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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000962
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】薬剤仕分装置および種類判別装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023062280
(22)【出願日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】P 2022099755
(32)【優先日】2022-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】▲すぎ▼本 知大
(72)【発明者】
【氏名】兒嶋 信紀
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047JJ01
4C047JJ05
4C047JJ12
4C047KK01
4C047KK30
(57)【要約】
【課題】薬剤の種類を判別する精度について、指標となるデータを得ることが可能な薬剤仕分装置を実現する。
【解決手段】薬剤仕分装置(1)は、薬剤を収容する第1収容部(11)と、薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する第2収容部(14)と、種類を判別できなかった薬剤を収容する待機トレイ(15)と、待機トレイに収容された薬剤の、種類の入力を受け付ける操作入力部(65)と、入力受付部が種類の入力を受け付けた薬剤の数であって、当該種類ごとの数である第1薬剤数を集計する集計部(71)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の薬剤を収容する第1収容部と、
前記複数種類の薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する第2収容部と、
前記薬剤の種類を判別できなかった前記薬剤を収容する第3収容部と、
前記第1収容部から前記第3収容部に収容された前記薬剤のそれぞれについて、種類の入力を受け付ける入力受付部と、
前記入力受付部が前記種類の入力を受け付けた前記薬剤の数であって、当該種類ごとの数である第1薬剤数を集計する集計部と、を備える薬剤仕分装置。
【請求項2】
前記集計部は、
前記第1収容部から前記第2収容部に収容された前記薬剤の種類ごとの数である第2薬剤数を集計し、
前記入力受付部が入力を受け付けた種類と同一種類の薬剤が、前記第2収容部に収容されている場合には、前記第2収容部に収容された当該薬剤の第2薬剤数に、前記第3収容部に収容された当該薬剤の第1薬剤数を加算する、請求項1に記載の薬剤仕分装置。
【請求項3】
前記集計部が集計した、前記第1薬剤数と前記第2薬剤数との合計値に対する、前記第1薬剤数の比率を、前記薬剤の種類ごとに算出する算出部をさらに備える、請求項2に記載の薬剤仕分装置。
【請求項4】
前記入力受付部が前記種類の入力を受け付けた場合に、前記第1収容部に収容された薬剤の種類判別のために予め記憶している薬剤の色の情報を示す第1色情報のうちの、当該種類についての第1色情報を、当該種類の入力を受け付けた薬剤の撮像画像から抽出した当該薬剤の像の色を示す第2色情報を用いて更新する更新部と、を備える、請求項1に記載の薬剤仕分装置。
【請求項5】
前記更新部は、前記入力受付部が入力を受け付けた薬剤の種類が、過去に判別した薬剤について当該種類であると判別したことがないものである場合に、当該種類についての第1色情報を、前記第2色情報を用いて更新する、請求項4に記載の薬剤仕分装置。
【請求項6】
前記更新部は、前記入力受付部が前記種類の入力を受け付けた場合に、前記第1収容部に収容された薬剤の種類判別のために予め記憶している薬剤の形状を示す第1形状情報のうちの、当該種類についての第1形状情報を、当該種類の入力を受け付けた薬剤の撮像画像から抽出した当該薬剤の像の形状を示す第2形状情報を用いて更新する、請求項4に記載の薬剤仕分装置。
【請求項7】
複数種類の薬剤を収容する第1収容部と、
前記複数種類の薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する第2収容部と、
前記薬剤の種類を判別できなかった前記薬剤を収容する第3収容部と、を備える薬剤仕分装置における薬剤仕分方法であって、
前記第1収容部から前記第3収容部に収容された前記薬剤のそれぞれについて、種類の入力を受け付ける入力受付ステップと、
前記入力受付ステップにおいて前記種類の入力を受け付けた前記薬剤の数であって、当該種類ごとの数である第1薬剤数を集計する集計ステップと、を含む薬剤仕分方法。
【請求項8】
薬剤を撮像した画像から、前記薬剤が半錠であるか否かを判定する半錠判定部と、
前記薬剤が半錠である場合に、前記薬剤の全体を復元した復元画像を生成する復元画像生成部と、
前記復元画像から抽出した前記薬剤の少なくとも1つの特徴を、複数種類の薬剤に関する薬剤データを管理する薬剤データベースに登録されている特徴と照合する照合部と、を備える、種類判別装置。
【請求項9】
前記復元画像生成部は、前記画像において、半錠である前記薬剤の像が示されている薬剤領域を回転または反転させた画像である補填画像を前記薬剤領域に隣接した位置に配置することで、前記復元画像を生成する、請求項8に記載の種類判別装置。
【請求項10】
前記復元画像生成部は、前記補填画像の色を前記薬剤領域の色の平均色とする、請求項9に記載の種類判別装置。
【請求項11】
請求項8~10のいずれか1項に記載の種類判別装置と、
複数種類の薬剤を収容する第1収容部と、
前記第1収容部から取り出された前記薬剤を撮像する撮像部と、
前記複数種類の薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する第2収容部と、
前記照合部による照合結果に基づいて、前記第1収容部から前記第2収容部へ前記薬剤を搬送する搬送部と、を備える、薬剤仕分装置。
【請求項12】
薬剤を撮像した画像から、前記薬剤が半錠であるか否かを判定する半錠判定ステップと、
前記薬剤が半錠である場合に、前記薬剤の全体を復元した復元画像を生成する復元画像生成ステップと、
前記復元画像から抽出した前記薬剤の少なくとも1つの特徴を、複数種類の薬剤に関する薬剤データを管理する薬剤データベースに登録されている特徴と照合する照合ステップと、を含む種類判別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤を仕分ける薬剤仕分装置、および薬剤の種類を自動で判別する種類判別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、返品された複数種類の薬剤は、薬剤師または医師の手により種類毎に仕分けられていた。返品される薬剤は、様々な患者に処方される、または処方された調剤後の薬剤である。そのため、1患者単位の処方箋情報に基づいて、調剤機器等に予め薬種単位でまとめられた薬種群(薬剤カセット)から、一服用時期単位毎に、(1種または複数種の)薬剤(錠剤)を取りまとめる(分包する)調剤業務に比べて、複数の患者に処方された薬剤がまとめて返品される薬剤の種類は非常に多い。そのため、返品された薬剤を自動的に仕分けて、再利用することの有用性は高い。なお、一服用時期用に調剤される薬剤は、一般に2~3種類程度であり、多くても10種類程度である。
【0003】
なお、仕分け業務にかかる時間、手間、または仕分け間違い(薬剤カセットへの戻し間違い)による誤投与のリスクを避けるため、返品された薬剤を、そのまま廃棄する薬局または病院(正確には院内薬剤部)も存在している。
【0004】
特許文献1には、薬剤の自動仕分けを実現する薬剤仕分装置が開示されている。特許文献1の薬剤仕分装置は、第1収容部に収容された複数種類の薬剤を1つずつ撮像し、撮像した画像に基づき薬剤の種類を判別し、その判別結果に基づき第2収容部の仕分カップに種類ごとに仕分ける。さらに、薬剤仕分装置は、種類ごとに仕分けた薬剤を、分包機構へ搬送して分包する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開2018/190394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
薬剤の種類を判別する精度は、薬剤の種類によって異なる。しかしながら、特許文献1に記載の薬剤仕分装置では、薬剤の種類を判別する、当該薬剤の種類ごとの精度について、指標となるデータを得ることができない。
【0007】
また、仕分けの対象に、半錠の薬剤が含まれることが考えられる。半錠の薬剤について種類を判別するためには、当該半錠の薬剤についての照合用のデータを別途用意する必要がある。半錠の薬剤では表側と裏側とで刻印が異なる場合が多く、照合用のデータを複数用意する必要がある。
【0008】
本発明の第1態様は、薬剤の種類を判別する、当該薬剤の種類ごとの精度について、指標となるデータを得ることが可能な薬剤仕分装置を実現することを目的とする。
【0009】
また、本発明の第2態様は、半錠の薬剤の種類を、半錠の薬剤用の照合用のデータを必要とせずに判別可能な種類判別装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の第1態様に係る薬剤仕分装置は、複数種類の薬剤を収容する第1収容部と、前記複数種類の薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する第2収容部と、前記薬剤の種類を判別できず前記第2収容部に収容できなかった前記薬剤を収容する第3収容部と、前記第1収容部から前記第3収容部に収容された前記薬剤のそれぞれについて、種類の入力を受け付ける入力受付部と、前記入力受付部が前記種類の入力を受け付けた前記薬剤の数であって、当該種類ごとの数である第1薬剤数を集計する集計部と、を備える。
【0011】
また、本発明の第2態様に係る薬剤仕分方法は、複数種類の薬剤を収容する第1収容部と、前記複数種類の薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する第2収容部と、前記薬剤の種類を判別できなかった前記薬剤を収容する第3収容部と、を備える薬剤仕分装置における薬剤仕分方法であって、前記第1収容部から前記第3収容部に収容された前記薬剤のそれぞれについて、種類の入力を受け付ける入力受付ステップと、前記入力受付ステップにおいて前記種類の入力を受け付けた前記薬剤の数であって、当該種類ごとの数である第1薬剤数を集計する集計ステップと、を含む。
【0012】
また、本発明の第3態様に係る種類判別装置は、薬剤を撮像した画像から、前記薬剤が半錠であるか否かを判定する半錠判定部と、前記薬剤が半錠である場合に、前記薬剤の全体を復元した復元画像を生成する復元画像生成部と、前記復元画像から抽出した前記薬剤の少なくとも1つの特徴を、複数種類の薬剤に関する薬剤データを管理する薬剤データベースに登録されている特徴と照合する照合部と、を備える。
【0013】
また、本発明の第4態様に係る種類判別方法は、薬剤を撮像した画像から、前記薬剤が半錠であるか否かを判定する半錠判定ステップと、前記薬剤が半錠である場合に、前記薬剤の全体を復元した復元画像を生成する復元画像生成ステップと、前記復元画像から抽出した前記薬剤の少なくとも1つの特徴を、複数種類の薬剤に関する薬剤データを管理する薬剤データベースに登録されている特徴と照合する照合ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1態様によれば、薬剤の種類ごとの、当該薬剤の種類を判別する精度について、指標となるデータを得ることが可能な薬剤仕分装置を実現できる。
【0015】
本発明の第2態様によれば、半錠の薬剤の種類を、半錠の薬剤用の照合用のデータを必要とせずに判別可能な種類判別装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態1に係る薬剤仕分装置の全体構成を示すブロック図である。
図2】実施形態1に係る薬剤仕分装置の構成例を示す図である。
図3】撮像ユニットの全体構成および薬剤載置台の一例を示す斜視図である。
図4】撮像ユニットの旋回について説明するための図である。
図5】第1払出機構の構成を示す図である。
図6】第1払出機構の動作を示す図である。
図7】復元画像生成部が復元画像を生成する処理の例を示す模式図である。
図8】復元画像生成部が生成した復元画像の、2種類の例を示す図である。
図9図8に示した画像を、当該画像に示されている薬剤の、1錠の薬剤データと照合した結果を示す表である。
図10】薬剤仕分装置の、実施形態8に係る動作の概略を示す図である。
図11】薬剤仕分装置の、実施形態9に係る動作の概略を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔実施形態1〕
(薬剤仕分装置1の概要)
図1は、薬剤仕分装置1の全体構成を示すブロック図である。図2は、薬剤仕分装置1の構成例を示す図である。図2において、符号201は薬剤仕分装置1の斜視図であり、符号202は、薬剤仕分領域2の基本構成を示す斜視図である。まず、薬剤仕分装置1の概要について図1および図2を用いて説明する。図1、並びに、図2の符号201および符号202に示すように、薬剤仕分装置1は、薬剤仕分領域2、タッチパネル3、および分包機構6(分包部)を備える。
【0018】
薬剤仕分装置1は、複数種類の薬剤のそれぞれについて撮像し、撮像の結果得られた画像に基づき薬剤の種類を判別し、種類毎に薬剤を仕分ける。具体的には、薬剤仕分領域2においてこの処理が行われる。薬剤仕分領域2(薬剤仕分装置1の内部構成)については後述する。種類毎に仕分けられた薬剤は、ユーザによる目視鑑査が行われた後、分包されたり、薬剤棚または分包機へと返却されたりする。目視監査については後述する。
【0019】
本実施形態では、複数種類の薬剤は、容器等に収容されていない薬剤、または包装等が施されていない薬剤であり、その一例として、錠剤またはカプセルであるものとして説明する。また、複数種類の薬剤が返品された薬剤であるものとして説明する。薬剤の返品としては、薬局または病院における採用薬が当該薬局または病院にて「返品薬」として返品される場合と、当該薬局または病院において、当該採用薬以外に、他の薬局または病院で発行された薬剤も含み得る「持参薬」が返品される場合とが含まれる。薬剤仕分装置1は、薬剤が返品された後、撮像から仕分までの処理を自動的に行うことが可能である。
【0020】
タッチパネル3は、操作部31にて各種ユーザ入力を受け付けるとともに、表示部32にて各種画像(例:薬剤仕分の推移を示す画像、目視鑑査用の画像)を表示する。
【0021】
分包機構6は仕分けられた薬剤を分包する。分包機構6はオプション機構である。分包機構6が薬剤仕分装置1に備えられる場合、返品された薬剤の仕分から、目視鑑査を経た後の分包までの処理を、薬剤仕分装置1で一括して行うことが可能となる。特に、搬送・仕分ユニット12により分包機構6へ薬剤が投入される場合には、目視鑑査を除き、上記仕分から分包までの処理を自動で行うことができる。
【0022】
分包機構6としては、従来から用いられている錠剤分包機または散薬分包機の分包部を採用することが可能である。この場合、例えば、同一薬種毎に仕分けられた仕分カップ141内の薬剤を、一包または複数包に分包することができる。
【0023】
なお、本願明細書を通して、少なくとも薬剤仕分装置1の説明において用いられる「分包」には、(i)「処方データに基づいて服用時期毎に分けて薬剤を包装する」という意味と、(ii)「処方データに関係なく、第2収容部14に仕分けられた薬剤を単に包装する」という意味と、が包含されることに留意されたい。
【0024】
分包機構6は、分包紙に対して印字する印字機構を含む。分包制御部68は、印字機構を制御して、薬剤名または薬剤コードといった薬剤に関する情報を分包紙に印字した後、当該分包紙により薬剤を分包して分包品とする。
【0025】
(薬剤仕分領域2の基本構成)
次に、図1および図2の符号202を用いて、薬剤仕分領域2の基本構成(薬剤仕分装置1の内部構成)について説明する。
【0026】
図1および図2の符号202に示すように、薬剤仕分領域2は、ハードウェアとして主に、第1収容部11、搬送・仕分ユニット12(搬送部)、撮像ユニット13、第2収容部14、待機トレイ15(第3収容部)、回収トレイ16、薬剤投入口17、および第1払出機構4を備える。そして、搬送・仕分ユニット12を除く各部材は台座19に設けられている。搬送・仕分ユニット12、撮像ユニット13、および第1払出機構4の主要機能については、後述の各処理の説明において詳細に説明する。
【0027】
第1収容部11は、ユーザによって返品された複数種類の薬剤を混在した状態で収容する。本実施例では、第1収容部11は、複数の収容部に分割されている。この場合、例えば、1つの収容部に収容された薬剤の全てが搬送・仕分ユニット12によって搬送されると、当該収容部に隣接する収容部に収容された薬剤が搬送対象となる。
【0028】
第2収容部14には、薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する複数の仕分カップ141(仕分容器)を複数配置可能である。制御部60aは、撮像ユニット13で撮像された薬剤の画像に基づき薬剤の種類を判別し、その判別結果に基づき当該薬剤を格納する仕分カップ141を決定する。当該薬剤は、その決定された仕分カップ141に搬送・仕分ユニット12により搬送され、格納される。
【0029】
待機トレイ15は、薬剤が仮置きされる収容部である。例えば、仕分カップ141の全てに薬剤が格納されている場合に、制御部60aによりそれら以外の種類であると判別された薬剤が、待機トレイ15に仮置きされる。この場合、仕分カップ141から薬剤が取り除かれた後、待機トレイ15から当該仕分カップ141に搬送されてもよい。
【0030】
また、待機トレイ15に仮置きされた薬剤が仕分カップ141に搬送される過程において、仕分カップ141の全てに薬剤が格納されている場合に、制御部60aによりそれら以外の種類であると判別された薬剤は、第1収容部11に仮置きされてもよい。以降、制御部60aは、仕分カップ141の全てに薬剤が格納されている場合に、制御部60aによりそれら以外の種類であると判別された薬剤は、待機トレイ15および第1収容部11に交互に仮置きされる。これにより、既に判別された薬剤とまだ判別されていない薬剤とを別の場所に配置することにより、それらが混同する可能性を低減できる。ただし、薬剤仕分装置1は、待機トレイ15および第1収容部11のいずれとも別の、第2の待機トレイをさらに備えていてもよい。この場合には、第1収容部11は第2の待機トレイとしては用いられない。
【0031】
また、本実施形態では、待機トレイ15には、薬剤であると推定された推定薬剤(後述)が仮置きされても構わない。推定薬剤が待機トレイ15に仮置きされた場合、推定薬剤は、制御部60aの判別結果に応じて、第2収容部14の所定領域に搬送されてもよい。
【0032】
回収トレイ16は、制御部60aにより種類が判別できなかった物(例:薬剤以外の異物)を格納する収容部である。薬剤以外の異物としては、例えば、PTP(Press Through Pack)シートの破片が挙げられる。PTPシートの破片は、薬剤の返品時に第1収容部11に混入する可能性がある。また、制御部60aは、薬剤データベースに廃棄する薬剤として登録されている薬剤、またはユーザが廃棄することを所望する薬剤(例:製造日の古い薬剤)についても、回収トレイ16に格納する。
【0033】
薬剤投入口17は、第2収容部14に格納された薬剤を、分包機構6へ払い出すためのものである。薬剤仕分装置1においては、第1払出機構4または搬送・仕分ユニット12が、第2収容部14に格納された薬剤を、薬剤投入口17に投入することで分包機構6へ払い出す。
【0034】
また、図1に示すように、薬剤仕分装置1は、上記各部材(ハードウェア)を統括して制御するコンピュータ60を備える。コンピュータ60は、制御部60a(ソフトウェア)として主に、搬送制御部61、仕分制御部62、撮像制御部63、判別部64(照合部)、操作入力部65(入力受付部)、表示制御部66、取出制御部67a、傾斜制御部67b、分包制御部68、集計部71、算出部72、更新部73、半錠判定部74、および復元画像生成部75を備える。
【0035】
操作入力部65および表示制御部66は、それぞれタッチパネル3の操作部31および表示部32を制御する。分包制御部68は、分包機構6を制御して、薬剤投入口17から投入された薬剤を分包する。搬送制御部61、仕分制御部62、撮像制御部63、判別部64、取出制御部67aおよび傾斜制御部67b、集計部71、算出部72、更新部73、半錠判定部74、および復元画像生成部75については、後述の各処理の説明において詳細に説明する。
【0036】
以下の説明では、ソフトウェアの制御に基づくハードウェアの動作について、動作主体がハードウェアであるものとして説明する場合がある。
【0037】
また、コンピュータ60は記憶部80を備える。記憶部80は、複数種類の薬剤に関する薬剤データ(例:薬剤名、製造元、成分、および薬剤の特徴(後述))を管理する薬剤データベース(薬剤マスタ)、および、第1カメラ131が撮像した画像を示す画像データ等を記憶する。なお、記憶部80に記憶された各種データは、記憶部80にて管理されていなくてもよく、例えば外部装置で管理されてもよい。この場合、制御部60aは、上記各種データを、必要に応じて、インターネット等の通信回線を通じて当該外部装置から取得してもよい。また、薬剤データベースは、新たな薬剤データが追加されることにより、更新されてもよい。
【0038】
薬剤データベースにより管理される薬剤データのうち、薬剤の特徴には、薬剤の代表色(薬剤の色)を示す色情報(第1色情報)、および形状を示す形状情報(第1形状情報)が含まれる。第1色情報および第1形状情報は、薬剤データベースにおいて種類ごとに登録されている。第1色情報および第1形状情報は、薬剤データベースに記憶されていなくてもよく、種類判別のために、予め記憶部80に記憶されていればよい。
【0039】
〔薬剤仕分装置1における処理の概要〕
薬剤仕分装置1では、搬送・仕分ユニット12が、第1収容部11に返品された各薬剤を撮像ユニット13まで搬送する。搬送された各薬剤を順次撮像ユニット13が撮像する。制御部60aは、撮像された画像に基づき各薬剤の種類を判別するとともに、判別した各薬剤の第2収容部14における仕分位置を決定する。搬送・仕分ユニット12は、決定された仕分位置に各薬剤を搬送する。そして、第2収容部14に格納された薬剤についての情報は、仕分カップ141のRFIDタグに書き込まれたり、記憶部80に記憶されたり、タッチパネル3に表示されたりする。また、薬剤の仕分が完了した後、または仕分の途中において、ユーザがタッチパネル3を操作することで、目視鑑査、分包等の処理が行われる。以降、各処理について具体的に説明する。
【0040】
〔撮像ユニット13への薬剤搬送処理〕
まず、第1収容部11から撮像ユニット13への薬剤搬送処理について、図1および図2の符号201を用いて説明する。
【0041】
具体的には、搬送・仕分ユニット12は、第1収容部11に収容された薬剤を、撮像ユニット13が薬剤を受け入れる受入領域Ar1(図3の符号302参照)まで搬送させる。搬送制御部61は、搬送・仕分ユニット12による当該搬送処理を制御する。
【0042】
搬送・仕分ユニット12は、第2カメラ121、吸着・シャッター機構122、および搬送機構123を備える。
【0043】
第2カメラ121は、搬送対象とする薬剤を特定するために、第1収容部11を逐次撮像する。撮像制御部63は、第2カメラ121の撮像処理を制御する。第2カメラ121は、搬送・仕分ユニット12の(具体的には、少なくとも吸着・シャッター機構122を含む筐体の)、台座19と対向する側の端部に設けられる。第2カメラ121は、後述の吸着機構の先端部に設けられてもよい。撮像制御部63は、撮像された画像を解析して、当該画像に薬剤が含まれるか否かを判定する。搬送制御部61は、薬剤が含まれると判定された場合には、例えば、上記先端部を第1収容部11に近づけ、そのとき撮像された画像に含まれる薬剤を搬送対象の薬剤として特定する。
【0044】
吸着・シャッター機構122は、搬送対象として特定された薬剤を吸着する吸着機構と、吸着機構が吸着した薬剤が落下することを防止するシャッター機構とを含む。吸着機構はZ軸方向に移動可能に設けられる。シャッター機構は上記端部の前方に、XY平面と略平行に移動可能に設けられる。
【0045】
吸着機構は、薬剤取得時に、上記端部から延伸して、その先端部において、特定された薬剤を吸着した後、上記端部の位置まで戻る。この状態において、搬送制御部61は、上記端部と対向する位置にシャッター機構を移動させ、薬剤搬送中、シャッター機構の位置を維持する(閉状態とする)。搬送制御部61は、受入領域Ar1に配置された薬剤保持機構133の薬剤載置台133a(図3の符号302参照)と対向する位置まで吸着・シャッター機構122を移動させると、シャッター機構を上記端部と対向しない位置に移動させる(開状態とする)。そして、吸着機構を上記端部から延伸させた後、吸着状態を解除することにより、薬剤載置台133aに薬剤を載置する。
【0046】
搬送機構123は、搬送制御部61の制御を受けて、X軸およびY軸方向に吸着・シャッター機構122を移動させる。この搬送機構123により、第1収容部11上での搬送対象となる薬剤の探索時の吸着・シャッター機構122の動き、または第1収容部11から薬剤載置台133aまでの薬剤搬送が可能となる。また、後述の薬剤仕分処理においても、薬剤載置台133aから、第2収容部14、待機トレイ15または回収トレイ16への薬剤搬送が可能となる。さらに、第2収容部14から薬剤投入口17への薬剤搬送が可能となる。
【0047】
〔薬剤撮像処理〕
次に、撮像ユニット13による薬剤撮像処理について、図1図2の符号202、図3および図4を用いて説明する。図3の符号301および符号302は、撮像ユニット13の全体構成を示す斜視図である。図4の符号401および符号402は、撮像ユニット13の旋回について説明するための図である。上記薬剤撮像処理は、主として、撮像ユニット13および撮像制御部63により行われる。
【0048】
具体的には、撮像ユニット13は、薬剤載置台133aに載置され、図3の符号302に示す撮像対象となる薬剤を配置する配置領域Ar2(撮像領域)に配置された薬剤を撮像する。撮像制御部63は、撮像ユニット13による当該撮像処理と、第1カメラ131および照明器134の旋回移動と、薬剤保持機構133の移動とを制御する。撮像ユニット13は、図1および図3に示すように、第1カメラ131(撮像部)、回転機構132(回動部)、薬剤保持機構133(薬剤載置台、移動機構)、および照明器134(紫外光照射部、可視光照射部)を備える。
【0049】
第1カメラ131は、後述の判別部64において薬剤の種類を判別するために、第1カメラ131と対向する配置領域Ar2に配置された薬剤を撮像する。薬剤保持機構133は、薬剤を保持する機構であり、図3の符号301および符号302に示すように、薬剤載置台(シャーレ)133aと、旋回機構133b(移動機構)と、薬剤載置台133aおよび旋回機構133bを接続する軸部133cとを備える。薬剤載置台133aは、撮像対象となる薬剤を載置するものである。旋回機構133bは、薬剤載置台133aを移動させるものであり、具体的には、薬剤載置台133aをXY平面に対して旋回させるとともに、軸部133cを、軸部133cの周方向に旋回させる。
【0050】
撮像制御部63は、薬剤載置台133aに第1収容部11から搬送された薬剤が載置されると、旋回機構133bを駆動し、当該薬剤載置台133aを受入領域Ar1から配置領域Ar2へと移動させる。その後、少なくとも第1カメラ131および照明器134を制御して、配置領域Ar2に配置された薬剤を撮像する。撮像した画像は記憶部80に画像データとして記憶される。撮像制御部63は、例えば撮像が完了した後に、旋回機構133bを駆動し、撮像された薬剤が載置された薬剤載置台133aを配置領域Ar2から受入領域Ar1へと移動させる。
【0051】
本実施形態では、薬剤載置台133aは軸部133cの先端部(端部)に2つ設けられている。旋回機構133bは、軸部133cを旋回させることにより、一方の薬剤載置台133aを配置領域Ar2に配置したとき、他方の薬剤載置台133aを受入領域Ar1に配置する。配置領域Ar2での薬剤撮像時に、搬送・仕分ユニット12により、受入領域Ar1に存在する薬剤載置台133aに、第1収容部11から薬剤を搬送しておくことで、連続的な薬剤の撮像処理が可能となる。なお、当該薬剤載置台133aは、第2収容部14への薬剤仕分処理後等、薬剤が載置されていない状態であることが前提である。
【0052】
また、本実施形態では、薬剤載置台133aは透明性を有する。そのため、第1カメラ131は、薬剤載置台133aに載置された薬剤を、薬剤載置台133aを通して多方面から撮像できる。
【0053】
照明器134は、撮像制御部63の制御により、薬剤の撮像時に、薬剤に照射される光を出射する。照明器134は、図3の符号301に示すように、薬剤に可視光を照射する可視光照射部(第1照射部134aおよび第2照射部134b)と、薬剤に紫外光を照射する紫外光照射部134cとを備える。
【0054】
第1照射部134aおよび第2照射部134bは、可視光として白色光を薬剤に照射する。第1照射部134aはバー形状の可視光源(バー照明)であり、第2照射部134bはリング形状の可視光源(リング照明)である。第1カメラ131は、第1照射部134aまたは第2照射部134bから出射され、薬剤で反射した可視光を受光することにより、可視光に基づく画像(可視光画像)を取得する。撮像制御部63は、第1カメラ131が取得した可視光画像を示す画像データを、判別部64に出力する。
【0055】
紫外光照射部134cは、薬剤に紫外光(例:365nm以上410nm以下のピーク波長を有する光)を照射することで、薬剤に含まれる成分を励起させる。これにより、薬剤から蛍光(例:410nm以上800nm以下のピーク波長を有する光)が取り出される。第1カメラ131は、薬剤から発せられた蛍光を受光することにより、紫外光に基づく画像(紫外光画像)を取得する。撮像制御部63は、第1カメラ131が取得した紫外光画像を示す画像データを、判別部64に出力する。
【0056】
回転機構132は、図3および図4に示すように、撮像対象となる薬剤が配置される配置領域Ar2(当該位置に配置された薬剤載置台133a)の周囲を旋回するように第1カメラ131を回動させる。第1カメラ131は、回転機構132が回動させた複数の位置から、配置領域Ar2に配置された薬剤を撮像する。具体的には、第1カメラ131および照明器134を含む撮像機構を、配置領域Ar2の周囲を旋回するように回動させる。そのため、配置領域Ar2に対する第1カメラ131および照明器134の位置関係を維持したまま、第1カメラ131が複数の方向から薬剤を撮像できる。
【0057】
回転機構132は、図3の符号301に示すように、撮像機構駆動部132aと動力伝達機構132bとを含む。撮像機構駆動部132aは、撮像機構を配置領域Ar2の周囲を旋回させるための動力を発生する。動力伝達機構132bは、撮像機構駆動部132aが発生させた動力を撮像機構へと伝達する。撮像機構駆動部132aは、撮像制御部63の制御により駆動し、配置領域Ar2の周囲における撮像機構の位置を変更する。
【0058】
回転機構132は、撮像機構を、初期位置と、初期位置と対向する位置との間において旋回させる。初期位置とは、配置領域Ar2に対して略垂直方向の位置であって、配置領域Ar2の上方の位置である。初期位置と対向する位置とは、配置領域Ar2に対して略垂直方向の位置であって、配置領域Ar2の下方の位置である。また、当該位置は、第1カメラ131が配置領域Ar2に存在する薬剤載置台133aの底部と対向する位置であるともいえる。
【0059】
図4に示すように、配置領域Ar2の中心を通りZ軸と平行な軸を軸Ax0とし、配置領域Ar2の中心および撮像機構の中心を通る軸を軸Ax1とする。また、軸Ax0と軸Ax1とのなす角をθとする。本実施形態では、回転機構132は、撮像機構を、θ=0°(初期位置)、45°、135°および180°の位置のいずれかに配置する。なお、図4の符号401は撮像機構がθ=0°の位置にある場合を示し、図4の符号402は撮像機構が初期位置から旋回してθ=45°の位置にある場合を示す。
【0060】
このように、撮像機構を配置領域Ar2の周囲を旋回させることにより、薬剤を配置領域Ar2に固定した状態で、複数の方向から薬剤を撮像できる。また、薬剤載置台133aをゆすっても薬剤(錠剤)が立っている場合であっても、斜め方向(θ=45°または135°)からの撮像で、薬剤に付された刻印等が示す情報を取得できる。
【0061】
なお、撮像機構を固定し薬剤を回動させることで複数の方向から当該薬剤を撮像してもよい。
【0062】
〔画像処理・判別処理〕
次に、撮像ユニット13により撮像された画像に対する画像処理と、画像処理の結果に基づく薬剤の判別処理について、図1を用いて説明する。上記画像処理は、主として撮像制御部63により行われ、上記判別処理は、主として判別部64により行われる。
【0063】
判別部64は、第1カメラ131により撮像された薬剤の画像に基づき、薬剤の種類を判別する。具体的には、判別部64は、第1照射部134aまたは第2照射部134bから可視光が照射された状態で撮像された薬剤の撮像結果(可視光画像)に基づき、薬剤の種類を判別する。また、判別部64は、紫外光が照射された状態で撮像された薬剤の撮像結果(紫外光画像)に基づき、薬剤の種類を判別する。
【0064】
判別部64は、可視光画像および/または紫外光画像のそれぞれにおいて画像解析を実行することにより、当該画像に含まれる薬剤の特徴を抽出する。薬剤の特徴としては、例えば、大きさ、形状、刻印、プリント、割線、代表色(刻印またはプリントが付された領域の色)が挙げられる。OCR(Optical Character Recognition)等を行った場合には、薬剤の特徴として、刻印またはプリントにより表された薬剤名(例:識別コード)または製造元を示す識別情報(薬剤を識別する識別情報)、使用期限等のその他の情報が抽出される。また、紫外光画像の場合には、薬剤の特徴として、画像中の薬剤における代表色が挙げられる。判別部64は、抽出した各薬剤の特徴を、薬剤の画像データに紐づけて記憶部80に記憶する。なお、薬剤の特徴抽出は、公知の技術により行われてもよい。
【0065】
判別部64は、各薬剤の特徴を薬剤データベースと照合することにより薬剤の種類を判別する。この場合、判別部64は、例えば、上述した大きさ、形状、刻印、プリント、割線、および代表色の少なくとも1つを用いて薬剤データの候補を絞込む。その後、判別部64は、OCR等を行い、刻印またはプリントに表された識別情報等を読取り、パターンマッチング等を用いて上記候補の中から薬剤の種類をさらに絞込む。
【0066】
また、判別部64は、パターンマッチング等を用いて抽出した薬剤の特徴(対象特徴)が薬剤データベースに無い場合であっても、対象特徴の少なくとも一部に基づき薬剤(錠剤またはカプセル)であると推定される場合には、薬剤の種類を推定薬剤として判別する。この場合、推定薬剤も、第2収容部14または待機トレイ15への仕分け対象とすることができる。本実施形態では、推定薬剤は、まず待機トレイ15へ仮置きされても構わない。また、判別部64は、上記対象特徴が薬剤データベースにあったとしても、薬剤の種類を判別できなかった薬剤については、推定薬剤と判別してもよい。
【0067】
このように、判別部64は、予め登録された複数種類の薬剤に関する薬剤データ(薬剤データベース)の中に、第1カメラ131によって撮像された画像(画像データ)に対応する薬剤データが存在するか否かを判定している。
【0068】
判別部64は、薬剤の種類の判別結果を仕分制御部62に出力する。例えば、薬剤の種類を1つに特定できた場合、または所定数以内の候補数に絞込んだ場合には、当該薬剤に関する薬剤データを判別結果として出力する。この場合、判別部64は、当該薬剤に関する薬剤データを、当該薬剤の画像データに紐づけて記憶部80に記憶する。
【0069】
判別部64は、薬剤の種類を推定薬剤として判別した場合には、薬剤の特徴(推定薬剤として推定された物の特徴)を判別結果として出力する。一方、判別部64は、薬剤データベースに廃棄する薬剤として登録された薬剤であると判別した場合、または第1収容部11に収容された物が薬剤以外の異物であると判別した場合、仕分対象外の薬剤である旨を判別結果として出力する。
【0070】
搬送・仕分ユニット12は、判別部64による照合結果に基づき、薬剤を種類毎に第2収容部14へ格納するか、または待機トレイ15へ格納する薬剤仕分処理を実行する。仕分制御部62は、搬送・仕分ユニット12を制御して、撮像および判別処理後に受入領域Ar1に配置された薬剤を、判別結果に基づき、第2収容部14の所定の仕分カップ141または待機トレイ15まで搬送する。
【0071】
〔種類を判別できなかった薬剤の集計〕
本実施形態では、表示制御部66は、第2収容部14に配置された複数の仕分カップ141のそれぞれについて、判別部64が判別した薬剤の種類、収容された薬剤の数、および、目視鑑査の実施有無を示す情報等を表示する。表示制御部66は、ユーザによる選択に応じて、仕分カップ141ごとに、収容された薬剤の画像を、表示部32に表示する。操作入力部65は、操作部31を介して、仕分カップ141ごとに、収容された薬剤の種類の入力を受け付ける。これにより、仕分カップ141に収容された薬剤について、目視鑑査により種類を確定させることができる。
【0072】
また本実施形態では、操作入力部65が、操作部31を介して、判別部64が種類を判別できずに待機トレイ15に収容された薬剤についての目視鑑査を行う旨のユーザの操作を受け付けた場合、表示制御部66は、表示部32に、当該薬剤についての目視鑑査用の画像を表示できる。なお本実施形態では、待機トレイ15には、判別部64が種類を判別できなかった薬剤(推定薬剤)が収容されているものとして説明する。
【0073】
本実施形態では、表示制御部66は、待機トレイ15に収容された薬剤のそれぞれについて、薬剤の画像、および、目視鑑査の実施有無を示す情報等を、表示部32に表示する。また、操作入力部65は、操作部31を介して、待機トレイ15に収容された薬剤のそれぞれについて、種類の入力を受け付ける。例えば操作部31を介して1つの画像が選択されると、表示制御部66は当該画像を表示部32に表示する。この状態において、操作入力部65は、当該画像に含まれる薬剤の種類の入力を受け付ける(入力受付ステップ)。これにより、待機トレイ15に収容された薬剤についても、目視鑑査により種類を確定させることができる。
【0074】
本実施形態では、判別部64が種類を判別できなかった薬剤について、目視鑑査によりその種類が確定した場合、分包制御部68は、例えばユーザの操作を受け付けることにより、種類ごとの分包を実行してもよい。この場合、分包制御部68は、分包機構6が備える印字機構を制御して、入力された種類(例:薬剤名または薬剤コード)を分包紙に印字した後、当該分包紙により上記薬剤を分包してもよい。
【0075】
また、本実施形態では、集計部71は、待機トレイ15に収容された薬剤について、第1薬剤数を集計する。第1薬剤数は、操作入力部65が種類の入力を受け付けた当該薬剤の数であって、当該種類ごとの数である。これにより、集計部71は、薬剤仕分装置1による仕分けの精度について、指標となる情報を導出できる。
【0076】
表示部32に表示される薬剤の画像のそれぞれについて、操作入力部65が種類の入力を受け付けるたびに、集計部71は、受け付けた種類を認識し、当該種類の数を計数していく。これにより、集計部71は、薬剤の種類ごとの第1薬剤数を集計できる(集計ステップ)。
【0077】
例えば、第1収容部11に、ある種類の薬剤が複数収容されている場合に、判別部64がその薬剤の全てについて種類を判別でき、その薬剤の全てが第2収容部14に収容されるとは限らない。上記種類の薬剤のうちの一部については、判別部64が種類を判別できず、待機トレイ15に収容される場合もある。このような場合に、集計部71は、当該薬剤についての第1薬剤数を集計できる。本実施形態に係る薬剤仕分方法は、以上の入力受付ステップおよび集計ステップを含む。
【0078】
また、本実施形態では、集計部71は、第2収容部14に収容された薬剤の種類ごとの数である第2薬剤数を集計する。集計部71は、待機トレイ15に収容された薬剤について操作入力部65が入力を受け付けた種類と同一種類の薬剤が、第2収容部14に収容されている場合には、第2収容部14に収容された当該薬剤の第2薬剤数に、待機トレイ15に収容された当該薬剤の第1薬剤数を加算する。これにより、集計部71は、薬剤の種類ごとに、判別部64が種類を判別できた薬剤と、判別部64が種類を判別できなかった薬剤との合計を集計できる。
【0079】
本実施形態では、記憶部80には、待機トレイ15に収容された薬剤の、目視監査後の種類と、当該種類ごとの第1薬剤数と、が記憶される。また記憶部80には、第2収容部14に収容された薬剤の種類と、当該種類ごとの第2薬剤数とが記憶される。そのため、集計部71は、記憶部80を参照することにより、待機トレイ15に収容された薬剤について入力を受け付けた種類と同一種類の薬剤が、第2収容部14に収容されているかを判定できると共に、第1薬剤数を第2薬剤数に加算できる。記憶部80には、薬剤の種類ごとに、第1薬剤数と第2薬剤数との合計値が記憶される。
【0080】
算出部72は、集計部71が集計した第1薬剤数と第2薬剤数との合計値に対する、第1薬剤数の比率を、薬剤の種類ごとに算出する。算出部72は、記憶部80を参照することにより、当該比率を算出できる。算出部72は、薬剤の種類ごとに、判別部64が判別できなかった数の比率を算出することにより、当該種類についての判別の成功率を算出できる。
【0081】
表示制御部66は、算出部72の算出結果を、表示部32に表示してもよい。この場合、ユーザは、どの種類の薬剤について、上記成功率が高いかを識別できる。ユーザは、上記成功率が高い薬剤を、病院又は薬局内で採用する薬剤として導入する等、算出部72の算出結果に応じて、使用する薬剤の選別を行うことが可能となる。
【0082】
なお、薬剤仕分装置1においては、判別部64が種類を判別できなかった薬剤を、画像から抽出した特徴に基づいて種類ごとに仮仕分けするように設定することも可能である。その場合、仮仕分けされた薬剤は、第2収容部14の一部の仕分カップ141(第3収容部)に収容されてよい。また、その場合、仮仕分けされた薬剤は、そのまま薬剤仕分装置1から取り出されてもよい。
【0083】
仮仕分けについて以下に説明する。仮仕分けとは、判別部64が薬剤マスタとの照合で種類を判別できなかった薬剤に対する、以下の(1)のみ、または、(1)および(2)に基づく仕分けである。
【0084】
(1)薬剤の色情報および形状情報
(2)薬剤の表面および裏面のそれぞれにおける刻印または印刷の有無
以下に、仮仕分けの具体例を説明する。以下の具体例は、いずれも薬剤マスタとの照合で薬剤の種類を判別できなかった場合のものである。
【0085】
例えば、上記の(1)のみに基づいて仮仕分けを行う例について説明する。判別部64による照合対象となった、ある薬剤(第1薬剤例)が、赤色かつ楕円形状である場合には、仕分制御部62は、1つの仕分カップ141を赤色/楕円形状の薬剤を収容する仕分カップ141(第1仮仕分カップ)として設定する。そして、搬送・仕分ユニット12は、第1仮仕分カップに第1薬剤例を格納する。このとき、判別部64は、第1薬剤例の色情報および形状情報に基づいて、第1薬剤例についての仮仕分けデータ(第1仮データ)を作成する。
【0086】
判別部64による照合対象となった、次の薬剤(第2薬剤例)が、青色かつ楕円形状である場合には、判別部64は、第2薬剤例の色および形状を第1仮データと照合し、第1薬剤例とは色が異なる薬剤と判別する。このため、仕分制御部62は、第1仮仕分カップとは別の仕分カップ141を、青色/楕円形状の薬剤を収容する仕分カップ141(第2仮仕分カップ)として設定する。そして、搬送・仕分ユニット12は、第2仮仕分カップに第2薬剤例を格納する。このとき、判別部64は、第2薬剤例の色情報および形状情報に基づいて、第2薬剤例についての仮仕分けデータ(第2仮データ)を作成する。
【0087】
判別部64による照合対象となった、さらに次の薬剤(第3薬剤例)が、水色かつ楕円形状である場合、判別部64は、第3薬剤例の色および形状を第1仮データおよび第2仮データと照合する。仮に第2仮データとの一致度が、薬剤仕分装置1の仕様を決定した設計者により予め設定された閾値以上である場合には、搬送・仕分ユニット12は、第3薬剤例を、第2仮仕分カップに格納する。
【0088】
上述した例では、第1~第3薬剤例は、いずれも楕円形状であった。しかし、例えば円形状など、楕円形状とは異なる形状の薬剤については、色が一致していたとしても判別部64は別の薬剤であると判別する。例えば上記の例において第2薬剤例が赤色かつ円形状である場合、第2薬剤例の色は第1仮データにおける薬剤の色と一致する。しかし、第2薬剤例の形状(円)は第1仮データにおける薬剤の形状(楕円)と異なる。このため、仕分制御部62は、第2薬剤例が赤色かつ円形状である場合であっても、赤色/円形状の薬剤を収容する仕分カップ141として、第1仮仕分カップとは別の仕分カップ141を設定する。
【0089】
上記の(2)にも基づいて仕分けを行う場合、判別部64は、照合対象の薬剤について、以下の(A)~(E)のいずれであるかを判別して仮仕分けを行う。
【0090】
(A)両面に刻印あり
(B)両面に刻印なし
(C)片面のみ刻印あり
(D)片面のみ印刷あり
(E)両面に印刷あり
ただし、照合対象の薬剤がカプセルである場合には、表面または裏面といった面の区別ができない。このため、判別部64は、形状に基づいてカプセルであると判別した薬剤については上記の(1)のみについて仮仕分けを行う。
【0091】
(第1払出機構4による薬剤の払い出し)
搬送・仕分ユニット12の容器取出機構124は、第2収容部14から仕分カップ141を取り出し、第1払出機構4へと受け渡すものである。具体的には、容器取出機構124は、仕分カップ141の一部を把持して引き上げることで、第2収容部14から取り出す。容器取出機構124の具体的な構成の例については後述する。なお、容器取出機構124は、搬送・仕分ユニット12とは別の独立した機構であってもよい。
【0092】
第1払出機構4は、仕分カップ141に収容された薬剤を、仕分カップ141ごとに分包機構6へ払い出すものである。このとき、第1払出機構4は、容器取出機構124から受け取った仕分カップ141を傾斜させることで、当該仕分カップ141に収容された薬剤を分包機構6へ払い出す。ただし、薬剤の種類および数量などの条件によっては、仕分カップ141を傾斜させるだけでは全ての薬剤を払い出せない場合もある。この場合には、第1払出機構4は、仕分カップ141を完全に上下反転させる。
【0093】
図5は、第1払出機構4の構成を示す図である。図5において、符号501および符号502は、第1払出機構4を互いに異なる角度から見た斜視図である。図5においては、第1払出機構4は搬送・仕分ユニット12と一体に構成されている。このため、第1払出機構4は、搬送機構123により、X軸およびY軸方向に搬送される。ただし、第1払出機構4は、搬送・仕分ユニット12とは独立した機構であってもよい。この場合、第1払出機構4は、X軸およびY軸方向に第1払出機構4を搬送する、搬送機構123とは異なる搬送機構により搬送される。またこの場合、容器取出機構124と第1払出機構4とが一体に構成されていてもよい。
【0094】
図5に示すように、第1払出機構4は、載置台41と、傾斜機構42と、を備える。載置台41は、仕分カップ141が載置される台である。傾斜機構42は、載置台41を傾斜させるものである。具体的には、傾斜機構42は、載置台41と一体に回転する回転軸である。傾斜機構42は、タイミングベルト42aを介してモータ42bに連結されている。傾斜機構42は、モータ42bの回転により、載置台41を水平な回動軸の周りに回動させることで載置台41を傾斜させる。
【0095】
また、図5に示すように、搬送・仕分ユニット12において、容器取出機構124は、複数の爪部124a、タイミングベルト124b、およびモータ124cを備える。複数の爪部124aは、互いに相対的な距離を変化させることが可能である。容器取出機構124は、複数の爪部124aの間に仕分カップ141の縁を挟持することで把持する。図5に示す例では、容器取出機構124は、複数の爪部124aとして、2本の内側爪部124eおよび1本の外側爪部124fを有する。容器取出機構124は、内側爪部124eを仕分カップ141の内側に、外側爪部124fを仕分カップ141の外側に当接させ、3点で仕分カップ141を把持する。複数の爪部124aは、タイミングベルト124bに接続されている。タイミングベルト124bは、モータ124cに接続されている。したがって、モータ124cの回転により、複数の爪部124aが上下方向に移動する。
【0096】
図6は、第1払出機構4の動作を示す図である。図6の符号601に示すように、傾斜制御部67bは、傾斜機構42を制御して、仕分カップ141を載置する面が水平になるように載置台41を固定する。取出制御部67aは、容器取出機構124を制御して、第2収容部14から取り出した仕分カップ141を載置台41へ載置する。傾斜制御部67bは、傾斜機構42を制御して、図6の符号602および符号603に示すように、載置台41を傾斜させる。これにより、載置台41、および載置台41に載置された仕分カップ141が傾斜し、仕分カップ141の中に収容されていた薬剤が分包機構6へ払い出される。具体的には、薬剤が薬剤投入口17へ落下する。
【0097】
図6に示すように、第1払出機構4は、保持機構43をさらに備える。保持機構43は、載置台41に載置された仕分カップ141に外力を与えることで、当該仕分カップ141を載置台41に保持するものである。このため、載置台41が傾斜機構42により傾斜した場合に、載置台41から仕分カップ141が落下することが防止される。図6に示す例では、保持機構43は、仕分カップ141の縁に係止し、載置台41に向かう外力を与えることで、仕分カップ141を載置台41に保持する。保持機構43の具体的な構成については後述する。また、保持機構43は、仕分カップ141の側面を2方向から挟持するものであってもよい。このようにして、仕分カップ141を載置台41に載置して傾斜させることで、仕分カップ141の傾斜角度を安定して変更できる。また、仕分カップ141を傾斜させる動作の停止および再開についても緻密に制御できる。
【0098】
さらに、載置台41からの仕分カップ141の落下が防止されることで、傾斜機構42は所望の速度で載置台41および仕分カップ141を傾斜させることができる。このため、仕分カップ141に収容されている薬剤の数に応じて載置台41および仕分カップ141を傾斜させる速度を調整できる。具体的には、傾斜機構42は、仕分カップ141に収容されている薬剤の数が多い程、載置台41および仕分カップ141を傾斜させる速度を小さくする。したがって、薬剤が払い出される勢いを小さくし、確実に薬剤投入口17へ落下させることができる。
【0099】
保持機構43は、載置台41に仕分カップ141が載置された後に、仕分カップ141を載置台41に保持するものである。このため、保持機構43は、仕分カップ141の載置が完了してから仕分カップ141を保持し、載置台41に載置された状態、さらに傾斜した状態の仕分カップ141の安定性をより確実に向上させることができる。
【0100】
具体的には、保持機構43は、回動軸43a、係止部43b、および被案内部43cを備える。また、第1払出機構4は、載置台41の傾斜角度に応じて保持機構43を案内する案内部材44をさらに備える。回動軸43aは、載置台41に固定された軸である。係止部43bは、仕分カップ141を載置台41に係止する部材である。係止部43bは、回動軸43aの周りで回動する。係止部43bの先端は、仕分カップ141の縁に引っ掛かりやすいよう、回動軸43aの周方向において載置台41に近い側が遠い側よりも回動軸43aに近い形状を有する。また、被案内部43cは、案内部材44に当接する、係止部43bと一体の部材である。
【0101】
回動軸43aから案内部材44までの距離は、載置台41が水平である場合に最も短く、載置台41の傾斜角度が大きくなるにつれて長くなる。また、回動軸43aから案内部材44までの距離は、回動軸43aの周方向における載置台41に近い側と載置台41から遠い側とでは、後者の方が長くなる。
【0102】
このため、載置台41の傾斜角度が変動すると、被案内部43cは、案内部材44に当接した状態を維持するように、回動軸43aの周りで回動する。具体的には、載置台41の傾斜角度が大きくなると、上述したとおり、回動軸43aから案内部材44までの距離は長くなる。このとき、被案内部43cは、回動軸43aの周りで載置台41の側へ回動する。その結果、案内部材44に対して被案内部43cが当接する位置が、載置台41の側へ変位し、案内部材44に当接した状態を維持する。被案内部43cの回動に伴い、係止部43bも回動軸43aの周りで回動して傾斜する。
【0103】
傾斜機構42により載置台41の底部を略水平にした状態において、載置台41に仕分カップ141が載置された時点では、図6の符号601に示すように、保持機構43は仕分カップ141を係止していない。この状態から、傾斜機構42は、載置台41に仕分カップ141が載置された後、載置台41をわずかに(例えば5°)傾斜させる。これにより、図6の符号602に示すように、保持機構43が案内部材44に案内されて、仕分カップ141を係止しかけた状態となる。「係止しかけた」とは、保持機構43が仕分カップ141に接触しているだけで、仕分カップ141の落下を防止するために十分な外力を与えていない状態である。傾斜機構42がさらに載置台41を傾斜させ、載置台41が水平な状態から所定の角度(例えば10°以上)まで傾斜したときに、図6の符号603に示すように、載置台41の傾斜に連動して保持機構43が案内部材44に案内されて、仕分カップ141を係止する。この状態で、保持機構43は、仕分カップ141に、落下を防止するために十分な外力を与え、仕分カップ141を載置台41に保持することができる。そのため、仕分カップ141に収容されている薬剤を薬剤投入口17に落下させるときに、仕分カップ141が載置台41から落下することを防止することができる。
【0104】
以上のとおり、第1払出機構4においては、保持機構43が仕分カップ141を載置台41に保持するか否かを切り替えるための、別個の駆動機構は不要である。したがって、薬剤仕分装置1の構成を簡略化できる。ただし、第1払出機構4は、上記駆動機構を備えていてもよい。
【0105】
また、図6の符号601に示すように、容器取出機構124は、載置台41が水平な状態であるときに、第2収容部14に配置された仕分カップ141を取出して載置台41に載置する。その後、図6の符号603に示すように、容器取出機構124は、保持機構43が載置台41に仕分カップ141を保持した後、仕分カップ141の把持を解除する。したがって、保持機構43が載置台41に仕分カップ141を保持するまでの間に載置台41から仕分カップ141が落下することが、容器取出機構124により防止される。
【0106】
なお、第1払出機構4の構成は、上記の例に限定されない。第1払出機構4は、仕分カップ141を把持して傾斜させる、載置台41を有しない機構であってもよい。このような構成の場合でも、容器取出機構124と第1払出機構4とを別個の機構とすることで、容器取出機構124には仕分カップ141を傾斜させる機構が不要となる。一方で、第1払出機構4には仕分カップ141を搬送させる機構が不要となる。
【0107】
(第2払出機構としての吸着・シャッター機構122)
吸着・シャッター機構122は、第2収容部14に収容された薬剤を個別に払い出す、第2払出機構としても動作する。具体的には、吸着・シャッター機構122による払い出しを行う場合、第2収容部14に配された状態の仕分カップ141から、薬剤を1錠ずつ分包機構6へ搬送して払い出す。
【0108】
第1払出機構4のみで第2収容部14に収容された薬剤を分包機構6へ払い出す場合、1つの仕分カップ141に収容可能な薬剤の数の上限が、分包機構6が1回の分包で分包可能な薬剤の数の上限(以下、分包上限と称する)に制限される。このため、第1収容部11または待機トレイ15から第2収容部14への薬剤の搬送時に、第2収容部14へ収容できない薬剤が増加して薬剤の搬送の効率が低下する可能性がある。
【0109】
薬剤仕分装置1においては、制御部60aは、仕分カップ141に収容されている薬剤の数が規定された数よりも多いか否かを判定する。規定された数は、例えば分包上限である。ただし、規定された数は、分包上限よりも小さい別の値であってもよい。仕分カップ141に収容されている薬剤の数が規定された数よりも多い場合には、搬送制御部61が吸着・シャッター機構122を制御して、仕分カップ141から分包機構6へ薬剤の払い出しを行う。仕分カップ141に収容されている薬剤の数が規定された数以下である場合には、取出制御部67aが容器取出機構124を制御して、仕分カップ141を第2収容部14から取り出して第1払出機構4に受け渡す。その後、傾斜制御部67bが傾斜機構42を制御して仕分カップ141から分包機構6へ薬剤の払い出しを行う。
【0110】
制御部60aは、仕分カップ141に収容されている薬剤の数が規定された数よりも多いと判定した場合には、吸着・シャッター機構122により払い出す薬剤の数を以下のとおり決定する。制御部60aは、仕分カップ141内の薬剤の数と規定された数との差を計算する。当該差が規定された数以上である場合には、吸着・シャッター機構122は、規定された数の薬剤を分包機構6へ払い出す。一方、当該差が規定された数未満である場合には、吸着・シャッター機構122は、当該差の数だけ薬剤を分包機構6へ払い出す。
【0111】
仕分カップ141に収容されている薬剤の数が、分包上限よりも多い場合には、吸着・シャッター機構122が薬剤を1錠ずつ分包機構6へ払い出す。仕分カップ141に収容されている薬剤の数が、分包上限になった場合には、第1払出機構4が薬剤をまとめて分包機構6へ払い出す。したがって、薬剤仕分装置1においては、1つの仕分カップ141に収容可能な薬剤の数の上限が、分包上限に制限されない。
【0112】
また、薬剤仕分装置1においては、仕分カップ141から分包機構6への薬剤の払い出しに吸着・シャッター機構122を使用するか否かをユーザが設定可能であってもよい。このような実施形態については後述する。
【0113】
なお、薬剤仕分装置1は、吸着・シャッター機構122とは別に第2払出機構を備えていてもよい。ただし、吸着・シャッター機構122を第2払出機構として動作させることで、薬剤仕分装置1の構成を簡略化できる。
【0114】
(小括)
従来は、種類を判別できなかった薬剤について、種類ごとに集計することができなかった。したがって、薬剤の種類ごとの、当該薬剤の種類を判別する精度について、指標となるデータを得ることができなかった。
【0115】
本実施形態の薬剤仕分装置1によれば、薬剤の種類ごとの、当該薬剤の種類を判別する精度について、指標となるデータを得ることができる。さらに、薬剤仕分装置1によれば、薬剤の種類ごとに、種類を判別できた薬剤と種類を判別できなかった薬剤との合計を集計し、判別の成功率を算出できる。
【0116】
したがって、ユーザは、取り扱う薬剤として、判別の成功率が高い薬剤を選択することで、判別の手間を低減し、薬剤価格の低減にも貢献できる。このような効果は、例えば、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の目標1「貧困をなくそう」等の達成にも貢献するものである。
【0117】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0118】
本実施形態では、操作入力部65が、判別部64が種類を判別できなかった薬剤の種類の入力を受け付けた場合に、更新部73は、記憶部80に予め記憶している、当該種類の薬剤についての第1色情報を、第2色情報を用いて更新する。第2色情報は、種類の入力を受け付けた薬剤の撮像画像から抽出した当該薬剤の像の色を示す色情報である。例えば第2色情報は、撮像画像において薬剤の像が示されている領域の画素値の平均に基づいて算出した、薬剤の平均色を示す色情報であってよい。
【0119】
また、この場合に、更新部73は、記憶部80に予め記憶している、当該種類の薬剤についての第1形状情報を、第2形状情報を用いて更新してもよい。第2形状情報は、種類の入力を受け付けた薬剤の撮像画像から抽出した当該薬剤の像の形状を示す情報である。
【0120】
記憶部80には、種類判別のために第1カメラ131が撮像した薬剤の撮像画像から抽出した当該薬剤の特徴(第2色情報および第2形状情報を含む)が、当該撮像画像と紐付けて登録されている。第1色情報および第2色情報はいずれも、可視光画像から抽出された代表色であってもよいし、紫外光画像から抽出された代表色であってもよい。また、第1形状情報および第2形状情報はいずれも、可視光画像から抽出された形状であってもよいし、紫外光画像から抽出された形状であってもよい。
【0121】
制御部60aは、例えば、薬剤仕分装置1が、仕分処理、分包処理、または、これらに関連する処理(例:目視鑑査を実施可能な状態とするための処理)を停止している状態において、第1色情報を更新することも可能である。当該状態としては、例えば、薬剤仕分装置1をメンテナンス可能な状態が挙げられる。この場合、制御部60aは、判別部64が種類を判別できなかった薬剤について、操作部31を介して、種類の入力を受け付けると共に、当該薬剤の第1色情報を更新する旨のユーザの操作を受け付けることにより、第1色情報を更新する。
【0122】
また本実施形態では、更新部73は、操作入力部65が入力を受け付けた薬剤の種類が、過去に判別した薬剤について当該種類であると判別したことがないものである場合に、当該種類についての第1色情報を、第2色情報を用いて更新する。「過去に判別した薬剤」とは、過去に判別部64が種類の判別を試みた薬剤を指す。また、「当該種類であると判別したことがないものである場合」とは、(i)操作入力部65が入力を受け付けた種類の薬剤が「過去に判別した薬剤」に含まれているものの、操作入力部65が入力を受け付けた種類でないと判別部64が判定した場合、および(ii)操作入力部65が入力を受け付けた種類の薬剤が「過去に判別した薬剤」に含まれていない場合、の両方を含む。更新部73は、薬剤データベースに薬剤データが登録されているが、上記の場合に該当する薬剤については、第2色情報を用いて第1色情報を更新する。これにより、更新部73は、上記のように判別したことがない薬剤について、第1色情報を早急に更新できる。
【0123】
判別部64は、種類の判別結果を、薬剤の撮像画像(画像データ)に紐付けて記憶部80に記憶している。更新部73は、判別部64が種類を判別できなかった薬剤について、目視鑑査において種類の入力を受け付けたときに、記憶部80に、上記判別結果として当該種類を示す情報が記憶されているかを判定する。更新部73は、当該種類を示す情報が記憶されていないと判定した場合、判別部64が過去に判別したことがない種類の薬剤であるとして、種類の入力を受け付けた薬剤の第1色情報を、第2色情報を用いて更新する。従って、更新部73は、判別部64による判別実績がない薬剤について、第1色情報を更新することになる。
【0124】
但し、更新部73は、操作入力部65が種類の入力を受け付けるたびに、記憶部80に記憶された判別結果を参照して、第1色情報を更新するかを決定する必要は必ずしもない。更新部73は、薬剤仕分装置1が稼働したときから始めて上記判別実績がないと判定した場合にのみ、第1色情報を更新してもよい。この場合、更新部73は、搬送制御部61による仕分実績がない薬剤について、第1色情報を更新することになる。
【0125】
なお、更新部73は、第1色情報が示す薬剤の代表色全体を、第2色情報が示す薬剤の代表色に更新してもよい。また、更新部73は、第1色情報が示す薬剤の代表色の一部を、第2色情報が示す薬剤の代表色に更新してもよい。
【0126】
また、更新部73は、第1形状情報についても、操作入力部65が入力を受け付けた薬剤の種類が、過去に判別した薬剤について当該種類であると判別したことがないものである場合に、第2形状情報を用いて更新してよい。これにより、更新部73は、上記のように判別したことがない薬剤について、第1形状情報を早急に更新できる。更新部73は、第1形状情報が示す薬剤の形状の全体を、第2形状情報が示す薬剤の形状の全体に置換してもよいし、第1形状情報が示す薬剤の形状の一部を、第2形状情報が示す薬剤の形状の一部と置換してもよい。
【0127】
(小括)
判別部64が種類を判別できなかった薬剤については、薬剤の文字または割線が消えていたり、薬剤が欠損していたりする可能性がある。そのため、当該薬剤について、撮像画像から抽出した文字、形状または大きさなどの特徴を用いて、登録されている薬剤データを更新しても、更新以降の判別において精度が向上しない可能性がある。一方、撮像画像における薬剤の代表色の変化は、上記の欠損などに依らず、撮像環境に起因する可能性が高い。そのため、更新部73が、判別部64が種類を判別できなかった薬剤について、第1色情報を、撮像環境に応じて取得される第2色情報を用いて更新することにより、更新以降の種類判別における精度を向上できる可能性が高い。
【0128】
本実施形態の薬剤仕分装置1においては、更新部73は、判別部64が種類を判別できなかった薬剤について、目視鑑査時に種類の入力を受け付けた場合に、判別部64が種類を判別するために参照する第1色情報を、当該薬剤の撮像画像から抽出した第2色情報を用いて更新する。従って、更新部73は、薬剤仕分装置1が上述したような処理を停止させることなく早急に、第1色情報を更新できる。また、更新部73は、判別部64が種類を判別できなかった薬剤を収容する収容部(例:待機トレイ15)に薬剤が存在する状態のまま、第1色情報を更新できる。このように第1色情報を更新できることにより、更新以降の判別部64による種類判別において、その精度を向上させることができる。当該精度の向上により、上述した仕分けの成功率を向上させることができる。
【0129】
〔実施形態3〕
本実施形態では、判別部64による判別の対象となる薬剤に、半錠の薬剤が含まれる場合の処理について説明する。
【0130】
半錠判定部74は、薬剤を撮像した画像から、当該薬剤の形状を認識し、当該薬剤が半錠であるか否かを判定する(半錠判定ステップ)。復元画像生成部75は、薬剤が半錠である場合に、当該薬剤の全体を復元した復元画像を生成する(復元画像生成ステップ)。判別部64は、復元画像から抽出した薬剤の少なくとも1つの特徴を、薬剤データベースに登録されている特徴と照合することにより、薬剤の種類を判別する(照合ステップ)。本実施形態に係る種類判別方法は、以上の半錠判定ステップおよび照合ステップを含む。
【0131】
図7は、復元画像生成部75が復元画像を生成する処理の例を示す模式図である。復元画像生成部75が復元画像を生成する処理について以下に説明する。まず、復元画像生成部75は、符号701に示すように、半錠の薬剤の像が示されている薬剤領域Mを特定する。次に、復元画像生成部75は、符号702に示すように、薬剤領域Mにおける、半錠の薬剤の割線の像が示されている割線領域Lを特定する。次に、復元画像生成部75は、符号703に示すように、薬剤領域Mに外接する矩形SQを生成する。このとき、矩形SQの一辺の少なくとも一部は、割線領域Lに接する。また、矩形SQの他の辺も、それぞれ薬剤領域Mに接する。
【0132】
復元画像生成部75は、符号704に示すように、薬剤領域Mを、矩形SQの、少なくとも一部が割線領域Lに接する辺を軸として反転させた画像である補填画像Cを生成する。このとき、復元画像生成部75は、補填画像Cにおいて割線領域Lに対応する領域が、元の半錠の薬剤の画像の矩形SQにおいて割線領域Lに接する辺に接するように、補填画像Cを、元の半錠の薬剤の画像に隣接した位置に配置する。その結果、復元画像生成部75は、半錠の薬剤の画像と補填画像Cとを合わせた画像としての復元画像を生成する。このとき、判別部64が復元画像の形状を楕円または円といった、薬剤として一般的な形状に近似できるよう、復元画像生成部75は、必要に応じて補填画像Cを膨張させるなどの修正を施してもよい。
【0133】
上記の処理においては、復元画像生成部75は、割線領域Lに接する矩形SQの辺を軸として薬剤領域Mを反転させることで補填画像Cを生成する。しかし、復元画像生成部75は、割線領域Lの中点を特定し、当該中点の周りで薬剤領域Mを180°回転させることで補填画像Cを生成してもよい。
【0134】
さらに、符号705に示すように、復元画像生成部75は、補填画像Cの色を、薬剤領域Mの色の平均色に設定する。そのようにした場合、復元画像生成部75は、補填画像の色を、実際の薬剤の色に近いと考えられる色とすることができる。そのため、判別部64が復元画像の色情報を用いて種類を判別する場合における、判別精度を向上させることができる。復元画像生成部75は、例えば薬剤領域の、外縁部を除いた領域における画素値の平均を算出して、平均色の画素値としてもよい。復元画像生成部75がどの程度の範囲までの外縁部を除くかについては、薬剤仕分装置1の仕様を決定する設計者によって適宜設定されてよい。
【0135】
図8は、復元画像生成部75が生成した復元画像の、2種類の例を示す図である。図8における符号801および符号802、ならびに符号803および符号804はそれぞれ、同一の半錠の薬剤を、互いに異なる方向から撮像した2つの画像のそれぞれから生成した復元画像である。復元画像に基づく判別処理の例について、以下に説明する。
【0136】
復元画像生成部75は、補填画像の形状および色を、実際の薬剤の形状および色に近いものとすることができる。一方、復元画像生成部75は、補填画像における薬剤の刻印については、実際の薬剤のものを復元することができない。
【0137】
仮に符号801に示した薬剤と同じ種類の1錠の薬剤を、符号801に示した画像と同じ方向から撮像した場合、5文字の刻印が現れる。しかし、符号801に示した復元画像では、刻印が3文字のみ表れている。仮に符号803に示した薬剤と同じ種類の1錠の薬剤を、符号803に示した画像と同じ方向から撮像した場合、5文字の刻印が現れる。しかし、符号803に示した画像では、刻印が3文字のみ表れている。仮に符号804に示した薬剤と同じ種類の1錠の薬剤を、符号804に示した画像と同じ方向から撮像した場合、2文字の刻印が現れる。しかし、符号804に示した画像では、刻印が1文字のみ表れている。
【0138】
図9は、図8に示した画像を、当該画像に示されている薬剤の、1錠の薬剤データと照合した結果を示す表である。図9において、符号901は、図8の符号801,802に示した画像を、当該画像に示されている薬剤の、1錠の薬剤データと照合した結果を示す表である。符号902は、図8の符号803,804に示した画像を、当該画像に示されている薬剤の、1錠の薬剤データと照合した結果を示す表である。それぞれの表における数値は、画像から抽出した特徴と、薬剤データにおける特徴との一致度を示す。一致度は、完全に一致した場合に1となる。
【0139】
それぞれの表において、「色マッチング」は、色情報および形状の特徴(例えば楕円形または円形など)についての一致度である。「全体マッチング」は、色情報および形状に加えて、刻印または印刷の特徴についての一致度である。「識別情報」は、刻印の文字、および復元画像における当該文字の有無である。符号801には、「S」、「c」、「2」、「2」、および「3」の5文字の刻印のうち、「2」、「2」、および「3」の3文字のみ実際に表れている。符号803には、「T」、「Z」、「2」、「2」、および「4」の5文字の刻印のうち、「2」、「2」、および「4」の3文字のみ実際に表れている。符号804には、「5」および「0」の2文字の刻印のうち、「0」のみ実際に表れている。「パーツマッチング」は、5文字の刻印のそれぞれについての、画像についての一致度である。「OCR」は、5文字の刻印のそれぞれについての、OCRにおける一致度である。
【0140】
図9の符号901に示すように、図8の符号801,802に示した画像の薬剤については、「色マッチング」、および符号801に表れている3文字のうち2文字において、0.8以上の高い一致度を示している。また、図9の符号902に示すように、図8の符号803,804に示した画像の薬剤については、「色マッチング」、符号803の画像に表れている3文字、および符号804の画像に表れている1文字において、0.8以上の高い一致度を示している。
【0141】
図8に示した画像を、当該画像に示されている薬剤以外の薬剤データと照合した場合、一致度は図9に示した例よりも低くなる。このため、半錠の薬剤について、図8に示した画像を用いて判別部64が照合を行った場合、それぞれの色情報および刻印の一致度などに基づいて、撮像画像に含まれる薬剤の種類の候補を選出することで、当該薬剤の種類を正しく判別できる可能性が高い。
【0142】
判別部64は、例えば上述した「色マッチング」、「全体マッチング」、「パーツマッチング」、および「OCR」の順で照合を行う。判別部64は、それぞれの段階において薬剤の種類の候補を選出する。「OCR」において選出された候補は、特に有力な候補となる。ただし、判別部64は、必ずしも「OCR」まで照合を進めなくてもよい。
【0143】
(小括)
従来は、半錠である薬剤については、種類の判別を行わずに1つの仕分カップ141に仕分けていた。このため、仕分け対象の薬剤に、再利用すべき薬剤(例えば高価な薬剤)が半錠の状態で含まれている場合には、当該再利用すべき薬剤を、複数種類の薬剤が収容された仕分カップ141からユーザが取り出す必要があった。
【0144】
また、上述したとおり、薬剤仕分装置1においては、判別部64が種類を判別できなかった薬剤を、画像から抽出した特徴に基づいて仮仕分けするように設定することも可能である。そのように設定した場合、半錠の薬剤は薬剤ではないものと認識されて回収トレイ16へ格納され、廃棄されていた。
【0145】
実施形態3に係る判別方法によれば、薬剤が半錠である場合であっても、半錠の薬剤の画像から復元画像を生成し、復元画像を1錠の薬剤の薬剤データと比較することで、当該薬剤の種類を判別できる。したがって、半錠の薬剤について、1錠の薬剤についての薬剤データとは別の薬剤データを用意することなく、薬剤の種類を判別できる。
【0146】
実施形態3においては、薬剤仕分装置1の制御部60aが上記の判別方法を実行するものとして説明した。しかし、薬剤仕分装置1とは別の、薬剤の種類の判別のみを行う種類判別装置が上記の判別方法を実行してもよい。その場合、当該種類判別装置は、制御部60aが有する構成のうち、少なくとも、半錠判定部74および復元画像生成部75を備える。また、種類判別装置が上記の判別方法を実行する場合、当該種類判別装置は、外部の薬剤仕分装置と通信可能に接続されてよい。
【0147】
〔実施形態4〕
判別部64は、薬剤の種類の判別において照合対象とする薬剤データを、一包に含まれ得る薬剤の組み合わせに基づいて絞り込んでもよい。この場合、判別部64は、最初に第1収容部11に収容された複数の薬剤のうち、後から判別する薬剤について、先に判別した薬剤の種類との薬学的な組み合わせを考慮して、照合対象とする薬剤データを絞り込んでよい。
【0148】
医師が患者に対して複数の薬剤を一包にして組み合わせて処方する場合、薬学的に、組み合わせられる可能性の高い薬剤の組み合わせ、および組み合わせられる可能性の低い薬剤の組み合わせが存在する。判別部64は、このような既知の薬学的な組み合わせに基づいて、先に判別した薬剤の種類と組み合わせられる可能性が高い薬剤の組み合わせを、上記一包に含まれ得る薬剤の組み合わせの候補として選択してもよい。また、判別部64は、上記既知の薬学的な組み合わせに基づいて、先に判別した薬剤の種類と組み合わせられる可能性が低い薬剤の組み合わせを、上記一包に含まれ得る薬剤の組み合わせの候補から外してもよい。これにより、判別部64が薬剤の種類を判別する精度および速度を向上させることができる。
【0149】
また、判別部64は、薬剤仕分装置1が過去に仕分けて目視鑑査された薬剤の組み合わせを考慮して、照合先となる薬剤の候補を絞り込んでもよい。また、判別部64は、外部の分包機が過去に分包した薬剤の組み合わせを考慮して、上記候補を絞り込んでもよい。判別部64が、外部の分包機が過去に分包した薬剤の組み合わせを考慮する場合、制御部60aは、外部の分包機から、分包結果を示す情報を取得する。
【0150】
上記既知の薬学的な組み合わせは記憶部80に予め設定されており、その組み合わせの内容は適宜変更されてもよい。当該組み合わせは、操作部31を介してユーザにより設定または変更されてもよい。また、制御部60aが、当該組み合わせを示す情報を、外部装置から受信してもよい。
【0151】
〔実施形態5〕
搬送・仕分ユニット12が、仕分カップ141に仕分けられた薬剤を1つずつ分包機構6へ払い出す場合、制御部60aは、吸着・シャッター機構122が仕分カップ141から薬剤を取出すたびに、取出回数(ピッキング回数)を計数する。そのため、この場合であれば、制御部60aは、仕分カップ141から分包機構6へ払い出した薬剤の数を計数できる。
【0152】
一方、第1払出機構4が、仕分カップ141を傾斜させることで分包機構6へ薬剤を払い出す場合、薬剤を1つずつ払い出す場合とは異なり、制御部60aは、仕分カップ141から分包機構6へ払い出す薬剤の数を計数できない。このため、払い出しの対象となっている仕分カップ141に、他の仕分カップ141に仕分けられた薬剤が跳ねて混入するなどの異常が発生した場合であっても、制御部60aは、払い出す薬剤の数からは当該異常の発生を認識できない。
【0153】
本実施形態の薬剤仕分装置1では、混入推定モデルが記憶部80に記憶されている。混入推定モデルは、機械学習を用いて、仕分カップ141への薬剤の混入有無を判別するように構築された学習済みモデル(分類器)である。混入推定モデルは、例えば、ニューラルネットワーク(例:畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network:CNN))であってよい。
【0154】
例えば、仕分カップ141を上方から撮像した複数の画像のそれぞれに、正解データを対応付けた訓練データが準備される。訓練データは、薬剤仕分装置1で仕分対象となり得る全ての種類の薬剤(例:薬剤データベースで管理された全ての種類の薬剤)について準備される。
【0155】
上記訓練データに用いられる画像としては、1種類の薬剤を収容した仕分カップ141を上方から撮像した画像が挙げられる。仕分カップ141に収容した薬剤について、薬剤の数および/または位置を変更した複数の画像を準備してもよい。1種類の薬剤を収容した仕分カップ141の画像には、薬剤の混入が無い旨(仕分けOK)を示す正解データが対応付けられる。
【0156】
また、上記訓練データに用いられる画像としては、1種類の薬剤を収容した仕分カップ141に、別の種類の薬剤を数個混入させたときの、当該仕分カップ141を上方から撮像した画像が挙げられる。仕分カップ141に収容した薬剤について、薬剤の数および/または位置を種類ごとに変更した複数の画像を準備してもよい。複数種類の薬剤が混在した仕分カップ141の画像には、薬剤の混入がある旨(仕分けNG)を示す正解データが対応付けられる。
【0157】
混入推定モデルは、ユーザが仕分カップ141を上方から見たときに、薬剤の混入を判断できる程度の推定精度を有していればよい。混入推定モデルは、異種でかつ同色の薬剤同士を識別できなくてもよい。また、混入推定モデルは、仕分カップ141に混入した薬剤が、当該仕分カップ141に収容されるべき薬剤に埋もれた状態において、混入した薬剤があることを推定できなくてもよい。従って、上記訓練データに用いられる画像は、例えば、上記1種類の薬剤とは色が異なる薬剤が、仕分カップ141の上方から見える範囲に配置された画像であってよい。
【0158】
制御部60aは、第1払出機構4を用いて仕分カップ141に収容された薬剤を分包機構6へ払い出す場合、第1払出機構4が仕分カップ141を持ち上げる前に、第2カメラ121に、当該仕分カップ141をその上方から撮像させる。制御部60aは、第2カメラ121が撮像した仕分カップ141の画像を混入推定モデルに入力する。混入推定モデルは、推定結果として、当該画像に含まれる仕分カップ141に、当該仕分カップ141に収容されるべき薬剤の種類とは異なる種類の薬剤が混入しているかどうかを出力する。
【0159】
これにより、制御部60aは、第1払出機構4を用いる場合(仕分カップ141に収容された薬剤の数を計数しない場合)であっても、仕分カップ141の画像に基づき、仕分カップ141への薬剤の混入の有無を認識できる。従って、制御部60aは、仕分カップ141に薬剤が混入していると認識した場合に、タッチパネル3を介して、ユーザに当該仕分カップ141の中を視認するよう促すことができる。
【0160】
〔実施形態6〕
薬剤仕分装置1により仕分けられる薬剤には、カプセルが含まれることがある。カプセルにおいては、ボディおよびキャップのうち一方の色が、薬剤載置台133aの色と近い場合がある。例えばキャップの色が薬剤載置台133aの色と近い場合、撮像した画像からカプセルの領域を抽出するときに、キャップを抽出できない場合がある。逆に、ボディの色が薬剤載置台133aの色と近い場合には、ボディを抽出できない場合がある。この場合、ボディおよびキャップの両方についての特徴を含む薬剤データを作成できないこととなる。
【0161】
そのような場合、ボディおよびキャップの一方についてのみの薬剤データを作成することは可能である。しかし、判別部64は、通常の薬剤については、判別に使用した画像のいずれかを、薬剤データにおける薬剤の形状に基づいてトリミングすることで、目視監査用の画像(代表画像)を生成する。このため、判別部64は、判別対象の薬剤がボディおよびキャップの一方についてのみの薬剤データにより特定される種類の薬剤であると判別した場合、当該薬剤の代表画像として、ボディおよびキャップのうち薬剤データと同じ側のみの画像を生成する。この場合、ユーザは、判別対象の薬剤の、全体の画像に基づいて目視監査を行うことができない。
【0162】
そこで、判別部64は、判別対象の薬剤がボディおよびキャップの一方についてのみの薬剤データにより特定される種類の薬剤であると判別した場合には、当該薬剤の仕分けを仮仕分けであるとする。これは、ボディおよびキャップの一方についてのみの薬剤データには、ボディおよびキャップの他方の形状および刻印といった特徴が含まれないためである。さらに、この場合、判別部64は、撮像した画像から、薬剤データに示されたボディまたはキャップの領域を抽出する。そして、判別部64は、抽出した領域を中心として拡張した領域の画像を、薬剤の代表画像として生成する。したがって、表示制御部66は、目視鑑査時に、薬剤の全体が含まれる代表画像を、表示部32に表示できる。そのため、ユーザは、薬剤の全体を見て目視鑑査できる。
【0163】
〔実施形態7〕
上述したとおり、薬剤仕分装置1において、制御部60aは、薬剤を種類ごとに仕分カップ141に収容する。さらに、薬剤仕分装置1が分包機構6を備える場合、制御部60aは、仕分カップ141に収容された薬剤を、分包機構6により仕分カップ141ごとに分包する。制御部60aは、収容していた薬剤を分包した後の仕分カップ141を、次回以降の薬剤の仕分けに使用する。
【0164】
制御部60aは、薬剤仕分装置1の起動時、または仕分カップ141に収容された薬剤を分包した後、当該仕分カップ141の中を撮像し、当該仕分カップ141が空であるか否か、すなわち残薬の有無を判定してもよい。仕分カップ141の中の撮像は、第2カメラ121によって行われてよい。または、薬剤仕分装置1は、仕分カップ141の中を撮像するためのカメラを別途備えていてもよい。
【0165】
仕分カップ141が空でない場合、制御部60aは、例えば、当該仕分カップ141のRFIDタグに、当該仕分カップ141が使用不可である旨の情報を書き込んでよい。その場合、制御部60aは、その後の仕分けに当該仕分カップ141を使用しない。
【0166】
しかしながら、この方法では、使用不可である旨の情報を書き込まれたRFIDタグを有する仕分カップ141は、薬剤仕分装置1のユーザによりRFIDタグの情報がクリアされるまで、使用不可のままとなる。このため、薬剤仕分装置1による仕分けの効率が低下する可能性がある。
【0167】
そこで、制御部60aは、仕分カップ141が空でない場合に、当該仕分カップ141内の薬剤を分包する動作を行ってよい。その場合、制御部60aは、薬剤を分包する動作の終了後に当該仕分カップ141の中を再度撮像し、当該仕分カップ141が空であるか否かを再度判定する。再度の判定でも仕分カップ141が空でない場合には、制御部60aは、当該仕分カップ141のRFIDタグに、当該仕分カップ141が使用不可である旨の情報を書き込む。一方、再度の判定で当該仕分カップ141が空である場合、制御部60aは、当該仕分カップ141のRFIDタグに、当該仕分カップ141が使用不可である旨の情報を書き込まず、以後の仕分けに当該仕分カップ141を使用する。
【0168】
仕分カップ141内に残薬が存在している場合であっても、薬剤を分包する動作を再度行うことで、残薬を除去できる可能性がある。実施形態7で説明した薬剤仕分装置1の動作によれば、薬剤を分包する動作を再度行うことにより、仕分カップ141から薬剤を分包する動作を再度行わない場合と比較して、仕分けの効率を向上させることができる。
【0169】
〔実施形態8〕
図10は、薬剤仕分装置1の、実施形態8に係る動作の概略を示す図である。実施形態1で説明した例では、制御部60aは、仕分カップ141の全てに薬剤が格納されている場合に、それら以外の種類であると判別した薬剤を、待機トレイ15に仮置きする。実施形態8では、この場合における、別の動作の例について説明する。
【0170】
図10において、符号1001は、(i)第1収容部11が有する全ての収容部に1以上の薬剤が収容されている場合、かつ、(ii)仕分カップ141の全てに薬剤が収容されている場合の動作の例を示す図である。この場合、制御部60aは、仕分カップ141に収容されている薬剤の種類とは異なる種類であると判別した薬剤を、待機トレイ15に仮置きする。
【0171】
制御部60aは、待機トレイ15に収容した薬剤の種類を記憶部80に記憶させる。制御部60aは、仕分カップ141の薬剤を払出した後、待機トレイ15に収容された薬剤を仕分ける場合に、待機トレイ15に収容した薬剤の種類の薬剤データのみを参照して薬剤の種類の判別を行う。これにより、薬剤マスタに含まれる全ての薬剤データを参照する場合と比較して、薬剤の種類の判別に要する時間を短縮できる。
【0172】
図10において、符号1002は、(i)薬剤が収容されていない収容部が第1収容部11に存在する場合、かつ、(ii)仕分カップ141の全てに薬剤が収容されている場合の動作の例を示す図である。例えば、第1収容部11が有する複数の収容部のうち、収容部11aに薬剤が収容されていない例について説明する。
【0173】
符号1002に示す場合において、制御部60aは、仕分カップ141に収容されている薬剤の種類とは異なる種類であると判別した薬剤を、待機トレイ15または収容部11aのいずれかに仮置きする。このとき、制御部60aは、待機トレイ15に収容される薬剤の種類数と、収容部11aに収容される薬剤の種類数とが同程度になるように薬剤を収容する。また、制御部60aは、待機トレイ15および収容部11aのそれぞれに収容した薬剤の種類を記憶部80に記憶させる。
【0174】
制御部60aは、仕分カップ141の薬剤を払出した後、待機トレイ15に収容した薬剤を仕分ける場合には、待機トレイ15に収容した薬剤の種類の薬剤データのみを参照して薬剤の種類の判別を行う。同様に、制御部60aは、仕分カップ141の薬剤を払出した後、収容部11aに収容した薬剤を仕分ける場合には、収容部11aに収容した薬剤の種類の薬剤データのみを参照して薬剤の種類の判別を行う。この場合、待機トレイ15のみに薬剤を仮置きする場合と比較して、1つの収容箇所に入れられている薬剤の数が少なくなるため、参照する薬剤データの数も少なくなり、薬剤の種類の判別に要する時間を低減することができる。したがって、薬剤仕分装置1による仕分けの速度を向上させることができる。
【0175】
また、制御部60aは、(i)薬剤が収容されていない収容部が第1収容部11に複数存在する場合、かつ、(ii)仕分カップ141の全てに薬剤が収容されている場合において、仕分カップ141に収容されている薬剤の種類とは異なる種類であると判別した薬剤を、待機トレイ15、および、薬剤が収容されていない複数の収容部のいずれかまたは全てに仮置きしてよい。これにより、薬剤仕分装置1による仕分けの速度をさらに向上させることができる。
【0176】
〔実施形態9〕
図11は、薬剤仕分装置1の、実施形態9に係る動作の概略を示すフローチャートである。薬剤仕分装置1によって種類毎に仕分けられた薬剤が分包される場合、分包処理の前に、ユーザによって、仕分カップ141内に薬剤が正しく仕分けられているかの目視鑑査が行われる。実施形態9では、このような運用をする場合において、薬剤仕分装置1の稼働率を向上させる構成について説明する。
【0177】
まず、制御部60aは、上述したように、搬送・仕分ユニット12などにより、薬剤の仕分けを行う(S1)。このとき、制御部60aは、薬剤を収容している仕分カップ141の数が規定数以上になると、光または音により、ユーザに目視監査の実行を促してよい。薬剤仕分装置1は、上記の光または音を出力するための発光装置または音声出力装置を備えていてよい。発光装置の例として、回転灯が挙げられる。規定数は、例えば仕分カップ141の総数の80%の数であってよいが、これに限られない。また、ユーザは、制御部60aに促されなくても目視監査を実行してもよい。
【0178】
制御部60aは、制御部60aによる薬剤の仕分け中の任意のタイミングで、仕分カップ141に収容されている薬剤についての、ユーザによる目視監査を受け付ける。ユーザが目視監査を開始した時点では、制御部60aは、搬送・仕分ユニット12などによる薬剤の仕分けを継続する。図11に示す例では、制御部60aは、第1の仕分カップ141、第2の仕分カップ141、および第3の仕分カップ141の、3つの仕分カップ141に収容されている薬剤について目視監査を受け付ける(S2,S3,S4)。ただし、制御部60aが目視監査を受け付ける仕分カップ141の数は、2つ以下であっても、4つ以上であってもよい。
【0179】
制御部60aは、目視監査の結果についてのユーザによる入力を受け付けた場合に、目視監査が終了したと判断する。第1の仕分カップ141に収容されている薬剤についての目視監査(S2)が終了したと判断した時点で、制御部60aは、第1の仕分カップ141に収容されている薬剤を、分包機構6により分包する(S5)。また、制御部60aは、分包を開始する時点で、搬送・仕分ユニット12などによる薬剤の仕分けを中断する。
【0180】
制御部60aは、第1の仕分カップ141に収容されている薬剤を分包する処理と並行して、第2の仕分カップ141および第3の仕分カップ141に収容されている薬剤についての目視監査を受け付ける(S3,S4)。制御部60aは、目視監査が終了した薬剤について、順次分包を行う(S6,S7)。
【0181】
図11に示す例では、第2の仕分カップ141に収容されている薬剤の目視監査が終了した時点で、第1の仕分カップ141に収容されている薬剤の分包が終了していない。このため、制御部60aは、第2の仕分カップ141を、次に分包すべき薬剤が収容されている仕分カップ141として、記憶部80に記憶させる。制御部60aは、第1の仕分カップ141に収容されている薬剤の分包(S5)が終了した後で、第2の仕分カップ141に収容されている薬剤の分包を行う(S6)。また、図11に示す例では、第3の仕分カップ141に収容されている薬剤の目視監査が終了した時点で、第2の仕分カップ141に収容されている薬剤の分包が終了していない。このため、制御部60aは、第3の仕分カップ141を、次に分包すべき薬剤が収容されている仕分カップ141として、記憶部80に記憶させる。制御部60aは、第2の仕分カップ141に収容されている薬剤の分包(S6)が終了した後で、第3の仕分カップ141に収容されている薬剤の分包を行う(S7)。
【0182】
制御部60aは、ユーザによる目視監査が終了した薬剤を全て分包した後、搬送・仕分ユニット12などによる薬剤の仕分けを再開する(S8)。制御部60aは、ステップS1,S5~S8を、分包すべき薬剤が無くなるまで繰り返す。
【0183】
制御部60aは、ユーザによる目視監査を受け付けなければ、その後の分包を実行しない。制御部60aは、第1収容部11に収容されていた全ての薬剤を、いずれかの仕分カップ141、または待機トレイ15に収容した場合には、薬剤の仕分けを中断する。このため、薬剤仕分装置1が稼働していない時間が発生し、稼働率が低下することとなる。また、制御部60aは、待機トレイ15に収容した薬剤については改めて仕分けを行うため、同一の薬剤に複数回の仕分けを行うこととなり、その点でも薬剤仕分装置1の稼働率が低下することとなる。
【0184】
図11に示した動作では、制御部60aは、薬剤の仕分け中の任意のタイミングで、ユーザによる目視監査を受け付けることが可能である。すなわち、制御部60aは、全ての仕分カップ141に薬剤が収容されている状態でなくても、仕分け中の任意のタイミングで目視監査を受け付け、仕分カップ141に収容された薬剤を分包し、仕分カップ141を空けることができる。このため、全ての仕分カップ141に薬剤が収容される可能性が小さくなる。したがって、薬剤の仕分けが中断される可能性が小さくなる。また、仕分カップ141に収容されている薬剤の種類とは異なると判別されて待機トレイ15に収容される薬剤の数を削減することができる。したがって、薬剤仕分装置1においては、ユーザによる目視鑑査と、制御部60aによる分包とを並列で進めることで、稼働していない時間を短縮し、稼働率を向上させることができる。
【0185】
〔実施形態10〕
仕分制御部62は、第1カメラ131が撮像した各薬剤の画像を、決定した仕分位置(仕分カップ141)と対応付けて、記憶部80に記憶している。また、表示制御部66は、複数の仕分カップ141のそれぞれについて、判別部64が判別した薬剤の種類、収容された薬剤の数、および、目視鑑査の実施有無を示す情報等を含む仕分状況を示す画像を、表示部32に表示できる。操作入力部65が、操作部31を介して、当該画面において仕分カップ141を選択する入力を受付けると、表示制御部66は、選択された仕分カップ141に関する画像を、目視鑑査用の画像として表示部32に表示する。
【0186】
選択された仕分カップ141に複数の薬剤が収容されている場合、表示制御部66は、各薬剤の画像の一覧を表示部32に表示する。ユーザは、表示された薬剤の画像のそれぞれを視認することにより、選択された仕分カップ141に収容されている薬剤について目視鑑査を実施できる。
【0187】
選択された仕分カップ141に、他の薬剤とは種類が異なる薬剤(異種の薬剤)が収容されている場合を考える。ユーザは、目視鑑査において異種の薬剤を発見すると、異種の薬剤の画像を選択する入力を行う。操作入力部65が、異種の薬剤を選択する入力を受付けると、表示制御部66は、異種の薬剤を拡大した画像を表示部32に表示する。操作入力部65が、拡大表示した薬剤が異種である旨の入力(「目視NG」の入力)を受付けると、表示制御部66は、当該薬剤を仕分カップ141から取出す旨の報知を行う。その後、操作入力部65が、異種の薬剤を仕分カップ141から取出した旨の入力を受付けると、表示制御部66は、選択された仕分カップ141に収容された薬剤の画像の一覧から、ユーザにより取出された薬剤の画像を削除する。
【0188】
仕分制御部62は、各仕分カップ141に収容した薬剤の数を計数し、決定した仕分位置と対応付けて、記憶部80に記憶している。そのため、表示制御部66は、仕分状況を示す画像、目視鑑査用の画像、および、薬剤を拡大表示した画像等において、仕分カップ141に収容されている薬剤の数を表示できる。操作入力部65が、異種の薬剤を仕分カップ141から取出した旨の入力を受付けた場合、制御部60aは、当該仕分カップ141については、記憶部80に記憶している薬剤の数を、取出した薬剤の数だけ減じた数(1減じた数)に変更できる。また、表示制御部66は、変更後の薬剤の数を表示部32に表示できる。
【0189】
操作入力部65が、異種の薬剤を仕分カップ141から取出した旨の入力を受付けた場合、表示制御部66は、選択された仕分カップ141に収容された薬剤の画像の一覧から、取出した薬剤の画像を削除しなくてもよい。この場合、表示制御部66は、薬剤の数を表示する画像内に(例えば、表示する薬剤の数の横に)、増減ボタン(「+」ボタンおよび「-」ボタン)を表示してもよい。操作入力部65が、増減ボタンへの入力を受付けることにより、制御部60aは、異種の薬剤を取出した仕分カップ141について、薬剤の数を、取出後の薬剤の数に変更できる。また、表示制御部66は、変更後の薬剤の数を表示部32に表示できる。
【0190】
ここで、制御部60aは、各仕分カップ141のRFIDタグに、各仕分カップ141が収容している薬剤の種類(目視鑑査により確定した薬剤の種類)および当該薬剤の数を示す情報を書込んでいる。また、目視鑑査を実施した仕分カップ141については、薬剤仕分装置1から取出されて、薬剤仕分装置1の外部に配置された錠剤分包機に返却される場合がある。
【0191】
錠剤分包機がRFIDタグの情報を読出すRFIDリーダを備えている場合、ユーザが、仕分カップ141のRFIDタグをRFIDリーダにかざすことにより、錠剤分包機は、仕分カップ141から錠剤分包機に充填される薬剤の種類および数を特定できる。このように、錠剤分包機には、RFIDタグにより、薬剤の種類および数が自動入力される。
【0192】
制御部60aが、異種の薬剤を取出した仕分カップ141について、RFIDタグの情報を書換えない場合を考える。この場合、異種の薬剤を取出した後に実際に仕分カップ141に収容されている薬剤の数は、当該仕分カップ141のRFIDタグに記憶されている薬剤の数と異なる。そのため、上述したように錠剤分包機に薬剤の数が自動入力される場合には、錠剤分包機は、当該仕分カップ141から返却された薬剤の数について、誤った情報を元に管理することになる。
【0193】
本実施形態では、操作入力部65が、異種の薬剤を仕分カップ141から取出した旨の入力を受付けた場合、制御部60aは、当該仕分カップ141のRFIDタグに記憶されている薬剤の数を、取出後の薬剤の数に書換える。そのため、仕分カップ141から薬剤が取出された場合であっても、当該仕分カップ141のRFIDタグにおいて、当該仕分カップ141に実際に収容している薬剤の数を管理できる。従って、RFIDタグにより錠剤分包機に自動入力される薬剤の数が、実際に仕分カップ141に収容されている薬剤の数となる。
【0194】
〔ソフトウェアによる実現例〕
薬剤仕分装置(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部60aに含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0195】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0196】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0197】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0198】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0199】
1 薬剤仕分装置
11 第1収容部
12 搬送・仕分ユニット(搬送部)
14 第2収容部
15 待機トレイ(第3収容部)
4 第1払出機構
64 判別部(照合部)
65 操作入力部(入力受付部)
71 集計部
72 算出部
73 更新部
74 半錠判定部
75 復元画像生成部
131 第1カメラ(撮像部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11