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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096116
(43)【公開日】2024-07-12
(54)【発明の名称】積層型キャパシタ
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01G4/30 201G
H01G4/30 311E
H01G4/30 513
H01G4/30 516
H01G4/30 517
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023213877
(22)【出願日】2023-12-19
(31)【優先権主張番号】10-2023-0000157
(32)【優先日】2023-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0029330
(32)【優先日】2023-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】韓 知惠
(72)【発明者】
【氏名】崔 弘濟
(72)【発明者】
【氏名】姜 炳宇
(72)【発明者】
【氏名】朴 慧眞
(72)【発明者】
【氏名】尹 秀允
(72)【発明者】
【氏名】李 相旭
(72)【発明者】
【氏名】金 政民
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC09
5E001AE01
5E001AE02
5E001AE03
5E001AF06
5E001AH01
5E001AJ03
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC33
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG11
5E082GG12
5E082GG28
5E082JJ03
5E082JJ12
5E082JJ13
5E082JJ23
(57)【要約】
【課題】外部電極の軟性が増加して曲げ強度が向上することによって基板の曲げ発生時応力緩和が容易であり、外部電極の焼結金属層と導電性樹脂層の密着力が増加して外部電極の固着強度が向上し、外部電極のメッキ層が緻密に形成されて耐湿信頼性が向上し、焼結金属層とメッキ層が直接連結されて電気的特性が向上した、積層型キャパシタを提供する。
【解決手段】実施形態による積層型キャパシタは誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディー、そしてキャパシタボディーの外側に配置される外部電極を含み、外部電極は内部電極と連結された第1層、第1層の一部を覆い他の一部を露出させ樹脂を含む第2層、第2層を覆い樹脂および導電性金属を含む第3層、および第1層および第3層を覆う第4層を含み、第2層に含まれている樹脂の面積比は第3層に含まれている樹脂の面積比より大きい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディーと、
前記キャパシタボディーの外側に配置される外部電極と、を含む積層型キャパシタであって、
前記外部電極は、
前記内部電極と連結された第1層、
前記第1層の一部を覆い他の一部を露出させ、樹脂を含む第2層、
前記第2層を覆い、樹脂および導電性金属を含む第3層、および
前記第1層および前記第3層を覆う第4層を含み、
前記キャパシタボディーは前記誘電体層と前記内部電極の積層方向に互いに対向する第1面および第2面、長さ方向に互いに対向する第3面および第4面、および幅方向に互いに対向する第5面および第6面を有し、
前記積層型キャパシタの幅方向中央から幅方向に垂直に長さ方向と積層方向に沿って切断した断面において、前記第2層に含まれている樹脂の面積比は前記第3層に含まれている樹脂の面積比より大きい、積層型キャパシタ。
【請求項2】
前記第2層は前記第2面には位置せず、
前記第3層は前記第2面には位置しない、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項3】
前記第1層は前記第1面、前記第2面、および前記第3面に位置し、
前記第2層は前記第1面および前記第3面に位置し、
前記第3層は前記第1面および前記第3面に位置し、
前記第4層は前記第1面、前記第2面および前記第3面に位置する、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項4】
前記第1層~前記第4層は、前記第5面および前記第6面に位置する、請求項3に記載の積層型キャパシタ。
【請求項5】
前記積層型キャパシタの幅方向中央から幅方向に垂直に長さ方向と積層方向に沿って切断した断面において、
前記第3面または前記第4面における前記第2層の積層方向長さは前記第1層の積層方向長さより短いか同じであり、
前記第3面または前記第4面における前記第3層の積層方向長さは前記第1層の積層方向長さより短いか同じである、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項6】
前記積層型キャパシタの幅方向中央から幅方向に垂直に長さ方向と積層方向に沿って切断した断面において、
前記第3面または前記第4面における前記第2層の積層方向長さは前記第1層の積層方向長さに対して95%以下であり、
前記第3面または前記第4面における前記第3層の積層方向長さは前記第1層の積層方向長さに対して95%以下である、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項7】
前記積層型キャパシタの幅方向中央から幅方向に垂直に長さ方向と積層方向に沿って切断した断面において、前記第3面または前記第4面における前記第3層の積層方向長さは前記第2層の積層方向長さより長いか同じである、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項8】
前記第1面において前記第2層は前記第1層を全て覆うように配置され、
前記第1面において前記第3層は前記第1層を全て覆うように配置される、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項9】
前記第1面において前記第3層は前記第2層を全て覆うように配置されるか、または前記第1面において前記第3層は前記第2層を全て覆わず一部を露出させるように配置される、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項10】
前記第1面において前記第2層は前記第1層を全て覆うように配置され、
前記第1面において前記第3層は前記第2層を全て覆わず一部を露出させるように配置され、
前記第1面において前記第4層は前記第2層を全て覆わず一部を露出させるように配置される、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項11】
前記第2層は非導電性フィラーをさらに含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項12】
前記非導電性フィラーは、シリカ、ガラス系酸化物、またはこれらの組み合わせを含む、請求項11に記載の積層型キャパシタ。
【請求項13】
前記積層型キャパシタの幅方向中央から幅方向に垂直に長さ方向と積層方向に沿って切断した断面において、
前記第2層の単位面積に対する前記第2層の単位面積に含まれている樹脂の面積比は100%~60%であり、
前記第3層の単位面積に対する前記第3層の単位面積に含まれている樹脂の面積比は60%~8%である、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項14】
前記第2層は、導電性金属をさらに含むか含まない、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項15】
前記積層型キャパシタの幅方向中央から幅方向に垂直に長さ方向と積層方向に沿って切断した断面において、
前記第2層に含まれている導電性金属の面積比は前記第2層に含まれている樹脂の面積比より小さく、
前記第3層に含まれている導電性金属の面積比は前記第3層に含まれている樹脂の面積比より大きい、請求項14に記載の積層型キャパシタ。
【請求項16】
前記積層型キャパシタの幅方向中央から前記幅方向に垂直に長さ方向と積層方向に沿って切断した断面において、前記第3面または第4面における前記第2層の長さ方向最大長さは3μm以上である、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項17】
誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディーを製造する段階と、
前記キャパシタボディーの外側に外部電極を形成する段階と、を含み、
前記外部電極を形成する段階は、
前記キャパシタボディーの外側に第1層を形成する段階、
樹脂を含む第2層形成用ペーストを前記第1層の一部を覆い他の一部を露出させるように塗布して第2層を形成する段階、
樹脂および導電性金属を含む第3層形成用ペーストを前記第2層を覆うように塗布して第3層を形成する段階、および
前記第1層および第3層を覆う第4層を形成する段階を含み、
前記第2層形成用ペーストに含まれている樹脂の含量は前記第3層形成用ペーストに含まれている樹脂の含量より大きい、積層型キャパシタの製造方法。
【請求項18】
前記第2層形成用ペーストにおける樹脂と導電性金属の合計体積に対する樹脂の含量は100体積%~60体積%であり、
前記第3層形成用ペーストにおける樹脂と導電性金属の合計体積に対する樹脂の含量は60体積%~8体積%である、請求項17に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【請求項19】
前記第2層形成用ペーストにおける樹脂と導電性金属の合計体積に対する導電性金属の体積%は樹脂の体積%より小さく、
前記第3層形成用ペーストにおける樹脂と導電性金属の合計体積に対する導電性金属の体積%は樹脂の体積%より大きい、請求項17に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は積層型キャパシタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車用電気装置産業、IT産業の技術発展につれて向上した性能および強い信頼性を満たす積層型キャパシタ(MLCC)に対する需要が増加している。特に、自動車用電気装置産業は強い機械的応力環境での信頼性を要求しており、これにより積層型キャパシタも一定水準の曲げ強度特性を有する製品に対する需要が増加している。
【0003】
積層型キャパシタは金属パウダーとバインダーを混合した後に焼結した外部電極を使用している。焼結型外部電極は内部電極との電気的連結性に優れた長所があるが、軟性が低くて機械的応力にぜい弱である。
【0004】
したがって、積層型キャパシタの機械的信頼性を向上させるために焼結型外部電極の外部に高分子樹脂と金属パウダーを混合した樹脂系外部電極を適用する。樹脂系外部電極は焼結型外部電極に比べて軟性が高くて積層型キャパシタの機械的特性を向上させるが、焼結型外部電極より電気的連結性が低下する問題がある。
【0005】
樹脂系外部電極の電気的特性は、樹脂内金属の含量を調節して向上させることができる。しかし、樹脂系外部電極で金属含量が増加すれば樹脂による軟性効果が低下するので、曲げ強度の劣化が発生する。したがって、樹脂系外部電極は曲げ強度が劣化しない金属含量の範囲内で金属を含む。しかし、積層型キャパシタの自動車用電気部品産業内適用範囲が広くなることによって、要求される信頼性水準が高まっているので、樹脂系外部電極の特性改善が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開始の一側面は、外部電極の軟性が増加して曲げ強度が向上することによって基板の曲げ発生時応力緩和が容易であり、外部電極の焼結金属層と導電性樹脂層の密着力が増加して外部電極の固着強度が向上し、外部電極のメッキ層が緻密に形成されて耐湿信頼性が向上し、焼結金属層とメッキ層が直接連結されて電気的特性が向上した、積層型キャパシタを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一側面による積層型キャパシタは誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディー、そしてキャパシタボディーの外側に配置される外部電極を含み、外部電極は内部電極と連結された第1層、第1層の一部を覆い他の一部を露出させ、樹脂を含む第2層、第2層を覆い、樹脂および導電性金属を含む第3層、および第1層および第3層を覆う第4層を含む。
【0008】
キャパシタボディーは、誘電体層と内部電極の積層方向に互いに対向する第1面および第2面、長さ方向に互いに対向する第3面および第4面、および幅方向に互いに対向する第5面および第6面を有する。
【0009】
幅方向中央から幅方向に垂直に長さ方向と積層方向に切断した断面で、第2層に含まれている樹脂の面積比は第3層に含まれている樹脂の面積比より大きい。
【0010】
第2層は第2面には配置されなくてもよい。
【0011】
第3層は第2面には配置されなくてもよい。
【0012】
第1層は第1面、第2面、および第3面に配置することができる。
【0013】
第2層は第1面および第3面に配置することができる。
【0014】
第3層は第1面および第3面に配置することができる。
【0015】
第4層は第1面、第2面および第3面に配置することができる。
【0016】
第1層~第4層は、第5面および第6面に配置することができる。
【0017】
積層型キャパシタの幅方向中央から幅方向に垂直に長さ方向と積層方向に切断した断面で、第3面または第4面で第2層の積層方向長さは第1層の積層方向長さより短いか同じであってもよい。
【0018】
積層型キャパシタの幅方向中央から幅方向に垂直に長さ方向と積層方向に切断した断面で、第3面または第4面で第3層の積層方向長さは第1層の積層方向長さより短いか同じであってもよい。
【0019】
積層型キャパシタの幅方向中央から幅方向に垂直に長さ方向と積層方向に切断した断面で、第3面または第4面で第2層の積層方向長さは第1層の積層方向長さに対して95%以下であってもよい。
【0020】
積層型キャパシタの幅方向中央から幅方向に垂直に長さ方向と積層方向に切断した断面で、第3面または第4面で第3層の積層方向長さは第1層の積層方向長さに対して95%以下であってもよい。
【0021】
積層型キャパシタの幅方向中央から幅方向に垂直に長さ方向と積層方向に切断した断面で、第3面または第4面で第3層の積層方向長さは第2層の積層方向長さより長いか同じであってもよい。
【0022】
積層型キャパシタの幅方向中央から幅方向に垂直に長さ方向と積層方向に切断した断面で、第1面で第2層は第1層を全て覆うように配置されてもよい。
【0023】
積層型キャパシタの幅方向中央から幅方向に垂直に長さ方向と積層方向に切断した断面で、第1面で第3層は第1層を全て覆うように配置されてもよい。
【0024】
第1面で第3層は第2層を全て覆うように配置されるか、または第1面で第3層は第2層を全て覆わず一部を露出させるように配置されてもよい。
【0025】
第1面で第2層は第1層を全て覆うように配置されてもよい。
【0026】
第1面で第3層は第2層を全て覆わず一部を露出させるように配置されてもよい。
【0027】
第1面で第4層は第2層を全て覆わず一部を露出させるように配置されてもよい。
【0028】
第2層は非導電性フィラーをさらに含むことができる。
【0029】
非導電性フィラーは、シリカ、ガラス系酸化物、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0030】
積層型キャパシタの幅方向中央から幅方向に垂直に長さ方向と積層方向に切断した断面で、第2層の単位面積に対する第2層の単位面積に含まれている樹脂の面積比は100%~60%であってもよい。
【0031】
積層型キャパシタの幅方向中央から幅方向に垂直に長さ方向と積層方向に切断した断面で、第3層の単位面積に対する第3層の単位面積に含まれている樹脂の面積比は60%~8%であってもよい。
【0032】
第2層は、導電性金属をさらに含むか含まなくてもよい。
【0033】
積層型キャパシタの幅方向中央から幅方向に垂直に長さ方向と積層方向に切断した断面で、第2層に含まれている導電性金属の面積比は第2層に含まれている樹脂の面積比より小さくてもよい。
【0034】
積層型キャパシタの幅方向中央から幅方向に垂直に長さ方向と積層方向に切断した断面で、第3層に含まれている導電性金属の面積比は第3層に含まれている樹脂の面積比より大きくてもよい。
【0035】
積層型キャパシタの幅方向中央から幅方向に垂直に長さ方向と積層方向に切断した断面で、第3面または第4面で第2層の長さ方向最大長さは3μm以上であってもよい。
【0036】
他の側面による積層型キャパシタの製造方法は誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディーを製造する段階、そしてキャパシタボディーの外側に外部電極を形成する段階を含み、外部電極を形成する段階は、キャパシタボディーの外側に第1層を形成する段階、樹脂を含む第2層形成用ペーストを第1層の一部を覆い他の一部を露出させるように塗布して第2層を形成する段階、樹脂および導電性金属を含む第3層形成用ペーストを第2層を覆うように塗布して第3層を形成する段階、および第1層および第3層を覆う第4層を形成する段階を含む。
【0037】
第2層形成用ペーストに含まれている樹脂の含量は第3層形成用ペーストに含まれている樹脂の含量より大きい。
【0038】
第2層形成用ペーストで、樹脂と導電性金属の合計体積に対する樹脂の含量は100体積%~60体積%であってもよい。
【0039】
第3層形成用ペーストで、樹脂と導電性金属の合計体積に対する樹脂の含量は60体積%~8体積%であってもよい。
【0040】
第2層形成用ペーストで、樹脂と導電性金属の合計体積に対する導電性金属の体積%は樹脂の体積%より小さくてもよい。
【0041】
第3層形成用ペーストで、樹脂と導電性金属の合計体積に対する導電性金属の体積%は樹脂の体積%より大きくてもよい。
【発明の効果】
【0042】
一側面による積層型キャパシタによれば、外部電極の軟性が増加して曲げ強度が向上することによって基板の曲げ発生時応力緩和が容易であり、外部電極の焼結金属層と導電性樹脂層の密着力が増加して外部電極の固着強度が向上し、外部電極のメッキ層が緻密に形成されて耐湿信頼性が向上し、焼結金属層とメッキ層が直接連結されて電気的特性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】一側面による積層型キャパシタの平面図である。
図2】一側面による積層型キャパシタの他の平面図である。
図3】一側面による積層型キャパシタの側面図である。
図4】一側面による積層型キャパシタの他の側面図である。
図5】一側面による積層型キャパシタの断面図である。
図6】一側面による積層型キャパシタの他の断面図である。
図7】一側面の変形例による積層型キャパシタの断面図である。
図8】一側面の変形例による積層型キャパシタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、添付した図面を参照して本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように本発明の実施形態を詳しく説明する。図面で本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一な参照符号を付している。また、添付された図面は本明細書に開示された実施形態を容易に理解することができるようにするためのものに過ぎず、添付された図面によって本明細書に開示された技術的な思想が制限されず、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むと理解されたい。
【0045】
第1、第2などのように序数を含む用語は多様な構成要素を説明するのに使用できるが、前記構成要素は前記用語によって限定されない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的としてのみ使用される。
【0046】
ある構成要素が他の構成要素に“連結されて”または“接続されて”いると言及された時には、その他の構成要素に直接的に連結されているか、接続されているか、または対向していることもあるが、中間に他の構成要素が存在することもあると理解されなければならないはずである。反面、ある構成要素が他の構成要素に“直接連結されて”または“直接接続されて”いると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないと理解されなければならないはずである。
【0047】
明細書全体で、“含む”または“有する”などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするのであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないと理解されなければならない。したがって、ある部分がある構成要素を“含む”という時、これは特に反対になる記載がない限り他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含むことができるのを意味する。
【0048】
図1は一側面による積層型キャパシタの平面図であり、図2は一側面による積層型キャパシタの他の平面図であり、図3は一側面による積層型キャパシタの側面図であり、図4は一側面による積層型キャパシタの他の側面図であり、図5は一側面による積層型キャパシタの断面図であり、図6は一側面による積層型キャパシタの他の断面図である。
【0049】
本実施形態を明確に説明するために方向を定義すれば、図面に表示されたL軸、W軸およびT軸はそれぞれキャパシタボディー110の長さ方向、幅方向および厚さ方向を示す。ここで、厚さ方向(T軸方向)はシート形状の構成要素の広い面(主面)に垂直な方向であってもよく、一例として誘電体層111が積層される積層方向と同一な概念として使用できる。長さ方向(L軸方向)はシート形状の構成要素の広い面(主面)に平行に延伸する方向で厚さ方向(T軸方向)と大略的に垂直な方向であってもよく、一例として両側に第1外部電極131および第2外部電極132が位置する方向であってもよい。幅方向(W軸方向)はシート形状の構成要素の広い面(主面)に平行に延伸する方向で厚さ方向(T軸方向)および長さ方向(L軸方向)と大略的に垂直な方向であってもよく、シート形状の構成要素の長さ方向(L軸方向)の長さは幅方向(W軸方向)の長さよりさらに長くてもよい。
【0050】
図1図6を参照すれば、本実施形態による積層型キャパシタ100は、キャパシタボディー110、そしてキャパシタボディー110の長さ方向(L軸方向)に対向する両断に配置される第1外部電極131および第2外部電極132を含むことができる。
【0051】
キャパシタボディー110は一例として、大略的な六面体形状であってもよい。
【0052】
本実施形態では説明の便宜のために、キャパシタボディー110で厚さ方向(T軸方向)に互いに対向する両面を第1面110aおよび第2面110bと、第1面110aおよび第2面110bと連結され長さ方向(L軸方向)に互いに対向する両面を第3面110eおよび第4面110fと、第1面110aおよび第2面110bと連結され第3面110eおよび第4面110fと連結され幅方向(W軸方向)に互いに対向する両面を第5面110cおよび第6面110dと定義することにする。
【0053】
一例として、下面である第1面110aが実装方向に向かう面になり得る。また、第1面~第6面(110a、110b、110e、110f、110c、110d)は平たくてもよいが、本実施形態がこれに限定されるのではなく、例えば第1面~第6面(110a、110b、110e、110f、110c、110d)は中央部が凸の曲面であってもよく、各面の境界である角は丸みを帯びて(round)いてもよい。
【0054】
キャパシタボディー110の形状、寸法および誘電体層111の積層数が本実施形態の図面に示されたもので限定されるのではない。
【0055】
キャパシタボディー110は複数の誘電体層111を厚さ方向(T軸方向)に積層した後に焼成したものであって、複数の誘電体層111と誘電体層111を挟んで厚さ方向(T軸方向)に交互に配置される複数の第1内部電極121および第2内部電極122を含む。一例として、第1内部電極121および第2内部電極122は互いに異なる極性を有することができる。
【0056】
この時、キャパシタボディー110の互いに隣接するそれぞれの誘電体層111の間の境界は、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を使用せずに確認することが困難な程度に一体化できる。
【0057】
また、キャパシタボディー110は、アクティブ領域とカバー領域を含むことができる。
【0058】
アクティブ領域は、積層型キャパシタ100の容量形成に寄与する部分である。一例として、アクティブ領域は、厚さ方向(T軸方向)に沿って積層される第1内部電極121および第2内部電極122が重畳(overlap)した領域であってもよい。
【0059】
カバー領域はマージン部として厚さ方向(T軸方向)にアクティブ領域の第1面110aおよび第2面110b側にそれぞれ配置することができる。このようなカバー領域は、単一誘電体層111または二つ以上の誘電体層111がアクティブ領域の上面および下面にそれぞれ積層されたものであってもよい。
【0060】
また、キャパシタボディー110は、側面カバー領域をさらに含むことができる。側面カバー領域はマージン部として幅方向(W軸方向)にアクティブ領域の第5面110cおよび第6面110d側にそれぞれ配置することができる。このような側面カバー領域は、誘電体グリーンシート表面に内部電極形成用導電性ペースト層を塗布する時、誘電体グリーンシート表面の一部領域にのみ導電性ペースト層を塗布し、誘電体グリーンシート表面の両方の側面には導電性ペースト層を塗布していない誘電体グリーンシートを積層した後、焼成することによって形成することができる。
【0061】
カバー領域と側面カバー領域は、物理的または化学的ストレスによる第1内部電極121および第2内部電極122の損傷を防止する役割を果たす。
【0062】
一例として、誘電体層111は高誘電率のセラミック材料を含むことができる。例えば、セラミック材料はBaTiO、CaTiO、SrTiO、またはCaZrOなどの成分を含む誘電体セラミックを含むことができる。また、これら成分にMn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの補助成分をさらに含むことができる。例えば、BaTiO系誘電体セラミックにCa、Zrなどが一部固溶された(Ba1-xCa)TiO、Ba(Ti1-yCa)O、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)OまたはBa(Ti1-yZr)Oなどを含むことができる。
【0063】
また、誘電体層111にはセラミック粉末と共に、セラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、および分散剤などをさらに添加することができる。セラミック添加剤は、例えば遷移金属酸化物または遷移金属炭化物、希土類元素、マグネシウム(Mg)またはアルミニウム(Al)などを使用することができる。
【0064】
一例として、誘電体層111の平均厚さは0.5μm~10μmであってもよい。
【0065】
第1および第2内部電極121、122は互いに異なる極性を有する電極であって、誘電体層111を挟んで厚さ方向(T軸方向)に沿って互いに対向するように交互に配置され、一端がキャパシタボディー110の第3面110eおよび第4面110fを通じてそれぞれ露出できる。
【0066】
第1内部電極121および第2内部電極122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に絶縁できる。
【0067】
キャパシタボディー110の第3面110eおよび第4面110fを通じて交互に露出される第1内部電極121および第2内部電極122の端部は、第1外部電極131および第2外部電極132とそれぞれ接続されて電気的に連結できる。
【0068】
第1内部電極121および第2内部電極122は導電性金属を含み、例えばNi、Cu、Ag、Pd、またはAuなどの金属やこれらの合金、例えばAg-Pd合金を含むことができる。
【0069】
また、第1内部電極121および第2内部電極122は、誘電体層111に含まれるセラミック材料と同一組成系の誘電体粒子を含むこともできる。
【0070】
第1内部電極121および第2内部電極122は導電性金属を含む導電性ペーストを使用して形成できる。導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができる。
【0071】
一例として、第1内部電極121および第2内部電極122の平均厚さは0.1μm~2μmであってもよい。
【0072】
第1外部電極131および第2外部電極132は互いに異なる極性の電圧が提供され、第1内部電極121および第2内部電極122の露出される部分とそれぞれ接続されて電気的に連結できる。
【0073】
前述のような構成により、第1外部電極131および第2外部電極132に所定の電圧を印加すると互いに対向する第1内部電極121および第2内部電極122の間に電荷が蓄積される。この時、積層型キャパシタ100の静電容量はアクティブ領域でT軸方向に沿って互いに重畳する第1内部電極121および第2内部電極122の重畳面積と比例するようになる。
【0074】
第1外部電極131および第2外部電極132はそれぞれ第1電極部~第4電極部(131a、132a、131b、132b、131c、132c、131e、132e)を有することができる。第1電極部131a、132aは第1面110aの上に配置されている。第2電極部131b、132bは第2面110bの上に配置されている。第3電極部131c、132cは一対の第5面110cおよび第6面110dに配置されている。第4電極部131e、132eは対応する第3面110eおよび第4面110fに配置されている。即ち、第1外部電極131および第2外部電極132はそれぞれ第1面110aおよび第2面110b、第5面110cおよび第6面110d、および第3面110eまたは第4面110fの5つの面に配置されている。互いに隣接する第1電極部~第4電極部(131a、132a、131b、132b、131c、132c、131e、132e)同士はキャパシタボディー110の角部で連結されており、電気的に連結されている。
【0075】
第4電極部131e、132eは第1内部電極121および第2内部電極122の第3面110eおよび第4面110fに露出された一端を覆っている。第1内部電極121および第2内部電極122は第4電極部131e、132eと直接的に連結され、第1内部電極121および第2内部電極122はそれぞれ第1外部電極131および第2外部電極132に電気的に接続されている。
【0076】
第1外部電極131および第2外部電極132はそれぞれ、第1層1311、1321、第2層1312、1322、第3層1313、1323、および第4層1314、1324を有する。第4層1314、1324は、第1外部電極131および第2外部電極132の最外層を構成している。
【0077】
第1電極部131a、132aは、第1層1311、1321、第2層1312、1322、第3層1313、1323、および第4層1314、1324を有する。即ち、第1電極部131a、132aは4層構造である。第1電極部131a、132aでは第1層1311、1321全体が第2層1312、1322で覆われてもよい。
【0078】
第2電極部131b、132bは、第1層1311、1321および第4層1314、1324を有し、第2層1312、1322および第3層1313、1323を有さない。即ち、第2電極部131b、132bは2層構造である。
【0079】
第3電極部131c、132cは、第1領域131c1、132c1と第2領域131c2、132c2を有する。第2領域131c2、132c2は、第1領域131c1、132c1よりも第1面110a側に近くに位置している。第1領域131c1、132c1は、第1層1311、1321および第4層1314、1324を有し、第2層1312、1322および第3層1313、1323を有さない。即ち、第1領域131c1、132c1は2層構造である。第2領域131c2、132c2は第1層1311、1321、第2層1312、1322、第3層1313、1323、および第4層1314、1324を有する。即ち、第2領域131c2、132c2は4層構造である。
【0080】
第4電極部131e、132eは、第1領域131e1、132e1と第2領域131e2、132e2を有する。第2領域131e2、132e2は、第1領域131e1、132e1よりも第1面110a側に近くに位置している。第1領域131e1、132e1は第1層1311、1321および第4層1314、1324を有し、第2層1312、1322および第3層1313、1323を有さない。即ち、第1領域131e1、132e1は2層構造である。第2領域131e2、132e2は第1層1311、1321、第2層1312、1322、第3層1313、1323、および第4層1314、1324を有する。即ち、第2領域131e2、132e2は4層構造である。
【0081】
第1層1311、1321はキャパシタボディー110と直接接触し、キャパシタボディー110の第3面110eおよび第4面110fにそれぞれ配置されて第1内部電極121および第2内部電極122と連結される。第1層1311、1321は、第1電極部131a、132a、第2電極部131b、132b、第3電極部131c、132cの第1領域131c1、132c1および第2領域131c2、132c2、および第4電極部131e、132eの第1領域131e1、132e1および第2領域131e2、132e2に位置する。即ち、第1層1311、1321は、第1面110a、第2面110b、第3面110e、第4面110f、第5面110c、および第6面110dに配置できる。一例として、第1層1311、1321は焼結金属層であってもよい。
【0082】
第2層1312、1322は、第1層1311、1321の一部の領域を覆い他の一部を露出させるように配置されている。第2層1312、1322は、第1電極部131a、132a、第3電極部131c、132cの第2領域131c2、132c2、および第4電極部131e、132eの第2領域131e2、132e2に位置する。即ち、第2層1312、1322は第2面110bには位置せず、第1面110a、第3面110eまたは第4面110f、第5面110c、および第6面110dに配置できる。一例として、第2層1312、1322は導電性樹脂層であってもよい。
【0083】
第3層1313、1323は、第2層1312、1322の全体または一部の領域を覆うように配置されている。第3層1313、1323は、第1電極部131a、132a、第3電極部131c、132cの第2領域131c2、132c2、および第4電極部131e、132eの第2領域131e2、132e2に位置する。即ち、第3層1313、1323は第2面110bには配置されなくてもよく、第1面110a、第3面110eまたは第4面110f、第5面110c、および第6面110dに配置できる。一例として、第3層1313、1323は導電性樹脂層であってもよい。
【0084】
第4層1314、1324は、第3層1313、1323、および露出された第1層1311、1321の全体領域を覆うように配置されている。第4層1314、1324は、第1電極部131a、132a、第2電極部131b、132b、第3電極部131c、132cの第1領域131c1、132c1および第2領域131c2、132c2、および第4電極部131e、132eの第1領域131e1、132e1および第2領域131e2、132e2に位置する。即ち、第4層1314、1324は、第1面110a、第2面110b、第3面110e、第4面110f、第5面110c、および第6面110dに配置できる。一例として、第4層1314、1324はメッキ層であってもよい。
【0085】
第1電極部~第4電極部(131a、132a、131b、132b、131c、132c、131e、132e)がそれぞれ有している第1層1311、1321は一体的に連結できる。第1電極部131a、132a、第3電極部131c、132c、および第4電極部131e、132eがそれぞれ有している第2層1312、1322は一体的に連結できる。第1電極部131a、132a、第3電極部131c、132c、および第4電極部131e、132eがそれぞれ有している第3層1313、1323は一体的に連結されている。第1電極部~第4電極部(131a、132a、131b、132b、131c、132c、131e、132e)がそれぞれ有している第4層1314、1324は一体的に連結できる。
【0086】
以下、第1層~第4層(1311、1321、1312、1322、1313、1323、1314、1324)のそれぞれの長さは、積層型キャパシタ100の幅方向(W軸方向)中央(1/2地点)から幅方向(W軸方向)に垂直に長さ方向と積層方向に切断した断面(L軸方向およびT軸方向断面)を走査型電子顕微鏡(SEM)または走査透過型電子顕微鏡(STEM)などによって観察することによって分析することができる。SEMまたはSTEMなどは5000倍率で測定することができる。もし、前記断面で第1層~第4層(1311、1321、1312、1322、1313、1323、1314、1324)のそれぞれの長さが複数存在する場合、これらのうちの最大長さを第1層~第4層(1311、1321、1312、1322、1313、1323、1314、1324)のそれぞれの長さとすることができる。
【0087】
また、第2層1312、1322および第3層1313、1323の樹脂または導電性金属の面積比、および非導電性フィラーを含むか否かなどは前記SEMまたはSTEMなどの断面観察によって得られた断面写真を電子線マイクロアナライザー(EPMA)で分析することによって測定することができる。電子線マイクロアナライザー(EPMA)で成分分析などを行う場合、X線分光器として、EDS(エネルギー分散型分光器)、またはWDS(波長分散型分光器)などを使用することができる。例えば、SEMの反射電子像やSTEMのHAADF像などで第1外部電極131および第2外部電極132の前記断面を観察した場合、金属結合を有する導電性金属はコントラストの明るい部分として認識することができ、樹脂または非導電性フィラーなどの非金属成分(その他、空隙や酸化物も含む)はコントラストの暗い部分として認識することができる。したがって、第2層1312、1322および第3層1313、1323の樹脂および導電性金属の面積は断面写真を二値化するなど、測定視野全体の面積に対するコントラストが明るい部分の面積比率で算出することができる。
【0088】
第3面110eで第2層1312、1322の積層方向(T軸方向)長さは、第1層1311、1321の積層方向(T軸方向)長さより短いか同じである。一例として、第3面110eで第2層1312、1322の積層方向(T軸方向)長さは第1層1311、1321の積層方向(T軸方向)長さに対して95%以下、または10%~50%であってもよい。第3面110eで第2層1312、1322の積層方向(T軸方向)長さが第1層1311、1321の積層方向(T軸方向)長さに対して95%超である場合、電気的連結性が低下することがある。
【0089】
また、第3面110eで第3層1313、1323の積層方向長さは第1層1311、1321の積層方向長さより短いか同じである。一例として、第3面110eで第3層1313、1323の積層方向(T軸方向)長さは第1層1311、1321の積層方向(T軸方向)長さに対して95%以下、または10%~50%であってもよい。第3面110eで第3層1313、1323の積層方向(T軸方向)長さが第1層1311、1321の積層方向(T軸方向)長さに対して95%超である場合、電気的連結性が低下することがある。
【0090】
図7は、一側面の変形例による積層型キャパシタ100の断面図である。
【0091】
図6では第3面110eで第2層1312、1322の積層方向(T軸方向)長さが第1層1311、1321の積層方向(T軸方向)長さより短い場合が示されており、図7では第3面110eで第2層1312、1322の積層方向(T軸方向)長さが第1層1311、1321の積層方向(T軸方向)長さと同じである場合が示されている。
【0092】
また、図6では第3面110eで第3層1313、1323の積層方向(T軸方向)長さが第1層1311、1321の積層方向(T軸方向)長さより短い場合が示されており、図7では第3面110eで第3層1313、1323の積層方向(T軸方向)長さが第1層1311、1321の積層方向(T軸方向)長さと同じである場合が示されている。
【0093】
曲げ強度特性は第2層1312、1322によって向上するので、第2層1312、1322の厚さは第3層1313、1323より厚くてもよい。一例として、第2層1312、1322の第3面110eまたは第4面110fで長さ方向(L軸方向)長さは3μm以上、または5μm~150μmであってもよい。第2層1312、1322の第3面110eで長さ方向(L軸方向)長さが3μm未満である場合、曲げ強度向上程度が微小なことがある。第3層1313、1323はメッキ性を確保するためのものであり、これは厚さとは関係がないので、第3層1313、1323は均一に塗布される程度の厚さ以上であれば十分である。
【0094】
第1面110aで、第2層1312、1322の長さ方向長さは、第1層1311、1321の長さ方向長さより長いか同じである。これにより、第1面110aで、第2層1312、1322は第1層1311、1321を全て覆うように配置できる。
【0095】
第1面110aで、第3層1313、1323の長さ方向長さは、第1層1311、1321の長さ方向長さより長いか同じである。これにより、第1面110aで、第3層1313、1323は第1層1311、1321を全て覆うように配置できる。
【0096】
一方、第1面110aで、第3層1313、1323の長さ方向長さは第2層1312、1322の長さ方向長さより長いか同じであってもよい。これにより、第1面110aで、第3層1313、1323は第2層1312、1322を全て覆うように配置できる。
【0097】
または、第2層1312、1322の長さ方向長さは、第3層1313、1323の長さ方向長さより長いか同じであってもよい。これにより、第1面110aで、第3層1313、1323は第2層1312、1322を全て覆わずに第2層1312、1322の一部を露出させるように配置できる。
【0098】
図8は、一側面の変形例による積層型キャパシタ100の断面図である。
【0099】
図6および図7では第1面110aで、第3層1313、1323の長さ方向長さが第2層1312、1322の長さ方向長さより長い場合が示されている。これにより、第1面110aで、第3層1313、1323は第2層1312、1322を全て覆うように配置できる。
【0100】
一方、図8では第1面110aで、第2層1312、1322の長さ方向長さが第3層1313、1323の長さ方向長さより長い場合が示されている。この場合、第1面110aで、第2層1312、1322は第3層1313、1323によって全て覆われず、第2層1312、1322の終端が露出されている。第2層1312、1322が導電性金属を含む場合、第2層1312、1322の上にも第4層1314、1324が配置できるが、第2層1312、1322が導電性金属を含まないか少量で含む場合、第2層1312、1322の上には第4層1314、1324が配置されず第2層1312、1322は最終的に露出されることもある。即ち、第1面110aで、第2層1312、1322の長さ方向長さは第1層1311、1321の長さ方向長さより長いか同じであり、第3層1313、1323の長さ方向長さは第2層1312、1322の長さ方向長さより短く、第4層1314、1324の長さ方向長さは第2層1312、1322の長さ方向長さより短いか同じであってもよい。この場合、基板に曲げが与えられる時、応力が凝集される位置に第1層1311、1321が位置することにより曲げ強度の追加改善が可能である。
【0101】
第1層1311、1321は焼結金属層であってもよい。焼結金属層は導電性金属およびガラスを含むことができる。
【0102】
一例として、焼結金属層は導電性金属として銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、これらの合金、またはこれらの組み合わせを含むことができ、例えば、銅(Cu)は銅(Cu)合金を含むことができる。導電性金属が銅を含む場合、銅以外の金属は銅100モル部に対して5モル部以下で含まれてもよい。
【0103】
一例として、焼結金属層はガラスで酸化物が混合された組成を含むことができ、例えばケイ素酸化物、ホウ素酸化物、アルミニウム酸化物、遷移金属酸化物、アルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物からなる群より選択された一つ以上であってもよい。遷移金属は亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、銅(Cu)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)およびニッケル(Ni)からなる群より選択され、アルカリ金属はリチウム(Li)、ナトリウム(Na)およびカリウム(K)からなる群より選択され、アルカリ土類金属はマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびバリウム(Ba)からなる群より選択された一つ以上であってもよい。
【0104】
焼結金属層で導電性金属とガラスの含量は特に限定されないが、例えば積層型キャパシタ100の幅方向(W軸方向)中央(1/2地点)から幅方向(W軸方向)に垂直に長さ方向と積層方向に切断した断面(L軸方向およびT軸方向断面)で導電性金属の面積比は焼結金属層1311、1321の単位面積に対して30%~90%、または70%~90%であってもよい。
【0105】
第2層1312、1322または第3層1313、1323は導電性樹脂層であってもよい。
【0106】
導電性樹脂層は樹脂および導電性金属を含む。
【0107】
導電性樹脂層に含まれる樹脂は接合性および衝撃吸収性を有し、導電性金属粉末と混合してペーストを作ることができるものであれば特に制限されず、例えばフェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、またはポリイミド樹脂を含むことができる。
【0108】
導電性樹脂層に含まれる導電性金属は、第1および第2内部電極121、122または焼結金属層と電気的に連結されるようにする役割を果たす。
【0109】
導電性樹脂層に含まれる導電性金属は、球形、フレーク形、またはこれらの組み合わせの形態を有することができる。即ち、導電性金属はフレーク形のみからなるか、球形のみからなってもよく、フレーク形と球形が混合された形態であってもよい。
【0110】
ここで、球形は完全な球形でない形態も含むことができ、例えば、長軸と短軸の長さ比率(長軸/短軸)が1.45以下である形態を含むことができる。フレーク形粉末は平たくて細長い形態を有する粉末を意味し、特に制限されるわけではないが、例えば、長軸と短軸の長さ比率(長軸/短軸)が1.95以上であってもよい。
【0111】
導電性樹脂層は、導電性金属として銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、またはこれらの混合物を含むことができる。導電性樹脂層が銀(Ag)を含む場合、イオンマイグレーション(ion migration)によって積層型キャパシタ100表面に銀(Ag)デンドライト(dendrite)が形成されることがあるので、銅(Cu)を使用することによって第1外部電極131および第2外部電極132で貴金属の使用量を最少化させることによってイオンマイグレーションの発生を防止するか遅延させることができる。
【0112】
一方、積層型キャパシタ100の幅方向(W軸方向)中央(1/2地点)から幅方向(W軸方向)に垂直に長さ方向と積層方向に切断した断面(L軸方向およびT軸方向断面)で、第2層1312、1322に含まれている樹脂の面積比(%)と第3層1313、1323に含まれている樹脂の面積比(%)は異なる。
【0113】
一例として、積層型キャパシタ100の幅方向(W軸方向)中央(1/2地点)から幅方向(W軸方向)に垂直に長さ方向と積層方向に切断した断面(L軸方向およびT軸方向断面)で、第2層1312、1322に含まれている樹脂の面積比は第3層1313、1323に含まれている樹脂の面積比より大きくてもよい。即ち、第2層1312、1322に含まれている樹脂の含量が外側に配置される第3層1313、1323に含まれている樹脂の含量より多くてもよい。
【0114】
ここで、第2層1312、1322に含まれている樹脂の面積比は第2層1312、1322の単位面積に対する第2層1312、1322の単位面積に含まれている樹脂が占める面積の百分率(%)であり、第3層1313、1323に含まれている樹脂の面積比は第3層1313、1323の単位面積に対する第3層1313、1323の単位面積に含まれている樹脂が占める面積の百分率(%)であり得る。
【0115】
また、第2層1312、1322に含まれている樹脂の面積比は、前記SEMまたはSTEMなどの断面写真で第2層1312、1322内に位置する例えば10μm×60μm、または30μm×60μm大きさの単位面積内で測定することができる。単位面積は第2層1312、1322内任意の位置に配置できるが、単位面積全体は全て第2層1312、1322内に位置しなければならない。例えば、第3面110eで第2層1312、1322に含まれている樹脂の面積比を測定する場合、単位面積の長辺は厚さ方向(T軸方向)と平行で単位面積の短辺は長さ方向(L軸方向)と平行に配置されてもよく、第1面110aで第2層1312、1322に含まれている樹脂の面積比を測定する場合、単位面積の長辺は長さ方向(L軸方向)と平行で単位面積の短辺は厚さ方向(T軸方向)と平行に配置されてもよい。この時、第2層1312、1322の全体面積は単位面積の全体面積であり、第2層1312、1322に含まれている樹脂の面積は単位面積内に位置する樹脂の面積であり得る。
【0116】
同様に、第3層1313、1323に含まれている樹脂の面積比は、前記SEMまたはSTEMなどの断面写真で第3層1313、1323内に位置する例えば10μm×60μm、または30μm×60μm大きさの単位面積内で測定することができる。単位面積は第3層1313、1323内任意の位置に配置できるが、単位面積全体は全て第3層1313、1323内に位置しなければならない。例えば、第3面110eで第3層1313、1323に含まれている樹脂の面積比を測定する場合、単位面積の長辺は厚さ方向(T軸方向)と平行で単位面積の短辺は長さ方向(L軸方向)と平行に配置されてもよく、第1面110aで第3層1313、1323に含まれている樹脂の面積比を測定する場合、単位面積の長辺は長さ方向(L軸方向)と平行で単位面積の短辺は厚さ方向(T軸方向)と平行に配置されてもよい。この時、第3層1313、1323の全体面積は単位面積の全体面積であり、第3層1313、1323に含まれている樹脂の面積は単位面積内に位置する樹脂の面積であり得る。
【0117】
積層型キャパシタ100の曲げ強度を改善するための方法としては、第1外部電極131および第2外部電極132の材料を改善することによって応力を緩和させる方法、または応力緩和機能のある導電性樹脂層の厚さを増加させる方法がある。第1外部電極131および第2外部電極132の材料を改善する方法は導電性樹脂層内の樹脂含量を増加させて実現することができるが、導電性樹脂層内で樹脂の含量増加時発生される副作用によって樹脂含量に制限が存在する。例えば、樹脂含量増加時、導電性金属の含量減少によって積層型キャパシタ100の電気的連結性が低下することがあり、樹脂の含量増加によってメッキ不良が発生することがあり、メッキ不良および透湿が容易な樹脂の含量増加によって耐湿信頼性が低下することがある。
【0118】
よって、本側面による積層型キャパシタ100は、積層型キャパシタ100の下部4面、即ち、第1面110a、第3面110eまたは第4面110f、第5面110c、および第6面110dにのみ導電性樹脂層を含み、樹脂含量が互いに異なる2層の導電性樹脂層を含む。ここで、下部4面は基板に実装されて基板に曲げが加えられる場合に応力を受ける領域であり、下部4面にのみ樹脂電極を形成する場合、5面、即ち、第1面110a、第2面110b、第3面110eまたは第4面110f、第5面110c、および第6面110dに形成する場合より曲げ応力が集中される導電性樹脂層の厚さを増加させることができる。
【0119】
また、第1層1311、1321の外側に配置される第2層1312、1322は樹脂の含量を多くして第1外部電極131および第2外部電極132の接合力および曲げ強度特性を向上させ、第4層1314、1324と接するようになる第3層1313、1323は樹脂の含量を低くしてメッキ不良を解決することによって積層型キャパシタ100の信頼性を向上させることができる。
【0120】
これにより、本側面による積層型キャパシタ100によれば、第1外部電極131および第2外部電極132の軟性が増加して曲げ強度が向上することによって基板の曲げ発生時応力緩和が容易であり、第1外部電極131および第2外部電極132の焼結金属層と導電性樹脂層の密着力が増加して第1外部電極131および第2外部電極132の固着強度が向上し、第1外部電極131および第2外部電極132のメッキ層が緻密に形成されて耐湿信頼性が向上し、焼結金属層とメッキ層が直接連結されて電気的特性が向上する。
【0121】
一例として、積層型キャパシタ100の幅方向(W軸方向)中央(1/2地点)から幅方向(W軸方向)に垂直に長さ方向と積層方向に切断した断面(L軸方向およびT軸方向断面)で、第2層1312、1322の単位面積に対する第2層1312、1322の単位面積に含まれている樹脂の面積比は100%~60%であり、例えば70%~90%であってもよい。第2層1312、1322に含まれている樹脂の面積比が60%未満である場合、曲げ強度改善が低下することがある。第2層1312、1322に含まれている樹脂の面積比が100%である場合、第2層1312、1322は導電性金属を含まない。
【0122】
積層型キャパシタ100の幅方向(W軸方向)中央(1/2地点)から幅方向(W軸方向)に垂直に長さ方向と積層方向に切断した断面(L軸方向およびT軸方向断面)で、第2層1312、1322の単位面積に対する第2層1312、1322の単位面積に含まれている導電性金属の面積比は0%~40%であり、例えば30%~10%であってもよい。第2層1312、1322に含まれている導電性金属の面積比が40%を超える場合、曲げ強度改善が低下することがある。
【0123】
また、第2層1312、1322に含まれている樹脂の面積比が60%以上であることによって、第2層1312、1322に含まれている導電性金属の面積比は第2層1312、1322に含まれている樹脂の面積比より小さくてもよい。
【0124】
選択的に、第2層1312、1322は非導電性フィラーをさらに含むことができる。
【0125】
非導電性フィラーは、シリカ、ガラス系酸化物、またはこれらの組み合わせを含むことができる。ガラス系酸化物は例えば、ケイ素酸化物、ホウ素酸化物、アルミニウム酸化物、遷移金属酸化物、アルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物からなる群より選択された一つ以上であってもよい。遷移金属は亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、銅(Cu)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)およびニッケル(Ni)からなる群より選択され、アルカリ金属はリチウム(Li)、ナトリウム(Na)およびカリウム(K)からなる群より選択され、アルカリ土類金属はマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびバリウム(Ba)からなる群より選択された一つ以上であってもよい。
【0126】
第2層1312、1322で非導電性フィラーの含量は特に限定されないが、例えば積層型キャパシタ100の幅方向(W軸方向)中央(1/2地点)から幅方向(W軸方向)に垂直に長さ方向と積層方向に切断した断面(L軸方向およびT軸方向断面)で非導電性フィラーの面積比は第2層1312、1322の単位面積に対して0%~40%、または10%~30%であってもよい。非導電性フィラーの含量が40%を超える場合、曲げ強度改善が低下することがある。
【0127】
また、積層型キャパシタ100の幅方向(W軸方向)中央(1/2地点)から幅方向(W軸方向)に垂直に長さ方向と積層方向に切断した断面(L軸方向およびT軸方向断面)で、第3層1313、1323の単位面積に対する第3層1313、1323の単位面積に含まれている樹脂の面積比は60%~8%であり、例えば60%~40%であってもよい。第3層1313、1323に含まれている樹脂の面積比が8%未満である場合、樹脂と導電性金属が均一に混合されなくてペーストの製造が難しいことがあり、60%を超える場合、第3層1313、1323の上に第4層1314、1324をメッキ法で形成時、未メッキ領域が発生することがある。
【0128】
積層型キャパシタ100の幅方向(W軸方向)中央(1/2地点)から幅方向(W軸方向)に垂直に長さ方向と積層方向に切断した断面(L軸方向およびT軸方向断面)で、第3層1313、1323の単位面積に対する第3層1313、1323の単位面積に含まれている導電性金属の面積比は92%~40%であり、例えば40%~60%であってもよい。これにより、第3層1313、1323に含まれている導電性金属の面積比は第3層1313、1323に含まれている樹脂の面積比より大きくてもよい。
【0129】
第4層1314、1324はメッキ層であってもよい。
【0130】
メッキ層は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、タングステン(W)、チタン(Ti)または鉛(Pb)などの単独またはこれらの合金を含むことができる。一例として、メッキ層は、ニッケル(Ni)メッキ層またはスズ(Sn)メッキ層であってもよく、ニッケル(Ni)メッキ層およびスズ(Sn)メッキ層が順次に積層された形態であってもよく、スズ(Sn)メッキ層、ニッケル(Ni)メッキ層およびスズ(Sn)メッキ層が順次に積層された形態であってもよい。また、メッキ層は、複数のニッケル(Ni)メッキ層および/または複数のスズ(Sn)メッキ層を含むこともできる。
【0131】
メッキ層は、積層型キャパシタ100の基板との実装性、構造的信頼性、外部に対する耐久度、耐熱性および等価直列抵抗値(Equivalent Series Resistance、ESR)を改善することができる。
【0132】
他の実施形態による積層型キャパシタの製造方法は、誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディーを製造する段階、そしてキャパシタボディーの外側に外部電極を形成する段階を含む。
【0133】
まず、キャパシタボディーの製造について説明する。キャパシタボディーの製造工程では、焼成後に誘電体層になる誘電体用ペーストと、焼成後に内部電極になる導電性ペーストを準備する。
【0134】
誘電体用ペーストは例えば以下のような方法で製造する。
【0135】
セラミック材料を湿式混合などの手段によって均一に混合し、乾燥させた後、所定の条件で熱処理することによって、可塑粉末を得る。得られた可塑粉末に、有機ビヒクルまたは水系ビヒクルを追加して混練し誘電体用ペーストを調製する。
【0136】
得られた誘電体用ペーストをドクターブレード法などの技法によってシート化することによって、誘電体グリーンシートを得る。また、誘電体用ペーストには、必要によって各種分散剤、可塑剤、誘電体、副成分化合物、またはガラスなどから選択される添加物が含まれていてもよい。
【0137】
内部電極用導電性ペーストは、導電性金属またはその合金からなる導電性粉末とバインダーや溶剤を、混練して調製する。内部電極用導電性ペーストには、必要によって共材としてセラミック粉末(例えば、チタン酸バリウム粉末)が含まれてもよい。共材は焼成過程で導電性粉末の焼結を抑制する作用を果たすことができる。
【0138】
誘電体グリーンシート表面に、スクリーン印刷などの各種印刷法や転写法によって、内部電極用導電性ペーストを所定のパターンで塗布する。そして内部電極パターンを形成した誘電体グリーンシートを複数層にわたって積層した後、積層方向にプレスすることによって誘電体グリーンシート積層体を得る。この時、誘電体グリーンシート積層体の積層方向の上面および下面には、誘電体グリーンシートが位置するように、誘電体グリーンシートと内部電極パターンを積層することができる。
【0139】
選択的に、得られた誘電体グリーンシート積層体をダイシングなどによって所定の寸法に切断することができる。
【0140】
また、誘電体グリーンシート積層体は必要によって可塑剤などを除去するために固化乾燥することができ、固化乾燥後に水平遠心バレル研磨機などを用いてバレル研磨することができる。バレル研磨では、誘電体グリーンシート積層体を媒質(メディア)および研磨液と共に、バレル容器内に投入しそのバレル容器に対して回転運動や振動などを付与することによって、切断時に発生したバーなどの不必要部分を研磨することができる。また、バレル研磨後、誘電体グリーンシート積層体は水などの洗浄液で洗浄して乾燥することができる。
【0141】
誘電体グリーンシート積層体を脱バインダー処理および焼成処理してキャパシタボディーを得る。
【0142】
脱バインダー処理の条件は、誘電体層の主成分組成や内部電極の主成分組成によって適切に調節することができる。例えば、脱バインダー処理時の昇温速度は5℃/時間~300℃/時間、支持温度は180℃~400℃、温度維持時間は0.5時間~24時間であってもよい。脱バインダー雰囲気は、空気または還元性雰囲気であってもよい。
【0143】
焼成処理の条件は、誘電体層の主成分組成や内部電極の主成分組成によって適切に調節することができる。例えば、焼成時の温度は1200℃~1350℃、または1220℃~1300℃であってもよく、時間は0.5時間~8時間、または1時間~3時間であってもよい。焼成雰囲気は還元性雰囲気であってもよく、例えば、窒素ガス(N)と水素ガス(H)の混合ガスを加湿した雰囲気であってもよい。内部電極がニッケル(Ni)またはニッケル(Ni)合金を含む場合、焼成雰囲気中の酸素分圧は1.0×10-14MPa~1.0×10-10MPaであってもよい。
【0144】
焼成処理後には、必要によってアニーリングを実施することができる。アニーリングは誘電体層を再酸化させるための処理であり、焼成処理を還元性雰囲気で実施した場合には、アニーリングを実施することができる。アニーリング処理の条件も誘電体層の主成分組成などによって適切に調節することができる。例えば、アニーリング時の温度は950℃~1150℃であってもよく、時間は0時間~20時間であってもよく、昇温速度は50℃/時間~500℃/時間であってもよい。アニーリング雰囲気は加湿した窒素ガス(N)雰囲気であってもよく、酸素分圧は1.0×10-9MPa~1.0×10-5MPaであってもよい。
【0145】
脱バインダー処理、焼成処理、またはアニーリング処理で、窒素ガスや混合ガスなどを加湿するためには例えばウェッター(wetter)などを使用することができ、この場合、水温は5℃~75℃であってもよい。脱バインダー処理、焼成処理、およびアニーリング処理は連続して行うことができ、独立的に行うこともできる。
【0146】
選択的に、得られたキャパシタボディーの第3面および第4面に対して、サンドブラスティング処理、レーザ照射、またはバレル研磨などの表面処理を実施することができる。このような表面処理を実施することによって、第3面および第4面の最表面に第1内部電極および第2内部電極の端部が露出され、これにより第1外部電極および第2外部電極と第1内部電極および第2内部電極の電気的接合が良好になり、合金部が形成されやすくなり得る。
【0147】
選択的に、得られたキャパシタボディーの外面に、第1層形成用ペーストを塗布した後に焼結させて、第1層を形成することができる。
【0148】
第1層形成用ペーストは、導電性金属とガラスを含むことができる。導電性金属とガラスに関する説明は前述のものと同一なので、反復的な説明は省略する。また、第1層形成用ペーストは選択的にバインダー、溶剤、分散剤、可塑剤、または酸化物粉末などの副成分を含むことができる。例えば、バインダーはエチルセルロース、アクリル、またはブチラール(butyral)などを使用することができ、溶剤はテルピネオール、ブチルカルビトール、アルコール、メチルエチルケトン、アセトン、またはトルエンなどの有機溶剤や、水系溶剤を使用することができる。
【0149】
第1層形成用ペーストをキャパシタボディー外面に塗布する方法としてはディップ法、またはスクリーン印刷などの各種印刷法、ディスペンサーなどを用いた塗布法、またはスプレーを用いた噴霧法などを使用することができる。焼結金属層用ペーストは少なくともキャパシタボディーの第3面および第4面に塗布され、選択的に第1外部電極および第2外部電極のバンド部が形成される第1面、第2面、第5面、または第6面の一部にも塗布できる。
【0150】
その後、第1層形成用ペーストが塗布されたキャパシタボディーを乾燥させ、700℃~1000℃の温度で0.1時間~3時間焼結させて、第1層を形成する。
【0151】
得られたキャパシタボディーの外面に、第2層形成用ペーストを塗布した後に硬化させて、第2層を形成することができる。
【0152】
第2層形成用ペーストは、樹脂、および選択的に導電性金属または非導電性フィラーを含むことができる。導電性金属と樹脂に関する説明は前述のものと同一なので、反復的な説明は省略する。また、第2層形成用ペーストは選択的にバインダー、溶剤、分散剤、可塑剤、または酸化物粉末などの副成分を含むことができる。例えば、バインダーはエチルセルロース、アクリル、またはブチラール(butyral)などを使用することができ、溶剤はテルピネオール、ブチルカルビトール、アルコール、メチルエチルケトン、アセトン、またはトルエンなどの有機溶剤や、水系溶剤を使用することができる。
【0153】
一例として、第2層の形成方法は、第2層形成用ペーストにキャパシタボディー110をディッピングして形成した後に硬化させるか、導電性樹脂層用ペーストをキャパシタボディー110の表面にスクリーン印刷法またはグラビア印刷法などで印刷するか、導電性樹脂層用ペーストをキャパシタボディー110の表面に塗布した後に硬化させて形成することができる。
【0154】
但し、この時、第2層形成用ペーストは第1層の一部を覆い他の一部を露出させるように塗布することができる。例えば、第2層が第2面には位置せず、第1面、第3面の一部、第5面の一部、および第6面の一部に位置するように、第2層形成用ペーストを塗布することができる。
【0155】
その次に、第2層の上に第3層形成用ペーストを塗布した後に硬化させて、第3層を形成することができる。
【0156】
第3層形成用ペーストは、導電性金属と樹脂を含むことができる。導電性金属と樹脂に関する説明は前述のものと同一なので、反復的な説明は省略する。また、第3層形成用ペーストは選択的にバインダー、溶剤、分散剤、可塑剤、または酸化物粉末などの副成分を含むことができる。例えば、バインダーはエチルセルロース、アクリル、またはブチラール(butyral)などを使用することができ、溶剤はテルピネオール、ブチルカルビトール、アルコール、メチルエチルケトン、アセトン、またはトルエンなどの有機溶剤や、水系溶剤を使用することができる。
【0157】
一例として、第3層の形成方法は、第3層形成用ペーストにキャパシタボディー110をディッピングして形成した後に硬化させるか、導電性樹脂層用ペーストをキャパシタボディー110の表面にスクリーン印刷法またはグラビア印刷法などで印刷するか、導電性樹脂層用ペーストをキャパシタボディー110の表面に塗布した後に硬化させて形成することができる。
【0158】
但し、この時、第3層形成用ペーストを第2層を覆うように塗布することができる。例えば、第2層が第2面には位置せず、第1面、第3面の一部、第5面の一部、および第6面の一部に位置するように、第3層形成用ペーストを塗布することができる。
【0159】
この時、第2層形成用ペーストに含まれている樹脂の含量は第3層形成用ペーストに含まれている樹脂の含量より大きくてもよい。ここで、第2層形成用ペーストに含まれている樹脂の含量は第2層形成用ペーストで樹脂と導電性金属の合計体積に対する樹脂の体積の百分率(%)であり、第3層形成用ペーストに含まれている樹脂の含量は第3層形成用ペーストで樹脂と導電性金属の合計体積に対する樹脂の体積の百分率(%)であり得る。
【0160】
一例として、第2層形成用ペーストで、樹脂と導電性金属の合計体積に対する樹脂の含量は100体積%~60体積%、例えば70体積%~90体積%であってもよい。第2層形成用ペーストで樹脂の含量が60体積%未満である場合、曲げ強度改善が低下することがある。
【0161】
第2層形成用ペーストで、樹脂と導電性金属の合計体積に対する導電性金属の含量は樹脂の含量より小さくてもよい。一例として、第2層形成用ペーストで、導電性金属の含量は0体積%~40体積%であり、例えば10体積%~30体積%であってもよい。第2層形成用ペーストで導電性金属の含量が40体積%を超える場合、曲げ強度改善が低下することがある。
【0162】
一例として、第3層形成用ペーストで、樹脂と導電性金属の合計体積に対する樹脂の含量は60体積%~8体積%、例えば60体積%~40体積%であってもよい。第3層形成用ペーストで樹脂の含量が60体積%超である場合、電気的連結性が低下することがあり、8体積%未満である場合、耐湿信頼性が低下することがある。
【0163】
第3層形成用ペーストで、樹脂と導電性金属の合計体積に対する導電性金属の含量は樹脂の含量より大きくてもよい。一例として、第3層形成用ペーストで、導電性金属の含量は92体積%~40体積%、例えば40体積%~60体積%であってもよい。第3層形成用ペーストで導電性金属の含量が40体積%未満である場合、電気的連結性が低下することがあり、92体積%を超える場合、耐湿信頼性が低下することがある。
【0164】
その次に、第3層の外側に第4層を形成する。
【0165】
一例として、第4層はメッキ法によって形成することもでき、スパッタまたは電解メッキ(Electric Deposition)によって形成することもできる。
【0166】
以上を通じて本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるのではなく、請求範囲と発明の説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属するのは当然である。
【符号の説明】
【0167】
100:積層型キャパシタ
110:キャパシタボディー
111:誘電体層
121:第1内部電極
122:第2内部電極
131:第1外部電極
132:第2外部電極
1311、1321:第1層
1312、1322:第2層
1313、1323:第3層
1314、1324:第4層
110a、110b:第1および第2面
110e、110f:第3および第4面
110c、110d:第5および第6面
131a、132a:第1電極部
131b、132b:第2電極部
131c、132c:第3電極部
131e、132e:第4電極部
131c1、132c1:第1領域
131c2、132c2:第2領域
131e1、132e1:第1領域
131e2、132e2:第2領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8