(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096118
(43)【公開日】2024-07-12
(54)【発明の名称】積層型キャパシタおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
H01G4/30 515
H01G4/30 201L
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023222840
(22)【出願日】2023-12-28
(31)【優先権主張番号】10-2023-0000158
(32)【優先日】2023-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0029331
(32)【優先日】2023-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0095098
(32)【優先日】2023-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】李 孝柱
(72)【発明者】
【氏名】金 珍友
(72)【発明者】
【氏名】尹 碩▲ヒョン▼
(72)【発明者】
【氏名】田 喜善
(72)【発明者】
【氏名】金 兌炯
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AE02
5E001AE03
5E001AE04
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE01
5E082FF05
5E082FG26
5E082GG10
(57)【要約】
【課題】誘電体材料のバンドギャップが大きくなりながらコアとシェルの間のポテンシャル障壁が増加されることによって、高温で耐電圧特性に優れ高い誘電率を維持することができ、高温および高圧での信頼性が向上した積層型キャパシタを提供する。
【解決手段】一側面による積層型キャパシタは、誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディーと、キャパシタボディーの外側に配置される外部電極と、を含み、誘電体層は複数の誘電体結晶粒を含み、複数の誘電体結晶粒のうちの少なくとも一つ以上はコア-シェル構造を有し、シェルはハフニウム(Hf)を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディーと、
前記キャパシタボディーの外側に配置される外部電極と、を含み、
前記誘電体層は複数の誘電体結晶粒を含み、
前記複数の誘電体結晶粒のうちの少なくとも一つ以上はコア-シェル構造を有し、
前記シェルはハフニウム(Hf)を含み、
前記コア-シェル構造を有する誘電体結晶粒に対して透過電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分析(TEM-EDX)を用いた線(line)分析時、前記コアの中心からいずれか一方の結晶粒界までの結果中、前記シェルにおいて前記シェルの全体原子に対する前記ハフニウムの原子%が最も大きい第1ピークが前記結晶粒界よりも前記コア側の近くに位置する、
積層型キャパシタ。
【請求項2】
前記シェルの結晶粒界で前記ハフニウムの原子%は前記第1ピークより小さい、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項3】
前記シェルは前記ハフニウムの原子%が2番目に大きい第2ピークを有し、前記第2ピークは前記第1ピークと前記結晶粒界の間に位置する、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項4】
前記第1ピークでのハフニウムの原子%をNHf、1st-peak、
前記第2ピークでのハフニウムの原子%をNHf、2nd-peak、
前記結晶粒界でのハフニウムの原子%をNHf、GBという時、
NHf、1st-peak>NHf、2nd-peak>NHf、GBを満足する、請求項3に記載の積層型キャパシタ。
【請求項5】
前記シェルにおいて前記ハフニウムの原子%は、
前記コアと前記シェルの境界から前記第1ピークまで増加し、
前記第1ピークを過ぎた後、前記第2ピークまで増加し、
前記第2ピークから前記結晶粒界まで減少する、請求項3に記載の積層型キャパシタ。
【請求項6】
前記第1ピークでのハフニウムの原子%をNHf、1st-peak、
前記第1ピークと前記結晶粒界の間の中間地点でのハフニウムの原子%をNHf、middle、
前記結晶粒界でのハフニウムの原子%をNHf、GBという時、
NHf、1st-peak>NHf、middle>NHf、GBを満足する、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項7】
前記シェルにおいて前記ハフニウムの原子%は、
前記コアと前記シェルの境界から前記第1ピークまで増加し、
前記第1ピークを過ぎた後、前記中間地点まで減少するか一定であり、
前記中間地点から前記結晶粒界まで減少する、請求項6に記載の積層型キャパシタ。
【請求項8】
前記第1ピークは、前記コアと前記シェルの境界から10nm以内に位置する、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項9】
前記誘電体結晶粒は主成分としてBaTiO3を含み、
副成分としてハフニウム(Hf)と、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、またはこれらの組み合わせをさらに含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項10】
前記ハフニウム(Hf)は前記BaTiO3にドーピング(doping)された、請求項9に記載の積層型キャパシタ。
【請求項11】
前記コアはBaTiO3を含み、
前記シェルはBa(Ti、Hf)O3を含む、請求項10に記載の積層型キャパシタ。
【請求項12】
前記シェルは前記主成分100モル部に対して前記副成分全体を0.1モル部超過30.0モル部以下で含み、
前記コアは前記主成分100モル部に対して前記副成分全体を0.1モル部以下で含む、請求項9に記載の積層型キャパシタ。
【請求項13】
前記誘電体結晶粒の平均結晶粒大きさは50nm以上300nm以下である、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項14】
ハフニウム(Hf)がドーピングされた誘電体粉末を製造する段階と、
前記誘電体粉末を用いて誘電体グリーンシートを製造し、前記誘電体グリーンシート表面に導電性ペースト層を形成する段階と、
前記導電性ペースト層が形成された誘電体グリーンシートを積層して誘電体グリーンシート積層体を製造する段階と、
前記誘電体グリーンシート積層体を焼成して誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディーを製造する段階と、
前記キャパシタボディーの一面に外部電極を形成する段階と、を含み、
前記誘電体層は複数の誘電体結晶粒を含み、
前記複数の誘電体結晶粒のうちの少なくとも一つ以上はコア-シェル構造を有し、
前記シェルはハフニウム(Hf)を含み、
前記コア-シェル構造を有する誘電体結晶粒に対して透過電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分析(TEM-EDX)を用いた線(line)分析時、前記コアの中心からいずれか一方の結晶粒界までの結果中、前記シェルにおいて前記シェルの全体原子に対する前記ハフニウムの原子%が最も大きい第1ピークが前記結晶粒界よりも前記コア側の近くに位置する、
積層型キャパシタの製造方法。
【請求項15】
前記ハフニウム(Hf)がドーピングされた誘電体粉末はコア-シェル構造を有する、請求項14に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【請求項16】
前記コアはBaTiO3を含み、
前記シェルはBa(Ti、Hf)O3を含む、請求項15に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【請求項17】
前記ハフニウム(Hf)の原子%は、前記誘電体粉末全体を基準にして3原子%以下である、請求項15に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【請求項18】
前記ハフニウム(Hf)がドーピングされた誘電体粉末は180℃以上で水熱合成によって製造される、請求項14に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は積層型キャパシタおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、自動車用電気装置部品に対する開発が速い速度で行われている。電気装置部品のうちの一つである積層型キャパシタ(Multi-Layered Ceramic Capacitor;MLCC)は小型でありながらも高容量が可能であるという長所を有していて多様な電子製品の部品として使用されている。
【0003】
自動車用電気装置部品に適用される積層型キャパシタはエンジンや変速機などに適用することができるため、一般的な積層型キャパシタとは異なり、150℃以上の高温でも容量実現が可能でなければならず高温でも高い信頼性が要求される。
【0004】
高温で高い信頼性と誘電率実現のために多様な添加材を誘電体母材に投入しているが、誘電体母材に添加材を均一に投入する方法に困難があって自動車用電気装置部品用積層型キャパシタの開発に限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の一側面は、誘電体材料のバンドギャップ(band gap)が大きくなりながらコアとシェルの間のポテンシャル障壁(potential barrier)が増加されることによって、高温で耐電圧特性に優れ高い誘電率を維持することができ、高温および高圧での信頼性が向上した積層型キャパシタを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一側面による積層型キャパシタは誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディーと、キャパシタボディーの外側に配置される外部電極と、を含み、誘電体層は複数の誘電体結晶粒を含み、複数の誘電体結晶粒のうちの少なくとも一つ以上はコア-シェル構造を有し、シェルはハフニウム(Hf)を含む。
【0007】
コア-シェル構造を有する誘電体結晶粒に対して透過電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分析(TEM-EDX)を用いた線(line)分析時、コアの中心からいずれか一方の結晶粒界までの結果中、シェルにおいてシェルの全体原子に対するハフニウムの原子%が最も大きい第1ピークが結晶粒界よりもコア側の近くに位置する。
【0008】
シェルの結晶粒界でハフニウムの原子%は第1ピークより小さくてもよい。
【0009】
シェルはハフニウムの原子%が2番目に大きい第2ピークを有し、第2ピークは第1ピークと結晶粒界の間に配置できる。
【0010】
第1ピークでのハフニウムの原子%をNHf、1st-peak、第2ピークでのハフニウムの原子%をNHf、2nd-peak、結晶粒界でのハフニウムの原子%をNHf、GBという時、NHf、1st-peak>NHf、2nd-peak>NHf、GBを満足することができる。
【0011】
シェルにおいてハフニウムの原子%はコアとシェルの境界から第1ピークまで増加し、第1ピークを過ぎた後、第2ピークまで増加し、第2ピークから結晶粒界まで減少できる。
【0012】
第1ピークでのハフニウムの原子%をNHf、1st-peak、第1ピークと結晶粒界の間の中間地点でのハフニウムの原子%をNHf、middle、結晶粒界でのハフニウムの原子%をNHf、GBという時、NHf、1st-peak>NHf、middle>NHf、GBを満足することができる。
【0013】
シェルにおいてハフニウムの原子%はコアとシェルの境界から第1ピークまで増加し、第1ピークを過ぎた後、中間地点まで減少するか一定であり、中間地点から結晶粒界まで減少できる。
【0014】
第1ピークは、コアとシェルの境界から10nm以内に配置できる。
【0015】
誘電体結晶粒は主成分としてBaTiO3を含み、副成分としてハフニウム(Hf)と、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、またはこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0016】
ハフニウム(Hf)は、BaTiO3にドーピング(doping)できる。
【0017】
コアはBaTiO3を含み、シェルはBa(Ti、Hf)O3を含むことができる。
【0018】
シェルは、主成分100モル部に対して副成分全体を0.1モル部超過30.0モル部以下で含むことができる。
【0019】
コアは主成分100モル部に対して副成分全体を0.1モル部以下で含むことができる。
【0020】
誘電体結晶粒の平均結晶粒大きさは50nm以上300nm以下であってもよい。
【0021】
他の側面による積層型キャパシタの製造方法は、ハフニウム(Hf)がドーピングされた誘電体粉末を製造する段階と、誘電体粉末を用いて誘電体グリーンシートを製造し、誘電体グリーンシート表面に導電性ペースト層を形成する段階と、導電性ペースト層が形成された誘電体グリーンシートを積層して誘電体グリーンシート積層体を製造する段階と、誘電体グリーンシート積層体を焼成して誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディーを製造する段階と、キャパシタボディーの一面に外部電極を形成する段階と、を含むことができる。
【0022】
誘電体層は複数の誘電体結晶粒を含み、複数の誘電体結晶粒のうちの少なくとも一つ以上はコア-シェル構造を有し、シェルはハフニウム(Hf)を含む。
【0023】
コア-シェル構造を有する誘電体結晶粒に対して透過電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分析(TEM-EDX)を用いた線(line)分析時、コアの中心からいずれか一方の結晶粒界までの結果中、シェルにおいてシェルの全体原子に対するハフニウムの原子%が最も大きい第1ピークが結晶粒界よりもコア側の近くに位置する。
【0024】
ハフニウム(Hf)がドーピングされた誘電体粉末はコア-シェル構造を有することができる。
【0025】
コアはBaTiO3を含み、シェルはBa(Ti、Hf)O3を含むことができる。
【0026】
ハフニウム(Hf)の原子%は、誘電体粉末全体を基準にして3原子%以下であってもよい。
【0027】
ハフニウム(Hf)がドーピングされた誘電体粉末は180℃以上で水熱合成によって製造することができる。
【発明の効果】
【0028】
一側面による積層型キャパシタによれば、誘電体材料のバンドギャップ(band gap)が大きくなりながらコアとシェルの間のポテンシャル障壁(potential barrier)が増加されることによって、高温で耐電圧特性に優れ高い誘電率を維持することができ、高温および高圧での信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】一実施形態による積層型キャパシタを示す斜視図である。
【
図2】
図1のI-I’線に沿って切断した積層型キャパシタの断面図である。
【
図3】
図1のキャパシタボディーで内部電極の積層構造を示した分離斜視図である。
【
図4】誘電体結晶粒の構成と誘電体結晶粒内で位置によるハフニウム(Hf)の含量変化グラフを共に示した図である。
【
図6】実施例1で製造された誘電体結晶粒の透過電子顕微鏡(TEM)写真と誘電体結晶粒内で位置によるハフニウム(Hf)の含量をエネルギー分散型X線分析(EDX)で測定した結果を示すグラフである。
【
図7】比較例2で製造された誘電体結晶粒の透過電子顕微鏡(TEM)写真と誘電体結晶粒内で位置によるハフニウム(Hf)の含量をエネルギー分散型X線分析(EDX)で測定した結果を示すグラフである。
【
図8】実施例1、比較例1および比較例2で製造された誘電体の温度による誘電特性を示すグラフである。
【
図9】実施例1、比較例1および比較例2で製造された誘電体の温度による誘電特性を示すグラフである。
【
図10】実施例1で製造された誘電体の耐電圧特性を示すグラフである。
【
図11】比較例1で製造された誘電体の耐電圧特性を示すグラフである。
【
図12】比較例2で製造された誘電体の耐電圧特性を示すグラフである。
【
図13】実施例1の誘電体を使用して製造された積層型キャパシタの断面サンプルでアクティブ領域の誘電体層を透過電子顕微鏡(TEM)で観察した写真である。
【
図14】
図13でハフニウム(Hf)の含量をエネルギー分散型X線分析(EDX)で測定した結果を示す写真である。
【
図15】
図14で観察されたコア-シェル構造を有する誘電体結晶粒を透過電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分析(TEM-EDX)を用いて線(line)分析した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付した図面を参照して本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように本発明の実施形態を詳しく説明する。図面で本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一な参照符号を付けた。また、添付された図面は本明細書に開示された実施形態を容易に理解することができるようにするためのものに過ぎず、添付された図面によって本明細書に開示された技術的な思想が制限されず、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むと理解されなければならない。
【0031】
第1、第2などのように序数を含む用語は多様な構成要素を説明するのに使用できるが、前記構成要素は前記用語によって限定されない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的としてのみ使用される。
【0032】
ある構成要素が他の構成要素に“連結されて”または“接続されて”いると言及された時には、その他の構成要素に直接的に連結されているか、接続されているか、または対向していることもあるが、中間に他の構成要素が存在することもあると理解されなければならないはずである。反面、ある構成要素が他の構成要素に“直接連結されて”または“直接接続されて”いると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないと理解されなければならないはずである。
【0033】
明細書全体で、“含む”または“有する”などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするのであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないと理解されなければならない。したがって、ある部分がある構成要素を“含む”という時、これは特に反対になる記載がない限り他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含むことができるのを意味する。
【0034】
図1は一実施形態による積層型キャパシタ100を示す斜視図であり、
図2は
図1のI-I’線に沿って切断した積層型キャパシタ100の断面図であり、
図3は
図1のキャパシタボディー110で内部電極の積層構造を示した分離斜視図である。
【0035】
本実施形態を明確に説明するために方向を定義すれば、図面に表示されたL軸、W軸およびT軸はそれぞれキャパシタボディー110の長さ方向、幅方向および厚さ方向を示す。ここで、厚さ方向(T軸方向)はシート形状の構成要素の広い面(主面)に垂直な方向であってもよく、一例として誘電体層111が積層される積層方向と同一な概念として使用できる。長さ方向(L軸方向)はシート形状の構成要素の広い面(主面)に平行に延長される方向に厚さ方向(T軸方向)と大略的に垂直な方向であってもよく、一例として両側に第1外部電極131および第2外部電極132が位置する方向であってもよい。幅方向(W軸方向)はシート形状の構成要素の広い面(主面)に平行に延長される方向に厚さ方向(T軸方向)および長さ方向(L軸方向)と大略的に垂直な方向であってもよく、シート形状の構成要素の長さ方向(L軸方向)の長さは幅方向(W軸方向)の長さよりさらに長くてもよい。
【0036】
図1~
図3を参照すれば、本実施形態による積層型キャパシタ100は、キャパシタボディー110と、キャパシタボディー110の長さ方向(L軸方向)に対向する両端に配置される第1外部電極131および第2外部電極132と、を含むことができる。
【0037】
キャパシタボディー110は一例として、大略的な六面体形状であってもよい。
【0038】
本実施形態では説明の便宜のために、キャパシタボディー110で厚さ方向(T軸方向)に互いに対向する両面を第1面および第2面と、第1面および第2面と連結され長さ方向(L軸方向)に互いに対向する両面を第3面および第4面と、第1面および第2面と連結され第3面および第4面と連結され幅方向(W軸方向)に互いに対向する両面を第5面および第6面と定義することにする。
【0039】
一例として、下面である第1面が実装方向に向かう面になり得る。また、第1面~第6面は平らであってもよいが、本実施形態がこれに限定されるのではなく、例えば、第1面~第6面は中央部が凸の曲面であってもよく、各面の境界である角はラウンド(round)されていてもよい。
【0040】
キャパシタボディー110の形状、寸法および誘電体層111の積層数が本実施形態の図面に示されたもので限定されるのではない。
【0041】
キャパシタボディー110は複数の誘電体層111を厚さ方向(T軸方向)に積層した後に焼成したものであって、複数の誘電体層111と誘電体層111を挟んで厚さ方向(T軸方向)に交互に配置される第1内部電極121および第2内部電極122を含む。
【0042】
この時、キャパシタボディー110の互いに隣接するそれぞれの誘電体層111の間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を使用せずに確認することが困難な程度に一体化できる。
【0043】
また、キャパシタボディー110は、アクティブ領域とカバー領域112、113を含むことができる。
【0044】
アクティブ領域は、積層型キャパシタ100の容量形成に寄与する部分である。一例として、アクティブ領域は、厚さ方向(T軸方向)に沿って積層される第1内部電極121または第2内部電極122が重畳(overlap)した領域であってもよい。
【0045】
カバー領域112、113は、厚さ方向マージン部として厚さ方向(T軸方向)にアクティブ領域の第1面および第2面側にそれぞれ配置できる。このようなカバー領域112、113は、単一誘電体層111または二つ以上の誘電体層111がアクティブ領域の上面および下面にそれぞれ積層されたものであってもよい。
【0046】
また、キャパシタボディー110は、側面カバー領域をさらに含むことができる。側面カバー領域は、幅方向マージン部として幅方向(W軸方向)にアクティブ領域の第5面および第6面側にそれぞれ配置できる。このような側面カバー領域は、誘電体グリーンシート表面に内部電極形成用導電性ペースト層を塗布する時、誘電体グリーンシート表面の一部領域にのみ導電性ペースト層を塗布し、誘電体グリーンシート表面の両方の側面には導電性ペースト層を塗布していない誘電体グリーンシートを積層した後、焼成することによって形成することができる。
【0047】
カバー領域112、113と側面カバー領域は、物理的または化学的ストレスによる第1内部電極121および第2内部電極122の損傷を防止する役割を果たす。
【0048】
図4は、誘電体層111の誘電体結晶粒1111の構成と誘電体結晶粒1111内で位置によるハフニウム(Hf)の含量変化グラフを共に示した図である。以下、
図4を参照して、誘電体層111を詳細に説明する。
【0049】
誘電体層111は、複数の誘電体結晶粒1111を含む。
【0050】
誘電体結晶粒1111は、主成分と副成分を含む。
【0051】
主成分は、BamTiO3(0.995≦m≦1.010)、(Ba1-XCax)m(Ti1-yZry)O3(0.995≦m≦1.010、0≦x≦0.10、0<y≦0.20)、Bam(Ti1-xZrx)O3(0.995≦m≦1.010、x≦0.10)、(Ba1-XCax)m(Ti1-ySny)O3(0.995≦m≦1.010、0≦x≦0.10、0<y≦0.20)、またはこれらの組み合わせを含む誘電材料であってもよい。
【0052】
副成分は、ハフニウム(Hf)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0053】
また、副成分は、ランタン(La)、イットリウム(Y)、アクチニウム(Ac)、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、またはこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0054】
誘電体結晶粒1111内で主成分に対する副成分のモル比率が互いに異なる部分が存在し、一例として複数の誘電体結晶粒1111のうちの少なくとも一つ以上はコア-シェル(core-shell)構造を有することができる。コア-シェル構造を有する誘電体結晶粒1111は、1つの誘電体結晶粒1111内に誘電体コア1111aおよびコア1111aの少なくとも一部を囲むシェル1111bを含む。
【0055】
コア1111aとシェル1111bは主成分に対する副成分のモル比率が互いに異なり、例えば、コア1111aとシェル1111bの境界で主成分に対する副成分のモル比率が急激に変化できる。これにより、コア1111aとシェル1111bの境界を容易に区分することができ、透過電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分析(TEM-EDX)を通じてこれを確認することができる。
【0056】
一例として、キャパシタボディー110のW軸方向の中央からL軸方向およびT軸方向に切断した断面で、アクティブ領域中央に位置した誘電体層111の誘電体結晶粒1111を透過電子顕微鏡(TEM、Transmission Electron Microscope)に設定されたEDS(Energy Disperse X-Ray Spectrometer)を用いた線(line)分析時、誘電体結晶粒1111のコア1111a中心から誘電体結晶粒1111のいずれか一方の結晶粒界方向に、副成分全体含量が急激に増加し始める部分をコア1111aとシェル1111bの境界にして、コア1111aとシェル1111bを区分することができる。一例として、後述のように、誘電体結晶粒1111のコア1111a中心から誘電体結晶粒1111のいずれか一方の結晶粒界方向に、副成分全体含量がコア1111aは主成分100モル部に対して0.1モル部以下から30.0モル部以下に急激に増加できる。
【0057】
ここで、コア1111a中心は、コア1111aの最大長軸とこれに直交する短軸のうちの最大短軸が接する点と決定することができる。また、EDS(Energy Disperse X-Ray Spectrometer)線(line)分析は、誘電体結晶粒1111のコア1111a中心を過ぎる最大長軸に沿って行うことができる。または、透過電子顕微鏡イメージを二進化するなどの方法で、明暗差がある部分を区分してコア1111aとシェルSの境界またはシェルSと結晶粒界GBの境界を定義することもできる。
【0058】
一例として、コア1111aは主成分100モル部に対して副成分全体を0.1モル部以下で含み、シェル1111bは主成分100モル部に対して副成分全体を0.1モル部超過30.0モル部以下、または0.1モル部超過20.0モル部以下で含むことができる。コア1111aが主成分100モル部に対して副成分を0.1モル部超過で含む場合、純粋な誘電体材料(例、BaTiO3)の材料的特性が変わることがあり、シェル1111bが主成分100モル部に対して副成分を0.1モル部以下で含む場合、温度による誘電率の変化幅が大きくなることがあり、30.0モル部超過で含む場合、初期絶縁抵抗が低まることがある。
【0059】
即ち、コア1111aには副成分が存在しないか、または存在しても微量のみが存在できる。したがって、コア1111aは不純物を含まず純粋な主成分のみからなり、純粋な主成分は一般に不純物元素がドーピングされた主成分に比べて高い誘電率を有することができる。これにより、コア1111aは誘電率を維持する役割を果たすことができる。
【0060】
シェル1111bは、副成分をコア1111aより多く含む。シェル1111bで主成分(ペロブスカイトABO3構造)のBサイト(site)にドーピングされた副成分は、他の希土類およびドーピング元素が誘電体結晶粒1111内部に拡散するバンドギャップエネルギー(Band gap energy)を高める効果がある。これにより、他の希土類およびドーピング元素が誘電体結晶粒1111内部に拡散することを抑制する障壁(barrier)役割を果たすことができる。シェル1111bは、誘電体結晶粒1111が成長することを抑制する役割を果たして誘電体結晶粒1111の微粒化に寄与できる。また、シェル1111bで主成分のAサイト(site)にドーピングされた副成分は信頼性および誘電率を向上させる役割を果たすことができる。
【0061】
このような副成分のうちのハフニウム(Hf)を誘電体材料に添加する場合、誘電体材料のバンドギャップ(band gap)エネルギーが増加しながら漏れ電流(leakage current)を減少させることができる。しかし、ハフニウム(Hf)を誘電体材料に導入するためにHfO2を誘電体粉末と混合して高温で焼結する方法を使用する場合、HfO2の高い硬度によって解碎が難しいという工程上短所があり、HfO2の融点(melting point)が高くて誘電体材料内への均一な分散および拡散に困難がある。これにより、ハフニウム(Hf)が誘電体結晶粒1111内部よりは結晶粒界(grain boundary)側に非常に高い含量で導入できる。
【0062】
本実施形態では後述のように、HfO2を誘電体粉末と混合するのではなく、HfO2を誘電体材料の粉末状態でドーピングしてハフニウム(Hf)がドーピングされた誘電体粉末を製造した後、これを用いて誘電体層111を製造することによって、誘電体結晶粒1111内でハフニウム(Hf)の含量がコア1111aとシェル1111bの境界付近で最も高く、結晶粒界側に行くほど含量が減少する。
【0063】
ハフニウム(Hf)が誘電体結晶粒1111内のコア1111aとシェル1111b部分に多く存在すれば誘電体結晶粒1111のバンドギャップ(band gap)が大きくなりながらコア1111aとシェル1111bの間のポテンシャル障壁(potential barrier)が増加されることによって、高温で耐電圧特性に優れ高い誘電率を維持することができ、高温および高圧での信頼性が向上する。
【0064】
一例として、
図4を参照すれば、コア-シェル構造を有する誘電体結晶粒1111は透過電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分析(TEM-EDX)を用いた線(line)分析時、コア1111aの中心からいずれか一方の結晶粒界までの結果中、シェル1111bでシェル1111bの全体原子に対するハフニウムの原子%が最も大きい第1ピーク(N
Hf、1st-peak)が結晶粒界よりもコア1111a側の近くに位置する。
【0065】
この時、誘電体結晶粒1111内で位置によるハフニウム(Hf)の含量はコア-シェル構造を有する誘電体結晶粒1111に対して透過電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分析(TEM-EDX)を用いた線(line)分析した結果中、各測定位置別に全体原子に対するハフニウム(Hf)原子の百分率(at%)で計算できる。
【0066】
また、透過電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分析(TEM-EDX)を用いた線(line)分析を誘電体結晶粒1111のコア1111a中心を過ぎる最大長軸に沿って行うと、コア1111a中心を基準にして両側方向にそれぞれ2つの透過電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分析(TEM-EDX)結果を得ることができ、ハフニウムの原子%が最も大きい第1ピーク(NHf、1st-peak)はこのうちの1つの透過電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分析(TEM-EDX)結果内のみで決定できる。
【0067】
第1ピーク(NHf、1st-peak)はコア1111aとシェル1111bの境界から10nm以内に配置できる。第1ピーク(NHf、1st-peak)がコア1111aとシェル1111bの境界から10nm以内に位置する場合、誘電体材料のバンドギャップ(band gap)が大きくなりながらコアとシェルの間のポテンシャル障壁(potential barrier)が増加されることによって、高温で耐電圧特性に優れ高い誘電率を維持することができ、高温および高圧での信頼性が向上する。
【0068】
シェル1111bは、ハフニウムの原子%が2番目に大きい第2ピーク(NHf、2nd-peak)を有することができる。第2ピーク(NHf、2nd-peak)は第1ピーク(NHf、1st-peak)と結晶粒界の間に配置できる。また、シェル1111bの結晶粒界でハフニウムの原子%は第1ピーク(NHf、1st-peak)より小さくてもよく、第2ピーク(NHf、2nd-peak)よりも小さくてもよい。
【0069】
即ち、第1ピークでのハフニウムの原子%をNHf、1st-peak、第2ピークでのハフニウムの原子%をNHf、2nd-peak、結晶粒界でのハフニウムの原子%をNHf、GBという時、NHf、1st-peak>NHf、2nd-peak>NHf、GBを満足することができる。
【0070】
例えば、シェル1111bでハフニウムの原子%は第1ピークおよび第2ピーク以外にも複数のピークを含むことができ、これらピークの最大点を連結する時、シェル1111bでハフニウムの原子%はコア1111aとシェル1111bの境界から第1ピークまで急激に増加し、第1ピークを過ぎた後、第2ピークまで増加した後、第2ピークから結晶粒界まで減少できる。
【0071】
一方、シェル1111bは、ハフニウムの原子%が2番目に大きい第2ピーク(NHf、2nd-peak)を有しなくてもよい。この時、第1ピーク(NHf、1st-peak)と結晶粒界の間には中間地点が配置できる。また、中間地点でハフニウムの原子%(NHf、middle)は第1ピーク(NHf、1st-peak)より小さくてもよく、シェル1111bの結晶粒界でハフニウムの原子%より大きくてもよい。
【0072】
即ち、第1ピークでのハフニウムの原子%をNHf、1st-peak、中間地点でのハフニウムの原子%をNHf、middle、結晶粒界でのハフニウムの原子%をNHf、GBという時、NHf、1st-peak>NHf、middle>NHf、GBを満足することができる。
【0073】
例えば、シェル1111bでハフニウムの原子%はコア1111aとシェル1111bの境界から第1ピークまで急激に増加し、第1ピークを過ぎた後、中間地点まで徐々に減少するか実質的に一定に維持された後、中間地点から結晶粒界まで減少できる。
【0074】
前述のように、HfO2を誘電体粉末と混合するのではなく、ハフニウム(Hf)がドーピングされた誘電体粉末を用いて誘電体層111を製造することにより、ハフニウム(Hf)は誘電体材料、例えばBaTiO3にドーピング(doping)されて存在できる。即ち、誘電体結晶粒1111のコア1111aはBaTiO3を含み、シェル1111bはBa(Ti、Hf)O3を含むことができる。
【0075】
コア-シェル構造を有する誘電体結晶粒1111の平均直径は100nm~1,000nmであり、コア-シェル構造を有する誘電体結晶粒1111が含むコア1111aの平均直径は50nm~500nmであってもよい。
【0076】
また、コア-シェル構造を有する誘電体結晶粒1111の平均直径に対するコア-シェル構造を有する誘電体結晶粒1111が含むコア1111aの平均直径の比率は30%~80%、例えば36%~78%であってもよい。
【0077】
また、コア-シェル構造を有する誘電体結晶粒1111の全体平均面積に対するコア-シェル構造を有する誘電体結晶粒1111が含むシェル1111bの平均面積の比率は20%~70%、例えば30%~70%であってもよい。
【0078】
一例として、誘電体層111の平均厚さは0.5μm~10μmであってもよい。
【0079】
一方、第1内部電極121と第2内部電極122は互いに異なる極性を有する電極であって、誘電体層111を挟んでT軸方向に沿って互いに対向するように交互に配置され、一端がキャパシタボディー110の第3および第4面を通じてそれぞれ露出できる。
【0080】
第1内部電極121と第2内部電極122は中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に絶縁できる。
【0081】
キャパシタボディー110の第3および第4面を通じて交互に露出される第1内部電極121および第2内部電極122の端部は、第1外部電極131および第2外部電極132とそれぞれ接続されて電気的に連結できる。
【0082】
第1内部電極121および第2内部電極122は導電性金属を含み、例えばNi、Cu、Ag、Pd、またはAuなどの金属やこれらの合金、例えば、Ag-Pd合金を含むことができる。
【0083】
また、第1内部電極121および第2内部電極122は、誘電体層111に含まれるセラミック材料と同一組成系の誘電体粒子を含むこともできる。
【0084】
第1内部電極121および第2内部電極122は、導電性金属を含む導電性ペーストを使用して形成することができる。導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができる。
【0085】
一例として、第1内部電極121および第2内部電極122の平均厚さは0.1μm~2μmであってもよい。
【0086】
第1外部電極131および第2外部電極132は互いに異なる極性の電圧が提供され、第1内部電極121および第2内部電極122の露出される部分とそれぞれ接続されて電気的に連結できる。
【0087】
前述のような構成により、第1外部電極131および第2外部電極132に所定の電圧を印加すると、互いに対向する第1内部電極121および第2内部電極122の間に電荷が蓄積される。この時、積層型キャパシタ100の静電容量はアクティブ領域でT軸方向に沿って互いに重畳する第1内部電極121および第2内部電極122のオーバーラップされた面積と比例するようになる。
【0088】
第1外部電極131および第2外部電極132は、キャパシタボディー110の第3および第4面にそれぞれ配置されて第1内部電極121および第2内部電極122と接続される第1および第2接続部と、キャパシタボディー110の第3および第4面と、第1および第2面または第5および第6面が接する角に配置される第1および第2バンド部をそれぞれ含むことができる。
【0089】
第1および第2バンド部は、第1および第2接続部からキャパシタボディー110の第1および第2面または第5および第6面の一部までそれぞれ延長できる。第1および第2バンド部は、第1外部電極131および第2外部電極132の固着強度を向上させる役割を果たすことができる。
【0090】
一例として、第1外部電極131および第2外部電極132はそれぞれキャパシタボディー110と接触する焼結金属層、焼結金属層を覆うように配置される伝導性樹脂層、および伝導性樹脂層を覆うように配置されるメッキ層を含むことができる。
【0091】
焼結金属層は、導電性金属およびガラスを含むことができる。
【0092】
一例として、焼結金属層は導電性金属として銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、これらの合金、またはこれらの組み合わせを含むことができ、例えば、銅(Cu)は銅(Cu)合金を含むことができる。導電性金属が銅を含む場合、銅以外の金属は銅100モル部に対して5モル部以下で含まれてもよい。
【0093】
一例として、焼結金属層はガラスで酸化物が混合された組成を含むことができ、例えばケイ素酸化物、ホウ素酸化物、アルミニウム酸化物、遷移金属酸化物、アルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物からなる群より選択された一つ以上であってもよい。遷移金属は亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、銅(Cu)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)およびニッケル(Ni)からなる群より選択され、アルカリ金属はリチウム(Li)、ナトリウム(Na)およびカリウム(K)からなる群より選択され、アルカリ土類金属はマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびバリウム(Ba)からなる群より選択された一つ以上であってもよい。
【0094】
焼結金属層において導電性金属とガラスの含量は特に限定されないが、例えば、積層型キャパシタ100の厚さ方向(W軸方向)に垂直な断面(L軸方向およびT軸方向断面)で導電性金属の平均面積は焼結金属層の全体面積に対して30%~90%、または70%~90%であってもよい。
【0095】
選択的に、伝導性樹脂層は焼結金属層の上に形成され、例えば、焼結金属層を完全に覆う形態に形成できる。一方、第1外部電極131および第2外部電極132は焼結金属層を含まなくてもよく、この場合、伝導性樹脂層がキャパシタボディー110と直接接触できる。
【0096】
伝導性樹脂層はキャパシタボディー110の第1および第2面または第5および第6面に延長され、伝導性樹脂層がキャパシタボディー110の第1および第2面または第5および第6面に延長して配置された領域(即ち、バンド部)の長さは焼結金属層がキャパシタボディー110の第1面および第2面または第5および第6面に延長して配置された領域(即ち、バンド部)の長さより長くてもよい。即ち、伝導性樹脂層は焼結金属層の上に形成され、焼結金属層を完全に覆う形態に形成できる。
【0097】
伝導性樹脂層は、樹脂および導電性金属を含む。
【0098】
伝導性樹脂層に含まれる樹脂は接合性および衝撃吸水性を有し、導電性金属粉末と混合してペーストを作ることができるものであれば特に制限されず、例えば、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、またはポリイミド樹脂を含むことができる。
【0099】
伝導性樹脂層に含まれる導電性金属は、第1内部電極121および第2内部電極122または焼結金属層と電気的に連結されるようにする役割を果たす。
【0100】
伝導性樹脂層に含まれる導電性金属は、球形、フレーク形、またはこれらの組み合わせの形態を有することができる。即ち、導電性金属はフレーク形のみからなるか、球形のみからなってもよく、フレーク形と球形が混合された形態であってもよい。
【0101】
ここで、球形は完全な球形でない形態も含むことができ、例えば、長軸と短軸の長さ比率(長軸/短軸)が1.45以下である形態を含むことができる。フレーク形粉末は平たくて細長い形態を有する粉末を意味し、特に制限されるわけではないが、例えば、長軸と短軸の長さ比率(長軸/短軸)が1.95以上であってもよい。
【0102】
第1外部電極131および第2外部電極132は、伝導性樹脂層外側に配置されるメッキ層をさらに含むことができる。
【0103】
メッキ層は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、タングステン(W)、チタン(Ti)または鉛(Pb)などの単独またはこれらの合金を含むことができる。一例として、メッキ層は、ニッケル(Ni)メッキ層またはスズ(Sn)メッキ層であってもよく、ニッケル(Ni)メッキ層およびスズ(Sn)メッキ層が順次に積層された形態であってもよく、スズ(Sn)メッキ層、ニッケル(Ni)メッキ層およびスズ(Sn)メッキ層が順次に積層された形態であってもよい。また、メッキ層は、複数のニッケル(Ni)メッキ層および/または複数のスズ(Sn)メッキ層を含むこともできる。
【0104】
メッキ層は、積層型キャパシタ100の基板との実装性、構造的信頼性、外部に対する耐久度、耐熱性および等価直列抵抗値(Equivalent Series Resistance、ESR)を改善することができる。
【0105】
他の実施形態による積層型キャパシタの製造方法は、ハフニウム(Hf)がドーピングされた誘電体粉末を製造する段階と、誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディーを製造する段階と、キャパシタボディーの外側に外部電極を形成する段階と、を含む。
【0106】
まず、ハフニウム(Hf)がドーピングされた誘電体粉末を製造する方法について説明する。
【0107】
一例として、ハフニウム(Hf)がドーピングされた誘電体粉末は、水熱合成によって製造することができる。この時、水熱合成温度は180℃以上であってもよい。水熱合成温度が180℃未満である場合、ハフニウム(Hf)が溶解されなくて誘電体粉末にドーピングされず二次相に析出できる。
【0108】
【0109】
図5を参照すれば、製造されたハフニウム(Hf)がドーピングされた誘電体粉末200はコア-シェル構造を有することができる。即ち、ハフニウム(Hf)がドーピングされた誘電体粉末200のコア201はBaTiO
3を含み、シェル202はBa(Ti、Hf)O
3を含むことができる。
【0110】
ハフニウム(Hf)がドーピングされた誘電体粉末で、ハフニウムの原子%は誘電体粉末全体を基準にして3原子%以下であってもよい。ハフニウムの含量が3原子%を超過する場合、誘電体粉末に固溶されず、ハフニウム(Hf)を含む二次相を形成することができる。
【0111】
その次に、キャパシタボディーの製造について説明する。
【0112】
キャパシタボディーの製造工程では、焼成後に誘電体層になる誘電体用ペーストと焼成後に内部電極になる導電性ペーストを準備する。
【0113】
誘電体用ペーストは、例えば、以下のような方法で製造する。製造されたハフニウム(Hf)がドーピングされた誘電体粉末を湿式混合などの手段によって均一に混合し、乾燥させた後、所定の条件で熱処理することによって、可塑粉末を得る。得られた可塑粉末に、有機ビヒクルまたは水系ビヒクルを追加して混練し誘電体用ペーストを調製する。
【0114】
得られた誘電体用ペーストをドクターブレード法などの技法によってシート化することによって、誘電体グリーンシートを得る。また、誘電体用ペーストには、必要によって各種分散剤、可塑剤、誘電体、副成分化合物、またはガラスなどから選択される添加物が含まれていてもよい。
【0115】
内部電極用導電性ペーストは、導電性金属またはその合金からなる導電性粉末とバインダーや溶剤を、混練して調製する。内部電極用導電性ペーストには、必要によって共材としてセラミック粉末(例えば、チタン酸バリウム粉末)が含まれてもよい。共材は焼成過程で導電性粉末の焼結を抑制する作用を果たすことができる。
【0116】
誘電体グリーンシート表面に、スクリーン印刷などの各種印刷法や転写法によって、内部電極用導電性ペーストを所定のパターンで塗布する。そして内部電極パターンを形成した誘電体グリーンシートを複数層にわたって積層した後、積層方向にプレスすることによって誘電体グリーンシート積層体を得る。この時、誘電体グリーンシート積層体の積層方向の上面および下面には、誘電体グリーンシートが位置するように、誘電体グリーンシートと内部電極パターンを積層することができる。
【0117】
選択的に、得られた誘電体グリーンシート積層体をダイシングなどによって所定の寸法に切断することができる。
【0118】
また、誘電体グリーンシート積層体は必要によって可塑剤などを除去するために固化乾燥することができ、固化乾燥後に水平遠心バレル研磨機などを用いてバレル研磨することができる。バレル研磨では、誘電体グリーンシート積層体をメディアおよび研磨液と共に、バレル容器内に投入しそのバレル容器に対して回転運動や振動などを付与することによって、切断時に発生したバーなどの不必要部分を研磨することができる。また、バレル研磨後、誘電体グリーンシート積層体は水などの洗浄液で洗浄して乾燥することができる。
【0119】
誘電体グリーンシート積層体を脱バインダー処理および焼成処理してキャパシタボディーを得る。
【0120】
脱バインダー処理の条件は、誘電体層の主成分組成や内部電極の主成分組成によって適切に調節することができる。例えば、脱バインダー処理時の昇温速度は5℃/時間~300℃/時間、支持温度は180℃~400℃、温度維持時間は0.5時間~24時間であってもよい。脱バインダー雰囲気は、空気または還元性雰囲気であってもよい。
【0121】
焼成処理の条件は、誘電体層の主成分組成や内部電極の主成分組成によって適切に調節することができる。例えば、焼成時の温度は1200℃~1350℃、または1220℃~1300℃であってもよく、時間は0.5時間~8時間、または1時間~3時間であってもよい。焼成雰囲気は還元性雰囲気であってもよく、例えば、窒素ガス(N2)と水素ガス(H2)の混合ガスを加湿した雰囲気であってもよい。内部電極がニッケル(Ni)またはニッケル(Ni)合金を含む場合、焼成雰囲気中の酸素分圧は1.0×10-14MPa~1.0×10-10MPaであってもよい。
【0122】
焼成処理後には、必要によってアニーリングを実施することができる。アニーリングは誘電体層を再酸化させるための処理であり、焼成処理を還元性雰囲気で実施した場合には、アニーリングを実施することができる。アニーリング処理の条件も誘電体層の主成分組成などによって適切に調節することができる。例えば、アニーリング時の温度は950℃~1150℃であってもよく、時間は0時間~20時間であってもよく、昇温速度は50℃/時間~500℃/時間であってもよい。アニーリング雰囲気は加湿した窒素ガス(N2)雰囲気であってもよく、酸素分圧は1.0×10-9MPa~1.0×10-5MPaであってもよい。
【0123】
脱バインダー処理、焼成処理、またはアニーリング処理で、窒素ガスや混合ガスなどを加湿するためには例えばウェッター(wetter)などを使用することができ、この場合、水温は5℃~75℃であってもよい。脱バインダー処理、焼成処理、およびアニーリング処理は連続して行うことができ、独立的に行うこともできる。
【0124】
選択的に、得られたキャパシタボディーの第3および第4面に対して、サンドブラスティング処理、レーザ照射、またはバレル研磨などの表面処理を実施することができる。このような表面処理を実施することによって、第3および第4面の最表面に第1内部電極および第2内部電極の端部が露出され、これにより第1外部電極および第2外部電極と第1内部電極および第2内部電極の電気的接合が良好になり、合金部が形成されやすくなり得る。
【0125】
得られたキャパシタボディーの外面に、外部電極に焼結金属層形成用ペーストを塗布した後に焼結させて、焼結金属層を形成することができる。
【0126】
焼結金属層形成用ペーストは、導電性金属とガラスを含むことができる。導電性金属とガラスに関する説明は前述のものと同一なので、反復的な説明は省略する。また、焼結金属層形成用ペーストは選択的にバインダー、溶剤、分散剤、可塑剤、または酸化物粉末などの副成分を含むことができる。例えば、バインダーはエチルセルロース、アクリル、またはブチラール(butyral)などを使用することができ、溶剤はテルピネオール、ブチルカルビトール、アルコール、メチルエチルケトン、アセトン、またはトルエンなどの有機溶剤や、水系溶剤を使用することができる。
【0127】
焼結金属層形成用ペーストをキャパシタボディー外面に塗布する方法としては、ディップ法、またはスクリーン印刷などの各種印刷法、ディスペンサーなどを用いた塗布法、またはスプレーを用いた噴霧法などを使用することができる。焼結金属層用ペーストは少なくともキャパシタボディーの第3および第4面に塗布され、選択的に第1外部電極および第2外部電極のバンド部が形成される第1面、第2面、第5面、または第6面の一部にも塗布できる。
【0128】
その後、焼結金属層形成用ペーストが塗布されたキャパシタボディーを乾燥させ、700℃~1000℃の温度で0.1時間~3時間焼結させて、焼結金属層を形成する。
【0129】
選択的に、得られたキャパシタボディーの外面に、伝導性樹脂層形成用ペーストを塗布した後に硬化させて、伝導性樹脂層を形成することができる。
【0130】
伝導性樹脂層形成用ペーストは、樹脂、および選択的に導電性金属または非伝導性フィラーを含むことができる。導電性金属と樹脂に関する説明は前述のものと同一なので、反復的な説明は省略する。また、伝導性樹脂層形成用ペーストは選択的にバインダー、溶剤、分散剤、可塑剤、または酸化物粉末などの副成分を含むことができる。例えば、バインダーはエチルセルロース、アクリル、またはブチラール(butyral)などを使用することができ、溶剤はテルピネオール、ブチルカルビトール、アルコール、メチルエチルケトン、アセトン、またはトルエンなどの有機溶剤や、水系溶剤を使用することができる。
【0131】
一例として、伝導性樹脂層の形成方法は、伝導性樹脂層形成用ペーストにキャパシタボディー110をディッピングして形成した後に硬化させるか、伝導性樹脂層形成用ペーストをキャパシタボディー110の表面にスクリーン印刷法またはグラビア印刷法などで印刷するか、伝導性樹脂層形成用ペーストをキャパシタボディー110の表面に塗布した後に硬化させて形成することができる。
【0132】
その次に、伝導性樹脂層外側にメッキ層を形成する。
【0133】
一例として、メッキ層はメッキ法によって形成することができ、スパッタまたは電解メッキ(Electric Deposition)によって形成することもできる。
【0134】
以下では発明の具体的な実施例を提示する。但し、下記に記載された実施例は発明を具体的に例示するか説明するためのものに過ぎず、これによって発明の範囲が制限されてはならない。
【実施例0135】
[製造例1:誘電体の製造]
水熱合成方法でハフニウム(Hf)がドーピングされたBaTiO3を製造する。一例として、TiO2解膠ゾルとBaOHを高温で水熱合成してBaTiO3シード(seed)を製造した後、常温でHfO2とBaTiO3シードを混合する。ハフニウムとBaTiO3の全体モルに対してハフニウムをそれぞれ1モル%、3モル%、5モル%で投入し、シリコン(Si)およびジスプロシウム(Dy)を含む添加材を投入する。2時間程度混合し合成温度まで昇温した後、グレイン(grain)成長を行ってハフニウムがドーピングされたBaTiO3を製造する。
【0136】
ハフニウムの含量が3モル%超過ではHfO2関連二次相が生成されることが確認される。したがって、積層型キャパシタに適用するためにはハフニウムを3モル%以下でドーピングする。ハフニウムが1モル%ドーピングされているBaTiO3粉末の場合、TEM-EDSでBaTiO3コアとハフニウムがドーピングされたBaTiO3シェルからなるのを確認することができる。また、コアの大きさは100nm~120nmであり、シェルの厚さは10nm~20nmであるのを確認することができる。
【0137】
ハフニウムがドーピングされたBaTiO3粉末(Hf 1モル%)の誘電体(実施例1)の特性を確認するために、純粋なBaTiO3粉末に実施例1と同一な量の添加材を投入して誘電体(比較例1)を製造し、純粋なBaTiO3粉末99モル%とHfO21モル%を混合したゾルに同一な量の添加材を投入して誘電体(比較例2)を製造する。
【0138】
[実験例1:誘電体の特性測定]
実施例1、比較例1、および比較例2で製造された密度(density)が5.8g/cm3で同一な誘電体に対する走査電子顕微鏡(SEM)写真を確認した結果、比較例1で製造された誘電体はグレインの大きさ(grain size)が763nmである反面、実施例1で製造された誘電体はグレインの大きさが355nmであり、比較例2で製造された誘電体はグレインの大きさが298nmに抑制されているのを確認することができる。これは、ハフニウム(Hf)がグレイン成長を抑制して小さくて均一なグレイン大きさを実現することができるようにするためである。
【0139】
図6および
図7はそれぞれ実施例1および比較例2で製造された誘電体結晶粒の透過電子顕微鏡(TEM)写真と誘電体結晶粒内で位置によるハフニウム(Hf)の含量をエネルギー分散型X線分析(EDX)で測定した結果を示すグラフである。
【0140】
図6および
図7を参照すれば、ハフニウムがドーピングされたBaTiO
3粉末を適用した誘電体(実施例1)の場合、ハフニウムが均一にドーピングされており、反面、HfO
2を添加して焼結した誘電体(比較例2)の場合、HfO
2二次相が確認されハフニウムが結晶粒界(grain boundary)に存在することが確認される。
【0141】
また、
図6では、明暗差によってコアとシェルの境界およびシェルと結晶粒界の境界を確認することができる。
【0142】
一例として、実施例1および比較例2で製造された誘電体結晶粒を透過電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分析(TEM-EDX)を用いて線(line)分析した結果、実施例1で製造された誘電体結晶粒の場合、ハフニウムがコアとシェルの境界付近で最も高い含量を有し結晶粒界領域に行くほど含量が減少するのを確認することができる。反面、比較例2で製造された誘電体結晶粒の場合、ハフニウムが結晶粒界に主に存在するのを確認することができる。特定理論に拘束されようとするのではないが、HfO2の場合、融点(melting temperature)が高くて拡散が難しくて結晶粒(grain)内に拡散が抑制される反面、ハフニウムがドーピングされたBaTiO3粉末を使用する場合、ハフニウムが既にBaTiO3内に存在して結晶粒(grain)内に拡散が容易であるためである。
【0143】
図8および
図9は実施例1、比較例1および比較例2で誘電体の温度による誘電特性を示すグラフであり、表1に
図9のデータを整理する。
【0144】
【0145】
図8、
図9、および表1を参照すれば、実施例1で製造された誘電体はハフニウムが均一に多くドーピングされることによって誘電率と温度による変化率が最も低いのを確認することができる。キュリー温度の場合、比較例1で製造された誘電体は122℃であり、比較例2で製造された誘電体は118℃であり、実施例1で製造された誘電体は123℃である。実施例1で製造された誘電体はハフニウムがコアとシェルの境界付近に多く存在することによって、ハフニウムを含む場合にも低温でキュリー温度が移動することが防止されるのが分かる。
【0146】
図10~
図12はそれぞれ、実施例1、比較例1および比較例2で製造された誘電体層の耐電圧特性を示すグラフである。
【0147】
図10~
図12は、高温および高圧で誘電体の絶縁特性を比較するために180℃で電界を印加した結果である。比較例1で製造された誘電体は印加された電界によって直ちに不合格(fail)され、実施例1で製造された誘電体は電界0.57V/μmで不合格(fail)が発生し、比較例2で製造された誘電体は0.25V/μmで不合格(fail)が発生する。これにより、ハフニウムが結晶粒(grain)内に均一にドーピングされた誘電体は高温および高圧でも優れた絶縁特性を有するということを確認することができる。
【0148】
[製造例2:積層型キャパシタの製造]
誘電体母材としてハフニウムがドーピングされたBaTiO3粉末(Hf 1モル%)の誘電体(実施例1)と純粋なBaTiO3粉末に実施例1と同一な量の添加材を投入して製造した誘電体(比較例1)をそれぞれ使用し、エタノール/トルエンと分散剤(dispersant)およびバインダー(binder)を混合した後に機械的ミリング(milling)して誘電体用スラリーを製造する。
【0149】
製造された誘電体用スラリーをヘッド吐出方式のオンロール(on roll)成形コーター(coater)を用いて誘電体グリーンシートを製造する。
【0150】
誘電体グリーンシート表面にニッケル(Ni)を含む導電性ペースト層を印刷し、導電性ペースト層が形成された誘電体グリーンシート(横×縦×高さ=3.2mm×2.5mm×2.5mm)を積層および圧搾して誘電体グリーンシート積層体を製造する。
【0151】
誘電体グリーンシート積層体を400℃以下、窒素雰囲気で可塑工程を経て焼成温度1300℃以下、水素濃度1.0%H2以下の条件で焼成してキャパシタボディーを製造した後、キャパシタボディーの外側に外部電極を形成して積層型キャパシタを製造する。
【0152】
[実験例2:積層型キャパシタの性能測定]
製造された積層型キャパシタをエポキシ混合液に入れて硬化させた後、キャパシタボディーのW軸方向およびT軸方向の側面をL軸方向に1/2地点まで研磨(Polishing)し、固定後、真空雰囲気チャンバー内維持して積層型キャパシタの断面サンプルを得る。
【0153】
図13は実施例1の誘電体を使用して製造された積層型キャパシタの断面サンプルでアクティブ領域の誘電体層を透過電子顕微鏡(TEM)で観察した写真であり、
図14は
図13でハフニウム(Hf)の含量をエネルギー分散型X線分析(EDX)で測定した結果を示す写真である。
【0154】
図13で、中央の濃い灰色領域は誘電体層を示し、誘電体層両側の浅い灰色領域は内部電極を示す。
【0155】
図14を参照すれば、誘電体層中のコアのハフニウム濃度が低く(暗く)、シェルのハフニウム濃度が高い(明るい)コア-シェル構造を有する誘電体結晶粒が観察されるのを確認することができる。
【0156】
図15は、
図14で観察されたコア-シェル構造を有する誘電体結晶粒を透過電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分析(TEM-EDX)を用いて線(line)分析した結果である。
図15を参照すれば、ハフニウムがコアとシェルの境界付近で最も高い含量を有し結晶粒界領域に行くほど含量が減少するのを確認することができる。
【0157】
また、実施例1と比較例1の誘電体を使用して製造された積層型キャパシタをそれぞれ40個ずつ準備し、基板に実装した後、高温高圧信頼性(HALT)をESPEC(PV-222、HALT)装備を用いて125℃、48時間、9.45Vの条件で測定し、その結果を表2に示す。
【0158】
【0159】
表2を参照すれば、実施例1の誘電体を使用して製造された積層型キャパシタは、比較例1の誘電体を使用して製造された積層型キャパシタに比べて高温高圧信頼性が改善されるのを確認することができる。
【0160】
以上を通じて本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるのではなく、請求範囲と発明の説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属するのは当然である。