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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096282
(43)【公開日】2024-07-12
(54)【発明の名称】薬剤揮散装置、及び、薬剤揮散方法
(51)【国際特許分類】
   A01M 1/20 20060101AFI20240705BHJP
   A61L 9/12 20060101ALI20240705BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20240705BHJP
   B65D 85/00 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
A01M1/20 D
A61L9/12
B65D83/00 F
B65D85/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024073834
(22)【出願日】2024-04-30
(62)【分割の表示】P 2020182584の分割
【原出願日】2020-10-30
(71)【出願人】
【識別番号】000100539
【氏名又は名称】アース製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮地 彩雅
(72)【発明者】
【氏名】小倉 千佳
(57)【要約】
【課題】容器内への水の侵入が抑制される、防水性の高い薬剤揮散装置の提供。
【解決手段】常温揮散性の薬剤を保持した薬剤揮散体2と、薬剤揮散体2を内部に収容し且つ薬剤揮散体2を外部に露出させる開口部(A1~A22)を有する容器と、を備え、容器(3,103,203)が、少なくとも一端が容器(3,103,203)の周縁部分(21,121,221)と連続し且つ開口部(A1~A22)に沿うように延びる凸条部(23,123,223)と、容器(3,103,203)の表面が厚さ方向に容器(3,103,203)の内側に窪み凸条部に隣接する凹部(22,122,222)と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
常温揮散性の薬剤を保持した薬剤揮散体と、前記薬剤揮散体を内部に収容し且つ前記薬剤揮散体を外部に露出させる開口部を有する容器と、を備えた薬剤揮散装置であって、
前記容器は、
少なくとも一端が該容器の周縁部分と連続し且つ前記開口部に沿うように延びる凸条部と、
該容器の表面が厚さ方向に該容器の内側に窪み前記凸条部に隣接する凹部と、を有する、
薬剤揮散装置。
【請求項2】
請求項1に記載の薬剤揮散装置において、
前記凸条部の表面の粗さと前記凹部の表面の粗さとが異なる、
薬剤揮散装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の薬剤揮散装置において、
前記容器は、
前記薬剤揮散体を内部に収容する内側容器と、
前記内側容器を内部に収容する外側容器と、を有するように構成される、二重構造を有し、
前記内側容器、及び、前記外側容器は、
前記内側容器が前記外側容器の内部に収容されている閉状態と、前記内側容器の一部が前記外側容器の外部へと突出している開状態と、の間を相対移動可能なように構成され、
前記閉状態では、前記内側容器及び前記外側容器によって、前記開口部が塞がれて、
前記開状態では、前記内側容器及び前記外側容器によって、前記開口部が画成される、
薬剤揮散装置。
【請求項4】
薬剤揮散装置を用いた薬剤揮散方法であって、
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の薬剤揮散装置を用いて、常温揮散性の薬剤を揮散させる工程を含む、
薬剤揮散方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、常温揮散性の薬剤を保持した薬剤揮散体と、薬剤揮散体を内部に収容し且つ薬剤揮散体を外部に露出させる開口部を有する容器と、を備えた薬剤揮散装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、害虫防除などを目的として、薬剤を保持した薬剤揮散体を容器内に収容した薬剤揮散装置が用いられている。この種の薬剤揮散装置は、一般に、薬剤揮散体を外部に露出させる開口部を容器に設けることで、薬剤揮散体から自然蒸散した薬剤を薬剤揮散装置の周辺を流れる空気(風)中に揮散させるようになっている(例えば、特許文献1を参照。)。具体的には、特許文献1の薬剤揮散装置では、ろ紙状の紙に薬剤を含侵させて、ろ紙状の紙から、自然下において薬剤を揮散させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-504627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の薬剤揮散装置では、屋外での使用時には、降雨等により容器に水が付着することがある。従来の薬剤揮散装置では、容器に付着した水が容器の表面を伝って開口部から容器の内部に水が浸入することがあった。例えば、特許文献1のように、ろ紙状の紙に薬剤を含侵させている場合においては、容器の内部に侵入した水が、薬剤含侵体から薬剤を流出させる可能性があるため、従来の薬剤揮散装置では、含侵体が耐水性のものに限定されてしまうことがあった。このため、薬剤揮散装置は、降水等によって容器に付着した水の容器の内部への侵入が抑制されることが望まれている。
【0005】
本発明の目的は、容器内への水の侵入が抑制される、防水性の高い薬剤揮散装置、及び、薬剤揮散方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る薬剤揮散装置、及び、薬剤揮散方法は、下記[1]~[4]を特徴とする。
[1]
常温揮散性の薬剤を保持した薬剤揮散体と、前記薬剤揮散体を内部に収容し且つ前記薬剤揮散体を外部に露出させる開口部を有する容器と、を備えた薬剤揮散装置であって、
前記容器は、
少なくとも一端が該容器の周縁部分と連続し且つ前記開口部に沿うように延びる凸条部と、
該容器の表面が厚さ方向に該容器の内側に窪み前記凸条部に隣接する凹部と、を有する、
薬剤揮散装置であること。
[2]
上記[1]に記載の薬剤揮散装置において、
前記凸条部の表面の粗さと前記凹部の表面の粗さとが異なる、
薬剤揮散装置であること。
[3]
上記[1]又は上記[2]に記載の薬剤揮散装置において、
前記容器は、
前記薬剤揮散体を内部に収容する内側容器と、
前記内側容器を内部に収容する外側容器と、を有するように構成される、二重構造を有し、
前記内側容器、及び、前記外側容器は、
前記内側容器が前記外側容器の内部に収容されている閉状態と、前記内側容器の一部が前記外側容器の外部へと突出している開状態と、の間を相対移動可能なように構成され、
前記閉状態では、前記内側容器及び前記外側容器によって、前記開口部が塞がれて、
前記開状態では、前記内側容器及び前記外側容器によって、前記開口部が画成される、
薬剤揮散装置であること。
[4]
薬剤揮散装置を用いた薬剤揮散方法であって、
上記[1]から上記[3]の何れか一項に記載の薬剤揮散装置を用いて、常温揮散性の薬剤を揮散させる工程を含む、
薬剤揮散方法であること。
【0007】
上記[1]の構成の薬剤揮散装置によれば、容器は、薬剤揮散体を外部に露出させる厚さ方向に貫通した開口部と、少なくとも一端が容器の周縁部分と連続し且つ開口部に沿うように延びる凸条部と、容器の表面が厚さ方向沿って容器の内側に窪み且つ凸条部に隣接する凹部と、を有する。降雨等によって凸条部に付着した水は、表面張力の働き等により、凸条部から凹部に流れ込むよりも凸条部の上に留まり易い傾向がある。更に、凸条部の上に留まった水は、開口部に沿って延びる凸条部を伝って流れ、容器の周縁部分に向けて案内される。一方、凹部に付着した水は、凹部の窪み内に溜まることで開口部に向けて容易には流れ難く、且つ、凹部の窪みから溢れ出たとしても凹部に隣接する凸条部を伝って上記同様に周縁部分に案内される。このように、凸条部による排水と凹部による貯留との相乗効果により、開口部への水の流入を抑制できる。この結果、本構成の薬剤揮散装置は、従来の薬剤揮散装置に比べ、防水性に優れている。
【0008】
上記[2]の構成の薬剤揮散装置によれば、凸条部の表面の粗さと凹部の表面の粗さとが異なるように構成される。発明者による検討等によれば、形状上の凹凸に加えて表面粗さの点でも凸条部と凹部との差異を際立たせることで、上述した凸条部による排水と凹部による貯留との相乗効果を更に効果的に発揮できる。特に、上述した凸条部による排水効果を高める観点では、凸条部の表面の粗さが凹部の表面の粗さよりも小さい(即ち、滑らか)であることが好ましい。この結果 、本構成の薬剤揮散装置は、更に防水性に優れている。
【0009】
上記[3]の構成の薬剤揮散装置によれば、容器が薬剤揮散体を内部に収容する内側容器と、内側容器を内部に収容する外側容器と、を有する二重構造を有することで、二重構造を有していない場合に比べ、容器の内部へと水が浸入し難くなる。この結果、本構成の薬剤揮散装置は、容器内への水の侵入が抑制されて、より防水性が向上される。
また、容器が、内側容器が外側容器の内部に収容されている閉状態と、内側容器の一部が外側容器の外部へと突出している開状態と、の間を相対移動可能なように構成されることで、薬剤揮散装置の使用状況によって閉状態と開状態とを切り替えることができる。具体的には、閉状態では内側容器及び外側容器によって開口部が塞がれて、開状態では内側容器及び外側容器によって開口部が画成されるため、天候に合わせて閉状態と開状態を切り替えることで開口部から直接侵入する水を抑制できる。なお、上述した閉状態及び開状態について、具体的には、閉状態では薬剤揮散体を外部に露出させず、開状態では薬剤揮散体を外部に露出させる、ように構成されている。
【0010】
上記[4]の構成の薬剤揮散方法によれば、上記[1]~上記[3]のように防水性が高い薬剤揮散装置を使用することで、薬剤を揮散させるとき、容器の内部へと水が浸入し難い。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、容器内への水の侵入が抑制される、防水性の高い薬剤揮散装置、及び、薬剤揮散方法を提供できる。
【0012】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の第一の実施形態に係る薬剤揮散装置の斜視図である。
図2図2は、図1の薬剤揮散装置において外側容器に内側容器を収容した状態の斜視図である。
図3図3は、図1に示す薬剤揮散装置の正面図である。
図4図4は、図2に示す薬剤揮散装置の正面図である。
図5図5は、図1に示す薬剤揮散装置の分解斜視図である。
図6図6は、本発明の第二の実施形態に係る薬剤揮散装置についての図3に相当する図である。
図7図7は、本発明の第三の実施形態に係る薬剤揮散装置についての図3に相当する図である。
図8図8は、本発明の他の実施形態に係る薬剤揮散装置についての図1に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る薬剤揮散装置1について説明する。説明の便宜上、図1に示すように、薬剤揮散装置1の長手方向を「上下方向」とし、「上下方向」に直交する一方向を「幅方向」とし、「上下方向」及び「幅方向」に直交する一方向を「厚さ方向」とする。また、薬剤揮散装置1の「厚さ方向」の一方側を「正面側」とし、他方側を「背面側」とする。なお、本発明の薬剤揮散装置は、屋外での使用を前提としているが、屋内で使用されてもよい。
【0015】
(第一の実施形態)
図1図5に示すように、薬剤揮散装置1は、常温揮散性の薬剤を保持した薬剤揮散体2と、薬剤揮散体2を内部に収容する内側容器10及び内側容器10を内部に収容する外側容器20を有する容器3と、を備えている。薬剤揮散装置1は、全体として高さ(図1の上下方向の長さ)が幅(幅方向の長さ)よりも長い矩形の形状を有する。
【0016】
まず、内側容器10について説明する。図1図5に示すように、内側容器10は、内側容器10の内部に常温揮散性の薬剤を保持した薬剤揮散体2が収容されている。特に図5に示すように、内側容器10は、延在部12と、連続部13と、が内側容器10の正面側及び背面側の両側にそれぞれ設けられている。
【0017】
延在部12は、上側の周縁部分11aと下側の周縁部分11cとの間に上下方向に所定の間隔を開けて、周方向の一方側の周縁部分11bから他方側の周縁部分11dに向かって延びている。
【0018】
連続部13は、周縁部分11と延在部12との間を上下方向に交差するように延びている。具体的には、連続部13は網目状の形状を有する。これにより、内側容器10は、周縁部分11、延在部12、及び、連続部13によって略三角形状を有する複数の開口部A1が画成される。複数の開口部A1は、それぞれ厚さ方向に貫通する開口である。
【0019】
内側容器10の上側の側壁には、紐挿通部14aを有する吊り下げ部14が設けられている。例えば、薬剤揮散装置1を使用するとき、紐挿通部14aに紐を挿通させることで、フックやカバン等に薬剤揮散装置1を吊り下げることができる。なお、吊り下げ部14は、紐挿通部14aを有することで、紐挿通部に挿通された紐が幅方向への変位が最小限に抑制される。
【0020】
内側容器10の幅方向の対向する側壁には、通気孔15がそれぞれ設けられている。通気孔15は、上下方向に所定の間隔を開けて複数設けられている。薬剤揮散装置1は、例えば、通気孔15、及び、後述する通気孔24を介して容器3の外部からの空気が容器3の内部へと流れ込み、容器3の内部へと流れ込んだ空気が開口部A1、及び、後述する開口部A2に向けて流れ出る。また、開口部A1、及び、A2を介して容器3の外部からの空気が容器3の内部へと流れ込み、容器3の内部へと流れ込んだ空気が通気孔15、及び通気孔24に向けて流れ出ることもできる。
【0021】
内側容器10の各構成は、後述する外側容器20の形状、大きさ等に対応するように形成されている。具体的には、延在部12は後述する凹部22に対応し、連続部13は後述する凸条部23に対応し、開口部A1は後述する開口部A2に対応し、通気孔15は通気孔24に対応する。
【0022】
次に、外側容器20について説明する。図1図5に示すように、外側容器20は、内部に内側容器10が収容されている。特に図5に示すように、外側容器20は、凹部22と、凸条部23と、が外側容器20の正面側及び背面側の両側にそれぞれ設けられている。
【0023】
凹部22は、上側の周縁部分21aと下側の周縁部分21cとの間に上下方向に所定の間隔を開けて、周方向の一方側の周縁部分21bから他方側の周縁部分21dに向かって延びている。凹部22は、周縁部分21よりも薬剤揮散装置1の内側に位置して設けられている。
【0024】
凸条部23は、周縁部分21と連続して設けられ、網目状の形状を有する。また、凸条部23は、開口部A2及び凹部22とそれぞれ隣接している。具体的には、凹部22上において、凸条部23の厚さ方向の内側端面が、凹部22の厚さ方向の外側端面と連続している。本実施形態では、凸条部23の表面の粗さは、凹部22の表面の粗さよりも粗く構成されてもよいが、凹部22の表面の粗さよりも滑らかに構成されることが好ましい。
【0025】
外側容器20は、凸条部23によって開口部A2の一部が塞がれて、複数の開口部A2が画成される。複数の開口部A2は、それぞれ厚さ方向に貫通する開口である。
【0026】
外側容器20の幅方向の対向する側壁には、通気孔24がそれぞれ設けられている。通気孔24は、上下方向に所定の間隔を開けて複数設けられている。薬剤揮散装置1は、例えば、通気孔15、及び、通気孔24を介して容器3の外部からの空気が容器3の内部へと流れ込み、容器3の内部へと流れ込んだ空気が開口部A1、及び、開口部A2に向けて流れ出る。また、開口部A1、及び、A2を介して容器3の外部からの空気が容器3の内部へと流れ込み、容器3の内部へと流れ込んだ空気が通気孔15、及び通気孔24に向けて流れ出ることもできる。
【0027】
上述したように構成された容器3は、薬剤揮散体2を内部に収容する内側容器10と、内側容器10を内部に収容する外側容器20と、を有するように構成された二重構造を有する。また、容器3は、延在部12と凹部22との上下方向の長さ、及び、開口部A1と開口部A2との大きさがほぼ等しく形成されている。これにより、薬剤揮散装置1の開状態(図1,3参照)及び閉状態(図2,4)にてそれぞれ特有の効果が得られる。これについては、以下に詳述する。
【0028】
内側容器10は、外側容器20の内部にて外側容器20に対して相対移動可能に構成されている。図1,3に示すように、外側容器20の上方に内側容器10が突出している場合(以下、「開状態」という。)、開口部A1及び開口部A2が厚さ方向に連通する。別の言い方をすると、薬剤揮散装置1が開状態であるとき、薬剤揮散体2が外部に露出する。このため、薬剤揮散装置1が開状態においては、薬剤揮散体2が外気に触れて、薬剤が揮散される。
【0029】
一方、図2,4に示すように、内側容器10を外側容器20の内部(即ち、下側)に向けて移動させた場合(以下、「閉状態」という。)、開口部A1及びA2の上下方向の位置がずれて、容器3の内外が密閉される。具体的には、開口部A1は凹部22、開口部A2は延在部12によってそれぞれ密閉される。別の言い方をすると、内側容器10は外側容器20の内部に完全に収納された状態となる。このため、薬剤揮散装置1が閉状態においては、薬剤揮散体2が外気に触れることがなく、薬剤の消費が阻止される。
【0030】
薬剤揮散装置1は、上述したように、内側容器10を外側容器20に対して相対移動させることで、薬剤を揮散させるとき(即ち、薬剤揮散装置1を使用するとき)は、開状態に、薬剤を揮散させないとき(即ち、薬剤揮散装置1を使用しないとき)は、閉状態にすることができる。このように、薬剤揮散装置1は、使用状況に合わせて、開状態と閉状態とを切り替えることができる。
【0031】
容器3は、開状態において内側容器10の係止部(不図示)が外側容器20の第一被係止部(不図示)に係止され、閉状態において係止部が外側容器20の第二被係止部(不図示)に係止されるように構成されている。例えば、薬剤揮散装置1を開状態から閉状態へ切り替える場合、内側容器10を外側容器20の内部に向けて押し込むことで、係止部と第一被係止部との係止が解除される。また、薬剤揮散装置1を閉状態から開状態へ切り替える場合、内側容器10を外側容器20の外部に向けて引き出すことで、係止部と第二被係止部との係止が解除される。
【0032】
なお、外側容器20には、第一被係止部が設けられなくともよい。例えば、紐挿通部14aに紐を挿通させて、フック等に薬剤揮散装置1を吊り下げて使用する場合、係止部と第二係止部との係止(即ち、閉状態)を解除すると、外側容器20は自重によって下側に移動し、外側容器20の自重によって開状態が維持されることになる。
【0033】
次に、薬剤揮散体2について説明する。薬剤を保持する薬剤揮散体2は、薬剤を保持できれば特に限定されない。具体的には、薬剤揮散体の材料としては、例えば、糸(撚り糸など)、不織布、木材、パルプ(紙)、無機高分子物質、無機多孔質物質(ケイ酸塩、シリカ、ゼオライトなど)、有機高分子物質(セルロース、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコールなど)などの担体が挙げられる。また、自重の数倍以上を保持できる担体、例えば高吸液性ポリマー、綿、海綿体、連続気泡の発泡体などを用いてもよい。
さらに、効率よく薬剤を揮散する担体としては、例えば、紙、不織布、フェルト状織物、無機繊維等、繊維材を用いたネットが挙げられる。ネットを用いる場合、ネットは、一般に、多数の通気孔を有し、薬剤の揮散効果に優れる。ネットに用いる繊維材は、例えば、短繊維または長繊維の糸をレース編みやメリヤス編みなどの手法を用いて編むことで製造し得る。糸の材料として、例えば、パルプ、綿、羊毛、麻および絹などの天然繊維、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリサルフォン、レーヨン、メタアクリル酸樹脂および生分解性樹脂(例えば、ポリグリコール酸、ポリ乳酸およびポリ(β-ヒドロキシ酪酸))などが挙げられる。これら材料の1種または2種以上を混合して用いてもよい。特に、強度や加工性などの観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンを用いることが好ましい。更に、例えば、繊維材には、防カビ剤、色素、紫外線吸収剤および香料などの添加物を含有させてもよい。
【0034】
薬剤揮散体2が保持する薬剤は、常温で揮散しうる薬剤であり、各種の害虫防除剤(殺虫剤および忌避剤等)、芳香剤、消臭・防臭剤、殺菌剤、防カビ剤等の各種薬剤のなかから、目的に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。薬剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0035】
害虫防除剤としては、例えば、有機リン系、カーバメート系、ピレスロイド系等の各種殺虫剤、忌避剤、及び、昆虫成長調節剤などが挙げられる。有機リン系殺虫剤としては、DDVP及びダイアジノン等が挙げられ、カーバメート系殺虫剤としては、プロポクサー等が挙げられ、ピレスロイド系殺虫剤としては、フタルスリン、プラレトリン、テフルスリン、トランスフルトリン、メトフルトリン、ジメフルトリン、メパフルトリン、プロフルトリン、エムペントリン及びテラレスリン等が挙げられる。これらのうち、プロフルトリン、エンペントリン、トランスフルトリン及びメトフルトリンが、殺虫効果に優れる点で好ましい。また、その他の害虫防除剤として、植物精油、テルペン、及び、これらの異性体や誘導体等が挙げられる。
【0036】
芳香剤としては、例えば、ラベンダー油、じゃ香、竜延香、アビエス油、シトロネラ油、ユーカリ油、フェンネル油、ガーリック油、ジンジャー油、グレープフルーツ油、レモン油、レモングラス油、ナツメッグ油、ハッカ油、オレンジ油、テレピン油およびセイジ油などの精油類、ピネン、リモネン、リナロール、ゲラニオール、シトロネラール、ボルネオール、ベンジルアルコール、アニスアルコール、アネトール、オイゲノール、アルデヒド、シトラール、シトロネラール、ワニリン、カルボン、ケトン、メントン、アセトフェノン、クマリン、シネオール、酢酸エチル、酢酸オクチル、酢酸リナリル、酢酸ブチルシクロヘキシル、酢酸ブチルシクロヘプチル、イソ酪酸イソプロピル、カプロン酸アリル、安息香酸エチル、桂皮酸メチル及びサリチル酸メチルなどの香料等が挙げられる。
【0037】
消臭・防臭剤としては、例えば、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、アミルシンナミックアルデヒド、アニシックアルデヒド、ジフェニルオキサイド、安息香酸メチル、安息香酸エチル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸エチル、ネオリン、サフロール、シトロネラ油およびレモングラス油等が挙げられる。
【0038】
殺菌剤としては、例えば、IPMP(イソプロピルメチルフェノール)、PCMX(p-クロロ-m-キシレノール)、AIT(アリルイソチオシアネート)、ヒノキチオール、及び、安定化二酸化塩素等が挙げられる。
【0039】
薬剤には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、各種の添加剤を含有させてもよい。添加剤としては、例えば、効力増強剤、揮散率向上剤および安定剤等が挙げられる。添加剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0040】
揮散率向上剤としては、例えば、フェネチルイソチオシアネート等が挙げられる。安定剤としては、例えば、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシトルエン、3-t-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、メルカプトベンズイミダゾール、ジラウリル-チオ-ジ-プロピオネート、2,2'-メチレン-ビス-(6-t-ブチル-4-メチルフェノール)、4,4'-メチレン-ビス-(2,6-ジ-t-ブチルフェノール)、4,4'-チオ-ビス-(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)、フェニル-β-ナフチルアミン、2-t-ブチル-4-メトキシフェノール、ステアリル-β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、α-トコフェロール、アスコルビン酸及びエリソルビン酸等が挙げられる。
【0041】
薬剤を薬剤揮散体2に保持させる方法は、特に制限されない。例えば、薬剤を溶剤に溶解させた溶液を調製し、その溶液中に上述した担体を浸漬して薬剤を含浸させる方法、その溶液や薬剤の原体を担体の上に噴霧または滴下して担体に薬剤を含浸させる方法、及び、担体に薬剤を練り込む方法などを用い得る。更に、必要に応じて、薬剤を担体に含浸させた後、乾燥等によって溶剤を除去してもよい。
【0042】
薬剤の溶液を調製するための溶剤としては、特に制限はないが、例えば、水、ナフテン、灯油、パラフィン等の炭化水素類、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、メタノール、イソプロパノール、1-オクタノール、1-ドデカノール等のアルコール類、アセトン、アセトフェノン等のケトン類、ジヘキシルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、アジピン酸ジオクチル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジエチル等のエステル類、キシレン、トルエン、ヘキサン及び、シリコーンオイル等の1種もしくは2種以上が挙げられる。
【0043】
薬剤揮散体2における薬剤の保持量は、薬剤の種類等を考慮して、所望の効果(揮散性や有効期間)を発揮するように適宜決定されればよい。また、薬剤揮散体2は、交換可能なカートリッジ式に構成されてもよい。薬剤揮散装置1を長期間にわたって使用して薬剤が全て又は殆ど揮散して薬剤の効果が消失または低下した場合、薬剤揮散体2を新たなものに交換することで、優れた効果を再び発揮させることができる。
【0044】
(第二の実施形態)
次に、本発明の第二の実施形態に係る薬剤揮散装置101について説明する。薬剤揮散装置1と同様に構成されている箇所の説明は省略する。
【0045】
図6に示すように、薬剤揮散装置101は、薬剤揮散体2と、薬剤揮散体2を内部に収容する内側容器110及び内側容器110を内部に収容する外側容器120を有する容器103と、を備えている。薬剤揮散装置101は、全体として高さ(図6の上下方向の長さ)が幅(幅方向の長さ)よりも長い矩形の形状を有する。
【0046】
外側容器120は、周縁部分121よりも薬剤揮散装置101の内側に位置して設けられる凹部122と、周縁部分121と連続して設けられる凸条部123と、が外側容器120の正面側及び背面側の両側にそれぞれ設けられている。凹部122は、上側の周縁部分121aから所定の距離が離れた位置から、下側の周縁部分121cとの間に上下方向に所定の間隔を開けて、周方向の一方側の周縁部分121bから他方側の周縁部分121dに向かって延びている。凸条部123は、周縁部分121aから所定の距離が離れた位置から周縁部分121cに向かって、上下方向に沿って延びている。つまり、凸条部123は、一端が周縁部分121と連続しているが、他端は周縁部分121と連続していない。
【0047】
外側容器120では、凸条部123の一端が、周縁部分121と連続して設けられて、格子状の形状を有する。凸条部123は、開口部A12及び凹部122とそれぞれ隣接している。開口部A12は、それぞれ厚さ方向に貫通する開口である。外側容器120の幅方向の対向する側壁には、通気孔24がそれぞれ設けられている。
【0048】
内側容器110の内部には、常温揮散性の薬剤を保持した薬剤揮散体2が収容されている。内側容器110は、延在部(不図示)と、連続部(不図示)と、が内側容器110の正面側及び背面側の両側にそれぞれ設けられ、周縁部分(不図示)、延在部、及び、連続部によって略矩形状の形状を有する複数の開口部A11が画成される。
【0049】
内側容器110は、上側の側壁には紐挿通部14aを有する吊り下げ部14が設けられ、幅方向の対向する側壁には通気孔15がそれぞれ設けられている。
【0050】
上述した内側容器110の各構成は、外側容器120の形状、大きさ等に対応するように形成されている。つまり、延在部は凹部122に対応し、連続部は凸条部123に対応し、開口部A11は開口部A12に対応し、通気孔15は通気孔24に対応する。
【0051】
容器103は、内側容器110と、内部にて内側容器110を相対移動可能なように収容する外側容器120と、を有するように構成された二重構造を有する。なお、薬剤揮散装置101は、薬剤揮散装置1と同様に、内側容器110と外側容器120とを相対移動させることで、開状態(図6参照)と閉状態(不図示)とを切り替えることができる。薬剤揮散装置101が開状態にあるとき、開口部A11及び開口部A12が厚さ方向に連通することになる。
【0052】
(第三の実施形態)
次に、本発明の第三の実施形態に係る薬剤揮散装置201について説明する。薬剤揮散装置1と同様に構成されている箇所の説明は省略する。
【0053】
図7に示すように、薬剤揮散装置201は、薬剤揮散体2と、薬剤揮散体2を内部に収容する内側容器210及び内側容器210を内部に収容する外側容器220を有する容器203と、を備えている。薬剤揮散装置201は、全体として高さ(図7の上下方向の長さ)と幅(幅方向の長さ)が等しい円形の形状を有する。
【0054】
外側容器220は、周縁部分221よりも薬剤揮散装置201の内側に位置して設けられる凹部222と、周縁部分221と連続して設けられる凸条部223と、が外側容器220の正面側及び背面側の両側にそれぞれ設けられている。凹部222は、上側の周縁部分221aと下側の周縁部分221cとの間に上下方向に所定の間隔を開けて、周方向の一方側の周縁部分221bから他方側の周縁部分221dに向かって延びている。凸条部223は、周縁部分221aから周縁部分221cに向かって、上下方向に沿って延びている。つまり、凸条部223は、両端が周縁部分221と連続している。
【0055】
外側容器220では、凸条部223が、周縁部分221と連続して設けられて、格子状の形状を有する。また、凸条部223は、開口部A22及び凹部222とそれぞれ隣接している。開口部A22は、それぞれ厚さ方向に貫通する開口である。外側容器220の幅方向の対向する側壁には、通気孔24がそれぞれ設けられている。
【0056】
内側容器210は、上下方向の両端部が円弧状に形成され、高さが幅よりも大きい矩形状の上下方向の両端部が円弧状になっている形状を有する。内側容器210の内部には、常温揮散性の薬剤を保持した薬剤揮散体2が収容されている。内側容器210は、延在部(不図示)と、連続部(不図示)と、が内側容器210の正面側及び背面側の両側にそれぞれ設けられ、周縁部分(不図示)、延在部、及び、連続部によって略矩形状の形状を有する複数の開口部A21が画成される。
【0057】
内側容器210は、上側の側壁には紐挿通部14aを有する吊り下げ部14が設けられ、幅方向の対向する側壁には通気孔15がそれぞれ設けられている。
【0058】
上述した内側容器210の各構成は、外側容器220の形状、大きさ等に対応するように形成されている。つまり、延在部は凹部222に対応し、連続部は凸条部223に対応し、開口部A21は開口部A22に対応し、通気孔15は通気孔24に対応する。
【0059】
容器203は、内側容器210と、内部にて内側容器210を相対移動可能なように収容する外側容器220と、を有するように構成された二重構造を有する。なお、薬剤揮散装置201は、薬剤揮散装置1と同様に、内側容器210と外側容器220とを相対移動させることで、開状態(図7参照)と閉状態(不図示)とを切り替えることができる。薬剤揮散装置201が開状態にあるとき、開口部A21及び開口部A22が厚さ方向に連通することになる。
【0060】
(作用・効果)
本実施形態に係る薬剤揮散装置(1,101,201)によれば、容器(3,103,203)は、薬剤揮散体2を外部に露出させる厚さ方向に貫通した開口部(A1~A22)と、少なくとも一端が容器(3,103,203)の周縁部分(21,121,221)と連続し且つ開口部(A1~A22)に沿うように延びる凸条部(23,123,223)と、容器(3,103,203)の表面が厚さ方向沿って容器(3,103,203)の内側に窪み且つ凸条部(23,123,223)に隣接する凹部(22,122,222)と、を有する。降雨等によって凸条部(23,123,223)に付着した水は、表面張力の働き等により、凸条部(23,123,223)から凹部(22,122,222)に流れ込むよりも凸条部(23,123,223)の上に留まり易い傾向がある。更に、凸条部(23,123,223)の上に留まった水は、開口部(A1~A22)に沿って延びる凸条部(23,123,223)を伝って流れ、容器(3,103,203)の周縁部分(21,121,221)に向けて案内される。一方、凹部(22,122,222)に付着した水は、凹部(22,122,222)の窪み内に溜まることで開口部(A1~A22)に向けて容易には流れ難く、且つ、凹部(22,122,222)の窪みから溢れ出たとしても凹部(22,122,222)に隣接する凸条部(23,123,223)を伝って上記同様に周縁部分(21,121,221)に案内される。このように、凸条部(23,123,223)による排水と凹部(22,122,222)による貯留との相乗効果により、開口部(A1~A22)への水の流入を抑制できる。この結果、本構成の薬剤揮散装置(1,101,201)は、従来の薬剤揮散装置に比べ、防水性に優れている。
【0061】
更に、凸条部(23,123,223)の表面の粗さと凹部(22,122,222)の表面の粗さとが異なるように構成される。発明者による検討等によれば、形状上の凹凸に加えて表面粗さの点でも凸条部(23,123,223)と凹部(22,122,222)との差異を際立たせることで、上述した凸条部(23,123,223)による排水と凹部(22,122,222)による貯留との相乗効果を更に効果的に発揮できる。特に、上述した凸条部(23,123,223)による排水効果を高める観点では、凸条部(23,123,223)の表面の粗さが凹部(22,122,222)の表面の粗さよりも小さい(即ち、滑らか)であることが好ましい。この結果 、本構成の薬剤揮散装置(1,101,201)は、更に防水性に優れている。
【0062】
更に、容器が(3,103,203)二重構造を有することで、二重構造を有していない場合に比べ、容器(3,103,203)の内部へと水が浸入し難くなる。この結果、薬剤揮散装置(1,101,201)は、容器内への水の侵入が抑制されて、より防水性が向上される。具体的には、閉状態(図2,4)では内側容器(10,110,210)及び外側容器(20,120,220)によって開口部(A1~A22)が塞がれて、開状態(図1,3)では内側容器(10,110,210)及び外側容器(20,120,220)によって開口部(A1~A22)が画成されるため、天候に合わせて閉状態(図2,4)と開状態(図1,3)を切り替えることで開口部(A1~A22)から直接侵入する水を抑制できる。なお、上述した閉状態(図2,4)及び開状態(図1,3)について、具体的には、閉状態(図2,4)では薬剤揮散体2を外部に露出させず、開状態(図1,3)では薬剤揮散体2を外部に露出させる、ように構成されている。
【0063】
本実施形態に係る薬剤揮散方法によれば、防水性が高い薬剤揮散装置(1,101,201)を使用することで、薬剤を揮散させるとき、容器(3,103,203)の内部へと水が浸入し難い。
【0064】
<他の態様>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用できる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0065】
例えば、図8に示すように、薬剤揮散装置1の通気孔24に凸条部4を設けてもよい。なお、薬剤揮散装置(101,201)にも凸条部4を設けてもよい。このように構成することで、薬剤揮散装置(1,101,201,301)は、通気孔24からの水の侵入も抑制できる。また、図8に示すように、薬剤揮散装置301は、二重構造を有していなくても良い。
【0066】
ここで、上述した本発明に係る薬剤揮散装置1の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[4]に簡潔に記載する。
[1]
常温揮散性の薬剤を保持した薬剤揮散体(2)と、前記薬剤揮散体を内部に収容し且つ前記薬剤揮散体を外部に露出させる開口部(A1~A22)を有する容器と、を備えた薬剤揮散装置(1,101,201,301)であって、
前記容器(3,103,203,303)は、
少なくとも一端が該容器の周縁部分(21,121,221)と連続し且つ前記開口部(A1~A22)に沿うように延びる凸条部(23,123,223)と、
該容器の表面が厚さ方向に該容器の内側に窪み前記凸条部に隣接する凹部(22,122,222)と、を有する、
薬剤揮散装置(1,101,201,301)。
[2]
上記[1]に記載の薬剤揮散装置(1,101,201,301)において、
前記凸条部(23,123,223)の表面の粗さと前記凹部(22,122,222)の表面の粗さとが異なる、
薬剤揮散装置(1,101,201,301)。
[3]
上記[1]又は上記[2]に記載の薬剤揮散装置(1,101,201)において、
前記容器(3,103,203)は、
前記薬剤揮散体(2)を内部に収容する内側容器(10,110,210)と、
前記内側容器を内部に収容する外側容器(20,120,220)と、を有するように構成される、二重構造を有し、
前記内側容器、及び、前記外側容器は、
前記内側容器が前記外側容器の内部に収容されている閉状態(図2,4)と、前記内側容器の一部が前記外側容器の外部へと突出している開状態(図1,3)と、の間を相対移動可能なように構成され、
前記閉状態(図2,4)では、前記内側容器及び前記外側容器によって、前記開口部が塞がれて、
前記開状態(図1,3)では、前記内側容器及び前記外側容器によって、前記開口部が画成される、
薬剤揮散装置(1,101,201)。
[4]
薬剤揮散装置を用いた薬剤揮散方法であって、
上記[1]から上記[3]の何れか一項に記載の薬剤揮散装置(1,101,201)を用いて、常温揮散性の薬剤を揮散させる工程を含む、
薬剤揮散方法。
【符号の説明】
【0067】
1,101,201,301 薬剤揮散装置
2 薬剤揮散体
3,103,203,303 容器
4,23,123,223 凸条部
10,110,210 内側容器
11(11a,11b,11c,11d) 周縁部分
12 延在部
13 連続部
14 吊り下げ部
14a 紐挿通部
15,24 通気孔
20,120,220 外側容器
21,121,221 周縁部分
22,122,222 凹部
A1,A2,A11,A12,A21,A22 開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8