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特開2024-96094マッピング及びアブレーションのための分布された組織接触のためのフラクタル円筒形ケージシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096094
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】マッピング及びアブレーションのための分布された組織接触のためのフラクタル円筒形ケージシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20240704BHJP
   A61B 5/287 20210101ALI20240704BHJP
【FI】
A61B18/14
A61B5/287 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023222798
(22)【出願日】2023-12-28
(31)【優先権主張番号】63/477,800
(32)【優先日】2022-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/510,180
(32)【優先日】2023-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】フアン・ロドリゲス・ソト
(72)【発明者】
【氏名】ムハンマド・アッバス
(72)【発明者】
【氏名】ババク・エブラヒミ
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・エメリウス・バン・ニーキルク
(72)【発明者】
【氏名】シュバユ・バス
【テーマコード(参考)】
4C127
4C160
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127LL08
4C127LL15
4C127LL22
4C160KK03
4C160KK17
4C160KK24
4C160KK47
4C160KK63
4C160MM33
(57)【要約】
【課題】医療用プローブを提供すること。
【解決手段】本開示の技術は、実質的円筒形構造体を形成する複数のスパイン部材を備える医療用プローブを含む。各スパインは、平坦な原料の連続片から打ち抜かれ、長手方向軸に沿って第1の端部から第1の屈曲部まで延在する、第1のセクションと、第1のセクションから長手方向軸に対して曲線状に延在し、かつ分岐点を含む、第2のセクションと、長手方向軸に沿って第2の屈曲部から第2の端部まで延在する第3のセクションであって、第3のセクションの近位部分が、第1のセクションに略平行である、第3のセクションと、を含む構成に熱処理される。第2のセクションは、連続脚部と、不連続脚部と、を備える。連続脚部は、第1のセクションと分岐点との間に延在する。不連続脚部は、第1のセクションに向かって延在し、かつ分岐点と第1の端部との間の終端点で終端する。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用プローブにおいて使用するためのスパイン部材であって、前記スパイン部材が、
長手方向軸に沿って第1の端部から第1の屈曲部まで延在する、第1のセクションと、
前記第1のセクションから前記長手方向軸に対して曲線状に延在し、かつ分岐点を含む、第2のセクションと、
第3のセクションであって、前記第3のセクションの近位部分が、前記第1のセクションに略平行であるように、前記長手方向軸に沿って第2の屈曲部から第2の端部まで延在する、第3のセクションと、を備える、スパイン部材。
【請求項2】
前記第2のセクションが、
前記第1のセクションと前記分岐点との間に延在する連続脚部と、
前記第1のセクションに向かって延在し、かつ前記分岐点と前記第1の端部との間の終端点で終端する、不連続脚部と、を備える、請求項1に記載のスパイン部材。
【請求項3】
前記第2のセクションが、
前記分岐点と前記第2の屈曲部との間に延在する遠位部分を備える、請求項1に記載のスパイン部材。
【請求項4】
実質的円筒形構造体を形成するために、4つ又は5つ以上のスパイン部材と、それらのそれぞれの構成において整列するように構成されている、請求項1に記載のスパイン部材。
【請求項5】
前記4つ又は5つ以上のスパイン部材の前記第3のセクションは、各スパイン部材の前記第2の屈曲部が前記実質的円筒形構造体の遠位先端部を形成するように整列する、請求項4に記載のスパイン部材。
【請求項6】
医療用プローブであって、
複数の別個のスパイン部材を備える実質的円筒形構造体であって、前記複数の別個のスパイン部材が、
遠位屈曲部と、
中間部分と、
第1のスパイン端部と、を備える、実質的円筒形構造体を備え、
前記複数の別個のスパイン部材が、各それぞれの遠位屈曲部においては、前記実質的円筒形構造体の遠位端部に、及び各それぞれの第1のスパイン端部においては、前記実質的円筒形構造体の近位端部に、一緒に配設されており、
各それぞれの中間部分が、長手方向軸から軸方向に湾曲して、前記実質的円筒形構造体の外側表面を形成する、医療用プローブ。
【請求項7】
前記別個のスパイン部材が、前記それぞれの別個のスパイン部材の前記遠位屈曲部と第2のスパイン端部との間に直線部分を更に備え、前記直線部分が、前記実質的円筒形構造体内に位置決めされている、請求項6に記載の医療用プローブ。
【請求項8】
各スパイン部材の前記第1のスパイン端部が、前記実質的円筒形構造体が拡張構成にあるときに、前記スパイン部材の前記第2のスパイン端部と接触する、請求項7に記載の医療用プローブ。
【請求項9】
前記複数の別個のスパイン部材から形成された前記実質的円筒形構造体が、それぞれのスパイン部材の各直線部分を、隣接するスパイン部材の前記直線部分に近接して整列させる、請求項7に記載の医療用プローブ。
【請求項10】
前記別個のスパイン部材が、前記第1のスパイン端部と前記第2のスパイン端部との間に分岐部分を更に備える、請求項7に記載の医療用プローブ。
【請求項11】
各それぞれの別個のスパイン部材の前記第1のスパイン端部が、前記実質的円筒形構造体の前記近位端部において近位リングに収束する、請求項6に記載の医療用プローブ。
【請求項12】
前記実質的円筒形構造体が、前記複数の別個のスパイン部材のうちの1つ又は2つ以上の上に1つ又は2つ以上の電磁位置特定コイルを更に備える、請求項6に記載の医療用プローブ。
【請求項13】
前記実質的円筒形構造体が、前記複数の別個のスパイン部材の上に位置決めされた膜を更に備え、前記膜が、前記膜の外部表面に結合された1つ又は2つ以上の電極を備える、請求項12に記載の医療用プローブ。
【請求項14】
前記膜が、内部容積から周囲環境への流体連通を可能にする1つ又は2つ以上の開口を備える、請求項13に記載の医療用プローブ。
【請求項15】
前記膜が、前記1つ又は2つ以上の開口の間の前記膜の表面上に配置された1つ又は2つ以上の導電性トレースを更に備え、各電気トレースが、前記1つ又は2つ以上の電極のうちのそれぞれの電極に接続されている、請求項14に記載の医療用プローブ。
【請求項16】
前記膜が、前記膜の内部表面に結合された1つ又は2つ以上の基準電極を更に備える、請求項13に記載の医療用プローブ。
【請求項17】
医療用プローブを構築する方法であって、
平坦な原料の連続片から複数のスパイン部材を打ち抜くことと、
前記複数のスパイン部材を熱処理することであって、これによって、各スパイン部材が、
長手方向軸に沿って第1の端部から第1の屈曲部まで延在する、第1のセクションと、
前記第1のセクションから前記長手方向軸に対して曲線状に延在する、第2のセクションと、
前記長手方向軸に沿って第2の屈曲部から第2の端部まで延在する第3のセクションであって、前記第3のセクションの近位部分が、前記第1のセクションに略平行である、第3のセクションと、を備える、構成を形成する、熱処理することと、
前記複数のスパイン部材の前記第1の屈曲部を整列させて、実質的円筒形構造体を画定することと、を含む、方法。
【請求項18】
分岐点において前記第2のセクションの一部分に沿って前記スパイン部材を分割して、前記第1のセクションと前記分岐点との間に延在する連続脚部と、前記第2のセクションに向かって延在し、かつ前記分岐点と前記第1の端部との間の終端点で終端する、不連続脚部と、を形成することを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
第1のスパイン部材が第1の位置において第1の分岐点を含み、かつ第2のスパイン部材が第2の位置において第2の分岐点を含むように、前記第2のセクションの遠位部分に沿った様々な点で前記スパイン部材を分割する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記実質的円筒形構造体の上に膜を位置決めすることを更に含み、前記膜が、前記膜の表面上に1つ又は2つ以上の電気トレースを備える、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、その内容全体が、本明細書に完全に記載された場合のように参照により本明細書に組み込まれる、2022年12月29日に出願された先願の米国仮特許出願第63/477,800号の米国特許法第119条に基づく優先権の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して、医療用デバイスに関し、特に電極を有するカテーテルに関し、更に、マッピング、アブレーション、又は心臓組織及び肺静脈の不可逆的エレクトロポレーション(irreversible electroporation、IRE)を誘導するために使用するのに好適なカテーテルに関するが、これらに限定されるものではない。
【背景技術】
【0003】
電気生理学カテーテルは、概して、心臓の電気的活動をマッピングするため、又は心臓組織の領域にアブレーションを誘導して、心臓のある部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を停止又は修正するために使用される。多くの電気生理学カテーテルは、バスケット形状の電極アレイを有する。特に、バスケット形状の電極アレイを有するカテーテルは公知であり、例えば、米国特許第5,772,590号、同第6,748,255号、及び同第6,973,340号に記載されており、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれ、米国優先権出願第63/477,800号の付録に添付されている。いくつかのアブレーションアプローチは、非熱アブレーション法を使用して心臓組織をアブレーションするために不可逆的エレクトロポレーションを使用する。IREは、高電圧の短パルスを組織に送達し、細胞膜の回復不能な透過化を生じさせる。多電極カテーテルを使用してアブレーション又は不可逆的エレクトロポレーション(IRE)エネルギーを組織に送達することは、特許文献において以前に提案された。IREアブレーションのために構成されたシステム及びデバイスの例は、米国特許出願公開第2021/0169550(A1)号(現米国特許第11,660,135号)、同第2021/0169567(A1)号、同第2021/0169568(A1)号、同第2021/0161592(A1)号(現米国特許第11,540,877号)、同第2021/0196372(A1)号、同第2021/0177503(A1)号、同第2021/0186604(A1)号(現米国特許第11,707,320号)に提示されており、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれ、米国優先権出願第63/477,800号の付録に添付されている。
【0004】
心臓組織の領域は、異常な電気信号を識別するためにカテーテルによってマッピングすることができる。同じ又は異なるカテーテルを使用してアブレーションを実行することができる。いくつかの例示的なカテーテルは、その上に電極が位置決めされた多数のスパインを含む。電極は、一般に、スパインに取り付けられ、はんだ付け、溶接、又は接着剤を使用することによって定位置に固定される。更に、複数の線形スパインは、概して、線形スパインの両端部をチューブ状シャフト(例えば、プッシャチューブ)に取り付けて球形バスケットを形成することによって、一緒に組み立てられる。球状バスケットアセンブリは、左心房又は右心房の電気的機能を検出することができる。しかしながら、肺静脈は、典型的には、断面が完全に円形ではなく、より楕円形であるため、電極の平面状アレイを有する実質的に円筒形のアセンブリは、肺静脈又はその付近の心臓組織の電気的機能のより均一な検出を提供し得る。しかしながら、スパイン及び電極の小さいサイズに起因して、電極をスパインに接着し、次いで、複数の線形スパインから球形バスケットを形成することは、困難な作業であり、製造時間及びコスト、並びに不適切な結合又は不整合に起因して電極が故障する可能性を増加させ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、必要とされるものは、代替カテーテル幾何形状全般を製造するために必要とされる時間を低減することに役立ち得る、改善された医療用プローブを形成するデバイス及び方法である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
医療用プローブ及び関連する方法の種々の実施形態を説明し、図示する。本開示は、医療用プローブのための構造ユニットであって、長手方向軸に沿って第1の端部から第1の屈曲部まで延在する第1のセクションと、第1のセクションから長手方向軸に対して曲線状に延在する第2のセクションと、第3のセクションであって、第3のセクションの近位部分が、第1のセクションに略平行であるように、長手方向軸に沿って第2の屈曲部から第2の端部まで延在する、第3のセクションと、を有する、スパイン部材を備える、医療用プローブのための構造ユニットを含む。第2のセクションは、分岐点を含むことができる。
【0007】
医療用プローブは、長手方向軸の周りに配置された複数のスパイン部材と複数の電極とから形成された実質的円筒形構造体を含み得る。複数のスパイン部材の各々は、長手方向軸に沿って第1の端部から第1の屈曲部まで延在する第1のセクションと、第1のセクションから長手方向軸に対して曲線状に延在する第2のセクションと、第3のセクションであって、第3のセクションの近位部分が、第1のセクションに略平行であるように、長手方向軸に沿って第2の屈曲部から第2の端部まで延在する、第3のセクションと、を含むことができる。第2のセクションは、分岐点を含むことができる。複数の電極は、複数のスパイン部材の各々に結合され得る。
【0008】
本開示は、実質的円筒形構造体を含み得る医療用プローブを含む。実質的円筒形構造体は、複数の別個のスパイン部材を含むことができる。各スパイン部材は、遠位屈曲部、中間部分、及び第1のスパイン端部を含むことができる。複数のスパイン部材は、各それぞれの遠位屈曲部においては、実質的円筒形構造体の遠位端部に一緒に配設され得る。複数のスパイン部材はまた、各それぞれの第1のスパイン端部においては、実質的円筒形構造体の近位端部に配設され得る。各それぞれの中間部分は、長手方向軸から軸方向に湾曲して、実質的円筒形構造体の外側表面を形成することができる。
【0009】
本開示は、医療用プローブを構築する方法を含む。本方法は、平坦な原料の連続片から複数のスパイン部材を打ち抜くことと、各スパイン部材が構成を形成するように、複数のスパイン部材を熱処理することと、少なくとも4つのスパイン部材の遠位屈曲部を整列させて、実質的円筒形構造体を画定することと、を含むことができる。複数のスパイン部材の各々は、長手方向軸に沿って第1の端部から第1の屈曲部まで延在する第1のセクションと、第1のセクションから長手方向軸に対して曲線状に延在する第2のセクションと、第3のセクションであって、第3のセクションの近位部分が、第1のセクションに略平行であるように、長手方向軸に沿って第2の屈曲部から第2の端部まで延在する、第3のセクションと、を含むことができる。第2のセクションは、分岐点を含むことができる。
【0010】
本開示は、医療用プローブを構築する方法を含む。本方法は、膜上に1つ又は2つ以上の電気トレースを製作することと、1つ又は2つ以上の電気トレース内に1つ又は2つ以上の電極を整列させることと、実質的円筒形構造体を形成するように成形された複数の別個のスパイン部材の上に膜を位置決めすることと、を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態による、医療用プローブを含み、医療用プローブの遠位端部が電極を有するフラクタルな実質的円筒形構造体を含む、医療用システムの概略描画図である。
図2A】本発明の一実施形態による、拡張形態の医療用プローブの斜視図を示す概略描画図である。
図2B】本発明の実施形態による、圧潰形態の医療用プローブの側面図を示す概略描画図である。
図3】本発明の一実施形態による、医療用プローブの分解側面図を示す概略描画図である。
図4A】本発明の一実施形態による、直線構成に延伸されたスパイン部材の概略描画図である。
図4B】本発明の実施形態による、様々な熱処理された構成の図4Aのスパイン部材の側面図を示す概略描画図である。
図4C】本発明の実施形態による、様々な熱処理された構成の図4Aのスパイン部材の側面図を示す概略描画図である。
図5A】本発明の実施形態による、変動する分岐点を有する2つの隣接するスパイン部材の側面図(図5A)及び上面図(図5B)を示す概略描画図である。
図5B】本発明の実施形態による、変動する分岐点を有する2つの隣接するスパイン部材の側面図(図5A)及び上面図(図5B)を示す概略描画図である。
図6】本発明の一実施形態による、拡張形態のフラクタルなスパイン部材を有する実質的円筒形構造体の斜視図を示す概略描画図である。
図7A】本発明の一実施形態による、拡張形態のフラクタルなスパイン部材を有する実質的円筒形構造体の斜視図を示す概略描画図である。
図7B】本発明の一実施形態による、図7Aのスパイン部材の側面図を示す概略描画図である。
図8A】本発明の実施形態による、電極を有する様々な例示的な膜の斜視図を示す概略描画図である。
図8B】本発明の実施形態による、電極を有する様々な例示的な膜の斜視図を示す概略描画図である。
図8C】本発明の一実施形態による、図8Bの膜上の電極及び電気トレースの拡大図を示す概略描画図である。
図9】本発明の一実施形態による、医療用プローブを組み立てる別の方法を図示するフローチャートである。
図10】本発明の一実施形態による、医療用プローブを組み立てる別の方法を図示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の詳細な説明は、図面を参照しながら読まれるべきものであり、異なる図面における同様の要素には、同一の番号が付けられている。図面は、必ずしも縮尺どおりとは限らず、選択された実施形態を示しており、また本発明の範囲を限定することを意図していない。詳細な説明は、限定ではなく例として、本発明の原理を示す。本明細書は、当業者が本発明を作製及び使用することを明らかに可能にし、また本発明を実施するための最良の態様であると現在考えられているものを含めて、本発明のいくつかの実施形態、適応例、変形形態、代替物及び使用を説明する。
【0013】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は範囲に対する「約」又は「ほぼ」という用語は、構成要素の一部又は集合が本明細書に記載の意図された目的のために機能することを可能にする、好適な寸法公差を示す。より具体的には、「約」又は「ほぼ」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指し得、例えば、「約90%」は、71%~110%の値の範囲を指し得る。
【0014】
本明細書で使用する場合、「患者」、「ホスト」、「ユーザ」及び「対象」という用語は、任意のヒト対象又は動物対象を指し、本システム又は方法をヒトにおける使用に限定することを目的としたものではないが、ヒト患者における対象の本発明の使用は、好ましい実施形態を表すものである。加えて、「患者」、「ホスト」、「ユーザ」、及び「対象」の血管系は、ヒト又は任意の動物の血管系であり得る。動物は、哺乳動物、獣医学的動物、家畜動物、又はペット類の動物などを含むがこれらに限定されない、様々な任意の適用可能な種類であり得ることを理解されたい。一例として、動物は、ヒトと同様の特定の特性を有するように特異的に選択された実験動物(例えば、ラット、イヌ、ブタ、サル、又は同等物)であり得る。対象は、例えば、任意の該当するヒト患者であり得ることを理解するべきである。同様に、「近位」という用語は、作業者により近い方の場所を示す一方、「遠位」は、作業者又は医師からより遠い場所を示す。
【0015】
本明細書で考察されるように、「医師」は、医師、外科医、技術者、科学者、作業者、又は対象への薬物難治性心房細動の治療のための多電極カテーテルの送達に関連する任意の他の個人若しくは送達器具を含むことができる。
【0016】
本明細書で考察されるように、「アブレーションする」又は「アブレーション」という用語は、本開示のデバイス及び対応するシステムに関する場合、本開示全体を通して、パルス電界(pulsed electric field、PEF)及びパルス場アブレーション(pulsed field ablation、PFA)と互換的に称される、不可逆的エレクトロポレーション(IRE)などの非熱エネルギーを利用することによって、細胞内の不規則的心臓信号の生成を低減又は防止するように構成される、構成要素及び構造的特徴を指す。本開示のデバイス及び対応するシステムに関する場合、アブレーションすること又はアブレーションは、不整脈、心房粗動アブレーション、肺静脈隔離、上室頻脈アブレーション、及び心室性頻脈アブレーションを含むがこれらに限定されない特定の状態の心臓組織の非熱アブレーションを参照して、本開示全体を通して使用される。「アブレーションする」又は「アブレーション」という用語はまた、当業者によって理解されるように、様々な形態の身体組織アブレーションを達成するための既知の方法、デバイス、及びシステムを含む。
【0017】
本明細書で考察されるように、「双極」及び「単極」という用語は、アブレーションスキームを指すために使用される場合、電流経路及び電界分布に関して異なるアブレーションスキームを説明する。「双極」とは、両方とも治療部位に配置された2つの電極間の電流経路を利用するアブレーションスキームを指す。電流密度及び電束密度は、典型的には、2つの電極の各々でほぼ等しい。「単極」とは、2つの電極間の電流経路を利用するアブレーションスキームを指し、ここで、高電流密度及び高電束密度を含む1つの電極が治療部位に位置決めされ、比較的低い電流密度及びより低い電束密度を含む第2の電極が、治療部位から遠隔に位置決めされる。
【0018】
本明細書で考察されるように、「二相性パルス」及び「単相性パルス」という用語は、それぞれの電気信号を指す。「二相性パルス」とは、正電圧相パルス(本明細書では「正相」と称する)及び負電圧相パルス(本明細書では「負相」と称する)を含む電気信号を指す。「単相性パルス」は、正相のみ又は負相のみを含む電気信号を指す。好ましくは、二相性パルスを提供するシステムは、直流電圧(direct current voltage、DC)の患者への適用を防止するように構成されている。例えば、二相性パルスの平均電圧は、地面又は他の共通基準電圧に対してゼロボルトであり得る。追加的又は代替的に、システムは、コンデンサ又は他の保護構成要素を含むことができる。二相性パルス及び/又は単相性パルスの電圧振幅が本明細書に記載されている場合、発現された電圧振幅は、正電圧相及び/又は負電圧相の各々の近似ピーク振幅の絶対値であることが理解される。二相性パルス及び単相性パルスの各相は、好ましくは、相持続時間の大部分において本質的に一定の電圧振幅を含む正方形を有する。二相性パルスの相は、相間遅延によって時間的に分離される。相間遅延持続時間は、好ましくは、二相性パルスの相の持続時間未満であるか、又はその持続時間にほぼ等しい。相間遅延持続時間は、より好ましくは、二相性パルスの相の持続時間の約25%である。
【0019】
本明細書で考察されるように、「チューブ状」及び「チューブ」という用語は、広義に解釈されるものとし、直円柱構造体、若しくは断面が厳密に円形である構造体、又はその長さ全体にわたって均一な断面である構造体に限定されるものではない。例えば、チューブ状構造体は、概して、実質的な直円柱構造体として例解される。しかしながら、チューブ状構造体は、本開示の範囲から逸脱することなく、先細状又は湾曲した外側表面を有し得る。
【0020】
本明細書で使用される「温度定格」という用語は、構成要素が、構成要素の溶融又は熱劣化(例えば、炭化及び崩壊)などの熱損傷を引き起こすことなく、その寿命の間に耐えることができる最大連続温度として定義される。
【0021】
本開示は、スパインの上に位置決めされた膜に固定された電極を含むエンドエフェクタを利用するシステム、方法、又は使用、及びデバイスに関する。本開示の例示的なシステム、方法、及びデバイスは、心臓不整脈を治療するための心臓組織のマッピング及びIREアブレーションに特に適し得る。アブレーションエネルギーは、通常、アブレーションするべき組織に沿ってアブレーションエネルギーを送達することができるカテーテルの先端部分によって心臓組織に供給される。いくつかの例示的カテーテルは、先端部分に三次元構造体を含み、三次元構造体上に位置決めされた様々な電極からアブレーションエネルギーを管理するように構成される。このような例示的なカテーテルを組み込むアブレーション処置は、X線透視法を使用して可視化され得る。
【0022】
機能不全の心臓を改善するために、高周波(radio frequency、RF)エネルギー及び冷凍アブレーションなどの熱的技術を適用する心臓組織のアブレーションは、周知の処置である。典型的には、熱的技術を使用して首尾よくアブレーションするために、心筋の様々な場所で心電位を測定する必要がある。加えて、アブレーション中の温度測定により、アブレーションの有効性を可能にするデータを提供する。通常、熱的技術を使用したアブレーション処置では、実際のアブレーション前、アブレーション中、及びアブレーション後に、電極電位及び温度が測定される。
【0023】
RFアプローチは、組織の炭化、燃焼、スチームポップ、横隔神経麻痺、肺静脈狭窄、及び食道瘻につながり得るリスクを有し得る。冷凍アブレーションは、RFアブレーションと関連するいくらかの熱リスクを低減することができるRFアブレーションへの代替アプローチである。しかしながら、冷凍アブレーションデバイスを操作し、冷凍アブレーションを選択的に適用することは、一般に、RFアブレーションと比較してより困難である。したがって、冷凍アブレーションは、電気アブレーションデバイスによって到達され得る特定の解剖学的幾何形状では実行可能ではない。
【0024】
本開示で考察されるIREは、心房性不整脈のアブレーションに使用することができる非熱的細胞死技術である。IRE/PEFを使用してアブレーションするために、二相性電圧パルスを印加して心筋の細胞構造を破壊する。二相性パルスは非正弦波形であり、細胞の電気生理学に基づいて標的細胞に調整することができる。対照的に、RFを使用してアブレーションするために、正弦波電圧波形が適用されて、治療エリアにおいて熱を生成し、治療エリア内の全ての細胞を無差別に加熱する。IREはしたがって、アブレーションモダリティ又は隔離モダリティで知られている起こり得る合併症の低減において有益であろう、隣接する感熱性構造又は組織を救う能力を有する。追加的又は代替的に、単相性パルスが利用され得る。
【0025】
エレクトロポレーションは、細胞膜内の細孔の可逆的な(reversable)(一時的な)又は不可逆的な(永久的な)生成を引き起こすために、生物学的細胞にパルス電界を印加することによって誘発され得る。細胞は、パルス電界の印加時に静止電位を超えて増加する膜貫通静電位を有する。膜貫通静電位は閾値電位未満のままであるが、エレクトロポレーションは可逆的であり、これは、印加されたパルス電界が除去されると細孔が閉じることができ、細胞は自己修復して生存することができることを意味する。膜貫通静電位が閾値電位を超えて増加する場合、エレクトロポレーションは不可逆的であり、細胞は永久的に透過性になる。結果として、細胞は、恒常性の喪失に起因して死滅し、典型的には、プログラムされた細胞死又はアポトーシスによって死滅し、これは、他のアブレーションモダリティと比較して、より少ない瘢痕組織を残すと考えられている。一般に、異なるタイプの細胞は、異なる閾値電位を有する。例えば、心臓細胞はほぼ500V/cmの閾値電位を有するが、骨は3000V/cmの閾値電位を有する。閾値電位のこれらの差は、IREが閾値電位に基づいて組織を選択的に標的とすることを可能にする。
【0026】
本開示の解決策は、好ましくは心筋組織においてエレクトロポレーションを誘発するのに有効なパルス電界を印加することによって、心筋組織の近傍に位置決めされたカテーテル電極から電気信号を印加するためのシステム及び方法を含む。本システム及び方法は、不可逆的エレクトロポレーションを誘発することによって標的組織をアブレーションするのに有効であり得る。いくつかの例では、本システム及び方法は、診断処置の一部として可逆的エレクトロポレーションを誘発するのに有効であり得る。可逆的エレクトロポレーションは、細胞が修復することを可能にする、電極で印加された電気が標的組織の電界閾値を下回るときに行われる。可逆的エレクトロポレーションは細胞を死滅させないが、医師が、標的場所の近傍で電気活性化信号に対する可逆的エレクトロポレーションの効果を見ることを可能にする。可逆的エレクトロポレーションのための例示的なシステム及び方法は、米国特許出願公開第2021/0162210号に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれ、米国優先権出願第63/477,800号の付録に添付されている。
【0027】
パルス電界、並びに可逆的エレクトロポレーション及び/又は不可逆的エレクトロポレーションを誘発するパルス電界の有効性は、システムの物理パラメータ及び電気信号の二相性パルスパラメータによって影響を受け得る。物理パラメータは、電極接触面積、電極間隔、電極幾何形状などを含み得、本明細書に提示される例は、概して、可逆的エレクトロポレーション及び/又は不可逆的エレクトロポレーションを有効に誘発するように適合される物理パラメータを含む。電気信号の二相性パルスパラメータは、電圧振幅、パルス持続時間、パルス相間遅延、パルス間遅延、総印加時間、送達エネルギーなどを含み得る。いくつかの例では、電気信号のパラメータは、同じ物理パラメータが与えられると、可逆的エレクトロポレーション及び不可逆的エレクトロポレーションの両方を誘発するように調整することができる。IREを含むアブレーションの様々なシステム及び方法の例は、米国特許出願公開第2021/0169550(A1)号(現米国特許第11,660,135号)、同第2021/0169567(A1)号、同第2021/0169568(A1)号、同第2021/0161592(A1)号(現米国特許第11,540,877号)、同第2021/0196372(A1)号、同第2021/0177503(A1)号、同第2021/0186604(A1)号(現米国特許第11,707,320号)に提示されており、これらの各々の全体は、参照により本明細書に組み込まれ、米国優先権出願第63/477,800号の付録に添付されている。
【0028】
IRE(不可逆的エレクトロポレーション)処置でパルス場アブレーション(PFA)を送達するために、電極は、アブレーションされる組織と十分に大きな表面積で接触しなければならない。以下に説明するように、医療用プローブは、実質的に円筒形を画定する長手方向軸の周りに配置された複数のスパイン部材と、複数のスパイン部材の各々に結合された複数の電極と、を含む。各スパイン部材は、長手方向軸に沿って第1の端部から第1の屈曲部まで延在する第1のセクションと、第1のセクションから長手方向軸に対して曲線状に延在し、かつ分岐点を有する、第2のセクションと、第3のセクションであって、第3のセクションの近位部分が、第1のセクションに略平行であるように、長手方向軸に沿って第2の屈曲部から第2の端部まで延在する、第3のセクションと、を含む。
【0029】
医療用プローブはまた、医療用プローブの内部容積を画定する複数のスパイン部材を取り囲む膜を有する。膜は、膜の外側表面上に配置された1つ又は2つ以上の外部電極と、膜の内部表面上に配置された内部電極と、を含む。膜は、膜の外側から内部容積への流体連通を可能にする複数の開口を有する。
【0030】
例示的なカテーテルベースの電気生理学マッピング及びアブレーションシステム10を示す図1を参照する。システム10は、患者23の血管系を通って、心臓12の腔又は血管構造内に医師24によって経皮的に挿入される複数のカテーテルを含む。典型的には、送達シースカテーテルは、心臓12の所望の場所の近くの左心房又は右心房内に挿入される。その後、複数のカテーテルを送達シースカテーテル内へと挿入して、所望の場所に到達させることができる。複数のカテーテルは、心内電位図(Intracardiac Electrogram、IEGM)信号の感知専用のカテーテル、アブレーション専用のカテーテル、並びに/又は感知及びアブレーションの両方に専用のカテーテルを含み得る。IEGMを感知するように構成された例示的なカテーテル14が本明細書に示されている。医師24は、心臓12内の標的部位を感知するために、医療用プローブ16を構成するカテーテル14の遠位先端部28を肺静脈又はその近くで心臓壁に接触させる。アブレーションを行う場合、医師24は同様に、医療用プローブ16を構成するアブレーションカテーテルの遠位端部をアブレーションの標的部位に運ぶだろう。
【0031】
医療用プローブ16は、遠位先端部28において複数のスパイン22にわたって任意選択的に分布し、かつIEGM信号を感知するように構成されている、1つ、好ましくは複数の電極26を含む、例示的なプローブである。医療用プローブ16は、遠位先端部28の位置及び配向を追跡するために、遠位先端部28内又はその近くに埋め込まれた位置センサ29を更に含むことができる。任意選択的に、かつ好ましくは、位置センサ29は、三次元(three-dimensional、3D)位置及び配向を感知するための3つの磁気コイルを含む磁気ベースの位置センサである。図2Aにより詳細に示されるように、医療用プローブ16は、複数のスパイン部材22の上に位置決めされた膜70を含むことができる。位置センサ29は、従来のコイル状ワイヤセンサ、フラットPCBベースのセンサ、又は変形可能な電磁ループセンサとすることができる。描写されていないが、位置センサ29は、代替的に、バスケットアセンブリ28上に位置決めされるか、又は個々のスパイン22内に設計され得る。いくつかの実施形態では、個々のスパイン22は、絶縁され、位置センサとして機能することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、医療用プローブ16は、変形可能な電磁ループセンサを含むことができる変形可能な電磁ループセンサの様々なシステム及び方法の例は、米国特許第11,304,642号及び同第10,330,742号、並びに米国特許終了公開第2018/0344202(A1)号及び同第2020/0155224(A1)号に提示されており、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれ、米国優先権出願第63/477,800号の付録に添付されている。
【0033】
磁気ベースの位置センサ29は、所定の作業体積内に磁場を生成するように構成された複数の磁気コイル32を含む場所パッド25とともに動作し得る。カテーテル14の遠位先端部28のリアルタイム位置は、場所パッド25によって生成され、磁気ベースの位置センサ29によって感知される磁場に基づいて追跡され得る。磁気系の位置感知技術の詳細は、米国特許第5,391,199号、同第5,443,489号、同第5,558,091号、同第6,172,499号、同第6,239,724号、同第6,332,089号、同第6,484,118号、同第6,618,612号、同第6,690,963号、同第6,788,967号、同第6,892,091号に記載されており、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれ、米国優先権出願第63/477,800号の付録に添付されている。
【0034】
システム10は、場所パッド25の場所基準及び電極26のインピーダンスベースの追跡を確立するために、患者23上の皮膚接触のために位置決めされた1つ又は2つ以上の電極パッチ38を含む。インピーダンスベースの追跡のために、電流が電極26に向かって方向付けられ、電極皮膚パッチ38において感知され、それにより、各電極の場所を、電極パッチ38を介して三角測量することができる。インピーダンスベースの場所追跡技術の詳細は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,536,218号、同第7,756,576号、同第7,848,787号、同第7,869,865号、及び同第8,456,182号に記載されており、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれ、米国優先権出願第63/477,800号の付録に添付されている。
【0035】
レコーダ11は、体表面ECG電極18で捕捉された電位図21と、カテーテル14の電極26で捕捉された心内電位図(IEGM)とを表示する。レコーダ11は、心臓の律動をペーシングするためのペーシング能力を含み得、及び/又は独立型ペーサに電気的に接続され得る。
【0036】
システム10は、アブレーションするように構成されたカテーテルの遠位先端部にある1つ又は2つ以上の電極にアブレーションエネルギーを伝達するように適合されたアブレーションエネルギー発生器50を含み得る。アブレーションエネルギー発生器50によって生成されるエネルギーは、不可逆的エレクトロポレーション(IRE)をもたらすために使用され得るような単極性又は双極性高電圧直流パルスを含む、高周波(RF)エネルギー又はパルスフィールドアブレーション(PFA)エネルギー、あるいはそれらの組み合わせを含み得るが、それらに限定されない。
【0037】
患者インターフェースユニット(patient interface unit、PIU)30は、カテーテルと、電気生理学的機器と、電源と、システム10の動作を制御するワークステーション55との間の電気通信を確立するように構成されたインターフェースである。システム10の電気生理学的機器は、例えば、複数のカテーテル、場所パッド25、体表面ECG電極18、電極パッチ38、アブレーションエネルギー発生器50、及びレコーダ11を含み得る。任意選択的に、かつ好ましくは、PIU30は、カテーテルの場所のリアルタイム計算を実装し、ECG計算を実行するための処理能力を更に含む。
【0038】
ワークステーション55は、メモリと、適切なオペレーティングソフトウェアがロードされたメモリ又は記憶装置を有するプロセッサユニットと、ユーザインターフェース機能と、を含む。ワークステーション55は、任意選択的に、(1)心内膜解剖学的構造を三次元(3D)でモデルリングし、モデル又は解剖学的マップ20をディスプレイデバイス27上に表示するためにレンダリングすること、(2)記録された電位図21からコンパイルされたアクティブ化シーケンス(又は他のデータ)を、レンダリングされた解剖学的マップ20上に重ね合わされた代表的な視覚的指標又は画像でディスプレイデバイス27上に表示すること、(3)心腔内の複数のカテーテルのリアルタイムの場所及び配向を表示すること、及び(4)アブレーションエネルギーが印加された場所などの関心部位をディスプレイデバイス27上に表示すること、を含む、複数の機能を提供し得る。システム10の要素を具現化する1つの市販製品は、Biosense Webster,Inc.,31 Technology Drive,Suite 200,Irvine,CA 92618,USAから市販されている、CARTO(商標)3システムとして入手可能である。
【0039】
図2Aは、挿入チューブ80の遠位端部83において挿入チューブルーメン82から前進することなどによる、非拘束時の拡張形態の実質的円筒形構造体60を含む、医療用プローブ16の斜視図を示す概略描画図である。図2Aに図示される医療用プローブ16では、図1に図示されるガイドシースが不在である。図2Bは、ガイドシースの挿入チューブ80内の圧潰形態の実質的円筒形構造体60を示す。医療処置中、医師24は、チューブ状シャフト84を挿入チューブ80から延出させ、円筒形構造体60を挿入チューブ80から出して拡張形態に移行させることによって、円筒形構造体60を展開することができる。複数のスパイン部材22の各スパイン部材220は、実質的円筒形構造体60の遠位端部225及び近位端部222において、長手方向軸86に沿って整列される。各スパイン部材220は、楕円形(例えば、円形)又は(平坦に見えることがある)長方形の断面を有し得、本明細書でより詳細に説明されるように、スパイン部材を形成するフレキシブル弾性材料(例えば、ニチノールとしても知られるニッケル-チタンなどの形状記憶合金)を含み得る。スパイン部材220は、約0.6mmの公称幅を有し得、0.05mmと同程度の小ささ又は1.5mmと同程度の大きさであり得る。各スパイン部材の厚さは、約0.09mmであり得、0.01mmから2mmまで変動し得る。幅及び厚さのこれらの値は、所望される剛性に応じて変化し得ることに留意されたい。
【0040】
図2Aに示されるように、実質的円筒形構造体60は、近位円形基部62(図2Aでは膜70を通して見ることができない)及び遠位円形基部65を含み、近位基部62及び遠位基部65は、実質的に平面状かつ平行である。いくつかの例では、遠位円形基部65は、実質的円筒形構造体60が遠位部分よりも大きい近位部分でテーパ状になるように、近位円形基部62よりも小さい半径を含む。代替的に、いくつかの例示的な医療用プローブ16は、遠位円形基部65において近位円形基部62よりも大きい半径を有する実質的円筒形構造体60を有し、これによって、実質的円筒形構造体60は、近位部分よりも大きい遠位部分を有するように先細になっている。示されるように、遠位円形基部65の半径は、近位円形基部62と同様である。
【0041】
図3は、医療用プローブ16の分解側面図であり、複数のスパイン部材22が整列されたときに実質的円筒形構造体60を形成するスパイン部材220を示している。加えて、医療用プローブ16は、膜70の外側表面上の外部電極26a、膜70の内部表面上の内部又は基準電極26b、及び膜70の平面状表面上のマッピング電極26cを含む、電極のアレイを有する膜70を含む。膜70はまた、膜70の外側と内部容積66との間に流体連通が存在するように、流体が内部容積66に入ることを可能にする、膜の本体に沿った開口72を有する。図2Aに図示されるように、膜70は、実質的に円筒形状に拡張する複数のスパイン22の上に嵌合する。いくつかの実施形態では、膜開口72は、図3に示されるように、膜70の全長に沿って延在することができるか、又は膜70の遠位端部及び/又は近位端部の近くに限定することができる。
【0042】
実質的円筒形構造体60は、接着剤又は成形などの好適な技法を介してチューブ状部材84に物理的に接続することができる。示されていない一実施形態では、近位リング232に沿ってアイレットを提供し、チューブ状部材84の表面上にロケータを提供して、チューブ状部材84へのスパインの組み立て及び物理的保持を補助することができる。複数のスパイン部材22は、各スパイン部材220、又は近位リング232がチューブ状シャフト84の遠位端部85内に挿入され得るように、折り畳まれ得るか、又は別様に曲げられ得る(図3に示されるように)。電極26は、例えば、真空蒸着を使用してスパイン部材220上に直接形成することができる。真空蒸着は、物理的蒸着又は化学的蒸着を含むことができるが、これらに限定されない。理解されるように、真空蒸着を使用してスパイン部材220上に直接電極を形成することによって、本開示の技術は、スパインから分離した電極を形成し、次いで、後でスパイン上に電極を組み立てることに関連する複雑さ及び誤差の多くを低減又は排除することができる。図3に示されていないが、膜70が複数のスパイン部材22の上に位置決めされ、スパイン部材22がチューブ状シャフト84内に挿入されて医療用プローブ16を形成する前に、真空蒸着(例えば、物理的蒸着)を使用して電極26を膜70上に取り付けることができることが理解されよう。先で述べられるように、スパイン部材22は、フレキシブル弾性材料(例えば、ニチノールとしても知られるニッケル-チタンなどの形状記憶合金)を含むことができ、それにより、実質的円筒形構造体60がチューブ状シャフト84から展開されるときに、各スパイン部材20が構成に曲がることができ、実質的円筒形構造体60がその拡張形態に移行することを可能にすることができる。
【0043】
図3に示されるように、複数のスパイン部材22は、円筒形構造体225の遠位端部と近位端部222との間で長手方向軸86に沿って延在する。複数のスパイン部材22は、円筒形構造体16の遠位端部225が各スパイン部材220の遠位屈曲部215を含み、かつ各スパイン部材220の近位部分216が実質的円筒形構造体60の近位端部212において近位リング232と結合するように、スパイン部材22の各直線部分211cに沿って整列する。
【0044】
図4A図4Cを参照すると、スパイン部材220は、平坦な原料材料210の連続片から作製することができる。スパイン部材220は、そのような材料から打ち抜かれ、熱処理されて、図4B及び図4Cに例が示される構成に曲げられ得る。平坦な原料材料210は、スパイン部材のための所望の形状に切断される。その後、切断された材料210は、図2A図3、及び図6に示される実質的に円筒形の構成を形成するように互いに整列された複数のスパイン部材22を提供するために、当業者によって知られているように形状固定(又は熱硬化)され得る。
【0045】
図4B及び図4Cにより明確に示されるように、複数のスパイン部材22の各スパイン部材220は、長手方向軸86に沿って第1の端部212から第1の屈曲部213まで延在する第1のセクション211aと、第1のセクション211aから長手方向軸に対して曲線状に延在する第2のセクション211bと、長手方向軸に沿って第2の屈曲部215から第2の端部218まで延在する第3のセクション211cであって、第3のセクション211cの近位部分216が、第1のセクション211aに略平行である、第3のセクション211cと、を含む。第2のセクション211bの一部分に沿って、スパイン部材220は、分岐点217を含み、これによって、第2のセクション211bの一部分は、分岐点217と第1の端部212との間に延在する連続脚部217cと、分岐点217と第2のセクション211bの長さに沿ったある終端点219との間に延在する不連続脚部217dと、を有する。示されていないが、不連続脚部217dは、不連続脚部217dが第1の端部212と実質的に等しい点で終端するように、分岐点217から第2のセクション211bの長さに沿って、任意選択的に第1のセクション211aの長さに沿って延在し得る。第2のセクション211bはまた、分岐点217と第2の屈曲部215との間に延在する、遠位部分214を含む。いくつかの例では、図4Bに示されるように、分岐点217は、遠位部分214が短くなるように、第2の屈曲部の近くに位置決めされる一方で、図4Cの分岐点217は、遠位部分214がより長くなるように、第1の屈曲部213のより近位に位置決めされる。
【0046】
図5A及び図5Bは、直線部分211cに沿って整列され、かつ変動する分岐点217a、217bを有する、2つの隣接するスパイン部材220a、220bの側面図(図5A)及び上面図(図5B)を示す概略描画図である。いくつかの実施形態では、ここに示されるように、遠位部分214bは、隣接するスパイン部材220a、220bの不連続脚部217dの終端点219に衝突しない。遠位部分214は、実質的円筒形構造体60の実質的に平面状の部分を形成するので、少なくとも2つの遠位円形基部65a、65bを形成することができる。図5Bに図示されるように、変動する分岐点217a、217bを有することは、遠位部分214a、214bの長さを変化させる。いくつかの例では、図5Aに示されるように、遠位部分214aの長さを変化させることは、
図6は、第1の遠位円形基部65a及び第2の遠位円形基部65bを形成する変動する分岐点217a、217bを有する複数のフラクタルスパイン部材22を有する、拡張形態の実質的円筒形構造体60の斜視図を示す概略描画図である。拡張形態では、第1及び第2の遠位円形基部65a、65bと近位円形基部62との間のスパイン部材22の各々の中間部分221は、円筒形構造体60のときに最も外側の部分を形成する。いくつかの例示的な医療用プローブ16では、中間部分221は、約10mm~約20mmの範囲の長さを有する。好ましくは、近位端部222と遠位端部225との間の円筒形構造体60の長さLは、約15mmである。
【0047】
図7Aは、複数のフラクタルスパイン部材22から形成された実質的円筒形構造体60の斜視図を示す概略描画図であり、フラクタルスパイン部材22の設計例が図7Bに図示されている。図示されるように、各スパイン部材220は、第1の端部212と第2の端部218とを含む。図4B及び図4Cのスパイン部材220の設計とは異なり、実質的円筒形構造体60は、構造の内部容積66内のスパイン部材220のいかなる部分も欠いている。複数のスパイン部材22は、第2の屈曲部の代わりに、スパイン部材220の各それぞれの第2の端部218で結合する。各スパイン部材220は、実質的円筒形構造体60の長手方向軸86に沿って、少なくとも1つの分岐点217及び収束点227を含む。図7Bのスパイン部材220は、2つの分岐点217、217’及び2つの収束点227、227’を提供し、一方の分岐点217は、第2の分岐点217’よりも近位にある。理解されるように、フラクタルスパイン部材の長さに沿って延在する2つ又は3つ以上の分岐点を有することは、電極の配置のための追加の表面積並びに実質的円筒形構造体に対する強化された構造を提供し、処置中の医療用プローブの構造的支持の複雑化を低減又は排除することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、電気トレース96は、図2A及び図8Cに示されるように、膜内に埋め込まれ、膜70の外部表面に結合される1つ又は2つ以上の電極26aを接続する。図3では、膜70は、外部表面26a上の電極と、内部表面26b上の電極と、円筒形構造体60の遠位平面状表面上のマッピング電極26cと、を含む。マッピング電極26cは、従来のコイル状ワイヤセンサ、フラットPCBベースのセンサ、又は変形可能な電磁ループセンサとすることができる。描写されていないが、マッピング電極26cは、代替的に、実質的円筒形構造体60上に位置決めされ得るか、又は複数のスパイン22の個々のスパインセクタ210内に設計され得る。いくつかの実施形態では、複数のスパイン22の個々のスパインセクタ210は、絶縁され、位置センサとして機能することができる。
【0049】
電極は、電極が電極26の積層対を画定するように、膜70の外部表面上及び膜70の内部表面上に配置されている。膜内部表面上に配置された電極26は、基準電極として機能することができる。基準電極は、医療用プローブ16の内部容積66内の流体からの電気信号を測定して、ノイズを低減し、マッピングの精度を向上させることなどができる。基準電極は、組織に接触している電極に直接隣接する流体及び/又は血液からの電気信号を測定するように構成することができる。したがって、基準電極は、接触組織から絶縁され、結果として収集される信号は、非局所遠距離場信号である。この基準電極からの情報を使用して、隣接する組織接触電極からの遠距離場信号を相殺して、組織接触電極が局所情報のみを収集することを確実にすることができる。
【0050】
本明細書に記載の実施形態では、円筒形構造体60の膜70上に位置決めされた1つ又は2つ以上の電極26は、心臓26内の組織にアブレーションエネルギー(RF及び/又はIRE)を送達するように構成され得る。複数のスパイン部材22は、電極26からそれぞれのスパイン部材220へのアーク放電を防止するために、電極26から電気的に絶縁され得る。追加的に、電極をまた使用して、医療用プローブ16の場所を決定すること、及び/又は心臓26内の組織上のそれぞれの場所における局所表面電位など生理学的特性を測定することができる。電極26は、1つ又は2つ以上の電極26aのより多くの部分が実質的円筒形構造体60から外向きに面するように付勢され得、その結果、1つ又は2つ以上の電極26aは、内向きよりも実質的円筒形構造体60から離れる方向に外向きに(すなわち、心臓12組織に向かって)、より多くの量の電気エネルギーを送達する。
【0051】
電極26を形成するのに理想的に適した材料の例としては、金、白金、及びパラジウム(及びそれらのそれぞれの合金)が挙げられる。これらの材料はまた、高い熱伝導率を有し、これにより、組織上で生成された(すなわち、組織に送達されたアブレーションエネルギーによる)最小限の熱が、電極を通って電極の裏側(すなわち、スパインの内側にある電極の部分)に、次いで、心臓12内の血液プールに伝導されることが可能になる。
【0052】
上に説明したとおり、PIU30及びワークステーション55は、医療用プローブ16に灌注流体を送達する灌注のための制御部を含む。描写されていないが、複数の灌注開口部が、実質的円筒形構造体60の内部容積66内に位置決めされ、所与の電極26又は心臓12内の組織のいずれかに灌注流体を噴霧又は別様に分散させるように角度を付けられ得る。電極26は、灌注流体を送達する灌注開口部を含まないので、上記の構成により、熱を組織から複数のスパイン22の内側にある電極の部分に(すなわち、アブレーション処置中に)伝達することが可能になり、また、灌注開口部を介して、スパイン22の内側にある電極26の部分に灌注流体を向けることによって、電極26を冷却することができる。
【0053】
図8A及び図8Bは、電極26a、26b、26cのアレイ、膜70A、70Bの表面に沿った開口72、近位取付点72、及び遠位取付点75を有する、様々な例示的膜70A、70Bの斜視図を示す概略描画図である。図8Aは、外部表面上の電極26aと、実質的円筒形構造体60の実質的平面状表面上に位置決めされるように構成されているマッピング電極26cと、を含むことができる例示的な膜70Aの外側表面を示す。図8Bは、実質的円筒形構造体60の内部容積66に面するように構成されている電極26bを有する例示的な膜70Bの内部表面を示す。図8Aの膜70Aは、複数の近位取付点72a及び遠位取付点75aを図示するが、図8Bの膜70Bは、一体化された近位取付点72b及び一体化された遠位取付点75bを有する。示されていないが、膜70は、近位取付点72が中心であり、かつ材料が長手方向軸86に沿って近位に延在する、平面状材料から設計することができる。
【0054】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、膜70A、70Bは、それぞれ膜70A、70Bの外部表面及び/又は内部表面に沿って分布された、電極26a、26bのアレイを含む。図8Aに示されるように、電極26cは、近位取付点に沿って延在して、図3を参照して上に説明されるように、心臓組織12をマッピングするために有用であり得る、医療用プローブ16の遠位先端部28における電極の実質的に平面状のアレイを形成する。図8Cは、図8Bの膜70上の電極26及び電気トレース96の拡大図を示す概略描画図である。
【0055】
膜70A、70Bは、ポリアミド-ポリエーテル(Pebax)コポリマー、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、ウレタン、ポリイミド、パリレン、シリコーン、及びこれらの組み合わせなど生体適合性の電気絶縁材料から作製され得る。いくつかの例では、絶縁材料は、ポリエチルベンゼン、ポリジメチルシロキサン、ポリグリコール酸、ポリ-L-乳酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート、ポリジオキサノン、ポリアミド、ポリイミド、エチレン酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ無水物、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリブチロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリジメチルシロキサン、シリコーン、エポキシ、フルオロポリマー、ポリテトラフルオロエチレンを含むがこれらに限定されない生体適合性ポリマーを含むことができ、特定のポリマーの比は、炎症反応の程度を制御するように選択される。絶縁ジャケット880A、880Bはまた、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化亜鉛などの1つ又は2つ以上の添加剤又は充填剤を含み得る。膜70A、70Bは、電極26から膜70A、70Bを通過する、複数のスパイン22、電気トレース96、及びワイヤを絶縁するのに役立ち、これにより、電極26から複数のスパイン部材22へのアーク放電、及び/又は膜70A、70Bを通過するワイヤの機械的摩耗を防止することができる。
【0056】
図9は、本発明の一実施形態による、医療用プローブ16を製造する方法900を示すフローチャートである。方法900は、平坦な原料210の連続片から複数のスパイン部材22を打ち抜くこと(工程902)を含むことができる。方法900は、各スパイン部材210が、整列されたときに実質的円筒形構造体60を形成する構成を形成するように、複数のスパイン部材22を熱処理することを更に含むことができる。各スパイン部材210は、長手方向軸86に沿って第1の端部212から第1の屈曲部213まで延在する、第1のセクション211aと、第1のセクション211aから長手方向軸86に対して曲線状に延在する第2のセクション211bと、長手方向軸86に沿って第2の屈曲部215から第2の端部218まで延在する第3のセクション211cであって、第3のセクション211cの近位部分216が、第1のセクション211aに略平行である、第3のセクション211cと、を含むことができる(工程904)。方法900は、分岐点217において第2のセクション211bの一部分に沿ってスパイン部材220を分割して、第1のセクション211aと分岐点217との間に延在する連続脚部217cと、分岐点217から第2のセクション211bに向かって延在し、かつ分岐点217と第1の端部212との間の終端点219で終端する、不連続脚部217dと、を形成する工程を任意選択的に含み得る。方法900は、少なくとも4つのスパイン部材210の遠位屈曲部215を整列して、実質的円筒形構造体60を画定すること(工程906)を含む。
【0057】
いくつかの例では、工程902~906は、同時工程として、又は一連の工程として起こり得る。
【0058】
図10は、本発明の一実施形態による、医療用プローブ16を製造する方法1000を示すフローチャートである。方法1000は、膜70上に1つ又は2つ以上の電気トレース96を製作すること(工程1002)を含むことができる。電気トレース96を製作することは、膜70上の1つ又は2つ以上の電気トレース96内に1つ又は2つ以上の電極26を整列する(工程1004)前に、又はそれと同時に完了することができる。膜70は、外部電極26a、内部又は基準電極26b、及び平面状表面上のマッピング電極26cを含む、電極のアレイを含むことができる。電極は、電極26が膜70に沿って、又は線形アレイ内で隣接する電極26からオフセットされるように位置決めされ得る。電極26を形成するのに理想的に適した材料としては、金、白金、及びパラジウム(及びそれらのそれぞれの合金)が挙げられる。方法1000は、流体が膜70の内部容積66内を流れることができるように、膜70の表面に沿って1つ又は2つ以上の開口72を追加すること(工程1006)を任意選択的に含み得る。膜は、平面状弾性材料から切断することができる。平面状弾性材料は、ニッケル-チタン(ニチノールとしても知られる)などの形状記憶合金、又はポリエチルベンゼン、ポリジメチルシロキサン、ポリグリコール酸、ポリ-L-乳酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート、ポリジオキサノン、ポリアミド、ポリイミド、エチレン酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ無水物、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリブチロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリジメチルシロキサン、シリコーン、エポキシ、フルオロポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、又はこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない生体適合性ポリマーを含むことができる。いくつかの例では、方法1000は、蒸着(例えば、化学的蒸着(chemical vapor deposition、CVD、物理的蒸着(physical vapor deposition、PVD)、又は原子層蒸着(atomic layer deposition、ALD))によって膜を現像させることができる。蒸着の場合、ニチノールの層を蒸着させ、続いて薄い絶縁層を蒸着させ、次いで、導電性トレース及び電極層を蒸着させることができる。いくつかの例では、方法1000は、リソグラフィ法、スパッタリング法(例えば、スピンコーティング、直接描画スパッタリング、又はスパッタコーティング)、印刷(例えば、3D印刷)、電着、又はフォトリソグラフィによって膜を現像することができる。
【0059】
方法1000は、方法900を参照してより詳細に説明されるように、実質的円筒形構造体60を形成するように成形された複数の別個のスパイン部材220の上に膜70を位置決めすること(工程1008)を更に含む。膜70は、本明細書に説明されるように、複数のスパイン部材22の上で締結され得る。本開示の利益を含む当業者によって理解されるように、膜70を締結することは、近位取付点72を複数のスパイン部材22の近位リング232又はチューブ状シャフト84に取り付けることを含むことができる。方法1000は、複数のスパイン部材22を、長手方向軸86から半径方向外向きに延在するように構成して、実質的円筒形構造体60を画定すること(工程1010)を含むことができる。上に説明したとおり、複数のスパイン部材22は、スパイン部材220の少なくとも一部分に沿って少なくとも分岐点217を含む。
【0060】
いくつかの例では、工程1002~1010は、同時工程として、又は一連の工程として起こり得る。いくつかの例では、方法900及び工程902~906は、方法1000及び工程1002~1010の直前に行われ得る。
【0061】
方法1000はまた、各スパイン部材220又は近位リング232を、実質的円筒形構造体60が医療用プローブ16の遠位端部に位置決めされ、各スパイン部材220がチューブ状構成から弓状構成まで移動可能であるように、血管系を横断するようにサイズ決めされたチューブ状シャフト84のルーメン内に挿入することを含み得る。
【0062】
当業者によって理解されるように、方法1000は、本明細書に記載の開示技術の様々な特徴のいずれかを含み得、特定の構成に応じて様々であり得る。したがって、方法1000は、本明細書で明示的に記載した特定の工程及び工程の順序に限定されるものとして解釈されるべきではない。IRE又はPFAについては、医療用プローブの例示的な実施形態が好ましいが、医療用プローブを、RFアブレーション(外部接地電極を有する単極モード又は双極モード)のためだけに別個に使用すること、又はIREアブレーション及びRFアブレーションを組み合わせて順次使用すること(IREモードの特定の電極及びRFモードの他の電極)、又は同時に使用すること(IREモードの電極及びRFモードの他の電極のグループ)も本発明の範囲内であることに留意されたい。
【0063】
本明細書に記載の本開示の技術は、以下の条項に従って更に理解することができる。
条項1:医療用プローブにおいて使用するためのスパイン部材であって、長手方向軸に沿って第1の端部から第1の屈曲部まで延在する、第1のセクションと、第1のセクションから長手方向軸に対して曲線状に延在し、かつ分岐点を含む、第2のセクションと、第3のセクションであって、第3のセクションの近位部分が、第1のセクションに略平行であるように、長手方向軸に沿って第2の屈曲部から第2の端部まで延在する、第3のセクションと、を備える、スパイン部材。
【0064】
条項2:スパイン部材が、平坦な原料の連続片から打ち抜かれ、その構成に熱処理される、条項1に記載のスパイン部材。
【0065】
条項3:第2のセクションが、第1のセクションと分岐点との間に延在する連続脚部と、第1のセクションに向かって延在し、かつ分岐点と第1の端部との間の終端点で終端する、不連続脚部と、を備える、条項1に記載のスパイン部材。
【0066】
条項4:第2のセクションが、分岐点と第2の屈曲部との間に延在する遠位部分を備える、条項1に記載のスパイン部材。
【0067】
条項5:実質的円筒形構造体を形成するために、4つ又は5つ以上のスパイン部材と、それらのそれぞれの構成において整列するように構成されている、条項1に記載のスパイン部材。
【0068】
条項6:4つ又は5つ以上のスパイン部材の第3のセクションは、各スパイン部材の第2の屈曲部が実質的円筒形構造体の遠位先端部を形成するように整列する、条項5に記載のスパイン部材。
【0069】
条項7:実質的円筒形構造体を画定するように長手方向軸の周りに配置された複数のスパイン部材を備える医療用プローブであって、複数のスパイン部材の各々が、長手方向軸に沿って第1の端部から第1の屈曲部まで延在する、第1のセクションと、第1のセクションから長手方向軸に対して曲線状に延在し、かつ分岐点を含む、第2のセクションと、第3のセクションであって、第3のセクションの近位部分が、第1のセクションに略平行であるように、長手方向軸に沿って第2の屈曲部から第2の端部まで延在する、第3のセクションと、複数のスパイン部材の各々に結合された複数の電極と、を備える、医療用プローブ。
【0070】
条項8:内部容積を画定するように複数のスパイン部材を取り囲む膜を更に備え、膜が、内部容積から周囲環境への流体連通を可能にする複数の開口と、膜の外側表面上に配置された複数の外部電極と、膜の内部表面上に配置された複数の内部電極と、を更に備える、条項7に記載の医療用プローブ。
【0071】
条項9:実質的円筒形構造体が、展開チューブ状構成から拡張構成に移動するように構成されている、条項7又は8に記載の医療用プローブ。
【0072】
条項10:実質的円筒形構造体が、実質的に平面状の遠位部分円形基部を備える、条項7~9のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0073】
条項11:実質的円筒形構造体が、実質的に平面状の近位部分円形基部を備える、条項7~10のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0074】
条項12:各スパイン部材の第2のセクションが、拡張構成において実質的円筒形構造体の最外部分を画定する中間部分を形成し、実質的円筒形構造体が、約10mm~約20mmの範囲の長さを備える中間部分を備える、条項9~11のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0075】
条項13:実質的円筒形構造体が、少なくとも4つの別個のスパイン部材を備える、条項7~11のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0076】
条項14:実質的円筒形構造体が、8つの別個のスパイン部材を備える、条項13に記載の医療用プローブ。
【0077】
条項15:遠位円形基部が、近位円形基部よりも小さい半径を備える、条項11~14のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0078】
条項16:遠位円形基部が、近位円形基部よりも大きい半径を備える、条項11~14のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0079】
条項17:遠位円形基部が、近位円形基部にほぼ等しい半径を備える、条項11~14のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0080】
条項18:遠位円形基部が、近位円形基部にほぼ平行に配向される、条項11~14のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0081】
条項19:各それぞれの別個のスパイン部材の第1の端部が、円筒形構造体の近位端部において近位リングに収束する、条項7~18のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0082】
条項20:円筒形構造体が、複数の別個のスパイン部材のうちの1つ又は2つ以上の上に1つ又は2つ以上の電磁位置特定コイルを更に備える、条項1~16のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0083】
条項21:医療用プローブであって、
複数の別個のスパイン部材を備える実質的円筒形構造体であって、複数の別個のスパイン部材が、遠位屈曲部と、中間部分と、第1のスパイン端部と、を備える、実質的円筒形構造体を備え、複数のスパイン部材が、各それぞれの遠位屈曲部においては、実質的円筒形構造体の遠位端部に、及び各それぞれの第1のスパイン端部においては、実質的円筒形構造体の近位端部に、一緒に配設されており、かつ各それぞれの中間部分が、長手方向軸から軸方向に湾曲して、実質的円筒形構造体の外側表面を形成する、医療用プローブ。
【0084】
条項22:別個のスパイン部材が、それぞれのスパインセクタの遠位屈曲部と第2のスパイン端部との間に直線部分を更に備え、直線部分が、実質的円筒形構造体内に位置決めされている、条項21に記載の医療用プローブ。
【0085】
条項23:各スパインセクタの第1のスパイン端部が、実質的円筒形構造体が拡張構成にあるときに、スパインセクタの第2のスパイン端部と接触する、条項22に記載の医療用プローブ。
【0086】
条項24:複数の別個のスパイン部材から形成された実質的円筒形構造体が、それぞれのスパインセクタの各直線部分を、隣接するスパインセクタの直線部分に近接して整列させる、条項22又は23に記載の医療用プローブ。
【0087】
条項25:別個のスパイン部材が、第1のスパイン端部と第2のスパイン端部との間に分岐部分を更に備える、条項21に記載の医療用プローブ。
【0088】
条項26:実質的円筒形構造体が、展開チューブ状構成から拡張構成に移動するように構成されている、第21項~第25項のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0089】
条項27:実質的円筒形構造体が、実質的に平面状の遠位部分円形基部を備える、条項21~26のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0090】
条項28:実質的円筒形構造体が、実質的に平面状の近位部分円形基部を備える、条項21~27のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0091】
条項29:実質的円筒形構造体が、約10mm~約20mmの範囲の長さを備える中間部分を備える、条項21~28のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0092】
条項30:実質的円筒形構造体が、少なくとも4つの別個のスパイン部材を備える、条項21~29のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0093】
条項31:実質的円筒形構造体が、8つの別個のスパイン部材を備える、条項30に記載の医療用プローブ。
【0094】
条項32:遠位円形基部が、近位円形基部よりも小さい半径を備える、条項28~31のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0095】
条項33:遠位円形基部が、近位円形基部よりも大きい半径を備える、条項28~31のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0096】
条項34:遠位円形基部が、近位円形基部にほぼ等しい半径を備える、条項28~31のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0097】
条項35:遠位円形基部が、近位円形基部にほぼ平行に配向される、条項28~34のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0098】
条項36:各それぞれの別個のスパイン部材の第1の端部が、実質的円筒形構造体の近位端部において近位リングに収束する、条項21~35のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0099】
条項37:実質的円筒形構造体が、複数の別個のスパイン部材のうちの1つ又は2つ以上の上に1つ又は2つ以上の電磁位置特定コイルを更に備える、条項21~36のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0100】
条項38:実質的円筒形構造体が、複数のスパイン部材の上に位置決めされた膜を更に備え、膜が、膜の外部表面に結合された1つ又は2つ以上の電極を備える、条項37に記載の医療用プローブ。
【0101】
条項39:膜が、内部容積から周囲環境への流体連通を可能にする1つ又は2つ以上の開口を備える、条項38に記載の医療用プローブ。
【0102】
条項40:膜が、1つ又は2つ以上の開口の間の膜の表面上に配置された1つ又は2つ以上の導電性トレースを更に備え、各電気トレースが、複数の電極のうちのそれぞれの電極に接続されている、条項39に記載の医療用プローブ。
【0103】
条項41:膜が、平面状材料から形成されている、条項38~40のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0104】
条項42:1つ又は2つ以上の電極は、1つ又は2つ以上の電極が実質的円筒形構造体の中間部分の少なくとも一部分と整列するように、膜上に位置決めされる、条項38~41のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0105】
条項43:膜が、膜の内部表面に結合された1つ又は2つ以上の基準電極を更に備える、条項38~42のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0106】
条項44:1つ又は2つ以上の電極が、不可逆的エレクトロポレーションのために電気パルスを送達するように構成されており、パルスは、少なくとも900ボルトのピーク電圧を有する、条項38~43のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0107】
条項45:チューブ状シャフトの遠位端部に近接して配置された灌注開口部を更に備え、灌注開口部が、灌注流体を1つ又は2つ以上の電極に送達するように構成されている、条項21~44のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0108】
条項46:複数のスパイン部材が、ニチノールを含む、条項21~45のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0109】
条項47:複数のスパイン部材が、金属ストランドを含む、条項21~45のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0110】
条項48:部材が、ニチノールを含む、条項38~47のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0111】
条項49:膜が、不活性な生体適合性ポリマーを含む、条項38~47のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0112】
条項50:不活性生体適合性ポリマーが、ポリエチルベンゼン、ポリジメチルシロキサン、ポリグリコール酸、ポリ-L-乳酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート、ポリジオキサノン、ポリアミド、ポリイミド、エチレン酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ無水物、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリブチロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリジメチルシロキサン、シリコーン、エポキシ、フルオロポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される、条項49に記載の医療用プローブ。
【0113】
条項51:医療用プローブを構築する方法であって、
平坦な原料の連続片から複数のスパイン部材を打ち抜くことと、複数のスパイン部材を熱処理することであって、これによって、各スパイン部材が、
長手方向軸に沿って第1の端部から第1の屈曲部まで延在する、第1のセクションと、第1のセクションから長手方向軸に対して曲線状に延在する、第2のセクションと、長手方向軸に沿って第2の屈曲部から第2の端部まで延在する第3のセクションであって、第3のセクションの近位部分が、第1のセクションに略平行である、第3のセクションと、を備える、構成を形成する、熱処理することと、少なくとも4つのスパイン部材の遠位屈曲部を整列させて、実質的に円筒形円筒形構造体を画定することと、を含む、方法。
【0114】
条項52:
分岐点において第2のセクションの一部分に沿ってスパイン部材を分割して、第1のセクションと分岐点との間に延在する連続脚部と、第2のセクションに向かって延在し、かつ分岐点と第1の端部との間の終端点で終端する、不連続脚部と、を形成することを更に含む、条項51に記載の方法。
【0115】
条項53:第1のスパイン部材が第1の位置において第1の分岐点を含み、かつ第2のスパイン部材が第2の位置において第2の分岐点を含むように、第2のセクションの遠位部分に沿った様々な点でスパイン部材を分割する、条項52に記載の方法。
【0116】
条項54:第1のスパイン部材を第2のスパイン部材に隣接して整列することを更に含む、条項53に記載の方法。
【0117】
条項55:複数の電極を複数のスパイン部材の各々に結合することを更に含む、条項51~54のいずれか一項に記載の方法。
【0118】
条項56:実質的円筒形構造体の上に膜を位置決めすることを更に含み、膜が、膜の表面上に1つ又は2つ以上の電気トレースを備える、条項51~55のいずれか一項に記載の方法。
【0119】
条項57:医療用プローブを構築する方法であって、膜上に1つ又は2つ以上の電気トレースを製作することと、1つ又は2つ以上の電気トレース内に1つ又は2つ以上の電極を整列させることと、実質的円筒形構造体を形成するように成形された複数の別個のスパイン部材の上に膜を位置決めすることと、を含む、方法。
【0120】
条項58:連続的な一片の平坦な原料から、別個のスパイン部材を打ち抜くことを更に含む、条項57に記載の方法。
【0121】
条項59:第1の幅を備える遠位直線部分、及び第2の幅を備える近位直線部分を切断することと、近位直線部分の少なくとも一部分を、連続脚部及び不連続脚部に切断することであって、不連続脚部がそれぞれのスパイン部材の分岐部分を形成する、切断することと、を更に含む、条項58に記載の方法。
【0122】
条項60:
膜の表面上に1つ又は2つ以上の開口を追加することを更に備える、条項57~59のいずれか一項に記載の方法。
【0123】
条項61:実質的円筒形構造体の上に膜を締結することを更に含む、条項57~60のいずれか一項に記載の方法。
【0124】
条項62:1つ又は2つ以上の電気トレースを、医療用プローブのチューブ状シャフトを通って延びるワイヤに接続することを更に含む、条項57~61のいずれか一項に記載の方法。
【0125】
条項63:物理的蒸着法により膜を印刷することを更に含む、条項57~61のいずれか一項に記載の方法。
【0126】
条項64:ニチノールを含む平面状シートから膜を切断することを更に含む、条項57~63のいずれか一項に記載の方法。
【0127】
条項65:実質的円筒形構造体の複数のスパイン部材上に1つ又は2つ以上の電磁位置特定コイルを位置決めすることを更に含む、条項57~64のいずれか一項に記載の方法。
【0128】
条項66:条項57~65のいずれか一項に記載の方法であって、複数のスパイン部材が、直線部分を更に備え、方法が、
各それぞれのスパイン部材の直線部分を実質的円筒形構造体の中心に配設することを含む、方法。
【0129】
条項67:1つ又は2つ以上の電極が実質的円筒形構造体の中間部分の少なくとも一部分と整列するように、膜を複数のスパイン部材の上に位置決めすることを更に含む、条項66に記載の方法。
【0130】
上で説明される実施形態は、例として引用したものであり、本発明は、本明細書にこれまで具体的に図示及び説明されるものに限られるものではない。むしろ、本発明の範囲は、上記に記載及び図示される様々な特徴の組み合わせ及び副次的組み合わせの両方、並びに前述の説明を読むと当業者に想起されるであろう、先行技術で開示されていないそれらの変形例及び修正を含む。
【0131】
〔実施の態様〕
(1) 医療用プローブにおいて使用するためのスパイン部材であって、前記スパイン部材が、
長手方向軸に沿って第1の端部から第1の屈曲部まで延在する、第1のセクションと、
前記第1のセクションから前記長手方向軸に対して曲線状に延在し、かつ分岐点を含む、第2のセクションと、
第3のセクションであって、前記第3のセクションの近位部分が、前記第1のセクションに略平行であるように、前記長手方向軸に沿って第2の屈曲部から第2の端部まで延在する、第3のセクションと、を備える、スパイン部材。
(2) 前記第2のセクションが、
前記第1のセクションと前記分岐点との間に延在する連続脚部と、
前記第1のセクションに向かって延在し、かつ前記分岐点と前記第1の端部との間の終端点で終端する、不連続脚部と、を備える、実施態様1に記載のスパイン部材。
(3) 前記第2のセクションが、
前記分岐点と前記第2の屈曲部との間に延在する遠位部分を備える、実施態様1に記載のスパイン部材。
(4) 実質的円筒形構造体を形成するために、4つ又は5つ以上のスパイン部材と、それらのそれぞれの構成において整列するように構成されている、実施態様1に記載のスパイン部材。
(5) 前記4つ又は5つ以上のスパイン部材の前記第3のセクションは、各スパイン部材の前記第2の屈曲部が前記実質的円筒形構造体の遠位先端部を形成するように整列する、実施態様4に記載のスパイン部材。
【0132】
(6) 医療用プローブであって、
複数の別個のスパイン部材を備える実質的円筒形構造体であって、前記複数の別個のスパイン部材が、
遠位屈曲部と、
中間部分と、
第1のスパイン端部と、を備える、実質的円筒形構造体を備え、
前記複数の別個のスパイン部材が、各それぞれの遠位屈曲部においては、前記実質的円筒形構造体の遠位端部に、及び各それぞれの第1のスパイン端部においては、前記実質的円筒形構造体の近位端部に、一緒に配設されており、
各それぞれの中間部分が、長手方向軸から軸方向に湾曲して、前記実質的円筒形構造体の外側表面を形成する、医療用プローブ。
(7) 前記別個のスパイン部材が、前記それぞれの別個のスパイン部材の前記遠位屈曲部と第2のスパイン端部との間に直線部分を更に備え、前記直線部分が、前記実質的円筒形構造体内に位置決めされている、実施態様6に記載の医療用プローブ。
(8) 各スパイン部材の前記第1のスパイン端部が、前記実質的円筒形構造体が拡張構成にあるときに、前記スパイン部材の前記第2のスパイン端部と接触する、実施態様7に記載の医療用プローブ。
(9) 前記複数の別個のスパイン部材から形成された前記実質的円筒形構造体が、それぞれのスパイン部材の各直線部分を、隣接するスパイン部材の前記直線部分に近接して整列させる、実施態様7に記載の医療用プローブ。
(10) 前記別個のスパイン部材が、前記第1のスパイン端部と前記第2のスパイン端部との間に分岐部分を更に備える、実施態様7に記載の医療用プローブ。
【0133】
(11) 各それぞれの別個のスパイン部材の前記第1のスパイン端部が、前記実質的円筒形構造体の前記近位端部において近位リングに収束する、実施態様6に記載の医療用プローブ。
(12) 前記実質的円筒形構造体が、前記複数の別個のスパイン部材のうちの1つ又は2つ以上の上に1つ又は2つ以上の電磁位置特定コイルを更に備える、実施態様6に記載の医療用プローブ。
(13) 前記実質的円筒形構造体が、前記複数の別個のスパイン部材の上に位置決めされた膜を更に備え、前記膜が、前記膜の外部表面に結合された1つ又は2つ以上の電極を備える、実施態様12に記載の医療用プローブ。
(14) 前記膜が、内部容積から周囲環境への流体連通を可能にする1つ又は2つ以上の開口を備える、実施態様13に記載の医療用プローブ。
(15) 前記膜が、前記1つ又は2つ以上の開口の間の前記膜の表面上に配置された1つ又は2つ以上の導電性トレースを更に備え、各電気トレースが、前記1つ又は2つ以上の電極のうちのそれぞれの電極に接続されている、実施態様14に記載の医療用プローブ。
【0134】
(16) 前記膜が、前記膜の内部表面に結合された1つ又は2つ以上の基準電極を更に備える、実施態様13に記載の医療用プローブ。
(17) 医療用プローブを構築する方法であって、
平坦な原料の連続片から複数のスパイン部材を打ち抜くことと、
前記複数のスパイン部材を熱処理することであって、これによって、各スパイン部材が、
長手方向軸に沿って第1の端部から第1の屈曲部まで延在する、第1のセクションと、
前記第1のセクションから前記長手方向軸に対して曲線状に延在する、第2のセクションと、
前記長手方向軸に沿って第2の屈曲部から第2の端部まで延在する第3のセクションであって、前記第3のセクションの近位部分が、前記第1のセクションに略平行である、第3のセクションと、を備える、構成を形成する、熱処理することと、
前記複数のスパイン部材の前記第1の屈曲部を整列させて、実質的円筒形構造体を画定することと、を含む、方法。
(18) 分岐点において前記第2のセクションの一部分に沿って前記スパイン部材を分割して、前記第1のセクションと前記分岐点との間に延在する連続脚部と、前記第2のセクションに向かって延在し、かつ前記分岐点と前記第1の端部との間の終端点で終端する、不連続脚部と、を形成することを更に含む、実施態様17に記載の方法。
(19) 第1のスパイン部材が第1の位置において第1の分岐点を含み、かつ第2のスパイン部材が第2の位置において第2の分岐点を含むように、前記第2のセクションの遠位部分に沿った様々な点で前記スパイン部材を分割する、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記実質的円筒形構造体の上に膜を位置決めすることを更に含み、前記膜が、前記膜の表面上に1つ又は2つ以上の電気トレースを備える、実施態様17に記載の方法。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9
図10
【外国語明細書】