IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イルミナ インコーポレイテッドの特許一覧

特開2024-96279DNA処理のためのポリマービーズの調節
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096279
(43)【公開日】2024-07-12
(54)【発明の名称】DNA処理のためのポリマービーズの調節
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/34 20060101AFI20240705BHJP
   C12Q 1/6844 20180101ALI20240705BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALI20240705BHJP
   C12Q 1/68 20180101ALI20240705BHJP
   C12Q 1/6806 20180101ALI20240705BHJP
   C12Q 1/6874 20180101ALI20240705BHJP
   C12Q 1/6876 20180101ALI20240705BHJP
【FI】
C12M1/34 Z ZNA
C12Q1/6844 Z
C12Q1/6869 Z
C12Q1/68
C12Q1/6806 Z
C12Q1/6874 Z
C12Q1/6876 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024073786
(22)【出願日】2024-04-30
(62)【分割の表示】P 2021515482の分割
【原出願日】2019-10-24
(31)【優先権主張番号】62/704,028
(32)【優先日】2018-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500358711
【氏名又は名称】イルミナ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ノーバーグ
(72)【発明者】
【氏名】ディミトリー ケー. ポコロック
(72)【発明者】
【氏名】ラメシュ ラムジ
(72)【発明者】
【氏名】フランク ジェイ. スティーマーズ
(72)【発明者】
【氏名】ファン ジャン
(57)【要約】
【課題】DNA処理のためのポリマービーズの調節の提供。
【解決手段】本明細書に提供されるシステム、方法、及び組成物は、生体分子に対して連続的な反応を実行するための、生体分子を封入するビーズの調製に関する。いくつかの実施形態は、ビーズ内での核酸反応の調製を含み、ビーズは、対象とする他の分子を保持しながら、ビーズの中又は外への分子の拡散を可能にする細孔を含む。いくつかの実施形態では、ビーズは、多孔質ヒドロゲルビーズ又は多孔質中空ビーズである。いくつかの実施形態では、ビーズは、複数のポリマー層を含み、各層は、別個の細孔サイズ及び細孔密度を有する。いくつかの実施形態では、細孔は、電荷、pH、又は温度の変化に基づいて、サイズが調節される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に提供されるシステム、方法、及び組成物は、ポリマービーズと、生体分子をポリマービーズ内に封入する方法と、例えば、空間インデックス配列決定及び核酸ライブラリ調製を含む、封入された生体分子に対するアッセイを行うためのポリマービーズを使用する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
生体試料中に存在する特定の核酸配列の検出は、例えば、微生物の同定及び分類、感染性疾患の診断、遺伝子異常の検出及び特徴付け、癌などの様々な疾患に関連する遺伝子変化の同定、疾患に対する遺伝的感受性の研究、又は様々な種類の治療に対する応答の測定のための方法として使用されている。生体試料の核酸配列を検出するには、複数の酵素反応が、核酸配列を最終的に決定すること、又は核酸ライブラリを生成することが必要になる。
【0003】
単一細胞に対して複数の酵素反応を実行することは、複数のアッセイを介して単一細胞内の細胞内生体分子を閉じ込めてアクセスすることが困難であるため信頼性がない。多くの細胞系アッセイは、細胞内分子を固定できず、アッセイの実行中に生体分子の損失をもたらす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
いくつかの実施形態は、複数の共アッセイ反応を実行するためのポリマービーズに関する。いくつかの実施形態では、ポリマービーズは、ヒドロゲルポリマー前駆体、架橋剤、及びポリマービーズ内に配置された生体分子を含み、ビーズは、生体分子を保持しながら、ビーズを通して1つ以上の試薬の拡散を可能にする細孔を含む。いくつかの実施形態では、ビーズは、多孔質ヒドロゲルビーズ又は多孔質中空ビーズである。いくつかの実施形態では、ビーズは、複数のポリマー層を含み、各層は、別個の細孔サイズ及び細孔密度を有する。いくつかの実施形態では、細孔は、電荷、pH、又は温度の変化に基づいて、サイズが調節される。
【0005】
いくつかの実施形態は、ポリマービーズ内に封入された生体分子に対して複数の連続的な共アッセイを実行する方法に関する。いくつかの実施形態では、方法は、生体分子を封入するポリマービーズを得ることを含み、ポリマービーズは、ヒドロゲルポリマー前駆体、架橋剤、及びポリマービーズ内に配置された生体分子を含み、ビーズは、生体分子を保持しながら、ビーズを通して1つ以上の試薬の拡散を可能にする細孔を含む。いくつかの実施形態では、方法は、単一細胞を試薬と連続的に接触させて、複数の連続的な共アッセイを実行することを更に含む。いくつかの実施形態では、方法は、電荷、pH、又は温度を調整することによって、ポリマービーズの細孔のサイズを調節することを更に含む。いくつかの実施形態では、ポリマービーズは、複数のポリマー層を含み、各ポリマー層は、別個のサイズの細孔を有する。いくつかの実施形態では、各ポリマー層の細孔サイズは、電荷、pH、又は温度を変化させることによって具体的に調節される。いくつかの実施形態では、複数の連続的な共アッセイには、溶解、DNA分析、RNA分析、タンパク質分析、タグメンテーション、核酸増幅、核酸配列決定、DNAライブラリ調製、配列決定を使用するトランスポゼースアクセス可能クロマチンのためのアッセイ(assay for transposase accessible chromatic using sequencing、ATAC-seq)、連続性保
存転位(contiguity-preserving transposition、CPT-seq)、単一細胞組み合わせインデックス化配列決定(single cell combinatorial indexed sequencing、SCI-seq)、若しくは単一細胞ゲノム増幅、又は連続的に実行されるそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】フローセル上ライブラリ調製及び播種による長いDNAの空間インデックス化のための実施形態を示す概略図である。
【0007】
図1B】長いDNA分子を封入するポリマービーズを使用した空間インデックス化を示す概略図である。試薬をポリマービーズ上で使用して、フローセル表面上にライブラリを空間的に生成してもよい。
【0008】
図2】長いDNAをポリマービーズ内に封入し、ポリマービーズ内でライブラリを調製し、それをフローセルデバイス上でクラスタ化及び配列決定し得るフロー図である。
【0009】
図3】約100kbのDNA断片(多置換増幅(multiple displacement amplification、MDA)工程(パネル(a))を含まない、又は、タグメンテーション前のMDA工程(パネル(b))を含む)及び約10~20kbのDNA断片(パネル(c))を含む、ポリマービーズ内に封入された長いDNAのDNA配列決定のワークフローを示す概略図である。
【0010】
図4】MDAを含まない100kbのDNA断片からの長いDNAヒドロゲルの空間インデックス化配列決定データのストロボリードを示すグラフである。
【0011】
図5】MDAを含む100kbのDNA断片上の、長いDNAヒドロゲルの空間インデックス化の連結されたリードの線グラフを示す。
【0012】
図6】MDAを含む10kbのDNA断片上の、長いDNAヒドロゲルの空間インデックス化の連結されたリードの線グラフを示す。
【0013】
図7A】ポリマービーズ内に封入された長いDNAの空間リードの線グラフを示す。図7Aは、ポリマービーズ内に封入された細胞の空間リードを示し、挿入画は、ポリマービーズ内の細胞を示す顕微鏡写真を示す。
図7B】ポリマービーズ内に封入された長いDNAの空間リードの線グラフを示す。図7Bは、ポリマービーズ内に封入された長いDNA断片の空間リードを示し、挿入画は、ビーズ内に封入された断片を示す顕微鏡写真を示す。
【0014】
図8】ポリマービーズ内に封入された微生物種の同定を示す顕微鏡写真を示す。ポリマービーズは、様々な微生物種を封入し、空間配列決定リードを実行して微生物を同定した。
【0015】
図9】ポリマービーズ内に封入する長いDNAのバーコードリードの分布を示すグラフを示す。
【0016】
図10A】ポリマービーズ内に封入されたE.coli細胞の単一の実験からの、短いリード及び連結されたリードを示すグラフを示す。図に示されるように、連結されたリードの範囲は、反復領域にわたって広がり、デノボ配列アセンブリを改善し得る。
図10B】空間的に連結されたリード及び間質の短いリードを示す顕微鏡写真を示す。
【0017】
図11A】細孔サイズ及び細孔密度に基づく分子のポリマービーズ内への拡散を示す概略図である。
図11B】ポリマービーズの外側の分子の拡散を示す概略図である。
【0018】
図12】ポリマービーズ内の核酸ライブラリの保持を示す概略図である。
【0019】
図13A】核酸サイズの関数としてのポリマービーズ内への核酸の拡散を示すグラフを示す。グラフは、ポリマービーズ内の小さいアンプリコン(220bp~1kbp)の入口を表し、長いアンプリコンは、ポリマービーズ内に拡散しない。
図13B】核酸サイズの関数としてのポリマービーズ内への核酸の拡散を示すグラフを示す。グラフは、ポリマービーズ内の小さいアンプリコン(220bp~1kbp)の入口を表し、長いアンプリコンは、ポリマービーズ内に拡散しない。
【0020】
図14】多孔質中空ビーズの顕微鏡写真を示し、200塩基対及び5000塩基対のDNA断片の両方のための多孔質中空ビーズ内のPCR系増幅を示す。
【0021】
図15】各層が異なる細孔サイズを有する多層ポリマービーズを示す概略図を示し、各層の細孔サイズは、環境条件の変化に基づいて別々に調節され得る。
【0022】
図16A】犠牲ポリアクリルアミドコアを含む安定化シェルを有するポリマービーズを示す。図16Aは、N,N’-(1,2-ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド(DHEBA)と、アクリレート-PEG及びペルオキソ二硫酸カリウム(KPS)とのシェルを有するポリマービーズの構造を概略的に示す。コアは、試料(細胞又はDNA)と混合されるPEG又はポリアクリルアミドなどの充填剤コアである。
図16B】犠牲ポリアクリルアミドコアを含む安定化シェルを有するポリマービーズを示す。図16Bは、ビーズの周囲のシェルの形成を示す。
図16C】犠牲ポリアクリルアミドコアを含む安定化シェルを有するポリマービーズを示す。図16Cは、犠牲ポリアクリルアミドコアを含むDHEBAシェルの顕微鏡写真を示す。
【0023】
図17A】犠牲アガロースコアを含む安定化シェルを有するポリマービーズを示す。図17Aは、試料(細胞又はDNA)と混合されたアガロースコアを含むDHEBAシェルの構造を概略的に示す。
図17B】犠牲アガロースコアを含む安定化シェルを有するポリマービーズを示す。図17Bは、アガロースコアを含むDHEBAシェルの顕微鏡写真を示す。
図17C】犠牲アガロースコアを含む安定化シェルを有するポリマービーズを示す。図17Cは、アガロースコアを有するDHEBAシェルの温度溶融の顕微鏡写真を示す。
【0024】
図18A】蛍光開始ゲル化を示す。図18Aに示されるように、生細胞をゲル化開始物質、FITC-AETCと接触させる。FITC-AETCコーティングされた細胞は、細胞の周囲にゲルビーズを形成する放射線及びモノマーに供される。
図18B】蛍光開始ゲル化を示す。図18Bは、FITC-AETCで処理されていない対照細胞と比較した、FITC-AETC処理細胞の励起顕微鏡を含む顕微鏡写真を示す。図18Cは、様々な条件下での、細胞のFITC開始ゲル化の顕微鏡写真を示す。
図18C】蛍光開始ゲル化を示す。図18Cは、様々な条件下での、細胞のFITC開始ゲル化の顕微鏡写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の「発明を実施するための形態」では、本明細書の一部を形成する添付の図面を参照する。図面において、同様の記号は、文脈上別の意味を指示しない限り、典型的には同様の構成要素を識別する。発明を実施するための形態、図面、及び特許請求の範囲に記載される例証的な実施形態は、限定することを意図するものではない。他の実施形態を利用してもよく、本明細書に提示される主題の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他の変更を行ってもよい。本明細書に一般的に記載され、かつ図面に示されるような本開示の態様を、多種多様な異なる構成で配列、置換、組み合わせ、分離、及び設計することができ、その全てが本明細書において明示的に企図されることが容易に理解される。
【0026】
実施形態は、生体分子をポリマービーズ内に封入し、封入された生体分子に対して1つ以上のアッセイを実行するための組成物、システム、及び方法に関する。ポリマービーズは、生体分子をビーズ内に保持するが、分析中の生体分子を保持しながら、試薬などのより小さい分子のポリマービーズの中及び外への拡散を可能にする。本明細書に開示されるように、ポリマービーズは、細孔を含み、細孔のサイズ及び密度は、ポリマービーズの中又は外に拡散するサイズ又は分子を制御するように調節される。
【0027】
一実施形態では、ポリマービーズは、1つ以上の生体分子を封入又は含有する均一な多孔質ヒドロゲルマトリックスである。別の実施形態では、ポリマービーズは、多孔質ヒドロゲルシェル及び中空内部を有する中空ビーズであり、生体分子は、中空内部に封入されている。いくつかの実施形態では、ポリマービーズは、均一な多孔質ヒドロゲルマトリックス又は中空ビーズにかかわらず、複数のポリマー層を含み得、各ポリマー層は、細孔サイズなどの別個の特性を有する別個のマトリックスである。いくつかの実施形態では、各ポリマー層を制御可能に調節して、各ポリマー層の細孔のサイズを調整し、それによって、ユーザが制御可能な段階的様式でポリマービーズの中及び外への分子の拡散を制御することが可能になる。いくつかの実施形態では、各ポリマー層は、pH、電荷、又は温度などの環境条件を変化させることによって制御可能に調節され、それによって、環境条件の変化が、ビーズ又はビーズシェルの細孔サイズを調節し、それによって、制御可能かつ段階的な様式での分子又は試薬によるビーズからの放出又はビーズ内への侵入が可能になる。
【0028】
本明細書に記載の実施形態は、ポリマービーズに封入された生体分子に対して連続的な反応を実行する、信頼性があり、かつハイスループットのシステム及び方法を含む。本明細書に記載の方法及びシステムは、例えば、溶解、DNA分析、RNA分析、タンパク質分析、タグメンテーション、核酸増幅、核酸配列決定、DNAライブラリ調製、配列決定を使用するトランスポゼースアクセス可能クロマチンのためのアッセイ(ATAC-seq)、連続性保存転位(CPT-seq)、単一細胞組み合わせインデックス化配列決定(SCI-seq)、若しくは単一細胞ゲノム増幅、又は連続的に実行されるそれらの任意の組み合わせを含む、封入された生体分子に対する1つ以上のアッセイを実行することに関する。
【0029】
一実施形態は、生体分子をポリマービーズ内に封入し、生体分子を封入するポリマービーズをフローセルデバイス上に装填し、核酸ライブラリを調製し、調製されたライブラリをフローセルデバイスの表面上に放出し、放出されたライブラリをクラスタ化及び配列決定する方法である。いくつかの実施形態では、生体分子は、細胞、タンパク質、核酸、DNA、RNA、又はそれらの任意の誘導体若しくは類似体である。
【0030】
いくつかの実施形態では、ライブラリを調製することは、ポリマービーズ内に単離されたDNAのタグメンテーションを含む。封入されたDNAのタグメンテーションは、より長いDNA配列をより短いタグメンテーション断片に開裂し、次いで、これを使用して、フローセルの表面上にDNAのクラスタを生成する。クラスタは、長いDNAのタグメンテーション断片の産物であり、例えば、その各々は、SBS配列決定を使用して配列決定され得る。単一の長いDNA分子からのクラスタの群は、本明細書では「長いDNAアイランド」と呼ばれる。いくつかの実施形態では、単一のポリマービーズは、単一の長いDNA分子又は複数の長いDNA分子を封入してもよい。各長いDNA分子は、単一の長いDNAアイランドを生成する。単一のポリマービーズ内の全ての長いDNAアイランドのクラスタは、本明細書では「クラスタクラウド」と呼ばれる。したがって、クラスタクラウドは、単一のポリマービーズ内の全てのクラスタを表し、多くの長いDNAアイランド(各長いDNAアイランドが単一の長いDNA分子を表す)を含んでもよく、各長いDNAアイランドは、複数のクラスタを含む。
【0031】
ビーズは、長いDNA分子などの核酸、又は核酸を含有する源などの生体分子の存在下で混合されるヒドロゲルポリマー及び架橋剤を含み得、次いで、生体分子を封入するポリマービーズを形成する。いくつかの実施形態では、核酸源は、細胞である。
【0032】
いくつかの実施形態では、ビーズ細孔は、1000塩基対未満の分子、例えば、100、200、300、400、500、600、700、800、900未満、若しくは1000塩基対以下、又は上述の値のうちのいずれか2つによって規定される範囲内の量である分子の拡散を可能にするが、前述の値を超える化合物を保持する(又は化合物の拡散を可能にしない)。したがって、いくつかの実施形態では、ポリマービーズは、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、3000、4000超、若しくは5000塩基対以上、又は前述の値のうちのいずれか2つによって規定される範囲内の量を保持する(又は化合物の拡散を可能にしない)。
【0033】
いくつかの実施形態は、生体分子を封入するビーズを使用して、例えば、長いDNA分子のハイスループット空間インデックス化を含む核酸反応を実行する方法を含む。図1Aに示されるように、長いDNA分子からのライブラリ調製は、表面上の「クラスタパッチ」として、単一の長いDNA分子からのクラスタをクラスタ化及び播種することによって容易に調製され得、次いで、これを読み取り、空間的にマッピングすることができる。本明細書で使用するとき、「長いDNA」という用語は、300塩基対を超えるDNA断片を含み得る。本明細書で使用するとき、長いDNA断片は、1kb、2.5kbを超える、5kb以上、例えば10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、300、400、若しくは500kb以上の長さのDNAを指し、前述の値のうちのいずれか2つによって規定される範囲内の量を含む。
【0034】
いくつかの実施形態は、単一のビーズを使用して、ゲノム試料を一連の長いDNA断片に断片化する方法を含む。次いで、単一のビーズをフローセル上の1つの特定の位置に接着することができ、そこで、長いDNA断片の各々がフローセル表面上で互いに隣接して位置付けられるように、長いDNA断片が堆積される。次いで、フローセルを、ILLUMINA HISEQシステムなどのヌクレオチド配列決定システム内で使用して、各長いDNA断片からヌクレオチド配列を決定してもよい。DNA断片はフローセル表面上で互いに隣接して配置されるため、システムは、この空間位置データを使用して、元のゲノムDNAの最終ヌクレオチド配列をより効率的に再構築し得る。システムは、単一細胞、長いDNA断片、又は染色体から、空間的に共に位置するリードを直接堆積させ得る。いくつかの実施形態では、方法は、ライブラリ調製のための低インプット、PCRフリーワークフローを可能にする。いくつかの実施形態では、方法は、分子バーコーディングを必要とせずに実行されてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態は、生体分子を封入するポリマービーズを調製する方法に関する。いくつかの実施形態では、長いDNAを封入するポリマービーズを使用して、細胞ゲノムを処理し、ビーズ内でDNAライブラリ調製を実行することができる。いくつかの実施形態では、長いDNA断片を封入するポリマービーズは、単一細胞を封入し、これを使用して、細胞ゲノムDNAを処理し、及びビーズ内でDNAライブラリ調製全体を実行することができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、ポリマービーズの細孔サイズは、より大きな核酸(>300bp)を保持しながら、長いDNA断片及び産生されたDNAライブラリが、処理中にポリマービーズ内に保持され得るように、酵素、化学物質、及びより小さいサイズのプライマー(<50bp)の拡散を可能にするように操作され得る。いくつかの実施形態では、特定のプライマーを、ポリマービーズマトリックス内で化学的に連結して、特定のゲノムDNAをハイブリダイズ及び処理することができる。次いで、単一細胞からのDNAライブラリを、例えば、ライブラリ播種のためのフローセル表面上の特定の領域に放出することができる。続いて、これにより、封入された長いDNA断片から生じるフローセル上の「DNAクラスタ」の空間的分布がもたらされ、したがって、後処理中のリードアライメントが簡略化される。
【0037】
本明細書で使用するとき、ポリマービーズという用語は、多孔質ヒドロゲルビーズ又は多孔質中空ビーズを指す。いくつかの実施形態では、ポリマービーズは、多孔質ヒドロゲルビーズとして調製される。多孔質ヒドロゲルビーズは、ビーズ全体にわたって相対的均一性の多孔質マトリックスを有するビーズである。本明細書に記載されるように、多孔質ヒドロゲルビーズは、生体分子を封入し、多孔質ヒドロゲルビーズの中又は外への分子の拡散を可能にする細孔を含む。細孔はまた、pH、温度、又は電荷などの環境条件の変化に基づいて細孔のサイズを変化させるように調節されてもよく、それによって、制御可能な様式で多孔質ヒドロゲルビーズの中又は外への分子の拡散が可能になる。いくつかの実施形態では、多孔質ヒドロゲルビーズは、1つ以上の種類のポリマーを含んでもよく、各ポリマーは、別個の細孔サイズ及び細孔密度を有し、各ポリマーは、環境条件の変化に基づいて異なるサイズの分子の拡散を可能にするように別々に調節される。
【0038】
いくつかの実施形態では、ポリマービーズは、多孔質中空ビーズとして調製される。多孔質中空ビーズは、多孔質ポリマーシェルを有するが中空内部を有するビーズである。本明細書に記載されるように、多孔質中空ビーズは、生体分子を中空内部内に封入する。ポリマーシェルの細孔は、中空内部の中又は外への分子の拡散を可能にし、pH、温度、又は電荷などの環境条件の変化に基づいて細孔のサイズを変化させるように調節することができ、それによって、制御可能な様式で中空内部の中又は外への分子の拡散が可能になる。いくつかの実施形態では、多孔質中空ビーズは、複数の多孔質ポリマーシェルを含み、各シェルは、別個の細孔サイズ及び細孔密度を有し、各シェルは、環境条件の変化に基づいて異なるサイズの分子の拡散を可能にするように別々に調節される。例えば、図15に示されるように、多孔質中空ビーズは、複数のポリマーシェルを有する中空内部(又は中空コア)を有し得る。図15は、ポリマー1、ポリマー2、及びポリマー3のような、図15に参照される、3つの多孔質ポリマーシェルを有する多孔質中空ビーズを示す。分子は、多孔質中空ビーズ内に保持され、第1のポリマーの調節は、ポリマーシェルを通して第1の分子の拡散をもたらす。第2のポリマーの調節は、ポリマーシェルを通して第2の分子の拡散をもたらす。当業者であれば、図15に示される例が例示的であること、及び多孔質中空ビーズの中又は外への分子の拡散を制御するために複数の多孔質ポリマーシェルを使用してもよいことを認識するであろう。例えば、多孔質中空ビーズは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上の別個のポリマーシェルを含んでもよく、各ポリマーシェルは、特定の細孔サイズ及び細孔密度を有し、各ポリマーシェルは、多孔質中空ビーズの中又は外への分子の拡散を制御するように調節することができる。
【0039】
本明細書で使用するとき、「試薬」という用語は、試料と反応する、それと相互作用する、それを希釈する、又はそれを添加するのに有用な薬剤又は2つ以上の薬剤の混合物を表し、例えば、緩衝剤、化学物質、酵素、ポリメラーゼ、50塩基対未満のサイズを有するプライマー、テンプレート核酸、ヌクレオチド、標識、染料、又はヌクレアーゼを含む、核酸反応に使用される薬剤を含み得る。いくつかの実施形態では、試薬には、リゾチーム、プロテイナーゼK、ランダムヘキサマー、ポリメラーゼ(例えば、Φ29DNAポリメラーゼ、Taqポリメラーゼ、Bsuポリメラーゼ)、トランスポゼース(例えば、Tn5)、プライマー(例えば、P5及びP7アダプタ配列)、リガーゼ、触媒酵素、デオキシヌクレオチドトリホスフェート、緩衝剤、又は二価カチオンが含まれる。
生体分子を封入するポリマービーズ
【0040】
一実施形態は、ヒドロゲルポリマー及び生体分子を含むビーズを含む。本明細書で使用するとき、「ヒドロゲル」という用語は、有機ポリマー(天然又は合成)が共有結合、イオン結合、又は水素結合を介して架橋されて、水分子を捕捉してゲルを形成する三次元開放格子構造を作成するときに形成される物質を指す。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、生体適合性ヒドロゲルであり得る。本明細書で使用するとき、「生体適合性ヒドロゲル」という用語は、生体細胞に対して毒性ではなく、生存性を維持するために、封入された細胞への酸素及び栄養素の十分な拡散を可能にするゲルを形成するポリマーを指す。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルポリマーは、水などの60~90%の液体と、10~30%のポリマーとを含む。ある特定の実施形態では、ヒドロゲルの含水量は、約70~80%である。
【0041】
ヒドロゲルは、親水性バイオポリマー又は合成ポリマーを架橋することによって調製され得る。したがって、いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、架橋剤を含み得る。本明細書で使用するとき、「架橋剤」という用語は、適切なベースモノマーと反応したときに三次元ネットワークを形成し得る分子を指す。1つ以上の架橋剤を含み得るヒドロゲルポリマーの例としては、ヒアルロナン、キトサン、寒天、ヘパリン、サルフェート、セルロース、アルギネート(アルギネートサルフェートを含む)、コラーゲン、デキストラン(デキストランサルフェートを含む)、ペクチン、カラギーナン、ポリリシン、ゼラチン(ゼラチン型A)、アガロース、(メタ)アクリレート-オリゴラクチド-PEO-オリゴラクチド-(メタ)アクリレート、PEO-PPO-PEOコポリマー(Pluronics)、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(N-ビニルピロリドン)、PL(G)A-PEO-PL(G)Aコポリマー、ポリ(エチレンイミン)、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol、PEG)-チオール、PEG-アクリレート、マレイミド(maleimide、MAL)、PEG/MAL、アクリルアミド、N,N’-ビ
ス(アクリロイル)シスタミン、PEG、ポリプロピレンオキシド(polypropylene oxide、PPO)、ポリアクリル酸、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)(poly(hydroxyethyl methacrylate)、PHEMA)、ポリ(メチルメタクリレート)(poly(methyl methacrylate)、PMMA)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(poly(N-isopropylacrylamide)、PNIPAAm)、ポリ(乳酸)(poly(lactic acid)、P
LA)、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(poly(lactic-co-glycolic acid)、PLGA)、ポリカプロラクトン(polycaprolactone、PCL)、ポリ(ビニルスルホン酸)(poly(vinylsulfonic acid)、PVSA)、ポリ(L-アスパラギン酸)、ポリ(L-
グルタミン酸)、ビスアクリルアミド、ジアクリレート、ジアリルアミン、トリアリルアミン、ジビニルスルホン、ジエチレングリコールジアリルエーテル、エチレングリコールジアクリレート、ポリメチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシル化トリメチロールトリアクリレート、若しくはエトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。したがって、例えば、組み合わせには、ポリマー及び架橋剤、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)-チオール/PEG-アクリレート、アクリルアミド/N、N-ビス(アクリロイル)システミン(bis(acryloyl)cystamine、BACy)、PEG/ポリプロピレンオキシド(polypropylene oxide、PPO)、又はN,N’-(1,2-ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド(N,N’-(1,2-dihydroxyethylene)bisacrylamide、DHEBA)が挙げられ得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、架橋剤は、ヒドロゲルポリマー中にジスルフィド結合を形成し、それによってヒドロゲルポリマーを連結する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルポリマーは、ヒドロゲルマトリックス又は細孔を有するポリマーシェルを形成する。細孔は、ポリマービーズ内に十分に大きい分子、例えば長いDNA断片を保持することができるが、試薬などの小さな材料が細孔を通過し、それによってポリマービーズの中及び外を通過することを可能にする。いくつかの実施形態では、細孔サイズは、ポリマー濃度の架橋剤濃度に対する比率を変動させることによって微調整される。いくつかの実施形態では、ポリマーの架橋剤に対する比率は、30:1、25:1、20:1、19:1、18:1、17:1、16:1、15:1、14:1、13:1、12:1、11:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:15、1:20、若しくは1:30、又は前述の比率のうちのいずれか2つによって規定される範囲内の比率である。いくつかの実施形態では、DNAプライマー、又は荷電荷学基などの追加の機能をポリマーマトリックスにグラフト化して、異なる用途の要件を満たすことができる。
【0043】
更に、いくつかの実施形態では、細孔は、pH、電荷、又は温度を変化させることを含めて、ポリマービーズが位置する環境条件を変化させることによって、サイズ又は密度を調節、調整、変動、修正、適合、又は適応することができる。細孔の調整は、環境に対して増分変化を加えることによって制御可能な様式で行うことができ、それにより、制御可能な方式で分子の拡散が可能になる。
【0044】
本明細書で使用するとき、「多孔性」という用語は、開放空間、例えば、細孔又は他の開口部から構成されるヒドロゲルの体積分率(無次元)を意味する。ゆえに、多孔性は、材料中の空隙を測定し、0~100%(又は0~1)の割合のような、全体積に対する空隙体積の分率である。ヒドロゲルの多孔性は、0.5~0.99、約0.75~約0.99、又は約0.8~約0.95の範囲であり得る。
【0045】
ヒドロゲルは、任意の細孔サイズを有し得る。本明細書で使用するとき、「細孔サイズ」という用語は、細孔の断面の直径又は有効直径を指す。「細孔サイズ」という用語はまた、多数の細孔の測定値に基づいて、細孔の断面の平均直径又は平均有効直径も指し得る。円形ではない断面の有効直径は、非円形断面と同じ断面積を有する円形断面の直径に等しい。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲルが水和されたときに膨潤し得る。次いで、細孔サイズの大きさは、ヒドロゲル中の含水量に応じて変化し得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルの細孔は、生体分子をポリマービーズ内に保持するが試薬の通過を可能にするのに十分なサイズの細孔を有し得、分子が制御可能な方式で通過することを可能にするように、本明細書に記載されるように調整され得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、架橋剤は、可逆的架橋剤である。いくつかの実施形態では、可逆的架橋剤は、ヒドロゲルポリマーを可逆的に架橋することができ、開裂剤の存在下では架橋され得ない。いくつかの実施形態では、架橋剤は、還元剤の存在によって、高温によって、又は電界によって開裂され得る。いくつかの実施形態では、可逆的架橋剤は、N,N’-ビス(アクリロイル)シスタミン、ポリアクリルアミドゲルの可逆的架橋剤であってもよく、ジスルフィド連結は、好適な還元剤の存在下で破壊され得る。いくつかの実施形態では、架橋剤を還元剤と接触させることによって、架橋剤のジスルフィド結合が開裂し、ポリマービーズが壊れる。ポリマービーズは分解し、その中に保持された核酸などの内容物を放出する。いくつかの実施形態では、架橋剤は、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100℃を超える温度まで上昇させることによって開裂される。いくつかの実施形態では、架橋剤は、ポリマービーズを還元剤と接触させることによって開裂される。いくつかの実施形態では、還元剤には、ホスフィン化合物、水溶性ホスフィン、窒素含有ホスフィン、並びにそれらの塩及び誘導体、ジチオエリスリトール(dithioerythritol、DTE)、ジチオスレイトール(dithiothreitol、DTT)(2,3-ジヒドロキシ-1,4-ジチオールブタンのそれぞれ、シス及びトランス異性体)、2-メルカプトエタノール若しくはβ-メルカプトエタノール(β-mercaptoethanol、BME)、2-メルカプトエタノール若しくはアミノエタンチオール、グルタチオン、チオグリコレート若しくはチオグリコール酸、2,3-メルカプトプロパノール、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(tris(2-carboxyethyl)phosphine、TCE
P)、トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン(tris(hydroxymethyl)phosphine、THP)、又はP-[トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン]プロピオン酸([tris(hydroxymethyl)phosphine]propionic acid、THPP)が含まれる。
【0047】
いくつかの実施形態では、温度を上昇させて拡散を増加させるか、又は還元剤と接触させることにより、架橋剤が分解し、それによって、封入された生体分子又はそれに由来する分子がポリマービーズから放出される。
【0048】
いくつかの実施形態では、架橋剤の架橋は、ポリマービーズ内に細孔を確立する。いくつかの実施形態では、ポリマービーズの細孔のサイズは、規則的であり、図1Bに示されるように、約5000塩基対を超えるDNA断片などの生体分子を封入するが、試薬などのより小さい粒子、又はプライマーなどの約50塩基対未満のより小さいサイズの核酸が、細孔を通過することを可能にするように配合される。いくつかの実施形態では、試薬は、生体分子又はそれに由来する分子を処理するための試薬、例えば、細胞から核酸を単離するための試薬、核酸を増幅、バーコーディング、若しくは配列決定するため、又は核酸ライブラリの調製のための試薬を含む。いくつかの実施形態では、試薬には、例えば、リゾチーム、プロテイナーゼK、ランダムヘキサマー、ポリメラーゼ(例えば、Φ29DNAポリメラーゼ、Taqポリメラーゼ、Bsuポリメラーゼ)、トランスポゼース(例えば、Tn5)、プライマー(例えば、P5及びP7アダプタ配列)、リガーゼ、触媒酵素、デオキシヌクレオチドトリホスフェート、緩衝剤、又は二価カチオンが挙げられる。
【0049】
いくつかの実施形態では、長いDNAは、ゲノムDNA、ウイルス核酸、細菌核酸、又は哺乳類核酸を含む。いくつかの実施形態では、ポリマービーズは、例えば細胞を含む、長いDNA源を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、原核細胞又は真核細胞を含む、単一細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、哺乳類細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、ヒト細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、細菌細胞である。したがって、図7A及び図7Bに示されるように、方法は、長いDNA断片上又は細胞上で実行されてもよく、そのいずれか又は両方が、ポリマービーズで封入される。
【0050】
いくつかの実施形態では、ポリマービーズは、シェルによって封入された犠牲コアを有する犠牲ポリマービーズである。本明細書で使用するとき、「犠牲」という用語は、本明細書に照らして理解されるその通常の意味を有し、ビーズの調製又は組み立てに使用されるが、後の段階で融解又は廃棄され得るビーズ又はビーズの一部分を指す。いくつかの実施形態では、犠牲ポリマービーズは、細胞又はDNAなどの試料と接触するアガロース又はポリアクリルアミドなどのポリマー材料を含み、それによってポリマービーズが形成される。次いで、ポリマービーズは、N,N’-(1,2-ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド(N,N’-(1,2-dihydroxyethylene)bisacrylamide、DHEBA)、アシレート-PEG、若しくはKPS、又はそれらの組み合わせを含むシェルなどの異なる溶融特徴を有する異なるポリマー材料から構成されたシェルで封入され得る。封入後、封入されたポリマービーズは、内側ビーズを除去し、シェルを残すのに十分な条件に供され得る。条件には、例えば、温度、pHの変化、又は還元剤の添加が挙げられ得る。
【0051】
また更なる実施形態では、本明細書に記載のポリマービーズのいずれかは、ポリマー材料に連結された蛍光材料を含んでもよい。蛍光材料には、例えば、フルオレセインイソチオシアネート(fluorescein isothiocyanate、FITC)、又はアクリレートポリマー
などのポリマー材料に結合して、FITC-アクリレートポリマー(FITC-acrylate polymer、FITC-AETC)などの蛍光ポリマー材料を形成し得る、任意の他の蛍光化合物が挙げられ得る。ポリマー材料に連結された蛍光材料は、細胞と接触してもよく、それによって蛍光ゲル化が開始され、細胞を包囲する蛍光ポリマービーズが形成される。いくつかの実施形態では、その中に細胞を有するポリマービーズは、染色を必要とせずに蛍光的に撮像されてもよい。
ポリマービーズの作製方法
【0052】
本明細書に提供されるいくつかの実施形態は、生体分子を封入するビーズを作製する方法に関する。いくつかの実施形態では、ポリマービーズは、本明細書に記載の多孔質ヒドロゲルビーズ、又は本明細書に記載の多孔質中空ビーズである。
【0053】
いくつかの実施形態では、ポリマービーズは、ボルテックス支援エマルションによって調製される。本明細書で使用するとき、ボルテックス支援エマルションは、チューブ、バイアル、又は反応容器などの容器内でヒドロゲルポリマーを長いDNA断片又は長いDNA断片源とボルテックスすることを指す。成分は、例えば手動又は機械的ボルテックス又は振盪によって混合することができる。いくつかの実施形態では、手動混合により、直径2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、若しくは150μmのサイズ、又は前述の値のうちのいずれか2つによって規定される範囲内のサイズを有する生体分子を封入するポリマービーズがもたらされる。いくつかの実施形態では、ビーズのサイズは不均一であり、したがってビーズのサイズは、様々な直径のビーズを含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、ビーズは、マイクロ流体液滴生成によって調製される。図1Bに示されるように、マイクロ流体液滴生成は、支援ゲルエマルション生成のためのマイクロ流体デバイスの使用を含む。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、所望のサイズのポリマービーズを産生するように構成され、かつビーズ当たりの選択された量の生体分子を封入するように構成されたマイクロチャネルを含む。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、若しくは200μmの高さ、又は前述の値のうちのいずれか2つによって規定される範囲内の高さを有する。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、1つ以上のチャネルを含む。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、水流のためのチャネルと、不混和性流体のためのチャネルとを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のチャネルの幅は、同一である。いくつかの実施形態では、1つ以上のチャネルの幅は、異なる。いくつかの実施形態では、1つ以上のチャネルの幅は、20、30、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、若しくは150μm、又は前述の値のうちのいずれか2つによって規定される範囲内の幅である。いくつかの実施形態では、水性チャネルの幅は、75μmである。いくつかの実施形態では、不混和性流体チャネルの幅は、78μmである。当業者は、幅が変動してビーズのサイズを微調整することができることを認識するであろう。マイクロ流体デバイスのサイズ及びチャネルの幅に加えて、水性チャネル及び不混和性流体チャネルの流速も、ポリマービーズのサイズに影響を及ぼし得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、水相チャネルにおける溶液の流速は、1、2、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、若しくは150μL/分、又は前述の値のうちのいずれか2つによって規定される範囲内の速度である。いくつかの実施形態では、不混和性流体チャネルにおける不混和性流体の流速は、20、30、50、80、100、150、160、170、180、190、200、225、250、275、300、325、350、375、若しくは400μL/分、又は前述の値のうちのいずれか2つによって規定される範囲内の速度である。いくつかの実施形態では、水相の溶液は、ヒドロゲルポリマー、架橋剤、及び生体分子を含み、これらは、水性チャネルを通ってキャリア油などの不混和性流体中に、不混和性流体の流速未満の流速で流れ、それによって液滴が形成される。いくつかの実施形態では、不混和性流体は、鉱油、炭化水素油、シリコン油、ポリジメチルシロキサン油、テトラメチルエチレンジアミン(tetramethylethylenediamine、TEMED)、又はこれらの混合物などの油である。いくつかの実施形態では、生体分子を含有するヒドロゲル液滴は、均一なサイズ分布で配合される。いくつかの実施形態では、ポリマービーズのサイズは、マイクロ流体デバイスのサイズ、1つ以上のチャネルのサイズ、又は水溶液若しくは不混和性流体のいずれか若しくは両方の流速を調整することによって、微調整される。いくつかの実施形態では、得られるポリマービーズは、2~150μmの範囲、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、若しくは150μmの直径、又は前述の値のうちのいずれか2つによって規定される範囲内の直径を有する。
【0056】
いくつかの実施形態では、生体分子を封入するポリマービーズのサイズ及び均一性は、ビーズ形成前のヒドロゲルポリマーを、イソプロピルアルコールを含むアルコールなどの流体修飾剤と接触させることによって、更に制御することができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、ビーズ内に封入された長いDNA断片の量は、インプットされた試料内の長いDNA断片を希釈又は濃縮することによって制御することができる。長いDNA断片を含む試料は、ヒドロゲルポリマーと混合され、長いDNA断片を含有するヒドロゲルポリマーは、本明細書に記載されるように、ボルテックス支援エマルション又はマイクロ流体液滴生成を受ける。
【0058】
いくつかの実施形態では、ポリマービーズは、官能化されて、核酸の精製に使用され得る。いくつかの実施形態では、ポリマービーズは、ヌクレオチドで官能化される。いくつかの実施形態では、ヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド又はポリTヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、ヌクレオチドは、ポリマービーズに結合し、官能化ビーズは、対象とするヌクレオチドの標的捕捉のために使用することができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、ポリマービーズは、異なる溶融温度、異なる細孔サイズ、又は異なる融解特徴などのポリマービーズとは異なる特徴を有するポリマーシェルで封入されてもよい。いくつかの実施形態では、ポリマーシェルは、DHEBA材料を含み得る。
ポリマービーズ内に封入された生体分子の処理方法
【0060】
いくつかの実施形態は、図2に示されるように、ビーズ内の生体分子を処理する方法を含み、図2は、ポリマービーズ中で生体分子を調製及び処理するためのフロー図を示す。第1の工程では、ゲノムデータ又は細胞などからのDNA試料が、ポリマービーズ内に封入される。いくつかの実施形態では、長いDNA断片は、ポリマービーズ内に保持され、試薬は、ポリマービーズの細孔を通過することができる。いくつかの実施形態では、試薬には、溶解剤、核酸精製剤、タグメンテーション剤、PCR剤、又は生体分子若しくはそれに由来する分子の処理に使用される他の薬剤が含まれ得る。したがって、ポリマービーズは、長いDNA断片をビーズ内に保持しながら、試薬のバリアがポリマービーズの中及び外に通過することを可能にすることによって、ポリマービーズ内の長いDNA断片の制御された反応のための微小環境を提供する。DNAがビーズ内に封入されると、プロセスは、ライブラリ調製プロセスを通して長いDNA断片を作り出すために、試料がフローセル内に装填され得る次の工程に移動する。
【0061】
本明細書で使用するとき、「タグメンテーション」という用語は、トランスポゾン末端配列を含むアダプタと複合体化されたトランスポゼース酵素を含むトランスポソーム複合体によるDNAの修飾を指す。タグメンテーションは、DNAの同時断片化及び二重断片の両方の鎖の5’末端へのアダプタのライゲーションをもたらす。トランスポゼース酵素を除去する精製工程に続いて、例えばPCR、ライゲーション、又は当業者に既知の任意の他の好適な方法によって、適合された断片の末端に追加の配列を添加することができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、DNAライブラリ調製全体は、gDNA及びそのライブラリ産物をヒドロゲルマトリックス内に保持しながら、多孔質ヒドロゲルを通過させることによる複数の試薬交換を用いて、フローセルに結合されたポリマービーズ内で途切れなく達成することができる。ヒドロゲルは、異なる生化学反応を支持するように、最大95℃まで数時間、高温に耐え得る。
【0063】
プロセスの次の工程では、前のライブラリ調製からの長いDNA断片を封入するポリマービーズが、長いDNA断片をビーズから放出、精製、及び単離するために処理される。したがって、例えば、ポリマービーズは、溶解緩衝液に接触される。本明細書で使用するとき、「溶解」は、細胞RNA又はDNAへのアクセス又はその放出を促進する、細胞壁又はウイルス粒子に対する摂動又は改変を意味する。細胞壁の完全な破壊と破損のどちらも、溶解の必須要件ではない。「溶解緩衝液」という用語は、少なくとも1つの溶解剤を含有する緩衝液を意味する。典型的な酵素溶解剤には、リゾチーム、グルコラーゼ、チモラーゼ、リチカーゼ、プロテイナーゼK、プロテイナーゼE、並びにウイルスエンドリシン及びエキソリシンが挙げられるが、これらに限定されない。したがって、例えば、ビーズ中の細胞の溶解は、リゾチーム及びプロテイナーゼKなどの溶解剤をポリマービーズに導入することによって実行され得る。細胞からのgDNAは、この時点でビーズ内に含有されている。いくつかの実施形態では、溶解処理後、単離された核酸は、ポリマービーズ内に保持され、更なる処理のために使用され得る。
【0064】
本明細書で使用するとき、「単離された」、「単離する」、「単離」、「精製された」、「精製する」、「精製」という用語、及び本明細書で使用するときの文法的同義語は、特に指定のない限り、試料から、又は材料が単離される源(例えば、細胞)からの少なくとも1つの汚染物質(タンパク質及び/又は核酸配列など)の量の減少を指す。したがって、精製により、「富化」、例えば、試料中の所望のタンパク質及び/又は核酸配列の量の増加がもたらされる。
【0065】
いくつかの実施形態では、封入された核酸は、ポリマービーズ内で完全に又は部分的に配列決定される。封入された核酸は、合成による配列決定、ライゲーションによる配列決定、ハイブリダイゼーションによる配列決定、ナノ細孔配列決定などの直接配列決定などの任意の好適な配列決定法に従って配列決定することができる。
【0066】
本明細書に提供されるいくつかの実施形態は、長いDNA断片で有効化された合成による配列決定(sequencing-by-synthesis、SBS)に関する。SBSでは、核酸テンプレ
ート(例えば、標的核酸又はそのアンプリコン)に沿った核酸プライマーの伸長を監視して、テンプレート中のヌクレオチド配列を決定する。根本的な化学プロセスは、重合(例えば、ポリメラーゼ酵素により触媒されるように)であり得る。特定のポリメラーゼ系SBSの実施形態では、プライマーに添加されるヌクレオチドの順序及び種類の検出を使用してテンプレートの配列を決定し得るように、蛍光標識ヌクレオチドをテンプレート依存様式でプライマーに添加する(それによってプライマーを伸長させる)。
【0067】
1つ以上の増幅された封入核酸は、サイクル中の試薬の繰り返し送達を伴うSBS又は他の検出技術に供され得る。例えば、第1のSBSサイクルを開始するために、1つ以上の標識ヌクレオチド、DNAポリメラーゼなどを、1つ以上の増幅された核酸分子を収容するポリマービーズ内に/ポリマービーズを通して流すことができる。プライマー伸長により標識ヌクレオチドが組み込まれるこれらの部位を検出することができる。任意に、ヌクレオチドは、ヌクレオチドがプライマーに添加されると、更なるプライマー伸長を終結する可逆的終端特性を更に含むことができる。例えば、可逆的ターミネータ部分を有するヌクレオチド類似体を、部分を除去するためにデブロッキング剤が送達されるまで、続く伸長が生じ得ないように、プライマーに添加することができる。したがって、可逆的終端を使用する実施形態では、デブロッキング試薬をフローセルに送達することができる(検出発生の前又は後)。洗浄は、様々な送達工程の間に実施することができる。次いで、サイクルをn回繰り返してプライマーをn個のヌクレオチドで伸長させることにより、長さnの配列を検出することができる。本開示の方法によって産生されるアンプリコンと共に使用するために容易に適合させることができる例示的なSBS手順、流体システム、及び検出プラットフォームは、例えば、Bentley et al.,Nature 456:53-59(2008)、国際公開第04/018497号、米国特許第7,057,026号、国際公開第91/06678号、同第07/123744号、米国特許第7,329,492号、同第7,211,414号、同第7,315,019号、同第7,405,281号、及び米国特許出願公開第2008/0108082号に記載されており、その各々は参照により本明細書に組み込まれる。
【0068】
パイロシーケンジングなどの、環状反応を使用する他の配列決定手順を使用することができる。パイロシーケンジングは、特定のヌクレオチドが新生核酸鎖に組み込まれるときに、無機ピロリン酸塩(inorganic pyrophosphate、PPi)の放出を検出する(Ronaghi,et al.,Analytical Biochemistry 242(1),84-9(1996);Ronaghi,Genome Res.11(1),3-11(2001);Ronaghi et al.Science 281(5375),363(1998)、米国特許第6,210,891号、同第6,258,568号、及び同第6,274,320号、その各々は参照により本明細書に組み込まれる)。パイロシーケンジングでは、放出されたPPiは、ATPスルフリラーゼによってアデノシントリホスフェート(adenosine triphosphate、ATP)に直ちに転化されることによ
って検出することができ、生成されたATPのレベルは、ルシフェラーゼ産生光子を介して検出することができる。したがって、配列決定反応は、発光検出システムを介して監視することができる。蛍光系検出システムに使用される励起放射線源は、パイロシーケンジング手順には必要ではない。本開示に従って産生されたアンプリコンへのパイロシーケンジングの適用に適合させることができる有用な流体システム、検出器、及び手順が、例えば、WIPO特許出願第PCT/US11/57111号、米国特許出願公開第2005/0191698(A1)号、米国特許第7,595,883号、及び同第7,244,559号に記載されており、その各々は参照により本明細書に組み込まれる。
【0069】
いくつかの実施形態は、DNAポリメラーゼ活性のリアルタイムモニタリングを伴う方法を利用し得る。例えば、ヌクレオチドの組み込みは、フルオロフォア担持ポリメラーゼとγホスフェート標識ヌクレオチドとの間の蛍光共鳴エネルギー移動(fluorescence resonance energy transfer、FRET)相互作用によって、又はゼロモード導波路(zero mode waveguides、ZMWs)を用いて検出され得る。FRET系配列決定のための
技術及び試薬は、例えば、Levene et al.Science 299,682-686(2003);Lundquist et al.Opt.Lett.33,1026-1028(2008);Korlach et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA105,1176-1181(2008)に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0070】
いくつかのSBS実施形態は、伸長産物へのヌクレオチドの組み込み時に放出されるプロトンの検出を含む。例えば、放出されたプロトンの検出に基づく配列決定は、電気検出器及び市販されている関連技術を使用することができる。このような配列決定システムの例として、パイロシーケンジング(例えば、Rocheの子会社の454 Life Sciencesから市販されているプラットフォーム)、γ-ホスフェート標識ヌクレオチドを使用する配列決定(例えば、Pacific Biosciencesから市販されているプラットフォーム)、及びプロトン検出を使用する配列決定(例えば、Life
Technologiesの子会社のIon Torrentから市販されているプラットフォーム)、又はその各々が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2009/0026082(A1)号、同第2009/0127589(A1)号、同第2010/0137143(A1)号、若しくは同第2010/0282617(A1)号に記載されている配列決定方法及びシステムが挙げられる。動態排除を使用して標的核酸を増幅するための本明細書に記載の方法は、プロトンを検出するために使用される基質に容易に適用することができる。より具体的には、本明細書に記載される方法を使用して、プロトンを検出するために使用されるアンプリコンのクローン集団を産生することができる。
【0071】
別の配列決定技術は、ナノ細孔配列決定(例えば、Deamer et al.Trends Biotechnol.18,147-151(2000);Deamer et al.Acc.Chem.Res.35:817-825(2002);Li et
al.Nat.Mater.2:611-615(2003)参照、その開示は参照により本明細書に組み込まれる)。いくつかのナノ細孔の実施形態では、標的核酸又は標的核酸から除去された個々のヌクレオチドは、ナノ細孔を通過する。核酸又はヌクレオチドがナノ細孔を通過するとき、各ヌクレオチド型は、細孔の電気伝導度の変動を測定することによって同定することができる。(米国特許第7,001,792号、Soni et
al.Clin.Chem.53,1996-2001 2007);Healy,Nanomed.2,459-481 2007);Cockroft et al.J.Am.Chem.Soc.130,818-820(2008)、その開示は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0072】
本開示による検出に適用され得るアレイ系発現及び遺伝子型解析のための例示的な方法は、米国特許第7,582,420号、同第6,890,741号、同第6,913,884号、若しくは同第6,355,431号、又は米国特許出願公開第2005/0053980(A1)号、同第2009/0186349(A1)号、若しくは同第US2005/0181440(A1)号に記載されており、その各々は参照により本明細書に組み込まれる。
【0073】
本明細書に記載の核酸の単離、増幅、及び配列決定の方法では、核酸単離及び調製のために様々な試薬が使用される。このような試薬には、例えば、リゾチーム、プロテイナーゼK、ランダムヘキサマー、ポリメラーゼ(例えば、Φ29DNAポリメラーゼ、Taqポリメラーゼ、Bsuポリメラーゼ)、トランスポゼース(例えば、Tn5)、プライマー(例えば、P5及びP7アダプタ配列)、リガーゼ、触媒酵素、デオキシヌクレオチドトリホスフェート、緩衝剤、又は二価カチオンが含まれ得る。これらの試薬は、ポリマービーズの細孔を通過するが、生体分子又はそれに由来する分子は、ポリマービーズ内に保持される。本明細書に記載の方法の利点は、ポリマービーズ内の核酸の処理のために、封入された微小環境を提供することである。これにより、標的核酸の迅速かつ効率的な処理のための単一細胞処理が可能になる。
【0074】
アダプタは、配列決定プライマー部位、増幅プライマー部位、及びインデックスを含み得る。本明細書で使用するとき、「インデックス」は、核酸をタグ付けするため、及び/又は核酸源を同定するために、分子識別子及び/又はバーコードとして使用することができるヌクレオチドの配列を含み得る。いくつかの実施形態では、単一の核酸、又は核酸の亜集団を同定するために、インデックスを使用することができる。いくつかの実施形態では、核酸ライブラリは、ポリマービーズ内で調製され得る。いくつかの実施形態では、ポリマービーズ内に封入された単一細胞は、例えば、連続性保存転位(contiguity preserving transposition、CPTSeq)手法を使用して、単一細胞の組み合わせインデッ
クス化に使用してもよい。いくつかの実施形態では、単一細胞からのDNAは、バーコード化されたトランスポゾンを担持する別のビーズによるWGA増幅後に単一細胞を封入することによってバーコード化されてもよく、例えば、バーコーディングのためにゲノムDNAを放出するために、還元剤と接触させることによって、ゲルマトリックスを融解させ得る。
【0075】
本明細書に記載の「空間インデックス化」方法及び技術の実施形態は、データ分析を短縮し、単一細胞及び長いDNA分子からのライブラリ調製プロセスを簡略化する。単一細胞配列決定のための既存のプロトコルは、細胞の効率的な物理的分離、各単離された細胞の一意的なバーコーディング、全てを一緒にプールして配列決定を行うことを必要とする。合成ロングリードの現行のプロトコルはまた、各バーコード化細胞から生じる遺伝情報を区別するために、面倒なバーコーディング工程と、配列決定及びデータ分析のために各バーコード化断片を一緒にプールすることとが必要である。これらのプロセス中に、配列中に脱落を引き起こす材料の損失が存在し得る。本明細書に記載の実施形態は、プロセスを短縮するだけでなく、単一細胞のデータ解像度も増加させる。更に、本明細書に提供される実施形態は、新たな生物のゲノムのアセンブリを簡略化する。本明細書に記載の実施形態を使用して、希少遺伝的差異及び変異の同時発生を明らかにしてもよい。いくつかの実施形態では、放出までポリマービーズに閉じ込められたDNAライブラリは、放出プロセス及びヒドロゲル配合を制御することによって表面上に放出される断片のサイズを制御する機会を提供する。
【0076】
いくつかの実施形態では、表面は、フローセルデバイスである。いくつかの実施形態では、フローセルは、ウェル、溝、又はパターンを有するカスタムフローセルデバイスである。いくつかの実施形態では、フローセルは、パターン化された表面を含む。いくつかの実施形態では、パターン化された表面は、ウェルを含む。いくつかの実施形態では、ウェルは、直径が約10μm~約50μm、例えば、直径が10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、45μm、若しくは50μm、又は前述の値のうちのいずれか2つによって規定される範囲内であり、ウェルは、深さが約0.5μm~約1μm、例えば、深さが0.5μm、0.6μm、0.7μm、0.8μm、0.9μm、若しくは1μm、又は前述の値のうちのいずれか2つによって規定される範囲内である。いくつかの実施形態では、ウェルは、疎水性材料から構成される。いくつかの実施形態では、疎水性材料は、CYTOP、Fluoropel(登録商標)、又はTeflon(登録商標)などの非晶質フルオロポリマーを含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、ライブラリは、アダプタ配列中のプライマー部位を使用して増幅され、アダプタ配列中の配列決定プライマー部位を使用して配列決定され得る。いくつかの実施形態では、アダプタ配列は、核酸源を同定するためのインデックスを含み得る。後続の増幅工程の効率は、プライマーダイマーの形成によって低減され得る。後続の増幅工程の効率を高めるために、非ライゲート化一本鎖アダプタをライゲーション産物から除去することができる。
【0078】
いくつかの実施形態では、モデルシステムを調製して、ポリマービーズの多孔性を決定することができる。図11A及び図11Bに示されるように、ポリマービーズは、ストレプトアビジン化合物(図11A及び図11BにSAとして示される)を封入し、ストレプトアビジン化合物をビーズ内に保持し得る。いくつかの実施形態では、ある特定のサイズのアンプリコンに連結されたビオチン化合物は、ポリマービーズと混合される(図11A)。十分なサイズのビオチン連結アンプリコンは、ポリマービーズ内に拡散し、ビーズ内のストレプトアビジンに接合することができ、それによってビオチン連結アンプリコンがビーズ内に保持される。逆に、過度に大きいビオチン連結アンプリコンは、ポリマービーズを通過せず、アンプリコンはビーズ内に保持されない。同様に、ビオチン連結アンプリコンに接合されたストレプトアビジンを有するポリマービーズを調製してもよく、試薬は、PCRなどの反応を実行するために通過し得る(図11B)。十分なサイズの断片は、ポリマーの外に拡散するが、過度に大きい断片は、ポリマービーズを通って拡散せずに、ビーズ内に保持される。
ポリマービーズを用いる核酸ライブラリの調製
【0079】
本明細書に提供されるシステム、方法、及び組成物のいくつかの実施形態は、アダプタが標的核酸にライゲートされる方法を含む。アダプタは、配列決定プライマー結合部位、増幅プライマー結合部位、及びインデックスを含み得る。例えば、アダプタは、P5配列、P7配列、又はそれらの相補体を含み得る。本明細書で使用するとき、P5配列は、配列番号:1(AATGATACGGCGACCACCGA)により規定される配列を含み、P7配列は、配列番号:2(CAAGCAGAAGACGGCATACGA)により規定される配列を含む。いくつかの実施形態では、P5又はP7配列は、1~20、例えば、1~15、又は1~10ヌクレオチド、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10ヌクレオチド長であり得る、スペーサポリヌクレオチドを更に含み得る。いくつかの実施形態では、スペーサは、10ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、スペーサは、10TスペーサなどのポリTスペーサである。スペーサヌクレオチドは、ポリヌクレオチドの5’末端に含まれてもよく、ポリヌクレオチドの5’末端との連結を介して好適な支持体に付着されてもよい。付着は、ポリヌクレオチドの5’末端に存在するホスホロチオエートなどの硫黄含有求核試薬によって達成することができる。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、ポリTスペーサ及び5’ホスホロチオエート基を含む。したがって、いくつかの実施形態では、P5配列は、5’ホスホロチオエート-TTTTTTTTTTAATGATACGGCGACCACCGA-3’(配列番号:3)であり、いくつかの実施形態では、P7配列は、5’ホスホロチオエート-TTTTTTTTTTCAAGCAGAAGACGGCATACGA-3’(配列番号:4)である。
【0080】
インデックスは、核酸分子源を同定するのに有用であり得る。いくつかの実施形態では、アダプタは、例えば、一方又は両方の末端におけるアダプタの伸長を防止するブロッキング基の添加によって、コンカテマーの形成を防止するように修飾することができる。3’ブロッキング基の例としては、3’-スペーサC3、ジデオキシヌクレオチド、及び基質への付着が挙げられる。5’ブロッキング基の例としては、脱リン酸化5’ヌクレオチド、及び基質への付着が挙げられる。
【0081】
アダプタは、一本鎖核酸などの核酸を含む。アダプタは、約5ヌクレオチド、10ヌクレオチド、20ヌクレオチド、30ヌクレオチド、40ヌクレオチド、50ヌクレオチド、60ヌクレオチド、70ヌクレオチド、80ヌクレオチド、90ヌクレオチド、100ヌクレオチド未満、それを超える、若しくはそれに等しい、又は前述のサイズのうちのいずれか2つの間の範囲の長さを有する短い核酸を含み得る。いくつかの実施形態では、アダプタは、ポリマービーズの細孔を通過するのに十分なサイズを有する。標的核酸には、ゲノム又はcDNAなどのDNA、mRNA、sRNA、若しくはrRNAなどのRNA、又はDNAとRNAとのハイブリッドが含まれる。核酸は、ポリマービーズ内に封入された単一細胞から単離され得る。核酸は、ホスホジエステル結合を含有し得、例えば、ホスホラミド、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、O-メチルホスホロアミダイト、並びにペプチド核酸の骨格及び連結を含む、他の種類の骨格を含み得る。核酸は、デオキシリボ-及びリボヌクレオチドの任意の組み合わせ、並びにウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンタニン、ヒポキサタニン、イソシトシン、イソグアニン、並びにニトロピロール(3-ニトロピロールを含む)、及びニトロインドール(5-ニトロインドールを含む)などの塩基類似体の任意の組み合わせを含有し得る。いくつかの実施形態では、核酸は、少なくとも1つの非特異的塩基を含み得る。例えば、非特異的塩基は、2つ以上の異なる種類の塩基との塩基対であり得、ゲノムDNA試料などの複雑な核酸試料中のランダムハイブリダイゼーションに使用されるオリゴヌクレオチドプライマー又はインサートに含まれる場合に、有用であり得る。非特異的塩基の例としては、アデニン、チミン、又はシトシンと対になり得るイノシンが挙げられる。他の例としては、ヒポキサンチン、5-ニトロインドール、アクリル5-ニトロインドール、4-ニトロピラゾール、4-ニトロイミダゾール、及び3-ニトロピロールが挙げられる。少なくとも2つ、3つ、4つ以上の種類の塩基と塩基対になり得る非特異的塩基を使用することができる。
【0082】
例示的な方法は、標的核酸の5’末端を脱リン酸化して、後続のライゲーション工程でのコンカテマーの形成を防止することと、リガーゼを使用して、第1のアダプタを脱リン酸化標的の3’末端にライゲートすることであって、第1のアダプタの3’末端がブロックされる、ライゲートすることと、ライゲートされた標的の5’末端を再リン酸化することと、一本鎖リガーゼを使用して、第2のアダプタを脱リン酸化標的の5’末端にライゲートすることであって、第2のアダプタの5’末端がリン酸化されない、ライゲートすることと、を含む。
【0083】
別の例としては、一本鎖3’オーバーハングを有する二本鎖核酸を形成するための5’エキソヌクレアーゼによる核酸の部分的消化が挙げられる。3’ブロッキング基を含有するアダプタは、3’オーバーハングを有する二本鎖核酸の3’末端にライゲートされ得る。ライゲートされたアダプタを有する3’オーバーハングを有する二本鎖核酸は、脱ハイブリダイズされて、一本鎖核酸を形成し得る。非リン酸化5’末端を含有するアダプタは、一本鎖核酸の5’末端にライゲートされ得る。
【0084】
核酸の5’ヌクレオチドなどの核酸を脱リン酸化する方法は、核酸をホスファターゼと接触させることを含む。ホスファターゼの例としては、仔ウシ腸ホスファターゼ、エビアルカリホスファターゼ、アンタークティックホスファターゼ、及びAPEXアルカリホスファターゼ(Epicentre)が挙げられる。
【0085】
核酸をライゲートする方法は、核酸をリガーゼと接触させることを含む。リガーゼの例としては、T4 RNAリガーゼ1、T4 RNAリガーゼ2、RtcBリガーゼ、メタノバクテリウムRNAリガーゼ、及びTS2126RNAリガーゼ(CIRCリガーゼ)が挙げられる。
【0086】
核酸の5’ヌクレオチドなどの核酸をリン酸化する方法は、核酸をキナーゼと接触させることを含む。キナーゼの例としては、T4ポリヌクレオチドキナーゼが挙げられる。
【0087】
本明細書に提供される実施形態は、核酸ライブラリが単一の反応体積で調製されるように、核酸ライブラリをポリマービーズ中で調製することに関する。
【0088】
本明細書に提供されるシステム及び方法の実施形態は、生体分子を封入するポリマービーズを調製するためのヒドロゲルポリマー、架橋剤、又はマイクロ流体デバイスのうちの任意の1つ以上を含有するキットを含み、生体分子又はそれに由来する分子の処理に有用な成分を更に含み、本明細書に記載され、かつ生体分子又はそれに由来する分子のそれぞれの処理に使用されるような、リゾチーム、プロテイナーゼK、ランダムヘキサマー、ポリメラーゼ(例えば、Φ29DNAポリメラーゼ、Taqポリメラーゼ、Bsuポリメラーゼ)、トランスポゼース(例えば、Tn5)、プライマー(例えば、P5及びP7アダプタ配列)、及びリガーゼ、触媒酵素、デオキシヌクレオチドトリホスフェート、緩衝剤、又は二価カチオンを含む、細胞溶解、並びに核酸増幅及び配列決定のため、又は核酸ライブラリ調製のための試薬を含む。
【0089】
図12に示されるように、細胞を封入するポリマービーズが調製される。ポリマービーズは、細胞溶解及びタグメンテーションのために試薬に曝露される。SDSなどの洗剤によるポリマービーズの処理によって、断片化がもたらされ、小分子は、ポリマービーズの外に拡散し得る。いくつかの実施形態では、細胞生体分子の保持性は、細胞内への酵素の二方向へのアクセスが制限される最小閾値限界によって制限され得る。
【0090】
代替として、いくつかの実施形態では、ライブラリ調製方法を実行して、閾値限界を超える、ポリマービーズ内に含有されるゲノム分子の物理的サイズを増加させる。したがって、図12に示されるように、gDNAライブラリ調製中、タグメントされたgDNA断片は、Tn5結合によって一緒に保持され、ポリマービーズの外への拡散を防止する。しかしながら、SDS処理後、Tn5が放出され、得られたライブラリ断片は、小さすぎると拡散し得る。これを防止するために、オーバーハング型トランスポゾン末端を有するTn5酵素を、タグメンテーションに使用してもよい。化学物質は、ライブラリ要素のサイズを増加させるために、又はビーズ若しくは他の生体分子への結合を可能にするために、オーバーハング型5’又は3’トランスポゾン末端で実行することができる。様々なトランスポゾン設計及び修飾を使用して、ライブラリ断片の物理的サイズを増加させることができる。
【0091】
例えば、3’オーバーハングを有するトランスポゾンを使用して、DNAをタグメントしてもよい。3’オーバーハングは、酵素の基質としての役割を果たし得る。末端トランスフェラーゼ(Terminal transferase、TdT)を使用して、テンプレート独立方式で
ある特定の数の塩基を添加することができる。例えば、TdTを使用して、100~300塩基をトランスポゾンに添加してもよい。TdTトランスポゾン伸長が十分でない場合、細長いトランスポゾンは、ポリマービーズ、相補的アンプリコン、又はポリAテール状細胞mRNA中に存在するオリゴ結合ビーズにハイブリダイズさせ得る。オリゴヌクレオチドにハイブリダイズする場合、伸長反応を実行してもよい。例えば、ssDNAプラスミドをアニールした場合、ローリングサークル増幅(rolling circle amplification、RCA)反応を実行して、トランスポゾン末端のサイズを増加させ得る。代替として、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドを、トランスポゾン末端にライゲートすることができる。サイクルライゲーションアセンブリ(Cycle Ligation Assembly、CLA)な
どのアンプリコンの連続的なライゲーションを実行して、ポリマービーズ内に拡散することができるより小さい断片からDNAの長いストレッチをアセンブルし得る。
【0092】
修飾された塩基のトランスポゾンへの添加は、追加の分子の結合の標的として使用することもできる。修飾された塩基は、タグメンテーションの前にトランスポゾン内に存在し得、又はタグメンテーション後に酵素的に添加され得る。例えば、TdTを使用して、修飾された塩基ジオキシゲニン-11-UTPを添加することができ、これは、後に抗DIG抗体によって結合され得る。他の修飾には、ストレプトアビジン及び5mC抗体にそれぞれ結合し得るビオチン及び5mCが含まれる。
【0093】
いくつかの実施形態では、同じポリマービーズから生じるgDNA断片及びcDNAの同時インデックス化並びにライブラリ要素の追加的増幅は、ローリングサークル増幅によって実行され得る。
【実施例0094】
実施例1-ポリマービーズの調製
以下の実施例は、マイクロ流体液滴生成器を使用して、長いDNA断片を封入するポリマービーズを調製する実施形態を実証する。
【0095】
液滴生成器を使用してポリマービーズを生成した。長いDNA断片を含有する試料をポリマー前駆体と混合し、混合物をカートリッジ上の試料リザーバ内に装填した。2分以内に、長いDNAを含有する約50,000個のポリマービーズが、各チャネルから生成された(各カートリッジの8個の独立した試料処理について8個のチャネル。長いDNAポリマービーズをフローセル上に装填し、ここでポリマービーズが、ハンズフリーライブラリ調製のために、内部に付着した(100μmの高チャネル及び120μmのポリマービーズ直径)。核酸ライブラリ調製酵素及び試薬を含む酵素及び試薬をフローセルに導入し、ポリマービーズ内に埋め込まれた長いDNAに接触させ、長いDNA分子をタグメンテーションにより開裂してDNAライブラリを形成した。次いで、ライブラリをビーズからフローセル上に播種した。ライブラリ播種中、油を装填してビーズ間の空隙を充填し、フローセルを加熱して、フローセル表面上へのライブラリの拡散を加速させた。油の存在下では、各タグメント化されたライブラリの播種は、各ポリマービーズのフットプリントにごく近接して発生した(直径120μmのポリマービーズから、ライブラリ播種は、約120μmの直径領域に限定される)。
【0096】
本実施例は、長いDNA分子がポリマービーズ(直径約120μm)に装填及び捕捉され得、ライブラリ調製がポリマービーズ内に埋め込まれたこれらの長いDNA分子について実行されることを実証する。結果として、特定の長いDNA分子からの全てのDNAライブラリが、同じポリマービーズ内に保存された。次いで、ライブラリをポリマービーズからフローセル表面に放出して、フローセル表面上の群としてそれらを播種した。長いDNA分子から放出されたクラスタは、フローセル上の「クラスタパッチ」として一緒にグループ化された。単一の長いDNA分子からの単一のパッチ内のクラスタは、より高い精度及びより少ない足場間隙を有するゲノムの再構築を簡略化する。
実施例2-長いDNAの空間インデックス化
【0097】
以下の実施例は、MDAを含む又は含まないポリマービーズ内に封入された100kbの長いDNA断片のストロボリードの実施形態を示す。
【0098】
約100kbのCorriellゲノムDNAの存在下でポリマーを混合し、マイクロ液滴生成器を使用してポリマービーズを形成することによって、ポリマービーズを調製した。DNA断片を封入する形成されたポリマービーズをフローセルデバイス上に載置し、フローセルを試薬と接触させることによって、DNAを空間インデックス化配列決定に供した。MDAを実行しなかった。ビーズは分解し、フローセルデバイス上にクラスタが形成された。図5に示されるように、長いDNAアイランド当たりの平均クラスタは約33であり、平均の長いDNAアイランドのサイズは64000塩基対であり、ビーズ当たり約405の長いDNAアイランドが存在した。
【0099】
約100kbのCorriellゲノムDNAの存在下でポリマーを混合し、マイクロ液滴生成器を使用してポリマービーズを形成することによって、第2のセットのポリマービーズを調製した。DNA断片を封入する形成されたポリマービーズをフローセルデバイス上に載置し、フローセルを試薬と接触させることによって、DNAを空間インデックス化配列決定に供した。タグメンテーションの前にMDAを実行した。ビーズは分解し、フローセルデバイス上にクラスタが形成された。図6に示されるように、長いDNAアイランド当たりの平均クラスタは約85まで増加し、平均の長いDNAアイランドサイズは58000塩基対であり、ビーズ当たり約166の長いDNAアイランドが存在した。
【0100】
約10kbのCorriellゲノムDNAの存在下でポリマーを混合し、マイクロ液滴生成器を使用してポリマービーズを形成することによって、第3のセットのポリマービーズを調製した。DNA断片を封入する形成されたポリマービーズをフローセルデバイス上に載置し、フローセルを試薬と接触させることによって、DNAを空間インデックス化配列決定に供した。タグメンテーションの前にMDAを実行した。ビーズは分解し、フローセルデバイス上にクラスタが形成された。図7に示されるように、長いDNAアイランド当たりの平均クラスタは約57であり、平均の長いDNAアイランドサイズは10461塩基対であり、ビーズ当たり約85の長いDNAアイランドが存在した。
実施例3-微生物種の複合混合物上のメタゲノミクス
【0101】
以下の実施例は、ヒドロゲル内に封入された単一細胞微生物を同定する実施形態を実証する。
【0102】
マイクロフルイディクスマイクロ液滴生成器を使用して、ポリマービーズを本明細書に記載のように調製した。ポリマー材料を、L.gasseri、S.aureus、B.cereus、B.vulgatus、A.baumannii、S.agalactiae、及びP.acnesを含む多くの微生物を含有する試料と混合した。次いで、封入された細胞を溶解し、ライブラリ調製に供し、ポリマービーズを分解し、ライブラリを表面上に堆積させた。図9に示されるように、フローセルデバイス上の空間区画化により、各微生物を同定することができた。したがって、封入及びその後の核酸反応により、小型メタゲノミクスアッセイにおけるリード区画化を使用して、複合混合物中の微生物種のストレインレベルの同定が可能になる。
実施例4-フローセル上の空間インデックス化
【0103】
以下の実施例は、フローセル上の空間インデックス化の実施形態を実証する。
【0104】
フローセルデバイスを入手し、200μlのPR2(組み込み緩衝剤)で洗浄した。処理のためのビーズもPR2で洗浄された。希釈したヒドロゲルをPR2中で調製した。希釈の増加により、ヒドロゲル間の間隔が増加する。ヒドロゲルをフローセルに埋め込んで、フローセルへの気泡の導入を回避した。200μlのPR2をフローセルに流し、ビーズを固定したままにしてプロセスを行った。100μlのRSBをフローセルに流した。
【0105】
25μlのタグメンテーション試薬、23μlのRSB、及び2μLの酵素を混合することによってタグメンテーションミックスを調製した。タグメンテーションミックスを狭いチャネルに導入して、入口上の任意の起こり得る気泡を除去した。次いで、タグメンテーションミックスを入口にゆっくりと流した。フローセルを密封し、55℃で10分間インキュベートした。
【0106】
25μlのタグメンテーション緩衝剤、25μlのRSB、及び10μlの停止緩衝液を混合することによって、停止緩衝液ミックスを調製した。停止緩衝剤ミックスを、気泡を導入せずにフローセル上にゆっくりと流し、室温で5分間インキュベートした。インキュベーション後、200μlのPR2をデバイスに流した。
【0107】
175μlのRSB及び75μlのNPMを混合することによってNPMを調製した。NPMミックスを、気泡を導入せずにフローセルデバイス上にゆっくりと流し、室温で3分間インキュベートした。界面活性剤を含む200μlの油をフローセルデバイス上に流した。顕微鏡写真によって、ヒドロゲルがNPMミックス及び油で包囲されたことが明らかになった。フローセルを密閉し、間隙充填反応のために72℃で3分間インキュベートした。
【0108】
20~30μlの界面活性剤を含む油及びDTTを含む油(29/2比率)をフローセルデバイス上に流し、デバイスを密封した。開始温度放出プロセスは、90℃で3分間、60℃で5分間、40℃で2分間、及び20℃で2分間であった。フローセルを400μlのPR2、及び200μlのCLM(開裂ミックス)で洗浄した。次いで、フローセルを400μlのPR2で洗浄した。phix播種が所望される場合、Phixを2~3pM濃度で調製し、phixライブラリをデバイス上に流し、室温で5分間インキュベートした。フローセルを200μlのPR2で洗浄した。第1の伸長のための100~200μlのAMXを流し、50℃で5分間インキュベートした。フローセルをPR2で洗浄し、24又は30サイクル増幅を実行した。
実施例5ーgDNA断片及びcDNAの同時インデックス化
【0109】
以下の実施例は、同じポリマービーズからのgDNA断片及びcDNAの同時インデックス化の実施形態を実証する。
【0110】
ポリマービーズを、中に細胞が封入された中空ポリマーシェルとして調製した。約25~50個のポリマービーズをマイクロタイタープレートのウェルに分配し、細胞溶解緩衝剤で処理して細胞膜を破壊し、続いて、両方の鎖の5’末端でリン酸化されたトランスポゾンで形成された、インデックス化YアダプタトランスポソームによりgDNA転位した。末端トランスフェラーゼ(TdT)を添加して、複数のTsを非転移鎖の3’末端に添加し、mRNAのポリAテールへのハイブリダイゼーションを可能にした。
【0111】
トランスポゾンのgDNAと非転移鎖との間の間隙は、充填及びライゲート化反応によって実行され、cDNA合成は、MMLV逆転写酵素(reverse transcriptase、RT)によって実行された。MMLVRTはまた、cDNA分子の3’末端に、いくつかの追加のdCMP塩基を添加し、その塩基は、テンプレートスイッチングプライマー(template
switching primer、TSP)の3’末端でオリゴG配列と塩基対になった。アニーリ
ングしたTSPを伸長し、その配列をテンプレートスイッチング反応において新たに合成されたcDNAの3’末端に転移した。形成されたgDNA-cDNAハイブリッドは、各末端に1つ及び鎖の中央に1つの3つの異なる共通配列を含有し、ハイブリッド分子のgDNA部分とcDNA部分とを分離した。これらの共通配列を、gDNA及びcDNAライブラリ調製の両方に使用した。
【0112】
側方反応では、トランスポゾンの3’末端におけるmRNA及びテンプレートスイッチングの伸長が観察されたが、これらの活性は結果に影響を与えなかった。RNAse H処理及び短時間洗浄後、ポリマービーズの含有物を熱変性させ、サークルライゲーション反応に供された。この反応中、リン酸化5’末端を有する全ての一本鎖DNA分子が、環状に自己ライゲートされ、ローリングサークル増幅(RCA)のテンプレートになった。gDNA-cDNAハイブリッドに加えて、個々のタグメント化されたDNA並びに遊離浮遊トランスポソームにアニーリングされたmRNAから産生されたcDNA分子もまた、RCA反応において環状にライゲートされ、増幅された。長いコンカテマーは、開始分子の複数のコピーを含有し、アッセイの感度を増加させ、ポリマービーズ内に保持された。
【0113】
長さ約1kbp未満のdsDNAは、15%PEG-MAL中空ポリマービーズのポリマービーズを通過することができる。簡潔に述べると、ストレプトアビジンでコーティングされたビーズ(直径約10μm)をポリマービーズ内に封入した。これに続いて、異なるサイズのビオチン化アンプリコンをポリマービーズ内に拡散させた。図13A図13Bに示されるように、分子サイズカットオフを表す閾値拡散限界を、可変アンプリコンサイズ範囲にわたって決定した(例えば、220bp~5000bp)。
【0114】
同様に、ポリメラーゼ連鎖反応の適合性及びゲノム産物の保持性を試験するために、アンプリコン結合ポリマービーズ(ビオチン-ストレプトアビジン接合化学を使用する)をポリマービーズ内に装填した閉じ込めモデルを設計した。ビーズ上でのこれらの可変サイズのアンプリコンの線形増幅は、ポリマービーズがPCR適合性であることを示唆するだけでなく、200bp及び5kbpの増幅DNA断片に対する分子の保持性を決定することができた。200bpの産物は、周囲のポリマービーズ内に拡散することができるが、5kbpの産物は、ポリマービーズ内に維持される(図14)。
【0115】
小分子を保持する産物のサイズを増加させ得る生体分子アッセイに加えて、ポリマービーズは、電荷、pH、温度、又は他の環境要因に基づいて分子の拡散を制御することができる多層ポリマーから構成され得る(図15)。このようなシステムの例としては、アルジネート、ポリエチレングリコール、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、又は本明細書に記載の他のポリマーを含む、イオン性及び非イオン性ポリマーなどの材料が挙げられ得る。
実施例6-犠牲コアを有するポリマービーズ
【0116】
以下の実施例は、犠牲コアを有するポリマービーズを調製するための実施形態を実証する。
【0117】
犠牲ポリマーを有するコアを、試料(細胞又はDNA)で調製した。コアは、図16Aに示されるように、試料と混合してポリマービーズを形成したPEG又はポリアクリルアミドなどの充填剤を含んだ。ビーズを50%イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol、IPA)と凝縮させ、KPS/TEMEDを含むDHEBA/アクリルアミドと混合した(図16B)。結果、DHEBAシェルで封入されたポリマービーズになった。DHEBAシェルは、脱ハイブリダイゼーション及び播種に使用される温度で不安定であり、高温でDHEBAシェルからコアが放出される。更に、DHEBAポリマービーズを、DTTなどの還元剤で処理し、水の膨張により、DHEBAアクリルアミドシェルがもたらされた。図16Cは、図16Bに示される略図に対応するDHEBAポリマービーズの顕微鏡写真を示す。
【0118】
別の実施形態は、図17Aに示すように、アガロースコアを含むDHEBAシェルを有するポリマービーズである。アガロースコアビーズを、ポリアクリルアミドコアビーズと同様の様式で調製した。細胞又はDNAの試料をアガロースと混合して、本明細書に記載の方法を使用してポリマービーズを形成した。アガロースビーズは、DNAなどの試料を精製するために官能化及び使用することができる。図17Bに示されるように、ポリマービーズをDHEBAと接触させて、ポリマービーズを封入した。UVを使用して、ポリマービーズの周囲のDHEBAシェルの構築を開始してもよい。図17C示されるように、アガロースコアを温度又は化学的消化に供してコアを溶融させ、中空のDHEBAシェルがもたらされた。
実施例7-ポリマービーズの蛍光開始ゲル化
【0119】
以下の実施例は、蛍光開始ゲル化法を使用してポリマービーズを調製するための実施形態を実証する。
【0120】
細胞又はDNAなどの試料を入手した。試料を、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)結合アクリレートポリマー(FITC-AETC)を有するポリマーと接触させて、試料をコーティングした。図18Aに概略的に示されるように、FITC-AETC結合試料を、光放射などの放射線及びモノマーと接触させて、ポリマーゲル内にFITC結合細胞がもたらされた。得られた細胞は、図18B及び図18Cに示されるように、細胞表面上のFITC相互作用に起因して、染色することなく画像化することができる。FITC-AETCでコーティングされなかった対照試料は、励起を示さなかった。本明細書に記載のフルオレセイン開始ゲル化を溶液中で実行してもよい。溶液中で実行する場合、バルク溶液液滴の中心で重合が開始した。トリエタノールアミン(Triethanolamine
、TEA)を210mMの量で添加して、ゲル化を開始した。また、0.05%のNaHSOも添加した。
【0121】
本明細書に記載の実施形態、実施例、及び図面は、溶解からライブラリ生成までのプロセス中に、物理的に閉じ込められた空間に生体分子を保持するための組成物、方法、及びシステムを提供する。いくつかの実施形態は、閉じ込められた空間でフローセルの表面上に放出される単一の長いDNA分子又は単一細胞から生じるライブラリを提供する。個々の区画における単一のDNA分子又は単一細胞からのライブラリがフローセルの表面に放出されると、各区画からのライブラリが互いにごく近接して播種される。
【0122】
本明細書で使用するとき、「含む(comprising)」という用語は、「含む(including
)」、「含有する(containing)」、又は「特徴づけられる(characterized by)」と
同義であり、包括的又は開放的であり、追加の列挙されない要素又は方法の工程を除外するものではない。
【0123】
上記の説明は、本発明のいくつかの方法及び材料を開示する。本発明は、方法及び材料の修正、並びに加工方法及び設備の変更の影響を受けやすい。このような修正は、本開示又は本明細書に開示される本発明の実施を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。したがって、本発明が、本明細書に開示される特定の実施形態に限定され、本発明の真の範囲及び趣旨内に入る全ての修正及び代替を網羅することを意図するものではない。
【0124】
公開及び公開されていない出願、特許、及び文献参照を含むがこれらに限定されない本明細書に引用される全ての参考文献は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれ、これによって本明細書の一部をなす。参照により組み込まれる出版物及び特許又は特許出願が、本明細書に包含される開示と矛盾する範囲において、本明細書が、任意のそのような矛盾した材料に取って替わるか、及び/又はそれより優先することを意図する。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
複数の共アッセイ反応を実行するためのポリマービーズであって、
ヒドロゲルポリマー前駆体と、
架橋剤と、
前記ポリマービーズ内に配置された生体分子であって、前記ビーズが、前記生体分子を保持しながら前記ビーズを通して試薬の拡散を可能にする細孔を含む、生体分子と、を含む、ポリマービーズ。
(項目2)
前記ビーズが、多孔質ヒドロゲルビーズ又は多孔質中空ビーズである、項目1に記載のビーズ。
(項目3)
前記ビーズが、複数のポリマー層を含み、各層が、別個の細孔サイズ及び細孔密度を有する、項目1に記載のビーズ。
(項目4)
前記細孔は、電荷、pH、又は温度に基づいてサイズが調節される、項目1に記載のビーズ。
(項目5)
前記ビーズが、約50μm~約150μmの直径を有する、項目1に記載のビーズ。
(項目6)
前記ヒドロゲルポリマーが、ポリエチレングリコール(PEG)-チオール/PEG-アクリレート、PEG/マレイミド(PEG/MAL)、アクリルアミド/N,N’-ビス(アクリロイル)シスタミン(BACy)、N,N’-(1,2-ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド(DHEBA)、PEG/ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリアクリル酸、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEMA)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAAm)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(ビニルスルホン酸)(PVSA)、ポリ(L-アスパラギン酸)、ポリ(L-グルタミン酸)、ポリリシン、寒天、アガロース、アルジネート、ヘパリン、アルジネートサルフェート、デキストランサルフェート、ヒアルロナン、ペクチン、カラギーナン、ゼラチン、キトサン、セルロース、又はコラーゲンを含む、項目1に記載のビーズ。
(項目7)
前記架橋剤が、ビスアクリルアミド、ジアクリレート、ジアリルアミン、トリアリルアミン、ジビニルスルホン、ジエチレングリコールジアリルエーテル、エチレングリコールジアクリレート、ポリメチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシル化トリメチロールトリアクリレート、又はエトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレートを含む、項目1に記載のビーズ。
(項目8)
前記生体分子が、核酸である、項目1に記載のビーズ。
(項目9)
前記核酸が、50,000塩基対以上の長いDNA分子である、項目8に記載のビーズ。
(項目10)
前記試薬が、50塩基対未満のサイズを有する酵素、化学物質、及びプライマーを含む、項目1に記載のビーズ。
(項目11)
前記試薬が、リゾチーム、プロテイナーゼK、ランダムヘキサマー、ポリメラーゼ(Φ29DNAポリメラーゼ、Taqポリメラーゼ、Bsuポリメラーゼ)、トランスポゼース(Tn5)、プライマー(P5及びP7アダプタ配列)、リガーゼ、触媒酵素、デオキシヌクレオチドトリホスフェート、緩衝剤、又は二価カチオンを含む、項目1に記載のビーズ。
(項目12)
前記ビーズが、前記ビーズを封入する安定化シェルを更に含む、項目1に記載のビーズ。
(項目13)
前記安定化シェルが、N,N’-(1,2-ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド(DHEBA)、アクリレート-PEG、及びペルオキソ二硫酸カリウム(KPS)を含む、項目12に記載のビーズ。
(項目14)
前記ヒドロゲルポリマー前駆体に結合した蛍光化合物を更に含む、項目1に記載のビーズ。
(項目15)
前記蛍光化合物が、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)である、項目14に記載のビーズ。
(項目16)
ポリマービーズ内に封入された生体分子に対して複数の連続的な共アッセイを実行する方法であって、
項目1に記載の生体分子を封入するポリマービーズを得ることと、
単一細胞を試薬と連続的に接触させて、複数の連続的な共アッセイを実行することと、を含む、方法。
(項目17)
前記電荷、pH、又は温度を調整することによって、前記ポリマービーズの細孔のサイズを調節することを更に含む、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記ポリマービーズが、複数のポリマー層を含み、各ポリマー層が、別個のサイズの細孔を有し、各ポリマー層の前記細孔サイズが、前記電荷、pH、又は温度を変化させることによって具体的に調節される、項目16に記載の方法。
(項目19)
前記複数の連続的な共アッセイが、溶解、DNA分析、RNA分析、タンパク質分析、タグメンテーション、核酸増幅、核酸配列決定、DNAライブラリ調製、配列決定を使用するトランスポゼースアクセス可能クロマチンのためのアッセイ(ATAC-seq)、連続性保存転位(CPT-seq)、単一細胞組み合わせインデックス化配列決定(SCI-seq)、若しくは単一細胞ゲノム増幅、又は連続的に実行されるそれらの任意の組み合わせを含む、項目16に記載の方法。
(項目20)
生体分子を封入する前記ポリマービーズが、固体支持体上に播種される、項目16に記載の方法。
(項目21)
前記固体支持体が、エッチングされた表面、ウェル、フローセルデバイス、マイクロ流体チャネル、ビーズ、又はカラムである、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記生体分子が、核酸である、項目16に記載の方法。
(項目23)
前記核酸が、50,000塩基対以上の長いDNA分子である、項目22に記載の方法。
(項目24)
タグメンテーション反応を実行する前に、前記ポリマービーズ内に封入された核酸に対して核酸増幅反応を実行することを更に含む、項目16に記載の方法。
(項目25)
前記核酸増幅反応が、多置換増幅(MDA)を含む、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記タグメンテーション反応が、生体分子を、アダプタ配列及びトランスポソームを含むトランスポゼース混合物と接触させることを含む、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記DNAライブラリを固体支持体上に播種することを更に含む、項目19に記載の方法。
(項目28)
播種することが、前記ビーズを開裂して、前記ビーズから前記DNAライブラリを放出することを含む、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記ビーズが、前記ビーズを開裂ミックスと接触させることによって、又は前記ビーズを約90℃まで加熱することによって開裂されて、前記DNAライブラリを放出する、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記開裂ミックスが、ジチオスレイトール(DTT)、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、又はトリス(3-ヒドロキシプロピル)ホスフィン(THP)を含む、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記固体支持体が、フローセルデバイスである、項目27に記載の方法。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図17A
図17B
図17C
図18A
図18B
図18C
【配列表】
2024096279000001.app
【外国語明細書】