(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096090
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】カテーテル用の位置センサ及び力センサ
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20240704BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023222408
(22)【出願日】2023-12-28
(31)【優先権主張番号】63/477,944
(32)【優先日】2022-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/388,303
(32)【優先日】2023-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブ・ローズベリー
(72)【発明者】
【氏名】ポール・スアレス
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ジェームズ・アグニュー・ブイ
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・エメリウス・バン・ニーキルク
(72)【発明者】
【氏名】タン・グエン
(72)【発明者】
【氏名】アマール・パテル
(72)【発明者】
【氏名】ショーン・ディ・セイラー
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・ロドリゲス
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK17
4C160KK24
4C160KK47
4C160KK63
4C160MM33
(57)【要約】
【課題】医療用エンドエフェクタを提供すること。
【解決手段】本開示の技術は、長手方向軸に沿って延在する1つ以上のスパインを備える医療用エンドエフェクタを含む。スパインは、長手方向軸から外向きである第1の表面と、スパインの第1の表面の一部に取り付けられた1つ以上の接触パッドと、1つ以上の接触パッドのうちのそれぞれのものの上に配置された1つ以上のフレキシブル回路であって、各々が電極と誘導コイルとを1つのユニットとして備える、1つ以上のフレキシブル回路と、を更に備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用エンドエフェクタであって、
長手方向軸に沿って延在する1つ以上のスパインを備え、前記スパインは、
前記長手方向軸から外向きである第1の表面と、
前記スパインの前記第1の表面の一部に取り付けられた1つ以上の接触パッドと、
前記1つ以上の接触パッドのうちのそれぞれのものの上に配置された1つ以上のフレキシブル回路であって、各々が電極と誘導コイルとを1つのユニットとして備える、1つ以上のフレキシブル回路と、を備える、医療用エンドエフェクタ。
【請求項2】
前記誘導コイルが、前記フレキシブル回路に埋め込まれた第1の誘導コイルを含み、前記第1の誘導コイルは、前記1つ以上の接触パッドのうちの複数の接触パッドのうちのそれぞれのものの上に隆起する前記フレキシブル回路の湾曲に適合している、請求項1に記載の医療用エンドエフェクタ。
【請求項3】
前記第1の誘導コイルが、2つの実質的に平行な可撓性表面の間に閉じ込められている、請求項2に記載の医療用エンドエフェクタ。
【請求項4】
前記接触パッドが、前記第1の表面に沿った長い側面と、前記長い側面に垂直な短い側面とを備え、前記誘導コイルが、前記長い側面及び前記短い側面のうちの少なくとも一方にのみ配置されている、請求項1に記載の医療用エンドエフェクタ。
【請求項5】
前記電極が、前記フレキシブル回路の第1の面に配置され、前記誘導コイルが、前記フレキシブル回路の第2の面に配置されている、請求項1に記載の医療用エンドエフェクタ。
【請求項6】
前記フレキシブル回路の前記第1の面の少なくとも一部が、前記スパインの前記第1の表面に略平行に配置されている、請求項5に記載の医療用エンドエフェクタ。
【請求項7】
前記フレキシブル回路の前記第2の面の少なくとも一部が、前記スパインの前記第1の表面に対して略垂直に配置されている、請求項5に記載の医療用エンドエフェクタ。
【請求項8】
前記1つ以上のフレキシブル回路のうちの各それぞれの1つが、前記それぞれのスパインの周囲に延在している、請求項1に記載の医療用エンドエフェクタ。
【請求項9】
前記スパインが、
前記第1の表面の反対側の第2の表面と、
前記第1の表面に対して略垂直に配置された第3の表面と、
前記第3の表面の反対側の第4の表面と、を更に備え、
前記1つ以上のフレキシブル回路がそれぞれ、前記スパインの前記第1の表面、前記第3の表面、前記第4の表面、及び前記第2の表面の少なくとも一部の周囲に延在している、請求項1に記載の医療用エンドエフェクタ。
【請求項10】
前記スパインの前記第2の表面の少なくとも一部の周囲に延在する前記1つ以上のフレキシブル回路が、1つ以上のワイヤが中を通ってルーティングされる前記フレキシブル回路内の間隙を画定している、請求項9に記載の医療用エンドエフェクタ。
【請求項11】
前記医療用プローブに接続され、前記電極のうちの少なくとも1つに電気信号を印加して、身体部分の組織をアブレーションするように構成されたアブレーション電力発生装置と、
前記誘導コイルのうちの少なくとも1つから位置信号を受信するように構成された位置モジュールと、を更に備える、請求項1に記載の医療用エンドエフェクタ。
【請求項12】
前記1つ以上のスパインが、前記長手方向軸に沿って延在する前記1つ以上のスパインを含む拡張可能バスケットアセンブリを形成するように構成されており、かつ、前記拡張可能バスケットアセンブリが折り畳み形態から拡張形態に移行するときに、前記長手方向軸から半径方向外向きに曲がるように構成されている、請求項1に記載の医療用エンドエフェクタ。
【請求項13】
前記1つ以上のスパインに結合された3軸センサを更に備え、前記1つ以上のスパインが遠位端及び近位端を含み、前記3軸センサが前記遠位端に近接して配置されている、請求項1に記載の医療用エンドエフェクタ。
【請求項14】
医療用エンドエフェクタであって、
拡張可能バスケットアセンブリであって、前記拡張可能バスケットアセンブリは、
長手方向軸に沿って延在し、かつ、前記拡張可能バスケットアセンブリが折り畳み形態から拡張形態に移行するときに、前記長手方向軸から半径方向外向きに曲がるように構成されている複数のスパインと、
第1の単軸センサと、
第2の単軸センサと、
第3の単軸センサと、を備え、
前記第1の単軸センサ、前記第2の単軸センサ、及び前記第3の単軸センサは、それぞれ、前記複数のスパインのうちのそれぞれのスパインに結合され、3軸センサとして機能するように集合的に構成されている、拡張可能バスケットアセンブリと、
プロセッサであって、前記プロセッサは、
前記第1の単軸センサ、前記第2の単軸センサ、及び前記第3の単軸センサから位置データを受信することと、
前記拡張可能バスケットアセンブリの前記スパインの物理的特性に関する既知の情報を受信することと、
前記受信した位置データ及び前記スパインの前記物理的特性に関する既知の情報に少なくとも部分的に基づいて、前記拡張可能バスケットアセンブリの位置及び前記拡張可能バスケットアセンブリに加えられた力を計算することと、を行うように構成されている、プロセッサと、を備える、医療用エンドエフェクタ。
【請求項15】
前記プロセッサが、
受信した位置データに少なくとも部分的に基づいて、前記拡張可能バスケットアセンブリのたわみを計算するように更に構成されている、請求項14に記載の医療用エンドエフェクタ。
【請求項16】
前記プロセッサが、
前記拡張可能バスケットアセンブリの前記計算されたたわみ及び前記スパインの前記物理的特性に関する前記既知の情報に少なくとも部分的に基づいて、前記拡張可能バスケットアセンブリに加えられた力を計算するように更に構成されている、請求項15に記載の医療用エンドエフェクタ。
【請求項17】
前記プロセッサが、
受信した位置データに少なくとも部分的に基づいて、前記複数のスパインのうちの1つ以上の個々のスパインのたわみを計算するように更に構成されている、請求項14に記載の医療用エンドエフェクタ。
【請求項18】
前記プロセッサが、
1つ以上の個々のスパインの前記計算されたたわみ及び前記スパインの前記物理的特性に関する前記既知の情報に少なくとも部分的に基づいて、前記複数のスパインのうちの1つ以上の個々のスパインのそれぞれに加えられた個々の力を計算するように更に構成されている、請求項17に記載の医療用エンドエフェクタ。
【請求項19】
複数の歪みゲージを更に備え、前記複数の歪みゲージのうちの各歪みゲージは、前記複数のスパインのうちのあるスパインに結合されている、請求項14に記載の医療用エンドエフェクタ。
【請求項20】
前記プロセッサが、
前記複数の歪みゲージから力データを受信することと、
前記複数の歪みゲージからの前記受信した力データに少なくとも部分的に基づいて、前記拡張可能バスケットアセンブリに加えられた力及び前記力の方向を計算することと、を行うように更に構成されている、請求項19に記載の医療用エンドエフェクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年12月30日に出願された先願の米国仮特許出願第63/477,944号の米国特許法第119条に基づく優先権の利益を主張し、当該特許の内容全体が、本明細書に完全に記載されているように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本出願は、概して電子回路に関し、具体的には磁界センサの電子回路に関する。本出願は更に、磁場センサを備えるカテーテルに関する。
【背景技術】
【0003】
心房細動(atrial fibrillation、AF)などの心臓不整脈は、心臓組織の領域が隣接組織に電気信号を異常に伝達するときに発生する。これは、正常な心周期を混乱させ、非同期的な律動を引き起こす。不整脈を治療するための存在するある特定の処置としては、不整脈の原因となる信号の発生源を外科的に破壊すること、及びそのような信号の伝導路を破壊することが挙げられる。カテーテルを介してエネルギーを印加して心臓組織を選択的にアブレーションすることによって、心臓の一部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を停止又は変更することが時に可能である。
【0004】
当該技術分野における多くの現在のアブレーションアプローチは、高周波(radiofrequency、RF)電気エネルギーを利用して組織を加熱する。RFアブレーションは、組織の炭化、燃焼、スチームポップ、横隔神経麻痺、肺静脈狭窄、及び食道瘻につながり得る、熱加熱に関連する特定のリスクを有することができる。
【0005】
冷凍アブレーションは、一般にRFアブレーションに関連する熱リスクを低減するRFアブレーションの代替アプローチである。しかしながら、冷凍アブレーションデバイスを操作し、冷凍アブレーションを選択的に適用することは、一般に、RFアブレーションと比較してより困難であり、したがって、冷凍アブレーションは、電気的アブレーションデバイスによって達成される可能性がある特定の解剖学的幾何形状では実行可能ではない。
【0006】
いくつかのアブレーションアプローチは、非熱アブレーション法を使用して心臓組織をアブレーションするために不可逆エレクトロポレーション(irreversible electroporation、IRE)を使用する。IREは、高電圧の短パルスを組織に送達し、細胞膜の回復不能な透過化を生じさせる。多電極カテーテルを使用する組織へのIREエネルギーの送達は、特許文献において以前に提案された。IREアブレーションのために構成されたシステム及びデバイスの例は、米国特許出願公開第2021/0169550(A1)号、同第2021/0169567(A1)号、同第2021/0169568(A1)号、同第2021/0161592(A1)号、同第2021/0196372(A1)号、同第2021/0177503(A1)号、及び同第2021/0186604(A1)号に開示されており、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれ、かつ米国特許優先権出願第63/477,944号に含まれる付録に添付されている。
【0007】
カテーテルは、心組織をマッピング又はアブレーションするために一般的に使用されている。理解されるように、カテーテルの位置情報を知ることは、医師が処置をより正確に行うのを助けることができる。磁場に導電性コイルを配置して、導電性コイルの軸と整列した磁場の変化によってコイル内に誘導された電流及び/又は電圧を観察することによって、磁場を感知することができる。導電性コイル内に電流が誘導されるため、そのようなコイルは、誘導コイルとも呼ばれる。1つ以上の誘導コイルを含むセンサの相対位置は、誘導電流及び/又は電圧を監視することによって、既知の磁場源に関連して決定することができる。
【0008】
既知の誘導磁場内の三次元におけるナビゲーションセンサの位置及び向きを決定するために3つの直交軸に沿って整列された3つのコイル配置を含むナビゲーションセンサは、例えば、米国特許第10,330,742号及び同第10,677,857号に開示されており、各々は、本明細書に記載されているかのように参照により含まれ、かつ米国特許優先権出願第63/477,944号に含まれる付録に添付されている。
【0009】
血管内治療及び/又は心内治療に適したカテーテルにナビゲーションセンサを組み込むことは、センサを手作業で作り上げることを伴う可能性があり、これは、多大な製造時間及び労働コストをもたらす可能性がある。ナビゲーションセンサ構成要素は、カテーテル材料コストのかなりの割合を占める可能性がある。
【0010】
更に、理解されるように、力がカテーテルのどこに及びどの方向に印加されているのかを知ることは、医師がカテーテルをより正確に位置付けし、カテーテル上の電極と組織との間に十分な接触がなされることを確実にするのに役立てることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、カテーテルの様々な点に加えられる力の大きさ及び方向を決定するための回路を含む、心組織をマッピング及びアブレーションするための回路を簡略化するためのシステム及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の技術の実施例によれば、医療用エンドエフェクタが提供される。医療用エフェクタは、長手方向軸に沿って延在する1つ以上のスパインを含むことができる。スパインは、長手方向軸から外向きである第1の表面を含むことができる。スパインは、スパインの第1の表面の一部に取り付けられた1つ以上の接触パッドを含むことができる。スパインは、1つ以上の接触パッドのうちのそれぞれのものの上に配置された1つ以上のフレキシブル回路を含むことができる。1つ以上のフレキシブル回路はそれぞれ、電極と誘導コイルとを1つのユニットとして含むことができる。
【0013】
本開示の技術は、医療用エンドエフェクタを含むことができる。医療用エフェクタは、拡張可能バスケットアセンブリを含むことができる。拡張可能バスケットアセンブリは、長手方向軸に沿って延在する複数のスパインを含むことができる。複数のスパインは、拡張可能バスケットアセンブリが折り畳み形態から拡張形態に移行するときに、長手方向軸から半径方向外向きに曲がるように構成され得る。拡張可能バスケットアセンブリは、第1の単軸センサを含むことができる。拡張可能バスケットアセンブリは、第2の単軸センサを含むことができる。拡張可能バスケットアセンブリは、第3の単軸センサを含むことができる。第1の単軸センサ、第2の単軸センサ、及び第3の単軸センサはそれぞれ、複数のスパインのうちのそれぞれのスパインに結合することができ、3軸センサとして機能するように集合的に構成されることができる。医療用エフェクタは、プロセッサを含むことができる。プロセッサは、第1の単軸センサ、第2の単軸センサ、及び第3の単軸センサから位置データを受信するように構成されることができる。プロセッサは、拡張可能バスケットアセンブリのスパインの物理的特性に関する既知の情報を受信するように構成されることができる。プロセッサは、受信した位置データ及びスパインの物理的特性に関する既知の情報に少なくとも部分的に基づいて、拡張可能バスケットアセンブリの位置及び拡張可能バスケットアセンブリに加えられた力を計算するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の技術による、医療用プローブを含む医療用システムの概略描画例解図であり、医療用プローブの遠位端は、電極を有するバスケットアセンブリを含む。
【
図2A】本開示の技術による、スパインの断面図を示す概略描画図である。
【
図2B】本開示の技術による、フレキシブル回路の平面図を示す概略描画図である。
【
図3】本開示の技術による、スパインの斜視図を示す概略描画図である。
【
図4】本開示の技術による、バスケットカテーテルの斜視図を示す概略描画図である。
【
図5】本開示の技術による、カテーテルの斜視図の概略描画図である。
【
図6A】本開示の技術による、バスケットカテーテルの斜視図及び詳細図を示す概略描画図である。
【
図6B】本開示の技術による、バスケットカテーテルの斜視図及び詳細図を示す概略描画図である。
【
図7】本開示の技術による、バスケットカテーテルの斜視図を示す概略描画図である。
【
図8】本開示の技術による、バスケットカテーテルの斜視図を示す概略描画図である。
【
図9A】本開示の技術による、バスケットカテーテルの斜視図及び側面図を示す概略描画図である。
【
図9B】本開示の技術による、バスケットカテーテルの斜視図及び側面図を示す概略描画図である。
【
図10】本開示の技術による、スパインの側面図を示す概略描画図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の詳細な説明は、図面を参照しながら読まれるべきものであり、異なる図面における同様の要素には同一の番号が付けられている。図面は、必ずしも縮尺どおりとは限らず、選択された実施形態を描示しており、また本発明の範囲を限定することを意図していない。詳細な説明は、限定ではなく、例として、本発明の原理を例解する。本明細書は、当業者が本発明を作製及び使用することを明らかに可能にし、また本発明を実施するための最良の態様であると現在考えられているものを含めて、本発明のいくつかの実施形態、適応例、変形例、代替物、及び使用を説明する。
【0016】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は範囲に対する「約」又は「ほぼ」という用語は、構成要素の一部又は集合が本明細書に説明される意図された目的のために機能することを可能にする好適な寸法公差を示す。より具体的には、「約」又は「ほぼ」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指し得、例えば、「約90%」は、71%~110%の値の範囲を指し得る。加えて、本明細書で使用される場合、「患者」、「宿主」、「ユーザ」、及び「対象」という用語は、任意のヒト又は動物対象を指し、ヒト患者における本発明の使用が好ましい実施形態を表すが、システム又は方法をヒトの使用に限定することを意図するものではない。同様に、「近位」という用語は、作業者に近い方の位置を示す一方、「遠位」は、作業者又は医師から更に遠い位置を示す。
【0017】
本明細書で考察されるように、「患者」、「宿主」、「ユーザ」、及び「対象」の血管系は、ヒト又は任意の動物の血管系であり得る。動物は、哺乳類、獣医学的動物、家畜動物、又はペット類の動物などを含むがこれらに限定されない、様々なあらゆる該当するタイプのものであり得ることを理解するべきである。一例として、動物は、ヒトに類似したある特定の性質を有するように特に選択された実験動物(例えば、ラット、イヌ、ブタ、サルなど)であり得る。対象は、例えば、あらゆる該当するヒト患者であり得ることを理解するべきである。
【0018】
本明細書で考察されるように、「作業者」は、内科医、医師、外科医、技術者、科学者、又は対象への薬物難治性心房細動の治療のための多電極カテーテルの送達と関連する任意の他の個人若しくは送達器具を含むことができる。
【0019】
本明細書で考察されるように、用語「アブレーションする」又は「アブレーション」は、本開示のデバイス及び対応するシステムに関する場合、本開示全体を通して、パルス電界(pulsed electric field、PEF)及びパルス場アブレーション(pulsed field ablation、PFA)と互換的に称される、不可逆エレクトロポレーション(IRE)などの非熱エネルギーを利用することによって、細胞内の不規則心臓信号の生成を低減又は防止するように構成される、構成要素及び構造的特徴を指す。本開示のデバイス及び対応するシステムに関する場合、アブレーションすること又はアブレーションは、不整脈、心房粗動アブレーション、肺静脈隔離、上室頻脈アブレーション、及び心室性頻脈アブレーションを含むがこれらに限定されない特定の状態の心臓組織の非熱アブレーションを参照して、本開示全体を通して使用される。「アブレーションする」又は「アブレーション」という用語はまた、当業者によって理解されるように、様々な形態の身体組織アブレーションを達成するための既知の方法、デバイス、及びシステムを含む。
【0020】
本明細書で考察されるように、「双極」及び「単極」という用語は、アブレーションスキームを指すために使用される場合、電流経路及び電界分布に関して異なるアブレーションスキームを説明する。「双極」とは、両方とも治療部位に配置された2つの電極間の電流経路を利用するアブレーションスキームを指す。電流密度及び電束密度は、典型的には、2つの電極の各々でほぼ等しい。「単極」とは、2つの電極間の電流経路を利用するアブレーションスキームを指し、ここで、高電流密度及び高電束密度を有する1つの電極が治療部位に位置付けられ、比較的低い電流密度及びより低い電束密度を有する第2の電極が、治療部位から遠隔に位置付けられる。
【0021】
本明細書で考察されるように、「二相性パルス」及び「単相性パルス」という用語は、それぞれの電気信号を指す。「二相性パルス」とは、正電圧相パルス(本明細書では「正相」と称される)及び負電圧相パルス(本明細書では「負相」と称される)を有する電気信号を指す。「単相性パルス」は、正相のみ又は負相のみを有する電気信号を指す。好ましくは、二相性パルスを提供するシステムは、直流電圧(direct current voltage、DC)の患者への印加を防止するように構成されている。例えば、二相性パルスの平均電圧は、地面又は他の共通基準電圧に対してゼロボルトであり得る。追加的又は代替的に、システムは、コンデンサ又は他の保護構成要素を含むことができる。二相性パルス及び/又は単相性パルスの電圧振幅が本明細書に説明されている場合、発現された電圧振幅は、正電圧相及び/又は負電圧相の各々の近似ピーク振幅の絶対値であることが理解される。二相性パルス及び単相性パルスの各相は、好ましくは、相持続時間の大部分中に本質的に一定の電圧振幅を有する正方形形状を有する。二相性パルスの相は、相間遅延によって時間的に分離される。相間遅延持続時間は、好ましくは、二相性パルスの相の持続時間未満であるか、又はその持続時間にほぼ等しい。相間遅延持続時間は、より好ましくは、二相性パルスの相の持続時間の約25%である。
【0022】
本明細書で考察されるように、「チューブ状」及び「チューブ」という用語は、広義に解釈されるものとし、直円柱構造、若しくは断面が厳密に円形である構造、又はその長さ全体にわたって均一な断面である構造に限定されるものではない。例えば、チューブ状構造は、概して、実質的な直円柱構造として例解される。しかしながら、チューブ状構造は、本開示の範囲から逸脱することなく、先細状又は湾曲した外面を有し得る。
【0023】
本明細書で使用される「温度定格」という用語は、構成要素が、構成要素の溶融又は熱劣化(例えば、炭化及び崩壊)などの熱損傷を引き起こすことなく、その寿命の間に耐えることができる最大連続温度として定義される。
【0024】
例示的なカテーテルベースの電気生理学マッピング及びアブレーションシステム10を示す
図1を参照する。システム10は、患者23の血管系を通って心臓12の腔又は血管構造内に作業者24によって経皮的に挿入される複数のカテーテルを含む。典型的には、送達シースカテーテルは、心臓12の所望の位置の近くの左心房又は右心房内に挿入される。その後、複数のカテーテルを送達シースカテーテルに挿入して、所望の位置に到達させることができる。複数のカテーテルは、心内電位図(Intracardiac Electrogram、IEGM)信号の感知専用のカテーテル、アブレーション専用のカテーテル、及び/又は感知及びアブレーションの両方に専用のカテーテルを含み得る。IEGMを感知するように構成された例示的なカテーテル14が本明細書に例解されている。作業者24は、心臓12内の標的部位を感知するために、バスケットカテーテル28を心臓壁と接触させる。アブレーションのために、作業者24は、同様に、アブレーションカテーテルの遠位端をアブレーションのための標的部位に運ぶ。
【0025】
カテーテル14は、遠位端でバスケットアセンブリ28を形成し、かつIEGM信号を感知するように構成されている、複数のスパイン22にわたって任意選択的に分配された1つ、好ましくは、複数の電極26を含む例示的なカテーテルである。カテーテル14は、バスケットアセンブリ28の位置及び配向を追跡するために、遠位先端内又はその近くに埋め込まれた位置センサ29を追加的に含み得る。任意選択的にかつ好ましくは、位置センサ29は、三次元(three-dimensional、3D)位置及び配向を感知するための3つの磁気コイルを含む磁気ベースの位置センサである。
【0026】
磁気ベースの位置センサ29は、所定の作業体積内に磁場を生成するように構成された複数の磁気コイル32を含む位置パッド25とともに動作し得る。カテーテル14のバスケットアセンブリ28のリアルタイム位置は、位置パッド25によって生成される磁場に基づいて追跡され、かつ磁気ベースの位置センサ29によって感知され得る。磁気ベースの位置感知技術の詳細は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,391,199号、同第5,443,489号、同第5,558,091号、同第6,172,499号、同第6,239,724号、同第6,332,089号、同第6,484,118号、同第6,618,612号、同第6,690,963号、同第6,788,967号、同第6,892,091号に記載されており、当該特許の各々は、参照により本明細書に組み込まれ、かつ米国特許優先権出願第63/477,944号に含まれる付録に添付されている。
【0027】
システム10は、位置パッド25の位置基準及び電極26のインピーダンスベースの追跡を確立するために、患者23上の皮膚接触のために配置された1つ以上の電極パッチ38を含む。インピーダンスベースの追跡のために、電流が電極26に方向付けられ、電極皮膚パッチ38において感知され、それにより、各電極の位置を、電極パッチ38を介して三角測量することができる。インピーダンスベースの位置追跡技術の詳細は、米国特許第7,536,218号、同第7,756,576号、同第7,848,787号、同第7,869,865号、及び同第8,456,182号に記載されており、当該特許の各々は、参照により本明細書に組み込まれ、かつ米国特許優先権出願第63/477,944号に含まれる付録に添付されている。
【0028】
レコーダ11は、体表面ECG電極18で捕捉された電位
図21と、カテーテル14の電極26で捕捉された心内電位図(IEGM)と、を表示する。レコーダ11は、心臓の律動をペーシングするためのペーシング能力を含み得、及び/又は独立型ペーサに電気的に接続され得る。
【0029】
システム10は、アブレーションするように構成されたカテーテルの遠位先端部にある1つ以上の電極にアブレーションエネルギーを伝達するように適合されたアブレーションエネルギー生成器50を含み得る。アブレーションエネルギー生成器50によって生成されるエネルギーは、不可逆エレクトロポレーション(IRE)をもたらすために使用され得るような単極性若しくは双極性高電圧直流パルスを含む、高周波(RF)エネルギー若しくはパルス場アブレーション(PFA)エネルギー、又はそれらの組み合わせを含み得るが、それらに限定されない。信号は、二相又は単相であり得る。
【0030】
患者インターフェースユニット(patient interface unit、PIU)30は、カテーテルと、電気生理学的機器と、電源と、システム10の動作を制御するワークステーション55との間の電気通信を確立するように構成されたインターフェースである。システム10の電気生理学的機器は、例えば、複数のカテーテル、位置パッド25、体表面ECG電極18、電極パッチ38、アブレーションエネルギー生成器50、及びレコーダ11を含み得る。任意選択的に、かつ好ましくは、PIU30は、カテーテルの位置のリアルタイム計算を実装し、ECG計算を実行するための処理能力を追加的に含む。
【0031】
ワークステーション55は、メモリと、適切なオペレーティングソフトウェアがロードされたメモリ又は記憶装置を有するプロセッサユニットと、ユーザインターフェース機能と、を含む。ワークステーション55は、任意選択的に、(1)心内膜解剖学的構造を三次元(3D)でモデルリングし、モデル又は解剖学的マップ20をディスプレイデバイス27上に表示するためにレンダリングすることと、(2)記録された電位
図21からコンパイルされた活性化シーケンス(又は他のデータ)を、レンダリングされた解剖学的マップ20上に重ね合わされた代表的な視覚的指標又は画像でディスプレイデバイス27上に表示することと、(3)心腔内の複数のカテーテルのリアルタイム位置及び配向を表示することと、(5)アブレーションエネルギーが印加された場所などの関心部位をディスプレイデバイス27上に表示することと、を含む、複数の機能を提供し得る。システム10の要素を具現化する1つの市販製品は、CARTO(商標)3システムとして入手可能であり、Biosense Webster,Inc.(31 Technology Drive,Suite 200,Irvine,CA 92618,USA)から市販されている。
【0032】
図2Aは、フレキシブル回路200を含むスパイン100の断面図を示す。スパイン100は支柱240を含むことができる。支柱240は、略矩形の断面を有し得る。代替的に、又は追加的に、支柱240は、略円形、卵形、楕円形、又は多角形の断面を有することができる。支柱240は、第1の表面242を含むことができる。接触パッド230は、第1の表面242に取り付けられることができる。フレキシブル回路200は、接触パッド230の上に配設することができる。例えば、
図2Aに示されるように、フレキシブル回路200は、支柱240の周りに部分的に、かつ接触パッド230の上に巻き付けることができる。代替的に、フレキシブル回路200は、支柱240全体の周りに、かつ接触パッド230の上に巻き付けることができる。特定の実施形態において、接触パッド230は、導電性支柱240をフレキシブル回路200から電気的に分離する絶縁体である。他の実施例では、接触パッド230は、支柱240及び/又はフレキシブル回路200の間の取り付けを増加する又は容易にするために、1つ以上の表面を有する。
【0033】
図2Bは、フレキシブル回路200の平面図を示す。フレキシブル回路200は、電極210及び誘導コイル220の両方を含むことができる。例えば、電極210はアブレーション電極とすることができ、誘導コイル220は、患者の下に配置された磁場発生装置であるパッドが発生させる磁場などの磁場を感知するように構成されてもよい。
【0034】
フレキシブル回路200は、例えば適切なエポキシ系接着剤又は他の接着剤を使用して、スパイン100の外面に取り付けることができる。接触パッド230は、第1の表面242に沿った長い側面と、長い側面に垂直な短い側面とを含むことができ、誘導コイル220は、スパイン100に取り付けられるとき、長い側面及び短い側面のうちの少なくとも一方の上にのみ配置されることができる。フレキシブル回路200は、第1の面202と第2の面204とを含み得る。電極210は、概して、第1の面202に配置されることができ、誘導コイルは、概して、第2の面204に配置されることができる。スパイン100に取り付けられたとき、フレキシブル回路200の第1の面202の少なくとも一部は、第1の表面242に略平行であり得る。代替的に、又は追加的に、第2の面204の少なくとも一部は、第1の表面242に対して略垂直であり得る。支柱240は、第2の表面244、第3の表面246、及び第4の表面248を更に含むことができる。
図2Aに示すように、フレキシブル回路200は、第1の表面242、第3の表面246、第4の表面248、及び第2の表面244の一部の上でスパインの周りに巻き付けられることができる。第2の表面244に沿って間隙250が形成され得る。本明細書で更に説明されるように、間隙250は、1つ以上のワイヤがスパイン100の長さに沿って第2の表面に近接してルーティングされることを可能にするように構成され得る。
【0035】
フレキシブル回路200は、当該技術分野において既知のプリント回路製造技術を用いて電気トレースを蒸着及びエッチングすることができる、ポリイミドなどの好適な誘電材料を含む基板206を使用して形成され得る。
【0036】
フレキシブル回路200をスパイン100の外面に取り付ける前に、金などの好適な導電材料を蒸着及びエッチングすることによって、基板206の外側に電極210を形成する。電極210は、心門51の組織などの心臓12内の組織に接触することができる。螺旋状導電トレース222は、電極210と同様のやり方で基板206上に付着され、誘導コイル220として機能する。例えば、螺旋状導電トレース222は、単軸センサ(single-axis sensor、SAS)を形成するように付着されてもよい。誘導コイル220の寸法は、基板206上の利用可能な空間によって限定され、例えば、約2×2mmに限定される。高感度では、トレース222は、典型的には、例えば0.4mm以下の微細ピッチを有し、絶縁コーティングによって覆われて、身体組織及び体液によるトレースの短絡を防止することができる。電気配線224は、誘導コイル220をPIU30に結合し、電極210は、同様に配線によってPIU30に結合される。導電トレースは、配線224の接続を可能にするために、当該技術分野で既知のプリント回路製造技術を用いて、基板206の両側に形成されてもよく、又は基板206上に複数の層で付着されてもよい。配線224は、間隙250内でスパイン100の長さに沿ってルーティングされ得る。
【0037】
誘導コイル220は、所定の作業体積内に磁場を生成するように構成された複数の磁気コイル32を含む位置パッド25とともに動作させることができる。更に、電極210は、インピーダンスに基づく追跡のための電極26などの位置基準電極であるように構成することができる。上で説明したように、PIU30は、信号を受信して処理し、かつ、カテーテルの位置のリアルタイム計算を実行し、ECG計算を実施するための処理能力を含む。例えば、PIU30は、誘導コイル220及び/又は電極210からの信号を受信及び処理することができる。代替的に、又は追加的に、電極210は、アブレーションエネルギー発生装置50に接続するように構成されたアブレーション電極であることができる。
【0038】
図3は、スパイン100の斜視図である。
図3に示すように、フレキシブル回路200は、スパインの長さに沿った位置でスパイン100の周りに巻き付けることができる。あるいは、複数のフレキシブル回路200をスパイン100の周りに巻き付けられることができる。更に、スパイン100は、複数の接触パッド230を含むことができる。
【0039】
図4は、バスケットカテーテルアセンブリ400の斜視図である。バスケットアセンブリ400は、複数のスパイン100を含むことができる。例えば、スパイン100は、それぞれがフレキシブル回路200に結合されたフレキシブルストリップであり得る。バスケットアセンブリ400は、任意の適切な数のフレキシブル回路200を含むことができる。いくつかの実施形態では、バスケットアセンブリ400は10個のスパイン100を含むことができ、フレキシブル回路200は個々のスパイン100に取り付けられる。
【0040】
バスケットアセンブリ400は、近位端412と遠位端414とを有する挿入管410を含むことができる。バスケットアセンブリは、挿入管410の遠位端414に配置された拡張可能バスケットアセンブリ430を更に含むことができる。例えば、複数のスパイン100は、長手方向軸460に沿って延在し、近位端で挿入管410の遠位端414に取着し、遠位端で互いに又は先端部に取着することによって、拡張可能バスケットアセンブリ430を形成するように構成され得る。
図4に示すように、スパイン100は、拡張可能バスケットアセンブリ430が折り畳み形態から拡張形態に移行するときに、長手方向軸から半径方向外向きに曲がるように構成され得る。
【0041】
バスケットアセンブリ400は、3軸センサ440を更に含むことができる。例えば、3軸センサは、スパイン100の遠位端に近接して配置されることができる。更に、バスケットアセンブリ400は、スパイン100の遠位端に配置された非外傷性先端部450を含むことができる。3軸センス(sense)440は、非外傷性先端部450として機能するように構成され得る。
【0042】
図5は、カテーテル500の斜視図である。カテーテル500は、スパイン100を含むことができる。カテーテル500は、近位端512と遠位端514とを有する近位シャフト520を含むことができる。スパイン100は、近位シャフト520の遠位端414に配設され得る。例えば、スパイン100は、遠位端414において近位シャフト520に結合され得る。スパイン100は、遠位部分510を含むことができる。スパイン100は、管状本体を有することができる。スパイン100は、スパイン100の周りに部分的に又は完全に巻き付くことができる1つ以上のフレキシブル回路200を含むことができる。例えば、
図5に示すように、スパイン100の遠位部分510は、管状スパイン100の湾曲面に適合する3つのフレキシブル回路200を含むことができる。例えば、フレキシブル回路200の誘導コイル220は、血管内治療中に3軸センサ(three axis sensor、TAS)として集合的に機能することができる。
図5に示されるように、スパイン100の遠位部分510は、血管系又は心臓内にあるときに、略円形の形状へと移行し得る。略円形の形状は、わずかに螺旋状(「輪縄」)であり得る。円形の形状は、近位シャフト520によって規定される長手方向軸460に略直交し得る。あるいは、円形の形状は、長手方向軸460に対して整列され得るか、あるいは長手方向軸460に対して斜角をなし得る。円形の形状は、時計回り又は反時計回りの方向に湾曲し得る。フレキシブル回路は、遠位部分510が既知の様々な磁場内にあるときに、遠位部分510の位置及び向きが三次元で判定され得るように、円形の形状の周りに位置付けられ得る。
【0043】
カテーテル500のスパイン100は、遠位部分510及び近位シャフト520が長手方向軸460に沿って整列される送達構成を有するように更に構成され得る。
【0044】
近位シャフト520は、細長い管状構造を有することができる。近位シャフト520は、単一の管腔、軸方向の管腔、又は中央の管腔を有することができる。近位シャフト520は可撓性であり、すなわち、曲げることができるが、その長さに沿って実質的に非圧縮性である。近位シャフト520は、任意の好適な構造のものであってもよく、任意の好適な材料で作製することができる。いくつかの実施例では、近位シャフト520は、内部編組金属メッシュを有する外側ポリマー壁を有する。近位シャフト520は、制御ハンドル101が回転すると、近位シャフト106及び遠位シャフト108を含む管状本体103が対応する方式で回転するように、十分な構造的一体性を有することができる。近位シャフト520の外径は、好ましくは約8フレンチ、又は約7フレンチである。
【0045】
カテーテル500の有用な長さ、すなわち、体内に挿入することができる部分は、治療処置及び患者の解剖学的構造に基づいて適切に変化し得る。ほとんどの治療に関し、有用な長さは、約110センチメートル(cm)~約120cmであり得る。遠位部分108の長さは、有用な長さの比較的小さい部分であり、好ましくは約3.5cm~約10cm、より好ましくは約5cm~約6.5cmである。
【0046】
いくつかの実施例では、遠位部分510は、遠位部分510が実質的に円形の形状であるときに、約3ミリメートル(mm)~約12mmの、長手方向軸460と整列されたセクションを有することができる。更に、いくつかの実施例では、円形形状の円周は、制御ハンドルの操作を介して患者において修正されることができる。円形の形状は、約3cm~約8cm、より好ましくは約4cm~約6cm、より好ましくは約5cmの長さがある円周を有することができる。
【0047】
近位シャフト520とスパイン100とは、接着剤などで接合させることができる。いくつかの実施例では、接合部は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれかつ米国特許優先権出願第63/477,944号に含まれる付録に添付されている米国特許第5,964,757号に記載されているものと同様のスペーサを含むことができる。
【0048】
カテーテル500は、3軸センサ440を更に含むことができる。例えば、3軸センサ440は、スパイン100の遠位端に近接して配置することができる。更に、バスケットアセンブリ400は、スパイン100の遠位端に配置された非外傷性先端部450を含むことができる。3軸センサ440は、非外傷性先端450として機能するように構成され得る。
【0049】
図6A及び
図6Bは、バスケットアセンブリ600の斜視図及び詳細図を示す。バスケットアセンブリ600は、スパイン602に取り付けられた複数の単軸センサ610を含むことができる。具体的には、
図6Aは斜視図を例示し、
図6Bは、複数の単軸センサが取り付けられたバスケットアセンブリ600の詳細図を例示している。
図6A及び
図6Bは、単軸センサがスパイン602の外向きの表面に取り付けられたバスケットアセンブリ600を例示しているが、当業者には、単軸センサが、代替的に又は追加的に、内向きの表面に取り付けられることができることが理解されよう。バスケットカテーテルアセンブリ400に関連して説明された特徴の全ては、バスケットカテーテル600に組み込まれることができる。
【0050】
バスケットアセンブリ600は、複数の単軸センサ(SAS)を含むことができる。例えば、
図6Aに示されるように、バスケットアセンブリは、第1の単軸センサ610、第2の単軸センサ620、第3の単軸センサ630を含むことができる。単軸センサは、本明細書で説明する磁気コイル32などの磁場発生装置によって生成される磁場を感知する誘導コイルとすることができる。例えば、第1の単軸センサ610の詳細図に示すように、誘導コイル612を含むことができる。
【0051】
第1の単軸センサ610、第2の単軸センサ620、及び第3の単軸センサ630は、3軸センサ(TAS)として機能するように集合的に構成することができる。例えば、単軸センサは、長手方向軸640を囲むように等距離に分布させることができる。
図6に示すように、6つのスパインを有するバスケットアセンブリ600では、1つおきのスパインがSASを含むことができ、合計で3つのSASがTASとして機能することができる。例えば、第1の単軸センサ610、第2の単軸センサ620、及び第3の単軸センサ630は、長手方向軸640を囲むように等距離に分布させることができる。更に、第1の単軸センサ610、第2の単軸センサ620、及び第3の単軸センサ630は、概して、バスケットアセンブリ600の赤道に位置することができる。代替として、単軸センサは、バスケットアセンブリ600の遠位端606のより近く、又は近位端604のより近くに分布させることができる。
【0052】
3軸センサとして機能することによって、3つの単軸センサは、拡張可能バスケットアセンブリ600の位置及び拡張可能バスケットアセンブリ600に加えられる力を正確に計算するために使用されることができる。例えば、3軸センサを形成する単軸センサからの位置データ及びバスケットアセンブリ600の物理的特性に関する既知の情報を利用して、バスケットアセンブリ600の変形によって引き起こされる位置の変化に基づいてバスケットアセンブリ600に対する力を計算することができる。
【0053】
ワークステーション55は、スパイン602のばね定数Kなどのバスケットアセンブリ600の特定の物理的特性を知るように構成されることができる。ワークステーション55は更に、3軸センサを形成する単軸センサから位置情報を受信し、バスケットアセンブリ600の位置及びたわみの両方を計算するように構成されることができる。このようにして、ワークステーション55は、バスケットアセンブリの位置並びにバスケットアセンブリに加えられる力の両方を計算することができる(すなわち、バスケットアセンブリ600のたわみ情報及び既知の物理的特性を使用して力を計算することによって)。更に、ワークステーション55は、TASとして機能する3つのSASから受信した位置データから計算されたバスケットアセンブリ600の位置情報に少なくとも部分的に基づいて、バスケットアセンブリ600の個々のスパイン602のうちの1つ以上のたわみを計算するように構成されることができる。このようにして、ワークステーションは、少なくとも計算されたたわみと、スパイン602のばね定数Kなどのスパインの物理的特性に関する既知の情報とに基づいて(例えば、フックの法則、又は式F=d*Kを使用することによって)、個々のスパイン602に加えられた力を計算することができる。
【0054】
図7は、バスケットアセンブリ700の別の実施例の斜視図である。バスケットカテーテルアセンブリ400及び600に関連して説明された特徴の全ては、バスケットカテーテル700に組み込むことができる。
図7に示すように、3つのSASセンサは、SASセンサの誘導コイルがコイル軸の周りに螺旋を描き、全てが参照基準740に収束することによって、TASを形成することができる。例えば、第1のSAS610は、第1のコイル軸710を含むことができ、その周りに第1のSASの誘導コイルが螺旋を描く。同様に、第2のSAS620及び第3のSAS630もまた、それぞれの第2のコイル軸720及び第3のコイル軸730を含むことができ、その周りに第2のSAS620及び第3のSAS630のそれぞれの誘導コイルが螺旋状に巻かれる。コイル軸が収束する参照基準740は、カテーテルバスケットアセンブリ700内の既知の位置であり得る。更に、参照基準740の位置を使用して、バスケットアセンブリ700の場所及びバスケットアセンブリ700に対する力を計算することができる。
【0055】
図7に示すように、バスケットアセンブリ700は、1つ以上の力センサ750を更に含むことができる。例えば、力センサは歪みゲージであってもよい。スパイン602に取り付けられた複数の力センサ750を含むことによって、本開示の技術は、
図6に例示されているようにTASとして機能する3つのSASのみを有するバスケットアセンブリ600よりも正確に、バスケットカテーテル700に印加される力を検出するように構成することができる。例えば、ワークステーション55は、どの力センサ750がどのスパイン22に取り付けられているかを知るように構成されることができる(すなわち、ワークステーション55は、所与の力センサ750から受信した信号をバスケットアセンブリ700の割り当てられたスパイン602に対応付けるようにプログラムされることができる)。このようにして、ワークステーション55は、力センサ750の各々から力信号を受信し、所与のスパイン602に取り付けられている割り当てられた力センサ750から受信した信号に基づいて少なくとも各スパイン602における力の方向を決定することができる。換言すれば、ワークステーション55は、少なくとも各スパイン602に加えられる力の方向を個別に検出するように構成することができる。
【0056】
例えば、バスケットアセンブリ700の第1の面に力が印加されると、各力センサ750が圧縮される又は歪む程度は、力がどこから生じているかを示すことができる。図で説明すると、力が印加される位置に最も近いスパイン602は、外向きの表面が圧縮される可能性がより高く、力の位置から更に離れて位置するスパイン602の外向きの表面は、力が印加されるにつれて伸張する可能性がより高い。したがって、力のタイプ(圧縮又は引張)と、バスケットアセンブリ700のスパイン602の既知の位置とを相関させることによって、力センサ750は、バスケットアセンブリ700に加えられる力の少なくとも方向を検出するように構成されることができる。
【0057】
接触力センサ750は、特定の用途に適したサイズ及び位置とすることができる。例えば、複数の力センサ750は、所与の長さを有し、かつスパイン602上の所与の例示された場所に位置付けられるものとして示されているが、当業者には、力センサ750は、図に示されるものよりも大きくても又は小さくてもよいことが理解されよう。更に、
図7は、単一の力センサ750のみが単一のスパイン602に取り付けられたものを例解しているが、本開示の技術は、複数の力センサ750が所与のスパイン602に取り付けられたものを含むことができる。更に、力センサ750は、任意の好適な方法を使用してスパイン602に取り付けることができる。例えば、力センサ750は、接着剤、締結具、圧着などを使用して、スパイン602に取り付けることができる。
【0058】
更に、力センサ750から決定された方向情報を、TASとして機能する3つのSASから計算された場所及び力情報、並びにバスケットアセンブリ700の物理的特性に関する既知の情報と組み合わせることによって、各スパイン602にどれだけの力が加えられたかを決定し、バスケットアセンブリ700に加えられる力の方向を決定するように、ワークステーション55を構成することができる。
【0059】
したがって、所与の力センサ750によって検出された力の方向を、計算されたバスケットアセンブリ700の位置及びバスケットアセンブリ700に加えられる力と相関させることによって、本開示の技術は、バスケットアセンブリ700に加えられる力の大きさ及び方向を検出するように構成することができる。本開示の技術は更に、バスケットアセンブリ700の第1の面に加えられる力とバスケットアセンブリ700の第2の面に加えられる力の差を判定することができる。更に、本開示の技術は、バスケットアセンブリ700の個々のスパイン602に加えられる力の大きさ及び方向を決定することができる。理解されるように、バスケットアセンブリ700に対する力の大きさ及び方向を知ることは、電極(本明細書で更に論じられる電極820など)が組織と十分に接触したかどうかを判定するのに役立ち得る。
【0060】
図8は、遠位端834において挿入管830の外へと前進させたことなどによって拘束されていないときの、拡張形態にあるバスケットアセンブリ800を有する医療用エンドエフェクタの斜視図を示す概略描画図である。挿入管は、近位端832及び遠位端834を有する。拡張形態(
図8)では、スパイン602は、長手方向軸640に沿って半径方向外向きに曲がる。バスケットカテーテルアセンブリ400、600、及び700に関連して説明された特徴の全ては、バスケットカテーテル800に組み込むことができる。
【0061】
図8に示されるように、バスケットアセンブリ800は、管状シャフト840の端部に形成されかつ両端で接続された複数の可撓性スパイン602を含む。医療手技中、操作者24は、管状シャフト840を挿入管830から延長させてバスケットアセンブリ800を遠位端834において挿入管830から出し、拡張形態に移行させることによって、バスケットアセンブリ800を展開させることができる。スパイン602は、楕円形(例えば、円形)又は矩形(平坦に見える場合がある)の断面を有し得、本明細書でより詳細に説明されるように、支柱を形成する可撓性弾性材料(例えば、ニチノールとしても知られるニッケル-チタンなどの形状記憶合金)を含み得る。
【0062】
本明細書に説明される実施例では、電極820は、アブレーションエネルギー(RF及び/又はIRE)を心臓12内の組織に送達するように構成されることができる。アブレーションエネルギーを送達するために電極820を使用することに加えて、電極は、心臓12内の組織上のそれぞれの位置での局所表面電位などの生理学的特性を測定するために使用することができる。電極820は、電極820が、バスケットアセンブリ800に向かって内向きよりもバスケットアセンブリ800から外向きに(すなわち、心臓12組織に向かって)大量の電気エネルギーを送達するように、電極820のより多くの部分がバスケットアセンブリ800から外側を向くように付勢され得る。
【0063】
電極820を形成するのに理想的に適した材料の例には、金、白金、及びパラジウム(及びそれらのそれぞれの合金)が挙げられる。これらの材料はまた、高い熱伝導率を有し、これにより、組織上で生成された(すなわち、組織に送達されたアブレーションエネルギーによる)最小限の熱が、電極を通って電極の裏側(すなわち、スパインの内側にある電極の部分)に、次に心臓12内の血液プールに伝導されることが可能になる。
【0064】
挿入管830は、遠位端834に結合されたTAS810を更に含むことができる。ワークステーション55は、TAS810から位置データを受信し、TAS810から受信した位置データに少なくとも部分的に基づいてバスケットアセンブリ800に対する力の大きさ及び方向を計算するように構成することができる。例えば、ワークステーション55は、TAS810から受信した位置データ、TASとして機能する3つのSAS610、620、630から受信した位置データ、及びバスケットアセンブリ800の物理的特性に関する既知の情報を使用して、バスケットアセンブリ800に対する力の大きさ及び方向を計算(calculate the calculate)することができる。
【0065】
図9A及び
図9Bは、バスケットアセンブリ800の拡張形態920及び折り畳み形態930を示すバスケットアセンブリ800の斜視図及び側面図を更に示す。
図9Aは、遠位端834において挿入管830の外へと前進させたことなどによって拘束されていないときの、拡張形態にあるバスケットアセンブリ800を有する医療用エンドエフェクタの斜視図を示す概略描画図である。
図9Bは、挿入管830内の折り畳み形態のバスケットアセンブリを示す。拡張形態(
図9A)では、スパイン602は、長手方向軸640に沿って半径方向外向きに曲がり、折り畳み形態(
図9B)では、スパインは、管状シャフト840の長手方向軸640に概ね沿って拘束される。
【0066】
バスケットアセンブリ800は、スパイン602が遠位端606の近くで収束する点に中央交差部940を含むことができる。バスケットアセンブリ800は、中央交差部940に近接して配置されたTAS810を含むことができる。上で説明したように、TAS810を使用して、バスケットアセンブリ800の位置、並びにバスケットアセンブリ800にかかる力の大きさ及び方向を計算することができる。更に、バスケットアセンブリ800は、スパイン602の遠位端606に(例えば、中央交差部940に)配置された非外傷性先端部910を含むことができる。TAS810は、非外傷性先端部910として機能するように構成することができる。
【0067】
図10は、力センサ750を有するスパインの側面図である。
図10に示すように、力センサ750は、歪みゲージ1010とすることができる。例えば、歪みゲージ1010は、3つのセンサ1、2、3を有する平坦な歪みゲージとすることができる。代替的に、又は追加的に、歪みゲージ1010は、1個若しくは2個のセンサ等のより少ないセンサを含むことができ、又は4個、5個、若しくは10個等のより多くのセンサを含むことができる。歪みゲージ1010は、スパイン602の周りに巻き付けられる平坦なひずみゲージであり得る。例えば、
図10に示すように、スパイン602は管状の形状であってもよく、歪みゲージ1010は、3つのセンサ1、2、3がスパイン602の周囲に概ね均等に間隔を空けて配置されるように、スパイン602に巻き付いていてもよい。理解されるように、歪みゲージ1010の3つのセンサ1、2、3をスパイン602の周りで離間させることによって、スパイン602に印加されている力の方向を決定することができる。代替的に、又は追加的に、力センサ750は、ロードセル、圧電センサ、力感知抵抗器、磁力センサ等であり得る。
【0068】
加えて、
図10に示すように、第1のSAS610などのSASは、電極820の下に配置することができる。理解されるように、SAS上の歪みは、電極820の下に設置されることによって低減され得る。
【0069】
バスケットカテーテル技術のさらなる詳細は、米国特許第7,149,563号、並びに米国特許出願公開第2018/0344202号及び同第2021/0059608号に開示されており、当該特許の各々は、参照により本明細書に組み込まれ、かつ米国特許優先権出願第63/477,944号に含まれる付録に添付されている。
【0070】
本明細書に説明される本開示の技術は、以下の条項に従って更に理解することができる。
第1項:医療用エンドエフェクタであって、長手方向軸に沿って延在する1つ以上のスパインを備え、スパインは、長手方向軸から外向きの第1の表面と、スパインの第1の表面の一部に取り付けられた1つ以上の接触パッドと、1つ以上の接触パッドのうちのそれぞれのものの上に配置された1つ以上のフレキシブル回路であって、各々が電極と誘導コイルとを1つのユニットとして備える、1つ以上のフレキシブル回路と、を備える、医療用エンドエフェクタ。
【0071】
第2項:誘導コイルが、フレキシブル回路に埋め込まれた第1の誘導コイルを備え、これにより、第1の誘導コイルは、1つ以上の接触パッドのうちの複数の接触パッドのうちのそれぞれのものの上に隆起するフレキシブル回路の湾曲に適合している、第1項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0072】
第3項:第1の誘導コイルが、2つの実質的に平行な可撓性表面の間に閉じ込められている、第2項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0073】
第4項:接触パッドが、第1の表面に沿った長い側面と、長い側面に垂直な短い側面とを備え、誘導コイルが、長い側面及び短い側面のうちの少なくとも一方にのみ配置されている、第1項~第3項のいずれか一項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0074】
第5項:電極が、フレキシブル回路の第1の面に配置され、誘導コイルが、フレキシブル回路の第2の面に配置されている、第1項~第4項のいずれか一項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0075】
第6項:フレキシブル回路の第1の面の少なくとも一部分が、スパインの第1の表面に略平行に配置されている、第5項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0076】
第7項:フレキシブル回路の第2の面の少なくとも一部分が、スパインの第1の表面に対して略垂直に配置されている、第5項又は第6項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0077】
第8項:1つ以上のフレキシブル回路のうちの各それぞれの1つが、それぞれのスパインの周囲に延在している、第1項~第7項のいずれか一項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0078】
第9項:スパインが、第1の表面の反対側の第2の表面と、第1の表面に対して略垂直に配置された第3の表面と、第3の表面の反対側の第4の表面とを更に備える、第1項~第7項のいずれか一項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0079】
第10項:第2の表面に近接して配置され、スパインの長さに沿ってルーティングされる1つ以上のワイヤを更に備える、第9項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0080】
第11項:1つ以上のフレキシブル回路がそれぞれ、スパインの第1の表面、第3の表面、第4の表面、及び第2の表面の少なくとも一部の周囲に延在している、第9項又は第10項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0081】
第12項:スパインの第2の表面の少なくとも一部の周囲に延在する1つ以上のフレキシブル回路が、1つ以上のワイヤが中を通ってルーティングされるフレキシブル回路内の間隙を画定している、第11項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0082】
第13項:誘導コイルが、単軸センサとして機能するように構成されている、第1項~第11項のいずれか一項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0083】
第14項:医療用プローブに接続され、電極のうちの少なくとも1つに電気信号を印加して身体部分の組織をアブレーションするように構成されたアブレーション電力発生装置と、誘導コイルのうちの少なくとも1つから位置信号を受信するように構成された位置モジュールと、を更に備える、第1項~第13項のいずれか一項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0084】
第15項:1つ以上のスパインが、長手方向軸に沿って延在する1つ以上のスパインを含む拡張可能バスケットアセンブリを形成するように構成されており、かつ、拡張可能バスケットアセンブリが折り畳み形態から拡張形態に移行するときに、長手方向軸から半径方向外向きに曲がるように構成されている、第1項~第14項のいずれか一項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0085】
第16項:1つ以上のスパインが、遠位部分と、遠位部分が長手方向軸に沿って整列される送達構成と、遠位部分が長手方向軸に対して略直交する略円形の形状を構成する展開構成と、を更に含む、第1項~第13項又は第15項のいずれか一項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0086】
第17項:1つ以上のスパインに結合された3軸センサを更に備え、1つ以上のスパインが遠位端及び近位端を含み、3軸センサが遠位端に近接して配置されている、第1項~第16項のいずれか一項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0087】
第18項:3軸センサの遠位に配置された非外傷性先端部を更に備える、第17項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0088】
第19項:医療用エンドエフェクタであって、拡張可能バスケットアセンブリであって、拡張可能バスケットアセンブリは、長手方向軸に沿って延在し、かつ、拡張可能バスケットアセンブリが折り畳み形態から拡張形態に移行するときに、長手方向軸から半径方向外向きに曲がるように構成されている複数のスパインと、第1の単軸センサと、第2の単軸センサと、第3の単軸センサと、を備え、第1の単軸センサ、第2の単軸センサ、及び第3の単軸センサは、それぞれ、複数のスパインのうちのそれぞれのスパインに結合され、3軸センサとして機能するように集合的に構成されている、拡張可能バスケットアセンブリと、プロセッサであって、プロセッサは、第1の単軸センサ、第2の単軸センサ、及び第3の単軸センサから位置データを受信することと、拡張可能バスケットアセンブリのスパインの物理的特性に関する既知の情報を受信することと、受信した位置データ及びスパインの物理的特性に関する既知の情報に少なくとも部分的に基づいて、拡張可能バスケットアセンブリの位置及び拡張可能バスケットアセンブリに加えられた力を計算することと、を行うように構成されている、プロセッサと、を備える、医療用エンドエフェクタ。
【0089】
第20項:プロセッサが、受信した位置データに少なくとも部分的に基づいて、拡張可能バスケットアセンブリのたわみを計算するように更に構成されている、第19項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0090】
第21項:プロセッサが、拡張可能バスケットアセンブリの計算されたたわみ及びスパインの物理的特性に関する既知の情報に少なくとも部分的に基づいて、拡張可能バスケットアセンブリに加えられた力を計算するように更に構成されている、第20項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0091】
第22項:プロセッサが、受信した位置データに少なくとも部分的に基づいて、複数のスパインのうちの1つ以上の個々のスパインのたわみを計算するように更に構成されている、第19項~第21項のいずれか一項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0092】
第23項:プロセッサが、1つ以上の個々のスパインの計算されたたわみ及びスパインの物理的特性に関する既知の情報に少なくとも部分的に基づいて、複数のスパインのうちの1つ以上の個々のスパインのそれぞれに加えられた個々の力を計算するように更に構成されている、第22項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0093】
第24項:複数の歪みゲージを更に備え、複数の歪みゲージのうちの各歪みゲージは、複数のスパインのうちのあるスパインに結合されている、第19項~第23項のいずれか一項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0094】
第25項:プロセッサが、複数の歪みゲージから力データを受信することと、複数の歪みゲージからの受信した力データに少なくとも部分的に基づいて、拡張可能バスケットアセンブリに加えられた力及び当該力の方向を計算することと、を行うように更に構成されている、第24項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0095】
第26項:複数のひずみゲージの各ひずみゲージが、複数のスパインのうちのあるスパインの周りに巻き付いて、3つの軸における歪みを測定するように構成されている、第24項又は第25項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0096】
第27項:長手方向軸に沿って延在し、近位端及び遠位端を有する挿入管であって、遠位端が拡張可能バスケットアセンブリに結合されている、挿入管と、挿入管の遠位端に結合された3軸センサと、を更に備える、第19項~第26項のいずれか一項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0097】
第28項:拡張可能バスケットアセンブリに結合され、挿入管の遠位端の遠位に位置付けられた3軸センサを更に備える、第19項~第27項のいずれか一項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0098】
第29項:プロセッサが、3軸センサから位置データを受信することと、3軸センサから受信した位置データに少なくとも部分的に基づいて、拡張可能バスケットアセンブリに加えられた力及び当該力の方向を計算することと、を行うように更に構成されている、第27項又は第28項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0099】
第30項:3軸センサの遠位に位置付けられた非外傷性先端部を更に備える、第28項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0100】
第31項:スパインの物理的特性に関する既知の情報が、各スパインのばね定数を含む、第19項~第30項のいずれか一項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0101】
第32項:拡張形態の複数のスパインが、長手方向軸に略直交する略円形の形状を含む、第19項~第31項のいずれか一項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0102】
第33項:第1の単軸センサ、第2の単軸センサ、及び第3の単軸センサがそれぞれ、拡張可能バスケットアセンブリの略円形形状の周囲に互いからほぼ等距離に離間している、第32項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0103】
第34項:第1の単軸センサ、第2の単軸センサ、及び第3の単軸センサがそれぞれ、誘導コイルを備え、各誘導コイルが、各それぞれのコイル軸が、第1の単軸センサ、第2の単軸センサ、及び第3の単軸センサがそれぞれ結合される複数のスパインの各スパインにほぼ直交するように、それぞれのコイル軸の周りに螺旋状に巻かれている、第19項~第33項のいずれか一項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0104】
第35項:各それぞれのコイル軸が、長手方向軸に向かって延在し、拡張可能バスケットアセンブリのその中心に概ね配置された点で収束する、第34項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0105】
第36項:第1の単軸センサ、第2の単軸センサ、及び第3の単軸センサが、拡張形態にあるとき拡張可能バスケットアセンブリの赤道に概ね配置される、第19項~第35項のいずれか一項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0106】
第37項:複数の電極を更に備え、複数の電極の各電極は、複数のスパインのうちのあるスパインに結合されている、第19項~第36項のいずれか一項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0107】
第38項:第1の単軸センサ、第2の単軸センサ、及び第3の単軸センサが、複数の電極のうちのある電極が第1の単軸センサを少なくとも部分的に覆うように、複数のスパインのうちのあるスパインに結合されている、第37項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0108】
第39項:複数のスパインが、6つのスパインからなる、第19項~第38項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0109】
第40項:第1の単軸センサ、第2の単軸センサ、及び第3の単軸センサが、6つのスパインのうちの1つおきのスパインに結合されている、第39項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0110】
第41項:複数のスパインが、拡張形態にあるときに、ほぼ球形形状のバスケットアセンブリを形成するように構成されている、第19項~第40項のいずれか一項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0111】
第42項:複数のスパインが、拡張形態にあるときに、ほぼ扁球のバスケットアセンブリを形成するように構成されている、第19項~第40項のいずれか一項に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0112】
上に記載される実施形態は、例として引用したものであり、本発明は、本明細書にこれまで具体的に図示及び記載されるものに限られるものではない。むしろ、本発明の範囲は、本明細書でこれまでに記載される様々な特徴の組み合わせ及びその部分的組み合わせの両方、並びに上述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、先行技術において開示されていないそれらの変形例及び修正例を含むものである。
【0113】
〔実施の態様〕
(1) 医療用エンドエフェクタであって、
長手方向軸に沿って延在する1つ以上のスパインを備え、前記スパインは、
前記長手方向軸から外向きである第1の表面と、
前記スパインの前記第1の表面の一部に取り付けられた1つ以上の接触パッドと、
前記1つ以上の接触パッドのうちのそれぞれのものの上に配置された1つ以上のフレキシブル回路であって、各々が電極と誘導コイルとを1つのユニットとして備える、1つ以上のフレキシブル回路と、を備える、医療用エンドエフェクタ。
(2) 前記誘導コイルが、前記フレキシブル回路に埋め込まれた第1の誘導コイルを含み、前記第1の誘導コイルは、前記1つ以上の接触パッドのうちの複数の接触パッドのうちのそれぞれのものの上に隆起する前記フレキシブル回路の湾曲に適合している、実施態様1に記載の医療用エンドエフェクタ。
(3) 前記第1の誘導コイルが、2つの実質的に平行な可撓性表面の間に閉じ込められている、実施態様2に記載の医療用エンドエフェクタ。
(4) 前記接触パッドが、前記第1の表面に沿った長い側面と、前記長い側面に垂直な短い側面とを備え、前記誘導コイルが、前記長い側面及び前記短い側面のうちの少なくとも一方にのみ配置されている、実施態様1に記載の医療用エンドエフェクタ。
(5) 前記電極が、前記フレキシブル回路の第1の面に配置され、前記誘導コイルが、前記フレキシブル回路の第2の面に配置されている、実施態様1に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0114】
(6) 前記フレキシブル回路の前記第1の面の少なくとも一部が、前記スパインの前記第1の表面に略平行に配置されている、実施態様5に記載の医療用エンドエフェクタ。
(7) 前記フレキシブル回路の前記第2の面の少なくとも一部が、前記スパインの前記第1の表面に対して略垂直に配置されている、実施態様5に記載の医療用エンドエフェクタ。
(8) 前記1つ以上のフレキシブル回路のうちの各それぞれの1つが、前記それぞれのスパインの周囲に延在している、実施態様1に記載の医療用エンドエフェクタ。
(9) 前記スパインが、
前記第1の表面の反対側の第2の表面と、
前記第1の表面に対して略垂直に配置された第3の表面と、
前記第3の表面の反対側の第4の表面と、を更に備え、
前記1つ以上のフレキシブル回路がそれぞれ、前記スパインの前記第1の表面、前記第3の表面、前記第4の表面、及び前記第2の表面の少なくとも一部の周囲に延在している、実施態様1に記載の医療用エンドエフェクタ。
(10) 前記スパインの前記第2の表面の少なくとも一部の周囲に延在する前記1つ以上のフレキシブル回路が、1つ以上のワイヤが中を通ってルーティングされる前記フレキシブル回路内の間隙を画定している、実施態様9に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0115】
(11) 前記医療用プローブに接続され、前記電極のうちの少なくとも1つに電気信号を印加して、身体部分の組織をアブレーションするように構成されたアブレーション電力発生装置と、
前記誘導コイルのうちの少なくとも1つから位置信号を受信するように構成された位置モジュールと、を更に備える、実施態様1に記載の医療用エンドエフェクタ。
(12) 前記1つ以上のスパインが、前記長手方向軸に沿って延在する前記1つ以上のスパインを含む拡張可能バスケットアセンブリを形成するように構成されており、かつ、前記拡張可能バスケットアセンブリが折り畳み形態から拡張形態に移行するときに、前記長手方向軸から半径方向外向きに曲がるように構成されている、実施態様1に記載の医療用エンドエフェクタ。
(13) 前記1つ以上のスパインに結合された3軸センサを更に備え、前記1つ以上のスパインが遠位端及び近位端を含み、前記3軸センサが前記遠位端に近接して配置されている、実施態様1に記載の医療用エンドエフェクタ。
(14) 医療用エンドエフェクタであって、
拡張可能バスケットアセンブリであって、前記拡張可能バスケットアセンブリは、
長手方向軸に沿って延在し、かつ、前記拡張可能バスケットアセンブリが折り畳み形態から拡張形態に移行するときに、前記長手方向軸から半径方向外向きに曲がるように構成されている複数のスパインと、
第1の単軸センサと、
第2の単軸センサと、
第3の単軸センサと、を備え、
前記第1の単軸センサ、前記第2の単軸センサ、及び前記第3の単軸センサは、それぞれ、前記複数のスパインのうちのそれぞれのスパインに結合され、3軸センサとして機能するように集合的に構成されている、拡張可能バスケットアセンブリと、
プロセッサであって、前記プロセッサは、
前記第1の単軸センサ、前記第2の単軸センサ、及び前記第3の単軸センサから位置データを受信することと、
前記拡張可能バスケットアセンブリの前記スパインの物理的特性に関する既知の情報を受信することと、
前記受信した位置データ及び前記スパインの前記物理的特性に関する既知の情報に少なくとも部分的に基づいて、前記拡張可能バスケットアセンブリの位置及び前記拡張可能バスケットアセンブリに加えられた力を計算することと、を行うように構成されている、プロセッサと、を備える、医療用エンドエフェクタ。
(15) 前記プロセッサが、
受信した位置データに少なくとも部分的に基づいて、前記拡張可能バスケットアセンブリのたわみを計算するように更に構成されている、実施態様14に記載の医療用エンドエフェクタ。
【0116】
(16) 前記プロセッサが、
前記拡張可能バスケットアセンブリの前記計算されたたわみ及び前記スパインの前記物理的特性に関する前記既知の情報に少なくとも部分的に基づいて、前記拡張可能バスケットアセンブリに加えられた力を計算するように更に構成されている、実施態様15に記載の医療用エンドエフェクタ。
(17) 前記プロセッサが、
受信した位置データに少なくとも部分的に基づいて、前記複数のスパインのうちの1つ以上の個々のスパインのたわみを計算するように更に構成されている、実施態様14に記載の医療用エンドエフェクタ。
(18) 前記プロセッサが、
1つ以上の個々のスパインの前記計算されたたわみ及び前記スパインの前記物理的特性に関する前記既知の情報に少なくとも部分的に基づいて、前記複数のスパインのうちの1つ以上の個々のスパインのそれぞれに加えられた個々の力を計算するように更に構成されている、実施態様17に記載の医療用エンドエフェクタ。
(19) 複数の歪みゲージを更に備え、前記複数の歪みゲージのうちの各歪みゲージは、前記複数のスパインのうちのあるスパインに結合されている、実施態様14に記載の医療用エンドエフェクタ。
(20) 前記プロセッサが、
前記複数の歪みゲージから力データを受信することと、
前記複数の歪みゲージからの前記受信した力データに少なくとも部分的に基づいて、前記拡張可能バスケットアセンブリに加えられた力及び前記力の方向を計算することと、を行うように更に構成されている、実施態様19に記載の医療用エンドエフェクタ。
【外国語明細書】