(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009633
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】光源装置及び画像表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/09 20060101AFI20240116BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20240116BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
G02B27/09
G02B27/02 Z
G03B21/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111310
(22)【出願日】2022-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】原勢 憲太郎
【テーマコード(参考)】
2H199
2K203
【Fターム(参考)】
2H199CA06
2H199CA23
2H199CA27
2H199CA29
2H199CA32
2H199CA35
2H199CA42
2H199CA47
2H199CA58
2H199CA68
2H199CA69
2K203FA22
2K203FA25
2K203FA44
2K203GC04
2K203HA73
(57)【要約】 (修正有)
【課題】光学フィルタのような追加部品を用いることなく光源の光量過剰に対応できる光源装置を提供すること。
【解決手段】本技術に係る光源装置は、少なくとも1つの光源(LD)と、前記光源(LD)からの光の光路上に配置された、レンズを含む光学系と、を備え、前記レンズの開口数が0.16以下であり、且つ、前記光源(LD)の、互いに直交する2つ方向の各々に関する放射角の和である放射角和が14°以上である、光源装置である。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの光源と、
前記光源からの光の光路上に配置された、レンズを含む光学系と、
を備え、
前記レンズの開口数が0.16以下であり、且つ、前記光源の、互いに直交する2つ方向の各々に関する放射角の和である放射角和が14°以上である、光源装置。
【請求項2】
前記開口数が0.09以下であり、且つ、前記放射角和が14°以上である、請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記開口数が0.16以下であり、且つ、前記放射角和が23°以上である、請求項1に記載の光源装置。
【請求項4】
前記開口数が0.09以下であり、且つ、前記放射角和が23°以上である、請求項1に記載の光源装置。
【請求項5】
前記レンズは、球面レンズ又は非球面レンズである、請求項1に記載の光源装置。
【請求項6】
前記光源は、半導体レーザーである、請求項1に記載の光源装置。
【請求項7】
請求項1に記載の光源装置と、
前記光源装置からの光により画像を形成する画像形成部と、
前記画像を形成した光を投射する投射光学系と、
を備える、画像表示装置。
【請求項8】
前記画像形成部は、光偏向器を有する、請求項7に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記画像形成部は、デジタルミラーデバイスを有する、請求項7に記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記画像形成部は、液晶素子を有する、請求項7に記載の画像表示装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの光源は、発光波長が異なる複数の光源であり、
前記レンズが前記複数の光源に対応して複数設けられ、
前記光源装置の光学系は、前記複数の光源の各々から出射され対応する前記レンズを介した光を合成する、請求項7に記載の画像表示装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの光源は、発光波長が異なる複数の光源であり、
前記レンズは、前記複数の光源に対応して複数設けられ、
前記液晶素子が複数の前記レンズに対応して複数設けられ、
前記画像形成部は、前記複数のレンズの各々を介した光を該レンズに対応する前記液晶素子に入射させ、該液晶素子を介した光を合成する、請求項10に記載の画像表示装置。
【請求項13】
前記投射光学系を介した光をユーザの眼球に導く光学素子を更に備える、請求項7に記載の画像表示装置。
【請求項14】
前記光源装置と前記画像形成部との間の前記光の光路上に配置された集光光学素子を更に備える、請求項7に記載の画像表示装置。
【請求項15】
前記画像形成部は、デジタルミラーデバイスを有し、
前記集光光学素子は、前記光を前記光源装置と前記デジタルミラーデバイスとの間の前記光の光路上で集光させる、請求項14に記載の画像表示装置。
【請求項16】
前記画像形成部は、光偏向器を有し、
前記集光光学素子は、前記光を前記光偏向器に集光させる、請求項14に記載の画像表示装置。
【請求項17】
前記投射光学系は、集光光学素子を含む、請求項10に記載の画像表示装置。
【請求項18】
前記投射光学系は、投射光学素子を含み、
前記集光光学素子は、前記画像形成部と前記投射光学素子との間の前記光の光路上に配置される、請求項17に記載の画像表示装置。
【請求項19】
前記投射光学系を介した光をユーザの眼球に導く光学素子を更に備え、
前記投射光学系は、投射光学素子を含み、
前記集光光学素子は、前記投射光学素子と前記光学素子との間の前記光の光路上に配置される、請求項17に記載の画像表示装置。
【請求項20】
少なくとも前記光学素子が前記ユーザの頭部に装着される、請求項13に記載の画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示に係る技術(以下「本技術」とも呼ぶ)は、光源装置及び画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源からの光をレンズを含む光学系を介して出射する光源装置が知られている。
【0003】
従来の光源装置には、光源の光量不足を補うためにレンズの開口数(NA:Numerical Aperture)を大きくしたものがある(例えば特許文献1参照)。このように高効率化のアプローチとしてレンズの開口数(NA)を大きくすることが通常の光学設計として広く知られている。
【0004】
一方、従来の光源装置には、光源からの光の光量を調整する(減光する)光学フィルタを有するものがある(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-3922号公報
【特許文献2】特開平5-120724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば特許文献1には、光源の光量過剰に対応する手法については何ら言及されていない。例えば特許文献2では、光源の光量過剰に対応するために光学フィルタのような追加部品を用いている。
【0007】
そこで、本技術は、光学フィルタのような追加部品を用いることなく光源の光量過剰に対応できる光源装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本技術は、少なくとも1つの光源と、
前記光源からの光の光路上に配置された、レンズを含む光学系と、
を備え、
前記レンズの開口数が0.16以下であり、且つ、前記光源の、互いに直交する2つ方向の各々に関する放射角の和である放射角和が14°以上である、光源装置を提供する。
前記開口数が0.09以下であり、且つ、前記放射角和が14°以上であってもよい。
前記開口数が0.16以下であり、且つ、前記放射角和が23°以上であってもよい。
前記開口数が0.09以下であり、且つ、前記放射角和が23°以上であってもよい。
前記レンズは、球面レンズ又は非球面レンズであってもよい。
前記光源は、半導体レーザーであってもよい。
本技術は、前記光源装置と、
前記光源装置からの光により画像を形成する画像形成部と、
前記画像を形成した光を投射する投射光学系と、
を備える、画像表示装置も提供する。
前記画像形成部は、光偏向器を有していてもよい。
前記画像形成部は、デジタルミラーデバイスを有していてもよい。
前記画像形成部は、液晶素子を有していてもよい。
前記少なくとも1つの光源は、発光波長が異なる複数の光源であり、前記レンズが前記複数の光源に対応して複数設けられ、前記光源装置の光学系は、前記複数の光源の各々から出射され対応する前記レンズを介した光を合成してもよい。
前記少なくとも1つの光源は、発光波長が異なる複数の光源であり、前記レンズは、前記複数の光源に対応して複数設けられ、前記液晶素子が複数の前記レンズに対応して複数設けられ、前記画像形成部は、前記複数のレンズの各々を介した光を該レンズに対応する前記液晶素子に入射させ、該液晶素子を介した光を合成してもよい。
前記投射光学系を介した光をユーザの眼球に導く光学素子を更に備えていてもよい。
前記光源装置と前記画像形成部との間の前記光の光路上に配置された集光光学素子を更に備えていてもよい。
前記画像形成部は、デジタルミラーデバイスを有し、前記集光光学素子は、前記光を前記光源装置と前記デジタルミラーデバイスとの間の前記光の光路上で集光させてもよい。
前記画像形成部は、光偏向器を有し、前記集光光学素子は、前記光を前記光偏向器に集光させてもよい。
前記投射光学系は、集光光学素子を含んでいてもよい。
前記投射光学系は、投射光学素子を含み、前記集光光学素子は、前記画像形成部と前記投射光学素子との間に配置されてもよい。
前記投射光学系を介した光をユーザの眼球に導く光学素子を更に備え、前記投射光学系は、投射光学素子を含み、前記集光光学素子は、前記投射光学素子と前記光学素子との間の前記光の光路上に配置されてもよい。
少なくとも前記光学素子が前記ユーザの頭部に装着されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】比較例1に係る画像表示装置について説明するための図である。
【
図2】比較例2に係る画像表示装置について説明するための図である。
【
図3】レーザーの放射角の定義について説明するための図である。
【
図4】レーザーの放射角の測定方法を説明するための図(その1)である。
【
図5】レーザーの放射角の測定方法を説明するための図(その2)である。
【
図6】レンズの開口数について説明するための図である。
【
図7】レンズの開口数の測定方法について説明するための図(その1)である。
【
図8】レンズの開口数の測定方法について説明するための図(その2)である。
【
図9】比較例3に係る画像表示装置について説明するための図である。
【
図10】効率の求め方を説明するための図(その1)である。
【
図11】効率の求め方を説明するための図(その2)である。
【
図12】開口数が小さいレンズの効率の求め方を説明するための図である。
【
図13】レンズの開口数を小さくする方法を説明するための図である。
【
図14】
図14Aは、比較例4に係る光源装置を示す図である。
図14Bは、本技術に係る光源装置の構成例1を示す図である。
【
図15】
図15Aは、比較例5に係る画像表示装置を示す図である。
図15Bは、比較例6に係る画像表示装置を示す図である。
図15Cは、本技術に係る画像表示装置の構成例1を示す図である。
【
図16】
図16Aは、比較例7に係る画像表示装置を示す図である。
図16Bは、比較例8に係る画像表示装置を示す図である。
図16Cは、本技術に係る画像表示装置の構成例2を示す図である。
【
図17】比較例9に係る画像表示装置を示す図である。
【
図19】放射角和と開口数と効率との関係を示す図(その1)である。
【
図20】
図20Aは、開口数と、周辺光量比及び投射光量との関係を示す図である。
図20Bは、開口数と体積倍率との関係を示す図である。
【
図21】
図21Aは、開口数と、調整感度及び投射光量との関係を示す図である。
図21Bは、開口数と、調整による光量変化及び投射光量との関係を示す図である。
【
図22】放射角和と開口数と効率との関係を示す図(その2)である。
【
図23】開口数と光強度分布の関係を示す図である。
【
図24】放射角和と開口数と効率との関係を示す図(その3)である。
【
図25】従来技術の光源装置及び本技術の光源装置の、光源及びレンズの位置関係を示す図である。
【
図26】従来技術の光源装置の調整感度(位置ずれ及び角度ずれが小の場合)について説明するための図である。
【
図27】本技術の光源装置の調整感度(位置ずれ及び角度ずれが小の場合)について説明するための図である。
【
図28】従来技術の光源装置の調整感度(位置ずれ及び角度ずれが大の場合)について説明するための図である。
【
図29】本技術の光源装置の調整感度(位置ずれ及び角度ずれが大の場合)について説明するための図である。
【
図30】本技術に係る画像表示装置の構成例3を示す図である。
【
図31】本技術に係る画像表示装置の構成例3の機能を示すブロック図である。
【
図32】本技術に係る画像表示装置の構成例4を示す図である。
【
図33】本技術に係る画像表示装置の構成例5を示す図である。
【
図34】従来技術及び本技術の光源装置の容積を比較するための図である。
【
図35】本技術の第1実施形態に係る画像表示装置を示す図である。
【
図36】本技術の第2実施形態に係る画像表示装置を示す図である。
【
図37】本技術の第3実施形態に係る画像表示装置を示す図である。
【
図38】本技術の第4実施形態に係る画像表示装置を示す図である。
【
図39】本技術の第5実施形態に係る画像表示装置を示す図である。
【
図40】本技術の第6実施形態に係る画像表示装置を示す図である。
【
図41】本技術の第7実施形態に係る画像表示装置を示す図である。
【
図42】本技術の第8実施形態に係る画像表示装置を示す図である。
【
図43】本技術の第9実施形態に係る画像表示装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本技術の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。本明細書において、本技術に係る光源装置及び画像表示装置の各々が複数の効果を奏することが記載される場合でも、本技術に係る光源装置及び画像表示装置の各々は、少なくとも1つの効果を奏すればよい。本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。
【0011】
また、以下の順序で説明を行う。
0.導入
1.本技術のベースとなる基本概念
2.本技術に係る光源装置の構成例1
3.本技術に係る画像表示装置の構成例1、2
4.本技術の特徴1
5.本技術の特徴2
6.本技術の特徴3
7.調整感度
8.本技術に係る画像表示装置の構成例3~5
9.本技術に係る光源装置と従来の光源装置の体積
10.本技術の第1~第9実施形態に係る画像表示装置
11.本技術の変形例
【0012】
<0.導入>
従来、例えばレーザーを光源とするプロジェクタ等の画像表示装置では、光源の光量不足を補う目的で光学系の高効率化のアプローチが取られてきた。具体的には、結像効率を上げるために、結像させるレンズのNAを大きくしていた。
【0013】
一方、例えば網膜直描用の画像表示装置では、網膜に対する安全性を確保するために、光源からの光の光量を光学フィルタ(例えばND(Neutral Density)フィルタ)等の追加部品を用いて下げる必要があった。このため、部品追加によるコストアップと追加部品を設置するためのスペースが必要となってしまう問題が発生していた。
【0014】
そこで、発明者は、鋭意検討の末、光学フィルタのような追加部品を用いることなく光源の光量過剰に対応できる光源装置として、本技術に係る光源装置を開発した。
【0015】
ところで、レーザー走査型のプロジェクタでは、1画素に相当するレーザー光束はほぼ平行状態で出射される。レーザービームがビームウェストまで緩やかに収束して、ビームウェストで最もビーム径が小さくなり、ビームウェスト以降では緩やかに発散していく。
図1に示す比較例1の画像表示装置において光学系を高解像度化するためには、レンズL1のNAを高くしてビームを小さく絞り込む必要がある。これは最も投影面に近いレンズ上で投影面までの距離に比例した大きな光束径が必要であることを意味する。比較例1において、レンズL1を高NA化しようとすると、走査ミラーMMのサイズが律速となって光束径が制限される。その制限から外れるためには走査ミラーMMのサイズを大きくする必要があるが、この場合には、応答特性の悪化や、装置の大型化、高コスト化が生じてしまう。
【0016】
図2に示す比較例2の画像表示装置では、高解像度化のために光学系に中間結像点を設けることにより解像度向上を狙っているが、レンズL1の他に中間結像点を生成するレンズL2、L3を追加する必要があり、高コスト化を招く。
【0017】
そこで、発明者は、さらに検討を進め、応答特性の悪化や、装置の大型化、高コスト化を抑制しつつ光学系を高解像度化できる画像表示装置として、本技術に係る光源装置を備える画像表示装置を開発した。
【0018】
<1.本技術のベースとなる基本概念>
レーザー光源(例えばLD:レーザーダイオード)は、
図3に示すように、所定の放射角(広がり角)でレーザー光を放射する。LDの放射角には、レーザーダイオードチップ(LDチップ)の積層方向であるY方向の放射角θ⊥及び積層方向に垂直な方向であるX方向の放射角θ//がある。各放射角は、レーザー光の強度分布であるガウス分布のピーク強度に対して正規化を行い半値となる角度と定義することができる。本明細書中、θ⊥及びθ//の和を「放射角和」と呼ぶ。該レーザーダイオードチップは、一例として、第1クラッド層、活性層及び第2クラッド層がY方向にこの順に積層されたダブルヘテロ構造を有する。なお、レーザーダイオードは、「端面発光レーザー」とも呼ばれる。
【0019】
放射角は、
図4に示す、パワーメータを含む測定装置により測定が可能である。この測定は、光源が設置された位置から所定距離だけ離れた位置にパワーメータを設置して行われる。光源を中心にパワーメータを回転させて光強度を測定する。パワーメータの角度位置により該パワーメータの測定値が
図5に示すように変化する。その測定値を基に
図3に示す方法で放射角を計算することが可能である。
【0020】
レンズの開口数(NA)は、
図6に示すように、該レンズに入射する光線の光軸に対する最大角度θ、及び光源とレンズとの間の媒質の屈折率n1を用いて、次の(1)式で表される。
NA=n1×sinθ・・・(1)
【0021】
通常、光源装置において光源とレンズとの間の媒質は空気であり、n1=1.0となる。NAは、
図7に示す干渉計を利用して測定が可能である。
図7の干渉計は、一般的に使用されている干渉計である。この干渉計では、LDからの光が、第1設備レンズを透過してハーフミラーに入射され、該ハーフミラーで反射光と透過光とに分岐される。ハーフミラーで分岐された反射光は、測定レンズ(測定対象のレンズ)を透過し参照球面(凹面鏡)で反射され測定レンズを再び透過し、ハーフミラー及び第2設備レンズを介してCCDに入射される。ハーフミラーで分岐された透過光は、RefFlat(平面鏡)で反射されハーフミラーで反射され第2設備レンズを介してCCDに入射される。このとき、CCDで、
図8に示すような、ハーフミラーで分岐された透過光及び反射光が合流して干渉することにより発生した干渉縞が撮影される。そこで、撮影された干渉範囲を測定して測定レンズの有効径Rを計算する。また、間隔計測器具により参照球面と測定レンズとの間隔を測定し、その測定値と測定レンズの厚さとにより測定レンズの焦点距離Fを算出することが可能である。
【0022】
測定レンズのNAを有効径R、焦点距離Fを用いて、次の(2)式~(4)式から求めることができる。
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
図9に示す比較例3の画像表示装置は、プロジェクタであり、赤色光(赤色成分のレーザー光)を発する第1レーザーダイオードと、緑色光(緑色成分のレーザー光)を発する第2レーザーダイオードと、青色光(青色成分のレーザー光)を発する第3レーザーダイオードと、第1~第3レーザーダイオードからのレーザー光がそれぞれ入射される第1~第3レンズと、第1~第3レンズの各々を介したレーザー光を合成する、第1~3ミラーを含む合成部とを備えている。第1~第3レンズは、それぞれ、第1~第3レーザーダイオードの各々からのレーザー光を発散光から略平行光に変換するコリメータレンズである。合成部で合成されたレーザー光(合成光)は、反射ミラーを介してMEMSミラーに入射され偏向・走査されて、表示面(例えばスクリーン面、壁面等)上に画像が形成される。
【0027】
各レーザーダイオードから出射された光は、対応するレンズを透過した光のみが結像することができ、効率vを次の(5)~(7)式から求めることができる。
【0028】
レンズがある場合の結像効率v
1は、次の(5)式で表される(
図10参照)。
【数4】
【0029】
レンズがない場合の結像効率v
0は、次の(6)式で表される(
図11参照)。
【数5】
【0030】
レンズを透過した光の効率vは、上記(5)及び(6)式、並びに次の(7)式から求めることができる。
【数6】
【0031】
NAが小さいレンズの結像効率v
2は、次の(8)式で表される(
図12参照)。
【数7】
【0032】
レンズのNAが小さい場合には、光源から出射された光を該レンズにより取り込む光量が減るため、次の(9)式が成立する。
【0033】
【0034】
また、NAを小さくする方法としてレンズの焦点距離を長くすることも可能である(
図13参照)。この場合のレンズの結像効率v
3は、次の(10)式で表され、v
3とv
2とに(11)式が成立する。
【0035】
【0036】
【0037】
<2.本技術に係る光源装置の構成例1>
以下、本技術に係る光源装置の構成例1について、比較例と対比しつつ説明する。
【0038】
(光源装置の構成例1)
図14Aは、比較例4に係る光源装置を示す図である。
図14Bは、本技術に係る光源装置の構成例1を示す図である。
【0039】
比較例4に係る光源装置では、
図14Aに示すように、LDからの放射光の光路上にNAが大きい(例えばNA>0.16)レンズが配置されている。これにより、LDから放射されレンズを介した放射光の強度分布が急峻なガウス分布となる。この場合、ピーク強度Pに対するレンズ開口位置での強度Aの比率である周辺光量比A/P(A:レンズ開口位置での強度、P:ピーク強度)が大きくなり、該レンズを透過した光の光量の積分値である積分光量も大きくなる。すなわち、比較例4に係る光源装置は、光源の光量不足に適し(高効率化に寄与し)、且つ、LD及びレンズのみの非常に簡素な構成を有している。該レンズは、例えばコリメータレンズ(コリメートレンズとも呼ばれる)である。
【0040】
本技術に係る光源装置の構成例1では、
図14Bに示すように、LDからの放射光の光路上にNAが小さい(例えばNA≦0.16)レンズ(例えば球面レンズ又は非球面レンズ)が配置されている。これにより、LDから放射されレンズを介した放射光の強度分布が緩やかなガウス分布となり、ピーク強度Pに対するレンズ開口位置での強度Aの比率である周辺光量比A/P(A:レンズ開口位置での強度、P:ピーク強度)が小さくなり、該レンズを透過した光の光量の積分値である積分光量も小さくなる。すなわち、光源装置の構成例1は、光源の光量過剰に適し(低効率化に寄与し)、且つ、LD及びレンズのみの非常に簡素な構成を有している。該レンズは、例えばコリメータレンズ(コリメートレンズとも呼ばれる)である。
【0041】
なお、光源装置の構成例1において、光源にLDに代えてVCSEL(垂直共振器型面発光レーザー)等の他の半導体レーザーを用いてもよい。
【0042】
<3.本技術に係る画像表示装置の構成例1、2>
以下、本技術に係る画像表示装置の構成例1、2について、比較例と対比しつつ説明する。
【0043】
図15Aは、比較例5に係る画像表示装置を示す図である。
図15Bは、比較例6に係る画像表示装置を示す図である。
図15Cは、本技術に係る画像表示装置の構成例1を示す図である。
【0044】
ところで、一般に画像表示装置において、光源から放射された光は、レンズにより略平行光又は収束光に変換され、画像形成部で画像を形成する光に変換された後、投射レンズにて所定のスポットサイズに集光される(結像される)。投射レンズにより集光された光のスポット径は、画像表示装置において解像度を決める要素となる。そのため、スポット径を小さくすることが求められる。
【0045】
比較例5に係る画像表示装置では、
図15Aに示すように、LDからの放射光の光路上にNAが大きい(例えばNA>0.16)レンズが配置され、該レンズを介した光の光路上にアパーチャ(開口部材)及び投射レンズがレンズ側からのこの順に配置されている。レンズと投射レンズとの間の光の光路上に該光により画像を形成する画像形成部(不図示)が配置されている。すなわち、比較例5に係る画像表示装置は、比較例4に係る光源装置(
図14A参照)に画像形成部、アパーチャ及び投射レンズを加えた構成を有している。比較例5に係る画像表示装置では、LDから放射されレンズを介した放射光の強度分布が急峻なガウス分布となって該放射光の光量の積分値である積分光量が大きくなり、画像形成部、アパーチャ及び投射レンズを介した光のメインローブのスポット径も大きくなる。よって、比較例5に係る画像表示装置では、高効率化を実現できるものの、高解像度化に関して改善の余地がある。
【0046】
比較例6に係る画像表示装置では、
図15Bに示すように、LDからの放射光の光路上にNAが大きい(例えばNA>0.16)レンズが配置され、該レンズを介した光の光路上に減衰フィルタ(NDフィルタ)が配置され、該減衰フィルタを介した光の光路上にアパーチャ(開口部材)及び投射レンズが減衰フィルタ側からこの順に配置されている。減衰フィルタと投射レンズとの間の光の光路上に該光により画像を形成する画像形成部(不図示)が配置されている。すなわち、比較例6に係る画像表示装置は、比較例4に係る光源装置(
図14A参照)に減衰フィルタ、画像形成部、アパーチャ及び投射レンズを加えた構成を有している。比較例6に係る画像表示装置では、LDから放射されレンズ、減衰フィルタをこの順に介した放射光の強度分布が緩やかなガウス分布となって該放射光の光量の積分値である積分光量が小さくなり、画像形成部、アパーチャ及び投射レンズを介した光のメインローブのスポット径も小さくなる。すなわち、比較例6に係る画像表示装置では、減衰フィルタにより光強度分布の中心光量を下げて周辺光量を上げることにより、スポット径を小さくすることができる。よって、比較例6に係る画像表示装置では、低効率化及び高解像度化を実現できるものの、追加部品としての減衰フィルタが必要となり高コスト化を招く。
【0047】
本技術に係る画像表示装置の構成例1では、
図15Cに示すように、LD(光源)からの放射光の光路上にNAが小さい(例えばNA≦0.16)レンズ(例えば球面レンズ又は非球面レンズ)が配置され、該レンズを介した光の光路上にアパーチャ(開口部材)及び投射レンズ(投射光学系)がレンズ側からこの順に配置されている。レンズと投射レンズとの間の光の光路上に該光により画像を形成する画像形成部(不図示)が配置されている。すなわち、画像表示装置の構成例1は、光源装置の構成例1(
図14B参照)に画像形成部、アパーチャ及び投射レンズを加えた構成を有している。画像表示装置の構成例1では、LDから放射されレンズを介した放射光の強度分布が緩やかなガウス分布となって該放射光の光量の積分値である積分光量が小さくなり、画像形成部、アパーチャ及び投射レンズを介した光のメインローブのスポット径も小さくなる。よって、画像表示装置の構成例1は、減衰フィルタ等の光学部品を用いることなく、低効率化及び高解像度化を実現できる。このように、NAが小さいレンズを使用することにより、投射光量を下げ、且つ、画像表示に用いる光のスポット径を小さくすること(高解像度化)が可能である。
【0048】
図16Aは、比較例7に係る画像表示装置を示す図である。
図16Bは、比較例8に係る画像表示装置を示す図である。
図16Cは、本技術に係る画像表示装置の構成例2を示す図である。
【0049】
比較例7に係る画像表示装置では、
図16Aに示すように、LDからの放射光の光路上にNAが大きい(例えばNA>0.16)レンズが配置され、該レンズを介した光の光路上にアパーチャ(開口部材)及び投射レンズがレンズ側からこの順に配置されている。レンズと投射レンズとの間の光の光路上に該光により画像を形成する画像形成部(不図示)が配置されている。すなわち、比較例5に係る画像表示装置は、比較例4に係る光源装置(
図14A参照)に画像形成部、アパーチャ及び投射レンズを加えた構成を有している。比較例7に係る画像表示装置では、LDから放射されレンズを介した放射光の強度分布が急峻なガウス分布となって該放射光の光量の積分値である積分光量が大きくなり、画像形成部、アパーチャ及び投射レンズを介した光のメインローブのスポット径も大きくなる。よって、比較例5に係る画像表示装置では、高効率化を実現できるものの、高解像度化に関して改善の余地がある。
【0050】
比較例8に係る画像表示装置では、
図16Bに示すように、LDからの放射光の光路上にNAが大きい(例えばNA>0.16)大径のレンズが配置され、該レンズを介した光の光路上に大径のアパーチャ(開口部材)及び大径且つパワー(屈折力)の大きい投射レンズが配置されている。レンズと投射レンズとの間の光の光路上に該光により画像を形成する画像形成部(不図示)が配置されている。すなわち、比較例8に係る画像表示装置は、比較例4に係る光源装置(
図14A参照)に画像形成部、アパーチャ及び大径且つパワーの大きい投射レンズを加えるとともにレンズを大径化した構成を有している。比較例8に係る画像表示装置では、LDから放射され大径のレンズを介した放射光の強度分布が急峻なガウス分布となり周辺光量比が大きくなり、該放射光の光量の積分値である積分光量が非常に大きくなるが、画像形成部、アパーチャ及びパワーの大きい投射レンズを介した光のメインローブのスポット径は小さくなる。よって、比較例8に係る画像表示装置では、高効率化及び高解像度化を実現できるものの、レンズ、アパーチャ及び投射レンズの大型化を伴い高コスト化を招く。
【0051】
本技術に係る画像表示装置の構成例2では、
図16Cに示すように、LD(光源)からの放射光の光路上にNAが小さく(例えばNA≦0.16)且つ焦点距離が長いレンズ(光学系)が配置され、該レンズを介した光の光路上にアパーチャ(開口部材)及び投射レンズ(投射光学系)が配置されている。レンズと投射レンズとの間の光の光路上に該光により画像を形成する画像形成部(不図示)が配置されている。すなわち、画像表示装置の構成例2は、光源装置の構成例1(
図14B参照)に画像形成部、アパーチャ及び投射レンズを加えるとともにレンズの焦点距離を長くした構成を有している。画像表示装置の構成例2では、LDから放射されレンズを介した放射光の強度分布が緩やかなガウス分布となって該放射光の光量の積分値である積分光量が小さくなり、画像形成部、アパーチャ及び投射レンズを介した光のメインローブのスポット径も小さくなる。よって、画像表示装置の構成例2は、減衰フィルタ等の光学部品を用いることなく、低効率化及び高解像度化を実現できる。このように、NAが小さく且つ焦点距離が長いレンズを使用することにより、投射光量を下げ、且つ、投射レンズを介した光のスポット径を小さくすること(高解像度化)が可能である。
【0052】
図17は、比較例9に係る画像表示装置を示す図である。比較例9に係る画像表示装置では、
図17に示すように、LDからの放射光の光路上にNAが大きい(例えばNA>0.16)レンズが配置され、該レンズを介した光の光路上に集光レンズ及び投射レンズがレンズ側からのこの順に配置されている。レンズと投射レンズとの間の光の光路上に該光により画像を形成する画像形成部(不図示)が配置されている。すなわち、比較例9に係る画像表示装置は、比較例4に係る光源装置(
図14A参照)に画像形成部、集光レンズ及び投射レンズを加えた構成を有している。比較例9に係る画像表示装置では、LDから放射されレンズを介した放射光の強度分布が急峻なガウス分布となり周辺光量比が大きくなり、該放射光の光量の積分値である積分光量が大きくなるが、集光レンズと投射レンズとの間の光路上で中間結像点が形成されるため、投射レンズを介した光のメインローブのスポット径は小さくなる。よって、比較例9に係る画像表示装置では、高効率化及び高解像度化を実現できるものの、追加部品としての集光レンズが必要となり、高コスト化を招く。
【0053】
以上説明した本技術の画像表示装置の構成例1、2によれば、レンズのNAを小さくすることにより、投射レンズ透過後の光の強度分布の広がりが小さくなる結果、メインローブのスポット径を小さくすることができる。すなわち、画像表示装置の構成例1、2によれば、レンズ等の大型化や光学部品の追加を行わずに画像表示に用いられる光のスポット径を小さくすること(高解像度化)が可能である。
【0054】
なお、画像表示装置の構成例1、2において、光源にLDに代えてVCSEL(面発光レーザー)等の他のレーザーを用いてもよい。
【0055】
(高解像度化の原理)
図18Aは、低い空間周波数(1/T
L)の波の濃淡を示す図である。
図18Bは、高い空間周波数(1/Ts)の波の濃淡を示す図である。放射光のスポット径を小さくすることにより高い空間周波数の波を生成することができ、解像度を向上することができる。
【0056】
<4.本技術の特徴1>
(開口数の設定)
図19は、放射角和と開口数と効率との関係を示す図(その1)である。
図19において、横軸が放射角和[deg]であり、縦軸が開口数(NA)であり、効率vが%表示されている。
図19に示すように、効率v(v
1/v
0)は、放射角和が一定の条件下で、NAが大きくなるほど高くなり、NAが小さくなるほど低くなる。また、効率vは、NAが一定の条件下で、放射角和が大きくなるほど低くなり、放射角和が小さくなるほど高くなる。従来のコリメータレンズやコンデンサーレンズは、用途によらず高効率が求められていたため、NAが0.17以上のものが使用されている。具体的には、従来の通信用の光源装置のコリメータレンズのNAは、0.17~0.30程度である。従来のOPU(光ピックアップ)用の光源装置のコリメータレンズのNAは、0.22~0.30程度である。従来のプロジェクタ用のコリメータレンズのNAは、0.24~0.26程度である。従来のプロジェクタ用コンデンサーレンズのNAは、0.40~0.60程度である。
【0057】
そこで、本技術に係る光源装置(例えば光源装置の構成例1)及び画像表示装置(例えば画像表示装置の構成例1、2)では、レンズの開口数(NA)が0.16以下に設定される。これにより、例えば光源装置及び画像表示装置が網膜直描用である場合に、NDフィルタ等の光学フィルタを用いずに光量を下げることができ、網膜に対する安全性を確保することができる。また、例えば光源装置及び画像表示装置がプロジェクション用であって暗い環境下で用いられる場合に、NDフィルタ等の光学フィルタを用いずに光量を下げることができ、不要な光量を予めカットしておきたいというニーズにも対応することができる。
【0058】
図20Aは、開口数(NA)と、周辺光量比及び投射光量との関係を示す図である。特に網膜直描用途では、投射光量を極力下げ、且つ、周辺光量比を極力上げることが望ましいことから、NAが0.16以下であることが有効である(
図20A参照)。
【0059】
図20Bは、開口数(NA)と体積倍率との関係を示す図である。
図20Bでは、NAが0.24での装置体積を1.0としたときの装置体積(体積倍率)とNAとの関係が示されている。レンズはNAが小さいほど焦点距離Fが長くなり、装置が大型化する傾向にある。そこで、体積倍率を小さくする観点から、NAは、例えば0.03以上であることが好ましい。これにより、体積倍率を4.0以下に抑えることができる。
【0060】
図21Aは、開口数(NA)と、調整感度及び投射光量との関係を示す図である。
図21Bは、開口数と、調整(光源とレンズとの位置ずれや角度ずれ)による光量変化との関係を示す図である。特に網膜直描用途では、投射光量を下げる観点からはNAが小さいことが望ましいが、NAが小さいほど調整感度が高くなってしまう(
図21A参照)。調整感度が高くなると誤差(光源とレンズとの位置ずれ量や角度ずれ量)による光量変化が大きくなり(
図21B参照)、狙いの光量(目標光量)からの乖離が大きくなる。よって、NAを、調整による光量変化が少ない値に設定することが好ましい。具体的には、NAを、例えば0.05以上に設定することが好ましい。これにより、調整による光量変化を1.0%以下に抑えることができる。調整感度の詳細については、後述する。
【0061】
(放射角和の設定)
本技術に係る光源装置及び画像表示装置では、光源(例えばLD)の放射角和が14°以上に設定される。NAが0.16以下且つ放射角和が14°以上の場合に、効率vを95%以下に抑えることができる(
図19参照)。
【0062】
効率vを下げる観点からは、放射角和が大きいほど好ましい。例えばNAが0.16以下且つ放射角和が18°以上の場合に、効率vを90%以下に抑えることができる(
図19参照)。例えばNAが0.16以下且つ放射角和が22°以上の場合に、効率vを80%以下に抑えることができる(
図19参照)。例えばNAが0.16以下且つ放射角和が26°以上の場合に、効率vを70%以下に抑えることができる(
図19参照)。例えばNAが0.16以下且つ放射角和が31°以上の場合に、効率vを60%以下に抑えることができる(
図19参照)。例えばNAが0.16以下且つ放射角和が37°以上の場合に、効率vを50%以下に抑えることができる(
図19参照)。
【0063】
図19には、放射角和が44°以下の範囲が示されているが、放射角和が44°超であってもよい。この場合には、効率vを更に下げることが可能である。
【0064】
<5.本技術の特徴2>
(開口数の設定)
図22は、放射角和と開口数と効率との関係を示す図(その2)である。
図22において、横軸が放射角和[deg]であり、縦軸が開口数(NA)であり、効率vが%表示されている。
図22は、開口数の設定範囲が異なる点を除いて、
図19と同様の図である。
【0065】
本技術に係る光源装置(例えば光源装置の構成例1)及び画像表示装置(例えば画像表示装置の構成例1、2)では、
図22に示すように、レンズの開口数(NA)が0.06以下に設定されることが好ましい。この場合、放射角和が14°以上の場合に効率vを60%以下に抑えることができる。
【0066】
図23は、開口数と光強度分布の関係を示す図である。
図23に示すように、LDから出射されたレーザー光において、開口数(NA)によらず、レンズ開口部の光強度分布(ニアフィールドパターン)は横長の楕円形であり、投射部の光強度分布(ファーフィールドパターン)は縦長の楕円形となる。
図23では、NAが0.248、0.125、0.083の例を示す。
図23から、NAが小さいほど、レンズ開口部及び投射部の双方における縦断面におけるスポット径を小さくできることがわかる。
図23から、NAが小さいほど、レンズ開口部及び投射部の双方における横断面におけるスポット径を小さくできる(但し、NAが0.125の場合と0.083の場合とで同等)ことがわかる。
【0067】
(実施例)
本技術に係る光源装置(例えば光源装置の構成例1)及び画像表示装置(例えば画像表示装置の構成例1、2)の具体的な実施例としては、NAが0.06のレンズ及び放射角和が29°のLDを使用した。この結果、効率vを8%まで下げることができた。すなわち、NDフィルタを用いることなく網膜直描での画像鑑賞の安全性が確保でき、該画像鑑賞では投影画像の高解像度化の効果が得られた。本実施例において低NAレンズを使用することによりレンズを透過しない不要な迷光が発生することが確認された。対応として使用する筐体の反射防止加工(表面粗さを加工するもしくは吸収材料を塗布)と、レンズ開口部に対応するアパーチャ(開口部材)を設置することにより不要な迷光が画像光に与える影響を低減させ、鑑賞体験価値を低下させることなく目的を達成しうる。
【0068】
<6.本技術の特徴3>
(開口数の設定)
図24は、放射角和と開口数と効率との関係を示す図(その3)である。
図24において、横軸が放射角和[deg]であり、縦軸が開口数(NA)である。
図24は、開口数の設定範囲が異なる点及び効率vが表示されていない点を除いて、
図19、
図22と同様の図である。
【0069】
図24において、黒い太線で囲まれた領域は、高い調整精度が必要な領域である。当該領域は、放射角和をx軸、NAをy軸としたxy座標(x、y)を設定すると、(14°、0.001)と(14°、0.09)と(23°、0.001)の3つの座標を頂点とする図形内の領域である。
【0070】
(x、y)が当該領域内にあると、調整感度が非常に高くなり、光源とレンズとの間の位置ずれや角度ずれに対する光量変化が非常に大きくなる。そこで、低効率化及び高解像度化を実現しつつ調整感度を低減するために、(x、y)をyの値(NA)を小さくしつつ当該領域から外れる組み合わせとすることが望ましい。
【0071】
例えば、y(開口数)が0.09以下であり、且つ、x(放射角和)が14°以上であることが好ましい。この場合、当該領域外の好適な(x、y)を選択することができる。
【0072】
例えば、開口数が0.16以下であり、且つ、放射角和が23°以上であってもよい。この場合も、当該領域外のより好適な(x、y)を選択することができる。
【0073】
例えば、開口数が0.09以下であり、且つ、放射角和が23°以上であってもよい。この場合も、当該領域外のより一層好適な(x、y)を選択することができる。
【0074】
<7.調整感度>
図25は、従来技術の光源装置及び本技術の光源装置の、光源(LD)及びレンズの位置関係を示す図である。
図25に示すように、本技術では、従来技術に比べて、レンズの開口数が小さく(NA<NA’)焦点距離が長い(F<F’)ため、LDとレンズの調整ストロークが大きくなる(F×tanθ<F’×tanθ)。すなわち、本技術は、従来技術に比べて、LDからの光の全体がレンズに収まる、LDとレンズとの位置ずれの許容範囲である位置ずれ許容範囲が広く、ロバスト性が高い。なお、LDとレンズとの位置ずれが位置ずれ許容範囲を超える場合には、例えばあおり調整(角度調整)を行って補正することができる。
【0075】
図26は、従来技術の光源装置の調整感度(位置ずれ及び角度ずれが小の場合)について説明するための図である。
図26の左図は、LDの光軸とレンズ(NAが大きいレンズ)の光軸とが一致した(位置ずれ及び角度ずれがない)理想的な状態を示す。
図26の右図は、LDの光軸とレンズ(NAが大きいレンズ)の光軸とに上記許容範囲を超える小さな位置ずれDが生じ、LDの光軸をレンズの中心を通るように小角度だけ傾けた状態(あおり調整した状態)を示す。
図26の左図及び右図を比較すると、レンズを透過した光の積分光量の差が小さいことがわかる。すなわち、従来技術の光源装置は、小さな位置ずれD及び角度ずれに対する光量変化が少ない。
【0076】
図27は、本技術の光源装置の調整感度(位置ずれ及び角度ずれが小の場合)について説明するための図である。
図27の左図は、LDの光軸とレンズ(NAが小さいレンズ)の光軸とが一致した理想的な状態を示す。
図27の右図は、LDの光軸とレンズ(NAが小さいレンズ)の光軸とに小さな位置ずれDが生じ、LDの光軸をレンズの中心を通るように小角度だけ傾けた状態(あおり調整した状態)を示す。
図27の左図及び右図を比較すると、レンズを透過した光の積分光量の差が大きいことがわかる。すなわち、本技術の光源装置は、小さな位置ずれD及び角度ずれに対する光量変化が多い。
【0077】
図28は、従来技術の光源装置の調整感度(位置ずれ及び角度ずれが大の場合)について説明するための図である。
図28の左図は、LDの光軸とレンズ(NAが大きいレンズ)の光軸とが一致した(位置ずれ及び角度ずれがない)理想的な状態を示す。
図28の右図は、LDの光軸とレンズ(NAが大きいレンズ)の光軸とに大きな位置ずれDが生じ、LDの光軸をレンズの中心を通るように大角度だけ傾けた状態(あおり調整した状態)を示す。
図28の左図及び右図を比較すると、レンズを透過した光の積分光量の差が小さいことがわかる。すなわち、従来技術の光源装置は、大きな位置ずれ及び角度ずれに対する光量変化が少ない。
【0078】
図29は、本技術の光源装置の調整感度(位置ずれ及び角度ずれが小の場合)について説明するための図である。
図29の左図は、LDの光軸とレンズ(NAが小さいレンズ)の光軸とが一致した理想的な状態を示す。
図29の右図は、LDの光軸とレンズ(NAが小さいレンズ)の光軸とに大きな位置ずれDが生じ、LDの光軸をレンズの中心を通るように大角度だけ傾けた状態(あおり調整した状態)を示す。
図29の左図及び右図を比較すると、レンズを透過した光の積分光量の差が大きいことがわかる。すなわち、本技術の光源装置は、大きな位置ずれ及び角度ずれに対する光量変化が多い。
【0079】
以上の説明から分かるように、例えばLDとレンズとの位置ずれが位置ずれ許容範囲を超える場合であってあおり調整する場合に、NAが小さいレンズを用いる本技術は、NAが大きいレンズを用いる従来技術に比べて、LDとレンズとの角度ずれによる光量変化が大きい。この光量変化は、NAが小さいほど、放射角和が小さいほど大きくなると考えられる。特に
図24の黒い太線で囲まれた領域内では、この光量変化が非常に大きくなるため、NAと放射角和の組み合わせが当該領域内に入らないようにNAと放射角和を設定することが非常に有効となる。
【0080】
<8.本技術に係る画像表示装置の構成例3~5>
(画像表示装置の構成例3)
図30は、本技術に係る画像表示装置の構成例3を示す図である。
図31は、
図30の画像表示装置の機能を示すブロック図である。画像表示装置の構成例3は、網膜直描用の画像表示装置である。画像表示装置の構成例3は、
図30及び
図31に示すように、光源装置と、画像形成部としてのMEMSミラー(光偏向器)と、投射光学系としての投射レンズと、接眼光学素子としての接眼レンズと、制御部とを備える。画像表示装置の構成例3のうち少なくとも接眼光学素子が、ユーザの頭部(顔の一部を含む)に装着される支持構造体(例えば眼鏡フレーム)に一体的に支持される。光源装置、MEMSミラー及び投射レンズを含む系は、当該支持構造体に一体的に支持されても良いし、当該支持構造体とは別体に(例えば据え置き型の筐体)に設けられてもよい。
【0081】
画像表示装置の構成例3は、発光波長が異なる複数(例えば3つ)の光源を有し、レンズが複数の光源に対応して複数設けられ、光源装置の光学系は、複数の光源の各々から出射され対応するレンズを介した光を合成する、第1~第3ミラーを含む合成部を有している。
【0082】
(光源装置)
構成例3の光源装置は、第1LD~第3LDと、第1~第3レンズと、第1~第4ミラーと、モニタPDと、LDドライバと、これらを収容する筐体とを含む。
【0083】
第1LD~第3LDは、それぞれR(赤)、G(青)、B(緑)の光を出射するLDである。各LDの放射角和は、14°以上である。各レンズは、NAが0.16以下のレンズ(例えば球面レンズ又は非球面レンズ)である。各レンズは、例えばコリメータレンズ(コリメートレンズとも呼ばれる)である。
【0084】
第1レンズは、第1LDから出射された赤色光の光路上に配置されている。第1ミラーは、赤色光を反射するダイクロイックミラーである。第1ミラーは、第1LDから出射され第1レンズを透過した赤色光の光路上に配置されている。
【0085】
第2レンズは、第2LDから出射された緑色光の光路上に配置されている。第2ミラーは、赤色光を透過させ緑色光を反射させるダイクロイックミラーである。第2ミラーは、第1ミラーで反射された赤色光の光路と第2LDから出射され第2レンズを透過した緑色光の光路との交差点に配置されている。
【0086】
第3レンズは、第3LDから出射された光の光路上に配置されている。第3ミラーは、赤色光及び緑色光を透過させ青色光を反射させるダイクロイックミラーである。第3ミラーは、第2ミラーを介した赤色光及び緑色光の合成光の光路と、第3LDから出射され第3レンズを透過した青色光の光路との交差点に配置されている。
【0087】
第3ミラーを介した赤色光、緑色光及び青色光の合成光が第4ミラーに入射される。第4ミラーは、入射光の一部を透過させ他部を反射させるハーフミラーである。モニタPDは、第4ミラーを透過した光の光路上に配置されている。モニタPDは、例えばPD(フォトダイオード)等を含んで構成されている。
【0088】
LDドライバは、例えばコンデンサ、トランジスタ等の回路素子を含んで構成されている。
【0089】
(画像形成部)
画像形成部としてのMEMSミラーは、第4ミラーで反射された合成光の光路上に配置され、該光により画像を形成する。MEMSミラーは、異なる2軸周りに回動可能なミラー部を含む。MEMSミラーは、制御部により、LDと同期して制御される。なお、筐体には、第4ミラーで反射された合成光をMEMSミラーに向けて透過させる透過窓が設けられている。
【0090】
制御部は、入力された画像情報に基づいて各LDを発光させるための発光制御信号を生成し、LDドライバに出力する。LDドライバは、発光制御信号に基づいて各LDを駆動する駆動信号を生成し、該LDに印加する。制御部は、モニタPDの出力信号に基づいてLDの発光光量を制御する(APC:オートパワーコントロール)。制御部は、例えばCPU、FPGA、チップセット等を含んで構成される。
【0091】
(投射光学系)
投射光学系としての投射レンズは、MEMSミラーからの画像を形成した光を投射する。詳述すると、投射レンズは、MEMSミラーで偏向された光の光路上に配置され、該光を略平行光に変換する。
【0092】
(接眼光学素子)
接眼光学素子は、投射レンズで略平行光に変換された光の光路上に配置され、投射光学系を介した光をユーザの眼球に導く。接眼光学素子として、例えば接眼レンズが用いられる。
【0093】
以上説明した画像表示装置の構成例3では、上記画像表示装置の構成例1、2と同様の効果を奏する、フルカラーの画像表示装置を提供できる。
【0094】
(画像表示装置の構成例4)
図32は、本技術に係る画像表示装置の構成例4を示す図である。画像表示装置の構成例4は、網膜直描用の画像表示装置である。画像表示装置の構成例4は、
図32に示すように、画像形成部がMEMSミラーに代えてDMD(マイクロミラーデバイス)を含む点を除いて、画像表示装置の構成例3と同様の構成を有する。画像表示装置の構成例4は、上記画像表示装置の構成例3と同様の効果を奏する。
【0095】
(画像表示装置の構成例5)
図33は、本技術に係る画像表示装置の構成例5を示す図である。画像表示装置の構成例5は、網膜直描用の画像表示装置である。画像表示装置の構成例5は、
図33に示すように、液晶素子としてのLCDが複数(例えば3つ)のレンズに対応して複数設けられ、画像形成部が複数のレンズの各々を介した光を該レンズに対応する液晶素子に入射させ、該液晶素子を介した光を合成する点を除いて、画像表示装置の構成例3と同様の構成を有する。
【0096】
画像表示装置の構成例5では、光源装置が、第1~第3LDと、第1~第3レンズとを有し、画像形成部が、第1~第4DP(ダイクロイックプリズム)と、第1~第3LCD(リキッドクリスタルディスプレイ)と、第1及び第2ミラーとを有する。
【0097】
第1LDから出射され第1レンズを介した赤色光の光路上に該赤色光を反射させる第1DP(第1ダイクロイックプリズム)が配置されている。第1DPで反射された赤色光の光路上に第1LCD(第1リキッドクリスタルディスプレイ)が配置されている。第1LCDは、反射型液晶素子であり、入射された赤色光により画像を形成する。第1LCDで反射され画像を形成した赤色光は、第1DPを透過し第1ミラーで反射され第4DP(クロスダイクロイックプリズム)に入射される。
【0098】
第2LDから出射され第2レンズを介した緑色光の光路上に該緑色光を反射させる第2DP(第2ダイクロイックプリズム)が配置されている。第2DPで反射された緑色光の光路上に第2LCD(第2リキッドクリスタルディスプレイ)が配置されている。第2LCDは、反射型液晶素子であり、入射された緑色光により画像を形成する。第2LCDで反射され画像を形成した緑色光は、第2DPを透過して第4DPに入射される。
【0099】
第3LDから出射され第3レンズを介した青色光の光路上に該青色光を反射させる第3DP(第3ダイクロイックプリズム)が配置されている。第3DPで反射された青色光の光路上に第3LCD(第3リキッドクリスタルディスプレイ)が配置されている。第3LCDは、反射型液晶素子であり、入射された青色光により画像を形成する。第3LCDで反射され画像を形成した青色光は、第3DPを透過し第2ミラーで反射され第4DPに入射される。
【0100】
第4DPとしてのクロスダイクロイックプリズムは、第1ミラーを介した赤色光、第2DPを介した緑色光及び第2ミラーを介した青色光を合成して、その合成光を出射する。
【0101】
第4DPからの合成光の光路上に投射光学素子としての投射レンズが配置されている。投射レンズを介した合成光の光路上に接眼光学素子としての接眼レンズが配置されている。
【0102】
以上説明した画像表示装置の構成例5は、上記画像表示装置の構成例3と同様の効果を奏する。
【0103】
<9.本技術に係る光源装置と従来の光源装置の体積>
図34は、従来技術及び本技術の光源装置の容積を比較するための図である。
図34の右図に示す本技術の光源装置は、画像表示装置の構成例3、4の光源装置と同様の構成(第1~第3レンズのNAが0.16以下である構成)を有する。
図34の左図に示す従来技術の光源装置は、第1~第3レンズのNAが0.16超である点を除いて、画像表示装置の構成例3、4の光源装置と概ね同様の構成を有する。光源装置の装置体積は、
図34中の寸法A、B、紙面垂直方向の寸法C、各レンズの焦点距離Fを用いて、V=C×B×(A+F)と表せる。よって、本技術の光源装置の各レンズの焦点距離は、従来技術の光源装置の各レンズの焦点距離よりも長く、その分、装置体積が大きくなる。そこで、前述したように、焦点距離を抑えるためにNAを例えば0.03以上に設定することが好ましい。
【0104】
<10.本技術の第1~第9実施形態に係る画像表示装置>
以下、本技術の第1~第9実施形態に係る画像表示装置について説明する。
(第1実施形態に係る画像表示装置)
図35は、本技術の第1実施形態に係る画像表示装置10を示す図である。画像表示装置10は、プロジェクタである。画像表示装置10は、
図35に示すように、接眼レンズ及びモニタPDを有していない点を除いて、画像表示装置の構成例3(
図30参照)と概ね同様の構成を有する。画像表示装置10は、光源装置100とMEMSミラー201と投射レンズ301とを備える。光源装置100は、第1~第3LD101a、101b、101cと、第1~第3レンズ102a、102b、102cと、第1~第4ミラー103a、103b、103c、104と、これらを収容する筐体100aとを含む。光源装置100から出射されMEMSミラー201及び投射レンズ301をこの順に介した光は、所定の表示面(例えばスクリーン面、建物の壁面や天井面)上に結像される。なお、画像表示装置10は、モニタPD(
図30参照)を有していてもよい。画像表示装置10によれば、LDの光量過剰に対応でき(特に暗い環境下での使用に適し)且つ高解像度表示が可能なプロジェクタを提供できる。
【0105】
(第2実施形態に係る画像表示装置)
図36は、本技術の第2実施形態に係る画像表示装置20を示す図である。画像表示装置20は、プロジェクタである。画像表示装置20は、
図36に示すように、接眼レンズ及びモニタPDを有していない点を除いて、画像表示装置の構成例4(
図32参照)と概ね同様の構成を有する。画像表示装置20は、光源装置100と、DMD202(デジタルミラーデバイス)と、投射レンズ301とを備える。光源装置100から出射されDMD202及び投射レンズ301をこの順に介した光は、所定の表示面(例えばスクリーン面、建物の壁面や天井面)上に結像される。なお、画像表示装置20は、モニタPD(
図32参照)を有していてもよい。画像表示装置20によれば、LDの光量過剰に対応でき(特に暗い環境下での使用に適し)且つ高解像度表示が可能なプロジェクタを提供できる。
【0106】
(第3実施形態に係る画像表示装置)
図37は、本技術の第3実施形態に係る画像表示装置30を示す図である。画像表示装置30は、プロジェクタである。画像表示装置30は、
図37に示すように、接眼レンズを有していない点及び5つのダイクロイックプリズムを有している点を除いて、画像表示装置の構成例5(
図33参照)と概ね同様の構成を有する。画像表示装置30の光源装置は、第1~第3LD101a、101b、101cと、第1~第3レンズ102a、102b、102cとを含む。画像表示装置30の画像形成部は、第1~第5ダイクロイックプリズム105a、105b、105c、105d、105eと、第1~第3LCD106a、106b、106cと、第1及び第2ミラー107、108とを含む。画像表示装置30の投射光学系は、投射レンズ301を含む。
【0107】
第1LD101aから出射され第1レンズ102aを透過した赤色光は、第1ダイクロイックプリズム105aで第1LCD106aに向けて反射される。第1LCD106aで反射され画像を形成した赤色光は、第1ミラー107で反射され第5ダイクロイックプリズム105eに入射される。
【0108】
第2LD101bから出射され第2レンズ102bを透過した緑色光は、第2ダイクロイックプリズム105bで第2LCD106bに向けて反射される。第2LCD106bで反射され画像を形成した緑色光は、第4ダイクロイックプリズム105dを透過して第5ダイクロイックプリズム105eに入射される。
【0109】
第3LD101cから出射され第3レンズ102cを透過した青色光は、第3ダイクロイックプリズム105cで第3LCD106cに向けて反射される。第3LCD106cで反射され画像を形成した青色光は、第2ミラー108で反射され第4ダイクロイックプリズム105dで反射され第5ダイクロイックプリズム105eに入射される。
【0110】
第5ダイクロイックプリズム105eに入射された赤色光、緑色光及び青色光は、第5ダイクロイックプリズム105eで合成され、投射レンズ301を介して所定の表示面(例えばスクリーン面、建物の壁面や天井面)上に結像される。
【0111】
以上説明した画像表示装置30によれば、LDの光量過剰に対応でき(特に暗い環境下での使用に適し)且つ高解像度表示が可能なプロジェクタを提供できる。
【0112】
(第4実施形態に係る画像表示装置)
図38は、本技術の第4実施形態に係る画像表示装置40を示す図である。画像表示装置40は、網膜直描用の画像表示装置である。画像表示装置40は、
図38に示すように、接眼レンズ401を有する点を除いて、第1実施形態に係る画像表示装置10(
図35参照)と概ね同様の構成を有する。
【0113】
画像表示装置40では、投射レンズ301を介した光は、投射レンズ301と接眼レンズ401との間の光路上で中間結像点を形成する。接眼レンズ401を介した光は、眼球EBの網膜上に結像する。
【0114】
画像表示装置40によれば、LDの光量過剰に対応でき(特にアイセーフに寄与する)且つ高解像度表示が可能な網膜直描用の画像表示装置を提供できる。
【0115】
(第5実施形態に係る画像表示装置)
図39は、本技術の第5実施形態に係る画像表示装置50を示す図である。画像表示装置50は、網膜直描用の画像表示装置である。画像表示装置50は、
図39に示すように、接眼レンズ401を有する点を除いて、第2実施形態に係る画像表示装置20(
図36参照)と概ね同様の構成を有する。
【0116】
画像表示装置50では、投射レンズ301を介した光は、投射レンズ301と接眼レンズ401との間の光路上で中間結像点を形成する。接眼レンズ401を介した光は、眼球EBの網膜上に結像する。
【0117】
画像表示装置50によれば、LDの光量過剰に対応でき(特にアイセーフに寄与する)且つ高解像度表示が可能な網膜直描用の画像表示装置を提供できる。
【0118】
(第6実施形態に係る画像表示装置)
図40は、本技術の第6実施形態に係る画像表示装置60を示す図である。画像表示装置60は、網膜直描用の画像表示装置である。画像表示装置60は、
図40に示すように、接眼光学素子として接眼レンズ401を有する点を除いて、第3実施形態に係る画像表示装置30(
図37参照)と概ね同様の構成を有する。画像表示装置60では、投射光学系としての投射レンズ301を介した光は、接眼レンズ401により眼球EBの網膜上に結像される。
【0119】
画像表示装置60によれば、LDの光量過剰に対応でき(特にアイセーフに寄与する)且つ高解像度表示が可能な網膜直描用の画像表示装置を提供できる。
【0120】
(第7実施形態に係る画像表示装置)
図41は、本技術の第7実施形態に係る画像表示装置70を示す図である。画像表示装置70は、網膜直描用の画像表示装置である。画像表示装置70は、
図41に示すように、光源装置100と画像形成部としてのMEMSミラー201との間の光の光路上に配置された集光光学素子501を更に備える点を除いて、第4実施形態に係る画像表示装置40(
図38参照)と概ね同様の構成を有する。
【0121】
集光光学素子501は、光源装置100からの光をMEMSミラー201上に集光(結像)させる。これにより、眼球EBの網膜上に形成される画像の更なる高解像度化を図ることが可能である。また、MEMSミラー201に小型のものを用いることができる。集光光学素子501として、例えば集光レンズの他、集光ミラーを用いることができる。
【0122】
画像表示装置70によれば、LDの光量過剰に対応でき(特にアイセーフに寄与する)且つ更なる高解像度表示が可能な網膜直描用の画像表示装置を提供できる。
【0123】
(第8実施形態に係る画像表示装置)
図42は、本技術の第8実施形態に係る画像表示装置80を示す図である。画像表示装置80は、網膜直描用の画像表示装置である。画像表示装置80は、
図42に示すように、光源装置100と画像形成部としてのDMD202との間の光の光路上に配置された集光光学素子502を更に備える点を除いて、第5実施形態に係る画像表示装置50(
図39参照)と概ね同様の構成を有する。
【0124】
集光光学素子502は、光源装置100からの光を集光光学素子502とDMD202との間の光の光路上で集光させ(結像させ)、拡散光としてDMD202に入射させる。これにより、眼球EBの網膜上に形成される画像の更なる高解像度化を図ることが可能である。集光光学素子501として、例えば集光レンズの他、集光ミラーを用いることができる。
【0125】
画像表示装置70によれば、LDの光量過剰に対応でき(特にアイセーフに寄与する)且つ更なる高解像度表示が可能な網膜直描用の画像表示装置を提供できる。
【0126】
(第9実施形態に係る画像表示装置)
図43は、本技術の第9実施形態に係る画像表示装置90を示す図である。画像表示装置90は、網膜直描用の画像表示装置である。画像表示装置90は、
図43に示すように、投射光学系300が投射レンズ301に加えて集光光学素子302を含む点を除いて、第6実施形態に係る画像表示装置60(
図40参照)と概ね同様の構成を有する。
【0127】
画像表示装置90では、集光光学素子302は、画像形成部と投射レンズ301との間に配置される。集光光学素子302は、画像形成部からの画像を形成した光を集光光学素子302と投射レンズ301との間の光路上に集光させて(結像させて)中間結像点を形成する。該中間結像点からの拡散光は、投射レンズ301で略平行光に変換され、接眼レンズ401により眼球EBの網膜上に結像される。集光光学素子302としては、例えば集光レンズ、集光ミラー等が挙げられる。
【0128】
画像表示装置90では、投射光学系300内で中間結像点が形成されるので、眼球EBの網膜上に投影される画像の更なる高解像度化を図ることが可能である。集光光学素子302として、例えば集光レンズの他、集光ミラーを用いることができる。
【0129】
画像表示装置90によれば、LDの光量過剰に対応でき(特にアイセーフに寄与する)且つ更なる高解像度表示が可能な網膜直描用の画像表示装置を提供できる。
【0130】
なお、画像表示装置90において、集光光学素子302は、投射レンズ301と接眼レンズ401との間の光の光路上に配置されてもよい。
【0131】
<11.本技術の変形例>
上記光源装置の構成例1、上記画像表示装置の各構成例、各実施形態に係る画像表示装置は、適宜変更可能である。
【0132】
例えば画像表示装置の構成例5、第3実施形態に係る画像表示装置30、第6実施形態に係る画像表示装置60及び第9実施形態に係る画像表示装置90では、画像形成部が、各液晶素子として反射型LCDを用いているが、少なくとも1つの液晶素子として透過型LCDを用いることもできる。
【0133】
例えば網膜直描用の画像表示装置において、接眼光学素子(例えば接眼レンズ)に代えて又は加えて、眼球EBに装着される、コンタクトレンズ型光学素子を用いてもよい。この場合に、コンタクトレンズ型光学素子は、画像表示装置の構成要素であってもよいし、画像表示装置の構成要素でなくてもよい。コンタクトレンズ型光学素子として、例えばDOE(回折光学素子)、HOE(ホログラム光学素子)等を用いることができる。
【0134】
例えば光源装置や画像表示装置の光源は、半導体レーザーに限らず、例えば発光ダイオード、ハロゲンランプ、半導体レーザー以外のレーザー等の放射角を規定できる光源であれば如何なるものであってもよい。この場合も、放射角和は14°以上であることが好ましい。
【0135】
例えば画像形成部の光偏向器として、MEMSミラーに代えて、ガルバノミラー等を用いてもよい。
【0136】
例えば接眼光学素子として、接眼レンズに代えて、接眼ミラーを用いてもよい。
【0137】
例えば投射光学系の投射光学素子として、投射レンズに代えて投射ミラーを用いてもよい。
【0138】
例えば光源装置の構成例1、画像表示装置の各構成例、各実施形態に係る画像表示装置を矛盾しない範囲内で相互に組み合わせてもよい。
【0139】
なお、本技術は、以下のような構成をとることもできる。
(1)少なくとも1つの光源と、
前記光源からの光の光路上に配置された、レンズを含む光学系と、
を備え、
前記レンズの開口数が0.16以下であり、且つ、前記光源の、互いに直交する2つ方向の各々に関する放射角の和である放射角和が14°以上である、光源装置。
(2)前記開口数が0.09以下であり、且つ、前記放射角和が14°以上である、(1)に記載の光源装置。
(3)前記開口数が0.16以下であり、且つ、前記放射角和が23°以上である、(1)又は(2)に記載の光源装置。
(4)前記開口数が0.09以下であり、且つ、前記放射角和が23°以上である、(1)~(3)のいずれか1つに記載の光源装置。
(5)前記レンズは、球面レンズ又は非球面レンズである、(1)~(4)のいずれか1つに記載の光源装置。
(6)前記光源は、半導体レーザーである、(1)~(5)のいずれか1つに記載の光源装置。
(7)(1)~(6)のいずれか1つに記載の光源装置と、前記光源装置からの光により画像を形成する画像形成部と、前記画像を形成した光を投射する投射光学系と、を備える、画像表示装置。
(8)前記画像形成部は、光偏向器を有する、(7)に記載の画像表示装置。
(9)前記画像形成部は、デジタルミラーデバイスを有する、(7)又は(8)に記載の画像表示装置。
(10)前記画像形成部は、液晶素子を有する、(7)~(9)のいずれか1つに記載の画像表示装置。
(11)前記少なくとも1つの光源は、発光波長が異なる複数の光源であり、前記レンズが前記複数の光源に対応して複数設けられ、前記光源装置の光学系は、前記複数の光源の各々から出射され対応する前記レンズを介した光を合成する、(7)~(10)のいずれか1つに記載の画像表示装置。
(12)前記少なくとも1つの光源は、発光波長が異なる複数の光源であり、前記レンズは、前記複数の光源に対応して複数設けられ、前記液晶素子が複数の前記レンズに対応して複数設けられ、前記画像形成部は、前記複数のレンズの各々を介した光を該レンズに対応する前記液晶素子に入射させ、該液晶素子を介した光を合成する、(10)~(11)のいずれか1つに記載の画像表示装置。
(13)前記投射光学系を介した光をユーザの眼球に導く光学素子を更に備える、(7)~(12)のいずれか1つに記載の画像表示装置。
(14)前記光源装置と前記画像形成部との間の前記光の光路上に配置された集光光学素子を更に備える、(7)~(13)のいずれか1つに記載の画像表示装置。
(15)前記画像形成部は、デジタルミラーデバイスを有し、前記集光光学素子は、前記光を前記光源装置と前記デジタルミラーデバイスとの間の前記光の光路上で集光させる、(14)に記載の画像表示装置。
(16)前記画像形成部は、光偏向器を有し、前記集光光学素子は、前記光を前記光偏向器に集光させる、(14)に記載の画像表示装置。
(17)前記投射光学系は、集光光学素子を含む、(10)に記載の画像表示装置。
(18)前記投射光学系は、投射光学素子を含み、前記集光光学素子は、前記画像形成部と前記投射光学素子との間の前記光の光路上に配置される、(17)に記載の画像表示装置。
(19)前記投射光学系を介した光をユーザの眼球に導く光学素子を更に備え、前記投射光学系は、投射光学素子を含み、前記集光光学素子は、前記投射光学素子と前記光学素子との間の前記光の光路上に配置される、(17)に記載の画像表示装置。
(20)少なくとも前記光学素子が前記ユーザの頭部に装着される、(13)に記載の画像表示装置。
【符号の説明】
【0140】
10、20、30、40、50、60、70、80、90
100:光源装置
101a:第1LD(光源)
101b:第2LD(光源)
101c:第3LD(光源)
102a:第1レンズ
102b:第2レンズ
102c:第3レンズ
106a;第1LCD(液晶素子)
106b:第2LCD(液晶素子)
106c:第3LCD(液晶素子)
201:MEMSミラー(画像形成部)
202:DMD(画像形成部)
301:投射レンズ(投射光学系)
302:集光光学素子
401:接眼レンズ(接眼光学素子)
501、502:集光光学素子