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特開2024-96119ノズルアセンブリ、燃焼器およびこれを含むガスタービン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096119
(43)【公開日】2024-07-12
(54)【発明の名称】ノズルアセンブリ、燃焼器およびこれを含むガスタービン
(51)【国際特許分類】
   F23R 3/14 20060101AFI20240705BHJP
   F23R 3/28 20060101ALI20240705BHJP
   F23R 3/60 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
F23R3/14
F23R3/28 C
F23R3/60
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024000351
(22)【出願日】2024-01-04
(31)【優先権主張番号】10-2023-0000313
(32)【優先日】2023-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】507002918
【氏名又は名称】ドゥサン エナービリティー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボリス シェルシニョフ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】全体的なチューブの長さを短縮させて全体的な燃焼器の大きさを減少させ、また、窒素酸化物の発生を減少させるノズルアセンブリを提供する。
【解決手段】中空状のノズルフレームと、前記燃焼チャンバに空気と燃料とが混合された混合気を供給する複数のチューブを含む混合気供給管と、前記混合気供給管に燃料を供給する燃料供給部と、前記混合気供給管に空気を供給する空気供給部と、前記チューブの内部に形成されて、前記燃料供給部から供給される燃料を前記チューブを通過する空気側に噴射する噴射部材1451と、前記噴射部材の一側に形成されて、前記噴射部材を通過した空気および燃料を混合させるスワールベーン1452とを含む混合部と、を含むノズルアセンブリ、これを用いた燃焼器およびガスタービンを提供する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンの燃焼器の燃焼チャンバに燃料と圧縮空気を噴射するノズルアセンブリにおいて、
中空状のノズルフレームと、
前記燃焼チャンバに空気と燃料とが混合された混合気を供給する複数のチューブを含む混合気供給管と、
前記混合気供給管に燃料を供給する燃料供給部と、
前記混合気供給管に空気を供給する空気供給部と、
前記チューブの内部に形成され、前記燃料供給部から供給される燃料を前記チューブを通過する空気側に噴射し、前記燃料および空気が流動する中央流路が内部に形成される中空管を含む噴射部材と、前記噴射部材の一側に形成され、前記中空管の中央流路と連通する流路が中央に形成され、外側に翼が形成されて前記中空管の外側に流動して供給される燃料および空気を混合させるスワールベーンとを含む混合部と、を含むノズルアセンブリ。
【請求項2】
前記燃料供給部は、前記ノズルフレームの中央に配置され、前記ノズルフレームの長手方向に沿って形成された燃料供給管と、
前記燃料供給管を介して供給された燃料を前記ノズルフレームの後側に移動させるリターン部材とを含む、請求項1に記載のノズルアセンブリ。
【請求項3】
前記リターン部材を介して供給された燃料を前記チューブ内に流動するように前記リターン部材と前記チューブ内とを貫通する燃料噴射ホールが前記噴射部材に形成される、請求項2に記載のノズルアセンブリ。
【請求項4】
前記噴射部材は、前記チューブの中央に配置される中空状の第1中空管と、前記第1中空管から外側に放射状に形成される複数の支持台とを含む、請求項1に記載のノズルアセンブリ。
【請求項5】
前記支持台は5個形成され、互いに均等な角度で配置される、請求項4に記載のノズルアセンブリ。
【請求項6】
前記支持台の上流側部に、前記燃料供給管を介して供給された燃料を前記ノズルフレームの後側に移動させる前記リターン部材から供給される燃料を噴射する燃料噴射ホールが形成される、請求項4に記載のノズルアセンブリ。
【請求項7】
前記燃料噴射ホールの中心軸は、前記チューブの中心軸に対して傾斜して形成されて燃料が前記チューブの中心側に噴射される、請求項6に記載のノズルアセンブリ。
【請求項8】
前記スワールベーンは、前記第1中空管と連通する中空状の第2中空管と、
前記第2中空管の外周に螺旋状に形成される複数の翼とを含む、請求項4に記載のノズルアセンブリ。
【請求項9】
前記燃料供給部と前記チューブとを連通させて前記燃料供給部の燃料を前記チューブに供給する燃料供給ホールが前記チューブに形成される、請求項1に記載のノズルアセンブリ。
【請求項10】
前記燃料供給ホールの中心軸は、前記チューブの中心軸に対して傾斜して形成されて燃料が前記チューブの中心側に噴射される、請求項9に記載のノズルアセンブリ。
【請求項11】
ガスタービンの圧縮機から供給された圧縮空気を燃料と混合して燃焼させ、生成された燃焼ガスをガスタービンのタービンに供給する燃焼器において、
ノズルケーシングと、
前記ノズルケーシングの前記タービンの側端部に連結され、内部に燃料と圧縮空気との混合物が燃焼される燃焼チャンバが形成されたライナと、
前記ライナの前記タービンの側端部に連結され、前記燃焼チャンバから発生した燃焼ガスを前記タービンに供給するトランジションピースと、
前記ノズルケーシングの内部に設けられ、前記燃焼チャンバに燃料と圧縮空気を噴射するノズルアセンブリとを含み、
前記ノズルアセンブリは、中空状のノズルフレームと、
前記燃焼チャンバに空気と燃料とが混合された混合気を供給する複数のチューブを含む混合気供給管と、
前記混合気供給管に燃料を供給する燃料供給部と、
前記混合気供給管に空気を供給する空気供給部と、
前記チューブの内部に形成され、前記燃料供給部から供給される燃料を前記チューブを通過する空気側に噴射し、前記燃料および空気が流動する中央流路が内部に形成される中空管を含む噴射部材と、前記噴射部材の一側に形成され、前記中空管の中央流路と連通する流路が中央に形成され、外側に翼が形成されて前記中空管の外側に流動して供給される燃料および空気を混合させるスワールベーンとを含む混合部と、を含む燃焼器。
【請求項12】
前記噴射部材は、前記チューブの中央に配置される中空状の第1中空管と、前記中空管から外側に放射状に形成される複数の支持台とを含む、請求項11に記載の燃焼器。
【請求項13】
前記支持台の空気が供給される側部に燃料マニホールドから供給される燃料を噴射する燃料噴射ホールが形成され、前記燃料噴射ホールの中心軸は、前記チューブの中心軸に対して傾斜して形成されて燃料が前記チューブの中心側に噴射される、請求項12に記載の燃焼器。
【請求項14】
前記スワールベーンは、前記第1中空管と連通する中空状の第2中空管と、
前記第2中空管の外周に螺旋状に形成される複数の翼とを含む、請求項12に記載の燃焼器。
【請求項15】
前記燃料供給部と前記チューブとを連通させて前記燃料供給部の燃料を前記チューブに供給する燃料供給ホールが前記チューブに形成され、前記燃料供給ホールの中心軸は、前記チューブの中心軸に対して傾斜して形成されて燃料が前記チューブの中心側に噴射される、請求項11に記載の燃焼器。
【請求項16】
外部から流入した空気を圧縮させる圧縮機と、
前記圧縮機から供給された圧縮空気を燃料と混合させて燃焼させる燃焼器と、
前記燃焼器から供給された燃焼ガスを内部に通過させて電力生成のための動力を発生させるタービンとを含み、
前記燃焼器は、
ノズルケーシングと、
前記ノズルケーシングの前記タービンの側端部に連結され、内部に燃料と圧縮空気との混合物が燃焼される燃焼チャンバが形成されたライナと、
前記ライナの前記タービンの側端部に連結され、前記燃焼チャンバから発生した燃焼ガスを前記タービンに供給するトランジションピースと、
前記ノズルケーシングの内部に設けられ、前記燃焼チャンバに燃料と圧縮空気を噴射するノズルアセンブリとを含み、
前記ノズルアセンブリは、
中空状のノズルフレームと、
前記燃焼チャンバに空気と燃料とが混合された混合気を供給する複数のチューブを含む混合気供給管と、
前記混合気供給管に燃料を供給する燃料供給部と、
前記混合気供給管に空気を供給する空気供給部と、
前記チューブの内部に形成され、前記燃料供給部から供給される燃料を前記チューブを通過する空気側に噴射し、前記燃料および空気が流動する中央流路が内部に形成される中空管を含む噴射部材と、前記噴射部材の一側に形成され、前記中空管の中央流路と連通する流路が中央に形成され、外側に翼が形成されて前記中空管の外側に流動して供給される燃料および空気を混合させるスワールベーンとを含む混合部と、を含むガスタービン。
【請求項17】
前記噴射部材は、前記チューブの中央に配置される中空状の第1中空管と、前記中空管から外側に放射状に形成される複数の支持台とを含む、請求項16に記載のガスタービン。
【請求項18】
前記支持台の空気が供給される側部に燃料マニホールドから供給される燃料を噴射する燃料噴射ホールが形成され、前記燃料噴射ホールの中心軸は、前記チューブの中心軸に対して傾斜して形成されて燃料が前記チューブの中心側に噴射される、請求項17に記載のガスタービン。
【請求項19】
前記スワールベーンは、前記第1中空管と連通する中空状の第2中空管と、
前記第2中空管の外周に螺旋状に形成される複数の翼とを含む、請求項18に記載のガスタービン。
【請求項20】
前記燃料供給部と前記チューブとを連通させて前記燃料供給部の燃料を前記チューブに供給する燃料供給ホールが前記チューブに形成され、前記燃料供給ホールの中心軸は、前記チューブの中心軸に対して傾斜して形成されて燃料が前記チューブの中心側に噴射される、請求項16に記載のガスタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルアセンブリ、燃焼器およびこれを含むガスタービンに関し、さらに詳しくは、ガスタービンの燃焼器に備えられ、燃焼器の燃焼チャンバに燃料および圧縮空気を混合して噴射するノズルアセンブリおよびこれを用いた燃焼器およびガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
ターボマシンとは、ターボマシンを通過する流体(特に、気体)により電力生成のための動力を発生させる装置を意味する。したがって、ターボマシンは、通常、発電機とともに設置されて使用される。このようなターボマシンとしては、ガスタービン(Gas turbine)、スチームタービン(Steam turbine)、風力タービン(Wind power turbine)などが相当する。ガスタービンは、圧縮空気と天然ガスとを混合して燃焼させて燃焼ガスを生成し、このように生成された燃焼ガスを用いて発電のための動力を生成する装置である。スチームタービンは、水を加熱して生成される蒸気を利用して発電のための動力を生成する装置である。風力タービンは、風力を発電用動力に変換する装置である。
【0003】
ターボマシンのうちガスタービンについて説明すれば、ガスタービンは、圧縮機と、燃焼器と、タービンとを含む。圧縮機は、圧縮機ケーシング内に複数の圧縮機ベーンと圧縮機ブレードとが交互に配置される。そして、圧縮機は、圧縮機入口スクロールストラット(Compressor inlet scroll strut)を介して外部の空気を吸入する。このように吸入された空気は、圧縮機の内部を通過しながら前記圧縮機ベーンと圧縮機ブレードによって圧縮される。燃焼器は、前記圧縮機で圧縮された圧縮空気を受けて燃料と混合させる。
【0004】
また、燃焼器は、圧縮空気と混合された燃料を点火器で点火して高温高圧の燃焼ガスを生成する。このように生成された燃焼ガスは、タービンに供給される。タービンは、タービンケーシング内に複数のタービンベーンとタービンブレードとが交互に配置される。そして、タービンは、燃焼器で生成された燃焼ガスを受けて内部に通過させる。タービンの内部を通過する燃焼ガスはタービンブレードを回転させ、タービンの内部を完全に通過した燃焼ガスは、タービンディフューザを介して外部に吐出される。
【0005】
ターボマシンのうち蒸気タービンについて説明すれば、蒸気タービンは、蒸発器と、タービンとを含む。前記蒸発器は、外部から供給された水を加熱して蒸気を生成する。前記タービンは、ガスタービンにおけるタービンと同じく、タービンケーシング内に複数のタービンベーンとタービンブレードとが交互に配置される。ただし、蒸気タービンにおけるタービンは、燃焼ガスではない、前記蒸発器で生成された蒸気を内部に通過させて、タービンブレードを回転させる。
【0006】
一方、ターボマシンのうちガスタービンの場合、水素を燃料として使用することができる。水素のように速い火炎速度を有する物質を効率的に噴射するために、複数のチューブを用いて燃料および空気を燃焼室に供給する構造が提案される。このように複数のチューブを用いる燃料噴射構造は、空気の流れと燃料の流れが複数のチューブに分散するので、燃料とガスとの混合効率が良く、また、窒素酸化物の発生が低減されるというメリットを有する。
【0007】
しかし、軸方向流動を有する構造である従来のチューブは、高い混合効率を有するためには、相対的に長い長さを有しなければならないという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】KR10-2474179B
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであって、燃焼と空気との混合構造を改善して混合効率を向上させることにより、全体的なチューブの長さを短縮させて全体的な燃焼器の大きさを減少させ、また、窒素酸化物の発生を減少させるノズルアセンブリ、これを用いた燃焼器およびガスタービンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明は、ガスタービンの燃焼器の燃焼チャンバに燃料と圧縮空気を噴射するノズルアセンブリにおいて、中空状のノズルフレームと、前記燃焼チャンバに空気と燃料とが混合された混合気を供給する複数のチューブを含む混合気供給管と、前記混合気供給管に燃料を供給する燃料供給部と、前記混合気供給管に空気を供給する空気供給部と、前記チューブの内部に形成され、前記燃料供給部から供給される燃料を前記チューブを通過する空気側に噴射し、前記燃料および空気が流動する中央流路が内部に形成される中空管を含む噴射部材と、前記噴射部材の一側に形成され、前記中空管の中央流路と連通する流路が中央に形成され、外側に翼が形成されて前記中空管の外側に流動して供給される燃料および空気を混合させるスワールベーンとを含む混合部と、を含むノズルアセンブリを提供する。
【0011】
また、本発明は、ガスタービンの圧縮機から供給された圧縮空気を燃料と混合して燃焼させ、生成された燃焼ガスをガスタービンのタービンに供給する燃焼器において、ノズルケーシングと、前記ノズルケーシングの前記タービン側端部に連結され、内部に燃料と圧縮空気との混合物が燃焼される燃焼チャンバが形成されたライナと、前記ライナの前記タービン側端部に連結され、前記燃焼チャンバから発生した燃焼ガスを前記タービンに供給するトランジションピースと、前記ノズルケーシングの内部に設けられ、前記燃焼チャンバに燃料と圧縮空気を噴射するノズルアセンブリとを含み、前記ノズルアセンブリは、中空状のノズルフレームと、前記燃焼チャンバに空気と燃料とが混合された混合気を供給する複数のチューブを含む混合気供給管と、前記混合気供給管に燃料を供給する燃料供給部と、前記混合気供給管に空気を供給する空気供給部と、前記チューブの内部に形成され、前記燃料供給部から供給される燃料を前記チューブを通過する空気側に噴射し、前記燃料および空気が流動する中央流路が内部に形成される中空管を含む噴射部材と、前記噴射部材の一側に形成され、前記中空管の中央流路と連通する流路が中央に形成され、外側に翼が形成されて前記中空管の外側に流動して供給される燃料および空気を混合させるスワールベーンとを含む混合部と、を含む燃焼器を提供する。
【0012】
また、本発明は、外部から流入した空気を圧縮させる圧縮機と、前記圧縮機から供給された圧縮空気を燃料と混合させて燃焼させる燃焼器と、前記燃焼器から供給された燃焼ガスを内部に通過させて電力生成のための動力を発生させるタービンとを含み、前記燃焼器は、ノズルケーシングと、前記ノズルケーシングの前記タービン側端部に連結され、内部に燃料と圧縮空気との混合物が燃焼される燃焼チャンバが形成されたライナと、前記ライナの前記タービン側端部に連結され、前記燃焼チャンバから発生した燃焼ガスを前記タービンに供給するトランジションピースと、前記ノズルケーシングの内部に設けられ、前記燃焼チャンバに燃料と圧縮空気を噴射するノズルアセンブリとを含み、前記ノズルアセンブリは、中空状のノズルフレームと、前記燃焼チャンバに空気と燃料とが混合された混合気を供給する複数のチューブを含む混合気供給管と、前記混合気供給管に燃料を供給する燃料供給部と、前記混合気供給管に空気を供給する空気供給部と、前記チューブの内部に形成され、前記燃料供給部から供給される燃料を前記チューブを通過する空気側に噴射し、前記燃料および空気が流動する中央流路が内部に形成される中空管を含む噴射部材と、前記噴射部材の一側に形成され、前記中空管の中央流路と連通する流路が中央に形成され、外側に翼が形成されて前記中空管の外側に流動して供給される燃料および空気を混合させるスワールベーンとを含む混合部と、を含むガスタービンを提供する。
【0013】
本発明の前記燃料供給部は、前記ノズルフレームの中央に配置され、前記ノズルフレームの長手方向に沿って形成された燃料供給管と、前記燃料供給管を介して供給された燃料を前記ノズルフレームの後側に移動させるリターン部材とを含み、前記リターン部材を介して供給された燃料を前記チューブ内に流動するように前記リターン部材と前記チューブ内とを貫通する燃料噴射ホールが前記噴射部材に形成される。
【0014】
本発明の前記噴射部材は、前記チューブの中央に配置される中空状の第1中空管と、前記中空管から外側に放射状に形成される複数の支持台とを含み、前記支持台は5個形成され、互いに均等な角度で配置され、前記支持台の上流側部に前記リターン部材から供給される燃料を噴射する燃料噴射ホールが形成される。
【0015】
本発明の前記燃料噴射ホールの中心軸は、前記チューブの中心軸に対して傾斜して形成されて燃料が前記チューブの中心側に噴射される。
【0016】
本発明の前記スワールベーンは、前記第1中空管と連通する中空状の第2中空管と、前記第2中空管の外周に螺旋状に形成される複数の翼とを含むことができる。
【0017】
本発明の前記燃料供給部と前記チューブとを連通させて前記燃料供給部の燃料を前記チューブに供給する燃料供給ホールが前記チューブに形成され、前記燃料供給ホールの中心軸は、前記チューブの中心軸に対して傾斜して形成されて燃料が前記チューブの中心側に噴射される。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るノズルアセンブリ、これを用いた燃焼器およびガスタービンは、燃焼と空気との混合構造を改善して混合効率を向上させることにより、全体的なチューブの長さを短縮させて燃焼器全体の大きさを減少させ、また、窒素酸化物の発生を減少させることができる。
【0019】
また、本発明に係るノズルアセンブリは、混合効率を向上させて火炎安定性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係るガスタービンを示す断面図である。
図2図1に示した燃焼器の切開斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態に係るノズルアセンブリの断面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係るノズルアセンブリの混合部の斜視図である。
図5】本発明の第1実施形態に係るノズルアセンブリの混合部の正面図である。
図6】本発明の第1実施形態に係るノズルアセンブリの混合部の断面図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る混合部の断面図である。
図8】本発明の第3実施形態に係る混合部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付した図面を参照して、本発明に係る好ましい実施例を詳細に説明する。これに先立ち、本明細書および特許請求の範囲に使用された用語や単語は通常または辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自らの発明を最も最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則り、本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈されなければならない。
【0022】
図1を参照すれば、ガスタービン10は、圧縮機11と、燃焼器100と、タービン12とを含む。気体(圧縮空気または燃焼ガス)の流動方向を基準とした時、ガスタービン10の上流側には圧縮機11が配置され、下流側にはタービン12が配置される。そして、圧縮機11とタービン12との間には燃焼器100が配置される。
【0023】
圧縮機11は、圧縮機ケーシングの内部に圧縮機ベーンと圧縮機ロータとを収容し、タービン12は、タービンケーシングの内部にタービンベーンとタービンロータとを収容する。このような圧縮機ベーンと圧縮機ロータは、圧縮空気の流動方向に沿って多段(Multi-stage)に配置され、タービンベーンとタービンロータも、燃焼ガスの流動方向に沿って多段に配置される。この時、圧縮機は、吸入された空気が圧縮できるように前段(Front-stage)から後段(Rear-stage)側へいくほど内部空間が減少し、逆に、タービン12は、燃焼器から供給された燃焼ガスが膨張できるように前段から後段側へいくほど内部空間が大きくなる構造に設計される。
【0024】
一方、圧縮機11の最後段部側に位置した圧縮機ロータと、タービン12の最前段部側に位置したタービンロータとの間には、タービン12から発生した回転トルクを前記圧縮機11に伝達するトルク伝達部材としてのトルクチューブが配置される。前記トルクチューブは、図1に示されるように、計3つの段からなる複数のトルクチューブディスクで構成されるが、これは本発明の様々な実施形態の一つに過ぎず、前記トルクチューブは、4つ以上の段または2つ以下の段からなる複数のトルクチューブディスクで構成されてもよい。
【0025】
前記圧縮機ロータは、圧縮機ディスクと圧縮機ブレードとを含む。前記圧縮機ケーシングの内部には複数(例えば、14枚)の圧縮機ディスクが備えられ、前記それぞれの圧縮機ディスクは、タイロッドによって軸方向に離隔しないように締結される。さらに詳しくは、前記それぞれの圧縮機ディスクは、中心部が前記タイロッドによって貫通した状態で互いに軸方向に沿って整列される。そして、隣接するそれぞれの圧縮機ディスクは、対向する面が前記タイロッドによって圧着されて、互いに相対的な回転ができないように配置される。
【0026】
前記圧縮機ディスクの外周面には、複数の圧縮機ブレードが放射状に結合される。また、前記圧縮機ブレードの間には、同じ段(Stage)を基準とした時、前記圧縮機ケーシングの内周面に環状に設けられる複数の圧縮機ベーンがそれぞれ配置される。前記圧縮機ベーンは、前記圧縮機ディスクとは異なり、回転しないように固定された状態を維持し、圧縮機ブレードを通過した圧縮空気の流れを整列して下流側に位置する圧縮機ブレードに圧縮空気を案内する役割を果たす。この時、前記圧縮機ケーシングと圧縮機ベーンは、前記圧縮機ロータと区分するために、圧縮機ステータという包括的な名称で定義される。
【0027】
前記圧縮機ステータは、前記圧縮機ケーシングと圧縮機ベーンのほか、圧縮機入口スクロールストラットをさらに含む。前記圧縮機入口スクロールストラットは、前記圧縮機ケーシングの前段に連結され、外部空気を前記圧縮機ケーシングの入口にガイドする。一方、前記圧縮機ベーンのうち、最も前段に位置したものをインレットガイドベーンという。前記インレットガイドベーンは、前記圧縮機ケーシングに流入する空気を後段に配置された圧縮機ブレードと圧縮機ベーンにガイドする役割を果たす。
【0028】
前記タイロッドは、前記複数の圧縮機ディスクと、後述するタービンディスクの中心部とを貫通するように配置され、一側端部は圧縮機11の最前段部側に位置した圧縮機ディスク内に締結され、他側端部は固定ナットによって締結される。
【0029】
前記タイロッドの形態は、ガスタービンによって多様な構造からなってもよいので、必ずしも図1に提示された形態に限定されるものではない。すなわち、図示のように、1つのタイロッドが圧縮機ディスクとタービンディスクの中央部とを貫通する形態を有してもよく、複数のタイロッドが円周状に配置される形態を有してもよいし、これらの混用も可能である。
【0030】
図示しないが、ガスタービンの圧縮機には、流体の圧力を高めてから、燃焼器の入口に入る流体の流動角を設計流動角に合わせるために、案内羽根の役割を果たすデスワーラ(Deswirler)が設けられる。
【0031】
前記燃焼器100から出た高温、高圧の燃焼ガスは、上述したタービン12に供給される。タービン12に供給された高温高圧の燃焼ガスは、タービン12の内部を通過しながら膨張し、それによって後述するタービンブレードに衝動および反動力を加えて回転トルクが発生するようにする。このように得られた回転トルクは、上述したトルクチューブを経て圧縮機に伝達され、圧縮機の駆動に必要な動力を超える部分は発電機などを駆動するのに使用される。
【0032】
前記タービン12は、基本的には、圧縮機11の構造と類似している。すなわち、前記タービン12にも、圧縮機11の圧縮機ロータと類似の複数のタービンロータが備えられる。したがって、前記タービンロータも、タービンディスクと、これから放射状に配置される複数のタービンブレードとを含む。前記タービンブレードの間にも、同じ段を基準とした時、前記タービンケーシングに環状に設けられる複数のタービンベーンが備えられ、前記タービンベーンは、タービンブレードを通過した燃焼ガスの流動方向をガイドする。この時、前記タービンケーシングとタービンベーンも、前記タービンロータと区分するために、タービンステータという包括的な名称で定義される。
【0033】
図2を参照すれば、本発明に係る燃焼器100は、アウター缶110と、アウターヘッド111と、インナー缶120と、インナーヘッド121とを含む。前記アウター缶110は、中の空いた円筒形状に形成され、外部から燃料が流入する。前記アウターヘッド111は、前記アウター缶110の前方から前記アウター缶110を覆う。前記インナー缶120は、前記アウター缶110の内部に配置され、中の空いた円筒形状に形成される。そして、前記インナー缶120とアウター缶110との間には圧縮空気が後方から前方に移動し、前方を通して燃料と圧縮空気が内部に注入される。そして、前記インナー缶120の内部に注入された燃料と圧縮空気との混合物が燃焼されることにより、高温高圧の火炎および燃焼ガスが発生する。ここで、前記インナー缶120の内部で燃焼が行われる空間を燃焼チャンバ112という。前記インナーヘッド121は、前記インナー缶120の前方に設けられ、供給された燃料と圧縮空気とを混合して前記インナー缶120の内部に供給する。
【0034】
前記インナーヘッド121は、ヘッドプレート122と、複数のノズルアセンブリ123とを含む。前記ヘッドプレート122は、前記インナー缶120の前方を覆う。前記複数のノズルアセンブリ123は、前記ヘッドプレート122の前方に設けられ、燃料と圧縮空気とを混合させて後方に供給する。
【0035】
前記ノズルアセンブリ123は、前記ヘッドプレート122の中心部位に1つのノズル群が配置され、前記中心部位のノズル群を半径方向外側から残りの複数のノズル群が取り囲む構造に設けられる。
【0036】
図3図6を参照すれば、本発明の第1実施形態に係るノズルアセンブリ1400は、ノズルフレーム1410と、混合気供給管1420と、燃料供給部1430と、空気供給部1440と、混合部1450とを含む。
【0037】
前記ノズルフレーム1410は、中空状の管形態に形成され、内側に混合気供給管1420、燃料供給部1430、空気供給部1440、リターン部材1432、混合部1450が配置される。
【0038】
前記混合気供給管1420は、複数のチューブ1421からなる。前記チューブ1421の一端は前記空気供給部1440に連結され、他端は前記燃焼チャンバ1210と連通する。
【0039】
前記チューブ1421は、前記チューブ1421に供給された燃料と、前記空気供給部1440から供給された空気とが混合されて生成される混合気を前記燃焼チャンバ1210に供給する。
【0040】
また、前記チューブ1421は、長手方向に沿って離隔して配置される一対のチューブシート1411によって支持される。
【0041】
前記燃料供給部1430は、前記ノズルフレーム1410の中央に長手方向に沿って形成される燃料供給管と、前記燃料供給管の外側に配置されるリターン部材1432とからなる。
【0042】
前記燃料供給管は、前記ノズルフレーム1410の上流側(図3の左側)から前記ノズルフレームの下流側(図3の右側)に燃料を供給する。
【0043】
前記燃料は、水素であってもよい。本実施形態では、燃料として水素を使用したが、水素以外のLNGなどの他の燃料も適用可能である。
【0044】
前記リターン部材1432は、前記燃料供給管から前記ノズルフレームの下流側(図3の右側)に移動した燃料を、ノズルフレーム1410の上流側に移動させた後、前記混合気供給管のチューブ1421に供給する。前記リターン部材1432は、前記チューブ間の空間を形成する部材からなってもよい。
【0045】
前記チューブ1421の上流側には空気供給部1440が形成される。前記空気供給部1440は、ノズルアセンブリの外部から供給された空気を前記チューブ1421に供給する。前記空気は、圧縮機から供給された圧縮空気であってもよい。
【0046】
前記混合部1450は、噴射部材1451と、スワールベーン1452とからなる。
【0047】
前記噴射部材1451は、前記チューブ1421の内部に形成されて、前記燃料供給部1430から供給される燃料を前記チューブ1421を通過する空気側に噴射する。
【0048】
前記噴射部材1451は、第1中空管1451aと、支持台1451bとからなり、チューブ1421の中央に中央流路を形成して燃料と空気との混合気がチューブ1421の中央に軸方向に沿って流動できるようにする。
【0049】
前記第1中空管1451aは、前記チューブ1421の中央にチューブ1421の軸に沿って配置され、中の空いた管形状に形成されて燃料と空気との混合気の流動通路を形成する。
【0050】
前記支持台1451bは、一端が前記第1中空管1451aに連結され、他端が前記チューブ1421に連結されて、前記第1中空管1451aを支持する。
【0051】
前記支持台1451bは複数個備えられ、前記第1中空管1451aから外側に放射状に形成される。前記支持台1451bは5個形成され、前記チューブの中心を基準として互いに均等な角度72゜の間隔で配置される。
【0052】
前記噴射部材1451の支持台1451bの上流側の面には、前記リターン部材1432と前記チューブ1421内とを連通させる燃料噴射ホール1433が形成されて、前記リターン部材1432を介して移動した燃料が前記チューブ1421内に供給される。
【0053】
前記支持台1451bは、前記チューブ1421の中心に対して均等な角度(72゜)で配置されて、前記チューブ1421の全面積に均一に燃料を供給できるようにする。本実施形態において、支持台は5個形成されると説明されたが、支持台の個数は設計条件によって変更可能であることはもちろんである。
【0054】
前記スワールベーン1452は、第2中空管1452aと、複数の翼1452bとからなる。
【0055】
前記第2中空管1452aは、前記第1中空管1451aと連通する連通路が中央に形成された中空の管で形成される。前記第2中空管1452aは、前記噴射部材の下流側に形成され、前記チューブの中央に配置される。
【0056】
前記複数の翼は、前記第2中空管1452aの外周面に螺旋状からなる。前記翼1452bは、前記第1中空管の外側を通過して供給される燃料および空気が互いに螺旋流SFをなすようにして互いに混合できるようにする。
【0057】
前記翼によって発生する螺旋流SFは、前記第1、第2中空管の中央に形成された中央流動路に発生する中央流動流CFより速度が遅く形成される。すなわち、本実施形態の混合気は、中央流動流CFと外側の螺旋流SFの速度を互いに異なるように形成することにより、燃料と空気との混合効率をより一層向上させることができる。
【0058】
このような混合効率の向上により、本発明の第1実施形態に係るノズルアセンブリ1400は、チューブ全体の長さを減少させるようにして全体燃焼器の大きさを減少させることができるだけでなく、窒素酸化物の発生も減少させることができる。
【0059】
図7は、本発明の第2実施形態に係るノズルアセンブリの混合部の斜視図である。
【0060】
図7を参照すれば、本発明の第2実施形態に係るノズルアセンブリ2400は、ノズルフレームと、混合気供給管と、燃料供給部と、空気供給部と、混合部とを含む。
【0061】
本発明の第2実施形態に係る燃料供給ホール2433は、チューブ2421の内壁に形成される。本発明の第2実施形態に係るノズルアセンブリ2400は、燃料供給ホール2433に関する構成以外の他の構成は上述した第1実施形態に係るノズルアセンブリと同一であるので、これに関する説明は省略する。
【0062】
前記燃料供給ホール2433は、前記燃料供給部と前記チューブ2421とを連通させて前記燃料供給部の燃料をチューブ2421の内部に噴射する。前記チューブ2421の内壁には、一端が前記燃料供給部と連通し、他端が前記燃料供給ホール2433と連通して、前記燃料供給部2430の燃料を前記燃料供給ホール2433に供給する移動空間が形成される。
【0063】
また、前記燃料供給ホール2433は、空気が流入する側に燃料が供給できるように、前記燃料供給ホールの中心軸は、チューブ2421の中心軸に対して傾斜して形成される。これによって、前記燃料供給ホール2433に供給される燃料と空気とを互いにぶつけて渦流を形成することにより、混合がさらに向上できる。
【0064】
図8は、本発明の第3実施形態に係るノズルアセンブリの断面図である。
【0065】
図8を参照すれば、本発明の第3実施形態に係るノズルアセンブリ3400は、ノズルフレームと、混合気供給管と、燃料供給部と、空気供給部と、混合部とを含む。
【0066】
本発明の第3実施形態に係る噴射部材3451は、前記チューブ3421の内側に形成される第1中空管3451aおよび複数の支持台3451bからなり、前記噴射部材3451の支持台3451bの上流側の面には、前記リターン部材3432と前記チューブ3421内とを連通させる燃料噴射ホール3433が形成されて、前記リターン部材3432を介して移動した燃料が前記チューブ3421内に供給される。
【0067】
本発明の第3実施形態に係るノズルアセンブリ3400は、燃料噴射ホール3433に関する構成以外の他の構成は上述した第1実施形態に係るノズルアセンブリと同一であるので、これに関する説明は省略する。
【0068】
前記燃料噴射ホール3433の中心軸は、前記チューブ3421の中心軸に対して傾斜して形成されて、前記燃料噴射ホール3433を介して噴射される燃料が前記チューブ3421の中心に向かって噴射されるようにする。
【0069】
また、前記燃料噴射ホール3433を介して噴射される燃料は、前記チューブの上流側から供給される空気とぶつかり合うように形成されて、一次的に混合されて混合効率をより一層向上させることができる。
【0070】
本発明は図面に示された実施例を参照して説明されたが、これは例示に過ぎず、本技術分野における通常の知識を有する者であれば、これから多様な変形および均等な他の実施例が可能であることを理解するであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は添付した特許請求の範囲の技術的思想によって定められなければならない。
【符号の説明】
【0071】
10:ガスタービン 11:圧縮機
12:タービン 100:燃焼器
1100:ノズルケーシング 1200:ライナ
1210:燃焼チャンバ 1300:トランジションピース
1400:ノズルアセンブリ 1410:ノズルフレーム
1420:混合気供給管 1421:チューブ
1430:燃料供給部 1431:燃料供給管
1432:リターン部材 1433:燃料噴射ホール
1440:空気供給部 1450:混合部
1451:噴射部材 1451a:第1中空管
1452:スワールベーン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】