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特開2024-96213送迎管理装置、送迎管理システム、送迎管理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096213
(43)【公開日】2024-07-12
(54)【発明の名称】送迎管理装置、送迎管理システム、送迎管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/22 20240101AFI20240705BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20240705BHJP
   G06Q 10/047 20230101ALI20240705BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20240705BHJP
   G08G 1/123 20060101ALI20240705BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20240705BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240705BHJP
   G16Y 10/60 20200101ALI20240705BHJP
   G16Y 20/40 20200101ALI20240705BHJP
   G16Y 40/20 20200101ALI20240705BHJP
【FI】
G06Q50/22
G06Q50/40
G06Q10/047
A61B5/00 G
G08G1/123 A
G01C21/34
G16Y10/40
G16Y10/60
G16Y20/40
G16Y40/20
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024070966
(22)【出願日】2024-04-24
(62)【分割の表示】P 2020059040の分割
【原出願日】2020-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯田 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】寺田 智裕
(57)【要約】
【課題】被送迎者の体調を考慮して、体調急変などに対しても的確に対応することが可能な送迎計画を立案する。
【解決手段】一又は複数の送迎対象者からバイタル情報をネットワークを経由して取得するバイタル取得部と、取得したバイタル情報に基づいて、送迎計画を設定する送迎計画設定部と、バイタル情報、送迎用の車両および運転者の運転特性に基づいて送迎用の車両の運転者を決定する運転者決定部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一又は複数の送迎対象者からバイタル情報をネットワークを経由して取得するバイタル取得部と、
前記取得したバイタル情報に基づいて、送迎計画を設定する送迎計画設定部と、
前記バイタル情報、送迎用の車両および運転者の運転特性に基づいて前記送迎用の車両の前記運転者を決定する運転者決定部と、
を備えた送迎管理装置。
【請求項2】
前記運転者の運転特性は、
急加速、急減速、急ハンドルのうち少なくとも1つについての発生頻度である、
請求項1記載の送迎管理装置。
【請求項3】
前記送迎計画設定部は、体調不良あるいは体調不良が予想される一または複数の前記送迎対象者の送迎車両による送迎時間が、短くなるように前記送迎計画を設定する、
請求項1記載の送迎管理装置。
【請求項4】
前記送迎計画設定部は、体調不良あるいは体調不良が予想される一または複数の前記送迎対象者の送迎車両による送り先までの到着時刻が、同時に送迎される他の送迎対象者の送り先までの到着時刻よりも早くなるように前記送迎計画を設定する、
請求項1乃至請求項3のいずれか一項記載の送迎管理装置。
【請求項5】
前記送迎計画設定部は、体調不良あるいは体調不良が予想される一または複数の前記送迎対象者を送りに行く場所を経由するのが、前記他の送迎対象者を送りに行く場所よりも送迎ルートの前半となるように前記送迎ルートを設定する送迎ルート設定部を備えた、
請求項1乃至請求項4のいずれか一項記載の送迎管理装置。
【請求項6】
前記送迎計画設定部は、体調不良あるいは体調不良が予想される一または複数の前記送迎対象者の送迎車両による迎えの時刻が、同時に送迎される他の送迎対象者の迎えの時刻よりもより遅くなるように前記送迎計画を設定する、
請求項1ないし請求項5のいずれか一項記載の送迎管理装置。
【請求項7】
前記送迎計画設定部は、体調不良あるいは体調不良が予想される一または複数の前記送迎対象者を迎えに行く場所を経由するのが、前記他の送迎対象者を迎えに行く場所よりも送迎ルートの後半となるように前記送迎ルートを設定する送迎ルート設定部を備えた、
請求項1乃至請求項6のいずれか一項記載の送迎管理装置。
【請求項8】
前記送迎ルート設定部は、道路の形状に応じて前記送迎ルートを設定する、
請求項1乃至請求項7のいずれか一項記載の送迎管理装置。
【請求項9】
前記送迎ルート設定部は、前記道路の形状が直線的な道路を、急カーブの道路、曲がりくねった道路よりも優先して前記送迎ルートを設定する、
請求項8記載の送迎管理装置。
【請求項10】
前記送迎ルート設定部は、前記道路の形状が平坦な道路を、坂道よりも優先して前記送迎ルートを設定する、
請求項8または請求項9記載の送迎管理装置。
【請求項11】
前記送迎ルート設定部は、体調不良あるいは体調不良が予想される前記送迎対象者の緊急搬送先を設定するとともに、前記緊急搬送先に搬送可能に前記送迎ルートを設定する、
請求項8乃至請求項10のいずれか一項記載の送迎管理装置。
【請求項12】
前記取得したバイタル情報に基づいて、体調不良あるいは体調不良が予想される一または複数の前記送迎対象者について、前記他の送迎対象者よりも優先して送迎車両の座席位置を設定する座席位置設定部を備えた、
請求項1乃至請求項11のいずれか一項記載の送迎管理装置。
【請求項13】
前記バイタル取得部は、前記送迎対象者の送迎中のバイタル情報を前記ネットワークを介して取得し、
前記送迎中のバイタル情報に基づいて対応する送迎対象者の体調が所定の状態よりも悪化した場合に前記緊急搬送先への移動を促す緊急搬送指示部を備えた、
請求項1乃至請求項12のいずれか一項記載の送迎管理装置。
【請求項14】
前記バイタル情報に基づいて、体調急変等の送迎阻害要因の発生が予測される場合に、
当該送迎阻害要因に対応する前記送迎対象者を送迎対象から除外するように通知する除外情報出力部を備えた、
請求項1乃至請求項13のいずれか一項記載の送迎管理装置。
【請求項15】
前記バイタル情報は、体温、心拍数、血圧、血糖値、血中酸素濃度のうち少なくともいずれか一つを含む、
請求項1乃至請求項14のいずれか一項記載の送迎管理装置。
【請求項16】
対応する送迎対象者のバイタル情報を測定するバイタル機器と、
前記バイタル機器からからバイタル情報をネットワークを介して取得するバイタル取得部と、前記取得したバイタル情報に基づいて、送迎計画を設定する送迎計画設定部と、前記バイタル情報、送迎用の車両および運転者の運転特性に基づいて前記送迎用の車両の前記運転者を決定する運転者決定部と、を備えた送迎管理装置と、
を備えた送迎管理システム。
【請求項17】
一又は複数の送迎対象者の送迎管理を行う送迎管理装置を用いた送迎管理方法であって、
前記送迎管理装置のバイタル取得部が、一又は複数の送迎対象者からバイタル情報をネットワークを介して取得する過程と、
前記送迎管理装置の送迎計画設定部が、前記取得したバイタル情報に基づいて、送迎計画を設定する過程と、
前記送迎管理装置の運転者決定部が、前記バイタル情報、送迎用の車両および運転者の運転特性に基づいて前記送迎用の車両の前記運転者を決定する過程と、
を備えた送迎管理方法。
【請求項18】
一又は複数の送迎対象者の送迎管理を行う送迎管理装置をコンピュータにより制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
一又は複数の送迎対象者からバイタル情報をネットワークを介して取得する手段と、
前記取得したバイタル情報に基づいて、送迎計画を設定する手段と、
前記バイタル情報、送迎用の車両および運転者の運転特性に基づいて前記送迎用の車両の前記運転者を決定する手段と、
して機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、送迎管理装置、送迎管理システム、送迎管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デイケア等の通所による介護サービスの一環として、介護サービス事業者が送迎車を用いて被介護者の送迎を行うようにしている。
この場合において、介護サービスの提供は、基本的に被介護者の要望に添って行われ、日々利用者が変更されるのが一般的である。
【0003】
このため送迎毎に送迎計画を立てる必要がある。
送迎計画の先行技術としては、例えば、特許文献1記載の技術が挙げられる。
この特許文献1記載の技術は、各送迎車の巡回回数が1回であることを前提として、各送迎者の咳差許容状態を制約上限として、配車計画を作成していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-048410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この場合において、作成した配車計画では巡回できない拠点が残る場合に、各車両の巡回回数を必要に応じて増加させるとともに、各送迎者のトータルの巡回所要時間を制約条件に加えることで配車計画を再作成する構成を採っていた。
【0006】
このように配車計画は、利用者である被送迎者の健康状態などについては、考慮していなかったため、送迎中に被送迎者の体調が急変したり、その対応が的確に行えなかったりする畏れがあった。
【0007】
そこで、本開示は、被送迎者の体調を考慮して、体調急変などに対しても的確に対応することが可能な送迎計画を立案することができる送迎管理装置、送迎管理システム、送迎管理方法及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る送迎管理装置は、一又は複数の送迎対象者からバイタル情報をネットワークを経由して取得するバイタル取得部と、取得したバイタル情報に基づいて、送迎計画を設定する送迎計画設定部と、バイタル情報、送迎用の車両および運転者の運転特性に基づいて送迎用の車両の運転者を決定する運転者決定部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る送迎管理システムによれば、被送迎者の体調を考慮して、送迎者の体調急変などに対しても的確に対応することが可能な送迎計画を立案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態の送迎管理システムの概要構成ブロック図である。
図2図2は、クラウドサーバの機能ブロック図である。
図3図3は、被送迎者の送迎前日の送迎管理システムの処理シーケンス図である。
図4図4は、送迎計画設定時のクラウドサーバの処理フローチャートである。
図5図5は、被送迎者の送迎当日の送迎管理システムの処理シーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る送迎管理システムの実施形態について説明する。
図1は、実施形態の送迎管理システムの概要構成ブロック図である。
送迎管理システム10は、クラウドサーバ11と、バイタル機器12と、バイタル機器13と、送迎車両14と、病院システム15と、施設システム16と、地図・交通情報サーバ17と、を備えている。
上記構成において、クラウドサーバ11は、送迎管理装置として機能している。
【0012】
図1において、バイタル機器12、バイタル機器13、送迎車両14、病院システム15及び施設システム16の台数は一例であり、クラウドサーバ11の処理能力の範囲で適宜台数を変更することが可能である。
【0013】
クラウドサーバ11は、ネットワークを介して互いに協働して処理が可能な複数のサーバ装置により実現され、送迎管理システム10全体を制御する。
【0014】
バイタル機器12は、ユーザが携帯可能なモバイル型のバイタル機器である。バイタル機器12は、バイタル情報として、血圧、心拍数、体温、血糖値、血中酸素濃度等を非侵襲式で検出する。そして、バイタル機器12は、検出したバイタル情報を通信ネットワークを介して直接あるいは間接(例えば、スマートフォンのアプリを介して)にクラウドサーバ11に通知することが可能となっている。
【0015】
上記構成において、バイタル機器12は、例えば、各種センサを備えた腕時計型の情報処理装置として構成されている。
【0016】
バイタル機器13は、商用電源等で駆動される据置型のバイタル機器である。バイタル機器13は、バイタル機器12と同様にバイタル情報として、血圧、心拍数、体温、血糖値、血中酸素濃度等を非侵襲式あるいは侵襲式で検出する。バイタル機器12と比較して、高精度あるいは大容量の情報の取り扱いが可能となっている。
【0017】
そして、バイタル機器13は、バイタル機器12と同様に、検出したバイタル情報を通信ネットワークを介して直接あるいは間接(例えば、スマートフォンのアプリを介して)にクラウドサーバ11に通知することが可能となっている。
【0018】
送迎車両14は、車載システム14Aを搭載している。この車載システム14Aは、被送迎者(送迎対象者)である乗車中のユーザが携帯しているバイタル機器12との間でバイタル情報を取得してクラウドサーバ11に通知したり、クラウドサーバ11から送信される送迎ルートを車載システム14Aに含まれる図示しないカーナビゲーションシステムに設定したりする。
【0019】
病院システム15は、デイケア等のサービスを提供する事業者と連携して被送迎者の体調急変等の緊急時の対応を行う病院に設けられるシステムである。この病院システム15においては、送迎車両により送迎中の被送迎者が体調くずした場合等に、車載システム14Aから送信される被送迎者を特定する情報、当該時点で車載システム14Aが取得しているバイタル情報等を受信し、緊急受け入れ体制を整えるための情報として活用する。
【0020】
施設システム16は、デイケア等のサービスを提供する事業者の施設に設けられるシステムである。
施設システム16は、デイケア等のサービスの提供を受けるユーザを特定するための情報、当該ユーザに対する提供サービス内容、提供日時等の情報を管理している。
【0021】
地図・交通情報サーバ17は、送迎経路に対応する地図情報、一方通行、渋滞、工事区間等の交通情報を配信可能に管理している。
【0022】
図2は、クラウドサーバの機能ブロック図である。
クラウドサーバ11は、一又は複数の送迎対象者からバイタル機器12、13を介してバイタル情報を取得するバイタル取得部11Aと、取得したバイタル情報に基づいて、送迎計画を設定する送迎計画設定部11Bと、を備えている。
【0023】
この場合において、送迎計画設定部11Bは、体調不良あるいは体調不良が予想される一または複数の被送迎者の送迎車両による送迎時間が、短くなるように送迎計画を設定するようにする。これによれば、実効的に送迎車両により被送迎者の移動時間が短くなるので、体調不良あるいは体調不良が予想される一または複数の被送迎者が送迎中に体調不良となり、送迎車両での対応を余儀なくされる事態を低減できる。
【0024】
また、送迎計画設定部11Bは、体調不良あるいは体調不良が予想される一または複数の被送迎者の送迎車両14による送り先までの到着時刻が、同時に送迎される他の被送迎者の送り先までの到着時刻よりも早くなるように送迎計画を設定するようにする。具体的には、送り先としては、デイケア等のサービスの提供を行う施設から被送迎者が戻るべき場所(例えば、自宅)であり、体調不良あるいは体調不良が予想される一または複数の被送迎者を先に送り届けることとなる。
【0025】
また、送迎計画設定部11Bは、体調不良あるいは体調不良が予想される一または複数の被送迎者を送りに行く場所を経由するのが、他の送迎対象者を送りに行く場所よりも送迎ルートの前半となるように前記送迎ルートを設定する送迎ルート設定部11Cを備えている。
【0026】
これによれば、体調不良あるいは体調不良が予想される一または複数の被送迎者を先に送り届けることが可能となるので、被送迎者が送り中に体調不良となり、送迎車両14での対応を余儀なくされる事態を低減できる。
【0027】
また、送迎計画設定部11Bは、取得したバイタル情報に基づいて、体調不良あるいは体調不良が予想される一または複数の被送迎者の送迎車両14による迎えの時刻が、同時に送迎される他の被送迎者の迎えの時刻よりもより遅くなるように送迎計画を設定するようにする。
これによれば、体調不良あるいは体調不良が予想される一または複数の被送迎者を後から迎えに行くことが可能となるので、被送迎者が送迎車両14内で体調不良となり、送迎車両14での対応を余儀なくされる事態を低減できる。
【0028】
また、バイタル取得部11Aは、被送迎者の送迎中のバイタル情報を取得し、送迎中のバイタル情報に基づいて対応する被送迎者の体調が所定の状態よりも悪化した場合に後述する所定の緊急搬送先への移動を促す緊急搬送指示部11A1を備えている。
【0029】
また、送迎計画設定部11Bは、体調不良あるいは体調不良が予想される一または複数の被送迎者を迎えに行く場所を経由するのが、他の被送迎者を迎えに行く場所よりも送迎ルートの後半となるように送迎ルートを設定する送迎ルート設定部11Cを備えている。
この結果、体調不良あるいは体調不良が予想される一または複数の被送迎者の迎え中に体調不良となり、送迎車両での対応を余儀なくされる事態を低減できる。
【0030】
これらの場合において、送迎ルート設定部11Cは、道路の形状に応じて送迎ルートを設定するようにしてもよい。
すなわち、送迎ルート設定部11Cは、より体調不良の発生を抑制するために、急激な左右方向の加速度(いわゆる横G)がかかりにくい、道路の形状がより直線的な道路を、急カーブの道路、曲がりくねった道路より優先して送迎ルートを設定するようにしている。
【0031】
同様に、送迎ルート設定部11Cは、より体調不良の発生を抑制するために、急激な上下方向の加速度(いわゆる縦G)がかかりにくい、道路の形状が平坦な道路を、坂道よりも優先して前記送迎ルートを設定するようにしている。
【0032】
さらに送迎中に体調不良となり、緊急搬送が望まれる状況が発生した場合を想定して、送迎ルート設定部11Cは、体調不良あるいは体調不良が予想される被送迎者の緊急搬送先を設定する。そして、送迎ルートの設定時には、容易に緊急搬送先に搬送可能となるように送迎ルートを設定する。具体的には、対象となりえる被送迎者を乗せた後に、送迎ルートから大きく逸れずに到達することが可能なように送迎ルートを設定する。
【0033】
またクラウドサーバ11は、取得したバイタル情報に基づいて、体調不良あるいは体調不良が予想される一または複数の送迎対象者について、他の送迎対象者よりも優先して送迎車両の座席位置を設定する座席位置設定部11Dを備えている。これにより、乗車に要する時間を短縮し、ひいては、送迎時間をより短縮するとともに、緊急搬送時に備えて降車を容易にするためである。
【0034】
また、クラウドサーバ11は、バイタル情報及び送迎用の車両に基づいて当該送迎用の車両の運転者を決定する運転者決定部11Eを備えている。これにより体調不良あるいは体調不良が予想される一または複数の送迎対象者が存在する場合に、体調悪化を抑制可能とするために、急加速、急減速、急ハンドル等をしにくい運転者を選定するためである。
【0035】
また、クラウドサーバ11は、バイタル情報に基づいて、体調急変等の送迎阻害要因の発生が予測される場合に、当該送迎阻害要因に対応する前記送迎対象者を送迎対象から除外するように通知する除外情報出力部11Fを備えている。
これにより、体調不良あるいは体調不良が予想される送迎対象者の送迎を中止して、送迎による体調悪化を抑制するためである。
【0036】
図3は、被送迎者の送迎前日の送迎管理システムの処理シーケンス図である。
送迎前日となると、施設システム16は、被送迎者毎に介護状態等を格納した介護データベース(DB)24を参照して被送迎者に関する介護情報をクラウドサーバ11に送信する(ステップS11)。
【0037】
これと並行して、ユーザのバイタル機器12、13からバイタル情報がクラウドサーバ11に送信される(ステップS12)。
これらの結果、クラウドサーバ11は、受信したバイタル情報をバイタルデータベース(DB)22に格納するとともに、当該バイタル情報及び体調予測に関する情報を格納した体調予測データベース(DB)23に基づいて被送迎者であるユーザ毎に体調予測を行う(ステップS13)。
この場合において、体調予測データベース23には、被送迎者毎に体調不良の発生が予測される心拍数、血中酸素濃度、体温等の情報が格納されている。
【0038】
ここで体調予測とは、被送迎者の送迎車両14による送迎中に当該被送迎者の体調が悪化するか否かを予測するものである。
【0039】
具体的には、各被送迎者の既往歴、あるいは、同様の症状を有する他の被送迎者に関する体調悪化の際の状況等に基づいて、心筋梗塞、心不全、血圧上昇に伴うめまい、血圧低下に伴うふらつき、発熱、しびれ、吐き気等の異常状態(体調悪化)に至る可能性を予測する。
【0040】
そして、ステップS13の体調予測の結果、それらの可能性が所定の閾値より高いと予測される場合には、病院システム15に対して、緊急搬送の可能性が高いとして、送迎時間帯における受け入れ体制の準備を依頼するための異常予測事前通知を行う(ステップS14)。
【0041】
続いてクラウドサーバ11は、地図・交通情報サーバ17から送迎ルートの設定に必要な地図データ及び交通情報データを取得する(ステップS15)。
【0042】
続いて、クラウドサーバ11は、取得したバイタル情報に基づいて送迎計画を設定する(ステップS16)。
ここで送迎計画の設定について詳細に説明する。
図4は、送迎計画設定時のクラウドサーバの処理フローチャートである。
クラウドサーバ11は、図2のステップS11で取得した介護情報、ステップS12で取得した送迎日の前日のバイタル情報(処理時点における最新のバイタル情報に相当)及びステップS13で予測した各被送迎者の体調に基づいて送迎計画を設定することとなる。
【0043】
具体的には、クラウドサーバ11は、介護情報及び車両・運転者データベース(DB)24に基づいて、送迎対象の被送迎者の人数及び利用可能な車両の情報(スケジュール、乗車定員、ストレッチャー、車いすの搭載可能台数、リフトの有無等)を把握し、送迎車両を決定する(ステップS21)。
この場合において車両・運転者データベース24には、各送迎車両の乗員数、設備、スケジュール、各運転者の運転特性(急加速、急減速、急ハンドル等の多少等)、スケジュールなどが格納されている。
【0044】
次にクラウドサーバ11は、送迎車両が決定すると、取得したバイタル情報に基づいて、体調不良または体調不良が予想される被送迎人の送迎時間がより短くなるように送迎順序及び着席位置(あるいは車いす、ストレッチャー等の搭載位置)を設定する(ステップS22)。
【0045】
より詳細には、体調不良又は体調不良が予想される被送迎人については、可能な限り、送迎順番を後半に設定するようにして、実効的な送迎時間(例えば、自宅から施設までの移動時間)が短くなるように設定する。
これは、送迎車両においては、体調悪化等に対する緊急対応が困難であるので、送迎車両における緊急対応の可能性を低減するためである。
【0046】
さらに送迎車両における緊急対応では対応しきれない状態(例えば、病院への緊急搬送が必要となる場合)において、効率よく緊急搬送が行えるように、緊急搬送先を設定し(ステップS23)、同様の移動距離であれば、より緊急搬送先の病院の近くを経由するように送迎ルートを設定する。
【0047】
そして、さらにクラウドサーバ11は、地図・交通情報サーバ17に格納されている地図データベース(DB)17A、交通データベース(DB)17B等を参照し、体調不良等が予測されない被送迎人については、体調不良又は体調不良が予想される被送迎人の送迎に先立って、お迎えができるように送迎ルートを設定する。
そして全被送迎人の送迎に必要な最短経路を設定する(ステップS24)。
【0048】
ところで、デイケアサービス等の提供を受けている被送迎人は、体力の低下や、運動能力の低下が大きい場合があるため、急激な加速度の変化等には身体がついて行けない場合が多い。
【0049】
そこで、最短経路に急カーブ、曲がりくねった道路、急な坂道等が含まれる場合には、気持ちが悪くなったり、体調の悪化を招いたりする確率が高くなると想定される。
【0050】
そこで、クラウドサーバは、多少送迎時間が長くなっても(例えば、最短経路に対して送迎時間10%増)、平坦な道路、直線道路を経由する送迎ルートとなるように送迎ルートを決定する(ステップS25)。これにより、よりいっそう緊急対応の必要性を低減することが可能となる。
【0051】
さらに送迎車両を運転する運転者にはそれぞれ運転の癖があるため、クラウドサーバ11は、人員配置が可能である場合には、急加速、急減速、急ハンドル等の比較的、加速度変化の大きい運転を行うと推定される運転者よりは、比較的、加速度変化の小さい運転を行うと推定される運転者をより優先的に選択するように運転者を決定する(ステップS26)。
これによりさらに被送迎者の体調悪化を招く可能性を低減することができる。
【0052】
また、クラウドサーバ11は、バイタル情報に基づいて、送迎を行うべきではないと判断される被送迎者が含まれている場合には、当該被送迎者を送迎状態対象者として決定し(ステップS27)、管理者等に通知するようにしてもよい。
この結果、実際の送迎時における被送迎者の体調悪化をよりいっそう抑制できる。
そして、クラウドサーバ11は、決定した送迎ルートを送迎車両14の車載システム14Aに配信して、カーナビゲーションシステムにルート設定を行わせるとともに、設定した送迎ルートを施設システム16に配信する(ステップS17)。
【0053】
続いて、クラウドサーバ11は、決定した送迎ルート及び各被送迎者の乗車に必要とされる時間(各被送迎者の介護状態に基づいてあらかじめ所定時間を設定)に基づいて、各被送迎者宅への到着時刻(自宅におけるお迎え時刻)及び施設への到着時刻(送迎完了時刻)を予測する(ステップS18)。
次にクラウドサーバ11は、予測した被送迎者宅への到着時刻及び施設への到着時刻を送迎車両14の車載システム14A及び施設システム16に配信する(ステップS19)。
【0054】
以上の説明のように、送迎日の前日には、各被送迎者のバイタル状態に基づいて、より好適な、すなわち、体調不良あるいは体調不良となることが予測される被送迎者の送迎時間をより短くして体調悪化を招きにくい送迎ルートが設定されることとなる。
【0055】
次に被送迎者の送迎当日の送迎管理システム10の処理について説明する。
図5は、被送迎者の送迎当日の送迎管理システムの処理シーケンス図である。
送迎当日となると、施設システム16は、予約変更等を反映した実際の被送迎者に関する介護情報をクラウドサーバ11に送信する(ステップS31)。
【0056】
さらに当日の被送迎者のバイタル状態を反映する場合には、介護情報のクラウドサーバ11への送信と並行して、ユーザのバイタル機器12、13からバイタル情報がクラウドサーバ11に送信される(ステップS32)。
【0057】
また、車載システム14Aは、最新の車両情報をクラウドサーバ11に通知する(ステップS33)。
これらの結果、クラウドサーバ11は、受信した最新バイタル情報及び最新車両情報に基づいて、地図・交通情報サーバ17から送迎ルートの設定に必要な地図データ及び交通情報データを取得する(ステップS34)。
【0058】
続いて、クラウドサーバ11は、図3で示した手順と同様に、最新送迎計画を設定する(ステップS35)。
すなわち、クラウドサーバ11は、ステップS31で取得した介護情報、ステップS32で取得した送迎日のバイタル情報(処理時点における最新のバイタル情報に相当)に基づいて送迎計画を設定することとなる。
【0059】
そして、クラウドサーバ11は、決定した最新の送迎ルートを送迎車両14の車載システム14Aに配信して、カーナビゲーションシステムにルート設定を行わせるとともに、設定した送迎ルートを施設システム16に配信する(ステップS36)。
【0060】
続いて、クラウドサーバ11は、決定した送迎ルート及び各被送迎者の乗車に必要とされる時間(各被送迎者の介護状態に基づいてあらかじめ所定時間を設定)に基づいて、各被送迎者宅への到着時刻(自宅におけるお迎え時刻)及び施設への到着時刻(送迎完了時刻)を予測する(ステップS37)。
【0061】
次にクラウドサーバ11は、予測した被送迎者宅への到着時刻及び施設への到着時刻を送迎車両14の車載システム14A及び施設システム16に配信する(ステップS38)。
【0062】
そして配信された送迎ルートに基づいて実際に被送迎者の送迎が開始され、被送迎者のバイタル機器12により送迎中のバイタル情報が車載システム14Aを介して、クラウドサーバ11に通知される(ステップS41)。
この結果、クラウドサーバ11は、通知されたバイタル情報が正常である場合には、そのまま送迎を継続し、全ての被送迎者を乗車させて、施設まで送迎を行う。
【0063】
この結果、施設に到着した場合には、車載システム14Aは、施設に到着して送迎が完了した旨をクラウドサーバ11に通知する(ステップS39)。
これによりクラウドサーバ11は、施設システム16に対し、送迎完了通知を行って(ステップS40)、処理を終了する。
【0064】
一方、ステップS41の通知に基づいて、バイタル情報が異常であると検出した場合(例えば、心拍数異常、血圧値異常、血中酸素濃度低下異常等)には、車載システム14A及び病院システム15に対して緊急通知を行う(ステップS42)。
【0065】
この結果、車載システム14Aのカーナビゲーションシステムは、送迎ルートを変更して通知先の病院システム15に対応する病院に向かうように運転者に通知し、目的地を、当該病院とする。
【0066】
そして、緊急搬送終了後、再び元の経路に戻って、施設に到着した場合には、車載システム14Aは、施設に到着して送迎が完了した旨をクラウドサーバ11に通知する(ステップS39)。
これによりクラウドサーバは、施設システム16に対し、送迎完了通知を行って(ステップS40)、処理を終了する。
【0067】
以上の説明のように、本実施形態によれば、送迎日の前日にあらかじめより好適な送迎ルートを設定可能であるとともに、送迎日の当日には、より最新の各被送迎者のバイタル状態に基づいて、すなわち、体調不良あるいは体調不良となることが予測される被送迎者の送迎時間をより短くして体調悪化を招きにくい送迎ルートが設定される。
さらに送迎により体調悪化が発生した場合でも、緊急搬送先に直ちに搬送可能な状態で送迎を行っているので、万が一の場合でも、迅速な対応が可能となる。
【0068】
本実施形態の送迎管理装置で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでDVD(Digital Versatile Disk)等の光記録媒体、USBメモリ、SSD(Solid State Disk)等の半導体メモリ装置等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0069】
また、本実施形態の送迎管理装置で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の送迎管理装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0070】
また、本実施形態の送迎管理装置のプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0072】
10 送迎管理システム
11 クラウドサーバ
11A バイタル取得部
11A1 緊急搬送指示部
11B 送迎計画設定部
11C 送迎ルート設定部
11D 座席位置設定部
11E 運転者決定部
11F 除外情報出力部
12、13 バイタル機器
14 送迎車両
14A 車載システム
15 病院システム
16 施設システム
17 地図・交通情報サーバ
23 体調予測データベース
24 車両・運転者データベース
図1
図2
図3
図4
図5