(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096163
(43)【公開日】2024-07-12
(54)【発明の名称】一次胆汁酸生成促進剤
(51)【国際特許分類】
A23L 33/105 20160101AFI20240705BHJP
A61K 31/352 20060101ALI20240705BHJP
A61K 36/48 20060101ALI20240705BHJP
A61P 3/04 20060101ALN20240705BHJP
A61P 1/16 20060101ALN20240705BHJP
A61P 1/04 20060101ALN20240705BHJP
【FI】
A23L33/105
A61K31/352
A61K36/48
A61P3/04
A61P1/16
A61P1/04
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024067249
(22)【出願日】2024-04-18
(62)【分割の表示】P 2022185410の分割
【原出願日】2019-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】591183625
【氏名又は名称】フジッコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 真通
(72)【発明者】
【氏名】難波 文男
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 利雄
(72)【発明者】
【氏名】小阪 英樹
(72)【発明者】
【氏名】戸田 登志也
(57)【要約】
【課題】大豆イソフラボンの食品素材としての新たな用途を提供する。
【解決手段】一次胆汁酸の生成促進剤として、大豆イソフラボンを有効成分として含有する組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大豆イソフラボンを有効成分として含有する一次胆汁酸生成促進剤。
【請求項2】
前記一次胆汁酸がコール酸及びタウロコール酸よりなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載する一次胆汁酸生成促進剤。
【請求項3】
大豆イソフラボンを有効成分として含有する一次胆汁酸生成促進剤用添加剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は大豆イソフラボンの食品素材としての新たな用途に関する。
【背景技術】
【0002】
腸内細菌叢の異常(ディスバイオーシス)が、肥満、2型糖尿病、大腸がん、炎症性腸疾患などの病態発症の重要な因子であるとの考えが広まりつつある。例えば、肥満の原因の一つとして腸内細菌叢の構成の変化が挙げられている。具体的には、肥満型のヒトの場合、ファーミキューテス門(Firmicutes)細菌の存在比率が高く、バクテロイデテス門(Bacteroidetes)細菌の存在比率が低い傾向にある。一方、正常型又は痩せ型のヒトの場合、肥満型とは逆の傾向にあり、バクテロイデテス門細菌の存在比率が高く、ファーミキューテス門細菌の存在比率が低い傾向にある(非特許文献1)。このため、健康食品を摂取することで、腸内細菌叢の構成を肥満型から正常型又は痩せ型に変えることが提案されており、例えばサラシア属植物の抽出物を有効成分とすることにより、バクテロイデス門の存在比率が増加し、ファーミキューテス門の存在比率が低下することが報告されている(特許文献1)。また、多くの潰瘍性大腸炎患者において、健常者と比較して酪酸産生菌の存在比率が減少していることなどから、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)の発症原因の一つとして、腸内の酪酸産生菌が減少することによって腸内の酪酸濃度が低下していることが挙げられている(非特許文献2)。
【0003】
また、腸内細菌叢の菌叢制御因子として胆汁酸が報告されており、高脂肪食を摂取することで増加する胆汁酸が、腸内の菌叢変化に影響することが報告されている。胆汁酸は脂質の吸収に関わる胆汁の主成分であり、その主な役割は、脂肪を摂取した際に消化管内でミセルの形成を促進し、脂肪をより吸収しやすくするというものである。胆汁酸は、一次胆汁酸と二次胆汁酸からなる。一次胆汁酸は、肝臓でコレステロールからグリシンまたはタウリンと抱合した抱合胆汁酸として合成され、腸内に分泌される。腸内での役目を終えた抱合胆汁酸は、小腸で再吸収されて肝臓に戻る。しかし、一部の抱合胆汁酸は大腸まで行き、腸内細菌によりグリシンまたはタウリンが離され(脱抱合)、脱抱合された一次胆汁酸(コール酸やケノデオキシコール酸等)は、さらにデオキシコール酸やリトコール酸等の二次胆汁酸へと変換される。二次胆汁酸まで変換されると分子の疎水性が高まり強い殺菌活性を示すようになる。例えば、二次胆汁酸であるデオキシコール酸(DCA)は、一次胆汁酸であるコール酸(CA)の10倍もの殺菌活性を示すことが知られている(非特許文献3参照)。
【0004】
これらのことから、腸内で菌叢変化がおこるメカニズムとして、高脂肪食の摂取によって胆汁酸が余剰に分泌される結果、腸内の腸内細菌によりデオキシコール酸(DCA)濃度が高まることが選択圧となるという「胆汁酸仮説」が提唱されている(非特許文献4参照)。また、デオキシコール酸(DCA)には大腸がん促進作用があることが知られている(非特許文献5)。さらに特許文献2の記載によると、近年、日本において大腸がんが増加している理由として、食生活の欧米化による脂質摂取量の増加と、それに伴う腸内胆汁酸量の増加との関連を指摘する文献もある。さらに、非特許文献6には、肥満になると、脂質の消化吸収を助ける一次胆汁酸(コール酸等)を二次胆汁酸(デオキシコール酸等)に変換する腸内細菌(デオキシコール酸産生菌)が著しく増加すること、これにより体内で増加した二次胆汁酸の影響で肝臓の肝星細胞が細胞老化を起こし、炎症性サイトカインを分泌することで、周囲の肝細胞の発がんが促進されることが記載されており、同様のメカニズムがヒトの肥満に伴う肝がん発症に関与していること、デオキシコール酸産生菌の増殖を抑制することが肝がん発症の予防につながる可能性が示唆されている。
【0005】
このように、二次胆汁酸に起因する疾患(大腸疾患、肝臓疾患)やその症状を改善し、またはその発症を予防するための方法として、従来より、各種の二次胆汁酸低下剤(二次胆汁酸生成抑制剤)が提案されている。例えば、クルクミンなどの植物由来のポリフェノールを有効成分とする二次胆汁酸低下剤(特許文献3)、α-結合したガラクソース含有オリゴ糖を有効成分とする二次胆汁酸生成抑制剤(特許文献4)、霊芝成分の抽出物有効成分とする二次胆汁酸抑制剤(特許文献5)、ラクトバチルス・ガセリに属する乳酸菌の菌体及び/又はその培養物を有効成分とするデオキシコール酸低減剤(特許文献2)などが提案されている。特に、前記乳酸菌によれば、一次胆汁酸から二次胆汁酸への変化を抑制することで、有用な一次胆汁酸の量を減少することなく二次胆汁酸の生成を抑えること、つまり選択的に二次胆汁酸の量を減少することができる点で優れているとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-127340号公報
【特許文献2】特開2017-66086号公報
【特許文献3】特開2009-227609号公報
【特許文献4】特開2004-244365号公報
【特許文献5】特開2018-43955号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Ley R.E., et al., Nature, 2006, Vol.444, No.7122. pp.1022-1023
【非特許文献2】Machiels K., et al., Gut, 2014, Vol.63, No.8, pp.1275-1283
【非特許文献3】Kurdi et al., J Bacteriol., 188(5), 1979-1986 (2006)
【非特許文献4】Yokota et al., Gut Microbes., 3(5):455-459 (2012)
【非特許文献5】H. Bernsteinら、Mutat. Res., 第589巻、第47~65頁、2005年
【非特許文献6】独立行栄法人科学技術振興機構ホームページ「公益財団法人がん研究会 独立行栄法人科学技術振興機構(JST)平成25年6月27日「共同発表:肥満に伴う腸内細菌の変化が肝がんの発症を促進する」(http://www.jst.go.jp/pr/announce/20130627-2/)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、大豆イソフラボンの食品素材としての新たな用途を提供することを課題とする。具体的には、大豆イソフラボンを摂取した際に生体に及ぼす有用な生体調節機能(第3次機能)に基づいて、その食品素材としての新たな機能的用途を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねていたところ、高脂肪食に模した食餌(一次胆汁酸添加食)を摂取させることでマウスで生じる腸内細菌叢の悪化(腸内細菌叢の構成の変化)が、同時に大豆イソフラボンを摂取させることで有意に改善すること、さらに腸内有用菌とされるエクオール産生菌、酪酸菌を始めとする短鎖脂肪酸産生菌、または/および乳酸菌の減少が抑制されて、さらに増加することを見出した。
【0010】
また、大豆イソフラボンを摂取させると、一次胆汁酸添加食を摂取させることで生じる二次胆汁酸の生成量の増加が有意に低減することを見出し、一方で、脂肪吸収に有用な一次胆汁酸の量は低減せず、むしろ増加することを確認した。
【0011】
本発明はかかる知見に基づいて完成したものであり、下記の実施形態を包含するものである。
(I)腸内細菌叢の改善剤
(I-1)大豆イソフラボンを有効成分として含有する腸内細菌叢の改善剤。
(I-2)下記(a)~(e)からなる群より選択される少なくとも1つの作用効果を発揮する(I-1)に記載する腸内細菌叢の改善剤:
(a)Shanon指数の増加、
(b)腸内細菌中の「ファーミキューテス門細菌/バクテロイデテス門細菌」比の低下、
(c)腸内細菌中のエクオール産生菌(Adlercreutzia)の存在割合の増加、
(d)腸内細菌中の短鎖脂肪酸産生菌の存在割合の増加、
(e)腸内細菌中の乳酸菌(Lactobacillus)の存在割合の増加。
【0012】
(II)二次胆汁酸の生成抑制剤、一次胆汁酸生成促進剤
(II-1)大豆イソフラボンを有効成分として含有する二次胆汁酸の生成抑制剤。
(II-2)一次胆汁酸の生成量を増加することを特徴とする(II-1)に記載する二次胆汁酸生成抑制剤。
(II-3)大豆イソフラボンを有効成分として含有する一次胆汁酸生成促進剤。
(II-4)前記一次胆汁酸がコール酸及びタウロコール酸よりなる群から選択される少なくとも1つである、(II-3)に記載する一次胆汁酸生成促進剤。
【0013】
(III)腸内細菌叢改善剤用添加剤、二次胆汁酸生成抑制剤用添加剤、一次胆汁酸生成促進剤用添加剤
(III-1)大豆イソフラボンを有効成分として含有する腸内細菌叢改善剤用または二次胆汁酸生成抑制剤用添加剤。
(III-2)大豆イソフラボンを有効成分として含有する一次胆汁酸生成促進剤用添加剤。
【0014】
(IV)大豆イソフラボンの使用方法
(IV-1)大豆イソフラボンまたは(III-1)に記載する添加剤を経口組成物に配合して、当該経口組成物に、腸内細菌叢改善作用、二次胆汁酸生成抑制作用、及び一次胆汁酸生成量増加作用からなる群より選択される少なくとも1つの作用を付与するための、大豆イソフラボンの使用方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、大豆イソフラボンを有効成分として含有する腸内細菌叢改善剤を提供することができる。本発明の腸内細菌叢改善剤によれば、(a)Shanon指数の増加、(b)腸内細菌中の「ファーミキューテス門細菌/バクテロイデテス門細菌」比の低下、(c)腸内細菌中のエクオール産生菌(Adlercreutzia)の存在割合の増加、(d)腸内細菌中の短鎖脂肪酸産生菌の存在割合の増加、及び(e)腸内細菌中の乳酸菌(Lactobacillus)の存在割合の増加からなる群より選択される少なくとも1つの作用効果を発揮することができる。(a)の作用効果から、本発明の腸内細菌叢改善剤によれば、高脂肪食の摂取により低下した腸内細菌叢の多様性を改善することができる。また(b)の作用効果によれば、腸内細菌叢の構成を変えることで体質を肥満型から正常型または痩せ型に変えることが可能である。(c)の作用効果によれば、体内でエストロゲン様作用を有するエクオールが産生されるため、加齢に伴い不足しがちになる女性ホルモンを補うことが可能になる。(d)の作用効果によれば、炎症性腸疾患等、腸内中の短鎖脂肪酸の減少に起因する疾患や病態を予防または改善することが可能になる。また(e)の作用効果によれば、乳酸菌による自己免疫疾患、感冒罹患の予防または改善や、善玉菌の増加および悪玉菌の抑制による整腸、下痢、便通等を改善することが可能となる。
【0016】
また本発明によれば、大豆イソフラボンを有効成分として含有する二次胆汁酸生成抑制剤を提供することができる。本発明の二次胆汁酸の生成抑制剤は、腸内中の二次胆汁酸量を低減する作用に優れている。このため、二次胆汁酸に起因する疾患や病態(例えば、大腸疾患や肝疾患など)の発症を予防したり、改善するうえで有用に使用することができる。また、本発明の二次胆汁酸生成抑制剤によれば、腸内での一次胆汁酸からの二次胆汁酸の生成を抑制することで、脂質の吸収に重要な一次胆汁酸の生成量を低減することなく、むしろ増加して、二次胆汁酸の生成量を選択的に低下することができる。
【0017】
さらに本発明の二次胆汁酸の生成抑制剤は、食の安全が確認されている大豆イソフラボンを有効成分とするため、副作用の心配がなく、日々の食生活に取り入れることで無理なく摂取することができ、前述する効果を享受することができる。
【0018】
さらにまた、本発明の腸内細菌叢改善剤用添加剤、二次胆汁酸の生成抑制剤用添加剤、または本発明の大豆イソフラボンの使用方法によれば、それを対象とする食品組成物などに添加配合することで、簡便に上記本発明の腸内細菌叢改善剤、または/及び二次胆汁酸生成抑制剤を調製し、提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実験例での「盲腸内容物中の腸内細菌叢解析」によるShanon指数(mean±SEM (n=6)、Tukey-HSD 検定)をコントロール群、CA群(コール酸投与群)、CA+3%ラフィノース群、CA+0.5%クルクミン群、及びCA+0.8%イソフラボン群で比較した結果を示す。各グラフ中の異なる文字は、群間で有意差があることを示す(p<0.05)。
【
図2】実験例での「盲腸内容物中の腸内細菌叢解析」のうち、(A)門レベルの腸内細菌叢構成(n=6)を、コントロール群、CA群(コール酸投与群)、CA+3%ラフィノース群、CA+0.5%クルクミン群、及びCA+0.8%イソフラボン群で比較した結果を示す。(B)Bacteroidetes門に対するFirmicutes門の割合(Firmicutes/Bacteroidetes比)を、各群で比較した結果を示す。
【
図3】実験例における「盲腸内容物中の腸内細菌叢解析」で得られた結果のうち、各群について盲腸内容物中のエクオール産生菌(Adlercreutzia属)の存在比(%)を比較した図である。平均値±標準誤差(n=6)(以下、
図4~7も同じ)。各グラフ中の異なる文字は、群間で有意差があることを示す(Tukey-HSD 検定、p<0.05)。
【
図4】実験例における「盲腸内容物中の腸内細菌叢解析」で得られた結果のうち、各群について盲腸内容物中の乳酸菌(Lactobacillus属)の存在比(%)を比較した図である。
【
図5】実験例における「盲腸内容物中の腸内細菌叢解析」で得られた結果のうち、各群について盲腸内容物中に存在する各種の短鎖脂肪酸産生菌の存在比(%)を比較した図である。Aは、各群について盲腸内容物中の酪酸産生菌(Coprococcus属)の存在比(%)を比較した図;Bは、各群について盲腸内容物中の酪酸・プロピオン酸・イソ吉草酸産生菌(Prevotella属)の存在比(%)を比較した図;Cは、各群について盲腸内容物中のコハク酸産生菌(Parabacteroides属)の存在比(%)を比較した図;Dは、各群について盲腸内容物中の酢酸・乳酸産生菌(Blautia属)の存在比(%)を比較した図である。
【
図6】実験例における「盲腸内容物中の腸内細菌叢解析」で得られた結果のうち、各群について盲腸内容物中に存在するFirmicutes門に属する細菌の存在比(%)を比較した図である。AはTuricibacter属、BはDorea属に細菌の存在比(%)を示す。なお、
図A中、各グラフにおいて異なる文字は、群間で有意差があることを示す(Tukey-HSD 検定、p<0.05)。
図B中*は、Welch検定により、CA群と比較して有意差があることを示す(p<0.05)。
【
図7】実験例における「盲腸内容物中の腸内細菌叢解析」で得られた結果のうち、各群について盲腸内容物中のProteobacteria門(Desulfovibrionaceae科)の細菌の存在比(%)を比較した図である。各グラフにおいて異なる文字は、群間で有意差があることを示す(Tukey-HSD 検定、p<0.05)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(I)腸内細菌叢の改善剤
本発明の腸内細菌叢改善剤(以下、単に「本細菌叢改善剤」とも称する)は、大豆イソフラボンを有効成分とすることを特徴とする。
【0021】
大豆イソフラボンとは、大豆の主に胚芽に多く含まれるフラボノイドの一種であり、下式で示される化合物を基本骨格とする化合物の総称である:
【化1】
【0022】
大豆イソフラボンには、上記基本骨格を有する化合物(大豆イソフラボンアグリコン)、それに糖が結合した配糖体(大豆イソフラボン配糖体)、並びに当該配糖体のアセチル化体、及びマロニル化体が知られている。本発明における「大豆イソフラボン」という用語には、これらの大豆イソフラボンアグリコン、大豆イソフラボン配糖体、並びにそのアセチル化体、及びマロニル化体が区別なく含まれる。具体的には、大豆イソフラボンアグリコンとしては、ゲニステイン、ダイゼイン、及びグリシテインが挙げられる。また大豆イソフラボン配糖体は、ゲニスチン、ダイジン、及びグリシチンが挙げられる。大豆イソフラボン配糖体のアセチル化体としては、アセチルゲニスチン、アセチルダイジン、及びアセチルグリシチンが、マロニル化体としてはマロニルゲニスチン、マロニルダイジン、及びマロニルグリシチンが挙げられる。これらの大豆イソフラボンは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、本発明では、大豆イソフラボンは、大豆から精製したものであってもよいが、粗精製物であってもよく、例えば大豆から抽出したもの(抽出物)、大豆の粉砕又は細切物等のいずれを使用してもよい。大豆からイソフラボンを精製又は抽出する方法は公知であり、本発明では、公知の方法に従って得られた大豆イソフラボンの精製物又は抽出物を使用することができる。また市販の大豆イソフラボンを使用することもできる。
【0023】
本細菌叢改善剤は、経口投与形態であれば、その形態を特に問わない。また経口投与(経口摂取)形態を有するものである限り、その用途の別(医薬品、医薬部外品、飲食物[特定保健用食品、機能性表示食品、栄養機能性食品などの保健機能性食品やサプリメントを含む])は、特に制限されるものではない。好ましくは飲食物であり、より好ましくは、その作用や効果を標榜することができる特定保健用食品、または機能性表示食品である。
【0024】
経口投与形態として、具体的には液剤(エキス形態やシロップを含む)またはゼリー剤の形態に調製したもの;常法により粉末状または顆粒状に製剤化した散剤、細粒剤、または顆粒剤;液剤や散剤または顆粒剤をカプセルに充填したカプセル剤(硬質カプセル剤、軟質カプセル剤);または粉末または顆粒をさらに打錠して錠剤形態としたものなどを挙げることができる(固形製剤)。
【0025】
本細菌叢改善剤は、上記大豆イソフラボンと薬学的にまたは食品として許容される従来公知の可食性の担体、賦形剤等を組み合わせて各種剤型(経口投与形態)に調製することもできる。
【0026】
本細菌叢改善剤を液状製剤の形態とする場合、凍結保存することもでき、また凍結乾燥等により水分を除去して保存してもよい。凍結乾燥製剤やドライシロップ等は、使用時に滅菌水等を加え、再度溶解して使用される。
【0027】
本細菌叢改善剤を固形剤の形態とする場合、例えば、錠剤の場合であれば、担体として当該分野で従来公知のものを広く使用することができる。このような担体としては、例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、ケイ酸等の賦形剤;水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、アルギン酸ナトリウム等の結合剤;乾燥デンプン、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、クロスポビドン、ポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等の崩壊剤;ステアリン、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤;第4級アンモニウム塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤;グリセリン等の保湿剤;デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等を使用できる。さらに錠剤は、必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠あるいは二重錠、多層錠とすることができる。また、前記有効成分を含有する組成物を、ゼラチン、プルラン、デンプン、アラビアガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等を原料とする従来公知のカプセルに充填して、カプセル剤とすることができる。
【0028】
また、丸剤の形態とする場合、担体として当該分野で従来公知のものを広く使用できる。その例としては、例えばブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤、アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノール等の結合剤、ラミナラン、カンテン等の崩壊剤等を使用できる。
【0029】
上記以外に、添加剤として、例えば、界面活性剤、吸収促進剤、吸着剤、充填剤、防腐剤、安定剤、乳化剤、可溶化剤など、製剤の形態に応じて適宜選択し使用することができる。
【0030】
これらの形態はいずれも当該分野における通常の方法を用いて調製でき、例えば、錠剤は、上記有効成分とその他錠剤を得るために必要な賦形剤等を適宜添加し、よく混合分散させたのち打錠して得ることができる。また、散剤は、上記有効成分とその他散剤を得る為に必要な賦形剤等を適宜添加し、好適な方法にて混合、粉体化して得ることができる。
【0031】
本細菌叢改善剤は、前述する製剤形態のほか、通常の飲食物の形態を有するものであってもよい。当該飲食物は、前述する大豆イソフラボンまたは後述する大豆イソフラボンを含有する添加剤を種々の飲食物に添加することにより製造することができる。飲食物は、溶液、懸濁液、乳濁液、ゼリー(ゲル)、ゾル、粉末、固体成形物など、経口摂取可能な形態であればよく、特に限定されない。具体的には、例えば、即席麺、レトルト食品、缶詰、電子レンジ食品、即席スープ・みそ汁類、フリーズドライ食品などの即席食品類;清涼飲料、果汁飲料、野菜飲料、豆乳飲料、コーヒー飲料、茶飲料、粉末飲料、濃縮飲料、栄養飲料、アルコール飲料などの飲料類;パン、パスタ、麺、ケーキミックス、唐揚げ粉、パン粉などの小麦粉製品;飴、キャラメル、チューイングガム、チョコレート、クッキー、ビスケット、ケーキ、パイ、スナック、クラッカー、和菓子、デザート菓子などの菓子類;ソース、トマト加工調味料、風味調味料、調理ミックス、たれ類、ドレッシング類、つゆ類、カレー・シチューの素類などの調味料;加工油脂、バター、マーガリン、マヨネーズなどの油脂類;乳飲料、ヨーグルト類、チーズ、発酵乳、乳酸菌飲料、アイスクリーム類、クリーム類などの乳製品;プリンやマヨネーズなどの卵加工品;魚肉ハム・ソーセージ、水産練り製品などの水産加工品;畜肉ハム・ソーセージなどの畜産加工品;農産缶詰、ジャム・マーマレード類、漬け物、煮豆、シリアルなどの農産加工品;冷凍食品、栄養食品などを挙げることができる。
【0032】
(腸内細菌叢改善剤の作用)
本細菌叢改善剤の対象者は、ヒトまたは非ヒト動物である。好ましくはヒトである。非ヒト動物としては、ペット(愛玩動物)、実験動物、動物園や水族館で飼育されている動物を挙げることができる。本細菌叢改善剤をヒトまたは非ヒト動物に投与する(摂取させる)ことで、当該ヒトまたは非ヒト動物の腸内細菌叢の構成を調整することが可能であり、特に高脂肪食を摂取することで生じる腸内細菌叢の構成の変化を改善し、高脂肪食を摂取する前またはそれに近い状態に戻すか、それ以上によい状態に戻すことが可能である。例えば、本細菌叢改善剤を摂取することで、腸内細菌叢において、下記の変化が誘導される。
【0033】
(A)Shanon指数の増加
本細菌叢改善剤をヒトまたは非ヒト動物が摂取することで、高脂肪食を摂取することで低下したShanon指数を上げることができる(Shanon指数の増加)。なお、Shanon指数は菌種数に各菌種の頻度を加味した指標であり、腸内細菌叢の多様性を判断する指標として使用される。つまり、本細菌叢改善剤をヒトまたは非ヒト動物が摂取することで、高脂肪食を摂取することで低下した腸内細菌叢の多様性を改善し、高脂肪食を摂取する前の正常な状態(腸内細菌叢の多様性)またはそれに近い状態に戻すことが可能になる。
【0034】
(B)門レベルでの腸内細菌叢の構成の変化
本細菌叢改善剤をヒトまたは非ヒト動物が摂取することで、腸内に存在するバクテロイデテス(Bacteroidetes)門細菌に対するファーミキューテス(Firmicutes)門細菌の割合(「ファーミキューテス門細菌/バクテロイデテス門細菌」比)が低下する。この存在量比の低下は、ファーミキューテス門細菌の割合に対するバクテロイデテス門細菌の割合の増加によって生じるものであってもよいし、バクテロイデテス門細菌の割合に対するファーミキューテス門細菌の割合の増加によって生じるものであってもよいし、さらにファーミキューテス門細菌の割合が低下し、且つバクテロイデテス門細菌の割合が増加することによって生じるものであってもよい。非特許文献1に記載の通り、「ファーミキューテス門細菌/バクテロイデテス門細菌」比は、肥満または肥満傾向の被験者では高く、正常または痩せ型の被験者では低い傾向がある。後述する実験例で示すように、本細菌叢改善剤を摂取することで、腸内細菌叢の構成を肥満型から正常または痩せ型(非肥満型)へと変化させることができることから、本細菌叢改善剤によれば、肥満の軽減、肥満の予防、または非肥満状態の維持を図ることが可能であると考えられる。言い換えれば、本細菌叢改善剤によれば、体重増加の抑制や体重減少などのダイエット効果を期待することができる。
【0035】
(C)生体に有益な細菌の存在割合の増加
(1)腸内細菌中のエクオール産生菌(Adlercreutzia)の存在割合の増加
本細菌叢改善剤をヒトまたは非ヒト動物が摂取することで、腸内に存在するエクオール産生菌であるAdlercreutziaの割合を増加することができる。この細菌は、体内に摂取されたイソフラボンを、よりエストロゲン様活性の高いエクオールに変化させる作用を有する。つまり、大豆イソフラボンを有効成分とする本細菌叢改善剤は、体内に取り込まれることで、腸内に存在するエクオール産生菌(Adlercreutzia)の割合を増加させて、それにより自らイソフラボンの代謝や活性化を促進することでエクオールを生成する。このため本細菌叢改善剤は、ヒトの腸内細菌叢を改善すること(腸内細菌叢の構成を調整すること)で、イソフラボンからエクオールの生成を高め、エクオールに基づく作用効果を発揮することが可能になる。なお、エクオールに基づく作用効果としては、制限されないものの、更年期障害の症状(のぼせ・ほてり、頭痛、めまい、自律神経失調症様の症状、頻脈、血圧変動など)の緩和;過酸化脂質産生の抑制;皮脂の過剰分泌の抑制(にきびや吹き出物の予防または改善);がん(乳がん、子宮体がン、前立腺がん、胃がんなど)の予防;II型糖尿病(空腹時血糖値、インスリン耐性)の予防または改善;生活習慣病(糖尿病、高脂血症、動脈硬化、高コレステロールなど)の予防または改善;骨粗鬆症の予防または改善、骨密度の増加、骨中ミネラル濃度の増加;皮膚の老化(肌のハリや弾力性の低下、シミ、シワ、たるみ)の予防または改善;血流改善(冷え症、肩こり、緊張性頭痛、肌のくすみや乾燥などの予防または改善);男性型脱毛の予防または改善等から選択される少なくとも1つの作用効果を期待することができる。
【0036】
(2)腸内細菌中の短鎖脂肪酸産生菌の存在割合の増加
本細菌叢改善剤をヒトまたは非ヒト動物が摂取することで、腸内に存在する短鎖脂肪酸産生菌の割合を増加することができる。具体的には、短鎖脂肪酸産生菌としては、酪酸を産生するCoprococccus属の細菌、コハク酸を産生するParabacteroides属の細菌、酪酸・プロピオン酸・イソ吉草酸を産生するPrevotella属の細菌、酢酸・乳酸を産生するBlautia属の細菌を挙げることができる。これらの短鎖脂肪酸産生菌によれば、腸内で有用な機能を発揮する短鎖脂肪酸の腸内における存在量を増加させることができる。
腸内における短鎖脂肪酸の役割や健康との関わりを下記に説明する。
【0037】
a.有害物質からのバリア機能の強化
酢酸には大腸のバリア機能を高める働きがあると言われている。また酪酸にも、腸管細胞のMUC2遺伝子を活性化することで、粘膜物質であるムチンの分泌を促し、大腸を保護する作用があると言われている。
【0038】
b.発がん予防
短鎖脂肪酸は腸内を弱酸性にすることで有害な二次胆汁酸をできにくくするため、大腸癌の予防につながると言われている。また、酪酸には、大腸細胞の異常な増殖を抑える、アポトーシスを促す、大腸細胞の病変を抑えるなどの作用で大腸癌の発症を抑えるといわれている。プロピオン酸は肝臓癌細胞にある短鎖脂肪酸受容体に作用して、肝臓癌細胞の増殖を抑えるという研究報告がある。
【0039】
c.肥満の予防
短鎖脂肪酸は脂肪細胞にある短鎖脂肪酸受容体に作用して脂肪細胞へのエネルギーの取り込みを抑え、脂肪細胞の肥大化を防ぐ。また、神経細胞にある短鎖脂肪酸受容体にも作用し、交感神経系を介してエネルギー消費を促すなど、エネルギーバランスを整える働きがある。
【0040】
d.糖尿病の予防
酪酸には腸管にあるL細胞に作用して、腸管ホルモンであるGLP-1の分泌を促す作用がある。GLP-1は糖尿病を予防・改善する作用があり、インスリンを分泌する膵臓β細胞数の減少を抑えたり、インスリン分泌を促す作用がある。
【0041】
e.食欲の抑制
酪酸やプロピオン酸は腸管のL細胞からGLP-1のほかPYYのような腸管ホルモンも分泌する。GLP-1やPYYは、脳に作用して食欲を抑える働きがあり、満腹感を持続させて過食を防ぐことが知られている。
【0042】
f.免疫機能の調節
腸は全身の免疫細胞のおよそ60%が集中し、腸の免疫バランスの崩れ(特に過剰な免疫反応)が全身に影響すると言われている。酪酸には過剰な免疫反応を抑えるTreg細胞という免疫細胞を増やす効果があり、これには酪酸が大腸上皮細胞のヒストンのアセチル化を促進する働きが関与していることが分かっている。また腸の免疫疾患である炎症性腸疾患にも酪酸が有用であるといわれている。
【0043】
(3)腸内細菌中の乳酸菌の存在割合の増加
本細菌叢改善剤をヒトまたは非ヒト動物が摂取することで、腸内に存在する乳酸菌の割合を増加することができる。乳酸菌の増加により、乳酸菌による自己免疫疾患、感冒罹患の予防または改善や、善玉菌の増加および悪玉菌の抑制による整腸、下痢、便通等の改善を期待することができる。
【0044】
本細菌叢改善剤を適用する対象者は、上記の作用効果を享受する必要がある者であればよく、この限りにおいて特に制限されないものの、好ましくは腸内細菌叢の構成を変える要因である高脂肪食を摂取する者を広く対象とすることができる。好ましくは高脂肪食を好んで摂取する者であり、より好ましくは肥満または肥満傾向がある者である。なお、脂肪食とは、脂肪を多く含む食事であり、厳格に定義するものではないが、総摂取エネルギーのうち脂肪が占める割合(脂肪エネルギー比率)がおおよそ30~40%以上である食事を挙げることができる。例えば、牛バラ、牛ロース、牛挽き肉、コンビーフ(牛)、豚バラ、豚ロース、ベーコン(豚)、ソーセージ(豚)等の肉類;あんきも、鮪トロ、うなぎの蒲焼き、さんま、ぶり等の魚介類;卵黄、生クリーム(乳脂肪性)、及びカマンベールチーズ等の卵・乳製品;クロワッサン、デニッシュペストリ―、コーンスナック、ポテトチップスなどの穀物類;マカデミアンナッツ、落花生、アーモンド、カシューナッツ等のナッツ類;油揚げ、きな粉、マヨネーズ、フレンチドレッシング、オリーブ油、ゴマ油、有塩バター、マーガリン等の油脂含有食材を多く含む食事は、高脂肪食となりやすい。肥満は、BMI(Body Mass Index:体重[kg]/身長[m]の2乗)に基づいて判断され、BMIが30以上を肥満、25以上30未満を肥満傾向(肥満気味)と評価することができる。
【0045】
本細菌叢改善剤の服用(投与、摂取)により、腸内細菌叢が改善されるか否かは、糞便中に含まれる腸内細菌を解析することで評価、確認することができる。
【0046】
また本細菌叢改善剤の有効成分である大豆イソフラボンには、後述する実験例で示すように、腸内細菌叢の構成を変えるか、及び/または腸内有用細菌の存在量を増加することで。腸内での一次胆汁酸から二次胆汁酸への生成を抑制していると考えられる。その結果、本細菌叢改善剤によれば、脂質の吸収に有用な一次胆汁酸の生成を低下することなく、むしろ増加させながら、大腸がんや肝がんの原因ともなる二次胆汁酸の生成を有意に良く抑制し、腸内での存在量を低下させることができる。
【0047】
本細菌叢改善剤の投与量(摂取量)は、被験者の状態や症状の程度によって適宜変更され得るが、成人一人(体重50kg)に対する1日あたりの投与量(摂取量)は、本細菌叢改善剤に含まれる大豆イソフラボン(乾燥量)の量に換算して通常10~150mg程度である。通常一日1回または2~3回に分けて経口投与の形態で用いられる。服用時刻は、特に限定されず、例えば朝、昼、晩の食事時のいずれか1以上の時間帯を例示することができる。また制限されないが、食物に含まれる脂質の吸収に影響することから、食事と一緒、または食前若しくは食後のいずれも30分以内が好ましい。
【0048】
(II)二次胆汁酸の生成抑制剤
本発明の二次胆汁酸の生成抑制剤(以下、単に「本生成抑制剤」とも称する)は、大豆イソフラボンを有効成分とすることを特徴とする。
【0049】
本生成抑制剤は、前述する本細菌叢改善剤と同様に、経口投与形態であれば、その形態を特に問わない。また経口投与(経口摂取)形態を有するものである限り、その用途の別(医薬品、医薬部外品、飲食物[特定保健用食品、機能性表示食品、栄養機能性食品などの保健機能性食品やサプリメントを含む])は、特に制限されるものではない。好ましくは飲食物であり、より好ましくは、その作用や効果を標榜することができる特定保健用食品、または機能性表示食品である。
【0050】
本生成抑制剤は、各種の製剤形態のほか、通常の飲食物の形態を有するものであってもよい。当該飲食物は、前述する大豆イソフラボンまたは後述する大豆イソフラボンを含有する添加剤を種々の飲食物に添加することにより製造することができる。
【0051】
本生成抑制剤の投与量(摂取量)は、被験者の状態や症状の程度によって適宜変更され得るが、成人一人(体重50kg)に対する1日あたりの投与量(摂取量)は、本生成抑制剤に含まれる大豆イソフラボン(乾燥量)の量に換算して通常10~150mg程度である。通常一日1回または2~3回に分けて経口投与の形態で用いられる。服用時刻は、特に限定されず、例えば朝、昼、晩の食事時のいずれか1以上の時間帯を例示することができる。また制限されないが、食物に含まれる脂質の吸収に影響することから、食事と一緒、または食前若しくは食後のいずれも30分以内が好ましい。
【0052】
本生成抑制剤の対象者は、二次胆汁酸の生成量を低下する必要がある者であればよく、この限りにおいて特に制限されないものの、二次胆汁酸の生成量を上昇させる要因である高脂肪食を摂取する者を広く対象とすることができる。好ましくは高脂肪食を好んで摂取する者であり、より好ましくは肥満または肥満傾向がある者である。
【0053】
本生成抑制剤の服用(投与、摂取)により、二次胆汁酸の生成が抑制されて生成量が低下するか否かは、糞便中の胆汁酸量を分析し測定することで評価、確認することができる。本生成抑制剤は、腸内での一次胆汁酸から二次胆汁酸への生成を抑制していると考えられる。その結果、後述する実験例で示すように、本生成抑制剤によれば、脂質の吸収に有用な一次胆汁酸の生成を低下することなく、むしろ増加させながら、大腸がんや肝がんの原因ともなる二次胆汁酸の生成を有意に良く抑制し、腸内での存在量を低下させることができる。
【0054】
(III)腸内細菌叢改善剤様添加剤または二次胆汁酸の生成抑剤用添加剤
本発明の添加剤は、大豆イソフラボン、好ましくは可食性の大豆イソフラボンを有効成分とすることを特徴とする。
【0055】
当該本発明の添加剤は、その有効成分である大豆イソフラボンが有する腸内細菌叢の改善作用に基づいて、対象とする経口組成物に腸内細菌叢改善作用を付与するために用いられる添加剤である。また本発明の添加剤は、腸内細菌叢改善作用を有する経口組成物に対して、その作用をさらに強化するためにも用いることができる。
【0056】
当該本発明の添加剤は、その有効成分である大豆イソフラボンが有する二次胆汁酸の生成抑制作用に基づいて、対象とする経口組成物に二次胆汁酸の生成抑制作用を付与するために用いられる添加剤であることもできる。また本発明の添加剤は、二次胆汁酸の生成抑制作用を有する経口組成物に対して、その作用をさらに強化するためにも用いることができる。また、本発明の添加剤は、その有効成分である大豆イソフラボンが有する作用に基づいて、対象とする経口組成物に、一次胆汁酸の生成量を増加して二次胆汁酸の生成量を低下する作用を付与するために用いられる添加剤でもある。また本発明の添加剤は、これらの作用を有する経口組成物に対して、それらの作用をさらに強化するためにも用いることができる。
【0057】
ここで、本発明が対象とする経口組成物には、人に対して経口的に投与する組成物または人が摂取する組成物、具体的には経口医薬品、経口医薬部外品、及び飲食物が含まれる。好ましくは飲食物である。
【0058】
本発明の添加剤の原料として使用する大豆イソフラボンの種類、その調製方法等は、上記(I)で説明した通りであり、本欄(III)において援用することができる。
【0059】
本発明の添加剤は、大豆イソフラボンそのものであってもよいし、また大豆イソフラボンに薬学的にまた食品として許容される従来公知の可食性の担体、賦形剤等を組み合わせて調製されたものであってもよい。本発明の添加剤は、上記経口医薬品、経口医薬部外品、及び/又は飲食物に添加配合して、前述する二次胆汁酸の生成抑制剤を調製するために用いられる。このため、その限りにおいて、その形態を特に問わず、液剤(エキス形態やシロップを含む)やゼリー剤の形態を有していても、また当該液剤を常法により粉末状または顆粒状に製剤化した散剤、細粒剤、顆粒剤;液剤や散剤または顆粒剤をカプセルに充填したカプセル剤(硬質カプセル剤、軟質カプセル剤)、または粉末または顆粒をさらに打錠して錠剤形態としたものを使用してもよい(固形製剤)。
【0060】
経口医薬品、経口医薬部外品、及び/又は飲食物に添加配合して用いられる本発明の添加剤の量は、本発明の添加剤を配合することで調製される腸内細菌叢改善剤または二次胆汁酸生成抑制剤の一日投与(摂取)が、大豆イソフラボン(乾燥量)の量に換算して、通常10~150mg程度になるよう割合を挙げることができる。
【0061】
なお、本発明の添加剤は、上記経口組成物(経口医薬品、経口医薬部外品、及び/又は飲食物)を調製する工程で他の原料とともに原料の一つとして使用されるか、或いは経口組成物を服用(投与または摂取)する際に、当該経口組成物に用時配合して使用することができる。
【0062】
(IV)大豆イソフラボンの使用方法
本発明はまた、大豆イソフラボンの使用方法を提供する。当該方法は、経口組成物に、腸内細菌叢改善作用、二次胆汁酸の生成抑制作用、及び/又は一次胆汁酸の生成量を増加して二次胆汁酸の生成量を低下する作用を付与するための大豆イソフラボンの使用方法であり、当該方法は、大豆イソフラボンを、対象とする経口組成物に配合することで実施することができる。なお、大豆イソフラボンに代えて、大豆イソフラボンを有効成分とする前述する添加剤を用いることもできる。
【0063】
対象とする経口組成物、及び大豆イソフラボンの使用方法の詳細は、前述した通りである。
【0064】
以下、本明細書において、「含む」及び「含有する」の用語には、「からなる」及び「から実質的になる」という意味が含まれる。
【実施例0065】
以下、本発明の構成及び効果について、その理解を助けるために、実験例を用いて本発明を説明する。但し、本発明はこれらの実験例によって何ら制限を受けるものではない。以下の実験は、特に言及しない限り、室温(25±5℃)、及び大気圧条件下で実施した。
【0066】
実験例 胆汁酸摂取試験
被験動物(マウス)に、一次胆汁酸(コール酸)に加えて大豆イソフラボンを摂取させて、体重、摂食量、盲腸内容物重量、及び盲腸内容物中の胆汁酸量(一次胆汁酸量、二次胆汁酸量、総胆汁酸量)を測定した。また、盲腸内容物中からゲノムDNAを抽出し、腸内細菌叢解析を行った。
【0067】
(1)被験動物
動物:雄C57BL/6Jマウス8週齢(日本SLCより購入)
飼育期間:動物搬入後、通常食固形試料による2週間の馴化期間を経た後に各群の平均体重が均等になるように、下記の試験区に群分けした。
飼育環境:室温25℃、湿度55%、照明は室内の蛍光灯を午前7時~午後7時の12時間周期で点灯した。
【0068】
試験区:
馴化期間を経た後に、被験動物を下記の試験区に群分けし(各群 n=6もしくは7)、(b)~(e)の胆汁酸投与群には、0.3%(w/v)コール酸(CA)水溶液を飲水させ、また各素材をコントロール食に混餌した飼料を2週間、自由摂取させた。
(a)コントロール群:コントロール食(通常食固形試料D12450J:Research Diet社)+飲料水(蒸留水、以下同じ。)を摂取。
(b)胆汁酸投与群(CA群):コントロール食+0.3%コール酸添加飲料水を摂取。
(c)3%ラフィノース+胆汁酸投与群(CA+3%ラフィノース群):コントロール食+3%ラフィノース+0.3%コール酸添加飲料水を摂取。
(d)0.5%クルクミン+胆汁酸投与群(CA+0.5%クルクミン群):コントロール食+0.5%クルクミン+0.3%コール酸添加飲料水を摂取。
(e)0.8%大豆イソフラボン+胆汁酸投与群(CA+0.8%イソフラボン群):コントロール食+0.8%大豆イソフラボン+0.3%コール酸添加飲料水を摂取。
なお、大豆イソフラボンとしてイソフラボンP40(フジッコ株式会社製)を使用した。イソフラボンP40にはイソフラボンが37質量%以上含まれている。全イソフラボンのうち、ゲニステイン、ダイゼイン、グリシテインの3種のイソフラボンの配糖体の割合は約85質量%以上であり、アグリコンが約15質量%の割合で含まれている。なお、上記「0.8%」とは、イソフラボンP40中に含まれるイソフラボン含量に換算した量である。
【0069】
(2)試験方法とその結果
1.体重、摂食量、盲腸内容物量
各試験区の被験動物について、2週間の投与期間後に体重、盲腸内容物量、及び1日あたりの摂食量(g/day/mice)を測定した。結果を各群の平均値+標準誤差(n=6~7)として表1に示す。
【0070】
【0071】
上記表1に示すように、摂食量はいずれも大きく変化しなかったにも関わらず、コントロール群及びCA群と比べて、(e)CA+0.8%イソフラボン群において体重の有意な減少が認められた。これに対して、(c)CA+3%ラフィノース群及び(d)CA+0.5%クルクミン群はいずれも有意な体重減少は認められなかった。またコントロール群及びCA群と比べて、(c)CA+3%ラフィノース群及び(e)CA+0.8%イソフラボン群において、盲腸内容物の増加傾向が認められ、特に(e)CA+0.8%イソフラボン群において有意な増加を示した。
【0072】
2.盲腸内容物中の胆汁酸量
盲腸内容物中の胆汁酸量を定量した。胆汁酸の測定は、萩尾らの文献(Hagio, M., M. Matsumoto, and S. Ishizuka. 2011. Bile acid analysis in various biological samples using ultra performance liquid chromatography/electrospray ionization-mass spectrometry (UPLC/ESI-MS). Methods Mol. Biol. 708: 119-129.)に記載の方法に従って、盲腸内容物からLC-MS用のサンプルを調製し、LC-MSを用いて胆汁酸成分を分析定量した。
【0073】
コントロール群、CA群、CA+3%ラフィノース群、CA+0.5%クルクミン群、及びCA+0.8%イソフラボン群について、各一次胆汁酸及び二次胆汁酸の量、並びに総胆汁酸量を比較した結果を表2に記載する。なお、表2には、Tukey HSD検定の結果も示す。各数値の右上肩の文字は、異なる文字は群間で有意差があることを示し(p<0.05)、同じ文字を含む場合は有意差はない。
【0074】
【0075】
表2に示すように、コール酸を摂取させたCA群は、コントロール群と比べて、一次胆汁酸量が低下し、毒性が強いデオキシコール酸(DCA)含む二次胆汁酸の量が有意に増加していた。これに対して、コール酸に加えて大豆イソフラボンを摂取させたCA+0.8%イソフラボン群は、コントロール群及びCA群の両群と比較して、一次胆汁酸量が格段に増加し、また、デオキシコール酸(DCA)及び二次胆汁酸の量が増加したCA群と比較して、デオキシコール酸(DCA)の量もまた二次胆汁酸の量のいずれとも顕著に減少していた。
【0076】
上記の胆汁酸投与試験により、大豆イソフラボンには、CA摂取、言い換えれば高脂肪食を摂取することによって生じる二次胆汁酸の増加を抑制する作用、つまり二次胆汁酸低減効果(二次胆汁酸生成抑制効果)が確認された。一方で、CA+0.8%イソフラボン群では、コール酸(CA)やタウロコール酸(TCA)等の一次胆汁酸の生成量が増加していたことから、大豆イソフラボンには、一次胆汁酸による作用(例えば、脂肪の乳化促進、コレステロールの排出等)を損なうことなく(むしろ、増強しながら)、二次胆汁酸の生成及び増加を抑制し、二次胆汁酸の生成量を低減する作用があることが確認された。
【0077】
表1に示すように、CA+0.8%イソフラボン群では盲腸内容物量が増加していたが、当該盲腸内容物の増加は宿主に有益な作用をもたらす短鎖脂肪酸の
増加と関連があることが知られている。このことから、CA+0.8%イソフラボン群において特定の有用菌である短鎖脂肪酸産生菌の代謝物が増加し、腸内pHが低下すること、および/または、腸内細菌叢の多様性が改善された結果、一次胆汁酸生成の増加、及び二次胆汁酸生成の低下が生じていることが考えられる。また、表1に示すように、CA+2%イソフラボン群では体重減少が認められていることから、その抗肥満効果は、大豆イソフラボン摂取による腸内の菌叢変化と関係があると考えられる。
【0078】
なお、最近、Tempoleと呼ばれる抗酸化剤が高脂肪食摂取による肥満を抑制し、高脂肪食によって増加するFirmicutes門を減少させ、高脂肪食によって減少するBacteroidets門を増加させることが報告されている(Li et al., Microbiome remodelling leads to inhibition of intestinal farnesoid X receptor signalling and decreased obesity. Nat Commun., 4:2384. doi: 10.1038/ncomms3384 (2013))。Tempole投与により消化管の核内受容体farnesoid X receptor(FXR)に対し、アンタゴニストとして作用するタウロ-β-ムリコール酸(TβMCA)と呼ばれる抱合胆汁酸が増加し、FXRの活性化が阻害されることで肥満の抑制が起こることが示唆されている。イソフラボン摂取による抗肥満のメカニズムは明らかではないものの、本試験で一次胆汁酸のタウロ-β-ムリコール酸(TβMCA)が有意に増加していることから、腸内細菌叢の改善による一次胆汁酸の生成増加を介して肥満抑制が生じている可能性がある。
【0079】
3.盲腸内容物中の腸内細菌叢構成
各試験区の被験動物について、2週間の投与期間後に採取した盲腸内容物から定法に従ってDNAを抽出し、株式会社生物技研に依頼して16S rRNA遺伝子のV3-V4領域を増幅し、Illumina MiSeqによるメタ16S菌叢解析を行った。得られた30サンプルの合計1,511,039リード(平均50,368リード)についてQIIME(Quantitave Insights Into Microbial Ecology)を用いて菌叢解析を行った。
【0080】
菌叢解析の結果から、Shanon指数(菌種数に各菌種の頻度を加味した指標)、門レベルの菌叢構成、及び科・属レベルの菌叢構成を求めた。Shanon指数は菌叢多様性を判断する指標として使用される。
【0081】
[Shanon指数]
Shanon指数(mean±SEM (n=6)、Tukey-HSD 検定)の結果を
図1に示す。
図1に示すように、コントロール群と比べて、CA群でShanon指数の著しい減少(菌叢多様性の低下)が認められたが、CA+0.8%イソフラボン群で有意な改善(菌叢多様性の改善)が認められた。
【0082】
[門レベルの菌叢構成]
盲腸内容物中の門レベルの腸内細菌叢構成(n=6)を
図2Aに示す。
図2Aに示すように、CA 投与によりProteobacteria門が増加し、Bacteroidetes門が減少した。Bacteroidetes門に対するFirmicutes門の割合(Firmicutes/Bacteroidetes比)を
図2Bに示す。
図2A及びBに示すように、特にCA+0.8%Iso群では、Bacteroidetes門の増加に伴い、Firmicutes/Bacteroidetes比の低下傾向が認められた。非特許文献1に記載されているように、肥満型のヒトの腸内細菌叢ではBacteroidetes門に属する細菌の構成比率が低く、Firmicutes門に属する構成比率が高いことが知られている。一方、体重の減少に伴って、つまり正常型または痩せ型になるにつれて、Bacteroidetes門に属する細菌の構成比率が高まり、Firmicutes門に属する構成比率が低下する。
図2Bの結果は、表1に示したCA+0.8%Iso群における体重減少と相関していたことから、大豆イソフラボンの摂取により、腸内細菌叢の構成が変化して、痩せ型体質に変わることが確認された。
【0083】
[科・属レベルの菌叢構成]
盲腸内容物中の科・属レベルの腸内細菌叢構成(n=6)を
図3、
図4、
図5A~D、
図6~8に示す。
図3に示すように、CA投与により減少したエクオール産生菌であるAdlercreutzia属が、イソフラボンの投与により有意に増加することが確認された。
図4に示すように、CA投与により減少した乳酸菌であるLactobacillus属が、イソフラボンの投与により増加することが確認された。また
図5A~Dに示すように、CA投与により減少した、短鎖脂肪酸産生菌である、Coprococcus属(酪酸産生菌)(
図5A)、及びPrevotella属(酪酸、プロピオン酸、イソ吉草酸産生菌)(
図5B)も、イソフラボンの投与により有意に増加することが確認された。特に、Prevotella属は、Bacteroidetes門のうち、胆汁酸に感受性を示す細菌であることが知られている。さらに
図5C及びDに示すように、短鎖脂肪酸産生菌であるParabacteroides属(コハク酸産生菌)、及びBlautia属(酢酸、乳酸産生菌)も、イソフラボンの投与により増加することが確認された。また、
図6及び7に示すように、CA投与で増加したFirmicutes門(Turicibacter属、Dorea属)(
図6A及びB)、及びProteobacteria門(Desulfovibrionaceae科)(
図7)がいずれも大豆イソフラボン投与により低下することが確認された。
【0084】
4.考察
一般的に、高脂肪食摂取により二次胆汁酸の増加と共にFirmicutes門の増加及びBacteroidetes門の減少が起こり、これらが肥満やメタボリックシンドロームの発症につながることが知られている。また、高脂肪食摂取による二次胆汁酸の増加と大腸疾患及び肝臓疾患との関連性が指摘されている(非特許文献2)。本試験では、CA投与によって増加した二次胆汁酸が大豆イソフラボンの投与によって低下することが確認された。さらに、CA投与により低下した腸内菌叢の多様性が大豆イソフラボンの投与により改善されること(例えば、CA投与によって低下したBacteroidetes門が大豆イソフラボン投与により増加すること、CA投与で増加したFirmicutes門(Turicibacter属、Dorea属)、及びProteobacteria門(Desulfovibrionaceae科)がいずれも大豆イソフラボン投与により低下すること、そしてBacteroidetes門に対するFirmicutes門の割合(Firmicutes/Bacteroidetes比)が低下すること)、また、大豆イソフラボン投与により腸内で酪酸産生菌(Coprococcus属)等の各種の短鎖脂肪酸産生菌やエクオール産生菌(Adlercreutzia属)、乳酸菌(Lactobacillus属)などの有用菌が増加することが確認された。
【0085】
これらの腸内細菌と胆汁酸との関連の詳細は不明であるが、CA投与により低下した腸内菌叢の多様性が大豆イソフラボンの投与により改善された結果、二次胆汁酸生成の抑制、及び一次胆汁酸の増加が生じているものと考えられる。このように、大豆イソフラボンを摂取することで得られる腸内菌叢改善効果および/または二次胆汁酸低減効果(二次胆汁酸生成抑制効果)を介して、肥満やメタボリックロドーム、大腸疾患、肝臓疾患など、その他の疾患や病態を改善し、また予防する作用を発揮するものと考えられる。