(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096287
(43)【公開日】2024-07-12
(54)【発明の名称】太陽電池モジュールの設置方法および建造物
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20240705BHJP
H02S 30/00 20140101ALI20240705BHJP
【FI】
E04F13/08 Z
H02S30/00
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024073894
(22)【出願日】2024-04-30
(62)【分割の表示】P 2022500248の分割
【原出願日】2020-12-18
(31)【優先権主張番号】P 2020021451
(32)【優先日】2020-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100156177
【弁理士】
【氏名又は名称】池見 智治
(74)【代理人】
【識別番号】100130166
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 宏明
(72)【発明者】
【氏名】宮道 祐介
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 衛郷
(72)【発明者】
【氏名】西村 太佑
(72)【発明者】
【氏名】黒須 敬太
(72)【発明者】
【氏名】芝原 求己
(72)【発明者】
【氏名】牛尾 紳之介
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 翔英
(72)【発明者】
【氏名】高橋 雅也
(57)【要約】
【課題】建造物に設置される太陽電池モジュールについて、軽量化と出力特性の維持とを図る。
【解決手段】太陽電池モジュールの設置方法は、外壁部を有する建造物、および前面と該前面の逆側に位置している裏面とを有する太陽電池モジュール、を準備する工程と、外壁部の外壁面に沿って裏面が位置するように、保持部によって太陽電池モジュールを保持させる工程と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)外壁部を有する建造物、および前面と該前面の逆側に位置している裏面とを有する太陽電池モジュールを準備する工程と、
(b)前記外壁部の外壁面に沿って前記裏面が位置するように、保持部によって前記太陽電池モジュールを保持させる工程と、を有する、太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項2】
請求項1に記載の太陽電池モジュールの設置方法であって、
前記保持部が、押さえ部と該押さえ部から突出している状態にある軸部とを有する締結部材を含み、
前記工程(b)において、前記軸部を前記外壁部における前記外壁面から該外壁部の厚さ方向の少なくとも途中まで挿入することで前記外壁部に前記軸部を固定し、前記押さえ部が前記外壁部と前記太陽電池モジュールを挟持している状態にする、太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項3】
請求項2に記載の太陽電池モジュールの設置方法であって、
前記工程(a)において、前記外壁部が、前記外壁面から前記厚さ方向の少なくとも途中まで位置している孔部と、該孔部内に充填された充填材と、を含むように、前記建造物を準備し、
前記工程(b)において、前記軸部を前記充填材に挿入することで前記外壁部に前記軸部を固定し、前記押さえ部が前記外壁部と前記太陽電池モジュールを挟持している状態にする、太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項4】
請求項2に記載の太陽電池モジュールの設置方法であって、
前記工程(a)において、前記外壁部が、前記外壁面から前記厚さ方向の少なくとも途中まで位置しており且つ雌ネジ部分を有する孔部、を含むように、前記建造物を準備し、
前記工程(b)において、前記雌ネジ部分に前記軸部の雄ネジ部分を嵌合させることで前記外壁部に前記軸部を固定し、前記押さえ部が前記外壁部と前記太陽電池モジュールを挟持している状態にする、太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項5】
請求項2に記載の太陽電池モジュールの設置方法であって、
前記工程(a)において、前記外壁部が、第1層と、該第1層よりも前記外壁面側に位置している第2層と、を含む複数層が積層された構造を有するように、前記建造物を準備し、
前記工程(b)において、前記軸部を前記第2層に挿入することで前記外壁部に前記軸部を固定し、前記押さえ部が前記外壁部と前記太陽電池モジュールを挟持している状態にする、太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項6】
請求項2に記載の太陽電池モジュールの設置方法であって、
前記工程(a)において、前記建造物が、前記外壁部のうちの前記外壁面とは逆の外壁裏面が固定された状態にある柱部、を含むように、前記建造物を準備し、
前記工程(b)において、前記軸部によって前記外壁部を貫通させるとともに該軸部を前記柱部に挿入することで前記外壁部および前記柱部に前記軸部を固定し、前記押さえ部が前記外壁部と前記太陽電池モジュールを挟持している状態にする、太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項7】
請求項2から請求項6の何れか1つの請求項に記載の太陽電池モジュールの設置方法であって、
前記工程(b)において、前記軸部によって前記太陽電池モジュールを貫通させるとともに該軸部を前記外壁部における前記外壁面から前記厚さ方向の少なくとも途中まで挿入することで前記外壁部に前記軸部を固定し、前記押さえ部が前記外壁部と前記太陽電池モジュールを挟持している状態にする、太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項8】
請求項2から請求項6の何れか1つの請求項に記載の太陽電池モジュールの設置方法であって、
前記工程(b)において、前記軸部によって前記太陽電池モジュールを貫通させることなく該軸部を前記外壁部における前記外壁面から前記厚さ方向の少なくとも途中まで挿入することで前記外壁部に前記軸部を固定し、前記押さえ部が前記外壁部と前記太陽電池モジュールを挟持している状態にする、太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項9】
請求項1に記載の太陽電池モジュールの設置方法であって、
前記保持部が、接着材を含み、
前記工程(b)において、前記接着材によって前記外壁面と前記裏面とを接着する、太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項10】
請求項9に記載の太陽電池モジュールの設置方法であって、
前記保持部が、感圧型の接着材と、硬化型の接着材と、を含み、
前記工程(b)において、(b1)前記外壁面に沿ってU字状に配された状態にある前記感圧型の接着材によって前記外壁面と前記裏面とを接着し、(b2)前記外壁面とU字状に配された状態にある前記感圧型の接着材と前記裏面とによって囲まれた空間に前記硬化型の接着材を流入させることで前記硬化型の接着材によって前記外壁面と前記裏面とを接着する、太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項11】
請求項1に記載の太陽電池モジュールの設置方法であって、
前記保持部が、1つ以上の保持具を含み、
前記工程(a)において、前記1つ以上の保持具が、前記外壁面から突出している状態にあるように、前記建造物を準備し、
前記工程(b)において、前記1つ以上の保持具に前記太陽電池モジュールを保持させる、太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項12】
請求項11に記載の太陽電池モジュールの設置方法であって、
前記1つ以上の保持具は、複数の棒状部分を含み、
前記工程(a)において、前記複数の棒状部分のそれぞれが、前記外壁面から突出している状態にあるように、前記建造物を準備し、
前記工程(b)において、前記外壁面に沿って前記裏面が位置するように前記太陽電池モジュールを配置して、前記複数の棒状部分を折り曲げることで、前記複数の棒状部分のそれぞれが前記外壁面と前記太陽電池モジュールを挟持している状態にする、太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項13】
請求項12に記載の太陽電池モジュールの設置方法であって、
前記工程(b)において、前記外壁面に沿って前記裏面が位置するように前記太陽電池モジュールを配置する際に、前記複数の棒状部分によって前記太陽電池モジュールを貫通させて、前記複数の棒状部分を折り曲げることで、前記複数の棒状部分のそれぞれが前記外壁面と前記太陽電池モジュールを挟持している状態にする、太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項14】
請求項12に記載の太陽電池モジュールの設置方法であって、
前記工程(b)において、前記外壁面に沿って前記裏面が位置するように前記太陽電池モジュールを配置する際に、前記複数の棒状部分によって前記太陽電池モジュールを貫通させることなく、前記複数の棒状部分を折り曲げることで、前記複数の棒状部分のそれぞれが前記外壁面と前記太陽電池モジュールを挟持している状態にする、太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項15】
請求項11に記載の太陽電池モジュールの設置方法であって、
前記1つ以上の保持具は、第1保持具と、第2保持具と、を含み、
前記工程(a)において、前記第1保持具および前記第2保持具のそれぞれが前記外壁面に沿った第1方向を長手方向として有し且つ前記外壁面から突出しているとともに、前記第1保持具と前記第2保持具とが前記外壁面に沿った前記第1方向に直交する第2方向において対向している状態にあり、前記第1保持具が前記第2保持具に対向している部分に前記第1方向に沿った第1溝部を有し、前記第2保持具が前記第1保持具に対向している部分に前記第1方向に沿った第2溝部を有するように、前記建造物を準備し、
前記工程(a)において、前記太陽電池モジュールが、前記前面と前記裏面とを接続しており且つ互いに平行な第1端部および第2端部を含むように、前記太陽電池モジュールを準備し、
前記工程(b)において、前記第1方向に沿って、前記第1溝部に前記第1端部を挿入するとともに前記第2溝部に前記第2端部を挿入することで、前記第1保持具および前記第2保持具によって前記太陽電池モジュールを保持させる、太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項16】
請求項1に記載の太陽電池モジュールの設置方法であって、
前記保持部が、第1クランプ部材と、第2クランプ部材と、を含み、
前記工程(b)において、前記第1クランプ部材が前記外壁面に沿って位置し且つ前記太陽電池モジュールの第1周縁部を挟持しているとともに、前記第2クランプ部材が前記外壁面に沿って位置し且つ前記太陽電池モジュールの前記第1周縁部とは逆側の第2周縁部を挟持している状態にする、太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項17】
請求項1から請求項16の何れか1つの請求項に記載の太陽電池モジュールの設置方法であって、
前記工程(a)において、前記太陽電池モジュールが、耐候性を有し且つ樹脂で構成された透光性を有する前面保護層と、該前面保護層に対向している状態で位置し且つ樹脂で構成された裏面保護層と、前記前面保護層と前記裏面保護層との間に位置している複数の太陽電池素子と、前記前面保護層と前記複数の太陽電池素子との間において前記複数の太陽電池素子を覆っている状態にある充填材層と、を含むように、前記太陽電池モジュールを準備する、太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項18】
請求項1から請求項6、請求項8から請求項12および請求項14から請求項16の何れか1つの請求項に記載の太陽電池モジュールの設置方法であって、
前記工程(a)において、前記太陽電池モジュールが、ガラスで構成された透光性を有する前面保護層と、該前面保護層に対向している状態で位置している裏面保護層と、前記前面保護層と前記裏面保護層との間に位置している複数の太陽電池素子と、前記前面保護層と前記複数の太陽電池素子との間において前記複数の太陽電池素子を覆っている状態にある充填材層と、を含むように、前記太陽電池モジュールを準備する、太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項19】
請求項1から請求項18の何れか1つの請求項に記載の太陽電池モジュールの設置方法であって、
前記工程(a)において、前記外壁部が電気を受け付ける受電部を含むように、前記建造物を準備するとともに、前記太陽電池モジュールが電気を出力する出力部を含むように、前記太陽電池モジュールを準備し、
前記工程(b)において、前記出力部が前記受電部に電力を出力することができる状態にする、太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項20】
請求項19に記載の太陽電池モジュールの設置方法であって、
前記工程(a)において、前記外壁部が、電気をそれぞれ受け付ける第1受電部および第2受電部、ならびに前記第1受電部と前記第2受電部とを接続している状態にある配線部、を含むように、前記建造物を準備するとともに、電気を出力する第1出力部を有する第1太陽電池モジュールと、電気を出力する第2出力部を有する第2太陽電池モジュールと、を含む2つの前記太陽電池モジュール、を準備し、
前記工程(b)において、前記外壁面に沿って前記第1太陽電池モジュールの前記裏面が位置するように前記保持部によって前記第1太陽電池モジュールを保持させ、且つ前記外壁面に沿って前記第2太陽電池モジュールの前記裏面が位置するように前記保持部によって前記第2太陽電池モジュールを保持させるとともに、前記第1出力部が前記第1受電部に電力を出力することができ且つ前記第2出力部が前記第2受電部に電力を出力することができる状態にする、太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項21】
請求項19に記載の太陽電池モジュールの設置方法であって、
前記工程(a)において、前記受電部が受電端子を含むように、前記建造物を準備するとともに、前記出力部が出力端子を含むように、前記太陽電池モジュールを準備し、
前記工程(b)において、前記受電端子と前記出力端子とを接続する、太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項22】
請求項21に記載の太陽電池モジュールの設置方法であって、
前記工程(a)において、前記受電端子が凹部を含むように、前記建造物を準備するとともに、前記出力端子が凸部を含むように、前記太陽電池モジュールを準備し、
前記工程(b)において、前記凹部に前記凸部を嵌合させることで前記受電端子と前記出力端子とを電気的に接続する、太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項23】
請求項19に記載の太陽電池モジュールの設置方法であって、
前記工程(a)において、前記受電部が凹部を有する受電端子を含むように、前記建造物を準備するとともに、前記出力部が出力端子を含むように、前記太陽電池モジュールを準備し、
前記工程(b)において、接続部材によって前記出力端子を貫通させ且つ該接続部材を前記凹部に嵌合させることで前記受電端子と前記出力端子とを電気的に接続する、太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項24】
請求項19に記載の太陽電池モジュールの設置方法であって、
前記工程(a)において、前記受電部が無線で電気を受けることができる受電素子を含むように、前記建造物を準備するとともに、前記出力部が無線で電気を送ることができる送電素子を含むように、前記太陽電池モジュールを準備し、
前記工程(b)において、前記受電素子と前記送電素子とを近接させることで前記送電素子から前記受電素子に無線で電気を送ることができる状態にする、太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項25】
請求項1から請求項18の何れか1つの請求項に記載の太陽電池モジュールの設置方法であって、
前記工程(a)において、前記前面と、前記裏面と、前記前面と前記裏面とを接続しており且つ互いに逆側に位置している第1側面および第2側面と、をそれぞれ有するとともに、前記第1側面に沿った第1領域に位置している第1電極の第1出力端子部と、前記第2側面に沿った第2領域に位置している前記第1電極とは逆の第2電極の第2出力端子部と、をそれぞれ有するように、第1太陽電池モジュールおよび第2太陽電池モジュールを含む2つの前記太陽電池モジュール、を準備し、
前記工程(b)において、前記第1太陽電池モジュールの前記第1領域と前記第2太陽電池モジュールの前記第2領域とを積層させて、前記第1太陽電池モジュールの前記第1出力端子部と前記第2太陽電池モジュールの前記第2出力端子部とを接続するとともに、前記第1太陽電池モジュールおよび前記第2太陽電池モジュールのそれぞれの前記裏面が前記外壁面に沿って位置するように、前記第1太陽電池モジュールおよび前記第2太陽電池モジュールのそれぞれを前記保持部によって保持させる、太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項26】
請求項1から請求項18の何れか1つの請求項に記載の太陽電池モジュールの設置方法であって、
前記工程(a)において、前記前面と、前記裏面と、前記前面と前記裏面とを接続しており且つ互いに逆側に位置している第1側面および第2側面と、をそれぞれ有するとともに、前記第1側面に沿った前記裏面上に位置している第1電極の第1出力端子部と、前記第2側面に沿った前記裏面上に位置している前記第1電極とは逆の第2電極の第2出力端子部と、をそれぞれ有するか、または前記第1側面に沿った前記前面上に位置している前記第1電極の前記第1出力端子部と、前記第2側面に沿った前記前面上に位置している前記第2電極の前記第2出力端子部と、をそれぞれ有するように、第1太陽電池モジュールおよび第2太陽電池モジュールを含む2つの前記太陽電池モジュール、を準備し、
前記工程(b)において、前記第1太陽電池モジュールの前記第1側面と前記第2太陽電池モジュールの前記第2側面とを近接させて、前記第1太陽電池モジュールの前記第1出力端子部と前記第2太陽電池モジュールの前記第2出力端子部とを接続するか、または前記第1太陽電池モジュールの前記第1出力端子部と前記第2太陽電池モジュールの前記第2出力端子部とを連結部材で接続するとともに、前記第1太陽電池モジュールおよび前記第2太陽電池モジュールのそれぞれの前記裏面が前記外壁面に沿って位置するように、前記第1太陽電池モジュールおよび前記第2太陽電池モジュールのそれぞれを前記保持部によって保持させる、太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項27】
外壁部と、
前面と該前面の逆側に位置している裏面とを有する太陽電池モジュールと、
前記外壁部の外壁面に沿って前記裏面が位置するように前記太陽電池モジュールを保持している状態にある保持部と、を備えている、建造物。
【請求項28】
請求項27に記載の建造物であって、
前記保持部は、押さえ部と該押さえ部から突出している状態にある軸部とを有する締結部材を含み、
前記軸部は、前記外壁部における前記外壁面から該外壁部の厚さ方向の少なくとも途中まで挿入されていることで前記外壁部に固定されている状態にあり、
前記押さえ部は、前記外壁部と前記太陽電池モジュールを挟持している状態にある、建造物。
【請求項29】
請求項28に記載の建造物であって、
前記外壁部は、前記外壁面から前記厚さ方向の少なくとも途中まで位置している孔部と、該孔部内に充填された充填材と、を含み、
前記軸部は、前記充填材に挿入されていることで前記外壁部に固定されている状態にある、建造物。
【請求項30】
請求項28に記載の建造物であって、
前記外壁部は、前記外壁面から前記厚さ方向の少なくとも途中まで位置しており且つ雌ネジ部分を有する孔部、を含み、
前記軸部は、雄ネジ部分を有し、
前記雄ネジ部分が、前記雌ネジ部分に嵌合していることで前記軸部が前記外壁部に固定されている状態にある、建造物。
【請求項31】
請求項28に記載の建造物であって、
前記外壁部は、第1層と、該第1層よりも前記外壁面側に位置している第2層と、を含み、
前記軸部は、前記第2層に挿入されていることで前記外壁部に固定されている状態にある、建造物。
【請求項32】
請求項28に記載の建造物であって、
前記外壁部のうちの前記外壁面とは逆の外壁裏面が固定された状態にある柱部、を備え、
前記軸部は、前記外壁部を貫通しているとともに前記柱部に挿入されていることで前記外壁部および前記柱部に固定されている状態にある、建造物。
【請求項33】
請求項28から請求項32の何れか1つの請求項に記載の建造物であって、
前記軸部は、前記太陽電池モジュールを貫通しているともに前記外壁部における前記外壁面から前記厚さ方向の少なくとも途中まで挿入されていることで前記外壁部に固定されている状態にある、建造物。
【請求項34】
請求項28から請求項32の何れか1つの請求項に記載の建造物であって、
前記軸部は、前記太陽電池モジュールを貫通することなく前記外壁部における前記外壁面から前記厚さ方向の少なくとも途中まで挿入されていることで前記外壁部に固定されている状態にある、建造物。
【請求項35】
請求項27に記載の建造物であって、
前記保持部は、接着材を含み、
前記接着材は、前記外壁面と前記裏面とを接着している状態にある、建造物。
【請求項36】
請求項35に記載の建造物であって、
前記保持部は、感圧型の接着材と、硬化型の接着材と、を含み、
前記感圧型の接着材は、前記外壁面に沿ってU字状に位置しており且つ前記外壁面と前記裏面とを接着している状態にあり、
前記硬化型の接着材は、前記外壁面とU字状に配された状態にある前記感圧型の接着材と前記裏面とによって囲まれた空間に位置しており且つ前記外壁面と前記裏面とを接着している状態にある、建造物。
【請求項37】
請求項27に記載の建造物であって、
前記保持部は、前記外壁面から突出している状態にある1つ以上の保持具を含み、
前記太陽電池モジュールは、前記1つ以上の保持具に保持されている状態にある、建造物。
【請求項38】
請求項37に記載の建造物であって、
前記1つ以上の保持具は、複数の棒状部分を含み、
該複数の棒状部分のそれぞれは、前記外壁面から突出しており且つ折れ曲がっていることで前記外壁面と前記太陽電池モジュールを挟持している状態にある、建造物。
【請求項39】
請求項38に記載の建造物であって、
前記複数の棒状部分のそれぞれは、前記太陽電池モジュールを貫通している状態にある、建造物。
【請求項40】
請求項38に記載の建造物であって、
前記複数の棒状部分は、前記太陽電池モジュールを貫通していない状態にある、建造物。
【請求項41】
請求項37に記載の建造物であって、
前記1つ以上の保持具は、第1保持具と、第2保持具と、を含み、
前記第1保持具および前記第2保持具は、前記外壁面に沿った第1方向を長手方向としてそれぞれ有するとともに、前記外壁面に沿った前記第1方向に直交する第2方向において対向しており且つそれぞれ前記外壁面から突出している状態にあり、
前記第1保持具は、前記第2保持具に対向している部分に前記第1方向に沿った第1溝部を有し、
前記第2保持具は、前記第1保持具に対向している部分に前記第1方向に沿った第2溝部を有し、
前記太陽電池モジュールは、前記前面と前記裏面とを接続しており且つ互いに平行な第1端部および第2端部を含み、
前記太陽電池モジュールは、前記第1方向に沿って、前記第1端部が前記第1溝部に挿入されているとともに前記第2端部が前記第2溝部に挿入されていることで、前記第1保持具および前記第2保持具に保持されている状態にある、建造物。
【請求項42】
請求項27に記載の建造物であって、
前記保持部は、第1クランプ部材と、第2クランプ部材と、を含み、
前記第1クランプ部材は、前記外壁面に沿って位置し且つ前記太陽電池モジュールの第1周縁部を挟持している状態にあり、
前記第2クランプ部材は、前記外壁面に沿って位置し且つ前記太陽電池モジュールの前記第1周縁部とは逆側の第2周縁部を挟持している状態にある、建造物。
【請求項43】
請求項27から請求項42の何れか1つの請求項に記載の建造物であって、
前記太陽電池モジュールは、耐候性を有し且つ樹脂で構成された透光性を有する前面保護層と、該前面保護層に対向している状態で位置し且つ樹脂で構成された裏面保護層と、前記前面保護層と前記裏面保護層との間に位置している複数の太陽電池素子と、前記前面保護層と前記複数の太陽電池素子との間において前記複数の太陽電池素子を覆っている状態にある充填材層と、を含む、建造物。
【請求項44】
請求項27から請求項32、請求項34から請求項38および請求項40から請求項42の何れか1つの請求項に記載の建造物であって、
前記太陽電池モジュールは、ガラスで構成された透光性を有する前面保護層と、該前面保護層に対向している状態で位置している裏面保護層と、前記前面保護層と前記裏面保護層との間に位置している複数の太陽電池素子と、前記前面保護層と前記複数の太陽電池素子との間において前記複数の太陽電池素子を覆っている状態にある充填材層と、を含む、建造物。
【請求項45】
請求項27から請求項44の何れか1つの請求項に記載の建造物であって、
前記外壁部は、電気を受け付ける受電部を含み、
前記太陽電池モジュールは、電気を出力する出力部を含み、
前記出力部は、前記受電部に電力を出力する、建造物。
【請求項46】
請求項45に記載の建造物であって、
第1太陽電池モジュールと第2太陽電池モジュールとを含む2つの前記太陽電池モジュール、を備え、
前記外壁部は、電気をそれぞれ受け付ける第1受電部および第2受電部、ならびに前記第1受電部と前記第2受電部とを接続している状態にある配線部、を含み、
前記第1太陽電池モジュールは、電気を出力する第1出力部を有するとともに、該第1太陽電池モジュールの前記裏面が前記外壁面に沿って位置するように前記保持部によって保持されている状態にあり、
前記第2太陽電池モジュールは、電気を出力する第2出力部を有するとともに、該第2太陽電池モジュールの前記裏面が前記外壁面に沿って位置するように前記保持部によって保持されている状態にあり、
前記第1出力部は、前記第1受電部に対して電力を出力し、
前記第2出力部は、前記第2受電部に対して電力を出力する、建造物。
【請求項47】
請求項45に記載の建造物であって、
前記受電部は、受電端子を含み、
前記出力部は、出力端子を含み、
前記受電端子と前記出力端子とが接続している状態にある、建造物。
【請求項48】
請求項47に記載の建造物であって、
前記受電端子は、凹部を含み、
前記出力端子は、凸部を含み、
前記出力端子は、前記凸部が前記凹部に嵌合されていることで前記受電端子と接続している状態にある、建造物。
【請求項49】
請求項45に記載の建造物であって、
前記受電部は、凹部を有する受電端子を含み、
前記出力部は、出力端子を含み、
前記建造物は、前記出力端子を貫通しており且つ前記凹部に嵌合していることで前記受電端子と前記出力端子とを電気的に接続している状態にある接続部材、を備えている、建造物。
【請求項50】
請求項45に記載の建造物であって、
前記出力部は、無線で電気を送ることができる送電素子を含み、
前記受電部は、無線で電気を受けることができる受電素子を含み、
前記送電素子は、前記受電素子に近接しており且つ前記受電素子に無線で電気を送る、建造物。
【請求項51】
請求項27から請求項44の何れか1つの請求項に記載の建造物であって、
第1太陽電池モジュールおよび第2太陽電池モジュールを含む2つの前記太陽電池モジュール、を備え、
前記第1太陽電池モジュールおよび前記第2太陽電池モジュールのそれぞれは、前記前面と、前記裏面と、前記前面と前記裏面とを接続しており且つ互いに逆側に位置している第1側面および第2側面と、を有するとともに、前記第1側面に沿った第1領域に位置している第1電極の第1出力端子部と、前記第2側面に沿った第2領域に位置している前記第1電極とは逆の第2電極の第2出力端子部と、を有し、
前記第1太陽電池モジュールの前記第1領域は、前記第2太陽電池モジュールの前記第2領域に積層されている状態で位置し、
前記第1太陽電池モジュールの前記第1出力端子部は、前記第2太陽電池モジュールの前記第2出力端子部に接続している状態にあり、
前記第1太陽電池モジュールおよび前記第2太陽電池モジュールのそれぞれは、前記裏面が前記外壁面に沿って位置するように前記保持部によって保持されている状態にある、建造物。
【請求項52】
請求項27から請求項44の何れか1つの請求項に記載の建造物であって、
第1太陽電池モジュールおよび第2太陽電池モジュールを含む2つの前記太陽電池モジュール、を備え、
前記第1太陽電池モジュールおよび前記第2太陽電池モジュールのそれぞれは、前記前面と、前記裏面と、前記前面と前記裏面とを接続しており且つ互いに逆側に位置している第1側面および第2側面と、を有するとともに、前記第1側面に沿った前記裏面上に位置している第1電極の第1出力端子部と、前記第2側面に沿った前記裏面上に位置している前記第1電極とは逆の第2電極の第2出力端子部と、を有するか、または前記第1側面に沿った前記前面上に位置している前記第1電極の前記第1出力端子部と、前記第2側面に沿った前記前面上に位置している前記第2電極の前記第2出力端子部と、を有し、
前記第1太陽電池モジュールの前記第1側面は、前記第2太陽電池モジュールの前記第2側面と近接している状態で位置し、
前記第1太陽電池モジュールの前記第1出力端子部と前記第2太陽電池モジュールの前記第2出力端子部とが接続している状態にあるか、または前記第1太陽電池モジュールの前記第1出力端子部と前記第2太陽電池モジュールの前記第2出力端子部とが連結部材で接続されている状態にあり、
前記第1太陽電池モジュールおよび前記第2太陽電池モジュールのそれぞれは、前記裏面が前記外壁面に沿って位置するように前記保持部によって保持されている状態にある、建造物。
【請求項53】
外壁部と、
前面と該前面の逆側に位置している裏面とを有する太陽電池モジュールを、前記外壁部の外壁面に沿って前記裏面が位置するように保持するための保持部と、を備えている、建造物。
【請求項54】
請求項53に記載の建造物であって、
前記保持部は、前記外壁面から突出している状態にある1つ以上の保持具を含む、建造物。
【請求項55】
請求項54に記載の建造物であって、
前記1つ以上の保持具のそれぞれは、前記外壁面から突出している状態にあり、折り曲げられることで前記外壁部の外壁面に沿って前記裏面を位置させた前記太陽電池モジュールを前記外壁面と挟持するための複数の棒状部分を含む、建造物。
【請求項56】
請求項54に記載の建造物であって、
前記1つ以上の保持具は、第1保持具と、第2保持具と、を含み、
前記第1保持具および前記第2保持具は、前記外壁面に沿った第1方向を長手方向としてそれぞれ有するとともに、前記外壁面に沿った前記第1方向に直交する第2方向において対向しており且つそれぞれ前記外壁面から突出している状態にあり、
前記第1保持具は、前記第2保持具に対向している部分に前記第1方向に沿った第1溝部を有し、
前記第2保持具は、前記第1保持具に対向している部分に前記第1方向に沿った第2溝部を有する、建造物。
【請求項57】
請求項53に記載の建造物であって、
前記保持部は、第1クランプ部材と、第2クランプ部材と、を含む、建造物。
【請求項58】
請求項53から請求項57の何れか1つの請求項に記載の建造物であって、
前記外壁部は、前記外壁面に沿って前記裏面が位置するように前記保持部によって保持される前記太陽電池モジュールの出力部から出力される電気を受け付けるための受電部を含む、建造物。
【請求項59】
請求項58に記載の建造物であって、
前記外壁部は、それぞれ前記外壁面に沿って前記裏面が位置するように前記保持部によって保持される第1太陽電池モジュールと第2太陽電池モジュールとを含む2つの前記太陽電池モジュールのそれぞれの出力部から出力される電気を受け付けるための第1受電部および第2受電部と、前記第1受電部と前記第2受電部とを接続している状態にある配線部と、を含む、建造物。
【請求項60】
請求項58に記載の建造物であって、
前記出力部は、出力端子を含み、
前記受電部は、前記出力端子が接続されるための受電端子を含む、建造物。
【請求項61】
請求項60に記載の建造物であって、
前記出力端子は、凸部を含み、
前記受電端子は、前記凸部が嵌合されることで該受電端子に前記出力端子を接続させるための凹部を含む、建造物。
【請求項62】
請求項58に記載の建造物であって、
前記出力部は、出力端子を含み、
前記受電部は、前記出力端子を貫通する接続部材が嵌合されるための凹部を有する受電端子を含む、建造物。
【請求項63】
請求項58に記載の建造物であって、
前記出力部は、無線で電気を送ることができる送電素子を含み、
前記受電部は、前記送電素子に近接している状態で該送電素子から無線で電気を受けるための受電素子を含む、建造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、太陽電池モジュールの設置方法および建造物に関する。
【背景技術】
【0002】
建造物の屋根以外のベランダなどに太陽電池モジュールを取り付ける技術がある(例えば、特許文献1の記載を参照)。この技術では、水平面に対して傾斜させた太陽電池パネルが架台フレームを介してベランダに取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建造物に設置される太陽電池モジュールについては、軽量化と出力特性の維持とを図る点で改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
太陽電池モジュールの設置方法および建造物が開示される。
【0006】
太陽電池モジュールの設置方法の一態様は、工程(a)と工程(b)とを有する。前記工程(a)において、外壁部を有する建造物を準備するとともに、前面と該前面の逆側に位置している裏面とを有する太陽電池モジュールを準備する。前記工程(b)において、前記外壁部の外壁面に沿って前記裏面が位置するように、保持部によって前記太陽電池モジュールを保持させる。
【0007】
建造物の一態様は、外壁部と、太陽電池モジュールと、保持部と、を備えている。前記太陽電池モジュールは、前面と該前面の逆側に位置している裏面とを有する。前記保持部は、前記外壁部の外壁面に沿って前記裏面が位置するように前記太陽電池モジュールを保持している状態にある。
【0008】
建造物の一態様は、外壁部と、前面と該前面の逆側に位置している裏面とを有する太陽電池モジュールを、前記外壁部の外壁面に沿って前記裏面が位置するように保持するための保持部と、を備えている。
【発明の効果】
【0009】
例えば、建造物に設置される太陽電池モジュールについて、軽量化と出力特性の維持とを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、各実施形態に係る太陽電池モジュールの設置方法のフローの一例を示す流れ図である。
【
図2】
図2(a)は、第1実施形態から第5実施形態に係る建造物および太陽電池モジュールが準備される様子の一例を模式的に示す斜視図である。
図2(b)は、第1実施形態から第5実施形態に係る太陽電池モジュールが保持される様子の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図3(a)は、第1実施形態から第5実施形態に係る建造物および太陽電池モジュールが準備される様子の一例を模式的に示す断面図である。
図3(b)は、第1実施形態から第5実施形態に係る太陽電池モジュールが外壁面に沿って保持される様子の一例を模式的に示す断面図である。
【
図4】
図4(a)は、第1実施形態から第5実施形態に係る太陽電池モジュールを平面視した場合の外観の一例を模式的に示す平面図である。
図4(b)は、
図4(a)の太陽電池モジュールのIVb-IVb線に沿った仮想的な切断面の一例を模式的に示す図である。
【
図5】
図5(a)は、第1実施形態から第6実施形態に係る太陽電池素子の第1素子面を平面視した場合の構造の一例を模式的に示す図である。
図5(b)は、第1実施形態から第6実施形態に係る太陽電池素子の第2素子面を平面視した場合の構造の一例を模式的に示す図である。
【
図6】
図6(a)から
図6(c)は、それぞれ第1実施形態から第6実施形態に係る太陽電池モジュールの製造途中における断面の状態を模式的に例示する図である。
【
図7】
図7(a)は、一変形例に係る太陽電池モジュールのうちの
図4(b)の仮想的な切断面に対応する位置における仮想的な切断面を模式的に示す図である。
図7(b)は、他の一変形例に係る太陽電池モジュールのうちの
図4(b)の仮想的な切断面に対応する位置における仮想的な切断面を模式的に示す図である。
図7(c)は、その他の一変形例に係る太陽電池モジュールのうちの
図4(b)の仮想的な切断面に対応する位置における仮想的な切断面を模式的に示す図である。
【
図8】
図8(a)は、第1実施形態に係る保持部によって外壁面に沿って保持された太陽電池モジュールの一例を模式的に示す正面図である。
図8(b)は、
図8(a)の外壁部、太陽電池モジュールおよび保持部のVIIIb-VIIIb線に沿った仮想的な切断面の一例を模式的に示す図である。
図8(c)は、
図8(a)の外壁部、太陽電池モジュールおよび保持部のVIIIb-VIIIb線に沿った仮想的な切断面の一変形例を模式的に示す図である。
【
図9】
図9(a)は、建造物が準備される様子の一例を模式的に示す正面図である。
図9(b)は、
図9(a)の建造物のIXb-IXb線に沿った仮想的な切断面の一例を模式的に示す図である。
図9(c)は、建造物、太陽電池モジュールおよび保持部のうちの
図9(a)のIXb-IXb線に沿った仮想的な切断面に対応する位置における仮想的な切断面の一例を模式的に示す図である。
図9(d)は、建造物、太陽電池モジュールおよび保持部のうちの
図9(a)のIXb-IXb線に沿った仮想的な切断面に対応する位置における仮想的な切断面の一変形例を模式的に示す図である。
【
図10】
図10(a)は、建造物が準備される様子の一例を模式的に示す正面図である。
図10(b)は、
図10(a)の建造物のXb-Xb線に沿った仮想的な切断面の一例を模式的に示す図である。
図10(c)は、建造物、太陽電池モジュールおよび保持部のうちの
図10(a)のXb-Xb線に沿った仮想的な切断面に対応する位置における仮想的な切断面の一例を模式的に示す図である。
図10(d)は、建造物、太陽電池モジュールおよび保持部のうちの
図10(a)のXb-Xb線に沿った仮想的な切断面に対応する位置における仮想的な切断面の一変形例を模式的に示す図である。
【
図11】
図11(a)は、建造物が準備される様子の一例を模式的に示す正面図である。
図11(b)は、
図11(a)の建造物のXIb-XIb線に沿った仮想的な切断面の一例を模式的に示す図である。
図11(c)は、建造物、太陽電池モジュールおよび保持部のうちの
図11(a)のXIb-XIb線に沿った仮想的な切断面に対応する位置における仮想的な切断面の一例を模式的に示す図である。
図11(d)は、建造物、太陽電池モジュールおよび保持部のうちの
図11(a)のXIb-XIb線に沿った仮想的な切断面に対応する位置における仮想的な切断面の一変形例を模式的に示す図である。
【
図12】
図12(a)は、建造物が準備される様子の一例を模式的に示す正面図である。
図12(b)は、
図12(a)の建造物のXIIb-XIIb線に沿った仮想的な切断面の一例を模式的に示す図である。
図12(c)は、建造物、太陽電池モジュールおよび保持部のうちの
図12(a)のXIIb-XIIb線に沿った仮想的な切断面に対応する位置における仮想的な切断面の一例を模式的に示す図である。
図12(d)は、建造物、太陽電池モジュールおよび保持部のうちの
図12(a)のXIIb-XIIb線に沿った仮想的な切断面に対応する位置における仮想的な切断面の一変形例を模式的に示す図である。
【
図13】
図13(a)は、保持部によって外壁面に沿って保持された太陽電池モジュールの一例を模式的に示す正面図である。
図13(b)は、
図13(a)の外壁部、太陽電池モジュールおよび保持部のXIIIb-XIIIb線に沿った仮想的な切断面の一例を模式的に示す図である。
図13(c)は、
図13(a)の外壁部、太陽電池モジュールおよび保持部のXIIIb-XIIIb線に沿った仮想的な切断面の一変形例を模式的に示す図である。
【
図14】
図14(a)は、第2実施形態に係る保持部によって外壁面に沿って保持された太陽電池モジュールの一例を模式的に示す正面図である。
図14(b)は、
図14(a)の外壁部、太陽電池モジュールおよび保持部のXIVb-XIVb線に沿った仮想的な切断面の一例を模式的に示す図である。
【
図15】
図15(a)は、外壁面上に第1接着材を貼付する様子の一例を模式的に示す正面図である。
図15(b)は、外壁面上において第1接着材によって太陽電池モジュールが保持された様子の一例を模式的に示す正面図である。
図15(c)は、外壁面と第1接着材と太陽電池モジュールの裏面との間の空間に第2接着材を流入させた様子の一例を模式的に示す正面図である。
【
図16】
図16(a)は、
図15(a)の外壁部および第1接着材のXVIa-XVIa線に沿った断面の一例を模式的に示す断面図である。
図16(b)は、
図15(b)の外壁部、第1接着材および太陽電池モジュールのXVIb-XVIb線に沿った断面の一例を模式的に示す断面図である。
図16(c)は、
図15(c)の外壁部、第1接着材、第2接着材および太陽電池モジュールのXVIc-XVIc線に沿った断面の一例を模式的に示す断面図である。
【
図17】
図17(a)は、第3実施形態に係る保持部が設けられた外壁部の断面の一例を模式的に示す断面図である。
図17(b)は、第3実施形態に係る保持部によって太陽電池モジュールが外壁面に沿って保持される途中の様子の一例を模式的に示す断面図である。
図17(c)は、第3実施形態に係る保持部によって太陽電池モジュールが外壁面に沿って保持された様子の一例を模式的に示す断面図である。
【
図18】
図18は、第3実施形態に係る保持部によって太陽電池モジュールが外壁面に沿って保持された様子の一例を模式的に示す正面図である。
【
図19】
図19(a)は、第3実施形態に係る保持部が設けられた外壁部の一例を模式的に示す正面図である。
図19(b)は、
図19(a)の外壁部および保持部のXIXb-XIXb線に沿った断面の一例を模式的に示す断面図である。
【
図20】
図20(a)は、第3実施形態に係る保持部によって太陽電池モジュールが保持される様子の一例を模式的に示す正面図である。
図20(b)は、
図20(a)の外壁部、保持部および太陽電池モジュールのXXb-XXb線に沿った断面の一例を模式的に示す断面図である。
【
図21】
図21(a)は、第3実施形態に係る保持部が設けられた外壁部の一例を模式的に示す正面図である。
図21(b)は、
図21(a)の外壁部および保持部のXXIb-XXIb線に沿った断面の一例を模式的に示す断面図である。
【
図22】
図22(a)は、第3実施形態に係る保持部によって太陽電池モジュールが保持される様子の一例を模式的に示す正面図である。
図22(b)は、
図22(a)の外壁部、保持部および太陽電池モジュールのXXIIb-XXIIb線に沿った断面の一例を模式的に示す断面図である。
【
図23】
図23(a)は、第4実施形態に係る保持部および建造物の一例を模式的に示す正面図である。
図23(b)は、
図23(a)の保持部および建造物のXZ平面に沿った断面の一例を模式的に示す断面図である。
図23(c)は、第4実施形態に係る保持部に含まれるクランプ部の構造の一例を模式的に示す図である。
【
図24】
図24(a)は、第4実施形態に係る保持部によって太陽電池モジュールが保持される様子の一例を模式的に示す正面図である。
図24(b)は、
図24(a)の外壁部、保持部および太陽電池モジュールのXZ平面に沿った断面の一例を模式的に示す断面図である。
【
図25】
図25(a)は、第5実施形態の第1例に係る太陽電池モジュールが接続される前における外壁部を模式的に示す正面図である。
図25(b)は、
図25(a)の外壁部および太陽電池モジュールのXXVb-XXVb線に沿った断面の一例を模式的に示す断面図である。
【
図26】
図26(a)は、第5実施形態の第1例に係る接続後の外壁部および太陽電池モジュールを模式的に示す正面図である。
図26(b)は、
図26(a)の接続後の外壁部および太陽電池モジュールのXXVIb-XXVIb線に沿った断面の一例を模式的に示す断面図である。
【
図27】
図27は、第5実施形態に係る外壁部内の配線の一例を示す正面図である。
【
図28】
図28(a)は、第5実施形態の第2例に係る太陽電池モジュールが接続される前における外壁部および太陽電池モジュールのうちの
図25(a)のXXVb-XXVb線に沿った断面に対応する位置における断面を模式的に示す断面図である。
図28(b)は、第5実施形態の第2例に係る接続後の外壁部および太陽電池モジュールのうちの
図26(a)のXXVIb-XXVIb線に沿った断面に対応する位置における断面を模式的に示す断面図である。
【
図29】
図29(a)は、第5実施形態の第3例に係る太陽電池モジュールが接続される前における外壁部および太陽電池モジュールのうちの
図25(a)のXXVb-XXVb線に沿った断面に対応する位置における断面を模式的に示す断面図である。
図29(b)は、第5実施形態の第3例に係る接続後の外壁部および太陽電池モジュールのうちの
図26(a)のXXVIb-XXVIb線に沿った断面に対応する位置における断面を模式的に示す断面図である。
【
図30】
図30(a)は、第5実施形態の第4例に係る太陽電池モジュールが設置される前における外壁部を模式的に示す正面図である。
図30(b)は、
図30(a)の外壁部および太陽電池モジュールのXXXb-XXXb線に沿った断面の一例を模式的に示す断面図である。
【
図31】
図31(a)は、第5実施形態の第4例に係る外壁部に沿って太陽電池モジュールが設置された後における外壁部および太陽電池モジュールを模式的に示す正面図である。
図31(b)は、
図31(a)の外壁部および太陽電池モジュールのXXXIb-XXXIb線に沿った断面の一例を模式的に示す断面図である。
【
図32】
図32(a)は、第5実施形態の第5例に係る太陽電池モジュールが接続される前における外壁部を模式的に示す正面図である。
図32(b)は、
図32(a)の外壁面、太陽電池モジュールおよび接続部材のXXXIIb-XXXIIb線に沿った断面の一例を模式的に示す断面図である。
【
図33】
図33(a)は、第5実施形態の第5例に係る外壁部に沿って太陽電池モジュールが設置された後における外壁部、太陽電池モジュールおよび接続部材を模式的に示す正面図である。
図33(b)は、
図33(a)の外壁部、太陽電池モジュールおよび接続部材のXXXIIIb-XXXIIIb線に沿った断面の一例を模式的に示す断面図である。
【
図34】
図34(a)は、第6実施形態に係る建造物および太陽電池モジュールが準備される様子の一例を模式的に示す斜視図である。
図34(b)は、第6実施形態に係る太陽電池モジュールが保持される様子の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図35】
図35(a)は、第6実施形態の第1の接続態様に係る相互に接続される前における複数の太陽電池モジュールの一例を模式的に示す図である。
図35(b)は、第6実施形態の第1の接続態様に係る相互に接続された複数の太陽電池モジュールの一例を模式的に示す図である。
【
図36】
図36(a)は、第6実施形態の第2の接続態様に係る相互に接続される前における複数の太陽電池モジュールの一例を模式的に示す図である。
図36(b)は、第6実施形態の第2の接続態様に係る相互に接続された複数の太陽電池モジュールの一例を模式的に示す図である。
【
図37】
図37(a)は、第6実施形態の第3の接続態様に係る相互に接続される前における複数の太陽電池モジュールの一例を模式的に示す背面図である。
図37(b)は、第6実施形態の第3の接続態様に係る相互に接続される途中における複数の太陽電池モジュールの一例を模式的に示す背面図である。
図37(c)は、第6実施形態の第3の接続態様に係る相互に接続された複数の太陽電池モジュールの一例を模式的に示す背面図である。
【
図38】
図38(a)は、第6実施形態の第3の接続態様に係る相互に接続される前における複数の太陽電池モジュールの一例を模式的に示す底面図である。
図38(b)は、第6実施形態の第3の接続態様に係る相互に接続される途中における複数の太陽電池モジュールの一例を模式的に示す底面図である。
図38(c)は、第6実施形態の第3の接続態様に係る相互に接続された複数の太陽電池モジュールの一例を模式的に示す底面図である。
【
図39】
図39(a)は、第6実施形態の第4の接続態様に係る相互に接続される前における複数の太陽電池モジュールの一例を模式的に示す正面図である。
図39(b)は、第6実施形態の第4の接続態様に係る相互に接続される途中における複数の太陽電池モジュールの一例を模式的に示す正面図である。
図39(c)は、第6実施形態の第4の接続態様に係る相互に接続された複数の太陽電池モジュールの一例を模式的に示す正面図である。
【
図40】
図40(a)は、第6実施形態の第4の接続態様に係る相互に接続される前における複数の太陽電池モジュールの一例を模式的に示す底面図である。
図40(b)は、第6実施形態の第4の接続態様に係る相互に接続される途中における複数の太陽電池モジュールの一例を模式的に示す底面図である。
図40(c)は、第6実施形態の第4の接続態様に係る相互に接続された複数の太陽電池モジュールの一例を模式的に示す底面図である。
【
図41】
図41(a)は、第6実施形態の第5の接続態様に係る相互に接続される前における複数の太陽電池モジュールの一例を模式的に示す正面図である。
図41(b)は、第6実施形態の第5の接続態様に係る相互に接続された複数の太陽電池モジュールの一例を模式的に示す正面図である。
【
図42】
図42(a)は、第6実施形態の第5の接続態様に係る相互に接続される前における複数の太陽電池モジュールの一例を模式的に示す平面図である。
図42(b)は、第6実施形態の第5の接続態様に係る相互に接続された複数の太陽電池モジュールの一例を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
建造物の屋根以外のベランダなどに太陽電池モジュールを取り付ける場合には、例えば、太陽電池パネル(太陽電池モジュールともいう)を水平面に対して傾斜させた状態で、架台フレームを介してベランダに取り付ける。
【0012】
ところで、例えば、太陽電池モジュールのうちの受光面としての前面を保護する透明なフロント部材(前面部材ともいう)の薄型化を図ることで、太陽電池モジュールの軽量化を図ることが考えられる。具体的には、例えば、前面部材を構成するガラス製もしくは樹脂製の板材の厚さの低減、または前面部材を構成する板材から樹脂製のフィルムへの置換などが考えられる。
【0013】
しかしながら、例えば、前面部材の厚さが薄くなると、前面部材の剛性が低下することで太陽電池モジュールの剛性が低下する。これにより、例えば、水平面に対して傾斜させた状態にある太陽電池モジュールの非受光面としての裏面側に風が回り込むなどして、太陽電池モジュールに振動および曲がりなどが生じやすくなる。その結果、例えば、太陽電池モジュール内の太陽電池素子(太陽電池セルともいう)に割れが生じやすく、太陽電池モジュールの出力特性が低下しやすくなる。
【0014】
そこで、本開示の発明者は、建造物に設置される太陽電池モジュールについて、軽量化と出力特性の維持とを図ることができる技術を創出した。
【0015】
これについて、以下、各種実施形態について図面を参照しつつ説明する。図面においては同様な構成および機能を有する部分に同じ符号が付されており、下記説明では重複説明が省略される。図面は模式的に示されたものである。
図2(a)から
図42(b)には、右手系のXYZ座標系が付されている。このXYZ座標系では、太陽電池モジュール2の設置対象である外壁面11sの法線方向が+X方向とされ、外壁面11sに沿った水平方向が+Y方向とされ、外壁面11sに沿った鉛直方向の上向きが+Z方向とされている。
【0016】
<1.第1実施形態>
<1-1.太陽電池モジュールの設置方法の概要>
第1実施形態に係る建造物1に対する太陽電池モジュール2の設置方法の概要について、
図1から
図3(b)を参照しつつ説明する。建造物1は、例えば、家屋などの小型の建築物ならびに集合住宅、体育館、商業施設および高層建築物などの大型の建築物を含む。
【0017】
図1は、第1実施形態に係る太陽電池モジュール2の設置方法のフローの一例を示す流れ図である。太陽電池モジュール2の設置方法は、例えば、ステップSp1およびステップSp2の2つの工程を有する。
【0018】
まず、ステップSp1において、建造物1および太陽電池モジュール2を準備する工程(準備工程ともいう)を実施する。
図2(a)で示されるように、建造物1は、例えば、太陽電池モジュール2を設置する対象物である外壁部11を有する。外壁部11は、例えば、窯業系、金属系、樹脂系もしくは木質系のサイディング、またはモルタル部などの外壁材によって構成される。窯業系のサイディングの素材には、例えば、セメント、繊維原料および混和剤などが含まれる。金属系のサイディングの素材には、例えば、ガルバニウム鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、アルミニウム合金板またはステンレス鋼板などが適用される。木質系のサイディングの素材には、レッドシダー、カラマツ、スギまたは集成材などの木材が適用される。樹脂系のサイディングの素材には、例えば、塩化ビニル樹脂などが適用される。外壁材は、例えば、平板状のものであってもよいし、角形の凹凸加工が施された角波板など、ある程度の凹凸を有する部材であってもよい。角波板は、例えば、ガルバニウム鋼板などの金属系のサイディング素材において容易に実現され得る。このため、外壁部11の外壁面11sの形状は、平面状に限られず、ある程度の凹凸を有する形状であってもよい。また、
図3(a)で示されるように、太陽電池モジュール2は、例えば、前面2fと、この前面2fの逆側に位置している裏面2bと、を有する。ここでは、例えば、建造物1および太陽電池モジュール2の何れが先に準備されてもよいし、建造物1と太陽電池モジュール2とが同時に準備されてもよい。1つの外壁部11に設置するために準備される太陽電池モジュール2の数は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
【0019】
次に、ステップSp2において、例えば、
図2(b)および
図3(b)で示されるように、外壁部11の外壁面11sに沿って裏面2bが位置するように、保持部3によって太陽電池モジュール2を保持させる工程(保持工程ともいう)を実施する。外壁面11sは、外壁部11のうちの建造物1の外側に向いた面である。第1実施形態では、外壁面11sは、水平方向に沿った+X方向を向いている状態にある。保持部3の具体例については、後述する。
【0020】
このような太陽電池モジュール2の設置方法により、建造物100を作製することができる。この建造物100は、例えば、外壁部11と、太陽電池モジュール2と、外壁部11の外壁面11sに沿って裏面2bが位置するように太陽電池モジュール2を保持している状態にある保持部3と、を有する。建造物100は、例えば、太陽光発電システムを有する建造物(太陽光発電システム付き建造物ともいう)である。このような構成が採用されれば、例えば、外壁面11sに沿って太陽電池モジュール2の裏面2bが位置しているため、外壁面11sと裏面2bとが近接している。このため、太陽電池モジュール2の裏面2b側に風が回り込みにくく、太陽電池モジュール2に振動および曲がりなどが生じにくい。これにより、例えば、太陽電池モジュール2内の太陽電池素子231(
図4(a)および
図4(b)など参照)に割れが生じにくく、太陽電池モジュール2の出力特性が低下しにくい。したがって、例えば、建造物1に設置される太陽電池モジュール2の軽量化と出力特性の維持とを図ることができる。
【0021】
ここで、例えば、外壁面11sがある程度の凹凸を有する場合に、太陽電池モジュール2の裏面2bと外壁面11sの凹部との間に通気が可能な空間が適宜形成されていれば、太陽電池モジュール2の発熱が緩和され得る。
【0022】
<1-2.太陽電池モジュールの構成>
ここで、第1実施形態に係る太陽電池モジュール2の構成について、
図4(a)から
図5(b)を参照しつつ説明する。
【0023】
図4(a)および
図4(b)で示されるように、太陽電池モジュール2は、例えば、太陽電池パネル20を備えている。太陽電池パネル20は、例えば、主に光が入射する受光面(前面)2fと、この前面2fの逆側に位置している裏面2bと、を有する。第1実施形態では、前面2fが、+X方向を向いている状態にある。裏面2bが、-X方向を向いている状態にある。
図4(a)の例では、前面2fが、長方形状の形状を有する。この太陽電池モジュール2は、例えば、端子ボックスを備えていてもよい。端子ボックスは、例えば、太陽電池パネル20の裏面2b上または前面2f上などに位置し、太陽電池パネル20における発電で得られた電気を外部に出力することができる。ここで、例えば、外壁面11sが凹凸を有している場合には、外壁面11sの凹部に端子ボックスが配されるように、外壁面11sに沿って太陽電池モジュール2が設置されてもよい。また、太陽電池モジュール2は、例えば、フレームなどを備えていてもよい。この場合には、フレームは、例えば、太陽電池パネル20の外周部に沿って位置し、太陽電池パネル20の外周部を保護することができる。
【0024】
図4(a)および
図4(b)で示されるように、太陽電池パネル20は、例えば、前面保護層21と、裏面保護層22と、太陽電池部23と、充填材層24と、を含む。
【0025】
前面保護層21は、例えば、第1面21fと第2面21bとを有する。第1実施形態では、第1面21fは、例えば、太陽電池パネル20の前面2fを構成している状態にある。
図4(a)および
図4(b)の例では、第1面21fが、太陽電池モジュール2の外部の空間(外部空間ともいう)200に対して露出している状態にある。また、第2面21bは、第1面21fの逆側の面である。
【0026】
前面保護層21は、例えば、透光性を有する。具体的には、前面保護層21は、例えば、特定範囲の波長の光に対する透光性を有する。特定範囲の波長は、例えば、太陽電池部23が光電変換し得る光の波長を含む。特定範囲の波長に、太陽光のうちの照射強度の高い光の波長が含まれていれば、太陽電池モジュール2の光電変換効率が向上し得る。
【0027】
前面保護層21の素材には、例えば、耐候性を有する樹脂が適用される。換言すれば、前面保護層21には、例えば、耐候性を有する樹脂で構成された層が適用される。ここで、耐候性は、例えば、屋外で使用された場合に、変形、変色および劣化などの変質を起こしにくい性質を意味する。ここでは、例えば、太陽電池モジュール2において樹脂製の前面保護層21を用いることで、太陽電池モジュール2の薄型化および軽量化を図ることができる。これにより、例えば、太陽電池モジュール2が外壁部11に沿った位置から脱落しにくくなる。また、前面保護層21の素材に樹脂が適用されることで、前面保護層21は、例えば、太陽電池モジュール2の外部空間200から太陽電池部23へ向けた水滴などの水の浸入を低減するとともに、充填材層24から外部空間200へ向けて湿気が通過しやすい性質(透湿防水性ともいう)を有する。ここで、耐候性を有する樹脂は、例えば、フッ素系の樹脂を含む。フッ素系の樹脂は、例えば、フッ化エチレンプロピレン共重合体(Fluorinated Ethylene Propylene:FEP)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(Ethylene Tetrafluoroethylene:ETFE)またはエチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(Ethylene Chlorotrifluoroethylene:ECTFE)などを含む。ここで、例えば、前面保護層21が、2層以上の耐候性を有する樹脂で構成されてもよい。この場合には、前面保護層21に適用されるフッ素系の樹脂は、例えば、2種類以上の樹脂であってもよい。このため、例えば、前面保護層21に適用されるフッ素系の樹脂が、FEP、ETFEおよびECTFEのうちの少なくとも1つの樹脂を含む態様が考えられる。
【0028】
また、前面保護層21の厚さは、例えば、0.05ミリメートル(mm)から0.5mm程度とされる。
【0029】
太陽電池部23は、例えば、前面保護層21と裏面保護層22との間に位置している。
図4(a)および
図4(b)で示されるように、太陽電池部23は、例えば、複数の太陽電池素子231を有する。このため、例えば、複数の太陽電池素子231は、前面保護層21の第2面21bと裏面保護層22との間に位置している。第1実施形態では、複数の太陽電池素子231は、2次元的に並んでいる状態にある。
図4(a)および
図4(b)の例では、複数の太陽電池素子231は、前面保護層21の第2面21bに沿って位置するように平面的に配列された状態にある。
【0030】
また、太陽電池部23は、例えば、複数の第1配線材232と、複数の第2配線材233と、を有する。太陽電池部23は、例えば、複数(
図4(a)および
図4(b)の例では、10個)の太陽電池ストリング230を含む。太陽電池ストリング230は、例えば、複数(
図4(a)および
図4(b)の例では、7個)の太陽電池素子231と、複数の第1配線材232と、を含む。複数の第1配線材232は、例えば、複数の太陽電池素子231のうちの相互に隣り合う太陽電池素子231をそれぞれ電気的に接続している状態にある。複数の第2配線材233は、複数の太陽電池ストリング230のうちの相互に隣り合う太陽電池ストリング230をそれぞれ電気的に接続している状態にある。
図4(a)および
図4(b)の例では、最も-Y方向の側に位置している太陽電池ストリング230に接続された第2配線材233と、最も+Y方向の側に位置している太陽電池ストリング230に接続された第2配線材233と、が太陽電池パネル20の外部に電力を出力するための構成に接続された状態にある。
【0031】
複数の太陽電池素子231のそれぞれは、例えば、光エネルギーを電気エネルギーに変換することができる。
図5(a)および
図5(b)で示されるように、複数の太陽電池素子231のそれぞれは、表(おもて)面側に位置している面(第1素子面ともいう)231fと、この第1素子面231fの逆側の面(第2素子面ともいう)231bと、を有する。
図5(a)および
図5(b)の例では、第1素子面231fが、+X方向を向いている状態にあり、第2素子面231bが、-X方向を向いている状態にある。この場合には、例えば、第1素子面231fが主として光が入射される面(受光面ともいう)としての役割を果たし、第2素子面231bが主として光が入射されない面(非受光面ともいう)としての役割を果たす。
【0032】
第1実施形態では、
図5(a)および
図5(b)で示されるように、複数の太陽電池素子231のそれぞれは、半導体基板2310と、第1出力取出電極2311と、第1集電電極2312と、第2出力取出電極2313と、第2集電電極2314と、を有する。
【0033】
半導体基板2310には、例えば、結晶シリコンなどの結晶系の半導体、アモルファスシリコンなどの非晶質系の半導体、あるいは銅とインジウムとガリウムとセレンの4種類の元素またはカドミウムとテルルの2種類の元素などを用いた化合物系の半導体が適用される。ここで、半導体基板2310に結晶シリコンが適用される場合を想定する。この場合には、半導体基板2310は、主として第1導電型を有する領域(第1導電型領域ともいう)と、第1導電型とは逆の第2導電型を有する領域(第2導電型領域ともいう)と、を有する。第1導電型領域は、例えば、半導体基板2310の-X方向の第2素子面231b側に位置している。第2導電型領域は、例えば、半導体基板2310の+X方向の第1素子面231f側の表層部に位置している。ここで、例えば、第1導電型がp型である場合には、第2導電型がn型となる。また、例えば、第1導電型がn型である場合には、第2導電型がp型となる。これにより、半導体基板2310は、第1導電型領域と第2導電型領域との界面に位置しているpn接合部を有する。
【0034】
第1出力取出電極2311および第1集電電極2312は、例えば、半導体基板2310のうちの第1素子面231f側の面上に位置している。第1出力取出電極2311には、例えば、バスバー電極が適用される。第1集電電極2312には、例えば、フィンガー電極が適用される。
図5(a)の例では、第1素子面231f側に、略平行な2本の第1出力取出電極2311が位置し、略平行な多数本の第1集電電極2312が、2本の第1出力取出電極2311に略直交するように位置している。また、半導体基板2310の第2導電型領域の上のうち、第1出力取出電極2311および第1集電電極2312が形成されていない領域には、例えば、窒化珪素などによって構成されている反射防止膜2315としての絶縁膜が位置していてもよい。ここで、例えば、第1出力取出電極2311の主成分が銀である場合には、第1出力取出電極2311は、銀ペーストがスクリーン印刷などで所望の形状に塗布された後に焼成されることで形成され得る。主成分とは、含有成分のうち含有される比率(含有率ともいう)が最も大きい(高い)成分のことを意味する。銀ペーストには、例えば、主成分として銀を含む金属粉末、有機ビヒクルおよびガラスフリットを含有する金属ペーストが適用される。例えば、第1集電電極2312の主成分が銀である場合には、第1集電電極2312は、第1出力取出電極2311と同様に、銀ペーストがスクリーン印刷などで所望の形状に塗布された後に焼成されることで形成され得る。第1出力取出電極2311と第1集電電極2312とは、例えば、互いに別工程で形成されてもよいし、同一の工程で形成されてもよい。
【0035】
第2出力取出電極2313および第2集電電極2314は、例えば、半導体基板2310のうちの第2素子面231b側の面上に位置している。第2出力取出電極2313には、例えば、バスバー電極が適用される。
図5(b)の例では、第2素子面231b側に、+Z方向に沿った互いに略平行な2列の第2出力取出電極2313が位置している。第2集電電極2314は、半導体基板2310の第2素子面231b側の面上において、第2出力取出電極2313と第2集電電極2314とが重畳することで相互に接続されている部分を除き、第2出力取出電極2313が形成されていない領域の略全面に位置している。2列の第2出力取出電極2313のそれぞれは、例えば、一列に並んでいる4つの電極部分を含む。また、例えば、半導体基板2310の第1導電型領域と第2出力取出電極2313および第2集電電極2314との間に、所望のパターンで酸化アルミニウムなどの酸化物または窒化物の薄膜がパッシベーション膜として存在していてもよい。ここで、例えば、第2出力取出電極2313の主成分が銀である場合には、第1出力取出電極2311と同様に、第2出力取出電極2313は、銀ペーストがスクリーン印刷などで所望の形状に塗布された後に焼成されることで形成され得る。例えば、第2集電電極2314の主成分がアルミニウムである場合には、第2集電電極2314は、アルミニウムペーストがスクリーン印刷などで所望の形状に塗布された後に焼成されることで形成され得る。アルミニウムペーストには、例えば、主成分としてアルミニウムを含む金属粉末、有機ビヒクルおよびガラスフリットを含有する金属ペーストが適用される。
【0036】
第1配線材232は、例えば、1つの太陽電池素子231の第1出力取出電極2311と、この1つの太陽電池素子231の隣の他の1つの太陽電池素子231の第2出力取出電極2313とを電気的に接続している状態にある。
図5(a)および
図5(b)の例では、複数の太陽電池素子231のそれぞれに取り付けられる第1配線材232の外縁が仮想的に細い2点鎖線で描かれている。ここでは、第1配線材232は、例えば、第1出力取出電極2311および第2出力取出電極2313に接合された状態にある。具体的には、例えば、第1配線材232と第1出力取出電極2311との間に位置しており、第1配線材232と第1出力取出電極2311とを接合している部分(第1接合部分ともいう)Cn1が存在している。このため、例えば、第1配線材232は、1つの太陽電池素子231の第1出力取出電極2311に第1接合部分Cn1を介して接合している状態にある。また、例えば、第1配線材232と第2出力取出電極2313との間に位置しており、第1配線材232と第2出力取出電極2313とを接合している部分(第2接合部分ともいう)Cn2が存在している。このため、例えば、第1配線材232は、1つの太陽電池素子231の隣の他の1つの太陽電池素子231の第2出力取出電極2313に第2接合部分Cn2を介して接合している状態にある。第1配線材232には、例えば、線状あるいは帯状の導電性を有する金属体が適用される。第1接合部分Cn1および第2接合部分Cn2の素材には、例えば、半田(はんだ)などの低融点の合金または低融点の単体の金属などが適用される。より具体的には、例えば、0.1mmから0.2mm程度の厚さと1mmから2mm程度の幅とを有する銅箔が第1配線材232に適用され、この第1配線材232の全面に半田が被覆された状態にある。第1配線材232は、例えば、半田付けによって、第1出力取出電極2311および第2出力取出電極2313に電気的に接続されている状態にある。この場合には、例えば、第1配線材232と第1出力取出電極2311との間に位置している半田が第1接合部分Cn1を構成している状態にある。また、例えば、第1配線材232と第2出力取出電極2313との間に位置している半田が第2接合部分Cn2を構成している状態にある。以下では、第1接合部分Cn1および第2接合部分Cn2を、例えば、単に「接合部分」とも称する。
【0037】
充填材層24は、前面保護層21と裏面保護層22との間において太陽電池部23を覆っている状態にある。換言すれば、充填材層24は、前面保護層21と裏面保護層22との間において、複数の太陽電池素子231を覆っている状態にある。別の観点から言えば、充填材層24は、例えば、前面保護層21と裏面保護層22との間の領域(間隙領域ともいう)2gに、太陽電池部23を覆うように充填されている状態にある。
【0038】
第1実施形態では、充填材層24は、例えば、前面2f側に位置している充填材層(第1充填材層ともいう)241と、裏面2b側に位置している充填材層(第2充填材層ともいう)242と、を含む。第1充填材層241は、例えば、太陽電池部23の前面保護層21側の全面を覆っている状態にある。換言すれば、第1充填材層241は、例えば、前面保護層21と複数の太陽電池素子231との間において、複数の太陽電池素子231を覆っている状態にある。第2充填材層242は、例えば、太陽電池部23の裏面保護層22側の全面を覆っている状態にある。換言すれば、第2充填材層242は、例えば、裏面保護層22と複数の太陽電池素子231との間において、複数の太陽電池素子231を覆っている状態にある。このため、第1実施形態では、太陽電池部23は、例えば、第1充填材層241と第2充填材層242とによって挟み込まれるように囲まれている状態にある。これにより、例えば、充填材層24によって太陽電池部23の姿勢が保たれ得る。
【0039】
また、充填材層24は、例えば、透光性を有する。ここでは、充填材層24は、例えば、上述した特定範囲の波長の光に対する透光性を有する。ここで、例えば、充填材層24を構成する第1充填材層241および第2充填材層242のうち、少なくとも第1充填材層241が透光性を有していれば、前面2f側からの入射光が、太陽電池部23まで到達し得る。
【0040】
また、第1充填材層241の素材は、例えば、遊離酸が発生する化学構造を有する。ここでは、第1充填材層241の素材には、例えば、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリビニルブチラール(PVB)などのポリビニルアセタールまたは酸変性樹脂などが適用される。ここで、例えば、第1充填材層241の素材に比較的安価なEVAが適用されれば、複数の太陽電池素子231を保護する性能を容易に実現することができる。酸変性樹脂には、例えば、ポリオレフィンなどの樹脂に対する酸によるグラフト変性などで形成することができる変性ポリオレフィン樹脂などが適用される。酸変性樹脂のグラフト変性に使用することができる酸には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水ハイミック酸、無水イタコン酸または無水シトラコン酸などが適用される。遊離酸は、例えば、塩基と結合していない酸である。遊離酸は、例えば、溶液中では溶媒和を形成し得るが溶媒以外とは結合していない酸である。例えば、EVAおよびPVBなどにおいて遊離酸を発生する化学構造は、例えば、アセトキシ基を含む。アセトキシ基を有する樹脂は、例えば、熱分解および加水分解などによって遊離酸である酢酸を発生させるおそれがある。第2充填材層242の素材には、例えば、第1充填材層241と同様に、EVA、PVBなどのポリビニルアセタールまたは酸変性樹脂などが適用される。第1充填材層241および第2充填材層242は、例えば、2種類以上の素材によって構成されていてもよい。
【0041】
裏面保護層22は、例えば、太陽電池モジュール2の裏面2bを構成している状態にある。裏面保護層22は、例えば、前面保護層21の第2面21bに対向している状態にある。裏面保護層22は、例えば、太陽電池部23を裏面2b側から保護することができる。第1実施形態では、裏面保護層22は、樹脂で構成された層である。裏面保護層22には、例えば、裏面2bを構成するバックシートが適用される。バックシートの厚さは、例えば、0.3mmから0.5mm程度とされる。バックシートの素材には、例えば、ポリカーボネートなどの熱可塑性の樹脂、またはFEP、ETFEもしくはECTFEなどのフッ素系の樹脂などが適用される。また、裏面保護層22の素材には、例えば、ポリビニルフルオライド(PVF)、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレート(PEN)のうちの1種の樹脂、あるいはこれらの樹脂の少なくとも1種の樹脂が適用されてもよい。ここで、例えば、裏面保護層22は、2層以上の樹脂で構成されてもよい。この場合には、裏面保護層22に適用される樹脂は、例えば、2種類以上の樹脂であってもよい。また、
図4(b)の例では、裏面保護層22は、太陽電池部23および充填材層24を、裏面2b側および側方の外周部側から包み込むように位置している。そして、裏面保護層22が、前面保護層21の外周部に接着している状態にある。このとき、裏面保護層22は、例えば、裏面2b側から平面透視した場合に、前面保護層21と同様な形状を有する。例えば、裏面2b側から平面透視した場合に、前面保護層21および裏面保護層22の双方が長方形状の外形を有する構成が想定される。
【0042】
<1-3.太陽電池モジュールの特性>
例えば、前面保護層21の素材が耐候性を有する樹脂であれば、前面保護層21は、透湿防水性を有する。このため、例えば、仮に充填材層24が熱分解および加水分解などによって酢酸などの遊離酸を発生させても、充填材層24で発生する遊離酸が、前面保護層21を介して外部空間200に放散され得る。これにより、例えば、太陽電池素子231の電極および接合部分が遊離酸によって腐食されにくくなる。その結果、例えば、太陽電池モジュール2における長期信頼性を向上し得る。
【0043】
ここで、前面保護層21の素材に、耐候性を有する樹脂であるFEPおよびETFEをそれぞれ適用した場合における水蒸気透過率(Water Vapor Transmission Rate:WVTR)および平均故障時間(Mean Time To Failure:MTTF)の測定結果の具体例を挙げて説明する。また、前面保護層21の素材にガラスを適用した場合における水蒸気透過率(WVTR)および平均故障時間(MTTF)の測定結果の一例も参考例として併せて挙げる。ここでは、表1で示されるように、前面保護層21として、3.2mmの厚さを有するガラスの板(ガラス板ともいう)、0.1mmの厚さを有するFEPのフィルム(FEPフィルムともいう)および0.1mmの厚さを有するETFEのフィルム(ETFEフィルムともいう)をそれぞれ用いた。
【0044】
【0045】
ガラス板、FEPフィルムおよびETFEフィルムのそれぞれについての水蒸気透過率(WVTR)は、日本工業規格(JIS)Z0208で規定された「防湿包装材料の透過湿度試験方法(カップ法)」に従った測定で得た。水蒸気透過率(WVTR)は、1平方メートル(1m2)のフィルムを24時間で透過する水蒸気の量をグラム数で表す。この水蒸気透過率(WVTR)の単位を、g/m2/dayと示す。
【0046】
前面保護層21としてガラス板、FEPフィルムおよびETFEフィルムをそれぞれ用いた太陽電池モジュール2の平均故障時間(MTTF)は、定常光ソーラーシミュレーターを用いて、高温高湿試験を行い、太陽電池モジュール2の最大出力(Pm)が初期状態の値から10%低下する時間、15%低下する時間、20%低下する時間および30%低下する時間をそれぞれ測定することで得た。このため、ここでは、平均故障時間(MTTF)は、高温高湿の条件下における太陽電池モジュール2の耐久性を示す。表1では、前面保護層21としてFEPフィルムおよびETFEフィルムをそれぞれ用いた太陽電池モジュール2の平均故障時間(MTTF)は、前面保護層21としてガラス板を用いた太陽電池モジュール2の平均故障時間(MTTF)を基準値である1とした値で示されている。
【0047】
具体的には、ガラス板に係る最大出力(Pm)が初期状態の値から10%低下する平均故障時間(MTTF)を、基準値である1とした。FEPフィルムに係る最大出力(Pm)が初期状態の値から10%低下する平均故障時間(MTTF)は、FEPフィルムに係る最大出力(Pm)が初期状態の値から10%低下する平均故障時間(MTTF)の実測値を、ガラス板に係る最大出力(Pm)が初期状態の値から10%低下する平均故障時間(MTTF)の実測値で除することで得た。ETFEフィルムに係る最大出力(Pm)が初期状態の値から10%低下する平均故障時間(MTTF)は、ETFEフィルムに係る最大出力(Pm)が初期状態の値から10%低下する平均故障時間(MTTF)の実測値を、ガラス板に係る最大出力(Pm)が初期状態の値から10%低下する平均故障時間(MTTF)の実測値で除することで得た。
【0048】
また、ガラス板に係る最大出力(Pm)が初期状態の値から15%低下する平均故障時間(MTTF)を、基準値である1とした。FEPフィルムに係る最大出力(Pm)が初期状態の値から15%低下する平均故障時間(MTTF)は、FEPフィルムに係る最大出力(Pm)が初期状態の値から15%低下する平均故障時間(MTTF)の実測値を、ガラス板に係る最大出力(Pm)が初期状態の値から15%低下する平均故障時間(MTTF)の実測値で除することで得た。ETFEフィルムに係る最大出力(Pm)が初期状態の値から15%低下する平均故障時間(MTTF)は、ETFEフィルムに係る最大出力(Pm)が初期状態の値から15%低下する平均故障時間(MTTF)の実測値を、ガラス板に係る最大出力(Pm)が初期状態の値から15%低下する平均故障時間(MTTF)の実測値で除することで得た。
【0049】
また、ガラス板に係る最大出力(Pm)が初期状態の値から20%低下する平均故障時間(MTTF)を、基準値である1とした。FEPフィルムに係る最大出力(Pm)が初期状態の値から20%低下する平均故障時間(MTTF)は、FEPフィルムに係る最大出力(Pm)が初期状態の値から20%低下する平均故障時間(MTTF)の実測値を、ガラス板に係る最大出力(Pm)が初期状態の値から20%低下する平均故障時間(MTTF)の実測値で除することで得た。ETFEフィルムに係る最大出力(Pm)が初期状態の値から20%低下する平均故障時間(MTTF)は、ETFEフィルムに係る最大出力(Pm)が初期状態の値から20%低下する平均故障時間(MTTF)の実測値を、ガラス板に係る最大出力(Pm)が初期状態の値から20%低下する平均故障時間(MTTF)の実測値で除することで得た。
【0050】
また、ガラス板に係る最大出力(Pm)が初期状態の値から30%低下する平均故障時間(MTTF)を、基準値である1とした。FEPフィルムに係る最大出力(Pm)が初期状態の値から30%低下する平均故障時間(MTTF)は、FEPフィルムに係る最大出力(Pm)が初期状態の値から30%低下する平均故障時間(MTTF)の実測値を、ガラス板に係る最大出力(Pm)が初期状態の値から30%低下する平均故障時間(MTTF)の実測値で除することで得た。ETFEフィルムに係る最大出力(Pm)が初期状態の値から30%低下する平均故障時間(MTTF)は、ETFEフィルムに係る最大出力(Pm)が初期状態の値から30%低下する平均故障時間(MTTF)の実測値を、ガラス板に係る最大出力(Pm)が初期状態の値から30%低下する平均故障時間(MTTF)の実測値で除することで得た。
【0051】
表1で示されるように、厚さが3.2mmのガラス板の水蒸気透過率(WVTR)は、0g/m2/dayであった。厚さが0.1mmのFEPフィルムの水蒸気透過率(WVTR)は、0.9g/m2/dayであった。厚さが0.1mmのETFEフィルムの水蒸気透過率(WVTR)は、4.9g/m2/dayであった。
【0052】
また、表1で示されるように、前面保護層21にFEPフィルムを用いた場合には、最大出力(Pm)が初期状態の値から10%低下する平均故障時間(MTTF)は、1.09であり、最大出力(Pm)が初期状態の値から15%低下する平均故障時間(MTTF)は、1.71であり、最大出力(Pm)が初期状態の値から20%低下する平均故障時間(MTTF)は、1.89であり、最大出力(Pm)が初期状態の値から30%低下する平均故障時間(MTTF)は、3.35であった。前面保護層21にFTFEフィルムを用いた場合には、最大出力(Pm)が初期状態の値から10%低下する平均故障時間(MTTF)は、0.81であり、最大出力(Pm)が初期状態の値から15%低下する平均故障時間(MTTF)は、2.62であり、最大出力(Pm)が初期状態の値から20%低下する平均故障時間(MTTF)は、3.39であり、最大出力(Pm)が初期状態の値から30%低下する平均故障時間(MTTF)は、4.78であった。
【0053】
このため、例えば、水蒸気透過率(WVTR)が0.9g/m2/dayであるFEPフィルムを前面保護層21に用いた場合には、水蒸気透過率(WVTR)が0g/m2/dayであるガラス板を前面保護層21に用いた場合と比較して、最大出力(Pm)の低下に要する平均故障時間(MTTF)が大幅に長くなることが確認された。また、水蒸気透過率(WVTR)が4.9g/m2/dayであるETFEフィルムを前面保護層21に用いた場合には、水蒸気透過率(WVTR)が0.9g/m2/dayであるFEPフィルムを前面保護層21に用いた場合と比較して、最大出力(Pm)が初期状態の値から15%以上低下する平均故障時間(MTTF)がさらに長くなることが確認された。
【0054】
上記の測定結果の具体例および参考例より、前面保護層21の素材が耐候性を有するFEPおよびETFEなどの樹脂であれば、前面保護層21の素材が湿気を通さないガラスである場合と比較して、太陽電池素子231が劣化しにくいことが分かった。ここでは、前面保護層21の素材が耐候性を有するFEPおよびETFEなどの樹脂であれば、前面保護層21が透湿防水性を有するため、充填材層24で発生する遊離酸が前面保護層21を介して外部空間200に放散されることで太陽電池素子231の電極および接合部分が腐食されにくく、太陽電池素子231の長期信頼性が向上したものと推察された。
【0055】
<1-4.太陽電池モジュールの製造>
太陽電池モジュール2の製造方法の一例について、
図6(a)から
図6(c)を参照しつつ説明する。
【0056】
まず、前面保護層21を準備する。ここでは、例えば、前面保護層21として、長方形状の表裏面と耐候性とを有する樹脂製のフィルムを準備する。耐候性を有する樹脂として、例えば、フッ素系の樹脂が採用される。フッ素系の樹脂としては、例えば、FEP、ETFEまたはECTFEなどが採用される。ここで、例えば、前面保護層21の片面である第2面21bにコロナ処理またはプラズマ処理などの表面を活性化させるための処理を施す。これにより、後述するラミネート処理において前面保護層21と充填材層24との間における密着性が向上し得る。
【0057】
次に、例えば、
図6(a)から
図6(c)で示されるように、前面保護層21、第1シート241s、太陽電池部23、第2シート242sおよび裏面保護層22をこの記載順に積層することで、積層体20sを形成する。このとき、太陽電池モジュール2の外部に電気的に接続させるために太陽電池部23から引き出される配線および端子などが適宜配置される。例えば、前面保護層21、第1シート241s、第2シート242sおよび裏面保護層22のうち、配線および端子を配置する箇所には、適宜貫通孔が形成されていてもよい。ここでは、第1シート241sは、例えば、第1充填材層241の素になる樹脂(EVAなど)製のシートである。第2シート242sは、例えば、第2充填材層242の素になる樹脂(EVAなど)のシートである。
【0058】
次に、例えば、積層体20sを対象としたラミネート処理を行う。ここでは、例えば、ラミネート装置(ラミネータ)を用いて、積層体20sを一体化させる。例えば、ラミネータでは、チャンバー内のヒーター盤上に積層体20sを載置し、チャンバー内を50パスカル(Pa)から150Pa程度まで減圧させつつ、積層体20sを摂氏100度(100℃)から摂氏200度(200℃)程度まで加熱する。このとき、第1シート241sおよび第2シート242sが加熱によってある程度は流動することができる状態になる。この状態で、チャンバー内において、積層体20sを、ダイヤフラムシートなどで押圧することで、積層体20sを一体化させる。これにより、
図4(a)および
図4(b)で示されたような太陽電池パネル20を形成することができる。
【0059】
その後、例えば、太陽電池パネル20に、端子ボックスおよびアルミニウム製のフレームなどが適宜取り付けられてもよい。このとき、例えば、太陽電池部23から太陽電池モジュール2の外部に引き出された配線が、端子ボックス内の端子に適宜接続される。また、例えば、太陽電池パネル20の側面に沿ってアルミニウム製のフレームが取り付けられる。この場合には、例えば、太陽電池パネル20の側面とフレームとの間にブチル系の樹脂などの透湿度が低い封止材が充填されてもよい。これにより、太陽電池モジュール2を形成することができる。ここで、太陽電池モジュール2は、例えば、フレームを有していなくてもよいし、端子ボックスを有していなくてもよい。換言すれば、太陽電池モジュール2は、少なくとも太陽電池パネル20を有する。
【0060】
<1-5.太陽電池モジュールのバリエーション>
例えば、
図7(a)で示されるように、太陽電池モジュール2は、前面保護層21の第1面21f上の一部に位置している保護膜235を有していてもよい。この保護膜235は、例えば、第1面21fを保護することができ、樹脂製の前面保護層21の第1面21fに引っ掻き傷などが生じにくくなる。保護膜235の素材には、例えば、酸化ケイ素および窒化ケイ素などの無機材料が適用される。これらの無機材料は、例えば、耐候性を有する。保護膜235は、例えば、厚さ方向において貫通している状態にある貫通孔235hを有する。これにより、例えば、保護膜235が存在していても、充填材層24で発生する遊離酸が前面保護層21および保護膜235の貫通孔235hなどを介して外部空間200に放散され得る。したがって、例えば、前面保護層21の第1面21fが保護膜235で保護されながら、充填材層24から発生する遊離酸が、前面保護層21を介して外部空間200に放散され得る。このため、例えば、前面保護層21の第1面21fの少なくとも一部が、太陽電池モジュール2の外部空間200に対して露出している状態にあれば、充填材層24から発生する遊離酸が、前面保護層21を介して外部空間200に放散され得る。保護膜235は、例えば、スパッタリング法もしくは化学気相成長(Chemical Vapor Deposition:CVD)などの乾式の成膜法あるいは塗布法などの湿式の成膜法によって形成され得る。例えば、乾式の成膜法で厚さが非常に薄い保護膜235を形成する場合には、多数の貫通孔235hを有する保護膜235が形成され得る。また、例えば、乾式の成膜法で保護膜235を形成する場合には、メッシュ状のマスクなどが用いられれば、所望の形状および数の貫通孔235hを有する保護膜235が形成され得る。また、例えば、湿式の成膜法で保護膜235を形成する場合には、前面保護層21の第1面21f上に、無機材料を溶剤に溶解させた液(塗布液ともいう)をメッシュ状のマスクを介して塗布した後に、この塗布液を乾燥させることで、所望の形状および数の貫通孔235hを有する保護膜235が形成されてもよい。
【0061】
また、例えば、
図7(b)で示されるように、太陽電池部23に含まれている太陽電池素子231が、薄膜系半導体と透明電極とをそれぞれ含む複数の薄膜系の太陽電池素子であってもよい。薄膜系半導体は、例えば、シリコン系、化合物系またはその他のタイプの半導体を含む。シリコン系の薄膜系半導体には、例えば、アモルファスシリコンまたは薄膜多結晶シリコンなどを用いた半導体が適用される。化合物系の薄膜系半導体には、例えば、CIS半導体またはCIGS半導体などのカルコパイライト構造を有する化合物半導体、ペロブスカイト構造を有する化合物などの化合物半導体、ケステライト構造を有する化合物半導体、あるいはカドミウムテルル(CdTe)半導体が適用される。CIS半導体は、銅(Cu)、インジウム(In)およびセレン(Se)を含む化合物半導体である。CIGS半導体は、Cu、In、ガリウム(Ga)およびSeを含む化合物半導体である。ここでは、太陽電池部23は、例えば、基板27と、この基板27上において平面的に並んでいる状態にある複数の薄膜系の太陽電池素子231と、を有する。平面的に並ぶとは、仮想あるいは実際の平面に沿って、複数の太陽電池素子231のそれぞれが位置しているとともに、複数の太陽電池素子231が並んでいることを意味する。基板27には、例えば、0.5mmから2mm程度の厚さを有する透明なガラス基板などが適用される。複数の薄膜系の太陽電池素子231は、例えば、隣り合う太陽電池素子231の間において、正極の電極と負極の電極とが接続されていることで、電気的に直列に接続されていてもよい。この場合、両端の太陽電池素子231の出力用の電極(出力用電極ともいう)には、それぞれ出力用の配線材(出力用配線材ともいう)が半田付けなどによって接続されている状態にある。ここでは、太陽電池素子231の出力用電極と出力用配線材とを接合している部分(接合部分)が存在している。出力用配線材は、例えば、太陽電池パネル20の外部に電力を出力するための構成に接続された状態にある。太陽電池モジュール2において、上記構成が採用されても、充填材層24で発生する遊離酸が、前面保護層21を介して外部空間200に放散され得る。これにより、例えば、薄膜系の太陽電池素子231における透明電極および接合部分などが遊離酸によって腐食されにくくなる。ここで、例えば、基板27と複数の太陽電池素子231との積層順は、上下逆であってもよい。
【0062】
また、例えば、充填材層24は、第2充填材層242を有することなく第1充填材層241を有していてもよい。この場合には、例えば、充填材層24は、前面保護層21と、複数の太陽電池素子231を含む太陽電池部23と、の間において、太陽電池部23を覆っている状態にある。このため、充填材層24は、例えば、前面保護層21と複数の太陽電池素子231との間において、複数の太陽電池素子231を覆っている状態にある。ここで、例えば、太陽電池部23のうちの基板27が裏面保護層22とされてもよい。
【0063】
また、例えば、
図7(c)で示されるように、前面保護層21は、第1面21fから第2面21bにそれぞれ至る複数の微細な貫通孔(微細貫通孔ともいう)21hを有していてもよい。微細貫通孔21hの径は、例えば、雨粒および霧雨などの水滴の径未満であって水蒸気における水の粒の径以上とされる。ここで、微細貫通孔21hの径は、例えば、0.1mmから1mm程度とされる。前面保護層21における複数の微細貫通孔21hは、例えば、耐候性を有する樹脂のシートに対するレーザーを用いた微細加工または打ち抜き加工などによって形成され得る。ここでは、例えば、前面保護層21が複数の微細貫通孔21hを有することで、前面保護層21における防水性が低下しにくく、前面保護層21における透湿性が向上し得る。このため、例えば、仮に充填材層24が熱分解および加水分解などによって酢酸などの遊離酸を発生させても、充填材層24で発生する遊離酸が前面保護層21の複数の微細貫通孔21hを介して外部空間200に放散され得る。これにより、例えば、太陽電池素子231における電極および接合部分が遊離酸によって腐食されにくくなる。
【0064】
ここで、前面保護層21の素材は、例えば、上述した耐候性を有する樹脂であってもよいし、耐候性を有するその他の素材であってもよい。換言すれば、前面保護層21は、例えば、第1面21fから第2面21bにそれぞれ至る複数の微細貫通孔21hを有するとともに、耐候性を有していてもよい。このような構成が採用されても、例えば、充填材層24から発生する遊離酸が前面保護層21の微細貫通孔21hを介して外部空間200に放散され得る。これにより、例えば、太陽電池素子231における電極および接合部分の遊離酸による腐食が生じにくくなる。ここで、前面保護層21の素材として採用される耐候性を有するその他の素材には、例えば、防水透湿性を有する素材であるゴアテックス(登録商標)メンブレンなどが適用されてもよい。ゴアテックス(登録商標)メンブレンには、PTFEを利用した延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)が適用される。このため、微細貫通孔21hの径は、例えば、ePTFEの平均孔径である0.2μm程度であってもよい。換言すれば、微細貫通孔21hの径は、例えば、0.2μmから1mm程度であってもよい。
【0065】
ここで、例えば、前面保護層21の複数の微細貫通孔21hが、第1出力取出電極2311の上方に主に位置していれば、複数の微細貫通孔21hによって、外部空間200から太陽電池部23の第1出力取出電極2311以外の部分に向かう光が前面保護層21で乱反射されにくい。これにより、例えば、太陽電池モジュール2における光電変換効率が低下しにくい。また、この場合には、例えば、充填材層24のうちの第1出力取出電極2311上の領域から遊離酸が前面保護層21の微細貫通孔21hを介して外部空間200に放散されやすい。その結果、例えば、太陽電池素子231における電極および接合部分の遊離酸による腐食が生じにくくなる。
【0066】
<1-6.保持部の具体例>
例えば、
図8(a)および
図8(b)で示されるように、保持部3には、締結部材3Aを適用することができる。ここで、締結部材3Aは、例えば、押さえ部3hと、軸部3aと、を含む。軸部3aは、押さえ部3hから突出している状態にある。押さえ部3hと軸部3aとは、例えば、一体的に構成されている。締結部材3Aには、例えば、ネジおよび釘などが適用され得る。押さえ部3hは、例えば、円板状の形状を有する頭部である。軸部3aは、例えば、押さえ部3hとしての円板状の頭部のうちの略円形の片面の中央から押さえ部3hの厚さ方向に突出するように位置している。
図8(b)の例では、押さえ部3hは、YZ平面に沿って位置している。軸部3aは、-X方向に沿った長手方向を有する。締結部材3Aの素材には、例えば、樹脂、木および金属などが適用され得る。例えば、締結部材3Aの素材が樹脂および木などの絶縁体であるか、あるいは締結部材3Aの表面がフッ素樹脂またはセラミックスなどの絶縁体で被覆されていれば、太陽電池モジュール2における短絡または漏電などが生じにくい。
【0067】
例えば、保持部3に締結部材3Aが適用される場合には、
図8(a)および
図8(b)で示されるように、上述したステップSp2の保持工程において、軸部3aを外壁部11における外壁面11sから外壁部11の厚さ方向(X軸方向)の少なくとも途中まで挿入する。このとき、例えば、外壁部11に軸部3aを固定することで、押さえ部3hと外壁部11とが太陽電池モジュール2を挟持している状態にする。これにより、締結部材3Aが、外壁部11と太陽電池モジュール2とを締結している状態になる。ここでは、例えば、ネジのねじ込みまたは釘の打ち込みなどによって、軸部3aが-X方向に向けて外壁部11に挿入される。このようにして、建造物100が作製される。この建造物100では、例えば、軸部3aが、外壁部11における外壁面11sから外壁部11の厚さ方向(X軸方向)の少なくとも途中まで挿入されていることで外壁部11に固定されている状態にある。そして、押さえ部3hと、外壁部11とが、太陽電池モジュール2を挟持している状態にある。このような構成が採用されれば、例えば、外壁部11に沿って太陽電池モジュール2を容易に設置することができる。また、例えば、外壁部11に沿って太陽電池モジュール2を設置する位置の自由度が向上し得る。
【0068】
ここでは、例えば、
図8(a)および
図8(b)で示されるように、締結部材3Aが、太陽電池モジュール2の厚さ方向(X軸方向)において太陽電池モジュール2を貫通する構成が考えられる。
図8(a)の例では、7つの締結部材3Aが太陽電池モジュール2を貫通しており且つ外壁部11に固定されている。この場合には、例えば、上述したステップSp2の保持工程において、軸部3aによって太陽電池モジュール2を貫通させるとともに、この軸部3aを外壁部11における外壁面11sから外壁部11の厚さ方向(X軸方向)の少なくとも途中まで挿入することで、外壁部11に軸部3aを固定する。このとき、押さえ部3hと外壁部11とが太陽電池モジュール2を挟持している状態にする。ここでは、例えば、ネジのねじ込みまたは釘の打ち込みなどによって、軸部3aが-X方向に向けて太陽電池モジュール2を貫通し且つ外壁部11に挿入される。これにより、建造物100が作製される。この建造物100では、例えば、軸部3aが、太陽電池モジュール2を貫通しているとともに外壁部11における外壁面11sから外壁部11の厚さ方向(X軸方向)の少なくとも途中まで挿入されていることで外壁部11に固定されている状態にある。そして、例えば、押さえ部3hと外壁部11とが太陽電池モジュール2を挟持している状態にある。このような構成が採用されれば、例えば、外壁部11に沿って太陽電池モジュール2が安定して設置され得る。また、例えば、外壁部11に沿って太陽電池モジュール2を設置する位置の自由度が向上し得る。
【0069】
また、例えば、
図8(c)で示されるように、締結部材3Aが、太陽電池モジュール2を貫通していない構成が採用されてもよい。
図8(a)の右下には、太陽電池モジュール2の縁に沿った位置に締結部材3Aが設けられる位置が細い2点鎖線で描かれている。この場合には、例えば、
図8(c)で示されるように、上述したステップSp2の保持工程において、軸部3aによって太陽電池モジュール2を貫通させることなく、軸部3aを外壁部11における外壁面11sから外壁部11の厚さ方向(X軸方向)の少なくとも途中まで挿入することで、外壁部11に軸部3aを固定する。このとき、押さえ部3hと外壁部11とが太陽電池モジュール2を挟持している状態にする。ここでは、例えば、ネジのねじ込みまたは釘の打ち込みなどによって、軸部3aが-X方向に向けて太陽電池モジュール2を貫通せずに外壁部11に挿入される。これにより、建造物100が作製される。この建造物100では、例えば、軸部3aが、太陽電池モジュール2を貫通することなく外壁部11における外壁面11sから外壁部11の厚さ方向(X軸方向)の少なくとも途中まで挿入されていることで外壁部11に固定されている状態にある。そして、例えば、押さえ部3hと外壁部11とが太陽電池モジュール2を挟持している状態にある。このような構成が採用されれば、例えば、締結部材3Aが太陽電池モジュール2を貫通しておらず、太陽電池モジュール2の耐久性が向上し得る。
【0070】
図8(b)および
図8(c)には、外壁部11から建造物1としての家屋などの建築物の内側に向かって、胴縁12と、透湿性の防水シート13と、構造用合板14と、がこの記載の順に積層している例が示されている。ここでは、胴縁12には、例えば、適宜通気層が設けられる。構造用合板14は、例えば、建造物1の内側から間柱によって支持される。間柱よりも建造物1の室内側には、例えば、防湿シートと、合板もしくは石膏ボードなどの下地材と、壁紙もしくは化粧合板などのクロスと、がこの記載の順に積層される。
【0071】
また、例えば、
図9(a)および
図9(b)で示されるように、上述したステップSp1の準備工程において、外壁部11が、外壁面11sから外壁部11の厚さ方向(X軸方向)の少なくとも途中まで位置している孔部11hと、この孔部11h内に充填された充填材11cと、を含むように、建造物1を準備してもよい。ここでは、孔部11hは、例えば、外壁材に対するドリルなどの工具による穿孔または打ち抜き加工などで形成され得る。充填材11cは、例えば、孔部11h内にシリコーン系またはウレタン系などのコーキング材を充填することで形成され得る。
図9(a)には、太陽電池モジュール2が設置される領域の外縁が細い2点鎖線で描かれている。そして、例えば、
図9(c)および
図9(d)で示されるように、上述したステップSp2の保持工程において、軸部3aを充填材11cに挿入することで外壁部11に軸部3aを固定し、押さえ部3hと外壁部11とが太陽電池モジュール2を挟持している状態にしてもよい。これにより、建造物100が作製される。この建造物100では、例えば、外壁部11が、外壁面11sから外壁部11の厚さ方向(X軸方向)の少なくとも途中まで位置している孔部11hと、この孔部11h内に充填された充填材11cと、を含む。また、例えば、軸部3aが、充填材11cに挿入されていることで外壁部11に固定されている状態にある。そして、例えば、押さえ部3hと外壁部11とが太陽電池モジュール2を挟持している状態にある。このような構成が採用されれば、例えば、外壁部11においてネジのねじ込みまたは釘の打ち込みなどによる割れが生じにくいため、外壁部11における防水性および強度が低下しにくい。このような構成が採用される場合にも、例えば、
図9(c)で示されるように、軸部3aが、太陽電池モジュール2を貫通してもよいし、
図9(d)で示されるように、軸部3aが、太陽電池モジュール2を貫通しなくてもよい。
【0072】
また、例えば、
図10(a)および
図10(b)で示されるように、上述したステップSp1の準備工程において、外壁部11が、外壁面11sから外壁部11の厚さ方向(X軸方向)の少なくとも途中まで位置しており且つ雌ネジ部分を有する孔部11h、を含むように、建造物1を準備してもよい。ここでは、孔部11hは、例えば、外壁材に対するドリルなどの工具による穿孔または打ち抜き加工などで孔を形成した後に、この孔内に、内周面に雌ネジ部分を有する円筒状の部品11fを嵌合または接着などによって固定することで形成され得る。
図10(a)には、太陽電池モジュール2が設置される領域の外縁が細い2点鎖線で描かれている。そして、例えば、
図10(c)および
図10(d)で示されるように、上述したステップSp2の保持工程において、孔部11hの雌ネジ部分に軸部3aの周囲に形成された雄ネジ部分を嵌合させることで外壁部11に軸部3aを固定して、押さえ部3hと外壁部11とが太陽電池モジュール2を挟持している状態にしてもよい。これにより、建造物100が作製される。この建造物100では、例えば、外壁部11が、外壁面11sから外壁部11の厚さ方向(X軸方向)の少なくとも途中まで位置しており且つ雌ネジ部分を有する孔部11hを含む。また、例えば、軸部3aが、雄ネジ部分を有する。この雄ネジ部分が、例えば、孔部11hの雌ネジ部分に嵌合していることで軸部3aが外壁部11に固定されている状態にある。そして、例えば、押さえ部3hと外壁部11とが太陽電池モジュール2を挟持している状態にある。このような構成が採用されれば、例えば、外壁部11においてネジのねじ込みまたは釘の打ち込みなどによる割れが生じにくいため、外壁部11における防水性および強度が低下しにくい。このような構成が採用される場合にも、例えば、
図10(c)で示されるように、軸部3aが、太陽電池モジュール2を貫通してもよいし、
図10(d)で示されるように、軸部3aが、太陽電池モジュール2を貫通しなくてもよい。
【0073】
また、例えば、
図11(a)および
図11(b)で示されるように、上述したステップSp1の準備工程において、外壁部11が、第1層11aと、この第1層11aよりも外壁面11s側に位置している第2層11bと、を含む複数層が積層された構造を有するように、建造物1を準備してもよい。ここでは、第1層11aには、例えば、上述したサイディングなどの外壁材が適用され、第2層11bには、例えば、木製もしくは金属製の板材または角材などが適用される。第2層11bは、例えば、第1層11aの表面に接着材などで接合されることで形成され得る。そして、例えば、
図11(c)および
図11(d)で示されるように、上述したステップSp2の保持工程において、軸部3aを第2層11bに挿入することで外壁部11に軸部3aを固定し、押さえ部3hと外壁部11とが太陽電池モジュール2を挟持している状態にしてもよい。これにより、建造物100が作製される。この建造物100では、例えば、外壁部11は、第1層11aと、この第1層11aよりも外壁面11s側に位置している第2層11bと、を含む。軸部3aは、例えば、第2層11bに挿入されていることで外壁部11に固定されている状態にある。そして、例えば、押さえ部3hと外壁部11とが太陽電池モジュール2を挟持している状態にある。このような構成が採用されれば、例えば、第1層11aにネジのねじ込みまたは釘の打ち込みなどによる割れが生じにくいため、外壁部11における防水性および強度が低下しにくい。このような構成が採用される場合にも、例えば、
図11(c)で示されるように、軸部3aが、太陽電池モジュール2を貫通してもよいし、
図11(d)で示されるように、軸部3aが、太陽電池モジュール2を貫通しなくてもよい。
【0074】
ここでは、外壁部11のうち、例えば、
図11(a)および
図11(b)で示されるように、太陽電池モジュール2が設置される全領域に第2層11bが配されてもよいし、
図12(a)および
図12(b)で示されるように、外壁部11のうちの締結部材3Aが挿入される部分に局所的に第2層11bが配されてもよい。
図11(a)および
図12(a)には、それぞれ太陽電池モジュール2が設置される領域の外縁が細い2点鎖線で描かれている。また、ここでは、例えば、
図12(b)から
図12(d)で示されるように、第2層11bは、第1層11aに埋め込まれている状態にあってもよい。このような構成は、例えば、第2層11bが埋め込まれた状態で、第1層11aとしての外壁材を形成することで実現され得る。
【0075】
また、例えば、
図13(a)で示されるように、上述したステップSp1の準備工程において、建造物1が、外壁部11のうちの外壁面11sとは逆の裏面(外壁裏面ともいう)11bsが固定された状態にある柱部16を含むように、建造物1を準備してもよい。柱部16には、例えば、間柱などが適用される。ここでは、例えば、
図13(b)および
図13(c)で示されるように、柱部16と外壁部11との間には、他の層などの他の部材15が位置していてもよい。そして、
図13(a)および
図13(b)で示されるように、上述したステップSp2の保持工程において、軸部3aによって外壁部11を貫通させるとともに軸部3aを柱部16に挿入することで外壁部11および柱部16に軸部3aを固定し、押さえ部3hと外壁部11とが太陽電池モジュール2を挟持している状態にしてもよい。これにより、建造物100が作製される。この建造物100は、例えば、外壁部11のうちの外壁面11sとは逆の裏面(外壁裏面)11bsが固定された状態にある柱部16を備えている。軸部3aは、例えば、外壁部11を貫通しているとともに柱部16に挿入されていることで外壁部11に固定されている状態にある。そして、例えば、押さえ部3hと外壁部11とが太陽電池モジュール2を挟持している状態にある。このような構成が採用されれば、例えば、外壁部11および柱部16に対して締結部材3Aが強固に締結されることで、太陽電池モジュール2が外壁部11に沿った位置から脱落しにくくなる。
【0076】
<1-7.第1実施形態のまとめ>
第1実施形態に係る太陽電池モジュール2の設置方法および建造物100では、例えば、外壁面11sに沿って太陽電池モジュール2の裏面2bが位置することで、外壁面11sと裏面2bとが近接している状態になる。これにより、例えば、太陽電池モジュール2の裏面2b側に風が回り込みにくく、太陽電池モジュール2に振動および曲がりなどが生じにくい。その結果、例えば、太陽電池モジュール2内の太陽電池素子231に割れが生じにくく、太陽電池モジュール2の出力特性が低下しにくい。したがって、例えば、建造物1に設置される太陽電池モジュール2の軽量化と出力特性の維持とを図ることができる。
【0077】
<2.他の実施形態>
本開示は上述の第1実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更および改良などが可能である。
【0078】
<2-1.第2実施形態>
上記第1実施形態において、保持部3として、例えば、接着材3Bを採用してもよい。この場合には、例えば、
図14(a)および
図14(b)で示されるように、上述したステップSp2の保持工程において、接着材3Bによって外壁面11sと太陽電池モジュール2の裏面2bとを接着する。接着材3Bには、例えば、エポキシ系、アクリル系、変性シリコーン系、ウレタン系、クロロプレンゴム系もしくはシリル化ウレタン系の接着剤などが適用される。また、接着材3Bには、例えば、接着テープが含まれてもよい。接着テープには、例えば、アクリルフォームなどの構造用接合テープが適用される。具体的には、接着テープには、例えば、3M社製の3M(登録商標)VHB(登録商標)テープなどが含まれる。ここでは、例えば、接着材3Bによって外壁面11sに対して太陽電池モジュール2の裏面2bを接着することで、保持部3としての接着材3Bが外壁面11sと裏面2bとを接着している状態にある建造物100が作製される。このような構成が採用されれば、例えば、外壁部11に沿って太陽電池モジュール2を容易に設置することができる。また、例えば、外壁部11に沿って太陽電池モジュール2を設置する位置の自由度が向上し得る。また、例えば、太陽電池モジュール2の軽量化によって太陽電池モジュール2が外壁部11に沿った位置から脱落しにくくなる。
【0079】
ここで、例えば、仮に前面保護層21に厚さが3.2mmのガラス基板を用いた太陽電池モジュールを想定すると、太陽電池モジュールの全重量のうち、前面保護層21の重量が70%程度を占め、アルミニウム製のフレームの重量が10数%程度を占め得る。これに対して、例えば、前面保護層21に厚さが0.1mmの樹脂製のフィルムを用いると、太陽電池モジュール2の全重量のうち、前面保護層21の重量の割合が4%程度となり、フレームが不要となり得る。これにより、例えば、前面保護層21に厚さが3.2mmのガラス基板を用いる場合と比較して、前面保護層21に厚さが0.1mmの樹脂製のフィルムを用いる場合には、太陽電池モジュール2の全重量が1/4から1/5程度となり得る。換言すれば、太陽電池モジュール2の軽量化が図られる。これにより、例えば、太陽電池モジュール2を外壁面11sに固定している接着材3Bに長期間にわたってかかる負荷が大幅に減少し、外壁面11s上における太陽電池モジュール2の重力方向(-Z方向)へのズレおよび太陽電池モジュール2の外壁部11からの脱落が生じにくくなる。
【0080】
ここで、例えば、保持部3としての接着材3Bが、第1の接着材31Bと、第2の接着材32Bと、を含んでいてもよい。第1の接着材31Bには、例えば、感圧型の接着材が適用される。第2の接着材32Bには、例えば、硬化型の接着剤が適用される。感圧型の接着材は、常温で圧力を加えて被着物に接触させることで被着物同士を接着することができる。感圧型の接着材には、例えば、粘着性を有する粘着剤、両面に粘着性を有する両面テープなどの接着テープ、または裏面に粘着性を有する面ファスナーなどが適用される。接着テープは、例えば、3M社製の3M(登録商標)VHB(登録商標)テープなどのアクリルフォームなどを含む。感圧型の接着材には、例えば、ブチルゴム系、ウレタン系またはアクリル系などのシール材が適用されてもよい。硬化型の接着剤は、例えば、縮合、重合または架橋などによって硬化し、接着力を発現することができる。硬化型の接着剤には、例えば、湿気硬化型、硬化剤混合型、光硬化型、加熱硬化型または嫌気硬化型などの接着剤を用いることができる。湿気硬化型の接着剤は、例えば、空気中の水分と反応して硬化することができる。硬化剤混合型の接着剤は、例えば、本剤と硬化剤との混合によって硬化することができる。光硬化型の接着剤には、例えば、照射された紫外線のエネルギーによって化学反応を起こして硬化することができる紫外線硬化型の接着剤が含まれる。硬化型の接着剤は、例えば、上記の化学反応などによって硬化し、液状から固化する過程を経て、ゴム状の弾性体などになる。具体的には、硬化型の接着剤には、例えば、湿気硬化型である一液型のシリコーン系の接着剤、硬化剤混合型である二液硬化型のエポキシ系もしくはシリコーン系の接着剤、または紫外線硬化型であるシリコーン系の接着剤などを用いることができる。二液硬化型のエポキシ系の接着剤は、例えば、3M社製の3M(登録商標)スコッチウェルド(登録商標)などを含む。このような硬化型の接着材は、感圧型の接着材よりも高温の状態でも高い接着力を発現する場合が多い。このため、例えば、太陽電池モジュール2が高温の環境に暴露されても、外壁面11s上における太陽電池モジュール2の重力方向(-Z方向)へのズレおよび太陽電池モジュール2の外壁部11からの脱落が生じにくい。
【0081】
このように、接着材3Bが、第1の接着材31Bと、第2の接着材32Bと、を含む場合には、例えば、上述したステップSp2の保持工程において、外壁面11sに沿ってU字状に配された状態にある第1の接着材31Bによって外壁面11sと太陽電池モジュール2の裏面2bとを接着する。ここでは、例えば、
図15(a)、
図15(b)、
図16(a)および
図16(b)で示されるように、外壁面11s上にU字状に第1の接着材31Bを貼付した後に、この第1の接着材31B上に太陽電池モジュール2の裏面2bを貼付する態様が考えられる。これにより、例えば、
図15(b)および
図16(b)で示されるように、太陽電池モジュール2の裏面2bのうち、-Y方向の端部の第1辺に沿った領域と、+Y方向の端部の第2辺に沿った領域と、-Z方向の端部に第3辺に沿った領域と、が第1の接着材31Bによって外壁面11s上に接着される。また、ここでは、例えば、太陽電池モジュール2の裏面2b上にU字状に第1の接着材31Bを貼付した後に、裏面2bに貼付された第1の接着材31Bによって太陽電池モジュール2を外壁面11sに接着させてもよい。ここで、外壁面11s上にU字状に配される第1の接着材31Bの形態には、例えば、
図15(a)で示されるように、Z軸方向に長手方向を有する2本の部分と、この2本の部分の重力方向(-Z方向)の最下部を連結する1本の部分と、を有する形態が含まれる。別の観点から言えば、例えば、第1の接着材31Bは、外壁面11sに沿って鉛直方向の上方向(+Z方向)の部分が途切れた環状の形態を有するように配される。ここでは、例えば、
図15(b)および
図16(b)で示されるように、外壁面11sとU字状に配された状態にある第1の接着材31Bと太陽電池モジュール2の裏面2bとによって囲まれた空間S1が形成される。
【0082】
そして、上述したステップSp2の保持工程において、
図15(c)および
図16(c)で示されるように、空間S1に第2の接着材32Bを流入させることで第2の接着材32Bによって外壁面11sと太陽電池モジュール2の裏面2bとを接着する。これにより、建造物100が作製される。この建造物100では、例えば、第1の接着材31Bおよび第2の接着材32Bが、外壁面11sと裏面2bとを接着している状態にある。ここでは、例えば、第1の接着材31Bが、外壁面11sに沿ってU字状に位置しており且つ外壁面11sと裏面2bとを接着している状態にある。また、第2の接着材32Bが、外壁面11sと、U字状に配された状態にある第1の接着材31Bと、裏面2bと、によって囲まれた空間S1に位置しており且つ外壁面11sと裏面2bとを接着している状態にある。このような構成が採用されれば、例えば、外壁部11に沿って太陽電池モジュール2をより安定して設置することができる。
【0083】
ここで、例えば、第1の接着材31Bの厚さが大きい場合には、太陽電池モジュール2の端子ボックスを空間S1内に配することが考えられる。
【0084】
<2-2.第3実施形態>
上記第1実施形態において、保持部3として、例えば、外壁面11sから建造物1の外側に向けて突出している状態にある1つ以上の保持具3Cを採用してもよい。保持具3Cとしては、例えば、建材用の割ピン31Cが採用されてもよい。割ピン31Cの素材には、例えば、ステンレス鋼、真鍮、アルミニウムあるいは溶融亜鉛めっき、アルミめっきもしくは溶融亜鉛アルミめっきが施された鉄鋼材料などが適用される。割ピン31Cは、例えば、一本の棒状の部材が折り返された形状を有する。割ピン31Cは、例えば、折り返された部分が環状の形状を有する。
【0085】
この場合には、例えば、
図17(a)で示されるように、上述したステップSp1の準備工程において、1つ以上の保持具3Cが、建造物1の外側に向けて外壁面11sから突出している状態にあるように、建造物1を準備する。換言すれば、例えば、外壁部11と、外壁部11の外壁面11sに沿って裏面2bが位置するように太陽電池モジュール2を保持するための保持部3としての1つ以上の保持具3Cと、を備えている建造物1を準備する。このような建造物1は、例えば、外壁部11を構成する外壁材に予め1つ以上の保持具3Cを取り付けておくことで準備され得る。そして、例えば、
図17(b)、
図17(c)および
図18で示されるように、上述したステップSp2の保持工程において、1つ以上の保持具3Cに太陽電池モジュール2を保持させる。これにより、建造物100が作製される。この建造物100は、例えば、1つ以上の保持具3Cを含み、太陽電池モジュール2が1つ以上の保持具3Cに保持されている状態にある。このような構成が採用されれば、例えば、外壁部11に沿って太陽電池モジュール2を容易に設置することができる。また、例えば、外壁部11に予め保持具3Cが設けられているため、外壁部11に沿って太陽電池モジュール2を設置する位置を容易に設定することができる。その結果、例えば、外壁部11に沿って太陽電池モジュール2を設置する際の作業性が向上し得る。
【0086】
ここで、例えば、1つ以上の保持具3Cが、割ピン31Cのように複数の棒状の部分(棒状部分ともいう)を含む場合を想定する。例えば、各割ピン31Cは、2本の棒状部分311C,312Cを含む。
【0087】
この場合には、例えば、
図17(a)で示されるように、上述したステップSp1の準備工程において、複数の棒状部分311C,312Cが、外壁面11sからそれぞれ突出している状態にあるように、建造物1を準備する。換言すれば、例えば、1つ以上の保持具3Cが、それぞれ建造物1の外側に向けて外壁面11sから突出している状態にあり、折り曲げられることで外壁部11の外壁面11sに沿って裏面2bを位置させた太陽電池モジュール2を外壁面11sと挟持するための複数の棒状部分311C,312Cを含む建造物1が準備される。ここでは、例えば、外壁材に対してドリルなどの工具による穿孔または打ち抜き加工などで貫通孔を形成し、この貫通孔に割ピン31Cの2本の棒状部分311C,312Cを挿通させることで、保持具3Cとしての割ピン31Cの2本の棒状部分311C,312Cが建造物1の外側に向けて外壁面11sから突出している状態になる。この貫通孔は、例えば、割ピン31Cの2本の棒状部分311C,312Cが挿通された状態でコーキング材などによって封止される。
【0088】
次に、ステップSp2の保持工程においては、例えば、
図17(b)で示されるように、外壁面11sに沿って裏面2bが位置するように太陽電池モジュール2を配置して、
図17(c)で示されるように、複数の棒状部分311C,312Cを折り曲げる。このとき、複数の棒状部分311C,312Cのそれぞれと外壁面11sとが太陽電池モジュール2を挟持している状態にする。複数の棒状部分311C,312Cを折り曲げる変形は、例えば、塑性変形であればよい。ここでは、例えば、折り曲げられた複数の棒状部分311C,312Cのうちの太陽電池モジュール2の前面2fに沿って位置している部分と外壁面11sとが太陽電池モジュール2を挟持している状況にある。このようにして、建造物100が作製される。この建造物100では、例えば、
図17(c)および
図18で示されるように、複数の棒状部分311C,312Cのそれぞれは、外壁面11sから突出しており且つ折れ曲がっており、複数の棒状部分311C,312Cと外壁面11sとが太陽電池モジュール2を挟持している状態にある。このような構成が採用されれば、例えば、保持部3の素材量が低減され得る。
【0089】
ここでは、ステップSp2の保持工程において、例えば、
図17(b)で示されるように、外壁面11sに沿って裏面2bが位置するように太陽電池モジュール2を配置する際に、複数の割ピン31Cのうちの少なくとも一部の割ピン(貫通割ピンともいう)31Caについては、複数の棒状部分311C,312Cによって太陽電池モジュール2を貫通させてもよい。この場合には、例えば、
図17(c)で示されるように、複数の棒状部分311C,312Cによって太陽電池モジュール2を貫通させて、複数の棒状部分311C,312Cを折り曲げることで、複数の棒状部分311C,312Cのそれぞれと外壁面11sとが太陽電池モジュール2を挟持している状態にすることができる。これにより、完成される建造物100では、複数の棒状部分311C,312Cのそれぞれは、太陽電池モジュール2を貫通している状態にある。
図17(c)および
図18の例では、1つの太陽電池モジュール2に対して、2個の貫通割ピン31Caが設けられている例が示されている。このように、例えば、複数の棒状部分311C,312Cによって太陽電池モジュール2を貫通させることで、外壁部11に沿って太陽電池モジュール2がより安定して設置され得る。
【0090】
また、ステップSp2の保持工程において、例えば、
図17(b)で示されるように、外壁面11sに沿って裏面2bが位置するように太陽電池モジュール2を配置する際に、複数の割ピン31Cのうちの少なくとも一部の割ピン(非貫通割ピンともいう)31Cbについては、複数の棒状部分311C,312Cによって太陽電池モジュール2を貫通させなくてもてもよい。この場合には、例えば、
図17(c)で示されるように、複数の棒状部分311C,312Cによって太陽電池モジュール2を貫通させることなく、複数の棒状部分311C,312Cを折り曲げることで、複数の棒状部分311C,312Cと外壁面11sとが太陽電池モジュール2を挟持している状態にすることができる。これにより、完成される建造物100では、複数の棒状部分311C,312Cのそれぞれは、太陽電池モジュール2を貫通していない状態にある。
図17(c)および
図18の例では、1つの太陽電池モジュール2に対して、10個の非貫通割ピン31Cbが設けられている例が示されている。このように、例えば、複数の棒状部分311C,312Cが太陽電池モジュール2を貫通しない場合には、太陽電池モジュール2の耐久性が向上し得る。
【0091】
ここで、保持具3Cは、例えば、太陽電池モジュール2を差し込むように挿入することで太陽電池モジュール2を配置することができる構造を有していてもよい。例えば、
図19(a)および
図19(b)で示されるように、1つ以上の保持具3Cが、第1保持具32Cと、第2保持具33Cと、を含む構成が考えられる。
【0092】
この場合には、上述したステップSp1の準備工程において、例えば、第1保持具32Cおよび第2保持具33Cのそれぞれが外壁面11sに沿った第1方向としての水平方向(ここでは、Y軸方向)を長手方向として有するように、建造物1を準備する。ここでは、第1保持具32Cおよび第2保持具33Cのそれぞれの長手方向は、例えば、第1方向としての水平方向(Y軸方向)に対して数度以内の傾きを有する方向であってもよい。このとき、例えば、第1保持具32Cと第2保持具33Cとは、外壁面11sに沿った第1方向(Y軸方向)に直交する第2方向(ここでは、上下方向としてのZ軸方向)において対向しており且つ建造物1の外側に向けて外壁面11sから突出している状態にある。例えば、第1保持具32Cと第2保持具33Cとは、第2方向(Z軸方向)において離間している。また、例えば、第1保持具32Cが、第2保持具33Cに対向している部分に第1方向(Y軸方向)に沿った溝状の部分(第1溝部ともいう)G1を有する。例えば、第1溝部G1は、第1保持具32Cのうちの重力方向である下方向(-Z方向)を向いた部分に位置している。また、建造物1では、例えば、第2保持具33Cが、第1保持具32Cに対向している部分に第1方向(Y軸方向)に沿った溝状の部分(第2溝部ともいう)G2を有する。例えば、第2溝部G2は、第2保持具33Cのうちの鉛直方向の上方向(+Z方向)を向いた部分に位置している。このような第1保持具32Cおよび第2保持具33Cには、例えば、建築物の壁面に沿って雨戸をスライドさせるアルミサッシを構成する部材と同様な仕組みの部材が適用される。第1保持具32Cおよび第2保持具33Cのそれぞれは、例えば、外壁部11を貫通し且つ外壁部11に固定されている状態にある。第1保持具32Cおよび第2保持具33Cのそれぞれは、例えば、外壁部11を構成する複数の外壁材を平面的に組み合わせる際に、外壁部11を貫通するように配置され得る。
【0093】
また、上述したステップSp1の準備工程において、例えば、太陽電池モジュール2が、前面2fと裏面2bとを接続しており且つ互いに平行な第1端部E1および第2端部E2を含むように、太陽電池モジュール2を準備する。ここでは、第1端部E1と第2端部E2とは、例えば、完全に平行である関係から数度程度以内の傾きを有する実質的に平行な関係にあってもよい。
図20(a)では、第1保持具32Cと第2保持具33Cとに差し込むように挿入される前の太陽電池モジュール2の外縁が細い2点鎖線で描かれており、第1保持具32Cと第2保持具33Cとに差し込むように挿入された後の太陽電池モジュール2が実線で描かれている。
図20(a)の例では、太陽電池モジュール2は、-X方向に向いて平面視した場合に、略矩形状の形状を有する。第1端部E1は、太陽電池モジュール2のうちの鉛直方向の上方向(+Z方向)における辺(上辺ともいう)に沿って位置しており、第1方向(Y軸方向)に沿った長手方向を有する。第2端部E2は、太陽電池モジュール2のうちの重力方向(-Z方向)における辺(下辺ともいう)に沿って位置しており、第1方向(Y軸方向)に沿った長手方向を有する。
【0094】
そして、上述したステップSp2の保持工程において、例えば、
図20(a)および
図20(b)で示されるように、第1方向(Y軸方向)に沿って、第1溝部G1に太陽電池モジュール2の第1端部E1を挿入するとともに、第2溝部G2に太陽電池モジュール2の第1端部E1とは逆側の第2端部E2を挿入する。これにより、例えば、第1保持具32Cおよび第2保持具33Cによって太陽電池モジュール2を保持させている状態にすることができる。ここでは、例えば、第1保持具32Cおよび第2保持具33Cから太陽電池モジュール2が外れにくくなるように、第1保持具32Cおよび第2保持具33Cのうちの少なくとも一方にストッパー部材が嵌合もしくはネジ止めなどで取り付けられてもよい。このようにして、例えば、建造物100を完成させることができる。建造物100では、太陽電池モジュール2が、第1方向(Y軸方向)に沿って、第1端部E1が第1溝部G1に挿入されているとともに第2端部E2が第2溝部G2に挿入されていることで、第1保持具32Cおよび第2保持具33Cを含む1つ以上の保持具3Cに保持されている状態にある。このため、例えば、外壁部11に対する接着および穿孔などが容易でない場合であっても、第1方向(Y軸方向)に沿って太陽電池モジュール2の第1端部E1を第1溝部G1に挿入しつつ太陽電池モジュール2の第1端部E1とは逆側の第2端部E2を第2溝部G2に挿入することで、外壁部11に沿って太陽電池モジュール2を容易に設置することができる。
【0095】
ここでは、例えば、
図21(a)および
図21(b)で示されるように、第1保持具32Cおよび第2保持具33Cの長手方向としての第1方向が、水平方向とは異なる重力方向(Z軸方向)であってもよい。この場合には、例えば、第1保持具32Cおよび第2保持具33Cは、外壁面11sに沿った重力方向(Z軸方向)に直交する第2方向としての水平方向(Y軸方向)において対向しており且つそれぞれ建造物1の外側に向けて外壁面11sから突出している状態にある。また、例えば、第1保持具32Cが、第2保持具33Cに対向している部分に第1方向(Z軸方向)に沿った第1溝部G1を有し、第2保持具33Cが、第1保持具32Cに対向している部分に第1方向(Z軸方向)に沿った第2溝部G2を有する。
図22(a)では、第1保持具32Cと第2保持具33Cとに差し込むように挿入される前の太陽電池モジュール2の外縁が細い2点鎖線で描かれており、第1保持具32Cと第2保持具33Cとに差し込むように挿入された後の太陽電池モジュール2が実線で描かれている。
図22(a)の例では、太陽電池モジュール2は、-X方向に向いて平面視した場合に、略矩形状の形状を有する。第1端部E1は、太陽電池モジュール2のうちの水平方向の左方向(-Y方向)における辺(左辺ともいう)に沿って位置しており、第1方向(Z軸方向)に沿った長手方向を有する。第2端部E2は、太陽電池モジュール2のうちの水平方向の右方向(+Y方向)における辺(右辺ともいう)に沿って位置しており、第1方向(Z軸方向)に沿った長手方向を有する。
【0096】
そして、上述したステップSp2の保持工程において、例えば、
図22(a)および
図22(b)で示されるように、第1方向(Z軸方向)に沿って、第1溝部G1に太陽電池モジュール2の第1端部E1を挿入するとともに、第2溝部G2に太陽電池モジュール2の第1端部E1とは逆側の第2端部E2を挿入する。これにより、例えば、第1保持具32Cおよび第2保持具33Cによって太陽電池モジュール2を保持させている状態にすることができる。このようにして、例えば、建造物100を完成させることができる。この建造物100では、太陽電池モジュール2が、第1方向(Z軸方向)に沿って、第1端部E1が第1溝部G1に挿入されているとともに第2端部E2が第2溝部G2に挿入されていることで、第1保持具32Cおよび第2保持具33Cを含む1つ以上の保持具3Cに保持されている状態にある。
【0097】
<2-3.第4実施形態>
上記第1実施形態において、保持部3として、例えば、太陽電池モジュール2の周縁部を挟持する保持機構3Dを採用してもよい。
【0098】
保持機構3Dは、例えば、
図23(a)および
図23(b)で示されるように、第1クランプ部材34Dと、第2クランプ部材35Dと、を含む。例えば、
図23(a)および
図23(b)で示されるように、第1クランプ部材34Dは、建造物1のうちの外壁部11の上方に位置している部分(第1被取付部分ともいう)からワイヤなどの第1部材34sDで吊り下げられた状態にある。
図23(a)および
図23(b)の例では、2つの第1クランプ部材34Dのそれぞれが、第1被取付部分としての庇(ひさし)R0から第1部材34sDで吊り下げられている状態にある。また、例えば、
図23(a)および
図23(b)で示されるように、第2クランプ部材35Dは、建造物1のうちの外壁部11の下方に位置している部分(第2被取付部分ともいう)にワイヤなどの第2部材35sDで取り付けられた状態にある。
図23(a)および
図23(b)の例では、2つの第2クランプ部材35Dのそれぞれが、第2被取付部分としての基礎部G0に第2部材35sDを介して取り付けられた状態にある。基礎部G0は、例えば、建造物1に含まれる土台の部分であってもよいし、建造物1が建設された土地の地面であってもよい。
【0099】
第1クランプ部材34Dおよび第2クランプ部材35Dは、例えば、同様な構成を有していてもよいし、異なる構成を有していてもよい。ここで、例えば、第1クランプ部材34Dおよび第2クランプ部材35Dの構成の一例を挙げて説明する。
図23(c)で示されるように、第1クランプ部材34Dおよび第2クランプ部材35Dのそれぞれは、例えば、本体部341Dと締結部342Dとを有する。本体部341Dは、例えば、第1部分Po1と、第2部分Po2と、第3部分Po3と、を含む。第1部分Po1および第2部分Po2は、例えば、互いに平行で且つ離間している状態にある。第3部分Po3は、例えば、第1部分Po1と第2部分Po2とを連結している状態にある。
図23(c)の例では、第1部分Po1、第3部分Po3および第2部分Po2は、この記載の順にU字状を成すように位置している。本体部341Dは、例えば、1枚の板状の部材がU字状に屈曲している構造を有していてもよい。また、第2部分Po2は、例えば、厚さ方向に貫通し且つ内周部に雌ネジ部分を有する貫通孔を有する。締結部342Dは、例えば、第4部分Po4と、第5部分Po5と、第6部分Po6と、を含む。第4部分Po4は、例えば、第2部分Po2の貫通孔の雌ネジ部分に嵌合している状態にある雄ネジ部分を有する棒状の部分である。第5部分Po5は、例えば、第4部分Po4のうちの長手方向の第1の端部に連結しており且つ第1部分Po1と第2部分Po2との間に位置している状態にある。第6部分Po6は、例えば、第4部分Po4のうちの長手方向の第1の端部とは逆の第2の端部に近い部分に連結しており且つ第4部分Po4を周方向に回転させるハンドルの役割を有する。このような構成を有する第1クランプ部材34Dおよび第2クランプ部材35Dでは、例えば、それぞれ、第6部分Po6を回転させることで、第1部分Po1と第5部分Po5との間の距離を変更することができる。そして、例えば、第1部分Po1と第5部分Po5とが、第1部分Po1と第5部分Po5との間の空間SL1に位置している種々の対象物(挟持対象物ともいう)を挟持することができる。ここで、例えば、第1部分Po1のうちの第5部分Po5に対向している部分および第5部分Po5のうちの第1部分Po1に対向している部分のそれぞれが、凹凸形状またはゴムなどを有していれば、第1部分Po1および第5部分Po5と挟持対象物との間で滑りが生じにくくなる。
【0100】
ここで、保持部3として上記保持機構3Dが採用された場合には、例えば、
図23(a)および
図23(b)で示されるように、上述したステップSp1の準備工程において、保持機構3Dを有する建造物1が準備される。具体的には、例えば、建造物1のうちの外壁部11の上方に位置している第1被取付部分から第1部材34sDで吊り下げられた状態にある第1クランプ部材34Dと、建造物1のうちの外壁部11の下方に位置している第2被取付部分に第2部材35sDで取り付けられた状態にある第2クランプ部材35Dと、を有する建造物1が準備される。そして、上述したステップSp2の保持工程において、例えば、
図24(a)および
図24(b)で示されるように、第1クランプ部材34Dが、外壁面11sに沿って位置し且つ太陽電池モジュール2の第1周縁部P1を挟持しているとともに、第2クランプ部材35Dが外壁面11sに沿って位置し且つ太陽電池モジュール2の第2周縁部P2を挟持している状態にする。第1周縁部P1としては、例えば、外壁面11sに沿って裏面2bが位置している太陽電池モジュール2を-X方向に平面視した場合に、太陽電池モジュール2の鉛直方向の上端部に位置している縁部に沿った部分が採用される。第2周縁部P2は、例えば、太陽電池モジュール2のうちの第1周縁部P1とは逆側の部分である。具体的には、第2周縁部P2としては、例えば、外壁面11sに沿って裏面2bが位置している太陽電池モジュール2を-X方向に平面視した場合に、太陽電池モジュール2の重力方向の下端に位置している縁部に沿った部分が採用される。
図24(a)および
図24(b)の例では、2つの第1クランプ部材34Dが、太陽電池モジュール2の鉛直方向の上端側に位置している第1周縁部P1の両端部を挟持している状態にある。また、2つの第2クランプ部材35Dが、太陽電池モジュール2の重力方向の下端側に位置している第2周縁部P2の両端部を挟持している状態にある。これにより、太陽電池モジュール2の4隅の部分が、2つの第1クランプ部材34Dおよび2つの第2クランプ部材35Dによって挟持されている。このとき、例えば、各第1部材34sDおよび各第2部材35sDが直線状に張っている状態にあれば、太陽電池モジュール2は、保持機構3Dによって外壁面11sに沿って安定して保持される。このようにして、例えば、建造物100を作製することができる。この建造物100では、例えば、第1クランプ部材34Dが、外壁面11sに沿って位置し且つ太陽電池モジュール2の第1周縁部P1を挟持している状態にある。また、例えば、第2クランプ部材35Dが外壁面11sに沿って位置し且つ太陽電池モジュール2の第2周縁部P2を挟持している状態にある。このような構成が採用されれば、例えば、外壁部11に対する接着および穿孔が容易でない場合であっても、太陽電池モジュール2の第1周縁部P1を第1クランプ部材34Dで挟持し、太陽電池モジュール2の第1周縁部P1と逆側の第2周縁部P2を第2クランプ部材35Dで挟持することで、外壁部11に沿って太陽電池モジュール2を容易に設置することができる。
【0101】
ここでは、例えば、保持機構3Dを構成する第1クランプ部材34Dおよび第2クランプ部材35Dは、外壁面11sに沿って予め配置されていてもよい。この場合には、第1クランプ部材34Dおよび第2クランプ部材35Dは、例えば、外壁面11sに接着剤などで接着されてもよいし、外壁部11に締結部材などで固定されてもよい。
【0102】
<2-4.第5実施形態>
上記第1実施形態から上記第4実施形態において、外壁部11は、例えば、外壁面11sに沿って裏面2bが位置するように保持部3によって保持される太陽電池モジュール2の出力部211から出力される電気を受け付けるための部分(受電部ともいう)111を予め含んでいてもよい。これにより、例えば、外壁部11に沿って太陽電池モジュール2を設置することで、太陽電池モジュール2から建造物1に送電することができる状態にすることができる。出力部211には、例えば、太陽電池モジュール2における光電変換によって得られる電気を出力するための種々の構成が適用され得る。具体的には、例えば、出力部211には、正極の電極の端子(第1出力端子ともいう)211pおよび負極の電極の端子(第2出力端子ともいう)211nを有する構成が適用される。受電部111には、例えば、太陽電池モジュール2の出力部211から出力される電気を受け付けるための種々の構成が適用され得る。具体的には、受電部111には、例えば、第1出力端子211pが接続される端子(第1受電端子ともいう)111pおよび第2出力端子211nが接続される端子(第2受電端子ともいう)111nを有する構成が適用される。第1出力端子211pと第1受電端子111pとの接続および第2出力端子211nと第2受電端子111nとの接続を行う方式には、例えば、コネクタ式、ピン端子式、ボタン式およびスライド差し込み式の何れかの方式が適用され得る。コネクタ式は、コネクタを用いて接続を行う方式である。ピン端子式は、ピン端子を用いて接続を行う方式である。ボタン式は、凸状の端子と凹状の端子とを嵌合させることで接続を行う方式である。スライド差し込み式は、差し込みプラグをプラグ受け(コンセントともいう)に差し込むことで接続を行う方式である。ここで、例えば、第1受電端子111pの形状と第2受電端子111nの形状とが若干でも異なっており、第1出力端子211pの形状と第2出力端子211nの形状とが若干でも異なっていれば、第1受電端子111pと第1出力端子211pとを接続する作業および第2受電端子111nと第2出力端子211nとを接続する作業が容易となる。
【0103】
ここでは、例えば、
図25(a)および
図25(b)で示されるように、上述したステップSp1の準備工程において、外壁部11が電気を受け付ける受電部111を含むように建造物1を準備する。例えば、外壁部11を構成する外壁材を製造する際に、受電部111を外壁材に配置あるいは取り付けておく態様が考えられる。また、太陽電池モジュール2が電気を出力する出力部211を含むように太陽電池モジュール2を準備する。例えば、太陽電池モジュール2を製造する際に、出力部211を配置あるいは取り付けておく態様が考えられる。そして、ステップSp2の保持工程において、出力部211が受電部111に電力を出力することができる状態にする。出力部211が受電部111に電力を出力することができる状態には、例えば、
図26(a)および
図26(b)で示されるように、第1出力端子211pと第1受電端子111pとが接続されているとともに第2出力端子211nと第2受電端子111nとが接続されている状態が含まれる。これにより、建造物100が作製される。建造物100では、例えば、外壁部11が電気を受け付ける受電部111を含むとともに、太陽電池モジュール2が電気を出力する出力部211を含み、出力部211が受電部111に電力を出力することができる。このような構成が採用されれば、例えば、外壁部11に沿って太陽電池モジュール2を設置する際に、容易に太陽電池モジュール2が建造物1に電気を送ることができる状態にすることができる。
【0104】
ここで、例えば、第1出力端子211pと第1受電端子111pとが接続され、第2出力端子211nと第2受電端子111nとが接続される場合を想定する。この場合には、例えば、
図25(a)および
図25(b)で示されるように、上述したステップSp1の準備工程において、受電部111が、第1受電端子111pおよび第2受電端子111nを含むように建造物1を準備する。また、出力部211が第1出力端子211pおよび第2出力端子211nを含むように太陽電池モジュール2を準備する。これにより、例えば、受電部111が、第1出力端子211pが接続されるための第1受電端子111pと、第2出力端子211nが接続されるための第2受電端子111nと、を含むように、建造物1が準備される。ここでは、例えば、第1受電端子111pおよび第2受電端子111nには、それぞれ外壁部11に埋め込まれており且つ外壁面11sにおいて外部に露出している端子(適宜、受電端子と総称する)が適用される。また、例えば、第1出力端子211pおよび第2出力端子211nには、それぞれ太陽電池モジュール2の裏面2bにおいて外部に露出している端子(適宜、出力端子と総称する)が適用される。
【0105】
そして、例えば、
図26(a)および
図26(b)で示されるように、上述したステップSp2の保持工程において、第1受電端子111pと第1出力端子211pとを接続する。また、第2受電端子111nと第2出力端子211nとを接続する。これにより、建造物100が作製される。この建造物100では、例えば、受電部111が、第1受電端子111pと第2受電端子111nとを含むとともに、出力部211が、第1出力端子211pと第2出力端子211nとを含む。そして、例えば、第1受電端子111pと第1出力端子211pとが接続しており、第2受電端子111nと第2出力端子211nとが接続している状態にある。このような構成が採用されれば、例えば、外壁部11に沿って太陽電池モジュール2を設置する際に、太陽電池モジュール2と建造物1とを容易に接続することができる。
【0106】
図25(a)から
図26(b)の例では、上述したステップSp1の準備工程において準備される建造物1では、第1受電端子111pが、第1凹部R1を含み、第2受電端子111nが、第2凹部R2を含む。第1凹部R1および第2凹部R2のそれぞれは、導電性を有し且つ-X方向に凹んでいる状態にある。また、このとき準備される太陽電池モジュール2では、第1出力端子211pが、第1凸部D1を含み、第2出力端子211nが、第2凸部D2を含む。第1凸部D1および第2凸部D2のそれぞれは、導電性を有し且つ裏面2bから-X方向に突出している状態にある。別の観点から言えば、建造物1では、第1受電端子111pは、例えば、第1凸部D1が嵌合されることで該第1受電端子111pに第1出力端子211pを接続させるための第1凹部R1を含む。また、第2受電端子111nは、例えば、第2凸部D2が嵌合されることで該第2受電端子111nに第2出力端子211nを接続させるための第2凹部R2を含む。
【0107】
そして、上述したステップSp2の保持工程において、例えば、第1凹部R1に第1凸部D1を嵌合させることで第1受電端子111pと第1出力端子211pとを電気的に接続する。また、第2凹部R2に第2凸部D2を嵌合させることで第2受電端子111nと第2出力端子211nとを電気的に接続する。これにより、建造物100が作製される。この建造物100では、例えば、第1出力端子211pに含まれた第1凸部D1が、第1受電端子111pに含まれた第1凹部R1に嵌合されていることで、第1出力端子211pが第1受電端子111pに接続している状態にある。また、例えば、第2出力端子211nに含まれた第2凸部D2が、第2受電端子111nに含まれる第2凹部R2に嵌合されていることで、第2出力端子211nが第2受電端子111nに接続している状態にある。このような構成が採用されれば、例えば、外壁部11に沿って太陽電池モジュール2を設置する際に、太陽電池モジュール2と建造物1とを容易に接続することができる。
【0108】
ここで、例えば、
図25(a)から
図26(b)で示されるように、外壁部11に沿って複数の太陽電池モジュール2を設置する場合には、外壁部11は、複数の太陽電池モジュール2から出力される電気をそれぞれ受け付けるための複数の受電部111を含んでいてもよい。
図25(a)から
図26(b)の例では、上述したステップSp1の準備工程において準備される建造物1では、外壁部11が、電気をそれぞれ受け付ける2つの受電部111としての第1受電部1111および第2受電部1112を含む。このとき、第1受電部1111は、例えば、外壁面11sに沿って裏面2bが位置するように保持部3によって保持される第1太陽電池モジュール2Aの出力部211としての第1出力部2111から出力される電気を受け付けるための部分である。また、このとき、第2受電部1112は、例えば、外壁面11sに沿って裏面2bが位置するように保持部3によって保持される第2太陽電池モジュール2Bの出力部211としての第2出力部2112から出力される電気を受け付けるための部分である。換言すれば、外壁部11が、それぞれ外壁面11sに沿って裏面2bが位置するように保持部3によって保持される2つの太陽電池モジュール2の出力部211からそれぞれ出力される電気を受け付けるための第1受電部1111および第2受電部1112を含む。
図25(a)には、第1太陽電池モジュール2Aおよび第2太陽電池モジュール2Bのそれぞれが設置される領域の外縁が細い2点鎖線で描かれている。また、上述したステップSp1の準備工程において、第1太陽電池モジュール2Aおよび第2太陽電池モジュール2Bを含む2つの太陽電池モジュール2を準備する。このとき、第1太陽電池モジュール2Aは、電気を出力する第1出力部2111を有し、第2太陽電池モジュール2Bは、電気を出力する第2出力部2112を含む。
【0109】
そして、上述したステップSp2の保持工程において、外壁面11sに沿って第1太陽電池モジュール2Aの裏面2bが位置するように保持部3によって第1太陽電池モジュール2Aを保持させるとともに、外壁面11sに沿って第2太陽電池モジュール2Bの裏面2bが位置するように保持部3によって第2太陽電池モジュール2Bを保持させる。このとき、第1出力部2111が第1受電部1111に電力を出力することができるとともに、第2出力部2112が第2受電部1112に電力を出力することができる状態にする。これにより、建造物100が作製される。この建造物100は、例えば、第1太陽電池モジュール2Aおよび第2太陽電池モジュール2Bを含む2つの太陽電池モジュール2を備えている。ここでは、例えば、第1太陽電池モジュール2Aは、この第1太陽電池モジュール2Aの裏面2bが外壁面11sに沿って位置するように保持部3によって保持されている状態にある。また、例えば、第2太陽電池モジュール2Bは、この第2太陽電池モジュール2Bの裏面2bが外壁面11sに沿って位置するように保持部3によって保持されている状態にある。そして、例えば、第1出力部2111が、第1受電部1111に対して電力を出力することができ、第2出力部2112が、第2受電部1112に対して電力を出力することができる。
【0110】
さらに、例えば、
図27で示されるように、外壁部11が、電気をそれぞれ受け付ける第1受電部1111と第2受電部1112とを接続している状態にある配線部112を含んでいてもよい。
図27には、第1太陽電池モジュール2Aおよび第2太陽電池モジュール2Bのそれぞれが設置される領域の外縁が細い2点鎖線で描かれており、配線部112が太い破線で描かれている。配線部112は、例えば、外壁部11を構成する外壁材の外壁面11sとは逆側に位置していてもよいし、外壁部11内に位置していてもよい。
図27の例では、配線部112は、第1受電部1111の第1受電端子111pと、第2受電部1112の第2受電端子111nと、を接続している。配線部112は、例えば、ケーブルであってもよいし、線状もしくは帯状の金属などの導電体であってもよい。配線部112は、例えば、外壁部11を構成する外壁材を製造する際に、適宜取り付けられることで準備され得る。ここでは、例えば、上述したステップSp1の準備工程において準備される建造物1では、外壁部11は、第1受電部1111と、第2受電部1112と、第1受電部1111と第2受電部1112とを接続している状態にある配線部112と、を含む。このような構成が採用されれば、例えば、複数の太陽電池モジュール2の間を接続する配線が、外壁部11に位置していることで、風雨および日光に晒されにくく、劣化しにくい。また、例えば、外壁部11に沿って太陽電池モジュール2を設置する際に、複数の太陽電池モジュール2の間の接続が容易となる。
【0111】
また、例えば、
図28(a)および
図28(b)で示されるように、第1受電端子111pが第1フック部F1を有するとともに第2受電端子111nが第2フック部F2を有し、第1出力端子211pが第3フック部F3を有するとともに第2出力端子211nが第4フック部F4を有していてもよい。この場合には、例えば、外壁面11sに裏面2bを近接させた状態で、太陽電池モジュール2を外壁面11sに沿ってスライドさせ、第1フック部F1に第3フック部F3を嵌合させることで第1受電端子111pに第1出力端子211pを接続させるとともに、第2フック部F2に第4フック部F4を嵌合させることで第2受電端子111nに第2出力端子211nを接続させることができる。
図28(a)および
図28(b)の例では、第1フック部F1および第2フック部F2のそれぞれは、外壁面11sから+X方向に突出した後に+Z方向に突出しているL字状の断面を有する。このため、第1フック部F1は、-Z方向に凹んでいる溝状もしくは孔状の第1凹部R1を有し、第2フック部F2は、-Z方向に凹んでいる溝状もしくは孔状の第2凹部R2を有する。また、第3フック部F3および第4フック部F4のそれぞれは、裏面2bから-X方向に突出した後に-Z方向に突出しているL字状の断面を有する。このため、第3フック部F3は、-Z方向に突出している第1凸部D1を有し、第4フック部F4は、-Z方向に突出している第2凸部D2を有する。そして、例えば、外壁面11sに裏面2bを近接させた状態で、太陽電池モジュール2を外壁面11sに沿って重力方向(-Z方向)にスライドさせ、第1フック部F1の第1凹部R1に第3フック部F3の第1凸部D1を嵌合させるとともに、第2フック部F2の第2凹部R2に第4フック部F4の第2凸部D2を嵌合させることができる。これにより、例えば、第1受電端子111pに第1出力端子211pを接続させるとともに、第2受電端子111nに第2出力端子211nを接続することができる。ここで、例えば、第1凹部R1内に位置している板状のバネなどの弾性体によって第1凹部R1内で第1凸部D1が強固に保持されてもよいし、第2凹部R2内に位置している板状のバネなどの弾性体によって第2凹部R2内で第2凸部D2が強固に保持されてもよい。
【0112】
また、例えば、
図29(a)および
図29(b)で示されるように、外壁部11の外壁面11sに沿った部分に溝状の第3凹部R3を有する第5フック部F5を位置させ、第3凹部R3内に、太陽電池モジュール2の前面2fと裏面2bとを接続している端部Eを挿入することで、受電端子と出力端子とを接続させてもよい。ここでは、例えば、第3凹部R3内に位置している第1受電端子111pと、太陽電池モジュール2の裏面2bに位置している第1出力端子211pと、が接続され、第3凹部R3内に位置している第2受電端子111nと、太陽電池モジュール2の裏面2bに位置している第2出力端子211nと、が接続される構成が考えられる。
図29(a)および
図29(b)の例では、第5フック部F5は、例えば、Y軸方向に沿って位置している。第3凹部R3は、例えば、重力方向(-Z方向)に凹んでいるとともにY軸方向に沿って位置している溝状の凹部を含む。第5フック部F5は、Y軸方向に沿って、連続的に存在していてもよいし、複数の部分に分かれた状態で存在していてもよい。太陽電池モジュール2では、例えば、第1出力端子211pおよび第2出力端子211nのそれぞれは、裏面2bのうちの端部Eの近傍に位置している態様が考えられる。
図29(a)および
図29(b)の例では、太陽電池モジュール2のうちの重力方向(-Z方向)の下端にある端部Eの近傍に、第1出力端子211pおよび第2出力端子211nが位置している。ここで、例えば、第3凹部R3内に位置している板状のバネなどの弾性体によって第3凹部R3内で太陽電池モジュール2の前面2fが押されることで、第1受電端子111pに第1出力端子211pが押し付けられてもよいし、第2受電端子111nに第2出力端子211nが押し付けられてもよい。
【0113】
また、例えば、
図30(a)から
図31(b)で示されるように、外壁部11の受電端子と太陽電池モジュール2の出力端子とが別体の導電性を有する部材(接続部材ともいう)によって電気的に接続されてもよい。
図30(a)には、第1太陽電池モジュール2Aおよび第2太陽電池モジュール2Bのそれぞれが設置される領域の外縁が細い2点鎖線で描かれている。この場合には、例えば、
図30(a)および
図30(b)で示されるように、上述したステップSp1の準備工程において準備される建造物1では、外壁部11の受電部111が、第1凹部R1を有する第1受電端子111pを含むとともに、第2凹部R2を有する第2受電端子111nを含む。換言すれば、例えば、外壁部11の受電部111は、凹部を有する受電端子を含む。この段階では、例えば、受電部111に含まれた受電端子は、出力端子を貫通する接続部材が嵌合されるための凹部を有する。より具体的には、例えば、受電部111の第1受電端子111pは、第1出力端子211pを貫通する第1接続部材B1が嵌合されるための第1凹部R1を有する。例えば、受電部111の第2受電端子111nは、第2出力端子211nを貫通する第2接続部材B2が嵌合されるための第2凹部R2を有する。また、例えば、上述したステップSp1の準備工程において準備される太陽電池モジュール2では、出力部211が第1出力端子211pおよび第2出力端子211nを含む。換言すれば、例えば、太陽電池モジュール2の出力部211は、出力端子を含む。そして、例えば、
図31(a)および
図31(b)で示されるように、上述したステップSp2の保持工程において、第1接続部材B1によって第1出力端子211pを貫通させ且つこの第1接続部材B1を第1凹部R1に嵌合させることで第1受電端子111pと第1出力端子211pとを電気的に接続させる。また、例えば、第2接続部材B2によって第2出力端子211nを貫通させ且つこの第2接続部材B2を第2凹部R2に嵌合させることで第2受電端子111nと第2出力端子211nとを電気的に接続させる。換言すれば、例えば、接続部材によって出力端子を貫通させ且つこの接続部材を受電素子の凹部に嵌合させることで受電素子と出力端子とを電気的に接続させる。これにより、建造物100が作製される。この建造物100では、受電部111は、例えば、第1凹部R1を有する第1受電端子111pと、第2凹部R2を有する第2受電端子111nと、を含む。換言すれば、受電部111は、凹部を有する受電端子を含む。また、太陽電池モジュール2の出力部211は、例えば、第1出力端子211pと第2出力端子211nとを含む。換言すれば、出力部211は、例えば、出力端子を含む。また、建造物100は、例えば、第1出力端子211pを貫通しており且つ第1凹部R1に嵌合していることで第1受電端子111pと第1出力端子211pとを電気的に接続している状態にある第1接続部材B1を備えている。また、建造物100は、例えば、第2出力端子211nを貫通しており且つ第2凹部R2に嵌合していることで第2受電端子111nと第2出力端子211nとを電気的に接続している状態にある第2接続部材B2を備えている。換言すれば、例えば、建造物100は、出力端子を貫通しており且つ凹部に嵌合していることで受電端子と出力端子とを電気的に接続している状態にある接続部材を備えている。このような構成が採用されれば、例えば、外壁部11に沿って太陽電池モジュール2を設置する際に、太陽電池モジュール2と建造物1とを容易に接続することができる。
【0114】
ここで、第1凹部R1および第2凹部R2のそれぞれには、例えば、-X方向に凹んでいる孔部が適用される。第1接続部材B1および第2接続部材B2のそれぞれには、例えば、金属などで構成されたビス、ネジまたは釘などの導電性を有する締結部材が適用される。第1出力端子211pおよび第2出力端子211nのそれぞれには、例えば、板状の導電体またはX軸方向に貫通している貫通孔を有する導電体が適用される。第1出力端子211pの貫通孔は、例えば、第1接続部材B1が貫通される前から第1出力端子211pに存在していてもよいし、第1接続部材B1が貫通される際に第1出力端子211pに形成されてもよい。第2出力端子211nの貫通孔は、例えば、第2接続部材B2が貫通される前から第2出力端子211nに存在していてもよいし、第2接続部材B2が貫通される際に第2出力端子211nに形成されてもよい。ここで、例えば、第1凹部R1が、内周部に雌ネジ部分を有する場合には、第1接続部材B1には、雄ネジ部分を有する軸部と頭部とを有するビスまたはネジなどが適用される。この場合には、例えば、第1接続部材B1の雄ネジ部分が、第1出力端子211pを貫通しており且つ第1凹部R1の雌ネジ部分に嵌合することで、第1接続部材B1が、第1受電端子111pと第1出力端子211pとを電気的に接続することができる。また、例えば、第2凹部R2が、内周部に雌ネジ部分を有する場合には、第2接続部材B2には、雄ネジ部分を有する軸部と頭部とを有するビスまたはネジなどが適用される。この場合には、例えば、第2接続部材B2の雄ネジ部分が、第2出力端子211nを貫通しており且つ第2凹部R2の雌ネジ部分に嵌合することで、第2接続部材B2が、第2受電端子111nと第2出力端子211nとを電気的に接続することができる。
【0115】
また、例えば、太陽電池モジュール2と外壁部11との間における電気の出力および電気の受け付けが、無線給電(ワイヤレス給電)によって行われる構成が採用されてもよい。この場合には、例えば、
図32(a)および
図32(b)で示されるように、上述したステップSp1の準備工程において、受電部111が無線で電気の受け付け(受電ともいう)を行うことができる素子(受電素子ともいう)111rを含むように、建造物1を準備する。このとき、例えば、出力部211が無線で電気の送出(送電ともいう)を行うことができる素子(送電素子ともいう)211oを含むように、太陽電池モジュール2を準備する。この段階では、例えば、外壁部11の受電部111は、送電素子211oに近接している状態で送電素子211oから無線で電気を受け付けるための受電素子111rを含む。また、例えば、太陽電池モジュール2の出力部211は、無線で電気を送ることができる送電素子211oを含む。
図32(a)には、第1太陽電池モジュール2Aおよび第2太陽電池モジュール2Bのそれぞれが設置される領域の外縁が細い2点鎖線で描かれている。ここで、受電素子111rと送電素子211oとの間における無線給電の方式には、例えば、電磁誘導方式、磁界共鳴方式、電界結合方式および電波受信方式の何れの方式が適用されてもよい。受電素子111rは、例えば、外壁部11の内部に位置していてもよいし、外壁部11の外壁面11sにおいて外壁部11の外部に対して露出していてもよい。外壁部11に受電素子111rを配置する方法としては、例えば、外壁部11を構成する外壁材に穿孔によって孔部を形成し、この孔部に受電素子111rを配置した後に、コーキング材などで封止する方法などが考えられる。送電素子211oは、例えば、太陽電池モジュール2の内部に位置していればよい。具体的には、例えば、太陽電池モジュール2の前面保護層21と裏面保護層22との間に、送電素子211oが位置している態様が考えられる。
【0116】
そして、例えば、
図33(a)および
図33(b)で示されるように、上述したステップSp2の保持工程において、例えば、受電素子111rと送電素子211oとを近接させることで送電素子211oから受電素子111rに無線で送電ができる状態にする。これにより、建造物100が作製される。この建造物100では、例えば、外壁部11の受電部111は、無線で電気を受け付けることができる受電素子111rを含む。また、例えば、太陽電池モジュール2の出力部211は、無線で電気を送ることができる送電素子211oを含む。そして、例えば、送電素子211oは、受電素子111rに近接しており且つ受電素子111rに無線で送電することができる。このような構成が採用されれば、例えば、外壁部11に沿って太陽電池モジュール2を設置する際に、予め設定された位置に太陽電池モジュール2を配置することで、容易に太陽電池モジュール2から建造物1への送電ができる状態にすることができる。
【0117】
ここでも、
図32(a)で示されるように、外壁部11が、第1受電部1111と第2受電部1112とを接続している状態にある配線部112を含んでいてもよい。
図32(a)には、配線部112が太い破線で描かれている。この場合には、例えば、配線部112によって、第1受電部1111の受電素子111rと第2受電部1112の受電素子111rとが電気的に接続される。このような構成が採用されれば、例えば、複数の太陽電池モジュール2の間を接続する配線が、外壁部11に位置していることで、風雨および日光に晒されにくく、劣化しにくい。また、例えば、外壁部11に沿って太陽電池モジュール2を設置する際に、複数の太陽電池モジュール2の間の接続が容易となる。
【0118】
<2-5.第6実施形態>
上記第1実施形態から上記第5実施形態において、例えば、
図34(a)および
図34(b)で示されるように、上述したステップSp2の保持工程において、隣り合う2つの太陽電池モジュール2である第1太陽電池モジュール2Aおよび第2太陽電池モジュール2Bを、相互に電気的に接続させた状態で、それぞれ外壁部11の外壁面11sに沿って裏面2bが位置するように保持部3によって保持させてもよい。ここでは、例えば、ケーブルを用いることなく、第1太陽電池モジュール2Aと第2太陽電池モジュール2Bとを近接させた状態で相互に電気的に接続させることで、配線が外部に露出している箇所が低減され、配線の劣化が生じにくくなる。
【0119】
ここで、第1太陽電池モジュール2Aと第2太陽電池モジュール2Bとの間における第1から第5の接続態様について説明する。
【0120】
<<第1の接続態様>>
例えば、
図35(a)および
図35(b)で示されるように、第1太陽電池モジュール2Aの裏面2b上に位置している第1端子ボックスJ1と、第2太陽電池モジュール2Bの裏面2b上に位置している第2端子ボックスJ2と、が直接的に接続される態様が考えられる。
図35(a)および
図35(b)の例では、各太陽電池モジュール2における前面2fと裏面2bとを接続している側面2eのうち、+Y方向の端部に位置している側面を第1側面2e1とし、-Y方向の端部に位置している側面を第2側面2e2とする。この場合には、各太陽電池モジュール2は、互いに逆側に位置している第1側面2e1と第2側面2e2とを有する。
【0121】
ここでは、上述したステップSp1の準備工程において準備される第1太陽電池モジュール2Aおよび第2太陽電池モジュール2Bを含む2つの太陽電池モジュール2のそれぞれは、例えば、
図35(a)で示されるように、裏面2b上にそれぞれ位置している第1端子ボックスJ1と第2端子ボックスJ2とを有する。各太陽電池モジュール2では、第1端子ボックスJ1は、第1側面2e1に沿った裏面2b上に位置しており、第1電極の端子部(第1出力端子部ともいう)T1を有する。また、各太陽電池モジュール2では、第2端子ボックスJ2は、第2側面2e2に沿った裏面2b上に位置しており、第1電極とは逆の第2電極の端子部(第2出力端子部ともいう)T2を有する。例えば、第1電極が正極であれば、第2電極が負極であり、第1電極が負極であれば、第2電極が正極である。
【0122】
そして、例えば、
図35(b)で示されるように、上述したステップSp2の保持工程において、第1太陽電池モジュール2Aの第1側面2e1と第2太陽電池モジュール2Bの第2側面2e2とを近接させて、第1太陽電池モジュール2Aの第1出力端子部T1と第2太陽電池モジュール2Bの第2出力端子部T2とを接続させた状態にする。
図35(a)および
図35(b)の例では、第1出力端子部T1は、第1端子ボックスJ1のうちの耐候性を有する箱状の本体部において-Y方向に凹んでいる凹部内に位置している凹状の導電性を有する部分である。第2出力端子部T2は、第2端子ボックスJ2のうちの耐候性を有する箱状の本体部から-Y方向に突出している状態にある凸状の導電性を有する部分である。このため、例えば、凹状の第1出力端子部T1に凸状の第2出力端子部T2を嵌合させることで、第1出力端子部T1と第2出力端子部T2とが接続される。また、上述したステップSp2の保持工程においては、例えば、
図34(b)で示されたように、第1太陽電池モジュール2Aおよび第2太陽電池モジュール2Bのそれぞれの裏面2bが外壁面11sに沿って位置するように、第1太陽電池モジュール2Aおよび第2太陽電池モジュール2Bのそれぞれを保持部3によって保持させる。これにより、建造物100が作製される。
【0123】
この建造物100は、例えば、第1太陽電池モジュール2Aおよび第2太陽電池モジュール2Bを含む複数の太陽電池モジュール2を備えている。ここでは、例えば、第1太陽電池モジュール2Aの第1側面2e1は、第2太陽電池モジュール2Bの第2側面2e2と近接している状態にある。例えば、第1太陽電池モジュール2Aの第1出力端子部T1と第2太陽電池モジュール2Bの第2出力端子部T2とが接続されている状態にある。そして、例えば、第1太陽電池モジュール2Aおよび第2太陽電池モジュール2Bのそれぞれは、裏面2bが外壁面11sに沿って位置するように、保持部3によって保持されている状態にある。
【0124】
このような構成が採用されれば、例えば、外壁部11に沿って複数の太陽電池モジュール2を設置する際に、複数の太陽電池モジュール2の間の電気的な接続が容易であり且つ配線が劣化しにくくなる。
【0125】
ここでは、例えば、上述したステップSp2の保持工程において、さらに、第2太陽電池モジュール2Bと同様な構成を有する他の太陽電池モジュール2の第1出力端子部T1を、第1太陽電池モジュール2Aの第2出力端子部T2に接続させた状態にしてもよい。これにより、3つの太陽電池モジュール2を直接電気的に接続することができる。さらに、例えば、第1太陽電池モジュール2Aと第2太陽電池モジュール2Bとを交互に並べて、4つ以上の太陽電池モジュール2を電気的に接続してもよい。
【0126】
<<第2の接続態様>>
例えば、
図36(a)および
図36(b)で示されるように、第1太陽電池モジュール2Aの前面2f上に位置している第1端子ボックスJ1と、第2太陽電池モジュール2Bの前面2f上に位置している第2端子ボックスJ2と、が直接的に接続されてもよい。
図36(a)および
図36(b)の例でも、各太陽電池モジュール2における前面2fと裏面2bとを接続している側面2eのうち、+Y方向の端部に位置している側面を第1側面2e1とし、-Y方向の端部に位置している側面を第2側面2e2とする。この場合には、各太陽電池モジュール2は、互いに逆側に位置している第1側面2e1と第2側面2e2とを有する。
【0127】
ここでは、上述したステップSp1の準備工程において準備される第1太陽電池モジュール2Aおよび第2太陽電池モジュール2Bを含む2つの太陽電池モジュール2のぞれぞれは、例えば、
図36(a)で示されるように、前面2f上にそれぞれ位置している第1端子ボックスJ1と第2端子ボックスJ2とを有する。各太陽電池モジュール2では、第1端子ボックスJ1は、第1側面2e1に沿った前面2f上に位置しており、第1電極の第1出力端子部T1を有する。また、各太陽電池モジュール2では、第2端子ボックスJ2は、第2側面2e2に沿った前面2f上に位置しており、第1電極とは逆の第2電極の第2出力端子部T2を有する。例えば、第1電極が正極であれば、第2電極が負極であり、第1電極が負極であれば、第2電極が正極である。
【0128】
そして、例えば、
図36(b)で示されるように、上述したステップSp2の保持工程において、第1太陽電池モジュール2Aの第1側面2e1と第2太陽電池モジュール2Bの第2側面2e2とを近接させて、第1太陽電池モジュール2Aの第1出力端子部T1と第2太陽電池モジュール2Bの第2出力端子部T2とを接続させた状態にする。
図36(a)および
図36(b)の例では、第1出力端子部T1は、第1端子ボックスJ1のうちの耐候性を有する箱状の本体部において-Y方向に凹んでいる状態にある凹部内に位置している凹状の導電性を有する部分である。第2出力端子部T2は、第2端子ボックスJ2のうちの耐候性を有する箱状の本体部から-Y方向に突出している状態にある凸状の導電性を有する部分である。このため、例えば、凹状の第1出力端子部T1に凸状の第2出力端子部T2を嵌合させることで、第1出力端子部T1と第2出力端子部T2とが接続される。また、上述したステップSp2の保持工程においては、例えば、
図34(b)で示されたように、第1太陽電池モジュール2Aおよび第2太陽電池モジュール2Bのそれぞれの裏面2bが外壁面11sに沿って位置するように、第1太陽電池モジュール2Aおよび第2太陽電池モジュール2Bのそれぞれを保持部3によって保持させる。これにより、建造物100が作製される。
【0129】
この建造物100は、例えば、第1太陽電池モジュール2Aおよび第2太陽電池モジュール2Bを含む複数の太陽電池モジュール2を備えている。ここでは、例えば、第1太陽電池モジュール2Aの第1側面2e1は、第2太陽電池モジュール2Bの第2側面2e2と近接している状態にある。例えば、第1太陽電池モジュール2Aの第1出力端子部T1と第2太陽電池モジュール2Bの第2出力端子部T2とが接続されている状態にある。第1太陽電池モジュール2Aおよび第2太陽電池モジュール2Bのそれぞれは、裏面2bが外壁面11sに沿って位置するように、保持部3によって保持されている状態にある。
【0130】
このような構成が採用されても、例えば、外壁部11に沿って複数の太陽電池モジュール2を設置する際に、複数の太陽電池モジュール2の間の電気的な接続が容易であり且つ配線が劣化しにくくなる。
【0131】
ここでも、例えば、上述したステップSp2の保持工程において、さらに、第2太陽電池モジュール2Bと同様な構成を有する他の太陽電池モジュール2の第1出力端子部T1を、第1太陽電池モジュール2Aの第2出力端子部T2に接続させた状態にしてもよい。これにより、3つの太陽電池モジュール2を直接電気的に接続することができる。さらに、例えば、第1太陽電池モジュール2Aと第2太陽電池モジュール2Bとを交互に並べて、4つ以上の太陽電池モジュール2を電気的に接続してもよい。
【0132】
<<第3の接続態様>>
上記の第1の接続態様において、例えば、
図37(a)から
図38(c)で示されるように、上述したステップSp2の保持工程において、第1太陽電池モジュール2Aの第1側面2e1と第2太陽電池モジュール2Bの第2側面2e2とを近接させて、第1太陽電池モジュール2Aの第1出力端子部T1と第2太陽電池モジュール2Bの第2出力端子部T2とを連結部材C2で接続させた状態にしてもよい。
【0133】
図37(a)から
図38(c)の例では、2つの太陽電池モジュール2のそれぞれは、
図37(a)および
図38(a)で示されるように、裏面2b上にそれぞれ位置している第1端子ボックスJ1と第2端子ボックスJ2とを有する。ここで、第1端子ボックスJ1の第1出力端子部T1は、例えば、第1端子ボックスJ1において耐候性を有する箱状の本体部において+X方向に凹んでいる状態にある凹部内に位置している導電性を有する凹状の部分である。第2端子ボックスJ2の第2出力端子部T2は、例えば、第2端子ボックスJ2において耐候性を有する箱状の本体部において+X方向に凹んでいる状態にある凹部内に位置している導電性を有する凹状の部分である。そして、例えば、
図38(b)で示されるように、連結部材C2は、耐候性を有する箱状の本体部から+X方向にそれぞれ突出している凸状の第3端子部T3および凸状の第4端子部T4を有する。第3端子部T3および第4端子部T4は、例えば、それぞれ導電性を有しており、連結部材C2の耐候性を有する箱状の本体部内で相互に電気的に接続されている状態にある。ここでは、例えば、
図37(c)および
図38(c)で示されるように、凹状の第1出力端子部T1に、凸状の第3端子部T3を嵌合させるとともに、凹状の第2出力端子部T2に、凸状の第4端子部T4を嵌合させることで、第1出力端子部T1と第2出力端子部T2とが連結部材C2を介して電気的に接続される。
【0134】
ここで作製される建造物100は、例えば、第1太陽電池モジュール2Aおよび第2太陽電池モジュール2Bを含む複数の太陽電池モジュール2を備えている。ここでは、例えば、第1太陽電池モジュール2Aの第1側面2e1は、第2太陽電池モジュール2Bの第2側面2e2と近接している状態にある。また、例えば、第1太陽電池モジュール2Aの第1出力端子部T1と第2太陽電池モジュール2Bの第2出力端子部T2とが連結部材C2で電気的に接続されている状態にある。そして、例えば、第1太陽電池モジュール2Aおよび第2太陽電池モジュール2Bのそれぞれは、裏面2bが外壁面11sに沿って位置するように、保持部3によって保持されている状態にある。
【0135】
このような構成が採用されても、例えば、外壁部11に沿って複数の太陽電池モジュール2を設置する際に、複数の太陽電池モジュール2の間の電気的な接続が容易であり且つ配線が劣化しにくくなる。
【0136】
ここでは、例えば、上述したステップSp2の保持工程において、さらに、第2太陽電池モジュール2Bと同様な構成を有する他の太陽電池モジュール2の第1出力端子部T1と、第1太陽電池モジュール2Aの第2出力端子部T2とを連結部材C2によって電気的に接続させた状態にしてもよい。これにより、3つの太陽電池モジュール2を電気的に接続することができる。さらに、例えば、第1太陽電池モジュール2Aと第2太陽電池モジュール2Bとを交互に並べて、4つ以上の太陽電池モジュール2を3つ以上の連結部材C2によって電気的に接続してもよい。
【0137】
<<第4の接続態様>>
上記の第2の接続態様において、例えば、
図39(a)から
図40(c)で示されるように、上述したステップSp2の保持工程において、第1太陽電池モジュール2Aの第1側面2e1と第2太陽電池モジュール2Bの第2側面2e2とを近接させて、第1太陽電池モジュール2Aの第1出力端子部T1と第2太陽電池モジュール2Bの第2出力端子部T2とを連結部材C2で接続させた状態にしてもよい。
【0138】
図39(a)から
図40(c)の例では、2つの太陽電池モジュール2のそれぞれは、
図39(a)および
図40(a)で示されるように、前面2f上にそれぞれ位置している第1端子ボックスJ1と第2端子ボックスJ2とを有する。ここで、第1端子ボックスJ1の第1出力端子部T1は、例えば、第1端子ボックスJ1において耐候性を有する箱状の本体部において-X方向に凹んでいる状態にある凹部内に位置している導電性を有する凹状の部分である。第2端子ボックスJ2の第2出力端子部T2は、例えば、第2端子ボックスJ2において耐候性を有する箱状の本体部において-X方向に凹んでいる状態にある凹部内に位置している導電性を有する凹状の部分である。そして、例えば、
図40(b)で示されるように、連結部材C2は、耐候性を有する箱状の本体部から-X方向にそれぞれ突出している凸状の第3端子部T3および凸状の第4端子部T4を有する。第3端子部T3および第4端子部T4は、例えば、それぞれ導電性を有しており、連結部材C2の耐候性を有する本体部内で相互に電気的に接続されている状態にある。ここでは、例えば、
図39(c)および
図40(c)で示されるように、凹状の第1出力端子部T1に、凸状の第3端子部T3を嵌合させるとともに、凹状の第2出力端子部T2に、凸状の第4端子部T4を嵌合させることで、第1出力端子部T1と第2出力端子部T2とが連結部材C2を介して電気的に接続される。
【0139】
ここで作製される建造物100も、例えば、第1太陽電池モジュール2Aおよび第2太陽電池モジュール2Bを含む複数の太陽電池モジュール2を備えている。この建造物100では、例えば、第1太陽電池モジュール2Aの第1側面2e1は、第2太陽電池モジュール2Bの第2側面2e2と近接している状態にある。ここでは、例えば、第1太陽電池モジュール2Aの第1出力端子部T1と第2太陽電池モジュール2Bの第2出力端子部T2とが連結部材C2で電気的に接続されている状態にある。そして、例えば、第1太陽電池モジュール2Aおよび第2太陽電池モジュール2Bのそれぞれは、裏面2bが外壁面11sに沿って位置するように、保持部3によって保持されている状態にある。
【0140】
このような構成が採用されても、例えば、外壁部11に沿って複数の太陽電池モジュール2を設置する際に、複数の太陽電池モジュール2の間の電気的な接続が容易であり且つ配線が劣化しにくくなる。
【0141】
ここでも、例えば、上述したステップSp2の保持工程において、さらに、第2太陽電池モジュール2Bと同様な構成を有する他の太陽電池モジュール2の第1出力端子部T1と、第1太陽電池モジュール2Aの第2出力端子部T2とを連結部材C2によって電気的に接続させた状態にしてもよい。これにより、3つの太陽電池モジュール2を電気的に接続することができる。さらに、例えば、第1太陽電池モジュール2Aと第2太陽電池モジュール2Bとを交互に並べて、4つ以上の太陽電池モジュール2を3つ以上の連結部材C2によって電気的に接続してもよい。
【0142】
<<第5の接続態様>>
例えば、
図41(a)から
図42(b)で示されるように、第1太陽電池モジュール2Aの一部と、第2太陽電池モジュール2Bの一部と、を重ね合わせた部分において、第1太陽電池モジュール2Aと第2太陽電池モジュール2Bとを電気的に接続してもよい。
図41(a)から
図42(b)の例でも、各太陽電池モジュール2における前面2fと裏面2bとを接続している側面2eのうち、+Y方向の端部に位置している側面を第1側面2e1とし、-Y方向の端部に位置している側面を第2側面2e2とする。この場合には、各太陽電池モジュール2は、互いに逆側に位置している第1側面2e1と第2側面2e2とを有する。
【0143】
ここでは、上述したステップSp1の準備工程において準備される第1太陽電池モジュール2Aおよび第2太陽電池モジュール2Bを含む2つの太陽電池モジュール2は、例えば、
図41(a)および
図42(a)で示されるように、第1電極の端子部(第1出力端子部)T1と、第1電極とは逆の第2電極の端子部(第2出力端子部)T2と、をそれぞれ有する。各太陽電池モジュール2において、第1出力端子部T1は、第1側面2e1に沿った第1領域Ar1に位置している。各太陽電池モジュール2において、第2出力端子部T2は、第2側面2e2に沿った第2領域Ar2に位置している。例えば、第1電極が正極であれば、第2電極が負極であり、第1電極が負極であれば、第2電極が正極である。
図41(a)から
図42(b)の例では、各太陽電池モジュール2において、第1出力端子部T1は、前面2fにおいて+X方向に向けて露出しており、第2出力端子部T2は、裏面2bにおいて-X方向に向けて露出している。
【0144】
そして、例えば、
図41(b)および
図42(b)で示されるように、上述したステップSp2の保持工程において、第1太陽電池モジュール2Aの第1領域Ar1と第2太陽電池モジュール2Bの第2領域Ar2とを積層させて、第1太陽電池モジュール2Aの第1出力端子部T1と第2太陽電池モジュール2Bの第2出力端子部T2とを接続させた状態にする。ここでは、第1太陽電池モジュール2Aと第2太陽電池モジュール2Bとが積層された箇所において、第1出力端子部T1と第2出力端子部T2とが接続される。具体的には、例えば、第1出力端子部T1が+X方向に突出した凸部を有し、第2出力端子部T2が+X方向に凹んだ凹部を有する場合には、凸部と凹部とが嵌合するボタン式の接続によって、第1出力端子部T1と第2出力端子部T2とを接続させることができる。第1出力端子部T1と第2出力端子部T2との接続は、例えば、コネクタ式、ピン端子式またはスライド差し込み式などのその他の方式によって実現されてもよい。また、上述したステップSp2の保持工程では、例えば、
図34(b)で示されたように、第1太陽電池モジュール2Aおよび第2太陽電池モジュール2Bのそれぞれの裏面2bが外壁面11sに沿って位置するように、第1太陽電池モジュール2Aおよび第2太陽電池モジュール2Bのそれぞれを保持部3によって保持させる。これにより、建造物100が作製される。
【0145】
この建造物100は、例えば、第1太陽電池モジュール2Aおよび第2太陽電池モジュール2Bを含む2つの太陽電池モジュール2を備えている。ここでは、例えば、第1太陽電池モジュール2Aおよび第2太陽電池モジュール2Bのそれぞれは、第1領域Ar1に位置している第1出力端子部T1と、第2領域Ar2に位置している第2出力端子部T2と、を有し、裏面2bが外壁面11sに沿って位置するように保持部3によって保持されている状態にある。また、例えば、第1太陽電池モジュール2Aの第1領域Ar1は、第2太陽電池モジュール2Bの第2領域Ar2に積層されている状態で位置し、第1出力端子部T1は、第2出力端子部T2に接続している状態にある。
【0146】
このような構成が採用されると、例えば、外壁面11sに沿って複数の太陽電池モジュール2を設置する際に、複数の太陽電池モジュール2の間の接続が容易であり且つ配線が劣化しにくくなる。
【0147】
ここでは、例えば、上述したステップSp2の保持工程において、さらに、第2太陽電池モジュール2Bと同様な構成を有する他の太陽電池モジュール2の第1領域Ar1と第1太陽電池モジュール2Aの第2領域Ar2とを積層させて、第1太陽電池モジュール2Aの第2出力端子部T2と他の太陽電池モジュール2の第1出力端子部T1とを接続させた状態にしてもよい。これにより、3つの太陽電池モジュール2を直接電気的に接続することができる。また、さらに、第1太陽電池モジュール2Aと第2太陽電池モジュール2Bとを交互に並べて、4つ以上の太陽電池モジュール2を電気的に接続してもよい。
【0148】
また、ここでは、例えば、第1領域Ar1および第2領域Ar2に、バイパスダイオードDo1,Do2,Do3を適宜配置してもよい。このように、例えば、太陽電池モジュール2において、発電に寄与しない構成を第1領域Ar1および第2領域Ar2に配置すれば、外壁面11s上における単位面積当たりの発電量を向上させることができる。
【0149】
<3.その他>
上記第1実施形態では、例えば、締結部材3Aの押さえ部3hと外壁部11とが太陽電池モジュール2の挟持する際には、押さえ部3hと太陽電池モジュール2との間には、ワッシャーなどの他の部材が介在していてもよい。
【0150】
上記第1実施形態では、締結部材3Aに、例えば、ステープラのU字状(コの字状)の針など、その他の部材が適用されてもよい。U字状の針は、例えば、2本の軸部3aと、2本の軸部3aを連結している部分(連結部ともいう)と、を有する。この場合には、例えば、連結部が、押さえ部3hの役割を有する。
【0151】
上記第2実施形態では、例えば、太陽電池モジュール2は、裏面保護層22の裏面2bが、接着材3Bを介して外壁部11に接着されている。この場合には、外壁部11は、太陽電池モジュール2を支持している状態にある部材(支持部材ともいう)である。この外壁部11は、例えば、前面保護層21よりも硬い状態にある態様が考えられる。換言すれば、前面保護層21は、外壁部11よりも柔らかい状態にある態様が考えられる。ここで、前面保護層21が外壁部11よりも柔らかい状態は、例えば、前面保護層21が外壁部11よりも低い剛性を有する状態を含む。例えば、外壁部11が太陽電池モジュール2よりも高い剛性を有していれば、外壁部11は、太陽電池モジュール2の形状を維持するように太陽電池モジュール2を支持することができる。ここで、前面保護層21と外壁部11との間における相対的な柔らかさおよび硬さの関係については、例えば、前面保護層21および外壁部11のそれぞれを対象としたビッカース硬度計を用いたビッカース硬度の測定結果から算出および評価を行うことができる。また、例えば、建造物100から太陽電池モジュール2を取り外すとともに太陽電池モジュール2を分解して、前面保護層21および外壁部11を取り出し、前面保護層21および外壁部11のそれぞれについて、機械的試験法、共振法および超音波パルス法を用いて、前面保護層21と外壁部11との間における相対的な柔らかさおよび硬さの関係を算出および評価してもよい。ここで、外壁部11は、例えば、外壁材であればよい。機械的試験法には、例えば、試験片を用いた引張試験、ねじり試験および圧縮試験がある。ヤング率は、機械的試験法で得られる応力-ひずみ線図の傾きから容易に算出される。共振法では、試験片に機械的または電気的に強制振動を与えて、試験片の共振周波数(固有振動数)を計測し、この共振周波数からヤング率を計算することができる。また、強制振動には、縦振動、横振動および捻り振動があり、縦振動および横振動の共振周波数から試験片のヤング率が求まり、捻り振動の共振周波数から試験片の剛性率(横弾性係数)が求まる。超音波パルス法では、縦波用振動子および横波用振動子を用いて約1メガヘルツ(MHz)から20MHzの超音波パルスを試験片に伝播させ、試験片内を伝播する縦波および横波の伝播速度からヤング率および剛性率を計算することができる。
【0152】
ここで、例えば、第2充填材層242、裏面保護層22および接着材3Bのうちの1つ以上の層が、第1充填材層241よりも大きなヤング率を有していれば、太陽電池素子231と外壁部11との間の少なくとも1つの層の剛性が高まる。これにより、例えば、前面保護層21の素材がガラスよりも柔らかい樹脂である場合に、前面保護層21の第1面21fに強風に伴う飛来物などが衝突しても、太陽電池素子231と外壁部11との間に位置している部分が局所的な変形を生じにくい。その結果、例えば、太陽電池素子231には局所的な変形が生じにくくなり、太陽電池素子231にクラックが生じにくくなる。このため、例えば、樹脂などで構成される柔らかい前面保護層21を有する太陽電池モジュール2における耐衝撃性が高まり得る。よって、例えば、太陽電池モジュール2の軽量化を図るために前面保護層21を樹脂製の部材としても、第2充填材層242、裏面保護層22および接着材3Bのうちの1つ以上の層のヤング率を、第1充填材層241のヤング率よりも大きくすることで、太陽電池モジュール2の耐衝撃性を向上させることができる。したがって、例えば、太陽電池モジュール2における軽量化と耐衝撃性の向上とを図ることができる。
【0153】
ここでは、例えば、第2充填材層242のヤング率を、第1充填材層241のヤング率よりも大きくすることが考えられる。例えば、第1充填材層241の素材をEVAとし、第2充填材層242の素材をアイオノマーとすることで、第1充填材層241のヤング率よりも第2充填材層242のヤング率を大きくすることができる。このアイオノマーとしては、例えば、三井・ダウポリケミカル(株)社製のハイミラン(登録商標)などを採用することができる。また、このアイオノマーに、例えば、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーを適用してもよい。このエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーは、例えば、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体と金属化合物とを反応させることで取得され得る。このようにして、例えば、太陽電池素子231の外壁部11側において太陽電池素子231に接している第2充填材層242の剛性を高めることができる。これにより、例えば、前面保護層21の第1面21fに飛来物などが衝突しても、第2充填材層242が局所的な変形を生じにくい。その結果、例えば、太陽電池素子231には局所的な変形がより生じにくくなり、太陽電池素子231にクラックがより生じにくくなる。したがって、例えば、太陽電池モジュール2における耐衝撃性が高まり得る。
【0154】
また、ここでは、例えば、接着材3Bのヤング率を、第1充填材層241のヤング率よりも大きくすることが考えられる。例えば、第1充填材層241の素材をEVAとし、接着材3Bの素材を、2液を混合して使用するタイプ(2液混合タイプともいう)の接着剤とすることで、第1充填材層241のヤング率よりも接着材3Bのヤング率を大きくすることができる。このようにして、例えば、太陽電池素子231と外壁部11との間に位置している接着材3Bの剛性を高めることができる。これにより、例えば、前面保護層21の第1面21fに飛来物などが衝突しても、接着材3Bが局所的な変形を生じにくい。その結果、例えば、太陽電池素子231には局所的な変形が生じにくくなり、太陽電池素子231にクラックが生じにくくなる。したがって、例えば、太陽電池モジュール2における耐衝撃性が高まり得る。
【0155】
上述したように、太陽電池モジュール2では、太陽電池モジュール2の軽量化などを図るために、前面保護層21の素材として、例えば、ガラスの代わりに、樹脂が採用される。
【0156】
ところで、ここで、仮に前面保護層21にガラス製の基板(ガラス基板ともいう)を用いる場合を想定する。このガラス基板については、例えば、ガラス基板を作製する際に用いるロールの外周面における凹凸の影響で、ガラス基板の表面の粗さが大きくなり得る。例えば、このガラス基板の表面の算術平均粗さ(Ra)は、例えば、数μmから数百μm程度となる。また、太陽電池素子231については、例えば、半導体基板2310の第1素子面231f側の面が微細な凹凸構造(テクスチャ)を有することで、第1素子面231fの粗さがある程度大きくなり得る。この第1素子面231fの算術平均粗さ(Ra)は、例えば、100nmから数百nm程度となる。これに対して、例えば、前面保護層21の素材が樹脂であれば、前面保護層21の表面の粗さは、ガラス基板の表面の粗さよりも小さくなり得る。樹脂製の前面保護層21の表面の算術平均粗さ(Ra)は、例えば、数nmから数十nm程度となる。このため、例えば、前面保護層21の素材を、ガラスから樹脂に変更すれば、前面保護層21と第1充填材層241との接触面積が小さくなる。このため、例えば、前面保護層21と第1充填材層241との間で剥離が生じやすい。これにより、例えば、第1面21fに対する飛来物の衝突によって、前面保護層21と第1充填材層241との間で剥離が生じて、前面保護層21と第1充填材層241との間ですべりが生じやすく、太陽電池モジュール2の全体における剛性が低下し得る。その結果、例えば、前面保護層21の第1面21fに飛来物などが衝突すると、太陽電池素子231には局所的な変形が生じやすくなり、太陽電池素子231にクラックが生じやすく、太陽電池モジュール2における耐衝撃性の低下を招く場合がある。
【0157】
ここでは、例えば、前面保護層21と第1充填材層241との界面(第1界面ともいう)における粗さ(第1粗さともいう)が、第1充填材層241と太陽電池素子231との界面(第2界面ともいう)における粗さ(第2粗さともいう)よりも小さい態様が考えられる。ここで、高温高湿の環境に置かれる前後の太陽電池モジュール2のそれぞれを対象として、第1界面および第2界面について算術平均粗さ(Ra)を求めると、第1界面の算術平均粗さ(Ra)は、5nmから15nm程度であり、第2界面の算術平均粗さ(Ra)は、150nmから250nm程度であった。ここでは、各太陽電池モジュール2をXZ平面に沿って切断して得た切断面を対象として、電子顕微鏡(SEM)または光学顕微鏡を用いた撮影で画像を取得し、この画像を対象とした二値化などの画像処理によって第1界面および第2界面の断面形状を検出した上で算術平均粗さ(Ra)を算出した。ここで、例えば、前面保護層21と第1充填材層241との第1界面における第1粗さが、第1充填材層241と太陽電池素子231との第2界面における第2粗さよりも小さくなると、前面保護層21と第1充填材層241との接触面積が小さくなる。このため、例えば、前面保護層21の素材に樹脂を用いる場合には、前面保護層21の素材にガラスを用いる場合よりも、前面保護層21と第1充填材層241との間で剥離が生じやすくなり、太陽電池素子231が割れやすくなる。このような場合であっても、例えば、太陽電池素子231と外壁面11sとの間の少なくとも1つの層の剛性を高めることで、前面保護層21の第1面21fに対して飛来物などが衝突しても、太陽電池素子231には局所的な変形が生じにくくなり、太陽電池素子231にクラックが生じにくくなる。その結果、例えば、樹脂製の前面保護層21を有する太陽電池モジュール2における耐衝撃性を高めることができる。したがって、例えば、太陽電池モジュール2における軽量化と耐衝撃性の向上とを図ることができる。
【0158】
ここで、例えば、第2充填材層242および接着材3Bの少なくとも一方の層を、樹脂の中にこの樹脂よりも硬い多数の粒状体が分散された状態にある層としてもよい。これにより、例えば、第2充填材層242および接着材3Bの少なくとも一方の層のヤング率を、第1充填材層241のヤング率よりも大きくしてもよい。ここで、多数の粒状体には、例えば、絶縁性を有する無機酸化物もしくは有機物のフィラーなどが適用される。多数の粒状体の径は、例えば、数nmから数μm程度とされる。ここでは、例えば、第2充填材層242の素となる第2シート242sを作製する際に、樹脂に多数の粒状体を添加することで、第2充填材層242を構成する樹脂中に多数の粒状体を分散させることができる。このような構成が採用されれば、例えば、太陽電池素子231の直ぐ外壁部11側に位置している第2充填材層242の剛性を容易に高めることができる。これにより、例えば、樹脂製の前面保護層21を有する太陽電池モジュール2における耐衝撃性を容易に高めることができる。また、例えば、接着材3Bが樹脂製の層である場合には、接着材3Bの素となる樹脂に多数の粒状体を添加することで、接着材3Bを構成する樹脂中に多数の粒状体を分散させることができる。
【0159】
また、ここで、例えば、第1充填材層241を構成している樹脂の架橋率よりも、第2充填材層242を構成している樹脂の架橋率を大きくすることで、第1充填材層241のヤング率よりも第2充填材層242のヤング率を大きくしてもよい。この場合には、例えば、太陽電池モジュール2を製造する際に、前面保護層21よりも裏面保護層22がヒーター盤の近くに位置するようにラミネータのヒーター盤上に積層体20sを載置することが考えられる。これにより、例えば、第1シート241sよりも第2シート242sにおいて樹脂の架橋反応をより進行させることで、第1充填材層241を構成している樹脂の架橋率よりも、第2充填材層242を構成している樹脂の架橋率を大きくすることができる。ここで、例えば、接着材3Bが樹脂製の層である場合には、第1充填材層241を構成している樹脂の架橋率よりも、接着材3Bを構成している樹脂の架橋率を大きくすることで、第1充填材層241のヤング率よりも接着材3Bのヤング率を大きくしてもよい。換言すれば、例えば、第2充填材層242および接着材3Bのうちの少なくとも一方の層を構成している樹脂の架橋率が、第1充填材層241を構成している樹脂の架橋率よりも大きくてもよい。
【0160】
また、ここで、例えば、X軸方向において、第2充填材層242の厚さを第1充填材層241の厚さよりも小さくしてもよい。この場合には、例えば、前面保護層21の第1面21fに飛来物などが衝突しても、太陽電池素子231の直ぐ裏側に位置している第2充填材層242における凹み量が小さくなり得る。これにより、例えば、太陽電池素子231には局所的な変形が生じにくくなり、太陽電池素子231にクラックが生じにくくなる。その結果、例えば、太陽電池モジュール2における耐衝撃性を高めることができる。
【0161】
ところで、上記第1実施形態、上記第3実施形態および上記第4実施形態では、例えば、外壁部11と太陽電池モジュール2との間に、接着材が存在していない構成が想定される。この場合には、例えば、第2充填材層242および裏面保護層22のうちの1つ以上の層が、第1充填材層241よりも大きなヤング率を有していれば、太陽電池素子231と外壁部11との間の少なくとも1つの層の剛性が高まる。これにより、例えば、太陽電池モジュール2における耐衝撃性を高めることができる。
【0162】
上記第3実施形態では、例えば、保持部3として、それぞれ1つ以上の棒状部分を有する2つ以上の保持具3Cが採用されてもよい。
【0163】
上記第5実施形態では、例えば、上述したステップSp1の準備工程において、外壁部11の第1受電端子111pが第1凸部D1を含むように建造物1を準備し、第1出力端子211pが第1凹部R1を含むように太陽電池モジュール2を準備してもよい。ここでは、例えば、第1凸部D1が、外壁面11sにおいて+X方向に突出している形状を有し、第1凹部R1が、太陽電池モジュール2の裏面2bにおいて+X方向に凹んでいる形状を有する態様が考えられる。また、
図28(a)および
図28(b)の例において、第1フック部F1が、+Z方向に突出している第1凸部D1を有し、第3フック部F3が、+Z方向に凹んでいる第1凹部R1を有するものとみなすことも考えられる。この場合には、例えば、上述したステップSp2の保持工程において、第1出力端子211pの第1凹部R1と、第1受電端子111pの第1凸部D1と、を嵌合させることで、第1受電端子111pと第1出力端子211pとを電気的に接続してもよい。これによって作製される建造物100は、例えば、第1凸部D1を含む第1受電端子111pを有する外壁部11と、第1凹部R1を含む第1出力端子211pを有する太陽電池モジュール2と、を備えている。そして、この建造物100では、例えば、第1出力端子211pは、第1凹部R1と第1凸部D1とが嵌合していることで第1受電端子111pと接続している状態にある。また、例えば、外壁部11の第2受電端子111nが第2凸部D2を含むように建造物1を準備するとともに、第2出力端子211nが第2凹部R2を含むように太陽電池モジュール2を準備してもよい。ここでは、例えば、第2凸部D2が、外壁面11sにおいて+X方向に突出している形状を有し、第2凹部R2が、太陽電池モジュール2の裏面2bにおいて+X方向に凹んでいる形状を有する態様が考えられる。また、
図28(a)および
図28(b)の例において、第2フック部F2が、+Z方向に突出している第2凸部D2を有し、第4フック部F4が、+Z方向に凹んでいる第2凹部R2を有するものとみなすことも考えられる。この場合には、例えば、上述したステップSp2の保持工程において、第2出力端子211nの第2凹部R2と、第2受電端子111nの第2凸部D2と、を嵌合させることで、第2受電端子111nと第2出力端子211nとを電気的に接続してもよい。これによって作製される建造物100は、例えば、第2凸部D2を含む第2受電端子111nを有する外壁部11と、第2凹部R2を含む第2出力端子211nを有する太陽電池モジュール2と、を備えている。そして、この建造物100では、例えば、第2出力端子211nは、第2凹部R2と第2凸部D2とが嵌合していることで第2受電端子111nと接続している状態にある。
【0164】
上記各実施形態では、例えば、前面保護層21の素材に、ガラスが適用されてもよい。換言すれば、前面保護層21は、例えば、ガラスで構成された透光性を有する層であってもよい。これにより、例えば、太陽電池モジュール2においてガラス製の前面保護層21を用いることで、前面保護層21における耐候性および耐湿性を高めることができる。ここでは、例えば、前面保護層21を構成するガラスの厚さを薄くすることで、太陽電池モジュール2の軽量化を図ることが考えられる。ここで、例えば、前面保護層21の厚さを、第1充填材層241の厚さよりも薄くすることで、前面保護層21の薄型化を図ることが考えられる。例えば、前面保護層21の素材として、化学強化ガラスを採用し、前面保護層21の強度をある程度維持したままで、前面保護層21の厚さを0.7mm程度まで薄くすることが考えられる。この場合には、例えば、穿孔などによって前面保護層21に貫通孔を適宜設けておくことで、太陽電池モジュール2の厚さ方向において締結部材3A、保持具3C、第1接続部材B1または第2接続部材B2によって、太陽電池モジュール2を貫通させる態様が考えられる。
【0165】
上記各実施形態において、例えば、外壁部11を構成する外壁材の素材が、ガルバニウム鋼板などの金属系のサイディング素材であり、外壁部11を構成する外壁材が角波板などのように凹凸状の表面を有する場合を想定する。この場合に、例えば、建造物100の状態で、太陽電池モジュール2の裏面2bのうちの太陽電池素子231の-X方向に位置している部分が、外壁面11sの凸部に当接または近接するように位置していてもよい。換言すれば、例えば、-X方向に向けて建造物100を平面透視したときに、外壁面11sの凸部と太陽電池素子231とが重なるように位置していてもよい。このような構成が採用されれば、例えば、太陽電池素子231から金属系のサイディング素材への熱伝達および金属系のサイディング素材における熱伝導によって太陽電池素子231が冷却されやすくなる。その結果、例えば、太陽電池素子231における光電変換効率を高めることができるため、太陽電池モジュール2における光電変換効率が高まり得る。
【0166】
上記各実施形態において、例えば、外壁部11を構成する外壁材が角波板などのように凹凸状の表面を有する場合を想定する。この場合に、例えば、建造物100の状態で、太陽電池モジュール2の裏面2bのうちの隣り合う太陽電池素子231の間隙部分の-X方向に位置している部分が、外壁面11sの凸部に当接または近接するように位置していてもよい。換言すれば、例えば、-X方向に向けて建造物100を平面透視したときに、隣り合う太陽電池素子231の間隙部分と外壁面11sの凸部とが重なるように位置していてもよい。このような構成が採用されれば、例えば、太陽電池モジュール2の前面2fに風圧などの押圧力または衝撃が加わっても、太陽電池素子231に対する外壁面11sの凸部による応力が高まりにくい。その結果、例えば、太陽電池素子231が割れにくい。また、例えば、外壁面11sの凹部と太陽電池モジュール2の裏面2bとの間における通気によって、太陽電池素子231が冷却されやすくなる。したがって、例えば、太陽電池モジュール2の強度などの耐久性を高めつつ、太陽電池モジュール2における光電変換効率を高めることができる。
【0167】
上記各実施形態において、例えば、外壁部11を構成する外壁材が角波板などのように凹凸状の表面を有する場合を想定する。この場合に、例えば、建造物100の状態で、外壁面11sの凸部が延びている方向(凸部の長手方向ともいう)と、太陽電池素子231の多数本の第1集電電極2312の長手方向(フィンガー電極の長手方向ともいう)と、が略平行であってもよい。このような構成が採用されれば、例えば、凸部の長手方向とフィンガー電極の長手方向とが略直交する構成と比較して、-X方向に向けて建造物100を平面透視したときに、外壁面11sの凹部と、太陽電池素子231の多数本の第1集電電極2312と、が重なり合う部分が増加する。これにより、例えば、外壁面11sの凹部と太陽電池モジュール2の裏面2bとの間における通気によって、各太陽電池素子231におけるより広い範囲が効率良く冷却され得る。したがって、例えば、太陽電池モジュール2における光電変換効率を高めることができる。
【0168】
上記各実施形態では、例えば、工場で製造された外壁材などを含む複数の部材を組み合わせて建造物1を建造する場合には、外壁材を製造する工程で、外壁材のうちの外壁面11sとなる面に沿って保持部3によって太陽電池モジュール2を保持させた状態にしてもよい。例えば、保持部3が接着材3Bである場合には、太陽電池モジュール2の前面2fが重力方向を向くようにヒーター上に太陽電池モジュール2を載置し、さらに太陽電池モジュール2の裏面2b上に配した接着材3Bの上に外壁材を載置した状態で加熱処理を行うことで、太陽電池モジュール2と一体的に構成された外壁材を製造することができる。
【0169】
上記各実施形態では、建造物1の外壁面11sは、例えば、水平方向を向いているものに限れず、水平面に対して傾斜している方向を向いていてもよい。
【0170】
上記各実施形態では、建造物1は、例えば、橋脚、橋梁、擁壁、防音壁、防波堤、石垣、ダムおよび船舶などの人工的に建造された物一般が含まれてもよい。
【0171】
上記各実施形態および各種変形例をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。
【0172】
ところで、2015年9月の国連サミットにおいて採択された17の国際目標として、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」がある。各実施形態および各種変形例に係る太陽電池モジュール2の設置方法および建造物1,100は、このSDGsの17の目標のうち、例えば「7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに」、「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」、および「11.住み続けられるまちづくりを」の目標などの達成に貢献し得る。
【符号の説明】
【0173】
1,100 建造物
11 外壁部
111 受電部
1111 第1受電部
1112 第2受電部
111n 第2受電端子
111p 第1受電端子
111r 受電素子
112 配線部
11a 第1層
11b 第2層
11bs 外壁裏面
11c 充填材
11h 孔部
11s 外壁面
16 柱部
2 太陽電池モジュール
21 前面保護層
211 出力部
2111 第1出力部
2112 第2出力部
211n 第2出力端子
211o 送電素子
211p 第1出力端子
22 裏面保護層
23 太陽電池部
231 太陽電池素子
24 充填材層
241 第1充填材層
242 第2充填材層
2A 第1太陽電池モジュール
2B 第2太陽電池モジュール
2b 裏面
2e 側面
2e1 第1側面
2e2 第2側面
2f 前面
3 保持部
311C,312C 棒状部分
31B 第1の接着材
32B 第2の接着材
32C 第1保持具
33C 第2保持具
34D 第1クランプ部材
35D 第2クランプ部材
3A 締結部材
3B 接着材
3C 保持具
3D 保持機構
3a 軸部
3h 押さえ部
Ar1 第1領域
Ar2 第2領域
B1 第1接続部材
B2 第2接続部材
C2 連結部材
D1 第1凸部
D2 第2凸部
E1 第1端部
E2 第2端部
G1 第1溝部
G2 第2溝部
P1 第1周縁部
P2 第2周縁部
R1 第1凹部
R2 第2凹部
R3 第3凹部
T1 第1出力端子部
T2 第2出力端子部
T3 第3端子部
T4 第4端子部
【手続補正書】
【提出日】2024-05-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)外壁部を有する建造物、および前面と該前面の逆側に位置している裏面とを有する太陽電池モジュールを準備する工程と、
(b)前記外壁部の外壁面に沿って前記裏面が位置するように、保持部によって前記太陽電池モジュールを保持させる工程と、を有し、
前記保持部が、1つ以上の保持具を含み、
前記工程(a)において、前記1つ以上の保持具が、前記外壁面から突出している状態にあるように、前記建造物を準備し、
前記工程(b)において、前記1つ以上の保持具に前記太陽電池モジュールを保持させ、
前記1つ以上の保持具は、棒状部分を含み、
前記工程(a)において、前記棒状部分が、前記外壁面から突出している状態にあるように、前記建造物を準備し、
前記工程(b)において、前記外壁面に沿って前記裏面が位置するように前記太陽電池モジュールを配置して、前記棒状部分を折り曲げることで、前記棒状部分が前記外壁面と前記太陽電池モジュールを挟持している状態にする、太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項2】
請求項1に記載の太陽電池モジュールの設置方法であって、
前記棒状部分は割ピンからなる、太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の太陽電池モジュールの設置方法であって、
前記工程(b)において、前記外壁面に沿って前記裏面が位置するように前記太陽電池モジュールを配置する際に、前記棒状部分によって前記太陽電池モジュールを貫通させて、前記棒状部分を折り曲げることで、前記棒状部分が前記外壁面と前記太陽電池モジュールを挟持している状態にする、太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の太陽電池モジュールの設置方法であって、
前記工程(b)において、前記外壁面に沿って前記裏面が位置するように前記太陽電池モジュールを配置する際に、前記棒状部分によって前記太陽電池モジュールを貫通させることなく、前記棒状部分を折り曲げることで、前記棒状部分が前記外壁面と前記太陽電池モジュールを挟持している状態にする、太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項5】
外壁部と、
前面と該前面の逆側に位置している裏面とを有する太陽電池モジュールと、
前記外壁部の外壁面に沿って前記裏面が位置するように前記太陽電池モジュールを保持している状態にある保持部と、を備えており、
前記保持部は、前記外壁面から突出している状態にある1つ以上の保持具を含み、
前記太陽電池モジュールは、前記1つ以上の保持具に保持されている状態にあり、
前記1つ以上の保持具は、棒状部分を含み、
該棒状部分は、前記外壁面から突出しており且つ折れ曲がっていることで前記外壁面と前記太陽電池モジュールを挟持している状態にある、建造物。
【請求項6】
請求項5に記載の建造物であって、
前記棒状部分は割ピンからなる、建造物。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の建造物であって、
前記棒状部分は、前記太陽電池モジュールを貫通している状態にある、建造物。
【請求項8】
請求項5または請求項6に記載の建造物であって、
前記棒状部分は、前記太陽電池モジュールを貫通していない状態にある、建造物。
【請求項9】
外壁部と、
前面と該前面の逆側に位置している裏面とを有する太陽電池モジュールを、前記外壁部の外壁面に沿って前記裏面が位置するように保持するための保持部と、を備えており、
前記保持部は、前記外壁面から突出している状態にある1つ以上の保持具を含み、
前記1つ以上の保持具のそれぞれは、前記外壁面から突出している状態にあり、折り曲げられることで前記外壁部の外壁面に沿って前記裏面を位置させた前記太陽電池モジュールを前記外壁面と挟持するための棒状部分を含む、建造物。
【請求項10】
請求項9に記載の建造物であって、
前記棒状部分は割ピンからなる、建造物。
【請求項11】
(a)外壁部を有する建造物、および前面と該前面の逆側に位置している裏面とを有する太陽電池モジュールを準備する工程と、
(b)前記外壁部の外壁面に沿って前記裏面が位置するように、保持部によって前記太陽電池モジュールを保持させる工程と、を有し、
前記保持部が、1つ以上の保持具を含み、
前記工程(a)において、前記1つ以上の保持具が、前記外壁面から突出している状態にあるように、前記建造物を準備し、
前記工程(b)において、前記1つ以上の保持具に前記太陽電池モジュールを保持させ、
前記1つ以上の保持具は、第1保持具と、第2保持具と、を含み、
前記工程(a)において、前記第1保持具および前記第2保持具のそれぞれが前記外壁面に沿った第1方向を長手方向として有し且つ前記外壁面から突出しているとともに、前記第1保持具と前記第2保持具とが前記外壁面に沿った前記第1方向に直交する第2方向において対向している状態にあり、前記第1保持具が前記第2保持具に対向している部分に前記第1方向に沿った第1溝部を有し、前記第2保持具が前記第1保持具に対向している部分に前記第1方向に沿った第2溝部を有するように、前記建造物を準備し、
前記工程(a)において、前記第1保持具および前記第2保持具のそれぞれは、前記外壁部を構成する複数の外壁材を平面的に組み合わせる際に、前記外壁部を貫通するように配置され、
前記工程(a)において、前記太陽電池モジュールが、前記前面と前記裏面とを接続しており且つ互いに平行な第1端部および第2端部を含むように、前記太陽電池モジュールを準備し、
前記工程(b)において、前記第1方向に沿って、前記第1溝部に前記第1端部を挿入するとともに前記第2溝部に前記第2端部を挿入することで、前記第1保持具および前記第2保持具によって前記太陽電池モジュールを保持させる、太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項12】
外壁部と、
前面と該前面の逆側に位置している裏面とを有する太陽電池モジュールを、前記外壁部の外壁面に沿って前記裏面が位置するように保持するための保持部と、を備えており、
前記保持部は、前記外壁面から突出している状態にある1つ以上の保持具を含み、
前記1つ以上の保持具は、第1保持具と、第2保持具と、を含み、
前記第1保持具および前記第2保持具は、前記外壁面に沿った第1方向を長手方向としてそれぞれ有するとともに、前記外壁面に沿った前記第1方向に直交する第2方向において対向しており且つそれぞれ前記外壁面から突出している状態にあり、
前記第1保持具は、前記第2保持具に対向している部分に前記第1方向に沿った第1溝部を有し、
前記第2保持具は、前記第1保持具に対向している部分に前記第1方向に沿った第2溝部を有し、
前記第1保持具および前記第2保持具のそれぞれは、前記外壁部を貫通している状態にある、建造物。
【請求項13】
請求項12に記載の建造物であって、
前記第1保持具および前記第2保持具のそれぞれは、前記外壁部に固定されている、建造物。
【請求項14】
請求項12または請求項13に記載の建造物であって、
前記外壁部は、前記外壁面に沿って前記裏面が位置するように前記保持部によって保持される前記太陽電池モジュールの出力部から出力される電気を受け付けるための受電部を含む、建造物。
【請求項15】
請求項14に記載の建造物であって、
前記外壁部は、それぞれ前記外壁面に沿って前記裏面が位置するように前記保持部によって保持される第1太陽電池モジュールと第2太陽電池モジュールとを含む2つの前記太陽電池モジュールのそれぞれの出力部から出力される電気を受け付けるための第1受電部および第2受電部と、前記第1受電部と前記第2受電部とを接続している状態にある配線部と、を含む、建造物。
【請求項16】
請求項14に記載の建造物であって、
前記出力部は、出力端子を含み、
前記受電部は、前記出力端子が接続されるための受電端子を含む、建造物。
【請求項17】
請求項16に記載の建造物であって、
前記出力端子は、凸部を含み、
前記受電端子は、前記凸部が嵌合されることで該受電端子に前記出力端子を接続させるための凹部を含む、建造物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
太陽電池モジュールの設置方法の一態様は、工程(a)と工程(b)とを有する。前記工程(a)において、外壁部を有する建造物を準備するとともに、前面と該前面の逆側に位置している裏面とを有する太陽電池モジュールを準備する。前記工程(b)において、前記外壁部の外壁面に沿って前記裏面が位置するように、保持部によって前記太陽電池モジュールを保持させる。前記保持部が、1つ以上の保持具を含む。前記工程(a)において、前記1つ以上の保持具が、前記外壁面から突出している状態にあるように、前記建造物を準備する。前記工程(b)において、前記1つ以上の保持具に前記太陽電池モジュールを保持させる。前記1つ以上の保持具は、棒状部分を含む。前記工程(a)において、前記棒状部分が、前記外壁面から突出している状態にあるように、前記建造物を準備する。前記工程(b)において、前記外壁面に沿って前記裏面が位置するように前記太陽電池モジュールを配置して、前記棒状部分を折り曲げることで、前記棒状部分が前記外壁面と前記太陽電池モジュールを挟持している状態にする。
太陽電池モジュールの設置方法の一態様は、工程(a)と工程(b)とを有する。前記工程(a)において、外壁部を有する建造物を準備するとともに、前面と該前面の逆側に位置している裏面とを有する太陽電池モジュールを準備する。前記工程(b)において、前記外壁部の外壁面に沿って前記裏面が位置するように、保持部によって前記太陽電池モジュールを保持させる。前記保持部が、1つ以上の保持具を含む。前記工程(a)において、前記1つ以上の保持具が、前記外壁面から突出している状態にあるように、前記建造物を準備する。前記工程(b)において、前記1つ以上の保持具に前記太陽電池モジュールを保持させる。前記1つ以上の保持具は、第1保持具と、第2保持具と、を含む。前記工程(a)において、前記第1保持具および前記第2保持具のそれぞれが前記外壁面に沿った第1方向を長手方向として有し且つ前記外壁面から突出しているとともに、前記第1保持具と前記第2保持具とが前記外壁面に沿った前記第1方向に直交する第2方向において対向している状態にあり、前記第1保持具が前記第2保持具に対向している部分に前記第1方向に沿った第1溝部を有し、前記第2保持具が前記第1保持具に対向している部分に前記第1方向に沿った第2溝部を有するように、前記建造物を準備する。前記工程(a)において、前記第1保持具および前記第2保持具のそれぞれは、前記外壁部を構成する複数の外壁材を平面的に組み合わせる際に、前記外壁部を貫通するように配置される。前記工程(a)において、前記太陽電池モジュールが、前記前面と前記裏面とを接続しており且つ互いに平行な第1端部および第2端部を含むように、前記太陽電池モジュールを準備する。前記工程(b)において、前記第1方向に沿って、前記第1溝部に前記第1端部を挿入するとともに前記第2溝部に前記第2端部を挿入することで、前記第1保持具および前記第2保持具によって前記太陽電池モジュールを保持させる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
建造物の一態様は、外壁部と、太陽電池モジュールと、保持部と、を備えている。前記太陽電池モジュールは、前面と該前面の逆側に位置している裏面とを有する。前記保持部は、前記外壁部の外壁面に沿って前記裏面が位置するように前記太陽電池モジュールを保持している状態にある。前記保持部は、前記外壁面から突出している状態にある1つ以上の保持具を含む。前記太陽電池モジュールは、前記1つ以上の保持具に保持されている状態にある。前記1つ以上の保持具は、棒状部分を含む。該棒状部分は、前記外壁面から突出しており且つ折れ曲がっていることで前記外壁面と前記太陽電池モジュールを挟持している状態にある。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
建造物の一態様は、外壁部と、前面と該前面の逆側に位置している裏面とを有する太陽電池モジュールを、前記外壁部の外壁面に沿って前記裏面が位置するように保持するための保持部と、を備えている。前記保持部は、前記外壁面から突出している状態にある1つ以上の保持具を含む。前記1つ以上の保持具のそれぞれは、前記外壁面から突出している状態にあり、折り曲げられることで前記外壁部の外壁面に沿って前記裏面を位置させた前記太陽電池モジュールを前記外壁面と挟持するための棒状部分を含む。
建造物の一態様は、外壁部と、前面と該前面の逆側に位置している裏面とを有する太陽電池モジュールを、前記外壁部の外壁面に沿って前記裏面が位置するように保持するための保持部と、を備えている。前記保持部は、前記外壁面から突出している状態にある1つ以上の保持具を含む。前記1つ以上の保持具は、第1保持具と、第2保持具と、を含む。前記第1保持具および前記第2保持具は、前記外壁面に沿った第1方向を長手方向としてそれぞれ有するとともに、前記外壁面に沿った前記第1方向に直交する第2方向において対向しており且つそれぞれ前記外壁面から突出している状態にある。前記第1保持具は、前記第2保持具に対向している部分に前記第1方向に沿った第1溝部を有する。前記第2保持具は、前記第1保持具に対向している部分に前記第1方向に沿った第2溝部を有する。前記第1保持具および前記第2保持具のそれぞれは、前記外壁部を貫通している状態にある。