(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096022
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】多方向顎変位口腔器具
(51)【国際特許分類】
A61M 16/06 20060101AFI20240704BHJP
A61F 5/56 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
A61M16/06 D
A61F5/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023214669
(22)【出願日】2023-12-20
(31)【優先権主張番号】18/091,980
(32)【優先日】2022-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514051143
【氏名又は名称】アプニア・サイエンシーズ・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】APNEA SCIENCES CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・エム・ファロン
【テーマコード(参考)】
4C098
【Fターム(参考)】
4C098AA02
4C098BB15
4C098BC08
4C098BC41
4C098BC42
(57)【要約】 (修正有)
【課題】口に装着して睡眠時無呼吸の影響を低減するための多方向顎変位口腔器具を提供する。
【解決手段】口腔器具1は、使用者の上歯群が受容される上側弓形トレイアセンブリ3と、使用者の下歯群が受容される下側弓形トレイアセンブリ5とを含む。中間弓形トレイアセンブリ4が、上側および下側弓形トレイアセンブリの間に配置される。上側弓形トレイアセンブリは、ヒンジによって中間弓形トレイアセンブリに接続され、それにより、上側弓形トレイアセンブリは、中間弓形トレイアセンブリから分離することができず、上側弓形トレイアセンブリは、中間および下側弓形トレイアセンブリに対して上方に使用者の上歯群と共にある角度で回転可能である。下側弓形トレイアセンブリは、使用者の下顎の位置が使用者の上顎に対して調整されて使用者の喉への気道を維持するように、使用者の下歯群と共に水平方向に移動するように適合される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
睡眠中に使用者が呼吸することができる前記使用者の喉への開放気道を維持するように、前記使用者の上顎に対する前記使用者の下顎の位置を調整するために前記使用者の口に挿入される顎変位口腔器具であって、前記口腔器具が、
睡眠中に前記使用者の上顎の上歯群を受容するように構成された上側歯印象ライナーを有する上側弓形トレイアセンブリと、
睡眠中に前記使用者の下顎の下歯群を受容するように構成された下側歯印象ライナーを有する下側弓形トレイアセンブリと、
前記上側弓形トレイアセンブリと前記下側弓形トレイアセンブリとの間に位置し、前記下側弓形トレイアセンブリに取り付けられている中間弓形トレイアセンブリであって、前記上側弓形トレイアセンブリ、前記中間弓形トレイアセンブリ、および前記下側弓形トレイアセンブリの各々が、互いに離隔し、かつ互いに対向して位置する一対の側部を有する、中間弓形トレイアセンブリと、
前記上側弓形トレイアセンブリの前記一対の側部の各々に配置され、前記上側弓形トレイアセンブリが前記中間弓形トレイアセンブリから分離するのを防止するように前記中間弓形トレイアセンブリの前記一対の側部のそれぞれに接続されている第1の連結器であって、前記上側弓形トレイアセンブリおよび前記中間弓形トレイアセンブリが互いに枢動可能に接続され、前記上側弓形トレイアセンブリが、前記使用者の口が睡眠中に開かれたときに、前記上側弓形トレイアセンブリが上方に枢動して前記中間弓形トレイアセンブリおよび前記下側弓形トレイアセンブリならびに前記使用者の下歯群から離れるように、前記中間弓形トレイアセンブリおよび前記下側弓形トレイアセンブリに対してある角度で前記使用者の上歯群と共に前記第1の連結器で回転可能である、第1の連結器と
を備える、顎変位口腔器具。
【請求項2】
前記上側弓形トレイアセンブリ、前記中間弓形トレイアセンブリ、および前記下側弓形トレイアセンブリの各々が、前記使用者の上歯群および下歯群の咬合パターンと一致する湾曲した前部を有する弓状構成を有する、請求項1に記載の顎変位口腔器具。
【請求項3】
前記中間弓形トレイアセンブリからの前記上側弓形トレイアセンブリの分離を防止するために、前記上側弓形トレイアセンブリの前記一対の側部に配置された前記第1の連結器が、前記中間弓形トレイアセンブリの前記一対の側部に配置された第2の連結器のそれぞれに連動係合で接続されるように、前記中間弓形トレイアセンブリの前記一対の側部の各々に配置された第2の連結器をさらに備える、請求項1に記載の顎変位口腔器具。
【請求項4】
前記中間弓形トレイアセンブリの前記一対の側部に配置された前記第2の連結器が、前記上側弓形トレイアセンブリの前記一対の側部に配置された前記第1の連結器のそれぞれと前記連動係合でスナップ留めされる、請求項3に記載の顎変位口腔器具。
【請求項5】
前記上側弓形トレイアセンブリの前記一対の側部の各々にある前記第1の連結器が、キャッチを含み、前記中間弓形トレイアセンブリの前記一対の側部の各々に配置された前記第2の連結器が、前記キャッチと前記連動係合でスナップ留めされる少なくとも1つのピンを含む、請求項4に記載の顎変位口腔器具。
【請求項6】
前記中間弓形トレイアセンブリの前記一対の側部の各々にある前記第2の連結器が、一対のピンを含み、前記一対のピンが、互いに軸方向に位置合わせされて、前記第1の連結器の各々の前記キャッチによって受容され、前記キャッチと前記連動係合でスナップ留めされる、請求項5に記載の顎変位口腔器具。
【請求項7】
各第1の連結器の前記キャッチが、横方向に延在するキャッチホールを有し、各第2の連結器の軸方向に位置合わせされた前記一対のピンが、前記キャッチホール内に受容され、前記キャッチホールにおいて、前記キャッチとの前記連動係合でスナップ留めされる、請求項6に記載の顎変位口腔器具。
【請求項8】
各第2の連結器の軸方向に位置合わせされた前記一対のピンが、可撓性であり、その間を移動する各第1の連結器の前記キャッチを収容するために互いに離れるように曲げられるように適合され、それにより、前記キャッチによって各対のピンがその前記キャッチホール内に受容されることを可能にする、請求項7に記載の顎変位口腔器具。
【請求項9】
各第1の連結器の前記キャッチホールが、前記キャッチホール内に受容された各第2の連結器の軸方向に位置合わせされた前記一対のピンの各々の横断面よりも垂直方向に高く、前記一対のピンが、前記キャッチホールを通って垂直上方にスライド可能になっている、請求項7に記載の顎変位口腔器具。
【請求項10】
前記中間弓形トレイアセンブリが、前記下側弓形トレイアセンブリに取り付けられて、前記下側弓形トレイアセンブリが、前記中間弓形トレイアセンブリおよび前記中間弓形トレイアセンブリに接続された前記上側弓形トレイアセンブリの各々に対して水平方向に前記使用者の下歯群と共に移動するように適合されるようになり、それにより、前記使用者の上顎の位置に対する前記使用者の下顎の位置を対応して調整する、請求項1に記載の顎変位口腔器具。
【請求項11】
前記下側弓形トレイアセンブリが、その前記一対の側部の各々に配置された位置調整ブロックを有し、前記中間弓形トレイアセンブリが、その前記一対の側部の各々に配置されたロックチャネルを有し、前記位置調整ブロックが、前記中間弓形トレイアセンブリおよび前記中間弓形トレイアセンブリに接続された前記上側弓形トレイアセンブリの各々に対して前記下側弓形トレイアセンブリが前記水平方向に移動するときに、前記ロックチャネルのそれぞれに受容され、前記ロックチャネルのそれぞれを通ってスライド可能である、請求項10に記載の顎変位口腔器具。
【請求項12】
前記下側弓形トレイアセンブリおよび前記中間弓形トレイアセンブリの各対の側部に配置された各位置調整ブロックおよび各ロックチャネルが、歯のセットを有し、前記位置調整ブロックおよび前記ロックチャネルの前記歯のセットが互いに噛み合い係合で位置することにより、前記下側弓形トレイアセンブリおよび前記中間弓形トレイアセンブリが解放可能な係止係合で互いに嵌合する、請求項11に記載の顎前進口腔器具。
【請求項13】
前記中間弓形トレイアセンブリが、前記中間弓形トレイアセンブリを圧縮するためにその前記一対の側部に同時に加えられる圧縮圧迫力に応答し、それにより、前記ロックチャネルの前記歯のセットを、前記位置調整ブロックの前記歯のセットとの噛み合い係合から外して、前記位置調整ブロックが前記ロックチャネルを通ってスライドすることを可能にし、かつ前記中間弓形トレイアセンブリおよび前記中間弓形トレイアセンブリに接続された前記上側弓形トレイアセンブリの各々に対して、前記下側弓形トレイアセンブリが前記水平方向に移動することを可能にする、請求項12に記載の顎前進口腔器具。
【請求項14】
睡眠中に使用者が呼吸することができる前記使用者の喉への開放気道を維持するように、前記使用者の上顎に対する前記使用者の下顎の位置を調整するために前記使用者の口に挿入される顎前進口腔器具であって、前記口腔器具が、
睡眠中に前記使用者の上顎の上歯群を受容するように構成された上側歯印象ライナーを含む上側弓形トレイアセンブリであって、前記上側弓形トレイアセンブリが、湾曲した前部と、互いに離隔し、かつ互いに対向して位置する一対の側部とを有する弓状構成を有する、上側弓形トレイアセンブリと、
睡眠中に前記使用者の下顎の下歯群を受容するように構成された下側歯印象ライナーを含む下側弓形トレイアセンブリであって、前記下側弓形トレイアセンブリが、湾曲した前部と、互いに離隔し、かつ互いに対向して位置する一対の側部とを有する弓状構成を有する、下側弓形トレイアセンブリと、
前記上側弓形トレイアセンブリと前記下側弓形トレイアセンブリとの間に位置し、湾曲した前部と、互いに離隔し、かつ互いに対して対向して位置する一対の側部とを有する弓状構成を有する中間弓形トレイアセンブリと
を備え、
前記上側弓形トレイアセンブリ、前記中間弓形トレイアセンブリ、および前記下側弓形トレイアセンブリが、互いに上下に位置し、前記上側弓形トレイアセンブリが、その前記一対の側部の各々に配置された第1の連結器を有し、前記中間弓形トレイアセンブリが、その前記一対の側部の各々に配置された第2の連結器を有し、第2の連結器は、前記第1の連結器のそれぞれに連動係合して枢動可能に接続されて、前記上側弓形トレイアセンブリが前記中間弓形トレイアセンブリから分離されるのを防止し、前記上側弓形トレイアセンブリが前記中間弓形トレイアセンブリおよび前記下側弓形トレイアセンブリに対してある角度で前記使用者の上歯群と共に回転するヒンジを確立し、睡眠中に前記使用者の口が開いたときに、前記上側弓形トレイアセンブリが、前記中間弓形トレイアセンブリおよび前記下側弓形トレイアセンブリおよび前記使用者の下歯群から上方に離れて枢動するようになる、顎前進口腔器具。
【請求項15】
前記上側弓形トレイアセンブリの各側部に配置された前記第1の連結器が、内部に形成されたキャッチホールを有するキャッチであり、前記中間弓形トレイアセンブリの各側部に配置された前記第2の連結器が、一対の可撓性ピンを含み、前記一対の可撓性ピンが、互いに軸方向に位置合わせされ、前記キャッチホールで前記キャッチによって受容され前記連動係合でスナップ留めされて、前記上側弓形トレイアセンブリが回転する前記ヒンジを確立する、請求項14に記載の顎変位口腔器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1.発明の分野
本発明は、睡眠中に使用者の口の中および歯の上に装着して睡眠時無呼吸の影響を低減するための多方向顎変位口腔器具に関する。顎変位口腔器具は、使用者の上下歯群が受容される上側および下側弓形トレイアセンブリと、それらの間に配置される中間弓形トレイアセンブリとを含む。下側弓形トレイアセンブリは、使用者の下歯群と共に水平に(すなわち、前後に)移動するように適合されており、上側弓形トレイアセンブリは、ヒンジによって中間弓形トレイアセンブリに枢動可能に連結され、中間弓形トレイアセンブリに常に接続されたままで、中間および下側弓形トレイアセンブリに対して使用者の上歯群と共にある角度で回転可能であり、垂直に(すなわち、上下に)移動可能である。上記により、上側弓形トレイアセンブリは、使用者が睡眠中に口を開いても、使用者の上歯群と係合したままである。さらに、使用者の下顎の位置は、使用者の喉への開放気道を維持するために、上顎の前方に調整することができる。
【背景技術】
【0002】
2.背景技術
口腔器具は、口腔内に挿入され、使用者の歯の上に装着されて、睡眠中の使用者の呼吸を改善するために器具を通って使用者の喉に流れる開放気道を維持することが知られている。そのような口腔器具の例は、2014年9月16日に発行された米国特許第8,833,374号および2020年12月1日に発行された米国特許第10,849,783号を参照することによって入手可能である。前述の特許請求された口腔器具は、いびきおよび/または睡眠時無呼吸の影響を低減することを望む者が使用するための特定の用途を有する。各器具は、使用中に使用者の上下歯群が着座する、上側および下側弓形トレイアセンブリを含む。下側弓形トレイアセンブリは、使用者の状態が経時的に変化するときに、使用者の喉への上述の気道を開いたままにするために、使用者の上顎に対して使用者の下顎の位置を対応して前進させるために上側弓形トレイアセンブリに対して水平方向にスライド可能に調整可能である。
【0003】
使用者がどのように眠り、動き回るかに応じて、口腔器具の位置は、上下歯群に対して使用者の口の中でずれる可能性がある。特に、使用者が睡眠中に口を開く場合、器具の上側弓形トレイアセンブリは、使用者の上歯群から分離する可能性がある。その場合、使用者が口を閉じると、器具は使用者の上歯群と位置がずれている可能性があり、このことは、使用者の下顎を上顎の前方に維持しなくなることによって、器具の有効性を低下させる可能性がある。上記の特許第10,849,783号では、上側弓形トレイアセンブリは、下側弓形トレイアセンブリに対して支柱に沿って垂直に(すなわち、上下に)スライドするように適合されており、それによって、開放気道が維持されるように、使用者の口が開いているか閉じているかにかかわらず一晩中、口腔器具の上側弓形トレイアセンブリが使用者の上歯群と係合し続けることを可能にする。
【0004】
2022年4月26日に発行された本発明者の特許第11,311,407号は、上側および下側弓形トレイアセンブリと、それらの間に配置される中間弓形トレイアセンブリとを有する、双方向顎変位口腔器具を記載している。使用者の上歯群は、上側弓形トレイアセンブリと係合し、使用者の下歯群は、下側弓形トレイアセンブリと係合する。上側弓形トレイアセンブリは、連結フックによって中間弓形トレイに枢動可能に連結され、連結フックは、睡眠中に使用者の口が開いたときに上側弓形トレイアセンブリが使用者の上歯群と共に回転できるように、上側弓形トレイアセンブリから下方に突出して中間弓形トレイアセンブリに形成された開口内に取り外し可能に受容される。上記により、使用者の上歯群は、上側弓形トレイアセンブリから分離する可能性が低い。これに関して、下側弓形トレイアセンブリは、水平にスライドするように適合されており、これにより、使用者の下歯群および下顎の位置を使用者の上顎に対して選択的に調整して、使用者の喉への開放空気経路を維持することができる。
【0005】
それにもかかわらず、上側および中間弓形トレイアセンブリが互いに枢動可能に接続されるが、上側弓形トレイアセンブリが中間弓形トレイアセンブリから取り外し可能ではないように、上述した本発明者が特許出願した口腔器具を変更することが望ましいであろう。この場合、使用者の口が一晩中繰り返し開閉されても、上側弓形トレイアセンブリが使用者の口の中で自由に浮動する可能性は低くなる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
一般的に言えば、睡眠中に使用者の口の中および歯の上に装着して睡眠時無呼吸の影響を低減するための多方向顎変位口腔器具が開示される。口腔器具は、上側および下側弓形トレイアセンブリと、それらの間に配置される可撓性の中間弓形トレイアセンブリとを含む。弓形トレイアセンブリの各々は、使用者の歯の咬合パターンに一致するように互いに離隔した一対の側部を有する、閉じた前端部と反対側の後端部とを有する弓状構成を有する。上側および下側弓形トレイアセンブリの各々は、睡眠中に使用者の上下歯群が受容される歯印象ライナーを含む。
【0007】
弓状の上側弓形トレイアセンブリの開いた後端部の各側部には、横方向に貫通するキャッチホールを有する円筒形の連結キャッチが配置されている。弓状の中間弓形トレイアセンブリの開いた後端部の各側部には、軸方向に位置合わせされ、互いに離隔した一対の可撓性連結ピンが配置されている。口腔器具の組み立て中、上側および中間弓形トレイアセンブリの開放端部は、一対の可撓性連結ピンがそのキャッチホール内の連結キャッチと係止係合するようにスナップ留めされるまで、互いに向かって押される。連結ピンを係止キャッチにスナップイン接続することにより、ヒンジが形成され、これにより、上側弓形トレイアセンブリが中間弓形トレイアセンブリに枢動可能に連結され、それにより、上側弓形トレイアセンブリの閉じた前端部は、中間および下側弓形トレイアセンブリに対して垂直方向に、使用者の上歯群と共に回転可能である。さらに、上側弓形トレイアセンブリは、中間弓形トレイアセンブリから不用意に分離されて夜間に使用者の口の中で自由に浮遊する可能性が低い。
【0008】
一対の位置制御ブロックが、下側弓形トレイアセンブリの上部および対向する側部に配置され、中間弓形トレイアセンブリの底部および対向する側部に形成されるそれぞれのロックチャネル内にスライド可能に受容される。位置調整ブロックおよびロックチャネルの各々は、位置調整ブロックをロックチャネル内に保持し、それによって中間弓形トレイを下側弓形トレイアセンブリに接続するように、互いと嵌合係合するように移動されるようにその一側面に沿って延在する、歯のセットを有する。
【0009】
使用者の下顎が上顎に対して再配置され得るように、多方向顎変位口腔器具の下側弓形トレイアセンブリを、上側弓形トレイアセンブリおよび中間弓形トレイアセンブリの各々に対して水平方向に移動させることが望ましいとき、可撓性の中間弓形トレイアセンブリの対向する側部に、圧迫力が瞬間的に加えられる。圧迫力の結果として、可撓性の中間弓形トレイアセンブリは瞬間的に圧縮され、そのロックチャネルの一側面の歯が、下側弓形トレイアセンブリの位置調整ブロックの一側面の歯との以前の嵌合係合から外れる。次に、下側弓形トレイアセンブリに押圧力が加わり、その位置制御ブロックが中間弓形トレイアセンブリのロックチャネルを通ってスライドし、下側弓形トレイアセンブリおよび使用者の下顎は、上側弓形トレイアセンブリおよび使用者の上顎に対して前方にスライドする。下側弓形トレイアセンブリおよび使用者の下顎の位置が、使用者のニーズを満たすために必要に応じて調整されると、中間弓形トレイアセンブリに加えられている圧迫力は終了する。したがって、可撓性の中間弓形トレイアセンブリは、ここで自動的に元の形状に拡張し、それによって、ロックチャネルの歯は、位置調整ブロックの歯との嵌合係合に戻り、中間および下側弓形トレイアセンブリを上下に適所に再び保持する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の好ましい実施形態による多方向顎変位口腔器具の正面斜視図である。
【
図2】
図1の多方向顎変位口腔器具の分解図である。
【
図3】
図1の多方向顎変位口腔器具の上側、下側および中間弓形トレイアセンブリを示す分解上面図である。
【
図4】
図1の多方向顎変位口腔器具の上側、下側および中間弓形トレイアセンブリを示す分解底面図である。
【
図5】中間弓形トレイアセンブリが上側弓形トレイアセンブリに向かって移動する、組み立て中の多方向顎変位口腔器具の底面斜視図を示す。
【
図6】
図5に示す多方向顎変位口腔器具の底面図である。
【
図7】中間弓形トレイアセンブリの一対の連結ピンのうちの1つが、上側弓形トレイアセンブリの一対の連結キャッチのうちの対応する1つに枢動可能に接続されていることを示す。
【
図8】中間弓形トレイアセンブリの一対の連結ピンが、上側弓形トレイアセンブリの1つの連結キャッチに枢動可能に接続されていることを示す、拡大詳細図である。
【
図9】
図8の一対の連結ピンがスナップ留めされて
図8の連結キャッチと連動係合するときに形成されるヒンジを示す。
【
図10】使用者の口が閉じられ、上側弓形トレイアセンブリが中間および下側弓形トレイアセンブリ上に位置するときの、多方向顎変位口腔器具の正面図である。
【
図12】睡眠中に使用者の口が開かれ、上側弓形トレイアセンブリが
図9に示すヒンジで中間および下側弓形トレイアセンブリに対して垂直方向に回転するときの、多方向顎変位口腔器具の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
好ましい実施形態の説明
図面を参照すると、多方向顎変位口腔器具1の詳細が提供されており、口腔器具は、使用者が睡眠中に歯の上に口腔器具を装着するときにいびきおよび睡眠時無呼吸の影響を低減するために、使用者の下顎を必要に応じて使用者の上顎に対して水平方向に可変の距離で選択的に再配置して(すなわち前進させて)使用者の喉への開放気道を維持することができるように、使用者の口の中および歯の上に適合するようなサイズである。さらに、使用者の上顎を、使用者の下顎に対して垂直および角度上方向の両方に再配置することもでき、それにより、口腔器具を歯の上に装着して睡眠中に使用者の口が大きく開いた場合に、使用者の上歯群が口腔器具から引き抜かれる可能性を最小限に抑える。したがって、口腔器具1は、使用者がいびきおよび/または睡眠時無呼吸の影響に対処することを可能にし、かつ、口腔器具が使用者の上歯群から分離される(睡眠中に使用者の口が開かれた場合に器具の有効性に悪影響を及ぼし得る)可能性を最小限に抑えるための、調整可能な装置を有することを望む者が使用するための用途を有することが理解され得る。
【0012】
最初に
図1~
図6を参照すると、上下に保持されて、口腔器具を通って使用者の喉への連続的な空気経路を形成する、上側弓形トレイアセンブリ3と下側弓形トレイアセンブリ5とを含む、多方向顎変位口腔器具1が示されている。可撓性の中間弓形トレイアセンブリ4が、上側弓形トレイアセンブリ3と下側弓形トレイアセンブリ5との間に位置する。以下により詳細に開示されるように、上側、中間、および下側弓形トレイアセンブリ3~5は、下側弓形トレイアセンブリ5を上側および中間弓形トレイアセンブリ3、4に対して水平方向に前後に使用者によって移動できるように、互いに連結される。さらに、上側弓形トレイ3は、中間および下側弓形トレイアセンブリ4、5に対して、垂直に上下に移動するだけでなく、ある角度で回転することができる。
【0013】
下側弓形トレイアセンブリ5が使用者によって水平方向に前後に移動される場合、使用者の下顎は上顎に対して対応して変位し、口腔器具1を通って使用者の喉への空気経路(
図10の符号35)のサイズを選択的に調整することを可能にする。使用者が睡眠中に口を開くときなど、上側弓形トレイアセンブリ3が垂直方向に上方に回転または移動する場合、使用者の上歯群もまた、上側弓形トレイアセンブリ3と共に上方に移動する。上記により、使用者が睡眠中に口を大きく開いても、使用者の上顎に対する下顎の水平位置が一晩中維持されるように、使用者の上歯群は上側弓形トレイアセンブリ3と係合したままである可能性が高い。
【0014】
多方向顎変位器具1の上側弓形トレイアセンブリ3は、上側歯印象ライナー8と上側ライナー受容トレイ10とを含み、これらは、歯印象ライナー8が上側ライナー受容トレイ10の上部に取り付けられるように、3D印刷プロセスによって単一部品として製造されることが好ましい。上側歯印象ライナー8および上側ライナー受容トレイ10の各々は、上顎によって支持される使用者の歯群の咬合パターンと一致するように、ほぼ弓状の(すなわち、湾曲した)構成を有する。
【0015】
多方向顎変位器具1の下側弓形トレイアセンブリ5は、下側歯印象ライナー12と下側ライナー受容トレイ14とを含み、これらは、ライナー受容トレイ14が下側歯印象ライナー12の上の適所に保持されるように互いに接合されている。あるいは、下側歯印象ライナー12および下側ライナー受容トレイ14は、3D印刷プロセスによって単一部品として製造することもできる。上側歯印象ライナー8および上側ライナー受容トレイ10の場合と同様に、下側歯印象ライナー12および下側ライナー受容トレイ14の各々は、下顎によって支持される使用者の歯群の咬合パターンと一致するように、ほぼ弓状の(すなわち、湾曲した)構成を有する。
【0016】
中間弓形トレイアセンブリ4は可撓性のヒンジ取付トレイ16を含み、可撓性のヒンジ取付トレイ16は、後述する方法で上側弓形トレイアセンブリ3の上側ライナー受容トレイ10に取り付けられる。中間弓形トレイアセンブリ4のヒンジ取付トレイ16も、上側および下側弓形トレイアセンブリ3、5の上側および下側ライナー受容トレイ10、14の弓状構成と一致するように、ほぼ弓状の(すなわち、湾曲した)構成を有する。
【0017】
図面に示されているように、口腔器具1の弓状の上側、中間および下側弓形トレイアセンブリ3~5の各々、ならびに上側および下側ライナー受容トレイ10、14、ならびにそのヒンジ取付トレイ16は、湾曲した閉じた前端部と、開いた後端部で互いに離隔した一対の対向する側部とを有する。上側咬合チャネル18(
図3に最もよく示されている)は、弓状の上側弓形トレイアセンブリ3の上側歯印象ライナー8の上部の周りに延在する。上側咬合チャネル18は、使用者の上顎によって支持される使用者の上歯群を受容するようなサイズである。下側咬合チャネル20(
図4に最もよく示されている)は、弓状の下側弓形トレイアセンブリ5の下側歯印象ライナー12の底部の周りに延在する。下側咬合チャネル20は、使用者の下顎によって支持される使用者の下歯群を受容するようなサイズである。
【0018】
多方向顎変位口腔器具1の重要な特徴として、一対の可撓性連結ピン22が、ピンポケット24内に配置され、ピンポケット24は、中間弓形トレイアセンブリ4の弓状のヒンジ取付トレイ16の対向する側部の各々かつ開いた後端部に形成される。連結ピン22の各対は、隙間26によって互いに分離され、それぞれのピンポケット24を横切って互いに向かって軸方向に位置合わせされて延在する。円筒形連結キャッチ28は、上側弓形トレイアセンブリ3の弓状の上側ライナー受容トレイ10の対向する側部の各々かつ開いた後端部から垂れ下がる。キャッチホール30は、各連結キャッチ28を横方向に貫通している。
【0019】
ここで
図5~
図9を参照すると、中間およびトレイアセンブリ4のピンポケット24内の対になった可撓性連結ピン22が、上側弓形トレイアセンブリ3の円筒形連結キャッチ28に枢動可能に接続されてヒンジ34を形成することによって、上側弓形トレイアセンブリ3がある角度で上方に回転し、垂直方向に上下に移動することができる詳細が示されている。より具体的には、上側および中間弓形トレイアセンブリ3、4は、最初に互いに背中合わせに保持される(すなわち、開放端対開放端)。次いで、口腔器具1の組み立て中、上側および中間弓形トレイアセンブリ3、4は、中間弓形トレイアセンブリ4のピンポケット24内の連結ピン22の対が、キャッチホール30で上側弓形トレイアセンブリ3の連結キャッチ28によって受容され、連動係合するようにスナップ留めされるまで(
図8および
図9に最もよく示されている)、互いに向かって押される。
【0020】
各連結キャッチ28の最外端部32は、連結ピン28の連結キャッチ28内への移動および薄くなった端部32の通過を容易にするために薄肉化されており、それによってピン22は、キャッチホール30によって捕捉され、キャッチホール30内で回転可能である。可撓性連結ピン22の対は、ピン22の各対間の隙間26を通る連結キャッチ28の薄くなった最外端部32の受容に対応するために、互いに離れるように屈曲することができる。連結ピン22が連結キャッチ28と連動係合するようにスナップ留めされた状態で、上側弓形トレイアセンブリ3を中間弓形トレイアセンブリ4から不用意に分離することはできない。
【0021】
図12は1つのヒンジ34を示し、ヒンジ34は、中間弓形トレイアセンブリ4の連結ピン22の対の1つが、上側弓形トレイアセンブリ3の円筒形連結キャッチ28の対応する1つのキャッチホール30によって受容されるように移動(すなわち、スナップ留め)されるときに形成される。このように、ヒンジ34の対によって、連結ピン22の対は、それぞれの連結キャッチ30のキャッチホール30内で回転可能である。したがって、上側弓形トレイアセンブリ3および中間弓形トレイアセンブリ4は、上側弓形トレイアセンブリ3が中間および下側弓形トレイアセンブリ4、5に対して回転可能であるように、互いに枢動可能に連結される。
【0022】
引き続き
図12を参照すると、多方向顎変位口腔器具1が示されており、使用者が夜間睡眠中に口を開く場合に、上側弓形トレイアセンブリ3は、中間および下側弓形トレイアセンブリ4、5に対してほぼ垂直方向に、ヒンジ34(そのうちの1つのみが示されている)で回転する。すなわち、円筒形連結キャッチ28は、連結ピン22の周りを回転するように適合されており、使用者の上歯群に係合する上側弓形トレイアセンブリ3の閉じた前端部は、使用者が口を開くか閉じるかに応じて、参照矢印60で示す方向の1つにある角度で枢動するようになっている。上記によって、使用者の口が一晩中連続的に開閉されても、使用者の上歯群が口腔器具1から離れて「飛び出す」可能性は低くなる。
【0023】
説明したように、上側弓形トレイアセンブリ3は、可撓性連結ピン22が連結キャッチ28のキャッチホール30で連動係合にスナップ留めされるときに、中間弓形トレイアセンブリ4に枢動可能かつヒンジ式に接続される。これに関して、連結ピン22は、連結キャッチ28からのピン22の不用意な取り外し、および中間弓形トレイアセンブリ4からの上側弓形トレイアセンブリ3の分離を防止するために、キャッチホール30内の適所に保持される。この接続は、上側弓形トレイアセンブリが夜間に使用者の口の中で自由に浮遊する可能性を回避する点で有利である。
【0024】
さらに
図10を参照すると、中間弓形トレイ4の一対のロックピン22が枢動可能に受容される上側弓形トレイアセンブリ3の各連結キャッチ28の各キャッチホール30は、キャッチホールの横断面よりも高いことを理解されたい。この細長い寸法は、ロックピン22の上方に位置するキャッチホール30の上部に空間を形成する。したがって、ロックピン22の対は、キャッチホール30を通って垂直上方(および下方)に移動して、上側弓形トレイアセンブリ3の後端部のロックキャッチ28が、中間弓形トレイアセンブリ4の後端部でロックピン22から離れて上方に引っ張られることを補償することができる。
【0025】
図10および
図11は、上歯群が上側弓形トレイアセンブリ3の上側歯印象ライナー8に配置され、下歯群が下側弓形トレイアセンブリ5の下側歯印象ライナー12に配置されて就寝している使用者によって着用されているときに現れるような、安静時の多方向顎変位口腔器具1を示す。この場合、使用者の口は閉じられており、上側弓形トレイアセンブリ3は、中間弓形トレイアセンブリ4の上部にあり、中間弓形トレイアセンブリ4から短い距離だけ分離されている。
【0026】
図12は、睡眠中に使用者の口が開かれたときに装着されているような、多方向顎変位口腔器具1を示す。弓状の上側弓形トレイアセンブリ3の開いた後端部は、ヒンジ34によって中間弓形トレイアセンブリ4の開いた後端部に枢動可能に接続されているため、使用者の口がどの程度開いているかに応じて、上側弓形トレイアセンブリ3の閉じた前端部は、方向矢印60で表すように約30~45度の角度で、使用者の上歯群と共にヒンジ34で上方に回転する。したがって、上側弓形トレイアセンブリ3は、ここで、中間弓形トレイアセンブリ4から離れるように枢動して、それらの間の分離を
図10および
図11に示す初期分離に対してより長い距離に増加させる。上記によって、上で説明したように、使用者の上歯群が、上側弓形トレイアセンブリ3の上側の上側歯印象ライナー8から飛び出す可能性は低い。そうでなければ、口腔器具1は、使用者の上歯群から分離し、使用者の口が一晩中繰り返し開閉されると、上顎に対する使用者の下顎の位置決めおよび使用者の呼吸に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0027】
ここで
図3および
図4を参照すると、下側弓形トレイアセンブリ5ならびに使用者の下顎および下側歯印象ライナー12の下側咬合チャネル20内に配置される使用者の下歯群が、中間弓形トレイアセンブリ4および上側弓形トレイアセンブリ3ならびに使用者の上顎および上側歯印象ライナー8の上側咬合チャネル内に配置される使用者の上歯群に対して前後に動くことができるように、多方向顎変位口腔器具1の中間弓形トレイアセンブリ4が下側弓形トレイアセンブリ5に連結される手段の詳細が示されている。上記によって、使用者の下顎の位置を、使用者の上顎の位置に対して水平方向に沿って選択的に調整することができ、それに対応して、下顎の水平方向の前進および使用者の喉に延びる空気経路(
図5の符号35)のサイズを調整することができる。
【0028】
図4に最もよく示されているように、中間弓形トレイアセンブリ4の弓状のヒンジ取付トレイ16の底部および各側部に、凹状ロックチャネル36が形成される(例えば、成形される)。ロックチャネル36は、互いに平行に延在する。歯38の列は、各ロックチャネル36の一側面に沿って形成される(例えば、成形される)。一対の位置調整ブロック40が、下側弓形トレイアセンブリ5の弓状の下側ライナー受容トレイ14の対向する側部に配置され、上方向に立つ。歯42の列(
図3に最もよく示されている)は、各位置制御ブロック40の一側面に沿って形成される(例えば、成形される)。
【0029】
多方向顎変位口腔器具1の組み立て中、下側弓形トレイアセンブリ3の下側ライナー受容トレイ14は、中間弓形トレイアセンブリ4のヒンジ取付トレイ16の底部に取り付けられる。上記を達成するために、下側ライナー受容トレイ14から上方に立つ一対の位置調整ブロック40は、連結器取付トレイ16の底部に形成された一対のロックチャネル36のそれぞれによってスライド可能に受容されるように押し込まれ、それにより、中間弓形トレイアセンブリ4および下側弓形トレイアセンブリ5の対向するトレイ16および14が互いに連結され、互いの上に適所に保持される。これに関して、一対の直立した位置調整ブロック40の一側面に沿って延在する歯42の列は、一対の凹状ロックチャネル36の一側面に沿って延在する
図4の歯38の列と解放可能に係止係合し、噛み合うように移動される。しかしながら、任意の適切な連動ラチェット手段が、歯38および42の対向する列の代わりに用いられてもよいことが理解され得る。
【0030】
上記により、使用者は、位置調整ブロック40の歯42とロックチャネル36の歯38とのロック噛み合い係合を解除する能力を与えられる。すなわち、使用者の下顎と係合する下側弓形トレイアセンブリ5の位置を、円筒形連結キャッチ28および対の連結ピン22によって互いに連結された上側および中間弓形トレイアセンブリ3、4に対して、水平方向に沿って選択的に変更することができる。
【0031】
一対の位置制御パッド44は、中間弓形トレイアセンブリ4の連結器取付トレイ16の対向する側部に配置および成形される。
図3、
図4および
図11に最もよく示されているように、位置指示目盛46が、位置制御パッド44の下方に位置するように、下側弓形トレイアセンブリ5の下側ライナー受容トレイ14の各側部に成形または印刷される。可撓性の中間弓形トレイアセンブリ4のヒンジ取付トレイ16は、
図1の方向矢印50で表す瞬間的な圧縮圧迫力に応答し、力は、位置制御パッド44において互いに向かって同時に加えられて、ヒンジ取付トレイ16の形状を一時的に圧縮および変化させ、それによってトレイ16の対向する側部が一緒に圧迫される。同時に、可撓性のヒンジ取付トレイ16の底部のロックチャネル36の歯38は、下側ライナー受容トレイ14の上部の位置調整ブロック40に形成された歯42との以前の係止係合から一時的に出る。中間弓形トレイアセンブリ4のヒンジ取付トレイ16には、湾曲した前端部の周りの途中にキーホールノッチ(
図3の符号52)が形成され、トレイ16に加えられた圧迫力に応答してトレイの対向する側部を互いに向かって均等に圧縮することを容易にする。
【0032】
ここで、使用者は、押し込む(または引く)力を加えて、下側弓形トレイアセンブリ5の位置を変更し、それによって、
図11に示す方向矢印52で表すように、使用者の下顎を水平方向に前進させることができる。この場合、下側弓形トレイアセンブリ5は、上側および中間弓形トレイアセンブリ3、4の両方に対して変位する。下側弓形トレイアセンブリ5の位置を上側弓形トレイアセンブリ3に対して水平方向に選択的に変更することによって、使用者の下顎の位置は、それに対応して上顎に対して前方または後方に移動し、経時的に必要に応じて使用者の喉への空気経路35(
図10)のサイズを変える。
【0033】
下側弓形トレイアセンブリ5の位置が上側弓形トレイアセンブリ3の上側ライナー受容トレイ10の位置に対して調整された後、瞬間的な圧縮圧迫力50は終了する。したがって、中間弓形トレイアセンブリ4の以前に圧縮されたヒンジ取付トレイ16は、自動的にその最初の弓状形状に膨張して戻る。同時に、ロックチャネル36の歯38は、位置調整ブロック40の対向する歯42との嵌合連動係合に戻り、それにより、中間および下側弓形トレイアセンブリ4、5は、互いの上に接続された適所に再び保持される。位置指示目盛46の上方の位置制御パッド44の配置は、使用者に、上側および中間弓形トレイアセンブリ3、4に対する下側弓形トレイアセンブリ5の位置の視覚的表示を提供し、その結果、使用者は、下側弓形トレイアセンブリ5の定期的な制御可能かつ正確な水平位置調整を行って、上顎に対する下顎の位置を対応して変更することができる。
【0034】
本明細書では、中間弓形トレイアセンブリ4のヒンジ取付トレイ16の対向する側部の位置制御パッド44に圧縮圧迫力が加えられると、下側弓形トレイアセンブリ5が上側弓形トレイアセンブリ3に対して水平方向に移動することについて説明した。しかしながら、連結器取付トレイ16が最初に圧縮された後に、上側弓形トレイアセンブリ3を把持し、下側弓形トレイアセンブリ5に対して同じ水平方向に移動させることができることを明確に理解されたい。この場合、使用者の上顎は、使用者の下顎に対して前方および後方に配置される。
【外国語明細書】