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特開2024-96082バスケットカテーテル用の接触力センサ及びその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096082
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】バスケットカテーテル用の接触力センサ及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20240704BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023222335
(22)【出願日】2023-12-28
(31)【優先権主張番号】63/477,811
(32)【優先日】2022-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/508,995
(32)【優先日】2023-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ジェームズ・アグニュー
(72)【発明者】
【氏名】ショーン・ディ・セイラー
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・エメリウス・バン・ニーキルク
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・ロドリゲス
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK17
4C160KK39
4C160MM38
(57)【要約】
【課題】バスケットカテーテルの様々な点に加えられる力の大きさ及び方向を検出するためのシステム及び方法を提供すること。
【解決手段】開示される技術は、拡張可能バスケットアセンブリは、(i)ハブの遠位端に接続され、長手軸に沿って延在し、拡張可能バスケットアセンブリが折り畳まれた形態から拡張形態へ移行する際に長手軸から径方向外側に曲がるように構成された複数のスパインと、(ii)複数の電極であって、複数の電極のうちの各電極が複数のスパインのうちの1つのスパインに取り付けられ得る、複数の電極と、(iii)複数の電極のうちの少なくとも1つにそれぞれ取り付けられた1つ又は複数の支柱と、(iv)記ハブの遠位端及び複数の支柱のうちの少なくとも1つに取り付けられた力センサと、を含む、医療用プローブの拡張可能バスケットアセンブリを含む。力センサは、1つ又は複数の支柱を介して複数の電極のうちの1つ又は複数に加えられた力を検出するように構成され得る。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用プローブであって、
遠位端及び近位端を備えたハブと、
近位端、遠位端を備え、長手軸に沿って延在する拡張可能バスケットアセンブリであって、前記拡張可能バスケットアセンブリが、
前記ハブの前記遠位端に接続され、前記長手軸に沿って延在し、前記拡張可能バスケットアセンブリが折り畳まれた形態から拡張形態へ移行する際に前記長手軸から径方向外側に曲がるように構成された複数のスパインと、
複数の電極であって、前記複数の電極のうちの各電極が前記複数のスパインのうちの1つのスパインに取り付けられている、複数の電極と、
前記複数の電極のうちの少なくとも1つにそれぞれ取り付けられた1つ又は複数の支柱と、
前記ハブの前記遠位端及び前記複数の支柱のうちの少なくとも1つに取り付けられた力センサであって、前記力センサが、前記1つ又は複数の支柱を介して前記複数の電極のうちの1つ又は複数に加えられた力を検出するように構成されている、力センサと、
を備えている、拡張可能バスケットアセンブリと、を備えた医療用プローブ。
【請求項2】
前記1つ又は複数の支柱の各々が、前記複数のスパインの各々の第2の幅よりも小さい第1の幅を有する、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項3】
前記力センサが歪みゲージを含む、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項4】
前記複数のスパインのうちの各スパインが、ニチノール、コバルトクロム、ステンレス鋼、チタン、又はこれらの組合せを含む、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項5】
前記複数のスパインが、前記拡張形態にあるとき、ほぼ球形状のバスケットアセンブリを形成するように構成されている、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項6】
前記複数のスパインが、前記拡張形態にあるとき、ほぼ偏球形状のバスケットアセンブリを形成するように構成されている、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項7】
前記ハブが、灌注流体を前記複数の電極に送達するように構成されたスプレーポートを更に備える、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項8】
前記複数のスパインのうちのそれぞれのスパインと前記複数の電極のうちのそれぞれの電極との間に各々配置された複数の電気絶縁ジャケットを更に備え、それによって、前記複数のスパインから前記複数の電極を電気的に絶縁する、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項9】
医療用プローブであって、
近位端、遠位端を備え、長手軸に沿って延在する拡張可能バスケットアセンブリであって、前記拡張可能バスケットアセンブリが、
前記長手軸に沿って延在し、前記拡張可能バスケットアセンブリが折り畳まれた形態から拡張形態へ移行する際に前記長手軸から径方向外側に曲がるように構成された複数のスパインと、
複数の電極であって、前記複数の電極のうちの各電極が前記複数のスパインのうちの1つのスパインに取り付けられている、複数の電極と、
前記複数の電極のうちの少なくとも1つにそれぞれ取り付けられた1つ又は複数の支柱と、
前記1つ又は複数の支柱にそれぞれ取り付けられた1つ又は複数の力センサであって、各力センサが、前記力センサに取り付けられたそれぞれの電極に加えられた力を検出するように構成されている、力センサと、
を備えている、拡張可能バスケットアセンブリ、を備えた医療用プローブ。
【請求項10】
前記複数の力センサの各々が、歪みゲージを含む、請求項9に記載の医療用プローブ。
【請求項11】
各歪みゲージが、支柱の内向き表面に取り付けられている、請求項10に記載の医療用プローブ。
【請求項12】
各歪みゲージが、前記支柱の外向き表面に取り付けられている、請求項10に記載の医療用プローブ。
【請求項13】
前記1つ又は複数の支柱の各々が、ニチノール、コバルトクロム、ステンレス鋼、チタン、又はこれらの組合せから基本的に成る群から選択される生体適合性材料を備える、請求項9に記載の医療用プローブ。
【請求項14】
前記複数のスパインが、前記拡張形態にあるとき、ほぼ球形状のバスケットアセンブリを形成するように構成されている、請求項9に記載の医療用プローブ。
【請求項15】
前記複数のスパインが、前記拡張形態にあるとき、ほぼ偏球形状のバスケットアセンブリを形成するように構成されている、請求項9に記載の医療用プローブ。
【請求項16】
前記複数のスパインの近位端に接続された遠位端と、灌注流体を前記複数の電極に送達するように構成されたスプレーポートと、を備えたハブを更に備える、請求項9に記載の医療用プローブ。
【請求項17】
前記複数のスパインのうちのそれぞれのスパインと前記複数の電極のうちのそれぞれの電極との間に各々配置された複数の電気絶縁ジャケットを更に備え、それによって、前記複数のスパインから前記複数の電極を電気的に絶縁する、請求項9に記載の医療用プローブ。
【請求項18】
医療用デバイスのコントローラであって、
請求項1に記載の医療用プローブの1つ又は複数の力センサから力データを受信することと、
前記受信された力データに少なくとも部分的に基づき、前記1つ又は複数の電極に加えられた力を計算することと、
前記計算された力を接続されたディスプレイに出力することと、
を行うように構成されている、医療用デバイスのコントローラ。
【請求項19】
前記コントローラが、
計算された力が組織の接触に対応すると判定することと、
前記コントローラが、前記力が組織の接触に対応すると判定した場合に、前記接続されたディスプレイに接触の表示を出力することと、
を行うように更に構成されている、請求項18に記載の医療用デバイスのコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、35 U.S.C.§ 119(e)の下で2022年12月29日に出願された米国仮特許出願第63/477,811号の優先権及び利益を主張するものであり、その全体の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して、医療用デバイス及び医療用デバイスを使用する方法に関し、特に、バスケットカテーテルに印加される力を検出することが可能なバスケットカテーテル及びその方法に関する。
【背景技術】
【0003】
心房細動(atrial fibrillation、AF)などの心臓不整脈は、心臓組織の領域が隣接組織に電気信号を異常に伝達するときに発生する。これは、正常な心周期を混乱させ、非同期的な律動を引き起こす。不整脈を治療するための存在するある特定の処置としては、不整脈の原因となる信号の発生源を外科的に破壊すること、及びそのような信号の伝導路を破壊することが挙げられる。カテーテルを介してエネルギーを印加して心臓組織を選択的にアブレーションすることによって、心臓の一部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を停止又は変更することが時に可能である。
【0004】
当該技術分野における多くの現在のアブレーションアプローチは、高周波(radiofrequency、RF)電気エネルギーを利用して組織を加熱する。RFアブレーションは、組織の炭化、燃焼、スチームポップ、横隔神経麻痺、肺静脈狭窄、及び食道瘻につながり得る、熱加熱に関連する特定のリスクを有することができる。
【0005】
冷凍アブレーションは、一般にRFアブレーションに関連する熱リスクを低減するRFアブレーションの代替アプローチである。しかしながら、冷凍アブレーションデバイスを操作し、冷凍アブレーションを選択的に適用することは、一般に、RFアブレーションと比較してより困難であり、したがって、冷凍アブレーションは、電気的アブレーションデバイスによって達成される可能性がある特定の解剖学的幾何形状では実行可能ではない。
【0006】
いくつかのアブレーションアプローチは、非熱アブレーション法を使用して心臓組織をアブレーションするために不可逆エレクトロポレーション(IRE)を使用する。IREは、高電圧の短パルスを組織に送達し、細胞膜の回復不能な透過化を生じさせる。多電極カテーテルを使用する組織へのIREエネルギーの送達は、特許文献において以前に提案された。IREアブレーションのために構成されたシステム及びデバイスの例は、米国特許公開第2021/0169550(A1)号、同第2021/0169567(A1)号、同第2021/0169568(A1)号、同第2021/0161592(A1)号、同第2021/0196372(A1)号、同第2021/0177503(A1)号、及び同第2021/0186604(A1)号に開示されており、その各々は、参照により本明細書に組み込まれ、優先米国仮特許出願第63/477,811号の付録に添付されている。
【0007】
バスケットカテーテルは、心臓組織をマッピング又はアブレーションするために一般的に使用される。バスケットカテーテルは、一般に、カテーテルの遠位端に取り付けられ、ほぼ球形形状を形成するように構成された複数のスパインを含む。バスケットカテーテルのいくつかの既存の設計は、カテーテルチューブとバスケットとの間に配置されてバスケットに加えられる力を感知する力センサを含む。しかしながら、これらの力センサの主な制限は、力センサがバスケットに加えられた力を全体として検出することしかできず、各スパインに加えられた力の量又は力が加えられた方向を判定することができないことである。理解されるように、力がバスケットに加えられる場所及び方向を知ることは、医師がバスケットカテーテルをより正確に配置し、バスケットカテーテル上の電極と組織との間に十分な接触がなされることを確実にする助けとなり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、バスケットカテーテルの様々な点に加えられる力の大きさ及び方向を検出するためのシステム及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の技術の実施例によれば、医療用プローブが提供される。医療用プローブは、遠位端及び近位端を含み得るハブと、近位端、遠位端を含み得、長手軸に沿って延在する拡張可能バスケットアセンブリと、を含み得る。拡張可能バスケットアセンブリは、ハブの遠位端に接続され、長手軸に沿って延在し、拡張可能バスケットアセンブリが折り畳まれた形態から拡張形態へ移行する際に長手軸から径方向外側に曲がるように構成された複数のスパインを更に含み得る。拡張可能バスケットは、複数の電極であって、複数の電極のうちの各電極が複数のスパインのうちの1つのスパインに取り付けられ得る、複数の電極を含む場合がある。拡張可能バスケットは、複数の電極のうちの少なくとも1つにそれぞれ取り付けられた1つ又は複数の支柱を含み得る。拡張可能バスケットはまた、ハブの遠位端及び複数の支柱のうちの少なくとも1つに取り付けられた力センサを含み得る。力センサは、1つ又は複数の支柱を介して複数の電極のうちの1つ又は複数に加えられた力を検出するように構成され得る。
【0010】
本開示の技術の別の実施例によれば、医療用プローブが提供される。医療用プローブは、近位端、遠位端を含み得、長手軸に沿って延在する拡張可能バスケットアセンブリと、を含み得る。拡張可能バスケットアセンブリは、長手軸に沿って延在し、拡張可能バスケットアセンブリが折り畳まれた形態から拡張形態へ移行する際に長手軸から径方向外側に曲がるように構成された複数のスパインを含み得る。拡張可能バスケットはまた、複数の電極であって、複数の電極のうちの各電極が複数のスパインのうちの1つのスパインに取り付けられている、複数の電極を含み得る。拡張可能バスケットはまた、複数の電極のうちの少なくとも1つにそれぞれ取り付けられた1つ又は複数の支柱を含み得る。拡張可能バスケットはまた、1つ又は複数の支柱にそれぞれ取り付けられた1つ又は複数の力センサを含んでもよい。各力センサは、力センサに取り付けられたそれぞれの電極に加えられた力を検出するように構成され得る。
【0011】
本開示の技術の別の実施例によれば、医療用デバイスのコントローラが提供される。コントローラは、医療用プローブの1つ又は複数の力センサから力データを受信することと、受信された力データに少なくとも部分的に基づき、1つ又は複数の電極に加えられた力を計算することと、計算された力を接続されたディスプレイに出力することと、を行うように構成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態による、医療用プローブを含み、医療用プローブの遠位端が電極を有するバスケットアセンブリを含む、医療用システムの概略描画図である。
図2A】本発明の一実施形態による、拡張形態の医療用プローブの斜視図を示す概略描画図である。
図2B】本開示の技術による、折り畳まれた形態の医療用プローブの側面図を示す概略描画図である。
図3A】本発明の別の実施形態による、拡張形態の医療用プローブの斜視図を示す概略描画図である。
図3B】本発明のこの別の実施形態による、折り畳まれた形態の医療用プローブの側面図を示す概略描画図である。
図4】開示される技術による、接触力センサが圧縮されるときの変位を示す、接触力センサの概略描画図である。
図5A】本発明の実施形態による、所与の医療用デバイスのスパインの側面図を示す概略描画図である。
図5B】本発明の実施形態による、所与の医療用デバイスのスパインの側面図を示す概略描画図である。
図6】本発明の一実施形態による、バスケットアセンブリ及び力センサを有する医療用プローブの操作方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の詳細な説明は、図面を参照しながら読まれるべきものであり、異なる図面における同様の要素には、同一の番号が付けられている。図面は、必ずしも縮尺どおりとは限らず、選択された実施形態を示しており、また本発明の範囲を限定することを意図していない。詳細な説明は、限定ではなく例として、本発明の原理を示す。本明細書は、当業者が本発明を作製及び使用することを明らかに可能にし、また本発明を実施するための最良の態様であると現在考えられているものを含めて、本発明のいくつかの実施形態、適応例、変形形態、代替物及び使用を説明する。
【0014】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は範囲に対する「約」又は「ほぼ」という用語は、構成要素の一部又は集合が本明細書に記載の意図された目的のために機能することを可能にする、好適な寸法公差を示す。より具体的には、「約」又は「ほぼ」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指してもよく、例えば、「約90%」は、71%~110%の値の範囲を指してもよい。更に、本明細書で使用される場合、「患者」、「宿主」、「ユーザ」、及び「被検体」という用語は、任意のヒト被検体又は動物被検体象を指し、ヒト患者における本発明の使用が好ましい実施形態を表すが、システム又は方法をヒトの使用に限定することを意図するものではない。同様に、「近位」という用語は、作業者に近い方の位置を示す一方、「遠位」は、作業者又は医師から更に遠い位置を示す。
【0015】
本明細書で述べる「患者」、「宿主」、「ユーザ」、及び「被検体」の血管系は、ヒト又は任意の動物の血管系であってよい。動物は、哺乳類、獣医学的動物、家畜動物、又はペット類の動物などを含むがこれらに限定されない、様々なあらゆる該当するタイプのものであり得ることを理解するべきである。一例として、動物は、ヒトに類似したある特定の性質を有するように特に選択された実験動物(例えば、ラット、イヌ、ブタ、サルなど)であり得る。被検体は、例えば、あらゆる該当するヒト患者であり得ることを理解するべきである。
【0016】
本明細書で考察されるように、「作業者」は、内科医、医師、外科医、技術者、科学者、又は被験体への薬物難治性心房細動の治療のための多電極カテーテルの送達と関連する任意の他の個人若しくは送達器具を含むことができる。
【0017】
本明細書で考察されるように、用語「アブレーションする」又は「アブレーション」は、本開示のデバイス及び対応するシステムに関する場合、本開示全体を通して、パルス電界(pulsed electric field、PEF)及びパルス場アブレーション(pulsed field ablation、PFA)と互換的に称される、不可逆エレクトロポレーション(IRE)などの非熱エネルギーを利用することによって、細胞内の不規則心臓信号の生成を低減又は防止するように構成される、構成要素及び構造的特徴を指す。本開示のデバイス及び対応するシステムに関する場合、アブレーションすること又はアブレーションは、不整脈、心房粗動アブレーション、肺静脈隔離、上室頻脈アブレーション、及び心室性頻脈アブレーションを含むがこれらに限定されない特定の状態の心臓組織の非熱アブレーションを参照して、本開示全体を通して使用される。「アブレーションする」又は「アブレーション」という用語はまた、当業者によって理解されるように、様々な形態の身体組織アブレーションを達成するための既知の方法、デバイス、及びシステムを含む。
【0018】
本明細書で考察されるように、「双極」及び「単極」という用語は、アブレーションスキームを指すために使用される場合、電流経路及び電界分布に関して異なるアブレーションスキームを説明する。「双極」とは、両方とも治療部位に配置された2つの電極間の電流経路を利用するアブレーションスキームを指す。電流密度及び電束密度は、典型的には、2つの電極の各々でほぼ等しい。「単極」とは、2つの電極間の電流経路を利用するアブレーションスキームを指し、ここで、高電流密度及び高電束密度を有する1つの電極が治療部位に位置付けられ、比較的低い電流密度及びより低い電束密度を有する第2の電極が、治療部位から遠隔に位置付けられる。
【0019】
本明細書で考察されるように、「二相性パルス」及び「単相性パルス」という用語は、それぞれの電気信号を指す。「二相性パルス」とは、正電圧相パルス(本明細書では「正相」と称される)及び負電圧相パルス(本明細書では「負相」と称される)を有する電気信号を指す。「単相性パルス」は、正相のみ又は負相のみを有する電気信号を指す。好ましくは、二相性パルスを提供するシステムは、直流電圧(direct current voltage、DC)の患者への適用を防止するように構成されている。例えば、二相性パルスの平均電圧は、地面又は他の共通基準電圧に対してゼロボルトであり得る。追加的又は代替的に、システムは、コンデンサ又は他の保護構成要素を含むことができる。二相性パルス及び/又は単相性パルスの電圧振幅が本明細書に記載されている場合、発現された電圧振幅は、正電圧相及び/又は負電圧相の各々の近似ピーク振幅の絶対値であることが理解される。二相性パルス及び単相性パルスの各相は、好ましくは、相持続時間の大部分中に本質的に一定の電圧振幅を有する正方形形状を有する。二相性パルスの相は、相間遅延によって時間的に分離される。相間遅延持続時間は、好ましくは、二相性パルスの相の持続時間未満であるか、又はその持続時間にほぼ等しい。相間遅延持続時間は、より好ましくは、二相性パルスの相の持続時間の約25%である。
【0020】
本明細書で考察されるように、「チューブ状」及び「チューブ」という用語は、広義に解釈されるものとし、直円柱構造、若しくは断面が厳密に円形である構造、又はその長さ全体にわたって均一な断面である構造に限定されるものではない。例えば、チューブ状構造は、概して、実質的な直円柱構造として例解される。しかしながら、チューブ状構造は、本開示の範囲から逸脱することなく、先細状又は湾曲した外面を有してもよい。
【0021】
本明細書で使用される「温度定格」という用語は、構成要素が、構成要素の溶融又は熱劣化(例えば、炭化及び崩壊)などの熱損傷を引き起こすことなく、その寿命の間に耐えることができる最大連続温度として定義される。
【0022】
例示的なカテーテルベースの電気生理学マッピング及びアブレーションシステム10を示す図1を参照する。システム10は、患者23の血管系を通って、心臓12の腔又は血管構造内に作業者24によって経皮的に挿入される複数のカテーテルを含む。典型的には、送達シースカテーテルは、心臓12の所望の位置の近くの左心房又は右心房内に挿入される。その後、複数のカテーテルを送達シースカテーテル内へと挿入して、所望の場所に到達させ得る。複数のカテーテルは、心内電位図(Intracardiac Electrogram、IEGM)信号の感知専用のカテーテル、アブレーション専用のカテーテル、並びに/又は感知及びアブレーションの両方に専用のカテーテルを含んでもよい。IEGMを感知するように構成された例示的なカテーテル14が本明細書に示されている。作業者24は、心臓12の標的部位を感知するために、バスケットカテーテル28を心臓壁と接触させる。アブレーションのために、作業者24は、同様に、アブレーションカテーテルの遠位端を、アブレーションのための標的部位に運ぶ。
【0023】
カテーテル14は、遠位端においてバスケットアセンブリ28を形成する複数のスパイン22にわたって任意選択で分布し、IEGM信号を検知するように構成された1つ、好ましくは複数の電極26を含む例示的なカテーテルである。カテーテル14は、バスケットアセンブリ28の位置及び向きを追跡するために、遠位先端内又はその近くに埋め込まれた位置センサ29を更に含んでもよい。任意選択的にかつ好ましくは、位置センサ29は、三次元(three-dimensional、3D)位置及び配向を感知するための3つの磁気コイルを含む磁気ベースの位置センサである。
【0024】
磁気ベースの位置センサ29は、所定の作業体積内に磁場を生成するように構成された複数の磁気コイル32を含む位置パッド25と共に動作してもよい。カテーテル14のバスケットアセンブリ28のリアルタイム位置は、位置パッド25によって生成され、磁気ベースの位置センサ29によって検知される磁場に基づいて追跡されてもよい。磁気系の位置感知技術の詳細は、米国特許第5,391,199号、同第5,443,489号;同第5,558,091号;同第6,172,499号;同第6,239,724号;同第6,332,089号;同第6,484,118号;同第6,618,612号;同第6,690,963号;同第6,788,967号;同第6,892,091号に記載されており、その各々が参照により本明細書に組み込まれ、優先権出願の米国仮特許出願第63/477,811号の付録に添付される。
【0025】
システム10は、位置パッド25の位置基準及び電極26のインピーダンスベースの追跡を確立するために、患者23上の皮膚接触のために配置された1つ又は複数の電極パッチ38を含む。インピーダンスベースの追跡のために、電流が電極26に向けられ、電極皮膚パッチ38において感知され、それにより、各電極の位置を電極パッチ38を介して三角測量することができる。インピーダンス系の位置追跡技術の詳細は、米国特許第7,536,218号、同第7,756,576号;同第7,848,787号;同第7,869,865号;及び同第8,456,182号に記載されており、その各々が参照により本明細書に組み込まれ、優先権出願の米国仮特許出願第63/477,811号の付録に添付される。
【0026】
レコーダ11は、体表面ECG電極18で捕捉された電位図21と、カテーテル14の電極26で捕捉された心内電位図(IEGM)とを表示する。レコーダ11は、心拍リズムをペーシングするためのペーシング能力を含んでもよく、及び/又は独立型ペーサに電気的に接続されてもよい。
【0027】
システム10は、アブレーションするように構成されたカテーテルの遠位先端部にある1つ又は複数の電極にアブレーションエネルギーを伝達するように適合されたアブレーションエネルギー発生器50を含んでもよい。アブレーションエネルギー発生器50によって生成されるエネルギーは、不可逆エレクトロポレーション(IRE)をもたらすために使用され得るような単極性又は双極性高電圧直流パルスを含む、高周波(RF)エネルギー又はパルス場アブレーション(PFA)エネルギー、あるいはそれらの組合せを含んでもよいが、それらに限定されない。シグナルは、二相性又は単相性であり得る。
【0028】
患者インターフェースユニット(patient interface unit、PIU)30は、カテーテルと、電気生理学的機器と、電源と、システム10の動作を制御するワークステーション55との間の電気通信を確立するように構成されたインターフェースである。システム10の電気生理学的機器は、例えば、複数のカテーテル、位置パッド25、体表面ECG電極18、電極パッチ38、アブレーションエネルギー発生器50、及びレコーダ11を含んでもよい。任意選択で、かつ好ましくは、PIU30は、カテーテルの位置のリアルタイム計算を実装し、ECG計算を実行するための処理能力を更に含む。
【0029】
ワークステーション55は、メモリと、適切なオペレーティングソフトウェアがロードされたメモリ又は記憶装置を有するプロセッサユニットと、ユーザインターフェース機能と、を含む。ワークステーション55は、任意選択で、(1)心内膜解剖学的構造を3次元(3D)でモデルリングし、モデル又は解剖学的マップ20をディスプレイ装置27上に表示するためにレンダリングすることと、(2)記録された電位図21からコンパイルされた活性化シーケンス(又は他のデータ)を、レンダリングされた解剖学的マップ20上に重ね合わされた代表的な視覚的指標又は画像でディスプレイ装置27上に表示すること、(3)心腔内の複数のカテーテルのリアルタイム位置及び向きを表示すること、及び(5)アブレーションエネルギーが印加された場所などの関心部位をディスプレイ装置27上に表示すること、を含む、複数の機能を提供してもよい。システム10の要素を具現化する1つの市販製品は、Biosense Webster,Inc.,31 Technology Drive,Suite 200,Irvine,CA 92618,USAから市販されている、CARTO(商標)3システムとして入手可能である。
【0030】
図2Aは、チューブ状シャフト82の遠位端36においてチューブ状シャフトルーメン80から前進させられることなどによって拘束されていないときの拡張形態のバスケットアセンブリ28を有する医療用プローブ200の斜視図を示す概略描画図である。図2Bは、チューブ状シャフト82内で折り畳まれた形態のバスケットアセンブリを示す。拡張形態(図2A)では、スパイン22は、長手軸86に沿って半径方向外向きに曲がり、折り畳まれた形態(図2B)では、スパインは、チューブ状シャフト82の長手軸86に概ね沿って制限される。
【0031】
図2Aに示されるように、バスケットアセンブリ28は、チューブ状シャフト84の端部に形成され、両端で接続された複数の可撓性スパイン22を含む。医療処置中、作業者24は、チューブ状シャフト84をチューブ状シャフト82から延在させてバスケットアセンブリ28をチューブ状シャフト84から出して拡張形態に移行させることによって、バスケットアセンブリ28を展開することができる。スパイン22は、楕円形(例えば、円形)又は(平坦に見えることがある)長方形の断面を有してもよく、本明細書でより詳細に説明されるように、支柱を形成する可撓性弾性材料(例えば、ニチノールとしても知られるニッケル-チタンなどの形状記憶合金)を含んでもよい。
【0032】
本明細書に記載の実施形態では、電極26は、アブレーションエネルギー(RF及び/又はIRE)を心臓12内の組織に送達するように構成され得る。電極26を使用してアブレーションエネルギーを送達することに加えて、電極を使用して、心臓12内の組織上のそれぞれの位置での局所表面電位などの生理学的特性を測定することもできる。電極26は、電極26の大部分がバスケットアセンブリ39から外向きに向くように付勢することができ、それにより、電極26は、バスケットカテーテル38に向かって内向きよりもバスケットアセンブリ28から離れて外向きに(すなわち、心臓12の組織に向かって)大量の電気エネルギーを送達する。
【0033】
電極26を形成するのに理想的に適した材料の例には、金、白金、及びパラジウム(及びそれらのそれぞれの合金)を含む。これらの材料はまた、高い熱伝導率を有し、これにより、組織上で生成された(すなわち、組織に送達されたアブレーションエネルギーによる)最小限の熱が、電極を通って電極の裏側(すなわち、スパインの内側にある電極の部分)に、次に心臓12内の血液プールに伝導されることが可能になる。
【0034】
バスケットアセンブリ28は、シャフト84の遠位端36からバスケットアセンブリ28の遠位端94に向かって長手方向に延在するステム96を含むことができる。開示される技術は、灌注流体をスプレーポート98に送達する灌注システムを含むことができる。例えば、ステム96は、複数のスプレーポート98を含むことができ、各所与のスプレーポート98は、所与の電極26又は心臓12内の組織のいずれかに灌注流体の送達を向けるように角度を付けることができる。電極26は、スパイン22の内側の電極26の部分にスプレーポート98を介して灌注流体を向けることによって冷却することができる。
【0035】
バスケットアセンブリ28は、スパイン22が遠位端94の近くで収束する点に中央交点211を含むことができる。バスケットアセンブリ28は、中央交点211に取り付けられた接触力センサアセンブリ220を含むことができる。接触力センサアセンブリ220を中央交点211に取り付けることによって、接触力センサアセンブリ220は、遠位端94においてバスケットアセンブリ28に加えられる力を検出するように構成することができる。このようにして、接触力センサアセンブリ220は、(例えば、バスケットアセンブリ28が組織に接触するときに)バスケットアセンブリ28に加えられる力をより容易に検出するように構成され得る。
【0036】
接触力センサアセンブリ220は、用途のための任意の適切なタイプの接触力センサであってもよく、又はそれを含んでもよい。例えば、接触力センサアセンブリ220は、ロードセル、歪みゲージ、圧電センサ、力感知抵抗器、磁力センサなどであり得る。
【0037】
加えて、又は代替として、バスケットアセンブリ28は、複数の電極26のうちの少なくとも1つにそれぞれ取り付けられ得る、1つ又は複数の支柱252を含んでもよい。バスケットアセンブリ28はまた、ハブ又はステム96の遠位端に取り付けられた電極力センサ254を含んでもよい。電極力センサ254は、1つ又は複数の支柱252を介して複数の電極26のうちの1つ又は複数に印加される力を検出するように構成されてもよい。別の言い方をすれば、(例えば、1つ又は複数の電極26が組織に接触することに起因して)電極26のうちの1つ又は複数に印加される力は、力が対応する電極26に印加されると、わずかに収縮、屈曲、又は別様に形態を変化させ得るが、別様に力を一端から別の端に伝達する、対応する支柱252によって、電極力センサ254に伝達されてもよい。1つ又は複数の支柱は、ニチノール、コバルトクロム、ステンレス鋼、チタン、又はこれらの組合せから基本的に成る群から選択される生体適合性材料を含んでもよい。電極力センサ254は、歪みゲージ、圧電センサ、力感知抵抗器、磁力センサなどを含むことができる。
【0038】
図3A及び図3Bに示すように、1つ又は複数の力センサ250は、1つ又は複数の支柱252にそれぞれ取り付けられてもよく、支柱は、1つ又は複数の電極26及びハブ又はステム96にそれぞれ取り付けられてもよい。1つ又は複数の力センサ250の各々は、構造体252の内向き部分又は支柱252の外向き部分に取り付けられ得る歪みゲージを備えてもよい。いずれにしても、1つ又は複数の力センサ250は、対応する支柱252の端部における力の印加によるその支柱252の移動(例えば、収縮、屈曲、又は他の移動)を検出することによって、取り付けられた電極26に力が印加されたときを感知し得る。
【0039】
図4に示される非限定的な一実施例のように、接触力センサアセンブリ220は、近位端223と遠位端224とを含むことができる。近位端222は、磁場発生器コイルを収容することができ、遠位端224は、磁場センサを収容することができ、又はこの逆もあり得る。理解されるように、磁場発生器コイルは、磁場を発生させるように構成され得、磁場センサは、磁場の存在及び大きさを検出するように構成され得る。
【0040】
接触力センサアセンブリ220は、近位端222と遠位端224との間に配置された撓み部分226を更に含むことができる。撓み部分226は、接触力センサアセンブリ220に力が加えられたときに撓むように構成することができる。換言すれば、撓み部分226は、力が接触力センサアセンブリ220に加えられたときに、接触力センサアセンブリ220の近位端222及び遠位端224が互いにより近くに移動することを可能にするように構成することができる。例示のために、図4は、接触力センサ220に力が加えられたときに撓み部分226が圧縮されるときの位置「X」の変化を示す。理解されるように、位置「X」の変化は、撓み部分226がより大きな程度に圧縮されるときに増加する(又はより大きな距離になる)。
【0041】
一例では、撓み部分226は、近位端222と遠位端224との間に配置されたばねである。別の例として、撓み部分226は、接触力センサアセンブリ220の本体内に形成された螺旋ばねを含むことができる。例えば、接触力センサアセンブリ220の本体に螺旋状の切り込みを入れて、螺旋ばねを形成することができる。このようにして、接触力センサアセンブリ220の本体は、追加の構成要素を必要とせずに、それ自体がばねを形成することができる。
【0042】
理解されるように、接触力センサアセンブリ220に力が加えられたときに遠位端224が近位端222に近づいて移動すると、磁場センサは、磁場発生器コイルによって生成された磁場の力の大きさの変化を検出することができる。撓み部分226のばね定数Kを予め決定することができ、遠位端224が近位端222に近づけられた際に磁場発生器コイルと磁場センサとの間の距離を検出することができるので、バスケットカテーテル28に加えられる力を決定することができる(例えば、フックの法則、又は方程式F=dKを使用することによって)。更に、接触力センサアセンブリ220は、ワークステーション55から電気信号を受信し、ワークステーション55に電気信号を提供して、受信した信号を処理し、バスケットアセンブリ28に加えられた力、例えばサブグラム力を判定することができる。
【0043】
図5A及び図5Bは、開示の技術の実施例による、所与のバスケットカテーテル28のスパイン22の側面図を示す概略描画図である。理解されるように、図5A及び図5Bに示されるスパイン22は、単一のスパイン22であり、本明細書に記載のバスケットアセンブリ28の複数のスパイン22を表すことができる。換言すれば、バスケットアセンブリ28を形成する複数のスパイン22は各々、複数のスパイン22がともに所望の形状を形成するように、拡張形態にあるときに同じ又は類似の形状を形成するように構成され得る。例示すると、図5Aに示されるようなスパイン22は、拡張形態にあるときにほぼ円形形状を形成するように構成され得る。したがって、バスケットアセンブリ28を形成するように他のスパイン22と組み合わされたときに、複数のスパイン22は、バスケットアセンブリ28が拡張形態にあるときにほぼ球形形状を形成するように構成され得る。別の例として、図5Bに示されるスパイン22は、拡張形態にあるときにほぼ楕円形形状を形成するように構成され得る。したがって、バスケットアセンブリ28を形成するように他のスパイン22と組み合わされたときに、複数のスパイン22は、バスケットアセンブリ28が拡張形態にあるときにほぼ偏球形状を形成するように構成され得る。形状のすべての変形例が本明細書に示され、又は説明されるわけではないが、当業者は、スパイン22が、特定の用途に好適であるような他の様々な形状を形成するように更に構成され得ることを理解するであろう。
【0044】
拡張形態にあるときに様々な形状を形成するように構成されたスパイン22を含むことによって、バスケットアセンブリ28は、スパイン22に取り付けられた様々な電極26を様々な位置に位置付けるように構成され得、各位置は、可撓性チューブ状シャフト82の遠位端に近いか、又は遠い。例えば、スパイン22の中間付近で図5Aに示されるスパイン22に取り付けられた電極26は、バスケットアセンブリ28が拡張形態にあるときに、図5Bに示されるスパイン22よりも可撓性チューブ状シャフト82の遠位端から遠くになる。
【0045】
ワークステーション55は、バスケット28が完全に拡張したときにどの形状をとるように構成されているかに応じて、バスケットカテーテル28に加えられる力の大きさ及び方向を検出するように較正することができる。例えば、理解されるように、より球形の形状を有するバスケットカテーテル28は、力が加えられたときに偏向するので、より偏球形の形状を有するバスケットカテーテル28とはわずかに異なる特性を示す。したがって、ワークステーション55を較正して、バスケットカテーテル28の形状に応じて力センサ250、254から受け取ったデータを分析することによって、ワークステーション55は、バスケットカテーテル28に加えられた力の大きさ及び方向をより正確に判定することができる。
【0046】
開示される技術は、スパイン22を電極26から電気的に絶縁するためにスパイン22の上に配置された電気抵抗ジャケットを更に含むことができる。このようにして、電極26がスパイン22に短絡することを防止することができる。
【0047】
図6は、本開示の一実施形態による、医療用プローブを操作する方法600を例示するフローチャートである。方法600は、バスケットカテーテル(例えば、バスケットカテーテル28)のスパイン22及び/又はハブ若しくはステム96に取り付けられた1つ又は複数の力センサ(例えば、力センサ254)からの力データを位置合わせし、受信すること602を含むことができる。方法600は、1つ又は複数の電極26に印加される力を計算すること604を含むことができる。例えば、方法600は、バスケットカテーテルに加えられた力の大きさ及び方向を決定することを含むことができる。方法600は、計算された力を組織の接触に対応する所定の閾値と比較することによって、計算された力が組織の接触に対応することを判定すること606を更に含むことができる。方法600は、コントローラが、力が組織の接触に対応すると判定したとき、接続されたディスプレイに接触の表示を出力すること608を更に含んでもよい。方法600は、計算された力を接続されたディスプレイに出力すること610を更に含むことができる。
【0048】
当業者によって理解されるように、方法600は、本明細書で説明される本開示の技術の様々な特徴のいずれかを含むことができ、特定の構成に応じて変更することができる。すなわち、方法600は、バスケットカテーテル28に関連して説明した特徴のいずれかを含むように変更することができる。
【0049】
本明細書に記載の本開示の技術は、以下の条項に従って更に理解することができる。
条項1:医療用プローブであって、
遠位端及び近位端を備えたハブと、近位端、遠位端を備え、長手軸に沿って延在する拡張可能バスケットアセンブリであって、拡張可能バスケットアセンブリが、ハブの遠位端に接続され、長手軸に沿って延在し、拡張可能バスケットアセンブリが折り畳まれた形態から拡張形態へ移行する際に長手軸から径方向外側に曲がるように構成された複数のスパインと、複数の電極であって、複数の電極のうちの各電極が複数のスパインのうちの1つのスパインに取り付けられている、複数の電極と、複数の電極のうちの少なくとも1つにそれぞれ取り付けられた1つ又は複数の支柱と、
ハブの遠位端及び複数の支柱のうちの少なくとも1つに取り付けられた力センサであって、力センサが、1つ又は複数の支柱を介して複数の電極のうちの1つ又は複数に加えられた力を検出するように構成されている、力センサと、
を備えている、拡張可能バスケットアセンブリと、を備えた医療用プローブ。
【0050】
条項2:1つ又は複数の支柱の各々が、複数のスパインの各々の第2の幅よりも小さい第1の幅を有する、条項1に記載の医療用プローブ。
【0051】
条項3:力センサが歪みゲージを含む、条項1に記載の医療用プローブ。
【0052】
条項4:複数のスパインのうちの各スパインが、ニチノール、コバルトクロム、ステンレス鋼、チタン、又はこれらの組合せを含む、条項1に記載の医療用プローブ。
【0053】
条項5:複数のスパインが、拡張形態にあるとき、ほぼ球形状のバスケットアセンブリを形成するように構成されている、条項1に記載の医療用プローブ。
【0054】
条項6:複数のスパインが、拡張形態にあるとき、ほぼ偏球形状のバスケットアセンブリを形成するように構成されている、条項1に記載の医療用プローブ。
【0055】
条項7:ハブが、灌注流体を複数の電極に送達するように構成されたスプレーポートを更に備える、条項1に記載の医療用プローブ。
【0056】
条項8:複数のスパインのうちのそれぞれのスパインと複数の電極のうちのそれぞれの電極との間に各々配置された複数の電気絶縁ジャケットを更に備え、それによって、複数のスパインから複数の電極を電気的に絶縁する、条項1に記載の医療用プローブ。
【0057】
条項9:医療用プローブであって、
近位端、遠位端を備え、長手軸に沿って延在する拡張可能バスケットアセンブリであって、拡張可能バスケットアセンブリが、
長手軸に沿って延在し、拡張可能バスケットアセンブリが折り畳まれた形態から拡張形態へ移行する際に長手軸から径方向外側に曲がるように構成された複数のスパインと、複数の電極であって、複数の電極のうちの各電極が複数のスパインのうちの1つのスパインに取り付けられている、複数の電極と、
複数の電極のうちの少なくとも1つにそれぞれ取り付けられた1つ又は複数の支柱と、
1つ又は複数の支柱にそれぞれ取り付けられた1つ又は複数の力センサであって、各力センサが、力センサに取り付けられたそれぞれの電極に加えられた力を検出するように構成されている、力センサと、
を備えている、拡張可能バスケットアセンブリ、を備えた医療用プローブ。
【0058】
条項10:複数の力センサの各々が、歪みゲージを含む、条項9に記載の医療用プローブ。
【0059】
条項11:各歪みゲージが、支柱の内向き表面に取り付けられている、条項10に記載の医療用プローブ。
【0060】
条項12:各歪みゲージが、支柱の外向き表面に取り付けられている、条項10に記載の医療用プローブ。
【0061】
条項13:1つ又は複数の支柱の各々が、ニチノール、コバルトクロム、ステンレス鋼、チタン、又はこれらの組合せから基本的に成る群から選択される生体適合性材料を備える、条項9に記載の医療用プローブ。
【0062】
条項14:複数のスパインが、拡張形態にあるとき、ほぼ球形状のバスケットアセンブリを形成するように構成されている、条項9に記載の医療用プローブ。
【0063】
条項15:複数のスパインが、拡張形態にあるとき、ほぼ偏球形状のバスケットアセンブリを形成するように構成されている、条項9に記載の医療用プローブ。
【0064】
条項16:複数のスパインの近位端に接続された遠位端と、灌注流体を複数の電極に送達するように構成されたスプレーポートと、を備えたハブを更に備える、条項9に記載の医療用プローブ。
【0065】
条項17:複数のスパインのうちのそれぞれのスパインと複数の電極のうちのそれぞれの電極との間に各々配置された複数の電気絶縁ジャケットを更に備え、それによって、複数のスパインから複数の電極を電気的に絶縁する、条項9に記載の医療用プローブ。
【0066】
条項18:医療用デバイスのコントローラであって、条項1又は9の医療用プローブの1つ又は複数の力センサから力データを受信することと、受信された力データに少なくとも部分的に基づき、1つ又は複数の電極に加えられた力を計算することと、
計算された力を接続されたディスプレイに出力することと、
を行うように構成されている、医療用デバイスのコントローラ。
【0067】
条項19:コントローラが、
計算された力が組織の接触に対応すると判定することと、
コントローラが、力が組織の接触に対応すると判定した場合に、接続されたディスプレイに接触の表示を出力することと、
を行うように更に構成されている、条項18に記載の医療用デバイスのコントローラ。
【0068】
これまで述べた実施形態は、例として引用したものであり、本発明は、本明細書にこれまで具体的に図示し述べたものに限られるものではない。むしろ、本発明の範囲は、本明細書でこれまで述べた様々な特徴の組合せ及びその部分的組合せの両方、並びに上述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、従来技術において開示されていないそれらの変形例及び修正例を含むものである。
【0069】
〔実施の態様〕
(1) 医療用プローブであって、
遠位端及び近位端を備えたハブと、
近位端、遠位端を備え、長手軸に沿って延在する拡張可能バスケットアセンブリであって、前記拡張可能バスケットアセンブリが、
前記ハブの前記遠位端に接続され、前記長手軸に沿って延在し、前記拡張可能バスケットアセンブリが折り畳まれた形態から拡張形態へ移行する際に前記長手軸から径方向外側に曲がるように構成された複数のスパインと、
複数の電極であって、前記複数の電極のうちの各電極が前記複数のスパインのうちの1つのスパインに取り付けられている、複数の電極と、
前記複数の電極のうちの少なくとも1つにそれぞれ取り付けられた1つ又は複数の支柱と、
前記ハブの前記遠位端及び前記複数の支柱のうちの少なくとも1つに取り付けられた力センサであって、前記力センサが、前記1つ又は複数の支柱を介して前記複数の電極のうちの1つ又は複数に加えられた力を検出するように構成されている、力センサと、
を備えている、拡張可能バスケットアセンブリと、を備えた医療用プローブ。
(2) 前記1つ又は複数の支柱の各々が、前記複数のスパインの各々の第2の幅よりも小さい第1の幅を有する、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(3) 前記力センサが歪みゲージを含む、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(4) 前記複数のスパインのうちの各スパインが、ニチノール、コバルトクロム、ステンレス鋼、チタン、又はこれらの組合せを含む、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(5) 前記複数のスパインが、前記拡張形態にあるとき、ほぼ球形状のバスケットアセンブリを形成するように構成されている、実施態様1に記載の医療用プローブ。
【0070】
(6) 前記複数のスパインが、前記拡張形態にあるとき、ほぼ偏球形状のバスケットアセンブリを形成するように構成されている、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(7) 前記ハブが、灌注流体を前記複数の電極に送達するように構成されたスプレーポートを更に備える、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(8) 前記複数のスパインのうちのそれぞれのスパインと前記複数の電極のうちのそれぞれの電極との間に各々配置された複数の電気絶縁ジャケットを更に備え、それによって、前記複数のスパインから前記複数の電極を電気的に絶縁する、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(9) 医療用プローブであって、
近位端、遠位端を備え、長手軸に沿って延在する拡張可能バスケットアセンブリであって、前記拡張可能バスケットアセンブリが、
前記長手軸に沿って延在し、前記拡張可能バスケットアセンブリが折り畳まれた形態から拡張形態へ移行する際に前記長手軸から径方向外側に曲がるように構成された複数のスパインと、
複数の電極であって、前記複数の電極のうちの各電極が前記複数のスパインのうちの1つのスパインに取り付けられている、複数の電極と、
前記複数の電極のうちの少なくとも1つにそれぞれ取り付けられた1つ又は複数の支柱と、
前記1つ又は複数の支柱にそれぞれ取り付けられた1つ又は複数の力センサであって、各力センサが、前記力センサに取り付けられたそれぞれの電極に加えられた力を検出するように構成されている、力センサと、
を備えている、拡張可能バスケットアセンブリ、を備えた医療用プローブ。
(10) 前記複数の力センサの各々が、歪みゲージを含む、実施態様9に記載の医療用プローブ。
【0071】
(11) 各歪みゲージが、支柱の内向き表面に取り付けられている、実施態様10に記載の医療用プローブ。
(12) 各歪みゲージが、前記支柱の外向き表面に取り付けられている、実施態様10に記載の医療用プローブ。
(13) 前記1つ又は複数の支柱の各々が、ニチノール、コバルトクロム、ステンレス鋼、チタン、又はこれらの組合せから基本的に成る群から選択される生体適合性材料を備える、実施態様9に記載の医療用プローブ。
(14) 前記複数のスパインが、前記拡張形態にあるとき、ほぼ球形状のバスケットアセンブリを形成するように構成されている、実施態様9に記載の医療用プローブ。
(15) 前記複数のスパインが、前記拡張形態にあるとき、ほぼ偏球形状のバスケットアセンブリを形成するように構成されている、実施態様9に記載の医療用プローブ。
【0072】
(16) 前記複数のスパインの近位端に接続された遠位端と、灌注流体を前記複数の電極に送達するように構成されたスプレーポートと、を備えたハブを更に備える、実施態様9に記載の医療用プローブ。
(17) 前記複数のスパインのうちのそれぞれのスパインと前記複数の電極のうちのそれぞれの電極との間に各々配置された複数の電気絶縁ジャケットを更に備え、それによって、前記複数のスパインから前記複数の電極を電気的に絶縁する、実施態様9に記載の医療用プローブ。
(18) 医療用デバイスのコントローラであって、
実施態様1に記載の医療用プローブの1つ又は複数の力センサから力データを受信することと、
前記受信された力データに少なくとも部分的に基づき、前記1つ又は複数の電極に加えられた力を計算することと、
前記計算された力を接続されたディスプレイに出力することと、
を行うように構成されている、医療用デバイスのコントローラ。
(19) 前記コントローラが、
計算された力が組織の接触に対応すると判定することと、
前記コントローラが、前記力が組織の接触に対応すると判定した場合に、前記接続されたディスプレイに接触の表示を出力することと、
を行うように更に構成されている、実施態様18に記載の医療用デバイスのコントローラ。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
【外国語明細書】