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特開2024-96209脂肪族アルコールとグリセリンとのエーテルを含む組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096209
(43)【公開日】2024-07-12
(54)【発明の名称】脂肪族アルコールとグリセリンとのエーテルを含む組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/37 20060101AFI20240705BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20240705BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240705BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20240705BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20240705BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20240705BHJP
   A61K 31/375 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
A61K8/37
A61K8/44
A61Q19/00
A61Q1/00
A61Q19/10
A61K47/14
A61P17/00
A61K47/18
A61K31/375
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024070723
(22)【出願日】2024-04-24
(62)【分割の表示】P 2020557740の分割
【原出願日】2019-11-26
(31)【優先権主張番号】P 2018224293
(32)【優先日】2018-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】北岡 侑
(72)【発明者】
【氏名】藤田 雅
(72)【発明者】
【氏名】黒木 未知瑠
(72)【発明者】
【氏名】桝本 愛
(57)【要約】
【課題】新規な組成物を提供する。
【解決手段】組成物を、(A)脂肪族アルコールとグリセリンとのエーテル及び(B)アシルグルタミン酸リシン塩で構成する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)脂肪族アルコールとグリセリンとのエーテル及び(B)アシルグルタミン酸リシン塩を含有する組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
アルキルグリセリルエーテルのような脂肪族アルコールとグリセリンとのエーテルは、保湿作用、乳化作用、消臭作用、抗菌作用等を得る目的で使用されている。
例えば、特開2000-191488号公報(特許文献1)には、特定の防臭化粧料組成物を構成する界面活性剤として、アルキルグリセリルエーテルを挙げている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-191488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、脂肪族アルコールとグリセリンとのエーテルを含む新規な組成物等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記のように、脂肪族アルコールとグリセリンとのエーテルは、界面活性剤などとして使用されている(特許文献1)。
【0006】
しかし、本発明者の検討によれば、このような脂肪族アルコールとグリセリンのエーテルは、界面活性剤として機能するどころか、むしろ、水等に対する分散又は溶解性が良好でなく、しばしば白濁等を生じることがわかった。
【0007】
このような中、本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、脂肪族アルコールとグリセリンのエーテルと、アシルグルタミン酸リシン塩とを組み合わせることで、新規な組成物が得られること、そして、このような組成物においては、脂肪族アルコールのグリセリンのエーテルを効率よく溶解又は分散できること等を見出し、さらなる検討を重ねて、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の発明等に関する。
[1]
(A)脂肪族アルコールとグリセリンとのエーテル及び/又は(B)アシルグルタミン酸リシン塩[通常、少なくとも(A)脂肪族アルコールとグリセリンとのエーテル、特に(A)脂肪族アルコールとグリセリンとのエーテル及び(B)アシルグルタミン酸リシン塩]を含有する組成物。
[2]
(A)成分が、グリセリンモノ-2-エチルへキシルエーテルであり、(B)成分がジラウロイルグルタミン酸リシン塩である、[1]記載の組成物。
[3]
(A)成分の割合が、0.5質量%未満である[1]又は[2]記載の組成物。
[4]
(B)成分の割合が、1質量%以下である[1]~[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]
(B)成分の割合が、(A)成分1質量部に対して、0.05質量部超である[1]~[4]のいずれかに記載の組成物。
[6]
(A)成分の割合が0.5質量%未満であり、(B)成分の割合が、(A)成分1質量部に対して0.05質量部を超えて100質量部以下である[1]~[5]のいずれかに記載の組成物。
[7]
さらに、(C)水溶性成分を含む[1]~[6]のいずれかに記載の組成物。
[8]
(C)成分が、logP値が0以下及び分子量1000以下を充足する[7]記載の組成物。
[9]
(C)成分が水溶性美白成分を含む[7]又は[8]記載の組成物。
[10]
(C)成分が、アスコルビン酸類、トラネキサム酸類、イプシロンアミノカプロン酸類、ハイドロキノン類、ニコチン酸アミド類、グリチルリチン酸類、アラントイン類、及びリボフラビン類から選択された少なくとも1種を含む、[7]~[9]のいずれかに記載の組成物。
[11]
(C)成分が、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステル、アスコルビン酸アルキル、アスコルビン酸-2-グルコシド、トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸、ハイドロキノン、アルブチン、ニコチン酸アミド、グリチルリチン酸、アラントイン、リボフラビン、及びこれらの塩から選択された少なくとも1種を含む、[7]~[10]のいずれかに記載の組成物。
[12]
(C)成分の割合が、0.05質量%以上である[7]~[11]のいずれかに記載の組成物。
[13]
リーブオン化粧料用である[1]~[12]のいずれかに記載の組成物。
[14]
(A)脂肪族アルコールとグリセリンとのエーテルの溶解性又は分散性を向上するための剤であって、(B)アシルグルタミン酸リシン塩を含有する剤。
[15]
(C)水溶性成分の経皮吸収性を向上するための剤であって、(A)脂肪族アルコールとグリセリンとのエーテル又は(B)アシルグルタミン酸リシン塩を含有する剤。
[16]
(C)水溶性成分の経皮吸収性を向上するための剤であって、(A)脂肪族アルコールとグリセリンとのエーテル及び(B)アシルグルタミン酸リシン塩を含有する剤。
[17]
(A)脂肪族アルコールとグリセリンとのエーテルの溶解性又は分散性を向上する方法であって、(A)脂肪族アルコールとグリセリンとのエーテルと、(B)アシルグルタミン酸リシン塩を共存させる方法。
[18]
(C)水溶性成分の経皮吸収性を向上する方法であって、(C)水溶性成分と、(A)脂肪族アルコールとグリセリンとのエーテル又は(B)アシルグルタミン酸リシン塩とを共存させる方法。
[19]
(C)水溶性成分の経皮吸収性を向上する方法であって、(C)水溶性成分と、(A)脂肪族アルコールとグリセリンとのエーテル及び(B)アシルグルタミン酸リシン塩とを共存させる方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、新規な組成物を提供できる。このような組成物は、脂肪族アルコールとグリセリンのエーテルと、アシルグルタミン酸リシン塩とを含んでいる。
【0010】
本発明の他の態様では、脂肪族アルコールとグリセリンのエーテルの溶解性又は分散性を向上しうる組成物を提供しうる。脂肪族アルコールとグリセリンのエーテルは、前記のように、白濁等を生じることがあるが、特定の成分である、アシルグルタミン酸リシン塩と組み合わせることにより、このような白濁等を効率よく抑制しうる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[1.組成物]
本発明の組成物は、(A)脂肪族アルコールとグリセリンのエーテル及び(B)アシルグルタミン酸リシン塩から選択された少なくとも1種を含有する。特に、本発明の組成物は、(A)脂肪族アルコールとグリセリンのエーテル及び(B)アシルグルタミン酸リシン塩を含有してもよい。
【0012】
(A)脂肪族アルコールとグリセリンのエーテル((A)成分)
脂肪族アルコールは、鎖状又は分岐状アルコールであってもよく、飽和又は不飽和アルコールであってもよい。
【0013】
脂肪族アルコールの炭素数は、特に限定されないが、例えば、炭素数4以上(例えば、炭素数4~30)、炭素数6以上(例えば、炭素数6~24)、炭素数8以上(例えば、炭素数8~22)などであってもよく、炭素数23以上などであってもよい。また、脂肪族アルコールの炭素数は、例えば、40以下、30以下、24以下、22以下、18以下、16以下、14以下、12以下などであってもよく、11以下などであってもよい。
【0014】
脂肪族アルコールは、ポリオール(グリセリンでないポリオール)であってもよく、通常、モノオールであってもよい。
【0015】
具体的な脂肪族アルコールとしては、例えば、2-エチルヘキサノール、カプリルアルコール、ペラルゴンアルコール、カプリンアルコール、イソデカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ベヘニルアルコール、2-デシル-1-テトラデカノール、パルミトレイルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコールなどの飽和又は不飽和脂肪族アルコール(鎖状又は分岐状脂肪族アルコール、例えば、C4-30飽和又は不飽和脂肪族アルコール、C6-24飽和又は不飽和脂肪族アルコールなど)などが挙げられる。
【0016】
脂肪族アルコールとグリセリンのエーテルは、モノエーテル(グリセリンのモノエーテル)、ジエーテル、トリエーテルのいずれであってもよいが、好ましくはモノ又はジエーテルであり、特にモノエーテルを少なくとも含んでいてもよい。
【0017】
なお、エーテルがポリエーテル(ジ又はトリエーテル)である場合、脂肪族アルコールは、同一の又は異なる脂肪族アルコールであってもよい。
【0018】
代表的な脂肪族アルコールとグリセリンのエーテルとしては、例えば、グリセリンモノ2-エチルヘキシルエ-テル(エチルヘキシルグリセリン)、グリセリンモノカプリルエ-テル、グリセリンモノイソデシルエーテル、グリセリンモノセチルエーテル(キミルアルコール)、グリセリンモノステアリルエーテル(バチルアルコール)、グリセリンモノイソステアリルエーテル、グリセリンモノベヘニルエーテル、グリセリンモノオレイルエ一テル(セラキルアルコール)などが挙げられる。
【0019】
脂肪族アルコールとグリセリンのエーテルは、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0020】
中でも、菌に対する増殖抑制効果等の観点から、グリセリンモノ2-エチルヘキシルエ-テルを好適に使用できる。そのため、(A)成分は、少なくともグリセリンモノ2-エチルヘキシルエ-テルを含んでいてもよい。
【0021】
なお、(A)成分は、合成したものを利用してもよく、市販品を利用してもよい。
【0022】
(A)成分が、グリセリンモノ2-エチルヘキシルエ-テルを含む場合、(A)成分全体に対するグリセリンモノ2-エチルヘキシルエ-テルの割合は、例えば、10質量%以上程度の範囲から選択してもよく、30質量%以上、好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上(例えば、80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、99質量%以上、100質量%等)であってもよい。
【0023】
組成物が(A)成分を含む場合、組成物中の(A)成分の含有量は、組成物の用途等に応じて選択できるが、組成物の全量に対して、例えば、0.0001~5質量%、好ましくは0.001~2質量%、より好ましくは0.01~1質量%、さらに好ましくは0.03~0.7質量%、さらにより好ましくは0.05~0.5質量%(例えば、0.05質量%以上0.5質量未満)程度であってもよく、特に0.5質量%以下[例えば、0.5質量%未満(例えば、0.45質量%以下)、0.4質量%以下(例えば、0.35質量%以下)、0.3質量%以下(例えば、0.25質量%以下)、0.2質量%以下(例えば、0.15質量%以下)など]であってもよい。
【0024】
このような範囲で(A)成分を使用することで、効率よく(A)成分の機能を発揮しうる。また、このような範囲であれば、皮膚刺激の少ない(又は無い)範囲で、菌の抑制などを発揮しうる。
【0025】
なお、後述のように、組成物が(C)成分を含む場合、(A)成分(特に(B)成分と組み合わせて)組成物に含有させることで、(C)成分の浸透性(透過性)を効率よく向上しうる。
【0026】
(B)アシルグルタミン酸リシン塩((B)成分)
【0027】
アシルグルタミン酸リシン塩において、アシルとしては、例えば、脂肪酸(脂肪族)に対応するアシル(脂肪酸アシル、脂肪族アシル)が挙げられる。
【0028】
このような脂肪酸は、鎖状又は分岐状脂肪酸であってもよく、飽和又は不飽和脂肪酸であってもよい。
【0029】
脂肪酸の炭素数は、特に限定されないが、例えば、炭素数4以上(例えば、炭素数4~30)、炭素数8以上(例えば、炭素数8~24)、炭素数10以上(例えば、炭素数12~22)などであってもよい。
【0030】
脂肪酸は、多価脂肪酸であってもよいが、通常、モノ脂肪酸であってもよい。
【0031】
具体的な脂肪酸としては、例えば、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの飽和又は不飽和脂肪族酸(鎖状又は分岐状脂肪酸、例えば、C4-30飽和又は不飽和脂肪族酸、C8-24飽和又は不飽和脂肪酸など)などが挙げられる。
【0032】
アシルグルタミン酸リシン塩は、モノアシルグルタミン酸リシン塩であってもよく、特に、ジアシルグルタミン酸リシン塩であってもよい。
【0033】
なお、ジアシルグルタミン酸リシン塩において、2つのアシル(脂肪酸)は、同一の又は異なるアシル(脂肪酸)であってもよい。
【0034】
アシルグルタミンリシン塩において、塩としては、特に限定されず、例えば、無機塩基との塩[例えば、アンモニウム塩;アルカリ金属(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)、アルミニウム等の金属との塩等]、有機塩基との塩(例えば、メチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の有機アミンとの塩等)、アミノ酸との塩(例えば、アルギニン塩等)などが挙げられる。
【0035】
代表的な塩は、ナトリウム塩などのアルカリ金属塩である。
【0036】
具体的なアシルグルタミン酸リシン塩としては、例えば、ジアシルグルタミン酸リシン塩{例えば、ジラウロイルグルタミン酸リシン塩(例えば、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウムなど)、ジミリストイルグルタミン酸リシン塩(例えば、ジミリストイルグルタミン酸リシンナトリウムなど)、ジステアロイルグルタミン酸リシン塩(例えば、ジステアロイルグルタミン酸リシンナトリウムなど)、ジリノレオイルグルタミン酸リシン塩(例えば、ジリノレオイルグルタミン酸リシンナトリウムなど)などのジ脂肪族アシルグルタミン酸リシン塩が挙げられる。
【0037】
アシルグルタミン酸リシン塩は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0038】
中でも、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウムなどのジ脂肪酸アシルグルタミン酸リシン塩を好適に使用できる。
【0039】
なお、(B)成分は、慣用の方法[例えば、リシン塩(例えば、L-リシン塩酸塩)とN-アシルグルタミン酸無水物(例えば、N-アシル-L-グルタミン酸無水物)とを反応させる方法]により合成したものを使用してもよく、市販品を利用してもよい。例えば、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウムは、旭化成ケミカルズ株式会社製「ペリセアLB-10」「ペリセアL-30」などとして入手したものを使用してもよい。
【0040】
組成物が(B)成分を含む場合、組成物中の(B)成分の含有量は、組成物の用途等に応じて選択できるが、組成物の全量に対して、例えば、0.00001~20質量%、好ましくは0.0001~10質量%、さらに好ましくは0.001~5質量%、さらにより好ましくは0.01~3質量%程度であってもよい。また、組成物中の(B)成分の含有量は、2質量%以下(例えば、1質量%以下、0.00001~1質量%など)であってもよく、2質量%以上(例えば、2質量%超、2.5質量%以上、3質量%以上、3~5質量%など)であってもよい。
【0041】
また、組成物が、(A)成分及び(B)成分を含有する場合、(B)成分の割合は、(A)成分1質量部に対して、例えば、0.001~1000質量部(例えば、0.003~800質量部)、好ましくは0.005~500質量部(例えば、0.007~300質量部)、さらに好ましくは0.01~100質量部(例えば、0.03~80質量部)程度であってもよい。
【0042】
また、(B)成分の割合は、(A)成分1質量部に対して、例えば、0.001質量部以上[例えば、0.005質量部以上(例えば、0.01~500質量部)、0.02質量部以上(例えば、0.025~300質量部)、0.03質量部以上(例えば、0.05~100質量部)、0.05質量部以上(例えば、0.05質量部超、0.05質量部を超えて100質量部以下、0.07~100質量部)、1質量部以上(例えば、1~300質量部)など]であってもよく、0.01質量部以下[例えば、0.007質量部以下(例えば、0.001~0.005質量部)、0.005質量部以下(例えば、0.002~0.005質量部)など]であってもよい。
【0043】
このような割合で、(B)成分を使用することで、(A)成分の溶解性又は分散性を、効率よく向上しうる。そのため、(A)成分を含む製剤の安定性を向上でき、(A)成分の使用目的に応じて、(A)成分の機能(例えば、乳化補助剤としての機能)を効率よく発揮しうる。
【0044】
また、後述のように、(C)成分を含む組成物においては、(B)成分(特に(A)成分と組み合わせて)組成物に含有させる(特に上記の割合で含有させる)ことで、(C)成分の浸透性(透過性)を効率よく向上しうる。
【0045】
(C)水溶性成分((C)成分)
本発明の組成物は、水溶性成分を含んでいてもよい。上記のように、本発明の組成物は、通常、(A)脂肪族アルコールとグリセリンのエーテル及び/又は(B)アシルグルタミン酸リシン塩を含有するが、このような成分[(A)成分及び/又は(B)成分(例えば、少なくとも(A)成分、特に(A)成分及び(B)成分)]と水溶性成分を組み合わせることで、水溶性成分の機能を効率よく発揮しうる。
【0046】
例えば、(A)成分及び/又は(B)成分と組み合わせることで、皮膚への分配または皮膚中拡散が促進されるためか、水溶性成分の経皮吸収(透過性)を改善しうる。
【0047】
なお、前記のように、(A)成分と(B)成分を組み合わせることで、(A)成分の溶解性又は分散性を改善しうるが、水溶性成分の経皮吸収改善効果は、このような(A)成分の溶解性又は分散性の改善効果も相まって促進されうる。
とりわけ、水溶性成分(例えば、後述のアスコルビン酸類、トラネキサム酸類などの水溶性美白成分)は、皮膚への透過性が低く、なかなか目的部位まで到達することができない場合も多い。
そのため、水溶性成分の機能(美白効果等)を水性の外皮用組成物において効率よく発揮させるべく、(C)成分を含有する組成物は、特に、(A)成分及び(B)成分の双方を含んでいてもよい。
【0048】
水溶性成分において、水溶性の程度としては、特に限定されないが、logP値を指標としてもよい。
【0049】
例えば、水溶性成分として、logP値が、0以下(例えば、-10~0)、好ましくは-8以上(例えば、-7.5~0、-7~-0.05など)、さらに好ましくは-5以上(例えば、-4.5~0、-4~-0.08など)の水溶性成分を使用してもよく、特に-3以上(例えば、-2.5~0、-2~-0.1)の水溶性成分でも使用可能である。
【0050】
なお、分配係数logP(logPOW)値は、POW[1-オクタノール層中の被験物質濃度(mol/L)/水層中の被験物質濃度(mol/L)]の常用対数値(log10OW)として知られる値である。
logP値は、例えば、日本工業規格Z7260-107(2000)「分配係数(1-オクタノール/水)の測定-フラスコ振とう法」に従って、測定(決定、算出)してもよい。
【0051】
水溶性成分の分子量(化学式量)は、特に限定されないが、例えば、2000以下(例えば、1800以下)、好ましくは1500以下(例えば、1200以下)、さらに好ましくは1000以下(例えば、800以下、700以下、600以下、500以下など)であってもよい。
水溶性成分の分子量(化学式量)の下限値は、特に限定されず、例えば、50、70、80、90、100、110、120、130、140,150などであってもよい。
【0052】
なお、水溶性成分は、水溶性であればよいが、通常、成分の種類に応じて機能を有していてもよい。水溶性成分は、例えば、美白成分(水溶性美白成分)、抗炎症成分、抗酸化成分、抗シワ成分、コラーゲン合成の促進成分、活性酸素除去成分、ターンオーバー促進成分、老化防止成分、血行促進成分、角質軟化成分などであってもよい。
本発明では、前記のように、水溶性成分を効率よく経皮吸収しうるため、このような機能を効率よく発揮しうる。
【0053】
具体的な水溶性成分(例えば、水溶性美白成分)としては、例えば、アスコルビン酸類、アミノ酸類、ハイドロキノン類、ニコチン酸アミド類(例えば、ニコチン酸アミド等)、グリチルリチン酸類、アラントイン類(例えば、アラントイン等)、リボフラビン類(例えば、リボフラビン等)、ペプチド類(例えば、グルタチオン等)、エキス[例えば、プラセンタ(プラセンタエキス)、カミツレエキス等]等が挙げられる。
【0054】
アスコルビン酸類としては、例えば、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、及びこれらの塩などが挙げられる。
【0055】
アスコルビン酸は、D体、L体、これらの混合物のいずれであってもよいが、L体[L-アスコルビン酸(ビタミンC)]を好適に使用してもよい。
【0056】
アスコルビン酸誘導体としては、例えば、リン酸エステル(例えば、アスコルビン酸モノリン酸エステル、アスコルビン酸ジリン酸エステル、アスコルビン酸トリリン酸エステル等)、硫酸エステル(例えば、アスコルビン酸-2-硫酸エステル)、アスコルビン酸アルキル(例えば、アスコルビン酸メチル、アスコルビン酸エチルなどのアスコルビン酸アルキル等)、アスコルビン酸の配糖体(例えば、アスコルビン酸-2-グルコシド等)等が挙げられる。
【0057】
塩としては、例えば、金属塩{例えば、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム、カリウム等)、多価金属塩[例えば、アルカリ金属塩(例えば、マグネシウム、カルシウム、バリウム等)、アルミニウム塩、亜鉛塩、鉄塩]等}、アンモニウム塩(例えば、アンモニウム、トリシクロヘキシルアンモニウム等)、アミン塩[例えば、アルキルアミン(例えば、メチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン等)、アルカノールアミン(例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)、環式アミン(例えば、モルホリン塩、ピペラジン塩、ピロリジン塩、トリピリジン塩、ピコリン塩)等]が挙げられる。
【0058】
代表的なアスコルビン酸類としては、アスコルビン酸(特にビタミンC)、アスコルビン酸リン酸エステル(リン酸アスコルビル、アスコルビン酸モノリン酸エステルなど)、アスコルビン酸アルキル[特に、アスコルビン酸エチル(3-O-エチルアスコルビン酸又はVCエチル等)等]、アスコルビン酸-2-グルコシド、これらの塩(例えば、アスコルビン酸ナトリウム、リン酸アスコルビルナトリウム、リン酸アスコルビルマグネシウムなど)等が挙げられる。
【0059】
アミノ酸類としては、例えば、トラネキサム酸類、イプシロンアミノカプロン酸類(イプシロンアミノカプロン酸及びその塩など)などが挙げられる。
【0060】
トラネキサム酸類としては、例えば、トラネキサム酸、トラネキサム酸誘導体{例えば、トラネキサム酸の多量体[例えば、塩酸トランス-4-(トランス-アミノメチルシクロヘキサンカルボニル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸等のトラネキサム酸二量体]、トラネキサム酸とハイドロキノンのエステル体(例えば、トランス-4-アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸4’-ヒドロキシフェニルエステル)、トラネキサム酸とゲンチシン酸のエステル体[例えば、2-(トランス-4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニルオキシ)-5-ヒドロキシ安息香酸]、トラネキサム酸のアミド体[例えば、トランス-4-アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸メチルアミド及びその塩、トランス-4-(p-メトキシベンゾイル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸、トランス-4-グアニジノメチルシクロヘキサンカルボン酸]等}、これらの塩などが挙げられる。
【0061】
塩としては、前記例示の塩[例えば、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩)、アミン塩(例えば、トリエタノールアミン塩)等]の他、アミノ酸(例えば、アルギニン、リジン、ヒスチジン、オルニチンのような塩基性アミノ酸)との塩などが挙げられる。
【0062】
代表的なアミノ酸類としては、例えば、トラネキサム酸、トラネキサム酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩、アルギニン塩等)、イプシロンアミノカプロン酸等が挙げられる。
【0063】
ハイドロキノン類としては、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノン配糖体、これらの塩等が挙げられる。
【0064】
ハイドロキノン配糖体としては、例えば、グルコース配糖体(例えば、ハイドロキノンα-D-グルコース、ハイドロキノンβ-D-グルコース(アルブチン)、ハイドロキノンα-L-グルコース、ハイドロキノンβ-L-グルコース)、ガラクトース配糖体(例えば、ハイドロキノンα-D-ガラクトース、ハイドロキノンβ-D-ガラクトース、ハイドロキノンα-L-ガラクトース、ハイドロキノンβ-L-ガラクトース等)の六炭糖配糖体;リボース配糖体(例えば、ハイドロキノンα-D-リボース、ハイドロキノンβ-D-リボース、ハイドロキノンα-L-リボース、ハイドロキノンβ-L-リボース)、アラビノース配糖体(例えば、ハイドロキノンα-D-アラビノース、ハイドロキノンβ-D-アラビノース、ハイドロキノンα-L-アラビノース、ハイドロキノンβ-L-アラビノース)等の五炭糖配糖体;グルコサミン配糖体(例えば、ハイドロキノンα-D-グルコサミン、ハイドロキノンβ-D-グルコサミン、ハイドロキノンα-L-グルコサミン、ハイドロキノンβ-L-グルコサミン)、ガラクトサミン配糖体(例えば、ハイドロキノンα-D-ガラクトサミン、ハイドロキノンβ-D-ガラクトサミン、ハイドロキノンα-L-ガラクトサミン、ハイドロキノンβ-L-ガラクトサミン)等のアミノ糖配糖体;グルクロン配糖体(例えば、ハイドロキノンα-D-グルクロン酸、ハイドロキノンβ-D-グルクロン酸、ハイドロキノンα-L-グルクロン酸、ハイドロキノンβ-L-グルクロン酸)、ガラクツロン酸配糖体(例えば、ハイドロキノンα-D-ガラクツロン酸、ハイドロキノンβ-D-ガラクツロン酸、ハイドロキノンα-L-ガラクツロン酸、ハイドロキノンβ-L-ガラクツロン酸)等のウロン酸配糖体等が挙げられる。
【0065】
代表的なハイドロキノン類には、ハイドロキノン、アルブチン(ハイドロキノンβ-D-グルコース)、これらの塩などが挙げられる。
【0066】
グリチルリチン酸類としては、例えば、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸塩等が挙げられる。塩としては、前記例示の塩[例えば、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩等)、アルミニウム塩、アンモニウム塩、アミン塩(例えば、メチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩、モルホリン塩、ピペラジン塩、ピロリジン塩、トリピリジン塩、ピコリン塩等)等]が挙げられる。代表的なグリチルリチン酸塩には、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム等が含まれる。
【0067】
これらの水溶性成分のうち、アスコルビン酸類、トラネキサム酸類、イプシロンアミノカプロン酸類、ハイドロキノン類、ニコチン酸アミド類、グリチルリチン酸類、アラントイン類、リボフラビン類などが好ましい。
【0068】
特に、これらの中でも、水溶性や分子等の観点から、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体(例えば、アスコルビン酸リン酸エステル、アスコルビン酸アルキル、アスコルビン酸-2-グルコシド)、トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸、ハイドロキノン、ハイドロキノン配糖体(例えば、アルブチン)、ニコチン酸アミド、グリチルリチン酸、アラントイン、リボフラビン、これらの塩(例えば、アスコルビン酸ナトリウム、リン酸アスコルビルマグネシウム、グリチルリチン酸ジカリウム等)等を好適に使用してもよい。
【0069】
水溶性成分は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0070】
組成物が(C)成分を含む場合、組成物中の(C)成分の含有量は、組成物の用途や水溶性成分(C)の機能等に応じて選択できるが、組成物の全量に対して、例えば、0.001~10質量%、好ましくは0.01~8質量%、さらに好ましくは0.05~5質量%程度であってもよい。また、組成物中の(C)成分の含有量は、3質量%以下(例えば、1質量%以下、0.1質量%以下、0.001~0.1質量%など)であってもよく、0.01質量%以上(例えば、0.05質量%以上、1質量%以上など)であってもよい。
【0071】
組成物が(A)成分を含有する場合、(C)成分の割合は、(A)成分1質量部に対して、例えば、0.1~5000質量部(例えば、0.3~3000質量部)、好ましくは0.5~1000質量部(例えば、0.7~800質量部)、さらに好ましくは1~500質量部(例えば、5~400質量部、1~100質量部)程度であってもよい。
【0072】
組成物が(B)成分を含有する場合、(C)成分の割合は、(B)成分1質量部に対して、例えば、0.001~2000質量部(例えば、0.005~1500質量部)、好ましくは0.01~1000質量部(例えば、0.02~500質量部)、さらに好ましくは0.1~300質量部(例えば、0.2~200質量部)程度であってもよい。
【0073】
組成物が、(A)成分及び(B)成分を含有する場合、(C)成分の割合は、(A)成分及び(B)成分の総量1質量部に対して、例えば、0.001~1000質量部(例えば、0.005~800質量部)、好ましくは0.01~500質量部(例えば、0.02~400質量部)、さらに好ましくは0.05~300質量部(例えば、0.1~200質量部、0.5~50質量部)程度であってもよい。
【0074】
有効成分
本発明の組成物は、必要に応じて、有効成分を含んでいてもよい。有効成分の具体例としては、例えば、保湿成分、抗炎症成分、抗菌成分、ビタミン類、ペプチド又はその誘導体、アミノ酸又はその誘導体、細胞賦活化成分、老化防止成分、血行促進成分、角質軟化成分、美白成分、収斂成分、紫外線防御成分などが挙げられる。
本発明では、このような有効成分を含んでいても、前記(A)~(C)成分の機能を有効に発揮しうる。
なお、有効成分は、(C)成分に該当する成分であってもよく、該当しない成分であってもよい。
【0075】
保湿成分としては、例えば、グリセリン、プロパンジオール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジグリセリン、トレハロース、イノシトール、ソルビトールのような多価アルコール;コラーゲン、エラスチン、ケラチン、キチン、キトサン、フコイダン、ヒアルロン酸類(例えば、加水分解ヒアルロン酸、アセチル化ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウムなど)のような高分子化合物;グリシン、アスパラギン酸、アルギニンのようなアミノ酸;乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウムのような天然保湿因子;セラミド、コレステロール、リン脂質のような脂質;カミツレエキス、ハマメリスエキス、チャエキス、レモンエキス、ツボクサエキス、アーティチョークエキスのような植物抽出エキスなどが挙げられる。
【0076】
抗炎症成分としては、植物(例えば、コンフリー)に由来する成分、酸化亜鉛、塩酸ピリドキシン、酢酸トコフェロール、サリチル酸又はその誘導体、ε-アミノカプロン酸などが挙げられる。
【0077】
抗菌成分としては、クロルヘキシジン、サリチル酸、塩化ベンザルコニウム、アクリノール、エタノール、塩化ベンゼトニウム、クレゾール、グルコン酸及びその誘導体、ポピドンヨード、ヨウ化カリウム、ヨウ素、イソプロピルメチルフェノール、トリクロカルバン、トリクロサン、感光素101号、感光素201号、パラベン、フェノキシエタノール、1,2-ペンタンジオール、塩酸アルキルジアミノグリシン、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、カプリルヒドロキサム酸、メチルイソチアゾリノン、ソルビン酸、β-グリチルレチン酸、植物(例えば、クララ、ローズマリー、クワ、ユーカリなど)に由来する成分等が挙げられる。
【0078】
ビタミン類としては、dl-α-トコフェロール、酢酸dl-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロールカルシウム等のビタミンE類;リボフラビン、フラビンモノヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチド、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビンテトラ酪酸エステル、リボフラビン5’-リン酸エステルナトリウム、リボフラビンテトラニコチン酸エステル等のビタミンB2類;ニコチン酸dl-α-トコフェロール、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸メチル、ニコチン酸β-ブトキシエチル、ニコチン酸1-(4-メチルフェニル)エチル等のニコチン酸類;アスコルビゲン-A、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、ジパルミチン酸L-アスコルビルなどのビタミンC類;メチルヘスペリジン、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロールなどのビタミンD類;フィロキノン、ファルノキノン等のビタミンK類、γ-オリザノール、ジベンゾイルチアミン、ジベンゾイルチアミン塩酸塩;チアミン塩酸塩、チアミンセチル塩酸塩、チアミンチオシアン酸塩、チアミンラウリル塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミンモノリン酸塩、チアミンリジン塩、チアミントリリン酸塩、チアミンモノリン酸エステルリン酸塩、チアミンモノリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル塩酸塩、チアミントリリン酸エステル、チアミントリリン酸エステルモノリン酸塩等のビタミンB1類;塩酸ピリドキシン、酢酸ピリドキシン、塩酸ピリドキサール、5’-リン酸ピリドキサール、塩酸ピリドキサミン等のビタミンB6類;シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、デオキシアデノシルコバラミン等のビタミンB12類;葉酸、プテロイルグルタミン酸等の葉酸類;ニコチン酸、ニコチン酸アミドなどのニコチン酸類;パントテン酸、パントテン酸カルシウム、パントテニルアルコール(パンテノール)、D-パンテサイン、D-パンテチン、補酵素A、パントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類;ビオチン、ビオチシン等のビオチン類;アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、デヒドロアスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム等のアスコルビン酸誘導体であるビタミンC類;カルニチン、ピロロキノリンキノン、フェルラ酸、α-リポ酸、オロット酸等のビタミン様作用因子など、その他、化粧品、医薬品、医薬部外品に使用できうる公知の成分を適宜、使用できる。
【0079】
ペプチド又はその誘導体としては、ケラチン分解ペプチド、加水分解ケラチン、コラーゲン、魚由来コラーゲン、アテロコラーゲン、ゼラチン、エラスチン、エラスチン分解ペプチド、コラーゲン分解ペプチド、加水分解コラーゲン、塩化ヒドロキシプロピルアンモニウム加水分解コラーゲン、エラスチン分解ペプチド、コンキオリン分解ペプチド、加水分解コンキオリン、シルク蛋白分解ペプチド、加水分解シルク、ラウロイル加水分解シルクナトリウム、大豆蛋白分解ペプチド、加水分解大豆蛋白、小麦蛋白、小麦蛋白分解ペプチド、加水分解小麦蛋白、カゼイン分解ペプチド、アシル化ペプチド(パルミトイルオリゴペプチド、パルミトイルペンタペプチド、パルミトイルテトラペプチド等)などが挙げられる。
【0080】
アミノ酸又はその誘導体としては、ベタイン(トリメチルグリシン)、プロリン、ヒドロキシプロリン、アルギニン、リジン、セリン、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、β-アラニン、スレオニン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、ヒスチジン、タウリン、γ-アミノ酪酸、γ-アミノ-β-ヒドロキシ酪酸、カルニチン、カルノシン、クレアチン等が挙げられる。
【0081】
細胞賦活化成分としては、γ-アミノ酪酸、ε-アミノプロン酸などのアミノ酸類;レチノール、チアミン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、パントテン酸類などのビタミン類;グリコール酸、乳酸などのα-ヒドロキシ酸類;タンニン、フラボノイド、サポニン、アラントイン、感光素301号、植物(たとえば、ダイズビルベリー、レモングラス、アロエベラ、クロレラ、ヒオウギ、ヨクイニン、カミツレ、ドクダミ、ホップ、ニンジンなど)に由来する成分;ローヤルゼリー、ローヤルゼリーエキス;ホエイ、ヨーグルトエキス、加水分解乳タンパク等の乳清由来エキス、酵母エキスなどが挙げられる。
【0082】
老化防止成分としては、例えば、加水分解大豆タンパク、レチノイド(レチノール、レチノイン酸、レチナール等)、ウルソール酸、ペプチド類(カプロオイルテトラペプチド-3、オリゴペプチド-24など)、植物(例えばアーティチョーク、イザヨイバラ、海藻、ビルベリー、シラカバ、セイヨウオオバコ、トウキ、オウゴン、オトギリソウ、コンフリー、ニーム、ノバラ、ヒオウギ、ヒメフウロ、ボダイジュ、ボタンピなど)に由来する成分、パンガミン酸、カイネチン、ウルソール酸、ウコンエキス、スフィンゴシン誘導体、ケイ素、ケイ酸、N-メチル-L-セリン、メバロノラクトン等が挙げられる。
【0083】
血行促進作用成分としては、植物(例えば、オタネニンジン、アシタバ、アルニカ、イチョウ、ウイキョウ、エンメイソウ、オランダカシ、カミツレ、ローマカミツレ、カロット、ゲンチアナ、ゴボウ、コメ、サンザシ、シイタケ、セイヨウサンザシ、セイヨウネズ、センキュウ、センブリ、タイム、チョウジ、チンピ、トウキ、トウニン、トウヒ、ニンジン、ニンニク、ブッチャーブルーム、ブドウ、ボタン、マロニエ、メリッサ、ユズ、ヨクイニン、ローズマリー、ローズヒップ、モモ、アンズ、クルミ、トウモロコシ)に由来する成分;グルコシルヘスペリジンなどが挙げられる。
【0084】
角質軟化成分としては、例えば、サリチル酸、グリコール酸、フルーツ酸、フィチン酸、イオウなどが挙げられる。
【0085】
美白成分としては、例えば、トコフェロールなどが挙げられる。
【0086】
収斂成分としては、例えば、パラフェノールスルホン酸亜鉛、酸化亜鉛、メントール、エタノールなどが挙げられる。
【0087】
紫外線防御成分としては、例えば、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル、2,4,6-トリス〔4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ〕-1,3,5-トリアジン、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ジベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピロン酸エチルヘキシル、エトルヘキシルトリアゾリン、パラアミノ安息香酸およびその誘導体、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル、サリチル酸エチレングリコール、ジヒドロキシベンゾフェノン、酸化チタン、酸化亜鉛などが挙げられる。
【0088】
有効成分は単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0089】
添加剤
本発明の組成物は、必要に応じて、添加剤、例えば、界面活性剤、酸化防止剤、防腐剤、増粘剤、pH調整剤、緩衝剤、等張化剤、増粘剤又は粘稠化剤、油分、安定化剤、刺激軽減剤、着色剤、香料、キレート剤等を含んでいてもよい。
本発明では、このような添加剤を含んでいても、前記(A)~(C)成分の機能を有効に発揮しうる。
なお、添加剤は、(C)成分に該当する成分であってもよく、該当しない成分であってもよい。
【0090】
界面活性剤としては、例えば、非イオン界面活性剤などが挙げられる。具体的な界面活性剤(非イオン界面活性剤)としては、例えば、オレイン酸ポリグリセリル-2、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-10、ラウリン酸ポリグリセリル-10、ミリスチン酸ポリグリセリル-10、ステアリン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-10、ジステアリン酸ポリグリセリル-10、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、トリステアリン酸ポリグリセリル-10、トリオレイン酸ポリグリセリル-10、ペンタステアリン酸ポリグリセリル-10、ペンタヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-10、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-10、デカオレイン酸ポリグリセリル-10、ステアリン酸ポリグリセリル-2、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、ミリスチン酸ポリグリセリル-6、ラウリン酸ポリグリセリル-6、ステアリン酸ポリグリセリル-6、トリステアリン酸ポリグリセリル-6、ペンタステアリン酸ポリグリセリル-6、オレイン酸ポリグリセリル-4、ステアリン酸ポリグリセリル-6等のポリグリセリン脂肪酸エステル;PEG-5水添ヒマシ油、PEG-10水添ヒマシ油、PEG-20水添ヒマシ油、PEG-40水添ヒマシ油、PEG-50水添ヒマシ油、PEG-60水添ヒマシ油、PEG-100水添ヒマシ油等のPEG[ポリエチレングリコール又はポリオキシエチレン(POE)]水添ヒマシ油(POE硬化ヒマシ油);POEヒマシ油3、POEヒマシ油4、POEヒマシ油6、POEヒマシ油7、POEヒマシ油10、POEヒマシ油13.5、POEヒマシ油17、POEヒマシ油20、POEヒマシ油25、POEヒマシ油30、POEヒマシ油35、POEヒマシ油50等のPOEヒマシ油;セスキオレイン酸ソルビタン、ラウリン酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル;モノラウリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノパルミチン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート40)、モノステアリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、トリステアリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート65)、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート80)、トリオレイン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート85)等のポリソルベート(POEソルビタン脂肪酸エステル);POEPOPグリコール(196E.O.)(67P.O.)(又はポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール、以下同様の表現において同じ、ポロキサマー407)、POEPOPグリコール(20E.O.)(20P.O.)、POEPOPグリコール(42E.O.)(67P.O.)(ポロキサマー403)、POEPOPグリコール(54E.O.)(39P.O.)(ポロキサマー235)、POEPOPグリコール(124E.O.)(39P.O.)、POEPOPグリコール(160E.O.)(30P.O.)、POEPOPグリコール(200E.O.)(70P.O.)、POEPOPグリコール(30E.O.)(150P.O.)(ポロキサマー188)等のPOE・POPグリコール;モノステアリン酸ポリエチレングリコール(2E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(4E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(9E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(10E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(23E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(25E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(32E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(40E.O.、ステアリン酸ポリオキシル40)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(45E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(55E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(75E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(140E.O.)等のモノステアリン酸ポリエチレングリコール;POE(9)ラウリルエーテル等のPOEアルキルエーテル類;POE(20)POP(4)セチルエーテル等のPOE-POPアルキルエーテル類;POE(10)ノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類等が挙げられる。なお、上記例示した化合物において、POEはポリオキシエチレン、POPはポリオキシプロピレン、及び括弧内の数字は付加モル数を示す。
【0091】
酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ソルビン酸、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、エリソルビン酸、L-システイン塩酸塩などが挙げられる。
【0092】
防腐剤(保存剤)としては、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、ソルビン酸及びその塩、グルコン酸クロルヘキシジン、アルカンジオール、グリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0093】
増粘剤としては、例えば、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、ポリエチレングリコール、ベントナイト、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマーなどが挙げられる。
【0094】
pH調整剤としては、例えば、無機酸(塩酸、硫酸など)、有機酸(乳酸、乳酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸ナトリウムなど)、無機塩基(水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなど)、有機塩基(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなど)などが挙げられる。
【0095】
緩衝剤としては、例えば、ホウ酸系緩衝剤、リン酸系緩衝剤、炭酸系緩衝剤、クエン酸系緩衝剤、酢酸系緩衝剤等が挙げられる。
【0096】
等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、グリセリン、プロピレングリコールなどが挙げられる。
【0097】
増粘剤又は粘稠化剤としては、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、セルロース系高分子化合物(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなど)、アラビアゴム、カラヤガム、キサンタンガム、寒天、アルギン酸、α-シクロデキストリン、デキストリン、デキストラン、ムコ多糖類(例えば、ヘパリン類似物質、ヘパリン、ヘパリン硫酸、ヘパラン硫酸、ヘパリノイド、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩(ナトリウム塩など)など)、デンプン、キチン及びその誘導体、キトサン及びその誘導体、カラギーナン、ソルビトール、ポリビニル系高分子化合物(ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマーなど)、ポリアクリル酸のアルカリ金属塩(ナトリウム塩、及びカリウム塩など)、ポリアクリル酸のアミン塩(モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩など)、カゼイン、ゼラチン、コラーゲン、ペクチン、エラスチン、セラミド、流動パラフィン、グリセリン、ポリエチレングリコール、マクロゴール、ポリエチレンイミンアルギン酸塩(ナトリウム塩など)、アルギン酸エステル(プロピレングリコールエステルなど)、トラガント末、並びにトリイソプロパノールアミンなどが挙げられる。
【0098】
油分としては、炭化水素油(例えば、流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、スクワレン、α-オレフィンのオリゴマー)、油脂{例えば、植物油[例えば、大豆油、菜種油、コーン油、ゴマ油、亜麻仁油、紅花油、ひまわり油、綿実油、ナッツ油(マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、ピーナッツ油、アーモンド油、クルミ油等)、種子油(ブドウ種子油、カボチャ種子油等)、レモン油、椿油、茶実油、エゴマ油、ボラージ油、オリーブ油、米油、米糠油、小麦胚芽油、ヤシ油、パーム油、パームオレイン、パーム核油等]、動物油(例えば、魚油、肝油、鯨油等)、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)等}、エステル油{例えば、アジピン酸エステル(例えば、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ2-エチルへキシル、アジピン酸ジブチル)、イソオクタン酸エステル[例えば、トリイソオクタン酸グリセリン(トリイソオクタン酸グリセリド)]、イソノナン酸エステル(例えば、イソノナン酸イソノニル)、ミリスチン酸エステル(例えば、ミリスチン酸イソプロピル)、イソステアリン酸エステル(例えば、イソステアリン酸バチル)、セバシン酸エステル(例えば、セバシン酸ジエチル)等}、シリコーン油、脂肪酸(例えば、イソステアリン酸等)、高級アルコールなどが挙げられる。
なお、常温(25℃)における油分の性状は、固体状、液体状、半固形状、ペースト状(例えば、30℃の粘度が5000~100000mPa・s程度のもの)等であってもよい。また、本発明の組成物は、このような油分[例えば、ペースト状の油分(ペースト油)]を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。このような油分を含む場合、組成物における割合は、特に限定されず、15質量%未満、10質量%以下(例えば、10質量%未満)などであってもよい。
【0099】
安定化剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなどが挙げられる。
【0100】
刺激低減剤としては、例えば、甘草エキス、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0101】
着色料としては、例えば、法定色素ハンドブック(日本化粧品工業連合会編(2004)等)に記載された色素などが挙げられる。
【0102】
香料としては、例えば、ラベンダー油、ローズマリー油、クラリセージ油、タイム油、ベルガモット油、ユーカリ油等のハーブ系精油、ペパーミント油、スペアミント油、ハッカ油等のミント系精油、オレンジ油、レモン油、グレープフルーツ油等の柑橘系精油のような各種精油、調合香料等が挙げられる。
【0103】
キレート剤としては、EDTA・2ナトリウム塩、EDTA・カルシウム・2ナトリウム塩などが挙げられる。
【0104】
添加剤は単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0105】
基剤又は担体
本発明の組成物は、通常、基剤又は担体を含んでいてもよい。
【0106】
基剤又は担体として、例えば、水、水溶性溶媒[低級アルコール(例えば、エタノール、イソプロパノール)、多価アルコール(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、、プロパンジオール、ポリエチレングリコール(マクロゴール)、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコール、ジプロピレングリコール等)等]、油性基剤などが挙げられる。なお、水は、生理食塩水などとして使用してもよい。
基剤又は担体は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0107】
特に、本発明の組成物は、水性組成物(例えば、水、生理食塩水、水や生理食塩水と水溶性溶媒との混合溶媒を含む組成物)であってもよい。
【0108】
なお、水と他の基剤又は担体(例えば、水溶性溶媒)とを組み合わせる場合、これら割合は、例えば、水/他の基材又は担体(質量比)=99.9/0.1~10/90(例えば、99.5/0.5~30/70)、好ましくは99/1~40/60(例えば、98/2~50/50)、さらに好ましくは97/3~60/40(例えば、95/5~70/30)程度であってもよい。
【0109】
本発明の組成物が水を含む(特に、水性組成物である)場合、組成物における水の割合は、10質量%以上(例えば、20質量%以上)の範囲から選択でき、例えば、30質量%以上(例えば、40質量%以上)、好ましくは50質量%以上(例えば、60質量%以上)、さらに好ましくは60質量%以上(例えば、70質量%以上、75質量%以上、80質量%以上等)であってもよい。
【0110】
なお、組成物における水の上限値は、組成物の用途等に応じて適宜選択できるが、例えば、99質量%、98質量%、97質量%、96質量%、95質量%、94質量%、93質量%、92質量%、91質量%、90質量%などであってもよい。
【0111】
本発明では、このような水性組成物においても、(A)成分を優れた溶解性又は分散性にて含有させうる。また、本発明では、(C)成分を含む水性組成物においても、(C)成分の優れた経皮吸収性を効率よく実現しうる。
このように、本発明によれば、高品質な水性組成物を効率よく得ることができる。
【0112】
pH
本発明の組成物のpHは、例えば、2~10、好ましくは2.5~9、さらに好ましくは3~8程度であってもよい。
【0113】
性状、用途、調製方法等
本発明の組成物は、上記各成分(例えば、(A)~(B)成分及び基剤又は担体を少なくとも含む組成物、(A)成分及び基剤又は担体を少なくとも含む組成物、(A)~(C)成分及び基剤又は担体を少なくとも含む組成物等)を混合することにより調製できる。
【0114】
本発明の組成物の性状は、特に限定されず、例えば、液体状、流動状、ゲル状、半固形状などの何れの性状であってもよい。また、用時調製により、液体状、流動状、ゲル状、、半固形状等にしてもよい。なお、半固形状は、例えば、軟膏剤のように、力を加えることにより変形させ得る塑性を有する性状をいう。
【0115】
好ましい組成物の性状は、液体状(液剤)である。
【0116】
液体状の組成物(液状組成物)の25℃における粘度は、例えば、500Pa・s以下、好ましくは400Pa・s以下、さらに好ましくは300Pa・s以下であってもよい。
粘度は、例えば、回転粘度計(RB80L型粘度計、東機産業社製)を用いて25℃において測定できる。
【0117】
本発明の組成物は、不透明であって(濁っていて)もよく、透明であってもよい。本発明では、(A)成分を含む水性組成物であっても、効率よく透明な(又は濁りの少ない)組成物が得られうる。
【0118】
なお、本発明の組成物が乳化状態にある場合、O/W型(水中油型)、W/O型(油中水型)のいずれであってもよいが、通常、O/W型であってもよい。
【0119】
本発明の組成物の用途は、特に限定されないが、外用組成物(外用剤)、特に、皮膚用組成物(皮膚外用組成物)として使用してもよい。
【0120】
また、本発明の組成物は、リーブオン用組成物(リーブオン型組成物)として使用してもよい。前記のように、本発明は、水溶性成分(C)を含有する組成物を一態様とするが、このような組成物は、(A)及び/又は(B)成分により、経皮吸収性を改善しうるため、洗浄等により除去することを想定しないリーブオン用途として好適である。
【0121】
このような組成物(外用組成物)は、化粧品(化粧料)、医薬品(外用医薬品)、医薬部外品のいずれであってもよい。
【0122】
組成物の形態としては、特に限定されないが、例えば、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、エアゾール剤等が挙げられる。
【0123】
具体的な組成物の形態としては、医薬用の組成物では、例えば、液剤、乳液、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤等が挙げられ、医薬部外品又は化粧品用の外用組成物では、例えば、基礎化粧料(例えば、化粧水、乳液、ジェル、クリーム、美容液、日焼け止め用化粧料、パック、マスク、ボディローションなど)、メークアップ化粧料(例えば、ファンデーション、化粧下地、リップクリーム、口紅、チークカラーなど)、洗浄用化粧料(例えば、洗顔料、メイク落とし、ボディーシャンプー、シャンプーのような洗浄用化粧料)、クレンジング剤(例えば、クレンジングローション、クレンジングオイル、クレンジングクリーム、クレンジングシート)などの化粧料(特にリーブオン化粧料);入浴剤などが挙げられる。
【0124】
中でも、(C)水溶性成分を含む組成物等においては、リーブオン用組成物(例えば、基礎化粧料(基礎化粧品)、メークアップ化粧料、日焼け止めなどのリーブオン用化粧料、特に、化粧水、美容液などの基礎化粧品)などとして好適に使用してもよい。
【0125】
容器
本発明の組成物は、容器に収容(充填、注入、封入)されていてもよい。
容器は、組成物(製剤)と接触する部分(面)を有する包装体であればよく、例えば、組成物(例えば、液状の組成物)を収容する容器本体部分、容器の抽出口を含む部分(ノズル、中栓)、吸い上げチューブ、キャップなどで構成されていてもよい。
【0126】
容器を構成する材質は、広い範囲から選択でき、例えば、少なくとも組成物との接触部分の一部又は全部が、プラスチック(例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、フッ素樹脂、塩素系樹脂(ポリ塩化ビニルなど)、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂(変性ポリフェニレンエーテルなど)、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリイミド系樹脂、エポキシ樹脂、セルロース系樹脂(セルロースアセテートなど)、ハロゲン原子で置換されていてよい炭化水素系樹脂など)、ガラス、金属(アルミニウムなど)などが挙げられる。
【0127】
容器は、単独又は2種以上の材質で構成されていてもよい。
【0128】
オレフィン系樹脂としては、エチレン系樹脂[例えば、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなどを含む)、エチレン-プロピレン共重合体など]、プロピレン系樹脂[例えば、ポリプロピレン(PP)(アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレンなどを含む)、プロピレン-エチレン共重合体など]、メチルペンテン系樹脂(例えば、ポリメチルペンテンなど)などが挙げられる。
【0129】
スチレン系樹脂としては、例えば、ポリスチレン、アクリロニトリル含有スチレン系樹脂(例えば、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)など)などが挙げられる。
【0130】
アクリル系樹脂としては、例えば、アクリル酸メチルのようなアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸t-ブチルシクロヘキシルのようなメタクリル酸エステルなどを重合成分とする樹脂などが挙げられる。
【0131】
ポリエステル系樹脂としては、例えば、芳香族ポリエステル系樹脂[例えば、アルキレンテレフタレート単位を有する樹脂(アルキレンテレフタレート系樹脂:例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)など)、アルキレンナフタレート単位を有する樹脂(例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレートなど)]などが挙げられる。
【0132】
フッ素樹脂としては、フッ素置換ポリエチレン(ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレンなど)、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレンコポリマー、エチレン・四フッ化エチレンコポリマー、エチレン・クロロトリフルオロエチレンコポリマーなどが挙げられる。
【0133】
ポリアセタール系樹脂としては、オキシメチレン単位のみからなるものの他、一部にオキシエチレン単位を含むものが挙げられる。
【0134】
変性ポリフェニレンエーテルとしては、ポリスチレン変性ポリフェニレンエーテルなどが挙げられる。
【0135】
ポリアリレートとしては、非晶質ポリアリレートなどが挙げられる。
【0136】
ポリイミド系樹脂としては、芳香族ポリイミド、例えばピロメリット酸二無水物と4,4’-ジアミノジフェニルエーテルとを重合させたものが挙げられる。
【0137】
セルロースアセテートとしては、セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどが挙げられる。
【0138】
容器の材質としては、ガラス、プラスチックなどが好ましい。そのため、容器(又は容器の材質)の少なくとも一部を、ガラス、プラスチックなどで構成してもよい。
【0139】
特に、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂などのプラスチック(すなわち、プラスチック製容器)が好ましく、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、アルキレンテレフタレート系樹脂、ポリスチレンがより好ましく、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレンがさらに好ましく、ポリエチレンテレフタレートがさらにより好ましい。
【0140】
本発明の組成物は、比較的多様な容器(又はその材質、ガラス、プラスチックなど、特にPETなどのプラスチック)においても、組成物としての機能を効率よく発揮しうる。
【0141】
なお、容器は、容器材質が前記ポリマー以外のポリマーとのポリマーブレンドでもよい。本発明の組成物を収容する容器の容器材質が前記ポリマーとのブレンドポリマーである場合、前記ポリマーと、前記ポリマー以外のポリマーとの混合比は本発明の効果を奏すれば特に限定されないが、構成材質全体の総量に対し、前記ポリマーの合計重量が30w/w%以上であることが好ましく、50w/w%以上であることがさらに好ましく、65w/w%以上であることがさらにより好ましく、80w/w%以上であることが特に好ましい。
【0142】
容器は、本発明の組成物と接触する部分(接触する面)の少なくとも一部が上記材料で構成されていてもよい。例えば、容器内面に上記材料で構成された層又はフィルムが形成されていてもよく、容器自体が上記材料で成型されていてもよい。
【0143】
また、容器を構成する部分(容器本体部分、容器の抽出口を含む部分(ノズル、中栓)、吸い上げチューブ、キャップなど)が上記材料で構成されていてもよく、容器の全部分が上記材料で構成されていてもよい。
【0144】
使用方法
本発明の組成物は、使用対象の皮膚の状態、年齢、性別などによって異なるが、例えば以下のような方法で使用しうる。
例えば、組成物((C)水溶性成分を含む組成物等)は、1日1回又は複数回(例えば、約1~5回、好ましくは1~3回)、適量(例えば、約0.05~10g)を皮膚に塗布してもよい。また、(C)水溶性成分(VCエチル、トラネキサム酸等)の1日使用量が、好ましくは約0.01~500mg、より好ましくは約0.2~200mgとなるように組成物を塗布してもよい。塗布期間は、例えば、約1~14日間、好ましくは約3~14日間であってもよい。
【0145】
本発明の組成物は、(C)水溶性成分の種類や任意の有効成分の種類等に応じて適宜選択できるが、例えば、肝斑、シミ、ニキビ、ニキビ跡、シワ、肌荒れなどの疾患(又は症状)の予防、治療及び/又は改善のために好適に使用できる。従って、健常人の他、これらの皮膚症状を有する人を好適な使用対象とできる。
【0146】
[2.溶解又は分散性の向上]
本発明の一態様では、組成物において(A)成分の溶解性又は分散性を向上(又は改善)しうる。
【0147】
従って、本発明の一実施形態として、以下の方法が提供される。
(A)脂肪族アルコールとグリセリンとのエーテルの溶解性又は分散性を向上(又は改善又は補助)する方法であって、(A)脂肪族アルコールとグリセリンとのエーテルと、(B)アシルグルタミン酸リシン塩を共存させる方法[又は(A)脂肪族アルコールとグリセリンとのエーテルを含む組成物(例えば、水を含む組成物)に、(B)アシルグルタミン酸リシン塩を含有(共存)させる方法]。
【0148】
また、本発明の一実施形態として、以下の剤が提供される。
(A)脂肪族アルコールとグリセリンとのエーテルの溶解性又は分散性(特に、水を含む溶媒に対する溶解性又は分散性)を向上(又は改善又は補助)するための剤であって、(B)アシルグルタミン酸リシン塩を含有する剤(溶解性向上剤、分散性向上剤、溶解補助剤、分散補助剤)。
【0149】
[3.経皮吸収性の向上]
本発明の一態様では、(C)水溶性成分の経皮吸収性(皮膚浸透性)を向上(又は改善)しうる。
【0150】
従って、本発明の一実施形態として、以下の方法が提供される。
(C)水溶性成分の経皮吸収性を向上(又は改善又は補助)する方法であって、(C)水溶性成分と、(A)脂肪族アルコールとグリセリンとのエーテル及び/又は(B)アシルグルタミン酸リシン塩とを共存させる方法[又は(C)水溶性成分を含む組成物に、(A)脂肪族アルコールとグリセリンとのエーテル及び/又は(B)アシルグルタミン酸リシン塩を含有(共存)させる方法]。
【0151】
この方法では、少なくとも(A)成分を共存(又は含有)させてもよく、特に(A)成分及び(B)成分を共存(又は含有)させるのが好ましい。
【0152】
また、本発明の一実施形態として、以下の剤が提供される。
(C)水溶性成分の経皮吸収性を向上(又は改善又は補助)するための剤であって、(A)脂肪族アルコールとグリセリンとのエーテル及び/又は(B)アシルグルタミン酸リシン塩を含有する剤(経皮吸収向上又は改善剤、経皮吸収剤、経皮吸収促進剤、経皮吸収補助剤、経皮吸収調節剤)。
【0153】
この剤は、少なくとも(A)成分を含有してもよく、特に(A)成分及び(B)成分を含有するのが好ましい。
【0154】
なお、上記各実施形態における、各成分の種類及び含有量等、その他の成分の種類及び含有量等、組成物の製剤形態及び用途等については、[1.組成物]で説明したとおりである。
【実施例0155】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
【0156】
試験例1((A)成分の溶解性)
下記表に示す成分を、70℃で5分間、加熱混合して組成物を調製した。そして、調製した組成物を室温にて透明ガラス瓶に充填し、組成物の状態を目視にて観察した。
【0157】
なお、表において、各成分の単位は(質量%)である(以下同じ)。また、表中、「ペリセア」とは、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウムを構成成分とする、旭化成ケミカルズ(株)製の「ペリセア L-30」(ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム/水=29/71の水溶液)を示し、括弧内は、「ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム」の質量%である(以下同じ)。
【0158】
【表1】
【0159】
上記表の結果から明らかなように、(A)成分である、グリセリンモノ2-エチルへキシルエーテルは、水に対する溶解性又は分散性がなく、試験液は分離したが(試験例1A~1B)、(B)成分である、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウムを共存させることで、水に対して良好な溶解性又は分散性を示し、試験液は澄明となった(試験例1C~1F)。
【0160】
一方、種々の界面活性剤等を用いることで、試験液は分離はしなくなったものの、溶解性又は分散性には乏しく、白濁した(試験例1G~1L)。
【0161】
これらのことから、意外なことに、(B)成分は(A)成分を有効に(しかも特異的に)溶解又は分散できる成分であることがわかった。
【0162】
試験例2((C)水溶性成分の透過性)
下記表に示す組成の組成物を調製した。
【0163】
そして、次のようにして、各組成物について、(C)水溶性成分であるVCエチル(3-O-エチルアスコルビン酸)の透過性を評価した。
【0164】
ヒト3次元培養表皮 LabCyte EPI-MODEL24 (ジャパン・ティッシュ・エンジニアリグ社)のTranswellの下部に付属の専用のアッセイ培地0.5mL/wellを加え、37度(5~10%CO)で18~22時間、前培養した。
その後専用のアッセイ培地を0.5mLPBSに置き換え、37度の恒温槽上で30分間プレインキュベーションした。さらにPBSを同量のフレッシュなPBSに置き換え、細胞の上部に直接薬液を0.3mL加え、薬液を加えた時間をゼロとした。
その後、360分までの所定時間経過後に経時的に下部から0.1mLの薬液をサンプリングし、その後速やかに同量のPBSを加えた。サンプリングした薬液はHPLCを用いて定量し、下式に基づいて透過係数(P)を算出した。
【0165】
なお、投与した培地、PBS、薬液はすべて37℃に加温した後に投与した。
【0166】
P=(ΔQ/Δt)×(1/C)×(1/Area)
【0167】
上記式中、ΔQ/Δtは薬物等加速度を表し、薬物の累積透過量-時間曲線の直線部分の傾きとして求められる。また、Cは投与薬物の初期濃度、Areaは透過面積(0.3215cm)を表す。
【0168】
また、各種成分を含む透過係数(Ps)(試験例2B~2J)と、含まない透過係数(Pc)(コントロール、試験例2A)の比を下式に基づいて算出し、これをEnhancement Ratio(ER)とした。
【0169】
ER = Ps/Pc
【0170】
結果を下記表に示す。
【0171】
【表2】
【0172】
上記表の結果から明らかなように、(C)水溶性成分である、VCエチルの透過性(経皮吸収性)は、(A)成分である、グリセリンモノ2-エチルへキシルエーテル及び(B)成分である、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウムにおいて、特異的に向上することがわかった。
【0173】
特に、(A)成分である、グリセリンモノ2-エチルへキシルエーテルは、他の界面活性剤などとして知られる成分(5質量%)に比べてごく少量使用するだけでも(0.2質量%)、VCエチルの透過性を向上できることがわかった。
【0174】
試験例3((C)水溶性成分の透過性)
下記表に示す組成の組成物を調製し、試験例2と同様にして、VCエチル(3-O-エチルアスコルビン酸)の透過性を評価した。
【0175】
結果を下記表に示す。
【0176】
【表3】
【0177】
上記表の結果から明らかなように、(C)水溶性成分である、VCエチルの透過性(経皮吸収性)は、(A)成分である、グリセリンモノ2-エチルへキシルエーテル及び(B)成分である、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウムにおいて、種々の割合にて向上することがわかった。
【0178】
また、(A)成分である、グリセリンモノ2-エチルへキシルエーテル及び(B)成分である、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウムを組み合わせることで、VCエチルの透過性は、格段(相乗的)に向上した。
【0179】
一方、グリセリンモノ2-エチルへキシルエーテルとシクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコールを組み合わせても、VCエチルの透過性は向上せず、むしろ、若干低下した。
【0180】
試験例4((C)水溶性成分の透過性)
下記表に示す組成の組成物を調製し、試験例2と同様にして、種々の(C)水溶性成分の透過性を評価した。
【0181】
結果を下記表に示す。
【0182】
【表4】
【0183】
上記表の結果から明らかなように、(A)成分である、グリセリンモノ2-エチルへキシルエーテル及び(B)成分である、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウムにおいて、種々の(C)水溶性成分についても、透過性(経皮吸収性)を向上することがわかった。
【0184】
また、(A)成分である、グリセリンモノ2-エチルへキシルエーテル及び(B)成分である、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウムを組み合わせることで、VCエチル同様に、透過性は格段(相乗的)に向上した。
【0185】
試験例5((C)水溶性成分の透過性)
下記表に示す組成の組成物を調製し、試験例2と同様にして、ニコチン酸アミドの透過性を評価した。
【0186】
結果を下記表に示す。
なお、透過係数(Pc)は、試験例5C~5Dについては試験例5Aの透過係数(Pc)を、試験例5E~5Gについては試験例5Bの透過係数(Pc)を、それぞれ用いてERとした。
【0187】
【表5】
【0188】
上記表の結果から明らかなように、ニコチン酸アミドの透過性(経皮吸収性)においても、他の(C)水溶性成分と同様に、(A)成分である、グリセリンモノ2-エチルへキシルエーテル及び(B)成分である、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウムにおいて、特異的に向上することがわかった。
【0189】
また、(A)成分である、グリセリンモノ2-エチルへキシルエーテル及び(B)成分である、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウムを組み合わせることで、透過性が格段(相乗的)に向上する傾向も、他の(C)水溶性成分と同様であった。
【0190】
[製剤例]
以下の表に記載の処方に従い、組成物を調製した。なお、下記の表において、各成分の単位は(質量%)である。
【0191】
【表6】
【0192】
【表7】
【0193】
【表8】
【0194】
【表9】
【産業上の利用可能性】
【0195】
本発明では、外用組成物(例えば、リーブオン化粧料)などとして有用な組成物を提供できる。