(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096309
(43)【公開日】2024-07-12
(54)【発明の名称】受付装置
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20240705BHJP
B65G 17/20 20060101ALI20240705BHJP
A47G 25/02 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
B65G1/137 A
B65G17/20 A
A47G25/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024074480
(22)【出願日】2024-05-01
(62)【分割の表示】P 2022003697の分割
【原出願日】2020-02-06
(31)【優先権主張番号】P 2019020121
(32)【優先日】2019-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)平成31年3月1日に、リッツクリーニング仲池上店にて公開 (2)平成31年3月1日に、リッツクリーニングココローズ店にて公開 (3)平成31年3月1日に、第一ドライ高須店にて公開 (4)平成31年3月1日に、クリーニングぴいぷるTauT阪急洛西口店にて公開 (5)平成31年3月4日に、リッツクリーニングサザンプラザ加古川店にて公開 (6)平成31年3月19日に、ホームドライ徳益店にて公開 (7)令和1年5月15日に、ハクトウ健軍店にて公開 (8)令和1年8月5日に、リッツクリーニング桜田西店にて公開 (9)令和1年9月7日に、リッツクリーニング南高井店にて公開 (10)令和1年12月11日に、ムサシノクリーニング所沢工場店にて公開 (11)令和1年12月20日に、大佛クリーニング東小金井店にて公開 (12)令和1年12月25日に、クリーニングAll Right井手店にて公開
(71)【出願人】
【識別番号】519043132
【氏名又は名称】株式会社リプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 昭仁
(72)【発明者】
【氏名】山田 聡一
(57)【要約】
【課題】保管及び受渡しを無人で行う物品保管システム及び物品の保管方法を提供すること。
【解決手段】物品保管システムは、コンベアレールと、物品を保持する吊り具を吊り下げる第1から第n開口部(nは自然数)が設けられ、コンベアレールに沿って可動するコンベアラックと、第1から第n開口部のうち第k開口部(1≦k≦n)に吊り下げられた吊り具に付された第k識別情報を読み取る第1センサーと、第k開口部と第k識別情報とを紐付けして記憶する制御装置と、を含む。また、物品保管システムは、さらに、利用者識別情報を読み取る第2センサーを含み、利用者識別情報が、制御装置に記憶された第k識別情報と一致する場合、第k開口部がコンベアレールの第2位置で停止するようにコンベアラックを移動させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベアレールと、
物品を保持する吊り具を吊り下げる第1から第n開口部(nは自然数)が設けられ、前記コンベアレールに沿って移動するコンベアラックと、
前記第1から第n開口部のうち前記第k開口部(1≦k≦n)に吊り下げられた吊り具に付された第k識別情報を読み取る第1センサーと、
前記第k開口部と前記第k識別情報とを紐付けして記憶する制御装置と、を含む物品保管システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の引取り、保管、及び受渡しを無人で行う物品保管システムに関する。また、本発明は、クリーニングサービスの提供システム及びその提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人が応対して洗濯物の引取り(受付)及び受渡しを行うクリーニング店舗の場合、クリーニング利用者はクリーニング店舗の営業時間内に来店する必要があるが、クリーニング利用者は必ずしも営業時間内に来店できるとは限らないため、クリーニング利用者の多くは不便を感じていた。また、クリーニング店舗においても、本来のクリーニング業務だけでなく、洗濯物の引取り及び受渡しにも人手が必要になるなど、人材不足が恒常化していた。
【0003】
そのため、クリーニング利用者の洗濯物の引取り及び受渡しを無人化できる設置型クリーニングボックス(クリーニングロッカー)が提案されている(例えば、特許文献1)。この設置型クリーニングボックスによるクリーニングサービスでは、クリーニング利用者は、洗濯物をロッカーに投函する。クリーニング業者は、ロッカーの洗濯物を回収してクリーニングを行い、クリーニングされた洗濯物(商品)を再びロッカーに入れて保管する。ロッカーは24時間利用することができるため、クリーニング利用者は、任意の時間に商品をロッカーから取り出すことができるとともに、クリーニング業者は、少なくとも洗濯物の引取り及び商品の受渡しで直接応対する必要はない。
【0004】
しかしながら、設置型クリーニングボックスによるクリーニングサービスでは、ロッカーを設置する場所が必要であるとともに、商品を保管できる数はロッカーの数に限定される。すなわち、クリーニング店舗での対応とは異なり、多くの洗濯物を取り扱うことは難しい。さらに、クリーニング利用者が商品を受け取りに来ない場合には、そのロッカーを使用することができないだけでなく、余分な維持費も発生することになる。
【0005】
そのため、クリーニング店舗内の保管場所を利用したクリーニングサービスの無人受渡しシステムが提案されている(例えば、特許文献2)。このシステムでは、洗濯物の受付や商品の受渡しは無人としながら、クリーニング店舗内での商品の保管が可能なため、設置型クリーニングボックスと異なり、新たな設置場所を必要とせず、多くの商品を保管することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9-150000号公報
【特許文献2】特開2004-178282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の無人化システムでは、商品の保管方法においては、商品を吊り下げるハンガーの位置と商品の管理番号をクリーニング業者自身で入力する必要があり、入力ミスによって商品の取違いがあるなど商品の受渡しに支障が出ていた。さらに、商品の受渡しにおいても、ピッキングマシーンを利用して無人化するものの、ピッキングマシーンは調整が難しく、商品が落下する懸念があるなど、必ずしもクリーニング業者にとって利用しやすいシステムではなかった。また、受付での洗濯物の採寸作業や、受渡し後の商品袋詰め作業はクリーニング利用者自らが行う必要があるなど、クリーニング利用者においても利用しやすいシステムではなかった。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑み、物品の引取り、保管及び受渡しを無人で行う物品保管システム及び物品の保管方法を提供することを課題の一つとする。また、本発明は、洗濯物の受付若しくはクリーニング後の商品の保管又は受渡しにおいて、利便性や作業効率が向上したクリーニングサービスの提供システム及びその提供方法を提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態に係る物品保管システムは、コンベアレールと、物品を保持する吊り具を吊り下げる第1から第n開口部(nは自然数)が設けられ、コンベアレールに沿って可動するコンベアラックと、第1から第n開口部のうち第k開口部(1≦k≦n)に吊り下げられた吊り具に付された第k識別情報を読み取る第1センサーと、第k開口部と第k識別情報とを紐付けして記憶する制御装置と、を含む。
【0010】
また、本発明の一実施形態に係る物品の保管方法は、物品を保持する吊り具を吊り下げる第1から第n開口部(nは自然数)が設けられたコンベアラックを、コンベアレールに沿って移動させ、コンベアラックを移動させながら、第1センサーが、第k開口部(1≦k≦n)に吊り下げられた吊り具に付された第k識別情報を読み取り、
第k開口部と第k識別情報とを紐付して記憶する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本明細書の一実施形態に係るクリーニングサービスの提供システムの斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るクリーニングサービスの提供システムの概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るクリーニングサービスの提供システムの一部の拡大図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るクリーニングサービスの提供システムの一部の拡大図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るクリーニングサービスの提供システムの概略図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るクリーニングサービスの提供システムの一部の正面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るクリーニングサービスの提供システムの概略図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るクリーニングサービスの提供システムが設置されるクリーニング店舗の平面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るクリーニングサービスの提供システムの一部の正面図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係るクリーニングサービスの提供方法で用いられる識別情報が付された吊り具の概略図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係るクリーニングサービスの提供システム及び提供方法で用いられる収納具の概略図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係るクリーニングサービスの提供方法を示すフローチャートである。
【
図13】本発明の一実施形態に係るクリーニングサービスの提供システムの一部の拡大図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る物品保管システムの概略図である。
【
図15】本発明の一実施形態に係る物品保管システムで利用する吊り具の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、各実施形態はあくまで一例にすぎず、当業者が、発明の主旨を保ちつつ適宜変更することによって容易に想到し得るものについても、当然に本発明の範囲に含有される。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合がある。しかし、図示された形状はあくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0013】
本明細書において、「上」とは、ある物体又は領域の上に直に接するように配置される場合だけでなく、他の物体又は領域を間に挟んで配置される場合をも含む。「下」という用語についても同様である。また、「上」、「下」といった用語は、物体又は領域間の相対的な上下関係を示すものであり、絶対的な上下関係を意味するものではない。
【0014】
本明細書において「αはA、B又はCを含む」、「αはA,B及びCのいずれかを含む」、「αはA,B及びCからなる群から選択される一つを含む」、といった表現は、特に明示が無い限り、αがA~Cの複数の組み合わせを含む場合を排除しない。さらに、これらの表現は、αが他の要素を含む場合も排除しない。
【0015】
本明細書において、クリーニング利用者又はクリーニング業者が操作で使用する主な面を「正面図」と定義する。
【0016】
<第1実施形態>
図1~
図3を参照して、本発明の一実施形態に係るクリーニングサービスの提供システム及び提供方法について説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係るクリーニングサービスの提供システム100の斜視図である。また、
図2(A)は、クリーニングサービスの提供システム100の側面図を示し、
図2(B)は、クリーニングサービスの提供システム100の上面図を示す。
【0018】
[クリーニングサービスの提供システム]
図1及び
図2に示すクリーニングサービスの提供システム100は、コンベアレール110、コンベアラック120、センサー130、及び制御装置140を含む。コンベアレール110は、レール支持部111によって支持されている。コンベアラック120は、複数のコンベア金具121及び複数の連結可動部122を含む。複数のコンベア金具121の各々には開口部123が設けられている。センサー130は、センサー支持部131によって支持されている。以下では、各構成について詳細に説明する。
【0019】
コンベアレール110は、床からの一定の高さを保持できるようにレール支持部111によって支持されている。なお、
図2(A)では、床にレール支持部111を設置してコンベアレール110を支持する構成を示したが、天井又は壁にレール支持部111を固定してコンベアレール110を支持する構成としてもよい。
【0020】
コンベアラック120は、複数のコンベア金具121及び複数の連結可動部122を含む。複数のコンベア金具121の各々は、連結可動部122によって連結され、コンベアレール110を一周するように設けられている。また、複数のコンベア金具121の各々には、吊り具500を吊り下げるための一つ又は複数の開口部123が設けられている。なお、
図2(A)に示すコンベア金具121に設けられる開口部123の形状は五角形であるが、開口部123の形状は、これに限られない。開口部123の形状は、三角形又は四角形等のような多角形とすることができ、若しくは円形又は楕円形とすることもできる。また、開口部123に吊り下げられる吊り具500の形状又はクリーニング後の商品800の重量を考慮して、開口部123の形状を決定することもできる。例えば、開口部123の下方部の形状が凸部を有する場合には、吊り具500は凸部で安定しやすくなる。また、開口部123の下方部の形状が比較的平坦である場合には、開口部123内を吊り具500が動くことができるため、コンベアラック120が移動した際に開口部123の下方部にかかる力を分散することができる。
【0021】
コンベア金具121に複数の開口部123を設ける場合、複数の開口部123の形状は同一でなくてもよい。例えば、連結可動部122から離れた位置の開口部123に吊り具500を吊り下げる場合、連結可動部122に近い位置の開口部123に吊り具を吊り下げる場合よりも連結可動部122の負荷が大きい。そのため、連結可動部122から離れた位置の開口部123の形状を、連結可動部122に近い位置の開口部123の形状よりも小さくし、剛性を高めることで、連結可動部122から離れた位置の開口部123の下方部にかかる力を分散させることができる。また、連結可動部122から離れた開口部123の位置を、連結可動部122に近い開口部123の位置よりも上方に設けて、連結可動部122から離れた位置にある開口部123の下方部にかかる力を分散させることもできる。
【0022】
コンベア金具121は、必ずしも平板でなくてよい。開口部123の下方部は吊り具500によって力が加わりやすい部分であるため、開口部123の上方部よりも開口部123の下方部のコンベア金具の厚みを厚くしてもよい。また、開口部123の下方部のコンベア金具に突起を設けることもできる。開口部123の下方部で吊り具500が接触する面積が増加するため、開口部123の下方部にかかる力を分散させることができる。
【0023】
コンベア金具121の連結部分には、隣接するコンベア金具間の間隙を遮光する手段が設けられていることが好ましい。間隙を遮光する手段として、例えば、連結部分にプレートを設けて遮光する方法があるが、これに限られない。後述する光電センサーを用いた開口部123の検出の場合、連結部分に間隙があると、開口部123だけでなく、連結部分の間隙も開口部として検出される可能性がある。そのため、連結部分の間隙を遮光することにより、開口部123の検出精度を高めることができる。
【0024】
コンベアラック120の移動は、コンベア金具121と連結する連結可動部122がコンベアレール110に沿って移動するによって行われる。そのため、連結可動部122は、コンベアレール110に沿って移動する手段を有する。以下では、
図3を参照して、コンベアラック120の移動方法について説明する。
【0025】
図3は、本発明の一実施形態に係るクリーニングサービスの提供システムの一部の拡大図である。具体的には、
図3(A)は、コンベアレール110及びコンベアラック120の側面部の拡大図を示し、
図3(B)は、コンベアレール110及びコンベアラック120の断面部の拡大図を示す。コンベアレール110は、側面の一部が内部に窪んだ構造を有する。一方、連結可動部122は、コンベア金具121を連結するシャフトの他に、コンベアレール110内部の窪みの上を走行できる車輪が設けられている。そのため、連結可動部122の車輪がコンベアレール110に沿って移動することで、連結可動部122によって連結されたコンベア金具121もコンベアレール110に沿って移動することができる。なお、コンベアラック120の移動方法は、これに限られない。例えば、連結可動部122の車輪の代わりとして、チェーンやベルトを用いることもできる。
【0026】
センサー130は、センサー支持部131によって固定され、コンベアレール110の所定の位置(第1位置)を通過する識別情報を読み取る。
図2(A)では、コンベアレール110の上にセンサー支持部131を設け、センサー支持部131の上にセンサー130が固定されているが、センサー130の固定の位置はこれに限られない。コンベアレール110の上に設けたセンサー支持部131の下にセンサー130を固定してもよい。また、天井、床又は壁にセンサー支持部131を固定し、センサー130を固定することもできる。
【0027】
センサー130は、非接触で、第1位置を通過する識別情報、具体的には、開口部123に吊り下げられた吊り具500に付された識別情報を読み取る。センサー130として、バーコードを利用した識別情報である場合にはバーコードリーダーを用いることができ、IDチップを利用した識別情報(例えば、IDタグ)である場合にはIDリーダーを用いることができる。また、バーコードを利用した識別情報である場合には、センサー130は、バーコードを画像として認識できるセンサーであってもよく、例えば、イメージセンサーを用いることもできる。なお、センサー130は、複数のセンサーを組み合わせたセンサーとしてもよい。
【0028】
コンベアラック120が移動しても、センサー130は移動しない。そのため、センサー130は、コンベアラック120を移動させながら、常に第1位置を通過する識別情報を読み取ることができる。具体的には、コンベアラック120を移動させながら、第1位置を通過する開口部123に吊り下げられた吊り具500に付された識別情報を読み取ることができる。
【0029】
なお、識別情報を付す位置は、必ずしも吊り具500に限られない。コンベアラック120が移動しながら、第1位置で開口部123に吊り下げられる商品800を識別できるような構成であればよい。ここでは、
図4を参照して、識別情報を付す位置について説明する。
図4は、開口部123に吊り具500が吊り下げられた状態において、識別情報がバーコードとして印刷されたタグ520を付す場合の例示である。
図4(A)は、開口部123に吊り具500が吊り下げられ、吊り具500にタグ520が巻き付けて固定した状態である。なお、タグ520を巻き付けずに、直接固定することもできる。
図4(B)は、開口部123に吊り具500が吊り下げられ、開口部123の上方に、開口部123を通してコンベア金具121にタグ520を巻き付けて固定した状態である。このように、吊り具500が吊り下げられていない、開口部123の上方の位置を利用して識別情報を付すこともできる。
図4(C)は、開口部123を通さずに、コンベア金具121にタグ520を直接固定した状態である。例えば、クリップなどの固定具を用いてコンベア金具121にタグ520を直接固定することができる。また、予めタグ520を固定できる位置を設けておくこともできる。例えば、コンベア金具121に突起を設けておき、タグ520を挿して固定することもでき、コンベア金具121にポケットを設けておき、そのポケットにタグを入れることもできる。コンベア金具121に識別情報を付す位置が設けられている場合、吊り具500に識別情報を付す場合よりも、識別情報の位置のばらつきが抑制できるため、センサー130が識別情報を読み取る精度が向上する。但し、以下では、本実施形態の一例として、便宜上、吊り具500に識別情報を付した構成で説明する。
【0030】
制御装置140は、図示しないが、操作部、受信部、制御部、及び記憶部を含む。制御装置140の操作部は、主に、コンベアラック120を制御するためのパラメータ(例えば、コンベアラック120の移動開始及び移動停止、コンベアラック120の回転速度、開口部123の数、並びに開口部123の停止位置など)を入力する機能を有する。なお、制御装置140の操作部は、タッチパネルであることが好ましいが、これに限られない。入力手段を有していればよく、キーボードなどの入力インターフェイスを設けたディスプレイを制御装置140の操作部とすることもできる。また、制御装置140の受信部は、主に、センサー130からの信号を受信する機能を有する。センサー130から受信する信号には、センサー130が読み取った識別情報が含まれる。また、制御装置140の制御部は、複数の開口部123の各々に識別情報を紐付けして記憶する機能を有する。以下では、制御装置140が、第1から第n開口部(nは自然数)に、センサー130で読み取った第1から第n識別情報を紐付ける方法(紐付けステップ)について説明する。
【0031】
紐付けステップは、第1位置を通過する開口部123を特定するステップと、特定した開口部123と開口部123に吊り下げられる吊り具500に付された識別情報とを紐付けて記憶するステップとが含まれる。
【0032】
制御装置140には、コンベアレール110の一周の距離、基準とする開口部123の位置(原点位置)、及び開口部123の数がパラメータとして登録されている。なお、コンベアレール110の一周の距離、原点位置、及び開口部123の数は、制御装置140の操作部で変更できるようにしてもよい。隣接する2つの開口部123間の距離(開口部ピッチ)が同じであるならば、開口部ピッチの自然数倍ごとに開口部が設けられることになる。すなわち、登録されたパラメータを基に、原点位置にある開口部123を基準として、第1開口部から第n開口部(nは自然数)を定義することができる。また、制御装置140は、第1位置を通過する開口部123の原点位置からの距離を計測することで、第1位置を通過した開口部123が第k開口部(1≦k≦n)であることを特定することができる。
【0033】
なお、開口部123を検出するためのセンサー、例えば、光電センサーなどを設けてもよい。光電センサーを設ける場合、光電センサーの投光部から射出された光は、コンベア金具121の開口部123が設けられていない部分では反射され、コンベア金具121の開口部123が設けられている部分では反射されない。そのため、光電センサーの受光部での光の検出によって開口部123の有無を検出することができる。したがって、制御装置140は、原点位置にある開口部123を基準として、開口部123の数をカウントし、第1位置を通過した開口部123が第k開口部(1≦k≦n)であることを特定することができる。なお、コンベアラック120の移動距離と開口部123のカウント数の両方を用いて第k開口部を特定することもできる。さらに、光電センサーによって開口部123の有無を検出することで、センサー130のオン・オフを制御することもできる。
【0034】
センサー130は、第k開口部に吊り下げられる吊り具500に付された第k識別情報を読み取る。制御装置140は、センサー130から第k識別情報を受信し、第k開口部と第k識別情報とを紐付けて記憶する。
【0035】
ここでは、別の紐付けステップについて説明する。第1から第n開口部の各々には、第1開口部から第n開口部に対応して第1から第nID番号のIDチップが配置されている。
そのため、ID番号を読み取ることで、第1位置を通過する開口部123を特定することができる。例えば、センサー130を、複数のセンサーで構成する。すなわち、吊り具500に付された識別情報を読み取ることができるセンサーと、開口部123のID番号を読み取ることができるセンサーとで構成する。なお、吊り具500に付された識別情報を読み取るセンサーと、開口部123のIDチップを読み取るセンサーとは必ずしも同じ位置に設ける必要はなく、それぞれのセンサーの精度が最も高くなる位置に設ければよい。
【0036】
コンベアラック120が移動すると、センサー130は、第1位置を通過した開口部123のID番号を読み取り、制御装置140は、読み取ったID番号から第1位置を通過した開口部123が第k開口部であることを特定する。また、センサー130は、第k開口部に吊り下げれる吊り具500に付された第k識別情報を読み取る。制御装置140は、センサー130から第k識別情報を受信し、第k開口部と第k識別情報とを紐付けして記憶する。本紐付けステップによれば、開口部123をID番号で管理するため、開口部123を等間隔で設ける必要がなくなり、コンベア金具121の形状の自由度の幅が広がる。
【0037】
開口部123の各々に識別情報が紐付けされることで、識別情報から開口部123を特定し、コンベアレール110の所定の位置(第2位置)に開口部123を移動させることが可能となる。そのため、制御装置140には、識別情報を入力する手段や識別情報を読み取る手段を設けることもできる。例えば、制御装置140の操作部に識別情報を入力する手段を備えれば、制御装置140の操作部に第k識別情報を入力して、第k開口部を第2位置移動させることができる。また、制御装置140の操作部に第k識別情報を読み取るセンサーを設け、制御装置140が、センサーが読み取った第k識別情報を基にして、第k識別情報に紐付けられた第k開口部を第2位置に移動させることもできる。
【0038】
本実施形態によれば、クリーニングサービスの提供システム100が、コンベアラック120の開口部123の位置を特定するとともに、開口部123に吊り下げられる識別情報を読み取り、開口部123と読み取られた識別情報とを自動的に紐付ける。また、紐付けられた識別情報を基に、所定の位置に任意の開口部123を移動させることができる。そのため、コンベアラック120に多くの商品800を保管できるだけでなく、識別情報を基にして保管していた商品800をコンベアレール110上の任意の位置で取り出すことが可能である。したがって、クリーニング業者の作業の負担が減り、作業効率は大幅に改善される。
【0039】
なお、クリーニングサービスの提供システム100は、衣類の保管に優れたシステムであるため、クリーニングサービス以外にも、ホテルのクロークや衣類の倉庫としても利用することが可能である。
【0040】
[クリーニングサービスの提供方法]
以下では、提供システム100を用いたクリーニングサービスの提供方法について説明する。
【0041】
クリーニング業者は、クリーニング利用者から洗濯物を受け付ける際、洗濯物がクリーニング利用者のものであることを特定できるような識別情報(利用者識別情報)を洗濯物に付すとともに、クリーニング利用者にも利用者識別情報を付した預り伝票を渡す。なお、利用者識別情報は、洗濯物がクリーニング利用者のものであることを特定できればよい。例えば、クリーニング利用者の会員番号又は電話番号を利用者識別情報とすることができる。また、クリーニング業者が洗濯物の受け付ける順番を利用者識別情報としてもよい。洗濯物に利用者識別情報を付す方法として、利用者識別情報を含むバーコードを印刷したタグを取り付けてもよく、利用者識別情報を含むIDタグを取り付けてもよい。一方、利用者識別情報が付された預り伝票としては、利用者識別情報を含むバーコードを印刷した用紙であってもよく、ICチップを設けたICカードであってもよく、クリーニング利用者の携帯端末などに利用者識別情報を送信し、携帯端末などに利用者識別情報を表示するものであってもよい。
【0042】
クリーニング業者は、洗濯物を回収し、クリーニングを行う。クリーニング後の商品800は吊り具500に吊り下げられ、吊り具500に利用者識別情報が付される。吊り具500に利用者識別情報を付す方法として、利用者識別情報を含むバーコードを印刷したタグを取り付けてもよく、利用者識別情報を含むIDチップを取り付けてもよい。
【0043】
提供システム100は、クリーニング店舗に設置され、商品800の保管及び受渡しのために使用される。商品800は、クリーニング店舗に搬送され、提供システム100の開口部123に吊り下げられる。提供システム100では、クリーニング業者が、商品800を吊り下げた開口部123の位置を入力する作業がない。そのため、クリーニング業者は、空いている開口部123を見つけて自由に商品800を吊り下げることができる。
【0044】
全ての商品800が吊り下げられた後、制御装置140の操作により、コンベアラック120の移動を開始させる。制御装置140は、コンベアレール110の第1位置を通過した開口部123が第k開口部であることを特定する。また、センサー130は、第k開口部に吊り下げられる吊り具500に付された第k利用者識別情報を読み取る。さらに、制御装置140は、センサー130から第k利用者識別情報を受信し、第k開口部と第k利用者識別情報とを紐付けして記憶する。商品800は、クリーニング店舗内の提供システム100で保管される。
【0045】
なお、コンベアレール110を移動させた紐付けステップは、必ずしも商品800の搬送後でなくてもよい。後述するように、商品800を受渡す際にもコンベアラック120を移動させる必要があるため、その時に紐付けステップを行ってもよい。また、クリーニング店舗内にクリーニング利用者がいない時間帯に紐付けステップを行うこともできる。さらに、タイマーで自動的に紐付けステップを行うこともできる。
【0046】
紐付けステップを行った後、制御装置140は、予め設定したおいた停止位置で所定の開口部123が停止できるようにコンベアラック120を移動させてもよい。例えば、商品800が多い位置、受渡し日が早い商品の位置などを考慮して予め開口部123の停止位置を設定しておくことができる。
【0047】
次に、商品800の受渡しについて説明する。クリーニング業者は、来店したクリーニング利用者から預り伝票を受け取り、預り伝票に付された利用者識別情報を読み取る。制御装置140は、預り伝票に付された利用者識別情報を受信し、利用者識別情報と制御装置140が記憶する第1利用者識別情報から第n利用者識別情報のいずれかと一致するかどうかの判定を行う。利用者識別情報が第k利用者識別情報と一致した場合、制御装置140は、コンベアラック120の移動を開始し、第k利用者識別情報と紐付けられた第k開口部を、商品800の受渡し口として指定するコンベアレール110の第2位置に移動させる。クリーニング業者は、第2位置で停止した開口部123に吊り下げられた商品800を取り出し、クリーニング利用者に商品800を受渡す。
【0048】
本実施形態によれば、クリーニングサービスの提供システム100が、コンベアラック120の開口部123の位置を特定するとともに、開口部123に吊り下げられる利用者識別情報を読み取り、開口部123と読み取られた利用者識別情報とを自動的に紐付ける。また、紐付けられた利用者識別情報を基に、所定の位置に任意の開口部123を移動させることができる。そのため、クリーニング業者は、紐付け作業を行わずに、クリーニング利用者の商品800を任意の開口部123に吊り下げて保管することができる。また、クリーニング業者は、所定の位置に商品800を移動させ、商品800を探すことなくクリーニング利用者に受け渡すことができる。さらに、クリーニング業者による紐付け作業での作業ミスがなくなることから、クリーニング利用者に受渡す商品800の取違いも減らすことができる。したがって、クリーニング業者の作業の負担が減り、作業効率は大幅に改善される。
【0049】
<第2実施形態>
図5及び
図6を参照して、第1実施形態と異なる、本発明の一実施形態に係るクリーニングサービスの提供システムについて説明する。
【0050】
図5(A)は、クリーニングサービスの提供システム200の側面図を示し、
図5(B)は、クリーニングサービスの提供システム200の上面図を示す。
【0051】
図5に示すクリーニングサービスの提供システム200は、コンベアレール210、コンベアラック220、センサー230、制御装置240、及び受渡装置250を含む。コンベアレール210は、レール支持部211によって支持されている。コンベアラック220は、複数のコンベア金具221及び複数の連結可動部222を含む。複数のコンベア金具221の各々には開口部223が設けられる。センサー230は、センサー支持部231によって支持されている。受渡装置250は、扉251を含む。
【0052】
ここでは、
図5に示すクリーニングサービスの提供システム200の構成のうち、
図1に示すクリーニングサービスの提供システム100と同様の構成については説明を省略し、相違する構成について説明する。
【0053】
図5に示すクリーニングサービスの提供システム200は、受渡装置250を含む。
図6に、受渡装置250の正面図を示す。受渡装置250は、扉251、読み取り部252、及び表示部253を含む。受渡装置250は、扉251が、コンベアレール210の第2位置の正面となるように設置されている。読み取り部252は、預り伝票の利用者識別情報を読み取ることができるものであればよく、例えば、バーコードリーダー、IDリーダー、又はイメージセンサーが設けられる。また、読み取り部252は、接触して識別情報を読み取ることもでき、非接触で識別情報を読み取ることもできる。表示部253は、操作方法や広告等を表示するパネルが設けられる。なお、表示部253は、タッチパネルであることが好ましい。
【0054】
受渡装置250は、読み取り部252が、預り伝票に付された利用者識別情報を読み取る。制御装置240は、受渡装置250からの利用者識別情報を受信し、受信した利用者識別情報と制御装置240が記憶する第1利用者識別情報から第n利用者識別情報のいずれかと一致するかどうかの判定を行う。利用者識別情報が第k利用者識別情報と一致する場合、制御装置240は、コンベアラック220の移動を開始し、第k利用者識別情報と紐付けられた第k開口部を、第2位置まで移動させる。制御装置240は、第k開口部が第2位置まで移動したとき、コンベアラック220の移動を停止する。受渡装置250は、移動停止の信号を受信し、扉251を開く。なお、扉251は一定時間経過後に自動で閉じる設定としておくことができる。
【0055】
受渡装置250は、図示しないが、扉センサーを設けてもよい。扉センサーを設けることで、商品800が取り出される際において、扉251の中に手や商品800が挟まれる事故を防止することができる。さらに、扉251の周囲にライト254を配置し、扉センサーと連動して、ライト254を点灯させてもよい。ライト254の点灯によって、商品800が取り出せる状態かどうかを確認できるとともに、扉センサーが誤動作した場合、クリーニング業者又はクリーニング利用者はライト254を見て安全かどうかを判断することが可能となる。ライト254として、複数のLEDを用いることもできる。また、ライト254の点灯ではなく、ライトの色を変えて扉の開閉状態を知らせてもよい。さらに、音声を用いて扉の開閉状態を知らせることもできる。
【0056】
本実施形態によれば、クリーニングサービスの提供システム200が、コンベアラック220の開口部223の位置を特定するとともに、開口部223に吊り下げられる利用者識別情報を読み取り、開口部123と読み取られた利用者識別情報とを自動的に紐付ける。また、紐付けられた利用者識別情報を基に、商品800が吊り下げられた開口部123を受渡装置250の扉の位置まで移動させることができる。さらに、受渡装置250の扉251を開き、商品800を受け渡すことができる。そのため、クリーニング業者は、クリーニング利用者の商品800を任意の開口部123に吊り下げて保管することができる。また、クリーニング業者又はクリーニング利用者は、所定の位置に商品800を移動させ、商品800を取り出すことができる。したがって、クリーニング業者の作業の負担が減り、作業効率は大幅に改善される。
【0057】
<第3実施形態>
図7を参照して、第1実施形態及び第2実施形態と異なる、本発明の一実施形態に係るクリーニングサービスの提供システムについて説明する。
【0058】
図7は、本発明の一実施形態に係るクリーニングサービスの提供システムの概略図である。具体的には、
図7は、クリーニングサービスの提供システム300の側面図を示す。
【0059】
図7に示すクリーニングサービスの提供システム300は、コンベアレール310、コンベアラック320、センサー330、制御装置340、及び受渡装置350を含む。コンベアレール310は、レール支持部311によって支持されている。コンベアラック320は、複数のコンベア金具321及び複数の連結可動部322を含む。複数のコンベア金具321の各々には開口部323が設けられる。センサー330は、センサー支持部331によって支持されている。受渡装置350は、扉351を含む。
【0060】
ここでは、
図7に示すクリーニングサービスの提供システム300の構成のうち、
図1及び
図2に示す提供システム100又は
図5に示す提供システム200と同様の構成については説明を省略し、相違する構成について説明する。
【0061】
図7に示すクリーニングサービスの提供システム300は、コンベアレール310が平面的ではなく立体的に設置されている。すなわち、コンベアレール310は、コンベアラック320が平面内を移動するだけでなく、高さ方向にも移動できるように設置されている。具体的には、コンベアレール310は、第1階層と、第1階層の上方に位置する第2階層と、第1階層と第2階層とを連結するスロープによって構成される。なお、階層数は2以上とすることができ、また、第2階層を設けず、スロープのみとしてもよい。また、スロープは、必ずしも直線で延伸するスロープでなくてもよい。曲線で延伸するスロープであってもよく、螺旋状に延伸するスロープであってもよい。
【0062】
連結可動部322はコンベアレール310のスロープに沿って、コンベア金具321を昇降させることができる。そのため、コンベアラック320は、第1階層と第2階層を移動することができる。
【0063】
本実施形態によれば、同じ設置面積で設置される平面のみのコンベアレールを有する提供システムと比較して、コンベアレールの距離が長くなるため、開口部の数を増やすことができる。したがって、より多くの商品800を保管することができる。
【0064】
<第4実施形態>
図8及び
図9を参照して、本発明の一実施形態に係るクリーニングサービスの提供システムが設置されるクリーニング店舗について説明する。
【0065】
図8(A)は、クリーニングサービスの提供システム200が設置される店舗10を示し、
図8(B)は、クリーニングサービスの提供システム400が設置される店舗20の平面図を示す。
【0066】
図8(A)の店舗10は、クリーニング利用者用出入り口11及びクリーニング業者用出入り口12を備え、クリーニング利用者用スペース13とクリーニング業者用スペース14とは壁15によって隔てられている。また、壁15には受付カウンター16が設けられている。なお、図示しないが、壁15には、窓が設けられていてもよい。壁15に窓が設けられる場合、クリーニング利用者は、受渡装置250の操作において、コンベアラック220が移動していることを見て受渡装置250の操作が適切であったことを確認することができる。クリーニング利用者が、受渡装置250又は後述する受付装置260の操作方法がわからない場合には、受付カウンター16内のクリーニング業者が洗濯物の受け付け又は商品の受渡しをすることができる。
【0067】
店舗10の外スペースの一部には、クリーニング利用者の洗濯物を受け付けるための受付装置260が設置されている。受付装置260は、クリーニング利用者用スペース13の一部又はクリーニング業者用スペース14の一部に設置されていてもよい。クリーニング利用者が受付装置260の操作を行うことができる態様であれば、受付装置260の設置場所は限定されない。受付装置260を設置することで、受付カウンター16に人がいない場合、例えば、夜間においてもクリーニング利用者の洗濯物を受け付けることが可能である。また、店舗10を無人化したい場合には、受付装置260のみを設置し、受付カウンター16を設置しない構成とすることもできる。
【0068】
図9を参照して、受付装置260の構成について説明する。
図9は、受付装置260の正面図である。受付装置260は、読み取り部261、表示部262、投函口263、及び出力部264を含む。読み取り部261は、クリーニング利用者を特定するための利用者識別情報を読み取る。読み取り部261は、利用者識別情報を読み取ることができるものであればよく、例えば、バーコードリーダー、IDリーダー、又はイメージセンサーが設けられる。また、読み取り部261は、接触して利用者識別情報を読み取ることもでき、非接触で利用者識別情報を読み取ることもできる。表示部262は、操作方法や広告等を表示するパネルが設けられる。なお、表示部262は、商品800の受渡希望日やクリーニング条件などを入力できるようにするため、タッチパネルであることが好ましい。さらに、図示しないが、受付装置260にカメラを設けることもできる。カメラは、防犯のためにクリーニング利用者の操作状況を録画してもよく、顔認証機能を利用してクリーニング利用者のID認証とすることもできる。なお、カメラは受付装置260の内部だけでなく、外部に設置することもできる。
【0069】
クリーニング利用者用スペース13の一部には、受渡装置250が設置されている。なお、受渡装置250は、壁15に埋め込まれて設置されていてもよく、クリーニング業者用スペース14の一部に設置されていてもよい。さらに、受渡装置250は、店舗10の外スペースの一部に設置されていてもよい。クリーニング利用者が受渡装置250の操作を行うことができる態様であれば、受渡装置250の設置場所は限定されない。また、クリーニング利用者用スペース13の空きスペースには、コインランドリーを設置することもできる。コインランドリーを設置することで、クリーニング利用者は、一回の来店で、洗濯物の種類に応じた洗濯方法、すなわち、クリーニングサービスによる洗濯又はコインランドリーによる洗濯を選択することができ、店舗10は、クリーニング利用者の利用方法に応じて多様なクリーニングサービスを提供することができる。そのため、コインランドリーを設置する場合、コインランドリーの精算に加えて、クリーニングサービスの精算も行うことができる精算機であることが好ましい。精算機を一つにまとめることで、クリーニング利用者の利便性を向上するとともに、クリーニング利用者用スペース13を広く確保することができる。また、精算機では、コインランドリーで用いる洗濯ネットや洗剤等を販売してもよい。
【0070】
クリーニング業者用スペース14には、提供システム200及び洗濯物回収場所17が設けられている。洗濯物回収場所17は、受付カウンター16や受付装置260を通じて引き取られた洗濯物が集められる。クリーニング業者は、集められた洗濯物を回収してクリーニングを行う。
【0071】
図8(B)は、
図8(A)とは異なる提供システム400が設置される店舗20の平面図である。ここでは、
図8(B)に示す店舗20の構成のうち、
図8(A)に示す店舗10と同様の構成については説明を省略し、店舗10との相違点について説明する。
【0072】
店舗20は、店舗10よりも床面積が広いため、提供システム200よりも設置面積の大きな提供システム400を設置することができる。提供システム400は、コンベアレール410、センサー430、センサー支持部431、制御装置440、及び受渡装置450を含む。
【0073】
提供システム200は、コンベアレール210の一周に2ヵ所のカーブが設けられている一方で、提供システム400は、コンベアレール410の一周に5ヵ所のカーブが設けられている。すなわち、コンベアレール410の長さは、コンベアレール210の長さよりも長い。そのため、提供システム400は、提供システム200よりも多くの商品を保管することができる。一方、提供システム200は設置面積が小さいため、省スペースでの設置が可能である。提供システム200は、コンベアレール210の直線距離を短くすることで、さらに設置面積を少なくすることも可能である。コンベアレールの曲線の数や直線距離は、クリーニングサービスの提供システムの設置場所や設置面積に応じて決定することができる。
【0074】
なお、1本のコンベアレール410だけでなく、2本以上のコンベアレールを設置し、それらを一つの制御装置440で制御する構成としてもよい。一本あたりのコンベアレールの距離を短くできるため、コンベアレール410が一周に要する時間を短縮することができる。また、複数のコンベアレール410を設置する場合、それぞれのコンベアレール410に対して受渡装置450を設置することもでき、複数のコンベアレール410に対して一つの受渡装置450を設置することができる。なお、複数のコンベアレール410に対して一つの受渡装置450を設置する場合、それぞれのコンベアレールの商品800を受渡す位置に受渡装置450の扉を設けることが好ましい。
【0075】
複数のコンベアレール410を設置する場合、受渡装置450の機能を分離させて設置することもできる。すなわち、それぞれのコンベアレール410の商品800を受渡す位置に受渡装置450の扉部を設置し、それら複数の扉部を制御する受渡制御装置を別途設置することができる。受渡制御装置には、少なくとも表示部と読み取り部が設けられ、コンベアレール410の各々の識別番号が予め登録されている。以下では、受渡制御装置によるコンベアレール410の各々に設置される扉部の制御について説明する。
【0076】
受渡制御装置に設けられた読み取り部は、預り伝票に付された利用者識別情報を読み取る。受渡制御装置は、読み取られた利用者識別情報を、複数のコンベアレール410の各々に設置された制御装置440に送信する。制御装置440の各々は、受信した利用者識別情報と制御装置440が記憶する第1利用者から第n利用者識別情報のいずれかと一致するかどうかの判定を行う。利用者識別情報が第k利用者識別情報と一致する場合、制御装置440は、コンベアラック420の移動を開始し、第k利用者識別情報と紐付けられた第k開口部を、第2位置まで移動させる。なお、制御装置440は、コンベアラック420の移動開始又は第k開口部の情報を信号として受渡制御装置に送信してもよい。受渡制御装置は、制御装置440からの信号を受信し、表示部に、現在移動しているコンベアレールの情報を表示させることができる。制御装置440は、第k開口部が第2位置まで移動したとき、コンベアラック420の移動を停止し、コンベアレール410の識別番号とコンベアラック420の移動停止の情報を信号として受渡制御装置に送信する。制御装置440から信号を受信した受渡装置は、識別番号に対応するコンベアレール410の受渡装置450の扉部を開く。
【0077】
また、ここでは、別の受渡制御装置によるコンベアレール410の各々に設置される扉の制御について説明する。受渡制御装置には、予め、コンベアレール410の各々の識別番号、並びに各々のコンベアレール410の第1利用者識別情報から第n利用者識別情報及びそれぞれに紐づけられた第1開口部から第n開口部が登録されている。すなわち、制御装置440で記憶されている情報が受渡制御装置にも記憶されている。そのため、受渡制御装置の読み取り部で利用者識別情報が読み取られると、受渡制御装置が、利用者識別情報とコンベアレール410の各々の第1利用者識別情報から第n利用者識別情報のいずれかと一致するかどうかの判定を行う。利用者識別情報が第k利用者識別情報と一致する場合、受渡制御装置は、コンベアレール410の識別番号を特定する。また、受渡制御装置は、特定された識別番号のコンベアレール410に設置されている制御装置440に、コンベアラック420の移動開始の信号を送信する。信号を受信した制御装置440は、コンベアラック420の移動を開始し、第k利用者識別情報と紐付けられた第k開口部を、第2位置まで移動させ、受渡装置450の扉部を開く。この制御方法によれば、受渡制御装置が、全てのコンベアレール410の第1利用者識別情報から第n利用者識別情報が登録されているため、各々の制御装置440を操作することなく、受渡制御装置で一括して管理することができる。
【0078】
なお、上述した受渡制御装置を使用してクリーニング利用者が商品800を受け取る場合、受渡制御装置で商品800の精算ができるようにしておくことが好ましい。コンベアラック420が移動している間に商品800の精算を行うようにしておけば、クリーニング利用者の待機時間を有効に利用することができる。
【0079】
また、提供システム200は、1個のセンサー230が設けられているが、提供システム400は、2個のセンサー430が設けられている。コンベアレールの長さが長くなると、コンベアラックが一周する時間も長くなる。そのため、センサーの数を増やすことで、センサー1個あたりの読み取るコンベアレールの長さを短くすることができる。また、複数のセンサーで同じ識別情報を読み取ることで、センサーの読み取りエラーを減らすこともできる。センサー430の数は、コンベアレール410の長さや設置場所に応じて適宜決定することができる。
【0080】
本実施形態によれば、受付装置260が、無人で、クリーニング利用者の洗濯物を受付けることができる。また、クリーニングサービスの提供システム200が、コンベアラック220の開口部223の位置を特定するとともに、開口部223に吊り下げられる利用者識別情報を読み取り、開口部123と読み取られた利用者識別情報とを自動的に紐付ける。また、紐付けられた利用者識別情報を基に、商品800が吊り下げられた開口部123を受渡装置250の扉の位置まで移動させることができる。さらに、受渡装置250の扉251を開き、クリーニング利用者に商品800を受け渡すことができる。そのため、クリーニング業者は、クリーニング利用者の商品800を任意の開口部123に吊り下げて保管することができる。また、無人で、所定の位置に商品800を移動させ、商品800を探すことなくクリーニング利用者に受け渡すことができる。また、クリーニング業者による紐付け作業での作業ミスがなくなることから、クリーニング利用者に受渡す商品800の取違いも減らすことができる。したがって、洗濯物の受付けから商品の受渡しまでのクリーニングサービスを無人化したクリーニング店舗とすることができ、クリーニング業者の作業の負担が減り、作業効率は大幅に改善される。
【0081】
なお、本実施形態の説明においては、提供システム200又は提供システム400をクリーニングサービスの提供システムとして説明したが、提供システム200又は提供システム400と、受付装置260とを組み合わせてクリーニングサービスの提供システムとすることもでき、クリーニング店舗内のあらゆる設備を組み合わせてクリーニングサービスの提供システムとすることができる。
【0082】
<第5実施形態>
図10を参照して、本発明の一実施形態に係るクリーニングサービスの提供システム及び提供方法で用いられる利用者識別情報が付された吊り具500について説明する。
【0083】
図10(A)は、吊り具500の一例であるハンガー510に、利用者識別情報を含むタグ520が取り付けられている。なお、実際には、ハンガー510にクリーニング後の商品800が吊り下げられるが、
図10(A)ではクリーニング後の商品が省略されている。タグ520は、利用者識別情報をバーコードとして印刷しているが、これに限られない。タグ520として、IDタグを用いることもできる。タグ520には、利用者識別情報が含まれているため、ハンガー510に吊り下げられた商品800のクリーニング利用者を特定することが可能である。すなわち、上述した実施形態に係るクリーニングサービスの提供システムに商品800を保管した後においても、提供システムのセンサーがタグ520から利用者識別情報を読み取ることで、商品800のクリーニング利用者を特定することができる。なお、
図10(A)では、吊り具500に取り付けるものとしてタグ520を示したが、吊り具500にIDを取り付けてもよく、クリーニングサービスの提供システムに設置されるセンサーで読み込めることができるものであればよい。
【0084】
図10(B)では、複数のハンガー510、511、及び512を一纏めにして、一つの利用者識別情報を含むタグ520が取り付けられている。同一のクリーニング利用者の商品800をまとめて一つのタグ520で一括して管理することができる。また、クリーニング業者は、上述した提供システムに商品を吊り下げる際、コンベアラックの開口部ごとに一つの商品800を吊り下げるのではなく、コンベアラックの一つの開口部123にハンガー510、511、及び512をまとめて吊り下げることができるため、クリーニング業者の作業時間を減らすことができる。
【0085】
図10(C)では、複数のハンガー510、511、及び512を一纏めにしたものが収納具530に収納され、一つの利用者識別情報を含むタグ520が取り付けられたものである。収納具530が複数の商品800をまとめているため、商品800を搬送する際においても商品が散逸することを防止できる。そのため、複数の商品800の管理が容易となり、クリーニング業者の余分な作業の発生を防止することができる。なお、収納具530には、利用者識別情報を含むICタグ540を取り付け、タグ520とICタグ540の両方で管理することもできる。
【0086】
本実施形態によれば、吊り具500に利用者識別情報を付すことで、本発明に係るクリーニングサービスの提供システムを用いた商品の保管又は受渡しを行うことができるようになる。したがって、クリーニング業者の作業の負担が減り、作業効率は大幅に改善される。
<第6実施形態>
図11を参照して、本発明の一実施形態に係るクリーニングサービスの提供システム及び提供方法で用いられる収納具530について説明する。
【0087】
図11に示す収納具530は、収納具530の一例である収納バッグ600である。具体的には、
図11(A)は、収納バッグ600の内側610を示し、
図11(B)は、収納バッグ600の外側620を示す。
【0088】
収納バッグ600は、クリーニング利用者が洗濯物を持ち込む際の収納具として使用できるだけでなく、クリーニング後に、クリーニング業者が収納バッグ600に商品800を収納してすることができる。
【0089】
収納バッグ600の内側610には、カバー611A及び611B、ポケット612、第1持ち手613、ファスナー614、スライダ615、ホルダー616、ストッパー617、並びに折り込み部618が設けられている。また、収納バッグ600の外側620には、ICタグ621、第2持ち手622、及び折り込み部623が設けられている。
【0090】
カバー611A及び611Bは、ファスナー614に沿って固定されている一方、中央部ではカバー611A及び611Bが重畳し、両面ファスナーによって開閉可能となっている。また、カバー611A及び611Bを両面ファスナーによって閉じると、開口部619が形成されるようになっている。ポケット612は、ファスナーに沿って固定され、中央部が開口されている。ファスナー614は、2個のスライダ615で収納バッグ600の開閉をすることができるが、これに限られない。1個のスライダ615によって収納バッグの開閉をすることができる構成であってもよい。ホルダー616は、クリーニング利用者からの洗濯物の洗濯条件に関する要望や、クリーニング業者からの伝票などを入れるためのものであり、視認できるようにするため、透明であることが好ましい。
【0091】
ICタグ621には、収納バッグ600を特定するためのID番号が含まれている。なお、ID番号とクリーニング利用者の利用者識別情報を予め紐付けしておいてもよい。収納バッグ600のICタグ621を読み込むことで、ID番号からクリーニング利用者を特定することができる。
【0092】
図11(C)は、ハンガー660に吊り下げた商品800を収納した状態の収納バッグ600を示す。カバー611A及び612Bを閉じて形成された開口部619からハンガー660の吊り部を収納バッグ600の外に出すことができる。そのため、商品800を収納した状態であっても、提供システムのコンベアラックに吊り下げることが可能である。また、ハンガー660の吊り部は第1持ち手613の中を通す。ハンガー660を吊り下げた際、両面ファスナーで固定したカバー611A及び611Bだけでなく、第1持ち手613も、ハンガー660から収納バッグ600が離れてしまうことを防止することができる。また、
図11(C)では、一つのハンガー660に商品800を吊り下げた状態で収納バッグに収納する構成を示したが、複数のハンガーの各々に商品800を吊り下げ、ひとまとめにして収納バッグ600に収納することもできる。第1持ち手613があることで、複数のハンガー660であっても、第1持ち手613によって一纏めにすることができる。なお、ハンガーを使用しない場合は、通常の持ち手として使用することも可能である。
【0093】
ポケット612にはスーツの裾や袖を収納するすることができる。また、商品800をハンガー660に吊り下げられない場合、例えば、たたみ仕上げ品の場合であっても、収納バッグ600であれば、ポケット612にたたみ仕上げ品を収納してクリーニング利用者に受け渡すことができる。また、ハンガー660に商品800を吊り下げながら、ポケット612にたたみ仕上げ品を収納することもできる。
【0094】
ストッパー617は、第2持ち手622を内側に通して固定できるように設けられている。床からハンガーラックまでの高さが低い提供システムの場合に収納バッグ600を用いて商品800を保管する場合、ハンガーラックを移動させた時に第2持ち手622が引きずられる可能性がある。また、第2持ち手622は輪となっているため、何かに引っかかる可能性もある。そのような場合、ストッパー617を用いて第2持ち手622を固定しておくことで、ハンガーラックをスムーズに移動させることができる。
【0095】
図11(D)は、ファスナー614を閉じた状態の収納バッグ600を示す。ファスナー614を閉じると、一対の持ち手ができるため、収納バッグ600の持ち運びの利便性が増す。そのため、クリーニング利用者の複数の洗濯物をクリーニングする場合であっても、クリーニング利用者の複数の商品800を一つにまとめ、一括して複数の商品800を管理することができる。また、商品800の受渡しの際においても、複数の商品800を袋詰めする作業がない。また、クリーニング利用者は、一つの収納バッグ600で複数の商品800を持ち帰ることができる。
【0096】
また、折り込み部618は、収納バッグ600の外側の一部が内側に折り込まれた部分である。すなわち、折り込み部618は山折りで折り込まれ、折り込み部623は谷折りで折り込まれており、収納バッグ600の中央部は折り込み部を広げることできるようになっている。すなわち、
図11(D)に示すように、ファスナー614を閉じた状態の収納バッグ600は、底部の折り込み部623を広げることができる。そのため、ファスナーを閉じても収納バッグ600内の容積を増やすことができるため、複数の商品800を収納して持ち運ぶことができる。
【0097】
本実施形態によれば、クリーニング業者は、複数の洗濯物が収納された収納バッグ600を受け付けることができ、また、収納バッグ600に取り付けられたICタグ621を用いて収納バッグ600ごとにクリーニング利用者の洗濯物を管理することができる。また、商品800の受渡しにおいても、収納バッグ600に取り付けられたICタグ621を用いて収納バッグ600ごとにクリーニング利用者の商品800を管理することができる。したがって、クリーニング業者の作業の負担が減り、作業効率が大幅に改善される。また、クリーニング利用者の利便性も向上する。
【0098】
<第7実施形態>
図12を参照して、本発明の一実施形態に係るクリーニングサービスの提供方法について説明する。
【0099】
図12は、本発明の一実施形態に係るクリーニングサービスの提供方法を示すフローチャートである。なお、ここでは、クリーニングサービスの提供方法をより具体的に説明するため、便宜上、第4実施形態で説明した提供システム200及び受付装置260、第5実施形態で説明したハンガー510、及び第6実施形態で説明した収納バッグ600などを用いて説明するが、本実施形態のクリーニングサービスの提供方法はこれらに限定されない。
【0100】
図12(A)を参照して、クリーニング利用者からの洗濯物の受付について説明する。クリーニング利用者は、全ての洗濯物を収納バッグ600に収納した状態で来店し、受付装置260の表示部262を操作して商品の仕上がり希望日などクリーニングの条件を入力する。そのため、クリーニング利用者が、操作部に触れたことを条件として、受付装置260による受付を開始することができる(S11)。また、受付装置260に人感センサーを設けて、人感センサーが反応したことを条件として、受付装置260の受付を開始することもできる。
【0101】
なお、クリーニング店舗に車両が通過するレーンを設け、クリーニング利用者が車両に乗車したまま、いわゆるドライブスルーで洗濯物を受け付けることも可能である。その場合、車両センサーを設けて、車両センサーが反応した場合を受付装置260の受付け開始の条件としてもよく、車両の中の収納バッグ600のICタグ621を読み取って受付装置260の受付け開始の条件としてもよい。また、ICチップが搭載された会員カードを読み取って受付装置260の受付け開始の条件してもよい。
【0102】
クリーニング条件の入力後、受付装置260の読み取り部261は、収納バッグ600に取り付けられたICタグ621から利用者識別情報を読み取る(S12)。また、出力部264は、利用者識別情報をバーコードとして印刷した預り伝票を出力する(S13)。クリーニング利用者は、収納バッグ600を投函口263に入れる。
【0103】
受付装置260は、クリーニング業者の端末に利用者識別情報を送信する(S14)。クリーニング業者の端末が利用者識別情報を受信することで、クリーニング業者は、洗濯物が受け付けられたことを確認することができ、また、洗濯物の回収日程やクリーニング日程など、クリーニング工場のスケジュールの調整を行うことができる。また、クリーニング業者は、利用者識別情報を基に、商品800を吊り下げるハンガー510に取り付けるためのタグ520を作成する。タグ520には、利用者識別情報がバーコードとして印刷されているが、これに限られない。
【0104】
受付装置260の受付終了は、預り伝票の出力を条件とすることができる(S15)。また、投函口263にセンサーを設け、収納バッグ600が投函し、センサーが反応したことを条件として、受付装置260の受付を終了させることもできる。さらに、受付装置260に人感センサーを設けた場合では、人感センサーが反応しなくなったことをもって、受付装置260の受付終了の条件とすることもできる。
【0105】
図12(B)を参照して、クリーニング後の商品800と開口部123との紐付けについて説明する。クリーニング業者は、収納バッグ600を回収し、収納されている洗濯物をクリーニングする。なお、収納バッグ600の回収は、必ずしも受付装置260の設置してあるクリーニング店舗のクリーニング業者でなくてもよい。一つのクリーニング業者が、近隣にあるクリーニング店舗の収納バッグ600をまとめて回収してもよい。その場合、クリーニング店舗を完全に無人化することも可能である。
【0106】
クリーニング業者は、クリーニング後の商品800をハンガー510に吊り下げ、ハンガー510の吊り部が収納バッグ600の開口部619から外部に出るようにして商品800を収納する。また、ハンガー510にタグ520を取り付ける。なお、収納バッグ600に複数の洗濯物が収納されていた場合には、収納バッグ600ごとに複数の商品800を一纏めにして一つのタグ520を取り付ける。その後、クリーニング業者は、商品800をクリーニング店舗に搬送し、提供システム200のコンベアラック220に設けられた開口部223にハンガー510を吊り下げる。
【0107】
クリーニング業者は、全ての商品800の吊り下げを終えた後、提供システム200の操作部を操作して、コンベアラック220の移動を開始させる(S22)。そのため、提供システム200の制御装置240に、コンベアラック220の移動開始が入力されたことを条件として、提供システム200による紐付けステップを開始することができる(S21)。例えば、制御装置240の操作部に、商品登録のボタン又はアイコンを設け、商品登録のボタン又はアイコンが入力されることを条件として、提供システム200の紐付けステップを開始することができる。
【0108】
コンベアラック220が移動すると、制御装置240は、コンベアレール110の第1位置を通過した開口部223が第k開口部であることを特定する(S23)。また、センサー230は、第k開口部に吊り下げられる吊り具500に付された第k利用者識別情報を読み取る(S24)。センサー230は、読み取った第k利用者識別情報を制御装置240に送信し、制御装置240はセンサー230から第k利用者識別情報を受信する(S25)。その後、制御装置240は、第k開口部と第k利用者情報とを紐付けして記憶する(S26)。
【0109】
制御装置240は、コンベアラック220が一周したことを条件として、コンベアラック220の移動を停止することができる(S27)。なお、コンベアラック220の移動停止は、複数の周回を条件としてもよく、ステップ22(S22)で移動を開始した方向とは逆の方向に一周してから停止することを条件としてもよい。コンベアラック220を複数周回させることで、センサー130の読み取りエラーを減らすことができる。なお、提供システム200の紐付けステップの終了は、コンベアラック220の移動停止を条件とすることができる(S28)。
【0110】
図12(C)を参照して、クリーニング利用者への商品800の受渡しについて説明する。クリーニング利用者は、ステップ13で出力された預り伝票を持って来店する。そのため、クリーニング利用者が店舗内に入店したことを条件として、提供システム200による商品800の受渡し開始とすることができる(S31)。また、受渡装置250に人感センサーを設けて、人感センサーが反応した場合を、受渡装置250の受渡し開始の条件とすることもできる。なお、ドライブスルーでの商品800の受渡しも可能である。その場合、車両センサーを設けて、車両センサーが反応した場合を受渡装置250の受渡し開始の条件としてもよく、ICチップが搭載された会員カードを読み取って受渡装置250の受渡し開始の条件としてもよい。
【0111】
次に、受渡装置250の読み取り部252は、クリーニング利用者の預り伝票から利用者識別情報を読み取る(S32)。受渡装置250は、読み取り部252が利用者識別情報を読み取ると、制御装置240に利用者識別情報を送信する(S33)。制御装置240は読み取り部252からの利用者識別情報を受信し(S33)、利用者識別情報が制御装置240が記憶する第1識別情報から第n識別情報のいずれかと一致するかどうかの判定を行う(S34)。利用者識別情報が第k利用者識別情報と一致する場合、制御装置240は、コンベアラック220の移動を開始する(S35)。制御装置240は、第k利用者識別情報と紐付けられた第k開口部を扉251の正面の第2位置に移動したとき、コンベアラック220の移動を停止する(S36)。
【0112】
次に、制御装置240は、コンベアラック220の移動が停止した信号を受渡装置250に送信し、移動停止の信号を受信した受渡装置250は、扉251を開く(S37)。クリーニング利用者は、第k開口部に吊り下げられた商品800が収納された収納バッグ600を取り出す。扉は一定時間経過後に自動で閉じる設定としておくことができる(S38)。また、受渡装置250の表示部262への入力を条件として扉251を閉じることもできる。扉251が閉じたことを条件として、提供システム200の受渡しを終了とすることができる(S39)。
【0113】
本実施形態によれば、複数の洗濯物であっても、クリーニング業者は、収納バッグ600を介して一つの利用者識別情報で洗濯物の受付けから商品800の受渡しまでを行うことができる。また、複数の商品800であっても、一つの利用者識別情報を用いて提供システム200で管理することができる。さらに、提供システム200が、商品800の保管位置と利用者識別情報とを自動で紐付ける。そのため、クリーニング業者の作業の負担が減り、作業効率は大幅に改善される。
【0114】
<第8実施形態>
ここでは、本発明の一実施形態に係るクリーニングサービスの提供方法について説明する。なお、ここでは、クリーニングサービスの提供方法をより具体的に説明するため、便宜上、第4実施形態で説明した提供システム200及び受付装置260などを用いて説明するが、本実施形態のクリーニングサービスの提供方法はこれらに限定されない。
【0115】
本実施形態では、クリーニング利用者の洗濯物ごとにIDタグが取り付けられている。洗濯物はクリーニングされるため、洗濯物に取り付けられるIDタグは、耐洗濯性があるものが好ましい。クリーニング業者は、クリーニング利用者から受付カウンター16又は受付装置260でIDタグが取り付けられた洗濯物を受け付けるが、利用者識別情報ではなく、洗濯物に取り付けられたIDタグを読み取ることとしてもよい。なお、洗濯物にIDタグが取り付けられていない場合には、クリーニング店舗において洗濯物にIDタグを取り付けることもできる。
【0116】
洗濯物ごとにIDタグが取り付けられているため、クリーニング業者は、IDタグを基に洗濯物又はクリーニング後の商品800の状況(クリーニング識別情報)を管理することができる。すなわち、クリーニング業者は、洗濯物のIDタグを読み込むことで、その洗濯物の種類、クリーニング回数などのクリーニング識別情報を得ることができ、洗濯物の種類によってクリーニング価格を決定したり、クリーニング回数によってクリーニング価格の割引を行うことができる。
【0117】
なお、クリーニング利用者の利用者識別情報と洗濯物のIDタグとを紐付けして管理してもよい。例えば、洗濯物をクリーニングする時は、IDタグことに洗濯物を管理する。すなわち、複数のクリーニング利用者の洗濯物をクリーニングする場合であっても、洗濯物のIDタグを読み込み、同じ種類や条件の洗濯物をまとめてクリーニングすることができる。また、クリーニング後の商品800においても、洗濯物のIDタグを読み込み、紐付けられた利用者識別情報からクリーニング利用者を特定することができる。そのため、異なる日にクリーニングされた商品800であっても、クリーニング利用者ごとに商品800を管理することができる。また、クリーンニング業者は、クリーニングする際に洗濯物ごとにタグを取り付ける必要がないため、クリーニング業者の作業の負担が減り、作業効率は大幅に改善される。
【0118】
クリーニング後の商品800は、クリーニング工場又はクリーニング店舗でIDタグを読み込み、保管される。クリーニング工場又はクリーニング店舗においてもIDタグを用いて管理することで、クリーニング識別情報を基にして、商品800の保管場所を特定することができるようになる。なお、保管方法として、提供システム200を用いることができる。提供システム200を用いることにより、クリーニング利用者に商品800を受渡す場合であっても、商品800の位置を探すことなく、所定の位置で取り出すことができる。
【0119】
商品800は、写真を撮影しておき、クリーニング利用者がパソコンやスマートフォンなどの携帯端末のアプリケーションで商品800を閲覧できるようにしておいてもよい。クリーニング利用者は、商品800のクリーニングが終わったことの通知を受け取ることができるとともに、商品800のクリーニングの状態を、アプリケーション上で写真を見て確認することができる。
【0120】
なお、アプリケーション上で商品800のクリーニング状態の確認を必要としない場合には、2回目以降のクリーニングにおいては、初めてクリーニングした際に撮影した写真を用いることもできる。また、その場合には、写真撮影は、洗濯物を受け付けた時でもよく、IDタグが取り付けられる時であってもよい。さらに、写真撮影は、クリーニング中に行うこともできる。
【0121】
以下では、クリーニングサービスのアプリケーションについて詳細に説明する。
【0122】
商品800にはIDタグが取り付けられているため、クリーニング業者がIDタグのクリーニング識別情報として様々な情報を登録することで、商品800を安全に管理することができるようになる。例えば、商品800の素材を登録しておき、耐用年数の警告を知らせるようにしておけば、クリーニングの事故を未然に防止することができる。さらに、IDタグをトレースすることで、洗濯物のクリーニング工程の位置やクリーニング作業者も特定することができる。クリーニングサービスのアプリケーションでは、このようなクリーニング識別情報に基づく情報を閲覧できるようになっている。
【0123】
また、クリーニング業者だけでなく、クリーニング利用者も商品800を管理することが可能である。すなわち、クリーニング利用者からの情報を基にした商品800の処分が可能となる。そのため、クリーニングサービスのアプリケーションは、クリーニング利用者が商品800を閲覧できるだけでなく、商品800に関する情報が入力できるようにしておくことが好ましい。例えば、クリーニング利用者が入力する商品800に関する情報としては、商品の800の廃棄の有無、衣類のサイズ又はメーカー、購入時の価格又は購入日、商品800を着た時の写真又はコメントなどであるが、これらに限られない。
【0124】
クリーニング利用者がクリーニングサービスのアプリケーションを使用するメリットして、クリーニング識別情報に含まれるクリーニング業者からの情報を基に商品800の処分を決定することができる点がある。例えば、クリーニング利用者は、商品800のクリーニング回数などの情報を基にして、商品800を保管し、廃棄し、販売し、又はレンタルすることを決定することができる。また、商品800の保管については、商品800の保管期間をクリーニング利用者に決定してもらうことで、クリーニング業者は、商品800を無期限に保管する必要がなくなり、保管している商品800の在庫管理を行うことができる。
【0125】
クリーニングサービスのアプリケーションは、商品800における所定の情報をアプリケーションの利用者間で閲覧を可能にしておき、アプリケーションの利用者間で商品800の売買やレンタルを行うことができるようにしてもよい。商品800の売買やレンタルが成立した場合には、クリーニング業者の工場又は店舗から保管されている商品800を購入者に直接送付することができる。クリーニング利用者が商品の発送を行う必要がないだけでなく、商品800はクリーニング後のものであり、さらに、衣類に関しての専門家であるクリーニング業者が実際に商品800を確認しているため、購入者は、商品800を安心して購入することができる。なお、商品800の購入者は、近くのクリーニング店舗に来店し、提供システム200を利用して商品800を受け取ることもできる。さらに、商品800のレンタルの場合にあっては、クリーニングの受付装置260の投函口263に返却できるようにすることもできる。
【0126】
また、クリーニング利用者が、アプリケーションを通じてクリーニング業者に依頼し、クリーニング業者が保管している商品800の売買やレンタルを行うこともできる。さらに、クリーニングサービスのアプリケーションの利用者間だけのサービスとするのではなく、既に知られているフリーマーケットやネットオークションを活用してもよい。すなわち、クリーニング業者が代行して商品800を出品してもよい。なお、商品800のIDタグと利用者識別情報とを紐付けておくことで、クリーニング業者は、商品800の売買又はレンタルが成立した場合に、利用者識別情報からクリーニング利用者を特定して手数料を徴収することもできる。
【0127】
また、クリーニングサービスのアプリケーションの他の利用としては、クリーニング業者からクリーニング利用者への発信がある。例えば、アプリケーションの利用者が、しばらくクリーニングを行っていない場合には、アプリケーションの利用者に対してクリーニングを行うように促すこともできる。
【0128】
本実施形態によれば、洗濯物にIDタグを取り付けて管理することで、クリーニング業者の作業効率が改善されるだけでなく、クリーニング業者は、クリーニングに付随したサービスを提供することができる。また、クリーニングサービスのアプリケーションを利用することで、クリーニング利用者が商品800を使用しない場合であっても、クリーニング工場やクリーニング店舗に保管されている商品800を有効活用することができる。クリーニング利用者にとっても、衣類の保管場所を気にすることなく、アプリケーションで衣類を管理することができる。
【0129】
<第9実施形態>
図13を参照して、本発明の一実施形態に係るクリーニングサービスの提供システム700について説明する。なお、提供システム700を説明するにあたり、第1実施形態~第8実施形態の提供システムと同様の構成については説明を省略する。
【0130】
図13は、本発明の一実施形態に係るクリーニングサービスの提供システム700の一部の拡大図である。具体的には、
図13(A)は、提供システム700のコンベアラック720の拡大図である。また、
図13(B)は、
図13に示すA-A’線に沿って切断したコンベアラック720の断面図である。
【0131】
図13(A)に示すように、クリーニングサービスの提供システム700は、コンベアラック720を含む。コンベアラック720は、複数のコンベア金具721及び複数の連結可動部722を含む。隣接するコンベア金具721は、連結可動部722のシャフトによって連結されている。また、複数のコンベア金具721は、環状を形成するように連結されている。連結可動部722のシャフトの一端には車輪が設けられており、コンベアレールに沿って移動することができる。したがって、提供システム700では、コンベアラック720がコンベアレールに沿って移動することができる。
【0132】
提供システム700では、1つのコンベア金具721に1つの開口部723が設けられている。そのため、連結可動部722間の距離が小さい。コンベアラック720は、連結可動部722のシャフトを軸として可動することができ、連結可動部722間の距離が小さい提供システム700では、コンベアラック720の移動における曲率半径を小さくすることができる。すなわち、提供システム700では、コンベアレールに曲率半径の小さい曲線を多く含むことができるため、提供システム700の設置場所の自由度が高くなる。また、提供システム700を小型化することができる。したがって、提供システム700は、クリーニングサービスだけでなく、個人住宅(アパート又はマンションを含む)のクローゼットとして利用することも可能である。
【0133】
コンベア金具721の開口部723の下端部には、ハンガーサドル770が取り付けられている。ハンガーサドル770は、固定具780によってコンベア金具721に固定されている。図示しないが、吊り具500は、ハンガーサドル770に引っ掛けられて吊り下げられる。
【0134】
図13(B)に示すように、ハンガーサドル770の断面形状は、コンベア金具721と3面で接するコの字形状になっている。また、ハンガーサドル770の一方の端部は、コンベア金具721の端部と一致している。ハンガーサドル770の他方の端部は、固定具780の上方に位置している。すなわち、ハンガーサドル770は、コンベア金具721と接する3面のうち、1面が固定具780によってコンベア金具721に固定されている。但し、ハンガーサドル770の構成はこれに限られない。ハンガーサドルの断面形状は、コンベア金具721と2面で接するL字形であってもよい。また、ハンガーサドル770の他方の端部が、固定具780の下方に位置し、コンベア金具721と接する3面のうち、2面が固定具によってコンベア金具721に固定されていてもよい。ハンガーサドル770は、少なくとも開口部723の下端部の側面を覆うように取り付けられていることが好ましい。
【0135】
ハンガーサドル770は、上面(コンベア金具721の開口部723の側面と接する面と反対側の面)に凹凸を設けてもよい。ハンガーサドル770の上面に凹凸を設けることで、コンベアラック720が移動したときでも、凹凸がガイドとなり、吊り具500が安定する。
【0136】
ハンガーサドル770の材質は、コンベア金具721の材質と同じであってもよく、異なっていてもよい。ハンガーサドル770の材質とコンベア金具721とを同じ材質、例えば、ステンレスとして場合、吊り具500の接触によって生じるハンガーサドル770の傷付きを軽減することができる。また、ハンガーサドル770の材質とコンベア金具721の材質とが異なる場合、ハンガーサドル770は、コンベア金具721よりも柔らかい材質とすることができる。例えば、コンベア金具721の材質として、ステンレスを用い、ハンガーサドル770の材質として有機樹脂を用いることができる。この場合、ハンガーサドル770が、コンベア金具721を保護する機能を有する。
【0137】
複数のハンガーサドル770の構成は、全てが同じであってもよく、それぞれが異なっていてもよい。
【0138】
固定具780は、例えば、ボルトおよびナットである。コンベア金具721及びハンガーサドル770を貫通したボルトをナットで締めることにより、コンベア金具721とハンガーサドル770とを固定する。また、コンベア金具721に、ねじ穴を設け、ボルトのみによって固定することもできる。コンベアサドル770は固定具780で固定されるとともに、固定具780を取り外すことでコンベアサドル770をコンベア金具721から取り外すことができる。コンベアサドル770は、吊り具500との接触によって摩耗されやすい部分である。しかしながら、提供システム700では、コンベアサドル770が摩耗した場合、または破損した場合などにおいて、コンベアサドル770を交換することができ、メンテナンスが容易である。
【0139】
本実施形態によれば、クリーニングサービスの提供システム700は、コンベアラック720の連結可動部722間の距離が小さいため、コンベアラック720の移動における曲率半径を小さくすることができる。提供システム700は、コンベアレールに曲線を多く含む移動経路が可能であり、設置場所の自由度が高い。また、提供システム700は、小型化することも可能である。さらに、提供システム700は、吊り具500と接する開口部723の下端部にハンガーサドル770を設け、コンベアラック720の傷つきを防止することができる。また、ハンガーサドル770は着脱が可能である。ハンガーサドル770が摩耗した場合、または破損した場合などにおいて、コンベアサドル770を交換することができるため、提供システム700はメンテナンスが容易である。
【0140】
<第10実施形態>
図14及び
図15を参照して、本発明の一実施形態に係る物品保管システム900について説明する。第1実施形態~第9実施形態ではクリーニングサービスを例として説明したが、これらの実施形態に係る提供システムは、クリーニングサービス以外でも利用することができる。以下では、クリーニングサービス以外の利用として、本実施形態に係る物品を吊り下げて保管する物品保管システム900について説明する。なお、物品保管システム900を説明するにあたり、第1実施形態~第8実施形態の提供システムと同様の構成については説明を省略する。
【0141】
図14は、本発明の一実施形態に係る物品保管システム900の概略図である。具体的には、
図14(A)は、物品保管システム900の側面図であり、
図14(B)は、物品保管システム900の上面図であり、
図14(C)は、受付装置950の正面図である。
【0142】
図14に示すように、物品保管システム900は、コンベアレール910、コンベアラック920、センサー930、制御装置940、及び受付装置950を含む。コンベアレール910は、レール支持部911によって支持されている。コンベアラック920は、複数のコンベア金具921及び複数の連結可動部922を含む。複数のコンベア金具921の各々には開口部923が設けられる。センサー930は、センサー支持部931によって支持されている。受付装置950は、扉951を含む。
【0143】
物品保管システム900では、吊り具550を用いて物品を保管することができる。ここで、
図15を参照して、吊り具550について説明する。
【0144】
図15は、本発明の一実施形態に係る物品保管システム900で利用する吊り具550の概略図である。
【0145】
図15に示す吊り具550は、吊り部551及び収納体552を含む。吊り具550は、物品を収納体552の中に収納し、吊り部551によってコンベアラック920の開口部923に吊り下げられる。すなわち、吊り具550は、物品を保持しながら、開口部923に吊り下げられる。
【0146】
吊り具550は、吊り部551の端部が収納体552と接合し、収納体552を支持することができる。
図15に示す吊り部551は、1箇所で収納体552を支持しているが、複数の箇所で収納体552を支持することもできる。例えば、吊り部551は、枝分かれした4つの端部を有し、各端部が収納体552の上面の四隅の1つに接合されて、収納体552を支持してもよい。吊り部551が複数の箇所で収納体552を支持することにより、コンベアラック920が移動しても、吊り具550が安定するようになる。
【0147】
収納体552は、収納体552内に物品を収納する空間を有する。また、図示しないが、収納体552は、物品を収納するときに開閉できる扉を有していてもよい。また、
図15に示す収納体552は箱体であるが、収納体552の形状はこれに限られない。収納体552は、物品に合わせた形状とすることもできる。さらに、収納体552の形状は、袋体のような不定形体であってもよい。
【0148】
吊り具550には、利用者識別情報が付される。
図15に示す吊り具550は、利用者識別情報を含むバーコードが印刷されたタグ520が、吊り部551に付されている。なお、吊り具550は、利用者識別情報を含むIDタグが、吊り部551又は収納体552に付されていてもよい。
【0149】
再び、
図14に戻り、物品保管システム900について説明する。
【0150】
物品保管システム900では、コンベアラック920が、コンベアレール910に沿って移動する。物品が収納された吊り具550は、コンベアラック920の開口部923に吊り下げられ、コンベアラック920の移動によって移動する。センサー930は、吊り具550に付されたタグ520の利用者識別情報を読み取り、制御装置940は、開口部923と利用者識別情報とを紐付けして記憶する。したがって、物品保管システム900では、開口部923と吊り具550とが利用者識別情報によって管理され、物品は、吊り具500によって吊り下げられた状態で保管される。
【0151】
物品保管システム900では、受付装置950を通して、利用者が保管したい物品を預け、及び受け取ることができる。但し、物品保管システム900の利用形態はこれに限られない。物品保管システム900を設置する場所又はサービスによっては、物品の受付(預かり)と物品の受取を別にすることもできる。また、利用者自身が物品保管システム900を操作して物品を保管してもよく、物品保管システム900を操作する作業者を介して物品を保管してよい。
【0152】
利用者は、受付装置950を操作し、受付装置950の扉951を開き、物品が収納された吊り具550を開口部923に吊り下げる。利用者は、受付装置950の前で吊り具550に物品を収納する作業を行うため、受付装置950には作業台952が設けられていることが好ましい。例えば、
図14(A)に示すように、コンベアレール910が受付装置950内に入り込み、受付装置950の扉951が開いた部分に作業台952を設けることができる。
【0153】
また、利用者は、受付装置950に利用者の情報を登録すると、利用者識別情報がバーコードとして印刷されたタグ520が受付装置950から出力される。利用者は、タグ520を吊り具550の吊り部551に巻き付ける。なお、予め利用者識別情報を付したカードを発行しておき、受付装置950がカードを読み込むことによって、タグ520を出力するようにしてもよい。
【0154】
また、利用者識別情報が付されたカードを用いる場合、タグ520を出力しない構成とすることもできる。この場合、制御装置940は、受付装置950が読み込んだカードの利用者識別情報と、受付装置950の扉951の前の開口部923とを紐付けする。この場合、物品保管システム900にセンサー930を設けなくてもよい。センサー930を設けない物品保管システム900は、製造コストが抑制されるため、安価に製造することができる。
【0155】
物品保管システム900に物品を預ける場合において、受付装置950の扉951の前に物品が保管された吊り具550が吊り下げられているときは、吊り具550が吊り下げられていない開口部923が扉951の前に位置するように、コンベアラック920を移動させる。その後、受付装置950の扉951が開かれる。このようにすることで、利用者は、コンベアラック920が停止しているときに作業を行うことができるため、利用者の安全性が確保される。
【0156】
物品を受け取る場合も、物品を預ける場合と同様に行うことができる。
【0157】
吊り具550は、物品保管システム900に固定されていてもよい。すなわち、吊り具550は、コンベアラック920から取り外せない構成とすることもできる。この場合、利用者は、吊り具550を取り外すことなく、吊り具550に物品を収納することができる。この場合、利用者が吊り具550を吊り下げる作業を必要としないため、利用者の負担を軽減することができる。
【0158】
物品保管システム900では、収納される物品によっては吊り下げられる吊り具550が重くなる場合がある。そのため、コンベアラック920の剛性を高くすることが好ましい。例えば、コンベアラック920に設ける開口部923の数を減らし、または開口部の開口面積を小さくすることにより、コンベアラック920の剛性を高くすることができる。
【0159】
物品保管システム900は、例えば、物品を保管する倉庫に設置することができる。また、物品保管システム900は、マンション又はアパートなどの集合住宅に設置し、マンションの住人の共用クローゼットや共用倉庫として利用することができる。また、物品保管システム900は、ホテルのクロークなどで利用することもできる。さらに、店舗の空きスペースに物品保管システム900を設置することで、空きスペースをトランクルームとして有効利用することもできる。
【0160】
本実施形態によれば、物品保管システム900を利用することで、床と接することなく(床から離れて)物品を保管することができる。そのため、物品保管システム900を用いて保管されている物品は、床からの影響(温度や湿度)を受けにくく、一定の環境を維持して物品を保管することができる。また、吊り具550には利用者識別情報が付されているため、吊り具550に収納された物品は、特定の利用者のみが管理することができる。
【0161】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0162】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0163】
10、20:店舗、 11:クリーニング利用者用出入り口、 12:クリーニング業者用出入り口、 13:クリーニング利用者用スペース、 14:クリーニング業者用スペース、 15:壁、 16:受付カウンター、 17:洗濯物回収場所、 100、200、300、400、700:提供システム、 110、210、310、410:コンベアレール、 111、211、311:レール支持部、 120、220、320、720:コンベアラック、 121、221、321、721:コンベア金具、 122、222、322、722:連結可動部、 123、223、323、723:開口部、 130、230、330、430:センサー、 131、231、331、431:センサー支持部、 140、240、340、440:制御装置、 250、350、450:受渡装置、252:読み取り部、 260:受付装置、 261:読み取り部、 500、550:吊り具、 510、511、660:ハンガー、 520:タグ、530:収納具、 540、621:ICタグ、 551:吊り部、 552:収納体、 600:収納バッグ、611A:カバー、 612:ポケット、 613:第1持ち手、 614:ファスナー、 615:スライダ、 616:ホルダー、 617:ストッパー、 618、623:折り込み部、 622:第2持ち手、 770:コンベアサドル、 800:商品、 900:物品保管システム、 910:コンベアレール、 911:レール支持部、 920:コンベアラック、 921:コンベア金具、 922:連結可動部、 923:開口部、 930:センサー、 931:センサー支持部、 940:制御装置、 950:受付装置、 951:扉
【手続補正書】
【提出日】2024-05-27
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリーニングサービスのための受付装置であって、
前記クリーニングサービスの利用者を識別する識別情報を読み取る読み取り部と、
洗濯物が収納された収納バッグが投函される投函口と、
クリーニング後の前記洗濯物の受渡希望日を入力可能な表示部と、を含む、受付装置。
【請求項2】
前記読み取り部は、バーコードリーダーを含む、請求項1に記載の受付装置。
【請求項3】
前記識別情報は、前記収納バッグに付されたICタグに含まれる、請求項1または請求項2に記載の受付装置。
【請求項4】
さらに、前記クリーニングサービスが受け付けられたことを示す預り伝票を出力する出力部を含む、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の受付装置。
【請求項5】
前記受付装置は、前記読み取り部によって前記識別情報が読み取られると、前記クリーニングサービスを提供するクリーニング業者の端末に前記識別情報を送信する手段を有する、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の受付装置。