(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096179
(43)【公開日】2024-07-12
(54)【発明の名称】液状のホットメルト接着剤の質量流量を測定するためのセンサー装置
(51)【国際特許分類】
G01F 1/684 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
G01F1/684
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024068357
(22)【出願日】2024-04-19
(62)【分割の表示】P 2022110513の分割
【原出願日】2017-12-19
(31)【優先権主張番号】20 2016 107 242.5
(32)【優先日】2016-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】391019120
【氏名又は名称】ノードソン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【弁理士】
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【弁理士】
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】スヴェン ローリング
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ モーディック
(72)【発明者】
【氏名】ヘルゲ リペルト
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ボールンケッセル
(57)【要約】
【課題】モジュール化され可逆的接続可能な構成を有する液状のホットメルト接着剤の質量流量を測定するためのセンサー装置の提供。
【解決手段】センサー装置は、 ホットメルト接着剤の流路を有する部材と、第1の温度測定器と、第2の温度測定器と、第2の温度測定器を加熱するための加熱器と、加熱器を制御し、かつ質量流量を測定するコントロールユニットと、を備えている。第1の温度測定器と第2の温度測定器はセンサーブロックに装着されており、センサーブロックはセンサー支持体に取り外し自在に接続されており、センサー支持体はセンサーブロックと反対側において閉鎖エレメントによって取り外し自在に閉鎖されており、第1の温度測定器と第2の温度測定器は各々が平面状であり、ホットメルト接着剤の流れの方向に沿って平坦であり、第1の温度測定器と第2の温度測定器は流路内に互いに平行に配置されており、センサー支持体は前記部材に取り外し自在に接続されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状のホットメルト接着剤(4)の質量流量を測定するためのセンサー装置(12)であって、
前記ホットメルト接着剤(4)のための流路(5)を有する部材と、
前記流路(5)の第1のポジションにおける前記ホットメルト接着剤(4)の温度を測定するために、前記流路(5)の前記第1のポジションに配置されている第1の温度測定器(24)と、
前記流路(5)の第2のポジションに配置されている第2の温度測定器(28)と、
前記第2の温度測定器(28)に割り当てられており、前記第2の温度測定器(28)を加熱するための加熱器(32)と、
前記加熱器(32)を制御し、かつ前記質量流量を測定するコントロールユニット(63)と、を備え、
前記第2の温度測定器(28)は、前記第2の温度測定器(28)における第2の温度を測定するために用いられ、
前記コントロールユニット(63)は、前記第2の温度測定器(28)の温度をある値に調節して前記第2の温度測定器(28)を加熱するための加熱出力を決定し、かつ前記流路(5)内の前記質量流量を算出するように構成されていて、
当該センサー装置はセンサーブロック(22)を備え、前記第1の温度測定器(24)と前記第2の温度測定器(28)は該センサーブロック(22)に装着されており、該センサーブロックはセンサー支持体(20)に取り外し自在に接続されており、該センサー支持体は該センサーブロックと反対側において閉鎖エレメント(26)によって取り外し自在に少なくとも部分的に閉鎖されており、前記第1の温度測定器(24)と前記第2の温度測定器(28)は各々が平面状であり、かつ前記ホットメルト接着剤の流れの方向に沿って平坦であり、前記第1の温度測定器(24)と前記第2の温度測定器(28)は前記流路(5)内に実質的に互いに平行に配置されており、前記センサー支持体は前記部材に取り外し自在に接続されていることを特徴とする、センサー装置(12)。
【請求項2】
前記第1の温度測定器(24)と前記第2の温度測定器(28)はそれぞれセンサー(33)を有しており、前記センサーには抵抗温度計(30)が装備されていることを特徴とする、請求項1に記載のセンサー装置(12)。
【請求項3】
前記第1の温度測定器(24)と前記第2の温度測定器(28)は、セラミック材料とパッシベーションガラスとを有するセンサー(33)を有していることを特徴とする、請求項1又は2に記載のセンサー装置(12)。
【請求項4】
前記部材はハウジングを含み、前記第1の温度測定器(24)、前記第2の温度測定器(28)及び前記センサー支持体(20)は、前記ハウジング(10)に収容されており、前記ハウジング(10)は前記流路(5)を画定していることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のセンサー装置(12)。
【請求項5】
前記ハウジング(10)は、少なくとも1つの電気加熱カートリッジ(14)によって加熱可能であり、及び/又はハウジング温度センサー(16)を装備しており、前記センサー支持体(20)は前記閉鎖エレメント(26)と反対側に内ネジ(42)を備え、前記センサーブロック(22)は前記センサー支持体に螺合する外ネジ(43)を備えていることを特徴とする、請求項4に記載のセンサー装置(12)。
【請求項6】
前記センサー支持体(20)は、前記ハウジング(10)のハウジングボア(38)に配置されており、前記センサー支持体は、ネジ、自動位置合わせバヨネットコネクタ、又はプレス嵌めによって前記ハウジング(10)に固定されていることを特徴とする、請求項4又は5に記載のセンサー装置(12)。
【請求項7】
前記部材は塗布装置又は塗布ノズルを含み、前記センサー支持体(20)は、前記塗布装置(45)又は前記塗布ノズルに取り外し自在に接続されてその中に挿入されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のセンサー装置(12)。
【請求項8】
前記センサー支持体(20)は、少なくとも部分的に中空の本体又は管として構成されており、前記閉鎖エレメントは、ネジ接続(29a、29b)によって前記センサー支持体(20)に接続されており、前記第1の温度測定器(24)と前記第2の温度測定器(28)の前記センサー(33)が前記センサーブロック(22)の中に少なくとも部分的に挿入可能であるように前記センサーブロック(22)が構成されており、前記センサーブロック(22)、前記センサー支持体(20)及び前記閉鎖エレメント(26)は、前記センサー(33)のためのワイヤ(34)がこれらを通過できるように構成されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のセンサー装置(12)。
【請求項9】
前記センサーブロック(22)は摩擦係合又は形状結合によって前記センサー支持体(20)に接続されており、前記センサーブロック(22)及び/又は前記センサー支持体(20)には少なくとも部分的に充填材又は耐熱性合成樹脂(36)が充填されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のセンサー装置(12)。
【請求項10】
前記センサーブロック(22)は、ネジによって、自動位置合わせバヨネットコネクタによって、又はプレス嵌めによって、前記センサー支持体(20)に接続されていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のセンサー装置(12)。
【請求項11】
前記センサーブロック(22)及び/又は前記センサー支持体(20)は、プラスチック、耐熱性プラスチック、又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から作られていることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載のセンサー装置(12)。
【請求項12】
前記コントロールユニット(63)は、制御パラメータ(64)の入力ユニット(65)と、PID制御器(66)と、少なくとも1つのアナログ/デジタル変換器(70a、70b)と、少なくとも1つのデジタル/アナログ変換器(68)とを装備しており、前記第2の温度測定器(28)の温度と前記第1の温度測定器(24)の温度との間で維持すべき一定の温度差、5~50Kの温度差、又は10~15Kの温度差が前記制御パラメータとして用いられることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載のセンサー装置(12)。
【請求項13】
前記ホットメルト接着剤の質量流量を測定する請求項1~12のいずれか一項に記載の前記センサー装置(12)を備える、前記ホットメルト接着剤を吐出するための塗布装置(45)。
【請求項14】
液状のホットメルト接着剤(4)を提供するための溶融装置(76)と、
前記ホットメルト接着剤(4)を吐出するための加熱式塗布装置(45)と、
前記ホットメルト接着剤(4)を前記溶融装置(76)から前記塗布装置(45)へ搬送するための加熱式搬送装置(2)と、
前記ホットメルト接着剤(4)の搬送率を調節するための制御システム(78)と、
前記ホットメルト接着剤の質量流量を測定する請求項1~12のいずれか一項に記載のセンサー装置(12)と、を備える、液状の前記ホットメルト接着剤の塗布システム(75)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状のホットメルト接着剤の質量流量を測定するためのセンサー装置に関する。このセンサー装置は、ホットメルト接着剤のための流路と、流路の第1のポジションにおけるホットメルト接着剤の温度を測定するために、流路の第1のポジションに配置されている第1の温度測定器と、該流路の第2のポジションに配置されている第2の温度測定器と、第2の温度測定器に割り当てられており、かつ当該第2の温度測定器を加熱するための加熱器と、を備え、第2の温度測定器は、加熱される当該第2の温度測定器における第2の温度を測定するために用いられ、加熱器の制御と質量流量の測定に用いるコントロールユニットは、第2の温度測定器の温度を1つの値に制御し、第2の温度測定器を加熱するための加熱出力を決定し、かつ流路内の質量流量を測定するように構成され、設けられている。
【0002】
本発明は、さらに、ホットメルト接着剤を吐出するための塗布装置ならびに液状のホットメルト接着剤の塗布システムにも関する。この塗布システムは、液状のホットメルト接着剤を提供するための溶融装置と、ホットメルト接着剤を吐出するための加熱式塗布装置と、ホットメルト接着剤を溶融装置から塗布装置へ搬送するための加熱式搬送装置と、特にホットメルト接着剤の搬送率を適合するための制御システムと、を備えている。
【背景技術】
【0003】
この種のシステム、塗布装置、及びホットメルト接着剤などの液体の質量流量を測定するセンサー装置は、従来技術から公知である。そのようなセンサー装置は、対流式流速法の原理を使用しており、可動式機械部品を使って質量流量に直接的に介入する必要がない。この測定原理では、温度測定器をホットメルト接着剤の温度よりも高く加熱する必要がある。ホットメルト接着剤の温度は、もう1つの温度測定器で検出される。加熱された温度測定器を取り囲むホットメルト接着剤の流速に応じて、ある程度の大きさの熱量が周囲を流れる流体に放出される。コントロール装置を使用することにより、加熱される温度測定器の温度は、周辺のホットメルト接着剤の温度よりも正の固定値だけ上回るように制御される。必要な加熱出力及びそれに関連するエネルギー消費は、流速に対する尺度であり、従って液体の質量流量の尺度である。測定原則の説明は、非特許文献1により参照できる。
【0004】
2つの温度測定器は、従来技術によれば、流路を通る軸に沿ってそれぞれ90°ずらされた状態で配置される。さらに、センサーは棒形エレメントとして構成されている。
従来技術の欠点は、センサーの面積が原因で質量流量に付加的な流れ抵抗が生じ、この抵抗が、ホットメルト接着剤を特定の量を搬送するために必要なポンプ出力に悪影響を及ぼし、システム内に圧力損失を引き起こす点である。さらに、これらのセンサーの配置はホットメルト接着剤の中に渦巻きを発生させ、この渦巻きは特に吐出ノズルの近傍領域において不均一な液体流出を引き起こすおそれがあり、この不均一な流体流出は基板又は加工物へのホットメルト接着剤の塗布品質に不利に作用する。さらに、この渦巻きが原因で、得られた測定結果の精度が制限される可能性もある。これに加え、これらのセンサーはユニットとしてメンテナンスが難しく、ハウジングから簡単に取り外して交換することができない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Schoenteich,B.,Fischer,F.:「高粘性接着剤における精密質量流量測定-ほぼ圧力損失なし」:ブラウンシュヴァイク工科大学接合技術及び溶接技術研究所のifsレポート、第1号/2013年、10~13頁。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、従来技術の欠点をほぼ回避するか、又は軽減し、特に流体への影響が僅かであり、簡単に製造可能かつ位置決め可能であり、高い測定精度を達成する、液状のホットメルト接着剤の質量流量を測定するためのセンサー装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、ホットメルト接着剤のための流路と、流路の第1のポジションにおいてホットメルト接着剤の温度を測定するために、流路の第1のポジションに配置されている第1の温度測定器と、流路の第2のポジションに配置されている第2の温度測定器と、第2の温度測定器に割り当てられており、かつ当該第2の温度測定器を加熱するための加熱器と、を備え、第2の温度測定器は、加熱される当該第2の温度測定器における第2の温度を測定するために用いられ、加熱器の制御と質量流量の測定に用いるコントロールユニットは、第2の温度測定器の温度を1つの値に制御し、前第2の温度測定器を加熱するための加熱出力を決定し、かつ流路内の質量流量を測定するように構成され、設けられている、液状のホットメルト接着剤の質量流量を測定するためのセンサー装置が提供される。
【0008】
本発明の更なる態様によれば、この種のセンサー装置を備える塗布装置及びシステムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1の実施例における、センサー装置を備えた、ホットメルト接着剤の塗布システムの断面図である。
【
図2】
図1によるホットメルト接着剤の塗布システムの部分断面の斜視図である。
【
図3】代替の実施例における、ハウジング内に取り付けたセンサー装置の斜視図である。
【
図4】ホットメルト接着剤のフロー方向に対して垂直な断面による、代替の実施例におけるセンサー装置とハウジングの断面図である。
【
図5】ホットメルト接着剤のフロー方向の断面による、
図1によるセンサー装置とハウジングの断面図である。
【
図6】代替の実施例におけるセンサー支持体の斜視図である。
【
図7】ホットメルト接着剤の所定のフロー方向に対して垂直な断面によるセンサー支持体の断面図である。
【
図8】ホットメルト接着剤の所定のフロー方向に対して平行な断面によるセンサー支持体の断面図である。
【
図9】液状のホットメルト接着剤の塗布装置と、それに取り付けられたセンサー装置の図である。
【
図10】質量流量を測定するための制御回路図である。
【
図11】液状のホットメルト接着剤の塗布システムである。
【
図12】ハウジング内に取り付けたセンサー装置の代替の実施例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一態様によれば、第1の温度測定器と第2の温度測定器が流路内では実質的に互いに平行に配置されているという考え方に基づいている。本明細書において、「実質的に平行に」という表現は、第1の温度測定器と第2の温度測定器が正確に平行に配向されており、正確に平行な配向から最大±20°までの偏差を含んでいることを意味している。センサーのそのような配向及び成形により、測定器によって誘発される流れ抵抗が低減されるだけでなく、質量流量における渦巻きの発生も減少する。これにより、従来技術に比べ、測定精度を改善することができる。さらに、そのような構造は、構成要素の有利なグループ化及びモジュール化を可能にし、この限りにおいて、モジュール化及びグループ化されたセンサー装置の構成がもたらすコスト的優位性にも寄与する。さらに、このことにより、液状のホットメルト接着剤の塗布システム内の種々異なる場所に測定器を位置決めすることも可能になる。
【0011】
本発明のもう1つの態様又は好ましい実施形態によれば、第1の温度測定器と第2の温度測定器が実質的に流路の同一の側面上に配置されている。有利には、この配置によって、同じく測定精度の向上と流れ抵抗の軽減も達成される。これにより、構成要素の有利なグループ化も同様に支援される。
【0012】
好ましい実施形態によれば、第1の温度測定器と第2の温度測定器はそれぞれ1つのセンサーを有しており、そのセンサーには抵抗温度計が装備されている。さらに、本発明の一態様に基づき、温度測定器の少なくとも1つには、加熱器、特に加熱可能な抵抗器が装備され、第1の温度測定器と第2の温度測定器には、セラミック材料とパッシベーションガラス(ガラス不動態化部)とを有するセンサーがそれぞれ装備されている。この種の構造により、有利な機能統合が達成されることで、流れを妨げないセンサー形状の形成が可能となり、これは、とりわけ、抵抗の低減に貢献する。
【0013】
好ましい発展形態によれば、第1の温度測定器と第2の温度測定器はセンサー支持体を有し、センサーはこのセンサー支持体上に配置されている。これにより、本発明の一態様によれば、センサー装置のモジュール化が達成され、同時にメンテナンスの容易なセンサーユニットの取外しも簡単になる。これにより全体として、従来技術に比べて経費を節約することができる。
【0014】
好ましくは、第1の温度測定器、第2の温度測定器及びセンサー支持体が1つのハウジングに収容されており、このハウジングは流路を画定している。このとき、ハウジングは、好ましくは少なくとも1つの電気加熱カートリッジによって加熱可能であり、及び/又はハウジング温度センサーを装備している。これにより、ホットメルト接着剤塗布の際に、ほぼ一定の好ましい処理温度を維持することの特別な重要性が考慮される。
【0015】
好ましくは、センサー支持体は、ネジ、自動位置合わせバヨネットコネクタ、プレス嵌め又は接着等によってハウジングに固定される。センサー装置の使用目的に応じて、構成部品の簡単で可逆的な接続か、あるいは、製品の寿命にわたって構成部品が意図せずに外れないように高い確実性を備える不可逆的な接続か、どちらかの接続が可能である。
【0016】
さらに、好ましい実施形態によれば、センサー支持体は、塗布装置の中に、特に塗布ノズルの中に取り付けられる。これにより、センサー装置の統合のためにハウジング部が塗布装置によってすでに設けられることから、構成部品削減という利点も実現可能である。さらに、そのような位置決めは、塗布装置の質量流量に関して、測定精度をさらに高めることにも適している。センサーと塗布装置との間の間隔は僅かであるため、隣接する2つの領域における流速は、ほぼ同じであると考えてよい。
【0017】
さらに、好ましい実施形態によれば、センサー支持体がホース接続部の中に取り付けられていることが提案される。そのような取付け位置により、例えば塗布ノズルの領域において構造空間が制限されている場合や、ホース接続部におけるホットメルト接着剤の流速が重要である場合に、有利には測定器をホットメルト接着剤の質量流量の中に取り付けることができる。
【0018】
さらに、好ましくは、センサー支持体は、内部が少なくとも部分的に中空の本体として、好ましくは管として構成され、及び/又はセンサーの反対側にある管の側面が閉鎖エレメントによって少なくとも部分的に閉鎖され、この閉鎖エレメントは、好ましくは、ネジ接続によってセンサー支持体に接続されており、及び/又は好ましくはこの閉鎖エレメントに対向する管の側面では、センサーブロックがセンサー支持体に固定されており、このセンサー支持体の上側は、第1の温度測定器と第2の温度測定器のセンサーがセンサーブロックの中に少なくとも部分的に挿入可能であるように構成されており、センサーブロック、センサー支持体及び閉鎖エレメントは、センサーのためのワイヤがこれらを通過できるように構成されている。このような構造により、中実に構成されたセンサー支持体に比べて材料が節約され、同時にメンテナンス及び取付け作業も容易になる。さらに、電気線又はケーブルを問題なくハウジングを通して案内することもできる。
【0019】
好ましくは、センサーブロックが摩擦結合及び/又は形状結合によってセンサー支持体に接続され、センサーブロック及び/又はセンサー支持体には少なくとも部分的に充填材、特に耐熱性合成樹脂が充填される。形状結合により、ホットメルト接着剤のセンサーハウジング内への移行を阻止するシール作用が得られるだけでなく、より確実な構成部品の固定も達成される。少なくとも部分的な充填により、一方では、センサー及びケーブルが所定の場所に固定され、他方では、樹脂の絶縁特性によって、望ましくない導電接続からも保護される。
【0020】
好ましい発展形態によれば、センサーブロックは、ネジによって、自動位置合わせバヨネットコネクタによって、プレス嵌めによって、又は接着によってセンサー支持体に接続される。ここでも、このような接続エレメントにより、用途に応じて、可逆的又は不可逆的な構成部品の接続が可能になる。
【0021】
さらに、センサーブロック及び/又はセンサー支持体は、好ましくはプラスチックから、好ましくは耐熱性プラスチックから、特に好ましくはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から作製されている。これにより、発明の有利な効果としては、重量の削減、熱伝導及び電気伝導の制限、優れた加工性、ならびに耐久性が得られる。
【0022】
もう1つの好ましい代替の実施形態の特徴は、コントロールユニットが、制御パラメータの入力ユニットと、PID制御器と、少なくとも1つのアナログ/デジタル変換器と、少なくとも1つのデジタル/アナログ変換器とを装備していることであり、制御パラメータとしては、第2の温度測定器の温度と第1の温度測定器の温度との間で維持すべき一定の温度差が用いられ、特に5~50K、好ましくは10~15Kの温度差が用いられる。本発明の一態様において、コントロールユニットは、特にPID制御器を使用することによって、温度測定器の間の温度差を確実に一定に保つために、迅速で安定した加熱ユニットの制御を可能にする。さらに、前述した温度差の開きにより、測定品質がさらに向上し、同時にホットメルト接着剤の温度場への介入を最小限に抑えることができる。
【0023】
さらに、液状のホットメルト接着剤の塗布システムは、次の構成部品、すなわち、液状のホットメルト接着剤を提供するための溶融装置と、ホットメルト接着剤を吐出するための加熱式塗布装置と、ホットメルト接着剤を溶融装置から塗布装置へ搬送するための加熱式搬送装置と、特にホットメルト接着剤の搬送率を適合するための制御システムと、ホットメルト接着剤の質量流量を測定するためのセンサー装置とを装備している。これにより、本発明に基づくセンサー装置の高い測定品質を利用するという、本発明に基づく利点が得られ、ホットメルト接着剤の搬送率を高い精度で望ましい目標値と一致させることが確実になる。
【実施例0024】
以下に、本発明の好ましい実施例を、図面を参照して説明する。
図1及び2に図示されている第1の実施例のホットメルト接着剤の塗布システムは、溶融されたホットメルト接着剤4(ここでは符号のみ)を溶融装置76(
図1には図示されていない。
図11を参照)から塗布装置6へ搬送するための搬送装置2、ここでは図示されていない溶融装置76(
図11)、塗布装置6、ならびに液状のホットメルト接着剤の質量流量を測定するためのセンサー装置12を備えている。
【0025】
塗布装置6には、ホットメルト接着剤4を基板又は加工物(図示されていない)に吐出するノズルアセンブリ8が装備されている。塗布装置6は、それ自体公知のやり方で、ハウジング7、その中に形成されている流路、液体を導入するためのバルブアセンブリと接続部、塗布装置を制御するための制御装置、及びその他の構成部品を有している。
【0026】
センサー装置12は、この実施例では、塗布装置6と搬送装置2との間に配置され、ハウジング10を有しており、このハウジングは流路5を含み、この流路を画定している。ハウジング10には接続部材18a及び18bが取り付けられており、これらの接続部材は、塗布装置6及び搬送装置2との可逆的接続を可能にしている。
【0027】
プロセス側では、ホットメルト接着剤4はハウジング10を矢印方向9に通過する。
【0028】
加熱のため、ハウジング10には加熱カートリッジ14が装備されており、この加熱カートリッジによって、ハウジング10をホットメルト接着剤4の処理に最適な温度に維持することができる。対応するハウジングボア16内にあるハウジング温度センサー(直接図示されていない)が、ハウジング10の温度の監視に用いられる。
【0029】
液状のホットメルト接着剤4の質量流量を測定するためのセンサー装置12は、部分的にハウジング10の流路5の中に配置されている。センサー装置12は、センサー支持体20、第1の温度測定器24及び第2の温度測定器28を装備している。さらに、このセンサー装置には、センサーブロック22及び閉鎖エレメント26も装備されている。
【0030】
第1の温度測定器24と第2の温度測定器28は、このセンサーブロック22の上に固定されている。これらの温度測定器は部分的に流路5の中に突き出しており、それによって作動時にそこを通流するホットメルト接着剤4と接触するように配置されている。第1の温度測定器24と第2の温度測定器28は並んで配置されており、互いに平行になっている。センサーブロック22は、センサー支持体20とネジで固定されており、かつセンサーブロック22に対向する側面において閉鎖エレメント26によって少なくとも部分的に閉鎖されている。センサーブロック22及びセンサー支持体は、好ましくはプラスチックから、好ましくは耐熱性プラスチックから、特に好ましくはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から作製されている。
【0031】
図3に示されているように、それぞれの温度測定器24及び28は、好ましくは抵抗温度計30として形成されているセンサーを1つずつ装備している。温度測定器24又は28の少なくとも1つには、さらなるセンサーとして、加熱可能な抵抗器32が装備されている。好ましい実施例では、第1の温度測定器24と第2の温度測定器28には、同一構造の複合加熱/温度測定センサー33が装備されている。しかし、加熱可能な抵抗器は、好ましくは第2の温度測定器28だけに使用される。結果的に、第1の温度測定器24は温度測定にのみ使用され、これに対して第2の温度測定器28は、加熱可能な抵抗器32によって達成されるホットメルト接着剤4よりも高い温度を測定するために用いられる。また、センサーはセラミック材料とパッシベーションガラス(passivation glass)とを有するように構成してもよい。
【0032】
図3及び
図4から分かるように、閉鎖エレメント26は、2本のネジ29a及び29bによってセンサー支持体20に固定されている。
図4による代替の実施例では、さらに、さまざまなケーブル34が少なくとも部分的にセンサー支持体20を通って案内されている。ケーブル又はワイヤの固定及び電気的絶縁のため、センサーブロック22及びセンサー支持体20には合成樹脂36が部分的に充填されている。
【0033】
図4及び5に図示されているように、ハウジング10は、内ネジ40を備えるシリンダ形のハウジングボア38を装備している。センサー支持体20は対応する外ネジ39を備えているため、構成部品を形状結合することができる。
【0034】
センサー支持体20のもう1つの代替の実施例が
図6に示されている。ここでは、センサー支持体20に外ネジがなく、例えば圧着接続によってハウジング10の対応する部分に接続される。
【0035】
図7及び
図8では、センサー支持体20が、閉鎖エレメント26と反対側の内側の側面に内ネジ42を備えている。この実施例では、センサー24及び28を含めたセンサーブロック22が外ネジ43を備えており、それによってセンサー支持体20の中にねじ込まれる。
【0036】
ホットメルト接着剤4を吐出するための塗布装置45の中にセンサー装置12を直接的に取り付ける代替の配置は、
図9のもう1つの実施例の枠内にある。
【0037】
塗布装置45は、ホットメルト接着剤4を供給するパイプ管路44が配置されている基部本体47を備えている。ホットメルト接着剤4を濾過するための濾過器46は、パイプ管路44と流体接続している。
図9における塗布装置45の配向を基準にして、濾過器46の下方に分配チャネル48があり、これは塗布装置45内のホットメルト接着剤4を
図9の断面に対して垂直方向に分配するために用いられる。塗布装置45の基部本体47にはシリンダ形のボア49が装備されており、このボアの中へは基部本体47にあるセンサー装置12が、プレス嵌めによって、あるいはネジ、接着又はバヨネットコネクタによって取り付けられている。従って、第1の温度測定器24及び第2の温度測定器28は、流れを妨げないように分配チャネル48の中に突入している。
【0038】
基部本体47には、さらに、ホットメルト接着剤の質量流量を制御するためのバルブ50が取り付けられている。バルブ50からチャネル52が延びている。チャネル52は、ノズルエレメント54及び56によって形成されているスロットノズル58に合流する。ノズルエレメント54及び56は、クランプ装置60によって塗布装置45の基部本体47に固定されている。電気的コンポーネントを収容するため、塗布装置47には、さらに収容装置62が装備されている。
【0039】
したがってプロセス側では、ホットメルト接着剤4はパイプ管路44を介して塗布装置45に達する。続いて、ホットメルト接着剤4は、濾過器46を通過した後で分配チャネル48に達し、この分配チャネルは塗布装置45の中で断面に対して垂直方向にホットメルト接着剤4を分配する。ホットメルト接着剤4は、分配チャネル48から出てバルブ50及びチャネル52を介してスロットノズル58に達し、図示されていない基板に送り込まれる。
【0040】
図10の好ましい実施例としてブロック回路図に示されているコントロールユニット63は、制御パラメータ65を定義するためのユニット64、付加要素72及び74、PID制御器66、1つのデジタル/アナログコンバータ68、ならびに2つのアナログ/デジタルコンバータ70a、70bを備えている。コントロールユニットは、さらに、少なくとも抵抗温度計30を備える第1の温度測定器24と、抵抗温度計30及び加熱可能な抵抗器32を備える第2の温度測定器28とを使用する。温度測定器24及び28のセンサー30及び32は、すでに説明したように、ホットメルト接着剤の質量流量の中に取り付けられる。
【0041】
制御器66の役割は、制御パラメータ65を一定に維持し、かつ周辺のホットメルト接着剤4の温度とそれよりも高い第2の温度測定器28の温度との望ましい差を一定に保つことである。このために、加熱可能な抵抗器32の加熱出力が適切に制御され、このとき、周辺のホットメルト接着剤4に関する第1の温度測定器24の温度値と、第2の温度測定器28の温度値の両方が制御器66にフィードバックされる。コンバータ68及び70a及び70bは、デジタル信号をアナログ信号に、及びその逆に変換する。加熱可能な抵抗器32によって消費される電力は、ホットメルト接着剤の質量流量に対する尺度である。
【0042】
センサー装置12は、
図11に示されているように、好ましくは、ホットメルト接着剤4を塗布するためのシステム75の一部である。塗布システム75は、ホットメルト接着剤4の搬送及び溶融に用いる溶融装置76を含んでいる。さらに、センサー装置12は、質量流量の測定に用いられ、溶融装置と塗布装置との間の任意の位置にあるか、又は
図10に示されているように、塗布装置の内部に配置される。さらに、システム75は、塗布装置6ならびに制御システム78及び搬送装置2を装備している。
【0043】
搬送装置2によって、ホットメルト接着剤4が塗布装置6に搬送される。センサー装置12は、ホットメルト接着剤の質量流量を測定するように構成されている。検出された質量流量に関する情報は、制御システム78に送られ、溶融装置76内の搬送装置の制御に用いられる。
【0044】
図12には、センサー装置12の代替の実施例が示されており、ここでは、第1の温度測定器24と第2の温度測定器28がフロー方向9において前後に並んで(フロー方向9を基準にして)流路5の中に配置されている。この実施例において、このことは、第1の温度測定器24と第2の温度測定器28をセンサーブロック22に相応に配置することによって達成される。その他の構成部品の説明に関しては、
図3についての該当する実施形態を参照されたい。この場合、同一の構成部品には同一の符号が付されている。