(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096041
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】列車早期警告ブレーキシステム
(51)【国際特許分類】
B61L 23/00 20060101AFI20240704BHJP
B61H 7/12 20060101ALI20240704BHJP
F16D 63/00 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
B61L23/00 Z
B61H7/12 A
F16D63/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023218458
(22)【出願日】2023-12-25
(31)【優先権主張番号】111150968
(32)【優先日】2022-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】595009235
【氏名又は名称】施 瑞源
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】施 瑞源
【テーマコード(参考)】
3J058
5H161
【Fターム(参考)】
3J058CB30
3J058CC02
3J058CC12
3J058CC22
3J058CC32
3J058CD13
3J058FA21
5H161AA01
5H161MM02
5H161MM12
5H161NN10
5H161PP01
5H161PP12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明の目的は、早期警告効果を有し、運転の安全性を高め、補助ブレーキ効果を提供する列車早期警告ブレーキシステムを提供する。
【解決手段】本発明は、列車及び列車が走行する軌道との間に設置され、交通制御センターに接続され、画像監視モジュール及び補助ブレーキモジュールが設置されている列車早期警告ブレーキシステムを提供する。前記画像監視モジュールは、前記軌道の周囲に設置され、前記列車の制御システム及び前記交通制御センターに接続されている。前記画像監視モジュールには、複数の画像取込ユニット及び複数の表示ユニットが設置されている。前記補助ブレーキモジュールは、前記列車に設置され、前記制御システムに接続されている。前記補助ブレーキモジュールは、前記列車の下方又はボギーに設置され、前記軌道に向けている。前記補助ブレーキモジュールは、本体と、駆動ユニットと、2つのクランプユニットとが設置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車及び列車が走行する軌道との間に設置され、交通制御センターに接続され、
画像監視モジュールが設置されており、前記画像監視モジュールは、前記軌道の周囲に設置され、前記列車の制御システム及び前記交通制御センターに電気的に接続されており、
前記画像監視モジュールには、複数の画像取込ユニット及び複数の表示ユニットが設置され、
それぞれの前記画像取込ユニットは、前記軌道の周りの環境を撮影して取り込むように、間隔を空けて前記軌道の周囲に設置され、前記列車の制御システムに接続されており、
前記複数の表示ユニットは、それぞれの画像取込ユニットによって取り込まれた画像画面を前記複数の表示ユニットに表示するように、前記列車及び前記交通制御センターに設置され、前記制御システムに接続されていることを特徴とする列車早期警告ブレーキシステム。
【請求項2】
前記列車に設置されかつ前記制御システムに接続される補助ブレーキモジュールが設置されており、前記補助ブレーキモジュールは、前記列車の下方に設置され、前記軌道に向けていることを特徴とする請求項1に記載の列車早期警告ブレーキシステム。
【請求項3】
前記列車に設置されかつ前記制御システムに接続される補助ブレーキモジュールが設置されており、前記補助ブレーキモジュールは、前記列車のボギーに設置され、前記軌道に向け、前記補助ブレーキモジュールには、本体と、駆動ユニットと、2つのクランプユニットとが設置され、前記本体は、前記ボギーの底部に固定接続され、前記軌道のうちの一本のレール方向に向かって延在し、前記本体には、チャンパー及び開口が設置され、前記チャンパーは、前記本体の内部に設置され、前記開口は、前記本体の底部に設置され、前記チャンパーに連通し、前記開口は、前記レールの両側に跨って設置されることにより、前記レールの頭部を前記本体のチャンパー内に位置させ、前記駆動ユニットは、前記本体のチャンパー内に設置され、前記レールの頭部方向に向かって設置され、前記2つのクランプユニットは、前記本体のチャンパー内に設置され、前記レールの頭部の両側にそれぞれ位置し、1つのクランプユニットは、前記チャンパーにおける前記駆動ユニットから離れた側壁に設置され、前記頭部の1つの側面に対向し、もう1つのクランプユニットは、前記駆動ユニットに設置され、前記頭部のもう1つの側面に対向することを特徴とする請求項1に記載の列車早期警告ブレーキシステム。
【請求項4】
それぞれの前記画像取込ユニットは、前記軌道の付近に設置されている固定ロッドと、前記固定ロッドに設置され、前記列車の制御システムに接続され、それぞれが異なる方向に向けていることにより、前記列車が近づいたり離れたりする画像画面を取り込むための2つのカメラとを有することを特徴とする請求項1~3の何れか1つに記載の列車早期警告ブレーキシステム。
【請求項5】
前記画像監視モジュールには、補助ユニットが設置され、前記補助ユニットは、前記列車の制御システムに接続されているドローンであり、前記ドローンにより前記列車の周りの画像を前記制御システムに送信し、前記表示ユニットに表示することを特徴とする請求項1~3の何れか1つに記載の列車早期警告ブレーキシステム。
【請求項6】
前記駆動ユニットには、前記レールの頭部に近づいたり離れたりすることが可能な伸縮自在な駆動ロッドが設置され、前記1つのクランプユニットは、前記駆動ユニットの駆動ロッドに設置され、前記頭部のうちの1つの側面に対向することを特徴とする請求項3に記載の列車早期警告ブレーキシステム。
【請求項7】
前記本体の底部は、舟形の構造になり、前記本体の開口は、前記チャンパーと同じ断面を有し、対応するレールの頭部を前記本体のチャンパー内に設置させることを特徴とする請求項3に記載の列車早期警告ブレーキシステム。
【請求項8】
前記本体には、昇降ロッドが設置され、前記昇降ロッドは、対応するレールに近づいたり離れたりするように、前記軌道の方向へ移動することができ、前記本体のチャンパー内に位置する駆動ユニット及びクランプユニットを前記昇降ロッドに伴って対応するレールに近づいたり離れたりするようにさせることを特徴とする請求項3に記載の列車早期警告ブレーキシステム。
【請求項9】
それぞれの前記クランプユニットは、L字断面を有することにより、それぞれの前記クランプユニットが対応するレールの頭部の側面及び上面に接触することができることを特徴とする請求項3に記載の列車早期警告ブレーキシステム。
【請求項10】
前記軌道のそれぞれのレールには、間隔を空けて設置されている複数の補助ブレーキモジュールが設置されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の列車早期警告ブレーキシステム。
【請求項11】
前記画像監視モジュールは、前記列車の前方、後方、下方又は車両内に少なくとも1つの撮影ユニットが設置され、前記少なくとも1つの撮影ユニットにより列車の前方、後方、下方又は車両内の画像を取り込み、前記画像を前記制御システム及び前記交通制御センターに送信することを特徴とする請求項1~3の何れか1つに記載の列車早期警告ブレーキシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの撮影ユニットは、前記軌道の2つのレールを撮影して取り込むように、前記列車のボギーに設置されていることを特徴とする請求項11に記載の列車早期警告ブレーキシステム。
【請求項13】
前記列車内には、少なくとも1つのドライブレコーダーが設置されていることを特徴とする請求項12に記載の列車早期警告ブレーキシステム。
【請求項14】
2つのレールが破損したり曲がって変形したりしているか否かを検知するように、前記軌道の2つのレールの両側に設置され、前記列車の制御システム及び前記交通制御センターに接続され、前記2つのレールを検知する結果を前記制御システム及び前記交通制御センターに送信するための軌道検知モジュールが設置されていることを特徴とする請求項1~3の何れか1つに記載の列車早期警告ブレーキシステム。
【請求項15】
前記軌道検知モジュールには、複数のセンサーが設置され、前記複数のセンサーは、対応するレールの形状が異常かどうかを検知するように、間隔を空けて前記2つのレールの1つの側に設置されていることを特徴とする請求項14に記載の列車早期警告ブレーキシステム。
【請求項16】
それぞれの画像取込ユニットは、追い払う効果を提供することができる警告装置が設置されていることを特徴とする請求項1~3の何れか1つに記載の列車早期警告ブレーキシステム。
【請求項17】
前記画像監視モジュールのそれぞれの前記画像取込ユニットは、前記軌道の周囲の斜面滑り状況及び橋梁状況を撮影して取り込み、前記列車及び前記交通制御センターに送信することを特徴とする請求項1~3の何れか1つに記載の列車早期警告ブレーキシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車早期警告ブレーキシステムに関し、特に、事前に警告効果を有し、運転の安全性を高め、補助ブレーキ効果を提供する列車早期警告ブレーキシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、鉄道輸送システムの運行においては、線路上に障害物が現れることにより衝突事件が時々発生し、重大な事故を招いてしまう。既存の鉄道輸送システムでは、主にブレーキシューエア制動システムを用いてブレーキをしているが、ブレーキに必要とするブレーキ距離が非常に長く、緊急時又は近距離の事故に対してリアルタイムのブレーキ効果を効果的に得ることができないため、既存の鉄道輸送システムの制御、ブレーキ及び安全等の問題は改善する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したように、既存の鉄道輸送システムでは、ブレーキに必要とするブレーキ距離が非常に長いため、画像監視システムを設置することにより、走行線路上のリアルタイム画像を列車に送信することで、早期に対応して重大な事故の発生を避ける必要がある。また、鉄道輸送システムの走行する経路は、専用の固定軌道線路であるため、特定の必要な場所に必要な画像監視モジュールを設置することができる。よって、既存の鉄道輸送システムでは手動方式によりブレーキ及び安全制御を行わなければならないという欠陥及び不足を鑑み、本願の発明者は、特別に継続的な研究及び試験を経て、最終的に既存の欠陥を改善することができる本発明を開発した。
【0004】
本発明の主な目的は、デジタル画像監視の方式と連携し、画像送信の方式で事前に警告する効果を提供することにより、列車が事前に十分なブレーキ距離においてブレーキをかけることができるようにさせることである。また、ブレーキに必要とする距離を大幅に短縮し、重大な事故の発生を回避するように、さらに補助ブレーキモジュールを提供することにより、事前に警告効果を有し、運転の安全性を高め、補助ブレーキ効果を提供する列車早期警告ブレーキシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した目的を実現するために、本発明は、主に列車早期警告ブレーキシステムを提供する。前記列車早期警告ブレーキシステムは、列車及び列車が走行する軌道との間又は任意の必要な位置に設置され、交通制御センターに接続され、画像監視モジュールが設置され、前記画像監視モジュールは、前記軌道の周囲に設置され、前記列車の制御システム及び前記交通制御センターに電気的に接続され、前記画像監視モジュールには、複数の画像取込ユニット及び複数の表示ユニットが設置され、それぞれの前記画像取込ユニットは、前記軌道の周りの環境を撮影して取り込むように、間隔を空けて前記軌道の周囲に設置され、前記列車の制御システムに接続されており、前記複数の表示ユニットは、それぞれの画像取込ユニットによって取り込まれた画像画面を該複数の表示ユニットに表示するように、前記列車及び前記交通制御センターに設置され、前記制御システムに接続されている。
【発明の効果】
【0006】
上述した技術特徴により、本発明の列車早期警告ブレーキシステムの応用時において、前記画像監視モジュールは、前記列車がまだ経過していない軌道の相対的な位置にあり、前記相対的な位置及び前記相対的な位置の前方にある複数の画像取込ユニットのカメラが取り込んだ画像を、前記列車に位置するそれぞれの前記表示ユニットに送信する。これにより、運転士は、それぞれの相対的な位置の画像結果により、安全上の懸念でブレーキをかけることを考慮する必要があるかどうかを判断することができる。また、運転士が列車の進行方向の環境状況を確認して把握することができるように、補助ユニットと連携し、不定点の方式で関連する画像を取り込むことができる。また、列車の走行方向に合わせて前方の各線路区間の画像を、順次に前記列車及び交通制御センターのそれぞれの表示ユニットに提供することにより、運転士及び交通制御センターに列車の前方の線路状況をリアルタイムで且つ正確に把握させることができる。前記列車の走行方向に位置する画像取込ユニットが列車の安全に影響を与える障害物を取り込んだ場合、運転士は、十分な時間及び距離でブレーキをかけることができるので、緊急事態又は至近距離での事故を効果的に回避し、リアルタイムでブレーキをかけるという効果を実現することができる。ブレーキをかけるプロセスにおいては、前記制御システムにより、列車の下方又はそれぞれのボギーの補助ブレーキモジュールを駆動することで、それぞれの前記補助ブレーキモジュールの駆動ユニットを動作させ、前記2つのクランプユニットが対応するレールの頭部の2つの側面に対してクランプして摩擦して補助ブレーキ効果を提供する。よって、列車は、より短い時間及び距離で安全ブレーキの効果に至ることができ、列車の走行時の安全制御をリアルタイムで且つ迅速に行うことができ、早期警告効果を有し、運転の安全性を高め、補助ブレーキ効果を提供する列車早期警告ブレーキシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る列車早期警告ブレーキシステムを示す外観側面図である。
【
図2】本発明に係る列車早期警告ブレーキシステムの部分拡大を示す外観側面図である。
【
図3】本発明に係る列車早期警告ブレーキシステムの列車における部分拡大を示す立体外観図である。
【
図4】本発明に係る列車早期警告ブレーキシステムにおける交通制御センターを示す立体外観模式図である。
【
図5】本発明に係る列車早期警告ブレーキシステムの回路ブロック模式図である。
【
図6】本発明に係る列車早期警告ブレーキシステムの第一の好適な実施例の部分拡大の立体外観図である。
【
図7】本発明に係る列車早期警告ブレーキシステムの第一の好適な実施例の部分拡大の側面断面図である。
【
図8】本発明に係る列車早期警告ブレーキシステムの第二の好適な実施例の部分拡大の立体外観図である。
【
図9】本発明に係る列車早期警告ブレーキシステムの第三の好適な実施例の部分拡大の立体外観図である。
【
図10】本発明に係る列車早期警告ブレーキシステムの第三の好適な実施例の部分拡大の側面断面図である(降下状態)。
【
図11】本発明に係る列車早期警告ブレーキシステムの第三の好適な実施例の部分拡大の側面断面図である(上昇状態)。
【
図12】本発明に係る列車早期警告ブレーキシステムの第四の好適な実施例の部分拡大の側面断面図である。
【
図13】本発明に係る列車早期警告ブレーキシステムの第五の好適な実施例の部分拡大の外観側面図である。
【
図14】本発明に係る列車早期警告ブレーキシステムの操作模式図である。
【
図15】本発明に係る列車早期警告ブレーキシステムの軌道検知モジュールの外観模式図である。
【
図16】本発明に係る列車早期警告ブレーキシステムのもう1つの操作模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の技術特徴及び実際の効果を詳しく理解し、明細書の内容に従って実現するために、図面に示す好適な実施例を以下により詳しく説明する。
【0009】
本発明は、列車早期警告ブレーキシステムである。
図1~
図5に示すように、前記列車早期警告ブレーキシステムは、列車40及び列車40が走行する軌道50との間に設置され、交通制御センター60に接続されている。前記列車早期警告ブレーキシステムには、画像監視モジュール10及び補助ブレーキモジュール20が設置されている。
【0010】
前記画像監視モジュール10は、前記軌道50の周囲に設置され、前記列車40の制御システム41に電気的に接続されている。前記列車40は、前記制御システム41により前記交通制御センター60に接続されていることにより、前記画像監視モジュール10で取り込まれた映像を、前記交通制御センター60に送信し、人間の判断又は人工知能コンピューターによる、履歴ファイルデータ(例えば、前回の画像又は固定時間の画像)に対する画像比較の判断により異常危険の警告の有無を確認し、リアルタイムで列車の運転士に早期警告を提供し反応をさせることができ、又は、運転士が突然障害を起こしたため、列車40が制御できなくなったことを検知した場合に、即時に介入して列車40を制御することができる。また、緊急ブレーキ又は重大な事故が生じたと時に、同期的に前記交通制御センター60に通知し、後続の列車40を配車することができるので、追突事故を回避することができる。また、前記交通制御センター60により軍、警察及び病院等の救助組織に通知して関連する支援を行い、負傷者の救助に必要な時間を短縮することができる。
【0011】
前記画像監視モジュール10には、複数の画像取込ユニット11と、複数の表示ユニット12と、補助ユニット13が設置されている。それぞれの前記画像取込ユニット11は、間隔を空けて前記軌道50の付近に設置され、前記列車40の制御システム41に接続されている。これにより、前記軌道50の両側には、それぞれ前記画像取込ユニット11が設置されているので、前記軌道50の周りの環境を撮影して取り込むことができる。好ましくは、
図2に示すように、それぞれの前記画像取込ユニット11は、前記軌道50の1つの側に固定設置されている固定ロッド14と、前記固定ロッド14に設置され、それぞれが異なる方向に向けていることにより、前記列車40が近づいたり離れたりする画像画面を取り込むための2つのカメラ15とを有する。
図3、
図4及び
図5に示すように、前記複数の表示ユニット12は、前記列車40及び前記交通制御センター60に設置され、前記制御システム41に接続されていることにより、それぞれの画像取込ユニット11により取り込まれた画像画面を、前記複数の表示ユニット12に表示する。順に配列されている前記複数の画像取込ユニット11により取り込まれた画像画面は、前記複数の表示ユニット12に順次に表示されている。前記補助ユニット13は、
図12に示すように、前記列車40の制御システム41に接続されているドローンであり、前記ドローンにより前記列車40の周りの画像を前記制御システム41に送信し、1つの前記表示ユニット12に表示する。よって、前記画像監視モジュール10及び前記交通制御センター60で取得された画像により、前記列車40が走行する線路上の前方の軌道50に故障又は障害物があるか否かを判断し、リアルタイムで列車の運転士に通知又は提供して早期警告又は早期ブレーキ操作を行えるようにすることができる(人工知能コンピューター)。
【0012】
また、
図2及び
図5に示すように、前記画像監視モジュール10は、列車40、運転室内、軌道の周囲、踏切の周囲、橋、トンネル等の必要な位置に一連のカメラが設置されている。運転士が運転時に参考できるように、数百メートルから数キロメートルまで離れた列車40が走行しようとする線路上のリアルタイム画像を列車40に送信することにより、運転視界の範囲を拡大し、早期に対応できるので、列車の安全性を高め、前記交通制御センター60が列車40の走行経路上の状況に注意を払うことに寄与する。上述したように、前記画像監視モジュール10は、前記列車の前方、後方、下方又は車両内に少なくとも1つのカメラユニット16が設置されている。前記少なくとも1つのカメラユニット16により、列車の前方、後方又は下方の画像を取り込み、当該画像を前記制御システム41及び前記交通制御センター60に送信し、前記列車40の走行経路上の前方、後方に障害物があるか否か、及び、前記軌道50が破裂したり、故障したり、変形したりしたか否かを判断し、リアルタイムで列車の運転士に通知又は提供して早期警告又は早期ブレーキ操作を行えるようにすることができる。かつ、車両内に設置されているカメラユニット16では、車両内の暴力事故に対して有効的な救助及び隔離をリアルタイムで行うことができる。また、前記列車40が緊急状況に遭遇したした場合、前記交通制御センター60により、前記列車40と同じ走行経路上の次の列車40に対して事前に対応するように同期的に警告し、追突事故の発生を回避することができる。また、前記交通制御センター60は、前記列車40で避けられない事故が発生する可能性があると判断した場合、前記制御システム41により前記列車40に介入し制御を行い、非常ブレーキを起動することができる。
図3に示すように、前記列車40内には、少なくとも1つのドライブレコーダー17が設置され、前記少なくとも1つのドライブレコーダー17により、列車40が走行する画像、列車40の様々なデータを記録し、運転士の健康状態及び運転士が正確に設備を操作しているかどうか等を確認して観察し、人工知能又は交通制御センター60によって早期ブレーキの判断として提供する。また、前記少なくとも1つのドライブレコーダー17により、意外の事故に対して調査を行い、類似する事故が再発して列車40の走行安全に危害を与えることを防止することができる。
【0013】
図6及び
図7に示す補助ブレーキモジュールの第一の好適な実施例においては、前記補助ブレーキモジュール20が前記列車40に設置され、前記制御システム41に接続されている。前記補助ブレーキモジュール20は、前記列車40の下方又はボギー42に設置され、前記軌道50のレール51に向けている。前記補助ブレーキモジュール20には、本体21、駆動ユニット22及び2つのクランプユニット23が設置されている。前記本体21は、前記ボギー42の底部に固定接続され、前記軌道50のうちの1つのレール51の方向へ延在し、ボギー42に上下にスライドすることができるように接続されている。前記本体21には、チャンパー211及び開口212が設置されている。前記チャンパー211は、前記本体21の内部に設けられている。前記開口212は、前記本体21の底部に設置され、前記チャンパー21に連通している。前記開口212は、前記レール51の両側に跨って設置されていることにより、前記レール51の頭部511を前記本体21のチャンパー211内に位置させる。前記駆動ユニット22は、前記本体21のチャンパー211内に設置され、前記レール51の頭部511の方向に向かって設置されている。前記駆動ユニット22は、前記レール51の頭部511に近づいたり離れたりすることが可能な伸縮自在な駆動ロッド221が設置されている。前記2つのクランプユニット23は、前記本体21のチャンパー211内に設置され、それぞれ前記レールの頭部511の両側に位置し、1つのクランプユニット23は、前記チャンパー211における前記駆動ユニット22から離れた1つの側壁に設置され、前記頭部511の1つの側面に対向し、もう1つのクランプユニット23は、前記駆動ユニット22の駆動ロッド221に設置され、前記頭部511のもう1つの側面に対向する。好ましくは、
図5に示すように、本発明の列車早期警告ブレーキシステムは、前記列車40のそれぞれのボギー42に2つの補助ブレーキモジュール20が設置されることにより、前記2つの補助ブレーキモジュール20がそれぞれ前記軌道50の2つのレール51に設置されている。
【0014】
比較的好ましくは、前記駆動ユニット22は、空気圧制動、油圧モータ又は磁気等により必要な動力を提供することができる。かつ、前記補助ブレーキモジュール20は、前記列車40のブレーキシュー制動(制輪子制動)、ディスクブレーキ及び磁気ブレーキシステムと組み合わせることができ、又は、単独で使用することができ、又は、非常ブレーキとして使用することができる。前記補助ブレーキモジュール20は、前記列車40の前部、後部又は各車両に設置することができ、必要に応じて同期的に又は順次に動作することができる。更に、前記補助ブレーキモジュール20は、アンチロックブレーキシステム(anti-lock brake system、ABS)を有し、過剰な制動力による滑りやレール51の損傷を避けるように、断続的に始動することができる。また、前記補助ブレーキモジュール20が補助ブレーキを行うことにより、レール51が移動されることを避けるために、前記軌道50の建設時に当該軌道50の基礎構造を強化してもよい。
【0015】
図7に示す補助ブレーキモジュールの第一の好適な実施例が用いられる場合、列車40は、空気圧制動システムによりブレーキをかけるとき、前記制御システム41により前記駆動ユニット22に対して同期的に動作を行うことができる。これにより、前記駆動ロッド221は、対応するレール51の頭部511に向かって移動して近づくことで、前記レール51の頭部511の2つの側面が前記2つのクランプユニット23にクランプされ、前記2つのクランプユニット23によるクランプ摩擦によって、前記列車40に補助ブレーキの効果を提供し、列車40がブレーキをかけるのに必要とする距離及び反応時間を短縮するだけでなく、列車40のブレーキの精度及び安全性を効果的に高めることができる。
【0016】
図8に示す補助ブレーキモジュール20Aの第二の好適な実施例と、
図6及び
図7に示す第一の好適な実施例との違いは、次の通りである。即ち、当該第二の好適な実施例においては、前記本体21Aの底部が舟状構造となっており、レール51の分岐器断端に接触すると、自動的に上昇してレール51にスライドして離れて、破断したレール51のところで引っかかることを回避できる。また、前記本体21Aの開口212Aは、前記チャンパー211Aと同じ断面を有し、対応するレール51の頭部511を前記本体21Aのチャンパー211A内に設置させる。本発明の補助ブレーキモジュール20Aの第二の好適な実施例が用いられる場合、その操作原理及び動作方式は、第一の好適な実施例と同じであるため、ここでは、繰り返して説明しない。
【0017】
図9及び
図10に示す補助ブレーキモジュール20Bの第三の好適な実施例と、
図6及び
図7に示す第一の好適な実施例との違いは、次の通りである。即ち、当該第三の好適な実施例においては、前記本体21Bには、昇降ロッド213Bが設置されている。前記昇降ロッド213Bは、対応するレール51に近づいたり離れたりするように、前記軌道50の方向へ移動することにより、前記本体21Bのチャンパー211B内に位置する駆動ユニット22B及びクランプユニット23Bを前記昇降ロッ213Bに伴って対応するレール51に近づいたり離れたりするようにさせることができる。本発明の補助ブレーキモジュール20Bの第三の好適な実施例が用いられる場合、列車40は、空気圧制動システムによりブレーキをかけるとき、前記制御システム41により前記昇降ロッド213Bが下へ動作するように同期的に駆動することで、前記2つのクランプユニット23Bがそれぞれ対応するレール51の頭部511の両側に移動し、前記駆動ユニット22Bが動作するように駆動することで、前記駆動ロッド221Bが対応するレール51の頭部511に向かって移動して近づくことができる。これにより、前記レール51の頭部511の2つの側面が前記2つのクランプユニット23Bにクランプされ、前記2つのクランプユニット23Bによるクランプ摩擦により、前記列車40に補助ブレーキの効果を提供する。また、本発明の補助ブレーキモジュール20Bの第三の好適な実施例が用いられる場合、前記昇降ロッド213Bが伸張状態を維持することにより、前記2つのクランプユニット23Bが対応するレール51の両側に保持される。又は、上述したように、
図11に示すように、前記昇降ロッド213Bが収縮状態であり、ブレーキが必要になるとき、前記制御システム41により駆動されると、前記昇降ロッド213Bが下へ動作することにより、前記2つのクランプユニット23Bが対応するレール51の両側に移動する。
図6及び
図9に示すように、前記少なくとも1つのカメラユニット16は、前記軌道50の2つのレール51を撮影して取り込むように、前記列車40のボギー42に設置することができる。
【0018】
図12に示す補助ブレーキモジュール20Cの第四の好適な実施例と、
図9及び
図10に示す第三の好適な実施例との違いは、次の通りである。即ち、当該第四の好適な実施例においては、それぞれの前記クランプユニット23Cは、L字形の断面を有することにより、それぞれの前記クランプユニット23Cは、対応するレール51の頭部511の側面及び上面に接触する。これにより、摩擦面積が増え、列車40のブレーキ力が高まり、ブレーキに必要とする距離を短縮することができる。更に、L字形の断面を有するクランプユニット23Cは、本発明の上述した第一~第三の好適な実施例にも適用でき、ここでは、制限しない。更に、本発明の補助ブレーキモジュール20Cの第四の好適な実施例が用いられる場合、その操作原理及び動作方式は、第三の好適な実施例と同じであり、ここでは、説明しない。
【0019】
図13に示す補助ブレーキモジュールの第五の好適な実施例と、
図8及び
図9に示す第二及び第三の好適な実施例との違いは、次の通りである。即ち、当該第五の好適な実施例においては、前記軌道50のそれぞれのレール51には、間隔を空ける複数の補助ブレーキモジュール20A、20Bが設置されている。前記複数の補助ブレーキモジュール20A、20Bは、上述した第一~第四の好適な実施例のうちの1つの補助ブレーキモジュール20、20A、20B、20Cであってもよい。それぞれの前記レール51に位置する前記複数の補助ブレーキモジュール20、20A、20B、20Cは、同じ構造又は異なる構造である補助ブレーキモジュール20、20A、20B、20Cであっても良く、ここでは、制限しない。更に、上述したそれぞれの補助ブレーキモジュール20、20A、20B、20Cは、利用者のニーズ及び列車40のタイプ又は構造により、前記列車40の下方又は前記ボギー42に設置されてもよい。
【0020】
上述した技術特徴によれば、本発明の列車早期警告ブレーキシステムが用いられる場合、
図2、
図5及び
図14に示すように、前記画像監視モジュール10は、前記列車40が通過していない軌道50の相対的な位置にあり、前記相対的な位置及び前記相対的な位置の前方の複数の画像取込ユニット11のカメラ15によって取り込まれた画像を、前記列車40に位置するそれぞれの前記表示ユニット12に送信するので、運転士は、それぞれの相対的な位置の画像結果により、安全上の懸念からブレーキをかける必要があるか否かを判断することができる。また、同時に補助ユニット13と連携し、不定点の方式で関連画像を取り込むことができる。故に、運転士は、列車40の走行方向の環境状況を確認及び把握することができる。また、列車40の走行方向に従って、前方のそれぞれの線路区間の画像が前記列車40及び前記交通制御センター60のそれぞれの表示ユニット12に順次に提供されるので、人間の判断及び人工知能コンピューターが履歴ファイルデータの判断を行うことにより、運転士は、列車40の前方の線路状況をリアルタイム且つ正確に把握することができる。前記列車40の走行方向にある画像取込ユニット11が列車40の安全に影響を与える障害物70を取り込んだ場合、運転士は、十分な時間及び距離の前でブレーキをかけることができるので、緊急状況又は至近距離の事故の発生を効果的に回避し、リアルタイムでブレーキをかける効果を効果的に実現することができる。また、ブレーキをかけるプロセスにおいては、
図7、
図8、
図10及び
図13に示すように、前記制御システム41により、それぞれのボギー42の補助ブレーキモジュール20、20A、20B、20Cを駆動することで、それぞれの前記補助ブレーキモジュール20、20A、20B、20Cの駆動ユニット22、22Bを動作させ、前記2つのクランプユニット23、23B、23Cが対応するレール51の頭部511の2つの側面に対してクランプ摩擦を行い、補助のブレーキ効果を提供することができるので、列車40は、より短い時間及び距離で安全かつ効果的なブレーキ効果を迅速に達成することができ、列車運転の安全制御をリアルタイムでかつ迅速に行うことができ、早期警告効果を有し、運転の安全性を高め、補助ブレーキ効果を提供する列車早期警告ブレーキシステムを有効的に提供することができる。
【0021】
更に、それぞれの前記補助ブレーキモジュール20、20A、20B、20Cが軌道50の分岐器のところで動作して効果的にブレーキをかけることができなくなることを防止するために、前記画像監視モジュール10のそれぞれの前記撮影ユニット16により前記軌道50の画像を提供することにより、又は、それぞれの前記レール51上に予め設定されている位置感知送信装置により、前記補助ブレーキモジュール20、20A、20B、20Cが前記分岐器のレール破断のところでブレーキをかけると判断した場合、前記分岐器のところでそれぞれの駆動ユニット22、22Bが動作するように駆動することをせず、前記分岐器のレール破断のところを避けてからブレーキ動作を行い、誤クランプ又は前記補助ブレーキモジュール20、20A、20B、20Cが分岐器と衝突することによって前記列車40が脱線してしまうことの発生を回避することができる。
【0022】
図5及び
図15に示すように、本発明の列車早期警告ブレーキシステムは、軌道検出モジュール30が更に設置されている。前記軌道検出モジュール30は、軌道50の2つのレール51が破損又は湾曲変形しているか否かを検知するように、前記軌道50の2つのレール51の両側に設置されている。前記軌道検出モジュール30は、前記列車40の制御システム41及び前記交通制御センター60に接続され、前記2つのレール51を検知する結果を、前記制御システム41及び前記交通制御センター60に送信する。これにより、列車の運転士及び交通制御センター60の人員に軌道50の状況の監視及び確認を提供する。前記軌道検出モジュール30には、複数のセンサー31が設置されている。前記複数のセンサー31は、対応するレール51の形状が異常(断裂又は湾曲等)であるか否かを検知するように、間隔を空けて前記2つのレール51の1つの側に設置されている。また、
図16に示すように、踏切の両側には、それぞれ少なくとも1つの前記画像取込ユニット11が設置されている。又は、道路方向の両側の方向には、それぞれ少なくとも1つの前記画像取込ユニット11が設置されている。前記画像取込ユニット11の2つのカメラ15は、それぞれ前記軌道50の異なる方向に向けている。それぞれの固定ロッド14には、光又は音等の警告装置18が設置されている。前記軌道50上には、動物、歩行者又は車両等の障害物がある場合、前記警告装置18により追い払う効果を提供することができる。また、前記画像監視モジュール10のそれぞれの前記画像取込ユニット11は、前記軌道50の周囲の斜面滑り状況及び橋梁状況を撮影して取り込み、前記列車40及び前記交通制御センター60に送信することにより、斜面滑り状況及び橋梁状況の監視効果を提供する。
【0023】
また、本発明の列車早期警告ブレーキシステムは、5G伝送等の無線伝送方式、列車40の走行線路上における有線接触式伝送、例えば、電力供給システムにおける搬送波方式又は軌道50における有線式伝送により伝送することができる。これにより、画像及び信号を、前記交通制御センター60及び前記列車40の制御システム41に送信し、前記列車40がトンネル内に移動した際に、無線信号伝送に障害が生じる時、有線接触式伝送に切り替えられ、信号の伝送に支障をきたすことがないことが保障できる。また、無線方式で信号伝送を行う際に、軌道50の線路に合わせて通信基地局を用いて信号を伝送しても良く、無線電信局又は通信の基地局又は無線の衛星を用いて信号を伝送しても良い。
【0024】
上述した内容は、本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を制限しない。当業者は、本発明による技術案の範囲内から逸脱しない限り、本発明に開示する技術内容を用いて一部の変更又は修飾を行う等価実施例が本発明の技術案の内容を超えず、何れも本発明の技術案の範囲内に属する。