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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009626
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】調理器
(51)【国際特許分類】
   A47J 43/07 20060101AFI20240116BHJP
   A47J 19/00 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
A47J43/07
A47J19/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111299
(22)【出願日】2022-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】弁理士法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小幡 享史
【テーマコード(参考)】
4B053
【Fターム(参考)】
4B053AA01
4B053BA02
4B053BA14
4B053BB02
4B053BK01
(57)【要約】
【課題】本発明は、調理カップに蓋体を取り付けたまま蓋体を開き傾動できる調理器を提供する。
【解決手段】本発明に係る調理器10は、食材が投入されるカップ41と、前記カップの基端側の周面に設けられた取手44と、を具える調理カップ40と、前記カップの前記上縁43に着脱可能な蓋本体61と、前記蓋本体に設けられ前記蓋本体を前記カップに対して開き方向に傾動させる蓋レバー62と、を具える蓋体60と、を具える調理器であって、前記蓋体は、前記カップの前記上縁に沿って回転させることで、前記カップに開き傾動不能且つ取外し不能に固定される第1状態と、前記カップに開き傾動可能且つ取外し不能な第2状態と、前記カップに着脱可能な第3状態を採る。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材が投入されるカップと、前記カップの基端側の周面に設けられた取手と、を具える調理カップと、
前記カップの上縁に着脱可能な蓋本体と、前記蓋本体に設けられ前記蓋本体を前記カップに対して開き方向に傾動させる蓋レバーと、を具える蓋体と、
を具える調理器であって、
前記蓋体は、前記カップの前記上縁に沿って回転させることで、前記カップに開き傾動不能且つ取外し不能に固定される第1状態と、前記カップに開き傾動可能且つ取外し不能な第2状態と、前記カップに着脱可能な第3状態を採る、
調理器。
【請求項2】
前記カップの基端に、前記蓋体の開き傾動を許容するが前記蓋体の基端側の浮き上がりを阻止する第1部材と、前記蓋体の開き傾動を阻止する第2部材と、が形成され、
前記調理カップの先端に、前記蓋体の先端側の浮き上がりを阻止する第3部材が形成され、
前記蓋体は、前記第1部材に係合して前記蓋体の開き傾動を許容するが前記蓋体の基端側の浮き上がりを阻止する第1係合部材と、前記第2部材に係合して前記蓋体の開き傾動を阻止する第2係合部材と、前記第3部材に係合して前記蓋体の先端側の浮き上がりを阻止する第3係合部材と、が形成され、
前記第1状態では、前記第1部材と前記第1係合部材、前記第2部材と前記第2係合部材、及び、前記第3部材と前記第3係合部材がそれぞれ係合して、前記蓋体は、前記調理カップに開き傾動不能且つ取外し不能に固定され、
前記第2状態では、前記第1部材と前記第1係合部材が係合し、前記第2部材と前記第2係合部材、及び、前記第3部材と前記第3係合部材の係合が解かれて、前記蓋レバーを操作することで、前記蓋体は開き傾動可能であり、
前記第3状態では、前記第1部材と前記第1係合部材、前記第2部材と前記第2係合部材、及び、前記第3部材と前記第3係合部材の係合がすべて解かれて、前記蓋体は前記調理カップに着脱可能である、
請求項1に記載の調理器。
【請求項3】
前記調理カップの先端は、前記第3部材に向けて前記第3係合部材を案内するガイド
が形成されており、前記ガイドは、前記第1状態から前記第2状態に前記蓋体を回転させたときに、前記第3係合部材を上向きに押し上げる傾斜面を有する、
請求項2に記載の調理器。
【請求項4】
前記第1状態から前記蓋体を平面視時計回り及び反時計回りに回転させると前記第2状態を採り、前記第2状態からさらに同方向周りに回転させると前記第3状態を採る、
請求項1乃至請求項3の何れかに記載の調理器。
【請求項5】
前記蓋本体の内面に、前記蓋体を前記カップと密着する蓋パッキンを有し、
前記蓋パッキンは、前記第2状態で前記蓋体を開き傾動したときに、前記カップの鉛直領域に収まる、
請求項1に記載の調理器。
【請求項6】
前記蓋パッキンは、前記蓋本体から外向きに延びる第1蓋パッキンと、前記蓋体から外斜め下向きに延びる第2蓋パッキンを含む、
請求項5に記載の調理器。
【請求項7】
前記蓋体の内面に、前記第1蓋パッキンよりも内周側に環状の指掛け片が突設されている、
請求項6に記載の調理器。
【請求項8】
前記調理カップは、前記カップ内で回転可能な調理具を有し、
前記調理カップは、前記調理具を回転可能な調理器本体に取り付けられるものであって、
前記調理器本体は、前記蓋体が前記第1状態で装着された前記調理カップを、前記調理器本体に取り付けたときに、前記蓋体を検知する蓋検知スイッチを具え、
前記蓋検知スイッチは、前記蓋体が前記第1状態以外で前記調理カップに装着されているときには、前記蓋体を検知しない、
請求項1に記載の調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミキサーやジューサーのように調理物を収容する調理カップと、調理カップを塞ぐ蓋体とを具えた調理器に関するものであり、より具体的には、調理カップに蓋体を取り付けたまま蓋体を開き傾動することのできる調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ミキサーやジューサー、フードプロセッサーのような調理器では、ブレードを有する調理具を調理カップ内で回転させて、食材の粉砕、みじん切り、おろし、つぶし、刻み、或いは、撹拌などの調理を行なっている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
調理カップは、調理中は蓋体を装着して食材の飛び跳ねを防止するようにしている。調理後、調理カップから調理物を注ぎ出すには、蓋体を取り外す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2019-525821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
蓋体の内面には調理物が付着しており、蓋体を取り外す際に付着した調理物が垂れ落ちることがある。
【0006】
また、蓋体を取り外して調理物を調理カップから注ぐときに、蓋体を掴んだままでは両手が塞がってしまい不便であり、調理台等に蓋体を置くことが望まれる。しかしながら、蓋体には調理物が付着しているから、取り外した蓋体は内面を上向きに置かなければならず、蓋体をひっくり返す過程或いは上向きに置く過程で調理物が垂れ落ちしてしまうことがある。さらに、蓋体の置き場に困ることもある。加えて、取り外した蓋体を再度調理カップに装着する際にも、付着した調理物が蓋体から垂れ落ちてしまうことがある。これらは、調理場の汚れの原因となり、また、ユーザーは調理物の垂れ落ち、蓋体の扱い難さにストレスを感じることもある。
【0007】
本発明の目的は、調理カップに蓋体を取り付けたまま蓋体を開き傾動できる調理器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る調理器は、
食材が投入されるカップと、前記カップの基端側の周面に設けられた取手と、を具える調理カップと、
前記カップの上縁に着脱可能な蓋本体と、前記蓋本体に設けられ前記蓋本体を前記カップに対して開き方向に傾動させる蓋レバーと、を具える蓋体と、
を具える調理器であって、
前記蓋体は、前記カップの前記上縁に沿って回転させることで、前記カップに開き傾動不能且つ取外し不能に固定される第1状態と、前記カップに開き傾動可能且つ取外し不能な第2状態と、前記カップに着脱可能な第3状態を採る。
【0009】
前記カップの基端に、前記蓋体の開き傾動を許容するが前記蓋体の基端側の浮き上がりを阻止する第1部材と、前記蓋体の開き傾動を阻止する第2部材と、が形成され、
前記調理カップの先端に、前記蓋体の先端側の浮き上がりを阻止する第3部材が形成され、
前記蓋体は、前記第1部材に係合して前記蓋体の開き傾動を許容するが前記蓋体の基端側の浮き上がりを阻止する第1係合部材と、前記第2部材に係合して前記蓋体の開き傾動を阻止する第2係合部材と、前記第3部材に係合して前記蓋体の先端側の浮き上がりを阻止する第3係合部材と、が形成され、
前記第1状態では、前記第1部材と前記第1係合部材、前記第2部材と前記第2係合部材、及び、前記第3部材と前記第3係合部材がそれぞれ係合して、前記蓋体は、前記調理カップに開き傾動不能且つ取外し不能に固定され、
前記第2状態では、前記第1部材と前記第1係合部材が係合し、前記第2部材と前記第2係合部材、及び、前記第3部材と前記第3係合部材の係合が解かれて、前記蓋レバーを操作することで、前記蓋体は開き傾動可能であり、
前記第3状態では、前記第1部材と前記第1係合部材、前記第2部材と前記第2係合部材、及び、前記第3部材と前記第3係合部材の係合がすべて解かれて、前記蓋体は前記調理カップに着脱可能である。
【0010】
前記調理カップの先端は、前記第3部材に向けて前記第3係合部材を案内するガイド
が形成されており、前記ガイドは、前記第1状態から前記第2状態に前記蓋体を回転させたときに、前記第3係合部材を上向きに押し上げる傾斜面を有することができる。
【0011】
前記第1状態から前記蓋体を平面視時計回り及び反時計回りに回転させると前記第2状態を採り、前記第2状態からさらに同方向周りに回転させると前記第3状態を採ることができる。
【0012】
前記蓋本体の内面に、前記蓋体を前記カップと密着する蓋パッキンを有し、
前記蓋パッキンは、前記第2状態で前記蓋体を開き傾動したときに、前記カップの鉛直領域に収まることができる。
【0013】
前記蓋パッキンは、前記蓋本体から外向きに延びる第1蓋パッキンと、前記蓋体から外斜め下向きに延びる第2蓋パッキンを含むことができる。
【0014】
前記蓋体の内面に、前記第1蓋パッキンよりも内周側に環状の指掛け片を突設することができる。
【0015】
前記調理カップは、前記カップ内で回転可能な調理具を有し、
前記調理カップは、前記調理具を回転可能な調理器本体に取り付けられるものであって、
前記調理器本体は、前記蓋体が前記第1状態で装着された前記調理カップを、前記調理器本体に取り付けたときに、前記蓋体を検知する蓋検知スイッチを具え、
前記蓋検知スイッチは、前記蓋体が前記第1状態以外で前記調理カップに装着されているときには、前記蓋体を検知しないことが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の調理器によれば、蓋体は第1状態で調理カップに開き傾動不能且つ取外不能に固定される。そして、第1状態から蓋体を回転させることで、調理カップに対して蓋体が開き傾動可能且つ取外不能な第2状態となる。さらに、蓋体を回転させることで、蓋体を調理カップに着脱可能な第3状態を採ることができる。従って、調理中は第1状態とすることで、蓋体が開いてしまうことなく調理を行なうことができる。また、蓋体を第2状態とすることで、蓋体を開き傾動して調理物を注ぐことができる。蓋体が開き傾動できることで、調理物を注ぐときに、蓋体を取り外す必要はない。従って、蓋体から調理物の垂れ落ちることによる調理場の汚れを防止でき、また、蓋体の置き場所に困ることもないから、ストレスを低減できる。また、蓋体を取り外さなくてもよいため片手は空いているので、器などを引き寄せたり、掴んだりすることができ、作業性を高めることができる。第3状態では、蓋体を着脱できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る調理器であるミキサーの外観を示す側面図である。
図2図2は、図1の線B-Bに沿う断面図である。
図3図3は、ミキサーの側面図である。
図4図4は、調理カップを基端側から見た斜視図である。
図5図5は、調理カップを先端側から見た斜視図である。
図6図6は、蓋体の斜視図である。
図7図7は、蓋体の斜視図である。
図8図8は、蓋体の斜視図である。
図9図9は、蓋体の斜視図である。
図10図10は、(a)蓋体の側面図、(b)は(a)を図15(c)の線L1に沿って蓋体を断面した図である。
図11図11は、調理容器の第1状態のカップセンターラインに沿う断面図である。
図12図12は、調理容器の第2状態の蓋体センターラインに沿う断面図であって、蓋体を傾き傾動させた状態を示す。
図13図13は、調理容器の第2状態のカップセンターラインに沿う断面図である。
図14図14は、調理容器の第3状態のカップセンターラインに沿う断面図であって、蓋体を取り外した状態を示す。
図15図15は、調理容器の第1状態から第3状態の平面図である。
図16図16は、調理容器の第1状態から第3状態を図3の線D-Dで断面した図である。
図17図17は、第1部材と第2部材を斜め下方から見た斜視図である。
図18図18は、第1部材を下方から見た図である。
図19図19は、図9の線H-Hに沿う断面図である。
図20図20は、図3の枠部Eの拡大図である。
図21図21は、第2状態の調理容器の斜視図である。
図22図22は、第2状態の調理容器の平面図であって、蓋体が開き傾動した状態を示している。
図23図23は、図7の枠部Fの拡大図である。
図24図24は、図8の枠部Gの拡大図である。
図25図25は、第3部材と第3係合部材の(a)第1状態と(b)第2状態を示す図である。
図26図26は、図2の枠部Cの拡大図であって、(a)検知用突起が検知、(b)検知用突起非検知の状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の調理器について図面を参照しながら説明を行なう。なお、以下では、調理器としてミキサー10を例示して説明するが、ミキサー10のように調理具31を回転させて食材の調理を行なうフードプロセッサー、ジューサー、ミル、ブレンダー、スープメーカーなどの調理器にも本発明は適用できる。また、調理具の回転しない電気ケトルなどの調理器にも本発明は適用できる。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態によるミキサー10の全体構成を示す側面図である。ミキサー10は、調理器本体20と、調理器本体20に装着される調理容器30を具える。
【0020】
<調理器本体20>
調理器本体20は、モーター21を内装しており、調理容器30内に配置されたブレード等の調理具31を回転可能としている。図示の実施形態では、調理器本体20は、調理容器30が載置される水平部24と調理容器30とほぼ同じ高さまで延びる垂直部25とを具える。調理容器30は、矢印A方向から、或いは、やや斜め上方向から水平部24に接近させて調理器本体20に取り付けることができ、調理具31が後述するカップリング23,33により、モーター21の回転軸22と回転可能に接続される。調理容器30を調理器本体20から取り外すには、矢印A方向とは逆向き、或いは、やや斜め上方向に調理容器30を引き上げる。なお、ミキサー10は、調理容器30を垂直方向から取り付けるタイプのものであってもよく、この場合、調理器本体20は、一般的には円柱状或いは円錐台状の水平部24のみとすることができる。
【0021】
調理器本体20は、図1の線B-Bに沿う断面図2に示すように、垂直部25の上縁近傍に、蓋検知スイッチ28を有する。蓋検知スイッチ28は、調理容器30の蓋体60を検知することで、モーター21への通電を許容するスイッチである。たとえば、蓋検知スイッチ28は、調理容器30を取り付ける方向(前述の矢印A方向)に向けて垂直部25の外装26に形成された孔27内に設けることができる。そして、蓋検知スイッチ28は、後述する調理カップ40に蓋体60が正しく装着された状態で、調理容器30を調理器本体20に載置したときのみ蓋体60を検出可能としている(図2の後述する拡大図26参照)。
【0022】
蓋検知スイッチ28及び上記したモーター21は、図1に示すように、調理器本体20の適所に配置された制御部29に電気的に接続される。調理器本体20の外装26に設けられた操作スイッチ291の操作によりモーター21を作動させて、種々の機能を実行できる。すなわち、カップ41に蓋体60の装着漏れ、或いは、正しく装着されていない場合には、調理容器30を調理器本体20にセットしても蓋検知スイッチ28が蓋体60を検知しないため(図26(b))、制御部29は、モーター21への通電は行なわない。
【0023】
<調理容器30>
上記構成の調理器本体20にセットされる調理容器30は、図1に示すように、調理カップ40と蓋体60を具える。図3は、ミキサー10から取り外された調理容器30の側面図であって、蓋体60を調理カップ40に装着した状態を示している。
【0024】
調理カップ40は、図4図5に示すように、食材が投入され、調理される容器である。調理カップ40は、透明度が高く、強度や耐熱性にすぐれるガラスや樹脂などを一体成型して作製することができる。
【0025】
調理カップ40は、図に示すように、上面に食材が投入されるカップ口42が形成されたカップ41を主体として構成される。カップ41には、基端側の周面に取手44が形成されている。そして、取手44をユーザーが掴んで調理カップ40を傾けたときに、取手44と対向するカップ口42の上縁43が調理物を注ぎ出す注ぎ口431となる。カップ41について、カップ口42の中心と取手44の中央、注ぎ口431を結ぶ仮想線をセンターラインL1と称する。
【0026】
本実施形態のカップ41は、略中央より上側が鉛直方向に延びる筒状体であって、図に示すように、下方が斜め下向きに屈曲した屈曲部45を有する。屈曲部45は、図5に示すように斜め下方向きに円形に貫通したカッターダイ取付開口46が設けられており、断面円形のカッターダイ32が着脱可能となっている(図1参照)。カッターダイ32には、カップ41内で調理具31が回転可能に配備される。調理具31は、たとえば、調理内容に合わせたブレードやカッターであり、図1に示すように、カッターダイ32を挟んでカッター側カップリング33に連繋される。カッター側カップリング33は、モーター21の回転軸22に設けられた調理具側カップリング23と係合し、回転可能となっている。
【0027】
カップ41には、取手44側と、注ぎ口431側に、蓋体60を装着するための第1部材51、第2部材52、第3部材53が配置されている。第1部材51と第2部材52は、図4に示すように取手44の上側に、第3部材53は図5に示すように注ぎ口431の下側に設けられる。なお、各部材の詳細は、蓋体60の説明の後に行なう。
【0028】
蓋体60は、図6乃至図9に示すように、カップ41のカップ口42を塞ぐ蓋本体61を主体に構成される。蓋本体61の基端側には、カップ41の取手44と重なる位置に蓋レバー62が突設されている。蓋レバー62は、蓋体60を開き傾動する際に、ユーザーが下向きに押し込む部材である。
【0029】
蓋本体61は、蓋レバー62と対向する先端側が外向きに膨出しており、先端から後述する繋ぎ片64が下向きに突設されている。
【0030】
蓋体60のセンターラインL2は、図7に示すように、蓋本体61の中心と、蓋レバー62の中央を結ぶ仮想線である。
【0031】
蓋体60の下面、すなわち、カップ41に蓋体60を装着したときに内側となる面には、蓋体60の側面図10(a)及び図15(c)のカップ41のセンターラインL1に沿う断面図10(b)に示すように、蓋パッキン65が装着される。蓋パッキン65は、カップ41から調理時に食材が漏れ出ることを防止する。たとえば、蓋パッキン65は、蓋本体61の下側から外向きに延びる第1蓋パッキン651と、前記蓋本体61から外斜め下向きに延びる第2蓋パッキン652とすることができる。蓋体60をカップ41に取り付けたときに、図11に示すように、第1蓋パッキン651はカップ41の内面に当たって押しつぶされて、カップ41と蓋体60の隙間を埋めてシール性を高める。また、第2蓋パッキン652は、先端がカップ41の内周面に当接し、カップ41と蓋体60の隙間に調理物が飛散して侵入することを効果的に防止する。
【0032】
第1蓋パッキン651及び第2蓋パッキン652は、後述する図22に示すように、蓋体60を開き傾動させたときに、その傾動範囲が、カップ41の鉛直領域J、すなわち、カップ口42の上側に収まるようにすることが好適である。これにより、蓋体60を開き傾動させたときに、蓋体60の下面に付着している調理物が垂れ落ちても、カップ口42からカップ41に戻る。従って、調理場を汚してしまうことはない。
【0033】
蓋パッキン65は、第2蓋パッキン652の内側に、図10に示すように、環状の指掛け片66を突設することができる。蓋本体61に蓋パッキン65を着脱する際に、ユーザーが外側から指80を掛ける部材である。図示の実施形態では、指掛け片66は、斜め下向きに傾斜した環状の突条である。蓋パッキン65が蓋本体61に装着されている状態から、図10(b)に示すように、指掛け片66に指80を掛けて摘まむことで、蓋パッキン65を容易に取り外すことができる。
【0034】
蓋体60には、カップ41に設けられた蓋体60を装着するための第1部材51、第2部材52、第3部材53とそれぞれ係合する第1係合部材71、第2係合部材72、第3係合部材73が設けられている。各部材の詳細は以下で説明する。
【0035】
<カップ41と蓋体60の状態>
調理容器30は、蓋体60が調理カップ40に対して、開き傾動不能且つ取外不能に固定される第1状態と、蓋体60が調理カップ40に開き傾動可能且つ取外不能な第2状態と、蓋体60が調理カップ40に着脱可能な第3状態を採ることができる。第1状態では、蓋体60は、図11に示すように、調理カップ40を塞ぎ、調理カップ40から開くことも取り外すこともできない状態であり、調理器本体20に装着して調理を行なうときに第1状態を採る。第2状態では、図12図13図13図15のセンターラインL2に沿って断面した断面図であって、蓋体60を開き傾動した状態を示す)に示すように、蓋体60を調理カップ40に対して開き傾動させて、調理物を注ぎ出すことができる状態である。第2状態では、蓋体60を取り外そうとして上向きに引っ張っても取外しができない状態である。第3状態は、図14に示すように、蓋体60を調理カップ40に着脱できる状態であり、蓋体60を取り外して、食材を投入や、お手入れ等を行なうことができる。
【0036】
上記第1状態から第2状態、第2状態から第3状態への移行、或いは、この逆への移行は、図15図16に示すように、蓋体60を調理カップ40に対して相対的に回転させることで行なうことができる。図15及び図16の(a)は第1状態、図15及び図16の(b)は第2状態、図15及び図16bの(c)は第3状態を示す。図示では、第1状態(a)から第3状態(c)への遷移は調理カップ40に対して蓋体60を平面視反時計回りに回転させているが、蓋体60を平面視時計回りに回転させてもよい。第1状態では、(a)に示すように、カップ41と蓋体60のセンターラインL1,L2が同一平面上で重なった状態であり、第2状態、第3状態は、(b)、(c)に示すように、センターラインL1,L2どうしが交差する状態である。なお、第2状態におけるセンターラインL1,L2どうしのなす角度をP度(たとえば5度)、第3状態におけるセンターラインL1,L2どうしのなす角度をQ度(たとえば10度)とする。
【0037】
<第1部材51と第1係合部材71>
カップ41の第1部材51と蓋体60の第1係合部材71は、図11乃至図14に示すように、取手44や蓋レバー62のある基端側に設けられ、蓋体60の開き傾動を許容するが蓋体60の基端側の浮き上がりを阻止する。
【0038】
第1部材51を図17図18に示す。図17は、調理カップ40の取手44の上部分を斜め下方から見た図である。また、図18は、第1部材51を下方から見た図である。図に示すように、カップ41の上縁43から外向き、すなわち、取手44と同じ方向に向けて突出して下向きに屈曲する引っ掛け片511である。引っ掛け片511は、外周がカップ41と同心の円弧状の外周円弧面512を有し、センターラインL1に対して左右対称形状としている。引っ掛け片511とカップ41の外面との間には、蓋体60を開き係合したときに、第1係合部材71が侵入する引っ掛け溝513が形成されている。なお、引っ掛け片511の補強を行なうために、図17では、引っ掛け片511の中央とカップ41との間に補強部514を設けている。
【0039】
具体的実施形態として、引っ掛け片511は、カップ41の中心から左右にP度以上Q度以下の円弧角となるように形成することができる。
【0040】
第1係合部材71は、図6乃至図9図9の線H-Hに沿う断面図19に示すように、蓋体60の蓋レバー62の下方から内向きに突出する係合爪711とすることができる。係合爪711は、蓋レバー62から下向きに突設された垂直壁63に設けることができる。係合爪711は、上面が第1部材51の引っ掛け片511の下縁に当接する高さに設けられる。
【0041】
そして、第1状態、第2状態では、図3の枠部の拡大図20に示すように、第1係合部材71の係合爪711が、第1部材51の引っ掛け片511の下縁に当たって引っ掛かることで、第1状態、第2状態において、蓋体60の基端側の浮き上がりは阻止される。
【0042】
一方で、次に説明する第2部材52と第2係合部材72が係合していない図15及び図16の(b)の第2状態では、蓋レバー62を下向きに押し下げることができる。この状態で、蓋レバー62を押し下げると、蓋体60は、係合爪711と引っ掛け片511の下縁の当接部分を支点とし、係合爪711の先端が引っ掛け溝513に進入し、蓋体60を開き傾動することができる。蓋体60が開き傾動したままカップ41を傾けることで、注ぎ口431から調理物を注ぎ出すことができる。
【0043】
なお、蓋体60をカップ41に対して回転させて、第1状態、第2状態を採ったときに、ユーザーがその状態遷移を感触で知ることができることが望ましい。たとえば、この構成を実現するために、図17図18に示すように、第1部材51は、引っ掛け片511の外周円弧面512に位置決め凹み515,516、図19に示すように、第1係合部材71には位置決め凹み515,516に嵌合可能な位置決め凸部712を設けた構造を例示できる。位置決め凹みは、センターラインL1と重なる外周円弧面512の中央に第1位置決め凹み515を設け、カップ41の中心から円弧角でP度離れた位置に第2位置決め凹み516を設けている。また、位置決め凸部712は、係合爪711の上部に垂直壁63に沿って突設している。これにより、蓋体60を回転させることで、位置決め凸部712が引っ掛け片511の外周円弧面512に沿って移動し、図16(a)、(b)に示すように、いずれかの位置決め凹み515,516に嵌まると、クリック感を得ることができる。そして、クリック感により、蓋体60が第1状態又は第2状態に遷移したことを知ることができる。具体的には、第3状態から1回クリック感があったときには第2状態、2回クリック感があったときには第1状態に遷移したことがわかる。
【0044】
<第2部材52と第2係合部材72>
カップ41の第2部材52と蓋体60の第2係合部材72も、基端側に設けられ、第1状態において、蓋体60の開き傾動を阻止する。
【0045】
たとえば、第2部材52は、図4図17等に示すように、取手44の端縁から上向きに延びる2枚の邪魔壁521である。邪魔壁521は、上端が第1部材51の引っ掛け片511の下端よりもやや下側に位置している。
【0046】
第2係合部材72は、6乃至図9に示すように、蓋体60の蓋レバー62の側縁から下向きに延びる2枚の邪魔板721とすることができる。邪魔板721は、第1係合部材71の垂直壁63の側縁に繋がっている。邪魔板721は、カップ41と蓋体60のセンターラインL1,L2を同一平面上で重なるように位置合わせした第1状態で、邪魔壁521と上下に重なる位置に設けられており、この状態で、邪魔壁521の上面に当たる高さを有する。
【0047】
そして、カップ41と蓋体60のセンターラインL1,L2を同一平面上で重なるように位置合わせすると、図3図15(a)に示すように、第2部材52と第2係合部材72は係合する。具体的には、図に示すように、邪魔壁521と邪魔板721が夫々当接する。この状態で蓋レバー62を下方向に押しても、邪魔板721が邪魔壁521に当たるから、蓋レバー62を下方向に押すことができず、蓋体60の開き傾動は阻止される。
【0048】
一方で、図15(b)に示すように、カップ41のセンターラインL1に対して蓋体60のセンターラインL2がP度となるように回転させると、第2部材52と第2係合部材72の係合が解かれる。具体的には、図21に示すように、邪魔壁521と邪魔板721の位置がずれる。この状態で、蓋レバー62を下方向に押すことで、図13図22に示すように、蓋体60を開き傾動させることができる。
【0049】
<第3部材53と第3係合部材73>
カップ41の第3部材53と蓋体60の第3係合部材73は、先端側に設けられ、第1状態において、蓋体60の先端側の浮き上がりを阻止する。
【0050】
たとえば、第3部材53は、図5に示すように、カップ41の先端から外向きに突出した開止片531である。開止片531は、センターラインL1上に下向きの開止面532を有する。
【0051】
一方、第3部材53と係合する第3係合部材73は、たとえば、図6乃至図9、拡大図23図24に示すように、開止面532と係合する当り片731である。当り片731は、蓋本体61の先端から下方に延びる繋ぎ片64の下端に設けることができる。当り片731は、繋ぎ片64から内向きに突出しており、第1状態では当り片731の上面が開止面532に当接するよう形成されている。
【0052】
カップ41と蓋体60のセンターラインL1,L2が重なる第1状態で、図25(a)に示すように、第3部材53と第3係合部材73は係合する。具体的には、開止面532の下方に当り片731が潜り込んで当接することで、蓋体60の先端側の浮き上がりを阻止できる。なお、図25は、図11の線I-Iに沿う断面図である。
【0053】
なお、カップ41は、第3部材53の下側には、蓋体60をカップ41に対して回して取り付ける際に、当り片731が開止面532の下に上手く潜り込むことができるように、ガイド534を設けることができる。ガイド534は、図5図25(a)に示すように、開止面532の下方が最も低い位置となり、左右に上向きに傾斜した傾斜面535を有する構成とすることができる。蓋体60をカップ41に取り付けるときには、図13の線I-Iに沿う断面図25(b)に示すように、蓋体60の先端を下向きに押しつつ、蓋体60を回すことで、当り片731は傾斜面535に沿って斜め下向きに移動する。そして、図25(a)に示すように、当り片731が最も低い位置まで移動したときに、当り片731が開止面532と当接する。
【0054】
上記ガイド534の傾斜面535は、蓋体60を第1状態から第2状態に回すと、当り片731が傾斜面535に沿って上向きに移動するから、蓋体60の先端をカップ41から持ち上げる。従って、図25(b)に示すように、傾斜面535の傾斜角度を蓋パッキン65がカップ41から浮く程度の傾斜とすることで、蓋体60を第1状態から第2状態に回転させるだけで、カップ41内が調理中に負圧になっていたり、蓋パッキン651,652がきつくカップ41に当たっていたりしても、蓋体60を容易に開き傾動することができる。
【0055】
なお、図2に示すように、調理器本体20の外装26に、蓋検知スイッチ28を内装する孔27を設けている場合、当該蓋検知スイッチ28に検知可能な検知用突起74が必要になる。この検知用突起74は、図8図9図24に示すように、当り片731の外周面に設けることができる。
【0056】
<蓋体60の開閉>
上記構成のカップ41と蓋体60の開閉動作について、図面を参照しながら説明する。
【0057】
調理容器30は、カップ41に蓋体60を装着して使用される。蓋体60は、カップ41のカップ口42に嵌め、水平面内で回転させることで装着できる。
【0058】
本発明では、蓋体60は、カップ41に対して取外し不能且つ開き傾動不能な第1状態と、第1状態から所定角度水平面内(P度、以下では約5度とする)で回転させ、開き傾動可能且つ取外し不能な第2状態と、さらに所定角度水平面内(以下では第1状態から約15度(Q度)、第2状態から約10度とする)で回転させた第3状態を遷移可能としている。第1状態では、カップ41のセンターラインL1と蓋体60のセンターラインL2が重なる。
【0059】
<第3状態>
順序が前後するが、まず、蓋体60を着脱できる第3状態について先に説明する。第3状態では、蓋体60を取り外して、カップ41のカップ口42に食材を投入できる。また、カップ41のお手入れを行なうことができる。カップ41には、予めカッターダイ取付開口46(図5参照)に調理具31を取り付けたカッターダイ32を装着しておく(図1参照)。
【0060】
蓋体60が外れている状態から、図14に示すように、蓋体60をカップ41に装着する。これには、カップ41のセンターラインL1に対して、蓋体60のセンターラインL2が15度(Q度)以上ずれた状態で、蓋体60をカップ41に近づけ、蓋体60をカップ41に載せる(図15(c))。第3状態では、上記した第1~第3部材51-53と、第1~第3係合部材71-73は何れも係合していないから、蓋体60の蓋パッキン651,652がカップ口42に嵌まるように載せることで、蓋体60をカップ41に装着できる。なお、この状態で、蓋体60を持ち上げることで、カップ41から蓋体60を取り外すことができる。
【0061】
<第1状態>
第3状態から蓋体60を下向きに押し付けながら回転させることで、第2状態を経て、第1状態に遷移する。なお、第2状態については後述する。
【0062】
蓋体60を図15(c)、図16(c)に示す第3状態から、取手44側に蓋レバー62が近づく方向に回転させる。図15図16の場合、平面視時計回りに蓋体60を回転させればよい。
【0063】
すると、カップ41と蓋体60は、第2状態(図15(b)、図16(b))を経て、まず、第1部材51に第1係合部材71が係合する。第2状態を経たときに、図16(b)に示すように位置決め凸部712が第2位置決め凹み516を通過するから、ユーザーはクリック感を得ることができる。
【0064】
第2状態を経ることで、カップ41の基端側では、第1部材51の引っ掛け片511の下に第1係合部材71の係合爪711が侵入する。また、カップ41の先端側では、第3係合部材73の当り片731がガイド534に沿って斜め下向きに移動し(図25(b))、蓋体60の先端側が徐々にカップ41の上縁43に近づいていく。また、蓋パッキン651,652は、カップ41に侵入して押し潰されていく。
【0065】
そして、センターラインL1,L2が重なるまで蓋体60を回転させると(図15(c)、図16(c))、図25(a)に示すように、第3部材53の当り片731が、第3部材53の開止片531の下に潜り込み、開止面532と当接する。また、第2部材52の邪魔壁521と、第2係合部材72の邪魔板721が上下に整列し、図15(a)に示すように、邪魔壁521の下面と邪魔板721の上面が当接する。このとき、図16(a)に示すように、位置決め凸部712は、第1位置決め凹み515に嵌まるから、ユーザーはクリック感を得ることができる。また、蓋パッキン651,652は、カップ41と蓋体60を気密に塞ぐ。
【0066】
第1状態において、第1部材51と第1係合部材71が係合している、すなわち、係合爪711が引っ掛け片511の下側に嵌まっているから(図11図20)、蓋体60の基端側は上向きに浮き上がることができない。また、図15(a)、図20に示すように、第2部材52と第2係合部材72が係合している、すなわち、邪魔壁521と邪魔板721が整列し、当接することで、蓋レバー62を下向きに押しても、蓋レバー62は下に移動せず、蓋体60の開き傾動は阻止される。さらに、図11図25(a)に示すように、第3部材53と第3係合部材73が係合している、すなわち、当り片731が開止片531の下に潜って開止面532に当接しているから、蓋体60の先端側は上向きに持ち上げることができない。
【0067】
従って、第1状態では、蓋体60は、カップ41に密着し、取外しや蓋浮きがない状態を維持できる。また、蓋レバー62を操作しても、蓋体60は開き傾動しない。然して、図1に示すように、第1状態で調理容器30を調理器本体20に装着することで、食材の調理を行なうことができる。
【0068】
調理器本体20に蓋検知スイッチ28を内装した孔27を設けた場合、蓋体60を正しくカップ41に装着、すなわち、第1状態まで蓋体60を回転させて装着したときに、蓋体60の当り片731は、図15(a)に示すように、カップ41のセンターラインL1と整列する。この状態で、調理容器30を調理器本体20に装着することで、図26(a)に示すように検知用突起74は、孔27に嵌まって蓋検知スイッチ28を押下し、モーター21に通電可能とすることができる。蓋体60が装着されていない、或いは、蓋体60が正しくカップ41に装着されていないときには、調理容器30を調理器本体20に装着しても、図26(b)に示すように、検知用突起74は、孔27に嵌まらないから、蓋検知スイッチ28は押下されず、誤ってモーター21が回転してしまうことを防止できる。
【0069】
<第2状態>
第1状態から蓋体60を左右いずれかの方向に回転させることで、第2状態に遷移する。第2状態では、蓋体60は上に引っ張っても取り外すことができないが、蓋レバー62を下に押し込むことで、図13図22に示すように、蓋体60を開き傾動することができ、注ぎ口431から調理物を注ぎ出すことができる。
【0070】
具体的には、図15(a)、図16(a)に示す状態から、たとえば、平面視反時計回りに蓋体60を回転させることで、第2部材52と第2係合部材72の係合が解かれる。すなわち、図21図22に示すように、邪魔壁521と邪魔板721が位置ずれする。また、25(b)に示すように、第3部材53と第3係合部材73の係合が解かれ、当り片731が開止片531から離れる。本実施形態では、開止片531の下方には、斜め上向きの傾斜面535を有するガイド534が設けられているから、蓋体60を第1状態から回転させることで、図25(b)に示すように、当り片731が傾斜面535に沿って斜め上向きに移動し、蓋体60の先端がカップ41の上縁から離れる。これにより、蓋パッキン651,652が上縁43から離れるから、カップ41内が負圧であっても、蓋体60を容易に開き傾動することができる状態となる。
【0071】
第2状態に遷移したことは、図16(b)に示すように、位置決め凸部712が第2位置決め凹み516に嵌まるクリック感でユーザーは知ることができる。
【0072】
第2状態では、上記のとおり、第2部材52と第2係合部材72の係合、第3部材53と第3係合部材73の係合は解かれている。一方、図13に示すように、第1部材51と第1係合部材71は依然として係合、すなわち、係合爪711が引っ掛け片511に引っ掛かったままである。従って、蓋体60を引っ張り上げても蓋体60が外れることはない。
【0073】
この第2状態では、上記のとおり蓋体60の取り外しはできないが、蓋レバー62を押し下げることで、蓋体60は、図13に示すように、引っ掛け片511と係合爪711の当接部分を支点として開き傾動できる。ユーザーは、たとえば、親指以外の四指で取手44を掴み、カップ41を持ち上げ、親指で蓋レバー62を押し下げながらカップ41を傾けることで、図11に示すように蓋体60を開き傾動させて、調理物を注ぎ口431から注ぎ出すことができる。図示では、蓋体60の開き傾動角度は約30度である。
【0074】
蓋体60の開き傾動は、上記のように片手で行なうことができるから操作性にすぐれる。また、蓋体60を取り外さなくても蓋体60を傾けて注ぎ口431から調理物を注ぎ出すことができるから、蓋体60の着脱に伴って調理物が垂れ落ちることを防止でき、調理場が汚れるなどのユーザーのストレスを抑えることができる。
【0075】
なお、蓋体60の蓋パッキン651,652は、蓋体60を開き傾動しても、図13に示すように、カップ41のカップ口42の上(J)に位置するようにしているから、蓋パッキン651,652を伝って垂れ落ちる調理物をカップ41に戻すことができ、調理場の汚れを抑えることができる。
【0076】
第2状態から蓋体60を取り外したい場合には蓋体60をさらに回転させて、図15(c)、図16(c)に示すように、第3状態に遷移させればよい。これにより、第1部材51と第1係合部材71の係合が解かれて、図14に示すように、蓋体60が着脱可能となる。もちろん、第2状態から蓋体60を第1状態に戻すこともできる。
【0077】
本発明によれば、蓋体60を回転させることで、カップ41に開閉不能且つ取外不能の第1状態、カップ41に対して蓋体60が開き傾動可能且つ取外不能な第2状態、さらに、蓋体60をカップ41に着脱可能な第3状態を採ることができる。
【0078】
上記説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或いは範囲を限縮するように解すべきではない。また、本発明の各部構成は、上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0079】
10 ミキサー(調理器)
20 調理器本体
30 調理容器
40 調理カップ
41 カップ
43 上縁
44 取手
51 第1部材
511 引っ掛け片
52 第2部材
521 邪魔壁
53 第3部材
531 開止片
534 ガイド
65 蓋パッキン
651 第1蓋パッキン
652 第2蓋パッキン
66 指掛け片
71 第1係合部材
711 係合爪
72 第2係合部材
721 邪魔板
73 第3係合部材
731 当り片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
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図20
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図26