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特開2024-96038フォトレジスト下層組成物及び電子デバイスを形成する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096038
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】フォトレジスト下層組成物及び電子デバイスを形成する方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/11 20060101AFI20240704BHJP
   C08F 238/00 20060101ALI20240704BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
G03F7/11 503
C08F238/00
H01L21/30 573
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023218140
(22)【出願日】2023-12-25
(31)【優先権主張番号】63/436,573
(32)【優先日】2022-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】デュポン エレクトロニック マテリアルズ インターナショナル,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】DUPONT ELECTRONIC MATERIALS INTERNATIONAL,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シェン リュー
(72)【発明者】
【氏名】イオウ シェン クー
(72)【発明者】
【氏名】ケレン チャン
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ エフ.キャメロン
(72)【発明者】
【氏名】山田 晋太郎
(72)【発明者】
【氏名】リー ツイ
【テーマコード(参考)】
2H225
4J100
5F146
【Fターム(参考)】
2H225AM61N
2H225AN42N
2H225AN54N
2H225BA01N
2H225CA12
4J100AT19P
4J100JA01
4J100JA43
5F146NA01
5F146NA12
5F146NA18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】フォトレジスト下層組成物及び電子デバイスを形成する方法を提供する。
【解決手段】フォトレジスト下層組成物であって、以下の式(1):

(式中、Rは、それぞれ独立して、H、C1~30アルキル又はC3~30シクロアルキルであり;Arは、5~30個の炭素原子を有する芳香環又は縮合芳香環系であり、Arは、置換されているか又は非置換であり;Arは、6員炭素環式芳香環、5若しくは6員ヘテロ芳香環又は5~30個の炭素原子を有する縮合芳香環系から選択される芳香環であり、Arは、縮合環状イミド部分、縮合オキサゾール部分、縮合イミダゾール部分又は縮合チアゾール部分を任意選択的に含む)の基を含む硬化性化合物と、溶媒とを含むフォトレジスト下層組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトレジスト下層組成物であって、
以下の式(1):
【化1】

(式中、Rは、それぞれ独立して、H、C1~30アルキル又はC3~30シクロアルキルであり;Arは、5~30個の炭素原子を有する芳香環又は縮合芳香環系であり、Arは、置換されているか又は非置換であり;Arは、6員炭素環式芳香環、5若しくは6員ヘテロ芳香環又は5~30個の炭素原子を有する縮合芳香環系から選択される芳香環であり、Arは、縮合環状イミド部分、縮合オキサゾール部分、縮合イミダゾール部分又は縮合チアゾール部分を任意選択的に含み、Arは、置換されているか又は非置換であり;Yは、単共有結合であるか、又は-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-S-、-S(O)-、-N(R)-、-C(O)N(R)-、-C(O)N(R)C(O)-、-(CH-若しくはそれらの組合せから選択され、Rは、H、C1~10アルキル、C2~10不飽和ヒドロカルビル、C5~30アリール、C(O)R又はS(O)であり、Rは、H、C1~10アルキル、C2~10不飽和ヒドロカルビル及びC5~30アリールから選択され、及びyは、1~6の整数であり;xは、2~5の整数であり;及び*は、式(1)によって表される基以外の硬化性化合物の部分への結合部位を示し、但し、2つの
【化2】

基は、Ar上で互いにオルト位にないことを条件とし、**は、Arの芳香環炭素への結合点を示す)
の基を含む硬化性化合物と;
溶媒と
を含むフォトレジスト下層組成物。
【請求項2】
Arは、ピリジン、ベンゼン、ナフタレン、アセナフチレン、キノリン、イソキノリン、フルオレン、カルバゾール、アントラセン、フェナントレン、ピレン、コロネン、トリフェニレン、クリセン、フェナレン、ベンズ[a]アントラセン、ジベンズ[a,h]アントラセン、ベンゾ[a]ピレン又はペンタセンである、請求項1に記載のフォトレジスト下層組成物。
【請求項3】
Arは、C炭素環式芳香環である、請求項1に記載のフォトレジスト下層組成物。
【請求項4】
は、Hである、請求項1又は2に記載のフォトレジスト下層組成物。
【請求項5】
前記硬化性化合物は、以下の式(2):
【化3】

(式中、R及びRは、それぞれ独立して、H、C1~30アルキル又はC3~30シクロアルキルであり;Arは、それぞれ独立して、5~30個の炭素原子を有する芳香環又は縮合芳香環系であり、Arは、置換されているか又は非置換であり;Arは、それぞれ独立して、6員炭素環式芳香環、5若しくは6員ヘテロ芳香環又は5~30個の炭素原子を有する縮合芳香環系から選択される芳香環であり、Arは、縮合環状イミド部分を任意選択的に含み、Arは、置換されているか又は非置換であり;Yは、それぞれ独立して、単共有結合であるか、又は-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-S-、-S(O)-、-N(R)-、-C(O)N(R)-、-C(O)N(R)C(O)-、-(CH-若しくはそれらの組合せから独立して選択され、Rは、H、C1~10アルキル、C2~10不飽和ヒドロカルビル、C5~30アリール、C(O)R又はS(O)であり、Rは、H、C1~10アルキル、C2~10不飽和ヒドロカルビル及びC5~30アリールから選択され、及びyは、1~6の整数であり;xは、1~5の整数であり、但し、xは、少なくとも1つの
【化4】

基について2~5の整数であり、及び2つの
【化5】

基は、Ar上で互いにオルト位にないことを条件とし、**は、Arの芳香環炭素への結合点を示し;xは、1~5の整数であり;xは、0~5の整数であり;及びYは、単共有結合であるか、又はx+xの価数を有する原子若しくは基である)
のものである、請求項1~4のいずれか一項に記載のフォトレジスト下層組成物。
【請求項6】
第1の有機溶媒と、前記第1の有機溶媒と異なる第2の有機溶媒とを含み、前記第1の有機溶媒は、200℃未満の沸点を有し、及び前記第2の有機溶媒は、200℃以上の沸点を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のフォトレジスト下層組成物。
【請求項7】
硬化剤、表面レベリング剤又は流動添加剤を更に含む、請求項1又は6に記載のフォトレジスト下層組成物。
【請求項8】
ポリマーを更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のフォトレジスト下層組成物。
【請求項9】
架橋剤を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のフォトレジスト下層組成物。
【請求項10】
コーティングされた基板であって、
電子デバイス基板と;
前記電子デバイス基板の表面上において、請求項1~9のいずれか一項に記載のフォトレジスト下層組成物から形成されたフォトレジスト下層と;
前記フォトレジスト下層の上のフォトレジスト組成物層と
を含むコーティングされた基板。
【請求項11】
電子デバイスを形成する方法であって、
(a)電子デバイス基板を提供する工程と;
(b)前記電子デバイス基板の表面上において、請求項1~9のいずれか一項に記載のフォトレジスト下層組成物の層をコーティングする工程と;
(c)前記フォトレジスト下層組成物の前記層を硬化させて、フォトレジスト下層を形成する工程と
を含む方法。
【請求項12】
(d)前記フォトレジスト下層の上にフォトレジスト層を形成する工程と;
(e)前記フォトレジスト層を活性化放射線にパターン様露光する工程と;
(f)前記露光されたフォトレジスト層を現像して、前記フォトレジスト層にパターンを形成する工程と;
(g)前記パターンを前記フォトレジスト下層に転写する工程と
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
工程(d)前に、前記フォトレジスト下層の上にシリコン含有層、有機反射防止コーティング層又はそれらの組合せの1つ以上をコーティングする工程を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
工程(f)後及び工程(g)前に、前記シリコン含有層、前記有機反射防止コーティング層又は前記それらの組合せの前記1つ以上に前記パターンを転写する工程を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
(h)前記パターン化されたフォトレジスト下層の下の前記電子デバイス基板の層に前記パターンを転写する工程と;
(i)前記パターン化されたフォトレジスト下層を除去する工程と
を更に含む、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、電子デバイス製造の分野、より具体的には、半導体デバイスなどの電子デバイスの製造に使用するためのフォトレジスト下層組成物の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
レジストパターンがその幅に対して比較的高い(高アスペクト比)場合、使用される現像剤からの表面張力のため、レジストパターンが崩壊し得ることは、リソグラフィープロセスにおいて周知である。高アスペクト比が望ましい場合にパターン崩壊のこの問題に対処することができる多層レジストプロセス(例えば、3及び4層プロセスなど)が考案されている。そのような多層プロセスは、レジスト最上層、1つ以上の中間層及び底層(即ち下層)を使用する。そのような多層レジストプロセスにおいて、最上フォトレジスト層は、典型的な方法で画像形成され、現像されてレジストパターンを提供する。パターンは、次いで、典型的にはエッチングによって1つ以上の中間層に転写される。各中間層は、異なるエッチプロセス、例えば異なるプラズマエッチが使用されるように選択される。最後に、パターンは、典型的には、エッチングによって下層に転写される。そのような中間層は、様々な材料から構成され得、典型的には反射防止特性を有する一方、下層材料は、典型的には、高炭素含有量材料から構成される。下層材料は、典型的には、所望の反射防止特性、平坦化特性及びエッチ選択性を提供するように選択される。
【0003】
下層形成のための現行の技術には、化学蒸着(CVD)炭素及び溶液処理高炭素含有量ポリマーが含まれる。CVD材料は、高い所有経費、基板上のトポグラフィーの上に平坦化層を形成できないこと及びパターン整列のために使用される633nmでの高い吸光度などの幾つかのかなりの制約を有する。これらの理由のため、業界は、下層のための溶液処理高炭素含有量材料に進みつつある。典型的には、下層材料は、以下の特性:スピンコーティングによって基板上にキャストして一様なコーティングを形成できること;低いガス放出及び昇華での加熱時の熱硬化;良好な装置適合性のために一般的な処理溶媒に可溶であること;フォトレジスト画像化に必要な低反射性を付与えるために現在使用されているシリコンハードマスク及び裏面反射防止率(BARC)層と連携して機能するための適切な光学特性(例えば、n及びk値)を有すること;低下したエッチング速度のための高炭素含有量;低温~中温硬化;後続のプロセス中に損傷されないように400℃超まで熱的に安定であること;良好な間隙充填及び平坦化特性;並びに上塗りされたフォトレジスト又は他の層において使用される一般的な溶媒による剥離に耐性があることを有することが望ましい。
【0004】
比較的低分子量の材料は、比較的低粘度を有し、ビア及び溝などの基板のフィーチャに流れ込んで平坦化層を提供できることは、周知である。下層材料は、400℃までの比較的低いガス放出で平坦化できるべきである。高炭素含有量下層として使用するために、あらゆる組成物を加熱時に熱硬化することが望まれる。
【0005】
(特許文献1)は、C5~6芳香環及びC9~30縮合芳香環系から選択される芳香族コアと、式(1)の少なくとも2個の置換基が芳香族コアに結合している、式(1):
【化1】

(式中、Arは、5~30個の炭素を有する芳香環又は縮合芳香環系であり;Zは、OR、保護ヒドロキシル、カルボキシル、保護カルボキシル、SR、保護チオール、-O-C(=O)-C1~6アルキル、ハロゲン及びNHRから選択される置換基であり;各Rは、H、C1~10アルキル、C2~10不飽和ヒドロカルビル及びC5~30アリールから選択され;各Rは、H、C1~10アルキル、C2~10不飽和ヒドロカルビル、C5~30アリール、C(=O)-R及びS(=O)-Rから選択され;xは、1~4の整数であり;及び*は、芳香族コアへの結合点を示す)
の3個以上の置換基とを含む1種以上の硬化性化合物を含む芳香族フォトレジスト下層組成物を開示している。記載されたフォトレジスト下層組成物は、有益な特性を有するが、より高い硬化温度で増加した熱安定性を可能にする組成物が一層重要になりつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0142309A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術に関連する1つ以上の問題に対処する、電子デバイスを形成するのに有用なフォトレジスト下層組成物及びそのような組成物を使用する方法が当技術分野で必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に従い、下層組成物が提供される。下層組成物は、以下の式(1):
【化2】

(式中、Rは、それぞれ独立して、H、C1~30アルキル又はC3~30シクロアルキルであり;Arは、5~30個の炭素原子を有する芳香環又は縮合芳香環系であり、Arは、置換されているか又は非置換であり;Arは、6員炭素環式芳香環、5若しくは6員ヘテロ芳香環又は5~30個の炭素原子を有する縮合芳香環系から選択される芳香環であり、Arは、縮合環状イミド部分、縮合オキサゾール部分、縮合イミダゾール部分又は縮合チアゾール部分を任意選択的に含み、Arは、置換されているか又は非置換であり;Yは、単共有結合であるか、又は-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-S-、-S(O)-、-N(R)-、-C(O)N(R)-、-C(O)N(R)C(O)-、-(CH-若しくはそれらの組合せから選択され、Rは、H、C1~10アルキル、C2~10不飽和ヒドロカルビル、C5~30アリール、C(O)-R又はS(O)-Rであり、Rは、H、C1~10アルキル、C2~10不飽和ヒドロカルビル及びC5~30アリールから選択され、及びyは、1~6の整数であり;xは、2~5の整数であり;及び*は、式(1)によって表される基以外の硬化性化合物の部分への結合部位を示し、但し、2つの
【化3】

基は、Ar上で互いにオルト位にないことを条件とし、**は、Arの芳香環炭素への結合点を示す)
の基を含む硬化性化合物と、溶媒とを含む。
【0009】
本発明の更なる態様に従い、コーティングされた基板が提供される。コーティングされた基板は、電子デバイス基板と、電子デバイス基板の表面上において、本明細書で記載されるようなフォトレジスト下層組成物から形成されたフォトレジスト下層と、フォトレジスト下層の上のフォトレジスト組成物層とを含む。この層は、フォトレジスト下層としてのその使用に加えて、平坦化層、間隙充填層、保護層又はそれらの組合せとして機能し得る。
【0010】
本発明の更なる態様に従い、電子デバイスを形成する方法が提供される。本方法は、(a)電子デバイス基板を提供する工程と、(b)電子デバイス基板の表面上において、本明細書に記載されるようなフォトレジスト下層組成物の層をコーティングする工程と、(c)フォトレジスト下層組成物の層を硬化させて、フォトレジスト下層を形成する工程とを含む。更なる態様では、本方法は、(d)フォトレジスト下層の上にフォトレジスト層を形成する工程と、(e)フォトレジスト層を活性化放射線にパターン様露光する工程と、(f)露光されたフォトレジスト層を現像して、フォトレジスト層にパターンを形成する工程と、(g)パターンをフォトレジスト下層に転写する工程とを更に含む。更なる態様では、本方法は、工程(d)前に、フォトレジスト下層の上にシリコン含有層、有機反射防止コーティング層又はそれらの組合せの1つ以上をコーティングする工程を更に含む。更なる態様では、本方法は、工程(f)後及び工程(g)前に、シリコン含有層、有機反射防止コーティング層又はそれらの組合せの1つ以上にパターンを転写する工程を更に含む。更なる態様では、本方法は、(h)パターン化されたフォトレジスト下層の下の電子デバイス基板の層にパターンを転写する工程と;(i)パターン化されたフォトレジスト下層を除去する工程とを更に含む。
【0011】
要素が別の要素「~上」又は「~の上」あると言われる場合、それは、他の要素に直接隣接し得るか、又は介在する要素がそれらの間に存在し得ることが理解されるであろう。対照的に、要素が別の要素「の上に直接」あると言われる場合、介在する要素は、存在しない。本明細書で用いる場合、用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目の1つ以上の任意の及び全ての組合せを含む。
【0012】
用語第1、第2、第3等は、様々な要素、成分、領域、層及び/又は区域を記載するために本明細書で用いられ得るが、これらの要素、成分、領域、層及び/又は区域は、これらの用語によって限定されるべきでないことも理解されるであろう。これらの用語は、1つの要素、成分、領域、層又は区域を別の要素、成分、領域、層又は区域から区別するために用いられるにすぎない。従って、以下で論じられる第1の要素、成分、領域、層又は区域は、本発明の教示から逸脱することなく、第2の要素、成分、領域、層又は区域と称することができる。
【0013】
本明細書の全体にわたって用いる場合、以下の略語は、文脈が別の意味を明確に示さない限り、以下の意味を有するものとする:℃=度摂氏;g=グラム;mg=ミリグラム;L=リットル;mL=ミリリットル;Å=オングストローム;nm=ナノメートル;μm=ミクロン=マイクロメートル;mm=ミリメートル;sec.=秒;min.=分;hr.=時間;DI=脱イオン;及びDa=ダルトン。「重量%」は、特に明記しない限り、言及される組成物の総重量を基準とする重量パーセントを指す。
【0014】
特に記載しない限り、「脂肪族」、「芳香族」、「アルキル」及び「アリール」は、それぞれヘテロ脂肪族、ヘテロ芳香族、ヘテロアルキル及びヘテロアリールを含む。用語「ヘテロ脂肪族」、「ヘテロ芳香族」、「ヘテロアルキル」、「ヘテロアリール」等は、それぞれ例えばエーテル又はチオエーテルにおけるように、ラジカル内の1個以上の炭素原子に取って代わる、窒素、酸素、硫黄、リン又はケイ素などの1つ以上のヘテロ原子を有する脂肪族、芳香族、アルキル及びアリールを指す。
【0015】
「脂肪族」は、特に明記しない限り、開鎖(線状又は分岐の)及び環状脂肪族を指す。脂肪族構造は、飽和(例えば、アルカン)又は不飽和(例えば、アルケン若しくはアルキン)であり得る。脂肪族は、脂肪族ラジカルを指し、脂肪族モノラジカル、ジラジカル及び高級ラジカルを含む。特に記載しない限り、「脂肪族」は、「ヘテロ脂肪族」を含む。好ましい態様では、脂肪族ラジカルは、ヘテロ原子を含まない。
【0016】
「アルキル」は、特に明記しない限り、線状、分岐状及び環状アルキルを指す。本明細書で用いる場合、「アルキル」は、アルカンラジカルを指し、アルカンモノラジカル、ジラジカル(アルキレン)及び高級ラジカルを含む。特に記載しない限り、「アルキル」は、「ヘテロアルキル」を含む。好ましい態様では、アルキルラジカルは、ヘテロ原子を含まない。任意のアルキル又はヘテロアルキルについて炭素の数が示されていない場合、1~12個の炭素が考えられる。
【0017】
「芳香族」及び「アリール」は、芳香族炭素環及び芳香族複素環を含む。用語「芳香族」及び「アリール」は、芳香族ラジカルを指し、モノラジカル、ジラジカル(アリーレン)及び高級ラジカルを含む。好ましい態様では、芳香族又はアリールラジカルは、芳香族炭素環である。
【0018】
特に明記しない限り、「置換」は、その水素の1個以上が、ハロゲン、C1~6アルキル、ハロ-C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、ハロ-C1~6アルコキシ、C5~30アリール及びC5~30アリールオキシから、好ましくはハロゲン、C1~6アルキル、ハロ-C1~4アルキル、C1~6アルコキシ、ハロ-C1~4アルコキシ及びフェニルから、より好ましくはハロゲン、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、フェニル及びフェノキシから選択される1つ以上の非水素置換基で置き換えられた部分を指す。特に明記しない限り、置換部分は、好ましくは、1~3つの置換基、より好ましくは1つ又は2つの置換基を有する。「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを指す。
【0019】
「オリゴマー」及び「オリゴマー状」は、少数、例えば2~10の合計単位を含み、更に硬化することができる低分子量ポリマーを指す。本明細書で用いる場合、用語「ポリマー」は、オリゴマーを含む。用語「硬化」とは、コーティングされた下層材料の全体分子量を増加させるか、溶解性促進基を本オリゴマーから除去するか、又は全体分子量を増加させるとともに、溶解性促進基を除去することである、重合又は縮合などの任意のプロセスを意味する。「硬化性」は、特定の条件下で硬化させることができる任意の材料を指す。本明細書で用いる場合、「間隙」は、間隙充填組成物で充填されることを意図する半導体基板上の任意の隙間を指す。
【0020】
冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、単数及び複数を指す。特に記載しない限り、全ての量は、重量パーセントであり、全ての比は、重量による。全ての数値の範囲は、そのような数値の範囲が合計100%となるように制約されることが明らかである場合を除いて、包含的であり、任意の順で組合せ可能である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のフォトレジスト下層組成物は、硬化性化合物及び溶媒を含む。硬化性化合物は、以下の式(1):
【化4】

(式中、Rは、それぞれ独立して、H、C1~30アルキル又はC3~30シクロアルキルであり;Arは、5~30個の炭素原子を有する芳香環又は縮合芳香環系であり、Arは、置換されているか又は非置換であり;Arは、6員炭素環式芳香環、5若しくは6員ヘテロ芳香環又は5~30個の炭素原子を有する縮合芳香環系から選択される芳香環であり、Arは、縮合環状イミド部分、縮合オキサゾール部分、縮合イミダゾール部分又は縮合チアゾール部分を任意選択的に含み、Arは、置換されているか又は非置換であり;Yは、単共有結合であるか、又は-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-S-、-S(O)-、-N(R)-、-C(O)N(R)-、-C(O)N(R)C(O)-、-(CH-若しくはそれらの組合せから選択され、Rは、H、C1~10アルキル、C2~10不飽和ヒドロカルビル、C5~30アリール、C(O)R又はS(O)であり、Rは、H、C1~10アルキル、C2~10不飽和ヒドロカルビル及びC5~30アリールから選択され、及びyは、1~6の整数であり;xは、2~5の整数であり;及び*は、式(1)によって表される基以外の硬化性化合物の部分への結合部位を示し、但し、2つの
【化5】

基は、Ar上で互いにオルト位にないことを条件とし、**は、Arの芳香環炭素への結合点を示す)
の基を含む。次いで、
【化6】

基は、本明細書では、1つ又は複数の「Rアルキニル基」とも言われる。
【0022】
各Rは、H、C1~6アルキル又はC3~14シクロアルキルから独立して選択されることが好ましく、より好ましくは、各Rは、Hである。各Arは、ピリジン、ベンゼン、ナフタレン、アセナフチレン、キノリン、イソキノリン、フルオレン、カルバゾール、アントラセン、フェナントレン、ピレン、コロネン、トリフェニレン、クリセン、フェナレン、ベンズ[a]アントラセン、ジベンズ[a,h]アントラセン、ベンゾ[a]ピレン又はペンタセンから、より好ましくはベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、コロネン、トリフェニレン、クリセン、フェナレン、ベンズ[a]アントラセン、ジベンズ[a,h]アントラセン及びベンゾ[a]ピレンから、更に一層好ましくはベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、コロネン、トリフェニレン、クリセン及びフェナレンから独立して選択されることが好ましく、最も好ましくは、各Arは、ベンゼン又はナフタレンである。
【0023】
Arは、ピリジン、ベンゼン、ナフタレン、アセナフチレン、キノリン、イソキノリン、フルオレン、カルバゾール、アントラセン、フェナントレン、ピレン、コロネン、トリフェニレン、クリセン、フェナレン、ベンズ[a]アントラセン、ジベンズ[a,h]アントラセン、ベンゾ[a]ピレン又はペンタセンから、より好ましくはベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、コロネン、トリフェニレン、クリセン、フェナレン、ベンズ[a]アントラセン、ジベンズ[a,h]アントラセン及びベンゾ[a]ピレンから、更に一層好ましくはベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、コロネン、トリフェニレン、クリセン及びフェナレンから選択されることが好ましく、最も好ましくは、各Arは、ベンゼン又はナフタレンである。Ar及びArについての任意選択の置換基には、例えば、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、フェニル及びフェノキシが含まれる。
【0024】
Arは、好ましくは、単又は縮合環系を有するC6~50炭素環式芳香族又はC2~50ヘテロ環式芳香族である。好適な芳香族コアには、例えば、ピリジン、ベンゼン、ナフタレン、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、アントラセン、フェナントレン、ピレン、コロネン、トリフェニレン、クリセン、フェナレン、ベンズ[a]アントラセン、ジベンズ[a,h]アントラセン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、トリアゾール及びベンゾ[a]ピレンから、より好ましくはベンゼン、ナフタレン、カルバゾール、アントラセン、フェナントレン、ピレン、コロネン、トリフェニレン、クリセン、フェナレン、ベンズ[a]アントラセン、ジベンズ[a,h]アントラセン及びベンゾ[a]ピレンから、更により好ましくはベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、コロネン、トリフェニレン、クリセン及びフェナレンから選択されるものが含まれる。脂肪族コアは、置換又は非置換、直鎖状、分岐鎖状又は環状及び飽和又は不飽和(アルカン、アルケン又はアルキン)であり得る。好適な脂肪族及びヘテロ脂肪族コアには、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、メチルメタン、ジメチルメタン、ジメチルエーテル、ブテン、ブチン、硫化ジメチル、トリメチルアミン及びテトラメチルシラン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、1,3-シクロヘキサジエン、1,4-シクロヘキサジエン、1,5-シクロオクタジエン、ノルボルネン、アダマンタン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオフェン、ピロリジン、テトラヒドロ-2H-ピラン、テトラヒドロ-2H-チオピラン、ピペリジン及びジオキサンから選択されるものが含まれる。xは、典型的には、2~4の整数であり;より典型的にはx=1である。
【0025】
アルキニル基の2つは、そのような2つの基が典型的には互いに対してメタ位に存在して、Arの同じ芳香環上にあることが典型的である。硬化性化合物は、式(1)の1個以上の基を含み得る。例えば、硬化性化合物は、式(1)の1~10個の基、より典型的には式(1)の1~6個、1~4個又は2~4個の基を含み得る。硬化性化合物が式(1)の複数の基を含む場合、各R、Ar、Ar、Y及びxは、独立して選択され得る。
【0026】
好ましい態様では、硬化性化合物は、以下の式(2):
【化7】

(式中、各R、Ar、Ar、Y及びxは、独立して選択され、式(1)に関して上で記載された通りであり;Rは、それぞれ独立して、H、C1~30アルキル又はC3~30シクロアルキルであり;xは、1~10の整数であり;xは、0~5の整数であり;及びYは、単共有結合であるか、又はx+xの価数を有する基である)
のものである。Yは、特に限定されない。x+x=1である場合、Yは、一価原子又は一価基であり、x+x=2以上である場合、Yは、単共有結合又は連結基である。
【0027】
好ましい一実施形態では、Yは、単共有結合である。別の好ましい実施形態では、Yは、二価又は三価の連結基である。Yについての例示的な連結基には、O、S、N(R、S(O)、S(O)、C(O)、C(O)O、C(O)N(R)、C(O)N(R)C(O)、CR、ビス-イミド部分、ビス-エーテルイミド部分、ビス-ケトイミド部分、ビス-ベンゾオキサゾール部分、ビス-ベンズイミダゾール部分、ビス-ベンゾチアゾール部分、C1~30アルキレン、C3~30シクロアルキレン、C3~30ヘテロシクロアルキレン、C6~30アリーレン、C3~30ヘテロアリーレン及びそれらの組合せの1つ以上が含まれるが、それらに限定されず、Rは、水素、C1~30アルキル、C1~30ヘテロアルキル、C3~30シクロアルキル、C1~30ヘテロシクロアルキル、C2~30アルケニル、C2~30アルキニル、C6~30アリール、C7~30アリールアルキル、C7~30アルキルアリール、C2~30ヘテロアリール、C3~30ヘテロアリールアルキル、C3~30アルキルヘテロアリール、**-C(=O)-C5~30アリール又は**-S(=O)-C5~30アリールであり、**は、Nへの結合点であり;rは、0又は1であり;R及びRは、H、C1~10アルキル及びC5~10アリールから独立して選択され、R及びRは、それらが結合している炭素と一緒になって1つ以上の芳香環に縮合し得る5又は6員環を形成し得る。
【0028】
=CRである場合に好適な連結基は、以下の式(A)
【化8】

(式中、*は、それぞれ異なるAr基などへの結合点を示す)
のフルオレニル部分である。Yについての好適なビス-イミド部分連結基は、式(B)及び式(C)によって示され、式中、Zは、単共有結合又はC5~30アリーレンであり、*は、異なるAr基への結合点を示す。好適なビス-エーテルイミド及びビス-ケトイミド部分は、式(C)のものであり、式中、Zは、それぞれO又は-C(=O)-であり、*は、異なるAr基などへの結合点を示す。好適なビス-ベンゾオキサゾール、ビス-ベンズイミダゾール及びビス-ベンズチアゾール部分は、式(D)のものであり、式中、Gは、それぞれO、NH及びSであり、Zは、単共有結合又はC5~30アリーレンであり、*は、異なるAr基などへの結合点を示す。
【化9】
【0029】
硬化性化合物は、典型的には、400~10,000ダルトン(Da)、好ましくは400~3000Da、より好ましくは800~1500Daの重量平均分子量(M)を有する。分子量は、ポリスチレン標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される。
【0030】
フォトレジスト下層組成物に使用するための好適な硬化性化合物には、例えば、以下のものが含まれる。
【化10】

【化11】
【0031】
硬化性化合物は、広い範囲で、例えば、コーティング組成物の全固形物を基準として1~100重量%、より典型的には10~100重量%、50~100重量%、90~99重量%又は95~99重量%でコーティング組成物に存在し得る。硬化性化合物は、コーティング組成物の全固形物に対して比較的少量で、例えば、1~50重量%又は1~30重量%で存在することが望ましい場合がある。
【0032】
上記のような硬化性化合物は、公知の合成技法を使用して当業者によって容易に製造することができる。例えば、化合物は、反応物、例えばアリールハライド又はアルキルハライドを芳香族アルキンと、銅及びパラジウム触媒などの好適な触媒、塩基及び溶媒とともに混合することによって調製され得る。溶媒は、典型的には、例えばトルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジオキサン及びそれらの組合せなどの有機溶媒である。反応は、反応混合物中の反応物の反応を引き起こして硬化性化合物を形成するのに効果的な温度及び時間で実施される。反応温度は、典型的には0~200℃、好ましくは25~100℃である。反応時間は、典型的には5分~96時間、好ましくは2~24時間である。生成物化合物は、カラムクロマトグラフィーなどの当技術分野で公知の技法によって精製することができる。
【0033】
下層組成物は、組成物の成分を溶解し、且つ基板上でのそのコーティングを容易にするための1種以上の溶媒を含む。好ましくは、1種以上の溶媒は、電子デバイスの製造に従来使用される有機溶媒から選択される。好適な有機溶媒には、キシレン、メシチレン、クメン及びリモネンなどの炭化水素;シクロペンタノン、シクロヘキサノン(CHO)、メチルエチルケトン及びメチル-2-n-アミルケトンなどのケトン;3-メトキシブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール及び1-エトキシ-2-プロパノールなどのアルコール;プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールエチルエーテル(PGEE)、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール及びエトキシベンゼンなどのエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチルラクテート(EL)、メチルヒドロキシイソブチレート(HBM)、エチルピルベート、ブチルアセテート、メチル3-メトキシプロピオネート、エチル3-エトキシプロピオネート、tert-ブチルアセテート、tert-ブチルプロピオネート、プロピレングリコールモノ-tert-ブチルエーテルアセテート、ベンジルプロピオネートなどのエステル;プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート及びジフェニルカーボネートなどの環状又は非環状カーボネートエステル;γ-ブチロラクトン(GBL)などのラクトン;N-メチルピロリドンなどのラクタム;並びに前述の任意の組合せが含まれるが、それらに限定されない。これらのうち、好ましい溶媒は、PGME、PGEE、PGMEA、EL、HBM、CHO、GBL及びそれらの組合せである。下層組成物中の総溶媒含有量(即ち全ての溶媒についての累積溶媒含有量)は、下層組成物を基準として50~99重量%、典型的には80~99重量%、より典型的には90~99重量%である。所望の溶媒含有量は、例えば、コーティングされた下層の所望の厚さ及びコーティング条件に依存するであろう。
【0034】
本フォトレジスト下層組成物は、硬化剤、架橋剤、表面レベリング剤、流動添加剤等など、そのような組成物に典型的に使用される1種以上のコーティング添加剤も含み得る。組成物に使用される場合、硬化剤は、全固形物を基準として典型的には1~20重量%、好ましくは1~3重量%の量で存在する。架橋剤は、使用される場合、全固形物を基準として典型的には1~30重量%、好ましくは3~10重量%の量で存在する。表面レベリング剤は、使用される場合、全固形物を基準として典型的には0.01~5重量%、好ましくは0.01~1重量%の量で存在する。流動添加剤は、使用される場合、全固形物を基準として典型的には0.01~5重量%、好ましくは0.01~3重量%の量で存在する。
【0035】
硬化剤は、コーティング後の組成物の硬化を助けるために、フォトレジスト下層組成物に任意選択的に使用され得る。硬化剤は、基板の表面上で組成物の硬化を引き起こす任意の成分である。好ましい硬化剤は、酸及び熱酸発生剤である。好適な酸には、p-トルエンスルホン酸などのアリールスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸及びプロパンスルホン酸などのアルキルスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などのパーフルオロアルキルスルホン酸並びにパーフルオロアリールスルホン酸が含まれるが、それらに限定されない。熱酸発生剤は、熱への暴露時に酸を遊離する任意の化合物である。熱酸発生剤は、当技術分野で周知であり、King Industries,Norwalk,Connecticutからなど、一般に市販されている。例示的な熱酸発生剤には、限定なしに、アミンブロックトドデシルベンゼンスルホン酸などのアミンブロックド強酸が含まれる。特定の光酸発生剤が加熱時に酸を遊離することができ、熱酸発生剤として機能し得ることも当業者によって十分理解されるであろう。
【0036】
任意の好適な架橋剤が本組成物に使用され得る、但し、そのような架橋剤は、酸性条件下などの好適な条件下で本芳香族樹脂反応生成物と反応することができる少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの部分を有することを条件とする。例示的な架橋剤には、ノボラック樹脂、エポキシ含有化合物、メラミン化合物、グアナミン化合物、イソシアネート含有化合物、ベンゾシクロブテン等、好ましくは、エポキシ、メチロール、C~C10アルコキシメチル及びC~C10アシルオキシメチルから選択される2つ以上、好ましくは3つ以上、より好ましくは4つの置換基を有する前述のもののいずれかが含まれるが、それらに限定されない。好適な架橋剤は、当技術分野で周知であり、様々な供給源から市販されている。好適な架橋剤の例としては、式(3)、(4)、(5)及び(6)のものが挙げられる。
【化12】
【0037】
本下層組成物は、任意選択的に、1種以上の表面レベリング剤(又は界面活性剤)を含み得る。任意の好適な界面活性剤が使用され得るが、そのような界面活性剤は、典型的には非イオン性である。例示的な非イオン界面活性剤は、エチレンオキシ、プロピレンオキシ又はエチレンオキシ結合とプロピレンオキシ結合との組合せなどのアルキレンオキシ結合を含有するものである。
【0038】
本発明の下層組成物及びそれから形成されるフィルムは、間隙充填、表面平坦化、熱安定性、溶媒剥離耐性及びフィルム品質特性の1つ以上において有益な特性を示すことができる。本組成物は、半導体基板における複数の間隙を好ましくは実質的に埋め、より好ましくは完全に埋める。好ましくは、間隙は、実質的に又は完全に空隙を含まない。
【0039】
本明細書に記載される組成物から製造されたフォトレジスト下層は、(a)電子デバイス基板を提供する工程と;(b)電子デバイス基板の表面上に本明細書に記載されるようなフォトレジスト下層組成物の層をコーティングする工程と;(c)フォトレジスト下層組成物の層を硬化させて、フォトレジスト下層を形成する工程とを含む方法に従って電子デバイスの形成に使用され得る。
【0040】
下層組成物をその上にコーティングすることができる好適な基板には、電子デバイス基板が含まれる。多様な電子デバイス基板、例えばマルチチップモジュールなどのパッケージング基板;フラットパネルディスプレイ基板;集積回路基板;有機発光ダイオード(OLED)などの発光ダイオード(LED)のための基板;半導体ウェハー;多結晶シリコン基板等など、多様な電子デバイス基板が本発明において使用され得、半導体ウェハーが好ましい。そのような基板は、典型的には、シリコン、ポリシリコン、酸化シリコン、窒化シリコン、オキシ窒化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、アルミニウム、サファイア、タングステン、チタン、チタン-タングステン、ニッケル、銅及び金の1つ以上から構成される。好適な基板は、集積回路、光センサー、フラットパネルディスプレイ、光集積回路及びLEDの製造において使用されるものなどのウェハーの形態にあり得る。本明細書で用いる場合、用語「半導体ウェハー」は、シングルチップウェハー、マルチプルチップウェハー、様々なレベルのためのパッケージ又ははんだ接続を必要とする他の組立体など、「半導体基板」、「半導体デバイス」及び様々なレベルの相互接続のための様々なパッケージを包含することを意図する。そのような基板は、任意の好適なサイズであり得る。好ましいウェハー基板直径は、200mm~300mmであるが、より小さい及びより大きい直径を有するウェハーが本発明に従って好適に用いられ得る。本明細書で用いる場合、用語「半導体基板」には、半導体デバイスの活性部分又は動作可能部分を任意選択的に含み得る1つ以上の層又は構造を有する任意の基板が含まれる。半導体デバイスは、少なくとも1つのマイクロ電子デバイスがその上に製造されているか又は製造されることになる半導体基板を指す。
【0041】
任意選択的に、接着促進剤の層は、本下層組成物のコーティング前に基板表面に適用され得る。接着促進剤が望ましい場合、シラン、好ましくは、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ヘキサメチルジシラザンなどのオルガノシラン又はガンマ-アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノシランカプラーなど、ポリマーフィルムのための任意の好適な接着促進剤が使用され得る。特に好適な接着促進剤としては、DuPont Electronics&Industrial(Marlborough,Massachusetts)から入手可能な、AP 3000、AP 8000及びAP 9000Sの名称で販売されているものが挙げられる。
【0042】
本下層組成物は、スピンコーティング、スロットダイコーティング、ドクターブレーディング、カーテンコーティング、ローラーコーティング、噴霧コーティング、浸漬コーティング等など、任意の好適な手段によって電子デバイス基板上にコーティングされ得る。これらのうち、スピンコーティングが好ましい。典型的なスピンコーティング方法において、本組成物は、15~90秒の期間、500~4000rpmの速度で回転している基板に塗布されて電子デバイス基板上に下層組成物の所望の層を得る。下層組成物層の高さがスピン速度を変化させることによって調節され得ることは当業者によって十分理解されるであろう。
【0043】
基板上にコーティングされた後、下層組成物層は、任意選択的に、比較的低い温度でベークされてあらゆる有機溶媒及び他の比較的揮発性の成分を層から除去する。典型的には、基板は、80~150℃の温度でベークされるが、他の好適な温度が用いられ得る。ベーキング時間は、典型的には10秒~10分、好ましくは30秒~5分であるが、より長い又はより短い時間が用いられ得る。基板がウェハーである場合、そのようなベーキング工程は、ウェハーをホットプレート上で加熱することによって行われ得る。溶媒除去後、基板表面上の下層コーティング組成物の層、フィルム又はコーティングが得られる。
【0044】
次いで、層は、十分に硬化されて、フィルムがその後に塗布されるコーティング層、例えば芳香族下層上に直接コーティングされるフォトレジスト又は他の層と混合しないような条件で芳香族フォトレジスト下層を形成するが、それでも下層フィルムの所望の反射防止特性(n値及びk値)並びにエッチ選択性を依然として維持している。下層は、空気などの酸素含有雰囲気中又は窒素などの不活性雰囲気中、好ましくは酸素含有雰囲気中で硬化され得る。この硬化工程は、好ましくは、ホットプレート様式装置で行われるが、オーブン硬化が用いられ得る。典型的には、そのような硬化は、下層を150℃以上、好ましくは170℃以上、より好ましくは200℃以上の硬化温度で加熱することによって行われる。選択された硬化温度及び時間は、芳香族下層を硬化させるのに十分であるべきである。芳香族下層を硬化させるための好適な温度範囲は、150~450℃、好ましくは170~350℃、より好ましくは200~250℃である。そのような硬化工程は、10秒~10分、好ましくは1~3分、より好ましくは1~2分を要し得るが、他の好適な時間が用いられ得る。
【0045】
溶媒の急速な放出及び副生成物の硬化が下層フィルムの品質を損なうことがないように硬化工程が行われる場合、初期ベーキング工程は必要でない場合がある。例えば、比較的低い温度で始まり、次いで200℃以上の温度まで徐々に上昇する傾斜ベークは、許容できる結果をもたらすことができる。場合によっては、多段階硬化プロセス、例えば、第1段階が150℃未満のより低いベーク温度であり、第2段階が200℃以上のより高いベーク温度である2段階プロセスを使用することは選ぶに値し得る。多段階硬化プロセスは、既存の基板表面のトポグラフィーの一様な充填及び平坦化、例えば、溝及びビアの充填を容易にすることができる。
【0046】
下層の硬化後、フォトレジスト、シリコン含有層、ハードマスク層、裏面反射防止コーティング(即ちBARC)層等などの1つ以上の処理層は、硬化した下層上にコーティングされ得る。例えば、フォトレジストは、シリコン含有層又は樹脂下層の直接上に存在する他の中間層の表面上に直接、スピンコーティングなどによってコーティングされ得るか、又は代わりに、フォトレジストは、硬化した下層上に直接コーティングされ得る。DuPont Electronics&Industrial(Marlborough,Massachusetts)から入手可能なEpic(商標)ブランドで販売されているものなど、193nm(ArF)リソグラフィー及びEUVリソグラフィーで使用されるものなど、多様なフォトレジストが好適に使用され得る。好適なフォトレジストは、ポジ型又はネガ型のいずれかであり得る。コーティング後、フォトレジスト層は、次いで、パターン化された活性化放射線を使用して画像化(露光)され、次いで、露光されたフォトレジスト層は、適切な現像剤を使用して現像されてパターン化されたフォトレジスト層を提供する。本明細書において、活性化する放射線にフォトレジスト層を曝すという言及は、放射線がフォトレジスト層に潜像を形成することができることを示している。フォトレジスト層は、光学的に不透明な領域と光学的に透明な領域とを有するパターン化されたフォトマスクを通して又は直接書き込みによって活性化放射線に曝され得る。パターンは、次に、適切なエッチング技術によってフォトレジスト層から下層に転写される。典型的には、フォトレジストは、そのようなエッチング工程中にも除去される。次に、プラズマエッチングなど、当技術分野で公知の適切なエッチング技術により、パターンは、基板に転写され、下層は、除去される。基板のパターン化後、下層は、従来技術を用いて除去される。次いで、電子デバイス基板は、従来の手段に従って処理される。
【0047】
硬化した下層は、多層レジストプロセスの底層として使用され得る。そのようなプロセスにおいて、下層組成物の層は、上記の通り基板上にコーティングされ、硬化される。次に、1つ以上の中間層が、芳香族下層上にコーティングされる。例えば、シリコン含有層又はハードマスク層は、芳香族下層上に直接コーティングされ得る。シリコン-BARCなどの例示的なシリコン含有層は、下層上にスピンコーティングし、続いて硬化させることによって堆積され得るか、又はSiON若しくはSiOなどの無機シリコン層は、化学蒸着(CVD)によって下層上に蒸着され得る。任意の好適なハードマスクが使用され得、任意の好適な技術によって下層上に蒸着され、必要に応じて硬化され得る。任意選択的に、有機BARC層がシリコン含有層又はハードマスク層上に直接配置され、適切に硬化され得る。次に、193nmリソグラフィーにおいて使用されるものなどのフォトレジストは、(3層プロセスにおいて)シリコン含有層上に直接又は(4層プロセスにおいて)有機BARC層上に直接コーティングされる。次いで、フォトレジスト層は、パターン化された活性化放射線を使用して画像化(露光)され、次いで、露光されたフォトレジスト層は、適切な現像剤を使用して現像されてパターン化されたフォトレジスト層を提供する。次に、パターンは、プラズマエッチングなど、当技術分野で公知の適切なエッチング技術により、フォトレジスト層からその直下の層に転写される。これは、3層プロセスではパターン化されたシリコン含有層を、4層プロセスではパターン化された有機BARC層をもたらす。4層プロセスが用いられる場合、パターンは、次に、プラズマエッチングなどの適切なパターン転写技術を用いて有機BARC層からシリコン含有層又はハードマスク層に転写される。シリコン含有層又はハードマスク層がパターン化された後、芳香族下層は、次いで、O又はCFプラズマなどの適切なエッチング技術を用いてパターン化される。あらゆる残りのパターン化されたフォトレジスト及び有機BARC層は、芳香族下層のエッチング中に除去される。次に、パターンは、あらゆる残りのシリコン含有層又はハードマスク層を除去する適切なエッチング技術などによって基板に転写され、これにあらゆる残りのパターン化された芳香族下層の除去が続いて、パターン化された基板を提供する。
【0048】
本発明の硬化した下層は、自己整列二重パターン化プロセスでも使用され得る。そのようなプロセスにおいて、本下層組成物の層は、好ましくは、スピンコーティングによって基板上にコーティングされる。あらゆる残りの有機溶媒が除去され、下層組成物層は、硬化されて、硬化した下層を形成する。シリコン含有層などの好適な中間層は、硬化した下層上にコーティングされる。次いで、好適なフォトレジストの層が、スピンコーティングなどによって中間層上にコーティングされる。次いで、フォトレジスト層は、活性化放射線でパターン様画像化(露光)され、次いで、露光されたフォトレジスト層は、適切な現像剤を使用して現像されてパターン化されたフォトレジスト層を提供する。パターンは、次に、適切なエッチング技術によってフォトレジスト層から中間層及び硬化した下層に転写されて基板の複数部分を露出させる。典型的には、フォトレジストは、そのようなエッチング工程中にも除去される。次に、コンフォーマルシリコン含有層が、パターン化された硬化した下層及び基板の露出した複数部分の上に配置される。そのようなシリコン含有層は、典型的には、CVDによって慣例的に蒸着されるSiON又はSiOなどの無機シリコン層である。そのようなコンフォーマルコーティングは、基板表面の露出した複数部分上に並びに下層パターンの上にシリコン含有層をもたらす。即ち、そのようなシリコン含有層は、パターン化された下層の側面及び上面を実質的に覆う。次に、シリコン含有層は、部分的にエッチング(バリ取り)されてパターン化されたポリアリーレン樹脂下層の最上部表面及び基板の一部を露出させる。この部分的なエッチング工程後、基板上のパターンは、複数のフィーチャを含み、各フィーチャは、硬化した下層のライン又はポストを含み、シリコン含有層は、側壁スペーサーとも言われる、それぞれの硬化した下層のフィーチャの側面に直接隣接する。次に、硬化した下層は、エッチングなどによって除去されて、硬化した下層パターンの下にあった基板表面を露出させ、基板表面上にパターン化されたシリコン含有層を得、そのようなパターン化されたシリコン含有層は、パターン化された硬化した下層と比べて2倍になる(即ち、ライン及び/又はポストは、2倍になる)。
【0049】
上記のようなフォトレジスト下層及びパターンの形成におけるそれらの使用に加えて、本発明の下層組成物は、集積回路の製造における平坦化層、間隙充填層及び保護層を形成するのに有用である。そのような層として使用される場合、シリコン含有層、他の芳香族樹脂層、ハードマスク層等などの1つ以上の介在材料層は、典型的には、本下層組成物の硬化した層と任意のフォトレジスト層との間に存在する。典型的には、そのような平坦化層、間隙充填層及び保護層は、最終的にはパターン化される。
【0050】
以下の非限定的な実施例は、本発明を例示するものである。
【実施例0051】
合成実施例
実施例1
ビス(4-(3,5-ジブロモフェノキシ)フェニル)メタノン(10.91g)、ヨウ化第一銅(0.46g)及びトリエチルアミン(7.29g)を、室温で80gの1,4-ジオキサンに添加した。反応混合物を窒素で1時間パージした。ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(1.12g)を反応混合物に添加し、混合物を70℃に加熱した。エチニルトリメチルシラン(11.53g)を、添加漏斗を用いて反応混合物にゆっくり添加した。次いで、反応混合物を窒素下において70℃で一晩撹拌した。反応完了後、反応混合物を室温に冷却し、濾過し、溶媒を蒸発させた。次いで、得られた残留物をTHF(100g)に溶解させた。炭酸カリウム(11.40g)、メタノール(100g)及び水(10g)を添加し、反応混合物を一晩室温で撹拌した。溶媒を除去し、水(100mL)を添加した。混合物を酢酸エチルで3回抽出し、合わせた有機相を水で洗浄し、塩水で洗浄し、次いでNaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製してビス(4-(3,5-ジエチニルフェノキシ)フェニル)メタノン(化合物I-1)を白色固体(5.99g、81%収率)として得た。
【化13】
【0052】
実施例2
5,5’-((スルホニルビス(4,1-フェニレン))ビス(オキシ))ビス(1,3-ジブロモベンゼン)(11.49g)、ヨウ化第一銅(0.46g)及びトリエチルアミン(7.29g)を、室温で80gの1,4-ジオキサンに添加した。反応混合物を窒素で1時間パージした。ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(1.12g)を反応混合物に添加し、混合物を70℃に加熱した。エチニルトリメチルシラン(11.53g)を、添加漏斗を用いて反応混合物にゆっくり添加した。次いで、反応混合物を窒素下において70℃で一晩撹拌した。反応完了後、反応混合物を室温に冷却し、濾過し、溶媒を蒸発させた。次いで、得られた残留物をTHF(100g)に溶解させた。炭酸カリウム(11.40g)、メタノール(100g)及び水(10g)を添加し、反応混合物を一晩室温で撹拌した。溶媒を除去し、水(100mL)を添加した。混合物を酢酸エチルで3回抽出し、合わせた有機相を水で洗浄し、塩水で洗浄し、次いでNaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製して5,5’-((スルホニルビス(4,1-フェニレン))ビス(オキシ))ビス(1,3-ジエチニルベンゼン)(化合物I-2)を白色固体(6.06g、76%収率)として得た。
【化14】
【0053】
実施例3
9,9-ビス(4-(3,5-ジブロモフェノキシ)フェニル)-9H-フルオレン(13.09g)、ヨウ化第一銅(0.46g)及びトリエチルアミン(7.29g)を、室温で80gの1,4-ジオキサンに添加した。反応混合物を窒素で1時間パージした。ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(1.12g)を反応混合物に添加し、混合物を70℃に加熱した。エチニルトリメチルシラン(11.53g)を、添加漏斗を用いて反応混合物にゆっくり添加した。次いで、反応混合物を窒素下において70℃で一晩撹拌した。反応完了後、反応混合物を室温に冷却し、濾過し、溶媒を蒸発させた。次いで、得られた残留物をTHF(100g)に溶解させた。炭酸カリウム(11.40g)、メタノール(100g)及び水(10g)を添加し、反応混合物を一晩室温で撹拌した。溶媒を除去し、水(100mL)を添加した。混合物を酢酸エチルで3回抽出し、合わせた有機相を水で洗浄し、塩水で洗浄し、次いでNaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製して9,9-ビス(4-(3,5-ジエチニルフェノキシ)フェニル)-9H-フルオレン(化合物I-3)を白色固体(7.47g、78%収率)として得た。
【化15】
【0054】
実施例4
4,4’-(オキシビス(4,1-フェニレン))ビス(2,3,5-トリフェニルシクロペンタ-2,4-ジエン-1-オン)(7.83g)、1,3,5-トリエチニルベンゼン(3.75g)及びガンマ-ブチロラクトン(50.36g)を500mLフラスコに添加した。混合物を窒素下において6時間120℃で撹拌した。反応完了後、反応混合物を室温に冷却し、100mLの水中に沈殿させ、濾過した。残渣固体をカラムクロマトグラフィーによって精製して化合物I-4を淡黄色固体(3.50g、34%収率)として及び化合物I-5を淡黄色固体(2.06g、20%収率)として得た。
【化16】
【0055】
実施例5(比較)
1:1.08のモル比及びガンマ-ブチロラクトン中の30~40重量%の固形分の濃度での4,4’-(オキシビス(4,1-フェニレン))ビス(2,3,5-トリフェニルシクロペンタ-2,4-ジエン-1-オン)と1,3,5-トリス(フェニルエチニル)ベンゼンとの混合物を、8800DaのMwが得られるまで(およそ10~15時間)200℃の目標温度に加熱した。次いで、反応器を120℃に冷却して更なる反応を止めた。シクロヘキサノンを添加してポリアリーレンポリマーを希釈し、貯蔵溶液を形成した。1Lの貯蔵溶液を、10Lのイソプロパノールに30分にわたって添加した。次いで、溶液を1時間撹拌し、結果として生じた沈殿物を濾過し、1LのIPAで2回洗浄し、風乾させ、50℃で減圧乾燥させて327.3gのオリゴマー化合物I-6(比較)を得た。
【化17】
【0056】
実施例6(比較)
4-ヨードフェニルアセテート(24.75g)、ヨウ化第一銅(0.17g)及びトリエチルアミン(27.32g)を、室温で22.82gの1,4-ジオキサンに添加した。反応混合物を窒素で1時間パージした。ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(0.63g)を反応混合物に添加し、混合物を70℃に加熱した。次いで、脱気した1,4-ジオキサン(20g)中の1,3,5-トリエチニルベンゼン(4.5g)の溶液を、シリンジポンプによって反応混合物にゆっくり添加した。添加の完了後、反応物を窒素下において70℃で一晩攪拌した。反応の完了後、反応混合物を室温に冷却し、溶媒を蒸発させた。残留物を酢酸エチルで希釈し、濾過して固体を除去した。溶液を蒸発させ、残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製して淡黄色固体を得た。次いで、この得られた固体を窒素下でTHF(38g)に溶解させた。水酸化リチウム一水和物(3.81g)及び水(16g)を添加し、混合物を60℃で1時間撹拌した。次いで、混合物を室温に冷却し、溶媒を除去した。残留物を酢酸エチル及び水で希釈し、次いで、水層のpHが1になるまで塩酸で処理した。有機相を分離し、水相を酢酸エチルで抽出した。有機層を組み合わせ、水で洗浄した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製して7.7g(61%収率)の1,3,5-トリス((4-ヒドロキシフェニル)エチニル)ベンゼン化合物I-7(比較)を淡黄色固体として得た。
【化18】
【0057】
溶解性評価
実施例7~13
上の実施例記載中に添加された任意の溶媒を含めて合成実施例において調製されたような硬化性化合物を、混合物の総重量を基準として5重量%固形分にPGME又はPGMEAで希釈した。結果として生じた混合物を振盪し、次いで目視検査した。混合物を濁度計(Orbeco-Hellige Co)でも試験した。濁度値が1.00以下である場合、化合物を可溶性(「S」)と格付けした。濁度値が1.00超である場合、化合物を可溶性ではない(「NS」)と格付けした。濁度測定の結果を表1に報告する。
【0058】
【表1】
【0059】
熱安定性評価
実施例14~20
硬化性化合物I-1~I-7の熱安定性を、以下の条件下でTA-Instruments Q500 Thermal Gravimetric Analyzerを用いて評価した:空気雰囲気、室温から700℃まで10℃/分温度ランプ。材料がその重量の5%を失った温度(「Td5%」)を測定した。結果を表2に示す。
【0060】
【表2】
【0061】
下層組成物調製
実施例21~27
表3に示される材料を組み合わせて約4.5重量%の固形分を有する下層組成物を形成し、各溶液の希釈度を、100nmの目標のコーティングされたフィルム厚さ(硬化後に)のために調整した。
【0062】
【表3】
【0063】
耐溶剤剥離性評価
実施例28~34
下層組成物を、1500±200rpmでのACT-8 Clean Track(東京エレクトロン株式会社)でそれぞれの200mmシリコンウェハー上にスピンコーティングし、次いで、表4に示される温度及び時間で硬化させてフィルムを形成した。初期フィルムの厚さを、Therma-Wave OptiProbe(商標)計測ツールで測定した。次いで、PGME/PGMEA(重量で70/30)剥離剤をフィルムのそれぞれに90秒間適用し、これに、105℃において60秒間空気中で剥離後ベークが続いた。各フィルムの厚さを再測定して失われたフィルム厚さの量を測定した。剥離剤との接触前後のフィルム厚さの差を、ウェハー上に残っているフィルム厚さの百分率(%フィルム残存)として表4に示す。この値は、ポリマー層の架橋の度合いを示している。
【0064】
【表4】
【0065】
間隙充填及び平坦化評価
実施例33~36
様々なパターン化されたフィーチャを有する2×2インチシリコン基板を使用して本発明の下層組成物の間隙充填及び平坦化性能を評価した。フィーチャを、基板上にコーティングされた100nm厚さのPECVD酸化シリコン層に形成した。下層組成物をコーティングする前に、基板は150℃で60秒間脱水ベークを受けた。下層組成物を、およそ100nmの硬化後目標フィルム厚さを達成するために、1500±200rpmでのACT-8 Clean Track(東京エレクトロン株式会社)でそれぞれの基板上にそれぞれコーティングした。コーティングされた組成物を、表5に示される温度及び時間条件でホットプレート上において硬化させた。断面画像を、株式会社日立ハイテクのS4800 CD-SEMで撮影した。
【0066】
間隙充填性能は、SEM画像を使用して、下層で上塗りされた45nmの1:1ライン/スペース(溝)パターンの目視検査によって評価した。間隙充填性能は、空隙又は気泡が溝パターンに観察されなかった場合「良好」、何らかの空隙又は気泡が観察された場合「不十分」と見なした。下層組成物の平坦化性能は、フィルムの深い溝パターン及びオープンエリアにおける下層厚さの差(ΔFT)を測定することによってHitachiオフラインCD測定ソフトウェアを用いてSEM画像から評価した。30nm未満のΔFTを有する下層は、「良好」な平坦化を有すると見なし、30nm以上のΔFTを有するものは、「不十分な」平坦化を有すると見なした。結果を表5に示す。
【0067】
【表5】
【外国語明細書】