(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096104
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】AC波形を用いたワイヤ操作
(51)【国際特許分類】
B23K 9/073 20060101AFI20240704BHJP
B23K 9/12 20060101ALI20240704BHJP
B23K 9/095 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
B23K9/073 545
B23K9/12 301Q
B23K9/095 505Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023223028
(22)【出願日】2023-12-28
(31)【優先権主張番号】18/090,847
(32)【優先日】2022-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510202156
【氏名又は名称】リンカーン グローバル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン アール.ピーターズ
(72)【発明者】
【氏名】ユダ ビー.ヘンリー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ピー.フレミング
【テーマコード(参考)】
4E082
【Fターム(参考)】
4E082AA07
4E082AB01
4E082BA02
4E082EA11
4E082EC02
4E082EC12
4E082EC16
4E082ED03
4E082EE02
4E082EF16
(57)【要約】
【課題】 AC波形を用いたワイヤ操作を提供する。
【解決手段】 各溶融金属液滴移送サイクル中に2回以上の極性変化を伴う交流(AC)溶接波形が生成される。消耗溶接電極速度は、機械的に制御され、及び極性は、電極速度/方向に関する既知の情報にリンクされ、液滴移送サイクルごとに少なくとも2回の極性変化が実現されることを保証する。アーク極性は、電極運動の方向の変化と並行したものである。極性は、電極の実際の速度に基づいて変化され得る。このように電極運動及び極性を制御することは、より大きい液滴が生成され、及びより低い短絡頻度でより高い堆積速度が実現されることを可能にする。より低い短絡頻度は、ワイヤ送給装置モータの加熱及び摩耗を低減させ、且つ接触先端部の寿命も延ばす。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピースに溶接を形成するために使用される溶接器具と、
消耗溶接電極と、
命令に応じて前記溶接器具を通して前記消耗溶接電極を前後に送給するように構成されたワイヤ送給装置と、
前記溶接器具において前記消耗溶接電極に印加される溶接電流波形を提供するように構成された溶接電源と、
溶接プロセスの各液滴移送サイクル中、少なくとも前記溶接電源及び前記ワイヤ送給装置を制御するように構成された少なくとも1つのコントローラと
を含む溶接システムであって、前記液滴移送サイクルは、少なくとも一部には、
前記コントローラが、前記消耗溶接電極の送給方向を、前記ワークピースに向かう方向から、前記ワークピースから離れる方向に変化させるように命令し、且つ前記送給方向が、前記ワークピースから離れる方向に機械的に変化することに応答して、電極プラスから電極マイナスに前記溶接電流波形の電気極性を変化させるように命令することと、
前記コントローラが、前記消耗溶接電極の前記送給方向を、前記ワークピースから離れる方向から、前記ワークピースに向かう方向に変化させるように命令し、且つ前記送給方向が、前記ワークピースに向かう方向に機械的に変化することに応答して、電極マイナスから電極プラスに前記溶接電流波形の前記電気極性を変化させるように命令することと
により、溶融金属液滴を形成し、且つ前記溶融金属液滴を前記消耗溶接電極の端部から前記ワークピースに移送することを含む、溶接システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのコントローラは、前記消耗溶接電極の前記送給方向が機械的に変化するとき、前記消耗溶接電極の速度又は速度変化の少なくとも1つに基づいて前記溶接電流波形の前記電気極性を変化させるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記溶接電流波形は、短絡解除セクションを含み、前記溶接電流波形は、前記短絡解除セクションの少なくとも一部中に線形に傾斜される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記溶接電流波形は、短絡後セクション及びアークセクションを含み、前記アークセクションで費やされる時間量と比較した前記短絡後セクションで費やされる時間量は、液滴サイズ調整及び熱管理を提供するためにユーザ調整可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記溶接電流波形は、アークセクションを含み、前記アークセクションは、ピーク電流段階、次いでテールアウト電流段階、次いでバックグラウンド電流段階を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記バックグラウンド電流段階は、パルス化されて、前記ワークピースの溶接池に熱を加え、且つ前記溶融金属液滴を前記溶接池に向かって押す、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのコントローラを介して、前記消耗溶接電極と前記ワークピースとの間の短絡を検出し、且つ前記消耗溶接電極と前記ワークピースとの間のアークを検出するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記消耗溶接電極は、単一の溶接ワイヤを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記消耗溶接電極は、2つの平行な溶接ワイヤを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記溶接電流波形は、短絡後セクションを含み、前記短絡後セクション中、前記溶融金属液滴は、前記2つの平行な溶接ワイヤ間のブリッジ液滴として生成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
スパッタ及び過剰な入熱を低減するために、アーク溶接プロセスにおいて液滴を移送する方法であって、
a.短絡解除ルーチンを開始して、現在の溶融金属液滴を消耗溶接電極の端部からワークピースに移送するステップであって、前記短絡解除ルーチンは、前記消耗溶接電極の送給方向を、ワークピースに向かう方向から、前記ワークピースから離れる方向に変化させることと、前記送給方向が、前記ワークピースから離れる方向に変化することに応答して、電極プラスから電極マイナスに溶接電流の電気極性を変化させることとを含む、ステップと、
b.前記移送するステップの後に、前記消耗溶接電極と前記ワークピースとの間のアークを検出するステップと、
c.短絡後ルーチンを開始するステップであって、前記短絡後ルーチンは、前記電極マイナスの電気極性中、前記消耗溶接電極の前記端部において次の溶融金属液滴を生成することと、前記消耗溶接電極の前記送給方向を、前記ワークピースから離れる方向から、前記ワークピースに向かう方向に変化させることとを含む、ステップと、
d.アークルーチンを開始するステップであって、前記アークルーチンは、前記送給方向が、前記ワークピースに向かう方向に変化することに応答して、電極マイナスから電極プラスに前記溶接電流の前記電気極性を変化させることを含む、ステップと、
e.前記ワークピースと前記次の溶融金属液滴との間の短絡を検出するステップと
を含む方法。
【請求項12】
ステップa.~e.を繰り返すステップをさらに含み、前記次の溶融金属液滴は、ステップa.での前記現在の溶融金属液滴になる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記溶接電流は、前記短絡解除ルーチンの少なくとも一部中に線形に傾斜される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記アークルーチンで費やされる時間量と比較した前記短絡後ルーチンで費やされる時間量は、液滴サイズ調整及び熱管理を提供するためにユーザ調整可能である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記アークルーチンは、ピーク電流段階、次いでテールアウト電流段階、次いでバックグラウンド電流段階を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記バックグラウンド電流段階は、パルス化されて、前記ワークピースの溶接池に熱を加え、且つ前記現在の溶融金属液滴を前記溶接池に向かって押す、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記消耗溶接電極は、単一の溶接ワイヤを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記消耗溶接電極は、2つの平行な溶接ワイヤを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記短絡後ルーチン中、前記次の溶融金属液滴は、前記2つの平行な溶接ワイヤ間のブリッジ液滴として生成される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記溶接電流の前記電気極性を変化させることは、前記消耗溶接電極の前記送給方向が変化するときの前記消耗溶接電極の速度又は速度変化の少なくとも1つに基づく、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照/参照による援用
2019年1月15日に発行された米国特許第10,179,369号明細書は、その全体が参照により本明細書に援用される。2022年9月13日に発行された米国特許第11,440,121号明細書は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明の実施形態は、溶接に関する。より詳細には、本発明の実施形態は、スパッタを低減し、且つより高い堆積速度を実現するような、送給される消耗電極を用いた交流(AC)溶接に関する。
【背景技術】
【0003】
送給される消耗電極を用いたAC溶接中の溶融金属の球状移送は、高い堆積速度を実現しようと試みるとき、過剰な入熱及びスパッタをもたらし得る。AC表面張力移送(STT)などの既存の解決策は、極性切替えサイクルごとに複数の液滴移送を必要とする。例えば、参照により本明細書に援用される(特許文献1)は、単一の短絡移送サイクル中に極性変化を伴うAC波形を記載している。しかし、実際には、高い短絡頻度及び短絡溶接の不規則性のため、短絡事象前の極性変化を保証することはできない。その結果、多くの場合、入熱がサイクルごとに変化するため、過剰なスパッタ及び不安定なアークが生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第10,179,369号明細書
【特許文献2】米国特許第11,440,121号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態では、各溶融金属液滴移送サイクル中に2回以上の極性変化を伴う交流(AC)溶接波形が生成される。消耗溶接電極速度は、機械的に制御され、及び極性は、電極速度及び位置に関する既知の情報にリンクされ、これは、液滴移送サイクルごとに少なくとも2回の極性変化が実現されることを保証する。(ワークピースへの電極の)短絡頻度は、機械的に制御され、したがって液滴移送ごとに2回のサイクルを保証することができる。アーク極性は、電極運動の方向の変化と並行したものである。極性信号は、電極の実際の速度(通常、ゼロに近い)に基づいて変化され得る。リード/ラグ時間(td)を実装して遷移タイミングを微調整することもできる(例えば、本明細書の
図2を参照されたい)。このように電極運動及び極性を制御することは、より大きい液滴が生成され、及びより低い短絡頻度でより高い堆積速度が実現されることを可能にする。より低い短絡頻度は、ワイヤ送給装置モータの加熱及び摩耗を低減させ、且つ接触先端部の寿命も延ばす。
【0006】
一実施形態では、ワークピースに溶接を形成するために使用される溶接器具と、消耗溶接電極と、命令に応じて溶接器具を通して消耗溶接電極を前後に送給するように構成されたワイヤ送給装置とを含む溶接システムが提供される。溶接システムは、溶接器具において消耗溶接電極に印加される溶接電流波形を提供するように構成された溶接電源も含む。溶接システムは、溶接プロセスの各液滴移送サイクル中、少なくとも溶接電源及びワイヤ送給装置を制御するように構成された少なくとも1つのコントローラをさらに含む。液滴移送サイクルは、溶融金属液滴を形成し、且つ溶融金属液滴を消耗溶接電極の端部からワークピースに移送することを含む。液滴移送サイクル中、コントローラは、消耗溶接電極の送給方向を、ワークピースに向かう方向から、ワークピースから離れる方向に変化させるように命令し、且つ送給方向が、ワークピースから離れる方向に機械的に変化することに応答して、電極プラスから電極マイナスに溶接電流波形の電気極性を変化させるように命令する。また、液滴移送サイクル中、コントローラは、消耗溶接電極の送給方向を、ワークピースから離れる方向から、ワークピースに向かう方向に変化させるように命令し、且つ送給方向が、ワークピースに向かう方向に機械的に変化することに応答して、電極マイナスから電極プラスに溶接電流波形の電気極性を変化させるように命令する。一実施形態では、コントローラは、消耗溶接電極の送給方向が機械的に変化するとき、消耗溶接電極の速度又は速度変化の少なくとも1つに基づいて溶接電流波形の電気極性を変化させるように構成される。一実施形態では、溶接電流波形は、短絡解除セクションを含み、溶接電流波形は、短絡解除セクションの少なくとも一部中に線形に傾斜される。一実施形態では、溶接電流波形は、短絡後セクション及びアークセクションを含み、アークセクションで費やされる時間量と比較した短絡後セクションで費やされる時間量は、液滴サイズ調整及び熱管理を提供するためにユーザ調整可能である。一実施形態では、溶接電流波形は、アークセクションを含み、アークセクションは、ピーク電流段階、次いでテールアウト電流段階、次いでバックグラウンド電流段階を含む。バックグラウンド電流段階は、パルス化されて、ワークピースの溶接池に熱を加え、且つ溶融金属液滴を溶接池に向かって押す。一実施形態では、システムは、少なくとも1つのコントローラを介して、消耗溶接電極とワークピースとの間の短絡を検出し、且つ消耗溶接電極とワークピースとの間のアークを検出するように構成される。一実施形態では、消耗溶接電極は、単一の溶接ワイヤを含む。一実施形態では、消耗溶接電極は、2つの平行な溶接ワイヤを含む。溶接電流波形は、短絡後セクションを含み、短絡後セクション中、溶融金属液滴は、2つの平行な溶接ワイヤ間のブリッジ液滴として生成される。
【0007】
一実施形態では、スパッタ及び過剰な入熱を低減するために、アーク溶接プロセスにおいて液滴を移送する方法が提供される。本方法は、短絡解除ルーチンを開始して、現在の溶融金属液滴を消耗溶接電極の端部からワークピースに移送するステップを含む。短絡解除ルーチンは、消耗溶接電極の送給方向を、ワークピースに向かう方向から、ワークピースから離れる方向に変化させることと、送給方向が、ワークピースから離れる方向に変化することに応答して、電極プラスから電極マイナスに溶接電流の電気極性を変化させることとを含む。本方法は、移送後、消耗溶接電極とワークピースとの間のアークを検出するステップと、短絡後ルーチンを開始するステップであって、短絡後ルーチンは、電極マイナスの電気極性中、消耗溶接電極の端部において次の溶融金属液滴を生成することと、消耗溶接電極の送給方向を、ワークピースから離れる方向から、ワークピースに向かう方向に変化させることとを含む、ステップとをさらに含む。本方法は、アークルーチンを開始するステップであって、アークルーチンは、送給方向が、ワークピースに向かう方向に変化することに応答して、電極マイナスから電極プラスに溶接電流の電気極性を変化させることを含む、ステップと、ワークピースと次の溶融金属液滴との間の短絡を検出するステップとをさらに含む。本方法は、溶接を完了するために、連続する液滴移送サイクルにわたって繰り返され、現在のサイクルにおける次の溶融金属液滴は、次のサイクルにおける現在の溶融金属液滴になる。一実施形態では、溶接電流は、短絡解除セクションの少なくとも一部中に線形に傾斜される。一実施形態では、アークルーチンで費やされる時間量と比較した短絡後ルーチンで費やされる時間量は、液滴サイズ調整及び熱管理を提供するためにユーザ調整可能である。一実施形態では、アークルーチンは、ピーク電流段階、次いでテールアウト電流段階、次いでバックグラウンド電流段階を含む。バックグラウンド電流段階は、パルス化されて、ワークピースの溶接池に熱を加え、且つ溶融金属液滴を溶接池に向かって押す。一実施形態では、消耗溶接電極は、単一の溶接ワイヤを含む。一実施形態では、消耗溶接電極は、2つの平行な溶接ワイヤを含む。短絡後ルーチン中、次の溶融金属液滴は、2つの平行な溶接ワイヤ間のブリッジ液滴として生成される。一実施形態では、溶接電流の電気極性を変化させることは、消耗溶接電極の送給方向が変化するときの消耗溶接電極の速度又は速度変化の少なくとも1つに基づく。
【0008】
全般的な発明概念の多くの態様は、以下の例示的実施形態の詳細な説明、特許請求の範囲及び添付図面から容易に明らかになるであろう。
【0009】
本明細書に組み込まれ、その一部を成す添付図面は、本開示の様々な実施形態を示す。図中に例示される要素境界(例えば、ボックス、ボックスのグループ又は他の形状)は、境界の一実施形態を表すことを理解されたい。いくつかの実施形態では、1つの要素が複数の要素として設計され得るか、又は複数の要素が1つの要素として設計され得る。いくつかの実施形態では、別の要素の内部構成要素として図示される要素は、外部構成要素として実装され得、その逆も同様である。さらに、要素は、正確な縮尺で描かれていない場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】スパッタ及び過剰な入熱を低減するために、アーク溶接プロセスにおいて溶融金属液滴の生成及び移送を行うように構成された溶接システムの一実施形態を示す。
【
図2】本発明の一実施形態に従い、
図1の溶接システムによって生成される溶接波形及びワイヤ送給速度(WFS)波形の様々な部分を示す。
【
図3】スパッタ及び過剰な入熱を低減するために、
図1の溶接システム及び
図2の波形を使用して、アーク溶接プロセスにおいて溶融金属液滴生成及び移送を行う方法の一実施形態のフローチャートである。
【
図4A】
図1の溶接システムで使用することができる消耗溶接電極の平行ワイヤ構成の一実施形態を示す。
【
図4B】
図3の方法を行うために
図1の溶接システムで使用されるときの、
図4Aの消耗溶接電極の平行ワイヤ構成の各段階の一例示的実施形態を示す。
【
図4C】
図3の方法を行うために
図1の溶接システムで使用されるときの、
図4Aの消耗溶接電極の平行ワイヤ構成の各段階の一例示的実施形態を示す。
【
図4D】
図3の方法を行うために
図1の溶接システムで使用されるときの、
図4Aの消耗溶接電極の平行ワイヤ構成の各段階の一例示的実施形態を示す。
【
図4E】
図3の方法を行うために
図1の溶接システムで使用されるときの、
図4Aの消耗溶接電極の平行ワイヤ構成の各段階の一例示的実施形態を示す。
【
図4F】
図3の方法を行うために
図1の溶接システムで使用されるときの、
図4Aの消耗溶接電極の平行ワイヤ構成の各段階の一例示的実施形態を示す。
【
図5】例えば、
図1の溶接システムで使用することができるコントローラの例示的実施形態のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書における例及び図は、例示的なものにすぎず、本発明を限定することを意図するものではなく、本発明は、特許請求の範囲及び趣旨によって判断される。ここで、図面を参照すると、これらの図示は、本発明の例示的実施形態を例示する目的のものにすぎず、本発明を限定することを目的とするものではない。
図1は、スパッタ及び過剰な入熱を低減するために、アーク溶接プロセスにおいて溶融金属液滴の生成及び移送を行うように構成された溶接システム100の一実施形態を示す。溶接システム100は、溶接190を形成するために使用される器具140(例えば、接触先端部を有する溶接ガン又はトーチ142を含む)に電流を提供する溶接電源120を含む。
【0012】
電源120は、コントローラを含み、コントローラは、130で示され、表示画面、LED又はユーザ若しくは別のデバイスに情報を伝達するための他の視覚、聴覚若しくは触覚デバイスなどの出力132を有する。一実施形態によれば、コントローラ130は、溶接電源120の機能の多くを制御するようにプログラムされて構成されたプロセッサベースのデバイスである。コントローラ130として使用され得るコントローラ500の一実施形態を本明細書において
図5に関して図示して述べる。
【0013】
電源120は、外部ソースから命令又は他の情報を受信する入力134も含み得る。入力は、別の機械、ペンダントコントローラ又はオンボードコントローラ(ノブ、スイッチ、キーパッドなど)への接続端子であり得る。ユーザを含む外部ソースからの入力を使用して、溶接プロセスを選択することができるか、又は溶接作業を行う際に使用される設定若しくは特定の溶接器具140に関連する設定を調整することができる。
【0014】
電源120は、器具140に設けられた電極150に電気的に接続され、電極150は、限定しないが、前進するワイヤ又はスティックなどの消耗電極を含む。電源120は、接地ケーブルクランプ157などによってワークピース180にさらに接続されて、溶接回路160を形成する。
【0015】
図1に示される例では、ワイヤ送給装置170は、トーチ142に接続され、スプール、ボックス又は他のパッケージなどのワイヤ供給源174からトーチ142を通してワークピース180に向かって電極150としてワイヤ172を送達する。ガス源(図示せず)を設け、トーチに流体接続して、溶接操作のためのガス遮蔽を提供することもできる。一実施形態では、コントローラ130は、溶接電源120とワイヤ送給装置170との両方を制御する。代替実施形態では、溶接電源120とワイヤ送給装置170とのそれぞれが独自のコントローラを有する。一実施形態では、ワイヤ送給装置170は、送給方向(前進方向又は後退方向)及びワイヤ送給速度(WFS)を迅速に変化させるように制御することができる高応答性サーボモータを含む。
【0016】
一実施形態では、交流(AC)溶接波形がシステム100によって提供され、各溶融金属液滴移送サイクル中に2回以上の極性変化が生成される。消耗溶接電極速度は、機械的に制御され、極性は、電極速度及び位置に関する既知の情報にリンクされ、これは、液滴移送サイクルごとに少なくとも2回の極性変化が実現されることを保証する。(ワークピースへの電極の)短絡頻度は、機械的に制御され、したがって液滴移送ごとに2回のサイクルを保証することができる。アーク極性は、電極運動の方向の変化と並行したものである。
【0017】
図2は、本発明の一実施形態に従い、
図1の溶接システム100によって生成される溶接波形(電圧(V)波形220部分及び電流(I)波形230部分)及びワイヤ送給速度(WFS)波形240の様々な部分を示す。波形の横軸に沿って時間が示されている。
図2の波形は、単一の液滴移送サイクルについて示されており、液滴移送サイクルは、溶接ビードを堆積するプロセス中に何度も繰り返される。
図2で見られるように、液滴移送サイクル中、溶接ワイヤの方向には、ワークピースに向かう方向(正のWFS)から、ワークピースから離れる方向(負のWFS)への及びワークピースから離れる方向(負のWFS)から、ワークピースに向かう方向(正のWFS)への2回の変化がある。液滴移送サイクル中、正極性から負極性への及び負極性から正極性への溶接波形の電圧及び電流の電気極性の2回の変化もある。
【0018】
一実施形態によれば、電気極性の変化は、WFS波形240によって示される溶接ワイヤの方向の物理的(機械的)変化によって又はそれに応答して引き起こされる。方向が変化するとき、一実施形態によれば電極の実際の速度(通常、ゼロに近い)に基づいて又は別の実施形態によれば速度の変化に基づいて、極性信号を変化させることができる。正から負への電気極性の変化は、正(ワークピースに向かう方向)から負(ワークピースから離れる方向)へのWFSの変化と相関する。負から正への電気極性の変化は、負(ワークピースから離れる方向)から正(ワークピースに向かう方向)へのWFSの変化と相関する。
図2に示されるように、リード/ラグ時間(td)250を実装して遷移タイミングを微調整することもできる。このように、ワイヤの方向の変化に基づいて電気極性を変化させることにより、より大きい液滴を生成することができ、その結果、より低い短絡頻度でより高い堆積速度が実現される。より低い短絡頻度は、ワイヤ送給装置モータの加熱及び摩耗を低減させ、且つ接触先端部の寿命も延ばす。
図2のさらに詳細な態様を本明細書で後述する。
【0019】
図3は、スパッタ及び過剰な入熱を低減するために、
図1の溶接システム100及び
図2の波形220、230、240を使用して、アーク溶接プロセスにおいて溶融金属液滴生成及び移送を行う方法300の一実施形態のフローチャートである。一実施形態では、システム100によって行われる方法300は、少なくともコントローラ130によって主に制御される。
【0020】
方法300のブロック310では、ワイヤ電極150の先端部155とワークピース180との間で現在の溶融金属液滴によって生成された電気的短絡を解除するための短絡解除ルーチンが開始され、液滴を電極からワークピースに移送する。短絡解除ルーチン310は、消耗溶接電極150の送給方向を、ワークピース180に向かう方向から、ワークピース180から離れる方向に変化させることと、ワークピース180から離れる方向への送給方向変化に応答して(又はそれに基づいて)電極プラスから電極マイナスに溶接電流の電気極性を変化させることとを含む。短絡解除ルーチン310中、溶接電流は、線形にも傾斜される。
【0021】
短絡が解除されると、溶接ワイヤ電極150とワークピース180との間でアークが再点火し、ブロック320で検出される。アークを検出する方法は、アーク溶接の技術分野で知られている。ブロック330では、短絡後ルーチンが開始され、このルーチンは、電極マイナスの電気極性中、消耗溶接電極150の端部において次の溶融金属液滴を生成することと、消耗溶接電極150の送給方向を、ワークピース180から離れる方向から、ワークピース180に向かう方向に変化させることとを含む。消耗溶接電極150は、例えば、異なる実施形態に従い、単一の溶接ワイヤ又は2つの平行な溶接ワイヤを含み得る。短絡後ルーチン330中、本明細書で以下に論じる
図4Aに示されるように、平行な溶接ワイヤの実施形態では、次の溶融金属液滴が2つの平行な溶接ワイヤ間のブリッジ液滴として生成される。
【0022】
ブロック340では、消耗溶接電極150の実際のワイヤ送給速度が監視される。正のワイヤ送給速度は、ワークピース180に向かう方向であり、負のワイヤ送給速度は、ワークピース180から離れる方向である。ワイヤ送給速度がゼロであるとき、ワークピース180に向かうこともワークピース180から離れることもない(すなわち、ワイヤは、一瞬でも動かない)。溶接電流の電気極性を変化させることは、例えば、消耗溶接電極150の送給方向が変化するときの消耗溶接電極150の速度又は速度変化の少なくとも1つに基づく。
【0023】
ブロック350では、アークルーチンが開始され、このルーチンは、送給方向が、ワークピース180に向かう方向に変化することに応答して、電極マイナスから電極プラスに溶接電流の電気極性を変化させることを含む。一実施形態では、アークルーチン350は、ピーク電流段階、次いでテールアウト電流段階、次いでバックグラウンド電流段階を含み、バックグラウンド電流段階は、パルス化されて、ワークピース180の溶接池に熱を加え、且つ現在の溶融金属液滴を溶接池に向かって押す。一実施形態では、アークルーチン350で費やされる時間量と比較した短絡後ルーチン330で費やされる時間量は、液滴サイズ調整及び熱管理を提供するためにユーザ調整可能である。
【0024】
ブロック360では、次の溶融金属液滴がワイヤ電極150の先端部155とワークピース180との間をつなぐことにより、短絡が検出される。短絡を検出する方法は、アーク溶接の技術分野で知られている。短絡が検出されると、方法300は、ブロック310に戻って繰り返され、次の溶融金属液滴は、次の液滴移送サイクルのための現在の溶融金属液滴になる。このように、液滴移送サイクルごとに単一の溶融金属液滴を堆積することにより、多数の溶融金属液滴からなる溶接ビードを形成することができる。
【0025】
図4Aは、
図1の溶接システム100で使用することができる消耗溶接電極150の平行ワイヤ構成400の一実施形態を示す。
図4Aは、第1のワイヤ410及び第2のワイヤ420を示す。溶融金属液滴は、第1のワイヤ410と第2のワイヤ420との間にブリッジ430を形成する。本発明の一実施形態によれば、溶融金属液滴430は、溶接溜まり440内に堆積される。2022年9月13日に発行された(特許文献2)(その全体が参照により本明細書に援用される)は、2ワイヤ構成又は平行ワイヤ構成を論じている。
【0026】
図4B~4Fは、
図3の方法300を行うために
図1の溶接システム100で使用されるときの、消耗溶接電極150の平行ワイヤ構成400の各段階の一例示的実施形態を示す。
図4Bでは、電極150のワイヤ410及び420は、ワークピースWに向かう方向から、ワークピースWから離れる方向に方向を変化させ、電気極性は、電極プラス(EP)から電極マイナス(EN)に変化する。現在の溶融金属液滴(ブリッジ)430は、ワイヤ(410、420)とワークピースWとの間に短絡回路を形成する。
【0027】
図4Cでは、現在の溶融金属液滴(ブリッジ)430は、ワイヤ(410、420)から引き離され、表面張力によって液滴430がワイヤから溶接溜まり440に移送され、溶融金属液滴(ブリッジ)430によって確立されたワイヤ(410、420)とワークピースWとの間の短絡が解除される。
図4Dでは、短絡が解除された状態で、ワイヤ(410、420)は、最初に、ワークピースWから離れるように依然として上方に移動し、電気極性は、依然として電極マイナス(EN)である。アーク450は、大きく、熱は、ワイヤ(410、420)に集中される。次の溶融金属液滴(ブリッジ)430’は、磁力及びアークからの熱により生じ始める。次いで、ワイヤ(410、420)は、ワークピースWから離れる方向から、ワークピースWに向かう方向に方向を変化させる。
【0028】
図4Eでは、実際のワイヤ送給速度(WFS)=X(ここで、Xは、比較的低いWFS、例えばゼロであり得る)であるとき、電気極性は、電極マイナス(EN)から電極プラス(EP)に切り替わり、主な加熱を溶接溜まり440に変化させる。次の溶融金属液滴430’は、ワイヤ間に存在し、成長し続ける(比較的大きくなる)が、比較的遅い速度であり、アーク450は、より集中される(狭くなる)。
図4Fでは、バックグラウンド溶接電流のテールアウトが生じ、これは、時限イベントである。テールアウト中に溶接電流が減少されるにつれて、アーク450は、小さくなる。ワイヤ送給装置は、ワイヤ(410、420)をワークピースWに向かって押し、次の大きい溶融金属液滴430’が移動して溶接溜まり440に近づく。(例えば、バックグラウンド溶接電流のパルス化による)バックグラウンド溶接電流の大きさに関連して、いくらかの加熱が生じる。次いで、プロセスが繰り返され(すなわち
図4Bに戻り)、本明細書で上述したように、次の大きい溶融金属液滴430’が現在の溶融金属液滴430になり、溶接溜まり440に移送される。
【0029】
要約すると、方法300は、溶接システム100において実施され、溶接システム100は、再度述べると、溶接器具140と、消耗溶接電極150と、命令に応じて溶接器具140を通して消耗溶接電極150を前後に送給するように構成されたワイヤ送給装置170とを含む。溶接電源120は、例えば、接触先端部(図示せず)を介して溶接器具140の消耗溶接電極150に印加される溶接電流波形を提供するように構成される。
【0030】
コントローラ130は、溶接プロセスの各液滴移送サイクル中、少なくとも溶接電源120及びワイヤ送給装置170を制御するように構成される。液滴移送サイクルは、溶融金属液滴を形成し、且つ消耗溶接電極150の端部155からワークピース180に溶融金属液滴を移送することを含む。液滴移送サイクル中、コントローラ130は、消耗溶接電極150の送給方向を、ワークピース180に向かう方向から、ワークピース180から離れる方向に変化させるように命令し、且つ送給方向が、ワークピース180から離れる方向に機械的に変化することに応答して、電極プラスから電極マイナスに溶接電流波形の電気極性を変化させるように命令する。
【0031】
また、液滴移送サイクル中、コントローラ130は、消耗溶接電極150の送給方向を、ワークピース180に向かう方向から、ワークピース180から離れる方向に変化させるように命令し、且つ送給方向が、ワークピース180から離れる方向に機械的に変化することに応答して、電極マイナスから電極プラスに溶接電流波形の電気極性を変化させるように命令する。コントローラ130は、消耗溶接電極150の送給方向が機械的に変化するとき、例えば監視される消耗溶接電極150の速度又は速度変化の少なくとも1つに基づいて溶接電流波形の電気極性を変化させるように構成される。
【0032】
再び
図2を参照すると、溶接電流波形230は、短絡解除ルーチン310に対応する短絡解除セクション232を含み、溶接電流波形230は、短絡解除セクション232の少なくとも一部中に線形に傾斜される。一実施形態では、短絡解除ルーチン310は、低速である以外にはSTT短絡解除ルーチンと同様である。電流がワークピース180から電極150に流れると、電極の方向が反転する(負極性)。傾斜速度は、STTよりも遅くされる。これは、電極150が方向を反転して溶接池から引き抜かれる際、溶接池へのスタビングの懸念がないためである。
【0033】
溶接電流波形230は、短絡後ルーチン330に対応する短絡後セクション234及びアークルーチン350に対応するアークセクション236も含む。短絡後ルーチン330では、負極性を使用して、比較的少ない入熱で電極150の端部155に大きい液滴を生成する。アークルーチン350に進むときに極性が切り替えられた後、熱が溶接池に加えられる。アークセクション236(正極性)で費やされる時間量と比較した短絡後セクション234(負極性)で費やされる時間量は、液滴サイズ調整及び熱管理を提供するために(リード/ラグ時間(td)250を介して)ユーザ調整可能である。負極性で費やされる時間がより長いことは、熱がより少なく、液滴がより大きくなることに対応する。正極性で費やされる時間がより長いことは、熱がより多く、液滴がより小さくなることに対応する。
【0034】
アークセクション236は、ピーク電流段階237、次いでテールアウト電流段階238、次いでバックグラウンド電流段階239を含む。バックグラウンド電流段階239は、パルス化されて、ワークピース180の溶接池に熱を加え、且つ現在の溶融金属液滴を溶接池に向かって押す。アルゴン又は高アルゴン混合物などのシールドガスが使用されるとき、液滴は、溶融池に向かって押される傾向がある。CO2又はCO2混合物のシールドガス(約20~25%を超えるCO2)が使用されるとき、液滴は、パルスピーク中に溶融池から押し退けられる傾向がある。
【0035】
システム100は、コントローラ130により、消耗溶接電極150とワークピース180との間の短絡を検出し(方法300のブロック360に対応する)、且つ消耗溶接電極150とワークピース180との間のアークを検出する(方法300のブロック320に対応する)ように構成される。ここでも、消耗溶接電極150は、単一の溶接ワイヤ又は2つの平行な溶接ワイヤを含み得る。平行ワイヤ構成では、
図4Aに示されるように、溶接電流波形230の短絡後セクション234中、溶融金属液滴は、2つの平行な溶接ワイヤ間のブリッジ液滴として生成される。
【0036】
図5は、例えば、
図1の溶接システム100で使用することができるコントローラ500の例示的実施形態のブロック図を示す。例えば、コントローラ500は、
図1の溶接電源120でのコントローラ130として使用することができる。さらに、コントローラ500は、
図1のワイヤ送給装置170でのコントローラを表し得る。
【0037】
図5を参照すると、コントローラ500は、少なくとも1つのプロセッサ514(例えば、マイクロプロセッサ、中央処理装置、グラフィックス処理装置)を含み、プロセッサ514は、バスサブシステム512を介して多数の周辺デバイスと通信する。これらの周辺デバイスは、例えば、メモリサブシステム528及びファイルストレージサブシステム526を含むストレージサブシステム524と、ユーザインターフェース入力デバイス522と、ユーザインターフェース出力デバイス520と、ネットワークインターフェースサブシステム516とを含み得る。入力デバイス及び出力デバイスは、コントローラ500とのユーザ対話を可能にする。ネットワークインターフェースサブシステム516は、外部ネットワークへのインターフェースを提供し、他のデバイス内の対応するインターフェースデバイスに結合される。
【0038】
ユーザインターフェース入力デバイス522(例えば、
図1の134に対応する)は、ダイヤル、ノブ、キーボード、ポインティングデバイス、例えばマウス、トラックボール、タッチパッド若しくはグラフィックタブレット、スキャナ、ディスプレイに組み込まれたタッチスクリーン、オーディオ入力デバイス、例えば音声認識システム、マイクロフォン及び/又は他のタイプの入力デバイスを含み得る。一般に、「入力デバイス」という用語の使用は、コントローラ500又は通信ネットワークに情報を入力するためのすべての可能なタイプのデバイス及び方法を含むことを意図される。
【0039】
ユーザインターフェース出力デバイス520(例えば、
図1の132に対応する)は、ディスプレイサブシステム、プリンタ又は非視覚ディスプレイ(オーディオ出力デバイスなど)を含み得る。ディスプレイサブシステムは、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)などのフラットパネルデバイス、投影デバイス又は可視画像を作成するための何らかの他のメカニズムを含み得る。ディスプレイサブシステムは、オーディオ出力デバイスなどの非視覚的なディスプレイを提供することもできる。一般に、「出力デバイス」という用語の使用は、コントローラ500からユーザ又は別の機械若しくはコンピュータシステムに情報を出力するためのすべての可能なタイプのデバイス及び方法を含むことを意図される。
【0040】
ストレージサブシステム524は、本明細書で述べる機能の一部又はすべてを提供するプログラミング及びデータ構造を記憶する。例えば、コンピュータ実行可能な命令及びデータは、一般に、プロセッサ514単独で又は他のプロセッサと組み合わせて実行される。ストレージサブシステム524で使用されるメモリ528は、プログラム実行中に命令及びデータを記憶するためのメインランダムアクセスメモリ(RAM)530と、固定命令が記憶される読み出し専用メモリ(ROM)532とを含む多数のメモリを含み得る。ファイルストレージサブシステム526は、プログラム及びデータファイルのための永続ストレージを提供することができ、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、フロッピーディスクドライブ及び関連のリムーバブルメディア、CD-ROMドライブ、光学ドライブ又はリムーバブルメディアカートリッジを含み得る。特定の実施形態の機能を実装するコンピュータ実行可能命令及びデータは、ストレージサブシステム524でのファイルストレージサブシステム526によって記憶され得るか、又はプロセッサ514がアクセス可能な他の機械に記憶され得る。
【0041】
バスサブシステム512は、コントローラ500の様々な構成要素及びサブシステムを意図通りに相互に通信させるためのメカニズムを提供する。バスサブシステム512は、単一のバスとして概略的に示されているが、バスサブシステムの代替実施形態は、複数のバスを使用することもできる。
【0042】
コントローラ500は、様々なタイプのものであり得る。コンピューティングデバイス及びネットワークの絶えず変化する性質により、
図5に示されるコントローラ500の説明は、いくつかの実施形態を例示する目的での特定の例としてのみ意図される。
図5に示されるコントローラ500よりも多い又は少ない構成要素を有するコントローラの多くの他の構成も可能である。
【0043】
開示する実施形態をかなり詳細に例示して述べてきたが、添付の特許請求の範囲をそのような詳細に制約するか又は何らかの方法で限定する意図はない。当然のことながら、主題の様々な態様を述べる目的のため、構成要素又は方法のあらゆる想定可能な組合せを述べることは、不可能である。したがって、本開示は、図示して述べた特定の詳細又は例示的な例に限定されない。したがって、本開示は、米国特許法第101条の法定主題要件を満たす添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれる変更形態、修正形態及び変形形態を包含することを意図される。特定の実施形態の上記の説明は、例として与えられている。与えられた本開示から、当業者には、全般的な発明概念及び付随する利点が理解されるだけでなく、開示された構造及び方法に対する様々な変更形態及び修正形態も明らかになるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲によって定義される全般的な発明概念及びその均等物の趣旨及び範囲内に含まれるすべての変更形態及び修正形態を網羅することが求められる。
【符号の説明】
【0044】
100 溶接システム
120 溶接電源
130 コントローラ
132 出力
134 入力
140 溶接器具
142 トーチ
150 電極
155 先端部
157 接地ケーブルクランプ
160 溶接回路
170 ワイヤ送給装置
172 ワイヤ
174 ワイヤ供給源
180 ワークピース
190 溶接
220、230、240 波形
232 短絡解除セクション
234 短絡後セクション
236 アークセクション
237 ピーク電流段階
238 テールアウト電流段階
239 バックグラウンド電流段階
310 短絡解除ルーチン
330 短絡後ルーチン
350 アークルーチン
400 平行ワイヤ構成
410 第1のワイヤ
420 第2のワイヤ
430、430’ 溶融金属液滴
440 溶接溜まり
450 アーク
500 コントローラ
512 バスサブシステム
514 プロセッサ
516 ネットワークインターフェースサブシステム
520 ユーザインターフェース出力デバイス
522 ユーザインターフェース入力デバイス
524 ストレージサブシステム
526 ファイルストレージサブシステム
528 メモリサブシステム
【外国語明細書】