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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096321
(43)【公開日】2024-07-12
(54)【発明の名称】撮像装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/63 20230101AFI20240705BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20240705BHJP
   G03B 17/18 20210101ALI20240705BHJP
【FI】
H04N23/63 310
H04N23/50
G03B17/18
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024074728
(22)【出願日】2024-05-02
(62)【分割の表示】P 2019196444の分割
【原出願日】2019-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】勝俣 百恵
(57)【要約】
【課題】動画撮影可能時間の長期化を図ることができる撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置100は、撮像素子14と、撮像素子14で撮像した動画に所定の処理を施す画像処理回路60と、撮像装置100本体を把持するためのグリップ部110と、グリップ部110の内側に配置された複数の記録媒体200、300と、撮像装置の内部で構成部材を支持する内部筐体130と、撮像装置を制御するシステム制御回路50と、を備え、システム制御回路50は、動画を用いて画像処理回路60で形成された複数の記録モードの動画データを複数の記録媒体200、300に記録させる際、内部筐体130に近い記憶媒体200に記録容量の大きい画像データを記録させ、内部筐体130から遠い記憶媒体300に記録容量の小さい画像データを記録させる。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段によって撮像した動画を記録するメディアを収容する第1のメディアスロット及び前記第1のメディアスロットよりもユーザが把持するためのグリップ部から近い第2のメディアスロットと、
前記第1のメディアスロットと前記第2のメディアスロットとで同時に異なる記録形式の動画を記録する設定において、前記第1のメディアスロットで動画を記録する第1の記録形式よりも記録容量の大きいデータを記録する第2の記録形式が前記第2のメディアスロットに設定されている場合には、ユーザに対して警告を行う制御手段と、を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記制御手段は、表示部への表示によってユーザへの前記警告を行うことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記警告は、動画の記録時間に関する警告であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記警告は、動画の記録時間が短くなる可能性がある旨の警告であることを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記警告は、メディアの発熱に関する警告であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第1のメディアスロットから生じる熱が前記第2のメディアスロットから生じる熱よりも伝熱されやすい位置に配置されたシャーシを有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第1の記録形式はRAWであることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第2の記録形式はMPEG-4であることを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記メディアはメモリカードであることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記メディアスロットは、カードスロットであることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項11】
撮像手段によって撮像した動画を記録するメディアを収容する第1のメディアスロット及び前記第1のメディアスロットよりもユーザが把持するためのグリップ部から近い第2のメディアスロットを有する撮像装置の制御方法であって、
前記第1のメディアスロットと前記第2のメディアスロットとで同時に異なる記録形式の動画を記録する設定において、前記第1のメディアスロットで動画を記録する第1の記録形式よりも記録容量の大きいデータを記録する第2の記録形式が前記第2のメディアスロットに設定されている場合には、ユーザに対して警告を行う制御ステップを有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画撮影可能な撮像装置及びその制御方法に関し、特に、複数の記録媒体に同時に動画を記録する撮像装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、撮像装置の消費電力の増加に伴って外装温度もしくは電気部品温度が上昇する傾向にあり、これによって、動画撮影可能時間が短くなる傾向にある。撮像装置における主な発熱部品は撮像素子及び画像処理エンジンであるが、記録媒体の通信高速化による消費電力の増加に伴って記録媒体の発熱量も増加している。
【0003】
そこで、動画撮影可能時間を少しでも延ばすことを目的として、局所的に高温にならないように、電気部品から発生する熱を撮像装置内で拡散するなどの工夫がなされている。
【0004】
一方、撮像装置には複数の記録媒体を装着可能なものがあり、複数の記録媒体を併用する方法が種々提案されている。このような撮像装置では、1回の撮影で形成された同一の画像データを複数の記録媒体にそれぞれ記録することができるほか、ユーザが選択した異なる形式で複数の記録媒体に記録することも可能である。そして、特許文献1には、複数の記録媒体装着部のどの装着部に記録媒体が装着されているかを検出し、検出結果に合せて記録モードを決定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-234291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術では、複数の記録媒体を装着して動画撮影をすることに伴う記録媒体の発熱については考慮されていなかった。
【0007】
本発明は、複数の記録媒体を装着して異なる記録形式の動画撮影をする場合に動画撮影可能時間の長期化を図ることができる撮像装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1記載の撮像装置は、撮像手段によって撮像した動画を記録するメディアを収容する第1のメディアスロット及び前記第1のメディアスロットよりもユーザが把持するためのグリップ部から近い第2のメディアスロットと、前記第1のメディアスロットと前記第2のメディアスロットとで同時に異なる記録形式の動画を記録する設定において、前記第1のメディアスロットで動画を記録する第1の記録形式よりも記録容量の大きいデータを記録する第2の記録形式が前記第2のメディアスロットに設定されている場合には、ユーザに対して警告を行う制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
発明によれば、シャーシに近い記憶媒体に記録容量の大きい画像データを記録させ、シャーシから遠い記憶媒体に記録容量の小さい画像データを記録させる。これによって、記録容量の大きい画像データを記録させた記憶媒体で発生した大量の熱をシャーシを介して撮像装置全体に分散させることができるので、動画撮影可能時間の長期化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施の形態に係る撮像装置を示す図である。
図2図1のデジタルカメラの内部構成を示すブロック図である。
図3図1のデジタルカメラで実行される第1の動画記録処理の手順を示すフローチャートである。
図4図1のデジタルカメラで実行される第2の動画記録処理の手順を示すフローチャートである。
図5図1のデジタルカメラで実行される第3の動画記録処理の手順を示すフローチャートである。
図6】第2の実施の形態に係る撮像装置(デジタルカメラ)を示す図である。
図7】第3の実施の形態に係る撮像装置(デジタルカメラ)の水平方向に沿った中央断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0012】
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態に係る撮像装置を示す図である。図1において、図1(a)は、撮像装置としてのデジタルカメラ100の正面図、図1(b)は、デジタルカメラ100の水平方向に沿った中央断面図である。
【0013】
デジタルカメラ100は、該デジタルカメラ100本体(撮像装置本体)を把持するためのグリップ部110と、グリップ部110を把持した際にユーザの手のひらが当接するグリップ部カバー115、及び操作部80を備えている。
【0014】
グリップ部110の内側には、カードスロット用基板70が配置されている。カードスロット用基板70は、一点鎖線で表された撮影光軸10と平行に配置されている。カードスロット用基板70の表裏には、それぞれ第1カードスロット20及び第2カードスロット30が実装されている。
【0015】
すなわち、第1カードスロット20及び第2カードスロット30は、撮影光軸10に対して平行に、且つグリップ部110の内側に配置されている。第1カードスロット20は、第2カードスロット30よりも撮影光軸10側に配置されており、第2カードスロット30は、第1カードスロット20よりもグリップ部カバー115側に配置されている。第1カードスロット20には、記録媒体200が実装されており、第2カードスロット30には、記録媒体300が実装されている。
【0016】
また、デジタルカメラ100は、リアカバー120及び内部筐体130を備えている。リアカバー120は、デジタルカメラ100の裏面を保護する部材である。内部筐体130は、一部又は全部が金属で構成されたシャーシで、撮像装置本体のメカ強度を確保するための部材である。内部筐体130は、カードスロット用基板70をはじめとして撮像装置100の各構成部材を取り付けるための部材でもある。内部筐体130に伝達された熱は、撮像装置100全体に拡散される。
【0017】
第1カードスロット20は、外装よりも内部筐体130に近いために、第1カードスロット20に装着された記録媒体200で発生した熱は、内部筐体130に伝わり易い。一方、第2カードスロット30は、外装側に配置されているので、第2カードスロット30に実装された記録媒体300で発生した熱はグリップ部カバー115に伝わり易い。
【0018】
デジタルカメラ100の略中央の撮影光軸10と直交するように、換言すれば、リアカバー120と平行に回路基板としてのメイン基板40及び撮像素子14が配置されている。また、撮像素子14と平行に撮像用シャッタ12が配置されている。メイン基板40におけるリアカバー120に面した第1の面42には、画像処理回路60及びシステム制御回路50が実装されている。
【0019】
このような構成のデジタルカメラ100において、内部筐体130は、上述したように、一部又は全部が金属で構成されており、内部筐体130に伝達された熱は、デジタルカメラ100全体(撮像装置全体)に略均一に拡散される。一方、グリップ部カバー115を含む外装部品が金属で構成されている場合、デジタルカメラ100の内部で発生した熱は、外装部品を介して外部に拡散される。
【0020】
従って、記録媒体200及び記録媒体300で発生した熱を効率よく分散させて動画撮影時間の長期化を図るためには、グリップ部カバー115に伝達する熱量をなるべく減らし、内部筐体130に伝達する熱量を増加させることが有効となる。また、これによって、グリップ部110の一時的な高温状態を回避してユーザに違和感を与えることもない。
【0021】
このため、本実施の形態では、発熱量が高く記録容量が大きい画像データを内部筐体130に近い記録媒体200に記録し、発熱量が低く記録容量が小さい画像データをグリップ部カバー115に近い記録媒体300に記録させることが好ましい。
【0022】
次に、図1の撮像装置(デジタルカメラ)の内部構成について説明する。
【0023】
図2は、図1の撮像装置(デジタルカメラ)の内部構成を示すブロック図である。図2において、デジタルカメラ100は、システム制御回路50及び画像処理回路60を備えている。
【0024】
システム制御回路50は、測距制御部58を介して撮影レンズ16と接続されており、絞り制御部57を介して絞り18と接続されている。また、システム制御回路50は、SH制御部56を介して撮像用シャッタ12と接続されており、電源制御部90を介して電源92と接続されている。また、システム制御回路50は、撮像素子14、メモリ52、表示部54、電源スイッチ86、操作部80、動画ボタン82、ライブビュースイッチ(LVSW)84、把持検出部88、装着検知部26及び36とそれぞれ接続されている。
【0025】
画像処理回路60は、撮像素子14、システム制御回路50、第1のカードスロット20及び第2のカードスロット30とそれぞれアドレスバス又はデータバスによって接続されている。第1のカードスロット20は記憶媒体200を備えており、第2のカードスロット30は記憶媒体300を備えている。第1のカードスロット20は、装着検知部26を介してシステム制御回路50と接続されており、第2のカードスロット30は、装着検知部36を介してシステム制御回路50と接続されている。記憶媒体200と記憶媒体300は、同じ種類の記憶媒体である。
【0026】
撮像用シャッタ12は、遮光部材であり、撮像用シャッタ12を開閉することによって撮像素子14への露光量を制御する。撮像素子14は、光学像を電気信号に変換する。撮影レンズ16に入射した光束は、絞り18及び撮像用シャッタ12を介して撮像素子14に導かれ、撮像素子14の撮像面上に光学像を結像する。
【0027】
第1カードスロット20は、記録媒体200用のカードスロットであり、第1カードスロット20に記録媒体200が装着されると、装着検知部26により検知される。第2カードスロット30は、記録媒体300用のカードスロットであり、記録媒体300が装着されると、装着検知部36により検知される。
【0028】
記録媒体200及び300は、例えば、メモリカードからなる記録媒体である。これらの記憶媒体は、半導体メモリなどから構成される記録領域やデジタルカメラ100とのインタフェース、デジタルカメラ100と接続を行うコネクタを備えている。記録媒体200及び300は、記録する画像データの記録容量が大きいほど長時間駆動し、消費電力が高くなり、発熱量も増加する。
【0029】
システム制御回路50は、デジタルカメラ100全体を制御する制御回路であり、メモリ52は、システム制御回路50の動作用の定数、変数、プログラムなどを記憶するメモリである。
【0030】
システム制御回路50は、デジタルカメラ100の様々な動作において判定手段及び制御手段として用いられる。また、システム制御回路50は、撮像素子14によって撮像された画像データを画像処理回路60によって演算した演算結果に基づいて撮像用シャッタ12、撮影レンズ16、絞り18を制御してAF処理及びAE処理を行う。
【0031】
表示部54は、システム制御回路50でのプログラムの実行に応じて、文字、画像、音声などを用いて動作状態や警告メッセージを表示する表示部であり、ライブビュー画像や撮影した画像を表示する。表示部54は、例えば、液晶ディスプレイなどで構成されており、動作音や警告音などを発音するスピーカなどの発音機能も備えている。
【0032】
画像処理回路60は、撮像素子14により撮影された画像データに対して、画素補間処理や色変換処理、予め設定された動画記録設定(動画記録画質や動画記録形式など)に合わせた所定の画像処理を施す。画像処理回路60は、1スロット記録モードの場合は、1つの動画から1種類の動画データ(画像データ)を作成し、2スロット記録モードの場合は1つの動画から2種類の動画データ(画像データ)を作成する。また、画像処理回路60は、記録媒体200及び300に記録されている画像データを読み出し、表示部54に画像を表示するための処理を行う。
【0033】
操作部80は、各種ボタンやスイッチなどから成り、撮影及び再生を実行する際の各種機能選択や設定、撮影及び再生に係る指示を行う。操作部80は、また、記録モードを設定する際の設定手段として機能する。また、操作部80は、動画記録画質や動画記録形式などの動画記録設定をする際にも使用され、第1カードスロット20及び第2カードスロット30にそれぞれ動画記録設定を行う。
【0034】
動画ボタン82は、動画の撮像を開始するためのボタンである。動画ボタン82がONされるとシステム制御回路50は、撮像素子14を制御して撮像を開始する。画像処理回路60は、システム制御回路50の指示を受け、撮像した画像データに対して所定の画像処理を行い、記録媒体200又は300の記録領域に記録する。
【0035】
ライブビュースイッチ84がONされると、システム制御回路50は、撮像素子14を制御して撮像を開始し、画像処理回路60は、撮像した画像データにライブビュー用の画像処理を行う。システム制御回路50は、ライブビュースイッチ84がONされると、表示部54に画像データを逐次表示することによってライブビューを表示する。ライブビュースイッチ84がOFFされると、システム制御回路50は、ライブビュー表示を停止する。
【0036】
電源スイッチ86は、デジタルカメラ100の電源のオン、オフを切り替えるスイッチである。把持検出部88は、後述するグリップ部110の把持を検出する検出手段であり、静電容量の変化を検出するものや、触覚センサなどで構成されている。
【0037】
デジタルカメラ100の動画記録モードとして、1スロット記録モードと2スロット記録モードが挙げられる。1スロット記録モードは、撮影した画像データから1種類の動画データを作成して1つの記録媒体に記録するモードであり、2スロット記録モードは、撮影した画像データから2つの動画データを同時に作成して2つの記録媒体にそれぞれ記録するモードである。
【0038】
図3は、図1のデジタルカメラ100で実行される第1の動画記録処理の手順を示すフローチャートである。第1の動画記録処理は、システム制御回路50に内蔵された図示省略されたCPU(以下、単に「システム制御回路50」という。)が、同じく図示省略されたROMに記憶された動画記録処理プログラムに従って実行する。この動画記録処理は、複数の記録媒体に同時に動画を記録する場合の動画記録処理に関する。
【0039】
図3において、動画記録処理が開始されると、システム制御回路50は、ライブビュースイッチ(LVSW)84がONされることによってライブビューが開始されたか否か判定する(ステップS101)。ステップS101の判定の結果、ライブビュースイッチ84がONされていない場合(ステップS101で「NO」)、システム制御回路50は、ライブビュースイッチ84がONされるまで待機し、判定動作を繰り返す。
【0040】
ステップS101の判定の結果、ライブビュースイッチ84がONされることによってライブビューが開始された場合(ステップS101で「YES」)、システム制御回路50は、処理をステップS102に進める。すなわち、システム制御回路50は、撮像素子14を制御して撮像を開始し、画像処理回路60を制御して撮像した画像データにライブビュー用画像処理を施し、表示部54にライブビュー(LV)を表示する(ステップS102)。
【0041】
表示部54にライブビューを表示した後(ステップS102)、システム制御回路50は、動画記録モードが2スロット記録モードに設定されているか否か判定する(ステップS103)。ステップS103の判定の結果、動画記録モードとして2スロット記録モードが設定されていた場合(ステップS103で「YES」)、システム制御回路50は、動画ボタン82がONされたか否かを判定する(ステップS107)。ステップS107の判定の結果、動画ボタン82がONされていない場合(ステップS107で「NO」)、システム制御回路50は、動画ボタン82がONされるまで待機する。
【0042】
一方、ステップS107の判定の結果、動画ボタン82がONされた場合(ステップS107で「YES」)、システム制御回路50は、動画撮影を開始する(ステップS108)。動画撮影を開始した後、システム制御回路50は、画像処理回路60を制御して予め設定された2つの動画記録設定に合せて画像処理を行って2つの画像データを作成し、画像データを記録媒体に記録する(ステップS109)。このとき、システム制御回路50は、内部筐体130に近い第1カードスロット20の記録媒体200に記録容量の大きい画像データを、内部筐体130から遠い第2カードスロット30の記録媒体300に記録容量の小さい画像データを記録する。例えば、2スロット記録モードにおける動画記録設定の動画記録形式がRAWとMPEG‐4の2種類であった場合、記録容量の大きいRAWデータは記録媒体200に、記録容量の小さいMPEG‐4データは記録媒体300に記録される。発熱量が多くなる記録容量の大きい画像データを内部筐体130に近い記録媒体200に記憶させ、発生した熱を速やかに内部筐体130に伝達させてデジタルカメラ100全体に分散させる。これによって、動画撮影可能時間に対する発熱の影響を抑えることができる。
【0043】
画像データを記録媒体に記録した後(ステップS109)、システム制御回路50は、動画ボタン82がOFFされたか否か判定する(ステップS110)。ステップS110の判定の結果、動画ボタン82がOFFされていない場合(ステップS110で「NO」)、システム制御回路50は、動画ボタン82がOFFされるまで待機し、判定動作を繰り返す。
【0044】
ステップS110の判定の結果、動画ボタン82がOFFされた場合(ステップS110で「YES」)、システム制御回路50は、動画撮影を停止し(ステップS111)、本第1の動画記録処理を終了する。
【0045】
一方、ステップS103の判定の結果、2スロット記録モードが設定されておらず、1スロット記録モードが設定されていた場合(ステップS103で「NO」)、システム制御回路50は、処理をステップS104に進める。すなわち、システム制御回路50は、動画ボタン82がONされたか否か判定する(ステップS104)。ステップS104の判定の結果、動画ボタン82がONされていない場合(ステップS104で「NO」)、システム制御回路50は、動画ボタン82が押下されるまで待機する。
【0046】
ステップS104の判定の結果、動画ボタン82がONされた場合(ステップS104で「YES」)、システム制御回路50は、動画撮影を開始する(ステップS105)。すなわち、システム制御回路50は、画像処理回路60を制御して予め設定された動画記録設定で画像処理を行い、画像処理後の動画データを記録媒体200又は記録媒体300の何れか一方に記録する(ステップS106)。
【0047】
このとき、装着検知部26又は36によって、カードスロット20又は30のいずれか一方にしか記録媒体が装着されていないことが検知されていた場合、システム制御回路50は、記録媒体が装着されているカードスロットに動画データを記録する。動画データを記録した後、システム制御回路50は、処理をステップS110に進め、その後、上述の処理を繰り返す。
【0048】
図3の処理によれば、デジタルカメラ100内の熱拡散に有利な内部筐体130に近い記録媒体200に記録容量の大きい動画が記録され、内部筐体130から遠く、グリップ部カバー115に近い記録媒体300に記録容量の小さい動画が記録される。これによって、記録媒体200で発生した大容量の熱を内部筐体130を介してデジタルカメラ100全体に略均一に拡散してその影響を緩和することができる。従って、動画撮影可能時間の長期化を図ることができると共に、グリップ部カバー115が局所的に高温になるのを防止することもできる。
【0049】
図4は、図1のデジタルカメラ100で実行される第2の動画記録処理の手順を示すフローチャートである。第2の動画記録処理は、システム制御回路50に内蔵された図示省略されたCPU(以下、単に「システム制御回路50」という。)が同じく図示省略されたROMに記憶された第2の動画記録処理プログラムに従って実行する。第2の動画記録処理は、複数の記録媒体に同時に動画を記録する動画記録処理であって、設定されている記録モードが所定のものとは異なる場合の取り扱いに関する。
【0050】
図4において、第2の動画記録処理が実行されると、システム制御回路50は、ライブビュースイッチ84がONされることによってライブビューが開始されたか否か判定する(ステップS201)。ステップS201の判定の結果、ライブビュースイッチ84がONされていない場合(ステップS201で「NO」)、システム制御回路50は、ライブビュースイッチ84がONされるまで待機し、判定動作を繰り返す。
【0051】
ステップS201の判定の結果、ライブビュースイッチ84がONされることによってライブビューが開始された場合(ステップS201で「YES」)、システム制御回路50は、処理をステップS202に進める。すなわち、システム制御回路50は、撮像素子14を制御して撮像を開始し、画像処理回路60を制御して撮像した画像データにライブビュー用画像処理を施し、表示部54にライブビューを表示する(ステップS202)。
【0052】
表示部54にライブビュー(LV)を表示した後(ステップS102)、システム制御回路50は、動画記録モードとして2スロット記録モードが設定されているか否か判定する(ステップS203)。
【0053】
ステップS203の判定の結果、動画記録モードとして2スロット記録モードが設定されている場合(ステップS203で「YES」)、システム制御回路50は、処理をステップS204に進める。すなわちシステム制御回路50は、第1カードスロット20の記録媒体200に記録容量の大きい画像データを、第2カードスロット30の記録媒体300に記録容量の小さい画像データを記録する旨、所定通り設定されているか否か判定する(ステップS204)。すなわち、システム制御回路50は、例えば、2スロット記録モードにおける動画記録設定の動画記録形式がRAWとMPEG‐4の2種類である場合、所定通り、記録容量の大きいRAWデータを記録媒体200に記録するように設定されているか否か判定する。また、システム制御回路50は、所定通り、記録容量の小さいMPEG‐4データが記録媒体300に記録されるように設定されているか否か判別する。
【0054】
ステップS204の判定の結果、動画データの記録先が所定通りに設定されていた場合(ステップS204で「YES」)、システム制御回路50は、動画ボタン82がONされたか否か判定する(ステップS207)。ステップS207の判定の結果、動画ボタン82がONされていない場合(ステップS207で「NO」)、システム制御回路50は、動画ボタン82がONされるまで待機し、判定動作を繰り返す。一方、ステップS207の判定の結果、動画ボタン82がONされた場合(ステップS207で「YES」)、システム制御回路50は、動画撮影を開始する(ステップS208)。
【0055】
動画撮影を開始した後(ステップS208)、システム制御回路50は、画像処理回路60を制御して予め設定された動画記録設定に合せて画像処理を行って画像データを作成する。そして、システム制御回路50は、予め設定されているカードスロットと動画記録設定の組合せに従って画像データを記録する(ステップS209)。すなわち、システム制御回路50は、ステップS203の判定によって動画記録モードとして2スロット記録モードが設定されていた場合は2つの画像データを作成して記録する。なお、ステップS203の判定によって動画記録モードとして1スロット記録モードが設定されていた場合は、後述するように、1つの画像データのみを作成して記録する。
【0056】
動画を記録した後(ステップS209)、システム制御回路50は、動画ボタン82がOFFにされたか否か判定する(ステップS210)。ステップS210の判定の結果、動画ボタン82がOFFされていない場合(ステップS210で「NO」)、システム制御回路50は、動画ボタン82がOFFされるまで待機し、判定動作を繰り返す。ステップS210の判定の結果、動画ボタン82がOFFされた場合(ステップS210で「YES」)、システム制御回路50は、動画撮影を停止し(ステップS211)、本第2の動画記録処理を終了する。
【0057】
一方、ステップS204の判定の結果、動画データの記録先が所定通りに設定されていなかった場合(ステップS204で「NO」)、システム制御回路50は、表示部54に、動画撮影可能時間が少なくなる設定である旨の警告を表示する(ステップS205)。そして、警告を表示した後(ステップS205)、システム制御回路50は、ユーザによって動画ボタン82がONされたか否かを判定する(ステップS206)。ステップS206の判定の結果、動画ボタン82がONされなかった場合(ステップS206で「NO」)、システム制御回路50は、処理をステップS204に戻す。一方、ステップS206の判定の結果、動画ボタン82がONされた場合は(ステップS206で「YES」)、システム制御回路50は、処理をステップS208に進め、ステップS208以降の処理を実行する。ユーザの意思に基づく即時性を尊重するためである。
【0058】
一方、ステップS203の判定の結果、2スロット記録モードでなく1スロット記録モードが設定されていた場合(ステップS203で「NO」)、システム制御回路50は、処理をステップS207に進める。このとき、システム制御回路50は、1つの画像データを作成して記録する。
【0059】
図4の処理によれば、熱の拡散に有利な内部筐体130に近い記録媒体200に記録容量の大きい画像データを記録し、内部筐体130から遠い記録媒体300に記録容量の小さい画像データを記録するように設定されているか否か判別する(ステップS204)。すなわち、システム制御回路50は、動画記録形式が2種類である場合、所定通り、記録容量の大きい画像データを熱拡散に有利な記録媒体200に記録し、記録容量の小さい画像データを他の記録媒体300に記録するように設定されているか否か判定する。そして、動画データの記録先が上記所定通りに設定されていない場合(ステップS204で「NO」)、ユーザに対して警告を表示する(ステップS205)。
【0060】
これによって、動画撮影可能時間が短縮する虞のある設定を回避して、ユーザに対し、記録媒体からの熱をデジタルカメラ100全体に均一に拡散して動画撮影可能時間が長くなるような設定への変更を促すことができる。また、動画データの記録容量と記録する記録媒体の組合せにおいて、例えば、グリップ部カバー115が局所的に高温になることを未然に防止することができる。
【0061】
次に、第3の動画記録処理について説明する。
【0062】
図5は、図1のデジタルカメラ100で実行される第3の動画記録処理の手順を示すフローチャートである。第3の動画記録処理は、システム制御回路50に内蔵された図示省略したCPU(以下、単に「システム制御回路50」という。)が同じく図示省略したROMに記憶された第3の動画記録処理プログラムに従って実行する。この動画記録処理は、複数の記録媒体に同時に動画を記録する動画記録処理であって、ユーザがグリップ部を把持しているか否かを検知し、検知結果に基づいて記録する動画データと記録媒体の組合せを変更する場合の処理に関する。
【0063】
図5において、動画記録処理が実行されると、システム制御回路50は、ライブビュースイッチ84がONされることによってライブビューが開始されたか否かを判定する(ステップS301)。ステップS301の判定の結果、ライブビュースイッチ84がONされていない場合(ステップS301で「NO」)、システム制御回路50は、ライブビュースイッチ84がONされるまで待機し、判定動作を繰り返す。
【0064】
ステップS301の判定の結果、ライブビュースイッチ84がONされることによってライブビューが開始された場合(ステップS301で「YES」)、システム制御回路50は、処理をステップS302に進める。すなわち、システム制御回路50は、撮像素子14を制御して撮像を開始し、画像処理回路60を制御して撮像した画像データにライブビュー用画像処理を施し、表示部54にライブビュー(LV)を表示する(ステップS302)。
【0065】
表示部54にライブビューを表示した後(ステップS302)、システム制御回路50は、動画記録モードとして2スロット記録モードが設定されているか否かを判定する(ステップS303)。
【0066】
ステップS303の判定の結果、動画記録モードとして2スロット記録モードが設定されていた場合(ステップS303で「YES」)、システム制御回路50は、動画ボタン82がONされたか否かを判定する(ステップS307)。ステップS307の判定の結果、動画ボタン82がONされていない場合(ステップS307で「NO」)、システム制御回路50は、動画ボタン82がONされるまで待機し、判定動作を繰り返す。
【0067】
一方、ステップS307の判定の結果、動画ボタン82がONされた場合(ステップS307で「YES」)、システム制御回路50は、処理をステップS308に進める。すなわち、システム制御回路50は、動画撮影を開始し、画像処理回路60を制御して予め設定された2つの動画記録設定に合せて画像処理を施し、2つの画像データを作成する(ステップS308)。画像データを作成した後(ステップS308)、システム制御回路50は、把持検出部88を監視してユーザがグリップ部110を把持しているか否かを判別する(ステップS309)。
【0068】
ステップS309の判定の結果、ユーザがグリップ部110を把持している場合(ステップS309で「YES」)、システム制御回路50は、処理をステップS310に進める。すなわち、システム制御回路50は、内部筐体130に近い第1カードスロット20の記録媒体200に記録容量の大きい画像データを記録する。また、システム制御回路50は、内部筐体130から遠い第2カードスロット30の記録媒体300に記録容量の小さい画像データを記録する(ステップS310)。例えば、2スロット記録モードにおける動画記録設定の動画記録形式がRAWとMPEG‐4の2種類であった場合、システム制御回路50は、記録容量の大きいRAWデータを記録媒体200に、記録容量の小さいMPEG‐4データを記録媒体300に記録する。これによって、記憶媒体200で発生した熱を内部筐体130を介してデジタルカメラ100全体に分散させてその影響を緩和することができる。
【0069】
画像データを記録した後(ステップS310)、システム制御回路50は、処理をステップS312に進める。すなわち、システム制御回路50は、動画ボタン82がOFFされたか否か判定する(ステップS312)。ステップS312の判定の結果、動画ボタン82がOFFされていない場合(ステップS312で「NO」)、システム制御回路50は、動画ボタン82がOFFされるまで待機し、判定動作を繰り返す。一方、ステップS312の判定の結果、動画ボタン82がOFFされた場合(ステップS312で「YES」)、システム制御回路50は、動画撮影を停止し(ステップS313)、その後、本第3の動画記録処理を終了する。
【0070】
一方、ステップS309の判定の結果、ユーザによってグリップ部110が把持されていない場合(ステップS309で「NO」)、システム制御回路50は、処理をステップS311に進める。すなわち、システム制御回路50は、内部筐体130に近い第1カードスロット20の記録媒体200に記録容量の小さい画像データを記録する。また、システム制御回路50は、内部筐体130から遠い第2カードスロット30の記録媒体300に記録容量の大きい画像データを記録する(ステップS311)。
【0071】
これによって、ユーザがグリップ部110を把持していない場合、グリップ部カバー115に近い第2カードスロット30の記録媒体300に記録容量の大きい画像データを記録して、発生する熱をグリップ部110を介して外部に拡散することができる。この場合、ユーザは、グリップ部110を把持していないので、ユーザに違和感を与えることもない。
【0072】
画像データを記録した後(ステップS311)、システム制御回路50は、処理をステップS312に進め、以下、同様の処理を実行する。
【0073】
また、ステップS303の判定の結果、2スロット記録モードが設定されておらず、1スロット記録モードが設定されていた場合(ステップS303で「NO」)、システム制御回路50は、動画ボタン82がONされたか否か判別する(ステップS304)。ステップS304の判定の結果、動画ボタン82がONされていない場合(ステップS304で「NO」)、システム制御回路50は、動画ボタン82がONされるまで待機し、判定動作を繰り返す。
【0074】
一方、ステップS304の判定の結果、動画ボタン82がONされた場合(ステップS304で「YES」)、システム制御回路50は、動画撮影を開始する(ステップS305)。すなわち、システム制御回路50は、動画撮影を開始し、画像処理回路60を制御して予め設定された動画記録設定で画像処理を行い、画像処理後の動画データを記録媒体200又は300のどちらか一方に記録する(ステップS306)。このとき、装着検知部26又は36によって、カードスロット20又は30のいずれか一方にしか記録媒体が装着されていないことが検知されていた場合、システム制御回路50は、記録媒体が装着されている方のカードスロットに動画データを記録する。動画データを記録した後(ステップS306)、システム制御回路50は、処理をステップS312に進め、以下、同様の処理を実行する。
【0075】
図5の処理によれば、ユーザ(撮影者)がグリップ部110を把持していない場合(ステップS309で「NO」)、グリップ部カバー115に近い記録媒体300に記録容量の大きい動画データを記録する(ステップS311)。これによって、大容量の画像データを記録する記録媒体で発生した熱がグリップ部カバー115を介して外装に伝わるので、外装が外気に触れることによってデジタルカメラ100の外部への放熱が促進され、動画撮影可能時間の長期化を図ることができる。
【0076】
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0077】
図6は、第2の実施の形態に係る撮像装置を示す図である。図6において、図6(a)は、撮像装置としてのデジタルカメラ100の正面図、図6(b)は、デジタルカメラ100の水平方向に沿った中央断面図である。
【0078】
このデジタルカメラでは、記録媒体220及び320がデジタルカメラ100の撮影光軸10に対して垂直方向に沿って配置されており、画像処理エンジン61が回路基板であるメイン基板40のリアカバー120に対向する面に実装されている。
【0079】
以下、図1のデジタルカメラ100と異なる点を中心に第2の実施の形態に係るデジタルカメラについて説明する。
【0080】
図6において、デジタルカメラ100は、メイン基板40、外装部品であるリアカバー120、及び内部筐体130を備えている。
【0081】
メイン基板40は、撮影光軸10に対して垂直、且つ、リアカバー120に対して平行に配置されている。メイン基板40の第1の面42は、リアカバー120に対向しており、第1の面42には、第2の記録媒体320が装着された第2カードスロット32が実装されている。また、メイン基板40の第1の面42に対向する第2の面44には、第1の記録媒体220が装着された第1カードスロット22が実装されている。記憶媒体220と記憶媒体320は、同じ種類の記憶媒体である。
【0082】
メイン基板40は、第2の面44を介して内部筐体130に接触保持されている。第1カードスロット22は、第2カードスロット32よりも内部筐体130に近く、また第2カードスロット32は、第1カードスロット22よりもリアカバー120に近い。このため、第2カードスロット32に装着された記録媒体320の熱はリアカバー120に伝わり易く、第1のカードスロット22に装着された記録媒体220の熱は内部筐体130に伝わりやすい。
【0083】
内部筐体130は、一部又は全部が金属で構成されており、内部筐体130に伝達された熱は、デジタルカメラ100全体に略均一に拡散される。従って、デジタルカメラ100内で発生した熱を内部筐体130に伝達させることによって、デジタルカメラ100全体に略均一に拡散させることができ、局所的に高温になってしまうことによる動画撮影時間の短縮化を抑制することができる。
【0084】
次に、上述の図3のフローチャートを用いて、図6のデジタルカメラで実行される第1の動画記録処理について説明する。この動画記録処理は、システム制御回路50に内蔵された図示省略したCPU(以下、単に「システム制御回路50」という。)が同じく図示省略されたROMに記憶された動画記録処理プログラムに従って実行する。この動画記録処理は、複数の記録媒体に同時に動画データを記録する場合の動画記録処理に関する。
【0085】
図3のステップS101からステップS108までは第1の実施の形態の場合と同様であるため、その説明を省略する。ステップS108において動画撮影を開始した後、システム制御回路50は、画像処理回路60を制御して予め設定された2つの動画記録設定に合せて画像処理を行って2つの画像データを作成し、画像データを記録媒体に記録する(ステップS109)。
【0086】
このとき、システム制御回路50は、リアカバー120から遠い第1カードスロット22に装着されている記録媒体220に記録容量の大きい画像データを記録する。また、システム制御回路50は、リアカバー120に近い第2カードスロット32に装着されている記録媒体320に記録容量の小さい画像データを記録する(ステップS109)。これによって、記録容量の大きい画像データを記録した記録媒体220で発生した大容量の熱を内部筐体130を介して効率よくデジタルカメラ100内に分散させることができ、局所高温を緩和して動画撮影時間の長期化を図ることができる。ステップS110以降の各ステップにおける処理は、第1の実施の形態の場合と同様である。
【0087】
本実施の形態によれば、デジタルカメラ100内での熱拡散が有利な内部筐体130に近い記録媒体220に記録容量の大きい動画を記録し、リアカバー120に近い記録媒体320に記録容量の小さい動画を記録する。これによって、記録媒体220で発生した大容量の熱がデジタルカメラ100全体に略均一に拡散し易くなるので、リアカバー120が局所的に高温になるのを防止し、動画撮影可能時間の延長を図ることができる。
【0088】
すなわち、動画撮影時間を長くするためには、記録媒体(220、320)からリアカバー120に伝達する熱量をなるべく減らし、内部筐体130に伝達する熱量を増やして、デジタルカメラ100内で略均一に拡散させることが有効である。従って、本実施の形態では、リアカバー120に近い記録媒体320に発熱量が低い記録容量が小さい画像データが記録され、内部筐体130に近い記録媒体220には発熱量が高い記録容量が大きい画像データが記録される。
【0089】
本実施の形態において、メイン基板40の第1の面42には、システム制御部品51及び画像処理エンジン61が実装されている。そして、システム制御部品51にはシステム制御回路50が形成されており、画像処理エンジン61には、画像処理回路60が形成されている。システム制御部品51及び画像処理エンジン61は、消費電力が高い発熱部品であり、両者ともメイン基板40の第1の面42に実装されているため、熱がリアカバー120に伝わりやすい。
【0090】
動画撮影時間の延長を図るためには、記録媒体(220、320)からリアカバー120に伝達する熱量をなるべく減らす必要があるため、メイン基板40の第1の面42に実装される電子部品の消費電力を下げる必要がある。従って、メイン基板40の第1の面42に実装された第2カードスロット32に装着された記録媒体320には、消費電力が低い画像データ(記録容量が小さい画像データ)を記録する。一方、メイン基板40の第2の面44に実装された第1カードスロット22に装着された記録媒体220には、消費電力が高い画像データ(記録容量が大きい画像データ)を記録して発生した大容量の熱をデジタルカメラ100全体に散させている。
【0091】
本実施の形態において、所定通り、メイン基板40の第1の面42に実装された第2カードスロット32の記録媒体320に、消費電力が小さい画像データが記録される。また、メイン基板40の第2の面44に実装された第1カードスロット22の記録媒体220に、消費電力が大きい画像データが記録される。そして、画像データと記録媒体の組み合わせが上記所定通りになっていない場合は、ユーザに対して警告を発することが好ましい。
【0092】
<第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態について説明する。
【0093】
図7は、第3の実施の形態に係る撮像装置の水平方向に沿った中央断面図である。このデジタルカメラでは、記録媒体240及び340が撮影光軸10に対して垂直な方向に沿って配置されており、画像処理エンジン61がメイン基板40のリアカバー120に対向する第1の面42とは反対側の第2の面44に実装されている。
【0094】
以下、図1及び図6のデジタルカメラと異なる点を中心に第3の実施の形態に係るデジタルカメラについて説明する。
【0095】
図7において、デジタルカメラ100は、メイン基板40を備えている。メイン基板40は、撮影光軸10に対して垂直、且つ、リアカバー120に対して平行に配置されている。メイン基板40は、リアカバー120に対向する第1の面42と第1の面42に対向する第2の面44を備えている。第1の面42には、第1の記録媒体240が装着された第1カードスロット24が実装されており、第2の面44には、第2の記録媒体340が装着された第2カードスロット34が実装されている。また、第2の面44には、システム制御部品51と画像処理エンジン61が実装されている。なお、記憶媒体240と記憶媒体340は、同じ種類の記憶媒体である。
【0096】
撮像基板46は、メイン基板40の第2の面44に対向するように配置されており、撮像基板46のメイン基板40に対向する面とは反対側の面に撮像素子14が実装されている。
【0097】
システム制御部品51及び画像処理エンジン61は、消費電力が高い発熱部品であり、両者ともメイン基板40の第2の面44に実装されている。このため、システム制御部品51及び画像処理エンジン61で発生した熱は、撮像基板46を介して撮像素子14に伝わり易い。撮像素子14の温度が上がると動画撮影時の画質が劣化するので、撮像素子14の温度によっても動画撮影可能時間が制限される。すなわち、図7のデジタルカメラ100においては、動画撮影可能時間の長期化を図るためには、撮像素子14の温度を上昇させないことが好ましい。
【0098】
次に、上述の図3のフローチャートを用いて、図7のデジタルカメラで実行される第1の動画記録処理について説明する。この動画記録処理は、デジタルカメラ100のシステム制御回路50に内蔵された図示省略されたCPU(以下、単に「システム制御回路50」という。)が同じく図示省略されたROMに記憶された動画記録処理プログラムに従って実行する。この動画記録処理は、複数の記録媒体に同時に動画を記録する場合の動画記録処理に関する。
【0099】
図3のステップS101からステップS108までは第1の実施の形態及び第2の実施の形態の場合と同様であるため、その説明を省略する。ステップS108において動画撮影を開始した後、システム制御回路50は、画像処理回路60を制御して予め設定された2つの動画記録設定に合せて画像処理を行って2つの画像データを作成し、画像データを記録媒体に記録する(ステップS109)。
【0100】
このとき、システム制御回路50は、撮像素子14から遠いメイン基板40の第1の面42に実装されている第1カードスロット24に装着されている記録媒体240に記録容量の大きい画像データを記録する。また、システム制御回路50は、撮像素子14に近いメイン基板40の第2の面44に実装されている第2カードスロット34に装着されている記録媒体340には記録容量の小さい画像データを記録する(ステップS109)。これによって、記録媒体240で発生した大容量の熱を、撮像素子14から遠いメイン基板40の第1の面42に伝達させて撮像素子14への影響を緩和することができる。従って、動画撮影時間の短縮を抑制しで長期化を図ることができる。ステップS110以降の各ステップにおける処理は、第1の実施の形態及び第2の実施の形態の場合と同様である。
【0101】
本実施の形態によれば、撮像素子14から遠い記録媒体240に記録容量の大きい画像データを記録し、撮像素子14に近い記録媒体340に記録容量の小さい動画を記録する。これによって、メイン基板40の第2の面44に実装される電子部品の消費電力が相対的に下がるので、撮像素子14への熱影響が低減されて動画撮影可能時間の延長を図る設定となる。
【0102】
すなわち、動画撮影時間の延長を図るためには、撮像基板46に対向するメイン基板40の第2の面44に実装される電子部品の消費電力を下げて撮像基板46に伝達される発熱量を下げる必要がある。従って、本実施の形態では、画像処理エンジン61が実装されているメイン基板40の第2の面44に実装された第2カードスロット34の記録媒体340には、消費電力が低い画像データ(記録容量が小さい画像データ)が記録される。また、メイン基板40の第1の面42に実装された第1カードスロット24の記録媒体240には、消費電力が高い画像データ(記録容量が大きい画像データ)が記録される。
【0103】
本実施の形態において、上述したように、所定通り、第2カードスロット34の記録媒体340には消費電力が低い画像データを記録し、第1カードスロット24の記録媒体240には消費電力が高い画像データを記録される。そして、画像データと記録媒体の組み合わせが上記所定通りになっていない場合は、ユーザに対して警告を発することが好ましい。
【0104】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。特に、上記各実施の形態では、カードスロットを2つとし、動画記録モードを1スロット記録モードと2スロット記録モードの2つとしたが、これに限定されるものではなく、カードスロット及び動画記録モード数を2よりも多くすることもできる。また、動画の記録容量の違いとして、動画記録形式を例に説明したが、これに限ったものではない。
【符号の説明】
【0105】
10 撮影光軸
14 撮像素子
20、22、24 第1カードスロット
30、32、34 第2カードスロット
40 メイン基板
42 メイン基板の第1の面
44 メイン基板の第2の面
46 撮像基板
50 システム制御回路
51 システム制御部品
60 画像処理回路
61 画像処理エンジン
100 デジタルカメラ
110 グリップ部
120 リアカバー
200、220、240、300、320、340 記録媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-05-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1記載の撮像装置は、撮像手段によって撮像した動画を記録するメディアを収容する第1のメディアスロット及び前記第1のメディアスロットよりもユーザが把持するためのグリップ部から近い第2のメディアスロットと、前記第1のメディアスロットと前記第2のメディアスロットとで同時に異なる記録形式の動画を記録する設定において、前記第1のメディアスロットで動画を記録する第1の記録形式よりも記録容量の大きいデータを記録する第2の記録形式が前記第2のメディアスロットに設定されている場合には、ユーザに対して警告を行う制御手段と、を有することを特徴とする。
また、請求項12記載の撮像装置は、撮像手段によって撮像した動画を記録するメディアを収容する第1のメディアスロット及び前記第1のメディアスロットよりもユーザが把持するためのリアカバーから近い第2のメディアスロットと、前記第1のメディアスロットと前記第2のメディアスロットとで同時に異なる記録形式の動画を記録する設定において、前記第1のメディアスロットで動画を記録する第1の記録形式よりも記録容量の大きいデータを記録する第2の記録形式が前記第2のメディアスロットに設定されている場合には、ユーザに対して警告を行う制御手段と、を有することを特徴とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段によって撮像した動画を記録するメディアを収容する第1のメディアスロット及び前記第1のメディアスロットよりもユーザが把持するためのグリップ部から近い第2のメディアスロットと、
前記第1のメディアスロットと前記第2のメディアスロットとで同時に異なる記録形式の動画を記録する設定において、前記第1のメディアスロットで動画を記録する第1の記録形式よりも記録容量の大きいデータを記録する第2の記録形式が前記第2のメディアスロットに設定されている場合には、ユーザに対して警告を行う制御手段と、を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記制御手段は、表示部への表示によってユーザへの前記警告を行うことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記警告は、動画の記録時間に関する警告であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記警告は、動画の記録時間が短くなる可能性がある旨の警告であることを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記警告は、メディアの発熱に関する警告であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第1のメディアスロットから生じる熱が前記第2のメディアスロットから生じる熱よりも伝熱されやすい位置に配置されたシャーシを有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第1の記録形式はRAWであることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第2の記録形式はMPEG-4であることを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記メディアはメモリカードであることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記メディアスロットは、カードスロットであることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項11】
撮像手段によって撮像した動画を記録するメディアを収容する第1のメディアスロット及び前記第1のメディアスロットよりもユーザが把持するためのグリップ部から近い第2のメディアスロットを有する撮像装置の制御方法であって、
前記第1のメディアスロットと前記第2のメディアスロットとで同時に異なる記録形式の動画を記録する設定において、前記第1のメディアスロットで動画を記録する第1の記録形式よりも記録容量の大きいデータを記録する第2の記録形式が前記第2のメディアスロットに設定されている場合には、ユーザに対して警告を行う制御ステップを有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項12】
撮像手段によって撮像した動画を記録するメディアを収容する第1のメディアスロット及び前記第1のメディアスロットよりもユーザが把持するためのリアカバーから近い第2のメディアスロットと、
前記第1のメディアスロットと前記第2のメディアスロットとで同時に異なる記録形式の動画を記録する設定において、前記第1のメディアスロットで動画を記録する第1の記録形式よりも記録容量の大きいデータを記録する第2の記録形式が前記第2のメディアスロットに設定されている場合には、ユーザに対して警告を行う制御手段と、を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項13】
前記制御手段は、表示部への表示によってユーザへの前記警告を行うことを特徴とする請求項12に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記警告は、動画の記録時間に関する警告であることを特徴とする請求項12または請求項13に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記警告は、動画の記録時間が短くなる可能性がある旨の警告であることを特徴とする請求項14に記載の撮像装置。
【請求項16】
前記警告は、メディアの発熱に関する警告であることを特徴とする請求項12または請求項13に記載の撮像装置。
【請求項17】
前記第1のメディアスロットから生じる熱が前記第2のメディアスロットから生じる熱よりも伝熱されやすい位置に配置されたシャーシを有することを特徴とする請求項12乃至請求項16のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項18】
前記第1の記録形式はRAWであることを特徴とする請求項12乃至請求項17のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項19】
前記第2の記録形式はMPEG-4であることを特徴とする請求項18に記載の撮像装置。
【請求項20】
前記メディアはメモリカードであることを特徴とする請求項12乃至請求項19のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項21】
前記メディアスロットは、カードスロットであることを特徴とする請求項12乃至請求項20のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項22】
撮像手段によって撮像した動画を記録するメディアを収容する第1のメディアスロット及び前記第1のメディアスロットよりもユーザが把持するためのリアカバーから近い第2のメディアスロットを有する撮像装置の制御方法であって、
前記第1のメディアスロットと前記第2のメディアスロットとで同時に異なる記録形式の動画を記録する設定において、前記第1のメディアスロットで動画を記録する第1の記録形式よりも記録容量の大きいデータを記録する第2の記録形式が前記第2のメディアスロットに設定されている場合には、ユーザに対して警告を行う制御ステップを有することを特徴とする撮像装置の制御方法。