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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096025
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20240704BHJP
【FI】
H01G4/30 201L
H01G4/30 515
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023215862
(22)【出願日】2023-12-21
(31)【優先権主張番号】10-2022-0188435
(32)【優先日】2022-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】金 珍友
(72)【発明者】
【氏名】朴 文秀
(72)【発明者】
【氏名】盧 承▲ヒョン▼
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ 問▲キョン▼
(72)【発明者】
【氏名】金 忠煥
(72)【発明者】
【氏名】金 賢佑
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC04
5E001AD04
5E001AE01
5E001AE02
5E001AE03
5E001AE04
5E001AF06
5E001AG02
5E001AJ02
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE04
5E082EE23
5E082FF05
5E082FG03
5E082FG26
5E082FG46
(57)【要約】
【課題】本発明は、積層型電子部品に関する。
【解決手段】本発明の一実施形態による積層型電子部品の本体において、上記第1及び第2内部電極が上記第1方向から見た時に重なる領域を容量形成部、上記容量形成部の第2方向の一面及び他面に配置され、上記第1及び第2内部電極の端部の何れか一つのみを含む領域を第1マージン部とし、上記誘電体層において、上記容量形成部に含まれる領域のうち中央部に位置した領域を第1領域、上記第1マージン部に含まれる領域を第2領域としたときに、Mg、Si、Al、Li、Cu、Na、Bi、Mn、Cr、V、Fe、Ni、Co、Sn、In、Ga、Zn、Pb、Ag、Pd、Pt、Ir、Ru、Os、Y、Er、Yb、Tb、Ho、Er、Dyのうち一つ以上の元素は、上記第2領域には含まれるが、上記第1領域には実質的に含まれない。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層、及び前記誘電体層を挟んで第1方向に交互に配置される第1内部電極及び第2内部電極を含み、第1方向に向かい合う第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結されて第2方向に向かい合う第3面及び第4面、前記第1面~前記第4面と連結されて第3方向に向かい合う第5面及び第6面を有する本体と、
前記第3面に配置され、前記第1内部電極と連結される第1外部電極と、
前記第4面に配置され、前記第2内部電極と連結される第2外部電極と、を含み、
前記本体において、前記第1内部電極及び前記第2内部電極が前記第1方向から見た時に重なる領域を容量形成部、前記容量形成部の第2方向の一面及び他面に配置され、前記第1内部電極及び前記第2内部電極の端部の何れか一つのみを含む領域を第1マージン部とし、
前記誘電体層において、前記容量形成部に含まれる領域のうち中央部に位置した領域を第1領域とし、前記第1マージン部に含まれる領域を第2領域としたときに、
Mg、Si、Al、Li、Cu、Na、Bi、Mn、Cr、V、Fe、Ni、Co、Sn、In、Ga、Zn、Pb、Ag、Pd、Pt、Ir、Ru、Os、Y、Er、Yb、Tb、Ho、Er、及びDyのうち1つ以上の元素は、前記第2領域には含まれるが、前記第1領域には実質的に含まれない、積層型電子部品。
【請求項2】
前記中央部は、前記容量形成部に含まれる誘電体層の領域を第2方向に5等分した時に1/5地点から4/5地点までの領域、及び第1方向に3等分した時に1/3地点から2/3地点までの領域である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記第2領域には含まれるが、前記第1領域には実質的に含まれない元素はMgである、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記第2領域はTiをさらに含み、
前記第2領域に含まれるMgの含量はTi100モルに対して1モル以上5モル以下である、請求項3に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記第2領域はTiをさらに含み、
前記第2領域には含まれるが、前記第1領域には実質的に含まれない元素は、Si、Al、Li、Cu、Na、及びBiのうち1つ以上であり、
前記第2領域に含まれるSi、Al、Li、Cu、Na、及びBiのうち1つ以上の含量はTi100モルに対して2モル以上7モル以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記第2領域には含まれるが、前記第1領域には実質的に含まれない元素はSiである、請求項5に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記第2領域はTiをさらに含み、
前記第2領域には含まれるが、前記第1領域には実質的に含まれない元素は、Mn、Cr、V、Fe、Ni、Co、Sn、In、Ga、Zn、Pb、Ag、Pd、Pt、Ir、Ru、Os、Y、Er、Yb、Tb、Ho、Er、及びDyのうち1つ以上であり、
前記第2領域に含まれるMn、Cr、V、Fe、Ni、Co、Sn、In、Ga、Zn、Pb、Ag、Pd、Pt、Ir、Ru、Os、Y、Er、Yb、Tb、Ho、Er、及びDyのうち1つ以上の含量はTi100モルに対して1モル以上3モル以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記第2領域には含まれるが、前記第1領域には実質的に含まれない元素はMnである、請求項7に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
誘電体層、及び前記誘電体層を挟んで第1方向に交互に配置される第1内部電極及び第2内部電極を含み、第1方向に向かい合う第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結されて第2方向に向かい合う第3面及び第4面、前記第1面~前記第4面と連結されて第3方向に向かい合う第5面及び第6面を有する本体と、
前記第3面に配置され、前記第1内部電極と連結される第1外部電極と、
前記第4面に配置され、前記第2内部電極と連結される第2外部電極と、を含み、
前記本体において、前記第1内部電極及び前記第2内部電極が第1方向から見た時に重なる領域を容量形成部、前記容量形成部の第2方向の一面及び他面に配置され、前記第1内部電極または前記第2内部電極の端部を含む領域を第1マージン部、前記容量形成部の第3方向の一面及び他面に配置される領域を第2マージン部とし、
前記誘電体層において、前記容量形成部に含まれる領域のうち中央部に位置した領域を第1領域、前記第1マージン部に含まれる領域を第2領域、前記第2マージン部に含まれる領域を第3領域としたとき、
Si、Al、Li、Cu、Na、Bi、Mn、Cr、V、Fe、Ni、Co、Sn、In、Ga、Zn、Pb、Ag、Pd、Pt、Ir、Ru、Os、Y、Er、Yb、Tb、Ho、Er、及びDyのうち1つ以上の元素は、前記第2領域及び前記第3領域のうち一つ以上には含まれるが、前記第1領域には実質的に含まれない、積層型電子部品。
【請求項10】
前記中央部は、前記容量形成部に含まれる誘電体層の第2方向及び第3方向に5等分した時に1/5地点から4/5地点までの領域、及び第1方向に3等分した時に1/3地点から2/3地点までの領域である、請求項9に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記第2領域及び前記第3領域はTiをさらに含み、
前記第2領域及び前記第3領域のうち一つ以上には含まれるが、前記第1領域には実質的に含まれない元素は、Si、Al、Li、Cu、Na、及びBiのうち1つ以上であり、
前記第2領域及び前記第3領域のうち一つ以上に含まれるSi、Al、Li、Cu、Na、及びBiのうち1つ以上の含量はTi100モルに対して2モル以上7モル以下である、請求項9に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記第2領域及び前記第3領域のうち一つ以上には含まれるが、前記第1領域には実質的に含まれない元素はSiである、請求項11に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
前記第2領域及び前記第3領域はTiをさらに含み、
前記第2領域及び前記第3領域のうち一つ以上には含まれるが、前記第1領域には実質的に含まれない元素は、Mn、Cr、V、Fe、Ni、Co、Sn、In、Ga、Zn、Pb、Ag、Pd、Pt、Ir、Ru、Os、Y、Er、Yb、Tb、Ho、Er、及びDyのうち1つ以上であり、
前記第2領域及び前記第3領域のうち一つ以上に含まれるMn、Cr、V、Fe、Ni、Co、Sn、In、Ga、Zn、Pb、Ag、Pd、Pt、Ir、Ru、Os、Y、Er、Yb、Tb、Ho、Er、及びDyのうち1つ以上の含量はTi100モルに対して1モル以上3モル以下である、請求項9に記載の積層型電子部品。
【請求項14】
前記第2領域及び前記第3領域のうち一つ以上には含まれるが、前記第1領域には実質的に含まれない元素はMnである、請求項13に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multilayer Ceramic Capacitor)は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマディスプレイパネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン、及び携帯電話などの種々の電子製品のプリント回路基板に取り付けられ、電気を充電または放電させる役割を果たすチップ形態のコンデンサである。
【0003】
積層セラミックキャパシタは、内部電極が重なって静電容量を形成する容量形成部と、それ以外の領域であるマージン部と、を含むことができる。容量形成部とマージン部は、内部電極の積層度の差によって圧着及び焼成過程で段差が生じることがあり、このような段差は、マージン部の構造的脆弱部を形成しやすい。
【0004】
従来は、かかる段差を解決するために、段差補償用パターンをマージン部に選択的に付与する試みがあった。また、マージン部と容量形成部の境界で電場が集中し、BDV特性が劣化するという問題を解決するために、段差補償用パターンの成分を調節する試みがあった。しかしながら、段差補償用パターンと容量形成部の誘電体層に含まれる元素の種類が同一である条件下において、その割合のみを調節した結果、マージン部に特化した特性を付与するには限界がある状況である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の様々な目的の1つは、積層型電子部品の容量形成部とマージン部の段差を解消するために段差補償部を形成する過程で、BDV特性が劣化することを抑えることにある。
【0006】
本発明の様々な目的の1つは、積層型電子部品の容量形成部とマージン部の段差を解消するために段差補償部を形成する過程で、高温信頼性が劣化することを抑えることにある。
【0007】
但し、本発明の目的は上述の内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層、及び上記誘電体層を挟んで第1方向に交互に配置される第1内部電極及び第2内部電極を含み、第1方向に向かい合う第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結されて第2方向に向かい合う第3及び第4面、上記第1面~第4面と連結されて第3方向に向かい合う第5面及び第6面を有する本体と、上記第3面に配置され、上記第1内部電極と連結される第1外部電極と、上記第4面に配置され、上記第2内部電極と連結される第2外部電極と、を含み、上記本体において、上記第1内部電極及び第2内部電極が上記第1方向から見た時に重なる領域を容量形成部、上記容量形成部の第2方向の一面及び他面に配置され、上記第1内部電極及び第2内部電極の端部の何れか一つのみを含む領域を第1マージン部とし、上記誘電体層において、上記容量形成部に含まれる領域のうち中央部に位置した領域を第1領域とし、上記第1マージン部に含まれる領域を第2領域としたときに、Mg、Si、Al、Li、Cu、Na、Bi、Mn、Cr、V、Fe、Ni、Co、Sn、In、Ga、Zn、Pb、Ag、Pd、Pt、Ir、Ru、Os、Y、Er、Yb、Tb、Ho、Er、及びDyのうち一つ以上の元素は、上記第2領域には含まれるが、上記第1領域には実質的に含まれない。
【0009】
本発明の他の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層、及び上記誘電体層を挟んで第1方向に交互に配置される第1及び第2内部電極を含み、第1方向に向かい合う第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結されて第2方向に向かい合う第3面及び第4面、上記第1面~第4面と連結されて第3方向に向かい合う第5面及び第6面を有する本体と、上記第3面に配置され、上記第1内部電極と連結される第1外部電極と、上記第4面に配置され、上記第2内部電極と連結される第2外部電極と、を含み、上記本体において、上記第1内部電極及び第2内部電極が第1方向から見た時に重なる領域を容量形成部、上記容量形成部の第2方向の一面及び他面に配置され、上記第1内部電極または第2内部電極の端部を含む領域を第1マージン部、上記容量形成部の第3方向の一面及び他面に配置される領域を第2マージン部とし、上記誘電体層において、上記容量形成部に含まれる領域のうち中央部に位置した領域を第1領域、上記第1マージン部に含まれる領域を第2領域、上記第2マージン部に含まれる領域を第3領域としたときに、Si、Al、Li、Cu、Na、Bi、Mn、Cr、V、Fe、Ni、Co、Sn、In、Ga、Zn、Pb、Ag、Pd、Pt、Ir、Ru、Os、Y、Er、Yb、Tb、Ho、Er、及びDyのうち1つ以上の元素は、上記第2領域及び上記第3領域のうち一つ以上には含まれるが、上記第1領域には実質的に含まれない。
【発明の効果】
【0010】
本発明の様々な効果の一つは、容量形成部に含まれる誘電体層の領域と、マージン部に含まれる誘電体層の領域に含まれる元素の種類を異ならせることで、段差補償のためのマージン部を形成する場合にも、BDV特性または高温信頼性が劣化することを抑えることである。
【0011】
但し、本発明の多様で且つ有益な利点と効果は上述の内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示した斜視図である。
図2図1のI-I’の断面図である。
図3図1のII-II’の断面図である。
図4】本発明の一実施形態による本体を製造する方法を概略的に示した分解斜視図である。
図5】本発明の一実施形態によるセラミック積層本体を概略的に示した斜視図である。
図6図2のA領域を拡大した拡大図である。
図7図3のB領域を拡大した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがある。
【0014】
なお、本発明を明確に説明すべく、図面において説明と関係ない部分は省略し、様々な層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内において機能が同一である構成要素に対しては同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある構成要素を「含む」とは、特に異なる趣旨の説明がされていない限り、他の構成要素を除外する趣旨ではなく、他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。
【0015】
図面において、第1方向は、誘電体層を挟んで第1及び第2内部電極が交互に配置される方向または厚さ(T)方向、上記第1方向に垂直な方向である第2方向及び第3方向のうち、上記第2方向は長さ(L)方向、上記第3方向は幅(W)方向と定義されることができる。
【0016】
図1は本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示した斜視図であり、図2図1のI-I’の断面図であり、図3図1のII-II’の断面図であり、図6図2のA領域を拡大した拡大図である。
【0017】
以下では、図1から図3図6、及び図7を参照して、本発明の一実施形態及び本発明の他の一実施形態による積層型電子部品100について説明する。
【0018】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、誘電体層、及び上記誘電体層を挟んで第1方向に交互に配置される第1及び第2内部電極121、122を含み、第1方向に向かい合う第1及び第2面1、2、上記第1及び第2面と連結されて第2方向に向かい合う第3及び第4面3、4、上記第1~第4面と連結されて第3方向に向かい合う第5及び第6面5、6を有する本体110と、上記第3面に配置され、上記第1内部電極と連結される第1外部電極131と、上記第4面に配置され、上記第2内部電極と連結される第2外部電極132と、を含み、上記本体において、上記第1及び第2内部電極が上記第1方向から見た時に重なる領域を容量形成部Ac、上記容量形成部の第2方向の一面及び他面に配置され、上記第1及び第2内部電極の端部121b、122bの何れか一つのみを含む領域を第1マージン部LM1、LM2、上記誘電体層において、上記容量形成部に含まれる領域のうち中央部に位置した領域を第1領域111a、上記第1マージン部に含まれる領域を第2領域111bとしたときに、Mg、Si、Al、Li、Cu、Na、Bi、Mn、Cr、V、Fe、Ni、Co、Sn、In、Ga、Zn、Pb、Ag、Pd、Pt、Ir、Ru、Os、Y、Er、Yb、Tb、Ho、Er、及びDyのうち1つ以上の元素は、上記第2領域には含まれるが、上記第1領域には実質的に含まれない。
【0019】
本体110は、誘電体層と、上記誘電体層を挟んで第1方向に交互に配置される第1及び第2内部電極121、122と、を含む。
【0020】
本体110の具体的な形状は特に制限されないが、図示されたように、本体110は、六面体形状またはそれに類似の形状からなることができる。焼成過程における、本体110に含まれているセラミック粉末の収縮により、本体110は、完全な直線を有する六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
【0021】
本体110は、第1方向に互いに向かい合う第1及び第2面1、2と、上記第1及び第2面1、2と連結されて第2方向に互いに向かい合う第3及び第4面3、4と、第1及び第2面1、2と連結され、且つ第3及び第4面3、4と連結されて第3方向に互いに向かい合う第5及び第6面5、6と、を有することができる。
【0022】
本体110を成す複数の誘電体層は焼成された状態であって、隣接する誘電体層の間の境界は、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いずには確認が困難な程度に一体化されていることができる。
【0023】
本発明の一実施形態によると、上記誘電体層を形成する原料は、十分な静電容量を得ることができれば特に制限されない。例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料、またはチタン酸ストロンチウム系材料などが使用できる。上記チタン酸バリウム系材料は、BaTiO系セラミック粉末を含むことができ、上記セラミック粉末の例として、BaTiO、BaTiOにCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)などが一部固溶された(Ba1-xCa)TiO(0<x<1)、Ba(Ti1-yCa)O(0<y<1)、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)O(0<x<1、0<y<1)、またはBa(Ti1-yZr)O(0<y<1)などが挙げられる。
【0024】
また、上記誘電体層を形成する原料は、チタン酸バリウム(BaTiO)などの粉末に、本発明の目的に応じて、種々のセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0025】
一方、誘電体層の平均厚さtdは特に限定する必要はない。例えば、誘電体層の平均厚さtdは、0.2μm以上2μm以下であることができる。
【0026】
誘電体層の平均厚さtdは、上記第1内部電極121と第2内部電極122との間に配置される誘電体層の平均厚さtdを意味し得る。
【0027】
誘電体層の平均厚さtdは、本体110の長さ及び厚さ方向(L-T)の断面を1万倍率の走査型電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)でイメージスキャンして測定することができる。より具体的には、スキャンされた画像での1つの誘電体層において、長さ方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定し、平均値を測定することができる。上記等間隔である30個の地点は、容量形成部Acで指定されることができる。また、このような平均値の測定を10個の誘電体層に拡張して行うと、誘電体層の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0028】
内部電極121、122は、誘電体層と第1方向に交互に配置される。
【0029】
内部電極121、122は第1及び第2内部電極121、122を含むことができる。第1及び第2内部電極121、122は、本体110を構成する誘電体層を挟んで互いに対向するように交互に配置され、本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ連結されることができる。具体的には、第1内部電極121の一端は第3面と連結され、第2内部電極122の一端は第4面と連結されることができる。すなわち、一実施形態において、内部電極121、122は第3面3または第4面4と接することができる。
【0030】
第1内部電極121は、第4面4から離隔して第3面3を介して露出し、第2内部電極122は、第3面3から離隔して第4面4を介して露出することができる。本体の第3面3には第1外部電極131が配置されて第1内部電極121と連結され、本体の第4面4には第2外部電極132が配置されて第2内部電極122と連結されることができる。
【0031】
すなわち、第1内部電極121は、第2外部電極132とは連結されず、第1外部電極131と連結されており、第2内部電極122は、第1外部電極131とは連結されず、第2外部電極132と連結される。したがって、第1内部電極121は第4面4から一定距離離隔して形成され、第2内部電極122は第3面3から一定距離離隔して形成されることができる。この時、第1及び第2内部電極121、122は、その間に配置された誘電体層により互いに電気的に分離されることができる。
【0032】
内部電極121、122を形成する材料は特に制限されず、電気伝導性に優れた材料を用いることができる。例えば、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの合金のうち1つ以上を含むことができる。
【0033】
また、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの合金のうち1つ以上を含む内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷することで形成されることができる。上記内部電極用導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0034】
本発明の一実施形態によると、本体110は、容量形成部Acと、第1マージン部LM1、LM2と、を含む。
【0035】
図2及び図3を参照すると、容量形成部Acは、第1方向から見た時に、上記第1及び第2内部電極が重なる領域である。上記容量形成部は、積層型電子部品100の静電容量の形成に寄与する部分であり、上記第1及び第2内部電極の重なる領域の間には誘電体層が配置されることができる。一方、図2を参照すると、上記容量形成部に含まれる第1及び第2内部電極の領域を内部電極の本体部121a、122aと定義することができ、上記容量形成部から第2方向に延びて本体110の第3面及び第4面の何れか一つと接する第1及び第2内部電極の領域を内部電極の端部121b、122bと定義することができる。
【0036】
図2を参照すると、第1マージン部LM1、LM2は、容量形成部Acの第2方向の一面及び他面に配置され、第1及び第2内部電極の端部121b、122bの何れか一つのみを含む領域である。上記第1マージン部は、第1及び第2内部電極121、122のうち一つが第2方向に延びて形成された区間であり、本体110と外部電極131、132が電気的に連結されるようにする役割を果たすことができる。また、上記第1マージン部は、上記容量形成部が外部電極131、132から一定間隔離れるようにし、外部の物理的、化学的ストレスから上記容量形成部を保護する役割を果たすことができる。一方、上記容量形成部は、誘電体層を挟んで複数の第1及び第2内部電極121、122を繰り返し積層することで形成されることができる。
【0037】
本発明の他の一実施形態によると、本体110は、上記容量形成部と、第1マージン部及び第2マージン部WM1、WM2と、を含む。
【0038】
第2マージン部WM1、WM2は、上記容量形成部Acの第3方向の一面及び他面に配置された領域である。上記マージン部は、本体110の第5面5に配置された第2マージン部WM1と、第6面6に配置された第2マージン部WM2と、を含むことができる。すなわち、第2マージン部WM1、WM2は、上記本体110の第3方向(幅方向)の両端面(end surfaces)に配置されることができる。
【0039】
第2マージン部WM1、WM2は、図3に示されたように、本体110を幅-厚さ(W-T)方向に切断した断面(cross-section)において、第1及び第2内部電極の本体部121a、122aの両端と本体110の境界面の間の領域を意味し得る。
【0040】
第2マージン部WM1、WM2は、基本的に、物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0041】
第2マージン部WM1、WM2は、セラミックグリーンシート上に、マージン部が形成されるべき箇所を除いて導電性ペーストを塗布して内部電極を形成することにより形成されたものであることができる。
【0042】
また、内部電極121、122による段差を抑えるために、積層後に内部電極が本体の第5及び第6面5、6に露出するように切断した後、単一の誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの両側面に第3方向(幅方向)に積層することで第2マージン部WM1、WM2が形成されてもよい。
【0043】
一方、第2マージン部WM1、WM2の幅は特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、マージン部WM1、WM2の平均幅は15μm以下であることができる。
【0044】
第2マージン部WM1、WM2の平均幅は、マージン部WM1、WM2の第3方向の平均サイズを意味し、容量形成部Acの側面において等間隔の5個の地点で測定したマージン部WM1、WM2の第3方向のサイズを平均した値であることができる。
【0045】
一実施形態において、上記容量形成部Acの第1方向の一面には上部カバー部112が配置されることができ、上記容量形成部Acの第1方向の他面には下部カバー部113を含むことができる。
【0046】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は、単一の誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの上下面にそれぞれ厚さ方向に積層することで形成されることができ、基本的に、物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0047】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は、内部電極を含まず、誘電体層と同一の材料を含むことができる。
【0048】
すなわち、上記上部カバー部112及び下部カバー部113はセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)系セラミック材料を含むことができる。
【0049】
一方、カバー部112、113の平均厚さは特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、カバー部112、113の平均厚さtpは15μm以下であることができる。
【0050】
カバー部112、113の平均厚さは第1方向のサイズを意味し、容量形成部Acの上部または下部において等間隔の5個の地点で測定したカバー部112、113の第1方向のサイズを平均した値であることができる。
【0051】
本体110の第3面3及び第4面上には外部電極131、132が配置される。外部電極131、132は、本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ配置され、第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ連結された第1及び第2外部電極131、132を含むことができる。
【0052】
本実施形態では、積層型電子部品100が2つの外部電極131、132を有する構造を説明しているが、外部電極131、132の個数や形状などは、内部電極121、122の形態やその他の目的によって変わり得る。
【0053】
一方、外部電極131、132は、金属などのように電気伝導性を有するものであれば如何なる物質を用いて形成されてもよく、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質が決定されることができ、さらには、多層構造を有することができる。
【0054】
例えば、外部電極131、132は、本体110に配置される電極層と、電極層上に形成されためっき層と、を含むことができる。
【0055】
電極層のより具体的な例として、電極層は、導電性金属及びガラスを含む焼成電極であってもよく、導電性金属及び樹脂を含む樹脂系電極であってもよい。
【0056】
また、電極層は、本体上に焼成電極及び樹脂系電極が順に形成された形態であることができる。また、電極層は、本体上に導電性金属を含むシートを転写する方式により形成されてもよく、焼成電極上に導電性金属を含むシートを転写する方式により形成されてもよい。
【0057】
電極層に含まれる導電性金属として、電気伝導性に優れた材料を用いることができるが、特に限定されない。例えば、導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、及びこれらの合金のうち1つ以上であることができる。
【0058】
めっき層は、実装特性を向上させる役割を果たす。めっき層の種類は特に限定されず、Ni、Sn、Pd、及びこれらの合金のうち1つ以上を含むめっき層であることができ、複数の層で形成されることができる。
【0059】
めっき層のより具体的な例として、めっき層は、Niめっき層またはSnめっき層であることができ、電極層上にNiめっき層及びSnめっき層が順に形成された形態であってもよく、Snめっき層、Niめっき層、及びSnめっき層が順に形成された形態であってもよい。また、めっき層は、複数のNiめっき層及び/または複数のSnめっき層を含んでもよい。
【0060】
一方、本発明の一実施形態によると、誘電体層は、配置された位置によって区分される領域に分けられる。
【0061】
具体的には、本発明の一実施形態では、誘電体層を、容量形成部Acに含まれる領域のうち中央部に位置した領域である第1領域111aと、第1マージン部LM1、LM2に含まれる第2領域111bとに区分することができる。
【0062】
積層型電子部品100の第1マージン部LM1、LM2は、容量形成部Acとは内部電極121、122の積層度が異なる。よって、内部電極121、122を誘電体層を挟んで第1方向に交互に配置され、圧着及び焼成過程を経る場合、収縮挙動の違いにより段差が生じる可能性がある。また、容量形成部Acと第1マージン部LM1、LM2の境界は、第1内部電極121及び第2内部電極122の何れか一つの端が位置する領域であるため、電場が集中する可能性がある。これにより、積層型電子部品100の信頼性が低下する恐れがある。
【0063】
従来は、第1内部電極121の端と第4面との間、第2内部電極122の端と第3面との間に、段差解消用誘電体パターンを形成した後、段差解消用誘電体パターンの特定の金属元素の含量を、容量形成部に含まれる誘電体層の特定の金属元素の含量より高く調節することで、内部電極の端に電場が集中する現象を抑える試みがあった。また、マージン部と容量形成部に含まれるSi、Mn及び希土類元素の含量を調節することで、積層型電子部品の信頼性の低下を防止しようとする試みがあった。すなわち、従来は、誘電体層のうち容量形成部に含まれる領域と、マージン部に含まれる領域に添加される元素が同一である状態で、その割合を調節して積層型電子部品の信頼性の低下を抑える試みがあった。
【0064】
容量形成部とマージン部に含まれる誘電体層の各領域に含まれる元素の種類が同一である条件下においてその含量のみを異ならせる従来技術とは異なって、本発明では、容量形成部Acに含まれる誘電体層の領域と、マージン部に含まれる誘電体層の各領域に含まれる一部の元素の種類を異ならせることで、積層型電子部品の信頼性を向上させようとする。
【0065】
本発明の一実施形態によると、Mg、Si、Al、Li、Cu、Na、Bi、Mn、Cr、V、Fe、Ni、Co、Sn、In、Ga、Zn、Pb、Ag、Pd、Pt、Ir、Ru、Os、Y、Er、Yb、Tb、Ho、Er、Dyのうち1つ以上の元素は、第2領域111bには含まれるが、第1領域111aには実質的に含まれない。
【0066】
本明細書において、特定の元素が特定の領域に「実質的に含まれない」とは、該当領域の全元素の総含量に対する特定の元素の含量が0.5at%未満となるように含まれることを意味し得る。すなわち、TEM-EDX(Transmission Electron Microscope-Energy Dispersive X-ray spectroscopy)のような元素含量測定方法により測定した結果で、ノイズのレベルで測定されることを除いては、特定の元素を含まないことを意味し得る。
【0067】
上記Mg、Si、Al、Li、Cu、Na、Bi、Mn、Cr、V、Fe、Ni、Co、Sn、In、Ga、Zn、Pb、Ag、Pd、Pt、Ir、Ru、Os、Y、Er、Yb、Tb、Ho、Er、Dyのうち一つ以上の元素は、第1領域111aには実質的に含まれず、第2領域111bに含まれる。これにより、第2領域111bの誘電体の粒成長を抑え、結晶粒界の割合を増加させることで、第1及び第2内部電極121、122の何れか一つの端に電場が集中する現象による絶縁破壊電圧(BDV、Break Down Voltage)特性の劣化を抑えるか、第2領域111bの焼結性を向上させて第1マージン部LM1、LM2の緻密度を向上させることで、BDV特性の劣化を抑えるか、高温での絶縁抵抗(IR、Insulation Resistance)の劣化を抑えることで、HALT(High Accelerated Life Test)信頼性を向上させる役割を果たすことができる。
【0068】
図6図2のA領域の拡大図である。図6のP1、P2、P3、P4線は、容量形成部に含まれる誘電体層を第2方向に5等分した線であり、Q1、Q2線は、第1方向に3等分した線である。図6を参照すると、第1領域111aが位置する中央部は、容量形成部に含まれる誘電体層の領域を第2方向に5等分した時に1/5地点(P1)から4/5地点(P4)までの領域、及び第1方向に3等分した時に1/3地点(Q1)から2/3地点(Q2)までの領域を意味し得る。すなわち、第1領域111aは、第1マージン部LM1、LM2及び内部電極121、122から一定の間隔を置いて離隔した領域を意味し得る。一方、図6は容量形成部の第1方向の中央に位置した誘電体層を示したものであるが、第1領域111aが位置する中央部についての説明は、任意の誘電体層に同様に適用されることができる。
【0069】
一実施形態において、第2領域111bには含まれるが、第1領域111aには実質的に含まれない元素は、Mgであることができる。これにより、第1領域111aに含まれる誘電体の結晶粒よりも、第2領域111bに含まれる誘電体の結晶粒を微細化することができ、第1及び第2内部電極121、122の何れか一つの端に電場が集中する現象を緩和することができる。これにより、積層型電子部品100のBDV特性が改善される。
【0070】
一実施形態によって、第2領域111bには含まれるが、第1領域111aには実質的に含まれない元素がMgである場合、第2領域111bはTiをさらに含み、第2領域111bに含まれるMgの含量は、Ti100モルに対して1モル以上5モル以下であることができる。第2領域111bに含まれるMgの含量がTi100モルに対して1モル未満である場合、第2領域111bの誘電体の結晶粒を十分に微細化できず、積層型電子部品100のBDV特性を改善することが困難である恐れがある。また、第2領域111bに含まれるMgの含量がTi100モルに対して5モルを超える場合、第1領域111aにMgが拡散し、積層型電子部品100のBDV特性が劣化する恐れがある。
【0071】
一実施形態において、第2領域111bには含まれるが、第1領域111aには実質的に含まれない元素は、Si、Al、Li、Cu、Na、及びBiのうち1つ以上であることができる。Si、Al、Li、Cu、Na、及びBiのうち1つ以上の元素が、第2領域111bには含まれるが、第1領域111aには実質的に含まれないことで、第1マージン部LM1、LM2の緻密度を向上させ、積層型電子部品100のBDV特性の劣化を抑えることができる。
【0072】
一実施形態において、第2領域111bはTiをさらに含み、第2領域に含まれるSi、Al、Li、Cu、Na、及びBiのうち1つ以上の含量は、Ti100モルに対して2モル以上7モル以下であることができる。Si、Al、Li、Cu、Na、及びBiのうち1つ以上の含量がTi100モルに対して2モル未満である場合、第2領域111bの誘電体の結晶粒を十分に微細化できず、積層型電子部品100のBDV特性を改善することが困難である恐れがある。また、Si、Al、Li、Cu、Na、及びBiのうち1つ以上の含量がTi100モルに対して7モルを超える場合、第1領域111aにSi、Al、Li、Cu、Na、及びBiのうち1つ以上が拡散し、積層型電子部品100のBDV特性が劣化する恐れがある。
【0073】
一実施形態において、第2領域111bには含まれるが、第1領域111aには実質的に含まれない元素は、Mn、Cr、V、Fe、Ni、Co、Sn、In、Ga、Zn、Pb、Ag、Pd、Pt、Ir、Ru、Os、Y、Er、Yb、Tb、Ho、Er、及びDyのうち1つ以上であることができる。Mn、Cr、V、Fe、Ni、Co、Sn、In、Ga、Zn、Pb、Ag、Pd、Pt、Ir、Ru、Os、Y、Er、Yb、Tb、Ho、Er、及びDyのうち1つ以上の元素が、第2領域111bには含まれるが、第1領域111aには含まれないことで、高温での絶縁抵抗(IR、Insulation Resistance)の劣化を抑えることにより、HALT(High Accelerated Life Test)信頼性を向上させることができる。
【0074】
一実施形態において、第2領域111bはTiをさらに含み、第2領域に含まれるMn、Cr、V、Fe、Ni、Co、Sn、In、Ga、Zn、Pb、Ag、Pd、Pt、Ir、Ru、Os、Y、Er、Yb、Tb、Ho、Er、及びDyのうち1つ以上の含量は、Ti100モルに対して1モル以上3モル以下であることができる。
【0075】
一実施形態において、第2領域111bはTiをさらに含み、第2領域に含まれるMn、Cr、V、Fe、Ni、Co、Sn、In、Ga、Zn、Pb、Ag、Pd、Pt、Ir、Ru、Os、Y、Er、Yb、Tb、Ho、Er、及びDyのうち1つ以上の含量がTi100モルに対して1モル未満である場合、積層型電子部品100の高温信頼性を改善させる効果が不十分である恐れがある。第2領域に含まれるMn、Cr、V、Fe、Ni、Co、Sn、In、Ga、Zn、Pb、Ag、Pd、Pt、Ir、Ru、Os、Y、Er、Yb、Tb、Ho、Er、及びDyのうち1つ以上の含量がTi100モルに対して3モルを超える場合、第1領域111aにMn、Cr、V、Fe、Ni、Co、Sn、In、Ga、Zn、Pb、Ag、Pd、Pt、Ir、Ru、Os、Y、Er、Yb、Tb、Ho、Er、及びDyのうち1つ以上が拡散し、積層型電子部品100の高温信頼性が劣化する恐れがある。一実施形態において、第2領域111bには含まれるが、第1領域111aには実質的に含まれない元素はMnであることが好ましいが、高温信頼性向上の効果は、第2領域111bには含まれるが、第1領域111aには実質的に含まれない元素がCr、V、Fe、Ni、Co、Sn、In、Ga、Zn、Pb、Ag、Pd、Pt、Ir、Ru、Os、Y、Er、Yb、Tb、Ho、Er、及びDyのうち1つ以上である場合にも、同様に奏されることができる。
【0076】
本発明の他の一実施形態による積層型電子部品100は、誘電体層、及び上記誘電体層を挟んで第1方向に交互に配置される第1及び第2内部電極121、122を含み、第1方向に向かい合う第1及び第2面1、2、上記第1及び第2面と連結されて第2方向に向かい合う第3及び第4面3、4、上記第1~第4面と連結されて第3方向に向かい合う第5及び第6面5、6を有する本体110と、上記第3面に配置され、上記第1内部電極と連結される第1外部電極131と、上記第4面に配置され、上記第2内部電極と連結される第2外部電極132と、を含み、上記本体において、上記第1及び第2内部電極が第1方向から見た時に重なる領域を容量形成部Ac、上記容量形成部の第2方向の一面及び他面に配置され、上記第1または第2内部電極の端部を含む領域を第1マージン部LM1、LM2、上記容量形成部の第3方向の一面及び他面に配置される領域を第2マージン部WM1、WM2とし、上記誘電体層において、上記容量形成部に含まれる領域を第1領域111a、上記第1マージン部に含まれる領域を第2領域111b、上記第2マージン部に含まれる領域を第3領域111cとしたときに、Si、Al、Li、Cu、Na、Bi、Mn、Cr、V、Fe、Ni、Co、Sn、In、Ga、Zn、Pb、Ag、Pd、Pt、Ir、Ru、Os、Y、Er、Yb、Tb、Ho、Er、及びDyのうち1つ以上の元素は、上記第2領域及び上記第3領域のうち一つ以上には含まれるが、上記第1領域には実質的に含まれない。
【0077】
図7図3のB領域の拡大図である。図7のR1、R2、R3、R4線は、容量形成部に含まれる誘電体層を第3方向に5等分した線であり、Q1、Q2線は、第1方向に3等分した線である。図7を参照すると、第1領域111aが位置する中央部は、容量形成部に含まれる誘電体層の領域を第3方向に5等分した時に1/5地点(R1)から4/5地点(R4)までの領域、及び第1方向に3等分した時に1/3地点(Q1)から2/3地点(Q2)までの領域であることができる。図7と上述の図6についての説明を組み合わせると、第1領域111aが位置する中央部は、容量形成部に含まれる誘電体層の領域を第2及び第3方向に5等分した時に1/5地点から4/5地点までの領域、及び第1方向に3等分した時に1/3地点から2/3地点までの領域を意味し得る。すなわち、第1領域111aは、第1マージン部LM1、LM2、第2マージン部WM1、WM2、及び内部電極121、122から一定の間隔を置いて離隔した領域を意味し得る。一方、図7は容量形成部の第1方向の中央に位置した誘電体層を示したものであるが、第1領域111aが位置する中央部についての説明は、任意の誘電体層に同様に適用されることができる。
【0078】
本発明の他の一実施形態では、誘電体層を、容量形成部Acに含まれる領域のうち中央部に位置した領域である第1領域111aと、第1マージン部LM1、LM2に含まれる第2領域111bと、第2マージン部WM1、WM2に含まれる第3領域111cとに区分することができる。
【0079】
本発明の他の一実施形態によると、第2領域111b及び第3領域111cのうち一つ以上は、第1領域111aに含まれない元素を一つ以上含むことができる。この時、第2領域111b及び第3領域111cのうち一つ以上には含まれるが、第1領域111aには実質的に含まれない元素は、Si、Al、Li、Cu、Na、Bi、Mn、Cr、V、Fe、Ni、Co、Sn、In、Ga、Zn、Pb、Ag、Pd、Pt、Ir、Ru、Os、Y、Er、Yb、Tb、Ho、Er、及びDyのうち1つ以上であることができる。これにより、第2領域111bと第3領域111cのうち一つ以上に含まれた誘電体の粒成長を抑え、結晶粒界の割合を増加させることで、第1及び第2内部電極121、122の何れか一つの端に電場が集中する現象による絶縁破壊電圧(BDV、Break Down Voltage)特性の劣化を抑えるか、第2領域111b及び第3領域111cのうち一つ以上の焼結性を向上させて第1マージン部LM1、LM2及び第2マージン部WM1、WM2のうち一つ以上の緻密度を向上させることで、BDV特性の劣化を抑えるか、高温での絶縁抵抗(IR、Insulation Resistance)の劣化を抑えることで、HALT(High Accelerated Life Test)信頼性を向上させることができる。
【0080】
一実施形態において、第2領域111b及び第3領域111cはTiをさらに含み、第2領域111b及び第3領域111cのうち一つ以上には含まれるが、第1領域111aには実質的に含まれない元素は、Si、Al、Li、Cu、Na、及びBiのうち1つ以上であることができる。これにより、第2領域111bと第3領域111cのうち一つ以上に含まれた誘電体の粒成長を抑え、結晶粒界の比重を増加させることで、第1及び第2内部電極121、122の何れか一つの端で電場が集中する現象による絶縁破壊電圧(BDV、Break Down Voltage)特性の劣化を抑えることができる。
【0081】
この時、第2領域111bに含まれるSi、Al、Li、Cu、Na、及びBiのうち1つ以上の含量は、Ti100モルに対して2モル以上7モル以下であることが好ましい。
【0082】
また、第2領域111b及び第3領域111cのうち一つ以上には含まれるが、第1領域には実質的に含まれない元素はSiであることが好ましいが、Al、Li、Cu、Na、及びBiのうち1つ以上である場合にも、その効果は同様に奏されることができる。
【0083】
一実施形態において、第2領域111b及び第3領域111cのうち一つ以上には含まれるが、第1領域111aには実質的に含まれない元素は、Mn、Cr、V、Fe、Ni、Co、Sn、In、Ga、Zn、Pb、Ag、Pd、Pt、Ir、Ru、Os、Y、Er、Yb、Tb、Ho、Er、及びDyのうち1つ以上であることができる。これにより、第2領域111b及び第3領域111cのうち一つ以上の焼結性を向上させ、第1マージン部LM1、LM2及び第2マージン部WM1、WM2のうち一つ以上の緻密度を向上させることで、BDV特性の劣化を抑えることができる。
【0084】
この時、第2領域111b及び上記第3領域111cのうち一つ以上に含まれるMn、Cr、V、Fe、Ni、Co、Sn、In、Ga、Zn、Pb、Ag、Pd、Pt、Ir、Ru、Os、Y、Er、Yb、Tb、Ho、Er、及びDyのうち1つ以上の含量は、Ti100モルに対して1モル以上3モル以下であることが好ましい。
【0085】
また、第2領域111b及び第3領域111cのうち一つ以上には含まれるが、第1領域には実質的に含まれない元素はMnであることが好ましいが、Cr、V、Fe、Ni、Co、Sn、In、Ga、Zn、Pb、Ag、Pd、Pt、Ir、Ru、Os、Y、Er、Yb、Tb、Ho、Er、及びDyのうち1つ以上である場合にも、その効果は同様に奏されることができる。
【0086】
図4は本発明の一実施形態による本体を製造する方法を概略的に示した分解斜視図であり、図5は本発明の一実施形態によるセラミック積層本体を概略的に示した斜視図である。
【0087】
以下では、図4及び図5を参照して本発明の本体110を製造する方法の一例について説明する。
【0088】
図4を参照すると、本体110の焼成前状態であるセラミック積層本体10を形成するために、誘電体セラミックグリーンシート11上に内部電極パターン12を形成し、それを複数個積層及び圧着する過程が行われることができる。この時、内部電極パターン12は、誘電体セラミックグリーンシート11上の全体を覆うのではなく、第2方向の一端と他端に第1方向に沿って交互に露出するように配置されることができる。内部電極パターン12は、焼成後に第1及び第2内部電極121、122として形成されることができ、誘電体セラミックグリーンシート11は焼成後に誘電体層になることができる。
【0089】
誘電体セラミックグリーンシート11は、誘電体層を形成する原料を含むことができる。例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料、またはチタン酸ストロンチウム系材料などが使用できる。上記チタン酸バリウム系材料は、BaTiO系セラミック粉末を含むことができ、上記セラミック粉末の例として、BaTiO、BaTiOにCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)などが一部固溶された(Ba1-xCa)TiO(0<x<1)、Ba(Ti1-yCa)O(0<y<1)、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)O(0<x<1、0<y<1)、またはBa(Ti1-yZr)O(0<y<1)などが挙げられる。また、本発明の目的に応じて、種々のセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0090】
内部電極パターン12は、内部電極121、122を形成する材料を含むことができる。ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの合金のうち一つ以上を含むことができ、必要に応じて、種々の添加剤をさらに含むことができる。
【0091】
誘電体セラミックグリーンシート11上において、内部電極パターン12が配置されていない領域には補償パターン13が配置されることができる。補償パターン13は、誘電体セラミックグリーンシート11に含まれない元素を一つ以上含むことができる。誘電体セラミックグリーンシート11に含まれないが、補償パターン13に含まれる元素は、本発明の一実施形態のように、Mg、Si、Al、Li、Cu、Na、Bi、Mn、Cr、V、Fe、Ni、Co、Sn、In、Ga、Zn、Pb、Ag、Pd、Pt、Ir、Ru、Os、Y、Er、Yb、Tb、Ho、Er、Dyのうち1つ以上であることができ、本発明の他の一実施形態のように、Mn、Cr、V、Fe、Ni、Co、Sn、In、Ga、Zn、Pb、Ag、Pd、Pt、Ir、Ru、Os、Y、Er、Yb、Tb、Ho、Er、及びDyのうち1つ以上であることができる。すなわち、誘電体セラミックグリーンシート11に含まれないが、補償パターン13に含まれる元素を調節することで、本発明の第1領域111aには含まれないが、第2領域111b及び第3領域111cのうち一つ以上に含まれる元素の種類と含量を調節することができる。
【0092】
補償パターン13は、内部電極パターン12が配置されていない誘電体セラミックグリーンシート11上の全体を覆うように配置されることができる。具体的には、内部電極パターン12が誘電体セラミックグリーンシート11の第2方向の一端と第3方向の両端から離隔して形成される場合、補償パターン13は、内部電極パターン12が形成されていない誘電体セラミックグリーンシート11上の全体を覆うように形成されることができる。この時、内部電極パターン12の第2方向の一端と誘電体セラミックグリーンシートの第2方向の一端との間の距離は、焼成後に第1マージン部LM1、LM2が形成されるようにすることができ、内部電極パターン12の第3方向の一端と誘電体セラミックグリーンシートの第3方向の一端との間の距離は、焼成後に第2マージン部WM1、WM2が形成されるようにすることができる。
【0093】
一方、補償パターン13の元素は、焼成過程を経て誘電体セラミックグリーンシート11に拡散し、誘電体層の第1~第3領域111a、111b、111cを形成することができる。しかし、本発明では、補償パターン13には含まれるが、誘電体セラミックグリーンシート11には含まれない元素が、焼成過程で容量形成部Acに含まれる誘電体層の第1領域111aには拡散されない。これは、補償パターン13には含まれるが、誘電体セラミックグリーンシート11には含まれない元素の分布と焼成条件を変更することで調節されることができる。
【0094】
一方、内部電極パターン12が配置されていない誘電体セラミックグリーンシート11がセラミック積層本体10の最上端及び最下端に配置されることができ、焼成後にカバー部112、113を形成する部分を形成することができる。
【0095】
図5を参照すると、セラミック積層本体10は、内部電極パターン12及び誘電体セラミックグリーンシート11が第1方向に交互に配置され、第1方向に互いに向かい合う第1及び第2面1、2、上記第1及び第2面1、2と連結されて第2方向に互いに向かい合う第3及び第4面3、4、第1及び第2面1、2と連結され、且つ第3及び第4面3、4と連結されて第3方向に互いに向かい合う第5及び第6面5、6が形成されることができる。図5での第1~第6面は、焼成後に本体110の第1~第6面となることができる。
【0096】
(実施例)
表1から表3は、誘電体層の第2領域111bには含まれるが、第1領域111aには含まれない特定の元素の含量による、積層型電子部品100のBDV特性及び高温信頼性を評価した結果を作成したものである。表1及び表2の評価は第2領域111bを基準として作成したものであるが、第3領域111cにも適用することができる。すなわち、特定の元素が第3領域111cには含まれるが、第1領域111aには含まれない場合も同様に適用されることができる。
【0097】
表1から表3では、各試験番号毎に特定の元素の含量を除き、何れも実質的に同一のサンプルを用いて評価を進行した。
【0098】
第1領域及び第2領域111a、111bに含まれる元素の含量は、積層型電子部品100の第3方向の中心部まで研磨して第1方向及び第2方向の断面を露出させた後、第1方向及び第2方向の断面を第1方向に3等分し、上部、下部、及び中間部に区分した後、上部、下部、及び中間部のそれぞれにおいて、第2方向に等間隔である3個以上の5μm/5μm領域でTEM-EDX(Transmission Electron Microscope-Energy Dispersive X-ray spectroscopy)で測定した含量の平均値を取った。
【0099】
BDVは、100個のサンプルに対して、25℃、100V/sの昇圧条件で測定し、20mAで絶縁抵抗(IR、Insulation Resistance)値が10000Ω以下に低下した時の電圧を絶縁破壊電圧として測定し、平均値を取った。
【0100】
MTTF(Mean Time To Failure)は、80個のサンプルに対して、105℃、8Vr下で絶縁抵抗(IR、Insulation Resistance)値が10000Ω以下に低下した時までの時間を測定し、平均値を取った。
【0101】
表1は、第2領域111bには含まれるが、第1領域111aには含まれない元素をMgとし、第2領域111bに含まれるMgの含量(Ti100モルに対する)を調節しながら積層型電子部品のBDV特性を評価した結果を作成したものである。
【0102】
【表1】
【0103】
表1を参照すると、第2領域111bには含まれるが、第1領域111aには含まれない元素がMgである場合、第2領域111bに含まれるMgの含量(Ti100モルに対する)が1モル以上である時に、積層型電子部品のBDV特性が改善されることが確認できる。また、試験番号6及び7を参照すると、第2領域111bに含まれるMgの含量(Ti100モルに対する)が5モルを超える時に、積層型電子部品100のBDV特性が劣化することが確認できる。よって、本発明の一実施形態のように、第2領域111bに含まれるMgの含量(Ti100モルに対する)を1モル以上5モル以下に調節することで、積層型電子部品100のBDV特性を向上させることができる。
【0104】
表2は、第2領域111bには含まれるが、第1領域111aには含まれない元素をSiとし、第2領域111bに含まれるSiの含量(Ti100モルに対する)を調節しながら積層型電子部品のBDV特性を評価した結果を作成したものである。
【0105】
【表2】
【0106】
表2を参照すると、第2領域111bには含まれるが、第1領域111aには含まれない元素がSiである場合、第2領域111bに含まれるSiの含量(Ti100モルに対する)が1モル以上である時に、積層型電子部品のBDV特性が改善されることが確認できる。また、試験番号8及び9を参照すると、第2領域111bに含まれるSiの含量(Ti100モルに対する)が7モルを超える時に、積層型電子部品100のBDV特性が劣化することが確認できる。よって、本発明の一実施形態のように、第2領域111bに含まれるSiの含量(Ti100モルに対する)を1モル以上7モル以下に調節することで、積層型電子部品100のBDV特性を向上させることができる。
【0107】
表3は、第2領域111bには含まれるが、第1領域111aには含まれない元素をMnとし、第2領域111bに含まれるMnの含量(Ti100モルに対する)を調節しながら積層型電子部品の高温信頼性を評価した結果を作成したものである。
【0108】
【表3】
【0109】
表3を参照すると、第2領域111bには含まれるが、第1領域111aには含まれない元素がMnである場合、第2領域111bに含まれるMnの含量(Ti100モルに対する)が1モル以上である時に、積層型電子部品の高温信頼性が著しく改善されることが確認できる。また、試験番号4及び5を参照すると、第2領域111bに含まれるMnの含量(Ti100モルに対する)が3モルを超える時に、積層型電子部品100の高温信頼性が著しく劣化することが確認できる。よって、本発明の一実施形態のように、第2領域111bに含まれるMnの含量(Ti100モルに対する)を1モル以上3モル以下に調節することで、積層型電子部品100の高温信頼性を著しく向上させることができる。
【0110】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態及び添付図面により限定されず、添付の特許請求の範囲により限定される。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で、当技術分野の通常の知識を有する者によって様々な形態の置換、変形、及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属するといえる。
【0111】
また、本発明で用いられた一実施例という表現は、互いに同一の実施例を意味せず、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されるものである。しかし、上記提示された一実施例は、他の実施例の特徴と結合して実施される場合を排除しない。例えば、特定の一実施例で説明された事項が他の実施例で説明されていなくても、他の実施例でその事項と反対の説明がされているかその事項と矛盾する説明がされていない限り、他の実施例に関連する説明であると解釈することもできる。
【0112】
本発明で用いられた用語は、一例を説明するために説明されたものであるにすぎず、本発明を限定しようと意図するものではない。このとき、単数の表現は文脈上明確に異なる意味でない限り、複数を含む。
【符号の説明】
【0113】
10 セラミック積層本体
100 積層型電子部品
110 本体
111a、111b、111c 第1領域、第2領域、第3領域
121、122 第1及び第2内部電極
131、132 第1及び第2外部電極
LM1、LM2 第1マージン部
WM1、WM2 第2マージン部
112、113 カバー部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7