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特開2024-96019ポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法、ポリウレタンアクリル樹脂、その組成物及び製造方法
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  • 特開-ポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法、ポリウレタンアクリル樹脂、その組成物及び製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096019
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】ポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法、ポリウレタンアクリル樹脂、その組成物及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 11/28 20060101AFI20240704BHJP
【FI】
C08J11/28 ZAB
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023212970
(22)【出願日】2023-12-18
(31)【優先権主張番号】111150872
(32)【優先日】2022-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】522336890
【氏名又は名称】上緯創新育成股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SWANCOR INNOVATION & INCUBATION CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】3F.,No.11,Gongye S.6th Rd.,Nantou City,Nantou County 540028,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(74)【代理人】
【識別番号】100209060
【弁理士】
【氏名又は名称】冨所 剛
(72)【発明者】
【氏名】高均其
【テーマコード(参考)】
4F401
【Fターム(参考)】
4F401AA17
4F401AA26
4F401CA63
4F401CA68
4F401EA59
4F401EA67
4F401FA01Z
4F401FA06Z
4F401FA07Z
(57)【要約】
【課題】ポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法を提供する。
【解決手段】本発明は、ポリウレタンアクリル樹脂材料提供ステップと、分解液提供ステップと、混合ステップと、及び加熱ステップと、を含むポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法を提供する。ポリウレタンアクリル樹脂材料は、ポリウレタンアクリル樹脂を硬化して得られる。分解液は、反応性NH基/NH基及び反応性OH基を少なくとも含む分解性化合物を少なくとも含む。混合ステップは、ポリウレタンアクリル樹脂材料と分解液とを混合して分解混合物を形成する。加熱ステップは、分解混合物を分解温度まで加熱し、且つ分解時間を維持することでポリウレタンアクリル樹脂材料を分解する。これにより、NH基/NH基及びOH基を含む分解液で加熱することにより、ポリウレタンアクリル樹脂材料を分解することができ、リサイクルの目的を達成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタンアクリル樹脂を硬化して得られるポリウレタンアクリル樹脂材料を提供するステップと、
反応性NH基/NH基及び反応性OH基を少なくとも含む分解性化合物を少なくとも含む分解液を提供するステップと、
前記ポリウレタンアクリル樹脂材料と前記分解液とを混合して分解混合物を形成する混合ステップと、
前記分解混合物を分解温度まで加熱し、且つ分解時間を維持することで前記ポリウレタンアクリル樹脂材料を分解する加熱ステップと、
を含むポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法。
【請求項2】
前記ポリウレタンアクリル樹脂材料は、ポリウレタンアクリル樹脂硬化物、又はポリウレタンアクリル樹脂硬化物含有複合材料である請求項1に記載のポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法。
【請求項3】
前記ポリウレタンアクリル樹脂硬化物含有複合材料は、前記ポリウレタンアクリル樹脂及び繊維を含む請求項2に記載のポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法。
【請求項4】
前記繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、ポリアミド繊維、又はそれらの組み合わせである請求項3に記載のポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法。
【請求項5】
前記分解性化合物は、式(i)に示す構造を有し、
【数1】
Xはアルキル基又はオキシアルキル基であり、mは1又は2であり、且つm+n=3である請求項1に記載のポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法。
【請求項6】
前記分解温度は、135℃~前記分解液の沸点温度である請求項1に記載のポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法。
【請求項7】
前記分解時間は、2時間~24時間である請求項1に記載のポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法。
【請求項8】
前記ポリウレタンアクリル樹脂の総重量の40%以上がオリゴマーである請求項1に記載のポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法。
【請求項9】
前記オリゴマーは、式(I)に示す構造を有し、
【数2】
Aはポリエトキシ基、ポリプロポキシ基、又はポリテトラヒドロフラニル基である請求項8に記載のポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法。
【請求項10】
前記ポリウレタンアクリル樹脂の製造は、
イソシアネート化合物、阻害剤及び触媒を希釈モノマーに混合し、第1温度まで昇温して第1混合物を得て、ポリオール化合物を前記第1混合物に加え、前記第1温度を維持しながら反応を行って第2混合物を得るポリウレタン重合ステップと、
ヒドロキシ含有(メタ)アクリレート化合物を前記第2混合物に加え、前記第1温度を維持しながら反応を行って、前記ポリウレタンアクリル樹脂を得るポリウレタンアクリレート化ステップと、
を含む請求項1に記載のポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法。
【請求項11】
前記ポリウレタンアクリル樹脂の製造は、
前記ヒドロキシ含有(メタ)アクリレート化合物を加えた前記第2混合物を前記第1温度で反応させた後、降温して前記希釈モノマーを加えて前記ポリウレタンアクリル樹脂を得る希釈ステップを更に含む請求項10に記載のポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法。
【請求項12】
前記イソシアネート化合物は、二官能基又は多官能基のイソシアネート化合物である請求項10又は11に記載のポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法。
【請求項13】
前記ポリウレタンアクリル樹脂は、式(I)に示すオリゴマーを有し、
【数3】
Aはポリエトキシ基、ポリプロポキシ基、又はポリテトラヒドロフラニル基である請求項10又は11に記載のポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法。
【請求項14】
前記イソシアネート化合物のNCO基と前記ポリオール化合物のOH基との当量比は、1.5:1~10:1である請求項10又は11に記載のポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法。
【請求項15】
前記ヒドロキシ含有(メタ)アクリレート化合物のOH基と、反応後に残存した前記イソシアネート化合物のNCO基との当量比は、1:1~1.05:1である請求項10又は11に記載のポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法。
【請求項16】
イソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、ヒドロキシ含有(メタ)アクリレート化合物と、希釈モノマーと、を含むポリウレタンアクリル樹脂を製造するための組成物。
【請求項17】
イソシアネート化合物、阻害剤及び触媒を希釈モノマーに混合し、第1温度まで昇温して第1混合物を得て、ポリオール化合物を前記第1混合物に加え、前記第1温度を維持しながら反応を行って第2混合物を得るポリウレタン重合ステップと、
ヒドロキシ含有(メタ)アクリレート化合物を前記第2混合物に加え、前記第1温度を維持しながら反応を行って、第3混合物を得るポリウレタンアクリレート化ステップと、
前記第3混合物を降温し、前記希釈モノマーを加えてポリウレタンアクリル樹脂を得る希釈ステップと、
を含むポリウレタンアクリル樹脂の製造方法。
【請求項18】
式(I)に示すオリゴマーを含み、
【数4】
Aはポリエトキシ基、ポリプロポキシ基、又はポリテトラヒドロフラニル基であるポリウレタンアクリル樹脂。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン材料の分解方法に関し、特に網目状架橋ポリウレタンアクリル樹脂含有材料の分解方法、ポリウレタンアクリル樹脂、その組成物及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンアクリル樹脂は、設計範囲が広く、ニーズに応じて剛性や柔軟性を調整でき、その分子構造の利点は、良好な耐食性、良好な耐摩耗性、良好な付着性、良好な耐熱性、良好な機械的特性、様々な繊維に対する良好な濡れ性等が挙げられ、複合材料の構造設計に適用する。しかしながら、このような複合材料は、上記のような優れた特性を有するため、分解・回収が難しく、最終的には埋立地の不足や環境汚染等の問題を引き起こすため、廃複合材料の分解・回収が重要な課題となる。
【0003】
ポリウレタンアクリル樹脂複合材料は、そのポリウレタンアクリル樹脂が三次元網目状架橋状態であるため、溶融又は溶解等の方式で回収することが困難である。従来技術によれば、ポリウレタンアクリル樹脂複合材料は、例えば埋設や焼却のような、エネルギーや時間の巨大な消費と高いコストでしか回収できなく、分解の回収技術が不足していた。しかし、将来には埋設と焼却という2つの処理方法は不可能になりつつあり、複合材料の回収を実現し、廃棄物削減の目的を達成するためには、樹脂が分解できる方向に開発しか道がない。
【0004】
そこで、回収の目的を達成するために、どのように適切な分解液を探してポリウレタンアクリル樹脂を分解するかは、当業者の努力の目標となっている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一つの目的は、回収再利用の目的を達成するために、反応性NH基/NH基及びOH基を含む分解液を用いてポリウレタンアクリル樹脂材料を加熱分解するポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法を提供することである。
【0006】
本発明の他の目的は、イソシアネートとポリオールとをポリウレタンアクリレート化反応させ、そして希釈モノマーを加えることにより、分解可能なポリウレタンアクリル樹脂を合成するポリウレタンアクリル樹脂、その組成物及び製造方法を提供することである。
【0007】
本発明の一実施形態は、ポリウレタンアクリル樹脂を硬化して得られるポリウレタンアクリル樹脂材料を提供するステップと、反応性NH基/NH基及び反応性OH基を少なくとも含む分解性化合物を少なくとも含む分解液を提供するステップと、ポリウレタンアクリル樹脂材料と分解液とを混合して分解混合物を形成する混合ステップと、分解混合物を分解温度まで加熱し、且つ分解時間を維持することでポリウレタンアクリル樹脂材料を分解する加熱ステップと、を含むポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法を提供する。
【0008】
前記ポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法によれば、ポリウレタンアクリル樹脂材料は、ポリウレタンアクリル樹脂硬化物、又はポリウレタンアクリル樹脂硬化物含有複合材料であってよい。
【0009】
前記ポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法によれば、ポリウレタンアクリル樹脂硬化物含有複合材料は、ポリウレタンアクリル樹脂及び繊維を含んでよい。
【0010】
前記ポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法によれば、繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、ポリアミド繊維、又はそれらの組み合わせであってよい。
【0011】
前記ポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法によれば、分解性化合物は、式(i)に示す構造を有してよい。
【数1】
Xはアルキル基又はオキシアルキル基であり、mは1又は2であり、且つm+n=3である。
【0012】
前記ポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法によれば、分解温度は、135℃~分解液の沸点温度であってよい。
【0013】
前記ポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法によれば、分解時間は、2時間~24時間であってよい。
【0014】
前記ポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法によれば、ポリウレタンアクリル樹脂の総重量の40%以上がオリゴマーであってよい。
【0015】
前記ポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法によれば、オリゴマーは、式(I)に示す構造を有してよい。
【数2】
Aはポリエトキシ基、ポリプロポキシ基、又はポリテトラヒドロフラニル基である。
【0016】
前記ポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法によれば、ポリウレタンアクリル樹脂の製造は、イソシアネート化合物、阻害剤及び触媒を希釈モノマーに混合し、第1温度まで昇温して第1混合物を得て、ポリオール化合物を第1混合物に加え、第1温度を維持しながら反応を行って第2混合物を得るポリウレタン重合ステップと、ヒドロキシ含有(メタ)アクリレート化合物を第2混合物に加え、第1温度を維持しながら反応を行って、ポリウレタンアクリル樹脂を得るポリウレタンアクリレート化ステップと、を含んでよい。
【0017】
前記ポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法によれば、ポリウレタンアクリル樹脂の製造は、ヒドロキシ含有(メタ)アクリレート化合物を加えた第2混合物を第1温度で反応させた後、降温して希釈モノマーを加えてポリウレタンアクリル樹脂を得る希釈ステップを更に含んでよい。
【0018】
前記ポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法によれば、イソシアネート化合物は、二官能基又は多官能基のイソシアネート化合物であってよい。
【0019】
前記ポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法によれば、ポリウレタンアクリル樹脂は、式(I)に示すオリゴマーを有してよい。
【数3】
Aはポリエトキシ基、ポリプロポキシ基、又はポリテトラヒドロフラニル基である。
【0020】
前記ポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法によれば、イソシアネート化合物のNCO基とポリオール化合物のOH基との当量比は、1.5:1~10:1であってよい。
【0021】
前記ポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法によれば、ヒドロキシ含有(メタ)アクリレート化合物のOH基と、反応後に残存したイソシアネート化合物のNCO基との当量比は、1:1~1.05:1であってよい。
【0022】
本発明の別の実施形態は、イソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、ヒドロキシ含有(メタ)アクリレート化合物と、希釈モノマーと、を含むポリウレタンアクリル樹脂を製造するための組成物を提供する。
【0023】
本発明の他の実施形態は、イソシアネート化合物、阻害剤及び触媒を希釈モノマーに混合し、第1温度まで昇温して第1混合物を得て、ポリオール化合物を第1混合物に加え、第1温度を維持しながら反応を行って第2混合物を得るポリウレタン重合ステップと、ヒドロキシ含有(メタ)アクリレート化合物を第2混合物に加え、第1温度を維持しながら反応を行って、第3混合物を得るポリウレタンアクリレート化ステップと、第3混合物を降温し、希釈モノマーを加えてポリウレタンアクリル樹脂を得る希釈ステップと、を含むポリウレタンアクリル樹脂の製造方法を提供する。
【0024】
本発明の更なる実施形態は、式(I)に示すオリゴマーを含み、
【数4】
Aはポリエトキシ基、ポリプロポキシ基、又はポリテトラヒドロフラニル基であるポリウレタンアクリル樹脂を提供する。
【0025】
これにより、本発明のポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法は、主に反応性NH基/NH基及びOH基を含む分解液を選択し、加熱によってポリウレタンアクリル樹脂材料を分解し、且つ繰り返して再利用するように、減圧蒸留方式によって分解液を分離してよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明の上記及び他の目的、特徴、利点及び実施例をより明確且つ理解しやすくするために、添付図面を以下に説明する。
図1】本発明の一実施形態によるポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法を示すステップフローチャートである。
図2】本発明の別の実施形態によるポリウレタンアクリル樹脂の製造方法を示すステップフローチャートである。
図3】本発明の他の実施形態によるポリウレタンアクリル樹脂の製造方法を示すステップフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の各実施形態について更に詳細に説明する。しかしながら、これらの実施形態は、様々な発明概念の適用であってよく、様々な特定の範囲内で具体的に実行されてよい。特定の実施形態は説明を目的とするものに過ぎす、開示される範囲に限定されない。
【0028】
<ポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法>
【0029】
図1を参照されたい。本発明の一実施形態によるポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法100のステップフローチャートを示す。図1において、ポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法100は、ステップ110、ステップ120、ステップ130、及びステップ140を含む。
【0030】
ステップ110は、ポリウレタンアクリル樹脂を硬化して得られるポリウレタンアクリル樹脂材料を提供するステップである。具体的には、本発明のポリウレタンアクリル樹脂材料は、ポリウレタンアクリル樹脂硬化物、又はポリウレタンアクリル樹脂硬化物含有複合材料であってよい。ポリウレタンアクリル樹脂硬化物は、周知の促進剤及びフリーラジカル開始剤を加えて常温又は高温で硬化させることで網目状架橋硬化物を形成することができる。ポリウレタンアクリル樹脂硬化物含有複合材料は、ポリウレタンアクリル樹脂と繊維を常温又は高温で含浸させて成形したものである。繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、ポリアミド繊維、又はそれらの組み合わせであってよいが、これに限定されない。
【0031】
ステップ120は、反応性NH基/NH基及び反応性OH基を少なくとも含む分解性化合物を少なくとも含む分解液を提供するステップである。詳しくは、反応性NH基/NH基及び反応性OH基は、ポリウレタンアクリル樹脂と反応できる官能基として、複合材料中の繊維にダメージを与えることなくアンモノ分解及びアルコール分解を実施することができる。具体的には、分解性化合物は、式(i)に示す構造を有してよい。
【数5】
Xはアルキル基又はオキシアルキル基であり、mは1又は2であり、且つm+n=3であり、それによりポリウレタンアクリル樹脂に触媒を加えなくても十分な反応性を有し、効率の高い分解という目的を達成することができる。
【0032】
ステップ130は、ポリウレタンアクリル樹脂材料と分解液とを混合して分解混合物を形成する混合ステップである。
【0033】
ステップ140は、分解混合物を分解温度まで加熱し、分解時間を維持してポリウレタンアクリル樹脂材料を分解する加熱ステップであり、分解温度は135℃~分解液の沸点温度であってよく、分解時間は2時間~24時間であってよい。
【0034】
これにより、本発明は、アンモノ分解及びアルコール分解の作用により、網目状架橋ポリウレタンアクリル樹脂材料と反応性NH基/NH基及び反応性OH基を少なくとも含む分解液とを反応させ、且つ温度を上昇させることで効率の高い分解効果を達成する。最高の分解温度は分解液の沸点温度で実施してよく、過剰の分解液は分解過程において溶媒として使用してよく、その目的は繊維を希釈して懸濁することである。分解が完了した後、減圧蒸留方式によって揮発性物質を分離してよく、この揮発性物質は反応性NH基/NH基及びOH基を含む分解液で、繰り返して再利用することができる。また、ポリウレタンアクリル樹脂硬化物含有複合材料は分解されたら、ポリウレタンアクリル樹脂が分解され除去されることで、プラスチックが付着していない回収繊維を形成することができ、それにより繊維と有機物質を分離するリサイクルメカニズムを実現することができる。
【0035】
本発明のポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法100によれば、前記ポリウレタンアクリル樹脂の総重量の40%以上がオリゴマーであり、且つ式(I)に示す構造を有する。
【数6】
Aはポリエトキシ基、ポリプロポキシ基、又はポリテトラヒドロフラニル基である。
【0036】
本発明のポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法100によれば、前記ポリウレタンアクリル樹脂の製造は、以下の図2の説明を参照してよい。図2は、本発明の別の実施形態によるポリウレタンアクリル樹脂の製造方法200のステップフローチャートを示す。図2において、ポリウレタンアクリル樹脂の製造方法200は、ステップ210及びステップ220を含む。
【0037】
ステップ210は、イソシアネート化合物、阻害剤及び触媒を希釈モノマーに混合し、第1温度まで昇温して第1混合物を得て、ポリオール化合物を第1混合物に加え、第1温度を維持しながら反応を行って第2混合物を得るポリウレタン重合ステップである。
【0038】
ステップ220は、ヒドロキシ含有(メタ)アクリレート化合物を第2混合物に加え、第1温度を維持しながら反応を行って、ポリウレタンアクリル樹脂を得るポリウレタンアクリレート化ステップである。
【0039】
前記イソシアネート化合物は、二官能基又は多官能基のイソシアネート化合物であってよい。二官能基又は多官能基のイソシアネート化合物は、芳香環系イソシアネートであってよく、芳香環系イソシアネートは、トリレンジイソシアネート、ポリメチレンフェニルイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、又はそれらの組み合わせであってよい。具体的には、前述のイソシアネート化合物は、MR200(東曹から購入)、PM200(万華から購入)、M20S(BASFから購入)、44V20(Covestroから購入)、5005(Huntsmanから購入)、NM(東曹から購入)、MDI-50(万華から購入)のうちの一種又は複数種であってよいが、これらに限定されない。
【0040】
前記阻害剤は、従来一般的なフリーラジカル硬化系樹脂において、樹脂の保存性(安定性)を保証するために加える阻害剤であり、必要に応じて周知の阻害剤から適切な阻害剤を選択して加えてよいが、ここでは説明を省略する。
【0041】
前記触媒としては、有機スズ、有機ビスマス、又は有機亜鉛であってよく、触媒の添加量は、ポリウレタンアクリル樹脂の総含有量の50ppm~200ppmであってよい。
【0042】
前記希釈モノマーは、フリーラジカル硬化性希釈モノマーであり、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、(メチル)シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフラン(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、又はそれらの組み合わせであってよく、第1温度は40℃~80℃、好ましくは50℃~70℃であってよい。
【0043】
前記ポリオール化合物は、二官能基又は多官能基のポリオール化合物であってよく、それはポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシプロピレンエーテル、ポリテトラヒドロフラン、又はそれらの組み合わせであってよい。ポリオール化合物の数平均分子量は2000未満であり、ポリオール化合物の数分子量が2000を超えると、高剛性複合材料の要求を満たすことが困難となる。
【0044】
前記ヒドロキシ含有(メタ)アクリレート化合物は、ヒドロキシエチルメタアクリレート(2-HEMA)、ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)、ヒドロキシプロピルメタアクリレートヒドロキシプロピルメタアクリレート(2-HPMA)、ヒドロキシプロピルアクリレート(2-HPA)、又はそれらの組み合わせであってよい。
【0045】
前記イソシアネート化合物のNCO基とポリオール化合物のOH基との当量比は、1.5:1~10:1であってよい。NCO基/OH基の比が1.5未満であると、重合分子量が高く剛性が不足になる。NCO基/OH基の比が10を超えると、硬化後の剛性が高すぎて分解効率が低い。また、ステップ210では、イソシアネート化合物のNCO基が残存し、ステップ220のヒドロキシ含有(メタ)アクリレート化合物はそれと反応することができる。そこで、ヒドロキシ含有(メタ)アクリレート化合物のOH基と、反応後に残存するイソシアネート化合物のNCO基との当量比は、1:1~1.05:1である。
【0046】
前記ポリウレタンアクリル樹脂は、式(I)に示すオリゴマーを含む。オリゴマーについては前述のとおりであり、ここでは説明を省略する。具体的には、前述のポリウレタンアクリル樹脂の組成物は、イソシアネート化合物、ポリオール化合物、ヒドロキシ含有(メタ)アクリレート化合物、及び希釈モノマーを含む。前述のオリゴマーは、イソシアネート化合物、ポリオール化合物、及びヒドロキシ含有(メタ)アクリレート化合物から合成される。
【0047】
本発明のポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法100によれば、前記ポリウレタンアクリル樹脂の製造は、以下の図3の説明を参照してもよい。図3は、本発明の他の実施形態によるポリウレタンアクリル樹脂の製造方法300のステップフローチャートを示す。図3において、ポリウレタンアクリル樹脂材料の製造方法300は、ステップ310、ステップ320、及びステップ330を含む。
【0048】
ステップ310及びステップ320の詳細については、前文のステップ210及びステップ220を参照されたい。ここでは説明を省略する。詳しくは、ステップ330は、ヒドロキシ含有(メタ)アクリレート化合物を加えた第2混合物を第1温度で反応させた後(即ち、第3混合物)、降温して希釈モノマーを加えてポリウレタンアクリル樹脂を得る希釈ステップである。具体的には、ステップ330は、作業粘度の調整に関する。真空注入樹脂の粘度は、最も好ましくは100cps~250cpsであり、ハンドレイアップ樹脂の粘度は、最も好ましくは300cps~450cpsである。ステップ330において適量の希釈モノマーを加えることでポリウレタンアクリル樹脂の粘度を制御し、それにより後続のポリウレタンアクリル樹脂材料の応用に寄与するように、作業に適するポリウレタンアクリル樹脂を得る。前述の応用とは、ハンドレイアップ成形、圧縮成形、プリプレグ成形、引抜成形、ファイバーワインディング、樹脂トランスファー成形、真空注入成形等のプロセスを使用した製品の製造を指す。希釈モノマーについては、前文を参照されたく、ここで説明を省略する。
【0049】
また、本発明のポリウレタンアクリル樹脂の製造方法300における希釈ステップは、作業プロセスの粘度需要によって決定される。本発明のポリウレタンアクリル樹脂の製造方法200において、ポリウレタンアクリレート化ステップ後に本発明のポリウレタンアクリル樹脂を得ることができる。
【0050】
これにより、本発明のポリウレタンアクリル樹脂は、二官能基以上のイソシアネートをポリオールとポリウレタン鎖延長反応を行い、そしてヒドロキシル含有アクリレート化合物でエンドキャップし、更に作業粘度に応じてフリーラジカル硬化性希釈モノマーで希釈して得られる分解性ポリウレタンアクリル樹脂である。
【0051】
詳しくは、本発明のポリウレタンアクリル樹脂の製造方法の反応式は下記の表1に示され、Mは希釈モノマーであり、フリーラジカル硬化された後にポリウレタンアクリル樹脂と網目状共重合構造を形成する。
【表1】
【0052】
また、ポリウレタンアクリル樹脂の分解反応式は、下記の表2に示される。ポリウレタンアクリル樹脂の構造は、アルコール分解及びアンモノ分解の作用によって、低分子カルバメート、低分子ウレイドエステル、ポリオール、及びポリアクリル酸分子を形成し、持続的な作用により、最終的に分解生成物が芳香族アミン化合物、オキサゾリジノン、カルバメートアルコールアミン、ウレイドジオール等であると推測される。
【表2】
【0053】
他の実施形態において、本発明のポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法におけるポリウレタンアクリル樹脂の総重量の40%以上は、本発明のポリウレタンアクリル樹脂を製造するための組成物から製造されたオリゴマーであり、オリゴマーは、本発明の式(I)に示す構造であるが、これに限定されない。
【0054】
本発明のポリウレタンアクリル樹脂材料は、表面コーティング、接着剤、3Dプリンティング、又は本体構造層に適用されてよく、機能に応じてチタンホワイトパウダー、シリカ、炭酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、炭化ケイ素、又はそれらの組み合わせ等のフィラーを加えることにより、自動車部品、船舶部品、鉄道車両部品、スポーツ用品部品、航空部品、風力タービン部品、家具部品、建築部品の製造に適用されてよい。
【0055】
以下の具体的な実施例によって、当業者が過度に解読する必要がなく本発明を完全に利用して実施することができるように、本発明を更に例示的に説明し、これらの実施例は、本発明の材料及び方法をどのように実施するかを説明するために用いられるが、本発明の範囲を限定するものと見なすべきではない。
【0056】
<合成例>
【0057】
<ポリウレタンアクリル樹脂の合成>
【0058】
合成例1:280gのポリメチレンフェニルイソシアネート、0.318gの2,5-ジヒドロキシトルエン、及び0.159gの触媒(DBTDL)を228gのメチルメタアクリレートに分散させ、反応釜内で均一に混合し、45℃~60℃に加熱して使用に備える。次に、138.9gのポリプロピレングリコール(PPG400)を上記反応釜にゆっくりと滴下し、滴下時間が40~60分間であり、滴下期間に温度を60℃以下に制御し、滴下終了後に45℃~60℃を2時間~4時間維持する。その後、180.8gのヒドロキシエチルメタアクリレート(2-HEMA)をゆっくりと滴下し、滴下時間は40~60分間であり、滴下期間に温度を60℃以下に制御し、滴下終了後に45℃~60℃を2時間~4時間維持する。NCO値が0.5%未満の場合、228gのメチルメタアクリレートを投入して希釈し、合成例1のポリウレタンアクリル樹脂を得て、その粘度は130cpsである。
【0059】
合成例2:250gのポリメチレンフェニルイソシアネート、0.317gの2,5-ジヒドロキシトルエン、及び0.159gの触媒(DBTDL)を227gのメチルメタアクリレートに分散させ、反応釜内で均一に混合し、45℃~60℃に加熱して使用に備える。次に、186gのポリエチレングリコール(PEG600)を上記反応釜にゆっくりと滴下し、滴下時間が40~60分間であり、滴下期間において温度を60℃以下に制御し、滴下終了後に45℃~60℃を2時間~4時間維持する。その後、161.4gのヒドロキシエチルメタアクリレート(2-HEMA)をゆっくりと滴下し、滴下時間は40~60分間であり、滴下期間に温度を60℃以下に制御し、滴下終了後に45℃~60℃を2時間~4時間維持する。NCO値が0.5%未満の場合、227gのメチルメタアクリレートを投入して希釈し、合成例2のポリウレタンアクリル樹脂を得て、その粘度は320cpsである。
【0060】
合成例3:330gのポリメチレンフェニルイソシアネート、0.308gの2,5-ジヒドロキシトルエン、及び0.179gの触媒(DBTDL)を169gのメチルメタアクリレートに分散させ、反応釜内で均一に混合し、45℃~60℃に加熱して使用に備える。次に、61.4gのポリプロピレングリコール(PPG400)を上記反応釜にゆっくりと滴下し、滴下時間が40~60分間であり、滴下期間に温度を60℃以下に制御し、滴下終了後に45℃~60℃を2時間~4時間維持する。その後、293.6gのヒドロキシエチルメタアクリレート(2-HEMA)をゆっくりと滴下し、滴下時間は40~60分間であり、滴下期間に温度を60℃以下に制御し、滴下終了後に45℃~60℃を2時間~4時間維持する。NCO値が0.5%未満の場合、169gのスチレンを投入して希釈し、合成例3のポリウレタンアクリル樹脂を得て、その粘度は300cpsである。
【0061】
合成例4:270gの2,4-ジフェニルメタンジイソシアネートと4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物、0.287gの2,5-ジヒドロキシトルエン、及び0.143gの触媒(DBTDL)を167gのメチルメタアクリレートに分散させ、反応釜内で均一に混合し、45℃~60℃に加熱して使用に備える。次に、143.6gのポリプロピレングリコール(PPG400)を上記反応釜にゆっくりと滴下し、滴下時間が40~60分間であり、滴下期間に温度を60℃以下に制御し、滴下終了後に45℃~60℃を2時間~4時間維持する。その後、206.7gのヒドロキシプロピルメタアクリレート(2-HPMA)をゆっくりと滴下し、滴下時間は40~60分間であり、滴下期間に温度を60℃以下に制御し、滴下終了後に45℃~60℃を2時間~4時間維持する。NCO値が0.5%未満の場合、207gのメチルメタアクリレートを投入して希釈し、合成例4のポリウレタンアクリル樹脂を得て、その粘度は150cpsである。
【0062】
合成例5:150gのポリメチレンフェニルイソシアネート、0.309gの2,5-ジヒドロキシトルエン、及び0.181gの触媒(DBTDL)を412gのメチルメタアクリレートに分散させ、反応釜内で均一に混合し、45℃~60℃に加熱して使用に備える。次に、372.0gのポリプロピレングリコール(PPG2000)を上記反応釜にゆっくりと滴下し、滴下時間が40~60分間であり、滴下期間に温度を60℃以下に制御し、滴下終了後に45℃~60℃を2時間~4時間維持する。その後、96.8gのヒドロキシエチルメタアクリレート(2-HEMA)をゆっくりと滴下し、滴下時間は40~60分間であり、滴下期間に温度を60℃以下に制御し、滴下終了後に45℃~60℃を2時間~4時間維持する。NCO値が0.5%未満の場合、合成例5のポリウレタンアクリル樹脂を得て、その粘度は400cpsである。
【0063】
<ポリウレタンアクリル樹脂材料の製造>
【0064】
ポリウレタンアクリル樹脂材料は、ポリウレタンアクリル樹脂硬化物、及びポリウレタンアクリル樹脂硬化物含有複合材料であってよい。具体的には、合成例1~合成例5のポリウレタンアクリル樹脂にイソオクタン酸コバルト(0.1%~0.2%)及びメチルエチルケトンパーオキサイド(1~2%)を加えて、24時間常温硬化させ、そして105℃で2時間焼成したら、合成例6~合成例10のポリウレタンアクリル樹脂硬化物をそれぞれ得ることができる。また、異なるプロセスの作業ニーズに応じて、ポリウレタンアクリル樹脂の硬化系を適当なゲル化時間まで調整して常温での繊維含浸成形を行い、そして105℃で2時間焼成したら、繊維を含む硬化複合材料を得ることができる。
【0065】
<実施例/比較例>
【0066】
実施例1:5gの合成例6のポリウレタンアクリル樹脂硬化物と2-アミノエタノールとを、1:5の重量比で、ヘビ型冷却管を備えた丸底フラスコに入れ、135℃を10時間維持することにより、清澄な溶液を得ることができ、それは順調に分解できることを示す。
【0067】
実施例2:5gの合成例6のポリウレタンアクリル樹脂硬化物と2-アミノエトキシエタノールとを、1:5の重量比で、ヘビ型冷却管を備えた丸底フラスコに入れ、135℃を24時間維持することにより、清澄な溶液を得ることができ、それは順調に分解できることを示す。
【0068】
比較例1:5gの合成例6のポリウレタンアクリル樹脂硬化物とエチレングリコールとを、1:5の重量比で、ヘビ型冷却管を備えた丸底フラスコに入れ、135℃を24時間維持した結果、完全に溶解されない硬化物があり、それは分解効率が低いことを示す。
【0069】
比較例2:5gの合成例6のポリウレタンアクリル樹脂硬化物とトリエチレンテトラミンとを、1:5の重量比で、ヘビ型冷却管を備えた丸底フラスコに入れ、135℃を24時間維持した結果、完全に溶解されない硬化物があり、それは分解効率が低いことを示す。
【0070】
実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2についての樹脂種類、硬化物種類、分解液種類、分解時間(h)、及び分解状態は下記の表3に示す。
【表3】
【0071】
上記の表3の結果から分かるように、実施例1及び実施例2は、反応性NH基及びOH基を含む分解液を選択することにより、ポリウレタンアクリル樹脂を確実に分解し、清澄な溶液を得ることができる。
【0072】
実施例3:5gの合成例7のポリウレタンアクリル樹脂硬化物と2-アミノエタノールとを、1:5の重量比で、ヘビ型冷却管を備えた丸底フラスコに入れ、135℃を10時間維持することにより、清澄な溶液を得ることができ、それは順調に分解できることを示す。
【0073】
実施例4:5gの合成例8のポリウレタンアクリル樹脂硬化物と2-アミノエタノールとを、1:5の重量比で、ヘビ型冷却管を備えた丸底フラスコに入れ、135℃を10時間維持することにより、清澄な溶液を得ることができ、それは順調に分解できることを示す。
【0074】
実施例5:5gの合成例9のポリウレタンアクリル樹脂硬化物と2-アミノエタノールとを、1:5の重量比で、ヘビ型冷却管を備えた丸底フラスコに入れ、135℃を10時間維持することにより、清澄な溶液を得ることができ、それは順調に分解できることを示す。
【0075】
実施例6:5gの合成例10のポリウレタンアクリル樹脂硬化物と2-アミノエタノールとを、1:5の重量比で、ヘビ型冷却管を備えた丸底フラスコに入れ、135℃を10時間維持することにより、粉状沈殿溶液を得ることができ、それは順調に分解できることを示す。
【0076】
実施例3~実施例6についての樹脂種類、硬化物種類、分解時間(h)、及び分解状態は下記の表4に示す。
【表4】
【0077】
実施例7:合成例1でガラス繊維に真空注入を行い、その重量繊維含有率を68%~75%に制御し、完全に硬化させた後、適当な大きさに裁断し、2-アミノエタノールと1:5の重量比で、ヘビ型冷却管を備えた丸底フラスコに入れ、150℃を2時間維持することにより、繊維とポリウレタンアクリル樹脂が分離した溶液を得て、エタノール/水で繊維を洗浄したら、繊維を順調に回収することができる。
【0078】
実施例8:合成例1で炭素繊維に真空注入を行い、その重量繊維含有率を50%~55%に制御し、完全に硬化させた後、適当な大きさに裁断し、2-アミノエタノールと1:5の重量比で、ヘビ型冷却管を備えた丸底フラスコに入れ、150℃を2時間維持することにより、繊維とポリウレタンアクリル樹脂が分離した溶液を得て、エタノール/水で繊維を洗浄したら、繊維を順調に回収することができる。
【0079】
実施例9:合成例1で芳香族ポリアミド繊維に真空注入を行い、その重量繊維含有率を50%~55%に制御し、完全に硬化させた後、適当な大きさに切断し、2-アミノエタノールと1:5の重量比で、ヘビ型冷却管を備えた丸底フラスコに入れ、150℃を2時間維持することにより、繊維とポリウレタンアクリル樹脂が分離した溶液を得て、エタノール/水で繊維を洗浄したら、繊維を順調に回収することができる。
【0080】
実施例10:合成例3でガラス繊維にハンドレイアップを行い、その重量繊維含有率を30%~50%に制御し、完全に硬化させた後、適当な大きさに裁断し、2-アミノエタノールと1:5の重量比で、ヘビ型冷却管を備えた丸底フラスコに入れ、150℃を2.5時間維持することにより、繊維とポリウレタンアクリル樹脂が分離した溶液を得て、エタノール/水で繊維を洗浄したら、繊維を順調に回収することができる。
【0081】
実施例7~実施例10についての樹脂種類、繊維種類、分解時間(h)、及び分解状態は下記の表5に示す。
【表5】
【0082】
上記の表5の結果から分かるように、ポリウレタンアクリル樹脂及び繊維を含む複合材料は、反応性NH基及びOH基を含む分解液によって分解された後、ポリウレタンアクリル樹脂が分解除去され、それにより樹脂と繊維とを分離させてプラスチックが付着していない繊維を残すことができ、それは繊維を回収再利用するという目的を達成することができる。
【0083】
以上より、本発明は、反応性NH基/NH基及びOH基を含む分解液を用い、且つ加熱によってポリウレタンアクリル樹脂材料を分解することにより、効率の高い解重合効果を達成することができ、分解後の分解液を回収再利用することができ、廃棄物削減の目的を達成する。
【0084】
本発明は、実施形態に基づいて以上のように開示されたが、それは本発明を限定するものではなく、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更や修正を行うことができ、よって、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲に定義される範囲を基準とする。
【符号の説明】
【0085】
100 ポリウレタンアクリル樹脂材料の分解方法
200、300 ポリウレタンアクリル樹脂の製造方法
110、120、130、140、210、220、310、320、330 ステップ
図1
図2
図3