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特開2024-96087可撓性回路を有する円筒ケージマッピング及びアブレーションカテーテルのためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096087
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】可撓性回路を有する円筒ケージマッピング及びアブレーションカテーテルのためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20240704BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023222388
(22)【出願日】2023-12-28
(31)【優先権主張番号】63/477,754
(32)【優先日】2022-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/509,788
(32)【優先日】2023-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】フアン・ロドリゲス・ソト
(72)【発明者】
【氏名】ムハンマド・アッバス
(72)【発明者】
【氏名】ババク・エブラヒミ
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・エメリウス・バン・ニーキルク
(72)【発明者】
【氏名】シュバユ・バス
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK17
4C160KK36
4C160KK37
4C160KK63
4C160KK64
4C160MM38
(57)【要約】
【課題】医療用プローブを提供すること。
【解決手段】開示される技術は、医療用プローブを備え、医療用プローブは、近位円形基部を有する実質的に円筒形の構造体と、近位円形基部に実質的に平行な遠位円形基部と、近位円形基部と遠位円形基部との間で長手方向軸に沿って延在する複数のスパインと、長手方向軸の周りに内部体積を画定する複数のスパインの1つ以上に連結された可撓性回路基板の1つ以上のストリップとを有する、技術。複数のスパインは、スパインの少なくとも一部分に沿って位置付けられた三分岐点と、三分岐点から延在し、二分岐点を更に備えるスパイン分岐とを含む。可撓性回路基板の1つ以上のストリップは、基板の表面上に配置された1つ以上の導電性トレースを更に含む。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用プローブであって、
実質的に円筒形の構造体を備え、前記実質的に円筒形の構造体が、
近位円形基部と、
前記近位円形基部に実質的に平行な遠位円形基部と、
長手方向軸に沿って延在し、前記遠位円形基部と前記近位円形基部とを接合する複数のスパインであって、各スパインが、
前記スパインの少なくとも一部に沿って位置付けられた三分岐点と、
前記三分岐点から延在し、二分岐点を更に備えるスパイン分岐と、を備える、複数のスパインと、
前記複数のスパインのうちの1つ以上に結合された可撓性回路基板の1つ以上のストリップと、を備える、医療用プローブ。
【請求項2】
前記複数のスパインのうちの各スパインが、前記実質的に円筒形の構造体の遠位端で接合されている、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項3】
前記複数のスパインが、チューブ状構成から拡張された円筒状構成に移行するように構成されている、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項4】
前記実質的に円筒形の構造体が、実質的に平面の遠位部分円形基部を備える、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項5】
前記実質的に円筒形の構造体が、前記遠位円形基部と前記近位円形基部との間に、約10mm~約20mmの範囲の長さを備える中間部分を備える、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項6】
前記複数のスパインが、前記長手方向軸に沿って直線状に延びる、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項7】
前記複数のスパインが、前記長手方向軸に沿って正弦波状に延びる、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項8】
各スパインが、前記実質的に円筒形の構造体の遠位端における遠位リングと、前記実質的に円筒形の構造体の近位端における近位リングとに収束する、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項9】
前記実質的に円筒形の構造体が、前記複数のスパインのうちの1つ以上の上に1つ以上の電磁位置コイルを更に備える、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項10】
前記可撓性回路基板の1つ以上のストリップが、前記可撓性回路基板の表面上に配置された1つ以上の導電性トレースを更に備える、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項11】
前記可撓性回路基板のストリップが、前記可撓性回路基板の外部表面に結合された1つ以上の電極を備える、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項12】
前記可撓性回路基板のストリップが、前記可撓性回路基板の内部表面に結合された1つ以上の基準電極を更に備え、前記基準電極が、前記外部表面上のそれぞれの電極と同じ場所に配置されて、積み重ねられた電極対を画定する、請求項11に記載の医療用プローブ。
【請求項13】
前記1つ以上の電極が、前記実質的に円筒形の構造体内を流れる流体の基準信号を送達するように構成されている、請求項11に記載の医療用プローブ。
【請求項14】
医療用プローブを構築する方法であって、
可撓性回路基板を1つ以上のストリップに製造することと、
複数のスパインを備える実質的に円筒形の構造体を覆うように前記1つ以上のストリップを位置付けることと、
前記実質的に円筒形の構造体を画定するために、長手方向軸に沿ってチューブ状構成から半径方向外向きに延在するように前記複数のスパインを構成することと、を含む、方法。
【請求項15】
接合された中心点を有する前記可撓性回路基板の1つ以上のストリップを切断することと、
前記接合された中心点を前記実質的に円筒形の構造体の遠位端に位置付けることと、を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記可撓性回路基板の1つ以上のストリップを、前記実質的に円筒形の構造体の前記遠位端における遠位リングにヒンジ留めすることを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
物理蒸着によって可撓性回路基板の1つ以上のストリップを印刷することを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
中空管の長さに沿って切り欠きを形成して前記複数のスパインを形成することを更に含み、前記複数のスパインが、前記中空管の遠位端及び近位端を圧縮すると、軸方向に曲がって前記実質的に円筒形の構造体を形成する、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記中空管の長さに沿った前記切り欠きが、前記中空管の前記近位端と前記遠位端との間に位置付けられた三分岐点を備える前記複数のスパインを形成する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記中空管の長さに沿った前記切り欠きが、前記三分岐点から延在するスパイン分岐上に位置付けられた二分岐点を更に備え、前記二分岐点が、前記中空管の前記近位端と前記遠位端との間に位置付けられる、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、その内容全体が、本明細書に完全に記載された場合のように参照により本明細書に組み込まれる、2022年12月29日に出願された先願の米国仮特許出願第63/477,754号の米国特許法第119条に基づく優先権の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して、医療デバイス、特に電極を有するカテーテルに関し、更に、マッピング、アブレーションのための使用、又は心臓組織及び肺静脈の不可逆エレクトロポレーション(irreversible electroporation、IRE)を誘導するための使用に好適なカテーテルに関するが、これに限定されない。
【背景技術】
【0003】
電気生理学カテーテルは、一般に、心臓の電気的活動をマッピングするため、又は心臓組織の領域にアブレーションを誘導して、心臓の一部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を停止又は修正するために使用される。多くの電気生理学カテーテルは、バスケット形状の電極アレイを有する。特に、バスケット形状の電極アレイを有するカテーテルは公知であり、例えば、米国特許第5,772,590号、同第6,748,255号及び同第6,973,340号に記載されており、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれ、優先米国特許出願第63/477,754号の付録に添付されている。いくつかのアブレーションアプローチは、非熱アブレーション法を使用して心臓組織をアブレーションするために不可逆エレクトロポレーション(IRE)を使用する。IREは、高電圧の短パルスを組織に送達し、細胞膜の回復不能な透過化を生じさせる。多電極カテーテルを使用する組織へのアブレーション又は不可逆エレクトロポレーション(IRE)エネルギーの送達は、特許文献において以前に提案された。IREアブレーションのために構成されたシステム及びデバイスの例は、米国特許公開第2021/0169550A1号(現在は米国特許第11,660,135号)、同第2021/0169567A1号、同第2021/0169568A1号、同第2021/0161592A1号(現在は米国特許第11,540,877号)、同第2021/0196372A1号、同第2021/0177503A1号、及び同第2021/0186604A1号(現在は米国特許第11,707,320号)に開示されており、その各々は、参照により本明細書に組み込まれ、優先米国特許出願第63/477,754号の付録に添付されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
心臓組織の領域は、異常な電気信号を識別するためにカテーテルによってマッピングすることができる。同じ又は異なるカテーテルを使用してアブレーションを実行することができる。いくつかの例示的なカテーテルは、その上に電極が位置付けられた多数のスパインを含む。電極は、一般に、スパインに取り付けられ、はんだ付け、溶接、又は接着剤を使用することによって定位置に固定される。更に、複数の線形スパインは、概して、線形スパインの両端をチューブ状シャフト(例えば、プッシャ管)に取り付けて球形バスケットを形成することによって、一緒に組み立てられる。球状バスケットアセンブリは、左心房又は右心房の電気的機能を検出することができる。しかしながら、肺静脈は、典型的には、断面が完全に円形ではなく、より楕円形であるため、電極の平面アレイを有する実質的に円筒形のアセンブリは、肺静脈又はその付近の心臓組織の電気的機能のより均一な検出を提供し得る。しかしながら、スパイン及び電極の小さいサイズに起因して、電極をスパインに接着し、次いで、複数の線形スパインから球形バスケットを形成することは、困難な作業であり、製造時間及びコスト、並びに不適切な結合又は不整合に起因して電極が故障する可能性を増加させ得る。したがって、必要とされるものは、医療用プローブ及び代替カテーテル幾何形状全般を製造するために必要とされる時間を短縮することに役立ち得る、改善された医療用プローブを形成するデバイス及び方法である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
医療用プローブ及び関連する方法の種々の実施形態を説明し、図示する。本開示は、実質的に円筒形の構造体を含み得る医療用プローブを含む。実質的に円筒形の構造体は、近位円形基部と、近位円形基部に実質的に平行な遠位円形基部と、近位円形基部と遠位円形基部との間で長手方向軸に沿って延在する複数のスパインと、複数のスパインの1つ以上に結合された可撓性回路基板の1つ以上のストリップとを含むことができる。各スパインは、スパインの少なくとも一部分に沿って位置付けられた三分岐点と、三分岐点から延在し、二分岐点を更に備えるスパイン分岐とを含むことができる。
【0006】
開示された技術は、医療用プローブを構築する方法を含む。本方法は、可撓性回路基板を1つ以上のストリップに製造することと、複数のスパインを備える実質的に円筒形の構造体の上に1つ以上のストリップを位置付けることと、実質的に円筒形の構造を画定するために、長手方向軸に沿ってチューブ状構成から半径方向外向きに延在するように複数のスパインを構成することと、を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態による、医療用プローブを含み、医療用プローブの遠位端が電極を有する実質的に円筒形の構造体を含む、医療用システムの概略描画図である。
図2A】本発明の一実施形態による、拡張形態の医療用プローブの斜視図を示す概略描画図である。
図2B】本発明の実施形態による、圧潰形態の医療用プローブの側面図を示す概略描画図である。
図3A】本発明の一実施形態による、正弦波形のケージを備える拡張形態の医療用プローブの斜視図を示す概略描画図である。
図3B】本発明の実施形態による、正弦波形のケージを備える圧潰形態の医療用プローブの側面図を示す概略描画図である。
図4A】本発明の一実施形態による、医療用プローブの分解側面図を示す概略描画図である。
図4B】本発明の実施形態による、中空管内の二分岐設計の側面図を示す概略描画図である。
図5】本発明の実施形態による、プッシャ管を備える拡張形態の医療用プローブの側面図を示す概略描画図である。
図6A】本発明の実施形態による、表面に接触するときに圧縮される複数のスパインの側面図を示す概略描画図である。
図6B】本発明の実施形態による、表面に接触するときに圧縮される複数のスパインの側面図を示す概略描画図である。
図7A】本発明の一実施形態による、実質的に円筒形の構造体を形成する複数のスパインの側面図を示す概略描画図である。
図7B】本発明の一実施形態による、図7Aの実質的に円筒形の構造体に沿った二分岐点の概略描画図である。
図7C】本発明の一実施形態による、実質的に円筒形の構造体を形成する複数のスパインの上面図を示す概略描画図である。
図7D】本発明の実施形態による、図7Cの実質的に円筒形の構造体に沿った三分岐点の概略描画図である。
図8A】本発明の一実施形態による、正弦波形のケージを備える拡張形態の実質的に円筒形の構造体の側面図を示す概略描画図である。
図8B】本発明の一実施形態による、正弦波形のケージを備える拡張形態の実質的に円筒形の構造体の上面図を示す概略描画図である。
図8C】本発明の一実施形態による、外部表面及び内部表面に埋め込まれた電極を有する図8Aの可撓性回路基板のストリップの断面図を示す概略描画図である。
図9A】本発明の一実施形態による、電極及び電気トレースを有する可撓性回路基板のストリップを示す概略描画図である。
図9B】本発明の一実施形態による、電極及び電気トレースを有する可撓性回路基板のストリップを示す概略描画図である。
図9C】本発明の一実施形態による、電極及び電気トレースを有する可撓性回路基板のストリップを示す概略描画図である。
図9D】本発明の一実施形態による、電極及び電気トレースを有する可撓性回路基板のストリップを示す概略描画図である。
図10】本発明の一実施形態による、実質的に円筒形の構造体を備える医療用プローブを組み立てる別の方法を図示するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の詳細な説明は、図面を参照しながら読まれるべきものであり、異なる図面における同様の要素には、同一の番号が付けられている。図面は、必ずしも縮尺どおりとは限らず、選択された実施形態を示しており、また本発明の範囲を限定することを意図していない。詳細な説明は、限定ではなく例として、本発明の原理を示す。本明細書は、当業者が本発明を作製及び使用することを明らかに可能にし、また本発明を実施するための最良の態様であると現在考えられているものを含めて、本発明のいくつかの実施形態、適応例、変形形態、代替物及び使用を説明する。
【0009】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は範囲に対する「約」又は「ほぼ」という用語は、構成要素の一部又は集合が本明細書に記載の意図された目的のために機能することを可能にする、好適な寸法公差を示す。より具体的には、「約」又は「ほぼ」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指してもよく、例えば、「約90%」は、71%~110%の値の範囲を指してもよい。
【0010】
本明細書で使用する場合、「患者」、「ホスト」、「ユーザ」及び「被験体」という用語は、任意のヒト被験体又は動物被験体を指し、上述のシステム又は方法をヒトにおける使用に限定することを目的としたものではないが、ヒト患者における対象の本発明の使用は、好ましい実施形態を代表するものである。加えて、「患者」、「ホスト」、「ユーザ」、及び「被験者」の血管系は、ヒト又は任意の動物の血管系であり得る。動物は、哺乳動物、獣医学的動物、家畜動物、又はペット類の動物などを含むがこれらに限定されない、様々な任意の適用可能な種類であり得ることを理解されたい。一例として、動物は、ヒトと同様の特定の特性を有するように特異的に選択された実験動物(例えば、ラット、イヌ、ブタ、サル、又は同等物)であり得る。被験者は、例えば、あらゆる該当するヒト患者であり得ることを理解するべきである。同様に、「近位」という用語は、作業者に近い方の位置を示す一方、「遠位」は、作業者又は医師から更に遠い位置を示す。
【0011】
本明細書で考察されるように、「医師」は、医者、外科医、技術者、科学者、又は被験体への薬物難治性心房細動の治療のための多電極カテーテルの送達と関連する任意の他の個人若しくは送達器具を含むことができる。
【0012】
本明細書で考察されるように、「アブレーションする」又は「アブレーション」という用語は、本開示のデバイス及び対応するシステムに関する場合、本開示全体を通して、パルス電界(pulsed electric field、PEF)及びパルス場アブレーション(pulsed field ablation、PFA)と互換的に称される、不可逆エレクトロポレーション(IRE)などの非熱エネルギーを利用することによって、細胞内の不規則心臓信号の生成を低減又は防止するように構成される、構成要素及び構造的特徴を指す。本開示のデバイス及び対応するシステムに関する場合、アブレーションすること又はアブレーションは、不整脈、心房粗動アブレーション、肺静脈隔離、上室頻脈アブレーション、及び心室性頻脈アブレーションを含むがこれらに限定されない特定の状態の心臓組織の非熱アブレーションを参照して、本開示全体を通して使用される。「アブレーションする」又は「アブレーション」という用語はまた、当業者によって理解されるように、様々な形態の身体組織アブレーションを達成するための既知の方法、デバイス、及びシステムを含む。
【0013】
本明細書で考察されるように、「双極」及び「単極」という用語は、アブレーションスキームを指すために使用される場合、電流経路及び電界分布に関して異なるアブレーションスキームを説明する。「双極」とは、両方とも治療部位に配置された2つの電極間の電流経路を利用するアブレーションスキームを指す。電流密度及び電束密度は、典型的には、2つの電極の各々でほぼ等しい。「単極」とは、2つの電極間の電流経路を利用するアブレーションスキームを指し、ここで、高電流密度及び高電束密度を含む1つの電極が治療部位に位置付けられ、比較的低い電流密度及びより低い電束密度を含む第2の電極が、治療部位から遠隔に位置付けられる。
【0014】
本明細書で考察されるように、「二相性パルス」及び「単相性パルス」という用語は、それぞれの電気信号を指す。「二相性パルス」とは、正電圧相パルス(本明細書では「正相」と称する)及び負電圧相パルス(本明細書では「負相」と称する)を含む電気信号を指す。「単相性パルス」は、正相のみ又は負相のみを含む電気信号を指す。好ましくは、二相性パルスを提供するシステムは、直流電圧(direct current voltage、DC)の患者への適用を防止するように構成されている。例えば、二相性パルスの平均電圧は、地面又は他の共通基準電圧に対してゼロボルトであり得る。追加的又は代替的に、システムは、コンデンサ又は他の保護構成要素を含むことができる。二相性パルス及び/又は単相性パルスの電圧振幅が本明細書に記載されている場合、表された電圧振幅は、正電圧相及び/又は負電圧相の各々の近似ピーク振幅の絶対値であることが理解される。二相性パルス及び単相性パルスの各相は、好ましくは、相持続時間の大部分において本質的に一定の電圧振幅を含む正方形を有する。二相性パルスの相は、相間遅延によって時間的に分離される。相間遅延持続時間は、好ましくは、二相性パルスの相の持続時間未満であるか、又はその持続時間にほぼ等しい。相間遅延持続時間は、より好ましくは、二相性パルスの相の持続時間の約25%である。
【0015】
本明細書で考察されるように、「チューブ状」及び「チューブ」という用語は、広義に解釈されるものとし、直円柱構造、若しくは断面が厳密に円形である構造、又はその長さ全体にわたって均一な断面である構造に限定されるものではない。例えば、チューブ状構造は、概して、実質的な直円柱構造として例解される。しかしながら、チューブ状構造は、本開示の範囲から逸脱することなく、先細状又は湾曲した外面を有してもよい。
【0016】
本明細書で使用される「温度定格」という用語は、構成要素が、構成要素の溶融又は熱劣化(例えば、炭化及び崩壊)などの熱損傷を引き起こすことなく、その寿命の間に耐えることができる最大連続温度として定義される。
【0017】
本開示は、スパイン上に位置付けられた膜に取り付けられた電極を含むエンドエフェクタを利用するシステム、方法、又は使用、及びデバイスに関する。本開示の例示的なシステム、方法、及びデバイスは、心不整脈を治療するための心臓組織のIREアブレーション及びマッピングに特に適し得る。アブレーションエネルギーは、通常、アブレーションするべき組織に沿ってアブレーションエネルギーを送達することができるカテーテルの先端部分によって心臓組織に供給される。いくつかの例示的カテーテルは、先端部分に三次元構造を含み、三次元構造上に位置付けられた様々な電極からアブレーションエネルギーを管理するように構成されている。このような例示的なカテーテルを組み込むアブレーション処置は、X線透視法を使用して可視化され得る。
【0018】
機能不全の心臓を改善するために、高周波(RF)エネルギー及び冷凍アブレーションなどの熱的技術を適用する心臓組織のアブレーションは、周知の処置である。典型的には、熱的技術を使用して首尾よくアブレーションするために、心筋の様々な位置で心電位を測定する必要がある。加えて、アブレーション中の温度測定により、アブレーションの有効性を可能にするデータを提供する。通常、熱的技術を使用したアブレーション処置では、実際のアブレーション前、アブレーション中、及びアブレーション後に、電極電位及び温度が測定される。
【0019】
RFアプローチは、組織の炭化、燃焼、スチームポップ、横隔神経麻痺、肺静脈狭窄、及び食道瘻につながり得るリスクを有し得る。冷凍アブレーションは、RFアブレーションと関連するいくらかの熱リスクを低減することができるRFアブレーションへの代替アプローチである。しかしながら、冷凍アブレーションデバイスを操作し、冷凍アブレーションを選択的に適用することは、一般に、RFアブレーションと比較してより困難である。したがって、冷凍アブレーションは、電気アブレーションデバイスによって到達され得る特定の解剖学的幾何形状では実行可能ではない。
【0020】
本開示で考察されるIREは、心房性不整脈のアブレーションに使用することができる非熱的細胞死技術である。IRE/PEFを使用してアブレーションするために、二相性電圧パルスを印加して心筋の細胞構造を破壊する。二相性パルスは非正弦波形であり、細胞の電気生理学に基づいて標的細胞に調整することができる。対照的に、RFを使用してアブレーションするために、正弦波電圧波形が適用されて、治療エリアにおいて熱を生成し、治療エリア内の全ての細胞を無差別に加熱する。IREはしたがって、アブレーションモダリティ又は隔離モダリティで知られている起こり得る合併症の低減において有益であろう、隣接する感熱性構造又は組織を救う能力を有する。追加的又は代替的に、単相性パルスが利用され得る。
【0021】
エレクトロポレーションは、細胞膜内の細孔の可逆的な(reversable)(一時的な)又は不可逆的な(永久的な)生成を引き起こすために、生物学的細胞にパルス電界を印加することによって誘発され得る。細胞は、パルス電界の印加時に静止電位を超えて増加する膜貫通静電位を有する。膜貫通静電位は閾値電位未満のままであるが、エレクトロポレーションは可逆的である。これは、印加されたパルス電界が除去されると細孔が閉じることができ、細胞は自己修復して生存することができることを意味する。膜貫通静電位が閾値電位を超えて増加する場合、エレクトロポレーションは不可逆的であり、細胞は永久的に透過性になる。結果として、細胞は、恒常性の喪失に起因して死滅し、典型的には、プログラムされた細胞死又はアポトーシスによって死滅し、これは、他のアブレーションモダリティと比較して、より少ない瘢痕組織を残すと考えられている。一般に、異なるタイプの細胞は、異なる閾値電位を有する。例えば、心臓細胞はほぼ500V/cmの閾値電位を有するが、骨は3000V/cmの閾値電位を有する。閾値電位のこれらの差は、IREが閾値電位に基づいて組織を選択的に標的とすることを可能にする。
【0022】
本開示の解決策は、好ましくは心筋組織においてエレクトロポレーションを誘発するのに有効なパルス電界を印加することによって、心筋組織の近傍に位置付けられたカテーテル電極から電気信号を印加するためのシステム及び方法を含む。本システム及び方法は、不可逆エレクトロポレーションを誘発することによって標的組織をアブレーションするのに有効であり得る。いくつかの例では、本システム及び方法は、診断処置の一部として可逆エレクトロポレーションを誘発するのに有効であり得る。可逆的エレクトロポレーションは、電極で印加された電気が標的組織の電界閾値を下回るときに起こり、細胞が修復することを可能にする。可逆エレクトロポレーションは細胞を死滅させないが、医師が、標的位置の近傍で電気活性化信号に対する可逆エレクトロポレーションの効果を見ることを可能にする。可逆エレクトロポレーションのための例示的なシステム及び方法は、米国特許出願公開第2021/0162210号に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれ、優先権出願第63/477,754号の付録に添付されている。
【0023】
パルス電界、並びに可逆エレクトロポレーション及び/又は不可逆エレクトロポレーションを誘発するパルス電界の有効性は、システムの物理パラメータ及び電気信号の二相性パルスパラメータによって影響を受け得る。物理パラメータは、電極接触面積、電極間隔、電極幾何形状などを含み得、本明細書に提示される例は、概して、可逆エレクトロポレーション及び/又は不可逆エレクトロポレーションを有効に誘発するように適合される物理パラメータを含む。電気信号の二相性パルスパラメータは、電圧振幅、パルス持続時間、パルス相間遅延、パルス間遅延、総印加時間、送達エネルギーなどを含み得る。いくつかの例では、電気信号のパラメータは、同じ物理パラメータが与えられると、可逆エレクトロポレーション及び不可逆エレクトロポレーションの両方を誘発するように調整することができる。IREを含むアブレーションの様々なシステム及び方法の例は、米国特許出願公開第2021/0169550A1号(現在は米国特許第11,660,135号)、同第2021/0169567A1号、同第2021/0169568A1号、同第2021/0161592A1号(現在は米国特許第11,540,877号)、同第2021/0196372A1号、同第2021/0177503A1号、及び同第2021/0186604A1号(現在は米国特許第11,707,320号)に提示されており、その各々の全体は、参照により本明細書に組み込まれ、優先米国特許出願第63/477,754号の付録に添付されている。
【0024】
IRE(不可逆エレクトロポレーション)処置でパルス場アブレーション(PFA)を送達するために、電極は、アブレーションされる組織と十分に大きな表面積で接触しなければならない。以下に説明されるように、医療用プローブは、実質的に円筒形の構造体を備え、実質的に円筒形の構造は、近位円形基部と、近位円形基部に実質的に平行な遠位円形基部と、近位円形基部と遠位円形基部との間で長手方向軸に沿って延在する複数のスパインと、長手方向軸の周りに内部体積を画定する複数のスパインの1つ以上に結合された可撓性回路基板の1つ以上のストリップとを有する、医療用プローブ。複数のスパインは、スパインの少なくとも一部分に沿って位置付けられた三分岐点と、三分岐点から延在し、二分岐点を更に備えるスパイン分岐とを含む。可撓性回路基板の1つ以上のストリップは、基板の表面上に配置された1つ以上の導電性トレースを更に含む。可撓性回路基板のストリップは、基板の内部表面に結合された1つ以上の基準電極を更に含み、基準電極は、外部表面上のそれぞれの電極と同じ場所に配置されて、積み重ねられた電極対を画定する。
【0025】
例示的なカテーテルベースの電気生理学マッピング及びアブレーションシステム10を示す図1を参照する。システム10は、患者23の血管系を通って、心臓12の腔又は血管構造内に医師24によって経皮的に挿入される複数のカテーテルを含む。典型的には、送達シースカテーテルは、心臓12の所望の位置の近くの左心房又は右心房内に挿入される。その後、複数のカテーテルを送達シースカテーテル内へと挿入して、所望の場所に到達させ得る。複数のカテーテルは、心内電位図(Intracardiac Electrogram、IEGM)信号の感知専用のカテーテル、アブレーション専用のカテーテル、並びに/又は感知及びアブレーションの両方に専用のカテーテルを含んでもよい。IEGMを感知するように構成された例示的なカテーテル14が本明細書に示されている。医師24は、心臓12の標的部位を感知するために、医療用プローブ16を備えるカテーテル14の遠位先端部28を、肺静脈の又はその付近の心臓壁と接触させる。アブレーションのために、医師24は、同様に、医療用プローブ16を備えるアブレーションカテーテルの遠位端部を、アブレーションのための標的部位に運ぶ。
【0026】
医療用プローブ16は、遠位先端部28において複数のスパイン22にわたって任意選択で分布し、IEGM信号を検知するように構成された1つ、好ましくは複数の電極26を含む例示的なプローブである。医療用プローブ16は、遠位先端部28の位置及び配向を追跡するために、遠位先端部28内又はその近くに埋め込まれた位置センサ29を更に含むことができる。任意選択的にかつ好ましくは、位置センサ29は、三次元(three-dimensional、3D)位置及び配向を感知するための3つの磁気コイルを含む磁気ベースの位置センサである。図2Aにより詳細に示すように、医療用プローブ16は、複数のスパイン22の上に位置付けられ、いくつかの個々のスパイン220の少なくとも一部に結合された可撓性回路基板70の1つ以上のストリップを含むことができる。位置センサ29は、従来のコイル状ワイヤセンサ、フラットPCBベースのセンサ、又は変形可能な電磁ループセンサとすることができる。図示されていないが、位置センサ29は、代替的に、バスケットアセンブリ28上に位置付けられるか、又は個々のスパイン22内に設計されることができる。いくつかの実施形態では、個々のスパイン22は絶縁され、位置センサとして機能することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、医療用プローブ16は、変形可能電磁ループセンサを含むことができる。変形可能電磁ループセンサのための様々のシステム及び方法の実施例は、米国特許第11,304,642号及び同第10,330,742号、並びに米国特許公開第2018/0344202A1号及び同第2020/0155224A1号に提示され、それらの各々は、参照することによって本明細書に組み込まれ、優先米国特許出願第63/477,754号の付録に添付される。
【0028】
磁気ベースの位置センサ29は、所定の作業体積内に磁場を生成するように構成された複数の磁気コイル32を含む位置パッド25と共に動作してもよい。カテーテル14の遠位端28のリアルタイム位置は、位置パッド25によって生成され、磁気ベースの位置センサ29によって感知される磁場に基づいて追跡されてもよい。磁気系の位置感知技術の詳細は、米国特許第5,391,199号、同第5,443,489号、同第5,558,091号、同第6,172,499号、同第6,239,724号、同第6,332,089号、同第6,484,118号、同第6,618,612号、同第6,690,963号、同第6,788,967号、同第6,892,091号に開示されており、その各々が参照により本明細書に組み込まれ、優先米国特許出願第63/477,754号の付録に添付される。
【0029】
システム10は、位置パッド25の場所基準及び電極26のインピーダンスベースの追跡を確立するために、患者23上の皮膚接触のために位置付けられた1つ以上の電極パッチ38を含む。インピーダンスベースの追跡のために、電流が電極26に向けられ、電極皮膚パッチ38において検知され、それにより、各電極の位置を、電極パッチ38を介して三角測量することができる。インピーダンスベースの位置追跡技術の詳細は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,536,218号、同第7,756,576号、同第7,848,787号、同第7,869,865号及び同第8,456,182号に開示されており、その各々が参照により本明細書に組み込まれ、優先米国特許出願第63/477,754号の付録に添付される。
【0030】
レコーダ11は、体表面ECG電極18で捕捉された電位図21と、カテーテル14の電極26で捕捉された心内電位図(IEGM)とを表示する。レコーダ11は、心臓の律動をペーシングするためのペーシング能力を含んでもよく、及び/又は独立型ペーサに電気的に接続されてもよい。
【0031】
システム10は、アブレーションするように構成されたカテーテルの遠位先端部にある1つ以上の電極にアブレーションエネルギーを伝達するように適合されたアブレーションエネルギー発生器50を含んでもよい。アブレーションエネルギー発生器50によって生成されるエネルギーは、不可逆エレクトロポレーション(IRE)をもたらすために使用され得るような単極性又は双極性高電圧直流パルスを含む、高周波(RF)エネルギー又はパルスフィールドアブレーション(PFA)エネルギー、あるいはそれらの組み合わせを含んでもよいが、それらに限定されない。
【0032】
患者インターフェースユニット(PIU)30は、カテーテルと、電気生理学的機器と、電源と、システム10の動作を制御するワークステーション55との間の電気通信を確立するように構成されたインターフェースである。システム10の電気生理学的機器は、例えば、複数のカテーテル、位置パッド25、本体表面ECG電極18、電極パッチ38、アブレーションエネルギー発生器50及びレコーダ11を含んでもよい。任意選択で、かつ好ましくは、PIU30は、カテーテルの位置のリアルタイム計算を実装し、ECG計算を実行するための処理能力を更に含む。
【0033】
ワークステーション55は、メモリと、適切なオペレーティングソフトウェアがロードされたメモリ又は記憶装置を有するプロセッサユニットと、ユーザインターフェース機能と、を含む。ワークステーション55は、任意選択的に、(1)心内膜解剖学的構造を三次元(3D)でモデルリングし、モデル又は解剖学的マップ20をディスプレイデバイス27上に表示するためにレンダリングすること、(2)記録された電位図21からコンパイルされたアクティブ化シーケンス(又は他のデータ)を、レンダリングされた解剖学的マップ20上に重ね合わされた代表的な視覚的指標又は画像でディスプレイデバイス27上に表示すること、(3)心腔内の複数のカテーテルのリアルタイム位置及び向きを表示すること、及び(4)アブレーションエネルギーが印加された場所などの関心部位を表示装置27上に表示すること、を含む、複数の機能を提供してもよい。システム10の要素を具現化する1つの市販製品は、Biosense Webster, Inc., 31 Technology Drive, Suite 200, Irvine, CA 92618, USAから市販されている、CARTO(商標)3システムとして入手可能である。
【0034】
図2Aは、挿入管80の遠位端83において挿入管ルーメン82から前進して出ることなどによる、非拘束時の拡張形態の実質的に円筒形の構造体60を含む医療用プローブ16の斜視図を示す概略描画図である。図2Aに示す医療用プローブ16では、図1に示したガイドシースが不在である。図2Bは、ガイドシースの挿入管80内の圧潰形態の実質的に円筒形の構造体60を示す。医療処置中、医師24は、チューブ状シャフト84を挿入管80から延出させ、実質的に円筒形の構造体60を挿入管80から出して拡張形態に移行させることによって、実質的に円筒形の構造60を展開することができる。
【0035】
複数のスパイン22のうちの各スパイン220は、楕円形(例えば、円形)、又は(平坦に見えることがある)長方形の断面を有してもよく、本明細書でより詳細に説明されるように、スパインを形成する可撓性弾性材料(例えば、ニチノールとしても知られるニッケル-チタン等の形状記憶合金など)を含んでもよい。スパイン220は、約0.6mmの公称幅を有してもよく、0.2mmと同程度の小ささ又は1.5mmと同程度の大きさであり得る。各スパインの厚さは、公称上0.09mmであり得、0.05mmから0.2mmまで変化し得る。幅及び厚さのこれらの値は、所望される剛性に応じて変化し得ることに留意されたい。
【0036】
図2Aに示されるように、実質的に円筒形の構造体60は、近位円形基部62及び遠位円形基部65を含み、近位基部62及び遠位基部65は、実質的に平面かつ平行である。いくつかの実施例では、遠位円形基部65は、実質的に円筒形の構造体60が遠位部分よりも大きい近位部分で先細状になるように、近位円形基部62よりも小さい半径を含む。代替的に、いくつかの例示的な医療用プローブ16は、遠位円形基部65において近位円形基部62よりも大きい半径を有する実質的に円筒形の構造体60を有し、その結果、実質的に円筒形の構造60は、近位部分よりも大きい遠位部分を有するように先細になっている。示されるように、遠位円形基部65の半径は、近位円形基部62と同様である。
【0037】
いくつかの実施形態では、円筒形の構造体60は、複数のスパイン22の上に位置付けられた可撓性回路基板70の1つ以上のストリップを更に含む。回路基板70及び複数のスパイン22は、実質的に円筒形の構造体60内に内部体積66を画定する。可撓性回路基板70のストリップは、回路基板70の外側と内部体積66との間に流体連通が存在するように、流体が内部体積66に入ることを可能にする。図示のように、可撓性回路基板70のストリップは、回路基板70の表面上に位置付けられた電極26を含む。
【0038】
図3Aは、拡張形態にあるときに長手方向軸86に沿ってほぼ正弦波状に延びる複数のスパイン22を備えた実質的に円筒形の構造体60を有する例示的な医療用プローブ16を示す概略描画図である。可撓性回路基板70の1つ以上のストリップは、線形形状であり得、1つ以上のスパイン220の少なくとも一部に結合され得る。図3Bに示すように、挿入チューブ80の壁に対して拘束されたときなど、圧潰形態にあるとき、正弦波スパインは、中間部の一部に沿ってねじれ得る。医療処置中、医師24は、チューブ状シャフト84を挿入管80から延出させ、実質的に円筒形の構造体60を挿入管80から出して、ねじれをほどき、拡張形態に移行させることによって、実質的に円筒形の構造60を展開することができる。
【0039】
図4Aは、医療用プローブ16の分解側面図であり、実質的に平面な表面上に外部電極26a、内部又は基準電極26b、及びマッピング電極26cを含む電極のアレイを有する可撓性回路基板70の1つ以上のストリップを示す。図2A及び図3Aに示すように、可撓性回路基板70のストリップは、実質的に円筒形状に拡張する複数のスパイン22上に嵌合する。実質的に円筒形の構造体60は、接着剤又は成形などの好適な技法を介してチューブ状部材84に物理的に接続することができる。図示されていない一実施形態では、近位リング222に沿ってアイレットを設けることができ、チューブ状部材84の表面上にロケータを設けて、チューブ状部材84へのスパインの組み立て及び物理的保持を補助することができる。
【0040】
複数のスパイン22は、(図4Aに示されるように)各スパイン220又は近位リング222がチューブ状シャフト84の遠位端85内に挿入され得るように、折り畳まれるか、又は別様に曲げられ得る。図3には示されていないが、回路基板70が複数のスパイン22の上に位置付けられ、スパイン22がチューブ状シャフト84に挿入されて医療用プローブ16を形成する前に、電極26を可撓性回路基板70のストリップに取り付け得ることが理解されよう。前述のように、スパイン22は、実質的に円筒形の構造体60がチューブ状シャフト84から展開されるときに実質的に円筒形の構造60がその拡張形態に移行することを可能にし得る、可撓性弾性材料(例えば、ニチノールとしても知られているニッケル-チタン等の形状記憶合金など)を含み得る。
【0041】
図4Bに示すように、スパインアセンブリは、近位リング222及び遠位リング225が一体型材料であるように、中空のチューブ状円筒ストック材料210から作製することができる。チューブ状ストック210は、図4Aに示されるように、スパインアセンブリのための所望の形状に切断される。その後、切断された管210は、図4Aに示される実質的に円筒形の構成を提供するために、当業者によって公知であるように形状設定(又は熱設定)することができる。示されるように、中空管210は、中空管210の長さに沿ってほぼ均一な第1の直径D1を有するが、拘束されていないとき、円筒形の構造体60は、図4Aに示される第2の直径D2に拡張する。円筒形の構造体の遠位リング225及び近位リング220は、中空管210の第1の直径D1を維持する。いくつかの実施形態では、拡張形態における円筒形の構造体の直径は、約15mm±5mmであり得る。
【0042】
本明細書に記載され、図4Bに示されるいくつかの実施形態では、複数のスパイン22のうちの各スパイン220は、スパインの少なくとも一部に沿って位置付けられた三分岐点219及び二分岐点217を含む。三分岐点219又は二分岐点217のいずれか1つは、遠位円形基部65と近位円形基部62との間のスパインの少なくとも一部に沿って位置付けられ得る。一例として、図4Aは、遠位円形基部65内の三分岐点219を示す一方、二分岐点217は、遠位円形基部65と近位円形基部62との間に位置付けられる。複数のスパイン22のうちの各スパイン220は更に、三分岐点219と二分岐点216との間に第1のスパイン分岐216を含む。各スパイン220は更に、三分岐点219の後に位置付けられた第2のスパイン分岐216’を含んでもよい。三分岐点219において、スパインは、中央に維持され、遠位円形基部65と近位円形基部62との間に延在する中央部分218を形成し、円筒形の構造体60が拡張形態にあるときに最も外側の部分である。いくつかの例示的な医療用プローブ16では、円筒形の構造体60は、遠位円形基部65と近位円形基部62との間に約10mm~約20mmの範囲の長さを有する。好ましくは、近位端212と遠位端215との間の円筒形の構造体60の長さLは、約15mmである。
【0043】
いくつかの実施形態では、複数のスパイン22は、任意選択的に二分岐点のみを有することができる。例えば、図4Bの中空管210は、三分岐点219を第2の二分岐点217で置き換えることができる。そのような例では、第2のスパイン分岐216’は、中間部分218になる。
【0044】
図5は、複数のスパイン22と、可撓性回路基板70の1つ以上のストリップと、プッシャロッド88とを有する実質的に円筒形の構造体60を有する医療用プローブ16の側面図を示す概略描画図である。示されるように、プッシャロッド88は、近位リング222内に嵌合し、長手方向軸86に沿って円筒形の構造体60の内部体積66内を移動することができる。プッシャロッド88は更に、拡張構成における医療用プローブ16の位置及び配向を追跡するために、遠位先端28内又はその付近に埋め込まれた位置センサ29を含むことができる。示されるように、可撓性回路基板70は、外向き電極26a、内向き電極26b、及びマッピング電極26cを含むことができる。マッピング電極26cは、従来のコイル状ワイヤセンサ、フラットPCBベースのセンサ、又は変形可能な電磁ループセンサであり得る。図示されていないが、マッピング電極26cは、代替的に、実質的に円筒形の構造体60上に位置付けられることができ、又は複数のスパイン22の個々のスパイン内に設計され得る。
【0045】
基準電極は、組織に接触している電極に直接隣接する流体及び/又は血液からの電気信号を測定するように構成し得る。したがって、基準電極は、接触組織から絶縁され、結果として収集される信号は、非局所遠距離場信号である。この基準電極からの情報を使用して、隣接する組織接触電極からの遠距離場信号を相殺して、組織接触電極が局所情報のみを収集することを確実にし得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、複数のスパイン22の個々のスパイン220は、絶縁され、位置センサとして機能することができる。いくつかの実施形態では、プッシャロッド88は、実質的に円筒形の構造体60の遠位リング225を通して嵌合する、遠位先端28におけるアブレーション電極98を含んでもよい。
【0047】
図6A及び図6Bは、上述したように、中空管210から切断され、標的に接触する力によって圧縮された複数のスパイン22の側面図を示す概略描画図である。複数のスパイン22は、拘束されていない長さLまで拡張し、圧縮された長さCLまで圧縮し、複数のスパイン22の三分岐及び二分岐により、実質的に円筒形の構造体60を柔軟に移動させる。当業者によって理解されるように、円筒形の構造体60の長手方向軸86に沿って異なる位置に二分岐又は三分岐を位置付けることは、円筒形の構造体60の可撓性を変更することができ、又は医療用プローブ16のための異なる膜及び/又は電極アレイ設計を可能にし得る。
【0048】
図7Aは、二分岐点217及び三分岐点219の両方を有する複数のスパイン22の側面図を示す概略描画図である。複数のスパイン22は、近位リング222と遠位リング225との間の拘束されていない長さLまで拡張し、心臓などの組織に接触する力により圧縮されると、複数のスパイン22は、二分岐及び三分岐により柔軟に移動することができる。拡張形態では、複数のスパイン22の近位リング222及び遠位リング225は、上記で説明したように、中空管の直径に実質的に等しい第1の直径D1を有する。拡張形態では、複数のスパイン22は、第2の直径D2まで拡張する。図7Bに示されるように、個々のスパインの拡大画像は、中間部分218、二分岐点217、及び2つのスパイン分岐216を示す。図7Cは、第2の直径D2に拡張された複数のスパイン22、及び三分岐点219の上面図を示し、その1つが図7Dに拡大して示されている。
【0049】
図8A及び図8Bは、長手方向軸86に対して中間部分218に沿った曲線を有する複数のスパイン22の別の三分岐設計の側面図及び上面図を示す概略描画図である。示されるように、スパインは正弦波状であり得るが、設計は更に、複数のスパイン22が圧潰形態(図3B)から図8Bに示されるような拡張形態に移行するときにねじれるように、好適な曲線状であり得る。複数のスパイン22は、拘束されていない長さLまで拡張し、心臓などの組織に接触する力により圧縮されると、複数のスパイン22は、スパインの設計により柔軟に移動することができる。
【0050】
図8Cは、外部表面及び内部表面に埋め込まれた電極を有する図8Aの膜の断面図を示す概略描画図である。いくつかの実施形態では、外向き電極26a及び内向き電極26bは、図8Cに示されるように、可撓性回路基板70のストリップの両側に整列され、積層電極26dを形成する。
【0051】
図9A図9Dは、電極26及び電気トレース96を有する可撓性回路基板70のストリップを示す概略描画図である。いくつかの実施形態では、電気トレース96は、図9A及び図9Cに示されるように、回路基板内に埋め込まれ、可撓性回路基板70の外部表面に結合される1つ以上の電極26を接続する線として示される。図8Cにより詳細に示されるように、電極26は、電極が電極26dの積み重ねられた対を規定するように、可撓性回路基板70の外部表面上及び可撓性回路基板70の内部表面上に配置される。可撓性回路基板の内部表面に配置された電極26bは、基準電極として機能することができる。基準電極は、医療用プローブ16の内部体積66内の流体からの電気信号を測定して、ノイズを低減し、マッピングの精度を向上させることなどができる。
【0052】
本明細書に記載の実施形態では、円筒形の構造体60の可撓性回路基板70上に位置付けられる1つ以上の電極26は、心臓26内の組織にアブレーションエネルギー(RF及び/又はIRE)を送達するように構成され得る。複数のスパイン22は、電極26から電気的に絶縁されて、電極26からそれぞれのスパイン220へのアーク放電を防止することができる。追加的に、電極を使用して、医療用プローブ16の位置を決定すること、及び/又は心臓26内の組織上のそれぞれの位置における局所表面電位など生理学的特性を測定することができる。電極26は、1つ以上の電極26aのより多くの部分が実質的に円筒形の構造体60から外向きに面するように付勢され得、その結果、1つ以上の電極26aは、内向きよりも円筒形の構造体60から離れる方向に外向きに(すなわち、心臓12組織に向かって)、より多くの量の電気エネルギーを送達する。
【0053】
電極26を形成するのに理想的に適した材料の例としては、金、白金、及びパラジウム(及びそれらのそれぞれの合金)が挙げられる。これらの材料は更に、非常に高い熱伝導率を有し、これにより、組織上で生成された(すなわち、組織に送達されたアブレーションエネルギーによる)最小限の熱が、電極を通って電極の裏側(すなわち、スパインの内側にある電極の部分)に、次に心臓12内の血液プールに伝導されることが可能になる。
【0054】
上述したように、PIU30及びワークステーション55は、医療用プローブ16に灌注流体を送達する灌注のための制御部を含む。図示されていないが、複数の灌注開口部は、実質的に円筒形の構造体60の内部体積66内に位置付けられ、所与の電極26又は心臓12内の組織のいずれかに灌注流体を噴霧又は別様に分散させるように角度を付けることができる。電極26は、灌注流体を送達する灌注開口部を含まないので、上述の構成により、熱を組織からスパイン22の内側にある電極の部分に(すなわち、アブレーション処置中に)伝達することが可能になり、灌注開口部98を介して、スパイン22の内側にある電極26の部分に灌注流体を向けることによって、電極26を冷却することができる。
【0055】
可撓性回路基板70は、(図9Aに示されるように)複数の近位取り付け点72及び遠位取り付け点75を含むことができる。図示されていないが、膜70は、遠位取り付け点75が中心にあり、材料が長手方向軸86に沿って近位に延在する平面材料から設計することができる。可撓性回路基板70は、ポリアミド-ポリエーテル(Pebax)コポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ウレタン、ポリイミド、パリレン、シリコーンなど、又はそれらを組み合わせた、生体適合性の電気絶縁材料から作製され得る。いくつかの例では、絶縁材料は、ポリエチルベンゼン、ポリジメチルシロキサン、ポリグリコール酸、ポリ-L-乳酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート、ポリジオキサノン、ポリアミド、ポリイミド、エチレン酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ無水物、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリブチロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、ポリジメチルシロキサン、シリコーン、エポキシ、フルオロポリマー、ポリテトラフルオロエチレンを含むがこれらに限定されない生体適合性ポリマーを含むことができ、特定のポリマーの比は、炎症反応の程度を制御するように選択される。可撓性回路基板70は、複数のスパイン22、電気トレース96、又は可撓性回路基板70を通過するワイヤを電極26から絶縁して、電極26からスパイン22へのアーク放電及び/又は可撓性回路基板70を通過するワイヤの機械的摩耗を防止するのに役立ち得る。
【0056】
図10は、本発明の一実施形態による、医療用プローブ16を製造する方法1000を示すフロー図である。方法1000は、可撓性回路基板70を1つ以上のストリップに製造することを含むことができる(ステップ1002)。電気トレースの製造は、可撓性回路基板70上の1つ以上の電気トレース96内に1つ以上の電極26を位置合わせする前に又はそれと同時に完了することができる(こと1004)。可撓性回路基板70は、(医療用プローブに対して)外向きの電極26a、内向き又は基準電極26b、及びマッピング電極26cを含む電極のアレイを含むことができる。電極は、電極26が可撓性回路基板70又は可撓性回路基板70の隣接するストリップに沿って隣接する電極26からオフセットされるように位置付けられることができる。代替的に、電極26は、隣接するストリップ可撓性回路基板70と実質的に等しい線形アレイ内に整列させることができる。電極26を形成するのに理想的に適した材料としては、金、白金、及びパラジウム(及びそれらのそれぞれの合金)が挙げられる。可撓性回路基板70は、平面弾性材料から切断することができる。平面弾性材料は、ニッケル-チタン(ニチノールとしても知られる)などの形状記憶合金、又はポリエチルベンゼン、ポリジメチルシロキサン、ポリグリコール酸、ポリ-L-乳酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート、ポリジオキサノン、ポリアミド、ポリイミド、エチレン酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ無水物、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリブチロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、ポリジメチルシロキサン、シリコーン、エポキシ、フルオロポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、又はそれらの組み合わせを含むがそれらに限定されない生体適合性ポリマーを含むことができる。いくつかの例では、方法1000は、蒸着(例えば、化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、又は原子層堆積(ALD))によって膜を成長させることができる。蒸着の場合、ニチノールの層を堆積させ、続いて薄い絶縁層を堆積させ、次に導電性トレース及び電極層を堆積させることができる。いくつかの例では、方法1000は、リソグラフィ法、スパッタリング法(例えば、スピンコーティング、直接描画スパッタリング、又はスパッタコーティング)、印刷(例えば、3D印刷)、電着、フォトリソグラフィによって膜を現像することができる。
【0057】
方法1000は、複数のスパイン22を含む実質的に円筒形の構造体60の上に可撓性回路基板70の1つ以上のストリップを配置することを更に含む(ステップ1006)。可撓性回路基板70のストリップは、本明細書で説明するように、複数のスパイン22の上に固定することができる。本開示の利益を含む当業者によって理解されるように、可撓性回路基板70のストリップを固定することは、近位取り付け点72を複数のスパイン22の近位リング222又はチューブ状シャフト84に取り付けることを含むことができる。方法1000は、複数のスパイン22を、長手方向軸86から半径方向外向きに延在して、実質的に円筒形の構造体60を画定するように構成することを含むことができる(ステップ1008)。複数のスパイン22を半径方向外向きに延在するように構成することは、実質的に円筒形の構造体60を提供するために形状設定(又は熱硬化)されるスパインを形成するために、中空管210から設計を切断することを含むことができる。中空管210は、ニッケル-チタン(ニチノールとしても知られる)、コバルトクロム、又は任意の他の好適な材料など形状記憶合金を含み得る。上述したように、複数のスパイン22は、スパイン210の少なくとも一部に沿って二分岐及び/又は三分岐を含む。
【0058】
いくつかの実施例では、ステップ1002~1008は、同時ステップとして、又は一連のステップとして起こり得る。
【0059】
方法1000は、実質的に円筒形の構造体60が医療用プローブ16の遠位端に位置付けられ、それぞれのスパイン220がチューブ状構成から湾曲構成に移動可能であるように、各スパイン210又は近位リング222を、血管系を横断するようにサイズ決めされたチューブ状シャフト84のルーメンに挿入させることを含むことができる。
【0060】
当業者によって理解されるように、方法1000は、本明細書に記載の開示技術の様々な特徴のいずれかを含み得、特定の構成に応じて様々であり得る。したがって、方法1000は、本明細書で明示的に記載した特定のステップ及びステップの順序に限定されるものとして解釈されるべきではない。マッピング、IRE又はPFAについては、医療用プローブの例示的な実施形態が好ましいが、医療用プローブを、RFアブレーション(外部接地電極を有する単極モード又は双極モード)のためだけに別個に使用すること、又はIREアブレーション及びRFアブレーションを組み合わせて順次使用すること(IREモードの特定の電極及びRFモードの他の電極)、又は同時に使用すること(IREモードの電極及びRFモードの他の電極のグループ)も本発明の範囲内であることに留意されたい。
【0061】
本明細書に記載の本開示の技術は、以下の条項に従って更に理解することができる。
条項1:医療用プローブであって、実質的に円筒形の構造体を備え、実質的に円筒形の構造体は、近位円形基部と、近位円形基部に実質的に平行な遠位円形基部と、長手方向軸に沿って延在し、遠位円形基部と近位円形基部とを接合する複数のスパインと、各スパインが、スパインの少なくとも一部分に沿って位置付けられた三分岐点と、三分岐点から延在し、二分岐点を更に含むスパイン分岐と、を備え、複数のスパインの1つ以上に結合された可撓性回路基板の1つ以上のストリップと、を備える医療用プローブ。
【0062】
条項2:複数のスパインのうちの各スパインが、実質的に円筒形の構造体の遠位端で接合されている、条項1に記載の医療用プローブ。
【0063】
条項3:複数のスパインは、チューブ状構成から拡張された円筒形の構成に移動するように構成されている条項1に記載の医療用プローブ。
【0064】
条項4:実質的に円筒形の構造体は、実質的に平面の遠位部分円形基部を含む、条項1~3のいずれかに記載の医療用プローブ。
【0065】
条項5:実質的に円筒形の構造体は、遠位円形基部と近位円形基部との間に中間部分を備え、中間部分は、約10mm~約20mmの範囲の長さを備える、条項1~4のいずれかに記載の医療用プローブ。
【0066】
条項6:複数のスパインが長手方向軸に沿って線状に延びる、条項1~5のいずれかに記載の医療用プローブ。
【0067】
条項7:複数のスパインが長手方向軸に沿って正弦波状に延びる、条項1~5のいずれかに記載の医療用プローブ。
【0068】
条項8:複数のスパインのうちの各スパインは、実質的に円筒形の構造体の近位端で接合されている、条項1~7のいずれかに記載の医療用プローブ。
【0069】
条項9:遠位円形基部は、近位円形基部よりも小さい半径を備える、条項1~8のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0070】
条項10:遠位円形基部は、近位円形基部よりも大きい半径を備える、条項1~8のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0071】
条項11:遠位円形基部は、近位円形基部にほぼ等しい半径を備える、条項1~8のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0072】
条項12:各スパインは、実質的に円筒形の構造体の遠位端における遠位リングと、実質的に円筒形の構造体の近位端における近位リングとに収束する、条項1~11のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0073】
条項13:実質的に円筒形の構造体は、複数のスパインの1つ以上の上に1つ以上の電磁位置コイルを更に備える、条項1~12のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0074】
条項14:可撓性回路基板の1つ以上のストリップが、実質的に円筒形の構造体の遠位端で接合される、条項1~13のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0075】
条項15:可撓性回路基板の1つ以上のストリップが、実質的に円筒形の構造体の近位端で接合されている、条項1~13のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0076】
条項16:可撓性回路基板の1つ以上のストリップは、少なくとも4つのストリップを備える、条項1~15のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0077】
条項17:可撓性回路基板の1つ以上のストリップは、8つのストリップを備える、条項1~16のいずれか1つに記載の医療用プローブ。
【0078】
条項18:可撓性回路基板の1つ以上のストリップが、基板の表面上に配置された1つ以上の導電性トレースを更に備える、条項1~17のいずれかに記載の医療用プローブ。
【0079】
条項19:可撓性回路基板の1つ以上のストリップが平面材料から形成される、条項1~18のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0080】
条項20:可撓性回路基板のストリップが、基板の外部表面に結合された1つ以上の電極を備える、条項1~19のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0081】
条項21:可撓性回路基板のストリップは、基板の内部表面に結合された1つ以上の基準電極を更に備え、基準電極が外部表面上のそれぞれの電極と同じ場所に配置されて、積み重ねられた電極対を画定する、条項20に記載の医療用プローブ。
【0082】
条項22:1つ以上の電極は、1つ以上の電極が接触している組織に治療手技を適用するために電気信号を供給するように構成されている、条項20に記載の医療用プローブ。
【0083】
条項23:1つ以上の電極は、不可逆エレクトロポレーションのために電気パルスを送達するように構成されており、パルスは、少なくとも900ボルトのピーク電圧を含む、条項1~22のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0084】
条項24:1つ以上の電極が、実質的に円筒形の構造体内を流れる流体の基準信号を送達するように構成されている、条項1~23のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0085】
条項25:チューブ状シャフトの遠位端に近接して配置された灌注開口部を更に備え、灌注開口部は、灌注流体を1つ以上の電極に送達するように構成されている、条項1~24のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0086】
条項26:複数のスパインは、ニチノールを含む、条項1~25のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0087】
条項27:複数のスパインは、金属ストランドを含む、条項1~25のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0088】
条項28:1つ以上の可撓性回路基板のストリップは、ニチノールを含む、条項1~27のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0089】
条項29:1つ以上の可撓性回路基板のストリップは、不活性生体適合性ポリマーを含む、条項1~27のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0090】
条項30:不活性生体適合性ポリマーが、ポリエチルベンゼン、ポリジメチルシロキサン、ポリグリコール酸、ポリ-L-乳酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート、ポリジオキサノン、ポリアミド、ポリイミド、エチレン酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ無水物、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリブチロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、ポリジメチルシロキサン、シリコーン、エポキシ、フルオロポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、条項29に記載の医療用プローブ。
【0091】
条項31:医療用プローブを構築する方法であって、方法は、可撓性回路基板を1つ以上のストリップに製造することと、複数のスパインを備える実質的に円筒形の構造体の上に1つ以上のストリップを位置付けることと、実質的に円筒形の構造体を画定するために、長手方向軸に沿ってチューブ状構成から半径方向外向きに延在するように複数のスパインを構成することと、を含む方法。
【0092】
条項32:接合された中心点を有する可撓性回路基板の1つ以上のストリップを切断することと、接合された中心点を実質的に円筒形の構造体の遠位端に位置決めすることとを更に含む、条項31に記載の方法。
【0093】
条項33:可撓性回路基板の1つ以上のストリップを実質的に円筒形の構造に固定することを更に含む、条項31又は条項32のいずれか一項に記載の方法。
【0094】
条項34:可撓性回路基板の1つ以上のストリップを、実質的に円筒形の構造体の遠位端における遠位リングにヒンジ留めすることを更に含む、条項33に記載の方法。
【0095】
条項35:可撓性回路基板の1つ以上のストリップの少なくとも一部を複数のスパインに縫い付けることを更に含む、条項34に記載の方法。
【0096】
条項36:可撓性回路基板の1つ以上のストリップを、複数のスパインに沿って位置する1つ以上のリベットに取り付けることを更に含む、条項33に記載の方法。
【0097】
条項37:可撓性回路基板の1つ以上のストリップを、実質的に円筒形の構造体の内部表面及び外部表面に固定することを更に含む、条項31~33のいずれか一項に記載の方法。
【0098】
条項38:可撓性回路基板からの1つ以上の電気トレースを、医療用プローブのチューブ状シャフトを通って延びるワイヤに接続することを更に含む、条項31~37のいずれか一項に記載の方法。
【0099】
条項39:物理蒸着によって可撓性回路基板の1つ以上のストリップを印刷することを更に含む、条項31~38のいずれか一項に記載の方法。
【0100】
条項40:ニチノールを含む平面シートから可撓性回路基板の1つ以上のストリップを切断することを更に含む、条項31~38のいずれか一項に記載の方法。
【0101】
条項41:実質的に円筒形の構造体の複数のスパイン上に1つ以上の電磁位置コイルを位置付けることを更に含む、条項31~40のいずれか一項に記載の方法。
【0102】
条項42:中空管の長さに沿って切り欠きを形成して複数のスパインを形成することを更に含み、複数のスパインは、管の遠位端及び近位端を圧縮すると、軸方向に曲がって実質的に円筒形の構造を形成する、条項31~41のいずれか一項に記載の方法。
【0103】
条項43:中空管の長さに沿った切り欠きが、管の近位端と遠位端との間に位置付けられた三分岐点を含む複数のスパインを形成する、条項42に記載の方法。
【0104】
条項44:中空管の長さに沿った切り欠きは、三分岐点から延在するスパイン分岐上に位置付けられた二分岐点を更に備え、二分岐点は、管の近位端と遠位端との間に位置付けられる、条項43に記載の方法。
【0105】
これまで述べた実施形態は、例として引用したものであり、本発明は、本明細書にこれまで具体的に図示し述べたものに限られるものではない。むしろ、本発明の範囲は、上記に記載及び図示される様々な特徴の組み合わせ及び副次的組み合わせの両方、並びに前述の説明を読むと当業者に想起されるであろう、従来技術で開示されていないそれらの変形例及び修正を含む。
【0106】
〔実施の態様〕
(1) 医療用プローブであって、
実質的に円筒形の構造体を備え、前記実質的に円筒形の構造体が、
近位円形基部と、
前記近位円形基部に実質的に平行な遠位円形基部と、
長手方向軸に沿って延在し、前記遠位円形基部と前記近位円形基部とを接合する複数のスパインであって、各スパインが、
前記スパインの少なくとも一部に沿って位置付けられた三分岐点と、
前記三分岐点から延在し、二分岐点を更に備えるスパイン分岐と、を備える、複数のスパインと、
前記複数のスパインのうちの1つ以上に結合された可撓性回路基板の1つ以上のストリップと、を備える、医療用プローブ。
(2) 前記複数のスパインのうちの各スパインが、前記実質的に円筒形の構造体の遠位端で接合されている、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(3) 前記複数のスパインが、チューブ状構成から拡張された円筒状構成に移行するように構成されている、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(4) 前記実質的に円筒形の構造体が、実質的に平面の遠位部分円形基部を備える、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(5) 前記実質的に円筒形の構造体が、前記遠位円形基部と前記近位円形基部との間に、約10mm~約20mmの範囲の長さを備える中間部分を備える、実施態様1に記載の医療用プローブ。
【0107】
(6) 前記複数のスパインが、前記長手方向軸に沿って直線状に延びる、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(7) 前記複数のスパインが、前記長手方向軸に沿って正弦波状に延びる、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(8) 各スパインが、前記実質的に円筒形の構造体の遠位端における遠位リングと、前記実質的に円筒形の構造体の近位端における近位リングとに収束する、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(9) 前記実質的に円筒形の構造体が、前記複数のスパインのうちの1つ以上の上に1つ以上の電磁位置コイルを更に備える、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(10) 前記可撓性回路基板の1つ以上のストリップが、前記可撓性回路基板の表面上に配置された1つ以上の導電性トレースを更に備える、実施態様1に記載の医療用プローブ。
【0108】
(11) 前記可撓性回路基板のストリップが、前記可撓性回路基板の外部表面に結合された1つ以上の電極を備える、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(12) 前記可撓性回路基板のストリップが、前記可撓性回路基板の内部表面に結合された1つ以上の基準電極を更に備え、前記基準電極が、前記外部表面上のそれぞれの電極と同じ場所に配置されて、積み重ねられた電極対を画定する、実施態様11に記載の医療用プローブ。
(13) 前記1つ以上の電極が、前記実質的に円筒形の構造体内を流れる流体の基準信号を送達するように構成されている、実施態様11に記載の医療用プローブ。
(14) 医療用プローブを構築する方法であって、
可撓性回路基板を1つ以上のストリップに製造することと、
複数のスパインを備える実質的に円筒形の構造体を覆うように前記1つ以上のストリップを位置付けることと、
前記実質的に円筒形の構造体を画定するために、長手方向軸に沿ってチューブ状構成から半径方向外向きに延在するように前記複数のスパインを構成することと、を含む、方法。
(15) 接合された中心点を有する前記可撓性回路基板の1つ以上のストリップを切断することと、
前記接合された中心点を前記実質的に円筒形の構造体の遠位端に位置付けることと、を更に含む、実施態様14に記載の方法。
【0109】
(16) 前記可撓性回路基板の1つ以上のストリップを、前記実質的に円筒形の構造体の前記遠位端における遠位リングにヒンジ留めすることを更に含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 物理蒸着によって可撓性回路基板の1つ以上のストリップを印刷することを更に含む、実施態様14に記載の方法。
(18) 中空管の長さに沿って切り欠きを形成して前記複数のスパインを形成することを更に含み、前記複数のスパインが、前記中空管の遠位端及び近位端を圧縮すると、軸方向に曲がって前記実質的に円筒形の構造体を形成する、実施態様14に記載の方法。
(19) 前記中空管の長さに沿った前記切り欠きが、前記中空管の前記近位端と前記遠位端との間に位置付けられた三分岐点を備える前記複数のスパインを形成する、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記中空管の長さに沿った前記切り欠きが、前記三分岐点から延在するスパイン分岐上に位置付けられた二分岐点を更に備え、前記二分岐点が、前記中空管の前記近位端と前記遠位端との間に位置付けられる、実施態様19に記載の方法。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
【外国語明細書】