(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096030
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】出力電流ピーク値の調整制御装置及び調整制御方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/00 20060101AFI20240704BHJP
【FI】
H02J3/00
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023216938
(22)【出願日】2023-12-22
(31)【優先権主張番号】111150730
(32)【優先日】2022-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】505441638
【氏名又は名称】致茂電子股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Chroma Ate Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】徐 立安
(72)【発明者】
【氏名】邱 郁安
(72)【発明者】
【氏名】陳 銓泓
(72)【発明者】
【氏名】劉 志遠
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066LA04
(57)【要約】
【課題】出力電流ピーク値の調整制御装置及び調整制御方法を提供する。
【解決手段】電源の出力電流ピーク値を調整制御するための調整制御装置であって、出力電流の第1周期における第1積分値及び第1デフォルト値を比較し、第1積分値が第1デフォルト値以上となる場合に第1比較結果を生成するための第1比較回路と、出力電流の第2周期における第2積分値及び第2デフォルト値を比較し、第2積分値が第2デフォルト値以上となる場合に第2比較結果を生成するための第2比較回路と、第1比較結果又は第2比較結果を受信すると、降下信号を出力することで、出力電流ピーク値を降下させるロジック制御回路と、を備える調整制御装置。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の出力電流の出力電流ピーク値を調整制御するための調整制御装置であって、
前記出力電流の第1周期における第1積分値及び第1デフォルト値を比較し、前記第1積分値が前記第1デフォルト値以上となる場合に第1比較結果を生成するための第1比較回路と、
前記出力電流の第2周期における第2積分値及び第2デフォルト値を比較し、前記第2積分値が前記第2デフォルト値以上となる場合に第2比較結果を生成するための第2比較回路と、
前記第1比較結果又は前記第2比較結果を受信すると、降下信号を出力することで、前記出力電流ピーク値を降下させるロジック制御回路と、
を備える調整制御装置。
【請求項2】
デフォルト周期後に、前記出力電流の前記デフォルト周期における第3積分値及び第3デフォルト値を比較し、前記第3積分値が前記第3デフォルト値より小さい場合に第3比較結果を生成するための第3比較回路を更に備え、
前記ロジック制御回路は、前記第3比較結果を受信すると、上昇信号を出力することで、前記出力電流ピーク値を上昇させる請求項1に記載の調整制御装置。
【請求項3】
前記出力電流の電流値に対して絶対値を取って電流絶対値を生成するための絶対値回路を更に備え、
前記第1比較回路、前記第2比較回路及び前記第3比較回路はそれぞれ、前記電流絶対値の前記第1周期における前記第1積分値と前記第1デフォルト値との比較、前記電流絶対値の前記第2周期における前記第2積分値と前記第2デフォルト値との比較、及び前記電流絶対値の前記デフォルト周期における前記第3積分値と前記第3デフォルト値との比較に用いられる請求項2に記載の調整制御装置。
【請求項4】
前記出力電流の前記電流絶対値を積分して、前記第1周期における前記第1積分値、前記第2周期における前記第2積分値、及び前記デフォルト周期における前記第3積分値を生成するための少なくとも1つの積分回路を更に備える請求項3に記載の調整制御装置。
【請求項5】
前記降下信号を受信してピーク値調整信号を生成して前記出力電流の前記出力電流ピーク値を降下させるか、又は前記上昇信号を受信して前記ピーク値調整信号を生成して前記出力電流の前記出力電流ピーク値を上昇させるためのピーク値調整回路を更に備える請求項4に記載の調整制御装置。
【請求項6】
電子機器の出力電流の出力電流ピーク値を調整制御するための調整制御方法であって、
前記出力電流の第1周期における第1積分値及び第1デフォルト値を比較し、前記第1積分値が前記第1デフォルト値以上となる場合に第1比較結果を生成するステップと、
前記出力電流の第2周期における第2積分値及び第2デフォルト値を比較し、前記第2積分値が前記第2デフォルト値以上となる場合に第2比較結果を生成するステップと、
前記第1比較結果又は前記第2比較結果に応答して、降下信号を出力することで、前記出力電流ピーク値を降下させるステップと、
を含む調整制御方法。
【請求項7】
デフォルト周期後に、前記出力電流の前記デフォルト周期における第3積分値及び第3デフォルト値を比較し、前記第3積分値が前記第3デフォルト値より小さい場合に第3比較結果を生成するステップと、
前記第3比較結果に応答して、上昇信号を出力することで、前記出力電流ピーク値を上昇させるステップと、
を更に含む請求項6に記載の調整制御方法。
【請求項8】
前記出力電流の前記第1周期における第1積分値及び第1デフォルト値を比較し、前記第1積分値が前記第1デフォルト値以上となる場合に前記第1比較結果を生成するステップの前に、
前記出力電流の絶対値を取って電流絶対値を取得するステップを更に含む請求項7に記載の調整制御方法。
【請求項9】
前記出力電流の前記電流絶対値を積分して、前記第1周期における前記第1積分値、前記第2周期における前記第2積分値、及び前記デフォルト周期における前記第3積分値を生成するステップを更に含む請求項8に記載の調整制御方法。
【請求項10】
前記降下信号に応答してピーク値調整信号を生成して前記出力電流ピーク値を降下させるか、又は前記上昇信号に応答して前記ピーク値調整信号を生成して前記出力電流ピーク値を上昇させるステップを更に含む請求項9に記載の調整制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、調整制御装置及び調整制御方法に関し、特に、出力電力を提供するための電子機器の出力電流ピーク値の調整制御装置及び調整制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子製品の起動時に、多くの場合、電子製品の動作を開始するために、大きな電流を提供するための外部電子機器の協力が必要であり、この電子機器は、例えば、電源供給装置又は電源測定ユニット(Source Measure Unit;SMU)であってよい。電子機器が大きな電流を提供する時間は長くないが、依然として電子機器が保護メカニズムをトリガーする可能性があり、これにより電子製品の起動時間が長くなり、ひいては起動できない状況が発生する。そのため、業界は解決策を見つけることが急務となっている。
【発明の概要】
【0003】
発明の概要は、読者が本開示内容を基本的に理解できるように、本開示内容の簡略化された要約を提供することを目的とする。この発明の概要は、本開示内容の完全な概要ではなく、本開示の実施例の重要な/キー部品を指摘すること、又は本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0004】
本開示の一技術態様は、電子機器の出力電流ピーク値を調整制御するための調整制御装置であって、調整制御装置は、出力電流の第1周期における第1積分値及び第1デフォルト値を比較し、第1積分値が第1デフォルト値以上となる場合に第1比較結果を生成するための第1比較回路と、出力電流の第2周期における第2積分値及び第2デフォルト値を比較し、第2積分値が第2デフォルト値以上となる場合に第2比較結果を生成するための第2比較回路と、第1比較結果又は第2比較結果を受信すると、降下信号を出力することで、出力電流ピーク値を降下させるロジック制御回路と、を備える調整制御装置に関する。
【0005】
一実施例において、調整制御装置は、デフォルト周期後に、出力電流のデフォルト周期における第3積分値及び第3デフォルト値を比較し、第3積分値が第3デフォルト値より小さい場合に第3比較結果を生成するための第3比較回路を更に備える。ロジック制御回路は、第3比較結果を受信すると、上昇信号を出力することで、出力電流ピーク値を上昇させる。
【0006】
一実施例において、調整制御装置は、出力電流の電流値に対して絶対値を取って電流絶対値を生成するための絶対値回路を更に備える。第1比較回路、第2比較回路及び第3比較回路はそれぞれ、電流絶対値の第1周期における第1積分値と第1デフォルト値との比較、電流絶対値の第2周期における第2積分値と第2デフォルト値との比較、及び電流絶対値のデフォルト周期における第3積分値と第3デフォルト値との比較に用いられる。
【0007】
一実施例において、調整制御装置は、少なくとも1つの積分回路を更に備える。少なくとも1つの積分回路は、出力電流の電流絶対値を積分して、第1周期における第1積分値、第2周期における第2積分値、及びデフォルト周期における第3積分値を生成するために用いられる。
【0008】
一実施例において、調整制御装置は、降下信号を受信してピーク値調整信号を生成して出力電流の出力電流ピーク値を降下させるか、又は上昇信号を受信してピーク値調整信号を生成して出力電流の出力電流ピーク値を上昇させるためのピーク値調整回路を更に備える。
【0009】
本開示の別の技術態様は、電子機器の出力電流ピーク値を調整制御するための調整制御方法であって、出力電流の第1周期における第1積分値及び第1デフォルト値を比較し、第1積分値が第1デフォルト値以上となる場合に第1比較結果を生成するステップと、出力電流の第2周期における第2積分値及び第2デフォルト値を比較し、第2積分値が第2デフォルト値以上となる場合に第2比較結果を生成するステップと、第1比較結果又は第2比較結果に応答して、降下信号を出力することで、出力電流ピーク値を降下させるステップと、を含む調整制御方法に関する。
【0010】
一実施例において、調整制御方法は、デフォルト周期後に、出力電流のデフォルト周期における第3積分値及び第3デフォルト値を比較し、第3積分値が第3デフォルト値より小さい場合に第3比較結果を生成するステップと、第3比較結果に応答して、上昇信号を出力することで、出力電流ピーク値を上昇させるステップと、更にを含む。
【0011】
一実施例において、出力電流の第1周期における第1積分値及び第1デフォルト値を比較し、第1積分値が第1デフォルト値以上となる場合に第1比較結果を生成するステップの前に、出力電流の絶対値を取るステップを更に含む。
【0012】
一実施例において、調整制御方法は、出力電流の電流絶対値を積分して、第1周期における第1積分値、第2周期における第2積分値、及びデフォルト周期における第3積分値を生成するステップを更に含む。
【0013】
一実施例において、調整制御方法は、降下信号に応答してピーク値調整信号を生成して出力電流ピーク値を降下させるか、又は上昇信号に応答してピーク値調整信号を生成して出力電流ピーク値を上昇させるステップを更に含む。
【0014】
したがって、本開示の技術内容によれば、本開示の実施例に示される調整制御装置及び調整制御方法は、電子機器の起動時に、電子機器の出力電流ピーク値を一時的に上昇させることができ、且つ出力電流の出力ピーク値の時間を柔軟に調整制御することができ、これにより電子機器の起動時に大きな電流を提供して起動させる目的を達成し、給電端機器が保護メカニズムをトリガーするのを回避するように時間の長さを調整制御することができ、これにより電子機器の起動時間が長くなったり起動できなくなったりするという問題を解決する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本開示の上記及び他の目的、特徴、利点及び実施例をより明確且つ理解しやすくするために、添付図面を以下に説明する。
【
図1A】本開示の一実施例による電子機器、調整制御装置及び電子製品を示す模式図である。
【
図1B】本開示の一実施例による調整制御装置を示す模式図である。
【
図2】本開示の一実施例による調整制御装置の関連パラメータを示す波形模式図である。
【
図3】本開示の一実施例による調整制御装置の関連パラメータを示す波形模式図である。
【
図4】本開示の一実施例による調整制御方法のプロセスを示す模式図である。
【
図5】本開示の一実施例による調整制御方法のプロセスを示す模式図である。 従来の作業方式によれば、図中の様々な特徴及び部品は、一定の縮尺で描画されておらず、その描画方式は、本開示に関連する具体的な特徴及び部品を最適な方式で表すためのものである。また、異なる図面では、同じ又は類似の符号で類似の部品/部材を指す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示をより詳しく且つ完全に説明するために、以下、本開示の実施態様及び具体的な実施例について説明的に叙述したが、それは本開示の具体的な実施例を実施又は適用する唯一の形態ではない。実施形態は、複数の具体的な実施例の特徴及びこれらの具体的な実施例を構築及び操作するための方法ステップ及びその順序を含む。しかしながら、他の具体的な実施例を用いて同一又は同等の機能とステップ順序を達成してもよい。
【0017】
本明細書が別途定義しない限り、ここで用いられる科学及び技術用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって理解された慣用のものと同じ意味を有する。また、文脈と衝突しない場合、本明細書に使用される単数形の名詞は、その名詞の複数形を含み、複数形の名詞を使用する場合も、その名詞の単数形を含む。
【0018】
本明細書で使用される「結合」とは、2つ又は複数の部品が互いに直接物理的又は電気的に接触することを指してもよいし、互いに間接物理的又は電気的に接触することを指してもよいし、更に、2つ又は複数の部品が互いに操作又は動作することを指してもよい。
【0019】
図1A及び
図1Bを参照されたい。
図1Aは、本開示の一実施例による電子機器10、調整制御装置100及び電子製品200の模式図を示し、
図1Bは、本開示の一実施例による調整制御装置100の模式図を示す。図に示すように、調整制御装置100は、電子機器10の出力電流ピーク値(即ち、出力電流の最大電流点)を調整制御して、電子機器10から電子製品200に給電するために用いられる。調整制御装置100は、第1比較回路150、第2比較回路160及びロジック制御回路180を含む。第1比較回路150及び第2比較回路160はロジック制御回路180に結合される。
【0020】
動作について、第1比較回路150は、出力電流の第1周期における第1積分値及び第1デフォルト値を比較し、第1積分値が第1デフォルト値以上となる場合に第1比較結果を生成するために用いられる。第2比較回路160は、出力電流の第2周期における第2積分値及び第2デフォルト値を比較し、第2積分値が第2デフォルト値以上となる場合に第2比較結果を生成するために用いられる。ロジック制御回路180は、第1比較結果又は第2比較結果を受信すると、降下信号を出力することで、出力電流の出力ピーク値を降下させる。
【0021】
例えば、電子機器の起動時に、電子機器の起動のスタータとするために、給電端の電子機器の出力電流を一時的に上昇させる。本開示における所定の状態について、出力電流の出力ピーク値はハイであり、例えば5V(ボルト)に設定される。この時、調整制御装置100のスイッチ120は、第1比較回路150及び第2比較回路160の側(下側)に切り替えられ、第1比較回路150及び第2比較回路160によって出力電流の出力ピーク値をローに切り替える必要があるか否かを判断し、それにより給電端の内部部品の損傷を回避する。
【0022】
上記第1比較回路150の判断条件は、第1周期において、出力電流の積分値が第1デフォルト値以上であるか否かを判断することである。例えば、第1比較回路150は、10ms(ミリ秒)内の出力電流の積分値が第1デフォルト値以上であるか否かを判断する。出力電流の積分値が第1デフォルト値以上となる場合、第1比較回路150は、第1比較結果を生成する。
【0023】
上記第2比較回路160の判断条件は、第2周期において、出力電流の積分値が第2デフォルト値以上であるか否かを判断することである。例えば、第2比較回路160は、500ms内の出力電流の積分値が第2デフォルト値以上であるか否かを判断する。出力電流の積分値が第2デフォルト値以上となる場合、第2比較回路160は、第2比較結果を生成する。なお、上記第1デフォルト値と第2デフォルト値は、本開示の実際のニーズに応じて、等しいか等しくないかに設定することもできる。例えば、第1デフォルト値は60000Aに設定されてよいが、これに限定されず、第2デフォルト値は60000*20Aに設定されてよいが、これに限定されず、即ち、第2デフォルト値は第1デフォルト値の20倍であってよいが、時間の長さは50倍(500ms/10ms)である。
【0024】
上記いずれかの判断条件が達成されると、ロジック制御回路180は、第1比較回路150から伝送された第1比較結果を受信するか、又は第2比較回路160から伝送された第2比較結果を受信し、この時、ロジック制御回路180は、降下信号を出力することで、出力電流の出力ピーク値を降下させ、それにより給電端の電子機器の内部部品の損傷を回避する。
【0025】
一実施例において、調整制御装置100は、第3比較回路170を更に含む。第3比較回路170は、ロジック制御回路180に結合される。第3比較回路170は、デフォルト周期後に、出力電流のデフォルト周期における第3積分値及び第3デフォルト値を比較し、第3積分値が第3デフォルト値より小さい場合、第3比較結果を生成する。ロジック制御回路180が第3比較結果を受信すると、上昇信号を出力することで、出力電流の出力ピーク値を上昇させる。
【0026】
例えば、第3比較回路170の判断条件は、持続時間がデフォルト周期を超えるか否かを判断することと、デフォルト周期における出力電流の積分値が電流デフォルト値より小さいか否かを判断することである。例えば、第3比較回路170は、持続時間が500msに達したか否かを判断し、500ms後、第3比較回路170によって500ms内の出力電流の積分値がデフォルト値より小さいか否かを判断する。出力電流の積分値がデフォルト値より小さい場合、第3比較回路170は、第3比較結果を生成する。上記判断条件が達成されると、ロジック制御回路180は、第3比較結果を受信し、この時、上昇信号を出力することで、出力電流の出力ピーク値を上昇させる。
【0027】
一実施例において、調整制御装置100は、絶対値回路110を更に含む。給電端の電子機器の出力電流が交流電流であってよいため、後続の積分演算を行うために、絶対値回路110は、出力電流の電流値に対して絶対値を取って電流絶対値を生成する必要がある。例えば、第1比較回路150、第2比較回路160及び第3比較回路170はそれぞれ、電流絶対値の第1周期における第1積分値と第1デフォルト値との比較、電流絶対値の第2周期における第2積分値と第2デフォルト値との比較、及び電流絶対値のデフォルト周期における第3積分値と第3デフォルト値との比較に用いられてよい。
【0028】
一実施例では、調整制御装置100は、少なくとも1つの積分回路、例えば、第1積分回路130及び第2積分回路140を更に含む。少なくとも1つの積分回路は、出力電流の電流絶対値を積分するために用いられ、例えば、スイッチ120が第1比較回路150及び第2比較回路160の側(例えば、下側)に切り替えられると、第1積分回路130は、第1周期における第1積分値を生成し、且つ第1比較回路150に伝送して後続の比較プロセスを行い、第1積分回路130は、第2周期における第2積分値を生成し、且つ第2比較回路160に伝送して後続の比較プロセスを行う。スイッチ120が第3比較回路170の側(例えば、上側)に切り替えられると、第2積分回路140はデフォルト周期における第3積分値を生成し、第3比較回路170に伝送して後続の比較プロセスを行う。なお、スイッチ120は、第1比較回路150及び第2比較回路160の側(例えば、下側)に切り替わるように予め設定されてよく、出力電流の出力ピーク値がローに切り替わると、スイッチ120が第3比較回路170の側(例えば、上側)に切り替わり、その後、出力電流の出力ピーク値がハイに切り替わると、スイッチ120が再び第1比較回路150及び第2比較回路160の側(例えば、下側)に切り替わる。
【0029】
一実施例において、調整制御装置100は、ロジック制御回路180に結合されるピーク値調整回路190を更に含む。ピーク値調整回路190は、ロジック制御回路180によって降下信号を受信し、ピーク値調整信号Soutを生成して出力電流の出力ピーク値を降下させるために用いられる。又は、ピーク値調整回路190は、ロジック制御回路180によって上昇信号を受信し、ピーク値調整信号Soutを生成して出力電流の出力ピーク値を上昇させるために用いられる。なお、本開示は、
図1Bに示される構造に限定されず、本開示の技術を理解しやすくするために、本開示の実現方式の1つを例示的に示すものに過ぎず、本開示の特許請求の範囲は、発明の特許請求の範囲を基準とする。当業者が本開示の精神から逸脱することなく本開示の実施例に対して行われる修正及び修飾は、依然として本開示の特許請求の範囲に落ちる。
【0030】
図2は、本開示の一実施例による
図1Bに示される調整制御装置100の関連パラメータの波形模式図を示す。図に示すように、電源の出力電流はIoutである。第1周期における第1積分値はIntelである。第2周期における第2積分値はInte2である。ピーク値調整信号はSoutである。第1周期0S(秒)~0.01S(秒)において、第1積分値Intelは上昇し続けるが、1つの第1周期の後、第1積分値Intelは第1デフォルト値以上ではないため、ピーク値調整信号Soutは依然としてハイレベルのままである。また、第1周期0S~0.01Sにおける第1積分値Intelが第1デフォルト値以上ではないため、その後、第1積分値Intelがクリアされ、別の第1周期0.01S~0.02Sから第1積分値Intelを再計算し、再比較し、このように繰り返す。任意の第1周期において第1積分値Intelが第1デフォルト値以上であると仮定すると、ピーク値調整信号Soutは、ハイレベルからローレベルに調整されることで、電子機器の出力ピーク値を降下させる。
【0031】
第2周期0S(秒)~0.05S(秒)において、第2積分値Inte2が上昇し続ける。図から分かるように、0.03S~0.04Sの区間において、第2積分値Inte2が第2デフォルト値以上であるため、ピーク値調整信号Soutは、ハイレベルからローレベルに調整されることで、電源の出力ピーク値を降下させる。電源の出力ピーク値を降下させた後、0.04S~0.05Sの区間から、出力電流Ioutがローレベルに制限されることが分かる。
【0032】
図3は、本開示の一実施例による
図1Bに示される調整制御装置100の関連パラメータの波形模式図を示す。図に示すように、電源の出力電流はIoutである。デフォルト周期における第3積分値はInte3である。カウント値はTcountであり、例えば、1countは10usである。ピーク値調整信号はSoutである。デフォルト周期0S~0.05Sの後、第3積分値Inte3が第3デフォルト値より小さいか否かを判断する。図から分かるように、デフォルト周期0S~0.05Sを続けても、第3積分値Inte3が依然として第3デフォルト値より小さいため、ピーク値調整信号Soutは、ローレベルからハイレベルに調整されることで、電源の出力ピーク値を上昇させる。電源の出力ピーク値を上昇させた後、0.05S~0.06Sの区間から、出力電流Ioutが既にハイレベルに戻ったことが分かる。なお、本開示は、
図2及び
図3に示されるパラメータに限定されず、本開示の技術を理解しやすくするために、本開示の実現方式の1つを例示的に示すものに過ぎず、本開示の特許請求の範囲は、発明の特許請求の範囲を基準とする。当業者が本開示の精神から逸脱することなく本開示の実施例に対して行われる修正及び修飾は、依然として本開示の特許請求の範囲に落ちる。
【0033】
図4は、本開示の一実施例による調整制御方法400のプロセスの模式図を示す。調整制御方法400を理解しやすくするために、
図1Bと
図4を併せて参照しながら、調整制御方法400の詳細なプロセスについて後述する。
【0034】
ステップ410において、出力電流の第1周期における第1積分値及び第1デフォルト値を比較し、第1積分値が第1デフォルト値以上となる場合に第1比較結果を生成する。例えば、第1比較回路150は、第1周期(例えば、10ms)における出力電流の積分値が第1デフォルト値以上であるか否かを判断する。出力電流の積分値が第1デフォルト値以上となる場合、第1比較回路150は、第1比較結果を生成する。
【0035】
ステップ420において、出力電流の第2周期における第2積分値及び第2デフォルト値を比較し、第2積分値が第2デフォルト値以上となる場合に第2比較結果を生成する。例えば、第2比較回路160は、第2周期(例えば、500ms)における出力電流の積分値が第2デフォルト値以上であるか否かを判断する。出力電流の積分値が第2デフォルト値以上となる場合、第2比較回路160は、第2比較結果を生成する。なお、上記第1デフォルト値と第2デフォルト値は、本開示の実際のニーズに応じて、等しいか等しくないかに設定することもできる。
【0036】
ステップ430において、第1比較結果又は第2比較結果に応答して、降下信号を出力することで、出力電流の出力ピーク値を降下させる。例えば、上記いずれかの判断条件が達成されると、ロジック制御回路180は、第1比較結果又は第2比較結果を受信し、この時、ロジック制御回路180は、降下信号を出力することで、出力電流の出力ピーク値を降下させ、それにより給電端の電子機器の内部部品が損傷して保護メカニズムをトリガーするのを回避する。
【0037】
ステップ440において、デフォルト周期後に、出力電流のデフォルト周期における第3積分値及び第3デフォルト値を比較し、第3積分値が第3デフォルト値より小さい場合、第3比較結果を生成する。例えば、第3比較回路170は、持続時間が500msに達したか否かを判断し、持続時間が500msに達したら、第3比較回路170は、500ms内の出力電流の積分値が電流デフォルト値より小さいか否かを判断する。出力電流の積分値が電流のデフォルト値より小さい場合、第3比較回路170は、第3比較結果を生成する。
【0038】
ステップ450において、第3比較結果に応答して上昇信号を出力することで、出力電流の出力ピーク値を上昇させる。例えば、上記判断条件が達成されると、ロジック制御回路180は、第3比較結果を受信し、この時、ロジック制御回路180は、上昇信号を出力することで、出力電流の出力ピーク値を上昇させる。
【0039】
一実施例において、調整制御方法400は、出力電流の電流絶対値を積分して、第1周期における第1積分値、第2周期における第2積分値、及びデフォルト周期における第3積分値を生成するステップを更に含む。例えば、第1積分回路130及び第2積分回路140はそれぞれ、出力電流の電流絶対値を積分して、第1周期における第1積分値、第2周期における第2積分値及びデフォルト周期における第3積分値を生成する。
【0040】
一実施例において、調整制御方法400は、出力電流の電流値に対して絶対値を取って電流絶対値を生成するステップを更に含む。電源の出力電流が交流電流であってよいため、後続の積分演算を行うために、絶対値回路110は、出力電流の電流値に対して絶対値を取って電流絶対値を生成する必要がある。例えば、第1比較回路150、第2比較回路160及び第3比較回路170はそれぞれ、電流絶対値の第1周期における第1積分値と第1デフォルト値との比較、電流絶対値の第2周期における第2積分値と第2デフォルト値との比較、及び電流絶対値のデフォルト周期における第3積分値と第3デフォルト値との比較に用いられてよい。
【0041】
一実施例において、調整制御方法400は、降下信号に応答してピーク値調整信号を生成することで、出力電流の出力ピーク値を降下させるか、又は上昇信号に応答してピーク値調整信号を生成することで、出力電流の出力ピーク値を上昇されるステップを更に含む。例えば、ピーク値調整回路190は、ロジック制御回路180によって降下信号を受信し、ピーク値調整信号Soutを生成して出力電流の出力ピーク値を降下させるために用いられる。又は、ピーク値調整回路190は、ロジック制御回路180によって上昇信号を受信し、ピーク値調整信号Soutを生成して出力電流の出力ピーク値を上昇させるために用いられる。
【0042】
なお、本開示は、
図4に示されるプロセスに限定されず、本開示の技術を理解しやすくするために、本開示の実現方式の1つを例示的に示すものに過ぎず、本開示の特許請求の範囲は、発明の特許請求の範囲を基準とする。当業者が本開示の精神から逸脱することなく本開示の実施例に対して行われる修正及び修飾は、依然として本開示の特許請求の範囲に属する。
【0043】
図5は、本開示の一実施例による調整制御方法500のプロセスの模式図を示す。調整制御方法500を理解しやすくするために、
図1B及び
図5を併せて参照されたい。ステップ501において、出力ピーク値はハイに予め設定され、例えば、出力ピーク値は5Vに予め設定される。ステップ502において、絶対値回路110は、出力電流の絶対値を取って電流絶対値を生成する。ステップ503において、出力ピーク値がハイであるか否かを判断する。出力ピーク値がハイであれば、図中の右側のステップを実行する。
【0044】
ステップ504において、電流絶対値に対して第1周期積分を実行して、第1積分値を取得する。ステップ505において、第1比較回路150は、第1積分値が第1デフォルト値以上であるか否かを判断する。第1積分値が第1デフォルト値以上となる場合、ステップ506を実行し、出力ピーク値を降下させ、そして調整制御方法500におけるパラメータ(例えば、第1積分値、第2積分値、第1カウント値、及び第2カウント値)を0に調整制御し、その後、ステップ502に戻って実行する。第1積分値が第1デフォルト値より大きくない場合、ステップ507を実行し、第1カウント値に1を加算する。
【0045】
ステップ508において、第1カウント値が1000に達したか否かを判断する。第1カウント値が1000に達していない場合、ステップ502に戻って実行する。第1カウント値が1000に達した場合、ステップ509を実行し、第1積分値及び第1カウント値を0に調整制御し、その後、ステップ502に戻って実行する。
【0046】
また、ステップ510において、電流絶対値に対して第2周期積分を実行し、第2積分値を取得する。ステップ511において、第2比較回路160は、第2積分値が第2デフォルト値以上であるか否かを判断する。第2積分値が第2デフォルト値以上となる場合、ステップ506を実行し、出力ピーク値を降下させ、そして調整制御方法500におけるパラメータ(例えば、第1積分値、第2積分値、第1カウント値、及び第2カウント値)を0に調整制御し、その後、ステップ502に戻って実行する。第2積分値が第2デフォルト値より大きくない場合、ステップ512を実行し、第2カウント値に1を加算する。
【0047】
ステップ513において、第2カウント値が50000に達したか否かを判断する。第2カウント値が50000に達していない場合、ステップ502に戻って実行する。第2カウント値が50000に達した場合、ステップ514を実行し、第2積分値及び第2カウント値を0に調整制御し、その後、ステップ502に戻って実行する。
【0048】
ステップ503を参照されたい。出力ピーク値がハイではないと判断した場合、図中の左側のステップを実行する。ステップ515において、電流絶対値に対してデフォルト周期積分を実行して、第3積分値を取得する。ステップ516において、第3カウント値が50000に達したか否かを判断する。第3カウント値が50000に達していない場合、ステップ517を実行し、第3カウント値に1を加算し、その後、ステップ502に戻って実行する。第3カウント値が50000に達すると、ステップ518を実行し、第3比較回路170は、第3積分値が第3デフォルト値より小さいか否かを判断する。第3積分値が第3デフォルト値より小さい場合、ステップ520を実行し、出力ピーク値を上昇させ、そして調整制御方法500におけるパラメータ(例えば、第3積分値及び第3カウント値)を0に調整制御し、その後、ステップ502に戻って実行する。第3積分値が第3デフォルト値より小さくない場合、ステップ519を実行し、第3積分値及び第3カウント値を0に調整制御し、その後、ステップ502に戻って実行する。なお、本開示は、
図5に示されるプロセスに限定されず、本開示の技術を理解しやすくするために、本開示の実現方式の1つを例示的に示すものに過ぎず、本開示の特許請求の範囲は、発明の特許請求の範囲を基準とする。当業者が本開示の精神から逸脱することなく本開示の実施例に対して行われる修正及び修飾は、依然として本開示の特許請求の範囲に属する。
【0049】
以上の本開示の実施形態から分かるように、本開示を採用するには以下の利点を有する。本開示の実施例に示される調整制御装置及び調整制御方法は、電子機器の起動時に、給電端の電子機器の出力電流ピーク値を一時的に上昇させることができ、且つ出力電流の出力ピーク値の時間を柔軟に調整制御し、一時的に上昇させることができ、これにより電子機器の起動時に大きな電流を提供して起動させる目的を達成し、給電端の電子機器の内部部品が損傷して保護メカニズムをトリガーするのを回避するように、時間の長さを調整制御することができる。
【0050】
以上の実施形態において本開示の具体的な実施例が開示されたが、それは本開示を限定するものではなく、当業者であれば、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更や修正を行うことができ、よって、本開示の保護範囲は、添付の特許請求の範囲に定義されたものを基準とする。
【符号の説明】
【0051】
10 電子機器
100 調整制御装置
110 絶対値回路
120 スイッチ
130 第1積分回路
140 第2積分回路
150 第1比較回路
160 第2比較回路
170 第3比較回路
180 ロジック制御回路
190 ピーク値調整回路
200 電子製品
400 方法
410~450 ステップ
500 方法
501~520 ステップ
Iout 出力電流
Intel 第1積分値
Inte2 第2積分値
Inte3 第3積分値
Sout ピーク値調整信号
Tcount カウント値