(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096047
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】水系組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/92 20060101AFI20240704BHJP
A61K 8/87 20060101ALI20240704BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240704BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20240704BHJP
A61Q 1/10 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
A61K8/92
A61K8/87
A61K8/34
A61K8/86
A61Q1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023219516
(22)【出願日】2023-12-26
(31)【優先権主張番号】P 2022212806
(32)【優先日】2022-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(72)【発明者】
【氏名】木村 孝行
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA082
4C083AA121
4C083AA122
4C083AB152
4C083AB172
4C083AB232
4C083AB432
4C083AC101
4C083AC102
4C083AC111
4C083AC122
4C083AC402
4C083AC542
4C083AC792
4C083AC852
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD092
4C083CC02
4C083CC03
4C083CC13
4C083CC14
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD33
4C083DD41
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】
べたつきのなさ、ツヤ感及び耐擦れ性に優れた水系組成物を提供すること。
【解決手段】次の成分(A)~(C):
(A)25℃で固体又は半固体のポリオキシアルキレン化ワックス
(B)疎水変性ポリエーテルウレタン
(C)水及びエタノールからなる群から選ばれる1種又は2種以上
を含有する水系組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(C);
(A)25℃で固体又は半固体のポリオキシアルキレン化ワックス
(B)疎水変性ポリエーテルウレタン
(C)水及びエタノールからなる群から選ばれる1種又は2種以上
を含有する水系組成物。
【請求項2】
前記成分(A)がポリオキシエチレン化ワックスである請求項1に記載の水系組成物。
【請求項3】
前記成分(B)がポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとの反応によって得られる疎水変性ポリエーテルウレタンであり、前記ポリエーテルポリオールがポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールからなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項1又は2に記載の水系組成物。
【請求項4】
さらに成分(D)多価アルコールを含有する請求項1又は2に記載の水系組成物。
【請求項5】
前記成分(B)の前記成分(A)に対する含有質量割合(B)/(A)が0.025~0.4である請求項1又は2に記載の水系組成物。
【請求項6】
前記成分(C)の前記成分(A)に対する含有質量割合(C)/(A)が0.5~45である請求項1又は2に記載の水系組成物。
【請求項7】
前記成分(B)が(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー及び(PPG-17/IPDI/DMPA)コポリマーから選ばれる1種又は2種以上である請求項1又は2に記載の水系組成物。
【請求項8】
前記水系組成物が化粧料である請求項1又は2に記載の水系組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水系組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、水系組成物は、みずみずしい感触が広く支持される一方で、汗や涙などに馴染みやすい。特に水系化粧料とした際には、指等による擦れによって化粧膜が崩れてしまい化粧持ちが良くないとされている。化粧持ちを良くするための技術としては、エマルションポリマーの配合や、油性成分を乳化することが挙げられるが、それぞれべたつきが生じる場合や、ツヤ感が損なわれる場合があり、化粧持ちとの両立に課題があった。
【0003】
水系組成物のべたつきを抑える方法として、連続相となる水相と、10質量%~45質量%の粉体と、0.7質量%以上の増粘剤と、を含有し、前記増粘剤は、2-アクリルアミド-2-メチルスルホン酸又はその塩を構成成分として有するポリマーであり、油性成分が組成物の質量に対して15質量%以下である、粉体含有水系組成物(例えば、特許文献1)が知られており、ツヤ感を高める方法として、アクリル系高分子樹脂を配合する方法(例えば、特許文献2)等が知られている。
【0004】
【特許文献1】特開2019-31456号公報
【特許文献2】特開2016-41674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1においては、水系組成物のべたつきは抑えられるものの、ツヤ感に劣る場合があった。また、特許文献2においては、ツヤ感は高められるもののべたつきのなさに劣る場合があった。
【0006】
したがって、本発明は、べたつきのなさ、ツヤ感に優れ、さらに耐擦れ性に優れた水系組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、25℃で固体又は半固体のポリオキシアルキレン化ワックス、疎水変性ポリエーテルウレタン、水及びエタノールからなる群から選ばれる1種または2種以上を組み合わせた水系組成物が、べたつきのなさ、ツヤ感及び耐擦れ性に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち本発明は、
[1]
次の成分(A)~(C);
(A)25℃で固体又は半固体のポリオキシアルキレン化ワックス
(B)疎水変性ポリエーテルウレタン
(C)水及びエタノールからなる群から選ばれる1種又は2種
を含有する水系組成物を提供するものである。
[2]
前記成分(A)が、ポリオキシエチレン化ワックスである[1]に記載の水系組成物を提供するものである。
[3]
前記成分(B)が、ポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとの反応によって得られる疎水変性ポリエーテルウレタンであり、前記ポリエーテルポリオールがポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールからなる群から選ばれる1種又は2種以上である[1]又は[2]に記載の水系組成物を提供するものである。
[4]
さらに成分(D)多価アルコールを含有する[1]又は[2]に記載の水系組成物を提供するものである。
[5]
前記成分(B)の前記成分(A)に対する含有質量割合(B)/(A)が、0.025~0.4である[1]又は[2]に記載の水系組成物を提供するものである。
[6]
前記成分(C)の前記成分(A)に対する含有質量割合(C)/(A)が、0.5~45である[1]又は[2]に記載の水系組成物を提供するものである。
[7]
前記成分(B)が、(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー及び(PPG-17/IPDI/DMPA)コポリマーから選ばれる1種又は2種以上である[1]又は[2]に記載の水系組成物を提供するものである。
[8]
前記水系組成物が、化粧料である[1]又は[2]に記載の水系組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の水系組成物は、べたつきのなさ、ツヤ感及び耐擦れ性に優れるものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において「%」は特に断りのない限り「質量%」を意味する。また「~」を用いて数値範囲を表す場合、その範囲は両端の数値を含むものとする。
【0011】
本発明に用いられる成分(A)は、25℃で固体または半固体のポリオキシアルキレン化ワックスである。ポリオキシアルキレン化ワックスとは、ポリオキシアルキレン化されたワックスであり、通常の化粧料に用いられるものであればいずれのものも用いることができ、1種または2種以上を組わせて配合してもよい。また、本発明において固体または半固体とは、25℃の粘度が5000mPa・s以上のものを意味する。
【0012】
具体的には、ステアリン酸、ホホバ油、水添ホホバ油、水添パーム油、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、モクロウ、ヒマワリワックス、コメヌカロウ等の植物脂、動物脂、及びこれら混合物とのポリオキシアルキレン付加物が挙げられる。耐擦れ性等の観点から、ステアリン酸、ホホバ油、水添ホホバ油、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックスのポリオキシアルキレン付加物が好ましい。ポリオキシアルキレンとしては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン等が挙げられ、特に限定はされないが、耐擦れ性等の観点から、ポリオキシエチレンが好ましい。成分名としては、ステアリン酸PEG-6(HLB=10)、PEG-8ミツロウ(HLB=9.4)、ホホバワックスPEG-80エステルズ(HLB=17)、ホホバワックスPEG-120エステルズ(HLB=18)、ホホバ油PEG-150エステルズ(HLB=18.3)が好ましく、ホホバワックスPEG-80エステルズ(HLB=17)、ホホバワックスPEG-120エステルズ、ホホバ油PEG-150エステルズがより好ましい。
【0013】
成分(A)のHLBは下限として、9以上が好ましく、12以上がより好ましく、15以上が更に好ましく、上限として、19以下が好ましく、18.5以下がより好ましく、18以下が更に好ましい。この範囲であれば、成分(B)、(C)との相互作用により、耐擦れ性、塗布膜のツヤ感、べたつきのなさが向上するため好ましい。
【0014】
ここで、本発明におけるHLB(Hydphile-Lipophile Balance)とは、親水性-親油性のバランスを示す指標であり、小田・寺村らによる下記(式1)で計算されるものである。
【0015】
HLB=(Σ無機性値/Σ有機性)×10・・・(式1)
【0016】
ここで、Σ無機性値/Σ有機性は、IOB(Inorganic-Organicbalance)と呼ばれ、各種原子及び官能基毎に設定された「無機性値」、「有機性値」に基づいて、界面活性剤等の有機化合物を構成する原子及び官能基の「無機性値」、「有機性値」を積算することにより算出することができる(甲田善生著、「有機概念図-基礎と応用-」、11~17頁、三共出版、1984年発行参照)
【0017】
本発明における成分(A)の含有量は、特に限定されないが、下限として、1.0%以上が好ましく、3.0%以上がより好ましく、5.0%以上が更に好ましく、上限として、40.0%以下が好ましく、30.0%以下がより好ましく、15.0%以下が更に好ましい。また、3.0%~40.0%が好ましく、5.0%~30.0%がより好ましく、5.0%~15.0%がさらにより好ましい。この範囲であれば、べたつきのなさを損なうことなく耐擦れ性に優れるため好ましい。
【0018】
本発明に用いられる成分(B)は、疎水変性ポリエーテルウレタンである。疎水変性ポリエーテルウレタンは、親水基としてのポリエーテル部分と、末端に疎水性部分をもつ両親媒性コポリマーであり、水性媒体中でコポリマーの疎水性部分同士が会合し増粘作用を示す会合性増粘剤であれば、特に限定されないが、例えば、下記一般式(1)で表わされるもの等が挙げられる。
R1─{(O─R2)k─OCONH─R3[─NHCOO─(R4─O)n─R5]h}m (1)
【0019】
上記式(1)中、R1、R2およびR4は、互いに同一でも異なっても良い炭化水素基を表し、R3はウレタン結合を有していても良い炭化水素基を表し、R5は直鎖、分岐鎖または2級の炭化水素基を表し、mは2以上の数であり、hは1以上の数であり、kおよびnは独立に0~1000の範囲の数である。R1、R2およびR4の炭素数は2~4、R3の炭素数は1~10、R5の炭素数は8~36であることが好適である。またmは好ましくは2、hは好ましくは1であり、kは1~500が好ましく、100~300がより好ましく、100~150が更により好ましい。またnは1~200が好ましく、10~100がより好ましく、10~50が更により好ましい。
【0020】
上記一般式(1)で表される疎水変性ポリエーテルウレタンは、例えばR1-[(O-R2)k-OH]mで表される1種または2種以上のポリエーテルポリオールと、R3-(NCO)h+1で表される1種または2種以上のポリイソシアネートと、HO-(R4-O)n-R5で表される1種または2種以上のポリエーテルモノアルコールとを反応させることにより得ることができる。ポリエーテルポリオールは、ポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールが好ましく、ポリエチレングリコールがより好ましい。
【0021】
この場合、一般式(1)中のR1~R5は、用いるR1-[(O-R2)k-OH]m、R3-(NCO)h+1、HO-(R4-O)n-R5により決定される。3者の仕込み比は、特に限定されないが、ポリエーテルポリオールおよびポリエーテルモノアルコール由来の水酸基と、ポリイソシアネート由来のイソシアネート基の比が、NCO/OH=0.8:1~1.4:1であることが好ましい。
【0022】
本発明に用いられる成分(B)としては、具体的には、(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー、(PPG-17/IPDI/DMPA)コポリマー等が挙げられる。このような疎水変性ポリエーテルウレタンの市販品としては、例えば、PEG-240/デシルテトラデセス-20/ヘキサメチレンジイソシアネートコポリマーである「アデカノールGT-700」(ADEKA社製)等が挙げられる。「アデカノールGT-700」は、上記一般式(1)において、R1、R2、R4が炭素数2、R3が炭素数6、R5が炭素数24の炭化水素基であり、m=2、h=1、k=120、n=20の化合物に相当する。
【0023】
本発明における成分(B)の含有量は、特に限定されないが、下限として、0.1%以上が好ましく、1.0%以上がより好ましい。上限として、6.0%以下が好ましく、4.0%以下がより好ましい。また、0.1%~6.0%が好ましく、1.0%~4.0%がより好ましい。この範囲であれば、べたつきのなさに優れるため好ましい。
【0024】
また前記成分(B)の前記成分(A)に対する含有質量割合(B)/(A)は0.025~0.4とすることが好ましく、0.065~0.27することがより好ましい。この範囲であると、べたつきのなさ、塗布膜のツヤ感、耐擦れ性に優れる。
【0025】
本発明に用いられる成分(C)は、水及びエタノールからなる群から選ばれる1種又は2種以上である。通常の化粧料に用いられるものであればいずれのものも用いることができ、1種または2種を組みあわせて配合してもよいが、少なくとも水を含有することが好ましい。水としては、具体的には、脱イオン水、蒸留水、精製水、温泉水や、ローズ水、ラベンダー水等の植物由来の水蒸気蒸留水等が挙げられる。
【0026】
本発明における成分(C)の含有量は特に制限されるものではないが、下限値として、7.5%以上が好ましく、15.0%以上がより好ましい。また、上限値として、75.0%以下が好ましく、45.0%以下がより好ましい。また、7.5~75.0%が好ましく、15.0~45.0%がより好ましい。この範囲であればべたつきのなさにより優れるため、より好ましい。
【0027】
また前記成分(C)の前記成分(A)に対する含有質量割合(C)/(A)は0.5~45とすることが好ましく、1~15とすることがより好ましい。このような範囲であると、べたつきのなさにより優れる。
【0028】
本発明の水系組成物は、さらに成分(D)多価アルコールを含有することで、ツヤ感をより向上することができる。成分(D)は、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されず、具体的にはグリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、カプリリルグリコール、1,3-ブチレングリコールなどが例示される。中でも、炭素数10以下の多価アルコールであることが好ましい。さらに、その中でもIOB値が3以下のものが好ましく、2以下のものがより好ましい。具体的にはジプロピレングリコール(IOB=1.8)、トリプロピレングリコール(IOB=1.9)、ペンチレングリコール(IOB=2)、1,3-ブチレングリコール(IOB=2.5)などがあげられる。
【0029】
本発明の化粧料における成分(D)の含有量は特に制限されるものではないが、下限値として、0.01%以上が好ましく、0.1%以上がより好ましく、0.3%以上が更により好ましい。また上限値として、70.0%以下が好ましく、45.0%以下がより好ましく、35.0%以下が更により好ましい。また、0.01%~70.0%が好ましく、0.1~45.0%がより好ましく、0.3%~35.0%が更により好ましい。この範囲であるとべたつきのなさ、塗布膜のツヤ感、耐擦れ性に優れる。
【0030】
本発明の水系組成物は、上記成分(A)~(D)以外の通常化粧料に含有される成分、例えば水溶性高分子、粉体、界面活性剤、油性成分、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、香料等を本発明の効果を妨げない範囲で含有することができる。
【0031】
水溶性高分子としては、特に限定されずに化粧料に通常使用される水溶性高分子であれば良く、例えば、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン等の天然系のもの、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム等を挙げることができる。
【0032】
粉体としては、化粧料に通常使用される粉体であれば、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、有機粉体類、色素粉体類、金属粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的に例示すれば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、チタン・酸化チタン焼結物、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、炭化珪素、ベントナイト、スメクタイト、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素等の白色体質粉体、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂等のコポリマー樹脂、ステアリン酸亜鉛、N-アシルリジン等の有機低分子性粉体、シルク粉末、セルロース粉末、デキストリン粉末等の天然有機粉体、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等や、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体あるいは更にアルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、ポリエステル、レーヨン、セルロース等の維等が挙げられる。これらはフッ素化合物、シリコ-ン油、粉体、油剤、ゲル化剤、エマルションポリマー、界面活性剤等で表面処理されていてもよい。これらを1種又は2種以上を用いることができ、更に複合化したものを用いても良い。
【0033】
界面活性剤としては、化粧料に通常使用される界面活性剤であればいずれのものも使用でき、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
【0034】
油性成分としては、化粧料に通常使用される油性成分であれば、いずれのものも使用でき、具体的に例示すれば、イソドデカン、イソヘキサデカン、軽質イソパラフィン、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、α-オレフィンオリゴマー、ポリブテン、流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、ポリイソブチレン、水添ポリイソブテン、アブラナ種子油、アボカド油、アルモンド油、アンズ核油、エゴマ油、オレンジ油、オリーブ油、キウイ種子油、ゴマ油、小麦胚芽油、米胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、セージ油、大豆油、チャ種子油、トウモロコシ油、ナタネ油、月見草油、ツバキ油、パーシック油、ハトムギ油、ピーナッツ油、ひまわり油、ブドウ種子油、メドウフォーム油、ローズマリー油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ラベンダー油、ローズヒップ油、ミンク油、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、2-エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、デカイソステアリン酸デカグリセリル(デカイソステアリン酸ポリグリセリル-10)、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリトリット、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリトリット、炭酸ジアルキル、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、オレイルアルコール、2-オクチルドデカノール、2-デシルテトラデカノール、イソステアリルアルコール、2-ヘキシルデカノール、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルトリメチコン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラトリフロロプロピルシクロテトラシロキサン、ペンタメチルペンタトリフロロプロピルシクロペンタシロキサン、ポリエーテル変性メチルポリシロキサン、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、サリチル酸エチルヘ キシルなどが挙げられる。
【0035】
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系等、例えば、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン、2,4,6-トリス[4-(2-エチルへキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン等を挙げることができる。
【0036】
酸化防止剤としては、例えばトコフェロール、アスコルビン酸等、美容成分としては例えばビタミン類、消炎剤、生薬等、防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、1,2-ペンタジオール等が挙げられる。
【0037】
本発明の水系組成物は色材を含有することが好ましい。色材としては、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されず、無機顔料、有機顔料、染料、光輝性粉体などがあげられる。具体的には酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、群青、酸化鉄、オキシ塩化ビスマス等の無機粉体類、有機タール系顔料、カルミン等の有機色素、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母チタン、酸化チタン被覆ガラス末、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末等の光輝性粉体などが例示される。これらの粉体は、1種又は2種以上を用いることができ、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、糖類、高級脂肪酸、アミノ酸類、界面活性剤等で表面処理を施してあってもよい。色材の含有量は、組成物中に下限値として0.001%以上が好ましく、0.5%以上がより好ましく、1.0%以上が更によりに好ましい。また上限値として15.0%以下が好ましく、10.0%以下がより好ましく、8.0%以下が更により好ましい。この範囲であると、化粧効果の発現が十分であり、耐擦れ性に優れる。
【0038】
本発明の水系組成物は、水性成分を主成分としたものであり、油性成分を含有しないか、含有するとしても1.0%未満であることが好ましく、剤型としては、水性、水中油型等が挙げられる。
【0039】
また、液状、ゲル状、乳液状、固形状等のいずれの形状にも限定されないが、25℃で流動性を有する液状であることが好ましい。
【0040】
本発明の水系組成物の用途は、特に限定されないが、皮膚外用剤または化粧料として用いることが好ましい。中でもアイカラー、口紅、リップグロス、リップクリーム、リップエッセンス、コンシーラー、メイク下地等のメークアップ化粧料に好適に用いることができ、べたつきのなさ、ツヤ感、耐擦れ性に優れることからアイカラーに特に好適に用いることができる。また、本発明の水系組成物を単独で化粧料として用いてもよく、化粧料の一部として用いてもよい。
【0041】
また、本発明は、以下の構成を採用することも可能である。
<1>
次の成分(A)~(C);
(A)25℃で固体又は半固体のポリオキシアルキレン化ワックス
(B)疎水変性ポリエーテルウレタン
(C)水及びエタノールからなる群から選ばれる1種又は2種
を含有する水系組成物。
<2>
前記成分(A)が、ポリオキシエチレン化ワックスである<1>に記載の水系組成物。
<3>
前記成分(B)が、ポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとの反応によって得られる疎水変性ポリエーテルウレタンであり、前記ポリエーテルポリオールがポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールからなる群から選ばれる1種又は2種以上である<1>又は<2>に記載の水系組成物。
<4>
さらに成分(D)多価アルコールを含有する<1>~<3>何れかに記載の水系組成物。
<5>
前記成分(B)の前記成分(A)に対する含有質量割合(B)/(A)が、0.025~0.4である<1>~<4>何れかに記載の水系組成物。
<6>
前記成分(C)の前記成分(A)に対する含有質量割合(C)/(A)が、0.5~45である<1>~<5>何れかに記載の水系組成物。
<7>
前記成分(B)が、(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー及び(PPG-17/IPDI/DMPA)コポリマーから選ばれる1種又は2種以上である<1>~<6>何れかに記載の水系組成物。
<8>
前記水系組成物が、化粧料である<1>~<7>何れかに記載の水系組成物。
【実施例0042】
以下に実施例をあげて本発明を詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するも
のではない。
【0043】
実施例1~20および比較例1~10:水系組成物(水性アイシャドウ)
下記表1~3に示す処方の水系組成物を以下の製法に従って調製し、下記評価方法に
よって、イ.耐擦れ性、ロ.塗布膜のツヤ感、ハ.べたつきのなさの各項目について評価した。結果も併せて表1~3に示す。
【0044】
【0045】
【0046】
【表3】
*1:FLORASOLVS JOJOBA-120 (HALLSTAR社製)
*2:FLORASOLVS JOJOBA-80 (HALLSTAR社製)
*3:FLORASOLVS PEG-150 HYDROGENATED JOJOBA (HALLSTAR社製)
*4:APIFIL CG (GATTEFOSSE社製)
*5:FLORASOLVS MACADAMIA-16 (HALLSTAR社製)
*6:WHITE BEES WAX(三木化学社製)
*7:DECAGLYN1-L(日本サーファクタント工業社製)
*8:NIKKOL Decaglyn 3-SV(日本サーファクタント工業社製)
*9:アデカノールGT-700(ADEKA社製)
*10:OILKEMIA 5S CC POLYMER(日本ルーブリゾール社製)
*11:CARBOPOL 1382(LUBRIZOL ADOVANCED MATERIALS A社製)
*12:D-400(根上工業社製)
【0047】
(製法)
A.成分(1)~(8)を65℃で溶融する。
B.成分(9)~(18)を40℃で均一に混合する。
C.A、B、成分(19)及び(20)を均一に混合する。
D.Cを容器に充填して水性組成物(水性アイシャドウ)を得た。
【0048】
(評価項目)
イ.耐擦れ性
(評価方法)
人工皮革(7cm×7cm)に10mgの前記水性アイシャドウを2cm×2cmの範囲に塗布した後、上から同じ大きさの人工皮革を重ね、0.1kgf/cm2の圧力をかけながら、50回擦る動作を加え、動きを加えた後の塗布膜の状態を化粧品評価専門パネル10名が以下の評価基準に従って5段階評価し評点をつけ、全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。
(評価基準)
(評点):(評価)
5 :塗布膜がまったく崩れていない
4 :塗布膜がほとんど崩れていない
3 :塗布膜がやや崩れている
2 :塗布膜が崩れている
1 :塗布膜が顕著に崩れている
(判定基準)
(判定):(評点の平均点)
◎ :4.5点を超える
○ :3.5点を超え、4.5点以下
△ :2.5点を超え、3.5点以下
× :2.5点以下
【0049】
(評価項目)
ロ.塗布膜のツヤ感
(評価方法)
化粧料評価専門パネル10名による前記水性アイシャドウの使用テストを行った。パネル各人が下記評価基準にて「塗布膜のツヤ感」について、化粧料の塗布時において5段階に評価し評点をつけ、パネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記判定基準により判定をした。
(評価基準)
(評点):(評価)
5 :非常に良い
4 :良い
3 :普通
2 :悪い
1 :非常に悪い
(判定基準)
(判定):(評点の平均点)
◎ :4.5点を超える
○ :3.5点を超え、4.5点以下
△ :2.5点を超え、3.5点以下
× :2.5点以下
【0050】
(評価項目)
ハ.べたつきのなさ
(評価方法)
化粧料評価専門パネル10名による前記水性アイシャドウの使用テストを行った。パネル各人が下記評価基準にて「べたつきのなさ」について、化粧料の塗布時において5段階に評価し評点をつけ、パネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記判定基準により判定をした。
(評価基準)
(評点):(評価)
5 :非常に良い
4 :良い
3 :普通
2 :悪い
1 :非常に悪い
(判定基準)
(判定):(評点の平均点)
◎ :4.5点を超える
○ :3.5点を超え、4.5点以下
△ :2.5点を超え、3.5点以下
× :2.5点以下
【0051】
表1~3より、実施例1~20の水系組成物は耐擦れ性、塗布膜のツヤ感、べたつきのなさに優れたものであった。
一方、表3に示すように、成分(A)を含有しない比較例1では、耐擦れ性、塗布膜のツヤ感において満足いくものが得られなかった。成分(A)の代わりに、液状の、またはオキシアルキレン基が導入されていないものを用いた比較例2~5では、特に耐擦れ性に劣り、べたつきのなさも満足いくものが得られなかった。成分(B)を含有しない比較例6では、耐擦れ性、塗布膜のツヤ感、べたつきのなさの全てにおいて満足いくものが得られなかった。成分(B)の代わりに油溶性のポリウレタンや(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーを用いた比較例7および8では、耐擦れ性、塗布膜のツヤ感において満足いくものが得られなかった。成分(B)の代わりに粉体である(HDI/トリメチロールヘキシルラクトン)クロスポリマーを用いた比較例9では、特に塗布膜のツヤ感に劣り、耐擦れ性も満足いくものが得られなかった。成分(C)を含有しない比較例10では、耐擦れ性、塗布膜のツヤ感、べたつきのなさの全てにおいて満足いくものが得られなかった。
【0052】
実施例21:リキッドルージュ
下記の処方および製法によりリキッドルージュを製造した。
(成分) (%)
1.ホホバワックスPEG-120エステルズ 8.0
2.PEG-8ミツロウ 2.0
3.PEG-240/デシルテトラデセス-20/ヘキサメチレンジイソシアネートコ
ポリマー 0.50
4.(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー *13
0.20
5.トリエタノールアミン *14 2.0
6.精製水 15.0
7.エタノール 15.0
8.ジプロピレングリコール 25.0
9.トリプロピレングリコール 残量
10.酸化鉄 4.0
11.赤227 3.0
12.酸化チタン被覆ガラスパール *15 2.5
13.酸化チタン被覆パール *16 2.5
*13:CARBOPOL 1382(LUBRIZOL ADOVANCED MATERIALS社製)
*14:TRIETHANOLAMINE CARE(BASF社製)
*15:メタシャインMT1080RR(日本板硝子社製)
*16:FLAMENCO SPARKLE GOLD 220J(BASF社製)
【0053】
(製造方法)
A.成分(1)、(2)を65℃で溶融する。
B.成分(3)~(9)を40℃で均一に混合する。
C.A、B、成分(10)~(13)を均一に混合する。
D.Cを容器に充填してリキッドルージュを得た。
以上のようにして得られたリキッドルージュは、耐擦れ性、塗布膜のツヤ感、べたつきのなさのすべての点で満足のいくものであった。
【0054】
実施例22:アイライナー
下記の処方および製法によりアイライナーを製造した。
(成分) (%)
1.ホホバワックスPEG-80エステルズ 4.0
2.ホホバ油PEG-150エステルズ 4.0
3.PEG-240/デシルテトラデセス-20/ヘキサメチレンジイソシアネートコ
ポリマー 2.0
4.精製水 50.0
5.エタノール 7.0
6.ジプロピレングリコール 1.0
7.1,3-ブチレングリコール 残量
8.酸化鉄 5.0
9.赤227 0.5
10.黄4 1.50
11.青1 0.50
12.アクリレーツコポリマー(固形分45%、精製水55%) *17 10.0
*17 YODOSOL GH800F(ヌーリオン・ジャパン社製)
【0055】
(製造方法)
A.成分(1)、(2)を65℃で溶融する。
B.成分(3)~(7)を40℃で均一に混合する。
C.A、B、成分(8)~(12)を均一に混合する。
D.Cを容器に充填してアイライナーを得た。
以上のようにして得られたアイライナーは、耐擦れ性、塗布膜のツヤ感、べたつきのなさのすべての点で満足のいくものであった。
【0056】
実施例23:コンシーラー
下記の処方および製法によりコンシーラーを製造した。
(成分) (%)
1.ホホバワックスPEG-120エステルズ 4.0
2.ホホバ油PEG-80エステルズ 4.0
3.PEG-240/デシルテトラデセス-20/ヘキサメチレンジイソシアネートコ
ポリマー 2.0
4.精製水 20.0
5.エタノール 15.0
6.トリプロピレングリコール 残量
7.1,3-ブチレングリコール 5.0
8.微粒子酸化チタン *18 3.0
9.酸化鉄 5.0
10.窒化ホウ素 *19 10.0
11.シリカ *20 15.0
12.タルク 5.0
*18:MICRO TITANIUM DIOXIDE MT-500SA(テイカ社製)
*19:CCS102-JA BORON NITRIDE POWDER(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
*20:サンスフェアNP-30(AGCエスアイテック社製)
【0057】
(製造方法)
A.成分(1)、(2)を65℃で溶融する。
B.成分(3)~(7)を40℃で均一に混合する。
C.A、B、成分(8)~(12)を均一に混合する。
D.Cを容器に充填してコンシーラーを得た。
以上のようにして得られたコンシーラーは、耐擦れ性、塗布膜のツヤ感、べたつきのなさのすべての点で満足のいくものであった。