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特開2024-9608生体情報記録装置及びそれに用いられる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009608
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】生体情報記録装置及びそれに用いられる方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/62 20130101AFI20240116BHJP
   A61B 5/332 20210101ALI20240116BHJP
   A61B 5/333 20210101ALI20240116BHJP
   G06F 21/56 20130101ALI20240116BHJP
【FI】
G06F21/62
A61B5/332
A61B5/333
G06F21/56 350
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111265
(22)【出願日】2022-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000112602
【氏名又は名称】フクダ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】勝俣 豪
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127BB03
4C127KK03
4C127KK05
(57)【要約】
【課題】生体情報記録装置の情報を有効活用して、回路負荷の小さいコンピューターウィルス対策を行うことができる、生体情報記録装置を提供すること。
【解決手段】生体情報記録装置は、生体情報を測定する測定部と、測定部による測定結果のデータを含む測定データファイルを格納するとともに、外部の情報処理装置から測定データファイルへのアクセスが可能である、ファイル格納部と、ファイル格納部に格納された測定データファイルを含むファイルの妥当性を判断する判断部と、判断部によってファイル格納部に妥当でないファイルが存在することを示す判断結果が得られた場合、外部の情報処理装置によるファイル格納部からのファイルの読み出しを無効とする制御部と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体情報を測定する測定部と、
前記測定部による測定結果のデータを含む測定データファイルを格納するとともに、外部の情報処理装置から前記測定データファイルへのアクセスが可能である、ファイル格納部と、
前記ファイル格納部に格納された前記測定データファイルを含むファイルの妥当性を判断する判断部と、
前記判断部によって前記ファイル格納部に妥当でないファイルが存在することを示す判断結果が得られた場合、前記外部の情報処理装置による前記ファイル格納部からのファイルの読み出しを無効とする制御部と、
を備える生体情報記録装置。
【請求項2】
前記判断部は、
前記ファイル格納部に、許可していない名前のファイルが存在する場合、
前記ファイル格納部に、想定される数以上のファイルが存在する場合、
前記ファイル格納部に格納されている前記測定データファイルの中に、更新日時が測定日時と異なる測定データファイルが存在する場合、
又は、
前記ファイル格納部に格納されている前記測定データファイルの中に、データ量が既定範囲外の測定データファイルが存在する場合に、
前記ファイル格納部に妥当でないファイルが存在することを示す判断結果を得る、
請求項1に記載の生体情報記録装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記判断部によって前記ファイル格納部に妥当でないファイルが存在することを示す判断結果が得られた場合であっても、ユーザー操作により、前記外部の情報処理装置による前記ファイル格納部の読み出しを許可するモードを有する、
請求項1に記載の生体情報記録装置。
【請求項4】
前記ファイル格納部は、前記情報処理装置からUSBマスストレージクラスの規格に準拠したファイルアクセスが可能なものである、
請求項1に記載の生体情報記録装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記外部の情報処理装置から前記ファイル格納部に格納されるドライブ管理用のシステムフォルダーと同一名の0バイトのダミーファイルを作成する、
請求項1に記載の生体情報記録装置。
【請求項6】
外部の情報処理装置からファイルへのアクセスが可能とされている生体情報記録装置に用いられる方法であって、
生体情報を測定するステップと、
測定結果のデータを含む測定データファイルを格納するステップと、
格納された前記測定データファイルを含むファイルの妥当性を判断するステップと、
妥当でないファイルが存在することを示す判断結果が得られた場合、前記外部の情報処理装置による前記測定データファイルの読み出しを無効とするステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、記録した生体情報を外部の情報処理装置に読み出し可能に格納する生体情報記録装置及びそれに用いられる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ホルター心電図などの小型で携帯可能な生体情報記録装置が数多く開発されている。この種の生体情報記録装置は、測定した生体情報を一旦ファイル形式でメモリなどに格納しておき、この生体情報を所定のタイミングで外部の情報処理装置に転送するものが多い。所定のタイミングとは、例えば生体情報記録装置にUSBケーブルなどによってパソコンなどの外部の情報処理装置が接続されたタイミングである。
【0003】
ホルター心電計の構成については、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-043068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、生体情報記録装置は、外部の情報処理装置とのデータ接続が可能である以上、コンピューターウィルスに感染するリスクがある。ホルター心電計などの生体情報記録装置は、被検者の負担とならように非常に小型化されており、回路規模も限定されている。そのため、この種の生体情報記録装置は、コンピューターウィルス対策がなされていないものが多い。なお、本明細書では、以下、「コンピューターウィルス」を単に「ウィルス」と呼ぶこととする。
【0006】
ウィルス除去を実現する一つの方法として、一般的なウィルス除去プログラムなどをダウンロードしてウィルスを除去することが考えられるが、小さな回路規模の生体情報記録装置に一般的なウィルス除去プログラムのような検出処理を適用することは現実的ではない。
【0007】
さらに、生体情報記録装置は、病院などの医療機関が患者に貸し出すような状況で使用される場合が多い。この場合、生体情報記録装置のウィルス除去を行おうとすると、医療機関は患者から生体情報記録装置が返却される度にウィルススキャン及び除去を行わなければならず、非常に煩雑である。
【0008】
実際には、このような事情があるので、ウィルス対策は、生体情報記録装置が接続される外部の情報処理装置に委ねられる。しかし、接続される情報処理装置にウィルス対策がなされているとは限らない。
【0009】
また、生体情報記録装置の生体情報の転送先の外部の情報処理装置は、ウィルスによる個人情報の流出が絶対にあってはならない、病院内ネットワークに接続されている場合が多い。このことを考えると、生体情報記録装置で何らかのウィルス対策がとられることが好ましい。
【0010】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、生体情報記録装置の情報を有効活用して、回路負荷の小さいウィルス対策を行うことができる、生体情報記録装置及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の生体情報記録装置の一つの態様は、
生体情報を測定する測定部と、
前記測定部による測定結果のデータを含む測定データファイルを格納するとともに、外部の情報処理装置から前記測定データファイルへのアクセスが可能である、ファイル格納部と、
前記ファイル格納部に格納された前記測定データファイルを含むファイルの妥当性を判断する判断部と、
前記判断部によって前記ファイル格納部に妥当でないファイルが存在することを示す判断結果が得られた場合、前記外部の情報処理装置による前記ファイル格納部からのファイルの読み出しを無効とする制御部と、
を備える。
【0012】
本発明の生体情報記録装置に用いられる方法の一つの態様は、
外部の情報処理装置からファイルへのアクセスが可能とされている生体情報記録装置に用いられる方法であって、
生体情報を測定するステップと、
測定結果のデータを含む測定データファイルを格納するステップと、
格納された前記測定データファイルを含むファイルの妥当性を判断するステップと、
妥当でないファイルが存在することを示す判断結果が得られた場合、前記外部の情報処理装置によるファイルの読み出しを無効とするステップと、
を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、生体情報記録装置の情報を有効活用して、回路負荷の小さいウィルス対策を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態に係るホルター心電計の全体構成の説明に供する図であり、ホルター心電計の心電図センサーシートへの取り付けの様子を示す図
図2】ホルター心電計の外観構成を示す図であり、図2Aはホルター心電計を表面側から見た斜視図、図2Bはホルター心電計を裏面側から見た斜視図
図3】ホルター心電計がUSBケーブルを介して外部の情報処理装置と接続された様子を示す図
図4】ホルター心電計の構成を示すブロック図
図5】実施の形態のウィルス対策処理の処理手順を示すフローチャート
図6図5の不明ファイル検出判断処理(ステップS12)の詳しい処理内容の例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
実施の形態では、本発明をホルター心電計に適用した例について説明する。ただし、本発明は、ホルター心電計に限らず、種々の生体情報記録装置に適用可能である。特に、小型でウェアラブルな生体情報記録装置に好適である。
【0017】
<全体構成>
図1及び図2は、実施の形態に係るホルター心電計100の全体構成の説明に供する図である。図1はホルター心電計100の心電図センサーシート200への取り付けの様子を示す図であり、図2はホルター心電計100の外観構成を示す図である。
【0018】
図1に示すように、ホルター心電計100は、心電図を測定するためのセンサーシート200に取り外し自在に取り付けられる。センサーシート200は、被検者の身体(図1の場合には胸部)に貼着される。センサーシート200は、心電図を測定するための電極211、212、213、及び、ホルター心電計100が取り付けられるコネクタ220が設けられている。図1の場合には、3個の電極211、212、213が設けられており、3個の電極211、212、213のうち、電極211、212は関電極であり、電極213は不関電極である。
【0019】
コネクタ220は、センサーシート200とホルター心電計100とを機械的及び電気的に接続する。各電極211、212、213とコネクタ220との間は配線によって電気的に接続されており、コネクタ220にホルター心電計100が取り付けられると、コネクタ220の端子とホルター心電計100の端子とが電気的に接続されることにより、ホルター心電計100が各電極211、212、213に電気的に接続される。
【0020】
図2Aはホルター心電計100を表面側から見た斜視図であり、図2Bはホルター心電計100を裏面側から見た斜視図である。ホルター心電計100の表面側には、イベントボタン101、LEDランプ102a、102b、102c等が設けられている。イベントボタン101は患者が例えば胸が痛むときに患者により押圧操作されるボタンであり、これにより患者に何らかの行動や症状があったことがイベントとしてホルター心電計100に記録される。LEDランプ102a、102b、102cのうち、例えばLEDランプ102aが緑色、LEDランプ102bがオレンジ色、LEDランプ102cが緑色に発光するようになっている。
【0021】
ホルター心電計100の側面には記録ボタン103が設けられており、ユーザーが記録ボタン103を操作することにより、ホルター心電計100は心電図の測定・記録を開始する。因みに、ホルター心電計100の電源がONされてから記録ボタン103を例えば15分間操作しなかった場合でも、自動的に心電図の記録を開始する。これにより、記録ボタン103の押し忘れによる記録漏れが防止される。また、記録を終了させる場合には、記録ボタン103とイベントボタン101を同時に長押しすればよい。
【0022】
ホルター心電計100の裏面側には、コネクタ110が設けられている。コネクタ110は、電極用端子部111と、USB端子部112と、を有する。
【0023】
図4は、ホルター心電計100の構成を示すブロック図である。ホルター心電計100は、バッテリ121、電極用端子部111、USB端子部112、電極用インターフェース(I/F)114、USB用I/F115、演算制御部としてのCPU122、USBコントローラ123、内部メモリ124、無線部125、USB接続検知部126、操作ボタン(イベントボタン101、記録ボタン103)及びLEDランプ102を有する。
【0024】
バッテリ121としては、ホルター心電計100を小型軽量化するためにボタン電池等の小型のバッテリが用いられている。
【0025】
CPU122は、CPU122に内蔵された内蔵メモリ(FRAM(登録商標))122aに格納されたソフトウェアプログラムに基づいて、ホルター心電計100の全体の動作を制御する。CPU122は、ソフトウェアプログラムに従って例えば心電図測定の動作、LEDランプ102の発光動作、無線部125による無線動作を制御する。CPU122は、生体情報(本実施の形態の場合、心電図)を測定する測定部122bとしての機能を有する。
【0026】
USBコントローラ(またはUSBドライバといってもよい)123は、USB端子部112にUSBケーブルが接続されたときに、接続先の電子機器との間でUSB規格に従ったデータ転送、及びバスパワーによる電子機器からホルター心電計100への給電等を行う。
【0027】
内部メモリ124には、測定データファイルが格納される。
【0028】
USBコントローラ123と内部メモリ124は、測定部122bによる測定結果のデータを含む測定データファイルを格納するとともに、外部の情報処理装置から自由にファイルの読み出し及び書き込みが可能である、ファイル格納部としての機能を有する。本実施の形態では、ファイル格納部は、USBマスストレージクラスの規格に準拠したものである。
【0029】
USB接続検知部126は、USBケーブルを介して外部の情報処理装置が接続されているか否かを、USB接続端子部112の電圧に基づいて検知する。すなわち、USB接続端子部112の電圧が所定閾値以上の場合に、USBケーブルを介して外部の情報処理装置が接続されていると検知する。
【0030】
図3は、ホルター心電計100がUSBケーブル300を介して外部の情報処理装置200と接続された様子を示す図である。情報処理装置200は、例えばパソコンやサーバーである。情報処理装置200は、例えば病院内ネットワークに接続されている。
【0031】
<ウィルス対策>
本実施の形態のホルター心電計100によるウィルス対策について詳しく説明する。
【0032】
ウィルス対策は、主にCPU122によって実現される。
【0033】
CPU122は、生体情報を測定する測定部122bとしての機能と、内部メモリ124に格納された測定データファイルを含むファイルの妥当性を判断する判断部122cとしての機能と、判断部122cによって内部メモリ124に妥当でないファイルが存在することを示す判断結果が得られた場合、外部の情報処理装置200による内部メモリ124からのファイルの読み出しを無効とする制御部122dとしての機能と、を有する。
【0034】
図5及び図6は、CPU122によって行われる、本実施の形態のウィルス対策処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0035】
まず、ステップS11において、CPU122は、USB接続検知部126の検知結果に基づいてUSBケーブル300が接続されたことを検知すると、ステップS12に移る。
【0036】
CPU112は、ステップS12において、不明ファイルを検出したか否か判断する。具体的には、CPU112の判断部122cが内部メモリ124に格納された測定データファイルを含むファイルに不明ファイルがあるか否かを判断する。この判断部122cの判断処理については、図6を用いて後に詳しく説明する。
【0037】
不明ファイルを検出しなかったと場合(ステップS12;NO)、ステップS15に移り、CPU112はUSB機能を有効化し、続くステップS16において、情報処理装置200が内部メモリ124内のファイルにアクセス可能な状態とする。具体的には、ステップS15において、CPU112は、USBコントローラ123を介してUSB用I/F115の通信ICの電源をON状態とすることにより、情報処理装置200側でホルター心電計100を認識できる状態、すなわち内部メモリ124内のファイルにアクセス可能な状態とする。続くステップS16において、CPU122は、USB接続中であることを表示する。具体的には、CPU122は、LED102a~102cのいずれかを発光させる。また、ホルター心電計が表示画面を有する場合にはUSB接続中であることを画面表示してもよい。
【0038】
これに対して、ステップS12において、不明ファイルを検出した場合(ステップS12;YES)、CPU112は、ステップS13に移り、USB機能を無効化する。具体的には、CPU112は、ステップS13において、USBコントローラ123を介してUSB用I/F115の通信ICの電源をOFF状態とすることにより、情報処理装置200側でホルター心電計100を認識できない状態、すなわち内部メモリ124内のファイルにアクセスが不可能な状態とする。これにより、内部メモリ124からのファイルの読み出しが無効とされる。
【0039】
続くステップS14において、CPU122は、エラー表示を行う。例えば、CPU122は、エラー表示としてLED102a~102cのいずれかを発光させる。また、ホルター心電計が表示画面を有する場合にはウィルス感染している可能性が高いことを画面表示してエラー表示を行ってもよい。
【0040】
このように、本実施の形態のホルター心電計100は、不明なファイルを検出すると、外部の情報処理装置200からアクセスを不可能な状態としてファイルの読み出しを禁止する。これにより、ホルター心電計100から情報処理装置200へのウィルスの拡散を防止できる。
【0041】
図6は、図5の不明ファイル検出判断処理(ステップS12)の詳しい処理内容の例を示すフローチャートである。
【0042】
まず、ステップS21において、判断部122cは、現時点のファイルシステム情報を内部メモリ124から取得する。
【0043】
続くステップS22において、判断部122cは、ステップS21で取得したファイルシステム情報が記録時のファイルシステム情報に対して差異があるか否か判断する。詳しく説明する。現時点のファイルシステム情報と、記録時(より正確には生体情報の記録時)のファイルシステム情報が異なるということは、記録時から現時点の間にファイルの追加や修正などの何らかのファイル操作があったことを意味する。このファイル操作は、ウィルスに起因する可能性がある。
【0044】
これを考慮して、判断部122cは、ステップS22の判断を行い、それらに差異がなかった場合は不明ファイル無しと判断する(ステップS22;NO)。これに対して、判断部122cは、差異があった場合には(ステップS22;YES)、ステップS23に移る。
【0045】
ステップS23において、判断部122cは、差異があるのは許可したファイルか否か判断する。許可したファイルとは、例えば情報処理装置200からも更新されるファイルである。差異があるのが許可したファイルでない場合(ステップS23;NO)、判断部122cは、不明ファイルを検出したと判断する。これに対して、判断部122cは、差異があるのが許可したファイルの場合(ステップS23;YES)、ステップS24に移る。
【0046】
ステップS24において、判断部122cは、ファイルの装置情報が自装置と一致するか否か判断する。装置情報とは、そのファイルを作成したのがどの装置かを示す情報である。ここで、ファイルの装置情報が自装置と一致しない場合(ステップS24;NO)、判断部122cは、不明ファイルを検出したと判断する。これに対して、判断部122cは、ファイルの装置情報が自装置と一致する場合(ステップS24;YES)、不明ファイル無しと判断する。
【0047】
ここで、不明ファイルが存在するということは、コンピューターウィルス感染している可能性が高い。このような考察の下、本実施の形態のホルター心電計100は、USB接続があった場合でも、不明ファイルを検出した場合には、外部の情報処理装置200からのファイルの読み出しを禁止することで、ウィルスの拡散を防止するようになっている。
【0048】
<まとめ>
以上説明したように、本実施の形態の生体情報記録装置(ホルター心電計100)によれば、生体情報(心電図)を測定する測定部122bと、測定部122bによる測定結果のデータを含む測定データファイルを格納するとともに、外部の情報処理装置200から測定データファイルへのアクセスが可能である、ファイル格納部(USBコントローラ123、内部メモリ124)と、ファイル格納部(内部メモリ124)に格納された測定データファイルを含むファイルの妥当性を判断する判断部122cと、判断部122cによってファイル格納部(内部メモリ124)に妥当でないファイルが存在することを示す判断結果が得られた場合、外部の情報処理装置200によるファイル格納部(内部メモリ124)からのファイルの読み出しを無効とする制御部122と、を備える。
【0049】
これにより、生体情報記録装置(ホルター心電計100)の情報を有効活用して、回路負荷の小さいウィルス対策を行うことができるようになる。
【0050】
上述の実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することの無い範囲で、様々な形で実施することができる。
【0051】
上述の実施の形態では、不明なファイルを検出したときに外部の情報処理装置200からのファイルの読み出しを禁止した場合について述べたが、これに限らず、要は記憶されたファイルの中に妥当でないファイルが存在すると判断したときに外部の情報処理装置200からのファイルの読み出しを禁止すればよい。
【0052】
例えば、以下のような場合に、ファイル格納部(内部メモリ124)からのファイルの読み出しを無効にするとよい。
(1)ファイル格納部に、許可していない名前のファイルが存在する場合、
(2)ファイル格納部に、想定される数以上のファイルが存在する場合、
(3)ファイル格納部に格納されている測定データファイルの中に、更新日時が測定日時と異なる測定データファイルが存在する場合、
又は、
(4)ファイル格納部に格納されている測定データファイルの中に、データ量が既定範囲外の測定データファイルが存在する場合。ここで既定範囲とは、例えば記録時のファイルサイズ、または、生体情報の情報量から想定される妥当なデータ量であり得る。
【0053】
ここで、上述の実施の形態のような妥当性の判断(不明ファイルの有無による判断)、及び、上記(1)-(4)のような判断を行うことができるのは、ホルター心電計100のような生体情報記録装置によって記録される測定データファイルは、ファイルの記録履歴や、名前、測定日時、データ量がファイルシステム情報として記録されるからである。換言すれば、生体情報の測定データファイルは妥当性の判断が容易であるからであり、本発明では、それを有効に活用して、妥当でないデータの有無を少ない処理量で判断し、回路負荷の増加を抑制していると言える。
【0054】
上述の実施の形態に加えて、制御部(CPU122)が、判断部122cによってファイル格納部(内部メモリ124)に妥当でないファイルが存在することを示す判断結果が得られた場合であっても、ユーザー操作により、外部の情報処理装置200によるファイル格納部(内部メモリ124)の読み出しを許可するモード(以下このモードを「強制USB接続モード」と呼ぶ)を有するようにしてもよい。
【0055】
このようにすれば、たとえウィルス感染していることが分かっていても、どうしても読み出しが必要な測定データファイルの読み出しが可能となり、測定データを救済できる。例えば、外部の情報処理装置200が、ネットワークから隔離したスタンドアローンの専用のパソコン、またはウィルス除去機能を有するものである場合に、強制USB接続モードを実行することで、ウィルス感染を防止しつつ、測定データを救済できるようになる。
【0056】
強制接続モードは、一般ユーザーによる簡単な操作で実行されてしまうと、ウィルス拡散のリスクが高まってしまうので、特殊な操作を経て実行されることが好ましい。本実施の形態の場合には、ホルター心電計100は、イベントボタン101が押下されながらUSBケーブル300が接続されたことを条件として、強制USBモードを行うか否かをユーザーに選択させるようになっている。このようにすることで、この操作を知っている、例えばホルター心電計100のメンテナンスを行う人のみが強制USB接続モードを実行させることができるので、ウィルス感染を防止しつつ、測定データを救済できるようになる。
【0057】
また、上述の実施の形態に加えて、制御部(CPU122)が、外部の情報処理装置200からファイル格納部(内部メモリ124)に格納されるドライブ管理用のシステムフォルダーと同一名の0バイトのダミーファイルを作成するようにしてもよい。このファイルの作成は、例えば測定データを記録する毎に行うようにする。このようにすれば、外部の情報処理装置200によってSystem Volume Information(システム ボリューム インフォメーション)等のドライブ管理用のフォルダーが作成されなくなるので、不明ファイル有無の判断がより容易となる。
【0058】
上述の実施の形態では、生体情報記録装置(ホルター心電計100)が、外部の情報処理装置200とUSB接続する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、記録した生体情報を外部の情報機器に読み出し可能に格納する生体情報記録装置に広く適用可能である。勿論、生体情報記録装置もホルター心電計100に限らない。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、記録した生体情報を外部の情報処理装置に読み出し可能に格納する生体情報記録装置及びそれに用いられる方法として有用である。
【符号の説明】
【0060】
100 ホルター心電計
102 LEDランプ
101、103 操作ボタン
111 電極用端子部
112 USB端子
122 CPU
123 USB コントローラ
124 内部メモリ
126 USB 接続検知部
200 情報処理装置
300 USBケーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6