IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.の特許一覧

<>
  • 特開-積層型電子部品 図1
  • 特開-積層型電子部品 図2
  • 特開-積層型電子部品 図3
  • 特開-積層型電子部品 図4
  • 特開-積層型電子部品 図5
  • 特開-積層型電子部品 図6
  • 特開-積層型電子部品 図7
  • 特開-積層型電子部品 図8
  • 特開-積層型電子部品 図9a
  • 特開-積層型電子部品 図9b
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096037
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20240704BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01G4/30 201G
H01G4/30 513
H01G4/30 516
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023218098
(22)【出願日】2023-12-25
(31)【優先権主張番号】10-2022-0188989
(32)【優先日】2022-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】安 昭貞
(72)【発明者】
【氏名】崔 亨綜
(72)【発明者】
【氏名】朴 廷原
(72)【発明者】
【氏名】李 有▲浄▼
(72)【発明者】
【氏名】元 光淵
(72)【発明者】
【氏名】成 佑慶
(72)【発明者】
【氏名】全 炳俊
(72)【発明者】
【氏名】李 哲承
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC04
5E001AD04
5E001AE01
5E001AE02
5E001AE03
5E001AE04
5E001AF06
5E001AJ01
5E082AB03
5E082EE04
5E082EE23
5E082FF05
5E082FG03
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082PP09
(57)【要約】
【課題】積層型電子部品の信頼性を向上させ、外部電極のバンド部の端部で本体とめっき層との間の界面が広がり、水分などの浸透経路が生成されることを抑制する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品は、誘電体層及び内部電極を含む本体と、上記本体上に配置された電極層及び上記電極層上に配置されためっき層を含む外部電極と、を含み、上記めっき層は、上記本体上に延びて本体と接するように配置された延長部を含み、上記延長部は、延長部が接する本体の表面と結晶粒の長軸がなす角度が70度以上110度以下である結晶粒を1つ以上含むことができる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層及び内部電極を含む本体と、
前記本体上に配置された電極層及び前記電極層上に配置されためっき層を含む外部電極と、を含み、
前記めっき層は、前記本体上に延びて本体と接するように配置された延長部を含み、
前記延長部は、延長部と接する本体の表面と結晶粒の長軸がなす角度が70度以上110度以下の結晶粒を1つ以上含む、積層型電子部品。
【請求項2】
前記延長部は、本体と隣接した第1領域及び前記第1領域上に配置された第2領域を含み、
前記第1領域に含まれた結晶粒を第1結晶粒、前記第2領域に含まれた結晶粒を第2結晶粒、前記第2結晶粒の長軸が前記延長部が接する本体の表面となす角度をθ2とするとき、
前記第2結晶粒の少なくとも1つ以上は、θ2が70度以上110度以下を満たす、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記第2結晶粒の少なくとも1つ以上は、θ2が80度以上100度以下を満たす、請求項2に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記第2結晶粒のθ2平均値は70度以上110度以下を満たす、請求項2に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記第2結晶粒の長軸長さの平均値は1μm以上である、請求項2に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記第2結晶粒の長軸長さの平均値は、短軸長さの平均値の3倍以上である、請求項2に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記第2結晶粒の長軸は、前記第2結晶粒を構成する線分のうち、前記延長部が接する本体の表面から最も遠く離隔した線分の中点と最も隣接した線分の中点を連結した直線または前記延長部が接する本体の表面から最も遠く離隔した線分の中点と最も隣接した尖点を連結した直線である、請求項2に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記第2結晶粒の平均大きさは、前記第1結晶粒の平均大きさの2倍以上である、請求項2に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記第1結晶粒の平均大きさは0.5μm以下である、請求項2に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記第2結晶粒の平均大きさは1μm以上である、請求項2に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記めっき層のうち前記電極層上に配置された領域を電極カバー部とするとき、
前記電極カバー部は、前記電極層と隣接した第3領域及び前記第3領域上に配置された第4領域を含み、
前記第3領域に含まれた結晶粒を第3結晶粒、前記第4領域に含まれた結晶粒を第4結晶粒、前記第4結晶粒の長軸が前記延長部が接する本体の表面となす角度をθ4とするとき、
前記第4結晶粒の少なくとも1つ以上は、θ4が60度以下または130度以上である、請求項2に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記第4領域は、前記延長部と隣接した領域に前記θ4が60度以下または130度以上である第4結晶粒を含む、請求項11に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
前記第4結晶粒の平均大きさは、前記第3結晶粒の平均大きさの2倍以上である、請求項11に記載の積層型電子部品。
【請求項14】
前記めっき層は、Cu、Ni、Pd、Cr及びこれらの合金のうち1つ以上を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項15】
前記外部電極は、前記めっき層上に配置される追加めっき層をさらに含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項16】
前記めっき層はNiめっき層であり、前記追加めっき層はSnめっき層である、請求項15に記載の積層型電子部品。
【請求項17】
誘電体層及び内部電極を含む本体と、
前記本体上に配置された電極層及び前記電極層上に配置されためっき層を含む外部電極と、を含み、
前記めっき層は、前記本体上に延びて本体と接するように配置された延長部を含み、
前記延長部は、結晶粒の成長方向が前記延長部と接する本体の表面と実質的に垂直な方向である、積層型電子部品。
【請求項18】
前記めっき層のうち前記電極層上に配置された領域を電極カバー部とするとき、
前記電極カバー部は、結晶粒の成長方向が前記電極カバー部と接する電極層の表面と実質的に垂直な方向である、請求項17に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layer Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話などの様々な電子製品のプリント回路基板に装着されて電気を充電または放電させる役割を果たすチップ形態のコンデンサである。
【0003】
かかる積層セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として用いられることができる。最近、コンピュータ、モバイル機器など、各種電子機器が小型化、高出力化され、積層セラミックキャパシタの小型化及び高容量化に対する要求も増大している。また、積層セラミックキャパシタの使用環境が多様化するにつれて高い信頼性が求められている。
【0004】
積層セラミックキャパシタは、湿気環境下で絶縁抵抗が劣化する可能性がある。特に、外部電極のバンド部の端部で本体とめっき層との間の界面が広がる場合、水分、水素などの浸透経路が生成されて耐湿信頼性が低下する可能性がある。
【0005】
したがって、外部電極のバンド部の端部で本体とめっき層との間の界面が広がり、水分などの浸透経路が生成されることを抑制することができる方案が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の様々な目的の一つは、積層型電子部品の信頼性を向上させることである。
【0007】
本発明の様々な目的の一つは、外部電極のバンド部の端部で本体とめっき層との間の界面が広がり、水分などの浸透経路が生成されることを抑制することである。
【0008】
但し、本発明の目的は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品は、誘電体層及び内部電極を含む本体と、上記本体上に配置された電極層及び上記電極層上に配置されためっき層を含む外部電極と、を含み、上記めっき層は、上記本体上に延びて本体と接するように配置された延長部を含み、上記延長部は、延長部が接する本体の表面と結晶粒の長軸がなす角度が70度以上110度以下である結晶粒を一つ以上含むことができる。
【0010】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品は、誘電体層及び内部電極を含む本体と、上記本体上に配置された電極層及び上記電極層上に配置されためっき層を含む外部電極と、を含み、上記めっき層は、上記本体上に延びて本体と接するように配置された延長部を含み、上記延長部は、結晶粒の成長方向が上記延長部と接する本体の表面と実質的に垂直な方向であることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の様々な効果の一つは、めっき層の延長部が本体の表面と結晶粒の長軸がなす角度が70度以上110度以下の結晶粒を1つ以上含むことにより本体とめっき層との間の結合力を向上させることである。
【0012】
本発明の様々な効果の一つは、本体とめっき層との間の界面の広がりを防止することにより、水分などが本体の内部に浸透することを抑制することである。
【0013】
但し、本発明の多様でありながらも有意義な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程で、より容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品を示した斜視図である。
図2図1のI-I’線に沿った断面図である。
図3図1のII-II’線に沿った断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の本体を分解して示した分解斜視図である。
図5図2のP領域を拡大した図面である。
図6】発明例のバンド部の端部のめっき層を走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)を用いてスキャンして得たイメージである。
図7】比較例のバンド部の端部のめっき層を概略的に示した図面である。
図8】比較例のバンド部の端部のめっき層を走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)を用いてスキャンして得たイメージである。
図9a】第2結晶粒の長軸Lxおよび第2結晶粒の長軸が延長部に接する本体の表面と成す角度θ2に関する図面である。
図9b】第2結晶粒の長軸Lxおよび第2結晶粒の長軸が延長部に接する本体の表面と成す角度θ2に関する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上に同一符号で示される要素は同一要素である。
【0016】
尚、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、図示した各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意で示したものであるため、本発明は必ずしも図示により限定されない。また、同一の思想の範囲内の機能が同一である構成要素は、同一の参照符号を用いて説明することができる。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0017】
図面において、第1方向は厚さ(T)方向、第2方向は長さ(L)方向、第3方向は幅(W)方向と定義することができる。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品を示した斜視図であり、図2は、図1のI-I’線に沿った断面図であり、図3は、図1のII-II’線に沿った断面図であり、図4は、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の本体を分解して示した分解斜視図であり、図5は、図2のP領域を拡大した図面である。
【0019】
以下、図1図5を参照して、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100について説明する。
【0020】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100は、誘電体層111及び内部電極121、122を含む本体110と、上記本体上に配置された電極層131a、132a及び上記電極層上に配置されためっき層131b、132bを含む外部電極131、132と、を含み、上記めっき層131b、132bは、上記本体上に延びて本体と接するように配置された延長部131b2、132b2を含み、上記延長部は、延長部が接する本体の表面と結晶粒の長軸Lxがなす角度が70度以上110度以下の結晶粒を一つ以上含むことができる。
【0021】
従来の一般的なめっき層の場合、外部電極のバンド部の端部で本体とめっき層との間の界面が広がり、水分などの浸透経路が生成されやすくなった。めっき層は一般的に金属からなり、本体との結合力が低いためである。
【0022】
また、本発明者らが研究した結果、従来の一般的なめっき層の場合、電極層から電荷を受けて成長した結晶粒から構成されるため、バンド部の端部でめっき層の結晶粒の成長方向が横方向を有して、本体との結合力が低いことを明らかにすることができた。
【0023】
本発明の一実施形態により、めっき層の延長部131b2、132b2に延長部が接する本体の表面BSと結晶粒の長軸Lxがなす角度が70度以上110度以下の結晶粒を含ませる場合、本体110とめっき層131b、132bとの間の結合力を向上させることができ、これにより積層型電子部品の耐湿信頼性を向上させることができる。
【0024】
以下、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100に含まれる各構成について説明する。
【0025】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されている。
【0026】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように本体110は六面体状やこれと類似した形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮により、本体110は完全な直線を有する六面体状ではなく、実質的に六面体状を有することができる。
【0027】
本体110は、第1方向に互いに向かい合う第1及び第2面1、2、上記第1及び第2面1、2と連結され、第2方向に互いに向かい合う第3及び第4面3、4、第1及び第2面1、2と連結され、第3及び第4面3、4と連結され、第3方向に互いに向かい合う第5及び第6面5、6を有することができる。
【0028】
一実施形態において、本体110は、第1面と第3面を連結する第1-3コーナー、上記第1面と第4面を連結する第1-4コーナー、上記第2面と第3面を連結する第2-3コーナー、上記第2面と第4面を連結する第2-4コーナーを含み、上記第1-3コーナー及び第2-3コーナーは、上記第3面に近づくほど、上記本体の第1方向の中央に収縮された形態を有し、上記第1-4コーナー及び第2-4コーナーは、上記第4面に近づくほど、上記本体の第1方向の中央に収縮された形態を有することができる。
【0029】
誘電体層111上に内部電極121、122が配置されていないマージン領域が重なることによって、内部電極121、122の厚さによる段差が発生して、第1面と第3~第5面を連結するコーナー及び/または第2面と第3~第5面を連結するコーナーは、第1面または第2面を基準として見るとき、本体110の第1方向の中央側に収縮された形態を有することができる。または、本体の焼結過程での収縮挙動によって、第1面1と第3~第6面3、4、5、6を連結するコーナー及び/または第2面2と第3~第6面3、4、5、6を連結するコーナーは、第1面または第2面を基準として見るとき、本体110の第1方向の中央側に収縮された形態を有することができる。または、チッピング不良などを防止するために本体110の各面を連結する角を別途の工程を行ってラウンド処理することによって第1面と第3~第6面を連結するコーナー及び/または第2面と第3~第6面を連結するコーナーは、ラウンド形態を有することができる。
【0030】
上記コーナーは、第1面と第3面を連結する第1-3コーナー、第1面と第4面を連結する第1-4コーナー、第2面と第3面を連結する第2-3コーナー、第2面と第4面を連結する第2-4コーナーを含むことができる。また、コーナーは、第1面と第5面を連結する第1-5コーナー、第1面と第6面を連結する第1-6コーナー、第2面と第5面を連結する第2-5コーナー、第2面と第6面を連結する第2-6コーナーを含むことができる。本体110の第1~第6面は、大体に平坦な面であることができ、平坦でない領域をコーナーとして見ることができる。以下、各面の延長線とは、各面の平坦な部分を基準として延びた線を意味することができる。
【0031】
このとき、外部電極131、132のうち本体110のコーナー上に配置された領域をコーナー部、本体110の第3及び第4面上に配置された領域を接続部、本体の第1及び第2面上に配置された領域をバンド部とすることができる。
【0032】
一方、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後に内部電極が本体の第5及び第6面5、6に露出するように切断した後、単一誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの両側面に第3方向(幅方向)に積層してマージン部114、115を形成する場合には、第1面と第5及び第6面を連結する部分及び第2面と第5及び第6面を連結する部分が収縮された形態を有さないことができる。
【0033】
本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であり、隣接する誘電体層111間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0034】
本発明の一実施形態によると、上記誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量が得られる限り特に制限されない。例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料、またはチタン酸ストロンチウム系材料などを用いることができる。上記チタン酸バリウム系材料は、BaTiO系セラミック粉末を含むことができ、上記セラミック粉末の例示として、BaTiO、BaTiOにCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)などが一部固溶された(Ba1-xCa)TiO(0<x<1)、Ba(Ti1-yCa)O(0<y<1)、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)O(0<x<1、0<y<1)またはBa(Ti1-yZr)O(0<y<1)などが挙げられる。
【0035】
また、上記誘電体層111を形成する原料は、チタン酸バリウム(BaTiO)などのパウダーに本発明の目的に応じて様々なセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0036】
一方、誘電体層111の平均厚さtdは特に限定する必要はない。例えば、誘電体層111の平均厚さtdは、0.2μm以上2μm以下であることができる。但し、一般的に誘電体層を0.6μm未満の厚さで薄く形成する場合、特に誘電体層の厚さが0.35μm以下の場合には積層型電子部品100の信頼性がさらに低下することがある。
【0037】
本発明の一実施形態によると、めっき層の延長部131b2、132b2の結晶粒を制御することで、誘電体層111の平均厚さtdが0.35μm以下である場合にも積層型電子部品100の信頼性を確保することができる。すなわち、誘電体層111の平均厚さtdが0.35μm以下である場合に、本発明による信頼性の向上効果がより顕著になることができる。
【0038】
誘電体層111の平均厚さtdは、上記第1及び第2内部電極121、122の間に配置される誘電体層111の平均厚さtdを意味することができる。
【0039】
誘電体層111の平均厚さtdは、本体110の長さ及び厚さ方向(L-T)の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を用いてイメージをスキャンして測定することができる。より具体的には、スキャンされたイメージにおいて1つの誘電体層を長さ方向に等間隔の30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔の30個の地点は容量形成部Acで指定されることができる。また、このような平均値測定を10個の誘電体層に拡張して平均値を測定すると、誘電体層の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0040】
本体110は、本体110の内部に配置され、誘電体層111を挟んで互いに向かい合うように配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量が形成される容量形成部Acと、上記容量形成部Acの第1方向の上部及び下部に形成されたカバー部112、113を含むことができる。
【0041】
また、上記容量形成部Acは、キャパシタの容量形成に寄与する部分であり、誘電体層111を挟んで複数の第1及び第2内部電極121、122を繰り返し積層して形成されることができる。
【0042】
カバー部112、113は、上記容量形成部Acの第1方向の上部に配置される上部カバー部112及び上記容量形成部Acの第1方向の下部に配置される下部カバー部113を含むことができる。
【0043】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は、単一誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの上下面にそれぞれ厚さ方向に積層して形成することができ、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0044】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は内部電極を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。
【0045】
すなわち、上記上部カバー部112及び下部カバー部113はセラミック材料を含むことができ、例えばチタン酸バリウム(BaTiO)系セラミック材料を含むことができる。
【0046】
また、上記容量形成部Acの側面にはマージン部114、115が配置されることができる。
【0047】
マージン部114、115は、本体110の第5面5に配置された第1マージン部114と、第6面6に配置された第2マージン部115を含むことができる。すなわち、マージン部114、115は、上記本体110の幅方向の両端面(end surfaces)に配置されることができる。
【0048】
マージン部114、115は、図3に示したように、上記本体110を幅-厚さ(W-T)方向に切断した断面(cross-section)で第1及び第2内部電極121、122の両端部と本体110の境界面との間の領域を意味することができる。
【0049】
マージン部114、115は、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0050】
マージン部114、115は、セラミックグリーンシート上にマージン部が形成されるところを除いて導電性ペーストを塗布して内部電極を形成することで形成されたものであることができる。
【0051】
また、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後の内部電極が本体の第5及び第6面5、6に露出するように切断した後、単一誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの両側面に第3方向(幅方向)に積層してマージン部114、115を形成することもできる。
【0052】
内部電極121、122は誘電体層111と交互に配置されることができる。
【0053】
内部電極121、122は、第1及び第2内部電極121、122を含むことができる。第1及び第2内部電極121、122は、本体110を構成する誘電体層111を挟んで互いに対向するように交互に配置され、本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ露出することができる。
【0054】
図2を参照すると、第1内部電極121は第4面4と離隔し、第3面3を介して露出し、第2内部電極122は第3面3と離隔し、第4面4を介して露出することができる。本体の第3面3には第1電極層131が配置されて第1内部電極121と連結され、本体の第4面4には第2電極層132が配置されて第2内部電極122と連結されることができる。
【0055】
すなわち、第1内部電極121は第2電極層131とは連結されず、第1電極層131と連結され、第2内部電極122は第1電極層131とは連結されず、第2電極層131と連結される。したがって、第1内部電極121は第4面4で一定距離離隔して形成され、第2内部電極122は第3面3で一定距離離隔して形成されることができる。
【0056】
このとき、第1及び第2内部電極121、122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されることができる。
【0057】
本体110は、第1内部電極121が印刷されたセラミックグリーンシートと第2内部電極122が印刷されたセラミックグリーンシートを交互に積層した後、焼成して形成することができる。
【0058】
内部電極121、122を形成する材料は特に制限されず、電気導電性に優れた材料を用いることができる。例えば、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上を含むことができる。
【0059】
また、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上を含む内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷して形成することができる。上記内部電極用導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0060】
なお、内部電極121、122の平均厚さteは特に限定する必要はない。例えば、内部電極121、122の平均厚さteは、0.2μm以上2μm以下であることができる。
【0061】
但し、一般的に、内部電極を0.6μm未満の厚さで薄く形成する場合、特に内部電極の厚さが0.35μm以下である場合には、積層型電子部品100の信頼性がさらに問題となることがある。
【0062】
本発明の一実施形態によると、めっき層の延長部131b2、132b2の結晶粒を制御することで、内部電極121、122の平均厚さteが0.35μm以下である場合にも信頼性を向上させることができる。
【0063】
したがって、内部電極121、122の厚さが平均0.35μm以下である場合に本発明による効果がより顕著になることができ、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成することができる。
【0064】
ここで、内部電極121、122の平均厚さteは、1つの内部電極の平均厚さteを意味することができる。
【0065】
内部電極121、122の平均厚さteは、本体110の長さ及び厚さ方向(L-T)の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を用いてイメージをスキャンして測定することができる。より具体的には、スキャンされたイメージにおいて1つの内部電極を長さ方向に等間隔の30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔の30個の地点は容量形成部Acで指定されることができる。また、このような平均値測定を10個の内部電極に拡張して平均値を測定すると、内部電極の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0066】
外部電極131、132は、本体110の第3面3及び第4面4に配置されることができる。
【0067】
外部電極131、132は、本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ配置され、第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ連結された第1及び第2外部電極131、132を含むことができる。このとき、外部電極131、132のうち本体110のコーナー上に配置された領域をコーナー部、本体110の第3及び第4面上に配置された領域を接続部、本体の第1及び第2面上に配置された領域をバンド部とすることができる。
【0068】
本実施形態においては、積層型電子部品100が2つの外部電極131、132を有する構造を説明しているが、外部電極131、132の個数や形状などは内部電極121、122の形態やその他の目的に応じて変更することができる。
【0069】
外部電極131、132は、電極層131a、132a及び電極層上に配置されためっき層131b、132bを含むことができる。
【0070】
電極層131a、132aは、金属などのような電気導電性を有するものであれば如何なる物質を用いても形成されることができ、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質が決定されることができ、さらに多層構造を有することができる。
【0071】
一実施形態において、電極層131a、132aは、導電性金属及びガラスを含む焼成(firing)電極であることができる。
【0072】
一実施形態において、電極層131a、132aは、導電性金属及び樹脂を含む樹脂系電極であることができる。
【0073】
一実施形態において、電極層131a、132aは、金属元素を95at%以上含むことができる。すなわち、電極層131a、132aは実質的に金属からなることができる。
【0074】
また、電極層131a、132aは、本体上に焼成電極及び樹脂系電極が順次形成された形態であることができる。また、電極層131a、132aは、本体上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されるか、焼成電極上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されたものであることができる。
【0075】
電極層131a、132aに用いられる導電性金属は、静電容量形成のために上記内部電極と電気的に連結されることができる材質であれば特に制限されず、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの合金からなる群から選択された1つ以上を含むことができる。
【0076】
めっき層131b、132bは、本体110上に延びて本体と接するように配置された延長部131b2、132b2を含み、延長部131b2、132b2は、延長部が接する本体の表面BSと、結晶粒の長軸Lxがなす角度が70度以上110度以下の結晶粒を一つ以上含むことができる。
【0077】
めっき層131b、132bは、基本的に電極層131a、132aを保護する役割及び/または実装特性を向上させる役割を果たすことができる。
【0078】
従来のめっき層構造である比較例に対する図7及び図8を参照すると、電極層32aとめっき層32bとの界面とは異なり、本体110とめっき層32bとの界面は結合力が低くて、めっき中に発生する応力やめっき後の外力によって広がるおそれがあった。また、広がった界面は水分浸透の経路となり、耐湿信頼性の劣化を引き起こすことがあった。一方、従来のめっき層32b上に追加めっき層32cが配置されることがあった。
【0079】
本発明者らが研究した結果、従来の一般的なめっき層32bの場合、電極層32aから電荷を受けて成長された結晶粒で構成されるため、バンド部の端部でめっき層の結晶粒の成長方向が横方向を有して、本体との結合力が低いことを明らかにすることができた。
【0080】
めっき層32bの微細構造を検討すると、電極層32aに隣接した第1領域Z1’に微細な結晶粒G1’が形成されており、第1領域Z1’上の第2領域Z2’に大きく成長されて形成された結晶粒G2’を確認することができる。このとき、結晶粒G2’の長軸Lx方向を結晶粒の成長方向と見なすことができる。結晶粒の成長方向から分かるように、めっき組織は電極層32aから成長した形状を有し、本体110と接する部分の結晶粒は本体の表面と平行な成長方向を有して、めっき層32bが本体110と接合されていても大きな結合力を有することは困難である。
【0081】
一方、本発明の一実施形態によって、めっき層の延長部131b2、132b2に延長部が接する本体の表面BSと結晶粒の長軸Lxがなす角度が70度以上110度以下の結晶粒を含ませる場合、本体110とめっき層131b、132bとの間の結合力を向上させることができ、これにより積層型電子部品の耐湿信頼性を向上させることができる。
【0082】
一実施形態において、図5及び図6を参照すると、延長部131b2、132b2は、本体と隣接した第1領域Z1及び上記第1領域上に配置された第2領域Z2を含み、上記第1領域に含まれた結晶粒を第1結晶粒G1、上記第2領域に含まれた結晶粒を第2結晶粒G2、上記第2結晶粒の長軸が上記延長部が接する本体の表面となす角度をθ2とするとき、上記第2結晶粒の少なくとも1つ以上はθ2が70度以上110度以下を満たすことができる。
【0083】
θ2が70度以上110度以下を満たす場合、縦方向に成長された結晶粒と見なすことができ、延長部131b2、132b2が縦方向に成長された結晶粒を含まない場合、延長部131b2、132b2と本体との間の結合力が低下して、延長部が本体の界面から離れるおそれがある。
【0084】
より好ましくは、第2結晶粒G2の少なくとも1つ以上は、θ2が80度以上100度以下を満たすことができる。また、さらに好ましくは、第2結晶粒のθ2平均値は70度以上110度以下を満たすことができる。
【0085】
一方、図1図6では、延長部131b2、132b2が外部電極のバンド部に配置された構造を示しているが、これに限定されるものではなく、外部電極がバンド部を有さない場合、めっき層が本体と接する部分を延長部として見なすことができる。
【0086】
下記表1は、図7及び図8のめっき層構造を有する比較例と、図5及び図6のめっき層構造を有する発明例について耐湿信頼性を測定して評価した結果である。
【0087】
図7及び図8を参照すると、比較例はめっき層が本体と接する部分である延長部において、結晶粒の成長方向が延長部が接する本体の表面と70度未満で横方向に成長したことを確認することができる。
【0088】
一方、図5及び図6を参照すると、発明例は、めっき層の延長部131b2、132b2に延長部が接する本体の表面BSと結晶粒の長軸Lxがなす角度が70度以上110度以下の結晶粒を含み、結晶粒の成長方向が縦方向に成長したことを確認することができる。
【0089】
耐湿信頼性の評価は比較例及び発明例のそれぞれ400個のサンプルを用意した後、温度85℃湿度85%の条件で3時間の間、評価機種の1Vr(=定格電圧)を印加した後、絶縁抵抗が10Ω以下に低下した場合を不良と判断して、不良であるサンプルの個数を記載した。
【0090】
【表1】
【0091】
上記表1から確認することができるように、比較例の場合、400個のサンプルのうち耐湿信頼性が不良であるサンプルの個数が8個であるのに対し、発明例の場合、400個のサンプルのうち耐湿信頼性が不良であるサンプルの個数が1個であって、延長部の結晶粒形態によって耐湿信頼性に顕著な差異が発生することを確認することができる。
【0092】
一実施形態において、延長部131b2、132b2は、結晶粒の成長方向が上記延長部と接する本体の表面BSと実質的に垂直な方向であることができる。
【0093】
ここで、延長部131b2、132b2は、結晶粒の成長方向が上記延長部と接する本体の表面BSと実質的に垂直な方向であるということは、延長部131b2、132b2に延長部が接する本体の表面BSと結晶粒の長軸Lxがなす角度が70度以上110度以下の結晶粒を含むことを意味することができる。
【0094】
上述した延長部131b2、132b2の構造を確保するための方法は、特に制限する必要はない。例えば、めっき層131b、132bを形成する前の表面処理によって、本体からめっきシード(seed)が成長されるようにすることができる。このとき、表面処理は電気化学反応、有機化学反応などを意味することができるが、これに制限されるものではない。
【0095】
一実施形態において、第2結晶粒G2の長軸長さの平均値は1μm以上であることができる。第2結晶粒G2の長軸長さの平均値が1μm未満である場合には、結晶粒成長が十分でないため、延長部と本体との間の結合力の向上効果が不十分であるおそれがある。
【0096】
一実施形態において、第2結晶粒G2の長軸Lx長さの平均値は、短軸長さの平均値の3倍以上であることができる。第2結晶粒G2の長軸Lx長さの平均値が短軸長さの平均値の3倍未満である場合には、結晶粒成長が十分ではないため、延長部と本体との間の結合力の向上効果が不十分であるおそれがある。ここで、第2結晶粒G2の短軸とは、第2結晶粒G2の長軸Lxの中央で第2結晶粒G2の長軸Lxと直交する線を意味することができる。
【0097】
第2結晶粒の長軸Lx及び第2結晶粒の長軸が延長部が接する本体の表面となす角度θ2を測定する方法は特に制限しない。例えば、積層型電子部品100の第3方向の中心部で切断した第1及び第2方向の断面において、SEM(Scanning Electron Microscope)分析を実施することで測定することができる。
【0098】
図9の(a)を参照すると、第2結晶粒G2の長軸Lxは、第2結晶粒の結晶粒界を構成する線分のうち延長部が接する本体の表面BSと最も遠く離隔した線分の中点M1と最も隣接した線分の中点M2を連結した直線であることができる。
【0099】
一方、図9の(b)を参照すると、第2結晶粒G2は、粒成長条件に応じて最下端に位置する尖点(Sharp Point)が存在することができる。この場合、第2結晶粒G2の長軸Lxは、延長部が接する本体の表面BSと最も遠く離隔した線分の中点M1と最も隣接した尖点SPを連結した直線を意味することができる。
【0100】
上述したように第2結晶粒G2の長軸Lxを決定した後、本体の表面BSとなす角度θ2を測定することができる。
【0101】
第2結晶粒の長軸が延長部が接する本体の表面となす角度θ2、第2結晶粒G2の長軸及び短軸長さの平均値は、任意の第2結晶粒G2のうち5つ以上の結晶粒で測定した値の平均値を意味することができる。
【0102】
一方、第1結晶粒G1、第3結晶粒G3及び第4結晶粒G4の数値も、第2結晶粒と類似に積層型電子部品100の第3方向の中心部で切断した第1及び第2方向の断面において、SEM(Scanning Electron Microscope)分析を実施することで測定することができる。
【0103】
第1結晶粒G1はめっきシード(seed)の役割を果たすことができ、これにより結晶粒の大きさが小さいことができる。一方、第2結晶粒G2は、第1結晶粒G1から成長した形態を有し、第1結晶粒G1よりも結晶粒の大きさが大きいことができる。
【0104】
一実施形態において、第2結晶粒G2の平均大きさは、第1結晶粒G1の平均大きさの2倍以上であることができる。このとき、第1結晶粒G1の大きさとは、第1結晶粒G1の長軸長さ及び短軸長さの平均値を意味することができ、第2結晶粒G2の大きさとは、第2結晶粒G2の長軸長さ及び短軸長さの平均値を意味することができる。
【0105】
第1及び第2結晶粒G1、G2の大きさは、特に限定する必要はない。例えば、第1結晶粒の平均大きさは0.5μm以下であることができる。また、第2結晶粒の平均大きさは1μm以上であることができる。
【0106】
一実施形態において、めっき層131b、132bのうち、電極層131a、132a上に配置された領域を電極カバー部131b1、132b1とするとき、電極カバー部131b1、132b1は上記電極層と隣接した第3領域Z3及び上記第3領域上に配置された第4領域Z4を含み、上記第3領域に含まれた結晶粒を第3結晶粒G3、上記第4領域に含まれた結晶粒を第4結晶粒G4、上記第4結晶粒の長軸が上記延長部が接する本体の表面となす角度をθ4とするとき、上記第4結晶粒の少なくとも1つ以上は、θ4が60度以下または130度以上であることができる。
【0107】
電極カバー部131b1、132b1の結晶粒はめっき時に電極層131a、132aから電荷を受けて成長するため、電極層131a、132aの表面と垂直な方向に結晶粒が成長するようになることができる。第3結晶粒G3はめっきシード(seed)の役割を果たすことができ、これによって結晶粒の大きさが小さいことができる。一方、第4結晶粒G4は、第3結晶粒G3から成長された形態を有し、第3結晶粒G3よりも結晶粒の大きさが大きいことができる。
【0108】
一実施形態において、第4結晶粒G4の平均大きさは、第3結晶粒G3の平均大きさの2倍以上であることができる。このとき、第3結晶粒G3の大きさとは、第3結晶粒G3の長軸長さ及び短軸長さの平均値を意味することができ、第4結晶粒G4の大きさとは、第4結晶粒G4の長軸長さ及び短軸長さの平均値を意味することができる。
【0109】
第3及び第4結晶粒G3、G4の大きさは特に限定する必要はない。例えば、第3結晶粒の平均大きさは0.5μm以下であることができる。また、第4結晶粒の平均大きさは1μm以上であることができる。
【0110】
一方、電極層131a、132aのバンド部の端部は徐々に薄くなる形態を有するため、バンド部の端部に近いほどθ4は60度以下に徐々に減少して0度に収束することができ、または130度以上に徐々に増加して180度に収束することができる。
【0111】
したがって、第4領域Z4は、延長部131b2、131b2と隣接した領域に上記θ4が60度以下または130度以上である第4結晶粒G4を含むことができる。
【0112】
また、図5及び図6を参照すると、延長部131b2、131b2と電極カバー部131b1、132b1との境界を基準として結晶粒の成長方向が大きく変化することが確認でき、延長部131b2、131b2と電極カバー部131b1、132b1との境界でθ2とθ4との差異が最も大きくなることがある。
【0113】
一実施形態において、電極カバー部131b1、132b1は、結晶粒の成長方向が上記電極カバー部と接する電極層131a、132aの表面と実質的に垂直な方向であることができる。
【0114】
一実施形態において、めっき層131b、132bは、Cu、Ni、Pd、Cr、及びこれらの合金のうち一つ以上を含むことができる。より好ましくは、めっき層131b、132bは、Ni、Cu、及びこれらの合金のうち一つ以上を含むことができる。Ni、Cu及びこれらの合金は、電極層131a、132aを外部環境からより容易に保護することができるからである。さらに好ましくは、めっき層131b、132bはNiめっき層であることができる。
【0115】
一方、めっき層131b、132bは、金属元素の含有量が95at%以上であることができる。すなわち、めっき層131b、132bは実質的に金属からなることができる。
【0116】
一実施形態において、外部電極131、132は、めっき層131b、132b上に配置される追加めっき層131c、132cをさらに含むことができる。追加めっき層131c、132cは、基本的に実装特性を向上させる役割を果たすことができる。
【0117】
追加めっき層131c、132cの種類は特に制限されず、実装方法に応じて選択することができる。例えば、積層型電子部品をはんだを用いて基板に実装する場合、追加めっき層131c、132cはSnめっき層であることが好ましい。また、積層型電子部品を導電性接着剤を用いて基板に実装する場合、追加めっき層131c、132cは、Pd、Ag及びこれらの合金を含むことが好ましい。
【0118】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100は、誘電体層111及び内部電極121、122を含む本体110と、上記本体上に配置された電極層131a、132a及び上記電極層上に配置されためっき層131b、132bを含む外部電極131、132と、を含み、上記めっき層131b、132bは、上記本体上に延びて本体と接するように配置された延長部131b2、132b2を含み、上記延長部131b2、132b2は、結晶粒の成長方向が上記延長部と接する本体の表面BSと実質的に垂直な方向であることができる。
【0119】
ここで、延長部131b2、132b2は、結晶粒の成長方向が上記延長部と接する本体の表面BSと実質的に垂直な方向であるということは、延長部131b2、132b2に延長部が接する本体の表面BSと結晶粒の長軸Lxがなす角度が70度以上110度以下の結晶粒を含むことを意味することができる。
【0120】
一実施形態において、電極カバー部131b1、132b1は、結晶粒の成長方向が上記電極カバー部と接する電極層131a、132aの表面と実質的に垂直な方向であることができる。
【0121】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述した実施形態及び添付された図面によって限定されるものではなく、添付された特許請求の範囲によって限定する。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で、当技術分野の通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これもまた本発明の範囲に属するといえる。
【0122】
また、本開示で用いられた「一実施形態」という表現は、互いに同一の実施形態を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかしながら、上記提示された一実施形態は、他の一実施形態の特徴と組み合わせて実現されることを排除しない。例えば、特定の一実施形態において説明された事項が他の一実施形態に説明されていなくても、他の一実施形態においてその事項と反対または矛盾する説明がない限り、他の一実施形態に関連する説明として理解することができる。
【0123】
本開示で用いられた用語は、単に一実施形態を説明するために用いられたものであり、本開示を限定する意図ではない。このとき、単数の表現は、文脈上明らかに異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。
【符号の説明】
【0124】
100 積層型電子部品
110 本体
111 誘電体層
112、113 カバー部
114、115 マージン部
121、122 内部電極
131、132 外部電極
131a、132a 電極層
131b、132b めっき層
131b1、132b1 電極カバー部
131b2、132b2 延長部
131c、132c 追加めっき層
Z1 第1領域
Z2 第2領域
Z3 第3領域
Z4 第4領域
G1 第1結晶粒
G2 第2結晶粒
G3 第3結晶粒
G4 第4結晶粒
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9a
図9b