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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096357
(43)【公開日】2024-07-12
(54)【発明の名称】保持システム
(51)【国際特許分類】
   B65B 23/02 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
B65B23/02
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024075379
(22)【出願日】2024-05-07
(62)【分割の表示】P 2020093947の分割
【原出願日】2020-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】597017812
【氏名又は名称】株式会社ナベル
(72)【発明者】
【氏名】南部 隆彦
(57)【要約】
【課題】卵パックが積み込まれた移動式のラックの生産をスムーズに行う。
【解決手段】移動式のラックRを所定の姿勢に保持する保持システム1であって、保持部6と、制御部8とを備える。移動式のラックRは、折り畳み式の側面フレームR6と、この側面フレームR6の内側に展開され複数の卵パックPが並べられる複数枚の折り畳み式の棚板R1…とを備える。保持部6は、側面フレームR6を保持する。制御部8は、保持部6を制御する。制御部8は、棚板R1…が収納状態から使用状態へと展開される動作の際に、複数枚の棚板R2…のうち動作が行われる棚板R2…の近傍を保持部6によって保持する。また、使用状態の棚板R1…に卵パックPが移載される動作の際に、複数枚の棚板R1…のうち動作が行われる棚板R1…の近傍を保持部6によって保持する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み式の側面フレームと、この側面フレームの内側に展開され複数の卵パックが並べられる複数枚の折り畳み式の棚板とを備えた移動式のラックを所定の姿勢に保持する保持システムであって、
前記側面フレームを保持する保持部と、
前記保持部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記棚板が収納状態から使用状態へと展開される動作の際、または、前記使用状態の棚板に卵パックが移載される動作の際に、複数枚の棚板のうち前記動作が行われる棚板の近傍を前記保持部によって保持する、保持システム。
【請求項2】
折り畳み式の側面フレームと、この側面フレームの内側に展開され複数の卵パックが並べられる複数枚の折り畳み式の棚板とを備えた移動式のラックを所定の姿勢に保持する保持システムであって、
前記側面フレームを保持する保持部と、
前記保持部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記側面フレームの第1の高さ位置で前記保持部によって前記側面フレームを保持し、
前記第1の高さ位置での保持状態を解除した後、
前記第1の高さ位置とは異なる第2の高さ位置で前記保持部によって前記側面フレームを保持する、保持システム。
【請求項3】
前記保持部は、上下方向に移動する昇降部に設けられ、
前記制御部は、前記昇降部を制御して、前記保持部が前記側面フレームを保持する箇所を変更する、請求項1または2記載の保持システム。
【請求項4】
前記昇降部は、前記使用状態の棚板に卵パックを移載する移載部の上下方向の移動に合わせて移動する、請求項3記載の保持システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卵パックが積み込まれる移動式のラックを保持する保持システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
GPセンターにて卵がパック詰めされた卵パックは、段ボール箱やコンテナに箱詰めされたり、ロールインナーと呼ばれる専用の移動式のラックに載せられたりする。卵パックをロールインナーに収容する装置として、下記特許文献1に記載のものがある。
【0003】
ロールインナーは、複数の棚を備え、各棚に卵パックが積み重ねられた状態で載せられる。この状態で、ロールインナーは移動され、そのまま売り場に陳列が可能である。そのため、ロールインナーは、卵パックの棚からの落下防止のために複雑な形状をしていたり、折り畳み部分があったりする。
【0004】
卵パックは、ロールインナーに複数段に積まれた状態で、GPセンターから売り場へと移動させられる。複数段に積まれた状態での移動に耐えられるように、以下のような特徴がある。まず、ロールインナーは、側面の3方向がフレームで囲まれている。そして、ロールインナーは、出し入れ側にもこぼれ止めが付いている。また、ロールインナーは、棚板を複数枚備え、棚一段あたり4~6個(4~6段)の卵パックを積み上げる。そして、卵パックが横方向にずり落ちないように、卵パック自体が、上下に積まれた卵パックの横ずれを抑制できる形状になっている。
【0005】
また、輸送効率を上げるために、以下のような特徴がある。1つ目は、ロールインナーの1段あたり、できるだけ多くの卵パックを積みたい。言い換えれば、フレームの内側ギリギリの場所まで、また、棚板の下方ギリギリの場所まで卵パックを置きたいという要望がある。これには、卵パックを棚に詰めて置き、卵パック同士で拘束し合って卵パックが所定位置から大きく動かないようにすることで、輸送時の卵の割れを防止するという理由もある。さらに、2つ目の特徴は、非使用時にコンパクトに収容できるように、棚板やフレームが折り畳み式になっている点である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6684511号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
棚板上でフレームから離れた位置には、卵パックを問題なく積み込むことが可能である。しかしながら、フレームの内側ギリギリの場所に卵パックを積み込むことに対しては、上述した要因が自動化を妨げている。特に、一部の折り畳み式の棚板が折り畳まれた状態では、側フレームが所定の姿勢に保たれていないことが多いため、卵パックの積み込みが難しい場合がある。
【0008】
特許文献1には、アーム先端に吸着部を備えるロボットアームを用いて、複数の卵パックの上面を吸着保持し、棚板上に移送して積んでいくとの記載がある。しかしながら、上述したようなフレームの内側ギリギリの場所に卵パックを積む際の工夫については一切記載がなく、この点に関する工夫がなければ、ロールインナーに載せる卵パックが従来の手作業の場合よりも少なくなり、輸送効率の低下を招く。
【0009】
そこで、本発明は、卵パックが積み込まれた移動式のラックの生産をスムーズに行うことができる保持システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の保持システムは、移動式のラックを所定の姿勢に保持する保持システムであって、保持部と、制御部とを備える。移動式のラックは、折り畳み式の側面フレームと、この側面フレームの内側に展開され複数の卵パックが並べられる複数枚の折り畳み式の棚板とを備える。保持部は、側面フレームを保持する。制御部は、保持部を制御する。制御部は、棚板が収納状態から使用状態へと展開される動作の際、または、使用状態の棚板に卵パックが移載される動作の際に、複数枚の棚板のうち動作が行われる棚板の近傍を保持部によって保持する。
【0011】
本発明の他の保持システムは、移動式のラックを所定の姿勢に保持する保持システムであって、保持部と、制御部とを備える。移動式のラックは、折り畳み式の側面フレームと、この側面フレームの内側に展開され複数の卵パックが並べられる複数枚の折り畳み式の棚板とを備える。保持部は、側面フレームを保持する。制御部は、保持部を制御する。制御部は、側面フレームの第1の高さ位置で保持部によって側面フレームを保持し、第1の高さ位置での保持状態を解除した後、第1の高さ位置とは異なる第2の高さ位置で保持部によって側面フレームを保持する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、卵パックが積み込まれた移動式のラックの生産をスムーズに行うことができる保持システムを提供できる。
【0013】
この発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態にかかるラック積込システムを示す平面図である。
図2】同実施形態にかかるラック積込システムを拡大して示す平面図である。
図3】同実施形態にかかるラック積込システムを示す側面図である。
図4】同実施形態にかかる移載部の積み込み動作を示す側面図である。
図5】同実施形態にかかるラック積込システムの使用例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態にかかる保持システム1の一例について、図1図5を用いて説明する。保持システム1は、複数の卵パックPが移動式のラック(以下、「ロールインナーR」と記す。)に収納されるラック積込システム2で用いられる。卵パックPはロールインナーRの開口部から自動で積み込まれる。保持システム1は、開口部を拡げる方向に力を加えて、開口部の幅を所定距離に保つ。
【0016】
ロールインナーRは、複数枚の棚板R1、R2、R3、R4と、背面フレームR5と、側面フレームR6と、キャスターR7を備える。
【0017】
棚板R1、R2、R3、R4は、折り畳み式のものである。棚板R1、R2、R3、R4は、背面フレームR5に軸を介して取り付けられており、2つ折りの状態から、背面フレームR5および側面フレームR6の内側に展開される。棚板R1、R2、R3、R4は、手前側に引き出された使用状態と折り畳まれて奥側に位置する収納状態との間で状態変更可能である。棚板R1、R2、R3、R4は、使用状態で、棚板受けR8に係わり合う。棚板R1、R2、R3、R4は、前縁にこぼれ止めR9を備える。棚板R1、R2、R3、R4には、複数の卵パックPが並べられる。使用状態の各棚板R1、R2、R3、R4の上方には、卵パックPが収納される収納空間が形成される。収納空間には、卵パックPが上下に積み重ねられる。
【0018】
側面フレームR6は、折り畳み式のものである。側面フレームR6は、背面フレームR5に軸を介して取り付けられており、背面フレームR5と重なる状態と、背面フレームR5に対してほぼ直角に開かれた状態とをとる。側面フレームR6は、内側に棚板受けR8を備える。
【0019】
ラック積込システム2は、ラック供給部(図示しない)と、パック供給部3と、移載部4と、昇降部5と、第1のラック保持部6(本発明の「保持部」に該当する)と、第2のラック保持部7と、制御部8とを備える。
【0020】
ラック供給部は、ロールインナーRを横向きに送り出す。ラック供給部は、ロールインナーRの側面フレームR6が背面フレームR5から開かれ、一番下の棚板R1が展開された状態で、卵パックPが積み込まれる所定箇所までロールインナーRを送り出す。また、ラック供給部は、ロールインナーRの各棚板R1、R2、R3、R4上に卵パックPが積み込まれた状態で、所定箇所からロールインナーRを送り出す。
【0021】
パック供給部3は、複数の卵パックPを送り出す。パック供給部3は、上流側に卵をパックに収容する包装装置(図示せず)が配置され、下流側に一時待機領域31を備える。
【0022】
移載部4は、搬送されてきた複数の卵パックPをロールインナーRに移載する。移載部4は、卵パックPを一時待機領域31からロールインナーRへ移載する。図4に示すように、移載部4は、ロボットヘッド41と、ロボットアーム42と、制御部8とを備える。なお、図3では移載部4の一部を省略して示している。
【0023】
ロボットヘッド41は、パック保持部43を備える。パック保持部43は、複数の卵パックPを保持する。パック保持部43は、例えば、横方向に隣接する3つの卵パックPを保持することができる。パック保持部43は、1つまたは2つの卵パックPを保持する場合もある。パック保持部43は、複数の吸着部材44によって構成される。各吸着部材44は、蓋が閉じられた卵パックPの天面側を吸着する。各吸着部材44は、真空機構(図示しない)に接続されている。各吸着部材44は、上下方向に伸縮可能な蛇腹構造である。1つの卵パックPにつき、複数個(例えば6つ)の吸着部材44で保持する。なお、1つの卵パックPにつき、4つの吸着部材44で保持してもよいし、吸着された卵パックPが必要以上に傾かなければ、吸着部材44の配置方法はどのようなものであってもよい。
【0024】
ロボットアーム42は、ロボットヘッド41の位置姿勢を変更可能なものである。ロボットアーム42は、一時待機領域31とロールインナーRとの間でロボットヘッド41を移動させる。ロボットアーム42は、例えば、6軸垂直多関節ロボット等の、任意に作動する慣用の多関節ロボットが適用される。この他に、ロボットアーム42は、ロボットヘッド41をX軸、Y軸およびZ軸に対して、任意に移動させることができるロボットまたは装置など種々のものを採用できる。
【0025】
昇降部5は、上下方向に移動する。昇降部5は、使用状態の棚板R1、R2、R3、R4に卵パックPを移載する移載部4の上下方向の移動に合わせて移動する。本実施形態の昇降部5は、パック供給部3と、移載部4と、第1のラック保持部6とを同時に移動させる。
【0026】
第1のラック保持部6は、可動式のもので、側面フレームR6を保持する。第1のラック保持部6は、上下方向に移動する昇降部5に設けられる。第1のラック保持部6は、側面フレームR6を内側から開く。第1のラック保持部6は、ロールインナーRの前端で当該ロールインナーRを保持する。第1のラック保持部6は、棚板R1、R2、R3、R4の近傍、例えば、側面フレームR6の棚板受けR8の下に当接する。第1のラック保持部6は、側面フレームR6が開く範囲の最大限まで達するように側面フレームR6に力を加える。第1のラック保持部6は、側面フレームR6が開く方向に外向きの力を加える。
【0027】
第2のラック保持部7は、可動式のもので、ロールインナーRの後端で当該ロールインナーRを保持する。
【0028】
制御部8は、CPU、内部メモリ、入出力インターフェース、AD変換部などの専用のコンピュータまたは汎用のコンピュータによって構成される。内部メモリに格納されたプログラムにしたがって、CPUおよびその周辺機器が協働することによって、制御部8としての機能が発揮される。
【0029】
制御部8は、第1のラック保持部6を制御する。制御部8は、第1のラック保持部6を保持状態と解除状態とで切り替える。図2では、保持状態を二点鎖線で示し、解除状態を実線で示している。具体的には、制御部8は、側面フレームR6の第1の高さ位置で、第1のラック保持部6によって側面フレームR6を保持し、第1の高さ位置での保持状態を解除した後、第1の高さ位置とは異なる第2の高さ位置で、第1のラック保持部6によって側面フレームR6を保持する。別の言い方をすれば、制御部8は、棚板R2、R3、R4が収納状態から使用状態へと展開される動作の際に、複数枚の棚板R2、R3、R4のうち動作が行われる棚板R2、R3、R4の近傍を、第1のラック保持部6によって保持する。また、制御部8は、使用状態の棚板R1、R2、R3、R4に卵パックPが移載される動作の際に、複数枚の棚板R1、R2、R3、R4のうち動作が行われる棚板R1、R2、R3、R4の近傍を、第1のラック保持部6によって保持する。
【0030】
また、制御部8は、昇降部5を制御する。制御部8は、昇降部5を上下方向に移動させたり、昇降部5を所定高さ位置で停止させたりする。本実施形態では、第1のラック保持部6が昇降部5に設けられているため、制御部8は、第1のラック保持部6が側面フレームR6を保持する箇所を変更する。
【0031】
さらに、制御部8は、移載部4を制御する。制御部8は、卵パックPをパック保持部43で保持したり、解除したり、一時待機領域31からロールインナーRまで卵パックPを移動させたりする。また、制御部8は、収納状態の棚板R2、R3、R4を保持部(例えば、パック保持部43)で保持/解除して、棚板R2、R3、R4を使用状態にする。
【0032】
次に、ラック積込システム2を用いた収納方法の一例について、図4を用いて説明する。
【0033】
まず、昇降部5を用いて移載部4、第1のラック保持部6、パック供給部3を、最下段の棚板R1に対応する高さ位置に設定しておく。
【0034】
ラック供給部を用いてロールインナーRを所定箇所に配置する(ステップS1)。ロールインナーRは、ロボットヘッド41が届く範囲に配置される。このとき、ロールインナーRは、最下段の棚板R1は使用状態になっており、2段目以降の棚板R2、R3、R4は収納状態で折り畳まれている。
【0035】
第2のラック保持部7でロールインナーRを固定する(ステップS2)。続いて、第1のラック保持部6でロールインナーRを固定する(ステップS3)。制御部8は、側面フレームR6の一の高さ位置、すなわち、今から卵パックPが移載される最下段の棚板R1の近傍を第1のラック保持部6によって保持する。第1のラック保持部6は、例えば、最下段の棚板R1を受ける棚板受けR8の近傍に当接する。そして、第1のラック保持部6によって側面フレームR6の可動域の最大まで広げた状態で、移載部4が卵パックPを最下段の棚板R1に積み込む(ステップS4)。パック供給部3では、上流側から搬送された卵パックPが一時待機領域31に集められる。一時待機領域31に、例えば、3つの卵パックPが集まった状態で、移載動作が開始される。
【0036】
最下段の棚板R1への積み込みが終わり、第1のラック保持部6を解除する(ステップS5)と、昇降部5を用いて上方に移動させる(ステップS6)。昇降部5は、移載部4、第1のラック保持部6、パック供給部3を、下から2段目の棚板R2に対応する高さ位置に設定する。
【0037】
ステップS3に準じた方法で、第1のラック保持部6でロールインナーRを固定する(ステップS7)。すなわち、第1のラック保持部6は、一の高さ位置での保持状態が解除された後、一の高さ位置とは異なる他の高さ位置で、第1のラック保持部6によって側面フレームR6を保持する。
【0038】
移載部4は、折り畳み式の棚板R2を展開する。すなわち、折り畳み式の棚板R2は、卵パックPを移載する際と同じロボットヘッド41を用いて、収納状態から使用状態に展開される。具体的には、制御部8は、第1のラック保持部6が棚板R2を吸着し、その状態のままロボットヘッド41を手前側に移動させることで、折り畳み式の棚板R2が展開される。そして、ステップS4に準じた方法で、移載部4が卵パックPを2段目の棚板R2に積み込む(ステップS8)。
【0039】
2段目の棚板R2への積み込みが終わり、ステップS5に準じた方法で、第1のラック保持部6を解除して(ステップS9)、昇降部5を用いて上方に移動させる(ステップS10)。昇降部5は、移載部4、第1のラック保持部6、パック供給部3を、下から3段目の棚板R3に対応する高さ位置に設定する。
【0040】
ステップS7に準じた方法で、第1のラック保持部6でロールインナーRを固定する(ステップS11)。そして、ステップS8に準じた方法で、移載部4が折り畳み式の棚板R3を展開し、移載部4が卵パックPを3段目の棚板R3に積み込む(ステップS12)。
【0041】
3段目の棚板R3への積み込みが終わり、ステップS9に準じた方法で、第1のラック保持部6を解除して(ステップS13)、昇降部5を用いて上方に移動させる(ステップS14)。昇降部5は、移載部4、第1のラック保持部6、パック供給部3を、下から4段目の棚板R4(ロールインナーRの最上段の棚板R4)に対応する高さ位置に設定する。
【0042】
ステップS11に準じた方法で、第1のラック保持部6でロールインナーRを固定する(ステップS15)。そして、ステップS12に準じた方法で、移載部4が折り畳み式の棚板R4を展開し、移載部4が卵パックPを4段目の棚板R4に積み込む(ステップS16)。
【0043】
4段目の棚板R4への積み込みが終わると、ステップS13に準じた方法で、第1のラック保持部6を解除して(ステップS17)、第2のラック保持部7も解除する(ステップS18)。移動可能な状態になったロールインナーRは、ラック供給部で、所定箇所から搬出される。以上のような一連のステップを経て、卵パックPが積み込まれたロールインナーRが生産される。
【0044】
以上説明したように、本実施形態にかかる保持システム1は、ロールインナーRを所定の姿勢に保持する保持システム1であって、第1のラック保持部6と、制御部8とを備える。ロールインナーRは、折り畳み式の側面フレームR6と、この側面フレームR6の内側に展開され複数の卵パックPが並べられる複数枚の折り畳み式の棚板R1、R2、R3、R4とを備える。第1のラック保持部6は、側面フレームR6を保持する。制御部8は、第1のラック保持部6を制御する。制御部8は、棚板R2、R3、R4が収納状態から使用状態へと展開される動作の際、複数枚の棚板R2、R3、R4のうち動作が行われる棚板R2、R3、R4の近傍を第1のラック保持部6によって保持する。また、使用状態の棚板R1、R2、R3、R4に卵パックPが移載される動作の際に、複数枚の棚板R1、R2、R3、R4のうち動作が行われる棚板R1、R2、R3、R4の近傍を第1のラック保持部6によって保持する。
【0045】
また、この保持システム1は、制御部8が、側面フレームR6の第1の高さ位置で、第1のラック保持部6によって側面フレームR6を保持し、第1の高さ位置での保持状態を解除した後、第1の高さ位置とは異なる第2の高さ位置で、第1のラック保持部6によって側面フレームR6を保持する。そのため、側面フレームR6を大きく開くことができ、棚板R2、R3、R4の展開動作をスムーズに行うことができ、また、背面フレームR5や側面フレームR6の内側ギリギリの場所まで、卵パックPを積み込むことができる。
【0046】
第1のラック保持部6は、上下方向に移動する昇降部5に設けられる。制御部8は、昇降部5を制御して、第1のラック保持部6が側面フレームR6を保持する箇所を変更する。昇降部5は、使用状態の棚板R1、R2、R3、R4に卵パックPを移載する移載部4の上下方向の移動に合わせて移動する。そのため、第1のラック保持部6自体を大きくする必要なしに、側面フレームR6の所望の箇所を保持することができる。
【0047】
なお、本発明は上述した実施形態に限られない。
【0048】
第1のラック保持部6、第2のラック保持部7は、図示したものには限られない。第1のラック保持部6は、複数の高さ位置にそれぞれ配置されているものであってもよい。それら複数の高さ位置の第1のラック保持部6を、切り替えて使うようなものであってもよい。すなわち、複数の第1のラック保持部6のうち、第1の高さ位置に配置されたもので保持、解除した後に、第2の高さ位置に配置されたもので保持を行ってもよい。
【0049】
昇降部5は、少なくとも第1のラック保持部6を昇降させればよい。すなわち、パック供給部3や移載部4は、第1のラック保持部6とは別のタイミングで昇降するもの、または、上下方向に移動しないものであってもよい。
【0050】
卵パックPは、10個入りのパックに限らない。卵パックPは、蓋の天面が平坦な「フラットパック」であってもよいし、卵の形状に沿った凹凸が蓋に形成されている「レギュラーパック」であってもよい。
【0051】
移載部4は、多関節ロボットを利用したものには限られない。パック保持部43は、吸着タイプのものには限られない。例えば、卵パックPを側方から保持するパック保持部43であってもよい。折り畳み式の棚板R2、R3、R4を展開させるステップは、卵パックPを移載するロボットとは異なる装置を用いるなどしてもよい。
【0052】
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、棚板が収納状態から使用状態へと展開される動作の際、または、使用状態の棚板に卵パックが移載される動作の際に、卵パックが積み込まれる移動式のラックを保持する保持システムとして利用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1…保持システム
5…昇降部
6…第1のラック保持部(保持部)
8…制御部
R…ロールインナー(移動式のラック)
R1、R2、R3、R4…棚板
R6…側面フレーム
P…卵パック
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-05-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み式の側面フレームと、この側面フレームの内側に展開され複数の卵パックが並べられる複数枚の折り畳み式の棚板とを備えた移動式のラックを所定の姿勢に保持する保持システムであって、
前記側面フレームを保持する保持部と、
前記保持部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記棚板が収納状態から使用状態へと展開される動作の際、または、前記使用状態の棚板に卵パックが移載される動作の際に、並べられた卵パックの上方で、移動式のラックの前端を前記保持部によって保持する、保持システム。
【請求項2】
前記保持部は、上下方向に移動する昇降部に設けられ、
前記制御部は、前記昇降部を制御して、前記保持部が前記側面フレームを保持する箇所を変更する、請求項1記載の保持システム。
【請求項3】
前記昇降部は、前記使用状態の棚板に卵パックを移載する移載部の上下方向の移動に合わせて移動する、請求項記載の保持システム。