本発明の実施形態に係るコイル装置1は、コア40の切欠部40aに、接続部Cを収容する収容部66が内部に形成された突出部64を収容する構成を採用したことにより、切欠部40aによって生じるスペースが有効利用され、コイル装置1の高さが低くなっている。導線にリッツ線を使用する場合は、接続部Cが大きくなるため、本実施形態の構成はコイル装置1の低背化に特に有効である。
【0053】
本実施形態のコイル装置1は、コイル20と一次側コイル10A又は二次側コイル10Bとを1本の導線から一体に形成せずに個別に形成することにより、コイルの作製や組立ての作業性が向上し、生産性が向上する。
【0054】
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば明細書中に例示的に明示される実施形態等又は自明な実施形態等を適宜組み合わせた内容も本発明の実施形態に含まれる。
【0055】
上記の実施形態では、コア40の切欠部40aが連結部43の上下面のY軸方向における中央部に形成されているが、他の場所(例えば、連結部43の上面のY軸方向端部、又は、中脚41や外脚42の外面)に切欠部40aを形成してもよい。その場合、コア40の切欠部40aの位置に応じて、切欠部2aの位置が決められる。また、上記の実施形態では、切欠部40aは略V字溝状であるが、別の形状(例えば、角溝状、丸溝状又はその他の異形)であってもよい。
【0056】
上記の実施形態では、2つのコイルの接続部が収容部66に収容されるが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、コイルとリード線やバスバーとの接続部、あるいは、温度センサ等の各種センサのリードと中継用の電線との接続部を収容部66に収容する構成も本発明の範囲に含まれる。
【0057】
上記の実施形態では、接続台62がコア40の切欠部40aに載置されているが、コア・セグメント30sの切欠部30aに接続台62を載置してもよい。この場合、接続台62はボビン50と一体に形成してもよい。
【0058】
上記の実施形態では、接続台62がボビン60と一体に形成されているが、接続台62をボビン60から分離した構成としてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 コイル装置
2 伝熱ケース
2a 切欠き(第2切欠部)
3 トランス部
4A 共振用コイル部
4B 共振用コイル部
10 トランス用コイル・セット(第2コイル)
10A 一次側コイル(第2コイル)
10B 二次側コイル(第2コイル)
20 コイル(第1コイル)
30 コア(第2コア)
40 コア(第1コア)
40a 切欠部(第1切欠部)
41 中脚
42 外脚
43 連結部
43a テーパー部
50 ボビン(第2ボビン)
60 ボビン(第1ボビン)
62 接続台
63 底板
64 突出部
64a テーパー部
65 仕切壁
66 収容部
67 外壁
68 配線溝
71 カバー
72 ボルト
C 接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6