(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096342
(43)【公開日】2024-07-12
(54)【発明の名称】眼科用水性組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 9/08 20060101AFI20240705BHJP
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A61K 47/44 20170101ALI20240705BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240705BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240705BHJP
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A61K 47/32 20060101ALI20240705BHJP
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A61K 31/164 20060101ALI20240705BHJP
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A61P 29/00 20060101ALI20240705BHJP
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A61K 47/14 20170101ALI20240705BHJP
A61K 31/7084 20060101ALI20240705BHJP
A61K 31/635 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
A61K9/08
A61P27/02
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A61K47/44
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A61K47/04
A61K47/06
A61K47/14
A61K31/7084
A61K31/635
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024075100
(22)【出願日】2024-05-07
(62)【分割の表示】P 2022139851の分割
【原出願日】2015-06-09
(31)【優先権主張番号】P 2014119885
(32)【優先日】2014-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2015083703
(32)【優先日】2015-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水垂 陽子
(72)【発明者】
【氏名】松村 泰子
(57)【要約】
【課題】 眼科用ポリブチレンテレフタレート含有樹脂容器の重量変化を抑制することができる眼科用水性組成物を提供する。
【解決手段】 多糖類;単糖類;ビタミンB
12類、ビタミンB
2類、ビタミンA類、およびパンテノールからなる群より選択される1種以上のビタミン類;植物油、動物油、および鉱物油からなる群より選択される1種以上の油分;ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、およびステアリン酸ポリオキシルからなる群より選択される1種以上の界面活性剤;抗アレルギー成分;防腐剤;増粘成分;多価アルコール;消炎成分;抗菌剤;および清涼化剤からなる群より選択される1種以上、並びに(B)緩衝剤を含有する、眼科用水性組成物を調製する。得られる眼科用水性組成物が、ポリブチレンテレフタレート含有樹脂容器に接触することで、容器の重量変化抑制、容器の劣化抑制、容器の濡れ抑制、容器の液切れ向上が可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼科用水性組成物、眼科用ポリブチレンテレフタレート含有樹脂容器の重量変化抑制方法、眼科用ポリブチレンテレフタレート含有樹脂容器の劣化抑制方法、眼科用ポリブチレンテレフタレート含有樹脂容器の濡れ抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性ポリエステル系樹脂の1種で、熱可塑性樹脂として汎用されているポリブチレンテレフタレート含有樹脂(以下、本明細書でPBT含有樹脂とも記載する)は、成形性に優れ、物性と価格のバランスもよいことから、自動車、電機・電子部品、半導体基板容器などの容器材料として用いられている。
【0003】
また、内部に水分と油分や糖分を多く含む液状物と固形状物からなる食品を収納し、特に、電子レンジなどで加熱調理しても穴あきなどがない加熱用包装袋として、PBTフィルムと熱接着性樹脂層が積層された積層体を用いること(特許文献1)なども提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、PBT含有樹脂は、優れた性質をもつ一方で、容器として使用される場合に、容器に収められた内容物中の水分を吸収してしまう性質がある。
【0006】
さらには、PBT含有樹脂は、熱により加水分解を起こす。
【0007】
本発明では、このような問題点を解決できるような眼科用水性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、眼科用水性組成物に特定成分を含有させることによって、当該組成物を収容するPBT含有樹脂容器が安定化し、容器の劣化を防ぐことができることを見出し、本発明を完成するに至った。また、特定成分を含有する眼科用水性組成物によって、PBT含有樹脂容器に対する濡れ性を向上させること(すなわち濡れ抑制)が可能となり、液切れが良好になるという新たな効果を奏することを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、
[1]
(A)多糖類;単糖類;ビタミンB12類、ビタミンB2類、ビタミンA類、およびパンテノールからなる群より選択される1種以上のビタミン類;植物油、動物油、および鉱物油からなる群より選択される1種以上の油分;ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、およびステアリン酸ポリオキシルからなる群より選択される1種以上の界面活性剤;トラニラスト、ケトチフェン、ジフェンヒドラミン、およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上の抗アレルギー成分;クロルヘキシジン、ソルビン酸、およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上の防腐剤;カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ビニル系高分子化合物、およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上の増粘成分;多価アルコール;ベルベリン、アズレンスルホン酸、アラントイン、硫酸亜鉛、およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上の消炎成分;スルファメトキサゾールおよびその塩からなる群より選択される1種以上の抗菌剤;ユーカリ油およびベルガモット油からなる群より選択される1種以上の清涼化剤;からなる群より選択される1種以上、並びに(B)緩衝剤を含有する、眼科用水性組成物であって、
(C)該眼科用水性組成物と接触する面の一部又は全部がポリブチレンテレフタレートを含有する樹脂で成形された容器に収容してなる眼科用水性組成物;
[2]
上記(A)成分のうち、多糖類が、アルギン酸、ジェランガム、キサンタンガム、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上;単糖類がグルコース;ビタミン類が、シアノコバラミン、レチノール、パンテノール、フラビンアデニンジヌクレオチド、およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上;油分が、ゴマ油、ヒマシ油、ラノリン、ワセリン、および流動パラフィンからなる群より選択される1種以上;界面活性剤が、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、およびステアリン酸ポリオキシルからなる群より選択される1種以上;抗アレルギー成分が、トラニラスト、フマル酸ケトチフェン、塩酸ジフェンヒドラミンからなる群より選択される1種以上;防腐剤が、グルコン酸クロルヘキシジンおよびソルビン酸カリウムからなる群より選択される1種以上;増粘成分が、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上;多価アルコールが、プロピレングリコール、グリセリン、およびマンニトールからなる群より選択される1種以上;消炎成分が、塩化ベルベリン、アズレンスルホン酸ナトリウム、アラントイン、および硫酸亜鉛からなる群より選択される1種以上;抗菌剤が、スルファメトキサゾールナトリウム;清涼化剤が、ユーカリ油およびベルガモット油からなる群より選択される、項[1]の眼科用水性組成物;
[3]
さらに、エデト酸ナトリウムを含有する、項[1]または[2]記載の眼科用水性組成物;
[4]
水性組成物中に、(A)多糖類;単糖類;ビタミンB12類、ビタミンB2類、ビタミンA類、およびパンテノールからなる群より選択される1種以上のビタミン類;植物油、動物油、および鉱物油からなる群より選択される1種以上の油分;ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、およびステアリン酸ポリオキシルからなる群より選択される1種以上の界面活性剤;トラニラスト、ケトチフェン、ジフェンヒドラミン、およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上の抗アレルギー成分;クロルヘキシジン、ソルビン酸、およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上の防腐剤;カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ビニル系高分子化合物、およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上の増粘成分;多価アルコール;ベルベリン、アズレンスルホン酸、アラントイン、硫酸亜鉛、およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上の消炎成分;スルファメトキサゾールおよびその塩からなる群より選択される1種以上の抗菌剤;ユーカリ油およびベルガモット油からなる群より選択される1種以上の清涼化剤;からなる群より選択される1種以上と、(B)緩衝剤を共存させることで、該水性組成物にポリブチレンテレフタレート含有樹脂容器の重量変化抑制作用を付与する方法;
[5]
水性組成物中に、(A)多糖類;単糖類;ビタミンB12類、ビタミンB2類、ビタミンA類、およびパンテノールからなる群より選択される1種以上のビタミン類;植物油、動物油、および鉱物油からなる群より選択される1種以上の油分;ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、およびステアリン酸ポリオキシルからなる群より選択される1種以上の界面活性剤;トラニラスト、ケトチフェン、ジフェンヒドラミン、およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上の抗アレルギー成分;クロルヘキシジン、ソルビン酸、およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上の防腐剤;カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ビニル系高分子化合物、およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上の増粘成分;多価アルコール;ベルベリン、アズレンスルホン酸、アラントイン、硫酸亜鉛、およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上の消炎成分;スルファメトキサゾールおよびその塩からなる群より選択される1種以上の抗菌剤;ユーカリ油およびベルガモット油からなる群より選択される1種以上の清涼化剤;からなる群より選択される1種以上、と、(B)緩衝剤を共存させることで、該水性組成物にポリブチレンテレフタレート含有樹脂容器の濡れ抑制作用を付与する方法;
[6]
(A)多糖類;単糖類;ビタミンB12類、ビタミンB2類、ビタミンA類、およびパンテノールからなる群より選択される1種以上のビタミン類;植物油、動物油、および鉱物油からなる群より選択される1種以上の油分;ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、およびステアリン酸ポリオキシルからなる群より選択される1種以上の界面活性剤;トラニラスト、ケトチフェン、ジフェンヒドラミン、およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上の抗アレルギー成分;クロルヘキシジン、ソルビン酸、およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上の防腐剤;カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ビニル系高分子化合物、およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上の増粘成分;多価アルコール;ベルベリン、アズレンスルホン酸、アラントイン、硫酸亜鉛、およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上の消炎成分;スルファメトキサゾールおよびその塩からなる群より選択される1種以上の抗菌剤;ユーカリ油およびベルガモット油からなる群より選択される1種以上の清涼化剤;からなる群より選択される1種以上、並びに(B)緩衝剤を含有する、眼科用ポリブチレンテレフタレート含有樹脂容器の液切れ向上剤;を提供するものである。
【0010】
本発明の眼科用水性組成物、ポリブチレンテレフタレート含有樹脂容器の重量変化抑制方法、劣化抑制方法、濡れ抑制方法、液切れ向上剤、および液切れ向上方法及び製造方法は、後述する成分や濃度を使用することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の眼科用水性組成物は、PBT含有樹脂容器に収容される場合に、容器が安定化し、容器の劣化を抑制することができる。また、濡れ抑制および液切れの向上が望め、容器の液残りを減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、眼科用水性組成物にPBT含有樹脂片を浸漬させて熱処理を行う前後におけるPBT含有樹脂片の重量変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明において、含有量の単位「w/v%」は、「g/100mL」と同義である。本発明において、「配合量」は、「含有量」と同義である。
【0014】
本発明者らは、眼科用水性組成物をPBT含有樹脂容器に収める場合、PBT含有樹脂に重量変化が起き、容器の強度低下、ひび割れ、変形及び密封性の低下などの問題が生じること、つまり、眼科用水性組成物のような薬剤を一定期間保管しながら使用するような態様に、PBT含有樹脂で形成される容器を用いる場合には、PBT含有樹脂容器の性状変化の問題は深刻なものとなることを見出した。本発明の眼科用水性組成物は、このような問題を解決し得る。
【0015】
本発明の眼科用水性組成物は、(A)多糖類;単糖類;ビタミンB12類、ビタミンB2類、ビタミンA類、およびパンテノールからなる群より選択される1種以上のビタミン類;植物油、動物油、および鉱物油からなる群より選択される1種以上の油分;ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、およびステアリン酸ポリオキシルからなる群より選択される1種以上の界面活性剤;トラニラスト、ケトチフェン、ジフェンヒドラミン、およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上の抗アレルギー成分;クロルヘキシジン、ソルビン酸、およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上の防腐剤;カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ビニル系高分子化合物、およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上の増粘成分;多価アルコール;ベルベリン、アズレンスルホン酸、アラントイン、硫酸亜鉛、およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上の消炎成分;スルファメトキサゾールおよびその塩からなる群より選択される1種以上の抗菌剤;ユーカリ油およびベルガモット油からなる群より選択される1種以上の清涼化剤;からなる群より選択される1種以上、並びに(B)緩衝剤を含有する。本発明の眼科用水性組成物は、PBT含有樹脂容器に収容されてなる。
【0016】
本発明において、水性組成物とは、水を含有する組成物を意味する。該水性組成物は、水性組成物の総量に対して、水を50w/v%以上含有することが好ましく、70w/v%以上含有することがより好ましく、80w/v%以上含有することが更に好ましく、85w/v%以上含有することが更により好ましく、90w/v%以上含有することが特に好ましい。本発明において、眼科用水性組成物とは、点眼剤(点眼液又は点眼薬と同義)、洗眼剤(洗眼液又は洗眼薬と同義)、コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズ用洗浄液、コンタクトレンズ用保存液、又はコンタクトレンズ用消毒液などの眼科関連のあらゆる水性組成物である。
【0017】
本発明の眼科用水性組成物は、(A)成分として、多糖類;単糖類;ビタミンB12類、ビタミンB2類、ビタミンA類、およびパンテノールからなる群より選択される1種以上のビタミン類;植物油、動物油、および鉱物油からなる群より選択される1種以上の油分;ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、およびステアリン酸ポリオキシルからなる群より選択される1種以上の界面活性剤;トラニラスト、ケトチフェン、ジフェンヒドラミン、およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上の抗アレルギー成分;クロルヘキシジン、ソルビン酸、およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上の防腐剤;カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ビニル系高分子化合物、およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上の増粘成分;多価アルコール;ベルベリン、アズレンスルホン酸、アラントイン、硫酸亜鉛、およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上の消炎成分;スルファメトキサゾールおよびその塩からなる群より選択される1種以上の抗菌剤;ユーカリ油およびベルガモット油からなる群より選択される1種以上の清涼化剤;からなる群より選択される1種以上、を用いることができる。
【0018】
本発明において、これら(A)成分は単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。(A)成分は天然から得られるものや化学的に合成したものであっても用いることができる。(A)成分はいずれも市販のものを利用することもできる。
【0019】
本発明において、(A)成分の多糖類は、酸性多糖類であることが好ましい。酸性多糖類とは、2種以上の単糖の繰り返し構造を含み、酸性基を包含するものを指す。ここで、酸性基としては、限定はされないが、特にはカルボキシル基又は硫酸基を指す。繰り返し構造の構成成分は、限定はされないが、グルクロン酸、イズロン酸、マンヌロン酸、グルロン酸等のウロン酸、ガラクトサミンやグルコサミン等のアミノ糖、ガラクトース、マンノース、グルコース、ラムノース等が例としてあげられる。
【0020】
このような酸性多糖類としては、限定はされないが、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン、ケラタン硫酸、キサンタンガム、ジェランガム、アルギン酸及びこれらの塩などが例としてあげられる。
【0021】
(A)成分の酸性多糖類としては、天然から得られるものや、化学的に合成したものであっても用いることができ、由来は特に限定されない。酸性多糖類として市販のものを利用することもできる。酸性多糖類は、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、鉄、マンガン等の金属塩、その他の生理学的又は薬学的に許容される塩の形態でも用いることができる。また、アセチル化反応物を用いることができる。これらの酸性多糖類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。(A)成分の酸性多糖類としては、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、キサンタンガム、ジェランガム、アルギン酸及びそれらの塩が好ましく、特にコンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アルギン酸、ジェランガムが好ましい。
【0022】
(A)成分の酸性多糖類の分子量は、繰り返し単位の数や、種類によって様々であり、限定はされないが、重量平均分子量において数百~数百万であり得る。PBT含有樹脂容器の劣化を抑制する等の本発明による効果をより顕著に奏する観点から、(A)成分の酸性多糖類の分子量は、重量平均分子量において、0.01万~500万であることが好ましく、0.05万~300万であることがさらに好ましい。より具体的に、例えば、コンドロイチン硫酸又はその塩の重量平均分子量は0.1万~300万であることが好ましく、0.5万~150万であることがより好ましく、1万~50万であることがさらに好ましい。より具体的に、例えば、ヒアルロン酸又はその塩の重量平均分子量は10万~500万であることが好ましく、50万~400万であることがより好ましく、60万~250万であることがさらに好ましい。
【0023】
本発明において、(A)成分の単糖類には、グルコース(ブドウ糖)、リボース、グリセルアルデヒド、エリトロース、トレオース、リキソース、キシロース、アラビノース、アロース、タロース、グロース、アルトロース、マンノース、ガラクトース、及びイドースなどのアルドースの他、ジヒドロキシアセトン、エリトルロース、キシルロース、リブロース、プシコース、フルクトース、ソルボース及びタガトースなどのケトースも含まれる。このうち、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、ソルボースが好ましく、特には、グルコースであることが好ましい。これらを単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。このような単糖類として市販のものを利用することもできる。
【0024】
本発明において、(A)成分のビタミン類は、脂溶性ビタミンでも水溶性ビタミンであってもよい。脂溶性ビタミンとしては、例えば、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、レチナール、レチノイン酸、レチノイン酸メチル、レチノイン酸エチル、レチノイン酸レチノール、ビタミンA脂肪酸エステル、d-δ-トコフェリルレチノエート、α-トコフェリルレチノエート、β-トコフェリルレチノエート、カロチン、デヒドロレチナール、リコピン、およびそれらの塩等のビタミンA類からなる群より選択される1種以上であり得る。水溶性ビタミンとしては、例えば、リボフラビン、フラビンモノヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチド、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビンテトラ酪酸エステル、リボフラビン5’-リン酸エステルナトリウム、リボフラビンテトラニコチン酸エステル、およびそれらの塩等のビタミンB2類;シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、メチルコバラミン、デオキシアデノシルコバラミン、およびそれらの塩等のビタミンB12類;およびパントテニルアルコール(パンテノール);からなる群より選択される1種以上であり得る。
【0025】
(A)成分のビタミン類は、シアノコバラミン、レチノール、パンテノール、フラビンアデニンジヌクレオチド、およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上であることが好ましく、シアノコバラミン、パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール、パンテノール、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウムからなる群より選択される1種以上であることが特に好ましい。ビタミンA類としては、例えば、0.550μgがビタミンA1I.U.である、DSM社製のレチノールパルミチン酸エステル等を挙げることができる。なお、I.U.とは、第十六改正日本薬局方ビタミンA定量法等に記載の手法により求められる国際単位を意味する。
【0026】
これらのビタミン類は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。このようなビタミンは、いずれも市販のものを利用することもできる。
【0027】
本発明において、(A)成分の油分は、植物油、動物油、および鉱物油からなる群より選択される1種以上の油分であり得る。(A)成分として油分を使用する場合、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、植物油および/又は鉱物油がより好ましい。
【0028】
ここで、植物油とは、植物を原料とする油であれば特に限定されない。トリグリセリドを含有する植物油が好ましい。(A)成分の植物油は、具体的には、限定はされないが、ゴマ油、ヒマシ油、ダイズ油、ラッカセイ油、アーモンド油、小麦胚芽油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、綿実油、オリーブ油、またはこれらの誘導体等が挙げられる。(A)成分の植物油としては、ゴマ油、ヒマシ油、ダイズ油、またはこれらの誘導体が好ましく、ゴマ油、ヒマシ油が特に好ましい。これらの植物油は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。このような植物油は、いずれも市販のものを利用することもできる。
【0029】
(A)成分の動物油は、具体的には、限定はされないが、スクワラン、ラノリン、オレンジラフィー油、馬油、鯨油、肝油、ミンク油、卵黄油、牛脂、乳脂、豚油等が挙げられる。(A)成分の動物油としては、スクワラン、ラノリン、卵黄油、またはこれらの誘導体が好ましく、スクワラン、精製ラノリンが特に好ましい。ここで、動物油とは、動物を原料とする油であれば特に限定されない。これらの動物油は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。このような動物油は、いずれも市販のものを利用することもできる。
【0030】
(A)成分の鉱物油は、天然の石油由来の炭化水素油で、精製されて得られる液状及びグリース状の化学物質をいう。(A)成分の鉱物油は、具体的には、限定はされないが、パラフィン油、流動パラフィン、ワセリン等が挙げられ、流動パラフィン、軽質流動パラフィン、白色ワセリンが特に好ましい。これらの鉱物油は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。このような鉱物油は、いずれも市販のものを利用することもできる。例えば、流動パラフィンとしてカネダ株式会社製のハイコールM-202等を挙げることができる。
【0031】
本発明において、(A)成分の界面活性剤は、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、およびステアリン酸ポリオキシルからなる群より選択される1種以上であり得る。
【0032】
このような界面活性剤として、具体的には、ポロクサマー407、ポリオキシエチレン(200)ポリオキシプロピレン(70)グリコール、ポロクサマー188、ポリオキシエチレン(120)ポリオキシプロピレン(40)グリコール、ポリオキシエチレン(54)ポリオキシプロピレン(39)グリコール、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール、テトロニック等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油5、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油20、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油100等のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;ポリオキシエチレンヒマシ油3、ポリオキシエチレンヒマシ油4、ポリオキシエチレンヒマシ油6、ポリオキシエチレンヒマシ油7、ポリオキシエチレンヒマシ油10、ポリオキシエチレンヒマシ油13.5、ポリオキシエチレンヒマシ油17、ポリオキシエチレンヒマシ油20、ポリオキシエチレンヒマシ油25、ポリオキシエチレンヒマシ油35、ポリオキシエチレンヒマシ油40、ポリオキシエチレンヒマシ油50、ポリオキシエチレンヒマシ油60等のポリオキシエチレンヒマシ油;ステアリン酸ポリオキシル40、ステアリン酸ポリオキシル140等のステアリン酸ポリオキシルなどが挙げられる。
【0033】
(A)成分の界面活性剤の中でも、ポロクサマー407、ポリオキシエチレン(200)ポリオキシプロピレン(70)グリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレンヒマシ油3、ポリオキシエチレンヒマシ油10、ポリオキシエチレンヒマシ油35、ステアリン酸ポリオキシル40、ステアリン酸ポリオキシル140が好ましく、ポロクサマー407、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレンヒマシ油10、ポリオキシエチレンヒマシ油35、ステアリン酸ポリオキシル40がより好ましい。
【0034】
(A)成分として用いられるポリオキシエチレンヒマシ油の酸化エチレンの平均付加モル数は、特に限定はされないが、例えば、2~70モルとすることができ、好ましくは、2~60、さらに好ましくは3~50、特に好ましくは3~40とすることができる。(A)成分として用いられるポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールの酸化エチレンの平均付加モル数は、特に限定はされないが、例えば、10~350モルとすることができ、好ましくは、30~300、さらに好ましくは50~300、特に好ましくは100~250とすることができる。(A)成分として用いられるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の酸化エチレンの平均付加モル数は、特に限定はされないが、3~120モルとすることができ、好ましくは20~100、さらに好ましくは30~80とすることができる。(A)成分として用いられるステアリン酸ポリオキシルの酸化エチレンの平均付加モル数は、特に限定はされないが、3~200モルとすることができ、好ましくは20~180、さらに好ましくは30~160とすることができる。
【0035】
本発明において、(A)成分は、トラニラスト、ケトチフェン、ジフェンヒドラミン、およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上の抗アレルギー成分であり得る。抗アレルギー成分の中でも、トラニラスト、フマル酸ケトチフェン、塩酸ジフェンヒドラミンが好ましい。
【0036】
本発明において、(A)成分は、クロルヘキシジン、ソルビン酸、およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上の防腐剤であり得る。防腐剤の中でも、グルコン酸クロルヘキシジン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウムが好ましい。
【0037】
本発明において、(A)成分の増粘成分は、セルロース系高分子化合物でもビニル系高分子化合物であってもよい。セルロース系高分子化合物としては、特に限定はされないが、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、およびそれらの塩等があり得る。ビニル系高分子化合物としては、特に限定はされないが、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール(完全又は部分ケン化物)、カルボキシビニルポリマー、およびそれらの塩等があり得る。(A)成分の増粘成分は、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ビニル系高分子化合物、およびそれらの塩が好ましく、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマーがより好ましく、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、ポリビニルピロリドンK30、ポリビニルピロリドンK90、カルボキシビニルポリマーがさらに好ましく、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンK25、ポリビニルピロリドンK30、ポリビニルピロリドンK90、カルボキシビニルポリマーが特に好ましい。
【0038】
本発明において、(A)成分は、多価アルコールであり得る。多価アルコールは、限定はされないが、プロピレングリコール、グリセリン、およびマンニトールからなる群より選択される1種以上の多価アルコールであることが好ましい。
【0039】
本発明において、(A)成分は、ベルベリン、アズレンスルホン酸、アラントイン、硫酸亜鉛、またはそれらの塩からなる群より選択される1種以上の消炎成分であり得る。消炎成分の中でも、硫酸ベルベリン、塩化ベルベリン、アズレンスルホン酸ナトリウム、アラントイン、硫酸亜鉛であることが好ましい。
【0040】
本発明において、(A)成分は、スルファメトキサゾールまたはその塩からなる群より選択される1種以上の抗菌剤であり得る。ここで、スルファメトキサゾールの塩は、スルファメトキサゾールナトリウムであることが好ましい。
【0041】
本発明において、(A)成分は、ユーカリ油およびベルガモット油からなる群より選択される1種以上の清涼化剤であり得る。
【0042】
これらの(A)成分は、すべて、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。特には、2種以上を組み合わせることが好ましい。2種以上である場合、例えば、同じ分類の異なる物質を2種以上とすることも、異なる分類の異なる物質を2種以上とすることもできる。例えば、多糖類として2種類以上を含有すること、あるいは多糖類から1種以上およびビタミン類から1種以上を選択して組み合わせることもできる。単糖類、油分、界面活性剤、抗アレルギー成分、防腐剤、増粘成分、多価アルコール、消炎成分、抗菌剤、清涼化剤等の(A)成分についても同様である。
【0043】
本発明の眼科用水性組成物において、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、眼科用水性組成物総量に対する(A)成分の総含有量は、(A)成分の種類、他の配合成分の種類及び含有量に応じて適宜設定される。眼科用水性組成物の総量に対して、(A)成分の総含有量は、好ましくは0.0001w/v%以上であり、より好ましくは、0.001w/v%以上、より好ましくは0.005w/v%以上、さらに好ましくは0.01w/v%以上である。眼科用水性組成物の総量に対して、(A)成分の総含有量は、好ましくは20w/v%以下であり、より好ましくは10w/v%以下、さらに好ましくは5w/v%以下、より好ましくは3w/v%以下、もっとも好ましくは1w/v%以下である。
【0044】
本発明の眼科用水性組成物総量に対する多糖類の総含有量は、(A)成分の種類、他の配合成分の種類及び含有量に応じて適宜設定される。本発明による効果をより顕著に奏する観点から、眼科用水性組成物の総量に対して、多糖類の総含有量は0.0001w/v%~6w/v%含有することが好ましく、0.0005w/v%~4w/v%含有することがさらに好ましく、0.001w/v%~2w/v%含有することが特に好ましい。
【0045】
限定はされないが、好ましい態様では、例えば、コンドロイチン硫酸又はその塩を(A)成分として含有する場合に、コンドロイチン硫酸又はその塩の単独の含有量として、眼科用水性組成物総量の0.0001w/v%~5w/v%含有することが好ましく、0.005w/v%~3w/v%含有することがさらに好ましい。同様に、別の好ましい態様では、例えば、ヒアルロン酸又はその塩を(A)成分として含有する場合に、ヒアルロン酸又はその塩の単独の含有量として、眼科用水性組成物総量の0.0001w/v%~1w/v%含有することが好ましく、0.0005w/v%~0.5w/v%含有することがさらに好ましい。
【0046】
本発明の眼科用水性組成物総量に対する単糖類の総含有量は、(A)成分の種類、他の配合成分の種類及び含有量に応じて適宜設定される。本発明による効果をより顕著に奏する観点から、眼科用水性組成物の総量に対して、単糖類の総含有量は0.0001w/v%~3w/v%含有することが好ましく、0.005w/v%~1.5w/v%含有することがさらに好ましく、0.001w/v%~0.5w/v%含有することが特に好ましい。
【0047】
別の好ましい態様では、グルコースを(A)成分として含有する場合に、グルコースの単独の含有量として、眼科用水性組成物全量の0.0001w/v%~3w/v%含有することが好ましく、0.005w/v%~1.5w/v%含有することがさらに好ましく、0.001w/v%~0.5w/v%含有することが特に好ましい。
【0048】
本発明の眼科用水性組成物総量に対するビタミン類の総含有量は、(A)成分の種類、他の配合成分の種類及び含有量に応じて適宜設定される。本発明による効果をより顕著に奏する観点から、眼科用水性組成物の総量に対して、ビタミン類の総含有量は0.00001w/v%~1.6w/v%含有することが好ましく、0.0005w/v%~0.8w/v%含有することがさらに好ましく、0.0005w/v%~0.4w/v%含有することが特に好ましい。
【0049】
限定はされないが、好ましい態様では、例えば、パルミチン酸レチノールを(A)成分として含有する場合に、パルミチン酸レチノールの単独の含有量として、眼科用水性組成物全量の10~500,000単位/100mL含有が好ましく、100~300,000単位/100mL含有がより好ましく、500~200,000単位/100mL含有がさらに好ましい。配合するパルミチン酸レチノールの単位にもよるが、0.005~0.5W/V%含有が好ましく、0.001~0.4W/V%含有がより好ましく、0.01~0.3W/V%含有がさらに好ましい。同様に、別の好ましい態様では、例えば、シアノコバラミンを単独の(A)成分として、眼科用水性組成物全量の0.00001w/v%~1w/v%含有することが好ましく、0.00005w/v%~0.5w/v%含有することがさらに好ましく、0.0001w/v%~0.02w/v%含有することが特に好ましい。
【0050】
本発明の眼科用水性組成物総量に対する油分の総含有量は、(A)成分の種類、他の配合成分の種類及び含有量に応じて適宜設定される。本発明による効果をより顕著に奏する観点から、眼科用水性組成物の総量に対して、油分の総含有量は0.00001w/v%~6w/v%含有することが好ましく、0.0005w/v%~3w/v%含有することがさらに好ましく、0.0001w/v%~1w/v%含有することが特に好ましい。
【0051】
限定はされないが、好ましい態様では、例えば、ゴマ油を(A)成分として含有する場合に、ゴマ油の単独の含有量として、眼科用水性組成物全量の0.00001w/v%~5w/v%含有することが好ましく、0.0001w/v%~1w/v%含有することがさらに好ましい。同様に、別の好ましい態様では、例えば、ヒマシ油を(A)成分として含有する場合に、ヒマシ油の単独の含有量として、眼科用水性組成物全量の0.00001w/v%~5w/v%含有することが好ましく、0.0001w/v%~1w/v%含有することがさらに好ましい。同様に、別の好ましい態様では、例えば、流動パラフィンを(A)成分として含有する場合に、流動パラフィンの単独の含有量として、眼科用水性組成物全量の0.00001w/v%~2w/v%含有することが好ましく、0.0001w/v%~1w/v%含有することがさらに好ましい。同様に、別の好ましい態様では、例えば、ワセリンを(A)成分として含有する場合に、ワセリンの単独の含有量として、眼科用水性組成物全量の0.00001w/v%~5w/v%含有することが好ましく、0.00005w/v%~1w/v%含有することがさらに好ましい。
【0052】
本発明の眼科用水性組成物総量に対する界面活性剤の総含有量は、(A)成分の種類、他の配合成分の種類及び含有量に応じて適宜設定される。本発明による効果をより顕著に奏する観点から、眼科用水性組成物の総量に対して、界面活性剤の総含有量は0.00001w/v%~10w/v%含有することが好ましく、0.0001w/v%~8w/v%含有することがさらに好ましく、0.001w/v%~5w/v%含有することが特に好ましい。
【0053】
限定はされないが、好ましい態様では、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを(A)成分として含有する場合に、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールの単独の含有量として、眼科用水性組成物全量の0.00001w/v%~10w/v%含有することが好ましく、0.0001w/v%~8w/v%含有することがさらに好ましく、0.001w/v%~5w/v%含有することが特に好ましい。同様に、別の好ましい態様では、例えば、ポリオキシエチレンヒマシ油を(A)成分として含有する場合に、ポリオキシエチレンヒマシ油の単独の含有量として、眼科用水性組成物全量の0.00001w/v%~10w/v%含有することが好ましく、0.0001w/v%~5w/v%含有することがさらに好ましく、0.001w/v%~3w/v%含有することが特に好ましい。
【0054】
本発明の眼科用水性組成物総量に対する抗アレルギー成分の総含有量は、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、眼科用水性組成物の総量に対して、0.00001w/v%~5w/v%含有することが好ましく、0.0005w/v%~1w/v%含有することがさらに好ましく、0.0005w/v%~0.5w/v%含有することが特に好ましい。
【0055】
本発明の眼科用水性組成物総量に対する防腐剤の総含有量は、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、眼科用水性組成物の総量に対して、0.00001w/v%~2w/v%含有することが好ましく、0.00005w/v%~1w/v%含有することがさらに好ましく、0.0001w/v%~0.5w/v%含有することが特に好ましい。
【0056】
本発明の眼科用水性組成物総量に対する増粘成分の総含有量は、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、眼科用水性組成物の総量に対して、0.0001w/v%~10w/v%含有することが好ましく、0.0005w/v%~8w/v%含有することがさらに好ましく、0.001w/v%~5w/v%含有することが特に好ましい。
【0057】
本発明の眼科用水性組成物総量に対する多価アルコールの総含有量は、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、眼科用水性組成物の総量に対して、0.00005w/v%~10w/v%含有することが好ましく、0.0001w/v%~8w/v%含有することがさらに好ましく、0.005w/v%~5w/v%含有することが特に好ましい。
【0058】
本発明の眼科用水性組成物総量に対する消炎成分の総含有量は、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、眼科用水性組成物の総量に対して、0.00001w/v%~3w/v%含有することが好ましく、0.00005w/v%~1.5w/v%含有することがさらに好ましく、0.0001w/v%~0.6w/v%含有することが特に好ましい。
【0059】
本発明の眼科用水性組成物総量に対する抗菌成分の総含有量は、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、眼科用水性組成物の総量に対して、0.01w/v%~6w/v%含有することが好ましく、0.05w/v%~5w/v%含有することがさらに好ましく、0.4w/v%~4w/v%含有することが特に好ましい。
【0060】
本発明の眼科用水性組成物総量に対する清涼化剤の総含有量は、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、眼科用水性組成物の総量に対して、0.0001w/v%~1w/v%含有することが好ましく、0.0005w/v%~0.5w/v%含有することがさらに好ましく、0.001w/v%~0.1w/v%含有することが特に好ましい。
【0061】
本発明において、(B)成分の緩衝剤は、無機緩衝剤であっても、有機緩衝剤であってもよい。
【0062】
本発明の(B)成分の無機緩衝剤は、好ましくは、ホウ酸またはホウ酸の塩である。ホウ酸の塩は、生理学的又は薬学的に許容される塩であれば特に限定はされない。ホウ酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、有機塩基等との塩が例示される。より詳細には、ホウ酸のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、又はジエタノールアミン、エチレンジアミン等との塩が挙げられる。ホウ酸塩の好ましい例として、限定はされないが、具体的には、ホウ砂、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸アンモニウム、テトラホウ酸カリウムなどがあげられる。このうち、特に好ましくはホウ砂が用いられる。
【0063】
本発明の(B)成分の有機緩衝剤は、好ましくは、イプシロン-アミノカプロン酸、リン酸、クエン酸、炭酸、又は2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール(トリス、トロメタモール、トリスヒドロキシメチルアミノメタン)、またはこれらの塩である。これらの塩についても、生理学的又は薬学的に許容される塩であれば、特に限定はされない。イプシロン-アミノカプロン酸、リン酸、クエン酸、炭酸、又は2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオールのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、有機塩基等との塩が例示される。好ましくは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、又はジエタノールアミン、エチレンジアミン等との塩が挙げられる。
【0064】
本発明において、これら(B)成分は単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。(B)成分は天然から得られるものや化学的に合成したものであっても用いることができる。(B)成分はいずれも市販のものを利用することもできる。
【0065】
本発明の眼科用水性組成物において、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、眼科用水性組成物総量に対して、(B)成分の総含有量は、好ましくは0.001w/v%以上であり、より好ましくは0.01w/v%以上、さらに好ましくは0.1w/v%以上である。また、眼科用水性組成物総量に対して(B)成分の総含有量は、好ましくは20w/v%以下であり、より好ましくは15w/v%以下、さらに好ましくは10w/v%以下、さらに好ましくは5w/v%以下、最も好ましくは3w/v%以下、である。
【0066】
限定はされないが、好ましい態様では、例えば、イプシロン-アミノカプロン酸又は2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオールを(B)成分として含有する場合に、イプシロン-アミノカプロン酸又は2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオールの単独の含有量として、眼科用水性組成物全量の0.001w/v%~6w/v%含有することが好ましく、0.01w/v%~8w/v%含有することがさらに好ましく、0.05w/v%~5w/v%含有することが特に好ましい。同様に、別の好ましい態様では、例えば、ホウ酸、リン酸、クエン酸、炭酸、及びこれらの塩を(B)成分として含有する場合に、ホウ酸、リン酸、クエン酸、炭酸、及びこれらの塩の単独の含有量として、眼科用水性組成物全量の0.001w/v%~5w/v%含有することが好ましく、0.005w/v%~4w/v%含有することがさらに好ましく、0.01w/v%~3w/v%含有することが特に好ましい。
【0067】
本発明の眼科用水性組成物において、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、(A)成分に対する(B)成分の含有量の比率は、(A)成分の総含有量1重量部に対して、(B)成分の総含有量が0.00001~10000重量部が好ましく、0.0001~5000重量部がより好ましく、0.0005~3000重量部がよりさらに好ましく、0.001~2000重量部が特に好ましく、0.01~1000重量部が最も好ましい。
【0068】
本発明の眼科用水性組成物において、(A)成分と(B)成分の組み合わせは特に限定されず、(A)成分及び(B)成分の種類等に応じて適宜設定される。組み合わせを以下の2頁にわたる表1に例示する。
【0069】
【0070】
本発明では、PBT含有樹脂容器とは、眼科用の容器であって、容器の一部又は全部がポリブチレンテレフタレートを含有する樹脂で成形された容器のことを言う。ここで、「容器の一部」は、内部に収容される眼科用水性組成物と接触する部分の少なくとも一部である。眼科用水性組成物と接触する部分は、中栓、穴あき中栓、容器内面に構成された複数の層からなる構造の最も内側の層などであり得る。例えば、穴あき中栓(ノズル)を有する容器では、中栓部分のみがPBT含有樹脂で形成されていてもよい。あるいは、中栓以外の収容部分等がPBT含有樹脂で形成されていてもよい。あるいは、容器全体がPBT含有樹脂で成型されていてもよい。眼科用水性組成物と接触する面の少なくとも一部がPBT含有樹脂で構成されていればよいが、接触面の全部がPBT含有樹脂で構成されていることが最も好ましい。容器の一部がPBT含有樹脂で形成されている場合、他の部分を形成する樹脂の種類については特に制限されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメタクリル酸メチル、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体よりなる群から選択される少なくとも1種のポリマーが構成成分として含まれていてもよい。
【0071】
本発明において、PBT含有樹脂容器の形状、内部に収容できる容量は特に限定はされない。例えば通常の点眼剤又はコンタクトレンズ装着液としての容器であれば、内容量を0.1ml以上50ml以下、好ましくは、2ml以上40ml以下、さらに好ましくは4ml以上25ml以下収容できる容器であり得る。PBT含有樹脂容器が、洗眼剤又はコンタクトレンズケア用液としての容器であれば、内部に収容できる容量40ml以上600ml以下であり得る。
【0072】
この他に、本発明のPBT含有樹脂容器は、コンタクトレンズに適用する眼科用水性組成物を収容できる容器であり得る。
【0073】
本発明で使用される眼科用水性組成物は、複数回数の使用量が収容されるマルチドーズ型であってもよく、単回数の使用量が収容されるユニットドーズ型であってもよい。
【0074】
本発明では、特には、PBT含有樹脂容器は、点眼容器、洗眼液容器、コンタクトレンズ装着液収容容器、コンタクトレンズケア用液収容容器(コンタクトレンズ洗浄液収容容器、コンタクトレンズ保存液収容容器、コンタクトレンズ消毒液収容容器、コンタクトレンズマルチパーパスソリューション収容容器等が含まれる)、コンタクトレンズ包装液収容容器であることが好ましい。特に好ましくは、点眼容器、コンタクトレンズ装着液収容容器、コンタクトレンズケア用液収容容器である。なお、ここでいうコンタクトレンズはあらゆるコンタクトレンズを意味し、ソフトコンタクトレンズでもハードコンタクトレンズでもいずれでもよい。
【0075】
本発明ではまた、PBT含有樹脂容器に眼科用水性組成物が収容された状態の製品が提供される。本発明ではまた、眼科用水性組成物入り容器の点眼剤、洗眼剤、コンタクト適用製品が提供される。
【0076】
本発明のPBT含有樹脂容器におけるPBT含有樹脂は、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体と1,4-ブタンジオールを重縮合させるなど公知の重合方法によって得られるポリマーを含む。このようなポリマーに、安定化剤などの添加剤を加えてPBT含有樹脂とすることもできる。PBT含有樹脂として市販されているPBT含有樹脂を、特に制限なく用いることができる。例えば「ノバデュラン(登録商標)5010R5」、三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製等が挙げられる。テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体と1,4-ブタンジオールとを重縮合して合成したポリマーには、構成成分として任意に他のモノマーが含まれていてもよく、さらには、他のポリマーが含まれていてもよい。他のポリマーには、ポリカーボネート、(メタ)アクリル酸系重合体、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリアリレート、ポリプロピレン(PP)などが含まれるが、これに限定されない。ここで、限定はされないが、テレフタル酸のエステル形成性誘導体としては、テレフタル酸ジメチルなどが例示される。好ましくは、本発明のPBT含有樹脂は、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体と1,4-ブタンジオールとを重縮合して合成したポリマーを、樹脂を構成するポリマー成分のうち、50重量%以上、より好ましくは、60重量%以上、さらにより好ましくは70重量%以上を占めるものである。これらは市販のものを利用することもできる。
【0077】
本発明のPBT含有樹脂は、さらに、ガラス繊維などの補強剤を含んで強化した樹脂も包含する。
【0078】
本発明の眼科用水性組成物においては、(A)成分及び(B)成分の他に、通常眼科用水性組成物に用いることができる他の成分を含有させることが好ましい。かかる成分は特に制限されないが、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、特に好ましくは、エデト酸ナトリウムであり得る。本発明において、エデト酸ナトリウムは市販のものを利用することもできる。
【0079】
本発明の眼科用水性組成物において、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、眼科用水性組成物の総量に対してエデト酸ナトリウムの総含有量は、好ましくは0.0001w/v%以上であり、より好ましくは、0.0005w/v%以上、さらに好ましくは0.001w/v%以上である。眼科用水性組成物の総量に対して、エデト酸ナトリウムの総含有量は、好ましくは1w/v%以下であり、より好ましくは0.5w/v%以下、さらに好ましくは0.2w/v%以下である。(A)成分に対するエデト酸ナトリウムの含有量の比率は、(A)成分の総含有量1重量部に対して、エデト酸ナトリウムの総含有量が0.0001~1000重量部が好ましく、0.0005~500重量部がより好ましく、0.001~200重量部がよりさらに好ましい。
【0080】
その他に、例えば、一般用医薬品製造(輸入)承認基準2012年版(一般社団法人 レギュラトリーサイエンス学会監修)に記載された眼科用薬における有効成分が例示できる。具体的には次のような成分が挙げられる。
【0081】
抗ヒスタミン剤:マレイン酸クロルフェニラミン
抗アレルギー剤:アシタザノラスト、アンレキサノクス、イブジラスト、塩酸レボカバスチン、クロモグリク酸ナトリウム、ペミロラストカリウム、塩酸オロパタジン等。
充血除去剤:塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸ナファゾリン、硝酸ナファゾリン、エピネフリン、塩酸エピネフリン、塩酸エフェドリン、塩酸フェニレフリン、塩酸メチルエフェドリン等。
アミノ酸類:アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アミノエチルスルホン酸等。
消炎剤:グリチルリチン酸二カリウム、塩化リゾチーム、プラノプロフェン、ブロムフェナク、ケトロラクトロメタミン、ネパフェナク等。収斂剤:亜鉛華、乳酸亜鉛等。
その他:スルフイソキサゾール、スルフイソミジンナトリウム、メチル硫酸ネオスチグミン、ジブカイン等。
【0082】
さらに、本発明の眼科用水性組成物においては、担体、増粘剤、pH調整剤、一般的な糖類、一般的な等張化剤、香料、清涼化剤、キレート剤などの添加剤を選択し、少なくとも1種を併用して適当量含有させてもよい。それらの添加物として、例えば、医薬品添加物事典2007(日本医薬品添加剤協会編集)に記載された各種添加物が例示できる。代表的な成分として次の添加物が挙げられる。
【0083】
担体:水、含水エタノール等の水性担体。
増粘剤:ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、等。
糖アルコール類:キシリトール、ソルビトール、など。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。
等張化剤:アミノエチルスルホン酸、ポリエチレングリコール、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム等。
pH調節剤:塩酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等。安定化剤:ジブチルヒドロキシトルエン、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、モノエタノールアミン、モノステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン、シクロデキストリン、デキストラン等。
キレート剤:コハク酸、トリヒドロキシメチルアミノメタン、ニトリロトリ酢酸、1-ヒドロキシエタン1-,1-ジホスホン酸、ポリリン酸、メタリン酸、ヘキサメタリン酸等。
香料又は清涼化剤:メントール、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール、シネオール、シトロネロール、カルボン、アネトール、オイゲノール、シネオール、リモネン、酢酸リナリル、リュウノウ、メントン等。これらは、d体、l体又はdl体のいずれでもよく、また精油(ハッカ油、クールミント油、スペアミント油、ペパーミント油、ウイキョウ油、ケイヒ油、ローズ油等)として配合してもよい。
クロルヘキシジン、ソルビン酸、およびそれらの塩を除く防腐剤:ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、安息香酸ナトリウム、エタノール、チロキサポール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化亜鉛、クロロブタノール、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、硫酸オキシキノリン、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール、ビグアニド化合物(具体的には、塩酸ポリヘキサニド(ポリヘキサメチレンビグアニド)等)、塩化ポリドロニウム、クロルクレゾール、パラクロルメタキシレノール、グローキル(ローディア社製商品名)等。
【0084】
本発明の眼科用水性組成物に用いられる水は、生理学的又は薬学的に許容されるものであればよい。このような水として、例えば、蒸留水、常水、精製水、滅菌精製水、注射用水及び注射用蒸留水などを挙げることができる。これらの定義は第十六改正日本薬局方に基づく。
【0085】
本発明において、「塩」とは、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機塩基との塩、有機塩基との塩等の塩基性塩があり、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、又はジエタノールアミン、エチレンジアミン等との塩が挙げられる。これらの塩は、たとえば、リラナフタート等に存在する硫酸基やカルボキシル基を公知の方法により塩に変換することで得られる。さらには、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)ピペラジン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、エタノールアミン、N-メチルグルカミン、L-グルカミン等のアミンの塩;又はリジン、δ-ヒドロキシリジン、アルギニンなどの塩基性アミノ酸との塩などが挙げられる。また、本発明において、「塩」とは、酸性塩等があり、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の鉱酸の塩のような無機酸との塩;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、ケイ皮酸、乳酸、グリコール酸、グルクロン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、サリチル酸、グルコン酸、パルミチン酸等の有機酸との塩;又はアスパラギン酸、グルタミン酸などの酸性アミノ酸との塩なども挙げられる。
【0086】
本発明でいう「生理学的又は薬学的に許容される塩」には、塩の溶媒和物又は水和物を含んでいてもよい。
【0087】
本発明の眼科用水性組成物の形態としては、水を含むものであればよく、例えば、水溶液状、ゲル状、懸濁液状、乳液状のいずれであってもよく、好ましくは水溶液状である。
【0088】
本発明の眼科用水性組成物は、好ましくは以下のような組成であり得るが、限定はされない。ヒアルロン酸ナトリウム、ホウ酸、および水を含む眼科用水性組成物;ヒアルロン酸ナトリウム、イプシロン-アミノカプロン酸、および水を含む眼科用水性組成物;ヒアルロン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、および水を含む眼科用水性組成物;ヒアルロン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、および水を含む眼科用水性組成物;ヒアルロン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、および水を含む眼科用水性組成物;ヒアルロン酸ナトリウム、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、および水を含む眼科用水性組成物;コンドロイチン硫酸ナトリウム、ホウ酸、および水を含む眼科用水性組成物;コンドロイチン硫酸ナトリウム、イプシロン-アミノカプロン酸、および水を含む眼科用水性組成物;コンドロイチン硫酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、および水を含む眼科用水性組成物;コンドロイチン硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、および水を含む眼科用水性組成物;コンドロイチン硫酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、および水を含む眼科用水性組成物;コンドロイチン硫酸ナトリウム、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、および水を含む眼科用水性組成物;グルコース、ホウ酸、および水を含む眼科用水性組成物;グルコース、イプシロン-アミノカプロン酸、および水を含む眼科用水性組成物;グルコース、リン酸水素ナトリウム、および水を含む眼科用水性組成物;グルコース、クエン酸ナトリウム、および水を含む眼科用水性組成物;グルコース、炭酸水素ナトリウム、および水を含む眼科用水性組成物;グルコース、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、および水を含む眼科用水性組成物。
【0089】
本発明の眼科用水性組成物のpHは、生理学的又は薬学的に許容できる範囲であれば制限されないが、例えば、pHが3以上であり、好ましくは4以上、より好ましくは5以上、さらに好ましくは5.5以上、さらにより好ましくは6以上である。pHが9以下であり、好ましくは8.5以下、より好ましくは8以下、さらに好ましくは7.5以下、さらにより好ましくは7以下である。
【0090】
本発明の眼科用水性組成物の浸透圧比は、生理学的又は薬学的に許容される範囲内であれば、配合成分の種類及び含有量、該眼科用水性組成物の用途、製剤形態、使用方法等に応じて適宜設定されるが、例えば、0.4~5、好ましくは0.5~4、より好ましくは0.6~3、さらに好ましくは0.7~2とすることができる。なお、本発明の眼科用水性組成物において、浸透圧比は、第十六改正日本薬局方の浸透圧測定法(オスモル濃度測定法)に基づき、生理食塩液に対する浸透圧比として求める。
【0091】
本発明の眼科用水性組成物の粘度は、生理学的又は薬学的に許容される範囲内であれば、配合成分の種類及び含有量、該眼科用水性組成物の用途、製剤形態、使用方法等に応じて適宜設定される。回転粘度計(RE550型粘度計、東産業社製、ローター;1°34‘×R24)で測定した20℃における粘度が0.01~10000mPa・sとすることが好ましく、0.05~8000mPa・sとすることがさらに好ましい。
【0092】
本発明の眼科用水性組成物の使用方法は、配合成分の種類及び含有量、該眼科用水性組成物の用途、製剤形態に応じて適宜設定される。
【0093】
本発明の眼科用水性組成物はまた、PBT含有樹脂容器の劣化を抑制することができる為、PBT含有樹脂容器の劣化抑制剤として用いることができる。
【0094】
ここで、PBT含有樹脂容器の劣化抑制とは、限定はされないが、眼科用水性組成物収容後、一定期間使用又は保管後もその容器の性状の変化が少ないことを言う。例えば、重量変化が少ないことを言う。劣化抑制の観点から、重量変化はより抑制されているほどよい。眼科用水性組成物をPBT含有樹脂容器に収める場合、PBT含有樹脂に重量変化が起き、容器の強度低下、ひび割れ、変形及び密封性の低下などの問題が生じる。つまり、眼科用水性組成物のような薬剤を一定期間保管しながら使用するような態様に、PBT含有樹脂で形成される容器を用いる場合には、PBT含有樹脂容器の性状変化の問題は深刻なものとなる。
【0095】
本発明の眼科用水性組成物はまた、PBT含有樹脂容器の液切れが向上し、容器の液残りを抑制することができる為、PBT含有樹脂容器の液切れ向上剤として用いることができる。
【0096】
ここで、PBT含有樹脂容器の液切れ向上剤とは、限定はされないが、眼科用水性組成物が容器に対して濡れにくいことを意味する場合を含む。このように眼科用水性組成物が、容器に対して濡れにくいことを示す指標としては、例えば、動的接触角である前進接触角の大きさで表わすことができる。前進接触角が大きい程濡れにくく、液切れがよい状態を表し、前進接触角が小さい、またはマイナスの値の絶対値が大きくなるほど濡れやすく、液切れがわるい、ということになる。
【0097】
本発明の眼科用水性組成物は、単独あるいはキットの形態において、PBT含有樹脂容器内に収容されて提供される。PBT含有樹脂容器は本発明の眼科用水性組成物をその中に収容することで、良好に保持することができ、その結果、該眼科用水性組成物の性状も長期保存後においても良好に保持される。
【0098】
本発明の眼科用水性組成物は、公知の調製方法を用いて、上記(A)成分及び(B)成分並びに必要に応じて他の含有成分を所望の含有量となるように担体に添加することにより調製される。例えば、第十六改正日本薬局方製剤総則に記載された方法を用いて製造することができる。具体的には、例えば、精製水で上記成分を溶解又は懸濁させ、所定のpH及び浸透圧に調整し、公知の滅菌方法により滅菌処理することで調製できる。
【実施例0099】
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0100】
<重量変化の評価1>
(実施例1)
(A)成分として、ヒアルロン酸ナトリウム(重量平均分子量85万~160万)、(B)成分として、ホウ酸、及びホウ砂を、約70℃にて精製水に溶解させそれぞれ表2に示す濃度になるように、眼科用水性組成物を調製した。そのpHは、HORIBA pHメーターで室温で測定した。
【0101】
(実施例2~3)
実施例1と同様にして、表2に示す実施例2及び3の眼科用水性組成物を調製した。
【0102】
(比較例1~3)
実施例1と同様にして、表2に示す比較例1~3の眼科用水性組成物を調製した。
【0103】
【0104】
(試験方法)
実施例1~3及び比較例1~3の試験液を、10mL容量透明ガラスバイアル(セプタムキャップ)に3mLずつ充填し、さらに直径約1.0cm、重さ約205mg、厚さ約2.0mmの大きさのPBT含有樹脂(製品名:PBTナチュラル、アラム社製)片を1個ずつ浸漬させ、速やかに密封した。恒温槽にて70℃ 2週間静置する熱処理を行った後に、各樹脂の重量を測定し、式1により単位体積あたりの重量変化を算出した。この熱処理は、室温で約3年間、保管した場合に相当する。当初重量に対する重量変化で評価することもできる。PBT含有樹脂の体積は、樹脂の密度と重量から算出することもできる。
(式1)単位体積あたりの重量変化(mg/cm3)=
(熱処理後樹脂片重量-熱処理前樹脂片重量)/樹脂体積
【0105】
このようにして行った試験の結果は、表2の下欄に示す通りである。
【0106】
【0107】
表2及び
図1に示す通り、PBT含有樹脂片を精製水に浸漬した比較例1では熱処理前に比べPBT含有樹脂片の重量増加が認められるが、酸性多糖類であるヒアルロン酸ナトリウム、単糖類であるグルコースを含有した比較例2、3においては、PBT含有樹脂片の重量増加が精製水よりも大きくなることが確認された。しかし、ホウ酸、ホウ砂を加えた実施例1~3では、PBT樹脂の単位体積あたりの重量変化は、精製水のみのとき(比較例1)よりも抑制された。このことより、酸性多糖類及び単糖類からなる群より選択される1種以上を含む眼科用水性組成物によるPBT含有樹脂の重量変化を、ホウ酸とホウ砂が抑制し、それに伴うPBT含有樹脂の劣化を抑制することが確認された。作用機序は明らかではないが、(B)成分の緩衝能によって眼科用水性組成物の水素イオンが、PBT含有樹脂の鎖状分子構造に何らかの影響を与えている可能性もあると考えられた。
【0108】
<重量変化の評価2>
(実施例4~10)表3~表6に示す眼科用水性組成物を調製した。そのpHは、HORIBA pHメーターで室温で測定した。
【0109】
(比較例4~12)
実施例4~10と同様にして、表3~表6に示す比較例4~12の眼科用水性組成物を調製した。
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
【0114】
(試験方法)
実施例4~10及び比較例4~12の試験液を、10mL容量透明ガラスバイアル(セプタムキャップ)に3mLずつ充填し、さらに直径約1.0cm、重さ約205mg、厚さ約2.0mmの大きさのPBT含有樹脂(製品名:PBTナチュラル、アラム社製)片を1個ずつ浸漬させ、速やかに密封した。恒温槽にて75℃ 2週間静置する熱処理を行った後に、各樹脂の重量を測定し、式1により単位体積あたりの重量変化を算出した。当初重量に対する重量変化で評価することもできる。PBT含有樹脂の体積は、樹脂の密度と重量から算出することもできる。
(式1)単位体積あたりの重量変化(mg/cm3)=
(熱処理後樹脂片重量-熱処理前樹脂片重量)/樹脂体積
【0115】
このようにして行った試験の結果は、表3~6の下欄に示す通りである。
【0116】
表に示す通り、各比較例では熱処理前に比べPBT含有樹脂片の重量増加が認められた。しかし、ホウ酸、ホウ砂を加えた実施例では、PBT含有樹脂の単位体積あたりの重量変化は、比較例よりも抑制された。このことより、(A)成分を含む眼科用水性組成物によるPBT含有樹脂の重量変化を、ホウ酸とホウ砂が抑制し、それに伴うPBT含有樹脂の劣化を抑制することが確認された。作用機序は明らかではないが、(B)成分の緩衝能によって眼科用水性組成物の水素イオンが、PBT含有樹脂の鎖状分子構造に何らかの影響を与えている可能性もあると考えられた。
【0117】
<重量変化の評価3>
(実施例11~18)
表7~表13に示す濃度になるように、眼科用水性組成物を調製した。そのpHは、HORIBA pHメーターで室温で測定した。
【0118】
(比較例13~22)
実施例11~18と同様にして、表7~表13に示す比較例13~22の眼科用水性組成物を調製した。
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
【0123】
【0124】
【0125】
【0126】
(試験方法)
実施例及び比較例の試験液を、10mL容量透明ガラスバイアル(セプタムキャップ)に2mLずつ充填し、さらに直径約1.0cm、重さ約205mg、厚さ約2.0mmの大きさのPBT含有樹脂(製品名:PBTナチュラル、アラム社製)片を1個ずつ浸漬させ、速やかに密封した。恒温槽にて75℃ 1週間静置する熱処理を行った後に、各樹脂の重量を測定し、式1により単位体積あたりの重量変化を算出した。当初重量に対する重量変化で評価することもできる。PBT含有樹脂の体積は、樹脂の密度と重量から算出することもできる。
(式1)単位体積あたりの重量変化(mg/cm3)=
(熱処理後樹脂片重量-熱処理前樹脂片重量)/樹脂体積
【0127】
このようにして行った試験の結果は、表7~13の下欄に示す通りである。
【0128】
表に示す通り、各比較例では熱処理前に比べPBT含有樹脂片の重量増加が認められる。しかし、緩衝剤を加えた実施例では、PBT含有樹脂の単位体積あたりの重量変化は、比較例よりも抑制された。このことより、(A)成分を含む眼科用水性組成物によるPBT含有樹脂の重量変化を、緩衝剤が抑制し、それに伴うPBT含有樹脂の劣化を抑制することが確認された。作用機序は明らかではないが、(B)成分の緩衝能によって眼科用水性組成物の水素イオンが、PBT含有樹脂の鎖状分子構造に何らかの影響を与えている可能性もあると考えられた。
【0129】
<前進接触角の評価1>
(実施例19~87)
表14~32に示す眼科用水性組成物を常法により調製し、試験液とした。協和界面科学株式会社製の接触角計DM-501を用いて、同測定装置の拡張/収縮法の測定手順に従い、固体と液体の界面が運動する際の接触角である前進接触角を測定した。具体的には、1辺50mmで厚さ約2mmの正四角柱である板状のPBT含有樹脂(製品名:PBTナチュラル、アラム社製)を接触角計のステージの上に置き、試験液をディスペンサにセットした。試験液の液滴1μLをPBT含有樹脂板上に滴下して半球状に着滴させた。次に速やかに、半球上部にディスペンサの液吐出部の先端を着液させた。その状態で、試験液を吐出速度6μL/秒で連続的に吐出し、液滴の形状を側面から0.1秒毎に15回撮影した。対応する比較例と実施例の測定条件を合わせるために、同一の室温下で続けて測定し、同一の板状PBT含有樹脂を使用した。次に、同測定装置の解析ソフトFAMASを用いて、各画像ごとに左右の接触角を求めた。ここで接触角は、PBT含有樹脂板の表面、試験液、空気の接触点Pから試験液に引いた接線と、PBT含有樹脂板の表面に引いた接線のなす角のうち、試験液を含む側の角を意味する。試験液を吐出することにより液滴が拡張するにつれて、接触角は変化し、次いでほぼ一定になる挙動を示した。そこで、各画像ごとに左右の接触角の平均値を算出し、画像を撮影した順番に左右接触角の平均値を並べて連続した5つを選択したとき、連続した5つの左右接触角の平均値の標準偏差が最初に2.5°以下になった最初の接触角を、本発明の前進接触角とした。これらを各試験液について3回行って前進接触角を求め、3回の平均値をその試験液の前進接触角とした。液滴が拡張する過程で前進接触角が変化しない場合も同様に、左右接触角の平均値の連続した5つの接触角の平均値の標準偏差が最初に2.5°以下になった最初の接触角を、本発明の前進接触角とした。下記式(2)により、対応する比較例の前進接触角に対する、実施例の前進接触角の上昇率を算出した。
<式(2)>上昇率(%)={(各試験液の前進接触角/比較例の前進接触角)-1}×100比較例は、実施例に含まれる(B)成分を除いた眼科用水性組成物のことを指す。例えば表14の実施例19に対応する比較例は、コンドロイチン硫酸ナトリウム0.5w/v%を含有し、塩酸又は及び水酸化ナトリウムにより実施例19と同じpHであるpH5.1に調節した、眼科用水性組成物である。
また、ここで表に特に注記しない限り、試験液を調製した後、直ちに試験を行なった。
【0130】
【0131】
【0132】
【0133】
【0134】
【表18】
実施例41~45及び対応する比較例は、80℃、1日間の熱処理を行った液を試験に用いた。
【0135】
【0136】
【0137】
【0138】
【0139】
【0140】
【0141】
【0142】
【表26】
実施例68及び対応する比較例は、75℃、3日間の熱処理を行った液を試験に用いた。
【0143】
【0144】
【0145】
【0146】
【0147】
【0148】
【表32】
実施例87及び対応する比較例は、75℃、3日間の熱処理を行った液を試験に用いた。
【0149】
各表に示す通り、(B)成分を含有しない比較例と比較すると、実施例の上昇率は高かった。このことより、(A)成分を含有する眼科用水性組成物に(B)成分を含有させた眼科用水性組成物は、運動する際にPBT含有樹脂に対して濡れにくいことが確認された。PBT含有樹脂に対する液切れが向上するなどの有利な効果を得られることが分かった。
【0150】
<重量変化の評価4>
(実施例88~122)
表33~53に示す(A)成分、(B)成分およびその他の成分を、それぞれ表に示す濃度を含有するように、眼科用水性組成物を調製した。そのpHは、HORIBA pHメーターで室温で測定した。
【0151】
(比較例23~63)
実施例と同様にして、表33~53に示す比較例の眼科用水性組成物を調製した。
【0152】
(試験方法)
実施例及び比較例の試験液を、10mL容量透明ガラスバイアル(セプタムキャップ)に3mLずつ充填し、さらに直径約1.0cm、重さ約205mg、厚さ約2.0mmの大きさのPBT含有樹脂(製品名:PBTナチュラル、アラム社製)片を1個ずつ浸漬させ、速やかに密封した。恒温槽にてそれぞれの表に示す温度および日数で静置する熱処理を行った後に、各樹脂の重量を測定し、式1により単位体積あたりの重量変化を算出した。当初重量に対する重量変化で評価することもできる。PBT含有樹脂の体積は、樹脂の密度と重量から算出することもできる。
(式1)単位体積あたりの重量変化(mg/cm3)=
(熱処理後樹脂片重量-熱処理前樹脂片重量)/樹脂体積
【0153】
このようにして行った試験の結果は、それぞれの表の下欄に示す通りである。
【0154】
【表33】
比較例23、24及び実施例88、89の熱処理は、50℃で7日間静置した。
【0155】
【表34】
比較例25~27及び実施例90、91の熱処理は、75℃で3日間静置した。
【0156】
【表35】
比較例28、29及び実施例92の熱処理は、50℃で12日間静置した。
【0157】
【表36】
比較例30、31及び実施例93の熱処理は、50℃で17日間静置した。
【0158】
【表37】
比較例23、32及び実施例94の熱処理は、50℃で7日間静置した。
【0159】
【表38】
比較例33、34及び実施例95の熱処理は、50℃で12日間静置した。
【0160】
【表39】
比較例23、35~37及び実施例96~100の熱処理は、50℃で7日間静置した。
【0161】
【表40】
比較例23、38及び実施例101の熱処理は、50℃で7日間静置した。
【0162】
【表41】
比較例39、40及び実施例102の熱処理は、50℃で7日間静置した。
【0163】
【表42】
比較例41~43及び実施例103、104の熱処理は、50℃で12日間静置した。
【0164】
【表43】
比較例44、45及び実施例105の熱処理は、75℃で3日間静置した。
【0165】
【表44】
比較例33、46、47及び実施例106、107の熱処理は、50℃で12日間静置した。
【0166】
【表45】
比較例23、48~50及び実施例108~110の熱処理は、50℃で7日間静置した。
【0167】
【表46】
比較例33、51、52及び実施例111、112の熱処理は、50℃で12日間静置した。
【0168】
【表47】
比較例23、53、54及び実施例113、114の熱処理は、50℃で7日間静置した。
【0169】
【表48】
比較例33、55及び実施例115の熱処理は、50℃で12日間静置した。
【0170】
【表49】
比較例56、57及び実施例116の熱処理は、50℃で7日間静置した。
【0171】
【表50】
比較例39、58及び実施例117の熱処理は、50℃で7日間静置した。
【0172】
【表51】
比較例30、59、60及び実施例118、119の熱処理は、50℃で17日間静置した。
【0173】
【表52】
比較例39、61及び実施例120の熱処理は、50℃で7日間静置した。
【0174】
【表53】
比較例23、62、63及び実施例121、122の熱処理は、50℃で7日間静置した。
【0175】
<眼科用水性組成物調製と容器収容例>
以下の表54~57(表56および57は、それぞれ2頁にわたる)の眼科用水性組成物を調製する。製剤例2、3、6、9、10、15、18~21をPET含有樹脂製の容器本体部分に充填し、本体部分の開口部にPBT含有樹脂製穴あき中栓を取り付け、PP含有樹脂製の蓋をした。製剤例7~8をPP含有樹脂製の容器本体部分に充填し、本体部分の開口部にPBT含有樹脂製穴あき中栓を取り付け、ABS含有樹脂製の蓋をした。製剤例4、14をエチレン酢酸ビニル共重合体含有樹脂製の容器本体部分に充填し、本体部分の開口部にPBT含有樹脂製穴あき中栓を取り付け、PE含有樹脂の蓋をした。製剤例1、5、17をPBT含有樹脂製の容器本体部分に充填し、本体部分の開口部にPE含有樹脂製穴あき中栓を取り付け、PS含有樹脂の蓋をした。製剤例11、13、16をPE含有樹脂製の容器本体部分に充填し、本体部分の開口部にPBT含有樹脂製穴あき中栓を取り付け、PP含有樹脂製の蓋をした。眼科用水性組成物を収容する本体部分と開口部が同一のPBT含有樹脂である容器に製剤例12を充填し、PP含有樹脂製の蓋をした。製剤例中の数値の単位は「w/v%」である。
【0176】
【0177】
【0178】
【表56】
【表57】
POE(200)POP(70)は、ポリオキシエチレン(200)ポリオキシプロピレン(70)グリコールを表わす。