(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096243
(43)【公開日】2024-07-12
(54)【発明の名称】自動倉庫システム内で動作するコンテナ荷役車両の移動の自律的制御のための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20240705BHJP
G05D 1/225 20240101ALI20240705BHJP
G05D 1/43 20240101ALI20240705BHJP
G05D 1/46 20240101ALI20240705BHJP
B61B 13/00 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
B65G1/04 555Z
G05D1/225
G05D1/43
G05D1/46
B61B13/00 V
B61B13/00 K
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024072386
(22)【出願日】2024-04-26
(62)【分割の表示】P 2022501334の分割
【原出願日】2020-05-29
(31)【優先権主張番号】20190884
(32)【優先日】2019-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(71)【出願人】
【識別番号】315015988
【氏名又は名称】オートストアー テクノロジー アーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】イングヴァル ファーゲルラン
(57)【要約】
【課題】自動倉庫システム内で動作するコンテナ荷役車両の移動の自律的制御のための方法及びシステムを提供すること。
【解決手段】コンテナ荷役車両(150)の移動を制御するための方法(200)、コンピュータプログラム製品、システムであって、コンテナ荷役車両(150)は、保管カラム(105)を伴うグリッド構造、保管コンテナ(106)を保管カラム(105)に及び保管カラム(105)から移送するために適合される車両(150)の移動を誘導するための、保管カラム(105)の上方の対応するレールシステム(108)を備える倉庫システム(10)内で動作し、各車両(150)は、他の車両(150)の移動に対するレールシステム(108)に沿った車両(150)の移動を制御するための駆動手段(420)及びセンサ(430)に接続される車両コントローラ(410)を備える、方法(200)、コンピュータプログラム製品、システム。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
倉庫システム(10)内で動作するコンテナ荷役車両(150)の移動を自律的に制御するための方法であって、前記倉庫システムは、保管カラム(105)を伴うグリッド構造と、前記コンテナ荷役車両(150)の移動を誘導するための、前記保管カラム(105)の上方の対応するレールシステム(108)とを備え、各コンテナ荷役車両(150)は、車両コントローラ(410)を備え、前記方法は、各車両(150)の前記車両コントローラ(410)内で、
a)マップを使用するステップであって、前記マップは、前記倉庫システム上で動作する全ての前記コンテナ荷役車両に関する交通規則およびレールレイアウトを定義し、前記レールレイアウトは、前記倉庫システム(10)の保管カラム(105)の水平範囲の周囲によって画定されるグリッドセル(122)に対応する2次元座標に従い、前記交通規則は、コンテナ荷役車両(150)が前記レールシステム(108)上で移動することができる場所および時間を定義する、ステップと、
b)前記車両コントローラ(410)を、全ての車両(150)に関して共通なクロックに同期させるステップと、
c)マスタコントローラ(400)から、前記マップに対して前記レールシステム(108)上で規定された目的地まで移動するように前記車両(150)に命令する命令を受信するステップと、
d)前記車両コントローラ(410)に、前記マップ、前記交通規則、他の車両(150)までの距離、および前記他の車両(150)の移動に基づいて、前記車両(150)の現在の位置から前記規定された目的地まで前記レールシステム(108)上を追従するための経路を判定させるステップと、
e)前記判定された経路に従って、前記レールシステム(108)に沿った前記車両(150)の移動を、その現在の位置から前記規定された目的地まで制御するステップと、
f)前記車両(150)が前記規定された目的地に到達するまで、ステップd)およびe)を繰り返すステップと
を実施することを含む、方法。
【請求項2】
前記交通規則が適用可能であるときに関して、グリッドセル毎にタイムスロットを定義することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コンテナ荷役車両は、保管コンテナを前記保管カラムにおよび前記保管カラムから移送するために適合される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記車両コントローラは、他のコンテナ荷役車両の移動に対する前記レールシステムに沿った前記コンテナ荷役車両の移動を制御するための駆動手段(420)およびセンサ(430)に接続される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記マップは、前記倉庫システム上で移動する全ての車両に関して同一である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記交通規則は、規定される方向における一方向のみの駆動のためにグリッドセル(122)が使用されるべきであること、グリッドセル(122)が使用されてはいけないこと、グリッドセル(122)が通過のみすることができること、設定されたタイムスロット内で規定される方向においてのみグリッドセル(122)が使用されることができること、規定される速度においてのみグリッドセル(122)が通過されることができることのうちの1つまたはそれを上回るものを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
通過されるレール交差の数および前記レール交差が通過される方向を検出することによって、前記車両(150)の位置を判定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記車両コントローラ(410)に、前記交通規則、他の車両(150)までの距離、および前記他の車両(150)の移動に従って、前記車両(150)の速度および移動を調節および/または変更させることをさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記車両コントローラ(410)に、前記車両(150)の現在の位置および他の車両(150)までの距離および前記他の車両(150)の移動に従って、車両(150)の前記経路を調節および/または変更させることをさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
命令を備えるコンピュータプログラム製品であって、前記命令は、自律型コンテナ荷役車両(150)内に備えられる車両コントローラ(410)のプロセッサ内で実行されると、倉庫システム(10)内の前記コンテナ荷役車両(150)の移動を制御するための、請求項1~9に記載の方法を実施する、コンピュータプログラム製品。
【請求項11】
倉庫システム(10)内で動作するコンテナ荷役車両(150)の移動を自律的に制御するためのシステムであって、前記倉庫システムは、保管カラム(105)を伴うグリッド構造と、前記コンテナ荷役車両(150)の移動を誘導するための、前記保管カラム(105)の上方の対応するレールシステム(108)とを備え、各コンテナ荷役車両(150)は、車両コントローラ(410)を備え、前記システムは、各コンテナ荷役車両(150)内の車両コントローラ(410)と通信するために適合されるマスタコントローラ(400)を備え、
前記マスタコントローラ(400)は、
前記倉庫システム(10)内で動作する全ての車両(150)の前記車両コントローラ(410)にマップを伝送することであって、前記マップは、前記倉庫システム内で動作する全ての前記コンテナ荷役車両に関する交通規則およびレールレイアウトを定義し、前記レールレイアウトは、前記倉庫システム(10)の保管カラム(105)の水平範囲の周囲によって画定されるグリッドセル(122)に対応する2次元座標に従い、前記交通規則は、車両(150)が前記レールシステム(108)上で移動することができる場所および時間を定義する、ことと、
全ての前記車両コントローラ(410)が全ての車両(150)に関して共通なクロックに同期されるように、同期化信号を全ての前記車両コントローラ(410)に伝送することと
のために適合され、
各車両コントローラ(410)は、
マスタコントローラ(400)から、前記マップに対して前記レールシステム(108)上で規定された目的地まで移動するように前記車両(150)に命令する命令を受信することと、
前記マップ、前記交通規則、他の車両(150)までの距離、および前記他の車両(150)の移動に基づいて、前記車両(150)の現在の位置から前記規定された目的地まで前記レールシステム(108)上を追従するための経路を判定することと、
前記判定された経路に従って、前記レールシステム(108)に沿った前記車両(150)の移動を、その現在の位置から前記規定された目的地まで制御することと
のために適合される、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリッド構造と車両の移動を誘導するための対応するレールシステムとを備える自動倉庫システム内で保管コンテナを荷役する車両の移動を制御するための方法、システム、およびコンピュータプログラム製品に関する。より具体的には、本発明は、倉庫システム内で保管コンテナを荷役する車両の移動の自律的動作を提供する方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
倉庫システムは、周知である。これらを動作させる車両は、各車両内のコントローラと通信するマスタコントローラとも呼ばれる中央コントローラによって制御される。
【0003】
図1は、骨格構造100を有する典型的な先行技術自動倉庫システム10を図示し、ロボットとも呼ばれるコンテナ荷役車両150は、骨格構造100の上のレールシステム108で走行しているとき、自動倉庫システム10を動作させている。
【0004】
骨格構造100は、複数の直立部材102と、随意に、直立部材102を支持する複数の水平部材103とを備える。部材102、103は、典型的には、金属(例えば、押出アルミニウムプロファイル)から成ってもよい。
【0005】
骨格構造100は、垂直の行に配列される保管カラム105を備える保管グリッド104を画定し、そこでは、容器としても公知である保管コンテナ106が、相互の上にスタックされ、スタック107を形成する。各保管コンテナ106は、典型的には、複数の製品アイテムを保持してもよい。
【0006】
自動倉庫システム10は、コンテナ荷役車両150を誘導するためのレールシステム108を備える。レールシステム108は、保管グリッド104の上部を横断してグリッドパターンに配列される。コンテナ荷役車両150は、レールシステム108上を走行しており、保管コンテナ106を保管カラム105の中におよび保管カラム105から降下および上昇させ、かつ、保管コンテナ106をレールシステム108上で輸送するように、動作される。保管カラム105の水平範囲が、
図1に太線によってマーキングされるグリッドセル122によって画定される。グリッドセル122は、レールシステム108のレイアウトを画定する。
【0007】
レールシステム108は、フレーム構造物100の上部を横断した第1の方向Xにおけるコンテナ荷役車両150の移動を誘導するように配列される平行レールの第1のセット110と、第1の方向Xに対して直角である第2の方向Yにおけるコンテナ荷役車両150の移動を誘導するための、レールの第1のセット110に対して直角に配列される平行レールの第2のセット111とを備える。このように、レールシステム108は、グリッドカラムを画定し、その上方で、コンテナ荷役車両150が、保管カラム105の上方で(すなわち、水平なX-Y平面に対して平行である平面において)側方に移動することができる。
【0008】
各コンテナ荷役車両150は、車体と、8つの車輪の車輪配列とを備え、4つの車輪の第1のセットが、X方向におけるコンテナ荷役車両150の側方移動を可能にし、残りの4つの車輪の第2のセットが、Y方向における側方移動を可能にする。車輪配列内の車輪の一方または両方のセットは、車輪の第1のセットおよび/または車輪の第2のセットが、レールの個別のセット110、111と係合されることができるように、昇降および降下されることができ、これは、コンテナ荷役車両150の制御された方向移動のためにコンテナ荷役車両150内の駆動手段を制御するコントローラによって定義される。
【0009】
各コンテナ荷役車両150は、保管コンテナ106の垂直輸送(例えば、保管コンテナ106を保管カラム105から上昇させ、保管コンテナ106を保管カラム105の中に降下させること)のための昇降デバイス(図示せず)をさらに備える。昇降デバイスは、保管コンテナ106に係合するために適合される1つまたはそれを上回る把持/係合デバイス(図示せず)を備える。把持/係合デバイスは、把持/係合デバイスの位置を第1および第2の方向X、Yに直交する第3の方向Zにおいて調節するために、昇降デバイスによって車両150から降下されることができる。
【0010】
各コンテナ荷役車両150は、レールシステム108を横断して保管コンテナ106を輸送するとき、保管コンテナ106を受け取りおよび収容するための保管コンパートメントまたは空間(図示せず)を備える。保管空間は、例えば、WO第2014/090684号A1(その内容は、参照により本明細書に援用される)に説明されているように、車体内に中心に配列される空洞を備えてもよい。
【0011】
代替として、コンテナ荷役車両150は、NO第317366号(その内容もまた、参照により本明細書に援用される)に説明されるように、片持ち梁構築物を有してもよい。
【0012】
保管グリッド104では、グリッドカラムの大部分が、保管カラム105(すなわち、保管コンテナ106がスタック107で保管されるグリッドカラム105)である。しかしながら、保管グリッド104は、通常、保管コンテナ106を保管するために使用されないが、代わりに、保管コンテナ106が、保管コンテナ106が保管グリッド104の外側からアクセスされることができるまたは保管グリッド104から外にまたは保管グリッド104の中に移送されることができる第2の場所(図示せず)に輸送されることができるように、保管コンテナ106を積み降ろすおよび/または積み込むためにコンテナ荷役車両150によって使用される少なくとも1つのグリッドカラムを有する。当技術分野では、そのような場所は、通常、「ポート」と称され、ポートが位置するグリッドカラムは、「送達カラム」119と称され得る。コンテナ荷役車両150の積降および積込ポートは、「送達カラムの上側ポート」119と称される。一方、送達カラムの反対端部は、「送達カラムの下側ポート」と称される。
【0013】
図1の保管グリッド104は、2つの送達カラム119および120を備える。第1の送達カラム119は、例えば、コンテナ荷役車両150が、送達カラム119を通してさらにアクセスステーションまたは移送ステーション(図示せず)に輸送されるべき保管コンテナ106を積み降ろすことができる専用の積降ポートを備えてもよく、第2の送達カラム120は、コンテナ荷役車両150が、アクセスステーションまたは移送ステーション(図示せず)から送達カラム120を通して輸送されている保管コンテナ106を積み込むことができる専用の積込ポートを備えてもよい。第1および第2の送達カラム119、120のポートの各々は、保管コンテナ106の積み込みおよび積み降ろしの両方に適したポートを備えてもよい。
【0014】
保管コンテナ106が保管グリッド104の外側からアクセスされることができる第2の場所は、典型的には、製品アイテムが保管コンテナ106から除去されるまたは保管コンテナ106の中に位置付けられるピッキングステーションまたは備蓄ステーションであってもよい。ピッキングステーションまたは備蓄ステーションでは、保管コンテナ106は、通常、決して自動倉庫システム10から除去されないが、いったんアクセスされると、保管グリッド104の中に戻される。保管グリッド104の外または中への保管コンテナの移送のために、送達カラム内に提供される下側ポートもまた、存在する。そのような下側ポートは、例えば、保管コンテナ106を別の保管設備に(例えば、別の保管グリッドに)、直接、輸送車両(例えば、電車または大型トラック)に、または生産設備に移送するために使用される。
【0015】
自動倉庫システム10を監視および制御するために、本システムは、中央制御システム(図示せず)を備え、中央制御システムは、典型的には、コンピュータ化され、保管コンテナ106ならびに随時荷役されるべき保管コンテナ106(すなわち、保管グリッド104内で回収または保管されるべき保管コンテナ106)の場所を追跡し続けるためのデータベースを備える。これに加えて、制御システムは、保管グリッド104上で動作する各コンテナ荷役車両150の位置および移動を監視および制御する。このように、各コンテナ荷役車両150は、中央制御システムから、相互に衝突することなく、具体的な保管コンテナ106を1つの場所から別の場所まで輸送するための移動命令を受信する。
【0016】
保管グリッド104上で動作するコンテナ荷役車両150の交通流を制御するために、制御システムは、常時、全てのコンテナ荷役車両150の位置および移動の更新された概観を有していなければならない。
【0017】
図1に開示される保管グリッド104内に保管される保管コンテナ106がアクセスされることになると、制御システムは、例えば、コンテナ荷役車両150のうちの1つに、保管コンテナ106を保管グリッド104内のその現在の場所から回収し、これを第1の送達カラム119にまたは第1の送達カラム119を通して輸送するように命令してもよい。この動作は、標的保管コンテナ106が位置する、保管カラム105の上方のグリッド場所にコンテナ荷役車両150を移動させることと、コンテナ荷役車両の昇降デバイス(図示せず)を使用して保管カラム105から保管コンテナ106を回収することと、保管コンテナ106を第1の送達カラム119に輸送することとを伴う。標的保管コンテナ106がスタック107内の深部に位置する(すなわち、1つまたは複数の他の保管コンテナが標的保管コンテナ106の上方にスタックされる)場合、本動作は、標的保管コンテナ106を保管カラム105から昇降させることに先立って、保管コンテナ106を標的保管コンテナ106の上方に一時的に移動させることを伴う。時として当技術分野内で「掘出」と称されるこのステップは、送達カラムに標的保管コンテナ106を輸送するために続いて使用される同一のコンテナ荷役車両150を用いて、または、1つまたは複数の他の協働コンテナ荷役車両150を用いて実施されてもよい。代替としてまたは加えて、自動倉庫システム10は、具体的には、保管カラム105から保管コンテナ106を一時的に除去するタスクに専用であるコンテナ荷役車両150を有してもよい。いったん標的保管コンテナ106が保管カラム105から除去されると、一時的に除去された保管コンテナ106は、元の保管カラム105の中に再度位置付けられることができる、または、代替として、他の保管カラム105に再配置されることができる。
【0018】
保管コンテナ106が保管グリッド104内に保管されことになると、コンテナ荷役車両150のうちの1つが、
図1に示される第2の送達カラム120から保管コンテナ106を積み込み、これを、これが保管されることになる標的保管カラム105の上方のグリッド場所に輸送するように命令される。保管カラムスタック107内の標的位置またはその上方に位置付けられる任意の保管コンテナ106が除去された後、コンテナ荷役車両150は、所望の場所に保管コンテナ106を設置する。除去された保管コンテナ106は、次いで、保管カラム105の中に戻るように降下され得る、または、他の保管カラム105に再配置され得る。
【0019】
図1を参照して上記に説明される倉庫システム10に加えて、本出願人はまた、コンテナ荷役車両150が保管グリッド104の上方および下方の両方において動作している倉庫システムを開発した。保管グリッド104の下方で動作するコンテナ荷役車両は、ドローンと呼ばれる。ドローンを含む解決策は、保管コンテナ150を荷役するときの効率を改良するが、中央制御システムおよび全てのコンテナ荷役車両150へのならびに中央制御システムおよび全てのコンテナ荷役車両150からのさらなる通信を要求する。
【0020】
本AutoStoreシステムは、全てのコンテナ荷役車両150に、倉庫システム10上での全ての移動および動作を制御するための動作および移動命令を伝送するマスタコントローラによって制御される。そうするために、マスタコントローラは、常時、倉庫システム10を動作させる全ての車両150の場所ならびに全ての保管コンテナ106の場所の全体的な概観を有する。マスタコントローラは、各車両150に、保管コンテナ106を保管または回収するように命令する。各車両の現在の位置が、車両150からマスタコントローラに持続的に通信され、したがって、車両150が列を成すまたは衝突することなく、これがレールシステム108上での全ての車両150の移動を最適な方法において制御することを可能にする。
【0021】
本解決策では、これは、各コンテナ荷役車両150との持続的な無線通信を要求する。複数の車両150を備えるより大規模なシステムでは、無線通信の量は、莫大であり、ノイズ等に対して脆弱であり得る。別の問題は、骨格構造100自体が、通信信号を不明瞭にし得ることである。これは、特に、グリッド104の下方で動作するコンテナ荷役車両150(すなわち、ドローン)が存在する場合、問題となる。
【0022】
本発明は、マスタコントローラと、倉庫システム10上で動作して倉庫システム10の保管コンテナ106を荷役するコンテナ荷役車両150との間の低減された無線交通を要求する方法およびコンピュータプログラム製品によって、該問題を緩和する。
【0023】
倉庫システム10を動作させる全ての車両150に自律的な移動決定を行わせることによって、マスタコントローラは、車両にタスクを割り当てることのみが必要となり、各車両は、その現在の位置から目的地まで、レールシステム108に沿って追従するための最良の経路を選定する。これは、各コンテナ荷役車両106とマスタコントローラとの間の無線通信ならびに中央処理の複雑性を劇的に低減させる。
【0024】
しかしながら、レールシステム108上での移動に関して自律的な移動決定を行う車両を使用するとき、課題が存在する。グリッド104が、高密度であり、他の車両150が、車両150のための視野を遮断し得るため、他の車両150の移動を予測することは、困難である。距離センサを用いると、別の車両を追従することは容易になるが、交通が高密度であり、他の車両150の速度が潜在的に比較的に高いとき、レーンを交差することは、依然として、困難であり得る。これは、いくつかの車両が留保される(すなわち、高交通負荷に起因して、ポート位置から混雑した「本道」内に入った状態になり得ない)というリスクを負う。これらの側面もまた、本発明によって対処され、解決される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の簡単な説明
本発明は、独立請求項において定義され、従属請求項において定義される付加的な特徴を伴うような、方法、コンピュータプログラム製品、およびシステムである。
【0027】
より具体的には、本発明は、コンテナ荷役車両の移動を自律的に制御するための方法によって定義され、コンテナ荷役車両は、保管カラムを伴うグリッド構造と、保管コンテナを保管カラムにおよび保管カラムから移送するために適合される車両の移動を誘導するための、保管カラムの上方の対応するレールシステムとを備える倉庫システム内で動作し、各車両は、他の車両の移動に対するレールシステムに沿った車両の移動を制御するための駆動手段およびセンサに接続される車両コントローラを備える。本方法は、各車両の車両コントローラ内で、
a)レールレイアウトと、車両がレールシステム上で移動することができる場所および時間に関する交通規則とを定義するマップを使用するステップであって、マップは、倉庫システム内で動作する全ての車両に関して同一である、ステップと、
b)車両コントローラを、全ての車両に関して共通なクロックに同期させるステップと、
c)マスタコントローラから、マップに対してレールシステム上で規定された目的地まで移動するように車両に命令する命令を受信するステップと、
d)車両コントローラに、マップ、交通規則、他の車両までの距離、および他の車両の移動に基づいて、車両の現在の位置から規定された目的地までレールシステム上を追従するための経路を判定させるステップと、
e)判定された経路に従って、レールシステムに沿った車両の移動を、その現在の位置から規定された目的地まで制御するステップと、
f)車両が規定された目的地に到達するまで、ステップd)およびe)を繰り返すステップと
を実施することを特徴とする。
【0028】
本発明の一実施形態によると、共通のマップ内のレールレイアウトは、倉庫システムの保管カラムの水平範囲の周囲によって画定されるグリッドセルに対応する2次元座標に従って定義され、交通規則は、グリッドセルおよびその対応するレール毎に定義される。
【0029】
これは、各グリッドセルが一意に定義されることを意味する。倉庫システムを動作させる全ての車両が、移動に関する規則を定義する同一のマップを使用しているため、各車両内の車両コントローラは、他の車両と衝突することなく、レールシステムに沿って車両を制御することができる。
【0030】
共通のマップは、グリッドセルおよびその対応するレール毎の交通規則のセットを含む。交通規則の異なるセットが、異なるグリッドセルのために使用されてもよい。共通のマップは、例えば、一連の接続されたセルを「本道」として定義し得る一方、「本道」に接続されるセルは、「側道」として定義される。マップは、いくつかのグリッドセルを具体的な方向における「一方向のみの交通」としてさらに定義してもよい。別の規則は、1つまたはそれを上回る規定されるグリッドセルが使用されるべきではないこと(すなわち、グリッドセル上での通過禁止または停止)であってもよい。さらに別の規則は、グリッドセルが、制限された速度として定義されること(すなわち、設定された最高速度のみにおいて通過されること)であってもよい。
【0031】
異なる交通規則が組み合わせられると、詳述される共通のマップが、同一のレールシステム上で動作する全てのコンテナ荷役車両によって追従されることができる。各車両は、それらの現在の場所に従って異なる規則に追従する。
【0032】
共通の交通規則のセットに加えて、交通規則の異なるセットが、あるタイムスロットにわたって適用されてもよい。このように、交通パターンが、例えば、具体的なニーズおよび時刻に従って、変更されることができる。
【0033】
各車両の現在の位置が、異なる方法において判定されることができる。1つの方法は、通過されるレール交差の数および初期位置から軌道交差が通過される方向を検出することによって、位置を判定することによるものである。初期位置は、好ましくは、(典型的には、本システムを始動するまたは本システムを再設定するときである)全ての車両が停止されるとき、全ての車両の現在の位置を検出する外部手段によって、入手されることができる。
【0034】
述べられるように、本方法の1つのステップは、各車両の車両コントローラを、同一の共通のクロックに同期させることである。
【0035】
各車両は、共通のマップに対して規定された目的地まで移動するように命令される。目的地において、車両は、例えば、保管コンテナを回収または保管すること等のタスクを実施する。
【0036】
各車両が、目的地グリッドセルを含む命令を受信すると、車両コントローラは、共通のマップに基づいて、車両の現在の位置から規定された目的地まで追従するための経路を判定する。車両コントローラは、交通規則および他の車両までの距離に従って、経路を計画立案および作製する。
【0037】
車両コントローラは、交通規則、他の車両までの距離、およびその移動に従って、車両の速度および移動を調節および/または変更してもよい。
【0038】
車両コントローラは、車両の現在の位置および他の車両までの距離および他の車両の移動に従って、車両の設定された経路をさらに調節および/または変更してもよい。
【0039】
全ての車両が同一の共通のクロックに同期されると、それらは、共通のマップに従って制御され、全ての移動が、マスタコントローラによって持続的に制御される必要なく、滑らかに走行する。これは、車両とマスタコントローラとの間の通信ならびに中央処理の複雑性を劇的に低減させる。
【0040】
本発明による方法は、倉庫システム内で動作する異なるタイプの車両(例えば、ロボットおよびドローン)内で実施されることができる。これは、特に、保管コンテナを荷役するときに、ロボットおよびドローンの両方が協働しているシステムにおいて非常に適している。ロボットは、倉庫システムの上で動作する自律車両である一方、ドローンは、車両の下方、または倉庫システムのグリッド構造の下方のレベルにおいて動作する自律車両である。
【0041】
同一のレベル上で走行する車両は、同一の共通のマップに追従しなければならない。ロボットおよびドローンが異なるレベル上で動作しているため、それらは、異なる交通規則を定義するマップに追従してもよい。
【0042】
本発明は、命令を備えるコンピュータプログラム製品によってさらに定義され、命令は、自律型コンテナ荷役車両内に備えられる車両コントローラのプロセッサ内で実行されると、倉庫システム内で保管コンテナを荷役するための上記に説明される方法を実施する。
【0043】
マスタコントローラは、
-倉庫システム内で動作する全ての車両の車両コントローラにマップを伝送することであって、マップは、レールレイアウトと、車両がレールシステム上で移動することができる場所および時間に関する交通規則とを定義し、マップは、全ての車両に関して同一である、ことと、
-全ての車両コントローラが全ての車両に関して共通なクロックに同期されるように、同期化信号を全ての車両コントローラに伝送することと
のために適合され、
各車両コントローラは、
-マスタコントローラから、マップに対してレールシステム上で規定された目的地まで移動するように車両に命令する命令を受信することと、
-マップ、交通規則、他の車両までの距離、および他の車両の移動に基づいて、車両の現在の位置から規定された目的地までレールシステム上を追従するための経路を判定することと、
-判定された経路に従って、レールシステムに沿った車両の移動を、その現在の位置から規定された目的地まで制御することと
のために適合される。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
コンテナ荷役車両(150)の移動を自律的に制御するための方法であって、前記コンテナ荷役車両(150)は、保管カラム(105)を伴うグリッド構造と、保管コンテナ(106)を前記保管カラム(105)におよび前記保管カラム(105)から移送するために適合される車両(150)の移動を誘導するための、前記保管カラム(105)の上方の対応するレールシステム(108)とを備える倉庫システム(10)内で動作し、各車両(150)は、他の車両(150)の移動に対する前記レールシステム(108)に沿った前記車両(150)の移動を制御するための駆動手段(420)およびセンサ(430)に接続される車両コントローラ(410)を備え、前記方法は、各車両(150)の前記車両コントローラ(410)内で、
a)レールレイアウトと、車両(150)が前記レールシステム(108)上で移動することができる場所および時間に関する交通規則とを定義するマップを使用するステップであって、前記マップは、前記倉庫システム(10)内で動作する全ての車両(150)に関して同一である、ステップと、
b)前記車両コントローラ(410)を、全ての車両(150)に関して共通なクロックに同期させるステップと、
c)マスタコントローラ(400)から、前記マップに対して前記レールシステム(108)上で規定された目的地まで移動するように前記車両(150)に命令する命令を受信するステップと、
d)前記車両コントローラ(410)に、前記マップ、前記交通規則、他の車両(150)までの距離、および前記他の車両(150)の移動に基づいて、前記車両(150)の現在の位置から前記規定された目的地まで前記レールシステム(108)上を追従するための経路を判定させるステップと、
e)前記判定された経路に従って、前記レールシステム(108)に沿った前記車両(150)の移動を、その現在の位置から前記規定された目的地まで制御するステップと、
f)前記車両(150)が前記規定された目的地に到達するまで、ステップd)およびe)を繰り返すステップと
を実施することを特徴とする、方法。
(項目2)
前記倉庫システム(10)の前記保管カラム(105)の水平範囲の周囲によって画定されるグリッドセル(122)に対応する2次元座標に従って、前記レールレイアウトを定義し、グリッドセル(122)およびその対応するレール毎に交通規則を定義することを特徴とする、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記交通規則が適用可能であるときに関して、グリッドセル(122)毎にタイムスロットをさらに定義することを特徴とする、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記交通規則は、規定される方向における一方向のみの駆動のためにグリッドセル(122)が使用されるべきであること、グリッドセル(122)が使用されてはいけないこと、グリッドセル(122)が通過のみすることができること、設定されたタイムスロット内で規定される方向においてのみグリッドセル(122)が使用されることができること、規定される速度においてのみグリッドセル(122)が通過されることができることのうちの1つまたはそれを上回るものを含むことを特徴とする、項目3に記載の方法。
(項目5)
通過されるレール交差の数および前記レール交差が通過される方向を検出することによって、前記車両(150)の位置を判定することを特徴とする、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目6)
前記車両コントローラ(410)に、前記交通規則、他の車両(150)までの距離、および前記他の車両(150)の移動に従って、前記車両(150)の速度および移動を調節および/または変更させることを特徴とする、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目7)
前記車両コントローラ(410)に、前記車両の(150)現在の位置および他の車両(150)までの距離および前記他の車両(150)の移動に従って、車両(150)の前記経路を調節および/または変更させることを特徴とする、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目8)
命令を備えるコンピュータプログラム製品であって、前記命令は、自律型コンテナ荷役車両(150)内に備えられる車両コントローラ(410)のプロセッサ内で実行されると、倉庫システム(10)内の前記コンテナ荷役車両(150)の移動を制御するための、項目1~7に記載の方法を実施する、コンピュータプログラム製品。
(項目9)
コンテナ荷役車両(150)の移動を自律的に制御するためのシステムであって、前記コンテナ荷役車両(150)は、保管カラム(105)を伴うグリッド構造と、保管コンテナ(106)を前記保管カラム(105)におよび前記保管カラム(105)から移送するために適合される車両(150)の移動を誘導するための、前記保管カラム(105)の上方の対応するレールシステム(108)とを備える倉庫システム(10)内で動作し、各車両(150)は、他の車両(150)の移動に対する前記レールシステム(108)に沿った前記車両(150)の移動を制御するための駆動手段(420)およびセンサ(430)に接続される車両コントローラ(410)を備え、前記システムは、各車両(150)内の車両コントローラ(410)と通信するために適合されるマスタコントローラ(400)を備え、
前記マスタコントローラが、
-前記倉庫システム(10)内で動作する全ての車両(150)の前記車両コントローラ(410)にマップを伝送することであって、前記マップは、レールレイアウトと、車両(150)が前記レールシステム(108)上で移動することができる場所および時間に関する交通規則とを定義し、前記マップは、全ての前記車両(150)に関して同一である、ことと、
-全ての前記車両コントローラ(410)が全ての車両(150)に関して共通なクロックに同期されるように、同期化信号を全ての前記車両コントローラ(410)に伝送することと
のために適合され、
各車両コントローラ(150)が、
-マスタコントローラ(400)から、前記マップに対して前記レールシステム(108)上で規定された目的地まで移動するように前記車両(150)に命令する命令を受信することと、
-前記マップ、前記交通規則、他の車両(150)までの距離、および前記他の車両(150)の移動に基づいて、前記車両(150)の現在の位置から前記規定された目的地まで前記レールシステム(108)上を追従するための経路を判定することと、
-前記判定された経路に従って、前記レールシステム(108)に沿った前記車両(150)の移動を、その現在の位置から前記規定された目的地まで制御することと
のために適合されることを特徴とする、システム。
【0044】
マスタコントローラは、
-倉庫システム内で動作する全ての車両の車両コントローラにマップを伝送することであって、マップは、レールレイアウトと、車両がレールシステム上で移動することができる場所および時間に関する交通規則とを定義し、マップは、全ての車両に関して同一である、ことと、
-全ての車両コントローラが全ての車両に関して共通なクロックに同期されるように、同期化信号を全ての車両コントローラに伝送することと
のために適合され、
各車両コントローラは、
-マスタコントローラから、マップに対してレールシステム上で規定された目的地まで移動するように車両に命令する命令を受信することと、
-マップ、交通規則、他の車両までの距離、および他の車両の移動に基づいて、車両の現在の位置から規定された目的地までレールシステム上を追従するための経路を判定することと、
-判定された経路に従って、レールシステムに沿った車両の移動を、その現在の位置から規定された目的地まで制御することと
のために適合される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
本発明の実施形態は、ここで、図を参照して、より詳細に、かつ実施例としてのみ提供される。
【0046】
【
図1】
図1は、コンテナ荷役車両が保管コンテナを荷役している典型的な先行技術自動倉庫システムを示す。
【
図2】
図2は、本発明による方法を実施するときに伴われる異なるステップを図示するフローチャートである。
【
図3】
図3は、マップによる、車両の移動のある実施例を示す。
【
図4】
図4は、コンテナ荷役車両の移動の自律的な制御を可能にする、各車両の車両コントローラ、駆動手段、およびセンサを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1を参照して上記に説明されるように、先行技術倉庫システム内で動作する車両が、随時、全ての車両の移動の全体的な概観を有するマスタコントローラによって制御される。複数の車両を伴うより大規模なシステムでは、この全体的な概観を有することは、信号が外乱を受け易くして信号の喪失を受けることを可能にするマスタコントローラと車両との間の莫大な持続的通信を要求する。
【0048】
本発明は、各車両が他の車両の移動に対してそれ自体の移動を制御することを可能にする方法、システム、およびコンピュータプログラム製品によって、この問題に対処し、解決する。
【0049】
図2は、グリッドシステム内のレール上を走行する車両の移動を自律的に制御するための方法において実施される異なるステップ200を図示する。
【0050】
上記に説明されるように、コンテナ荷役車両150は、グリッドセル122を伴うグリッド構造と、保管コンテナをグリッドセル122におよびグリッドセル122から移送するための車両の移動を誘導するための対応するレールシステム108とを備える倉庫システム10内で動作する。各車両150は、他の車両150の移動に対する、レールシステム108に沿った車両150の移動を制御するための駆動手段420およびセンサ430に接続される車両コントローラ410(
図4参照)を備える。車両コントローラ410は、情報を交換するためにマスタコントローラ400に接続される信号である。
【0051】
本発明によると、車両150の移動を自発的に制御するための方法200は、各車両150の車両コントローラ410内で実施される異なるステップを含む。
【0052】
第1のステップ210は、レールレイアウトと、レールシステム108に関する交通規則とを定義するマップを使用することである。各車両は、倉庫システムのレールレイアウトの情報を伴う同一のマップと、車両がレール上で移動することができる場所および時間を規定する同一の交通規則とを提供される。交通規則の実施例が、
図3を参照して下記に説明される。
【0053】
マップは、異なる方法において各車両150に提供されることができる。新しい倉庫システムをセットアップするとき、本システム上で動作する各車両は、そのコントローラに接続される不揮発性メモリ内に予めインストールされたマップを有してもよい。更新されたバージョンのマップが、各車両150が動作可能になった後に、各車両150に伝送され、各車両150の中にインストールされてもよい。
【0054】
レールシステム108の軌道レイアウトおよびグリッドセル122毎の交通規則に加えて、共通のマップはまた、グリッドセル122毎に、異なる交通規則がグリッドセル122毎に有効である時間間隔を定義するタイムスロットを定義する。毎回、スロットが、各グリッドセル122上での移動に関する「仮想の交通信号灯」を定義することができ、例えば、「青色交通信号灯」は、車両150が移動することができることを意味する一方、「赤色交通信号灯」は、車両150が待機しなければならないことを意味する。これが作用するために、全ての車両が、同一の時間基準(すなわち、共通のクロック)に従って動作しなければならない。
【0055】
本方法の第2のステップ220は、共通のクロックに従って、各車両の車両コントローラ410内のクロックを同期させることである。該第1のステップ210および第2のステップ220が実行されると、全ての車両150が、通常の動作のために、ならびに車両毎に適合される情報(例えば、移動先のグリッドセル122および実施するべきタスク)を含む命令を受信するために、調製される。タスクは、例えば、そこに移動するように命令されたグリッドセル122に対応する保管カラム105内に保管される具体的な保管コンテナ150を積み込むことであってもよい。
【0056】
次のステップは、通常の動作の間(すなわち、全ての車両コントローラ410が共通のマップを提供され、それらのクロックが同期されているとき)に繰り返され、実施される。
【0057】
通常の動作の間、各車両コントローラ410は、マスタコントローラ400から、これが移動するべきである目的地グリッドセル122と、これが実施すべきである動作とを含む命令を受信する。これは、
図2のステップ230によって図示される。車両コントローラ410がこの情報を受信すると、次のステップ240は、車両150内の車両コントローラ410に、車両150がその現在の場所から目的地グリッドセル122までレールシステム108上で辿るべき経路を判定させることである。軌道に沿った全ての移動が、共通のマップに従ってなされる。軌道に沿ったその移動の間、他の車両が近すぎるどうかまたは近すぎる状態になるかどうか、およびこれが停止するべきかどうかが、絶えずチェックされる(ステップ250参照)。別の車両に対するある車両の近接度が、車両内に配設される距離センサによって判定されることができる。他の車両150までの現在の距離を絶えず検出およびを更新することによって、それらの移動(例えば、それらが走行している速度、それらが車両150の判定された経路から離れるように移動しているかどうか、またはそれらが車両150の判定された経路に向かって移動しているかどうか)が、判定されることができる。
【0058】
これが停止しなければならないことが決定された場合、ステップ240に再び戻され、経路が、再び判定される。これは、新しい経路、または車両150が以前に追従した同一の経路であって、停止の後に空けられている同一の経路であってもよい。
【0059】
車両150が、停止することなく、目的地グリッドセル122まで、判定された経路に追従することができることが決定された場合(ステップ260参照)、車両コントローラ410は、車両150を、目的地グリッドセル122まで駆動し、その命令された動作を実施するように、制御する。これは、次いで、新しい命令を受信する、または、以前に受信された命令に従って、別の目的地グリッドセル122までの新しい経路を計画立案する準備ができる。
【0060】
各コンテナ荷役車両150が、(同一の共通のクロックに同期されたクロックと)同期されたコントローラと、その位置および他のコンテナ荷役車両150までの距離を判定するためのセンサ手段とを備え、交通規則を定義する同一の共通のマップに従って制御されるとき、車両は、外部マスタコントローラによって制御される必要なく、安全に移動する。
【0061】
倉庫システム10の下方で動作するドローンは、掘出活動を有しておらず、典型的には、より低い密度のグリッドを有する。ドローンのための交通規則のセットは、したがって、倉庫システムの上で動作する車両150に関して定義される交通規則より単純であってもよい。倉庫システムを動作させるために車両150およびドローンの両方を使用するとき、無線アクセス点が、グリッド構造の上方および下方の両方に提供される。上記に説明される方法に従って制御される車両を使用することによって、より少ない無線アクセス点が、マスタコントローラと車両との間の通信のより低い必要性に起因して、要求される。
【0062】
共通のマップ内の仮想タイムスロットベースの「交通信号灯」および交通規則は、その現在の場所から目的地グリッドセル122まで移動しているときの各車両150の自律的な交通決定を可能にする。これは、中央コントローラまたは他の車両との通信を要求しない。各車両が目的地点まで辿るべき経路が、各車両150内の車両コントローラ410によって判定される。軌道に沿って車両を誘導することは、したがって、マスタコントローラ400とのまたは他の車両との持続的な通信を要求しない。
【0063】
車両150がその目的地に到着したとき、これは、マスタコントローラ400に報告し、次いで、新しい命令(例えば、次の目的地および実施するべきタスク)を受信する準備ができる。
【0064】
本発明は、自律車両150内に備えられる車両コントローラ410のプロセッサ内で実行されると、倉庫システム10内のコンテナ荷役車両150の移動を制御するための上記に説明される方法を実施する命令を備えるコンピュータプログラム製品によってさらに定義される。
【0065】
図3は、交通規則を定義する中央マップによる、車両150の移動のある実施例を図示する。異なる交通規則(例えば、速度限界、車両150がグリッドセル122を通過することができるがグリッドセル122の上で停止しないこと、定義された方向のみにおいて車両が通過することができること等)が、各グリッドセル122に適用されてもよい。
【0066】
マップは、倉庫システム10のグリッド104の上の各グリッドセル122の上のレールシステム108の一部のみを示す。図の各車両150は、番号(すなわち、01~08)によって識別されるコンテナ荷役車両150である。マップは、各x方向における「本道」として定義される一連のグリッドセル122を示す。これは、これらのグリッドセル122が、コンテナ荷役車両150のためのメイン輸送経路として使用されることを意味する。
【0067】
01、02、05、および08としてマーキングされる車両150が、メイン輸送経路(すなわち、「本道」)上で駆動している。交通規則が、具体的なタイムスロットにおいて各グリッドセル122に適用されるため、具体的なタイムスロットは、グリッドセル122のための「交通信号灯」、したがって、車両150に関する交通状況を定義する。
【0068】
「本道」にアクセスするために、上方のポート位置に位置する03、04、06、および07としてマーキングされる車両150は、y方向に移動することによって本道上のグリッドセル122に進入するために、「青色交通信号灯」を有するタイムスロットを必要とし、それらが移動している先のグリッドセル122は、別の車両150によって占有されてはいけない。
【0069】
図は、車両04が「本道」上のグリッドセル122上にy方向に移動するための「青色交通信号灯」を有する一方、すでに「本道」上で移動している車両01および02が「赤色交通信号灯」を有しかつそれらの現在のグリッドセル122上で停止しなければならない、1つの具体的なタイムスロットを図示する。車両04は、次いで、「本道」上に移動することができる。
【0070】
車両06および07は、現在、それらのポート位置における動作に伴って繁忙であり、したがって、それらが「青色交通信号灯」を有する場合でも、レール上を移動していない。車両06および07は、別のグリッドセル122まで移動する準備ができているとき、最初に、タイムスロットが、駆動するべき方向において「青色交通信号灯」を有するまで、待機しなければならない。
【0071】
図4は、各車両150が、コンテナ荷役車両の移動の自律的な制御のための駆動手段420およびセンサ430に接続される車両コントローラ410を備えることを図示する。各車両コントローラ410は、動作命令を受信するためにおよび動作命令に応答するために、マスタコントローラ400と通信する。
【0072】
本発明によると、倉庫システム10内で動作する車両150は、各々、マスタコントローラ400から、追従するべき経路または速度についてのいかなるさらなる情報も伴うことなく、車両150が移動するべきグリッドセル122を含むコマンドを受信する。交通規則およびその距離センサを定義する共通のマップに基づいて、各車両150は、追従するべき経路および速度について、その独自の決定を行う。車両は、目的地位置(例えば、グリッドセル122)までの途中でその現在の経路を変更または最適化することができる。現在の経路が遮断されている場合、新しい経路が、計画立案されてもよい。全ての車両が、それらの車両コントローラが、時間的に同期され、グリッドセル122毎に交通規則を定義する同一の共通のマップに追従するとき、および、それらが、他の車両150までの現在の距離を持続的に更新するために距離センサを使用しているとき、安全に移動する。
【0073】
上記の発明を説明するときに使用される文脈は、コンテナ荷役車両が回収および保管グリッドの上で動作する従来のAutoStoreグリッドと、回収および保管グリッドの下位レベルまたはその下方において動作するドローン交通のためのグリッドとから成り得る、AutoStore倉庫システムである。ドローン交通のためのグリッドは、典型的には、複数のAutoStoreグリッドを接続するが、ピッキングステーションまたは外部荷役部への輸送のためにも使用され得る。